特許第6850260号(P6850260)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6850260放射性物質輸送/貯蔵用パッケージを冷却する空気を自然対流によって案内するシュラウドを含んだ組立体
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6850260
(24)【登録日】2021年3月9日
(45)【発行日】2021年3月31日
(54)【発明の名称】放射性物質輸送/貯蔵用パッケージを冷却する空気を自然対流によって案内するシュラウドを含んだ組立体
(51)【国際特許分類】
   G21F 5/10 20060101AFI20210322BHJP
   G21C 19/32 20060101ALI20210322BHJP
   G21F 9/36 20060101ALI20210322BHJP
   G21F 5/14 20060101ALI20210322BHJP
【FI】
   G21F5/10 N
   G21C19/32 060
   G21C19/32 110
   G21F9/36 531D
   G21F5/14 H
   G21F5/14 T
【請求項の数】23
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2017-549501(P2017-549501)
(86)(22)【出願日】2016年3月24日
(65)【公表番号】特表2018-513969(P2018-513969A)
(43)【公表日】2018年5月31日
(86)【国際出願番号】EP2016056593
(87)【国際公開番号】WO2016151094
(87)【国際公開日】20160929
【審査請求日】2019年3月15日
(31)【優先権主張番号】1552512
(32)【優先日】2015年3月25日
(33)【優先権主張国】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】514312343
【氏名又は名称】テーエヌ アンテルナシオナル
(74)【代理人】
【識別番号】110001416
【氏名又は名称】特許業務法人 信栄特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】バルドン, オリヴィエ
(72)【発明者】
【氏名】ポク, ロラン
(72)【発明者】
【氏名】ガルニエ, リュドヴィク
【審査官】 関口 英樹
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭55−114996(JP,A)
【文献】 特開2013−152168(JP,A)
【文献】 実開昭59−072596(JP,U)
【文献】 特開平07−325191(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G21C19/00−19/10
19/12−19/313
19/32−19/50
23/00
G21F1/00−9/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
放射性物質を輸送及び貯蔵するパッケージ(1)と、前記パッケージ(1)を水平位置に支持するための支持装置(3)とを備える組立体(100)において、
前記支持装置が、構造土台(10)と、前記パッケージ(1)を支持するための支持手段(12)を備え、前記支持手段(12)が前記構造土台によって担持され、そこから上向きに突出する、支持装置(3)であって、
少なくとも一部分が前記構造土台(10)の上方に位置するとともに少なくとも一部分が前記パッケージ(1)の下方に位置し、前記パッケージ(1)を冷却する空気を自然対流によって案内するシュラウド(30)をさらに備え、前記シュラウド(30)が上向きに開口する空洞(32)を画成し、前記パッケージ(1)が前記装置に水平位置に支持されているときに、そのパッケージ(1)の一部分が前記空洞(32)に収容されるよう意図され、前記シュラウド(30)が、その下端部分に、前記空洞(32)に冷却空気を取り入れる少なくとも1つの開口(34)を備え
前記パッケージ(1)のサイドボディ(2)の一部分が前記シュラウド(30)によって画成された前記空洞(32)に収容された状態で、前記パッケージ(1)が前記装置(3)に水平位置に支持される、組立体。
【請求項2】
前記支持手段(12)が、前記パッケージ(1)のヘッド部分(2a)を受けるためのものである第1の支持手段と、前記パッケージ(1)の底部分(2b)を受けるためのものである第2の支持手段とを備え、前記第1のおよび第2の支持手段が、軸方向間隔距離(Dea)だけ軸方向に隔置され、前記シュラウド(30)が、前記軸方向間隔距離(Dea)とほぼ等しい軸方向の長さ(The)を有することを特徴とする、請求項1に記載の組立体
【請求項3】
前記シュラウド(30)が、前記第1の支持手段に取り付けられる第1の軸方向端部(36a)と、前記第2の支持手段に取り付けられる第2の軸方向端部(36b)とを含むことを特徴とする、請求項2に記載の組立体
【請求項4】
前記シュラウド(30)が、前記構造土台(10)に取り付けられることを特徴とする、請求項2または請求項3に記載の組立体
【請求項5】
前記軸方向間隔距離(Dea)が1.5〜4mであることを特徴とする、請求項2〜請求項4のいずれか一項に記載の組立体
【請求項6】
前記シュラウド(30)が全般に半円筒形の形状をしており、その形状を前記少なくとも1つの開口(34)が貫通していることを特徴とする、請求項1〜請求項5のいずれか一項に記載の組立体
【請求項7】
前記シュラウド(30)の横断面が全般に半円形の形状をしていることを特徴とする、請求項6に記載の組立体
【請求項8】
前記シュラウド(30)の横断面が全般に半八角形の形状をしており、前記シュラウド(30)の、前記構造土台(10)に最も近い面(54)が、水平方向と平行に配置されることを特徴とする、請求項6に記載の組立体
【請求項9】
前記構造土台(10)に最も近い面(54)を、前記少なくとも1つの開口(34)が貫通することを特徴とする、請求項8に記載の組立体
【請求項10】
前記少なくとも1つの開口(34)が、前記シュラウド(30)の最下点に配置されることを特徴とする、請求項1から請求項9のいずれか一項に記載の組立体
【請求項11】
前記少なくとも1つの開口(34)が、前記シュラウドの軸方向の全長(La)に沿って延びることを特徴とする、請求項1から請求項10のいずれか一項に記載の組立体
【請求項12】
前記少なくとも1つの開口(34)が100〜500mmの横幅(Ltr)を有することを特徴とする、請求項1〜請求項11のいずれか一項に記載の組立体
【請求項13】
自由空間(38)が前記シュラウド(30)の下に設けられ、前記自由空間が、前記シュラウド(30)の最下点で、50〜400mmのシュラウド下の高さ(Hsc)を有することを特徴とする、請求項1〜請求項12のいずれか一項に記載の組立体
【請求項14】
前記シュラウド下の高さ(Hsc)が、前記開口(34)の横幅(Ltr)の半分以上の大きさになっていることを特徴とする、請求項13に記載組立体
【請求項15】
前記支持装置(3)は、前記パッケージ(1)を輸送及び貯蔵するように構成され、前記パッケージ(1)を支持しているときに前記パッケージ(1)と共に操作されるよう意図されていることを特徴とする、請求項1〜請求項14のいずれか一項に記載の組立体
【請求項16】
前記構造土台(10)が、鉄道輸送システム(82)に属する鉄道車両のプラットフォームの全体または一部分を形成し、あるいは、道路輸送システムに属するトレーラのプラットフォームの全体または一部分を形成することを特徴とする、請求項1〜請求項14のいずれか一項に記載の組立体
【請求項17】
前記パッケージ(1)が操作トラニオン(22)を含み、前記支持手段(12)がハウジング(20)を含み、前記ハウジング(20)のそれぞれが、前記トラニオン(22)のうちの1つを受けることを特徴とする、請求項1〜16のいずれか一項に記載の組立体。
【請求項18】
前記支持手段(12)が、前記パッケージ(1)の前記サイドボディ(2)が載置される少なくとも2つのクレードル(18a’、18b’)を含むことを特徴とする、請求項1〜請求項17のいずれか一項に記載の組立体。
【請求項19】
前記パッケージ(1)の前記サイドボディ(2)が1〜2.5mの外部直径を含むことを特徴とする、請求項〜請求項1のいずれか一項に記載の組立体。
【請求項20】
前記シュラウド(30)が、前記パッケージ(1)の軸方向水平中央平面(44)上またはその近くにそれぞれ位置する2つの対向する横方向端部(42a、42b)を有することを特徴とする、請求項〜請求項19のいずれか一項に記載の組立体。
【請求項21】
前記シュラウド(30)の内部表面と前記パッケージ(1)の前記サイドボディ(2)の外部表面が、その間に、平均厚さ50〜200mmの冷却空気循環路(50)を画成することを特徴とする、請求項〜請求項20のいずれか一項に記載の組立体。
【請求項22】
前記シュラウド(30)の内部表面と、前記パッケージ(1)の前記サイドボディ(2)の外部表面が、その間に、ほぼ一定の厚さの冷却空気循環路(50)を画成することを特徴とする、請求項〜請求項2のいずれか一項に記載の組立体。
【請求項23】
道路または鉄道の放射性物質輸送システム(74、82)において、請求項1〜請求項16のいずれか一項に記載の支持装置(3)を備え、前記支持装置(3)の前記構造土台(10)が、前記輸送システムのプラットフォーム(70)に固定される、あるいはそのプラットフォームの全体または一部分を形成する、輸送システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、放射性物質の輸送および貯蔵の分野に関し、より詳細には、放射性物質を収納するためのパッケージの水平位置での輸送/貯蔵に関する。
【背景技術】
【0002】
放射性物質輸送/貯蔵パッケージは通常、サイドボディ、底および蓋を有する。これらのパッケージ部品は、例えば未使用または使用済みの核燃料集合体や廃棄物容器などの放射性物質を収納するための空洞を画成する。さらに、この収納用の空洞の内部に、各種容器/集合体を設置する区画を画成するためバスケットが配置されうる。
【0003】
パッケージは、様々な場所で貯蔵されかつ/またはそれらの場所の間で輸送されるように、支持装置上に配置され、そこで水平位置に載置される。支持装置は、それだけで独立した存在をなす、あるいは道路または鉄道輸送システムに一体化される。いずれの場合も、この支持装置は、水平位置でパッケージのための機械的支持機能を果たすように設計され、それに対して冷却機能は、交換表面を形成するパッケージの外側表面によって確保される。能力を大きくする場合は、この交換表面をさらに、パッケージのサイドボディの周面に配列したフィンを使用して増大できる。フィンの有無にかかわらず、温度が空間的に極めて不均一になりうる。その原因は、バスケットが空洞の内側表面に接触するため熱負荷が下向きに増大することに加え、空気の加速が不十分なパッケージの下端部分では、自然対流の効率が低いことにある。
【0004】
したがって、冷却フィンがあっても、パッケージが支持装置に水平に載置された場合、パッケージの下端部分は特に高温帯を構成する。温度分布は、パッケージのサイドボディの周囲全体にわたって均一にならない。この高温帯では、そこに周囲空気が可能な限り接近することが困難であるため、放熱の効率が不十分になりうる。この問題は、サイドボディが冷却フィンで覆われていないときにも見られうる。
【0005】
このパッケージの高温帯の温度だけでなく、その範囲を制限するために、冷却フィンを追加することまたは冷却フィンの効率を改善することが企図されうる。しかしながら、それには高い開発/組立コストが必要になる。別の解決策は、生じる高温帯が、中性子吸収樹脂のように影響を受けやすいパッケージ構成物質に対する適格基準を満たすように、パッケージ内の許容熱出力を低減させることである。しかしながら、許容熱出力を低減させると必然的に、そのパッケージによって輸送可能な放射性物質の量が減少する。このことは、運用上の要件に不利な影響を与える。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
したがって、本発明の目的は、従来技術の実施形態に関する上述の欠点を、少なくとも部分的に克服することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
そのために、本発明の一目的は、放射性物質輸送/貯蔵パッケージを水平位置に支持するための支持装置において、上記支持装置が、構造土台と、上記パッケージを支持するための支持手段を備え、上記支持手段が上記構造土台によって担持され、そこから上向きに突出する、支持装置である。本発明によると、上記支持装置は、少なくとも一部分が上記構造土台の上方に位置する、上記パッケージを冷却する空気を自然対流によって案内するシュラウドをさらに備え、上記シュラウドが上向きに開口する空洞を画成し、上記パッケージが上記装置に水平位置に支持されているときに、そのパッケージの一部分が上記空洞に収容されるよう意図され、上記シュラウドが、その下端部分に、上記空洞に冷却空気を取り入れる少なくとも1つの開口を備える。
【0008】
有利には、本発明独自のシュラウドにより、その下端部分における水平位置での貯蔵冷却を、自然対流効果のおかげで改善することが可能になる。したがって、本発明は、許容熱出力を下げることなく、より低コストで、パッケージの下端部分の高温帯を縮小または取り除くことを可能にする解決策である。
【0009】
さらに、上記シュラウドが、パッケージ自体ではなく輸送/貯蔵パッケージを支持するための装置に一体化されることによって、以下の利点が実現される。
−パッケージが使用済み燃料集合体を積み込むためのプールに浸漬される場合に特に、操作上の問題が解消される。実際、もし例えば仏国特許第2467468号に提案されているような覆いを、パッケージが備える必要があるならば、プールの汚染された水が空気取入口を通ってその覆いを貫通し、それによってとりわけ、輸送前のパッケージの除染が複雑になるであろう。
−パッケージの外部表面の周りに一種の覆いを形成する本発明によるシュラウドは、水平構成のパッケージ冷却を改善するためのものである。仏国特許第2467468号の解決策では、パッケージのかかる覆いと、その覆いをパッケージに取り付けるための構造要素を設けたことによって、パッケージが特に貯蔵構成において想定されるように垂直位置にあるときに、その冷却効率が大きく損なわれうる。本発明では、シュラウドが支持体に一体化されることから、この欠点は生じない。
−一般に、「パッケージの下端部分の冷却」機能を支持体に移すと、その機能と、パッケージの他の従来の安全機能との関係を切り離すことが可能になる。したがって、追加の構造的特徴である覆いの影響を、規制上の要件のために正当化する必要がなくなる。
−かかる覆いがパッケージに備え付けられる事例ではさらに、それによってその全体寸法が設備に適合しなくなる可能性がある。逆に、全体の直径を同一に維持することが望ましいならば、結果としてパッケージの能力が低下する。
【0010】
支持装置内部へのシュラウドの一体化によってまた、以下が可能になる。
−1つの同じ支持装置が複数のパッケージの一群を対象とすることから、覆い/シュラウドの製造数を低減、したがってコストを下げること。
−既存のパッケージを変更することなく、つまり本発明による支持体上に既存のパッケージを配置するだけで、熱的な側面に関連する技術的な問題を軽減すること。
−パッケージの下端部分の高温帯を縮小するようにシュラウドを最適化すること。実際、ここに提案する発明では、パッケージを完全に包む必要はない。特に、パッケージが水平位置にあるとみなされるときは、上端部分にシュラウドは必要なく、それに対して従来技術は、パッケージを完全に包むシュラウドを提案している。従来技術とは反対に、本発明はより単純で嵩張らない解決策であるが、この解決策によって、局所的な区画(パッケージの最下点)を冷却するという技術的な問題に、最適な方法で十分に対処することが可能になる。
【0011】
本発明は好ましくは、単独でまたは組み合わせて用いられる以下の任意の特徴のうちの少なくとも1つを有する。
【0012】
上記支持手段が、パッケージのヘッド部分を受けるためのものである第1の支持手段と、パッケージの底部分を受けるためのものである第2の支持手段とを備え、上記第1のおよび第2の支持手段が、軸方向間隔距離(Dea)だけ軸方向に隔置され、上記空気案内シュラウドが好ましくは、上記軸方向間隔距離(Dea)とほぼ等しい軸方向の長さ(La)を有する。
【0013】
上記シュラウドが、上記第1の支持手段に取り付けられる第1の軸方向端部と、上記第2の支持手段に取り付けられる第2の軸方向端部とを含む。
【0014】
上記シュラウドが、上述の支持手段への取り付けの解決策とは別に、またはそれと同時に、上記支持装置の上記構造土台に取り付けられる。
【0015】
上記軸方向間隔距離(Dea)が1.5〜4mである。
【0016】
上記シュラウドが全般に(generally)半円筒形の形状をしており、その形状を上記少なくとも1つの冷却空気取入口が貫通している。
【0017】
例えば、上記シュラウドの横断面は全般に(generally)半円形の形状をしている。
【0018】
他の例によると、上記シュラウドの横断面が全般に(generally)半八角形の形状をしており、上記シュラウドの、上記構造土台に最も近い面が、水平方向と平行に配置される。好ましくは、支持装置の軸方向垂直中央平面は、シュラウド横断面の平面と直交し、シュラウドに対する対称平面を構成する。有利なことに、このシュラウドにより、半八角形断面の傾斜した辺のおかげで、より多くの空気が吸入され、冷気が徐々に下降しやすくなる。さらに、半八角形の構造は、円筒形の形状に似ているという利点を有し、したがってそれにより、より少ないコストで、ほぼ一定の厚さを有する冷却空気流路を実現することが可能になる。
【0019】
半八角形の断面の事例では、上記構造土台に最も近い面を、上記少なくとも1つの冷却空気取入口が貫通する。
【0020】
この点に関して、上記少なくとも1つの冷却空気取入口が好ましくは、上記シュラウドの最下点に配置されるようになっている。このことは、有利なことに、パッケージの高温の最下点またはその近くを空気流が循環できることから、冷却の改善に寄与する。別法として、冷却空気取入口は、シュラウドの最下点の近傍だが正確にはその最下点ではないところに配置されうる。
【0021】
上記少なくとも1つの冷却空気取入口が、上記シュラウドの軸方向の全長(La)に沿って延び、より一般的には、そのシュラウドの軸方向の長さの少なくとも90%に沿って延びると好ましい。
【0022】
上記少なくとも1つの冷却空気取入口が100〜500mmの横幅を有し、優先的には約300mmである。
【0023】
自由空間が上記シュラウドの下に設けられ、上記自由空間が、上記シュラウドの最下点で、50〜400mm、優先的には約200mmのシュラウド下の高さを有する。
【0024】
尚、この点に関して事例によっては、従来のシャーシの事例のように、構造土台は支持手段を連結する桁を含む。この事例では、シュラウドの最下点は桁の最上点よりも下に位置できる。つまり、シュラウドは、桁同士の間に画成される空間において、上記で定義したシュラウド下の最小高さを必ず含む空間に、一部分が配置される。
【0025】
好ましくは、上記シュラウド下の高さが、上記冷却空気取入口の横幅の半分以上の大きさになっている。
【0026】
目安として、上記シュラウドは1〜5mmの厚さを有し、特に全般に(generally)半八角形断面の事例では、好ましくは曲げた板材を使用して製造される。
【0027】
第1の適用例によると、上記支持装置が、パッケージの輸送/貯蔵シャーシを形成し、場合により、上記パッケージを支持しているときに上記パッケージと共に操作されるよう意図される。この事例では、シャーシは、例えば放射性物質輸送システムのプラットフォーム上に配置されうる。このプラットフォームには例えば、鉄道輸送システムに属する鉄道車両のプラットフォームや、道路輸送システムに属するトレーラのプラットフォームなどがある。
【0028】
第2の適用例によると、上記構造土台が、鉄道輸送システムに属する鉄道車両のプラットフォームの全体または一部分を形成し、あるいは、道路輸送システムに属するトレーラのプラットフォームの全体または一部分を形成する。この適用例では、本発明による支持装置は、輸送システムの構造に直接一体化される。この輸送システムは、本発明による支持装置が操作されるように設計されておらず、一体部品である車両上に固定式に留まるよう意図される。
【0029】
本発明はまた、放射性物質輸送/貯蔵パッケージと上述の支持装置とを備える組立体において、上記パッケージのサイドボディの一部分が上記冷却空気案内シュラウドによって画成された上記空洞に収容された状態で、上記パッケージが上記装置に水平位置に支持される、組立体を提供する目的を有する。
【0030】
好ましくは、上記パッケージが操作トラニオン(manipulation trunnions)を含み、上記装置を支持する上記手段がハウジングを含み、上記ハウジングのそれぞれが、上記トラニオン(trunnions)のうちの1つを受ける。
【0031】
他の可能形態によると、上記装置を支持する上記手段が、上記パッケージの上記サイドボディが載置される少なくとも2つのクレードルを含む。
【0032】
採用される設計に関係なく、上記パッケージの上記サイドボディは、好ましくは1〜2.5mの外部直径を含む。
【0033】
通気を改善するために、上記冷却空気案内シュラウドが好ましくは、上記パッケージの軸方向水平中央平面上またはその近くにそれぞれ位置する2つの対向する横方向端部を有する。
【0034】
優先的には、上記シュラウドの内部表面と上記パッケージの上記サイドボディの外部表面が、その間に、平均厚さ50〜200mmの冷却空気循環路を画成する。
【0035】
尚、この点に関して、シュラウドは、2つの機能を果たす。第1の機能とは、基本的なものであり、パッケージの下に新鮮な空気を差し入れることである。第2の機能とは、空気がシュラウドに入ったら、その空気をパッケージの周りに最良の状態で循環させることである。自然対流の性質によって、循環する空気は、パッケージの側壁に張り付く。しかしながら実際には、パッケージのサイドボディの側面とほぼ平行なシュラウドを用いると、通気の効率が良くなる。
【0036】
したがって、優先的には、上記シュラウドの内部表面と、上記パッケージの上記サイドボディの外部表面が、その間に、ほぼ一定の厚さの冷却空気循環路を画成することが企図される。つまり、吸入流量を最大にし、それによって通気を改善するために、これらの両表面がほぼ平行になっている。
【0037】
最後に、本発明の一目的は、道路または鉄道の放射性物質輸送システムにおいて、上述の支持装置を備え、上記支持装置の上記構造土台が、上記輸送システムのプラットフォームに固定される、あるいはそのプラットフォームの全体または一部分を形成する、輸送システムを提供することである。
【0038】
本発明の他の利点および特徴は、以下の非限定的な詳細説明で明らかになる。
【0039】
この説明は添付の図面に関して行われる。
【図面の簡単な説明】
【0040】
図1】放射性物質輸送/貯蔵パッケージとその支持装置を含んだ、本発明の第1の好ましい実施形態による組立体の斜視図である。
図2図1に示されている組立体の側面図である。
図3図2の線III−IIIに沿った横断面図である。
図3a】支持装置のシュラウドが他の実施形態をとっている、図3と同様の図である。
図3b】支持装置のシュラウドが他の実施形態をとっている、図3と同様の図である。
図4】放射性物質輸送/貯蔵パッケージとその支持装置を含んだ、本発明の第2の好ましい実施形態による組立体の斜視図である。
図5】本発明による組立体を含んだ、道路の放射性物質輸送システムの側面図である。
図6】本発明による組立体を含んだ、鉄道の放射性物質輸送システムの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0041】
まず、図1〜3を参照すると、本発明の第1の好ましい実施形態による組立体100が示されている。この組立体100は、放射性物質の輸送/貯蔵用パッケージ1と、そのパッケージを支持する支持装置3を備える。この実施形態では、装置3は、例えば地面5の表面などに載置される輸送/貯蔵シャーシの形をとる。パッケージ1は支持装置3から独立しており、例えばストラップや補強材、トラニオン(trunnions)などを使用して、その支持装置3に取り外し可能な形で一時的に取り付けられうる。
【0042】
従来通りに、パッケージ1は、サイドボディ2と、底と、その底と反対側にあるパッケージの開口を封止する蓋を備える。底および蓋はそれぞれ、図2および3に示されているように、パッケージ本体の両端に取り付けられた2つの緩衝キャップ6で覆われうる。
【0043】
パッケージ1は、サイドボディ2の中心に位置する、蓋とそのパッケージの底を通過する縦軸8を有する。軸8はシャーシ3とほぼ平行に配置される。したがって、パッケージ1がシャーシ3上に水平位置に載置されると、その縦軸8もまた、水平方向を向く。
【0044】
また従来通りに、パッケージは、積荷の外側の覆いを形成し、放射性物質の収納部として、場合により貯蔵バスケット9として機能する空洞7を画成する。放射性物質は、例えば廃棄物容器、さらには核燃料集合体11でありうる。
【0045】
本発明の特徴は輸送/貯蔵シャーシ3の設計にあるが、その特徴について、次に図1〜3を参照して詳細に説明する。
【0046】
全体的に、シャーシ3は、構造土台10と、その土台10によって担持されるパッケージを支持するための手段12を含む。
【0047】
この第1の好ましい実施形態では、構造土台は、組立体100の縦方向に沿って水平に延びる主桁14と、組立体100の横方向に沿って水平に延び、主桁14を連結する連結桁16とで作られる。全ての桁14、16は好ましくは、構造土台10の平面に対応する同一の平面上にある。
【0048】
支持手段12は、パッケージのヘッド部分2aと関連付けられた第1の支持手段と、パッケージの底部分2bと関連付けられた第2の支持手段とに分散配置される。より正確には、第1の支持手段は、構造土台から垂直上向きに突出する2つのポスト18aを備え、それに対して第2の支持手段は、同様に突出して配置された2つのポスト18bを備える。
【0049】
第1および第2のポスト18a、18bはそれぞれ、上端に、パッケージのサイドボディ2に装備された操作トラニオン(manipulation trunnion)22を受けるハウジング20を含む。各トラニオン(trunnions)22は、従来通りに、この外部直径が1〜2.5mのサイドボディ2から横方向に突出して配置される。このサイドボディがその周面に冷却フィンを備える場合、その直径の値は、こういったフィンの存在を含む。
【0050】
第1のポスト18aと第2のポスト18bの間の軸方向の間隔距離Deaは1.5〜4mであり、それに対してサイドボディ2の全長Ltは2〜6mである。これらの値は、組立体100の軸方向/縦方向に対応する軸8の方向に沿って判断される。
【0051】
この実施形態では、第1のポスト18aと第2のポスト18bの間の空間が、パッケージを冷却する空気を自然対流によって案内するシュラウド30を含むことから、機能化される。
【0052】
このシュラウド30は、少なくとも一部分が構造土台10の上方に位置し、上向きに開口する空洞32を画成する。パッケージが第1のおよび第2のポスト18a、18bに水平位置に支持されているときに、そのパッケージの一部分が上記空洞32に収容されるよう意図されている。通気を可能にするために、シュラウド30は、その下端部分に、空洞32に冷却空気を取り入れる少なくとも1つの開口34を備える。この開口34は、シュラウドの最下点に配置され、好ましくはシュラウドの軸方向の長さLaと等しい軸方向の長さに沿って延びる。この長さは、第1のポスト18aと第2のポスト18bの間の軸方向の間隔距離Deaとほぼ等しい。実際、シュラウドの第1の軸方向端部36aは、第1のポスト18aに取り付けられ、それに対して第1の軸方向端部と反対側にある第2の軸方向端部36bは、第2のポスト18bに取り付けられる。
【0053】
この好ましい実施形態では、シュラウド30は、全般に(generally)半円筒形の形状をしており、その形状は、中心が軸8上またはその近くに位置する全般に(generally)半円形の横断面を有する。開口34がシュラウド30の軸方向の全長Laに沿って延びる好ましい事例では、それによってシュラウド30が、開口34によって分離された2つの4分の1円柱の形をとり、その横幅Ltrは100〜500mm、好ましくは約300mmである。
【0054】
さらに、自由空間38がシュラウドの下に設けられ、この自由空間の下限は、主桁14の間にある地表面5からなる。シュラウド30の最下点における、この自由空間38のシュラウド下の高さHscは、50〜400mmであり、優先的には約200mmである。より一般的には、高効率化のために、シュラウド下の高さHscは、冷却空気取入口34の横幅Ltrの半分以上の大きさになっている。
【0055】
組立体100の軸方向垂直中央平面40は、開口34を縦方向かつ対称的に通過する。この平面40の両側に、シュラウド30は、パッケージ1の軸方向水平中央平面44上またはその近くにそれぞれ位置する、2つの対向する横方向端部42a、42bを有する。サイドボディ2に装備されたトラニオン22にも、この中央平面44が対称的に通過する。
【0056】
尚、より詳細に図3を参照すると、シュラウドの内部表面とパッケージのサイドボディの外部表面は、それらの間に、平均厚さ50〜200mmを有する冷却空気循環路50を画成する。この流路50を画成する両表面間に、このほぼ一定の比較的薄い厚みを設ける、つまり平行関係を適用することによって、冷却空気は実際に、自然対流によって上記組立体の周りを最良の状態で循環しうる。より正確には、本発明独自のシュラウド30を用いることにより、水平位置でのパッケージの冷却を、その下端部分において、空気の自然対流効果によって改善することが可能になる。この空気は、まず開口34を通過してから、流路50内を循環し、次に上記シュラウドの横方向端部42a、42bのところで上向きに流出する。したがって、上記組立体の下端部分における従来からの高温帯の範囲および最大温度が、有利なことに、パッケージ内の許容熱出力を下げることなく、より低コストで低減される。
【0057】
図3aに示されている他の実施形態によると、シュラウド30は、全般に(generally)半八角形の横断面を有し、そのシュラウド30の、構造土台10に最も近い面54は、水平方向に平行、つまり軸8に平行に配置される。この実施形態では、支持装置の軸方向垂直中央平面40が、シュラウド30に対して対称平面を構成し、それに対してもう一方の中央平面44が、半八角形の断面を上方で画定する。傾斜した両側面56によって、より多くの空気量を吸入することが可能になり、冷気が徐々に下降しやすくなる。この実施形態では、シュラウド30とサイドボディ2の外部表面との間にある流路50の厚みは、向かい合う両要素間に幾何形状の差があるために、わずかに変動する。ただし、その平均厚みは上述の値の範囲内に留まる。
【0058】
構造土台10に最も近い水平の面54を、その面54の中心に配置された冷却空気取入口34が貫通する。
【0059】
シュラウド30は、半八角形断面の角度に折り曲げられた、厚さ1〜5mmの例えば板材を使用して作られる。
【0060】
図3bに示されている他の実施形態によると、シュラウド30は、全般に(generally)半円形の横断面を有する点で、図3のシュラウド30と類似した第1の部分30aを有する。ただし、ポスト18、18bと一体になった第1の部分30aは、上端から下端に向かって厚みを増大させて、2つの縦方向下側リム60を形成する。この2つのリム60はそれぞれ、シュラウドの第2の部分30aによって形成された別のリム62と向かい合う。このシュラウドの第2の部分は、構造土台10の上側部分に取り付けられている。例として、第2の部分30bは、軸8と平行な縦長構造体の形をしており、この構造体は、その側面のうちの2つがそれぞれリム62を形成するような三角形の横断面を有する。
【0061】
リム60、62からなる各対は冷却空気取入口34を形成し、その取入口34の向きは制御されうる。好ましくは、パッケージ1の最下点の近くに垂直に位置する、中央平面40の左側の開口34は、空気を流路50の右方に送るように向けられ、それに対して中央平面40の右側に位置する開口34は、空気を流路50の左方に送るように向けられる。これによって、冷却を向上させるために、冷却空気を肝心のパッケージ1の最下点に最も近づけることが可能になる。
【0062】
図4に示されている本発明の第2の好ましい実施形態によると、第1のおよび第2の支持手段はこの場合2つのクレードル18a’、18b’の形態を有し、それらのクレードルに、パッケージ1のサイドボディ2が載置される。クレードルは補強材64によって上端が閉じられうる。この補強材64によって、パッケージのサイドボディを、その保持を改善するために完全に取り囲むことが可能になる。
【0063】
この第2の実施形態では、構造土台10は、前述の実施形態のものと等しいまたは類似している、あるいは図4に示されているように、それより中実の形状でありうる。
【0064】
シュラウド30は、同様の軸方向の長さLaに沿って延びる。この長さはやはり、クレードル18a’と18b’の間の軸方向の間隔距離Deaに対応する。
【0065】
尚、企図した設計に関係なく、上述の第1の適用例によると、支持装置3は、パッケージの輸送/貯蔵シャーシを形成する。このシャーシは場合により、パッケージを支持しているときにそのパッケージと共に操作されるよう意図される。この事例では、上記シャーシは、例えば放射性物質輸送システムのプラットフォームに配置されうる。このプラットフォームには、鉄道輸送システムに属する鉄道車両プラットフォームや、さらには図5に示されているように道路輸送システム74に属するトレーラ72のプラットフォーム70などがある。
【0066】
あるいは、図6に示されているように、構造土台10が、鉄道輸送システム82に属する鉄道車両80のプラットフォームの全体または一部分を形成する、あるいは、道路輸送システムに属するトレーラのプラットフォームの全体または一部分を形成することが提供される。この適用例では、本発明による支持装置が、輸送システムの構造に直接一体化される。この輸送システムは、本発明による支持装置が操作されるようには設計されておらず、一体部品である車両上に固定式に留まるよう意図される。
【0067】
図6では、鉄道車両80が、従来通りにいわゆる「キャノピー」要素80を備える。この要素は、この鉄道車両のプラットフォーム10に取り付けられ、組立体100を覆うためのものである。この要素86は、プラットフォーム上を摺動する複数の部品に分けて設けられうる。これらの部品は、特に、本発明独自のシュラウド30を通過するよう意図された冷却空気を循環させるために、空気の導入/排出を可能にするグリッド88を備える。
【0068】
当然ながら、単に非限的な例として説明した本発明には、当分野の技術者によって様々な変更が行われうる。
【符号の説明】
【0069】
1 放射性物質の輸送/貯蔵用パッケージ
2 サイドボディ
2a パッケージのヘッド部分
2b パッケージの底部分
3 支持装置、シャーシ
5 地面
6 緩衝キャップ
7 空洞
8 縦軸
9 貯蔵バスケット
10 構造土台
11 核燃料集合体
12 支持手段
14 主桁
16 連結桁
18a 第1のポスト
18a’ クレードル
18b’ クレードル
18b 第2のポスト
20 ハウジング
22 操作トラニオン(manipulation trunnion)
30 シュラウド
30a シュラウドの第1の部分
30b シュラウドの第2の部分
32 空洞
34 冷却空気取入口
36a シュラウドの第1の軸方向端部
36b シュラウドの第2の軸方向端部
38 自由空間
40 軸方向垂直中央平面
42a シュラウドの横方向端部
42b シュラウドの横方向端部
44 軸方向水平中央平面
50 冷却空気循環路
54 シュラウドの構造土台に最も近い面
56 シュラウドの傾斜した側面
60 リム
62 リム
64 補強材
70 プラットフォーム
72 トレーラ
74 道路輸送システム
80 鉄道車両
82 鉄道輸送システム
86 キャノピー要素
88 グリッド
100 組立体
図1
図2
図3
図3a
図3b
図4
図5
図6