(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記抗-CD47抗体が、無細胞系を使用し生成される場合、該無細胞系を使用し生成された親抗-CD47抗体の発現力価又は収量よりも高い発現力価又は収量を有し、該親抗-CD47抗体が、配列番号:1のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域、又は、配列番号:2、3又は4のアミノ酸配列を含む重鎖を含む、請求項1記載の抗-CD47抗体。
EUナンバリングインデックスに従い、S228Pアミノ酸置換を含むか、又は、S228P及びL235Eアミノ酸置換を含む、IgG4抗体である、請求項1記載の抗-CD47抗体。
投与後に実質的な赤血球枯渇、貧血、又は赤血球枯渇と貧血の両方を引き起こさず、かつ投与後に実質的な血小板枯渇、細胞凝集又は赤血球の血球凝集を引き起こさない、請求項14記載の抗-CD47抗体。
無細胞系を使用し発現される場合に、CHO細胞を使用して発現された場合よりも、FcγRへより低い結合親和性を示すか、又は結合しない、かつ該より低い結合親和性が、少なくとも1 logより低いか又は少なくとも2 logより低い、請求項16記載の抗-CD47抗体。
前記癌が、多発性骨髄腫、非ホジキンリンパ腫、急性骨髄性白血病(AML)、乳癌、膀胱癌、非小細胞肺癌/癌腫、肝細胞癌(HCC)、肉腫、又は頭頸部癌である、請求項33記載の医薬組成物。
【発明を実施するための形態】
【0041】
(5. 詳細な説明)
一態様において、CD47(例えばヒトCD47)に特異的に結合する、抗体(例えば、モノクローナル抗体)、及びその抗原-結合断片が、本明細書に提供される。具体的態様において、かかる抗-CD47抗体は、SIRPαへのCD47結合をブロックし、貪食を促進し、Fcエフェクター機能(例えば、FcγRへの結合、ADCC、もしくはCDC)を低下するか又は機能を持たず、並びに/又は凝集(例えば、血球凝集)活性をほとんど又は全く有さない。
【0042】
具体的態様において、ヒトCD47に特異的に結合するモノクローナル抗-CD47抗体が、本明細書に提供され、ここで抗-CD47抗体は、親抗体の変種であり、並びにここで抗-CD47抗体が無細胞(CF)発現系を使用し生成される場合、これは、CF系において発現された親抗体と比べ、より高い抗体発現力価又は収量を有する。特定の態様において、CF系で発現される本明細書に提供される抗-CD47抗体は、グリコシル化されない。
【0043】
本明細書で使用される用語「CD47」又は「インテグリン結合タンパク質」又は「IAP」又は「卵巣癌抗原」又は「OA3」又は「Rh-関連抗原」又は「MER6」は、互換的に使用され、且つ免疫グロブリンスーパーファミリーに属するマルチスパニング膜貫通受容体をいう。例証的ヒトCD47のアミノ酸配列を、以下に提供する(GenBank寄託番号Q08722.1 (GI:1171879)、これは引用により本明細書中に組み込まれている)。シグナル配列(アミノ酸1-18)には、下線をつけている。
【化4】
より明確にするために、シグナル配列を除外する例証的ヒトCD47のアミノ酸配列を、以下に提供する。
【化5】
【0044】
用語赤色血液細胞(複数可)及び赤血球(複数可)は、同義語であり、且つ本明細書において互換的に使用される。
【0045】
用語凝集は、細胞の凝塊化を意味するのに対し、用語血球凝集は、細胞の特定のサブセット、すなわち赤血球の凝塊化を意味する。従って、血球凝集は、凝集のひとつの型である。
【0046】
(5.1 抗体)
具体的態様において、CD47(例えばヒトCD47)へ特異的に結合する抗体が、本明細書に提供される。特定の態様において、驚くべきことに修飾のない親抗体よりも無細胞(CF)発現系においてより良く生成されることが可能である、1以上のアミノ酸残基の修飾(例えば、重鎖可変領域のフレームワーク領域内の5-13アミノ酸置換)を含む抗-CD47抗体が、本明細書に提供される。いくつかの態様において、かかる抗-CD47抗体は、CD47とSIRPαの相互作用を阻害し、グリコシル化されず、インビボもしくはインビトロのいずれか又は両方において、貪食を促進し、抗-腫瘍活性を有し(例えば、血球凝集などの凝集を促進することなく)、及び/又はFcエフェクター機能(例えば、FcγRへの結合、ADCC、もしくはCDC)を低下するか又は機能を持たない。
【0047】
いくつかの実施態様において、本明細書記載の抗体又は抗原-結合断片は、インビボにおいて動物又は哺乳動物(例えば、ヒト)の抗体生殖系列レパトア内に天然に存在しない配列を含むことができる。
【0048】
本明細書において使用され且つ別に指定されない限りは、用語「約」又は「およそ」は、所与の値又は範囲のプラス又はマイナス10%以内を意味する。整数が必要とされる場合、これらの用語は、最も近い整数に切り上げられるか又は切り下げられるかのいずれかの、所与の値又は範囲のプラス又はマイナス10%以内を意味する。
【0049】
本明細書記載の用語「抗体」及び「免疫グロブリン」及び「Ig」は、当該技術分野の用語であり、且つ本明細書において互換的に使用され、且つ抗原に特異的に結合する抗原結合部位を伴う分子をいう。
【0050】
抗体は、例えば、モノクローナル抗体、組換え生成された抗体、単一特異性抗体、多重特異性抗体(二重特異性抗体を含む)、ヒト抗体、ヒト化抗体、ネズミの抗体(例えば、マウス抗体又はラット抗体)、キメラ抗体、合成抗体、並びに2つの重鎖分子と2つの軽鎖分子を含む四量体化抗体を含むことができる。具体的実施態様において、抗体は、抗体軽鎖モノマー、抗体重鎖モノマー、抗体軽鎖ダイマー、抗体重鎖ダイマー、抗体軽鎖-抗体重鎖対、細胞内抗体、ヘテロ結合抗体、単ドメイン抗体、及び一価抗体を含むが、これらに限定されるものではない。具体的実施態様において、抗体は、抗原-結合断片又はエピトープ結合断片、例えば非限定的に、一本鎖抗体又は単鎖Fv(scFv)(例えば、単一特異性、二重特異性などを含む)、ラクダ化抗体、アフィボディ、Fab断片、F(ab’)断片、F(ab’)
2断片、及びジスルフィド結合Fv(sdFv)などを含むことができる。いくつかの実施態様において、本明細書記載の抗体は、ポリクローナル抗体集団をいう。
【0051】
抗体は、免疫グロブリン分子の任意の型(例えば、IgG、IgE、IgM、IgD、IgAもしくはIgY)、任意のクラス(例えば、IgG
1、IgG
2、IgG
3、IgG
4、IgA
1もしくはIgA
2)、又は任意のサブクラス(例えば、IgG
2aもしくはIgG
2b)であることができる。いくつかの実施態様において、本明細書記載の抗体は、IgG抗体、又はそれらのクラス(例えば、ヒトIgG
1、IgG
2、IgG
3もしくはIgG
4)又はサブクラスである。いくつかの実施態様において、本明細書記載の抗体は、IgG
1抗体(例えば、ヒトIgG
1)又はそのサブクラスである。いくつかの実施態様において、本明細書記載のIgG
1抗体は、定常領域における1以上のアミノ酸置換及び/又は欠失を含む。いくつかの実施態様において、本明細書記載の抗体は、IgG
4抗体(例えば、ヒトIgG
4)又はそのサブクラスである。いくつかの実施態様において、本明細書記載のIgG
4抗体は、定常領域において1以上のアミノ酸置換及び/又は欠失を含む。
【0052】
本明細書において使用される「抗原」は、それに抗体が特異的に結合することができるエピトープを含む部分又は分子である。従って、抗原はまた、抗体により特異的に結合される。
【0053】
本明細書において使用される「エピトープ」は、当該技術分野における用語であり、且つそれに抗体が特異的に結合することができる抗原の局所領域をいう。エピトープは、線状エピトープ、又は立体構造的、非線状もしくは不連続エピトープであることができる。ポリペプチド抗原の場合、例えば、エピトープは、ポリペプチドの近接アミノ酸であることができるか(「線状」エピトープ)、あるいはエピトープは、ポリペプチドの2個以上の非-近接領域由来のアミノ酸を含むことができる(「立体構造的」、「非線状」もしくは「不連続」エピトープ)。概して、線状エピトープは、二次、三次又は四次構造に左右されることもされないこともあることは、当業者により理解されるであろう。
【0054】
本明細書において使用される用語「免疫特異的に結合」、「免疫特異的に認識」、「特異的に結合」及び「特異的に認識」は、抗体の文脈において類似の用語であり、且つかかる結合が当業者により理解されるように抗原/エピトープへ結合する分子をいう。例えば、抗原へ特異的に結合する分子(例えば、抗体)は、例として、免疫学的検定、表面プラズモン共鳴アッセイ、例えばビアコア(商標)、KinExAプラットフォーム(Sapidyne Instruments社、ボイシー、ID)、又は当該技術分野において公知の他のアッセイにより決定されるように、一般により低い親和性で、他のペプチド又はポリペプチドへ結合することができる。具体的実施態様において、抗原へ特異的に結合する分子は、その分子が別の抗原へ結合する場合のK
aよりも、少なくとも2 log、2.5 log、3 log、4 log又はそれ以上であるK
aで、抗原へ結合する。別の具体的実施形態において、抗原へ特異的に結合する分子は、他のタンパク質と交差反応しない。別の具体的実施形態において、抗原へ特異的に結合する分子は、他の非-CD47タンパク質と交差反応しない。
【0055】
本明細書において使用される用語「モノクローナル抗体」は、当該技術分野において周知であり、これは均質な又は実質的に均質な抗体の集団から得られた抗体をいう。用語「モノクローナル」は、抗体を作製するいずれか特定の方法に限定されない。一般に、モノクローナル抗体の集団は、細胞、細胞集団、又は細胞株により作製され得る。具体的実施態様において、本明細書において使用される「モノクローナル抗体」は、単一の細胞又は細胞株により生成された抗体であり、ここで抗体は、例えば、当該技術分野において公知の又は本明細書に提供される実施例において、ELISA又は他の抗原-結合又は競合結合アッセイにより決定されたようにCD47エピトープへ免疫特異的に結合する。特定の実施態様において、モノクローナル抗体は、キメラ抗体又はヒト化抗体であることができる。いくつかの実施態様において、モノクローナル抗体は、一価抗体又は多価(例えば、二価の)抗体である。
【0056】
本明細書において使用される用語「非天然のアミノ酸」は、タンパク質新生性アミノ酸ではないアミノ酸、又はその翻訳後修飾された変種をいう。特にこの用語は、20種の一般的アミノ酸のひとつではないアミノ酸又はピロリジンもしくはセレノシステイン、あるいはそれらの翻訳後修飾変種をいう。
【0057】
本明細書において使用される用語「ポリクローナル抗体」は、単数又は複数の抗原内の同じ及び/又は異なるエピトープに免疫特異的に結合する多種多様な抗体を含む抗体集団をいう。
【0058】
本明細書において使用される用語「可変領域」又は「可変ドメイン」は、抗体の一部、一般に抗体軽鎖又は重鎖の一部、典型的には成熟重鎖のアミノ末端約110〜120アミノ酸及び成熟軽鎖のアミノ末端約90〜100アミノ酸をいう。可変領域は、フレームワーク領域(FR)に隣接された相補性決定領域(CDR)を含む。一般に、CDR及びFRの空間的定位は、N-末端からC-末端方向に、以下である:FR1−CDR1−FR2−CDR2−FR3−CDR3−FR4。いずれか特定の機序又は理論に拘束されることを欲するものではないが、軽鎖及び重鎖のCDRは、抗体の抗原との相互作用について、並びにエピトープに関する抗体の特異性について、主に係わっていると考えられている。具体的実施態様において、本明細書記載の抗体のアミノ酸位置のナンバリングは、Kabatらの文献、(1991)「免疫学的関心のあるタンパク質配列(Sequences of Proteins of Immunological Interest)」、第5版、U.S. Department of Health and Human Services、NIH Publication No. 91-3242にあるような、EUインデックスに従う。いくつかの実施態様において、可変領域は、ヒト可変領域である。いくつかの実施態様において、可変領域は、ネズミ(例えば、マウス又はラット)CDR及びヒトフレームワーク領域(FR)を含む。特定の実施態様において、可変領域は、霊長類(例えばヒト又は非ヒト霊長類)の可変領域である。いくつかの実施態様において、可変領域は、ネズミ(例えば、マウス又はラット)CDR及び霊長類(例えば、ヒト又は非ヒト霊長類)フレームワーク領域(FR)を含む。非限定的例として、本明細書記載の可変領域は、ヒト配列の2以上の断片の複合ヒト配列への集成から入手される。
【0059】
いくつかの態様において、抗体のCDRは、(i)Kabatナンバリングシステム(Kabatらの文献、(1971) Ann. NY Acad. Sci. 190:382-391、及びKabatらの文献、(1991)「免疫学的関心のあるタンパク質配列」、第5版、U.S. Department of Health and Human Services、NIH Publication No. 91-3242;又は、(ii)本明細書において「Chothia CDR」と称される、Chothiaナンバリングスキーム(例えば、Chothia及びLeskの文献、1987, J. Mol. Biol., 196:901-917;Al-Lazikaniらの文献、1997, J. Mol. Biol., 273:927-948;Chothiaらの文献、1992, J. Mol. Biol., 227:799-817;Tramontano Aらの文献、1990, J. Mol. Biol. 215(1):175-82;及び、米国特許第 7,709,226号参照);又は、(iii)例えば、Lefranc, M.-P.の文献, 1999, The Immunologist, 7:132-136、及びLefranc, M.-P.らの文献、1999, Nucleic Acids Res., 27:209-212に説明されたような、ImMunoGeneTics(IMGT)ナンバリングシステム(「IMGT CDR」);又は、(iv)MacCallumらの文献、1996, J. Mol. Biol., 262:732-745:に従い決定することができる。同じく、例えば、Martin, A.の文献、「抗体可変ドメインのタンパク質配列及び構造解析(Protein Sequence and Structure Analysis of Antibody Variable Domains)」、Antibody Engineering、Kontermann及びDubel編集、第31章422-439頁、Springer-Verlag社、ベルリン(2001)も参照されたい。
【0060】
Kabatナンバリングシステムに関して、抗体重鎖分子内のCDRは、典型的には、アミノ酸位置31から35に存在し、これは1又は2個の追加のアミノ酸を任意に含むことができ(CDR1)、35(Kabatナンバリングスキームで35A及び35Bと称される)の後に、アミノ酸位置50から65(CDR2)、及びアミノ酸位置95から102(CDR3)が存在する。Kabatナンバリングシステムを使用し、抗体軽鎖分子内のCDRは、典型的には、アミノ酸位置24から34(CDR1)、アミノ酸位置50から56(CDR2)、及びアミノ酸位置89から97(CDR3)に存在する。当業者に周知のように、Kabatナンバリングシステムを使用し、抗体可変ドメインの実際の線状アミノ酸配列は、FR及び/又はCDRの短縮又は延長のために、より少ない又は追加のアミノ酸を含むことができ、従ってアミノ酸のKabat番号は、その線状アミノ酸番号と必ずしも同じではない。
【0061】
本明細書に提供される抗体は、免疫グロブリン分子の任意の型(例えば、IgG、IgE、IgM、IgD、IgAもしくはIgY)、任意のクラス(例えば、IgG
1、IgG
2、IgG
3、IgG
4、IgA
1もしくはIgA
2)、又は任意のサブクラス(例えば、IgG
2aもしくはIgG
2b、又はそれらの混合物)であることができる。いくつかの実施態様において、本明細書記載の抗体は、IgG抗体(例えば、ヒトIgG)、又はクラス(例えば、ヒトIgG
1、IgG
2、IgG
3もしくはIgG
4)又はそれらのサブクラスである。
【0062】
具体的態様において、抗体軽鎖及び重鎖、例えば、個別の軽鎖及び重鎖を含む抗体が、本明細書に提供される。軽鎖に関して、具体的実施態様において、本明細書記載の抗体の軽鎖は、カッパ(κ)軽鎖である。別の具体的実施形態において、本明細書記載の抗体の軽鎖は、ラムダ(λ)軽鎖である。別の実施態様において、軽鎖は、混合配列であり、例えば、軽鎖の可変部分は、カッパ軽鎖配列を含み、及び軽鎖の定常領域は、ラムダ軽鎖配列を含むか、又はその逆もあてはまる。いくつかの実施態様において、本明細書記載の抗体の軽鎖は、ヒトカッパ軽鎖又はヒトラムダ軽鎖である。ヒト定常領域配列の非限定的例は、当該技術分野において説明されており、例えば、米国特許第5,693,780号及びKabatらの文献、「免疫学的関心のあるタンパク質配列」、第5版、U.S. Department of Health and Human Services、NIH Publication No. 91-3242 (1991)を参照されたい。
【0063】
具体的態様において、ヒトCD47へ特異的に結合する抗体、例えばモノクローナル抗体が、本明細書に提供され、ここでかかる抗-CD47抗体は、親抗-CD47抗体の変種であり、ここで抗-CD47抗体は、無細胞(CF)発現系を用いて生成される場合、CF系で発現される場合の親抗-CD47抗体のそれと比べ、より高い抗体発現力価又は収量を有し、且つここで抗-CD47抗体は、親抗-CD47抗体に比べ、1以上のアミノ酸修飾、例えば、1-15アミノ酸修飾を含む。特定の態様において、1以上のアミノ酸修飾、例えば、1-15アミノ酸修飾は、重鎖又はVH(例えば、配列番号:1)内である。特定の態様において、1以上のアミノ酸修飾、例えば、1-15アミノ酸修飾は、VH(例えば、配列番号:1)のフレームワーク領域内である。いくつかの態様において、親抗-CD47抗体のCDR(例えば、Kabat CDR)を含む、親抗-CD47抗体の変種である、抗-CD47抗体が、本明細書に提供される。
【0064】
具体的態様において、ヒトCD47に特異的に結合する抗体、例えばモノクローナル抗体が、本明細書に提供され、ここでかかる抗-CD47抗体は、親抗-CD47抗体の変種であり、ここで抗-CD47抗体は、無細胞(CF)発現系を用いて生成される場合、CF系で発現される場合の親抗-CD47抗体のそれと比べ、より高い抗体発現力価又は収量を有し、且つここで抗-CD47抗体は、親抗-CD47抗体に比べ、1以上のアミノ酸修飾、例えば、1-15アミノ酸修飾を含む。特定の態様において、1以上のアミノ酸修飾、例えば、5又は14のアミノ酸修飾は、重鎖又はVH(例えば、配列番号:1)内である。特定の態様において、1以上のアミノ酸修飾、例えば、5、10、13又は14アミノ酸修飾は、VH(例えば、配列番号:1)のフレームワーク領域内である。特定の態様において、1以上のアミノ酸修飾、例えば、5、13又は14のアミノ酸修飾は、VH(例えば、配列番号:1)のフレームワーク領域内である。いくつかの態様において、親抗-CD47抗体のCDR(例えば、Kabat CDR)を含む、親抗-CD47抗体の変種である、抗-CD47抗体が、本明細書に提供される。いくつかの態様において、かかる抗-CD47抗体は、IgG1、IgG2、IgG3、又はIgG4アイソタイプ抗体である。いくつかの態様において、かかる抗-CD47抗体は、IgG1アイソタイプ抗体である。いくつかの態様において、かかる抗-CD47抗体は、IgG1 Zアロタイプアイソタイプ抗体である。いくつかの態様において、かかる抗-CD47抗体は、IgG4P又はIgG4PEなどの、IgG4アイソタイプ抗体である。
【0065】
具体的態様において、ヒトCD47に特異的に結合する抗体、例えばモノクローナル抗体が、本明細書に提供され、ここでかかる抗-CD47抗体は、親抗-CD47抗体の変種であり、ここで抗-CD47抗体は、無細胞(CF)発現系を用いて生成される場合、CF系で発現される場合の親抗-CD47抗体のそれと比べ、より高い抗体発現力価又は収量を有する。具体的実施態様において、親抗-CD47抗体は、抗体AB6.12である(例えば、米国特許出願公開第US 2014/0140989 A1を参照し、これはその全体が引用により本明細書中に組み込まれている)。抗体AB6.12の重鎖可変領域(VH)及び軽鎖可変領域(VL)のアミノ酸配列を、以下に提供し、ここでKabat CDRには下線をつけている。いくつかの態様において、本明細書に提供される抗-CD47抗体は、親抗体AB6.12の変種であり、親抗体AB6.12のCDR(例えば、Kabat CDR)、例えば配列番号:14-19を含む。いくつかの態様において、かかる抗-CD47抗体は、IgG1、IgG2、IgG3、又はIgG4アイソタイプ抗体である。いくつかの態様において、かかる抗-CD47抗体は、IgG1アイソタイプ抗体である。いくつかの態様において、かかる抗-CD47抗体は、IgG1 Zアロタイプアイソタイプ抗体である。いくつかの態様において、かかる抗-CD47抗体は、IgG4P又はIgG4PEなどの、IgG4アイソタイプ抗体である。
【0066】
抗-CD47抗体AB6.12重鎖可変領域(VH)(Kabat CDR 1-3には、下線をつけている、配列番号:14-16):
【化6】
【0067】
抗-CD47抗体AB6.12軽鎖可変領域(VL)(Kabat CDR 1-3には、下線をつけている、配列番号:17-19):
【0069】
具体的実施態様において、本明細書記載の抗-CD47は、親抗体、例えばその全体が引用により本明細書中に組み込まれている米国特許出願公開US 2014/0140989 A1に記載された抗-CD47抗体、例えば米国特許出願公開US 2014/0140989 A1の表1に記載された抗-CD47抗体(例えば、抗-CD47抗体2A1、AB2.03、AB2.04、AB2.05、AB2.06、AB2.07、AB2.08、AB2.09、AB2.13、AB3.09、AB6.12、AB6.13、AB6.14、AB6.17、AB10.13、AB10.14、AB11.05、AB12.05、AB15.05、AB16.05、AB17.05、AB22.05、AB23.05、AB24.05、及びAB25.05)から選択された親抗体の、例えばVHフレームワーク領域において、1以上のアミノ酸修飾(例えば、1-15アミノ酸修飾)を含む。
【0070】
具体的態様において、ヒトCD47に特異的に結合する抗体、例えばモノクローナル抗体が、本明細書に提供され、ここでかかる抗-CD47抗体は、親抗-CD47抗体の変種であり、ここで抗-CD47抗体は、無細胞(CF)発現系を用いて生成される場合、CF系で発現される場合の親抗-CD47抗体のそれと比べ、より高い抗体発現力価又は収量を有し、且つここで抗-CD47抗体は、以下のN-末端からC-末端への配列を含むVHを含み:
【化8】
ここで
X1-X14の下線を付けたアミノ酸残基は、N-末端からC-末端へ並べられており、ここでX
1は、Mであるか、又は位置X
1にはアミノ酸が存在せず、X
2は、MもしくはVなどの疎水性側鎖を伴うアミノ酸であり、X
3は、T又はPであり、X
4は、S又はAであり、X
5は、A又はGなどの脂肪族型側鎖を有する酸であり、X
6は、F又はLであり、X
7は、D又はGであり、X
8は、I又はMなどの疎水性側鎖を伴うアミノ酸であり、X
9は、R又はTであり、X
10は、R又はTであり、X
11は、M又はTであり、X
12は、S又はRであり、X
13は、E又はDなどの負帯電したアミノ酸であり、並びにX
14は、M又はVなどの疎水性側鎖を伴うアミノ酸である。
【0071】
特定の態様において、本明細書記載の抗-CD47抗体は、配列番号:20の配列を含むVHを含み、ここで位置X
1のアミノ酸は、Mなどの任意のアミノ酸であり、X
2はMではなく、X
3はTではなく、X
4はSではなく、X
5はAではなく、X
6はFではなく、X
7はDではなく、X
8はIではなく、X
9はRではなく、X
10はRではなく、X
11はMではなく、X
12はSではなく、X
13はEではなく、及び/又はX
14はMではない。特定の態様において、X
1からX
14のいずれか1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、又は14は、これらのアミノ酸ではない。特定の態様において、VHアミノ酸配列は、抗体 AB6.12のVHアミノ酸配列ではなく、例えば、VHアミノ酸配列は配列番号:1ではない。
【0072】
特定の態様において、本明細書記載の抗-CD47抗体は、配列番号:20の配列を含むVHを含み、ここで位置X
7のアミノ酸はGではなく、X
9はAではなく、及び/又はX
11はSではない。特定の態様において、いずれかX
7、X
9及びX
11の1、2、又は3は、これらのアミノ酸ではない。特定の態様において、位置X
7のアミノ酸がGである場合、X
8はMであり、及び/又はX
10はTであり、X
9はAではなく、及び/又はX
11はSではない。
【0073】
特定の態様において、本明細書記載の抗-CD47抗体は、配列番号:20の配列を含むVHを含み、ここで位置X
7のアミノ酸は、Gではなく、X
8はMではなく、X
9はEではなく、X
10はTではなく、及び/又はX
11はTではない。特定の態様において、X
7からX
11のいずれか1、2、3、又は4は、これらのアミノ酸ではない。特定の態様において、位置X
7のアミノ酸がGである場合、X
8はMであり、X
10はTであり、X
9はEではなく、及びX
11はTである。
【0074】
特定の態様において、本明細書記載の抗-CD47抗体は、配列番号:20の配列を含むVHを含み、ここでVHは、その全体が引用により本明細書中に組み込まれている米国特許出願公開US2014/0140989 A1の配列番号:5、6、7、8、9、10、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、又は30のアミノ酸配列を含まない。特定の態様において、本明細書記載の抗-CD47抗体は、配列番号:20のコンセンサス配列を含むVHを含み、ここでVHは、その全体が引用により本明細書中に組み込まれている米国特許出願公開US2014/0140989 A1の配列番号:5、6、7、8、9、10、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、又は30のアミノ酸配列のフレームワーク領域を含まない。
【0075】
特定の態様において、X
1はMであり、X
2はVであり、X
3はPであり、X
4はAであり、X
5はGであり、X
6はLであり、X
7はGであり、X
8はMであり、X
9はTであり、X
10はTであり、X
11はTであり、X
12はRであり、X
13はDであり、及び/又はX
14はVである。特定の実施態様において、X
1からX
14のいずれか1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、又は14は、これらのアミノ酸である。
【0076】
特定の態様において、X
1はMであり、X
2はMであり、X
3はPであり、X
4はSであり、X
5はAであり、X
6はFであり、X
7はGであり、X
8はIであり、X
9はRであり、X
10はRであり、X
11はTであり、X
12はRであり、X
13はEであり、及び/又はX
14はVである。特定の実施態様において、X
1からX
14のいずれか1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、又は14は、これらのアミノ酸である。
【0077】
特定の態様において、本明細書に提供される抗-CD47抗体は、抗体AB6.12ではない。特定の態様において、本明細書に提供される抗-CD47抗体は、抗体AB6.12のVH(例えば、配列番号:1)及び/又はVL(例えば、配列番号:12)を含まない。
【0078】
具体的態様において、本明細書に提供される抗-CD47抗体は、下記の表1に提示されたVHアミノ酸配列ひとつを含む。
【0080】
具体的態様において、ヒトCD47に特異的に結合する抗体、例えばモノクローナル抗体が、本明細書に提供され、ここでかかる抗-CD47抗体は、親抗-CD47抗体の変種であり、ここで抗-CD47抗体は、無細胞(CF)発現系を用いて生成される場合、CF系で発現される場合の親抗-CD47抗体のそれと比べ、より高い抗体発現力価又は収量を有し、且つここで抗-CD47抗体は、配列番号:21を含むVHを含む。いくつかの態様において、かかる抗-CD47抗体は、IgG1、IgG2、IgG3、又はIgG4アイソタイプ抗体である。いくつかの態様において、かかる抗-CD47抗体は、IgG1アイソタイプ抗体である。いくつかの態様において、かかる抗-CD47抗体は、IgG1 Zアロタイプアイソタイプ抗体である。いくつかの態様において、かかる抗-CD47抗体は、IgG4P又はIgG4PEなどのIgG4アイソタイプ抗体である。
【0081】
具体的態様において、ヒトCD47に特異的に結合する抗体、例えばモノクローナル抗体が、本明細書に提供され、ここでかかる抗-CD47抗体は、親抗-CD47抗体の変種であり、ここで抗-CD47抗体は、無細胞(CF)発現系を用いて生成される場合、CF系で発現される場合の親抗-CD47抗体のそれと比べ、より高い抗体発現力価又は収量を有し、且つここで抗-CD47抗体は、配列番号:22を含むVHを含む。いくつかの態様において、かかる抗-CD47抗体は、IgG1、IgG2、IgG3、又はIgG4アイソタイプ抗体である。いくつかの態様において、かかる抗-CD47抗体は、IgG1アイソタイプ抗体である。いくつかの態様において、かかる抗-CD47抗体は、IgG1 Zアロタイプアイソタイプ抗体である。いくつかの態様において、かかる抗-CD47抗体は、IgG4P又はIgG4PEなどのIgG4アイソタイプ抗体である。
【0082】
特定の態様において、本明細書に提供される抗-CD47抗体(IgG1-13m)は、以下に明記するようなアミノ酸配列を含むIgG1重鎖を含む:
【化9】
【0083】
特定の態様において、本明細書に提供される抗-CD47抗体(IgG1-13mZ)は、以下に明記するようなアミノ酸配列を含むIgG1-Zアロタイプ重鎖を含む:
【化10】
【0084】
特定の態様において、本明細書に提供される抗-CD47抗体(IgG1-5m)は、以下に明記するようなアミノ酸配列を含むIgG1重鎖を含む:
【化11】
【0085】
特定の態様において、本明細書に提供される抗-CD47抗体(IgG4P-13m)は、以下に明記するようなアミノ酸配列を含むIgG4P抗体を含む:
【化12】
【0086】
特定の態様において、本明細書に提供される抗-CD47抗体(IgG4P-5m)は、以下に明記するようなアミノ酸配列を含むIgG4P重鎖を含む:
【化13】
【0087】
特定の態様において、本明細書に提供される抗-CD47抗体(IgG4PE-13m)は、以下に明記するようなアミノ酸配列を含むIgG4PE重鎖を含む:
【化14】
【0088】
特定の態様において、本明細書に提供される抗-CD47抗体(IgG4PE-5m)は、以下に明記するようなアミノ酸配列を含むIgG4PE重鎖を含む:
【化15】
【0089】
具体的態様において、ヒトCD47に特異的に結合する抗体、例えばモノクローナル抗体が、本明細書に提供され、ここでかかる抗-CD47抗体は、親抗-CD47抗体の変種であり、ここで抗-CD47抗体は、無細胞(CF)発現系を用いて生成される場合、CF系で発現される場合の親抗-CD47抗体のそれと比べ、より高い抗体発現力価又は収量を有し、且つここで抗-CD47抗体は、カッパ又はラムダ軽鎖定常領域(例えば、ヒトカッパ又はラムダ軽鎖定常領域)を含む軽鎖、例えば配列番号:13を含む。
【0090】
具体的態様において、ヒトCD47に特異的に結合する抗体、例えばモノクローナル抗体が、本明細書に提供され、ここでかかる抗-CD47抗体は、親抗-CD47抗体の変種であり、ここで抗-CD47抗体は、無細胞(CF)発現系を用いて生成される場合、CF系で発現される場合の親抗-CD47抗体のそれと比べ、より高い抗体発現力価又は収量を有し、且つここで抗-CD47抗体は、(i)本明細書記載のVH(例えば、配列番号:20、21、もしくは22)又は本明細書記載の重鎖(例えば、配列番号:5-11のいずれかひとつ)、並びに(ii)カッパもしくはラムダ軽鎖定常領域(例えば、ヒトカッパ又はラムダ軽鎖定常領域)を含む軽鎖、例えば、例として以下に明記するような配列番号:13(抗-CD47抗体軽鎖(Igκ))、又はN-末端のアミノ酸Mを伴わない配列番号:13を含む:
【化16】
【0091】
具体的実施態様において、本明細書記載の抗-CD47は、その全体が引用により本明細書中に組み込まれている米国特許出願公開US 2014/0140989 A1に記載された抗-CD47抗体、例えば該刊行物の表1の抗-CD47抗体のいずれか一つ(例えば、抗-CD47抗体2A1、AB2.03、AB2.04、AB2.05、AB2.06、AB2.07、AB2.08、AB2.09、AB2.13、AB3.09、AB6.12、AB6.13、AB6.14、AB6.17、AB10.13、AB10.14、AB11.05、AB12.05、AB15.05、AB16.05、AB17.05、AB22.05、AB23.05、AB24.05、及びAB25.05)、又は該刊行物の配列番号:5-30のいずれかを含む任意の抗体ではない。
【0092】
一部の実施態様において、本明細書に提供される抗-CD47抗体又はその抗原-結合断片は、IgGアイソタイプである。一部の実施態様において、この抗体の定常領域は、アミノ酸配列:
【化17】
を有する、ヒトIgG1アイソタイプである。
【0093】
一部の実施態様において、ヒトIgG1定常領域は、抗体のグリコシル化を防止するように、アミノ酸Asn297(ボックス内、Kabatナンバリング)で、例えばAsn297Ala(N297A)で修飾される。一部の実施態様において、この抗体の定常領域は、Fc受容体相互作用を変更するように、アミノ酸Leu235(Kabatナンバリング)で、例えばLeu235Glu(L235E)又はLeu235Ala(L235A)で修飾される。一部の実施態様において、この抗体の定常領域は、Fc受容体相互作用を変更するように、アミノ酸Leu234(Kabatナンバリング)で、例えばLeu234Ala(L234A)で修飾される。一部の実施態様において、この抗体の定常領域は、アミノ酸234及び235の両方で、例えばLeu234Ala及びLeu235Ala(L234A/L235A)で変更される(KabatらのEUインデックス、1991、「免疫学的に関心のあるタンパク質の配列」)。
【0094】
一部の実施態様において、本明細書に提供される抗-CD47抗体の定常領域は、下記のアミノ酸配列を有する、ヒトIgG2アイソタイプである:
【化18】
【0095】
一部の実施態様において、ヒトIgG2定常領域は、抗体のグリコシル化を防止するように、アミノ酸Asn297(ボックス内、Kabatナンバリング)で、例えばAsn297Ala(N297A)で修飾される。
【0096】
一部の実施態様において、本明細書に提供される抗-CD47抗体の定常領域は、下記のアミノ酸配列を有する、ヒトIgG3アイソタイプである:
【化19】
【0097】
一部の実施態様において、ヒトIgG3定常領域は、抗体のグリコシル化を防止するように、アミノ酸Asn297(ボックス内、Kabatナンバリング)で、例えばAsn297Ala(N297A)で修飾される。一部の実施態様において、ヒトIgG3定常領域は、半減期を延長するように、アミノ酸435で、例えばArg435His(R435H)で修飾される(KabatらのEUインデックス、1991、「免疫学的に関心のあるタンパク質の配列」)。
【0098】
一部の実施態様において、本明細書に提供される抗-CD47抗体の定常領域は、下記アミノ酸配列:
【化20】
を有するヒトIgG4アイソタイプである。
【0099】
一部の実施態様において、ヒトIgG4定常領域は、鎖交換を防止又は減少するために、ヒンジ領域内で、例えばSer228Pro(S228P)で修飾される。他の実施態様において、ヒトIgG4定常領域は、Fc受容体相互作用を変更するために、アミノ酸235で、例えばLeu235Glu(L235E)で修飾される。一部の実施態様において、ヒトIgG4定常領域は、ヒンジ内及びアミノ酸235で、例えばSer228Pro及びLeu235Glu(S228P/L235E)で修飾される。一部の実施態様において、ヒトIgG4定常領域は、抗体のグリコシル化を防止するために、アミノ酸Asn297(Kabatナンバリング)で、例えばAsn297Ala(N297A)で修飾される。本発明の一部の実施態様において、ヒトIgG4定常領域は、アミノ酸位置Ser228、Leu235、及びAsn297(例えば、S228P/L235E/N297A)で修飾される(KabatらのEUインデックス、1991、「免疫学的に関心のあるタンパク質の配列」)。本発明の他の実施態様において、抗体は、ヒトIgG4サブクラスであり、グリコシル化を欠いている。これらの実施態様において、グリコシル化は、位置297(Kabatナンバリング)での変異、例えばN297Aにより、除外することができる。他の実施態様において、グリコシル化は、翻訳後グリコシル化の能力を欠いている宿主細胞、例えば、細菌もしくは酵母由来の系又は修飾された哺乳動物の細胞発現系における抗体の生成により、除外することができる。
【0100】
一部の実施態様において、ヒトIgG定常領域は、抗体依存性細胞傷害(ADCC)及び/又は補体依存性細胞傷害(CDC)を変更するために修飾され、例えばこのアミノ酸修飾は、Natsumeらの文献、2008 Cancer Res, 68(10): 3863-72;Idusogieらの文献、2001 J Immunol, 166(4): 2571-5;Mooreらの文献、2010 mAbs, 2(2): 181-189;Lazarらの文献、2006 PNAS, 103(11): 4005-4010;Shieldsらの文献、2001 JBC, 276(9): 6591-6604;Stavenhagenらの文献、2007 Cancer Res, 67(18): 8882-8890;Stavenhagenらの文献、2008 Advan. Enzyme Regul., 48: 152-164;Alegreらの文献、1992 J Immunol, 148: 3461-3468;Kaneko及びNiwaの文献の総説、2011 Biodrugs, 25(1):1-11に記されている。
【0101】
一部の実施態様において、ヒトIgG定常領域は、ヘテロ二量体化を誘導するために、修飾されている。例えば、Thr366でCH3ドメイン内にアミノ酸修飾を有することは、これがより嵩高のアミノ酸、例えばTryと置き換えられる(T366W)場合、これは位置Thr366、Leu368、及びTyr407での嵩の少ないアミノ酸、例えばそれぞれSer、Ala及びValへのアミノ酸修飾(T366S/L368A/Y407V)を有する第二のCH3ドメインと、より優先的に対形成することができる。CH3修飾を介したヘテロ二量体化は、例えば、反対側のCH3ドメイン上のSer354のCysへの(S354C)及びY349のCysへの(Y349C)変化による、ジスルフィド結合の導入により更に安定化することができる(Carterの総説、2001 Journal of Immunological Methods, 248: 7-15)。
【0102】
他の態様において、この抗体は、グリコシル化を欠いているが、しかしアミノ酸Asn297(Kabatナンバリング)では修飾されない。これらの実施態様において、グリコシル化は、例えば、翻訳後グリコシル化能を欠いている宿主細胞、例えば、細菌もしくは酵母由来の系又は修飾された哺乳動物の細胞発現系における抗体の生成により、除外することができる。いくつかの態様において、かかる系は、CF発現系であることができる。
【0103】
いくつかの実施態様において、本明細書記載の抗-CD47抗体又はその抗原-結合断片は、親抗体に対しあるパーセント同一性を伴うアミノ酸配列を含む。
【0104】
2つの配列(例えば、アミノ酸配列又は核酸配列)間のパーセント同一性の決定は、数学的アルゴリズムを使用し、達成することができる。2つの配列の比較のための数学的アルゴリズムの非限定的例は、Karlin及びAltschulの文献、1993, Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 90:5873 5877のように改変された、Karlin及びAltschulの文献、1990, Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 87:2264 2268のアルゴリズムである。かかるアルゴリズムは、Altschulらの文献、1990, J. Mol. Biol. 215:403のNBLAST及びXBLASTプログラムに組み込まれている。BLASTヌクレオチド検索は、本明細書記載の核酸分子と相同なヌクレオチド配列を得るために、NBLASTヌクレオチドプログラムパラメータセット、例えば、スコア=100、ワードレングス=12により実行することができる。BLASTタンパク質検索は、本明細書記載のタンパク質分子と相同なアミノ酸配列を得るために、XBLASTプログラムパラメータセット、例えば、スコア50、ワードレングス=3により実行することができる。比較目的でギャップ付きアラインメントを得るために、Gapped BLASTを、Altschulらの文献、1997, Nucleic Acids Res. 25:3389 3402に記載されたように利用することができる。あるいは、PSI BLASTを使用し、分子間の距離関係を検出する反復検索を実行することができる(同文献)。BLAST、Gapped BLAST、及びPSI Blastプログラムを利用する場合、各プログラムの(例えば、XBLAST及びNBLASTの)デフォルトのパラメータを使用することができる(例えば、ワールドワイドウェブ上の米国国立生物工学情報センター(NCBI)、ncbi.nlm.nih.gov参照)。配列比較に利用される数学アルゴリズムの別の好ましい非限定的例は、Myers及びMiller、1988, CABIOS 4:11 17のアルゴリズムである。かかるアルゴリズムは、GCG配列アラインメントソフトウェアパッケージの一部である、ALIGNプログラム(バージョン2.0)に組み込まれている。アミノ酸配列の比較のためにALIGNプログラムを利用する場合、PAM120重み残基テーブル(weight residue table)、ギャップ長ペナルティ12、及びギャップペナルティ4を、使用することができる。
【0105】
二つの配列間のパーセント同一性は、ギャップを与えるか又は与えずに、先に説明された技術に似た技術を用いて決定することができる。パーセント同一性の計算において、典型的には正確なマッチのみがカウントされる。
【0106】
いくつかの実施態様において、本明細書記載の抗体又はその抗原-結合断片は、配列番号:12のアミノ酸配列と、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、又は少なくとも99%の配列同一性を有するVLドメインを含み、ここでこの抗体は、CD47へ特異的に結合する。いくつかの実施態様において、本明細書記載の抗体又はその抗原-結合断片は、配列番号:12のアミノ酸配列と、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、又は少なくとも99%の配列同一性を有するVLドメインを含み、ここでこの抗体は、CD47へ特異的に結合し、且つこの抗体は、配列番号:12のCDR(例えば、VL CDR1-3)と同一であるCDR(例えば、VL CDR1-3) (例えば、配列番号:17-19)を含む。
【0107】
いくつかの実施態様において、本明細書記載の抗体又はその抗原-結合断片は、配列番号:13のアミノ酸配列と、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、又は少なくとも99%の配列同一性を有する軽鎖を含み、ここでこの抗体は、CD47へ特異的に結合する。いくつかの実施態様において、本明細書記載の抗体又はその抗原-結合断片は、配列番号:13のアミノ酸配列と、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、又は少なくとも99%の配列同一性を有する軽鎖ドメインを含み、ここでこの抗体は、CD47へ特異的に結合し、且つこの抗体は、配列番号:13のCDR(例えば、VL CDR1-3)と同一であるCDR(例えば、VL CDR1-3)(例えば、配列番号:17-19)を含む。
【0108】
いくつかの実施態様において、本明細書記載の抗体又はその抗原-結合断片は、配列番号:1のアミノ酸配列と、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、又は少なくとも99%の配列同一性を有するVHドメインを含み、ここでこの抗体は、CD47へ特異的に結合し、且つ抗-CD47抗体が、無細胞発現系を用いて生成される場合、CF発現系で生成される場合の親抗体と比べ、より高い抗体発現力価又は収量を有する。いくつかの実施態様において、本明細書記載の抗体又はその抗原-結合断片は、配列番号:1のアミノ酸配列と、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、又は少なくとも99%の配列同一性を有するVHドメインを含み、ここでこの抗体は、CD47へ特異的に結合し、且つこの抗体は、配列番号:1のCDR(例えば、VL CDR1-3)と同一であるCDR(例えば、VL CDR1-3)(例えば、配列番号:14-16)を含む。
【0109】
いくつかの実施態様において、本明細書記載の抗体又はその抗原-結合断片は、配列番号:2のアミノ酸配列と、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、又は少なくとも99%の配列同一性を有する軽鎖を含み、ここでこの抗体は、CD47へ特異的に結合し、且つ抗-CD47抗体が、無細胞発現系を用いて生成される場合、CF発現系で生成される場合の親抗体と比べ、より高い抗体発現力価又は収量を有する。いくつかの実施態様において、本明細書記載の抗体又はその抗原-結合断片は、配列番号:2のアミノ酸配列と、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、又は少なくとも99%の配列同一性を有する重鎖ドメインを含み、ここでこの抗体は、CD47へ特異的に結合し、且つこの抗体は、配列番号:2のCDR(例えば、VL CDR1-3)と同一であるCDR(例えば、VL CDR1-3)(例えば、配列番号:17-19)を含む。
【0110】
いくつかの実施態様において、本明細書記載の抗体又はその抗原-結合断片は、配列番号:3のアミノ酸配列と、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、又は少なくとも99%の配列同一性を有する軽鎖を含み、ここでこの抗体は、CD47へ特異的に結合し、且つ抗-CD47抗体が、無細胞発現系を用いて生成される場合、CF発現系で生成される場合の親抗体と比べ、より高い抗体発現力価又は収量を有する。いくつかの実施態様において、本明細書記載の抗体又はその抗原-結合断片は、配列番号:3のアミノ酸配列と、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、又は少なくとも99%の配列同一性を有する重鎖ドメインを含み、ここでこの抗体は、CD47へ特異的に結合し、且つこの抗体は、配列番号:3のCDR(例えば、VL CDR1-3)と同一であるCDR(例えば、VL CDR1-3)(例えば、配列番号:17-19)を含む。
【0111】
いくつかの実施態様において、本明細書記載の抗体又はその抗原-結合断片は、配列番号:4のアミノ酸配列と、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、又は少なくとも99%の配列同一性を有する軽鎖を含み、ここでこの抗体は、CD47へ特異的に結合し、且つ抗-CD47抗体が、無細胞発現系を用いて生成される場合、CF発現系で生成される場合の親抗体と比べ、より高い抗体発現力価又は収量を有する。いくつかの実施態様において、本明細書記載の抗体又はその抗原-結合断片は、配列番号:4のアミノ酸配列と、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、又は少なくとも99%の配列同一性を有する重鎖ドメインを含み、ここでこの抗体は、CD47へ特異的に結合し、且つこの抗体は、配列番号:4のCDR(例えば、VL CDR1-3)と同一であるCDR(例えば、VL CDR1-3)(例えば、配列番号:17-19)を含む。
【0112】
いくつかの態様において、本明細書に提供される抗-CD47抗体は、1以上の望ましい特性、非限定的例として、CD47とそのリガンドSIRPαの間の相互作用のブロック、並びに/又は赤血球の血球凝集を促進(例えば、誘導又は増加)することのない、貪食の促進(例えば、誘導又は増加)、並びに抗-腫瘍活性などを示す。例えば、本明細書に提供される抗-CD47抗体は、CD47とSIRPαの間の相互作用を、本明細書記載の抗-CD47抗体の非存在下でのCD47とSIRPαの相互作用のレベルと比べ、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも95%、又は少なくとも99%ブロックする。
【0113】
具体的態様において、本明細書記載の抗-CD47抗体は、例えばマクロファージによる、細胞、例えばCD47-発現細胞(例えば、CCRF-CEM細胞)の貪食を促進(例えば、誘導又は増加)する。一つの態様において、本明細書記載の抗-CD47抗体の存在下での貪食のレベルは、本明細書記載の抗-CD47抗体の存在下での非貪食(aphagocytosis)のレベルと比べ、少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも99%、少なくとも150%、少なくとも200%増加される。
【0114】
具体的態様において、本明細書記載の抗-CD47抗体は、有意なレベルの細胞の凝集を、促進(例えば、誘導又は増加)しないか、又は引き起こさず、例えば本明細書記載の抗-CD47抗体は、有意なレベルの赤血球の血球凝集を、促進(例えば、誘導又は増加)しないか、又は引き起こさない。一つの態様において、本明細書記載の抗-CD47抗体の存在下での凝集のレベルは、MCA911マウス抗-ヒトCD47抗体(BRIC126)などの凝集を誘導することがわかっている抗-CD47抗体の存在下での凝集のレベルと比べ、少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、又は少なくとも99%減少される。一部の態様において、本明細書記載の抗-CD47抗体は、有意なレベルの凝集を促進(例えば、誘導又は増加)しないか、又は引き起こさず、本明細書記載の抗-CD47抗体の存在下の凝集レベルは、MCA911マウス抗-ヒトCD47抗体(BRIC126)などの凝集を誘導することがわかっている存在する抗-CD47抗体の存在下での凝集レベルと比べ、少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、又は少なくとも99%減少される。
【0115】
本明細書記載の抗-CD47抗体はまた、CD47に特異的に結合するモノクローナル抗体も含み、ここでこの抗体は、有意なレベルの凝集、例えば赤血球の血球凝集(「RBC血球凝集」)を、促進(例えば、誘導又は増加)しないか、又は引き起こさない。
【0116】
一部の態様において、RBC枯渇のレベルは、治療の、例えば本明細書記載の抗-CD47抗体の投与の後、対象におけるRBCカウントを測定することにより、決定される。一部の実施態様において、本明細書記載の抗-CD47抗体の投与後の対象におけるRBCカウントが、正常、健常対象の範囲内である場合、本明細書記載の抗-CD47抗体は、有意なレベルのRBC枯渇を促進(例えば、誘導又は増加)しないか、又は引き起こさない。例えば、正常、健常男性ヒトに関するRBCカウントは、約470万〜約610万個細胞/mL血液試料である。例えば、正常、健常女性ヒトに関するRBCカウントは、420万〜約540万個細胞/mL血液試料である。一部の態様において、本明細書記載の抗-CD47抗体の投与後(例えば、5分、10分、30分、1時間、2時間、3時間、4時間、5時間、12時間、24時間、2日、4日、6日、1週間、2週間、3週間、1ヶ月、2ヶ月又はそれ以上)の対象におけるRBCカウントが、投与前のRBCカウントの少なくとも50%、60%、70%、80%、90%、95%、97%、98%、99%、又は99.5%である場合、本明細書記載の抗-CD47抗体は、有意なレベルのRBC枯渇を促進(例えば、誘導又は増加)しないか、又は引き起こさない。具体的態様において、本明細書記載の抗47抗体の投与後(例えば、5分、10分、30分、1時間、2時間、3時間、4時間、5時間、12時間、24時間、2日、4日、6日、1週間、2週間、3週間、1ヶ月、2ヶ月又はそれ以上)の対象におけるRBCカウントが、プラセボ治療(例えば、ビヒクル)の投与後の対象におけるRBCカウントの少なくとも50%、60%、70%、80%、90%、95%、97%、98%、99%、又は99.5%である場合、本明細書記載の抗-CD47抗体は、有意なレベルのRBC枯渇を促進(例えば、誘導又は増加)しないか、又は引き起こさない。RBCカウントは、当該技術分野において標準の方法により決定される。
【0117】
具体的態様において、本明細書記載の抗-CD47抗体は、有意なレベルの血小板枯渇を、促進(例えば、誘導又は増加)しないか、又は引き起こさない。例えば、本明細書記載の抗-CD47抗体の投与は、少なくとも30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、又は100%の残存する血小板の割合に繋がる。
【0118】
同じく、本明細書記載の抗-CD47抗体は、Fcγ受容体(FcγR)へ結合しないか、又は低い結合親和性を有する抗体を含むが、これらに限定されるものではない。例えば、抗-CD47抗体の定常領域は、例えば、CF発現系を使用し生成される場合に、例えば宿主細胞(例えばCHO細胞)発現系を使用し生成される場合の抗-CD47抗体の定常領域よりも、より低いFcγRへの結合親和性を有する。
【0119】
当業者は、凝集のレベル、例えばRBCの血球凝集のレベルを、過度の実験をせずに、定量することが可能であることを認めるであろう。例えば当業者は、血球凝集のレベルは、下記実施例において説明されるような、説明された抗-CD47抗体の存在下で血球凝集アッセイを行った後のRBCドットの面積を測定することにより、確認されることを認めるであろう。場合によっては、本明細書記載の抗-CD47抗体の存在下でのRBCドットの面積は、抗-CD47抗体の非存在下、例えばゼロ血球凝集の存在下での、RBCドットの面積と比較される。この方式で、血球凝集は、ベースライン対照に対し定量される。より大きいRBCドット面積は、血球凝集のより高いレベルに対応している。あるいは、RBCドットの濃度測定も、血球凝集の定量に利用することができる。
【0120】
当業者は、RBC枯渇のレベルを、過度の実験をせずに、定量することが可能であることを認めるであろう。例えば当業者は、RBC枯渇のレベルは、例えば、RBCカウント(すなわち、血液試料中のRBCの総数)を測定することにより、例えばセルカウンター又はヘマサイトメーターを使用することにより、評価されることを認めるであろう。当業者は、血液試料中のRBCは、計測前に例えば遠心分離を使用し、全血を分画することにより、任意に単離することができることを認めるであろう。場合によっては、本明細書記載の抗-CD47抗体の存在下のRBCカウントは、CD47抗体の非存在下の、例えばゼロRBC枯渇の存在下の、RBCカウントと比較される。この方式において、RBC枯渇のレベルは、ベースライン対照に対し規準化される。
【0121】
具体的態様において、本明細書に提供される抗-CD47抗体は、例えば、CD47発現(例えば、CD47の細胞表面発現の阻害)、活性、及び/又はシグナル伝達を阻害することにより、あるいはCD47とSIRPαの間の相互作用を妨害することにより、阻害活性を示す。いくつかの態様において、本明細書に提供される抗-CD47抗体は、CD47、例えばヒトCD47への結合、そうでなければこれとの相互作用時に、CD47発現又は活性を、完全に又は部分的に減少又はそうでなければ調節する。CD47の生物学的機能の減少又は調節は、この抗体とヒトCD47ポリペプチド及び/又はペプチドの間の相互作用時に、完全な、有意な、又は部分的なものである。本明細書記載の抗-CD47抗体は、この抗体の存在下での、CD47発現又は活性のレベルが、本明細書記載の抗体との相互作用、例えば結合の非存在下でのCD47発現又は活性のレベルと比べ、少なくとも95%、例えば96%、97%、98%、99%又は100%減少される場合に、CD47発現又は活性を完全に阻害すると考えられる。特定の態様において、CD47抗体の存在下でのCD47発現又は活性のレベルが、本明細書記載のCD47抗体との結合の非存在下でのCD47発現又は活性のレベルと比較して、少なくとも50%、例えば55%、60%、75%、80%、85%又は90%減少する場合、抗-CD47抗体は、CD47発現又は活性を有意に阻害すると考えられる。いくつかの態様において、抗-CD47抗体の存在下でのCD47発現又は活性のレベルが、本明細書記載の抗体との相互作用、例えば結合の非存在下での、CD47発現又は活性のレベルと比較して、95%未満、例えば10%、20%、25%、30%、40%、50%、60%、75%、80%、85%又は90%減少する場合に、この抗体は、CD47発現又は活性を部分的に阻害すると考えられる。
【0122】
特定の態様において、本明細書に提供される抗-CD47抗体は、サイト特異的位置に1以上の非天然のアミノ酸残基を含む。例えば、米国特許出願公開US 2014/0046030 A1を参照されたい(これはその全体が引用により本明細書中に組み込まれている)。具体的態様において、サイト特異的位置の非天然のアミノ酸残基は、抗体の生成収量、溶解度、結合親和性、及び/又は活性についての利点を有する。非天然のアミノ酸の非限定的例は、説明されており、例えば、米国特許出願公開US 2014/0066598 A1を参照されたい。
【0123】
特定の態様において、コンジュゲート部分又は標識もしくは毒素などの物質へコンジュゲートされた抗-CD47抗体が、本明細書に提供される。コンジュゲート部分は、当業者に有用であると考えられた任意のコンジュゲート部分であることができる。例えばコンジュゲート部分は、インビトロ又はインビボにおける抗体の安定性を改善することができる、ポリエチレングリコールなどのポリマーであることができる。コンジュゲート部分は、治療活性を有することができ、これにより抗体−薬物複合体を生じる。コンジュゲート部分は、標的細胞に有害である分子ペイロードであることができる。コンジュゲート部分は、検出又は診断に有用な標識であることができる。いくつかの態様において、コンジュゲート部分は、直接共有結合を介して、抗体に連結される。いくつかの態様において、コンジュゲート部分は、リンカーを介して、抗体に連結される。特定の態様において、コンジュゲート部分又はリンカーは、抗-CD47抗体の非天然のアミノ酸のひとつを介して付着される。コンジュゲート部分及びリンカーの例は、例えば、米国特許出願公開US2014/0046030 A1に説明されており、これはその全体が引用により本明細書中に組み込まれている。
【0124】
(5.2 抗体生成)
CD47(例えば、ヒトCD47のECD)に免疫特異的に結合する本明細書記載の抗体又は抗原-結合断片は、当該技術分野において公知の任意の方法、例えば化学合成によるか又は組換え発現技術(例えば、CF発現系)により、生成することができる。
【0125】
かかる方法は、分子生物学、微生物学、遺伝子解析、組換えDNA、有機化学、生化学、PCR、オリゴヌクレオチド合成及び修飾、核酸ハイブリダイゼーション、並びに当該技術分野内の関連分野の従来型技術を使用することができる。これらの技術は、例えば、本明細書に引用された参考文献に説明されており、且つこの文献は完全に説明されている。例えば、Maniatisらの文献、(1982)「分子クローニング:実験マニュアル(Molecular Cloning: A Laboratory Manual)」、Cold Spring Harbor Laboratory Press社;Sambrookらの文献、(1989)、「分子クローニング:実験マニュアル、第二版」、Cold Spring Harbor Laboratory Press社;Sambrookらの文献、(2001)、「分子クローニング:実験マニュアル」、Cold Spring Harbor Laboratory Press社、コールドスプリングハーバー、NY;Ausubelらの文献、「最新分子生物学プロトコール(Current Protocols in Molecular Biology)」、John Wiley & Sons社(1987年及び年次改訂);「最新免疫学プロトコール(Current Protocols in Immunology)」、John Wiley & Sons社(1987年及び年次改訂);Gait(編集)(1984)「オリゴヌクレオチド合成:実践アプローチ(Oligonucleotide Synthesis: A Practical Approach)」、IRL Press社;Eckstein(編集)、(1991)「オリゴヌクレオチド及びアナログ:実践アプローチ(Oligonucleotide and Analogues: A Practical Approach)」、IRL Press社;Birrenら(編集)、(1999)「ゲノム解析:実験マニュアル(Genome Analysis: A Laboratory Manual)」、Cold Spring Harbor Laboratory Press社を参照されたい。
【0126】
具体的態様において、本明細書に提供される抗-CD47抗体は、CF発現系、例えば、当該技術分野において公知の、及び例えば下記実施例において説明されたCF発現系を用いて、生成することができる。例えば、CF発現系は、DsbC、並びに20種のアミノ酸(例えば、天然又は非天然)、並びに任意に1以上のヨードアセトアミド、グルタミン酸マグネシウム、グルタミン酸アンモニウム、mMグルタミン酸カリウム、ピルビン酸ナトリウム、AMP、GMP、UMP、及びCMP、シュウ酸ナトリウム、プトレシン、スペルミジン、リン酸カリウム、T7 RNAP、及び酸化型グルタチオン(GSSG)を伴う、S30無細胞抽出物などの、無細胞抽出物を含むことができる。従って重鎖プラスミド及び軽鎖プラスミドは、ポリペプチド生成及び精製のために、CF抽出物組成物へ添加される。
【0127】
一部の態様において、CF発現系は、その全体が引用により組み込まれている、Yinらの文献、mAbs, 2012, 4:217-225に記載されたような、インビトロ転写・翻訳システムである。一部の態様において、無細胞系は、真核細胞由来又は原核細胞由来の無細胞抽出物を利用する。一部の態様において、原核細胞は大腸菌(E.coli)である。
【0128】
特定の実施態様において、CF発現系は、その全体が引用により本明細書中に組み込まれている、米国特許出願公開US 2014/0315245に説明された系を利用することができる。例えばCF発現系は、酸化的リン酸化システムを有する細菌抽出物、及び無細胞タンパク質合成に必要な成分を含むことができ、並びにいくつかの実施態様において、外因性タンパク質シャペロン、例えば、プロテインジスルフィドイソメラーゼ(PDI)、又はペプチド-プロリルcis-transイソメラーゼを更に含むことができる。具体的実施態様において、PDIは、例えばDsbA又はDsbCなど、大腸菌のDsb(ジスルフィド結合形成)ファミリーの一員である。いくつかの実施態様において、CF発現系は、米国特許出願公開US 2014/0315245に記載されたような、大腸菌株SBDG028、SBDG031、又はSBDG044の細胞抽出物を含み、これは例えば、Zawadaらの文献、Biotechnology and Bioengineering (2011)、108巻7号に従い調製することができる。
【0129】
特定の態様において、本明細書に提供される抗-CD47抗体は、親抗体よりもより良く、CF発現系を使用する抗体生成を可能にするアミノ酸修飾を含む。特定の態様において、CF発現系を使用し生成される本明細書に提供される抗-CD47抗体は、グリコシル化されない。
【0130】
モノクローナル抗体は、例えば、ハイブリドーマ、組換え、及びファージディスプレイ技術の使用、又はそれらの組合せを含む、当該技術分野において公知の多種多様な技術を使用し、調製することができる。例えばモノクローナル抗体は、当該技術分野において公知であり且つ例えば、Harlowらの文献、「抗体:実験マニュアル(Antibodies: A Laboratory Manual)」(Cold Spring Harbor Laboratory Press社、第2版、1988);Hammerlingらの文献、「モノクローナル抗体及びT-細胞ハイブリドーマ(Monoclonal Antibodies and T-cell Hybridoma)」563 681(Elsevier社、N.Y., 1981)に示された技術を含む、ハイブリドーマ技術を使用し、生成することができる。本明細書で使用される用語「モノクローナル抗体」は、ハイブリドーマ技術により生成される抗体に限定されない。例えば、モノクローナル抗体は、本明細書記載の抗体(例えば、抗体Ab235-Ab255のいずれかひとつのCDRを含む、抗-CD47抗体)又はその断片、例えばかかる抗体の軽鎖及び/又は重鎖を発現するように操作された宿主細胞から、組換えにより生成されることができる。
【0131】
更に本明細書記載の抗体又はそれらの抗原-結合断片はまた、当該技術分野において公知の様々なファージディスプレイ法を使用し、作製することができる。ファージディスプレイ法において、機能的抗体ドメインは、それらをコードしているポリヌクレオチド配列を保持するファージ粒子の表面上に展示される。本明細書記載の抗体を作製するために使用することができるファージディスプレイ法の例は、Brinkmanらの文献、1995, J. Immunol. Methods 182:41-50;Amesらの文献、1995, J. Immunol. Methods 184:177-186;Kettleboroughらの文献、1994, Eur. J. Immunol. 24:952-958;Persicらの文献、1997, Gene 187:9-18;Burtonらの文献、1994, Advances in Immunology 57:191-280;PCT特許出願PCT/GB91/O1 134;国際公開公報WO 90/02809、WO 91/10737、WO 92/01047、WO 92/18619、WO 93/11236、WO 95/15982、WO 95/20401、及びWO 97/13844;並びに、米国特許第5,698,426号、第5,223,409号、第5,403,484号、第5,580,717号、第5,427,908号、第5,750,753号、第5,821,047号、第5,571,698号、第5,427,908号、第5,516,637号、第5,780,225号、第5,658,727号、第5,733,743号及び第5,969,108号に開示されたものを含む。
【0132】
本明細書記載の抗体は、例えばキメラ抗体を含むことができる。キメラ抗体は、抗体の異なる部分が、異なる免疫グロブリン分子に由来している分子である。例えば、キメラ抗体は、ヒト抗体の定常領域に融合されたマウス又はラットのモノクローナル抗体の可変領域を含むことができる。キメラ抗体の作製方法は、当該技術分野において公知である。例えば、Morrisonの文献、1985, Science 229:1202;Oiらの文献、1986, BioTechniques 4:214;Gilliesらの文献、1989, J. Immunol. Methods 125:191-202;並びに、米国特許第5,807,715号、第4,816,567号、第4,816,397号、及び第6,331,415号を参照されたい。
【0133】
本明細書記載の技術などの技術を使用し生成された抗体又は抗原-結合断片は、標準の周知の技術を使用し、単離することができる。例えば、抗体又は抗原-結合断片は、例えば、プロテインA-セファロース、ヒドロキシルアパタイトクロマトグラフィー、ゲル電気泳動、透析、あるいはアフィニティクロマトグラフィーなどの、従来型の免疫グロブリン精製手順により、例えば、培養培地、腹水、血清、細胞溶解液、合成反応物質などから適切に分離されることができる。本明細書において使用される「単離された」又は「精製された」抗体は、抗体が由来した細胞又は組織給源由来の細胞物質又は他のタンパク質を実質的に含まないか、又は化学的に合成された場合、化学前駆体もしくは他の化学物質を、又は抗体を生成するために使用したCF発現系の成分を、実質的に含まない。
【0134】
本明細書記載の抗体は、特異的CD47抗原を認識する抗体断片を含み、且つ当業者に公知の任意の技術により生成することができる。例えば、本明細書記載のFab及びF(ab’)
2断片は、パパイン(Fab断片を生成するため)又はペプシン(F(ab’)
2断片を生成するため)などの酵素を使用する、免疫グロブリン分子のタンパク質分解性切断により生成することができる。Fab断片は、抗体分子の2つの同一アームの一つに対応しており、重鎖のVH及びCH1ドメインと対形成した完全軽鎖を含む。F(ab’)
2断片は、ヒンジ領域のジスルフィド結合により連結された抗体分子の2つの抗原-結合アームを含む。あるいは、本明細書記載の抗体断片は、周知の組換え発現技術により慣習的に生成され得る。例えば、PCT公開WO 92/22324;Mullinaxらの文献、1992, BioTechniques 12(6):864-869;Sawaiらの文献、1995, AJRI 34:26-34;及び、Betterらの文献、1988, Science 240:1041-1043を参照されたい。
【0135】
本明細書記載の抗体は、例えば、ヒト化抗体、例えば脱免疫化(deimmunized)抗体又は複合ヒト抗体を含むことができる。ヒト化抗体は、ヒト定常領域配列を含むことができる。いくつかの実施態様において、ヒト化抗体は、IgM、IgG、IgD、IgA及びIgEを含む、免疫グロブリンの任意のクラス、並びにIgG
1、IgG
2、IgG
3及びIgG
4を含む、任意のアイソタイプから選択することができる。いくつかの実施態様において、ヒト化抗体は、カッパ又はラムダ軽鎖定常配列を含むことができる。
【0136】
ヒト化抗体は、当該技術分野において公知の様々な技術を使用し、生成することができ、これは、CDR-グラフティング(欧州特許EP 239,400;国際公開公報WO 91/09967;及び、米国特許第5,225,539号、第5,530,101号、及び第5,585,089号)、ベニヤリング(veneering)又はリサーフェシング(resurfacing)(欧州特許EP 592,106及びEP 519,596;Padlanの文献、1991, Molecular Immunology, 28(4/5):489-498;Studnickaらの文献、1994, Protein Engineering 7(6):805-814;及び、Roguskaらの文献、1994, PNAS 91:969-973)、鎖シャッフリング(米国特許第5,565,332号)、並びに、例えば米国特許第6,407,213号、米国特許第5,766,886号、国際公開公報WO 9317105、Tanらの文献、J. Immunol. 169:1119 25 (2002)、Caldasらの文献、Protein Eng. 13(5):353-60 (2000)、Moreaらの文献、Methods 20(3):267 79 (2000)、Bacaらの文献、J. Biol. Chem. 272(16):10678-84 (1997)、Roguskaらの文献、Protein Eng. 9(10):895 904 (1996)、Coutoらの文献、Cancer Res. 55 (23 Supp):5973s-5977s (1995)、Coutoらの文献、Cancer Res. 55(8):1717-22 (1995)、Sandhu JSの文献、Gene 150(2):409-10 (1994)、及びPedersenらの文献、J. Mol. Biol. 235(3):959-73 (1994)に開示された技術を含むが、これらに限定されるものではない。同じく、それぞれその全体が引用により本明細書中に組み込まれている、米国特許公開US 2005/0042664 A1(2005年2月24日)も参照のこと。
【0137】
本明細書記載の抗体は、例えば、多重特異性抗体、例として二重特異性抗体であることができる。多重特異性(例えば、二重特異性抗体)を作製する方法は説明されており、例えば、米国特許第7951917号、第7183076号、第8227577号、第5837242号、第5989830号、第5869620号、第6132992号、及び第8586713号を参照されたい。
【0138】
単ドメイン抗体、例えば軽鎖を欠いている抗体は、当該技術分野において周知の方法により生成することができる。Riechmannらの文献、1999, J. Immunol. 231:25-38;Nuttallらの文献、2000, Curr. Pharm. Biotechnol. 1(3):253-263;Muyldermanの文献、2001, J. Biotechnol. 74(4):277302;米国特許第6,005,079号;及び、国際公開公報WO 94/04678、WO 94/25591、及びWO 01/44301を参照されたい。
【0139】
ヒト抗体は、当該技術分野において公知の任意の方法を使用し、生成することができる。例えば、機能性内因性マウス免疫グロブリンを発現することは不可能であるが、ヒト免疫グロブリン遺伝子を発現することができる周知のトランスジェニックマウスを、使用することができる。あるいは、例えば先に説明されたファージディスプレイ技術を利用することができる。更に一部の実施態様において、ヒト抗体は、例えば、マウス-ヒトハイブリドーマを使用し、生成することができる。例えば、エプスタイン・バーウイルス(EBV)により形質転換されたヒト末梢血リンパ球は、マウス骨髄腫細胞と融合され、ヒトモノクローナル抗体を分泌するマウス-ヒトハイブリドーマを生成することができ、且つこれらのマウス-ヒトハイブリドーマは、標的抗原(例えば、ヒトCD47のECD)へ免疫特異的に結合するヒトモノクローナル抗体を分泌するものを決定するためにスクリーニングされ得る。かかる方法は、公知であり、且つ当該技術分野において説明されており、例えば、Shinmotoらの文献、Cytotechnology, 2004, 46:19-23;Naganawaらの文献、Human Antibodies, 2005, 14:27-31を参照されたい。
【0140】
所望の結合特異性(抗体-抗原結合サイト)を伴う抗体可変ドメインは、免疫グロブリン定常ドメイン配列に融合することができる。この融合物は好ましくは、ヒンジ領域、CH2領域、及びCH3領域の少なくとも一部を含む、免疫グロブリン重鎖定常ドメインを伴う。これは、この融合物の少なくとも一つに存在する軽鎖結合に必要な部位を含む、第一の重鎖定常領域(CH1)を有することが、好ましい。免疫グロブリン重鎖融合物及び望ましいならば、免疫グロブリン軽鎖をコードしているDNAは、個別の発現ベクターに挿入され、且つ好適な宿主生物へ共形質移入される。二重特異性抗体の作製の更なる詳細については、例えば、Sureshらの文献、Methods in Enzymology、121:210 (1986)を参照されたい。
【0141】
WO 96/27011に記載された別の方策に従い、抗体分子の対の間の境界面は、組換え細胞培養から回収されるヘテロ二量体の割合が最大になるよう操作することができる。好ましい境界面は、抗体定常ドメインのCH3領域の少なくとも一部を含む。この方法において、第一抗体分子の境界面由来の1以上の小型アミノ酸側鎖は、より大きい側鎖(例えば、チロシン又はトリプトファン)と置き換えられる。大きい側鎖(複数可)と同じか又は同様のサイズの代償性「空洞」が、大きいアミノ酸側鎖をより小さい側鎖(例えば、アラニン又はトレオニン)と置き換えることにより、第二の抗体分子の境界面上に作製される。これは、ホモ二量体などの他の望ましくない最終生成物を上回るヘテロ二量体の収量を増加する機序を提供する。
【0142】
二重特異性抗体は、完全長抗体又は抗体断片(例えばF(ab’)
2二重特異性抗体)として調製することができる。抗体断片から二重特異性抗体を作製する技術は、文献において説明されている。例えば、二重特異性抗体は、化学連結を用いて調製することができる。Brennanらの文献、Science 229:81 (1985)は、インタクトな抗体が、タンパク質分解性に切断され、F(ab’)
2断片を生成する手順を説明している。これらの断片は、ジチオール錯化剤亜ヒ酸ナトリウムの存在下で還元され、近接ジチオールを安定化し、且つ分子間ジスルフィド形成を防止する。作製されたFab’断片は、次に、チオニトロ安息香酸(TNB)誘導体へ変換される。Fab’-TNB誘導体の一つは次に、メルカプトエチルアミンによる還元により、Fab’-チオールへ再変換され、並びに等モル量の他のFab’-TNB誘導体と混合され、二重特異性抗体を形成する。生成された二重特異性抗体は、酵素の選択的固定のための物質として使用することができる。
【0143】
(5.2.1 ポリヌクレオチド、細胞及びベクター)
いくつかの態様において、CD47抗原に免疫特異的に結合する本明細書記載の抗体又はその断片(例えば、可変軽鎖領域及び/又は可変重鎖領域)をコードしているヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチド、並びにベクター、例えば宿主細胞(例えば、大腸菌及び哺乳動物の細胞)における組換え発現のためのかかるポリヌクレオチドを含むベクターが、本明細書に提供される。いくつかの態様において、細胞(例えば、宿主細胞)が、本明細書に提供される。同じく、本明細書記載の抗体及び抗原-結合断片を作製する方法が、本明細書に提供される。
【0144】
いくつかの態様において、本明細書記載の抗体の軽鎖又は重鎖をコードしているヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチドが、本明細書に提供される。いくつかの実施態様において、本明細書記載の抗体の軽鎖及び重鎖をコードしているヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチドが、本明細書に提供される。これらのポリヌクレオチドは、本明細書記載の抗体のVL FR及びCDRを含む軽鎖をコードしているヌクレオチド配列を含むことができる。これらのポリヌクレオチドは、本明細書記載の抗体のVH FR及びCDRを含む重鎖をコードしているヌクレオチド配列を含むことができる。具体的実施態様において、本明細書記載のポリヌクレオチドは、配列番号:13又はN-末端のアミノ酸Mを伴わない配列番号:13のVL鎖領域をコードしている。具体的実施態様において、本明細書記載のポリヌクレオチドは、配列番号:5-11、20-22のいずれか一つのVH鎖領域をコードしている。具体的実施態様において、本明細書記載のポリヌクレオチドは、配列番号:13のアミノ酸配列を含む軽鎖をコードしている。具体的実施態様において、本明細書記載のポリヌクレオチドは、配列番号:5-11のいずれか一つのアミノ酸配列を含む重鎖をコードしている。
【0145】
具体的実施態様において、本明細書記載のポリヌクレオチドは、本明細書に提供された抗-CD47抗体の軽鎖又は重鎖をコードしている、表2に提供されたヌクレオチド配列を含む。
【0146】
表2:抗-CD47抗体VH及びVLヌクレオチド配列
【表2】
【0147】
いくつかの実施態様において、本明細書に提供されるポリヌクレオチドは、宿主細胞におけるかかるポリヌクレオチド配列の発現のためのプロモーターへ機能的に連結される。いくつかの実施態様において、このプロモーターは、哺乳動物細胞のゲノム由来である(例えば、メタロチオネインプロモーター)か、又は哺乳動物のウイルス由来である(例えば、アデノウイルス後期プロモーター、ワクシニアウイルス7.5Kプロモーター)。具体的実施態様において、本明細書記載の抗体をコードしているヌクレオチド配列の発現は、構成的プロモーター、誘導的プロモーター又は組織特異的プロモーターにより調節される。
【0148】
具体的態様において、軽鎖及び重鎖、例えば個別の軽鎖及び重鎖を含む抗体をコードしているヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチドが、本明細書に提供される。軽鎖に関して、具体的実施態様において、本明細書に提供されるポリヌクレオチドは、カッパ軽鎖をコードしているヌクレオチド配列を含む。別の具体的実施形態では、本明細書に提供されるポリヌクレオチドは、ラムダ軽鎖をコードしているヌクレオチド配列を含む。更に別の具体的実施態様において、本明細書に提供されるポリヌクレオチドは、ヒトカッパ軽鎖又はヒトラムダ軽鎖を含む本明細書記載の抗体をコードしているヌクレオチド配列を含む。例えば、ヒト定常領域配列は、米国特許第5,693,780号に説明されたものであることができる。
【0149】
特定の実施態様において、本明細書に提供されるポリヌクレオチドは、CD47ポリペプチドに免疫特異的に結合する、本明細書記載の抗体をコードしているヌクレオチド配列を含み、ここで抗体は、重鎖を含み、ここで重鎖の定常領域は、ヒトガンマ(γ)重鎖定常領域、例えばヒトガンマ(γ)1重鎖定常領域、ヒトガンマ(γ)2重鎖定常領域、ヒトガンマ(γ)3重鎖定常領域、又はヒトガンマ(γ)4重鎖定常領域のアミノ酸配列を含む。
【0150】
(5.2.2 細胞及びベクター)
いくつかの態様において、CD47及び関連ポリヌクレオチド及び発現ベクターへ、例えばCF発現系における使用に適しているポリヌクレオチド及び発現ベクターへ特異的に結合する、本明細書記載の抗体(又はそれらの抗原-結合断片)を(例えば、組換え的に)発現している細胞(例えば宿主細胞)が、本明細書に提供される。CF発現系における組換え発現のための抗-CD47抗体又は断片をコードしているヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチドを含む、ベクター(例えば発現ベクター)が、本明細書に提供される。特定の態様において、例えば改善された抗体発現力価又は収量を生じる条件下で、CF発現系を使用し、かかる抗体を発現することを含む、本明細書記載の抗-CD47抗体を生成する方法が、本明細書に提供される。
【0151】
いくつかの態様において、宿主細胞、例えば哺乳動物細胞における組換え発現のための、抗-CD47抗体又は断片をコードしているヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチドを含むベクター(例えば、発現ベクター)が、本明細書に提供される。同じく、本明細書記載の抗-CD47抗体(例えば、ヒト抗体又はヒト化抗体)を組換え的に発現するための、かかるベクターを含む宿主細胞が、本明細書に提供される。特定の態様において、宿主細胞を使用しかかる抗体を発現することを含む、本明細書記載の抗体を生成する方法が、本明細書に提供される。
【0152】
CD47に特異的に結合する本明細書記載の抗体(例えば、完全長抗体、抗体の重鎖及び/もしくは軽鎖、又は本明細書記載の単鎖抗体)の組換え発現は、抗体をコードしているポリヌクレオチドを含む発現ベクターの構築に関連している。一旦本明細書記載の抗体分子、抗体の重鎖及び/もしくは軽鎖、又はそれらの断片(例えば、重鎖及び/もしくは軽鎖可変ドメイン)をコードしているポリヌクレオチドが得られたならば、この抗体分子の生成のためのベクターは、当該技術分野において周知の技術を使用する組換えDNA技術により生成することができる。従って、抗体又は抗体断片(例えば、軽鎖又は重鎖)をコードしているヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチドを発現することによりタンパク質を調製する方法が、本明細書に記載されている。当業者に周知の方法は、抗体又は抗体断片(例えば、軽鎖又は重鎖)コード配列並びに好適な転写及び翻訳の制御シグナルを含む発現ベクターを構築するために使用することができる。これらの方法は、例えば、インビトロ組換えDNA技術、合成技術及びインビボ遺伝子組換えを含む。またプロモーターに機能的に連結される、本明細書記載の抗体分子、抗体の重鎖もしくは軽鎖、抗体もしくはその断片の重鎖もしくは軽鎖可変ドメイン、又は重鎖もしくは軽鎖CDRをコードしているヌクレオチド配列を含む複製可能ベクターも、提供される。かかるベクターは、例えば、抗体分子の定常領域をコードしているヌクレオチド配列を含むことができ(例えば、国際公開公報WO 86/05807及びWO 89/01036;並びに、米国特許第5,122,464号参照)、且つ抗体の可変ドメインは、全重鎖、全軽鎖、又は全重鎖と全軽鎖の両方の発現のために、かかるベクターへクローニングされ得る。
【0153】
発現ベクターは、従来技術により、細胞(例えば宿主細胞)へ転移されることができ、且つ生じる細胞は次に、従来技術により培養され、本明細書記載の抗体又はその断片を生成することができる。従って、宿主細胞におけるかかる配列の発現のためにプロモーターへ機能的に連結された、本明細書記載の抗体もしくはその断片、又はその重鎖もしくは軽鎖、又はその断片、又は本明細書記載の単鎖抗体をコードしているポリヌクレオチドを含む宿主細胞が、本明細書に提供される。いくつかの実施態様において、二本鎖化された抗体の発現のために、重鎖及び軽鎖の両方をコードしているベクターは、個別に、以下に詳述するように、全免疫グロブリン分子の発現のために宿主細胞において共発現されることができる。いくつかの実施態様において、宿主細胞は、本明細書記載の抗体、又はその断片の重鎖及び軽鎖の両方をコードしているポリヌクレオチドを含むベクターを含む。具体的実施態様において、宿主細胞は、2種の異なるベクターを含み、これは本明細書記載の抗体、又はその断片の重鎖又は重鎖可変領域をコードしているポリヌクレオチドを含む第一のベクター、並びに本明細書記載の抗体、又はその断片の軽鎖又は軽鎖可変領域をコードしているポリヌクレオチドを含む第二のベクターである。他の実施態様において、第一の宿主細胞は、本明細書記載の抗体、又はその断片の重鎖又は重鎖可変領域をコードしているポリヌクレオチドを含む第一のベクターを含み、並びに第二の宿主細胞は、本明細書記載の抗体の軽鎖又は軽鎖可変領域をコードしているポリヌクレオチドを含む第二のベクターを含む。具体的実施態様において、第一の細胞により発現された重鎖/重鎖可変領域は、第二の細胞の軽鎖/軽鎖可変領域に会合され、本明細書記載の抗-CD47抗体又はその抗原-結合断片を形成する。いくつかの実施態様において、かかる第一の宿主細胞及びかかる第二の宿主細胞を含む宿主細胞の集団が、本明細書に提供される。
【0154】
特定の実施態様において、本明細書記載の抗-CD47抗体の軽鎖/軽鎖可変領域をコードしているポリヌクレオチドを含む第一のベクター、並びに本明細書記載の抗-CD47抗体の重鎖/重鎖可変領域をコードしているポリヌクレオチドを含む第二のベクターを含むベクターの集団が、本明細書に提供される。
【0155】
様々な宿主-発現ベクターシステムを利用し、本明細書記載の抗体分子を発現することができる(例えば、米国特許第5,807,715号参照)。かかる宿主-発現システムは、それにより関心対象のコード配列が、生成され、引き続き精製されることができる、ビヒクルを表すが、同じく適当なヌクレオチドコード配列により形質転換又は形質移入された場合に、本明細書記載の抗体分子を原位置で(in situ)発現することができる細胞も表す。これらは、抗体コード配列を含む組換えバクテリオファージDNA、プラスミドDNA又はコスミドDNA発現ベクターにより形質転換された細菌(例えば大腸菌及び枯草菌(B. subtilis));抗体コード配列を含む組換え酵母発現ベクターにより形質転換された酵母(例えば、サッカロミセス・ピキア(Saccharomyces Pichia));抗体コード配列を含む組換えウイルス発現ベクター(例えば、バキュロウイルス)により感染された昆虫細胞システム;組換えウイルス発現ベクター(例えば、カリフラワーモザイクウイルス、CaMV;タバコモザイクウイルス、TMV)により感染されたか、又は抗体コード配列を含む組換えプラスミド発現ベクター(例えば、Tiプラスミド)により形質転換された、植物細胞システム(例えば、コナミドリムシ(Chlamydomonas reinhardtii)などの緑藻);あるいは、哺乳動物細胞のゲノム由来のプロモーター(例えばメタロチオネインプロモーター)又は哺乳動物ウイルス由来のプロモーター(例えばアデノウイルス後期プロモーター;ワクシニアウイルス7.5Kプロモーター)を含む組換え発現構築体を収容している、哺乳動物細胞システム(例えば、COS、CHO、BHK、MDCK、HEK 293、NS0、PER.C6、VERO、CRL7O3O、HsS78Bst、HeLa、及びNIH 3T3細胞):などの微生物を含むが、これらに限定されるものではない。具体的実施態様において、本明細書記載の抗体又はその抗原-結合断片の発現のための細胞は、CHO細胞、例えばCHO GS System(商標)(Lonza)由来のCHO細胞である。具体的実施態様において、哺乳動物発現ベクターは、pOptiVEC(商標)又はpcDNA3.3である。特定の実施態様において、特に組換え抗体分子全体の発現のための、大腸菌などの細菌細胞、又は真核細胞(例えば、哺乳動物細胞)は、組換え抗体分子の発現のために使用される。例えば、ヒトサイトメガロウイルス由来の主要前初期(intermediate early)遺伝子プロモーターエレメントなどのベクターと複合したチャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞などの哺乳動物細胞は、抗体の有効な発現系である(Foeckingらの文献、1986, Gene 45:101;及び、Cockettらの文献、1990, Bio/Technology 8:2)。いくつかの実施態様において、本明細書記載の抗体は、CHO細胞又はNS0細胞により生成される。具体的実施態様において、CD47に免疫特異的に結合する本明細書記載の抗体をコードしているヌクレオチド配列の発現は、構成的プロモーター、誘導的プロモーター又は組織特異的プロモーターにより調節される。
【0156】
細菌システムにおいて、数多くの発現ベクターを、発現される抗体分子の意図された用途に応じて、有利に選択することができる。例えば、抗体分子の医薬組成物の製造のために、大量のかかる抗体が生成されるべき場合、容易に精製される融合タンパク質産物の高レベルの発現を指示するベクターが、望ましい。かかるベクターは、そこで抗体コード配列が、lacZコード領域とインフレームでベクターへ個別に連結されており、結果的に融合タンパク質が生成される大腸菌発現ベクターpUR278(Rutherらの文献、1983, EMBO 12:1791);pINベクター(Inouye及びInouyeの文献、1985, Nucleic Acids Res. 13:3101-3109;Van Heeke及びSchusterの文献、1989, J. Biol. Chem. 24:5503-5509);などを含むが、これらに限定されるものではない。例えば、pGEXベクターもまた、グルタチオン5-転移酵素(GST)により、融合タンパク質として外来ポリペプチドを発現するために、使用することができる。概して、かかる融合タンパク質は、可溶性であり、且つマトリクスグルタチオンアガロースビーズへの吸着及び結合、それに続く遊離グルタチオンの存在下での溶離により、溶解した細胞から容易に精製することができる。pGEXベクターは、トロンビン又は第Xa因子プロテアーゼ切断サイトを含むように設計され、結果的にクローニングされた標的遺伝子産物は、GST部分から放出され得る。
【0157】
昆虫システムにおいて、例えばオートグラファ・カリフォルニカ(Autographa californica)核多角体病ウイルス(AcNPV)を、外来遺伝子を発現するためのベクターとして使用することができる。このウイルスは、ヨトウガ(Spodoptera frugiperda)細胞において増殖する。抗体コード配列は、このウイルスの非必須領域(例えば、ポリヘドリン遺伝子)へ個別にクローニングされ、且つAcNPVプロモーター(例えば、ポリヘドリンプロモーター)の制御下に配置される。
【0158】
哺乳動物宿主細胞において、数多くのウイルス-ベースの発現系を、利用することができる。アデノウイルスが発現ベクターとして使用される場合、関心対象の抗体コード配列は、アデノウイルス転写/翻訳制御複合体、例えば、後期プロモーター及び三者間リーダー配列へ連結され得る。このキメラ遺伝子は次に、インビトロ又はインビボ組換えにより、アデノウイルスゲノム中に挿入され得る。ウイルスゲノムの非必須領域(例えば、領域El又はE3)の挿入は、生存可能であり且つ感染宿主における抗体分子の発現が可能である、組換えウイルスを生じるであろう(例えば、Logan及びShenkの文献、1984, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 8 1:355-359参照)。特異的開始シグナルもまた、挿入された抗体コード配列の効率的翻訳に必要である。これらのシグナルは、ATG開始コドン及び隣接配列を含む。更にこの開始コドンは、挿入断片全体の翻訳を確実にするために、所望のコード配列のリーディングフレームと同調(in phase with)しなければならない。これらの外因性翻訳制御シグナル及び開始コドンは、天然及び合成の両方の、様々な起源であることができる。発現効率は、好適な転写エンハンサーエレメント、転写ターミネーターなどの包含により増強され得る(例えば、Bittnerらの文献、1987, Methods in Enzymol. 153:51-544参照)。
【0159】
加えて、挿入された配列の発現を調節するか、又は望ましい特定の様式で遺伝子産物を修飾及びプロセッシングする宿主細胞株が、選択され得る。タンパク質産物のかかる修飾(例えばグリコシル化)及びプロセッシング(例えば切断)は、タンパク質の機能に関して重要であり得る。様々な宿主細胞は、タンパク質及び遺伝子産物の翻訳後プロセッシング及び修飾に関して、特徴的及び特異的機序を有する。好適な細胞株又は宿主システムは、発現された外来タンパク質の正確な修飾及びプロセッシングを確実にするために、選択することができる。この目的のために、一次転写産物の適切なプロセッシング、遺伝子産物のグリコシル化、及びリン酸化のための細胞機構を有する真核生物宿主細胞を、使用することができる。かかる哺乳動物宿主細胞は、CHO、VERO、BHK、Hela、COS、MDCK、HEK 293、NIH 3T3、W138、BT483、Hs578T、HTB2、BT2O及びT47D、NS0(いずれの免疫グロブリン鎖も内因性に生成しないマウス骨髄腫細胞株)、CRL7O3O及びHsS78Bst細胞を含むが、これらに限定されるものではない。いくつかの実施態様において、本明細書記載の抗-CD47抗体(例えば、抗体Ab235-Ab255のいずれかひとつのCDRを含む抗体)は、CHO細胞などの、哺乳動物細胞において生成される。
【0160】
組換えタンパク質の長期間高収量の生成のために、安定発現細胞を作製することができる。例えば、本明細書記載の抗-CD47抗体又はその抗原-結合断片を安定発現する細胞株を、操作することができる。具体的実施態様において、本明細書に提供される細胞は、本明細書記載の抗体又はその抗原-結合断片を形成するために会合する、軽鎖/軽鎖可変ドメイン及び重鎖/重鎖可変ドメインを安定発現する。
【0161】
いくつかの態様において、ウイルス複製起源を含む発現ベクターを使用するよりもむしろ、宿主細胞は、適当な発現制御エレメント(例えば、プロモーター、エンハンサー、配列、転写ターミネーター、ポリアデニル化部位など)により制御されたDNA、並びに選択マーカーにより、形質転換されることができる。外来DNA/ポリヌクレオチドの導入後、操作された細胞は、強化培地において、1〜2日間成長させ、次に選択培地に交換することができる。組換えプラスミド中の選択マーカーは、選択に対する耐性を付与し、且つ細胞がプラスミドをそれらの染色体に安定に組み込むようにさせ、且つ叢を形成するよう成長させ、これは次にクローニングされ、細胞株に拡大される。この方法は、本明細書記載の抗-CD47抗体又はその断片を発現している細胞株を操作するために有利に使用することができる。かかる操作された細胞株は、抗体分子と直接又は間接に相互作用する組成物のスクリーニング及び評価において特に有用である。
【0162】
数多くの選択システムを使用することができ、これは単純ヘルペスウイルスチミジンキナーゼ遺伝子(Wiglerらの文献、1977, Cell 11:223)、ヒポキサンチングアニンホスホリボシルトランスフェラーゼ遺伝子(Szybalska及びSzybalskiの文献、1992, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 48:202)、及びアデニンホスホリボシルトランスフェラーゼ遺伝子(Lowyらの文献、1980, Cell 22:8-17)を含むが、これらに限定されるものではなく、これらは各々tk-細胞、hgprt-細胞又はaprt-細胞において使用することができる。同じく代謝拮抗物質耐性を、以下の遺伝子の選択の基礎として使用することができる:メトトレキセートに対する耐性を付与する、dhfr(Wiglerらの文献、1980, Natl. Acad. Sci. USA 77:357;O’Hareらの文献、1981, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 78:1527);ミコフェノール酸に対する耐性を付与する、gpt(Mulligan及びBergの文献、1981, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 78:2072);アミノ配糖体G-418に対する耐性を付与する、neo(Wu及びWuの文献、1991, Biotherapy 3:87-95;Tolstoshevの文献、1993, Ann. Rev. Pharmacol. Toxicol. 32:573-596;Mulliganの文献、1993, Science 260:926-932;並びに、Morgan及びAndersonの文献、1993, Ann. Rev. Biochem. 62:191-217;Mayの文献、1993, TIB TECH 11(5):l55-2 15);並びに、ヒグロマイシンに対する耐性を付与する、hygro(Santerreらの文献、1984, Gene 30:147)。組換えDNA技術分野において一般に公知の方法は、所望の組換えクローンを選択するために、慣習的に適用され得、且つかかる方法は、例えば、Ausubelらの編集の文献、「最新分子生物学プロトコール(Current Protocols in Molecular Biology)」、John Wiley & Sons社、NY(1993);Krieglerの文献、「遺伝子導入及び発現:実験マニュアル(Gene Transfer and Expression: A Laboratory Manual)」、Stockton Press社、NY (1990);並びに、Dracopoliら編集の文献、「ヒト遺伝学の最新プロトコール(Current Protocols in Human Genetics)」の第12及び13章、John Wiley & Sons社、NY (1994);Colberre-Garapinらの文献、1981, J. Mol. Biol. 150:1に説明されており、これらはそれらの全体が引用により本明細書中に組み込まれている。
【0163】
抗体分子の発現レベルは、ベクター増幅により増大される(総説については、Bebbington及びHentschelの文献、「DNAクローニングにおける哺乳動物細胞中でクローニングされた遺伝子の発現のための遺伝子増幅を基にしたベクターの使用(The use of vectors based on gene amplification for the expression of cloned genes in mammalian cells in DNA cloning)」、第3巻(Academic Press社、ニューヨーク、1987)参照)。抗体を発現しているベクターシステム中のマーカーが増幅可能である場合、宿主細胞の培養物中に存在するインヒビターのレベルの増加は、マーカー遺伝子のコピー数を増加するであろう。増幅された領域は抗体遺伝子と会合されているので、この抗体の生成も増加するであろう(Crouseらの文献、1983, Mol. Cell. Biol. 3:257)。
【0164】
宿主細胞は、重鎖由来のポリペプチドをコードしている第一のベクター、及び軽鎖由来のポリペプチドをコードしている第二のベクターの、2種以上の本明細書記載の発現ベクターにより、共形質移入することができる。これら2種のベクターは、重鎖及び軽鎖ポリペプチドの同等な発現が可能である、同一の選択マーカーを含むことができる。宿主細胞は、異なる量の2種以上の発現ベクターにより、共形質移入することができる。例えば宿主細胞は、第一の発現ベクターと第二の発現ベクターの比:1:1、1:2、1:3、1:4、1:5、1:6、1:7、1:8、1:9、1:10、1:12、1:15、1:20、1:25、1:30、1:35、1:40、1:45、又は1:50のいずれか一つで、形質移入することができる。
【0165】
あるいは、重鎖及び軽鎖ポリペプチドの両方をコードし、且つ発現することが可能である、単独ベクターを、使用することができる。かかる状況において、軽鎖は、過剰な毒性のある遊離重鎖を避けるために、重鎖の前に配置されなければならない(Proudfootの文献、1986, Nature 322:52;及び、Kohlerの文献、1980, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 77:2197-2199)。重鎖及び軽鎖のコード配列は、cDNA又はゲノムDNAを含むことができる。発現ベクターは、単シストロン性又は多シストロン性であることができる。多シストロン性核酸構築体は、2、3、4、5、6、7、8、9、10もしくはそれ以上の、又は2〜5、5〜10もしくは10〜20の範囲の遺伝子/ヌクレオチド配列をコードすることができる。例えば、二シストロン性核酸構築体は、以下の順番で、プロモーター、第一の遺伝子(例えば、本明細書記載の抗体の重鎖)、及び第二の遺伝子(例えば、本明細書記載の抗体の軽鎖)を含むことができる。かかる発現ベクターにおいて、両方の遺伝子の転写は、プロモーターにより駆動することができるのに対し、第一の遺伝子由来のmRNAの翻訳は、キャップ構造依存的走査機構により、並びに第二の遺伝子由来のmRNAの翻訳は、例えばIRESによる、キャップ構造非依存型機構によることができる。
【0166】
一旦本明細書記載の抗体分子が、組換え発現により生成されるならば、これは、例えばクロマトグラフィー(例えば、イオン交換クロマトグラフィー、アフィニティクロマトグラフィー、特にプロテインAに続く特異的抗原についての親和性によるもの、及びサイジングカラムクロマトグラフィー)、遠心分離、差次的溶解度などの、免疫グロブリン分子の精製に関する当該技術分野において公知の任意の方法によるか、あるいは任意の他のタンパク質の精製に関する標準技術により、精製することができる。更に本明細書記載の抗体は、精製を促進するために、本明細書記載の異種ポリペプチド配列、又はそうでなければ当該技術分野において公知のものに融合することができる。
【0167】
具体的実施態様において、本明細書記載の抗体又は抗原-結合断片は、単離又は精製される。一般に、単離された抗体とは、単離された抗体以外の異なる抗原特異性を持つ他の抗体を実質的に含まないものである。例えば特定の実施態様において、本明細書記載の抗体の調製は、細胞物質及び/又は化学的前駆体を実質的に含まない。語句「細胞物質を実質的に含まない」とは、抗体が、それから単離されるか又は組換え的に生成される細胞の細胞成分から分離されているような、抗体の調製品を含む。従って、細胞物質を実質的に含まない抗体は、異種タンパク質(同じく本明細書において「夾雑タンパク質」とも称される)及び/又は抗体の変種、例えば抗体の異なる翻訳後修飾された形もしくは他の抗体の異なる型(例えば、抗体断片)の約30%、20%、10%、5%、2%、1%、0.5%、又は0.1%(乾燥重量で)未満を有する抗体の調製品を含む。抗体が組換えにより生成される場合、これはまた、一般に実質的に培養培地を含まず、すなわち、培養培地は、タンパク質調製品の容量の約20%、10%、2%、1%、0.5%、又は0.1%未満を示す。抗体が化学合成により生成される場合、これは、一般に実質的に化学的前駆体又は他の化学物質を含まず、すなわち、これは、タンパク質の合成に関与している化学的前駆体又は他の化学物質から分離されている。従って、かかる抗体の調製品は、化学的前駆体又は関心対象の抗体以外の化合物を約30%、20%、10%、又は5%(乾燥重量で)未満を有する。具体的実施態様において、本明細書記載の抗体は、単離又は精製される。
【0168】
(5.3 医薬組成物及びキット)
1以上の本明細書記載の抗体(例えば、抗-CD47抗体)、又はその抗原-結合断片、又はその複合体を含有する組成物、医薬組成物、及びキットが、本明細書に提供される。特定の態様において、本明細書記載の組成物(例えば、医薬組成物)は、インビトロ、インビボ、又はエクスビボにおける用途のためであることができる。用途の非限定的例は、CD47活性を調節(例えば、阻害又は誘導/増強)する用途、並びに障害、例えば癌の管理又は治療のための用途を含む。具体的実施態様において、本明細書記載の抗体(例えば、ヒト化抗体)(又はその抗原-結合断片)、及び医薬として許容し得る担体又は賦形剤を含有する医薬組成物が、本明細書に提供される。
【0169】
本明細書において使用される用語「医薬として許容し得る」とは、連邦政府又は州政府の規制当局により承認されるか、又は動物における使用、及びより特定するとヒトにおける使用に関する、米国薬局方、欧州薬局方もしくは他の一般に承認された薬局方に収載されていることを意味する。
【0170】
本明細書に提供される1以上の抗体又はそれらの抗原-結合断片を含む製剤は、所望の純度を有する抗体を、任意の生理学的に許容し得る担体、賦形剤又は安定剤と混合することにより、保存のために調製することができる(「レミントン薬科学(Remington’s Pharmaceutical Sciences)」(1990)、Mack Publishing社、イーストン、PA:「レミントン:薬学の科学と実践(Remington: The Science and Practice of Pharmacy)」第21版(2006) Lippincott Williams & Wilkins社、ボルチモア、MD)。かかる製剤は、例えば、例として凍結乾燥製剤又は水溶液などの形状であることができる。本明細書に提供される抗体の投与に適している医薬担体は、特定の投与様式に適していることが当業者に公知の任意のかかる担体を含む。許容し得る担体、賦形剤、又は安定剤は、使用されるその用量及び濃度でレシピエントに対し無毒であり、並びにリン酸、クエン酸、及び他の有機酸などの緩衝液;及び/又は、非イオン性界面活性剤、例えばTWEEN(商標)、プルロニック(商標)又はポリエチレングリコール(PEG)を含む。
【0171】
インビボ投与に使用される製剤は、無菌であることができる。これは、例えば、例として滅菌濾過メンブレンなどを通す濾過により、容易に達成することができる。
【0172】
具体的態様において、本明細書に提供される医薬組成物は、医薬として許容し得る担体中に、治療的有効量の本明細書に提供される1以上の抗体又は抗原-結合断片を含む。かかる医薬組成物は、本明細書記載の状態もしくは障害又はそれらの1以上の症状の、予防、治療、管理又は改善において有用である。
【0173】
本明細書に提供される組成物は、本明細書に提供される1以上の抗体又はそれらの抗原-結合断片を含むことができる。一実施態様において、本明細書記載の抗体又は抗原-結合断片が、好適な医薬調製品、例えば非経口投与のための無菌の溶液又は懸濁液中の液剤、懸濁剤、散剤、持続放出製剤もしくはエリキシル剤へと、又は経皮貼付剤調製品及び乾燥散剤吸入器として製剤されている組成物が、提供される。
【0174】
一実施態様において、本明細書に提供される組成物は、単回用量投与のために製剤される。組成物を製剤するために、化合物の重量画分が、治療される状態が緩和、予防されるか、又は1以上の症状が改善されるような有効濃度で、選択された担体中に溶解、懸濁、分散又はそうでなければ混合される。
【0175】
いくつかの態様において、本明細書に提供される抗体は、治療される患者において望ましくない副作用が存在しないか、又は最小であるかもしくは無視できる、治療的に有用な効果を発揮するのに十分な有効量で、医薬として許容し得る担体中に含まれる。
【0176】
本明細書に提供される医薬組成物中の抗-CD47抗体の濃度は、例えば、抗体の物理化学的特徴、用量スケジュール、及び投与される量並びに他の要因によって左右される。
【0177】
本明細書記載の医薬組成物は、ヒト又は動物(例えば、哺乳動物)への投与のために、適量の本化合物又はその医薬として許容し得る誘導体を含む、無菌非経口(例えば、静脈内)の液剤もしくは懸濁剤などの、単位剤形で提供される。医薬組成物はまた、ヒト及び動物への投与のために、適量の抗-CD47抗体又はその医薬として許容し得る誘導体を含む、錠剤、カプセル剤、丸剤、散剤、顆粒剤、及び経口もしくは経鼻の液剤もしくは懸濁剤、及び水中油型乳剤などの、単位剤形で提供される。この抗体は、一実施態様において、単位剤形又は複数剤形で製剤及び投与される。本明細書で使用される単位-投与量の形状は、ヒト又は動物(例えば、哺乳動物)対象に適し、且つ個別に包装された、物理的に個別の単位をいう。各単位-投与量は、必要とされる医薬担体、ビヒクル又は希釈剤に関連して、所望の治療効果を生み出すのに十分である、予め決定された量の抗-CD47抗体を含む。単位-投与量の形状の例は、アンプル及び注射器並びに個別に包装された錠剤又はカプセル剤を含む。単位-投与量の形状は、分割量で又はその複数で投与することができる。複数-投与量の形状は、分離された単位-投与量の形状で投与される単独の容器中に包装された、複数の同一の単位剤形である。複数-投与量の形状の例は、バイアル、錠剤もしくはカプセル剤の瓶、又は瓶を含む。従って、具体的態様において、複数投与量の形状は、包装中に分離されていない複数の単位-投与量である。
【0178】
いくつかの実施態様において、本明細書記載の1以上の抗-CD47抗体又はその抗原-結合断片は、液体医薬製剤中である。液体の医薬として投与可能な組成物は、例えば、抗体及び任意の医薬用アジュバントを、例えば水、生理食塩水、水性デキストロース、グリセロール、グリコールなどの担体中に、溶解、分散、又はそうでなければ混合し、これにより溶液又は懸濁液を形成することにより、調製することができる。いくつかの実施態様において、投与されるべき本明細書に提供される医薬組成物は、湿潤剤、乳化剤、可溶化剤、及びpH緩衝剤などの無毒の補助物質を少量含むこともできる。
【0179】
かかる剤形を調製する方法は、当業者には公知であるか、又は明らかであり;例えば、例として「レミントン:薬科学」(1990) Mack Publishing社、イーストン、PA;「レミントン:薬学の科学と実践」、第21版、(2006)、Lippincott Williams & Wilkins社、ボルチモア、MDを参照されたい。
【0180】
非経口投与は、一実施態様において、注射により特徴付けられ、皮下、筋肉内又は静脈内のいずれかも、本明細書において意図されている。注射剤とは、液体の液剤又は懸濁剤として、注射前に液体中の液剤もしくは懸濁剤に適した固体形状、又は乳剤としてのいずれかで、従来の形状で調製することができる。注射剤、液剤及び乳剤はまた、1以上の賦形剤を含む。好適な賦形剤は、例えば、水、生理食塩水、デキストロース、グリセロール又はエタノールである。他の投与経路は、腸内投与、脳内投与、経鼻投与、動脈内投与、頭蓋内投与、骨内輸液、髄腔内投与、及び腹腔内投与を含んでよい。
【0181】
非経口投与の調製品は、そのまま注射することができる無菌液剤、皮下注射錠を含む、使用直前に溶媒と一緒にされる凍結乾燥された散剤などの無菌乾燥可溶性製品、そのまま注射することができる無菌懸濁剤、使用直前にビヒクルと一緒にされる無菌乾燥不溶性製品、及び無菌乳剤を含む。これらの溶液は、水性又は非水性のいずれかであることができる。
【0182】
静脈内に投与される場合、好適な担体は、生理食塩水又はリン酸緩衝生理食塩水(PBS)、並びにグルコース、ポリエチレングリコール、及びポリプロピレングリコール並びにそれらの混合物などの、増粘剤及び可溶化剤を含む溶液を含む。
【0183】
非経口調製品に使用される医薬として許容し得る担体は、水性ビヒクル、非水性ビヒクル、抗菌剤、等張化剤、緩衝剤、抗酸化剤、局所麻酔剤、懸濁化剤及び分散剤、乳化剤、金属イオン封鎖剤又はキレート剤及び他の医薬として許容し得る物質を含む。
【0184】
医薬担体はまた、水混和用ビヒクルに関してエチルアルコール、ポリエチレングリコール及びプロピレングリコール;並びに、pH調節に関して水酸化ナトリウム、塩酸、クエン酸又は乳酸を含む。
【0185】
いくつかの実施態様において、本明細書記載の抗-CD47抗体又は断片を含有する無菌水溶液の静脈内又は動脈内輸注は、投与の有効な形態である。別の実施態様は、所望の薬効を生じるのに必要な際に注射される、本明細書記載の抗-CD47抗体を含有する、無菌の水性又は油性の溶液又は懸濁液である。
【0186】
具体的実施態様において、本明細書記載の抗-CD47抗体は、微粉化された形状又は他の好適な形状で懸濁することができる。得られる混合物の形状は、意図された投与様式及び選択された担体又はビヒクル中の化合物の溶解度を含む数多くの要因によって決まる。
【0187】
他の実施態様において、医薬製剤は、凍結乾燥された散剤であり、これは、液剤、乳剤及び他の混合物としての投与のために再構成され得る。これらは同じく、固形物又はゲルとして再構成され且つ製剤され得る。
【0188】
凍結乾燥された散剤は、例えば、本明細書に提供される抗-CD47抗体を、好適な溶媒中に溶解することにより、調製することができる。一部の実施態様において、凍結乾燥された散剤は、無菌である。好適な溶媒は、散剤又は散剤から調製された再構成された溶液の安定性又は他の薬学的成分を改善する賦形剤を含むことができる。使用することができる賦形剤は、デキストロース、ソルビタール、フルクトース、コーンシロップ、キシリトール、グリセリン、グルコース、ショ糖又は他の好適な物質を含むが、これらに限定されるものではない。好適な溶媒はまた、緩衝剤、一実施態様においてほぼ中性のpHで、クエン酸塩、リン酸ナトリウムもしくはリン酸カリウム、又は当業者に公知の他のかかる緩衝剤を含むことができる。引き続きの溶液の滅菌濾過、それに続く当業者に公知の標準条件下での凍結乾燥は、製剤の例を提供する。一実施態様において、生じる溶液は、凍結乾燥用バイアルへ分注される。凍結乾燥された散剤は、約4℃から室温などの、好適な条件下で貯蔵することができる。
【0189】
注射のためのこの凍結乾燥された散剤の水による再構成は、非経口投与における使用のための製剤を提供する。再構成に関して、凍結乾燥された散剤は、滅菌水又は他の適切な担体に添加される。
【0190】
いくつかの態様において、本明細書に提供される抗-CD47抗体は、局所投与又は局所塗布、例えばゲル、クリーム、及びローションの形状で、皮膚及び眼内などの粘膜への局所塗布のため、並びに眼への塗布又は嚢内もしくは脊髄内適用のために製剤することができる。局所投与は、経皮送達のため、同じく眼もしくは粘膜投与のため、又は吸入治療のために意図される。活性化合物単独の又は他の医薬として許容し得る賦形剤と組合せた経鼻液剤も、投与することができる。
【0191】
本明細書に提供される抗-CD47抗体及び他の組成物はまた、治療される対象の特定の組織、臓器、又は体の他の領域を標的化するように製剤することもできる。多くのかかる標的化法は、当業者に周知である。全てのかかる標的化法は、本組成物中での使用について本明細書において意図される。標的化法の非限定的例については、例えば、米国特許第6,316,652号、第6,274,552号、第6,271,359号、第6,253,872号、第6,139,865号、第6,131,570号、第6,120,751号、第6,071,495号、第6,060,082号、第6,048,736号、第6,039,975号、第6,004,534号、第5,985,307号、第5,972,366号、第5,900,252号、第5,840,674号、第5,759,542号及び第5,709,874号を参照されたい。一部の実施態様において、本明細書記載の抗-CD47抗体は、目視できる臓器、骨髄、胃腸管、肺、脳、又は関節へ、標的化(又はそうでない場合は投与)される。具体的実施態様において、本明細書記載の抗-CD47抗体は、血液-脳関門を超えることが可能である。
【0192】
本明細書に提供される1以上の抗-CD47抗体などの、本明細書記載の医薬組成物の1以上の構成成分が充填された1つ以上の容器を含む医薬パック又はキットが、本明細書に提供される。医薬品又は生物製品の製造、使用又は販売に関する政府の規制機関により規定された形での能書が、かかる容器(複数可)と任意に関連づけられることができ、この能書は、ヒト投与に関する製造、使用又は販売の規制機関による承認を反映している。
【0193】
同じく、本明細書記載の1以上の抗体又は抗体断片を含むキットも、本明細書に提供される。一実施態様において、キットは、1つ以上の容器内に、本明細書記載の抗体又は抗体断片を含む。具体的実施態様において、本明細書記載のキットは、実質的に精製されたCD47抗原を対照として含む。別の具体的実施形態において、本明細書記載のキットは、CD47抗原と反応しない対照抗体を更に含む。別の具体的実施形態において、本明細書記載のキットは、修飾された抗体のCD47抗原への結合を検出するための1以上のエレメントを含む(例えば、この抗体は、蛍光化合物、酵素基質、放射性化合物もしくは発光化合物などの検出可能な基質とコンジュゲートされることができ、又は第一の抗体を認識する第二の抗体が、検出可能な基質とコンジュゲートされることができる)。具体的実施態様において、本明細書に提供されるキットは、組換えにより生成された又は化学合成されたCD47抗原を含むことができる。キットにおいて提供されたCD47抗原はまた、固形支持体に付着されることもできる。より具体的実施態様において、前述のキットの検出手段は、それにCD47抗原が付着されている固形支持体を含む。かかるキットはまた、付着していないレポーター-標識された抗-ヒト抗体又は抗-マウス/ラット抗体を含むことができる。この実施態様において、抗体のCD47抗原への結合は、該レポーター-標識された抗体の結合により検出することができる。
【0194】
(5.4 使用及び方法)
特定の態様において、本明細書記載の抗-CD47抗体又はその抗原-結合断片により、CD47活性を調節する方法が、本明細書に提供される。
【0195】
具体的実施態様において、CD47活性を、本明細書記載の抗-CD47抗体により阻害する(例えば、部分的に阻害する)方法が、本明細書に提供される。いくつかの実施態様において、本明細書記載の抗-CD47抗体を使用し、癌などの状態又は障害を管理又は治療する方法が、本明細書に提供される。いくつかの実施態様において、本明細書記載の抗-CD47抗体を使用し、癌などの状態又は障害に対し防御する方法が、本明細書に提供される。
【0196】
特定の実施態様において、CD47(例えば、ヒトCD47)に特異的に結合する本明細書記載の抗体又は抗原-結合断片の治療的有効量を、それを必要とする対象に投与することを含む、癌に対し管理、治療、予防又は防御する方法が、本明細書に提供される。いくつかの実施態様において、癌に関連した1以上の症状の進行又は重篤度を緩和、阻害又は軽減する方法が、本明細書に提供される。
【0197】
本明細書において使用される「投与する」又は「投与」は、例えば経粘膜、局所、皮内、非経口、静脈内、皮下、筋肉内送達によるか、及び/又はいずれか他の本明細書記載もしくは当該技術分野において公知の物理的送達方法などにより、物質(例えば、本明細書に提供されるヒト化抗-CD47抗体又はその抗原-結合断片)を、対象又は患者(例えば、ヒト)へ、注射又はそうでなければ物理的に送達する行為をいう。
【0198】
本明細書に使用される用語「有効量」又は「治療的有効量」は、所与の状態、障害もしくは疾患(例えば、癌、転移、又は血管新生)及び/又はそれに関連した症状の重篤度及び/又は期間を軽減及び/又は改善するのに十分である、療法(例えば、本明細書に提供される抗体又は医薬組成物)の量をいう。これらの用語はまた、所与の疾患の前進又は進行を軽減、緩徐化、もしくは改善し、所与の疾患の再発、発展又は発症を軽減、緩徐化又は改善し、並びに/あるいは別の療法(例えば、本明細書に提供される抗-CD47抗体以外の療法)の予防効果もしくは治療効果(複数可)を向上又は増強するのに必要な量も包含している。一部の実施態様において、本明細書において使用される「有効量」はまた、特定された結果を達成する、本明細書記載の抗体の量をいう。
【0199】
他の療法の投与の状況で、本明細書において使用される用語「組合せ」は、2種以上の療法の使用をいう。用語「組合せ」の使用は、療法が投与される順序を制限しない。これらの療法は、例えば、連続して、逐次、同時に、又は付随して投与されてよい。
【0200】
本明細書において使用される用語「管理する」、「管理している」及び「管理」は、対象が療法(例えば、予防薬又は治療薬)から誘導する有益な作用をいい、これはCD47に関連した状態の治癒を生じない。いくつかの実施態様において、状態又は障害の進行又は増悪を予防するために、対象には、本明細書記載の状態又は障害、それらの1以上の症状を、「管理する」ための、1以上の療法(例えば、本明細書記載の抗体などの、予防薬又は治療薬)が投与される。
【0201】
本明細書に提供される状態又は障害(例えば、自己免疫疾患、免疫学的障害、癌、又は炎症)の状況において、本明細書において使用される用語「妨げる」又は「妨げている」は、本明細書に提供される療法又は療法の組合せ(例えば、予防薬又は治療薬、例えば本明細書記載の抗体などの組合せ)の投与から生じる、本明細書に提供される状態又は障害(例えば、癌、転移、又は血管新生)及び/又はそれに関連した症状の、発展、再発、発症もしくは蔓延の、全体又は部分的阻害(例えば、100%、95%、90%、80%、70%、60%、50%、40%、30%、20%、10%、もしくは5%未満)又は遮断をいう。
【0202】
本明細書で使用される用語「対象」及び「患者」は、互換的に使用される。本明細書において使用されるように、対象は、非霊長類(例えば、ウシ、ブタ、ウマ、ネコ、イヌ、ヤギ、ウサギ、ラット、マウスなど)又は霊長類(例えば、サル及びヒト)、例えばヒトなどの、哺乳動物である。一実施態様において、対象は、本明細書に提供される状態又は障害(例えば、癌、転移、又は血管新生)と診断された、哺乳動物、例えばヒトである。別の実施態様において、対象は、本明細書に提供される状態又は障害(例えば、癌、転移、又は血管新生)の発展のリスクのある、哺乳動物、例えばヒトである。別の実施態様において、対象はヒトである。
【0203】
いくつかの実施態様において、CD47は、対象の、例えばヒト対象の細胞において増幅される。対象由来の試料中のcd47増幅の同定は、例えば、定量的逆転写PCR、免疫ブロットアッセイ、DNAフィンガープリンティング、核型分析(例えば、多色蛍光インサイチュハイブリダイゼーション(mFISH))、比較ゲノムハイブリダイゼーション、及び遺伝子発現プロファイリングなどの、当業者に公知のアッセイにより行うことができる。非限定的例として、腫瘍試料のタンパク質発現は、試料中に存在するCD47タンパク質の量を測定する、免疫組織化学アッセイを使用し特徴付けすることができる。
【0204】
対象由来の試料中の変異又は欠失の同定は、例えば、DNA抽出、相補的DNAの作製、及びcDNA配列決定などの、当業者に公知のアッセイにより行うことができる。例えば、cDNA配列は、当業者に公知の方法により、翻訳産物を得るために利用することができる。遺伝子欠失及びアミノ酸置換は、例えば、対象由来の試料からの配列を、野生型及び/又はコンセンサス配列と比較することにより、同定することができる。
【0205】
いくつかの実施態様において、CD47は、本明細書に提供される方法に従い治療される対象において増幅される。対象由来の試料におけるCD47増幅の同定は、例えば、定量的逆転写PCR又は免疫ブロットアッセイなどの、当業者に公知のアッセイにより実行される。対象由来の試料からの変異又は欠失の同定は、例えば、DNA抽出、相補的DNAの作製、及びcDNA配列決定などの、当業者に公知のアッセイにより行われる。例えば、cDNA配列は、当業者に公知の方法により、翻訳産物を得るために利用される。遺伝子欠失及びアミノ酸置換は、例えば、対象由来の試料からの配列を、野生型及び/又はコンセンサス配列と比較することにより、同定される。
【0206】
本明細書において使用される用語「複数の療法」及び「療法」は、状態もしくは障害又はそれらの症状(例えば、本明細書に提供される状態又は障害(例えば癌)又はそれに関連した1以上の症状もしくは状態)の予防、治療、管理、又は改善に使用することができる、任意のプロトコール(複数可)、方法(複数可)、組成物、製剤、及び/又は物質(複数可)をいうことができる。いくつかの実施態様において、用語「複数の療法」及び「療法」は、状態もしくは障害又はそれらの1以上の症状(例えば、癌又はそれに関連した1以上の症状もしくは状態)の治療、管理、予防もしくは改善において有用である、薬物療法、アジュバント療法、放射線、手術、生物学的療法、支持療法、及び/又は他の療法をいう。いくつかの実施態様において、用語「療法」は、本明細書記載の抗-CD47抗体又はそれらの医薬組成物以外の療法をいう。具体的実施態様において、「追加療法」及び「複数の追加療法」は、本明細書記載の抗-CD47抗体又はそれらの医薬組成物を使用する治療以外の療法をいう。具体的実施態様において、療法は、アジュバント療法としての、本明細書記載の抗-CD47抗体の使用を含む。例えば、本明細書記載の抗-CD47抗体の使用は、薬物療法、生物学的療法、手術、及び/又は支持療法と結びつけられる。
【0207】
本明細書において使用される「血液癌」は、血液の癌をいい、とりわけ白血病、リンパ腫及び骨髄腫を含む。「白血病」は、感染症との戦いにおいて無効である白血球が非常に多く生成され、結果的に血液を構成している他の部分、例えば血小板及び赤血球を締め出している、血液の癌をいう。白血病の症例は、急性又は慢性に分類されることが理解される。白血病のいくつかの型は、非限定的例として、急性リンパ性白血病(ALL);急性骨髄性白血病(AML);慢性リンパ性白血病(CLL):慢性骨髄性白血病(CML);骨髄増殖性疾患/腫瘍(MPDS);及び、骨髄異形成症候群を含む。「リンパ腫」は、とりわけホジキンリンパ腫、無痛性及び侵攻型の両方の非ホジキンリンパ腫、バーキットリンパ腫、及び濾胞性リンパ腫(小細胞及び大細胞)をいう。骨髄腫は、多発性骨髄腫(MM)、巨細胞性骨髄腫、重鎖骨髄腫、及び軽鎖又はベンスジョーンズ骨髄腫をいう。
【0208】
本明細書記載の抗-CD47抗体により治療又は管理され得る状態の非限定的例は、血液癌及び/又は固形腫瘍を含む。
【0209】
異常なCD47発現、活性及び/又はシグナル伝達に関連した疾患又は障害は、非限定的例として、血液癌及び/又は固形腫瘍を含む。血液癌は、例えば、白血病、リンパ腫及び骨髄腫を含む。白血病のいくつかの型は、非限定的例として、急性リンパ性白血病(ALL);急性骨髄性白血病(AML);慢性リンパ性白血病(CLL):慢性骨髄性白血病(CML);骨髄増殖性疾患/腫瘍(MPDS);及び、骨髄異形成症候群を含む。リンパ腫のいくつかの型は、非限定的例として、ホジキンリンパ腫、無痛性及び侵攻型の両方の非ホジキンリンパ腫、バーキットリンパ腫、及び濾胞性リンパ腫(小細胞及び大細胞)をいう。骨髄腫のいくつかの型は、非限定的例として、多発性骨髄腫(MM)、巨細胞性骨髄腫、重鎖骨髄腫、及び軽鎖又はベンスジョーンズ骨髄腫を含む。固形腫瘍は、例えば、乳房腫瘍、卵巣腫瘍、肺腫瘍、膵臓腫瘍、前立腺腫瘍、メラノーマ腫瘍、結腸直腸腫瘍、肺腫瘍、頭頸部腫瘍、膀胱腫瘍、食道腫瘍、肝臓腫瘍、及び腎臓腫瘍を含む。
【0210】
癌及び他の新生物形成障害に関連した症状は、例えば、炎症、発熱、全身の不快感、炎症領域に局所化されることが多い発熱、疼痛、食思不振、体重減少、浮腫、頭痛、疲労、発疹、貧血、筋力低下、筋肉疲労、及び腹部の症状、例えば腹痛、下痢又は便秘を含む。
【0211】
具体的態様において、癌(例えば、MM、NHL、AML、乳癌、膀胱癌、非小細胞肺癌/癌腫、肝細胞癌(HCC)、肉腫、及び頭頸部癌)の症状の治療、進行の遅延、妨害、再発の予防又は緩和に有用な、抗-CD47抗体が、本明細書に提供される。例えば、本明細書記載のCD47抗体は、悪性血液疾患及び/又は腫瘍、例えば悪性血液疾患及び/又は腫瘍の治療に有用である。例えば、本明細書記載のCD47抗体は、CD47+腫瘍の治療に有用である。非限定的例として、本明細書記載のCD47抗体は、非ホジキンリンパ腫(NHL)、急性リンパ性白血病(ALL)、急性骨髄性白血病(AML)、慢性リンパ性白血病(CLL)、慢性骨髄性白血病(CML)、多発性骨髄腫(MM)、乳癌、卵巣癌、頭頸部癌、膀胱癌、メラノーマ、結腸直腸癌、膵臓癌、肺癌、平滑筋腫、平滑筋肉腫、神経膠腫、膠芽細胞腫などの治療において有用である。固形腫瘍は、例えば、乳房腫瘍、卵巣腫瘍、肺腫瘍(例えばNSCLC)、膵臓腫瘍、前立腺腫瘍、メラノーマ腫瘍、結腸直腸腫瘍、肺腫瘍、頭頸部腫瘍、膀胱腫瘍、食道腫瘍、肝臓腫瘍(例えば肝細胞癌)、肉腫、及び腎臓腫瘍を含む。
【0212】
具体的実施態様において、(i)ヒトCD47などのCD47に特異的に結合する、本明細書記載の抗-CD47抗体又はその抗原-結合断片、及び(ii)別の抗癌剤を、それを必要とする対象へ投与する(例えば、同時又は逐次投与する)ことを含む、対象において癌(例えば、血液疾患/癌又は固形癌)を治療する方法が、本明細書に提供される。いくつかの実施態様において、この抗癌剤は、化学療法薬(例えば、微小管脱重合阻害剤、代謝拮抗薬、トポイソメラーゼ阻害剤、及びDNA架橋剤又はDNA損傷剤)である。いくつかの実施態様において、この抗癌剤は、チロシンキナーゼ阻害剤(例えば、グリベック(登録商標)(イマチニブメシラート)又はスーテント(登録商標)(SU11248又はスニチニブ))である。チロシンキナーゼ阻害剤の他の非限定的例は、706及びAMNI07(ニロチニブ)、RAD00I、PKC412、ゲフィチニブ(イレッサ(商標))、エルロチニブ(タルセバ(登録商標))、ソラフェニブ(ネクサバール(登録商標))、パゾパニブ(ヴォトリエント(商標))、アクシチニブ、ボスチニブ、セジラニブ(レセンチン(登録商標))、スプリセル(登録商標)(ダサチニブ)、ラパチニブ(タイケルブ(登録商標))、レスタウルチニブ、ネラチニブ、ニロチニブ(タシグナ(登録商標))、セマキサニブ、トセラニブ(パラディア(商標))、バンデタニブ(ザクティマ(商標))、及びバタラニブを含む。
【0213】
具体的態様において、(i)ヒトCD47などのCD47に特異的に結合する、本明細書記載の抗-CD47抗体又はその抗原-結合断片、及び(ii)放射線治療を、それを必要とする対象へ投与する(例えば、同時又は逐次投与する)ことを含む、対象において癌(例えば、血液疾患/癌又は固形癌)を治療する方法が、本明細書に提供される。
【0214】
特定の態様において、ヒトCD47に特異的に結合する本明細書記載の抗-CD47抗体の有効量を、腫瘍細胞と接触させることを含む、貪食を、例えば腫瘍細胞のマクロファージ媒介型貪食性死滅を、促進する(例えば、誘導又は増加する)方法が、本明細書に提供される。同じく、ヒトCD47に特異的に結合する本明細書記載の抗-CD47抗体の有効量を、対象へ投与することを含む、それを必要とする対象(例えば、CD47を発現している腫瘍細胞などの、腫瘍細胞を伴う対象)において、貪食を、例えば腫瘍細胞のマクロファージ媒介型貪食性死滅を、促進する(例えば、誘導又は増加する)方法も、本明細書に提供される。
【0215】
特定の態様において、ヒトCD47に特異的に結合する本明細書記載の抗-CD47抗体の有効量を、腫瘍と接触させることを含む、腫瘍容積を減少する方法が、本明細書に提供される。同じく、ヒトCD47に特異的に結合する本明細書記載の抗-CD47抗体の有効量を、対象へ投与することを含む、それを必要とする対象(例えば、CD47を発現している腫瘍細胞などの、腫瘍細胞を伴う対象)において、腫瘍容積を減少する方法も、本明細書に提供される。
【0216】
特定の態様において、ヒトCD47に特異的に結合する本明細書記載の抗-CD47抗体の有効量を、癌細胞と接触させることを含む、癌細胞の成長又は増殖を阻害する方法が、本明細書に提供される。同じく、ヒトCD47に特異的に結合する本明細書記載の抗-CD47抗体の有効量を、対象へ投与することを含む、それを必要とする対象(例えば、CD47を発現している癌細胞などの、癌細胞を伴う対象)において、癌細胞の成長又は増殖を阻害する方法も、本明細書に提供される。
【0217】
(5.4.1 診断用途)
一態様において、ヒトCD47のECDへ特異的に結合する、本明細書記載の抗-CD47抗体及びその抗原-結合断片は、癌(例えば、結腸直腸癌、胃癌、肺癌、又はメラノーマ)などの、本明細書記載の状態(例えば、CD47及び/又は異常なCD47シグナル伝達及び/又は異常なCD47発現に関与する状態)を検出、診断、又はモニタリングするため、診断目的で使用することができる。具体的実施態様において、診断目的で使用される本明細書記載の抗-CD47抗体又はその抗原-結合断片は、標識される。本明細書記載の状態を検出、診断、又はモニタリングするために診断目的で本明細書に提供される方法は、インビトロ方法、インサイチュ方法、又はエクスビボ方法であることができる。本明細書記載の状態を検出、診断、又はモニタリングするために診断目的で本明細書に提供される方法は、インビボ方法であることができる。
【0218】
いくつかの実施態様において、(a)1以上の本明細書記載の抗体又はその抗原-結合断片を使用し、対象の試料中のCD47の発現をアッセイすること;並びに、(b)CD47発現のレベルを、対照レベル、例えば、正常組織試料(例えば、本明細書記載の状態を有さない患者由来、又はその状態を発症する以前の同一患者由来)のレベルと比較することを含む、癌などの本明細書記載の状態を検出する方法が、本明細書に提供され、これによりCD47発現の対照レベルと比較した、CD47発現のアッセイレベルの増加又は減少は、本明細書記載の状態の指標である。
【0219】
いくつかの実施態様において、(a)1以上の本明細書記載の抗体又はその抗原-結合断片を使用し、対象の試料中のCD47発現をアッセイすること;並びに、(b)CD47発現のレベルを、対照レベル、例えば、正常試料(例えば、癌を有さない患者、CD47を過剰発現しない癌を有する患者、又は癌の発症以前の同一患者)のレベルと比較することを含む、CD47を発現(例えば、CD47を過剰発現)している癌を検出する方法が、本明細書に提供される。具体的態様において、CD47発現のアッセイレベルの対照のCD47発現レベルと比較した増加又は減少は、CD47を発現している癌の指標である。
【0220】
具体的実施態様において、患者においてCD47-発現している癌を診断する方法が、本明細書に提供され、ここでこの方法は:
(a)患者由来の生物学的試料を、1以上の本明細書記載の抗体又はその抗原-結合断片と接触させる工程;
(b)抗体又は抗原-結合断片の、CD47への結合を検出し、患者由来の生物学的試料中のCD47タンパク質レベルを決定する工程;並びに、
(c)このCD47タンパク質レベルを、標準CD47タンパク質レベルと比較する工程:を含む。
【0221】
具体的実施態様において、患者においてCD47-発現している癌の治療期間中CD47タンパク質レベルをモニタリングする方法が、本明細書に提供され、ここでこの方法は:
(a)患者由来の生物学的試料を、1以上の本明細書記載の抗体又はそれらの抗原-結合断片と接触させる工程;
(b)抗体又は抗原-結合断片の、CD47への結合を検出し、患者由来の生物学的試料中のCD47タンパク質レベルを決定する工程;並びに、
(c)このCD47タンパク質レベルを、標準CD47タンパク質レベルと比較する工程:を含む。
【0222】
対象由来の任意の試料(例えば、体液又は組織試料)を、本明細書に提供される診断方法において使用することができる。本明細書に提供される診断方法において使用することができる試料の非限定的例は、血清試料、血漿試料、組織試料、尿試料、腫瘍試料、及び糞便試料を含む。
【0223】
本明細書記載の又は当業者に公知の古典的免疫組織学的方法を使用し、生物学的試料中のCD47レベルをアッセイするために、本明細書記載の抗体を使用することができる(例えば、Jalkanenらの文献、1985, J. Cell. Biol. 101:976-985;及び、Jalkanenらの文献、1987, J. Cell. Biol. 105:3087-3096参照)。タンパク質遺伝子発現の検出に有用な他の抗体-ベースの方法は、酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)及び放射免疫測定(RIA)などの、免疫学的検定を含む。好適な抗体アッセイ標識は、当該技術分野において公知であり、グルコースオキシダーゼなどの酵素標識;ヨウ素(125I、121I)、炭素(14C)、イオウ(35S)、トリチウム(3H)、インジウム(121In)、及びテクネチウム(99Tc)などの、放射性同位元素;ルミノールなどの、発光標識;並びに、フルオレセイン及びローダミンなどの蛍光標識、並びにビオチンを含む。
【0224】
一実施態様において、癌などの、本明細書記載の状態(例えばCD47及び/又は異常なCD47シグナル伝達及び/又は異常なCD47発現に関与する状態)のモニタリングは、最初の診断後、ある期間診断する方法を反復することにより、実行される。
【0225】
標識された分子の存在は、インビボ走査のための当該技術分野において公知の方法を使用し、対象において検出することができる。当業者は、特定の標識を検出するための好適な方法を決定することができるであろう。本発明の診断方法において使用することができる方法及び装置は、コンピュータ断層撮影法(CT)、陽電子(position)放射断層撮影(PET)などの全身の走査、磁気共鳴画像法(MRI)、及び超音波検査を含むが、これらに限定されるものではない。
【実施例】
【0226】
(6. 実施例)
本節(すなわち、第6節)の実施例は、例証のために提供されるものであり、限定のために提供されるものではない。
【0227】
(6.1 実施例1:無細胞(CF)抗体生成)
抗-CD47抗体AB6.12の重鎖及び軽鎖の効率の悪い集成が、無細胞(CF)系において共発現される場合に認められる。このプロセスを向上する一つの方策は、重鎖反応へ折り畳まれた軽鎖を予め添加することを含む。別の方策において、重鎖フレームワーク配列修飾は、驚くべきことにCF系における抗-CD47抗体の重鎖及び軽鎖のより効率的な集成及び共-発現を生じた。重鎖フレームワーク配列修飾を伴うこれらの抗-CD47抗体の特徴決定を、以下により詳細に説明している。
【0228】
(小規模生成)
DsbC(2X DsbC)の過剰-発現を伴う無細胞抽出物を、室温まで解凍し、50μMヨードアセトアミドと共に30分間インキュベーションした。30%(v/v)ヨードアセトアミド-処理した抽出物を、8mMグルタミン酸マグネシウム、10mMグルタミン酸アンモニウム、130mMグルタミン酸カリウム、35mMピルビン酸ナトリウム、1.2mM AMP、0.86mMのGMP、UMP、及びCMPの各々、0.5mMで添加したチロシンを除く19種アミノ酸全てについて2mMアミノ酸、4mMシュウ酸ナトリウム、1mMプトレシン、1.5mMスペルミジン、15mMリン酸カリウム、100nM T7 RNAP、及び2mM酸化型グルタチオン(GSSG)と共に含む、無細胞反応を、30℃で最大10時間試行した。この反応物中の重鎖プラスミド及び軽鎖プラスミドの濃度は、各々、7.5μg/mL及び2.5μg/mLであった。合成されたタンパク質を
14Cで標識するために、3.33%(v/v)l-[U-14C]-ロイシン(300mCi/mmole;GE Life Sciences社、ピスカタウェイ、NJ)を、更にこの反応物へ添加した。この実験において、同じ軽鎖(LC)、配列番号:13と対形成した下記の重鎖(HC)が発現された。
【表3】
【0229】
前記重鎖配列をコードしているヌクレオチド配列の例は、各々、配列番号:23、26、27、24、28、29、25、32及び31で提供される。
【0230】
非還元SDS-PAGEに関して、試料4μL、脱イオン水(DI H
2O)8μL及び4X LDS緩衝液(Invitrogen社、カールスバッド、CA)4μLを混合し、その後ゲルに装加した。還元ゲルに関して、試料4μL、1M DTTの1μL、DI H
2O 7μL、及び4X LDS緩衝液(Invitrogen社、カールスバッド、CA)4μLを混合し、ホットブロットにおいて70℃で5分間加熱した。試料を、4〜12%ビス-トリスSDS-PAGEゲル(Invitrogen社、カールスバッド、CA)により、製造業者の推奨に従い分析した。ゲルを乾燥させ、約16時間曝露後、Storm 840 PhosphoImagerを使用するオートラジオグラフィーにより分析した。このオートラジオグラフィーは、
図1Aに示している。
【0231】
このデータは、IgG1、IgG4P及びIgG4PEのCF発現力価は、それらのHC配列上に5変異及び13変異を操作することにより、各々劇的に改善されることを示している。力価は、
図1Bに報告されている。
【0232】
(大規模生成-IgG1変種)
IgG1-5m及びIgG1-13mZなどの、IgG1変種抗体の大規模CF生成、並びに精製を、実行した。大規模条件は、下記表(例えば、表3-6)により詳細に説明している。両方の変種は、本質的に同じ方法で作製し:最も著しい差は、反応温度であった。IgG1-5mは、25℃で発現させ、及びIgG1-13mZは、30℃で試行した。IgG1-13mZは、25℃と30℃で同様の結果を示したが、IgG1-5mは、30℃に対し、25℃でより高い力価を示した。これら2つの変種間の反応の時機のわずかな差は、単純に、日程計画の都合の結果であり、恐らくこのプロセスに著しい影響は有さないであろう。異なる抽出物を、特定の抽出物必要要件を基にするのではなく、抽出物の入手しやすさを基に、これらの変種について使用した。DsbCの過剰-発現を伴う任意の抽出物は、これらの生成物と同様に作用すると予想される。
【0233】
IgG1-13mZ(IgG1、VH1-18フレームワーク、13+2変異)大規模発現:
S30無細胞抽出物を、50μMヨードアセトアミド(IAM)により、室温で30分間処理した。この処理後、抽出物を、表3の試薬と一緒にし、バイオリアクター(Dci-BioLafitte Evo Bioreactor、最大作業容積10L)に移した。バイオリアクターの制御は、表4に列挙したように構成した。反応の6時間後、追加の5mM(最終濃度)酸化型グルタチオンを、この反応物に添加した。酸化型グルタチオンは、250mMストック溶液として調製し、リアクターへの添加前に、pHを7〜8の間に調節した。この反応を、合計15時間試行し、その後下流の処理へ移した。
【0234】
表3−無細胞反応成分
【表4】
【0235】
表4−バイオリアクター制御設定(反応容積5L)
【表5】
【0236】
抗-CD47抗体IgG1-5m(IgG1、VH1-18フレームワーク、5変異)大規模発現:
S30無細胞抽出物を、50μMヨードアセトアミド(IAM)により、室温で30分間処理した。この処理後、抽出物を、表5の試薬と一緒にし、バイオリアクター(Sartorius Biostat Q Bioreactor、最大作業容積500mL)に移した。バイオリアクターの制御は、表6に列挙したように構成した。反応の5.5時間後、追加の5mM(最終濃度)酸化型グルタチオンを、この反応物に添加した。酸化型グルタチオンは、250mMストック溶液として調製し、リアクターへの添加前に、pHを7〜8の間に調節した。この反応を、合計15.7時間試行し、その後下流の処理へ移した。
【0237】
表5−無細胞反応成分
【表6】
【0238】
表6−バイオリアクター制御設定(反応容積0.5L)
【表7】
【0239】
(6.2 実施例2:CD47結合のビアコア解析)
材料及び方法:
固定:抗-ヒトFc(AHC)表面を、モノクローナルマウス抗-ヒトFc IgG(ビアコアヒト抗体捕獲キットに含まれている、GE Life Sciences社カタログ番号BR-1008-39)を、ビアコアCM5センサーチップ表面へ、アミン-カップリングさせることにより、調製した。固定化手順のための試行緩衝液は、HBS-EP+(10mM HEPES、150mM NaCl、3mM EDTA、界面活性剤として0.05%v/v P-20)であった。以下を、4つ全てのフローセルにおいて行い、表面アミン-カップリングした抗-ヒトFc IgGを調製した。CM5チップ表面は、400mM EDC及び100mM NHSの1:1(v/v)混合物の、7分間にわたる、10μL/分での注入により、活性化した。この処理の後、抗-ヒトIgGを、10mM酢酸ナトリウム緩衝液pH5.0中に、25μg/mLに希釈し、全てのフローセルに10μL/分で7分間注入した。次に、エタノールアミンを、10μL/分で7分間注入し、その表面全てをブロックした。この手順は、センサーチップ上に、〜10,000−11,000 RUの固定化レベルを生じた。
【0240】
動態アッセイ:動態アッセイのために、抗-CD47抗体を、抗-ヒトFc表面(前述のように調製した表面)上に捕獲した。この抗体のヒトFcによる捕獲のために、これらの抗体を、HBS-EP+試行緩衝液中に、10μg/mLに希釈した。この抗体変種を、フローセル2、3又は4上を、流量10μL/分で12秒間流すことにより、固定した。被検体(ヒトCD47抗原)を、試行緩衝液中に希釈し、2倍希釈因子で作製した連続希釈シリーズを調製し、濃度3.125、6.25、12.5、25及び50nMを生じた。抗-CD47抗体捕獲後、CD47被検体を、フローセル上に、50μL/分で、180秒間(3分間)注入し、複合体解離を、900秒間(15分間)モニタリングした。緩衝液ブランクも同じく試行し、且つフィッティング前の被検体結合データを参照するために使用した。抗-ヒトFc表面を、各被検体結合サイクル間で、3M MgCl
2の30μL/分で30秒間の2回の注入により再生した。
【0241】
動態データ解析:所定の抗体−抗原相互作用に関する実験データは、グローバルR
max、グローバルk
a(会合)、グローバルk
d(解離)のパラメータ、並びに定数RI(バルク屈折率)パラメータを使用する、1:1結合モデルを使用し、フィッティングした。活性割合(%リガンド活性)を、下記式を用いて決定し、理論的R
max(R
max Theo)と実験的R
max(R
max exp)の間の関係を計算した。この式において、ストイキオメトリーは、例えば抗体がリガンドであり、各抗体アームは、抗原と相互作用することができ、従ってストイキオメトリーが2である場合の、抗体と抗原の間の相互作用の場合を表す。
【数1】
【0242】
結果:ビアコア解析は、5変異を伴う3種全ての抗-CD47抗体変種(アイソタイプにかかわらず)は、類似した解離速度(off-rate)及び親和性を有し、活性割合(%リガンド活性)およそ38%を持つことを示した。同じく5変異を伴う抗体変種の親和性は、親抗体とよく一致した。このデータは、下記表(表7)にまとめている。
表7:ビアコア結果のまとめ
【表8】
【0243】
抗-CD47抗体変種13m(13変異を伴う)及び13mZ(13変異及びIgG1 Zアロタイプを伴う)に関するデータは、非常に迅速な解離速度を示し、且つ動態パラメータの解析は、1:1結合モデルを基にした信頼できるフィッティングを生じなかった。
【0244】
図2A-2Eは、抗体変種IgG1-5m(
図2A)、IgG1-13m(
図2B)、IgG1-13mZ(
図2C)、IgG4P-5m(
図2D)、及びIgG4PE-5m(
図2E)に関する個々のセンサーグラムを描き;並びに、
図2Fは、抗-CD47対照抗体に関するセンサーグラムを描いている。
【0245】
(6.3 実施例3:直接CD47細胞結合アッセイ)
結合曲線を得るために、試料変種を、各試料について〜66nMの高濃度から出発し、FACS緩衝液(PBS 2%FCS)中、1:2で力価決定した。0.1×10
6個CCRF-EM細胞を、96ウェルプレートに播種し、これを指定された濃度の試料変種を含有するFACS緩衝液50μl中で、氷上で1時間インキュベーションした。次に細胞を、FACS緩衝液150μlで洗浄し、1:100に希釈した二次抗体(抗-ヒト-IgG-PE、Jackson ImmunoResearch社)を含有するFACS緩衝液50μl中で、氷上で1時間インキュベーションした。次に細胞を、FACS緩衝液により洗浄し、2%PFA中で固定し、LSR II、DBフローサイトメーター(BD Biosciences社、サンノゼ、CA)により獲得した。フローサイトメトリー分析は、FloJoソフトウェアバージョン9.6.4を使用し、行った。力価決定曲線及びKdを得るために、平均蛍光強度(MFI)値を、濃度(nM)に対してプロットした。K
d値を、Prism 6、非線形回帰曲線フィッティング解析、ヒル勾配を伴う1サイト特異的結合を用いて計算した。
【0246】
結果:全てのCHO及びCF抗-CD47モノクローナル抗体は、ヒトTリンパ芽球細胞(ATCC(登録商標)CCL-119(商標))であるCCRF-CEM細胞の表面上で、同等の結合Kdを示した。計算されたK
d(nM)値は、下記表(表8)に示している。
表8:
【表9】
【0247】
(6.4 実施例4:貪食アッセイ)
ヒトマクロファージの作製:ヒト末梢血単核細胞(PBMC)を、Stanford Blood Center(パロアルト、CA, USA)から購入したバフィーコート(遠心分離で沈降させた後の、全血の単位中の赤血球と血漿の間の白色層)から単離した。バフィーコートは、PBSで2倍希釈し、50ml Leucosepチューブ(Greiner Bio One社、モンロー、NC, USA)中で15ml NycoPrep 1.077 (Axis-Shield社、ダンディ、スコットランド)上に積層し、1,000×gで20分間遠心した。PBMCを境界面から収集し、35ml PBSで洗浄し、250×gで5分間遠心した。夾雑している赤血球を、10ml ACK溶解緩衝液(Lonza社、アレンデール、NJ, USA)により2分間溶解し、細胞を、40ml PBSにより希釈し、40μm細胞ストレイナー(BD Biosciences社、サンノゼ、CA, USA)を通過させた。細胞を、250×gで5分間遠心し、10%FBS、2mMグルタミン及びペニシリン−ストレプトマイシンを含有するRPMI培地30ml中に再浮遊させた。PBMCをカウントし、且つRPMI培地において、5×10
6個細胞/mlで一晩培養した。翌日、CD14-陽性単球を、AutoMacs Proを用い、CD14マイクロビーズ(Miltenyi Biotech社、オーバーン、CA, USA)により単離し、且つ50ng/ml M-CSF(Peprotech社、ロッキーヒル、NJ, USA)を含有するRPMI培地において、5〜7日間培養し、分化したマクロファージを得た。細胞を、Recovery Cell Culture Freezing Medium(Life Technologies社、グランドアイランド、NY, USA)中で凍結させた。
【0248】
貪食活性の測定:凍結した又は新鮮なヒトマクロファージを、96-ウェル(50ng/ml M-CSFを補充した0.1ml RPMI培地中で20,000個細胞)において、一晩培養した。翌日、1回洗浄後、培地を、M-CSFを含まない50μl RPMIと交換した。CD47-陽性CCRF-CEM細胞(ATCC、マナサス、VA, USA)を、密度1.5×10
6個細胞/ml未満で継代し、10μM CellTrace Oregon Green 488 (Life Technologies社、グランドアイランド、NY, USA)により30分間標識し、且つRPMI培地により3×洗浄した。50μl RPMI培地中の標識したCCRF-CEM細胞(50μl中80,000個細胞)及び抗-CD47抗体を、マクロファージに添加した。抗-CD47抗体を、最終濃度4ng/ml〜10μg/mlで試験した。プレートを、短時間遠心し、37℃で3時間インキュベーションした。マクロファージを、PBSで3×洗浄し、CCRF-CEM細胞を除去し、50μl Accutase(BD Biosciences社、サンノゼ、CA, USA)により37℃で10分間剥離させた。マクロファージを収集し、FACS洗浄緩衝液(0.2%FBSを含有するPBS)により1回洗浄し、抗-CD14-APCにより15分間染色した。細胞を2回洗浄し、4%パラホルムアルデヒドにおいて10分間固定した。細胞を、フローサイトメトリーにより分析し、食細胞指数(phagocytic index)(オレゴングリーンで標識されたCD14-陽性細胞の%)を決定した。GraphPad Prismを用い、データを解析し、可変勾配(4パラメータ)非線形回帰解析を使用し、用量-反応曲線及び半値最大有効濃度(EC
50)値を得た。
【0249】
結果:貪食活性は、全てのIgG1変種(CF及びCHO)、並びにCHOのみ由来のIgG4P及びIgG4PEについて認められた。EC
50値を、下記表に示す(表9)。
表9:
【表10】
【0250】
(6.5 実施例5:血球凝集アッセイ)
公開された試験は、いくつかの抗-CD47抗体は、ヒト赤血球(RBC)の血球凝集を引き起こし得ることを示唆している。従って、血球凝集アッセイを、抗-CD47抗体のRBCの凝集を促進する能力を特徴付けるために実行した。
【0251】
ヒトRBCは、Innovative Research社(カタログ番号IPLA-WB3)を供給業者とした。ヒトRBC(2mL)は、1×dPBS(pH7.4)10mLで洗浄し、500g(1500rpm)で10分間遠心した。上清を、吸引し、ヒトRBCを2回洗浄し、8mLの1×dPBS中に再浮遊させ、20%RBC溶液とした。陽性対照である抗-ヒトRBC(ウサギ)抗体(Rockland Immunochemicals社、カタログ番号109-4139、ロット番号27233)の希釈に関して、1:3連続希釈(10×)で1:64とした。これらの試料の出発濃度は1000nMで、1:3連続希釈(10×)であった。各抗体力価決定は、U字底96ウェルプレートの全てのウェルにピペッティングした(50μL)。RBC溶液(20%RBC溶液の50μL)を、プレートの全てのウェルに添加し、プレートを、37℃で少なくとも1.5時間から12時間インキュベーションした(注記:1.5時間と一晩の間で結果に視認できる差異は存在しない)。抗-ヒトRBC(ウサギ)抗体及びMCA911(マウス抗-ヒトCD47(クローンBRIC 126、Abnova社))を陽性対照として利用した。アッセイは、プレートの表面から目視した。陰性(非-血球凝集)結果は、不変の赤色斑点として出現したのに対し、陽性(血球凝集)結果は、分散した赤色マットとして出現した。
【0252】
結果:陽性対照のみ(ウサギ抗-ヒトRBC抗体及びMCA911(マウス抗-ヒトCD47抗体))が、血球凝集を示した。IgG1-親、IgG4P-親、IgG4PE-親、IgG1-13mZ-CF、IgG1-13m-CF、IgG1-5m-CF、IgG4P-5m-CF、IgG4PE-5m-CFを含む、CHO及び無細胞(CF)-発現された抗-CD47モノクローナル抗体は、血球凝集の証拠を示さなかった。
【0253】
(6.6 実施例6:C1Q結合ELISA)
方法:96-ウェル高タンパク質結合ELISAプレート(MaxSorp Nunc社)を、0.05M炭酸水素ナトリウム緩衝液(pH9)中に希釈した試料抗-CD47抗体変種により、4℃で一晩コーティングした。試料を、133.4nM(20μg/ml)の高濃度に希釈し、11-ポイント希釈曲線において1:2力価決定した。プレートを、PBS、0.05%Tween 20で3回洗浄し、ELISA希釈剤(0.1M NAPO
4、0.1M NaCl、0.1%ゼラチン、0.05%Tween 20、0.05% ProClin300)により、室温で1時間ブロックした。次にプレートを、再度3回洗浄し、ELISA希釈剤中に希釈した2μg/mLヒトC1q(AbD Serotec 2221-5504、1mg/mLストック)と共に、室温で2時間インキュベーションした。次にプレートを、3回洗浄し、ELISA希釈剤中に1:200希釈したヒツジ抗-ヒトC1q HRP(AbD Serotec 2221-5004P)と共に、室温で1時間インキュベーションし、結合したC1qを検出した。次にプレートを、3回洗浄し、次にTMB溶液100μLを添加した。1Mリン酸の100μlの添加により、反応をクエンチし、プレートを、450nMで測定した。対数(インヒビター)、対、反応-可変勾配(4つのパラメータ)を伴う非線形回帰として、Prism6を用い、データをプロットした。
【0254】
結果:IgG1-QN1-CHOは、C1Q ELISAアッセイにおいて活性を示したのに対し、IgG4P、IgG4PE、及びscFv 抗-CD47モノクローナル抗体は、C1Q ELISAアッセイにおいて活性を示さなかった(“NA”)。EC
50値は、下記表(表10)に示している。
表10:
【表11】
【0255】
(6.7 実施例7:補体-依存型細胞傷害(CDC)アッセイ)
方法:CD47-発現している細胞株(Raji及び/又はCCRF)を収集し、CDC緩衝液(RPMI 1640、L-グルタミン(100×ストック液)、及び1%BSA)中に、30万個細胞/mLで再浮遊させた。次に細胞を、96ウェル白色組織培養プレート(Falcon社)の1ウェル当たり10,000個細胞で播種し、最終濃度CDC緩衝液中10μg/mLの試料抗-CD47抗体変種と一緒に、37℃で1時間インキュベーションした。スピンフィルター(Costar SpinX微小遠心管)を使用し、残存する夾雑物を除去した。次にウサギ(7.5%)又はヒト(30%)血清を、それぞれ、最終濃度2.5%及び10%で添加し、37℃で2時間インキュベーションした。血清を、CDCアッセイ緩衝液中に希釈した。次に細胞死を、Cell Tox Gloキット(Promega G292)を、製造業者の指示に従い用い、測定した。プレートを、Envisionルミネセントプレートリーダー(Luminescent 96ウェル完全面積プログラム)上で読み取り、
(処理細胞−自発細胞)/(総溶解−自発溶解)×100
として、パーセントCDC活性を処理した。
【0256】
結果:CDC活性は、Bric 126抗体、抗-CD20 IgG1抗体及び抗-CD20 IgG4抗体において認められたのに対し、CDC活性は、試験したいずれの他の抗体においても認められなかった(“NA”)。EC
50値は、下記表(表11)に示している。
表11:
【表12】
【0257】
(6.8 実施例8:抗体-依存性細胞傷害(ADCC)アッセイ)
方法:PBCを、バフィーコートから調製した。バフィーコートを、PBSにより2-倍希釈し、50ml Leucosepチューブ(Greiner Bio One社、モンロー、NC, USA)中の15ml NycoPrep 1.077(Axis-Shield社、ダンディ、スコットランド)上に積層し、1,000×gで20分間遠心した。PBMCを、境界面から収集し、35ml PBSにより洗浄し、250×gで5分間遠心した。夾雑している赤血球を、10ml ACK溶解緩衝液(Lonza社、アレンデール、NJ, USA)により2分間溶解し、細胞を、40ml PBSで希釈し、40μm細胞ストレイナー(BD Biosciences社、サンノゼ、CA, USA)を通過させた。細胞を、250×gで5分間遠心させ、10%FBS、2mMグルタミン及びペニシリン−ストレプトマイシンを含有するRPMI培地30ml中に再浮遊させた。10,000個のCCRF-CEM細胞又はSKBR3細胞を、96ウェルU字底ポリプロピレンプレート中の各ウェル当たり300,000個PBMCと共に共培養した。PBMCは、Stanford血液センターから受け取ったヒトバフィーコートから調製した。最高濃度22.2nMから開始する試料変種の3倍希釈物を、各ウェルに2つ組で添加し、37℃で3時間インキュベーションした。次に細胞を、製造業者の指示に従い、50μLのGlo試薬により溶解した。プレートを、Envisionルミネセントプレートリーダー(Luminescent 96ウェル完全面積プログラム)上で測定した。ADCC活性%は、
(処理細胞−自発細胞)/(総溶解−自発溶解)×100
として、計算した。
【0258】
結果:ADCC活性が、両方共CHO細胞で発現されたトラスツズマブ(CHO)及びIgG1親-CHOにおいて認められたが;ADCC活性は、試験したいずれの他の抗-CD47抗体(CHO細胞発現又はCF発現)においても、認められなかった(“NA”)。EC
50値は、下記表(表12)に示している。
表12:
【表13】
【0259】
(6.9 実施例9:示差走査熱量測定(DSC)(熱安定性)分析)
方法:示差走査熱量測定(DSC)を、GE VPキャピラリーDSC装置において行った。分析を、60℃/時加熱ランプにより、20〜100℃で、行った。フィードバックモードは無効(disable)であり、フィルタリング期間10秒を利用した。プレ-走査サーモスタット(thermostating)は、5分に設定した。全ての試料は、下記緩衝液中、濃度1mg/mLで試験した:50mM L-ヒスチジン、150mM NaCl、2%トレハロース、pH6.0。
【0260】
結果:3種の異なる抗-CD47 IgG1抗体構築物を、DSCにより分析した:
1)IgG1-13mZ
2)IgG1-13m
3)IgG1-5m。
【0261】
特に、これらの3種の抗体は、Fabドメインに位置した残基のみが異なるとすると、Fabドメイン(TM2)の融解転移は興味深かった。
図3Aのデータに示したように、良好な協力的アンフォールディングが、3種全ての構築体について、Fab転移のために認められ、IgG1-5mは、最高のTM2を示している。
【0262】
下記表(表13)は、3種の抗-CD47 IgG1構築体全てに関する、3つの異なる転移に関する転移温度をまとめている。観察されるように、CH2(TM1)及びCH3(TM3)転移について、わずかな(<1.0℃)TM差異のみを認めることができる。しかしIgG1-5mのTM2は、他の変種にを上回る1.5℃の安定化を示す。
表13
【表14】
【0263】
特に、IgG1-5mは、CHO細胞-培養物由来のIgG4PE(CHO IgG4PE)参照標準と比べ、劇的に改善された温度安定性を示す(
図3B)。認めることができるように、CHO IgG4PE物質に関する全ての熱転移は、75℃以下であるのに対し、IgG1-5mは、有意に安定化され、且つCH2ドメインの62.2℃を除いて、より高い温度で変性した。
【0264】
IgG1状況において観察された熱安定性もまた、IgG4スキャフォールドに翻訳されるかどうかを調べるために、以下の3種の抗-CD47 IgG4変種を、DSCにより比較した:
1)IgG4PE-5m
2)IgG4P-5m
3)IgG4PE CHO。
【0265】
図3Cに示されたサーモグラムにおいて見ることができるように、IgG4P及びIgG4PE構築体(context)におけるFab領域融解は、IgG4PE CHO参照物質と比較した場合に、5-変異の導入により、9℃だけ改善された。
【0266】
まとめると、これらの結果は、Fabドメインの有意な熱安定化は、選択的変異の導入により達成することができることを示している。Fab領域はIgG1スキャフォールドとIgG4スキャフォールドの間で変化しないので、この熱安定性の獲得は、ひとつのスキャフォールドから別のものへ翻訳するように見え、このことはまた、他のIgG1アイソタイプにもあてはまるはずであることを指摘している。
【0267】
(6.10 実施例10:抗-CD47抗体の薬物動態特性)
方法:抗-CD47抗体IgG4-PE CHO、IgG1-CF及びIgG1-5m-CFを、ボーラス静脈内注射により、マウスへ、各々、投与量レベル3.0、3.0及び2.5mg/kgで投与した。血漿試料を、投与後28日間(672時間)にわたる時間の選択された時点で収集し、且つ各タンパク質の濃度を、免疫学的検定により決定した。次に薬物動態パラメータを、WinNonlin ‘v’ 5.3, Phoenix 64 (Certara社、CA)による、非-コンパートメント法を用いて計算した。AUCを、曲線の上昇する部分については線形台形則を、及び下降する部分については対数台形則を用いて計算した。終末相半減期は、血漿濃度の対数、対、時間の回帰から決定した。この回帰に使用したポイントの数は、3つの終末相時間ポイントの最小値を使用する、データの目視検査により決定した。初期分布容積は、ゼロ時まで外挿した投与量/血漿濃度から計算した。全ての他のパラメータは、標準法を使用し、WinNonlinにおいて計算した。
【0268】
結果:IgG4-PE CHO、IgG1-CF及びIgG1-5m-CFの薬物動態は、互いに類似していた。クリアランスは低く、これらの型の化合物について典型的である、同じく低い分布容積にもかかわらず、相対的に長い半減期を生じる。初期分布容積は、血液容積に概算されるのに対し、面積及び定常状態を基にした分布容積は、細胞外水の容積のおよそ半分であった。
【表15】
【0269】
(6.11 実施例11:インビボにおける抗-腫瘍活性)
無細胞系により生成された抗-CD47抗体の抗-腫瘍活性を、ヒト骨髄腫細胞株RPMI8226による異種移植腫瘍モデルを使用し、インビボにおいて試験した。
【0270】
方法:NOD/SCIDマウスに、RPMI 8226細胞を、皮下注射した。引き続き、マウスを、ビヒクル対照hIgG4で処理するか、又は抗-CD47 IgG1-5mなどのCF抗-CD47抗体を、投与量1mg/kg、0.3mg/kg、又は0.1mg/kgで投与した(qw×3)。腫瘍容積を、モニタリングした。
【0271】
結果:
図5は、腫瘍容積、対、腫瘍細胞接種後の日数のグラフを描いている。CF抗-CD47 IgG1-5m抗体は、投与量1mg/kgで83%の腫瘍容積減少(TVR)を、及び投与量0.3mg/kgで50%のTVRを示した。終末期の無腫瘍マウスの割合は、CF抗-CD47 IgG1-5m抗体の投与量1mg/kgについて、25%(2/8)である。
【0272】
本明細書に引用された全ての参考文献(例えば、刊行物又は特許又は特許出願)は、各個別の参照(例えば、刊行物又は特許又は特許出願)が、全ての目的に関してその全体が引用により本明細書中に組み込まれていることが具体的且つ個別に指摘されているのと同程度に、全ての目的に関して、それらの全体が引用により本明細書中に組み込まれている。
【0273】
他の実施態様は、以下の特許請求の範囲内である。
本件出願は、以下の構成の発明を提供する。
(構成1)
ヒトCD47に特異的に結合するモノクローナル抗-CD47抗体であって、該抗-CD47抗体が、無細胞系を使用し生成される場合、該無細胞系を使用し生成された親抗体と比べ、より高い抗体発現力価又は収量を有する、前記モノクローナル抗-CD47抗体。
(構成2)
前記抗体発現力価又は収量が、親抗体と比べ、少なくとも1倍、少なくとも2倍、又は少なくとも3倍だけ高い、構成1記載の抗-CD47抗体。
(構成3)
ヒト化抗体である、構成1記載の抗-CD47抗体。
(構成4)
IgG1抗体である、構成1記載の抗-CD47抗体。
(構成5)
IgG4抗体である、構成1記載の抗-CD47抗体。
(構成6)
EUナンバリングインデックスに従いS228Pアミノ酸置換を含む、IgG4抗体である、構成1記載の抗-CD47抗体。
(構成7)
EUナンバリングインデックスに従いS228P及びL235Eアミノ酸置換を含むIgG4抗体である、構成1記載の抗-CD47抗体。
(構成8)
前記親抗体が、配列番号:1のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域を含む、構成1〜7のいずれか1記載の抗-CD47抗体。
(構成9)
前記親抗体が、配列番号:12のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む、構成8記載の抗-CD47抗体。
(構成10)
前記親抗体が、配列番号:2、3又は4のアミノ酸配列を含む重鎖を含む、構成1記載の抗-CD47抗体。
(構成11)
(i)抗体2A1の相補性決定領域(CDR)1、2、及び3を含む、重鎖可変領域;並びに、(ii)抗体2A1のCDR1、CDR2、及びCDR3を含む、軽鎖可変領域:を含む、構成1記載の抗-CD47抗体。
(構成12)
(i)各々、アミノ酸配列
(化1)
を含む相補性決定領域(CDR)1、2、及び3を含む、重鎖可変領域;並びに、(ii)各々、アミノ酸配列
(化2)
を含むCDR1、CDR2、及びCDR3を含む、軽鎖可変領域:を含む、構成1記載の抗-CD47抗体。
(構成13)
前記親抗体に対する1以上のアミノ酸修飾を含む、構成1〜12のいずれか1記載の抗-CD47抗体。
(構成14)
前記1以上のアミノ酸置換が、重鎖可変領域又は軽鎖可変領域のフレームワーク領域内にある、構成13記載の抗-CD47抗体。
(構成15)
前記重鎖可変領域のフレームワーク領域内の13又は14アミノ酸修飾を含む、構成13記載の抗-CD47抗体。
(構成16)
前記重鎖可変領域のフレームワーク領域内の1〜15アミノ酸修飾を含む、構成13記載の抗-CD47抗体。
(構成17)
前記アミノ酸修飾が、保存的アミノ酸置換である、構成13〜16のいずれか1記載の抗-CD47抗体。
(構成18)
アミノ酸配列:
(化3)
を含む重鎖可変領域(VH)を含み、ここで、位置X1のアミノ酸は、任意のアミノ酸であるか、又は位置X1にはアミノ酸が存在せず、且つ位置X2-X14の各々のアミノ酸は、任意のアミノ酸である、構成1〜12のいずれか1記載の抗-CD47抗体。
(構成19)
前記X1はMであるか、又は位置X1にはアミノ酸が存在せず、X2は、M又はVなどの疎水性側鎖を伴うアミノ酸であり、X3は、T又はPであり、X4は、S又はAであり、X5は、A又はGなどの脂肪族型側鎖を有するアミノ酸であり、X6は、F又はLであり、X7は、D又はGであり、X8は、I又はMなどの疎水性側鎖を伴うアミノ酸であり、X9は、R又はTであり、X10は、R又はTであり、X11は、M又はTであり、X12は、S又はRであり、X13は、E又はDなどの負帯電したアミノ酸であり、並びにX14は、M又はVなどの疎水性側鎖を伴うアミノ酸である、構成18記載の抗-CD47抗体。
(構成20)
前記VHが、配列番号:21のアミノ酸配列を含む、構成18又は19記載の抗-CD47抗体。
(構成21)
前記VHが、配列番号:22のアミノ酸配列を含む、構成18又は19記載の抗-CD47抗体。
(構成22)
配列番号:5のアミノ酸配列を含む重鎖を含む、構成18又は19記載の抗-CD47抗体。
(構成23)
配列番号:6のアミノ酸配列を含む重鎖を含む、構成18又は19記載の抗-CD47抗体。
(構成24)
配列番号:7のアミノ酸配列を含む重鎖を含む、構成18又は19記載の抗-CD47抗体。
(構成25)
配列番号:8のアミノ酸配列を含む重鎖を含む、構成18又は19記載の抗-CD47抗体。
(構成26)
配列番号:9のアミノ酸配列を含む重鎖を含む、構成18又は19記載の抗-CD47抗体。
(構成27)
配列番号:10のアミノ酸配列を含む重鎖を含む、構成18又は19記載の抗-CD47抗体。
(構成28)
配列番号:11のアミノ酸配列を含む重鎖を含む、構成18又は19記載の抗-CD47抗体。
(構成29)
配列番号:13又はN-末端のアミノ酸Mを伴わない配列番号:13のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む、構成18〜28のいずれか1記載の抗-CD47抗体。
(構成30)
投与後に実質的な赤血球枯渇、貧血、又は赤血球枯渇と貧血の両方を引き起こさない、構成1〜29のいずれか1記載の抗-CD47抗体。
(構成31)
投与後に実質的な血小板枯渇を引き起こさない、構成30記載の抗-CD47抗体。
(構成32)
投与後に実質的な細胞凝集を引き起こさない、構成30記載の抗-CD47抗体。
(構成33)
投与後に実質的な赤血球の血球凝集を引き起こさない、構成30記載の抗-CD47抗体。
(構成34)
CD47が、シグナル-制御-タンパク質α(SIRPα)と相互作用するのを阻害する、構成1〜33のいずれか1記載の抗-CD47抗体。
(構成35)
CD47-発現細胞のマクロファージ媒介性貪食を促進する、構成1〜34のいずれか1記載の抗-CD47抗体。
(構成36)
有意なレベルのエフェクター機能を引き起こさない、構成1〜35のいずれか1記載の抗-CD47抗体。
(構成37)
無細胞系を使用し発現される場合に、CHO細胞を使用して発現された場合よりも、FcγRへより低い結合親和性を示すか、又は結合しない、構成1〜36のいずれか1記載の抗-CD47抗体。
(構成38)
前述のより低い結合親和性が、少なくとも1 logより低いか又は少なくとも2 logより低い、構成37記載の抗-CD47抗体。
(構成39)
前記FcγRが、FcγRI、FcγRIIA R131、FcγRIIA H131、FcγRIIB、又はFcγRIIIA V158である、構成37又は38記載の抗-CD47抗体。
(構成40)
無細胞系を使用し発現される場合に、CHO細胞において発現された場合と比べ、グリコシル化されないか、又はより少ないグリコシル化を有する、構成1〜39のいずれか1記載の抗-CD47抗体。
(構成41)
(i)CD47-発現細胞のマクロファージ媒介性貪食を促進し;(ii)投与後有意なレベルの赤血球の血球凝集を引き起こさず;及び/又は、(iii)有意なレベルのADCC又はCDCを引き起こさないかもしくは促進しない、構成1〜40のいずれか1記載の抗-CD47抗体。
(構成42)
前記無細胞系が、S30無細胞抽出物を使用することを含む、構成1〜41のいずれか1記載の抗-CD47抗体。
(構成43)
前記S30無細胞抽出物が、原核生物のジスルフィド結合イソメラーゼDsbCを含む、構成42記載の抗-CD47抗体。
(構成44)
二重特異性抗体である、構成1〜43のいずれか1記載の抗-CD47抗体。
(構成45)
物質にコンジュゲートされている、構成1〜44のいずれか1記載の抗-CD47抗体。
(構成46)
前記物質が、標識又は毒素である、構成45記載の抗-CD47抗体。
(構成47)
治療的有効量の、構成1〜46のいずれか1記載の抗-CD47抗体又はその抗原-結合断片を含有する、医薬組成物。
(構成48)
医薬として許容し得る担体を更に含有する、構成47記載の医薬組成物。
(構成49)
構成1〜46のいずれか1記載の抗-CD47抗体の、VH鎖領域、VL鎖領域、又はVL鎖領域とVH鎖領域の両方をコードしているヌクレオチド配列を含む、ポリヌクレオチド。
(構成50)
構成1〜46のいずれか1記載の抗-CD47抗体の重鎖、軽鎖、又は重鎖と軽鎖の両方をコードしているヌクレオチド配列を含む、ポリヌクレオチド。
(構成51)
重鎖をコードしている配列番号:26-32のいずれか一つのヌクレオチド配列を含む、構成50記載のポリヌクレオチド。
(構成52)
軽鎖をコードしている配列番号:33のヌクレオチド配列を含む、構成50記載のポリヌクレオチド。
(構成53)
(i)構成1〜46のいずれか1記載の抗-CD47抗体のVH又は重鎖をコードしているヌクレオチド配列を含む第一のポリヌクレオチド、及び(ii)構成1〜46のいずれか1記載の抗-CD47抗体のVL又は軽鎖をコードしているヌクレオチド配列を含む第二のポリペプチド:を含む、ポリヌクレオチド集団。
(構成54)
前記第一のポリヌクレオチドが、第一のプロモーターへ機能的に連結され、並びに第二のポリヌクレオチドが、第二のプロモーターへ機能的に連結されている、構成53記載のポリヌクレオチド集団。
(構成55)
構成49〜52のいずれか1記載のポリヌクレオチドを含む、ベクター。
(構成56)
(i)構成1〜46のいずれか1記載の抗-CD47抗体のVH又は重鎖をコードしているヌクレオチド配列を含む第一のベクター、及び(ii)構成1〜46のいずれか1記載の抗-CD47抗体のVL又は軽鎖をコードしているヌクレオチド配列を含む第二のベクター:を含む、ベクター集団。
(構成57)
無細胞抽出物及び構成55記載の1種以上のベクターを含有する、無細胞タンパク質発現のための組成物。
(構成58)
S30無細胞抽出物を更に含有する、構成57記載の組成物。
(構成59)
原核生物のジスルフィド結合イソメラーゼDsbCを更に含有する、構成57又は58記載の組成物。
(構成60)
それを必要とする対象に、構成1〜46のいずれか1記載の抗-CD47抗体を、該対象における癌の治療に十分な量で投与することを含む、癌を治療する方法。
(構成61)
それを必要とする対象に、構成1〜46のいずれか1記載の抗-CD47抗体を、該対象における癌の1以上の症状を緩和するのに十分な量で投与することを含む、癌の症状を緩和する方法。
(構成62)
放射線又は化学療法を施すことを更に含む、構成60又は61記載の方法。
(構成63)
別の抗癌剤を投与することを更に含む、構成60、61、又は62記載の方法。
(構成64)
前記癌が、血液癌である、構成60〜63のいずれか1記載の方法。
(構成65)
前記癌が、固形癌である、構成60〜63のいずれか1記載の方法。
(構成66)
前記癌が、多発性骨髄腫、非ホジキンリンパ腫、急性骨髄性白血病(AML)、乳癌、膀胱癌、非小細胞肺癌/癌腫、肝細胞癌(HCC)、肉腫、又は頭頸部癌である、構成60〜63のいずれか1記載の方法。
(構成67)
構成49〜52のいずれか1記載のポリヌクレオチドを含む、単離された細胞。
(構成68)
構成53又は54記載のポリヌクレオチド集団を含む、単離された細胞。
(構成69)
構成55記載のベクターを含む、単離された細胞。
(構成70)
構成56記載のベクター集団を含む、単離された細胞。
(構成71)
構成1〜46のいずれか1記載の抗-CD47抗体又は抗原-結合断片を生成する、単離された細胞。
(構成72)
(i)構成1〜46のいずれか1記載の抗-CD47抗体のVH又は重鎖をコードしているヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチドを含む第一の宿主細胞、及び(ii)構成1〜46のいずれか1記載の抗-CD47抗体のVL又は軽鎖をコードしているヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチドを含む第二の宿主細胞:を含む、宿主細胞集団。
(構成73)
構成57〜59のいずれか1記載の無細胞タンパク質発現のための組成物により、抗-CD47抗体を発現することを含む、抗-CD47抗体を作製する方法。
(構成74)
構成67〜71のいずれか1記載の細胞により、抗-CD47抗体を発現することを含む、抗-CD47抗体を作製する方法。
(構成75)
前記抗-CD47抗体を精製することを更に含む、構成73又は74記載の方法。