特許第6850265号(P6850265)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6850265
(24)【登録日】2021年3月9日
(45)【発行日】2021年3月31日
(54)【発明の名称】蛍光体セラミック
(51)【国際特許分類】
   G02B 5/20 20060101AFI20210322BHJP
   C09K 11/78 20060101ALI20210322BHJP
   C09K 11/79 20060101ALI20210322BHJP
   C09K 11/68 20060101ALI20210322BHJP
   C09K 11/08 20060101ALI20210322BHJP
   C04B 35/495 20060101ALI20210322BHJP
   F21V 9/38 20180101ALI20210322BHJP
   F21S 2/00 20160101ALI20210322BHJP
   H01L 33/50 20100101ALI20210322BHJP
   H01L 33/00 20100101ALI20210322BHJP
   C09K 11/80 20060101ALN20210322BHJP
   F21Y 115/10 20160101ALN20210322BHJP
【FI】
   G02B5/20
   C09K11/78
   C09K11/79
   C09K11/68
   C09K11/08 J
   C04B35/495
   F21V9/38
   F21S2/00 100
   H01L33/50
   H01L33/00 L
   !C09K11/80
   F21Y115:10
【請求項の数】12
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2017-564737(P2017-564737)
(86)(22)【出願日】2016年6月24日
(65)【公表番号】特表2018-527600(P2018-527600A)
(43)【公表日】2018年9月20日
(86)【国際出願番号】EP2016064721
(87)【国際公開番号】WO2016207380
(87)【国際公開日】20161229
【審査請求日】2019年6月13日
(31)【優先権主張番号】102015110187.4
(32)【優先日】2015年6月24日
(33)【優先権主張国】DE
(31)【優先権主張番号】102015110189.0
(32)【優先日】2015年6月24日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】517086096
【氏名又は名称】シーバラ アイピー アイ ビー.ブイ.
(74)【代理人】
【識別番号】100079049
【弁理士】
【氏名又は名称】中島 淳
(74)【代理人】
【識別番号】100084995
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 和詳
(72)【発明者】
【氏名】ユステル、 トーマス
(72)【発明者】
【氏名】メーラー、 シュテファニー
(72)【発明者】
【氏名】バウアー、 フロリアン
(72)【発明者】
【氏名】クラッツ、 ナジャ
(72)【発明者】
【氏名】ベルナー、 ヤン
(72)【発明者】
【氏名】デミルタシュ、 ムラート
(72)【発明者】
【氏名】ホノルド、 ユルゲン
(72)【発明者】
【氏名】ヒルゲリンク、 トム
【審査官】 中山 佳美
(56)【参考文献】
【文献】 特表2010−521805(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 5/20−5/28
H01L 33/50
G03B 21/14
G02F 1/13357
H01S 5/00−5/50
C09K 11/08
F21S 2/00
F21V 8/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
発光材料を少なくとも2種含む蛍光体セラミックを含み、
前記発光材料のうちの1種は、その他の発光材料の融点よりも200℃以上低い融点を有し、且つマトリックス材料として用いられる、
発光デバイス。
【請求項2】
前記マトリックス材料の融点が1300℃以下である、請求項1に記載の発光デバイス。
【請求項3】
前記マトリックス材料が、赤色発光性である、請求項1又は請求項2に記載の発光デバイス。
【請求項4】
前記マトリックス材料が、その他の発光材料の融点よりも400℃以上低い融点を有する、請求項1〜請求項3のいずれか一項に記載の発光デバイス。
【請求項5】
非マトリックス材料が、ガーネット構造を有する材料を含む、請求項1〜請求項3のいずれか一項に記載の発光デバイス。
【請求項6】
前記発光材料のうちの前記マトリックス材料ではない1種が、緑色発光性又は黄色発光性である、請求項1〜請求項4のいずれか一項に記載の発光デバイス。
【請求項7】
前記発光材料のうちの前記マトリックス材料ではない1種が、青色発光性である、請求項1〜請求項6のいずれか一項に記載の発光デバイス。
【請求項8】
前記蛍光体セラミックが、マトリックス材料ではない発光材料を2種以上含み、
前記蛍光体セラミック内に、これらの非マトリックス発光材料に属する選択された材料のみが本質的に存在する1又は複数のゾーン又は領域が存在する、請求項1〜請求項7のいずれか一項に記載の発光デバイス。
【請求項9】
前記蛍光体セラミック中の前記マトリックス材料の体積分率(完成蛍光体セラミックにおける体積%/体積%)が20%以上99%以下である、請求項1〜請求項8のいずれか一項に記載の発光デバイス。
【請求項10】
前記マトリックス材料が下記を含む群より選択される材料を含み:
ALn1−x−yEu:RE
(Ln1−x−yEuMO:RE2y
(Ln1−x−yEu:RE2y
(Ln1−x−yEu12:RE2y
(Ln1−x−yEu15:RE2y
(Ln1−x−yEuMO12:RE6y
(AE1−2x−yEux+yMO:RE3y
AE(Ln1−x−yEu(MoO:RE
ここで、各構造について独立に、Aはアルカリ金属(すなわち、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウム、又はこれらの混合物から成る群より選択される)であり、AEはアルカリ土類金属(すなわち、ベリリウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム、又はこれらの混合物から成る群より選択される)であり、Lnはスカンジウム、イットリウム、ランタン、ガドリウニウム、及びルテチウム、又はこれらの混合物から成る群より選択される希土類金属であり、Mはモリブデン、タングステン、又はこれらの混合物であり、REはテルビウム、ジスプロシウム、プラセオジム、ネオジウム、又はこれらの混合物から成る群より選択される希土類金属であり、0<x≦1及び0≦y≦0.05であり、
LiBa(Tb1−x−yEuLn(Mo1−z32
AE(Tb1−x−yEuLn(Mo1−z32
A(Tb1−x−yEuLn)(Mo1−z
(Tb1−x−yEuLn(Mo1−z)O
(Tb1−x−yEuLn(Mo1−z
(Tb1−x−yEuLn(Mo1−z15
(Tb1−x−yEuLnSiO
(Tb1−×−yEuLnSi
A(Tb1−x−yEuLn)SiO
Ba(Tb1−x−yEuLnSi13
AE(Tb1−x−yEuLnSi13
Sr(Tb1−x−yEuLnSi18
AE(Tb1−x−yEuLnSi18
(Tb1−x−yEuLnGeO
(Tb1−x−yEuLnGe
A(Tb1−x−yEuLn)GeO
Ba(Tb1−x−yEuLnGe13
AE(Tb1−x−yEuLnGe13
Sr(Tb1−x−yEuLnGe18
AE(Tb1−x−yEuLnGe18
(Tb1−x−yEuLn(Ge1−a−bZrHf)O
(Tb1−x−yEuLn(Ge1−a−bZrHf
A(Tb1−x−yEuLn)(Ge1−a−bZrHf)O
Ba(Tb1−x−yEuLn(Ge1−a−bZrHf13
Sr(Tb1−x−yEuLn(Ge1−a−bZrHf18
(Tb1−x−yEuLn(Mo1−z12
ここで、各材料について独立に、Ln=La、Gd、Lu、Y、又はこれらの混合物であり、
A=Li、Na、K、Rb、Cs、又はこれらの混合物であり、好ましくはLiであり、
AE=Sr、Ca、Ba、又はこれらの混合物であり、好ましくはBa及び/又はSrであり、
xは0より大きく1未満であり、yは0以上1未満であり、ここで、1−x−y>0であり、a及びbは0以上0.2未満であり、zは0以上1以下であり、
非マトリックス材料が、ガーネット構造を有する材料を含む、請求項1〜請求項9のいずれか一項に記載の発光デバイス。
【請求項11】
(a)少なくとも1種の発光マトリックス材料及び少なくとも1種の更なる発光材料を含む粉末形態の出発材料を提供する工程;
(b)所望により設けられる成形する工程;
(c)前記出発材料を焼結及び/又はホットプレスしてセラミック化する工程;
(d)所望により設けられる、焼結したセラミックを熱間静水圧プレスによって再圧縮する工程;
(e)所望により設けられる、焼結したセラミックを再加工する工程;
を含む、請求項1〜請求項10のいずれか一項に記載の発光デバイスを製造する方法。
【請求項12】
オフィス照明システム、家庭用途システム、店舗照明システム、家庭照明システム、アクセント照明システム、スポット照明システム、劇場照明システム、光ファイバー用途システム、プロジェクションシステム、自発光ディスプレイシステム、画素化ディスプレイシステム、セグメントディスプレイシステム、警戒標識システム、医療用照明用途システム、表示標識システム、装飾照明システム、携帯用システム、自動車用途、及び温室照明システムのうちの1つ又は複数に用いられる、請求項1〜請求項10のいずれか一項に記載の発光デバイスを含むシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発光デバイスの分野に関し、より詳細には、セラミックが用いられている発光デバイスの分野に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、発光デバイスにおける光子の下方変換(down−conversion)にセラミックを用いることに、専門家の間で関心が高まっている。その理由は、セラミックが、一般的により高い温度でも安定であり、例えばシリコーン材料とは対照的に、高温での老化(aging)に起因する褐変(browning)のリスクが無く、従って劣化のリスクが無いからである。更に、粉末ポリマーコンポジットと比較して、セラミックは熱伝導率が高く、そのように改善された熱管理の結果、熱消光(thermal quenching)が低減される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
発光デバイスでは一般的であるように、及びセラミックシステムの場合でも、更なる最適化及び改善が常に求められている。従って、改善された発光デバイス及び/又はそのようなデバイスのための材料を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本目的は、本発明の請求項1に記載の発光デバイスによって達成される。従って、発光材料少なくとも2種含む蛍光体セラミックが提供され、ここで、
−前記材料のうちの1種は、その他の材料の融点よりも200℃以上(≧200℃)低い融点を有し;且つ
−この材料は、マトリックス材料として用いられる。
【図面の簡単な説明】
【0005】
図1図1は、本発明に係る発光デバイスの第一の実施形態を示す。
図2図2は、本発明に係るデバイスの第一の蛍光体セラミックの非常に模式的な断面図を示す。
図3図3は、本発明に係るデバイスの第二の蛍光体セラミックの非常に模式的な断面図を示す。
図4図4は、本発明に係るデバイスの第三の蛍光体セラミックの非常に模式的な断面図を示す。
図5図5は、実施例Iに係るセラミックの発光スペクトルを示す。
図6図6は、実施例IIに係るセラミックの発光スペクトルを示す。
図7図7は、実施例IIIに係るセラミックの発光スペクトルを示す。
図8図8は、実施例IIIのセラミック及び2つの個々の物質のXRDスペクトルを示す。
図9図9は、実施例IVに係るセラミックの発光スペクトルを示す。
図10図10は、実施例Vに係るセラミックの発光スペクトルを示す。
図11図11は、実施例VIに係るセラミックの発光スペクトルを示す。
図12図12は、実施例VIのセラミック及び2つの個々の物質のXRDスペクトルを示す。
【発明を実施するための形態】
【0006】
驚くべきことに、上記発光デバイスの特性を、多くの用途において著しく改善することができることが見出された。特に、本発明に係るデバイスは、ほとんどの実施形態及び具体的な実施において、以下の利点の1又は複数を提供する:
−生産プロセスの単純化及びコスト最適化、比較的低い温度での生産;
−単一パネルでの全セラミック製ウォームホワイト(CCT<4000K)ソリューション;
−得られるスペクトル(CRI、CCT、CIE 1931の色点、赤色の割合(R9)))に関連した最終製品の適合;
−マトリックス中に埋め込まれた蛍光体が焼結されていない(効率又は発光スペクトル等、埋め込まれた蛍光体の機能が変化しない)こと;
−様々な生産プロセスへのセラミックの適合/様々な成形プロセスを用いることによる調節可能な加工性;
−パネル厚さを独立して選択できること;
−得られる光スペクトルに関係なく、励起パスを最適化するためのパネル厚さの適合(特にEu3+の存在下)。
【0007】
本発明によれば、「蛍光体」という用語は、適切な励起(好ましくは、青色範囲、紫色範囲、UV−A範囲、又はUV−B範囲(すなわち、特に280〜490nm)での励起)後に光(特に400〜2500nm(可視+赤外スペクトル)の波長範囲内の光)を発する材料を特に意味する、又は包含する。
【0008】
本発明によれば、「蛍光体セラミック」という用語は、発光材料(複数)から本質的に成るセラミックを特に意味する。
【0009】
本発明によれば、「本質的に」という用語は、95%以上(≧95%)(体積%/体積%)、より好ましくは98%以上(≧98%)(体積%/体積%)、最も好ましくは99%以上(≧99%)(体積%/体積%)の割合を意味する、且つ/又は包含する。
【0010】
本発明の別の実施形態によると、上記蛍光体セラミックは、特に、従って好ましくは、マトリックス材料、更には非発光材料を含み、好ましくは、或る場合にはドープされた材料が、他の場合にはドープされていない材料が用いられる。このことは、この方法によってドーパント材料の割合が制限され得るか、又はドープレベルが最適化され得るため、本発明の多くの実施形態において有利であることが示された。いくつかの場合では、セラミックの加工及び特性を最適化するために、ドーパントレベルを調節して、異なる材料間の特定の重量比を達成することが望ましい場合もある。
【0011】
本発明によれば、「セラミック」という用語は、制御された量の細孔を含むか、又は非多孔性である稠密(compact)結晶又は多結晶材料を特に意味する、且つ/又は包含する。
【0012】
本発明によれば、「多結晶材料」という用語は、個々の結晶ドメインの80パーセント超を成し、主成分の90パーセント超のかさ密度を有する材料を特に意味し、及び/又は包含し、ここで、各結晶ドメインは、0.1〜20μmの直径及び異なる結晶方位を有する。個々の結晶ドメインは、互いに接合されていてよいか、又はアモルファス若しくはガラス質材料によって、若しくは追加の結晶相によって希釈されていてもよい。
【0013】
本発明の好ましい実施形態によると、結晶材料は、理論的密度の90%以上100%以下(≧90%〜≦100%)の密度を有する。これは、本発明の多くの用途において有利であることが見出された。
【0014】
本発明に係る「マトリックス材料」という用語は、埋め込み材料として用いられるか、又は埋め込まれた材料(1又は複数)をその定められた位置に固定するための支持として作用する材料、並びに/又は1若しくは複数の無機発光材料が埋め込まれている無機のセラミック/多結晶発光材料を特に意味し、又は包含する。これは本発明の好ましい実施形態を表すものであるが、マトリックス材料は、埋め込まれた発光材料が強固に包含されるように、熱プロセスによって圧縮されてよい。
【0015】
本発明によれば、マトリックス材料は、その他の発光材料の融点よりも200℃以上(≧200℃)低い融点を有する。2種以上の蛍光体が存在する場合、これは、マトリックス材料が、この次に高い融点を有する発光材料の融点よりも200℃以上(≧200℃)低い融点を有することを特に意味する。
【0016】
本発明の好ましい実施形態によれば、マトリックス材料は、その他の発光材料の融点よりも400℃以上(≧400℃)、より好ましくは600℃以上(≧600℃)、最も好ましくは800℃以上(≧800℃)低い融点を有する。
【0017】
本発明の好ましい実施形態によれば、マトリックス材料は赤色発光性である。これは多くの理由からほとんどの用途において有利であることが示されており、つまり、一つの側面では、対応する低融点材料が入手可能であるからであり、別面では、発光のエネルギー位置による(すなわち、赤色放射線のエネルギーが最も低いという事実による)ものである。
【0018】
本発明の好ましい実施形態によれば、発光材料のうちのマトリックス材料ではない1種は、緑色発光性又は黄色発光性である。これは、本発明のほとんどの用途において有利であることが見出された。
【0019】
本発明の好ましい実施形態によれば、発光材料のうちのマトリックス材料ではない1種は、青色発光性である。これは、本発明のほとんどの用途において有利であることが見出された。
【0020】
本発明の好ましい実施形態によれば、蛍光体セラミックは発光材料を少なくとも3種含み、ここで、これらのうちの1種は赤色発光性であり、1種は緑色発光性であり、1種は青色発光性であることが好ましい。しかし、本発明はこれに限定されず、別の選択肢として、例えば、赤色、緑色、若しくは青色発光性のいずれかであるか、又は(例えば)黄色、NIR、若しくはUV等の他のスペクトル範囲で発光する更なる発光材料が提供されてもよい。
【0021】
本発明の代替としての好ましい実施形態によれば、蛍光体セラミックは、赤色発光性マトリックス材料と、緑色及び/又は黄色発光性の他の材料と、を含む。この実施形態は、青色発光性一次ビーム源(例えば青色LED)から開始する場合、特に有利であることが見出された。
【0022】
本発明に係る「赤色発光性」という用語は、適切な励起後に、600nm〜650nm間に少なくとも1つの発光帯を有する材料を意味する、及び/又は包含する。
【0023】
本発明の好ましい実施形態によれば、赤色発光性材料は、下記からなる群より選択される材料を含む:
ALn1−x−yEu:RE
(Ln1−x−yEuMO:RE2y
(Ln1−x−yEu:RE2y
(Ln1−x−yEu12:RE2y
(Ln1−x−yEu15:RE2y
(Ln1−x−yEuMO12:RE6y
(AE1−2x−yEUx+yMO:RE3y
AE(Ln1−x−yEu(MO:RE、又は
これらの混合物;
ここで、各構造について独立に、Aはアルカリ金属(すなわち、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウム、又はこれらの混合物から成る群より選択される)であり、AEはアルカリ土類金属(すなわち、ベリリウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム、又はこれらの混合物から成る群より選択される)であり、Lnはスカンジウム、イットリウム、ランタン、ガドリウニウム、及びルテチウム、又はこれらの混合物から成る群より選択される希土類金属であり、Mはモリブデン、タングステン、又はこれらの混合物であり、REはテルビウム、ジスプロシウム、プラセオジム、ネオジウム、又はこれらの混合物から成る群より選択される希土類金属であり、0<x≦1及び0≦y≦0.05である。
【0024】
本発明の好ましい実施形態によれば、赤色発光性材料は、下記を含む群より選択される材料、又はこれら材料の混合物を含む:
LiBa(Tb1−x−yEuLn(Mo1−z32
AE(Tb1−x−yEuLn(Mo1−z32
A(Tb1−x−yEuLn)(Mo1−z
(Tb1−x−yEuLn(Mo1−z)O
(Tb1−x−yEuLn(Mo1−z
(Tb1−x−yEuLn(Mo1−z15
(Tb1−x−yEuLnSiO
(Tb1−x−yEuLnSi
A(Tb1−x−yEuLn)SiO
Ba(Tb1−x−yEuLnSi13
AE(Tb1−x−yEuLnSi13
Sr(Tb1−x−yEuLnSi18
AE(Tb1−x−yEuLnSi18
(Tb1−x−yEuLnGeO
(Tb1−x−yEuLnGe
A(Tb1−x−yEuLn)GeO
Ba(Tb1−x−yEuLnGe13
AE(Tb1−x−yEuLnGe13
Sr(Tb1−x−yEuLnGe18
AE(Tb1−x−yEuLnGe18
(Tb1−x−yEuLn(Ge1−a−bZrHf)O
(Tb1−x−yEuLn(Ge1−a−bZrHf
A(Tb1−x−yEuLn)(Ge1−a−bZrHf)O
Ba(Tb1−x−yEuLn(Ge1−a−bZrHf13
Sr(Tb1−x−yEuLn(Ge1−a−bZrHf18
(Tb1−x−yEuLn(Mo1−z12
ここで、(各材料について独立に)Ln=La、Gd、Lu、Y、又はこれらの混合物であり、
A=Li、Na、K、Rb、Cs、又はこれらの混合物であり、好ましくはLiであり、
AE=Sr、Ca、Br、又はこれらの混合物であり、好ましくはBa及び/又はSrであり、
xは0より大きく1未満(x>0且つ<1)であり、yは0以上1未満(y≧0且つ<1)であり、ここで、1−x−y>0であり、a及びbは0以上0.2未満(a及びb≧0且つ<0.2)であり、zは0以上1以下(z≧0及び≦1)である。上記材料は、本質的に上記材料から成ることが好ましい。
【0025】
特に好ましい材料は、LiBa(Tb1−x−yEuLn(Mo1−z32、A(Tb1−x−yEuLn)(Mo1−z、(Tb1−x−yEuLn(Mo1−z)O、(Tb1−x−yEuLn(Mo1−z、(Tb1−x−yEuLn(Mo1−z15、(Tb1−x−yEuLn(Mo1−z12、又はこれらの混合物であり、ここで、A、Ln、x、及びyは、上述した通りに定義される。上記材料は、本質的に上記材料から成ることが好ましい。
【0026】
本発明の好ましい実施形態によれば、非マトリックス材料は、ガーネット構造を有する材料を含む。これは、本発明内のいくつかの用途において有利であることが見出された。この材料は、マトリックス材料中に分布及び/又は分散されていることが好ましい。
【0027】
「ガーネット構造」という用語は、立方晶系材料、特に、一般構造ΑΒ[ΧO(ここで、Aは二価カチオン、Bは三価カチオン、Xは四価カチオンを表す)の材料、及び/若しくは一般構造ΑΒ[RO(ここで、A、B、Rは三価カチオンであり、B及びRは同一であってよい)の材料、又はこれらの構造の混合物を特に意味する、及び/又は包含する。
【0028】
本発明によれば、「緑色発光性」という用語は、適切な励起後に、少なくとも500nm〜550nmの発光を有する材料を特に意味し、及び/又は包含する。緑色発光材料としては、以下の構造が特に好ましい:BaMgAl1017:Eu2+,Mn2+、(Sr1−xCa)Si:Eu2+、(Sr1−xBaSiO:Eu2+、(Sr1−xBaSiO:Eu2+、(Sr1−xBa)Ga:Eu2+、(Lu1−x(Al1−yGa12:Ce3+、(Lu1−x(Al1−ySc12:Ce3+、BaSi:Eu2+、又はこれらの材料の混合物。
【0029】
本発明によれば、「青色発光性」という用語は、適切な励起後に、少なくとも420〜500nmの発光を有する材料を特に意味し、及び/又は包含する。以下の構造が特に好ましい:(Ba1−xSr)MgAl1017:Eu2+、(Ba1−xSr)MgAl1425:Eu2+、(Sr,Ca,Mg)Si:Eu2+、CaAl:Eu2+、(Ba1−xSr)AlSi:Eu2+、(Ba1−xSrBP20:Eu2+、(Ca1−x−ySrBa(PO(F1−aCl):Eu2+、(Y,Gd)(Nb1−xTa)O、(Ba,Sr,Ca)MgSi:Eu2+、(Ba1−xSr)ZrSi:Eu2+、又はこれらの材料の混合物。
【0030】
本発明によれば、「黄色発光性」という用語は、適切な励起後に、少なくとも550〜590nmの発光を有する材料を特に意味し、及び/又は包含する。以下の構造が特に好ましい:BaSi:Eu2+、(Ca1−xSr)Si:Eu2+、(Y1−xGd(Al1−yGa12:Ce3+、(Y1−xTb(Al1−yGa12:Ce3+、SrLiSiO:Eu2+、(Ca1−xSrSiO:Eu2+、(Ca1−xSrSiO:Eu2+、又はこれらの材料の混合物。本技術分野において慣習的であるように、緑色発光性及び黄色発光性と称される材料には、ある程度の重なり合う部分が存在することは理解される。
【0031】
本発明の好ましい実施形態によれば、マトリックス材料の融点は1300℃以下(≦1300℃)である。これは、この方法により、ほとんどの用途において蛍光体セラミックの良好な加工性及び製造性を確保することができることから、有利であることが示された。マトリックス材料は、1100℃以下(≦1100℃)、より好ましくは1000℃以下(≦1000℃)、最も好ましくは900℃以下(≦900℃)の融点を有することが好ましい。
【0032】
本発明の好ましい実施形態によれば、蛍光体セラミック中のマトリックス材料の体積分率(完成蛍光体セラミック中の体積%/体積%)は、20%以上99%以下(≧20%〜≦99%)であり、40%以上95%以下(≧40%〜≦95%)であることが好ましく、60%以上90%以下(≧60%〜≦90%)であることが最も好ましい。これは、本発明の多くの用途において有利であることが示された。
【0033】
「非マトリックス」材料は、各々独立して、20μm以下(≦20μm)の粒径分布D90を有することが好ましい。これは、多くの用途において有利であることが示された。
【0034】
「非マトリックス」材料は、各々独立して、10μm以下(≦10μm)の粒径分布D50を有することが好ましい。これもやはり、多くの場合において有利であることが示された。
【0035】
本明細書にて、粒径分布は、研磨及びエッチングを受けたサンプルの構造を示す顕微鏡で得られた画像に関する直線切片法(linear intercept methods)等の立体学的方法(stereological methods)によって特定されてよい。
【0036】
本発明の好ましい実施形態によれば、蛍光体セラミックは、マトリックス材料ではない発光材料を2種以上含み、蛍光体セラミック内に、これらの「非マトリックス」発光材料に属する選択された材料のみが実質的に存在する1又は複数のゾーン又は領域が存在する。本発明の好ましい実施形態によれば、これらのゾーン又は領域は、蛍光体セラミック内におけるランダム(すなわち、均一)な濃度若しくは濃度勾配によって、又は代替案として、本発明の好ましい実施形態によれば、熱ラミネーションプロセス(熱接合)によって異なる組成の2つの蛍光体セラミックを接合することによって実現することができる。
【0037】
本明細書において、本発明の好ましい実施形態に係るこれらの選択された材料は、同じ色を発する材料、すなわち、緑色、青色、及び/又は黄色発光性の材料である。
【0038】
この実施形態は、例えばゾーン又は領域を摩滅させることによって、蛍光体セラミックの色点を簡単に後で変化させることができるため、ほとんどの用途において有利であることが示された。
【0039】
本明細書において、本発明の好ましい実施形態によれば、材料の選択的除去は、イオンビーム作製法若しくはレーザープロセスによって、又は、本発明の代替の実施形態によれば、確定された若しくは不定の切削エッジを用いた機械加工若しくは微細粉砕プロセスによって行われてよい。
【0040】
本発明の更なる好ましい実施形態によれば、更に、粉砕及び研磨プロセスによる後加工(post−processing)が行われる。これにより、本発明の多くの用途において、表面品質を高めることができ、再現性を確保することができる。
【0041】
代替案として、コンポジットセラミック(すなわち、上記のマトリックス材料及び少なくとも1種の非マトリックス材料)の色点は、セラミック合成プロセスでの各成分の注意深い秤量及び混合によって制御され、目的の励起波長での外部励起によって測定されてもよい。この色情報を用いて、コンポジットセラミックを好ましい発光デバイスに適合させることができ、また、この発光デバイスの色も独立して測定され得る。これにより、ターゲットとする色点(通常は白色)を、高い精度で制御することができ、製造プロセス内での色点の分布が狭くなり得るものであり、このことは、エンドユーザーにとって、及び歩留まりという観点からも望ましい。
【0042】
本発明の好ましい実施形態によれば、蛍光体セラミックは、発光材料を少なくとも2種含み、ここで、
上記材料のうちの1種はマトリックス材料として用いられ、且つ以下を含む群から選択される材料を含み:
ALn1−x−yEu:RE
(Ln1−x−yEuMO:RE2y
(Ln1−x−yEu:RE2y
(Ln1−x−yEu12:RE2y
(Ln1−x−yEu15:RE2y
(Ln1−x−yEuMO12:RE6y
(AE1−2x−yEUx+yMO:RE3y
AE(Ln1−x−yEu(MoO:RE
LiBa(Tb1−x−yEuLn(Mo1−z32
AE(Tb1−x−yEuLn(Mo1−z32
ここで、各構造について独立に、Aはアルカリ金属(すなわち、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウム、又はこれらの混合物から成る群より選択される)であり、AEはアルカリ土類金属(すなわち、ベリリウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム、又はこれらの混合物から成る群より選択される)であり、Lnはスカンジウム、イットリウム、ランタン、ガドリウニウム、及びルテチウム、又はこれらの混合物から成る群より選択される希土類金属であり、Mはモリブデン、タングステン、又はこれらの混合物であり、REはテルビウム、ジスプロシウム、プラセオジム、ネオジウム、又はこれらの混合物から成る群より選択される希土類金属であり、0<x≦1であり、0≦y≦0.05であり、
LiBa(Tb1−x−yEuLn(Mo1−z32
AE(Tb1−x−yEuLn(Mo1−z32
A(Tb1−x−yEuLn)(Mo1−z
(Tb1−x−yEuLn(Mo1−z)O
(Tb1−x−yEuLn(Mo1−z
(Tb1−x−yEuLn(Mo1−z15
(Tb1−x−yEuLnSiO
(Tb1−×−yEuLnSi
A(Tb1−x−yEuLn)SiO
Ba(Tb1−x−yEuLnSi13
AE(Tb1−x−yEuLnSi13
Sr(Tb1−x−yEuLnSi18
AE(Tb1−x−yEuLnSi18
(Tb1−x−yEuLnGeO
(Tb1−x−yEuLnGe
A(Tb1−x−yEuLn)GeO
Ba(Tb1−x−yEuLnGe13
AE(Tb1−x−yEuLnGe13
Sr(Tb1−x−yEuLnGe18
AE(Tb1−x−yEuLnGe18
(Tb1−x−yEuLn(Ge1−a−bZrHf)O
(Tb1−x−yEuLn(Ge1−a−bZrHf
A(Tb1−x−yEuLn)(Ge1−a−bZrHf)O
Ba(Tb1−x−yEuLn(Ge1−a−bZrHf13
Sr(Tb1−x−yEuLn(Ge1−a−bZrHf18
(Tb1−x−yEuLn(Mo1−z12
ここで、(各材料について独立に)、Ln=La、Gd、Lu、Y、又はこれらの混合物であり、
A=Li、Na、K、Rb、Cs、又はこれらの混合物であり、好ましくはLiであり、
AE=Sr、Ca、Ba、又はこれらの混合物であり、好ましくはBa及び/又はSrであり、
xは0より大きく1未満(x>0且つ<1)であり、yは0以上1未満(y≧0且つ<1)であり、ここで、1−x−y>0であり、a及びbは0以上0.2未満(a及びb≧0且つ<0.2)であり、zは0以上1以下(z≧0且つ≦1)であり、
又はこれらの混合物;且つ
少なくとも1種の更なる材料は、ガーネット構造を有する材料を含む。
【0043】
驚くべきことに、多くの用途において、発光デバイスの特性を著しく向上することができることが見出された。特に、驚くべきことに、これらの用途のほとんどの場合、これらの材料は製造プロセスの過程で互いに反応しないか、又は僅かしか反応しないことが見出された。
【0044】
ガーネット構造を有する材料は、マトリックス材料中に分布及び/又は分散されていることが好ましい。
【0045】
また本発明は、本発明に係る蛍光体セラミックを製造する方法にも関し、この方法は、
(a)少なくとも1種の発光マトリックス材料及び少なくとも1種の更なる発光材料を含む粉末形態の出発材料を提供する工程;
(b)所望により設けられる成形する工程、特に軸プレス及び/若しくは冷間静水圧プレス、並びに/又はテープ成形若しくはスロットダイプロセス、並びに/又は熱可塑性プロセス(射出成形、高温注型(低圧又は中圧射出成形)、押出し)によって成形する工程;
(c)出発材料を焼結及び/又はホットプレスしてセラミック化する工程;
(d)所望により設けられる、焼結したセラミックを熱間静水圧プレスによって再圧縮する工程;
(e)所望により設けられる、焼結したセラミックを再加工する工程、特にイオンビーム作製プロセスによって、又は確定された若しくは不定の切削エッジを用いた機械加工若しくは微細粉砕プロセスによって、焼結したセラミックを再加工する工程;
を含む。
【0046】
このようにすると、ほとんどの用途において好適な蛍光体セラミックを容易に作製することができることから、この方法は有用であることが示された。
【0047】
工程(b)は、圧縮プロセスが20MPa以上45MPa以下(≧20〜≦45MPa)の圧力で行われるように実施されることが好ましい。
【0048】
工程(d)は、再圧縮が120MPa以上180MPa以下(≧120〜≦180MPa)、好ましくは140MPa以上160MPa以下(≧140〜≦160MPa)の圧力で行われるように実施されることが好ましい。
【0049】
「非マトリックス」発光材料の不均一な分布が所望される場合、対応する蛍光体セラミックの生産では、まず、それぞれ、マトリックス材料及び選択されたその他の発光材料のみが用いられている2種の前駆体セラミックを作製する。次に、これらを、例えば、熱接合(thermal bonding)、ラミネーション、及び/又は接着(gluing)によって互いに接合することが可能である。
【0050】
本発明に係るデバイスは、限定されるものではないが、以下を含む様々な特定の位相構造又は用途に用いることができる。
【0051】
1.「直接堆積蛍光体セラミック」:
蛍光体セラミックは、LEDダイス上に、場合によってはシリコーン、ゾルゲル、又はガラス等の中間接合材料を用いて、薄板として直接適用される。
【0052】
2.「リモート蛍光体」システム:
「リモート蛍光体(remote phosphor)」システムとは、蛍光体(発光団(luminophore)、英語:phosphor)が、狭い波長範囲で発光する発光光源から離れて配置され、通常は、ポリマー、ガラス、又はセラミックマトリックスの中に埋め込まれるか又は結合されているデバイスを特に意味する。従って、リモート蛍光体システムは、蛍光体が発光ダイスに直接適用されているLED光源等、光源に蛍光体が直接付与されているシステムとは根本的に異なっている。通常、2つの基本的構造で区別が成され、それらから多くの変型例が誘導され得る:
【0053】
(a)「透過型リモート蛍光体用途」:蛍光体マトリックスは、LEDが配置されている反射チャンバー上に配置される。光は、蛍光体マトリックスを通してのみ出ることができる(透過)。
【0054】
(b)「再発光(remission)型リモート蛍光体用途」:蛍光体マトリックスは、反射キャリア上に付与されるか、又は後ろ側に反射材料と共にコーティングされ、LED光源は発光方向に又は発光方向から僅かに横にずらして配置され、蛍光体マトリックス上に照射する。変換された光は、光源の方向に、又は放射方向に再発光し、蛍光体マトリックスを透過した光は、後ろ側の反射層によって、再度、蛍光体マトリックスを通して発光方向へ向けられる。従って、光は、再発光方向にのみ出ることができる。
【0055】
本発明の好ましい実施形態によれば、本発明の発光システム内において、セラミック蛍光体は、LEDチップと光学的に結合されていてもよい。
【0056】
このようなLEDチップは、III〜V族窒化物材料システムに基づくものであってよい。例えば、LEDチップは、有機金属化学蒸着(MOCVD)又は分子ビームエピタキシ(MBE)等の公知の方法によって適切な基材(例えば、サファイヤ、炭化ケイ素、ケイ素、Ga、又はGaN自体)上に堆積されたn型及びp型GaN層の間に、GaInN系活性領域を含んでいてもよい。LED活性領域からセラミック蛍光体への光学的結合は、基材を介して(透過性基材及びフリップチップ実装構成の場合)、又はエピタキシャル層を介して(基材ダウン実装(substrate−down mounting)の場合、又は薄膜フリップチップLED構造の場合のように基材が除去された場合)行われてよい。セラミック蛍光体は、典型的にはシリコーン接着剤等の透明接着剤によって、LEDチップに物理的に接着されていてよい。
【0057】
代替案として、セラミック蛍光体は、LEDチップから離れて実装されてもよい。LEDチップからの一次光、及びセラミック蛍光体から発せられた光の指向及び/又は混合を補助するために、光学材料が光学的に提供される。例えば、光反射性シリコーン材料を、LEDチップ及びセラミック蛍光体の側面を取り囲むように適用することによって、実質的に全ての光放出がセラミック蛍光体の上面を通るようにしてもよい。これは、輝度を増加すると共に、色の均一性を均質化するという有益性も有する。
【0058】
LEDチップは、セラミックパッケージ又はリードフレーム系パッケージ等のパッケージ中に実装されて、機械的安定性及び/又は取り扱い性、並びに熱放散手段が提供されてもよい。更に、パッケージは、セラミック蛍光体を含むLEDチップを取り囲むレンズを適用するためのステージを提供し得る。このようなレンズは、透明シリコーンから作られ、セラミック蛍光体からの光取り出しを補助するドームの形態に成形されていてよい。
【0059】
電流は、LEDチップ内のn型層及びp型層に付与されたオーム接触材料に電気的に接続されたパッケージ内の電極を介して、LEDチップに供給される。この電流の一部は、LED活性領域内で光発生に変換される。LED活性領域の詳細な設計に応じて、一次光の発光波長範囲を調整することができる。例えば、GaInNの場合、この選択性の範囲は、UV−Aから可視スペクトル全体であり得る。特に、一次発光波長は、例えば、特定の演色特性を有する特定の発光色度を提供するために、望ましい方法でセラミック蛍光体と相互作用を起こすように選択され得る。
【0060】
LEDチップ及びセラミック蛍光体を含む上記で述べた1又は複数のパッケージされたLEDは、照明システムの一部として用いてもよい。そのような照明システムは、照明モジュール、ランプ、又は照明器具(luminaire)であり得る。照明モジュールは、パッケージされたLEDを複数個含み得るものであり、光調整のための追加の手段(光学素子)、及び熱管理のための追加の手段(受動的又は能動的ヒートシンク手段)を含む。所望に応じて、モジュールは、主電源又はバッテリー電源からLEDに目的とする電流及び電圧のレベルを供給するための電気駆動手段を更に含んでいてもよい。ランプは、通常、標準的な筐体形態要素(standard housing form factor)に成形され、典型的には、LED(単数又は複数)に加えて、標準的なソケットインターフェイスを介して主電源と結合する電気駆動手段を含む。同様に、照明器具は、筐体を有し、典型的には、前記LED(単数又は複数)に加えて、主電源と結合する電気駆動手段を含む。更に、センサー及び/又は通信用電子回路が照明システム中に含まれていてもよい。
【0061】
本発明に係る発光デバイス及び/又はセラミック蛍光体は、広く様々なシステム及び/又は用途に用いられてよく、中でも、以下のうちの1又は複数である:
−オフィス照明システム(office lighting systems)、
−家庭用途システム(householf application systems)、
−店舗照明システム(shop lighting systems)、
−家庭照明システム(home lighting systems)、
−アクセント照明システム(accent lighting systems)、
−スポット照明システム(spot lighting systems)、
−劇場照明システム(theater lighting systems)、
−光ファイバー用途システム(fiber−optics application systems)、
−プロジェクションシステム(projection systems)、
−自発光ディスプレイシステム(self−lit display systems)、
−画素化ディスプレイシステム(pixelated display systems)、
−セグメントディスプレイシステム(segmented display systems)、
−警戒標識システム(warning sign systems)、
−医療用照明用途システム(medical lighting application systems)、
−表示標識システム(indicator sign systems)、及び
−装飾照明システム(decorative lighting systems)、
−携帯用システム(portable systems)、
−自動車用途(automotive applications)、
−温室照明システム(green house lighting systems)。
【0062】
上記で述べ、請求の範囲に記載し、例示的実施形態に記載した本発明に従って用いられるべきデバイスは、そのサイズ、形状、材料選択、及び技術的概念に関して、特定のいかなる例外も受けるものではなく、それによって、適用分野で公知である選択基準を制限なく適用することができる。
【0063】
本発明の主題の更なる詳細、特徴、及び利点は、従属請求項から、並びに本発明に係るデバイスのいくつかの実施形態が例として示される添付の図面、及び限定としてではなく、単なる例示として見なされるべきである以下の例に関する添付の図面の以下の記述から得ることができる。
【0064】
図1は、「リモート蛍光体」用途での本発明に係る発光デバイスの第一の実施形態を示す。しかし、これは、限定するものではなく、当業者であれば、他の実施形態も考えられることは明らかである。図1によれば、デバイス1は、UVA又は青色発光半導体デバイス20を含み、これは、例えば、窒化ガリウム系LEDである。代替案として、半導体デバイス20は、レーザーであってもよく、又はより高い電流を可能とすることによって、mm当たりのより高い放射出力を実現する他のLED技術に基づいていてもよい。
【0065】
半導体デバイス20は、反射性筐体30中に配置され、その上に、セラミック蛍光体10が形成される。
【0066】
図2は、本発明に係るデバイスの第一の蛍光体セラミック10の非常に模式的な断面図を示す。図1から分かるように、セラミック10は、追加の発光材料12が小さい結晶粒又は粒子の形態で中に分散されているマトリックス材料11を含む。
【0067】
図3は、代替案としての発光セラミックを示し、この場合、破線で示される2つのゾーンが存在する。図3の上側のゾーンには、「非マトリックス」発光材料12のみが配置されており、下側のゾーンには、更なる材料13が配置されている。この蛍光体セラミックは、好ましくは書きのように製造される:まず、一方のケースでは材料12のみが、他方のケースでは材料13のみがマトリックス材料11と共に加工されて、2つのプレセラミックが作製される。続いて、2つのセラミックが一緒に接合されて、完成蛍光体セラミックを形成する。
【0068】
図4は、本発明に係るデバイスの第三の蛍光体セラミックの非常に模式的な断面図を示す。図3から分かるように、セラミック10は、第一のマトリックス材料11及び第二の非発光マトリックス材料14を含み、ここで、両方において、2種の更なる発光材料12及び13がより小さい結晶粒又は粒子の形態で分散されている。本明細書において、材料11及び14は、好ましくは、同じベース材料から作られており、ここで、材料11は、ドープされており、材料14は、ドープされていない。
【0069】
この構成は、マトリックス材料の発光を、蛍光体セラミック内の特定の領域に特異的に限定することができ、更に、ドープ材料を節約することができるという利点を有する。
【実施例】
【0070】
以降、本発明を、限定としてではなく、単なる例示として見なされるべきである実施例によって説明する。
【0071】
<実施例I>
実施例Iに係るセラミックは、LiBaLa1.8Eu1.2(MoOを90体積%及びLuAl12:Ce(0.65%)を10体積%含み、以下のようにして作製した。
【0072】
−LiBaLa1.8Eu1.2(MoOの合成
0.7894g(4.000mmol)のBaCO、2.3030g(16.000mmol)のMoO、0.2217g(3.000mmol)のLiCO、0.4223g(1.200mmol)のEu、及び0.5865g(1.800mmol)のLaを、粉砕助剤としてのアセトンと共に乳鉢中ですりつぶした。得られた粉末を、乾燥させ、磁器製坩堝に移し、大気中、800℃で12時間焼成した。こうして得られたケーキを、粉砕し、36μmの篩に掛けた。融点は、約960度である。
【0073】
−LuAl12:Ce(0.65%)の合成
2.9651g(7.451mmol)のLu、0.0168g(0.098mmol)のCeO、及び1.2745g(12.500mmol)のAlを、粉砕助剤としてのアセトンと共に乳鉢中ですりつぶした。得られた粉末を、乾燥させ、磁器製坩堝に移し、CO雰囲気下、1750℃で12時間加熱した。融点は、約2040〜2080℃である。
【0074】
−セラミックの製造
90体積%のLiBaLa1.8Eu1.2(MoO及び10体積%のLuAl12:Ce(0.65%)の混合物を、ミルで充分に粉砕した。こうして得られた粗蛍光体粉末を、有機グリコールバインダーと混合し、プレス加工してペレットとし、300MPaでの冷間静水圧プレスによって圧縮した。こうして得られたセラミック素地(green bodies)を、タングステンホイル上に置き、上述した還元性雰囲気中、1700°で加熱した。室温まで冷却した後、セラミックを切断してウエハにした。量子収率は67%であり、色点はx=0.510及びy=0.458に位置している。
【0075】
図5は、465nmの励起での上記セラミックの発光スペクトルを示す。
【0076】
<実施例II>
例IIに係るセラミックは、LiBaLa1.8Eu1.2(MoOを85体積%及びLuAl12:Ce(0.65%)を15体積%含む。これは、実施例Iのセラミックと同様に作製した。量子収率は68%であり、色点はx=0.473及びy=0.488に位置している。
【0077】
図6は、465nmの励起での上記セラミックの発光スペクトルを示す。
【0078】
<実施例III>
実施例IIIに係るセラミックは、LiBaLa1.8Eu1.2(MoOを80体積%及びLuAl12:Ce(0.65%)を20体積%含む。これも、実施例Iのセラミックと同様に作製した。量子収率は74%であり、色点はx=0.455及びy=0.504に位置している。
【0079】
図7は、465nmの励起での上記セラミックの発光スペクトルを示す。
【0080】
図8は(上から下に向かって)、上記セラミックのXRDスペクトル、並びにLiBaLa1.8Eu1.2(MoO及びLuAl12:Ce(0.65%)の粉末スペクトルを示す。明らかに分かるように、このセラミックスペクトルには、著しい更なるピークは見られず、すなわち、上記セラミックの製造過程で、これら2つの物質間での反応は実質的に発生しなかった。
【0081】
<実施例IV>
実施例IVに係るセラミックは、LiBaLa1.8Eu1.2(MoOを90体積%及びYAl12:Ce(2.5%)を10体積%含む。これも、実施例Iのセラミックと同様に作製した。量子収率は42%であり、色点はx=0.500及びy=0.483にあり、YAl12:Ceの融点は約1940〜1980℃である。
【0082】
図9は、465nmの励起での上記セラミックの発光スペクトルを示す。
【0083】
<実施例V>
実施例Vに係るセラミックは、LiBaLa1.8Eu1.2(MoOを85%及びYAl12:Ce(2.5%)を15%含む。これも、実施例Iのセラミックと同様に作製した。量子収率は51%であり、色点はx=0.483及びy=0.500に位置している。
【0084】
図10は、465nmの励起での上記セラミックの発光スペクトルを示す。
【0085】
<実施例VI>
実施例VIに係るセラミックは、LiBaLa1.8Eu1.2(MoOを80体積%及びYAl12:Ce(2.5%)を20体積%含む。これも、実施例Iのセラミックと同様に作製した。量子収率は69%であり、色点はx=0.477及びy=0.507にある。
【0086】
図11は、465nmの励起での上記セラミックの発光スペクトルを示す。
【0087】
図12は(上から下に向かって)、上記セラミックのXRDスペクトル、並びにLiBaLa1.8Eu1.2(MoO及びYAl12:Ce(2.5%)の粉末スペクトルを示す。明らかに分かるように、このセラミックスペクトルには、著しい更なるピークは見られず、すなわち、上記セラミックの製造過程で、これら2つの物質間での反応は実質的に発生しなかった。
【0088】
上記で述べた実施形態の成分及び特徴の個々の組み合わせは、例示であって、本公開に含まれる教示事項を、引用した文書中に含まれる他の教示事項と交換及び置換することも、明白に考慮される。当業者であれば、本明細書で述べる実施形態の変更及び改変、並びにその他の実施形態が本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく実現され得ることを認識するであろう。従って、上記の記述は、限定するものとしてではなく、例示として見なされるべきである。請求項で用いられる「含む(comprises)」の用語は、他の要素又は工程を除外しない。不定冠詞「1つの(a)」は、複数形を除外しない。単に互いに異なる請求項で特定の手段が列挙されているということは、これらの手段の組み合わせを有利に用いることができないということを示すものではない。本発明の範囲は、以下の請求項及び付随する均等物に定められる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12