(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6850324
(24)【登録日】2021年3月9日
(45)【発行日】2021年3月31日
(54)【発明の名称】マルチモデルに基づく障害物分布シミュレーション方法、装置、端末及びプログラム
(51)【国際特許分類】
G08G 1/00 20060101AFI20210322BHJP
G09B 29/10 20060101ALI20210322BHJP
G08G 1/16 20060101ALI20210322BHJP
【FI】
G08G1/00 A
G09B29/10 Z
G08G1/16 A
【請求項の数】9
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2019-133666(P2019-133666)
(22)【出願日】2019年7月19日
(65)【公開番号】特開2020-42791(P2020-42791A)
(43)【公開日】2020年3月19日
【審査請求日】2019年7月19日
(31)【優先権主張番号】201811044615.9
(32)【優先日】2018年9月7日
(33)【優先権主張国】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】513224353
【氏名又は名称】バイドゥ オンライン ネットワーク テクノロジー (ベイジン) カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】特許業務法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ファン チン
(72)【発明者】
【氏名】イエン フェイロン
(72)【発明者】
【氏名】チャン フェイフー
(72)【発明者】
【氏名】ヤン ルイカン
(72)【発明者】
【氏名】ワン リーアン
(72)【発明者】
【氏名】マー ユイ
【審査官】
秋山 誠
(56)【参考文献】
【文献】
米国特許出願公開第2010/0086200(US,A1)
【文献】
米国特許出願公開第2005/0249391(US,A1)
【文献】
CHRISTOPH GUSTAV KELLER ET AL,Real-time recognition of U.S. speed signs,2008 IEEE INTELLIGENT VEHICLES SYMPOSIUM,米国,IEEE,2008年 9月 5日,518-523頁,518-523頁
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08G 1/00
G08G 1/16
G09B 29/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
マルチモデルに基づく障害物分布シミュレーション方法であって、
複数のフレームの点群を取得し、各フレームの点群には、複数の障害物が含まれるステップと、
前記障害物の実標記データを取得し、前記障害物の前記実標記データに基づき複数のニューラルネットワークモデルを訓練するステップと、
前記点群における標記されない障害物のデータを抽出し、前記ニューラルネットワークモデルに入力し、属性データを有する複数のシミュレーション障害物を含む複数のシミュレーション障害物の予測結果を出力するステップと、
前記シミュレーション障害物の予測結果に基づき少なくとも1つの前記シミュレーション障害物を選択するステップと、
選択された前記シミュレーション障害物の属性データを前記ニューラルネットワークモデルに入力し、前記シミュレーション障害物の位置座標を得て、前記シミュレーション障害物の位置分布を得るステップと、を含み、
前記シミュレーション障害物の予測結果に基づき少なくとも一つのシミュレーション障害物を選択することは、
前記シミュレーション障害物の予測結果において、同じシミュレーション障害物が含まれるか否かを判断し、YESであると、該シミュレーション障害物を選択するステップを含むことを特徴とするマルチモデルに基づく障害物分布シミュレーション方法。
【請求項2】
複数のシミュレーション障害物の予測結果を出力した後、
前記シミュレーション障害物の予測結果に対応する信頼度を出力するステップと、
前記信頼度が閾値より大きいか否かを判断し、YESであると、前記シミュレーション障害物の予測結果を保留するステップと、をさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
選択された前記シミュレーション障害物の属性データを前記ニューラルネットワークモデルに入力し、前記シミュレーション障害物の位置座標を得ることは、
選択された前記シミュレーション障害物の属性データを前記ニューラルネットワークモデルに入力し、複数の前記シミュレーション障害物の境界ボックスを得るステップと、
前記シミュレーション障害物の境界ボックスに基づき対応する長さと幅を取得するステップと、
前記長さと前記幅に基づき前記境界ボックスの長さ平均値と幅平均値を算出するステップと、
前記長さ平均値と前記幅平均値に基づき前記境界ボックスの中心座標を得て、前記中心座標を前記シミュレーション障害物の位置座標とするステップと、を含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項4】
マルチモデルに基づく障害物分布シミュレーション装置であって、
複数のフレームの点群を取得し、各フレームの点群には、複数の障害物が含まれる点群取得モジュールと、
前記障害物の実標記データを取得し、前記障害物の前記実標記データに基づき複数のニューラルネットワークモデルを訓練するモデル訓練モジュールと、
前記点群における標記されない障害物のデータを抽出し、前記ニューラルネットワークモデルに入力し、属性データを有する複数のシミュレーション障害物を含む複数のシミュレーション障害物の予測結果を出力するシミュレーション障害物予測モジュールと、
前記シミュレーション障害物の予測結果に基づき少なくとも一つの前記シミュレーション障害物を選択するシミュレーション障害物選択モジュールと、
選択された前記シミュレーション障害物の属性データを前記ニューラルネットワークモデルに入力し、前記シミュレーション障害物の位置座標を得て、前記シミュレーション障害物の位置分布を得るシミュレーション障害物位置分布モジュールと、を備え、
前記シミュレーション障害物の予測結果に基づき少なくとも一つのシミュレーション障害物を選択することは、
前記シミュレーション障害物の予測結果において、同じシミュレーション障害物が含まれるか否かを判断し、YESであると、該シミュレーション障害物を選択するステップを含むことを特徴とするマルチモデルに基づく障害物分布シミュレーション装置。
【請求項5】
前記シミュレーション障害物の予測結果に対応する信頼度を出力し、前記信頼度が閾値より大きいか否かを判断し、YESであると、前記シミュレーション障害物の予測結果を保留する信頼度判断モジュールをさらに備えることを特徴とする請求項4に記載の装置。
【請求項6】
前記シミュレーション障害物位置分布モジュールは、
選択された前記シミュレーション障害物の属性データを前記ニューラルネットワークモデルに入力し、複数の前記シミュレーション障害物の境界ボックスを得る境界ボックス算出ユニットと、
前記シミュレーション障害物の境界ボックスに基づき対応する長さと幅とを得る長さ幅算出ユニットと、
前記長さと前記幅に基づき前記境界ボックスの長さ平均値と幅平均値を算出する長さ幅平均値算出ユニットと、
前記長さ平均値と前記幅平均値に基づき平均値境界ボックスの中心座標を得て、前記中心座標を前記シミュレーション障害物の位置座標とする位置座標算出ユニットと、を備えることを特徴とする請求項4に記載の装置。
【請求項7】
マルチモデルに基づく障害物分布シミュレーション端末であって、
1つ又は複数のプロセッサと、
1つ又は複数のプログラムを記憶するメモリと、を備え、
前記1つ又は複数のプログラムが前記1つ又は複数のプロセッサにより実行されると、前記1つ又は複数のプロセッサが請求項1乃至3のいずれか一項に記載の方法を実現することを特徴とするマルチモデルに基づく障害物分布シミュレーション端末。
【請求項8】
コンピュータプログラムが記憶されるコンピュータ可読記憶媒体であって、前記プログラムがプロセッサにより実行されると、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の方法を実現することを特徴とするコンピュータ可読記憶媒体。
【請求項9】
コンピュータにおいて、プロセッサにより実行される場合、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の方法を実現することを特徴とするプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンピュータの技術分野に関し、具体的には、マルチモデルに基づく障害物分布シミュレーション方法、装置及び端末に関する。
【背景技術】
【0002】
オフライン状態では、高精度地図に対して、地図における障害物の標記データを収集でき、標記データは、障害物の現在の位置、向き、ID及びタイプ等を含む。そのうち、障害物のタイプとして、車両、通行人、ライダー及びコーン等の移動障害物或いは静止障害物が挙げられる。できるだけ実際の状況に近づくように、障害物の数及び位置分布を如何にシミュレーションするかは、ますます当業者によって重要視されつつある。
【0003】
従来の技術案では、高精度地図を用いて、ルールに基づく障害物配置によってシミュレーションを行い、ルールに基づく障害物配置は、車両が車線方向に沿って配置されること、通行人がランダムに配置されること等の例を含む。しかしながら、ルールに基づく障害物配置により表現されるシーンは非常に限られ、高精度地図に幹線道路のみがあり、支線道路や分岐道路がないため、同一種類の障害物の位置分布及び異なる種類の障害物の個数分布のシミュレーション結果は、実際の状況と大きく異なる。また、ルールに基づく配置は、実際のシーンに出現する可能性のあるすべての状況を網羅できないため、カバー率が不十分である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の実施例は、少なくとも従来技術における上記技術的問題を解決するために、マルチモデルに基づく障害物分布シミュレーション方法、装置及び端末を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
第一態様によれば、本発明の実施例は、マルチモデルに基づく障害物分布シミュレーション方法を提供し、該方法は、
複数のフレームの点群を取得し、各フレームの点群には、複数の障害物が含まれるステップと、
前記障害物の実標記データを取得し、前記障害物の実標記データに基づき複数のニューラルネットワークモデルを訓練するステップと、
前記点群における標記されない障害物のデータを抽出し、各前記ニューラルネットワークモデルにそれぞれ入力し、属性データを有する複数のシミュレーション障害物を含む複数のシミュレーション障害物の予測結果を出力するステップと、
各前記シミュレーション障害物の予測結果に基づき少なくとも一つの前記シミュレーション障害物を選択するステップと、
選択された前記シミュレーション障害物の属性データを各前記ニューラルネットワークモデルに入力し、前記シミュレーション障害物の位置座標を得て、前記シミュレーション障害物の位置分布を得るステップと、を含む。
【0006】
第一態様に合わせて、本発明の第一態様の第一実施形態では、複数のシミュレーション障害物の予測結果を出力した後、
前記シミュレーション障害物の予測結果に対応する信頼度を出力するステップと、
前記信頼度が閾値より大きいか否かを判断し、YESであると、前記シミュレーション障害物の予測結果を保留するステップと、をさらに含む。
【0007】
第一態様に合わせて、本発明の第一態様の第二実施形態では、各前記シミュレーション障害物の予測結果に基づき少なくとも一つのシミュレーション障害物を選択することは、
各前記シミュレーション障害物の予測結果には、同じシミュレーション障害物が含まれるか否かを判断し、YESであると、該シミュレーション障害物を選択するステップを含む。
【0008】
第一態様に合わせて、本発明の第一態様の第三実施形態では、選択された前記シミュレーション障害物の属性データを各前記ニューラルネットワークモデルに入力し、前記シミュレーション障害物の位置座標を得ることは、
選択された前記シミュレーション障害物の属性データを各前記ニューラルネットワークモデルにそれぞれ入力し、複数の前記シミュレーション障害物の境界ボックスを得るステップと、
各前記シミュレーション障害物の境界ボックスに基づきそれぞれ対応する長さと幅を取得するステップと、
各前記長さと前記幅に基づき前記境界ボックスの長さ平均値と幅平均値を算出するステップと、
前記長さ平均値と前記幅平均値に基づき平均値境界ボックスの中心座標を得て、前記中心座標を前記シミュレーション障害物の位置座標とするステップと、を含む。
【0009】
第二態様によれば、本発明の実施例は、マルチモデルに基づく障害物分布シミュレーション装置を提供し、該装置は、
複数のフレームの点群を取得し、各フレームの点群には、複数の障害物が含まれる点群取得モジュールと、
前記障害物の実標記データを取得し、前記障害物の実標記データに基づき複数のニューラルネットワークモデルを訓練するモデル訓練モジュールと、
前記点群における標記されない障害物のデータを抽出し、各前記ニューラルネットワークモデルにそれぞれ入力し、属性データを有する複数のシミュレーション障害物を含む複数のシミュレーション障害物の予測結果を出力するシミュレーション障害物予測モジュールと、
各前記シミュレーション障害物の予測結果に基づき少なくとも一つの前記シミュレーション障害物を選択するシミュレーション障害物選択モジュールと、
選択された前記シミュレーション障害物の属性データを各前記ニューラルネットワークモデルに入力し、前記シミュレーション障害物の位置座標を得て、前記シミュレーション障害物の位置分布を得るシミュレーション障害物位置分布モジュールと、を備える。
【0010】
第二態様に合わせて、本発明の第二態様の第一実施形態では、前記装置は、
前記シミュレーション障害物の予測結果に対応する信頼度を出力し、前記信頼度が閾値より大きいか否かを判断し、YESであると、前記シミュレーション障害物の予測結果を保留する信頼度判断モジュールをさらに備える。
【0011】
第二態様に合わせて、本発明の第二態様の第二実施形態では、前記シミュレーション障害物位置分布モジュールは、
選択された前記シミュレーション障害物の属性データを各前記ニューラルネットワークモデルにそれぞれ入力し、複数の前記シミュレーション障害物の境界ボックスを得る境界ボックス算出ユニットと、
各前記シミュレーション障害物の境界ボックスに基づきそれぞれ対応する長さと幅を取得する長さ幅算出ユニットと、
各前記長さと前記幅に基づき前記境界ボックスの長さ平均値と幅平均値を算出する長さ幅平均値算出ユニットと、
前記長さ平均値と前記幅平均値に基づき平均値境界ボックスの中心座標を得て、前記中心座標を前記シミュレーション障害物の位置座標とする位置座標算出ユニットと、を備える。
【0012】
第三態様によれば、本発明の実施例は、マルチモデルに基づく障害物分布シミュレーション端末を提供し、該端末は、プロセッサ及びメモリを備え、前記メモリは、マルチモデルに基づく障害物分布シミュレーション装置が上記第一態様に係るマルチモデルに基づく障害物分布シミュレーション方法を実行することをサポートするプログラムを記憶し、前記プロセッサは、前記メモリに記憶されたプログラムを実行するように配置される。前記端末は、前記端末がほかの装置又は通信ネットワークと通信する通信インターフェースをさらに備えてもよい。
【0013】
前記機能はハードウェアによって実現されてもよく、ハードウェアが対応するソフトウェアを実行することによって実現されてもよい。前記ハードウェア又はソフトウェアは、上記機能に対応する1つ又は複数のモジュールを含む。
【0014】
第四態様によれば、本発明の実施例は、本発明の実施例は、マルチモデルに基づく障害物分布シミュレーション装置用のコンピュータソフトウェア指令が記憶されるコンピュータ可読記憶媒体を提供し、該指令は、上記第一態様に係るマルチモデルに基づく障害物分布シミュレーション方法を実行するプログラムを含む。
【0015】
上記技術案のいずれかは、障害物の実標記データを取得して、ニューラルネットワークモデルを訓練し、標記されない障害物のデータとニューラルネットワークモデルを用いて、シミュレーション障害物を予測し、予測されたシミュレーション障害物の位置分布を算出する。シミュレーション障害物の位置の多様性を向上させ、障害物の位置分布及び各障害物の個数分布のシミュレーション結果が実際状況により近づくという利点又は有益な効果を有する。
【0016】
以上、明細書の目的のために発明の概要を説明したが、何らかの形態に限定されるものではない。上記説明された例示的な態様、実施形態及び特徴に加えて、本発明のさらなる態様、実施形態及び特徴は図面及び以下の詳細説明によって容易に明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図面において、特に断らない限り、同一符号は同一又は類似の部材又は要素を示す。これらの図面は必ずしも縮尺に応じて作成されるものではない。なお、これらの図面は本発明に開示されているいくつかの実施形態を示しているが、本発明の範囲を限定するものではない。
【
図1】本発明の実施例に係るマルチモデルに基づく障害物分布シミュレーション方法のフローチャートである。
【
図2】本発明の実施例に係るシミュレーション障害物の境界ボックスの模式図である。
【
図3】本発明の実施例に係るマルチモデルに基づく障害物分布シミュレーション装置の構成ブロック図である。
【
図4】本発明の実施例に係るシミュレーション障害物位置分布モジュールの構成ブロック図である。
【
図5】本発明の実施例に係るマルチモデルに基づく障害物分布シミュレーション端末の模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、いくつかの例示的な実施例を説明する。当業者が理解できるように、本発明の趣旨又は範囲を逸脱せずに、説明された実施例を様々な形態で変更することができる。従って、図面及び説明は本質的に限定的ではなく例示的なものである。
【0019】
実施例1
一具体的な実施形態では、
図1に示すように、マルチモデルに基づく障害物分布シミュレーション方法を提供し、該方法は、以下のステップS100〜S500を含む。
【0020】
ステップS100では、複数のフレームの点群を取得し、各フレームの点群には、複数の障害物が含まれる。
【0021】
プローブカーは、走行ルールに従って走行する時、レーダーによって周囲の障害物を走査し、複数のフレームの点群を取得する。プローブカーは、幹線道路上を走行し、又は指定した支線道路上を走行することなどをしてもよく、すべて本実施形態の保護範囲に属する。外部から該複数のフレームの点群を直接取得してもよい。
【0022】
ステップS200では、障害物の実標記データを取得し、障害物の実標記データに基づき複数のニューラルネットワークモデルを訓練する。
【0023】
各フレームの点群における障害物の絶対座標を取得する。具体的には、一実施形態では、プローブカーの世界座標系における絶対座標を取得する。各フレームの点群において、プローブカーを原点に、点群座標系を作成する。プローブカーに対する各障害物の相対座標を算出する。プローブカーの絶対座標と障害物の相対座標に基づき世界座標系における障害物の絶対座標を得る。障害物の実属性データを取得し、該属性データは、シミュレーション障害物の識別子ID、障害物のタイプ、障害物の向き等の属性を含む。障害物の絶対座標と属性データを障害物の実標記データとし、障害物に標記を行い。障害物の実標記データに基づき複数のニューラルネットワークモデルを設計して訓練する。複数のニューラルネットワークモデルは、機能が同じであるが、ネットワーク構造及びパラメータが異なる。一般的に使用されるネットワーク構造は、VGGnet(ビジュアルジオメトリグループ、Visual Geometry Group) ResNet(深層残差ネットワーク、Deep residual network、GoogleNe)等を含み、パラメータがネットワーク構造に対応付けられている。
【0024】
各フレームの点群において、すべての障害物が標記されるのではないが、標記されていない障害物が絶対座標を有する。
【0025】
ステップS300では、前記点群における標記されない障害物のデータを抽出し、各ニューラルネットワークモデルに入力し、属性データを有する複数のシミュレーション障害物を含む複数のシミュレーション障害物の予測結果を出力する。
【0026】
具体的には、標記されない障害物のデータを複数のニューラルネットワークモデルに入力し、シミュレーション障害物を予測し、シミュレーション障害物の属性データを得る。なお、異なるニューラルネットワークモデルによって予測される予測結果は異なる。すなわち、異なる予測結果に含まれるシミュレーション障害物の個数、タイプ等は、異なってもよい。
【0027】
ステップS400では、各シミュレーション障害物の予測結果に基づき少なくとも一つのシミュレーション障害物を選択する。
【0028】
ステップS500では、選択されたシミュレーション障害物の属性データを各ニューラルネットワークモデルに入力し、シミュレーション障害物の位置座標を得て、シミュレーション障害物の位置分布を得る。
【0029】
該実施形態によれば、シミュレーション障害物の位置の多様性を向上させ、障害物の位置分布及び各障害物の個数分布のシミュレーション結果が実際状況により近づく。
【0030】
一実施形態では、複数のシミュレーション障害物の予測結果を出力した後、
シミュレーション障害物の予測結果に対応する信頼度を出力するステップと、
信頼度が閾値より大きいか否かを判断し、YESであると、シミュレーション障害物の予測結果を保留するステップと、をさらに含む。
【0031】
ニューラルネットワークモデルの予測によって、シミュレーション障害物の予測結果を出力するだけでなく、対応する信頼度を出力し、信頼度は、この予測結果がどの程度信頼できるかを示す。シミュレーション障害物の予測結果に対して、信頼度判断を行い、信頼度が閾値より大きいシミュレーション障害物の予測結果を保留し、信頼度が閾値未満のシミュレーション障害物の予測結果を放棄する。
【0032】
一実施形態では、各シミュレーション障害物の属性データに基づき少なくとも一つのシミュレーション障害物を選択することは、各シミュレーション障害物の予測結果には同じシミュレーション障害物が含まれるか否かを判断し、YESであると、該シミュレーション障害物を選択するステップを含む。
【0033】
一例では、ニューラルネットワークモデルは、第一モデル、第二モデル及び第三モデルを含む。標記されない障害物のデータを第一モデル、第二モデル及び第三モデルにそれぞれ入力し、A属性データ、B属性データ及びC属性データを得る。A属性データ、B属性データ及びC属性データがいずれも同じ障害物Xを指し示す場合、この障害物Xをシミュレーション障害物として選択する。又は、個数閾値以上の結果が同じ障害物を指し示す場合、この障害物をシミュレーション障害物として選択する。例えば、A属性データ及びB属性データがいずれも別の障害物Yを指し示す場合、個数閾値が2であると、この障害物Yをシミュレーション障害物として選択する。
【0034】
一実施形態では、各ニューラルネットワークモデルに基づきシミュレーション障害物の位置座標を取得することは、
選択された前記シミュレーション障害物の属性データを各前記ニューラルネットワークモデルに入力し、前記シミュレーション障害物の位置座標を得るステップを含み、当該ステップは、
選択されたシミュレーション障害物の属性データを各ニューラルネットワークモデルに入力し、複数の前記シミュレーション障害物の境界ボックスを得るステップと、
各シミュレーション障害物の境界ボックスに基づき対応する長さと幅とをそれぞれ取得するステップと、
各前記長さと前記幅に基づき前記境界ボックスの長さ平均値と幅平均値を算出するステップと、
前記長さ平均値と前記幅平均値に基づき平均値境界ボックスの中心座標を得て、前記中心座標を前記シミュレーション障害物の位置座標とするステップと、をさらに含む。
【0035】
図3に示すように、「走行停止」というシミュレーション障害物を例に説明する。「走行停止」というシミュレーション障害物に対して、2つのニューラルネットワークモデルによって第一境界ボックスと第二境界ボックスを得る。第一境界ボックスと第二境界ボックスを用いてこのシミュレーション障害物の位置座標を算出する。
【0036】
実施例2
別の具体的な実施形態では、
図3に示すように、マルチモデルに基づく障害物分布シミュレーション装置を提供し、該装置は、
複数のフレームの点群を取得し、各フレームの点群には、複数の障害物が含まれる点群取得モジュール10と、
障害物の実標記データを取得し、障害物の実標記データに基づき複数のニューラルネットワークモデルを訓練するモデル訓練モジュール20と、
点群における標記されない障害物のデータを抽出し、各ニューラルネットワークモデルにそれぞれ入力し、属性データを有する複数のシミュレーション障害物を含む複数のシミュレーション障害物の予測結果を出力するシミュレーション障害物予測モジュール30と、
各シミュレーション障害物の予測結果に基づき少なくとも一つのシミュレーション障害物を選択するシミュレーション障害物選択モジュール40と、
選択されたシミュレーション障害物の属性データを各ニューラルネットワークモデルに入力し、シミュレーション障害物の位置座標を得て、シミュレーション障害物の位置分布を得るシミュレーション障害物位置分布モジュール50と、を備える。
【0037】
一実施形態では、前記装置は、
シミュレーション障害物の予測結果に対応する信頼度を出力し、信頼度が閾値より大きいか否かを判断し、YESであると、シミュレーション障害物の予測結果を保留する信頼度判断モジュールをさらに備える。
【0038】
一実施形態では、
図4に示すように、シミュレーション障害物位置分布モジュール50は、
選択されたシミュレーション障害物の属性データを各ニューラルネットワークモデルにそれぞれ入力し、複数のシミュレーション障害物の境界ボックスを得る境界ボックス算出ユニット51と、
各シミュレーション障害物の境界ボックスに基づき対応する長さと幅とをそれぞれ取得する長さ幅算出ユニット52と、
各長さと幅に基づき境界ボックスの長さ平均値と幅平均値を算出する長さ幅平均値算出ユニット53と、
長さ平均値と幅平均値に基づき境界ボックスの中心座標を得て、中心座標をシミュレーション障害物の位置座標とする位置座標算出ユニット54と、を備える。
【0039】
実施例3
本発明の実施例は、マルチモデルに基づく障害物分布シミュレーション端末を提供し、
図5に示すように、該端末は、メモリ400、プロセッサ500、及び通信インターフェース600を備え、
メモリ400には、プロセッサ500上で実行可能なコンピュータプログラムが記憶され、プロセッサ500は、前記コンピュータプログラムを実行すると、上記実施例に係るマルチモデルに基づく障害物分布シミュレーション方法を実現し、メモリ400とプロセッサ500との数は、1つ又は複数であってもよい、通信インターフェース600は、メモリ400とプロセッサ500とが外部と通信するために用いられる。
【0040】
メモリ400は、高速RAMメモリを含む可能性もあるし、不揮発性メモリ(non−volatile memory)、例えば、少なくとも1つの磁気ディスクメモリをさらに含む可能性もある。
【0041】
メモリ400、プロセッサ500及び通信インターフェース600が独立して実現する場合、メモリ400、プロセッサ500及び通信インターフェース600はバスで互いに接続され、且つ相互間の通信を実現することができる。前記バスは業界標準アーキテクチャ(ISA、Industry Standard Architecture)バス、ペリフェラルコンポーネント(PCI、Peripheral Component Interconnect)バス又は拡張業界標準アーキテクチャ(EISA、Extended Industry Standard Architecture)バス等であってもよい。前記バスはアドレスバス、データバス、制御バス等に分けられてもよい。示しやすくするために、
図5では、1本のみの太線で示すが、1本のみのバス又は1つのタイプのみのバスを有すると示さない。
【0042】
選択的に、具体的に実現する時、メモリ400、プロセッサ500及び通信インターフェース600が1枚のチップに統合される場合、メモリ400、プロセッサ500及び通信インターフェース600は、内部インターフェースによって、相互間の通信を実現することができる。
【0043】
実施例4
本発明の実施例は、コンピュータプログラムが記憶されるコンピュータ可読記憶媒体を提供し、該プログラムがプロセッサにより実行されると、上記実施例1のいずれかに記載のマルチモデルに基づく障害物分布シミュレーション方法を実現する。
【0044】
本明細書の説明において、用語「一実施例」、「いくつかの実施例」、「例」、「具体例」、又は「いくつかの例」等の説明とは、該実施例又は例を参照すると説明した具体的な特徴、構造、材料又は特性が本発明の少なくとも1つの実施例又は例に含まれることを意味する。且つ、説明される具体的な特徴、構造、材料又は特性はいずれか1つ又は複数の実施例又は例で適切な方式で結合してもよい。また、矛盾しない限り、当業者は本明細書に説明される様々な実施例又は例、及び様々な実施例又は例の特徴を結合及び組み合わせすることができる。
【0045】
また、用語の「第一」、「第二」は説明のためのものに過ぎず、相対重要性を指示又は示唆し、又は指示された技術的特徴の数を暗示すると理解すべきではない。従って、「第一」、「第二」で制限された特徴は少なくとも1つの該特徴を明示的又は暗示的に含んでもよい。本発明の説明において、特に明確且つ具体的に制限しない限り、「複数」の意味は2つ又は2つ以上である。
【0046】
当業者であれば、フローチャートにおける、又はここでほかの方式で説明されるいかなる過程又は方法についての説明は、確定の論理機能又は過程を実現するための1つ又は複数のステップの実行可能命令のコードを含むモジュール、セグメント又は部分を示すと理解されてもよく、且つ本発明の好適な実施形態の範囲はほかの実現を含み、指示又は検討される順序通りでなくてもよく、関わる機能に基づいて、ほぼ同時に、又は逆順序で機能を実行してもよいと理解すべきである。
【0047】
フローチャートに示す、又はここでほかの方式で説明される論理及び/又はステップは、例えば、論理機能を実現するための実行可能命令の順序付けリストであると見なされてもよく、具体的にいかなるコンピュータ可読媒体に実現されてもよく、命令実行システム、装置又はデバイス(例えばコンピュータに基づくシステム、プロセッサを含むシステム又は命令実行システム、装置又はデバイスから命令を受信し且つ命令を実行するシステム)の使用に備え、又はこれらの命令実行システム、装置又はデバイスと組み合わせて使用される。本明細書については、「コンピュータ可読媒体」はプログラムを包含、記憶、通信、伝播又は伝送することにより、命令実行システム、装置又はデバイス、又はこれらの命令実行システム、装置又はデバイスと組み合わせて使用されるいかなる装置であってもよい。コンピュータ可読媒体のさらなる具体例(非網羅的リスト)は、1つ又は複数の配線を有する電気接続部(電子装置)、ポータブルコンピュータケース(磁気装置)、ランダムアクセスメモリー(RAM)、読み出し専用メモリ(ROM)、電気的消去再書込み可能な読出し専用メモリ(EPROM又はフラッシュメモリー)、光ファイバー装置、及び携帯型読み出し専用メモリー(CDROM)を含む。また、コンピュータ可読媒体は更にその上に前記プログラムを印刷できる用紙又はほかの適切な媒体であってもよい理由は、例えば用紙又はほかの媒体を光学的に走査し、次に編集、解釈し、又は必要な時にほかの適切な方式で処理して、電子方式で前記プログラムを取得し、次にそれをコンピュータメモリに記憶することができるためである。
【0048】
本発明の各部分はハードウェア、ソフトウェア、ファームウェア又はそれらの組み合わせで実現されてもよいと理解すべきである。上記実施形態において、複数のステップ又は方法は、メモリに記憶される、且つ適切な命令実行システムで実行するソフトウェア又はファームウェアで実現されてもよい。例えば、ハードウェアで実現する場合は、別の実施形態と同様に、データ信号に対して論理機能を実現する論理ゲート回路を有する離散論理回路、適切な組み合わせ論理ゲート回路を有する確定用途向け集積回路、プログラマブルゲートアレイ(PGA)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)等の本分野での公知技術のうちのいずれか1つ又はそれらの組み合わせで実現してもよい。
【0049】
当業者であれば、上記実施例方法におけるステップの全部又は一部の実現がプログラムによって関連するハードウェアを命令して完了させてもよく、前記プログラムがコンピュータ可読記憶媒体に記憶されてもよく、実行時に、該プログラムは方法実施例のステップの1つ又はそれらの組み合わせを含むと理解される。
【0050】
また、本発明の各実施例における各機能ユニットが1つの処理モジュールに統合されてもよく、各ユニットが独立して物理的に存在してもよく、2つ又は2つ以上のユニットが1つのモジュールに統合されてもよい。上記統合モジュールはハードウェアのタイプで実現されてもよいし、ソフトウェア機能モジュールのタイプで実現されてもよい。前記統合モジュールはソフトウェア機能モジュールのタイプで実現され、且つ独立した製品として販売又は使用される時、1つのコンピュータ可読記憶媒体に記憶されてもよい。前記記憶媒体は読み出し専用メモリ、磁気ディスク又は光ディスク等であってもよい。
【0051】
以上の説明は、本発明の具体的な実施形態に過ぎず、本発明の保護範囲を制限するためのものではなく、当業者が本発明に開示される技術的範囲内に容易に想到し得る種々の変更又は置換は、いずれも本発明の保護範囲内に含まれるべきである。従って、本発明の保護範囲は特許請求の範囲に準じるべきである。