(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6850295
(24)【登録日】2021年3月9日
(45)【発行日】2021年3月31日
(54)【発明の名称】アクリロニトリル/アセトニトリル混合物の精製のための回収カラム
(51)【国際特許分類】
C07C 253/34 20060101AFI20210322BHJP
C07C 255/08 20060101ALI20210322BHJP
B01D 3/14 20060101ALI20210322BHJP
B01D 3/42 20060101ALI20210322BHJP
【FI】
C07C253/34
C07C255/08
B01D3/14 A
B01D3/42
【請求項の数】24
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2018-531187(P2018-531187)
(86)(22)【出願日】2016年11月30日
(65)【公表番号】特表2019-505494(P2019-505494A)
(43)【公表日】2019年2月28日
(86)【国際出願番号】US2016064069
(87)【国際公開番号】WO2017105831
(87)【国際公開日】20170622
【審査請求日】2019年12月2日
(31)【優先権主張番号】201510947392.7
(32)【優先日】2015年12月17日
(33)【優先権主張国】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】513099153
【氏名又は名称】イネオス ユーロープ アクチェンゲゼルシャフト
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100088694
【弁理士】
【氏名又は名称】弟子丸 健
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100084663
【弁理士】
【氏名又は名称】箱田 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100093300
【弁理士】
【氏名又は名称】浅井 賢治
(74)【代理人】
【識別番号】100119013
【弁理士】
【氏名又は名称】山崎 一夫
(74)【代理人】
【識別番号】100123777
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 さつき
(74)【代理人】
【識別番号】100111796
【弁理士】
【氏名又は名称】服部 博信
(74)【代理人】
【識別番号】100168631
【弁理士】
【氏名又は名称】佐々木 康匡
(72)【発明者】
【氏名】マクドネル ティモシー ロバート
(72)【発明者】
【氏名】カウチ ジェイ ロバート
(72)【発明者】
【氏名】ヴァヒテンドルフ ポール トリッグ
【審査官】
武貞 亜弓
(56)【参考文献】
【文献】
特開2010−241742(JP,A)
【文献】
米国特許第03445347(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07C253/00−255/67
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
アクリロニトリルをアクリロニトリルとアセトニトリルを含む混合物から分離するため方法であって、その方法が
アクリロニトリルとアセトニトリルの混合物を少なくとも一つの回収カラムに与え、アクリロニトリルとアセトニトリルの混合物を水性溶媒と接触させてアクリロニトリル−水共沸混合物を得ること、
回収カラムのトップセクションの上部中で55℃〜80℃の温度を維持すること、
回収カラムのミドルセクションの上部中で65℃〜85℃の温度を維持し、回収カラムのミドルセクションの下部中で100 ℃〜120 ℃の温度を維持すること、
回収カラムのボトムセクションの下部中で105 ℃〜125 ℃の温度を維持すること、及び
アクリロニトリル−水共沸混合物をアセトニトリルから分離してアクリロニトリル−水共沸混合物を含むオーバーヘッド流、底流、及び側流を得ることを含み、
前記オーバーヘッド流がアクリロニトリル−水共沸混合物と、0.05質量%以下のアセトニトリルを含み、且つ70〜90質量%のアクリロニトリルを含み、
前記底流が0〜0.0075質量%のアセトニトリルを含み、且つ
前記側流が5〜70質量%のアセトニトリルを含む、前記方法。
【請求項2】
回収カラムが単一カラムである、請求項1記載の方法。
【請求項3】
回収カラムが第一のカラム及び第二のカラムを含む、請求項1記載の方法。
【請求項4】
トップセクション、ミドルセクション及びボトムセクションがそれぞれ回収カラムの高さ(タンジェント間距離)の25%〜40%である、請求項1記載の方法。
【請求項5】
ミドルセクションが上部、中間部及び下部を含む、請求項1記載の方法。
【請求項6】
上部、中間部及び下部がそれぞれ回収カラムのミドルセクションの高さ(タンジェント間距離)の25%〜40%である、請求項5記載の方法。
【請求項7】
アクリロニトリルとアセトニトリルの混合物を回収カラムのミドルセクションに与える、請求項1記載の方法。
【請求項8】
回収カラムのミドルセクションの上部を70℃〜80℃に維持する、請求項1記載の方法。
【請求項9】
回収カラムのミドルセクションの下部を105 ℃〜115 ℃に維持する、請求項1記載の方法。
【請求項10】
水性溶媒を回収カラムのトップセクションに与える、請求項1記載の方法。
【請求項11】
回収カラムのトップセクションが上部及び下部を含み、これらがそれぞれ回収カラムのトップセクションの高さ(タンジェント間距離)の40%〜60%である、請求項1記載の方法。
【請求項12】
回収カラムのトップセクションの上部を60℃〜75℃に維持する、請求項1記載の方法。
【請求項13】
回収カラムのトップセクションの上部及び下部が0℃〜20℃の温度差を有する、請求項1記載の方法。
【請求項14】
回収カラムのトップセクションの上部及び下部が5℃〜15℃の温度差を有する、請求項13記載の方法。
【請求項15】
回収カラムのボトムセクションが上部及び下部を含み、これらがそれぞれ回収カラムのボトムセクションの高さ(タンジェント間距離)の40%〜60%である、請求項1記載の方法。
【請求項16】
回収カラムのボトムセクションの下部を110 ℃〜120 ℃に維持する、請求項1記載の方法。
【請求項17】
回収カラムのボトムセクションの上部及び下部が0℃〜15℃の温度差を有する、請求項1記載の方法。
【請求項18】
回収カラムのボトムセクションの上部及び下部が7℃〜13℃の温度差を有する、請求項17記載の方法。
【請求項19】
オーバーヘッド流が0.03質量%以下のアセトニトリルを含む、請求項1記載の方法。
【請求項20】
オーバーヘッド流が0.01質量%以下のアセトニトリルを含む、請求項1記載の方法。
【請求項21】
オーバーヘッド流が75〜85質量%のアクリロニトリルを含む、請求項1記載の方法。
【請求項22】
底流が0.0025〜0.007質量%のアセトニトリルを含む、請求項1記載の方法。
【請求項23】
底流が0.0025〜0.005質量%のアセトニトリルを含む、請求項1記載の方法。
【請求項24】
側流が5〜50質量%のアセトニトリルを含む、請求項1記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
方法がアクリロニトリルをアクリロニトリルとアセトニトリルの混合物から分離するために提供される。更に詳しくは、その方法がその混合物を水性溶媒と接触させてアクリロニトリル−水共沸混合物を得、そのアクリロニトリル−水共沸混合物をアセトニトリルから分離することを含む。
【背景技術】
【0002】
アクリロニトリルについての回収及び精製システムが知られている。例えば、米国特許第4,234,510 号、同第3,936,360 号、同第3,885,928 号、同第3,433,822 号、及び同第3,399,120 号を参照のこと。典型的には、プロピレン、アンモニア及び空気が気相中でアンモ酸化触媒を用いて反応させられる。次いでその蒸気の反応器流出物が反応停止システムに通され、そこで、その反応器流出物が水性反応停止液体、通常水と直接に接触させられる。この反応停止は未反応のアンモニア及び重質ポリマーを除去する。次いで反応停止されたガスが吸収カラムに進む。
吸収塔中で、ガスが吸収液体、再度通常、水と直接に接触させられる。水、アクリロニトリル、アセトニトリル、HCN 及び混在不純物が水溶液中で吸収塔の底を出る。不活性ガスが吸収塔の上から除去される。次いで水溶液が回収カラムに進む。このカラムがアセトニトリルを抽出蒸留により水溶液から除去する。
【発明の概要】
【0003】
アクリロニトリルをアクリロニトリルとアセトニトリルの混合物から分離するため方法は、アクリロニトリルとアセトニトリルの混合物を回収カラムに与え、アクリロニトリルとアセトニトリルの混合物を水性溶媒と接触させてアクリロニトリル−水共沸混合物を得、アクリロニトリル−水共沸混合物をアセトニトリルから分離してアクリロニトリル−水共沸混合物及び約0.05質量%以下のアセトニトリルを含むオーバーヘッド流を得ることを含む。
別の局面において、アクリロニトリルをアクリロニトリルとアセトニトリルの混合物から分離するため方法はアクリロニトリルとアセトニトリルの混合物を回収カラムに与え、アクリロニトリルとアセトニトリルの混合物を水性溶媒と接触させてアクリロニトリル−水共沸混合物を得、約0質量%〜約0.0075質量%のアセトニトリルを含む底流、及び約5質量%〜約70質量%のアセトニトリルを含む側流を得ることを含む。
別の局面において、アクリロニトリルをアクリロニトリルとアセトニトリルの混合物から分離するため方法はアクリロニトリルとアセトニトリルの混合物を複数のトレーを有する回収カラムに与え(この場合、その複数のトレーは上部分のトレー、中間部分のトレー、及び底部分のトレーを含む)、水性溶媒を上部分のトレーに与え、アクリロニトリルとアセトニトリルの混合物を水性溶媒と接触させてアクリロニトリル−水共沸混合物を得、そのアクリロニトリル−水共沸混合物をアセトニトリルから分離してアクリロニトリル−水共沸混合物及び約0.05質量%以下のアセトニトリルを含むオーバーヘッド流を得ることを含む。
別の局面において、アクリロニトリルをアクリロニトリルとアセトニトリルの混合物から分離するため方法はアクリロニトリルとアセトニトリルの混合物を複数のトレーを有する回収カラムに与え(この場合、その複数のトレーは上部分のトレー、中間部分のトレー、及び底部分のトレーを含む)、水性溶媒を上部分のトレーに与え、アクリロニトリルとアセトニトリルの混合物を水性溶媒と接触させてアクリロニトリル−水共沸混合物を得、約0質量%〜約0.0075質量%のアセトニトリルを含む底流、及び約5質量%〜約70質量%のアセトニトリルを含む側流を得ることを含む。
【0004】
別の局面において、アクリロニトリルをアクリロニトリルとアセトニトリルの混合物から分離するため方法はアクリロニトリルとアセトニトリルの混合物を回収カラムに与え、アクリロニトリルとアセトニトリルの混合物を水性溶媒と接触させてアクリロニトリル−水共沸混合物を得、回収カラムの上部分の上部中で約55℃〜約80℃の温度を維持し、回収カラムの中間部分の上部中で約65℃〜約85℃の温度を維持し、回収カラムの中間部分の下部で約100 ℃〜約120 ℃の温度を維持し、回収カラムの底部分の下部中で約105 ℃〜約125 ℃の温度を維持し、アクリロニトリル−水共沸混合物をアセトニトリルから分離してアクリロニトリル−水共沸混合物を含むオーバーヘッド流、底流、及び側流を得ることを含む。
別の局面において、回収カラムの操作方法は回収カラムへの供給原料流の導入の前に約100 ℃〜約105 ℃の温度を回収カラム中の制御トレーに与えることを含む。
別の局面において、回収カラムの操作方法は回収カラムへの供給原料流の導入の前に約100 ℃以下の温度を回収カラムの上部分に与えることを含む。
別の局面において、回収カラムの操作方法は回収カラムへのアクリロニトリルとアセトニトリルの混合物の導入の前に約100 ℃〜約105 ℃の温度を回収カラム中の制御トレーに与え、アクリロニトリルとアセトニトリルの混合物を回収カラムに与え、アクリロニトリルとアセトニトリルの混合物を水性溶媒と接触させてアクリロニトリル−水共沸混合物を得、回収カラムの上部分の上部中で約55℃〜約80℃の温度を維持し、回収カラムの中間部分の上部中で約65℃〜約85℃の温度を維持し、回収カラムの中間部分の下部中で約100 ℃〜約120 ℃の温度を維持し、回収カラムの底部分の下部中で約105 ℃〜約125 ℃の温度を維持し、アクリロニトリル−水共沸混合物をアセトニトリルから分離してアクリロニトリル−水共沸混合物を含むオーバーヘッド流、底流、及び側流を得ることを含む。
その方法の先の局面及びその他の局面、幾つかの局面の特徴及び利点は下記の図面から一層明らかであろう。
なお、本発明としては、以下の態様も好ましい。
〔1〕 アクリロニトリルをアクリロニトリルとアセトニトリルを含む混合物から分離するため方法であって、その方法が
アクリロニトリルとアセトニトリルを含む混合物を少なくとも一つの回収カラムに与え、
アクリロニトリルとアセトニトリルを含む混合物を水性溶媒と接触させてアクリロニトリル−水共沸混合物を得、そして
アクリロニトリル−水共沸混合物をアセトニトリルから分離してアクリロニトリル−水共沸混合物及び約0.05質量%以下のアセトニトリルを含むオーバーヘッド流を得ることを特徴とする前記方法。
〔2〕 その方法が約0質量%〜約0.0075質量%のアセトニトリルを含む底流、及び約5質量%〜約70質量%のアセトニトリルを含む側流を与える、〔1〕記載の方法。
〔3〕 回収カラムが単一カラムである、〔1〕記載の方法。
〔4〕 回収カラムが第一のカラム及び第二のカラムを含む、〔1〕記載の方法。
〔5〕 回収カラムが上部分、中間部分及び底部分を含む、〔1〕記載の方法。
〔6〕 上部分、中間部分及び底部分がそれぞれ回収カラムの高さ(タンジェント間距離)の約25%〜約40%である、〔5〕記載の方法。
〔7〕 中間部分が上部、中間部及び下部を含む、〔5〕記載の方法。
〔8〕 上部、中間部及び下部がそれぞれ回収カラムの中間部分の高さ(タンジェント間距離)の約25%〜約40%である、〔7〕記載の方法。
〔9〕 アクリロニトリルとアセトニトリルの混合物を回収カラムの中間部分に与える、〔5〕記載の方法。
〔10〕 回収カラムの中間部分の上部を約65℃〜約85℃に維持する、〔7〕記載の方法。
〔11〕 回収カラムの中間部分の上部を約70℃〜約80℃に維持する、〔10〕記載の方法。
〔12〕 回収カラムの中間部分の下部を約100 ℃〜約120 ℃に維持する、〔7〕記載の方法。
〔13〕 回収カラムの中間部分の下部を約105 ℃〜約115 ℃に維持する、〔12〕記載の方法。
〔14〕 水性溶媒を回収カラムの上部分に与える、〔5〕記載の方法。
〔15〕 回収カラムの上部分が上部及び下部を含み、これらがそれぞれ回収カラムの上部分の高さ(タンジェント間距離)の約40%〜約60%である、〔5〕記載の方法。
〔16〕 回収カラムの上部分の上部を約55℃〜約80℃に維持する、〔15〕記載の方法。
〔17〕 回収カラムの上部分の上部を約60℃〜約75℃に維持する、〔16〕記載の方法。
〔18〕 回収カラムの上部分の上部及び下部が約0℃〜約20℃の温度差を有する、〔15〕記載の方法。
〔19〕 回収カラムの上部分の上部及び下部が約5℃〜約15℃の温度差を有する、〔18〕記載の方法。
〔20〕 回収カラムの底部分が上部及び下部を含み、これらがそれぞれ回収カラムの底部分の高さ(タンジェント間距離)の約40%〜約60%である、〔5〕記載の方法。
〔21〕 回収カラムの底部分の下部を約105 ℃〜約125 ℃に維持する、〔20〕記載の方法。
〔22〕 回収カラムの底部分の下部を約110 ℃〜約120 ℃に維持する、〔21〕記載の方法。
〔23〕 回収カラムの底部分の上部及び下部が約0℃〜約15℃の温度差を有する、〔20〕記載の方法。
〔24〕 回収カラムの底部分の上部及び下部が約7℃〜約13℃の温度差を有する、〔23〕記載の方法。
〔25〕 オーバーヘッド流が約0.03質量%以下のアセトニトリルを有する、〔1〕記載の方法。
〔26〕 オーバーヘッド流が約0.01質量%以下のアセトニトリルを有する、〔25〕記載の方法。
〔27〕 オーバーヘッド流が約70質量%〜約90質量%のアクリロニトリルを有する、〔1〕記載の方法。
〔28〕 オーバーヘッド流が約75質量%〜約85質量%のアクリロニトリルを有する、〔27〕記載の方法。
〔29〕 底流が約0.0025質量%〜約0.007 質量%のアセトニトリルを含む、〔2〕記載の方法。
〔30〕 底流が約0.0025質量%〜約0.005 質量%のアセトニトリルを含む、〔29〕記載の方法。
〔31〕 側流が約5質量%〜約50質量%のアセトニトリルを含む、〔2〕記載の方法。
〔32〕 側流が約6質量%〜約12質量%のアセトニトリルを含む、〔31〕記載の方法。
〔33〕 アクリロニトリルをアクリロニトリルとアセトニトリルを含む混合物から分離するため方法であって、その方法が
アクリロニトリルとアセトニトリルを含む混合物を少なくとも一つの回収カラムに与え、
アクリロニトリルとアセトニトリルを含む混合物を水性溶媒と接触させてアクリロニトリル−水共沸混合物を得、そして
約0質量%〜約0.0075質量%のアセトニトリルを含む底流、及び約5質量%〜約70質量%のアセトニトリルを含む側流を得ることを特徴とする前記方法。
〔34〕 その方法がアクリロニトリル−水共沸混合物をアセトニトリルから分離してアクリロニトリル−水共沸混合物及び約0.05質量%以下のアセトニトリルを含むオーバーヘッド流を得ることを含む、〔33〕記載の方法。
〔35〕 回収カラムが単一カラムである、〔33〕記載の方法。
〔36〕 回収カラムが第一のカラム及び第二のカラムを含む、〔33〕記載の方法。
〔37〕 回収カラムが上部分、中間部分及び底部分を含む、〔33〕記載の方法。
〔38〕 上部分、中間部分及び底部分がそれぞれ回収カラムの高さ(タンジェント間距離)の約25%〜約40%である、〔37〕記載の方法。
〔39〕 中間部分が上部、中間部及び下部を含む、〔37〕記載の方法。
〔40〕 上部、中間部及び下部がそれぞれ回収カラムの中間部分の高さ(タンジェント間距離)の約25%〜約40%である、〔39〕記載の方法。
〔41〕 アクリロニトリルとアセトニトリルの混合物を回収カラムの中間部分に与える、〔37〕記載の方法。
〔42〕 回収カラムの中間部分の上部を約65℃〜約85℃に維持する、〔39〕記載の方法。
〔43〕 回収カラムの中間部分の上部を約70℃〜約80℃に維持する、〔42〕記載の方法。
〔44〕 回収カラムの中間部分の下部を約100 ℃〜約120 ℃に維持する、〔39〕記載の方法。
〔45〕 回収カラムの中間部分の下部を約105 ℃〜約115 ℃に維持する、〔44〕記載の方法。
〔46〕 水性溶媒を回収カラムの上部分に与える、〔37〕記載の方法。
〔47〕 回収カラムの上部分が上部及び下部を含み、これらがそれぞれ回収カラムの上部分の高さ(タンジェント間距離)の約40%〜約60%である、〔37〕記載の方法。
〔48〕 回収カラムの上部分の上部を約55℃〜約80℃に維持する、〔47〕記載の方法。
〔49〕 回収カラムの上部分の上部を約60℃〜約75℃に維持する、〔48〕記載の方法。
〔50〕 回収カラムの上部分の上部及び下部が約0℃〜約20℃の温度差を有する、〔47〕記載の方法。
〔51〕 回収カラムの上部分の上部及び下部が約5℃〜約15℃の温度差を有する、〔50〕記載の方法。
〔52〕 回収カラムの底部分が上部及び下部を含み、これらがそれぞれ回収カラムの底部分の高さ(タンジェント間距離)の約40%〜約60%である、〔37〕記載の方法。
〔53〕 回収カラムの底部分の下部を約105 ℃〜約125 ℃に維持する、〔52〕記載の方法。
〔54〕 回収カラムの底部分の下部を約110 ℃〜約120 ℃に維持する、〔53〕記載の方法。
〔55〕 回収カラムの底部分の上部及び下部が約0℃〜約15℃の温度差を有する、〔52〕記載の方法。
〔56〕 回収カラムの底部分の上部及び下部が約7℃〜約13℃の温度差を有する、〔55〕記載の方法。
〔57〕 オーバーヘッド流が約0.03質量%以下のアセトニトリルを有する、〔34〕記載の方法。
〔58〕 オーバーヘッド流が約0.01質量%以下のアセトニトリルを有する、〔57〕記載の方法。
〔59〕 オーバーヘッド流が約70質量%〜約90質量%のアクリロニトリルを有する、〔34〕記載の方法。
〔60〕 オーバーヘッド流が約75質量%〜約85質量%のアクリロニトリルを有する、〔59〕記載の方法。
〔61〕 底流が約0.0025質量%〜約0.007 質量%のアセトニトリルを含む、〔33〕記載の方法。
〔62〕 底流が約0.0025質量%〜約0.005 質量%のアセトニトリルを含む、〔61〕記載の方法。
〔63〕 側流が約5質量%〜約50質量%のアセトニトリルを含む、〔33〕記載の方法。
〔64〕 側流が約6質量%〜約12質量%のアセトニトリルを含む、〔63〕記載の方法。
〔65〕 アクリロニトリルをアクリロニトリルとアセトニトリルを含む混合物から分離するため方法であって、その方法が
アクリロニトリルとアセトニトリルを含む混合物を複数のトレーを有する少なくとも一つの回収カラムに与え(この場合、その複数のトレーは上部分のトレー、中間部分のトレー、及び底部分のトレーを含む)、
水性溶媒を上部分のトレーに与え、
アクリロニトリルとアセトニトリルを含む混合物を水性溶媒と接触させてアクリロニトリル−水共沸混合物を得、そして
そのアクリロニトリル−水共沸混合物をアセトニトリルから分離してアクリロニトリル−水共沸混合物及び約0.05質量%以下のアセトニトリルを含むオーバーヘッド流を得ることを特徴とする前記方法。
〔66〕 その方法が約0質量%〜約0.0075質量%のアセトニトリルを含む底流、及び約5質量%〜約70質量%のアセトニトリルを含む側流を与える、〔65〕記載の方法。
〔67〕 回収カラムが単一カラムである、〔65〕記載の方法。
〔68〕 回収カラムが第一のカラム及び第二のカラムを含む、〔65〕記載の方法。
〔69〕 アクリロニトリルとアセトニトリルの混合物を中間部分のトレー中で水性溶媒と接触させる、〔65〕記載の方法。
〔70〕 アクリロニトリル−水共沸混合物を中間部分及び上部分のトレー中で生成する、〔65〕記載の方法。
〔71〕 回収カラムが約80〜約120 のトレーを有する、〔65〕記載の方法。
〔72〕 上部分のトレー、中間部分のトレー及び底部分のトレーがそれぞれ回収カラム中のトレーの合計数の約25%〜約40%である、〔65〕記載の方法。
〔73〕 中間部分のトレーが上部のトレー、中間部のトレー及び下部のトレーを含む、〔65〕記載の方法。
〔74〕 上部のトレー、中間部のトレー及び下部のトレーがそれぞれ回収カラムの中間部分のトレーの合計トレー数の約25%〜約40%である、〔73〕記載の方法。
〔75〕 回収カラムの中間部分の上部のトレーを約65℃〜約85℃に維持する、〔73〕記載の方法。
〔76〕 回収カラムの中間部分の上部のトレーを約70℃〜約80℃に維持する、〔75〕記載の方法。
〔77〕 回収カラムの中間部分の下部のトレーを約100 ℃〜約120 ℃に維持する、〔73〕記載の方法。
〔78〕 回収カラムの中間部分の下部のトレーを約105 ℃〜約115 ℃に維持する、〔77〕記載の方法。
〔79〕 回収カラムの上部分のトレーが上部のトレー及び下部のトレーを含み、これらがそれぞれ回収カラム中の上部分のトレーにおける合計トレー数の約40%〜約60%である、〔65〕記載の方法。
〔80〕 回収カラムの上部分の上部のトレーを約55℃〜約80℃に維持する、〔79〕記載の方法。
〔81〕 回収カラムの上部分の上部のトレーを約60℃〜約75℃に維持する、〔80〕記載の方法。
〔82〕 回収カラムの上部分の上部のトレー及び下部のトレーが約0℃〜約20℃の温度差を有する、〔79〕記載の方法。
〔83〕 回収カラムの上部分の上部のトレー及び下部のトレーが約5℃〜約15℃の温度差を有する、〔82〕記載の方法。
〔84〕 回収カラムの底部分のトレーが上部のトレー及び下部のトレーを含み、これらがそれぞれ回収カラム中の底部分のトレーにおける合計トレー数の約40%〜約60%である、〔65〕記載の方法。
〔85〕 回収カラムの底部分の下部のトレーを約105 ℃〜約125 ℃に維持する、〔77〕記載の方法。
〔86〕 回収カラムの底部分の下部のトレーを約110 ℃〜約120 ℃に維持する、〔85〕記載の方法。
〔87〕 回収カラムの底部分の上部のトレー及び下部のトレーが約0℃〜約15℃の温度差を有する、〔84〕記載の方法。
〔88〕 回収カラムの底部分の上部のトレー及び下部のトレーが約7℃〜約13℃の温度差を有する、〔87〕記載の方法。
〔89〕 回収カラムの中間部分における温度低下が回収カラムの上トレーから底トレーまでの温度低下の約35%以上である、〔73〕記載の方法。
〔90〕 回収カラムの中間部分における温度低下が回収カラムの上トレーから底トレーまでの温度低下の約50%以上である、〔89〕記載の方法。
〔91〕 回収カラムの中間部分における温度低下が回収カラムの上トレーから底トレーまでの温度低下の約75%以上である、〔90〕記載の方法。
〔92〕 回収カラムの中間部分における温度低下が回収カラムの上トレーから底トレーまでの温度低下の約75%である、〔91〕記載の方法。
〔93〕 回収カラムの中間部分における温度低下が回収カラムの上トレーから底トレーまでの温度低下の約80%である、〔92〕記載の方法。
〔94〕 オーバーヘッド流が約0.03質量%以下のアセトニトリルを有する、〔65〕記載の方法。
〔95〕 オーバーヘッド流が約0.01質量%以下のアセトニトリルを有する、〔94〕記載の方法。
〔96〕 オーバーヘッド流が約70質量%〜約90質量%のアクリロニトリルを有する、〔65〕記載の方法。
〔97〕 オーバーヘッド流が約75質量%〜約85質量%のアクリロニトリルを有する、〔96〕記載の方法。
〔98〕 底流が約0.0025質量%〜約0.007 質量%のアセトニトリルを含む、〔66〕記載の方法。
〔99〕 底流が約0.0025質量%〜約0.005 質量%のアセトニトリルを含む、〔98〕記載の方法。
〔100〕 側流が約5質量%〜約50質量%のアセトニトリルを含む、〔66〕記載の方法。
〔101〕 側流が約6質量%〜約12質量%のアセトニトリルを含む、〔100〕記載の方法。
〔102〕 アクリロニトリルをアクリロニトリルとアセトニトリルを含む混合物から分離するため方法であって、その方法が
アクリロニトリルとアセトニトリルを含む混合物を複数のトレーを有する少なくとも一つの回収カラムに与え(この場合、その複数のトレーは上部分のトレー、中間部分のトレー、及び下部分のトレーを含む)、
水性溶媒を上部分のトレーに与え、
アクリロニトリルとアセトニトリルの混合物を水性溶媒と接触させてアクリロニトリル−水共沸混合物を得、そして
約0質量%〜約0.0075質量%のアセトニトリルを含む底流、及び約5質量%〜約70質量%のアセトニトリルを含む側流を得ることを特徴とする前記方法。
〔103〕 その方法がアクリロニトリル−水共沸混合物をアセトニトリルから分離してアクリロニトリル−水共沸混合物及び約0.05質量%以下のアセトニトリルを含むオーバーヘッド流を得ることを含む、〔102〕記載の方法。
〔104〕 回収カラムが単一カラムである、〔102〕記載の方法。
〔105〕 回収カラムが第一のカラム及び第二のカラムを含む、〔102〕記載の方法。
〔106〕 アクリロニトリルとアセトニトリルの混合物を中間部分のトレーにおいて水性溶媒と接触させる、〔102〕記載の方法。
〔107〕 アクリロニトリル−水共沸混合物を中間部分及び上部分のトレーにおいて生成する、〔102〕記載の方法。
〔108〕 回収カラムが約80〜約120 のトレーを有する、〔102〕記載の方法。
〔109〕 上部分のトレー、中間部分のトレー及び底部分のトレーがそれぞれ回収カラム中のトレーの合計数の約25%〜約40%である、〔102〕記載の方法。
〔110〕 中間部分のトレーが上部のトレー、中間部のトレー及び下部のトレーを含む、〔102〕記載の方法。
〔111〕 上部のトレー、中間部のトレー及び下部のトレーがそれぞれ回収カラムの中間部分の合計トレー数の約25%〜約40%である、〔110〕記載の方法。
〔112〕 回収カラムの中間部分の上部のトレーを約65℃〜約85℃に維持する、〔110〕記載の方法。
〔113〕 回収カラムの中間部分の上部のトレーを約70℃〜約80℃に維持する、〔112〕記載の方法。
〔114〕 回収カラムの中間部分の下部のトレーを約100 ℃〜約120 ℃に維持する、〔110〕記載の方法。
〔115〕 回収カラムの中間部分の下部のトレーを約105 ℃〜約115 ℃に維持する、〔114〕記載の方法。
〔116〕 回収カラムの上部分のトレーが上部のトレー及び下部のトレーを含み、これらがそれぞれ回収カラム中の上部分のトレーにおける合計トレー数の約40%〜約60%である、〔102〕記載の方法。
〔117〕 回収カラムの上部分の上部のトレーを約55℃〜約80℃に維持する、〔116〕記載の方法。
〔118〕 回収カラムの上部分の上部のトレーを約60℃〜約75℃に維持する、〔117〕記載の方法。
〔119〕 回収カラムの上部分の上部のトレー及び下部のトレーが約0℃〜約20℃の温度差を有する、〔116〕記載の方法。
〔120〕 回収カラムの上部分の上部のトレー及び下部のトレーが約5℃〜約15℃の温度差を有する、〔119〕記載の方法。
〔121〕 回収カラムの底部分のトレーが上部のトレー及び下部のトレーを含み、これらがそれぞれ回収カラム中の底部分のトレーにおける合計トレー数の約40%〜約60%である、〔102〕記載の方法。
〔122〕 回収カラムの底部分の下部のトレーを約105 ℃〜約125 ℃に維持する、〔121〕記載の方法。
〔123〕 回収カラムの底部分の下部のトレーを約110 ℃〜約120 ℃に維持する、〔122〕記載の方法。
〔124〕 回収カラムの底部分の上部のトレー及び下部のトレーが約0℃〜約15℃の温度差を有する、〔121〕記載の方法。
〔125〕 回収カラムの底部分の上部のトレー及び下部のトレーが約7℃〜約13℃の温度差を有する、〔121〕記載の方法。
〔126〕 回収カラムの中間部分における温度低下が回収カラムの上トレーから底トレーまでの温度低下の約35%以上である、〔110〕記載の方法。
〔127〕 回収カラムの中間部分における温度低下が回収カラムの上トレーから底トレーまでの温度低下の約50%以上である、〔126〕記載の方法。
〔128〕 回収カラムの中間部分における温度低下が回収カラムの上トレーから底トレーまでの温度低下の約75%以上である、〔127〕記載の方法。
〔129〕 回収カラムの中間部分における温度低下が回収カラムの上トレーから底トレーまでの温度低下の約75%である、〔128〕記載の方法。
〔130〕 回収カラムの中間部分における温度低下が回収カラムの上トレーから底トレーまでの温度低下の約80%である、〔129〕記載の方法。
〔131〕 オーバーヘッド流が約0.03質量%以下のアセトニトリルを有する、〔103〕記載の方法。
〔132〕 オーバーヘッド流が約0.01質量%以下のアセトニトリルを有する、〔131〕記載の方法。
〔133〕 オーバーヘッド流が約70質量%〜約90質量%のアクリロニトリルを有する、〔103〕記載の方法。
〔134〕 オーバーヘッド流が約75質量%〜約85質量%のアクリロニトリルを有する、〔133〕記載の方法。
〔135〕 底流が約0.0025質量%〜約0.007 質量%のアセトニトリルを含む、〔102〕記載の方法。
〔136〕 底流が約0.0025質量%〜約0.005 質量%のアセトニトリルを含む、〔135〕記載の方法。
〔137〕 側流が約5質量%〜約50質量%のアセトニトリルを含む、〔102〕記載の方法。
〔138〕 側流が約6質量%〜約12質量%のアセトニトリルを含む、〔137〕記載の方法。
〔139〕 アクリロニトリルをアクリロニトリルとアセトニトリルを含む混合物から分離するため方法であって、その方法が
アクリロニトリルとアセトニトリルの混合物を少なくとも一つの回収カラムに与え、アクリロニトリルとアセトニトリルの混合物を水性溶媒と接触させてアクリロニトリル−水共沸混合物を得、
回収カラムの上部分の上部中で約55℃〜約80℃の温度を維持し、
回収カラムの中間部分の上部中で約65℃〜約85℃の温度を維持し、回収カラムの中間部分の下部中で約100 ℃〜約120 ℃の温度を維持し、
回収カラムの底部分の下部中で約105 ℃〜約125 ℃の温度を維持し、そして
アクリロニトリル−水共沸混合物をアセトニトリルから分離してアクリロニトリル−水共沸混合物を含むオーバーヘッド流、底流、及び側流を得ることを特徴とする前記方法。
〔140〕 回収カラムが単一カラムである、〔139〕記載の方法。
〔141〕 回収カラムが第一のカラム及び第二のカラムを含む、〔139〕記載の方法。
〔142〕 上部分、中間部分及び底部分がそれぞれ回収カラムの高さ(タンジェント間距離)の約25%〜約40%である、〔139〕記載の方法。
〔143〕 中間部分が上部、中間部及び下部を含む、〔139〕記載の方法。
〔144〕 上部、中間部及び下部がそれぞれ回収カラムの中間部分の高さ(タンジェント間距離)の約25%〜約40%である、〔143〕記載の方法。
〔145〕 アクリロニトリルとアセトニトリルの混合物を回収カラムの中間部分に与える、〔139〕記載の方法。
〔146〕 回収カラムの中間部分の上部を約70℃〜約80℃に維持する、〔139〕記載の方法。
〔147〕 回収カラムの中間部分の下部を約105 ℃〜約115 ℃に維持する、〔139〕記載の方法。
〔148〕 水性溶媒を回収カラムの上部分に与える、〔139〕記載の方法。
〔149〕 回収カラムの上部分が上部及び下部を含み、これらがそれぞれ回収カラムの上部分の高さ(タンジェント間距離)の約40%〜約60%である、〔139〕記載の方法。
〔150〕 回収カラムの上部分の上部を約60℃〜約75℃に維持する、〔139〕記載の方法。
〔151〕 回収カラムの上部分の上部及び下部が約0℃〜約20℃の温度差を有する、〔139〕記載の方法。
〔152〕 回収カラムの上部分の上部及び下部が約5℃〜約15℃の温度差を有する、〔151〕記載の方法。
〔153〕 回収カラムの底部分が上部及び下部を含み、これらがそれぞれ回収カラムの底部分の高さ(タンジェント間距離)の約40%〜約60%である、〔139〕記載の方法。
〔154〕 回収カラムの底部分の下部を約110 ℃〜約120 ℃に維持する、〔139〕記載の方法。
〔155〕 回収カラムの底部分の上部及び下部が約0℃〜約15℃の温度差を有する、〔139〕記載の方法。
〔156〕 回収カラムの底部分の上部及び下部が約7℃〜約13℃の温度差を有する、〔155〕記載の方法。
【図面の簡単な説明】
【0005】
【
図3】
図3は、アセトニトリル濃縮ゾーンを含む回収カラムを示す。
【
図4】
図4は、回収カラム温度プロフィールを示す。
【0006】
相当する参照符号は図面の幾つかの図中の相当する構成部品を示す。当業者は図中の部材がわかりやすさ及び明瞭化のために示され、必ずしも縮尺して描かれたとは限らないことを認めるであろう。例えば、図中の部材の幾つかの寸法が種々の局面の理解を改善することを助けるためにその他の部材に対して拡大されているかもしれない。また、商業上実現可能な局面に有益又は必要である普通だが、良く理解されている部材がこれらの種々の局面のそれ程遮られないで見ることを促すためにしばしば示されていない。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下の記載は限定の意味に解されるべきではないが、例示の実施態様の一般原理を記載する目的のために単になされている。本発明の範囲は特許請求の範囲を参照して決められるべきである。
回収カラム
あらゆる型の回収カラムが本方法に関して利用されてもよい。幾つかの型の回収カラム構成が例として本明細書に記載される。
アセトニトリルからのアクリロニトリルの分離のための通常の方法が
図1に示される。
図1に示されるように、アクリロニトリル吸収塔(示されていない)からの供給原料流1が第一のカラム10に送られる。供給原料流1は典型的にはアクリロニトリル、シアン化水素 (HCN)、アセトニトリル、及び水を含む。アセトニトリルを実質的に含まない水流2が抽出蒸留によるアクリロニトリル及びHCN からのアセトニトリルの分離を促進するために第二のカラム20の底付近から第一のカラム10の上部に循環される。供給原料1からのアクリロニトリル、HCN 、及び水の一部を含む流れ3が第一のカラム10の上から除去される。水及びアセトニトリルを含む液体流4が第一のカラム10の底から第二のカラム20に供給原料として送られる。第二のカラム20からの蒸気流5が第一のカラム10に送られて第一のカラム10中の蒸留に必要とされる熱を与える。蒸気側流4vが第二のカラム20を上に移動し、アセトニトリルを含む。アセトニトリル、水及び少量のアクリロニトリル及びHCN を含む粗アセトニトリル流6が第二のカラム20の上から除去される。残りの水流7(これはアクリロニトリル、HCN 、及びアセトニトリルを実質的に含まず、第一のカラム10に水流2として逆に循環されない)が、第二のカラム20の底付近で第二のカラム20から排出される。
【0008】
粗アセトニトリルからのアクリロニトリルの分離のための別の通常の方法が
図2に示される。
図2に示されるように、アクリロニトリル吸収塔(示されていない)からの供給原料流 101がカラム 110に送られる。供給原料流 101は典型的にはアクリロニトリル、シアン化水素 (HCN)、アセトニトリル、及び水を含む。アセトニトリルを実質的に含まない底流 102が抽出蒸留によるアクリロニトリル及びHCN からのアセトニトリルの分離を促進するためにカラム 110の底付近からカラム 110の上に循環される。カラム 110 の上に循環されない底流 102の一部がカラム 110から流れ 107として排出される。供給原料流 101からのアクリロニトリル、HCN 、及び水の一部を含むオーバーヘッド流103 がカラム 110の上から除去される。蒸気側流5vがカラム 110を上に移動し、水及びアセトニトリルを含む側流 104 (
図1中の4vに相当する) がカラム 110から除去される。
【0009】
回収カラムの別の例が
図3に示される。この局面において、装置 300がカラム 310を含む。カラム 310は上部分 330、中間部分 340、及び底部分 350を含む。単一カラム 310の中間部分 340は供給原料流 301を受け取るように構成されてもよい。一局面において、そのカラムが上部分及び中間部分を含み、中間部分対上部分の直径の比が約0.8 〜約1.2 、別の局面において約0.9 〜約1.1 であり、別の局面において約1.5 〜約2.5 であり、別の局面において約1.75〜約2.25であり、また別の局面において、約1.8〜約2である。一局面において、そのカラムが中間部分及び底部分を含み、底部分対中間部分の直径の比が約0.8 〜約1.2 であり、別の局面において約0.9 〜約1.1 であり、別の局面において約1.5 〜約2.5 であり、別の局面において約1.75〜約2.25であり、また別の局面において約1.8 〜約2である。一局面において、そのカラムが上部分及び底部分を含み、底部分対上部分の直径の比が約0.8 〜約1.2 であり、別の局面において約0.9 〜約1.1 であり、別の局面において約1.5 〜約2.5 であり、別の局面において約1.75〜約2.25であり、また別の局面において約1.8 〜約2である。一局面において、上部分、中間部分及び底部分がそれぞれ回収カラムの高さ(タンジェント間距離)の約25%〜約40%である。
図3に示されるように、アクリロニトリル、HCN 及び水を含むオーバーヘッド流 303 がカラム 310の上から除去される。回収カラムが粗アセトニトリル濃縮ゾーン 342を含んでいてもよい。粗アセトニトリル濃縮ゾーン 342は内部垂直じゃま板 344を含む。粗アセトニトリル濃縮ゾーンは複数のトレーを含んでいてもよい。トレーはカラムの異なる高さに配置され、それぞれのトレーが粗アセトニトリル濃縮ゾーン 342の断面を横切って延びる水平面を含む。粗アセトニトリル濃縮ゾーン 342 は側流 306が粗アセトニトリル濃縮ゾーン 342のカラム 310から流出することを可能にするように構成された上部出口を含む。蒸気が流れ 304又は蒸気流5vとしてじゃま板 344の両側を上に流れてもよい。カラム 310の上に循環されない底流 302の一部が流れ 307として排出される。
【0010】
回収カラムは上部分、中間部分及び底部分を含んでいてもよい。一局面において、上部分、中間部分及び底部分がそれぞれ回収カラムの高さ(タンジェント間距離、tangent-to-tangent)の約25%〜約40%である。それぞれの回収カラム部分は更に部分に分けられてもよい。例えば、回収カラムの中間部分が上部、中間部及び下部を含む。この局面において、上部、中間部及び下部がそれぞれ回収カラムの中間部分の高さの約25%〜約40%である。別の局面において、回収カラムの上部分が上部及び下部を含み、これらはそれぞれ回収カラムの上部分の高さの約40%〜約60%である。別の局面において、回収カラムの底部分が上部及び下部を含み、これらはそれぞれ回収カラムの底部分の高さの約40%〜約60%である。
別の局面において、回収カラムが約80〜約120 のトレーを含んでいてもよく、別の局面において、約80〜約100 のトレーを含んでいてもよい。回収カラム中の複数のトレーは上部分(トップセクション)のトレー、中間部分(ミドルセクション)のトレー、及び底部分(ボトムセクション)のトレーを含む。この局面において、上部分のトレー、中間部分のトレー及び底部分のトレーはそれぞれ回収カラム中のトレーの合計数の約25%〜約40%である。
回収カラムの上部分(トップセクション)のトレーは上部(トップポーション)のトレー及び下部(ボトムポーション)のトレーを含み、これらはそれぞれ回収カラム中の上部分のトレーにおける合計トレー数の約40%〜約60%である。中間部分(ミドルセクション)のトレーは上部(トップポーション)のトレー、中間部(ミドルポーション)のトレー及び下部(ボトムポーション)のトレーを含む。上部のトレー、中間部のトレー及び下部のトレーはそれぞれ回収カラムの中間部分のトレーにおける合計トレー数の約25%〜約40%である。回収カラムの底部分(ボトムセクション)のトレーは上部(トップポーション)のトレー及び下部(ボトムポーション)のトレーを含み、これらはそれぞれ回収カラム中の底部分のトレーにおける合計トレー数の約40 %〜約60%である。
【0011】
回収カラム操作
回収カラムに与えられる供給原料流は典型的にはアクリロニトリル、シアン化水素 (HCN) 、アセトニトリル、及び水を含む (
図1中に供給原料流1として、
図2中に供給原料流 101として、また
図3中に供給原料流 301として示される) 。この局面において、回収カラムに与えられる供給原料流は約2質量%〜約10質量%のアクリロニトリル、別の局面において、約3質量%〜約7質量%、また別の局面において、約4質量%〜約6質量%のアクリロニトリルを含む。また、その混合物は約0.1 質量%〜約0.3 質量%の量のアセトニトリル、また別の局面において、約0.15質量%〜約0.25質量%のアセトニトリルを含む。また、その混合物はその他の成分、例えば、アクロレイン及び/又はオキサゾールを小量で含んでいてもよい。
溶媒水は回収カラムにカラムの上部で入る(
図1中に水流2、
図2中に水流 102、また
図3中に水流 302として示される) 。回収カラムの上に導入される溶媒水はトレーを横切ってその塔を下に流れて、それが回収カラムの底に移動する際にアセトニトリルを凝縮し、抽出する。その液体が回収カラム中のトレーを横切って塔の底に降りる際に、ストリッパーからの熱蒸気及び添加された生の流れからの熱が、トレー孔を通って塔を上に移動し、それらの上で液体との緊密な接触を可能にする。熱移動が液体と蒸気通行の間に起こり、全ての有機物(アセトニトリル以外)をカラムの上まで移動させる傾向がある。
回収カラムにより生成されるオーバーヘッド流 (
図1中で流れ3、
図2中で流れ 103、また
図3中で流れ 303として示される) はアクリロニトリル、HCN 、及び供給原料流からの水の一部を含んでいてもよい。回収カラムは水及びアセトニトリルを含み、アクリロニトリル及びHCN を実質的に含まない蒸気側流を与えてもよい (
図2中で流れ 104、また
図3中で304 として示される) 。また、回収カラムは回収カラムの底部から出る底流 (
図1中で底流2、
図2中で底流 102、また
図3中で底流 302として示される) を与えてもよい。底流の少なくとも一部が回収カラムの上部に逆に循環されてもよい。回収カラムを加熱するための既知の方法は、例えば、スチーム、スチーム加熱リボイラー及び/又はその他のプロセス流との熱交換を含む。
温度制御
図4は回収カラム操作のための温度プロフィールを記載する。適当な温度制御及び
図4に記載された温度プロフィールが適当なカラム操作に重要である。
図4中の点線により特定された温度プロフィール内の変化が溶媒水及び供給原料の温度、溶媒水割合、及びスチーム割合を伴なう変化の組み合わせによりもたらされ得る。
曲線上の点“A”の上の変化は主として組成及び圧力の変化のためである。点“A”の上の温度変化は重要ではないが、オーバーヘッド温度がオーバーヘッドに入るオキサゾール、アセトニトリル、アセトン及び水の量を最小にするためにできるだけ低く保たれるべきである。点“B”の下の温度変化は主としてトレー圧力変化のためである。何とならば、この部分における組成が殆ど水であるからである。
【0012】
回収カラムの温度制御はリボイラー及び熱交換機を含み得る既知の温度制御システムを含む。一局面において、回収カラムの底中の必要な沸騰を生じるのに必要とされる熱負荷はあらゆる通常のリボイリング装置中の伝熱により与えられてもよい。通常のリボイラーはシェル及びチューブ交換機の或る別型を含んでいてもよい。リボイラー構成の幾つかの例として、ケトル、サーモサイフォン、強制循環、スタブ−イン・バンドル(stab-in bundle) 、水平フィルム、垂直フィルム及び落下フィルムが挙げられる。一局面において、その方法が液体を回収カラムの底付近で除去し、液体をサーモサイフォンリボイラー中で交換することにより温度を制御することを含む。この局面において、サーモサイフォンリボイラーからの流出物が回収カラムに戻される。生の流れが補給のため又は回収カラムの必要とされる熱負荷を置換するために注入されてもよい。別の局面において、その方法がタービン排出に由来する加圧スチームを使用して、平行な二つの垂直のサーモサイフォンリボイラーによる回収カラムのリボイリングを含む。
一局面において、回収カラム温度が以下のように維持される:
回収カラムの中間部分の上部が約65℃〜約85℃、また別の局面において、約70℃〜約80℃の温度に維持され、
回収カラムの中間部分の下部が約100 ℃〜約120 ℃、また別の局面において、約105〜約115 ℃に維持され、
回収カラムの上部分の上部が約55℃〜約80℃、また別の局面において、約60℃〜約75℃に維持され、
回収カラムの上部分の上部及び下部が約0℃〜約20℃、また別の局面において、約5℃〜約15℃の温度差を有し、
回収カラムの底部分の下部が約105 ℃〜約125 ℃、また別の局面において、約110 ℃〜約120 ℃の温度に維持され、かつ
回収カラムの底部分の上部及び下部が約0℃〜約15℃、また別の局面において、約7℃〜約13℃の温度差を有する。
【0013】
別の局面において、回収カラム温度が以下のように維持される:
回収カラムの中間部分の上部のトレーが約65℃〜約85℃、また別の局面において、約70℃〜約80℃の温度に維持され、
回収カラムの中間部分の下部のトレーが約100 ℃〜約120 ℃、また別の局面において、約105 ℃〜約115 ℃に維持され、
回収カラムの上部分の上部のトレーが約55℃〜約80℃、また別の局面において、約60℃〜約75℃に維持され、
回収カラムの上部分の上部のトレー及び下部のトレーが約0℃〜約20℃、また別の局面において、約5℃〜約15℃の温度差を有し、
回収カラムの底部分の下部のトレーが約105 ℃〜約125 ℃、また別の局面において、約110 ℃〜約120 ℃に維持され、かつ
回収カラムの底部分の上部のトレー及び下部のトレーが約0℃〜約15℃、また別の局面において、約7℃〜約13℃の温度差を有する。
別の局面において、温度が以下のように回収カラムの中間部分中で制御される:
一局面において、回収カラムの中間部分中の温度低下が回収カラムの上トレーから底トレーまでの温度低下の約35%以上であり、
別の局面において、回収カラムの中間部分中の温度低下が回収カラムの上トレーから底トレーまでの温度低下の約50%以上であり、
別の局面において、回収カラムの中間部分中の温度低下が回収カラムの上トレーから底トレーまでの温度低下の約75%以上であり、
別の局面において、回収カラムの中間部分中の温度低下が回収カラムの上トレーから底トレーまでの温度低下の約75%であり、また
別の局面において、回収カラムの中間部分中の温度低下が回収カラムの上トレーから底トレーまでの温度低下の約80%である。
【0014】
回収カラムの温度制御が下記の組成を有するオーバーヘッド流、底流及び側流を与える:
アクリロニトリル−水共沸混合物及び約0.05質量%以下のアセトニトリル、別の局面において、約0.03質量%以下のアセトニトリル、また別の局面において、約0.01質量%以下のアセトニトリルを含むオーバーヘッド流;
約70質量%〜約90質量%のアクリロニトリル、また別の局面において、約75質量%〜約85質量%のアクリロニトリルを含むオーバーヘッド流、
約0質量%〜約0.0075質量%のアセトニトリル、別の局面において、約0.0025質量%〜約0.007 質量%のアセトニトリル、また別の局面において、約0.0025質量%〜約 0.005 質量%のアセトニトリルを含む底流、及び
約5質量%〜約70質量%のアセトニトリル、別の局面において、約5質量%〜約50質量%のアセトニトリル、また別の局面において、約6質量%〜約12質量%のアセトニトリルを含む側流。
回収カラムの操作方法であって、その方法が回収カラムへの供給原料流の導入の前に約100 ℃〜約105 ℃の温度を回収カラム中の制御トレーに与えることを含む。この局面において、制御トレーが回収カラムの中間部分中に配置される。更に、その方法は回収カラムへの供給原料流の導入の前に約100 ℃以下の温度を回収カラムの上部分中に与えることを含み、別の局面において、回収カラムの上部分が回収カラムへの供給原料流の導入の前に約70℃〜約90℃である。この局面において、供給原料流が有機物を含む。有機物がアクリロニトリル、メタクリロニトリル、アセトニトリル及びこれらの混合物を含んでいてもよい。
【0015】
示された温度を与えた後に、その方法はアクリロニトリルとアセトニトリルの混合物を回収カラムに与え、アクリロニトリルとアセトニトリルの混合物を水性溶媒と接触させてアクリロニトリル−水共沸混合物を得、アクリロニトリル−水共沸混合物をアセトニトリルから分離してアクリロニトリル−水共沸混合物及び約0.05質量%以下のアセトニトリルを含むオーバーヘッド流を得ることを含む。その方法は約0質量%〜約0.0075質量%のアセトニトリルを含む底流、及び約5質量%〜約70質量%のアセトニトリルを含む側流を与える。
別の局面において、回収カラムの操作方法は回収カラムへの供給原料流の導入の前に約100 ℃以下の温度を回収カラムの上部分に与えることを含む。この局面において、回収カラムの上部分が回収カラムへの供給原料流の導入の前に約70℃〜約90℃である。
示された温度を与えた後に、その方法はアクリロニトリルとアセトニトリルの混合物を回収カラムに与え、アクリロニトリルとアセトニトリルの混合物を水性溶媒と接触させてアクリロニトリル−水共沸混合物を得、アクリロニトリル−水共沸混合物をアセトニトリルから分離してアクリロニトリル−水共沸混合物及び約0.05質量%以下のアセトニトリルを含むオーバーヘッド流を得ることを含む。その方法は約0質量%〜約0.0075質量%のアセトニトリルを含む底流、及び約5質量%〜約70質量%のアセトニトリルを含む側流を与える。
本明細書に開示された発明が特別な実施態様、例及びこれらの適用により記載されたが、多くの変更及び変化が特許請求の範囲に示される発明の範囲から逸脱しないで当業者によりなし得る。
【符号の説明】
【0016】
1、101、301−供給原料流
2、102、302−水流
3、103、303−オーバーヘッド流
4−液体流
5−蒸気流
10−第一のカラム
20−第二のカラム
104−側流
342−粗アセトニトリル濃縮ゾーン