特許第6850266号(P6850266)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6850266洗浄を強化したシリンジ用雄型ルアー先端部およびルアー接続装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6850266
(24)【登録日】2021年3月9日
(45)【発行日】2021年3月31日
(54)【発明の名称】洗浄を強化したシリンジ用雄型ルアー先端部およびルアー接続装置
(51)【国際特許分類】
   A61M 39/10 20060101AFI20210322BHJP
【FI】
   A61M39/10 110
【請求項の数】15
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2018-9699(P2018-9699)
(22)【出願日】2018年1月24日
(62)【分割の表示】特願2015-514085(P2015-514085)の分割
【原出願日】2013年5月20日
(65)【公開番号】特開2018-83104(P2018-83104A)
(43)【公開日】2018年5月31日
【審査請求日】2018年1月24日
【審判番号】不服2019-9487(P2019-9487/J1)
【審判請求日】2019年7月16日
(31)【優先権主張番号】13/476,357
(32)【優先日】2012年5月21日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】502136768
【氏名又は名称】ベクトン・ディッキンソン・アンド・カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100114775
【弁理士】
【氏名又は名称】高岡 亮一
(74)【代理人】
【識別番号】100121511
【弁理士】
【氏名又は名称】小田 直
(74)【代理人】
【識別番号】100191086
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 香元
(72)【発明者】
【氏名】スタウト,マーティー エル.
(72)【発明者】
【氏名】バークホルツ,ジョナサン カール
(72)【発明者】
【氏名】イサクソン,エス.レイ
【合議体】
【審判長】 内藤 真徳
【審判官】 林 茂樹
【審判官】 宮崎 基樹
(56)【参考文献】
【文献】 特表2002−503991(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2009/0143770(US,A1)
【文献】 米国特許第6830563(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M39/10-39/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ルアー接続装置であって、
中央軸を有する内腔を画定する内面を有する側壁と、近位端部と、および遠位端部を有する筐体であって、前記内腔が前記近位端部から前記遠位端部まで延在し、前記内腔が、前記内腔内に雄型ルアー先端部を備え、前記内腔が、前記近位端部と前記遠位端部との間を流体的に連通する流体路を有している、筐体と、
前記内腔に配置される流れ拡張路であって、前記流れ拡張路がチューブ状の前記筐体の側壁に外向きテーパ状に配置され、かつ、前記流れ拡張路が長軸に沿って部分的に延在することにより、前記雄型ルアー先端部より遠位で流体路における円周上のデッドスペースを介した流れおよび混合を増加させる、流れ拡張路、
を備え、
前記ルアー接続装置は分流器をさらに備え、前記分流器は前記雄型ルアー先端部の前記遠位端部または前記遠位端部の近辺の前記内腔内に配置され、前記遠位方向に向かって力が加えられると接合する雌型ルアースペースの周辺に流体流動を向けるように構成され、
前記流れ拡張路または前記分流器は前記内腔の前記中央軸に向かって直線テーパ状に延在するように構成され、
前記流れ拡張路は前記分流器と接合することにより、前記流れ拡張路と前記分流器の間の流体的な連通を可能にする、
アー接続装置。
【請求項2】
請求項1のルアー接続装置を組込んだ血管アクセス装置。
【請求項3】
前記血管アクセス装置が、シリンジ、拡張セット、静注セット、止コック、チューブ、高圧延長チューブ、または無針アクセス装置である、請求項2に記載の血管アクセス装置。
【請求項4】
前記近位端部が血管アクセス装置と取り外し可能に接続される、請求項1に記載のルアー接続装置。
【請求項5】
前記血管アクセス装置が、シリンジ、拡張セット、静注セット、止コック、チューブ、高圧延長チューブ、または無針コネクタである、請求項4に記載のルアー接続装置。
【請求項6】
前記シリンジが、予め満たされた洗浄シリンジである、請求項3に記載の血管アクセス装置。
【請求項7】
前記流れ拡張路が、前記内腔の前記中央軸に沿って外向きに直線でテーパ状に伸びるよう構成される、請求項1に記載のルアー接続装置。
【請求項8】
前記流れ拡張路が、前記内腔の前記中央軸から外向きに回転してテーパ状に伸びるよう構成される、請求項1に記載のルアー接続装置。
【請求項9】
前記流れ拡張路が、前記内腔の前記中央軸から外向きスカロップ形になるよう構成される、請求項1に記載のルアー接続装置。
【請求項10】
前記流れ拡張路が、前記遠位端部に設置され、近位方向に前記近位端部へ軸方向に突き出る、請求項1に記載のルアー接続装置。
【請求項11】
前記流れ拡張路が前記分流器から上流側に位置付けられた、請求項に記載のルアー接続装置。
【請求項12】
前記分流器が流体流動を前記流れ拡張路内へ向ける、請求項に記載のルアー接続装置。
【請求項13】
前記流れ拡張路が流体流動を前記分流器内へ向ける、請求項に記載のルアー接続装置。
【請求項14】
前記流れ拡張路が前記内腔の前記中央軸へ回転状のテーパ形で伸びるよう構成され、前記分流器が前記内腔の前記中央軸へ直線状のテーパ形で伸びるよう構成された、請求項に記載のルアー接続装置。
【請求項15】
前記分流器が前記内腔の前記中央軸へ回転状のテーパ形で伸びるよう構成され、前記流れ拡張路が前記内腔の前記中央軸へ直線状のテーパ形で伸びるよう構成された、請求項に記載のルアー接続装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の態様は、一般的にルアー接続装置に関し、とりわけ、中央軸を持つ内腔を画定する内面を有する側壁と、近位端部、および中央軸から外側に伸び、流体を雄型ルアー先端部より遠位の円周状のデッドスペースへ向ける中央分流器を持つ内腔内の雄型ルアー先端部を含む遠位端部を有する筐体を含む、ルアー接続装置に関する。本発明の他の態様は、雄型ルアー先端部より遠位の流体通路内の円周状のデッドスペースを通る混合および流れを増すよう、チューブ状の筐体の壁から外側に先細になり、先端開口部から基部開口部へ長手方向の軸に沿って部分的に伸びる内腔内に配置された流れ拡張路を有するルアー接続装置に関する。本発明のさらに他の態様は、内腔内に配置された中央分流器および流れ拡張路の両方を有するルアー接続装置に関する。
【背景技術】
【0002】
血管アクセス装置(VAD)は、一般的に使用される治療装置であり、静脈内カテーテル、シリンジ、拡張セット、止コック、チューブ、高圧延長チューブ、および無針アクセス装置が挙げられる。VADの作動は、血栓の発生によりしばしば危険にさらされ、または完全に妨げられる。血栓症は、血管および/または血管アクセス装置内の血栓が進行したものである。適切に維持されなければ、VADは閉塞しうる。VADが適切に使用され閉塞状態にならないように、実施基準が開発されてきた。これらの基準は、一般的に洗浄処置と呼ばれる清浄処置を含む。洗浄の目的は、雄型ルアー接続具と雌型ルアー接続具の間に位置するデッドスペースから蓄積した残留物を除くことである。一般的な洗浄の実践で、洗浄中に乱流が生じ、カテーテルの内腔内および先端部で「こすり取り」効果を促進する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
静脈内療法での洗浄処置の効果は、微生物の定着および潜在的なカテーテル関連血流感染症(CRBSI)のリスクに関連する。標準の雄型ルアー先端部の幾何学構造は、本質的に洗浄が困難な、雄型ルアー先端部より遠位の流体通路内の円周状の「デッドスペース」をもたらす。基準の洗浄処置後、過度の量の血液がこの洗浄が困難な領域に残される可能性があり、それによって微生物の定着のリスクを増す。よって、カテーテルシステム内に残る血液および残留物の量が多いほど、感染症および感染症に関連する合併症のリスクは高い。臨床医は、混合をうながし洗浄結果を向上させうる拍動性の技術で洗浄の向上を試みることができる。これらの特有の困難さによって、円周状の「デッドスペース」に見られる血液および残留物の蓄積を除去することにより、洗浄処置の結果を向上させる装置のニーズが存在する。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の実施形態は、中央軸を持つ内腔を画定する内面を持つ側壁と、近位端部、およびそこを通って近位端部と遠位端部の間の流体連通を提供する流体路を有する内腔内の雄型ルアー先端部を含む遠位端部を有する筐体を備えるルアー接続装置を対象とする。雄型ルアー先端部は、中央軸から外側に伸び、流体を雄型ルアー先端部より遠位の円周状のデッドスペースへ向ける中央分流器を持つ、遠位端部における内腔または遠位端部近辺の内腔内に配置される。
【0005】
1つまたは複数の実施形態で、ルアー接続装置は、雄型ルアー先端部より遠位の流路内の円周状のデッドスペースを通る流体の流れおよび混合を増すため、少なくとも1つの流れ拡張路を含んでもよい。流れ拡張路を、内腔の中央軸から外側に直線で先細状に伸びるよう構成することが可能である。1つまたは複数の実施形態で、流れ拡張路を、内腔の中央軸から外側に回転した先細状で伸びるよう構成してもよい。流れ拡張路を、分流器から上流側に位置付けることが可能である。
【0006】
ルアー接続装置の近位端部を、血管アクセス装置に一体的に接合することが可能である。血管アクセス装置は、シリンジ、拡張セット、静注セット、止コック、チューブ、高圧延長チューブ、または無針アクセス装置であってもよい。ルアー接続装置を、血管アクセス装置に除去できるように接合することが可能である。
【0007】
1つまたは複数の実施形態で、中央分流器は複数の羽根を備える。1つまたは複数の実施形態で、複数の羽根は、抗力を最小化し抵抗を減少させるよう先細状の先端および先細状の後端を有してもよい。先細状の先端が流体のなめらかな入口をつくるよう構成してもよく、先細状の後端が分流器を出ると乱流を生じる鋭い出口をつくるよう構成される。
【0008】
1つまたは複数の実施形態で、複数の羽根を内腔の中央軸から側壁へ外側に直線状に伸びるよう構成してもよい。1つの変形で、複数の羽根が湾曲した構成で内腔の中央軸から外側に伸びる。複数の羽根の少なくとも1つの縁は、入射角を大きくするよう傾斜角を持つ面を有することが可能である。中央分流器を、例えば十字形、長方形、星形、三角形、楕円形、渦巻状、ツイスト状またはらせん状の種々の形状で構成することが可能である。
【0009】
ある態様の発明は、内腔を画定する内面を持つ側壁、近位端部、および遠位壁とそこから遠位方向に伸び、そこを通して近位端部と遠位端部の間の流体連通を提供する流体路を有する、細長形の雄型ルアー先端部を持つ遠位端部を有する筐体と、雄型ルアー先端部より遠位の流体通路内の円周状のデッドスペースを通る混合および流れを増すよう、チューブ状の筐体の壁から外側に先細になり、先端開口部から基部開口部へ長手方向の軸に沿って部分的に伸びる内腔内に配置された流れ拡張路とを備えるルアー接続装置に関する。
【0010】
近位端部を、血管アクセス装置に一体的に接合することが可能である。血管アクセス装置は、シリンジ、拡張セット、静注セット、止コック、チューブ、高圧延長チューブ、または無針アクセス装置であってもよい。1つまたは複数の実施形態で、シリンジは予め満たされた洗浄シリンジである。ルアー接続装置を、血管アクセス装置に除去できるように接合することが可能である。
【0011】
流れ拡張路を、内腔の中央軸から外側に直線で先細状に伸びるよう構成可能である。流れ拡張路を、内腔の中央軸から外側に回転した先細状で伸びるよう構成してもよい。流れ拡張路を、内腔の中央軸から外側にスカロップ形にするよう構成してもよい。1つまたは複数の実施形態で、流れ拡張路は遠位端部に設置され、近位方向に近位端部へ軸方向に突き出る。
【0012】
1つまたは複数の実施形態で、ルアー接続装置はまた、雄型ルアー先端部の遠位端部または遠位端部近辺の内腔内に配置され、遠位方向に力が加えられると接合している雌型ルアースペースの周辺に流体流動を向ける分流器を含む。分流器は、筐体の遠位端部を越えて伸びることが可能である。分流器を、流れ拡張路に接合してもよい。流れ拡張路を、分流器から上流側に位置付けてもよい。
【0013】
ある実施形態で、分流器が流体流動を流れ拡張路内へ向けることが可能である。別の実施形態では、流れ拡張路が流体流動を分流器内へ向ける。
【0014】
1つまたは複数の実施形態で、流れ拡張路および分流器は、両方とも内腔の中央軸へ直線状の先細形で伸びるよう構成される。別の実施形態では、流れ拡張路が内腔の中央軸へ回転状の先細形で伸びるよう構成され、分流器が内腔の中央軸へ直線状の先細形で伸びるよう構成される。さらに他の実施形態で、分流器が内腔の中央軸へ回転状の先細形で伸びるよう構成され、流れ拡張路が内腔の中央軸へ直線状の先細形で伸びるよう構成される。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】流れがよどむゾーンがある、標準的な雄型ルアー先端部の直線状の中央流体通路を有する標準的な先行技術のルアー接続装置を示す。
図2】分流器および流れ拡張路を有する、ルアー接続装置の横断面図である。
図3】直線状の非回転状の流れ拡張路および回転状の分流器を有する、ルアー接続装置の横断面図である。
図4】直線状の非回転状の流れ拡張路を有する、ルアー接続装置の横断面である。
図5】回転状の流れ拡張路を有する、ルアー接続装置の横断面である。
図6】直線状の非回転状の流れ拡張路、および傾斜角のある縁を持つ回転状の分流器を有するルアー接続装置の正面図を示す。
図7】分流器および直線状の流れ拡張路を有する、ルアー接続装置の平面図を示す。
図8】分流器および回転状の流れ拡張路を有する、ルアー接続装置の平面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明のいくつかの例示的な実施形態を記載する前に、本発明は後述の記載で説明する構造または処理ステップの詳細に限定されないことを理解すべきである。本発明は他の実施形態が可能であり、種々の方法で実践または実行が可能である。
【0017】
この開示では、装置の遠位端部が患者に最も近い端部であり、装置の近位端部が患者から離れて施術医に最も近い端部である慣習に従う。
【0018】
多くのVADが、雄型ルアー先端部を含むルアー取付部品を有する。図1は「A」で示される流れがよどむゾーンを示し、そこでは血液由来の破片が、標準的な雄型ルアー先端部の直線状の中央流体通路を有する標準的な先行技術のルアー接続装置内で通常形成しうる。
【0019】
本発明は、雄型ルアー接続具と雌型ルアー接続具の間に位置するデッドスペースから効果的に血液、残留物および他の破片をこすり取る雄型ルアー先端部を有するルアー接続装置を提供することにより、公知の洗浄技術に関する問題を解消する。本発明は、カテーテル、延長セット、IVセット、IVアクセス装置または雌型ルアーへ接続する雄型ルアーを含むあらゆるコネクタのどれに接合しようとあらゆる雄型から雌型へのルアー接続の洗浄を向上させる内部幾何学構造の雄型ルアー先端部を有するルアー接続装置を提供する。ルアー接続装置は独立型の構成要素であってもよく、または血管アクセス装置に一体的に接合してもよく、血管アクセス装置は、雌型ルアー接続具に接合して洗浄処置を実行する前に洗浄を強化する必要がある。本発明のルアー接続装置は、与えられた洗浄量に対してシステム内の血液の除去を向上させるさまざまな形態の分流器80および/または流路90を有する雄型ルアー先端部を含む。本発明はまた、BD Q−Syte(登録商標)のような洗浄不要なIVアクセス弁の洗浄にも有益かもしれない。本発明のルアー接続装置を、臨床結果の向上のため、予め満たされた洗浄シリンジに、除去できるように取り付けまたは一体的に取り付けることが可能である。注入システムの洗浄に関するCRSIリスクを減少させるために実践の向上を確立するよう、本発明のルアー接続装置をまた、抗菌溶液、および清浄および保護キャップを含む他のCRBSIリスクを減少させる機能と組み合わせて使用してもよい。
【0020】
図2図4は、本発明による例示的なルアー接続装置10を示す。ルアー接続装置10は、中央軸を持つ内腔40を画定する内面を持つ側壁30、近位端部50、およびそこを通して近位端部50と遠位端部60の間の流体連通を提供する、例えば洗浄液をそこを通して排出しうる流体路を有する、内腔内の雄型ルアー先端部70を含む遠位端部60を有する筐体20を含む。遠位端部または遠位端部の近辺の内腔内に配置された雄型ルアー先端部70は、中央軸から外側に伸び、流体流動を雄型ルアー先端部より遠位に位置する周辺の円周状のデッドスペースに向ける中央分流器80を含む。
【0021】
1つまたは複数の実施形態で、ルアー接続装置10はまた、雄型ルアー先端部より遠位の流体通路内の円周状のデッドスペースを通る混合および流れを増すため、少なくとも1つの流れ拡張路90を含んでもよい。流れ拡張路90は「デッド」スペースを通る混合および流れを増し、それによって有意に血液、薬剤および/または他の流体の除去を向上させ、優れた洗浄を提供する。示された実施形態で、流れ拡張路90は筐体内腔40の内表面に配置され、円形、正方形、三角形、またはそれらの組み合わせ、またはあらゆる他の適切な形状でありうる。特に流れ拡張路90は、筐体内腔40の側壁30から外側に突き出て、内腔40の断面幅を減少させる構造として示されている。流れ拡張路における内腔の内表面の断面幅は、残りの部分の内腔の断面幅未満である。流れ拡張路90を、側壁30の内表面に沿って他の位置に配置してもよいことが理解されるであろう。他の変形では、流れ拡張路90は、筐体20の軸方向の長さに沿って配置された複数の外側に伸びる突起を含んでもよく、軸方向の長さに沿って予め定義された間隔で配置してもよい。流れ拡張路は内腔の長さに沿って長手方向に延長してもよく、内腔の長さに沿って間隔を置いて配置してもよい。1つまたは複数の実施形態で、流れ拡張路は先細状であってもよい。1つまたは複数の実施形態で、流れ拡張路90は、内腔40から内腔の中央軸へ外側に直線で先細状に伸びるよう構成される。1つまたは複数の実施形態で、流れ拡張路90を、内腔の中央軸から外側に回転した先細状で伸びるよう構成してもよい。1つまたは複数の実施形態で、流れ拡張路90は、分流器80から上流に位置付けられる。
【0022】
分流器80および/または流れ拡張路90は、雄型ルアー接続具と雌型ルアー接続具の間に形成された周辺のスペースへ流体を押す内腔40の内表面内に位置することが理解されるだろう。中央分流器は、単独または流れ拡張路との組み合わせで、流体を周辺または雌型ルアーのスペースへ押すことにより、ルアー先端部から下流の流体の洗浄および除去を有意に向上させる。よって本発明は、流れの拡張、デッドスペースをつくる機能の途絶、および外側への分流に基いて流れを向上させる。
【0023】
1つまたは複数の実施形態で、ルアー接続装置10の近位端部50は、血管アクセス装置に一体的に接合される。血管アクセス装置は、シリンジ、拡張セット、静注セット、止コック、チューブ、高圧延長チューブ、または無針アクセス装置であってもよい。1つまたは複数の実施形態で、ルアー接続装置は、血管アクセス装置に除去できるように接合される。
【0024】
1つまたは複数の実施形態で、中央分流器は複数の羽根を有する。本明細書で使用する羽根は、液体の経路を操作可能なあらゆる数の公知の内部分流器を含むことが可能である。内部の分流器は、ルーバまたは先細状の先端および後端を含んでもよい。複数の羽根は洗浄液の流れに乱流を起こして、そうしなければ雄型ルアーと雌型ルアー接続具の間に位置する壁部の周辺面に形成しうるデッドスペースを減少させる。1つまたは複数の本発明の実施形態で、複数の羽根は、抗力を最小化し抵抗を減少させるよう、先細状の先端および先細状の後端を有してもよい。1つまたは複数の実施形態で、先細状の先端を流体のなめらかな入口をつくるよう構成してもよく、先細状の後端は分流器を出ると乱流を生じる鋭い出口をつくるよう構成される。
【0025】
1つまたは複数の実施形態で、複数の羽根を、内腔40の中央軸から側壁30へ外側に直線状に伸びるよう構成してもよい。さらに他の実施形態で、複数の羽根は内腔の中央軸から湾曲した構成で外側に伸びる。1つまたは複数の実施形態で、複数の羽根の少なくとも1つの縁は、入射角を大きくするよう傾斜角を持つ面を有する。
【0026】
本発明の流れ拡張路および分流器は、十字形、長方形、星形、三角形、楕円形、渦巻状、ツイスト状またはらせん状の構造を含む種々の断面の幾何学構造を有してもよいが、それらに限定されない。
【0027】
本発明はまた、内腔40を画定する内面を持つ側壁30、近位端部50、および遠位壁とそこから遠位方向に伸び、そこを通して近位端部50と遠位端部60の間の流体連通を提供する流体路を有する、細長形の雄型ルアー先端部70を含む遠位端部60を有する筐体20と、雄型ルアー先端部より遠位の流体通路内の円周状のデッドスペースを通る混合および流れを増すよう、チューブ状の筐体20の壁から外側に先細になり、先端開口部から基部開口部へ長手方向の軸に沿って部分的に伸びる、内腔40内に配置された流れ拡張路90とを含むルアー接続装置10を対象とする。流れ拡張路は、「デッド」スペースを通る混合および流れを増し、それによって、有意に血液、薬剤および/または他の流体の除去を向上させ、優れた洗浄を提供する。
【0028】
1つまたは複数の実施形態で、近位端部50は血管アクセス装置に一体的に接合される。血管アクセス装置は、シリンジ、拡張セット、静注セット、止コック、チューブ、高圧延長チューブ、または無針アクセス装置であってもよい。1つまたは複数の実施形態で、シリンジは予め満たされた洗浄シリンジである。さらに他の実施形態で、主張のルアー接続装置10は、血管アクセス装置に除去できるように接合される。
【0029】
1つまたは複数の実施形態で、流れ拡張路は、内腔の中央軸から外側に直線で先細状に伸びるよう構成される。本発明のさらに他の実施形態で、流れ拡張路を、内腔の中央軸から外側に回転した先細状で伸びるよう構成してもよい。別の実施形態では、流れ拡張路を、内腔の中央軸から外側にスカロップ形にするよう構成してもよい。
【0030】
1つまたは複数の実施形態で、流れ拡張路は遠位端部に設置され、近位方向に近位端部へ軸方向に突き出る。
【0031】
1つまたは複数の実施形態で、ルアー接続装置10はまた、雄型ルアー先端部70の遠位端部または遠位端部近辺の内腔内に配置され、遠位方向に力が加えられると接合する雌型ルアースペースの周辺に流体流動を向ける分流器80も含む。1つまたは複数の実施形態で、分流器80は筐体20の遠位端部を越えて伸びる。1つまたは複数の実施形態で、分流器80を流れ拡張路90に接合してもよい。1つまたは複数の実施形態で、流れ拡張路90を分流器80から上流側に設けてもよい。
【0032】
1つまたは複数の実施形態で、分流器80が流体流動を流れ拡張路90内へ向ける。別の実施形態では、流れ拡張路90が流体流動を分流器80内へ向ける。1つまたは複数の実施形態で、分流器は流れ拡張路に統合してもよい。
【0033】
雄型ルアー区域の内径上の直線状または回転状の流れ拡張路を含むが、それらに限定されない流れ拡張路と中央分流器の多数の組み合わせが可能であると想定されている。1つまたは複数の流路を持つ直線状または回転状の中央分流器もまた、本発明の範囲内である。本発明の1つの実施形態において、雄型ルアー先端部は、回転状の流れ拡張路および中央循環分流器を有してもよい。
【0034】
図2は、両方が内腔の中央軸へ直線状の先細形で伸びるよう構成された流れ拡張路90および分流器80を有する例示的なルアー接続装置10を示す。別の実施形態では、流れ拡張路は内腔の中央軸へ回転状の先細形で伸びるよう構成され、分流器80は内腔の中央軸へ直線状の先細形で伸びるよう構成される。図5は、雄型ルアー先端部と回転状の流れ拡張路および中央分流器を有する例示的なルアー接続装置10を示す。
【0035】
さらに他の実施形態で、分流器は内腔の中央軸へ回転状の先細形で伸びるよう構成され、流れ拡張路は内腔の中央軸へ直線状の先細形で伸びるよう構成される。
【0036】
デッドスペース内の血液由来の破片は、雄型ルアー先端部により生成されたデッドスペース内の混合および乱流を増す洗浄処置の間、流体流動を接合する雌型ルアースペースの周辺へ迂回させることにより除去される。
【0037】
図3は、直線状の非回転の流れ拡張路および回転状の分流器を有する例示的なルアー接続装置10を示す。
【0038】
図4は、直線状の非回転の流れ拡張路を有する例示的なルアー接続装置10を示す。
【0039】
図5は、回転状の流れ拡張路を有する例示的なルアー接続装置10を示す。
【0040】
図6は、遠位端部60に位置付けられた分流器の正面図を示す。図6は、直線状の非回転の流れ拡張路、および傾斜角を持つ縁を有する回転状の分流器を有する例示的なルアー接続装置10を示す。
【0041】
図7は、分流器および直線状の流れ拡張路を有する例示的なルアー接続装置10を示す。図8はルアー接続装置の側面図を示し、流れ拡張路90が近位端部50から遠位端部60に均一におよびスムーズに流れるとき、それがどのように突出/ねじれるかを示す。
【0042】
流れ拡張路の目的は、「デッド」スペースを通る混合および流れを増加し、それによって、有意に血液、薬剤および/または他の流体の除去を向上させ、優れた洗浄を提供することである。
【0043】
分流器は、流体路内の血液のせき止めを最小化するように、雄型ルアー接続具と雌型ルアー接続具の間に位置するデッドスペース内へ流れを向けることが可能である。
【0044】
分流器80は、雄型ルアー接続具と雌型ルアー接続具の間の雄型ルアー先端部により生成されたデッドスペース内の混合および乱流を増す洗浄処置の間、接合する雌型ルアースペースの周辺へ流体流動を押すよう、雄型ルアー先端部内に提供される。この洗浄の強化は、カテーテルシステム内に残った血液による感染症のリスクの減少をもたらす。分流器80は、雄型ルアー先端部内に一体的に形成される。
【0045】
先端部は、流れ拡張路および分流器を有する。洗浄液の流れは、それから半径方向に外側に循環し、分流器を通って先端部の外周へ行き、デッドスペース内に入る。
【0046】
流れ拡張路または分流器のどちらか、またはその2つの組み合わせを有する本発明の洗浄を強化したルアー接続装置は、標準の洗浄装置および処置に重要な改良をもたらす。これは、雄型ルアー先端部により生成されたデッドスペース内の混合および乱流を増す洗浄処置の間、流体流動を接合する雌型ルアースペースの周辺へ迂回させることにより達成される。この洗浄の強化は、カテーテルシステム内に残った血液による感染症のリスクの減少をもたらす。
【0047】
本発明のルアー接続装置の寸法を、ISO規格594のような適用可能な規格および/または規定に準拠するようにすることが可能である。
【0048】
本明細書全体を通して、「1つの実施形態」、「ある実施形態」、「1つまたは複数の実施形態」または「実施形態」の記述は、その実施形態に関連して記載された特定の機能、構造、材質または特性が少なくとも1つの本発明の実施形態に含まれることを意味する。よって、本明細書全体を通したあらゆる箇所で出る「1つまたは複数の実施形態で」、「ある実施形態で」、「1つの実施形態で」または「実施形態で」の表現は、必ずしも本発明の同一の実施形態に言及していない。さらに、特定の機能、構造、材質または特性を、1つまたは複数の実施形態で任意の適切な方法で組み合わせてもよい。
【0049】
特定の実施形態に関連して本明細書内で本発明を記載したが、これらの実施形態は本発明の原理および適用の単に一例であることを理解すべきである。本発明の趣旨および範囲から逸脱することなく、種々の修正および変更を本発明の方法および機器になしうることが、当業者に明らかになるであろう。よって、本発明は、添付の請求項およびそれらの均等物の範囲内である修正および変更を含むことを意図する。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8