(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6850338
(24)【登録日】2021年3月9日
(45)【発行日】2021年3月31日
(54)【発明の名称】温度センサー構成におけるフリッカーノイズ低減
(51)【国際特許分類】
G01K 7/01 20060101AFI20210322BHJP
【FI】
G01K7/01 C
【請求項の数】14
【外国語出願】
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2019-232531(P2019-232531)
(22)【出願日】2019年12月24日
(65)【公開番号】特開2020-126042(P2020-126042A)
(43)【公開日】2020年8月20日
【審査請求日】2019年12月24日
(31)【優先権主張番号】19155312.2
(32)【優先日】2019年2月4日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】596162740
【氏名又は名称】イーエム・ミクロエレクトロニク−マリン・エス アー
(74)【代理人】
【識別番号】100098394
【弁理士】
【氏名又は名称】山川 茂樹
(74)【代理人】
【識別番号】100064621
【弁理士】
【氏名又は名称】山川 政樹
(72)【発明者】
【氏名】ヨンホン・タオ
(72)【発明者】
【氏名】ピンカス・ノヴァック
(72)【発明者】
【氏名】シルヴァン・グロージャン
(72)【発明者】
【氏名】アレクサンドル・デシルドル
(72)【発明者】
【氏名】ユーグ・ブランジー
【審査官】
清水 靖記
(56)【参考文献】
【文献】
特開2009−257790(JP,A)
【文献】
特開平10−246676(JP,A)
【文献】
特開2011−007545(JP,A)
【文献】
特開2014−098614(JP,A)
【文献】
米国特許第08016481(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01K 1/00 − 19/00
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
出力電圧(Vbg)を与えるように構成しているバンドギャップ電圧ジェネレーター(12)と、及び温度感知用の少なくとも1つの半導体接合(14、14A、14B)とを備える温度センサー構成(10)であって、
前記半導体接合(14、14A、14B)は、前記半導体接合(14、14A、14B)を流れるバイアス電流によってバイアスされ、
当該温度センサー構成(10)は、さらに、前記バンドギャップ電圧ジェネレーター(12)の出力(23)と前記半導体接合(14、14A、14B)との間に接続された少なくとも1つのポリ抵抗(Rb3、R3、R5、R4)を備え、
これによって、前記バンドギャップ電圧ジェネレーター(12)から前記半導体接合(14、14A、14B)へと前記バイアス電流が供給され、
当該温度センサー構成(10)は、さらに、前記ポリ抵抗(Rb3、R3、R5、R4)と前記半導体接合(14、14A、14B)との間のノード(19、19A、19B)に接続され温度測定のデジタル化された出力(Dout)を与える差動アナログ/デジタル変換器(20)と、
前記差動アナログ/デジタル変換器(20)の基準端子(30)に接続され前記差動アナログ/デジタル変換器(20)に基準電圧(Vref)を与えるように構成している基準電圧ジェネレーター(22)と、を備え、
前記基準電圧ジェネレーター(22)は、バンドギャップ電圧ジェネレータである
ことを特徴とする温度センサー構成(10)。
【請求項2】
前記半導体接合(14、14A)の少なくとも1つは、バイポーラー接合トランジスターデバイスである
ことを特徴とする請求項1に記載の温度センサー構成(10)。
【請求項3】
前記半導体接合(14、14B)の少なくとも1つは、ダイオードを形成するバイポーラー接合である
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の温度センサー構成(10)。
【請求項4】
前記ポリ抵抗(Rb3、R3、R5、R4)の少なくとも1つは、埋め込まれた多結晶ケイ素抵抗である
ことを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の温度センサー構成(10)。
【請求項5】
前記多結晶ケイ素抵抗(Rb3、R3、R5、R4)は、20kΩ〜25kΩの抵抗値を有する
ことを特徴とする請求項4に記載の温度センサー構成(10)。
【請求項6】
前記ポリ抵抗(Rb3、R3、R5、R4)の少なくとも1つは、p+型の埋め込まれたポリ抵抗である
ことを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の温度センサー構成(10)。
【請求項7】
前記バンドギャップ電圧ジェネレーター(12)がチョッパー増幅器(40)を備える
ことを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載の温度センサー構成(10)。
【請求項8】
前記ポリ抵抗又は各ポリ抵抗(Rb3、R3、R5、R4)は、前記チョッパー増幅器(40)の出力に接続される
ことを特徴とする請求項7に記載の温度センサー構成(10)。
【請求項9】
前記バンドギャップ電圧ジェネレーター(12)は、さらに、前記チョッパー増幅器(40)の出力に接続されるソースフォロワ出力ステージ(42)を備え、
前記ポリ抵抗又は各ポリ抵抗(Rb3、R3、R5、R4)は、前記ソースフォロワ出力ステージ(42)の出力(23)に接続される
ことを特徴とする請求項7に記載の温度センサー構成(10)。
【請求項10】
前記差動アナログ/デジタル変換器(20)の第1の入力25は、少なくとも1つの中間要素(18)を介して前記バンドギャップ電圧ジェネレーター(12)の出力(23)に接続され、
前記差動アナログ/デジタル変換器(20)の第2の入力28は、前記ノード(19、19A、19B)に接続される
ことを特徴とする請求項1−9のいずれか一項に記載の温度センサー構成(10)。
【請求項11】
当該温度センサー構成(10)は、さらに、前記バンドギャップ電圧ジェネレーター(12)の出力(23)と前記差動アナログ/デジタル変換器(20)の前記第1の入力(25)との間に接続される分圧器網部分(18)を備える
ことを特徴とする請求項10に記載の温度センサー構成(10)。
【請求項12】
当該温度センサー構成(10)は、2つの半導体接合(14A、14B)と、2つの対応するポリ抵抗(R3、R4)と、及び前記ポリ抵抗(R3、R4)の1つを介しての各半導体接合(14A、14B)と前記バンドギャップ電圧ジェネレーター(12)との間の接続と非接続を選択的に切り替えるスイッチング手段(34A、34B)とを備え、
前記半導体接合の第1の半導体接合(14A)は、バイポーラー接合トランジスターデバイスであり、
前記半導体接合の第2の半導体接合(14B)は、ダイオードである
ことを特徴とする請求項1〜11のいずれか一項に記載の温度センサー構成(10)。
【請求項13】
当該温度センサー構成(10)は、さらに、チップを備え、
前記バンドギャップ電圧ジェネレーター(12)、両方の前記ポリ抵抗(R3、R4)、前記スイッチング手段(34A、34B)、及び前記バイポーラー接合トランジスターデバイス(14A)は、前記チップに埋め込まれ、
前記ダイオード(14B)は、別の異なるチップに埋め込まれる
ことを特徴とする請求項12に記載の温度センサー構成(10)。
【請求項14】
当該温度センサー構成(10)は、対応するスイッチ(32、34A、34B)を介して前記半導体接合(14)に選択的に接続され前記バンドギャップ電圧ジェネレーター(12)の出力(23)に接続される2つのポリ抵抗(R3、R5)を備える
ことを特徴とする請求項1〜11のいずれか一項に記載の温度センサー構成(10)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子センサーによる温度感知の分野に関する。より詳細には、本発明は、バンドギャップ電圧ジェネレーターを有する温度センサー構成に関する。
【背景技術】
【0002】
いくつかのアプリケーションにおいて、環境をモニターするために温度センサー回路が用いられている。他のいくつかのアプリケーションでは、このようなセンサー回路を、外部回路のパラメーターをチューンして、温度変化の際にその理想から離れた点を補正するために用いることができる。一般的には、このようなセンサー回路は、温度を感知するための半導体接合を有し、電流源からのバイアス電流によってバイアスされている。この温度感知のための半導体接合は、通常、ダイオードを形成し、得られるこのようなダイオードの電圧をアナログ/デジタル変換器(ADC)においてデジタル化して、異なるアプリケーションにて用いられるデジタル化された出力を出力することができる。
図1に、例として、このような既知のセンサー回路1の構成を示している。電流源I
bは、バイポーラー半導体接合2にバイアスをかけるように用いられる。バイポーラー半導体接合2は、例えば、ダイオードが接続された基材pnp型トランジスターである。得られる電圧(V
be)は、絶対温度に対して相補的(CTAT:complementary to absolute temperature)な特性を有する。この電圧V
beは、ADC4によってデジタル化される。基準電圧ジェネレーター6は、温度依存性が無視できる程度でなければならない基準電圧V
refをADC4に与える。25℃付近でゼロのデジタル出力を得ること、及び/又は完全に差動のADCを直接駆動することのために、アナログ/デジタル変換の間にV
beからオフセット電圧V
offを減算することが望ましい。温度感知に対して付加的なエラーが発生することを避けるために、V
offにも無視できない程度の温度依存があってはならない。このために、V
offは、例えば、分圧器網部分を介してバンドギャップ電圧ジェネレーター8の出力電圧V
bgによって得られる。分圧器網部分は、例えば、2つの抵抗R
1、R
2を有する。
【0003】
しかし、このような温度センサー構成においては通常、電子部品において低周波で発生するフリッカーノイズに起因する問題がある。電圧V
be、V
off及びV
refにおけるこのような低周波フリッカーノイズは、温度センサーのデジタル出力を変調し、その長期安定性を制限してしまう。また、このようなフリッカーノイズは、温度測定結果の精度に悪影響を与えてしまう。電圧V
off及びV
refにおけるフリッカーノイズは、通常、チョッパー安定化されたバンドギャップ基準回路をバンドギャップ電圧ジェネレーター8として有することによって既知の手法によって扱われる。しかし、V
beにおけるフリッカーノイズ、より正確には、バイアス電流I
bにおけるフリッカーノイズ、を小さくすることは望ましい。なぜなら、半導体接合2は通常、フリッカーノイズが十分に低いことを示すからである。
【0004】
この課題に対するいくつかの既知の解決策は、I
bを発生させる電流源のトランジスターデバイスの中からチョップ法を用いること、及び/又はチョッパーが安定化された演算相互コンダクタンス増幅器(OTA)の実装、に基づいている。しかし、このような手法の実際の実装は複雑である。また、チョッパーが安定化されたOTAに基づいている場合、このような手法においては、回路の大きさ、電力消費、及びチョップにおける複雑さの間で妥協点を探ることになる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、実装が容易で、小さい空間しか占めず、電流消費が少ない一方で、半導体接合を流れるバイアス電流のフリッカーノイズを低減することができ、したがって、センサーの精度を向上させることができるような温度センサー構成を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明によって、請求項1に記載の温度センサー構成が提供される。
【0007】
バンドギャップ電圧ジェネレーターの出力と半導体接合との間に接続され、これによって、バンドギャップ電圧ジェネレーターから半導体接合へとバイアス電流を与える少なくとも1つのポリ抵抗をこの構成が備えるという特徴によって、低周波数におけるフリッカーノイズがセンサーにおいて大幅に低減され、このことによって、温度の正確な測定が可能になる。また、提案している新しい手法の面積占有量は、伝統的なバイアス電流源の面積占有量よりもはるかに低い。なぜなら、少なくとも1つのポリ抵抗しか必要としないからである。また、提案している手法における電力消費量は、伝統的なバイアス電流源の電力消費量よりもはるかに低い。なぜなら、半導体接合によってのみ消費される電流を流すことしか必要としないからである。最後に、センサーの線形性が改善され、追加の取り組みを必要としない。なぜなら、フリッカーノイズ低減のためにバイアス電流ジェネレーターにチョッピングを実装する必要がないからである。これは、採用したポリ抵抗自体がフリッカーノイズが少ないという特性を有するためである。
【0008】
従属請求項に、本発明の他の態様が記載されている。
【0009】
温度センサー構成の一実施形態において、バンドギャップ電圧ジェネレーターはチョッパー増幅器を備える。
【0010】
好ましいことに、バンドギャップ電圧ジェネレーターは、さらに、チョッパー増幅器の出力に接続されるソースフォロア出力ステージを備え、前記ポリ抵抗又は各ポリ抵抗は、ソースフォロア出力ステージの出力に接続される。このようなソースフォロワ出力ステージによって、バンドギャップ電圧ジェネレーターの安定性を増加させることが可能になる。また、バンドギャップ電圧ジェネレーターの出力抵抗値を減少させることを可能にし、これによって、本手法の実装を容易にする。
【0011】
温度センサー構成の一実施形態において、この温度センサー構成は、さらに、前記ポリ抵抗と前記半導体接合との間のノードに接続されて温度測定のデジタル化された出力を与えるアナログ/デジタル変換器を備える。このようにして、温度センサー構成のためにデジタル化された出力を得ることができ、これは、マイクロプロセッサーを用いるアプリケーションのような様々なアプリケーションに有用であることができる。
【0012】
好ましくは、アナログ/デジタル変換器は、分圧器網部分のノードに接続される基準端子を有する差動アナログ/デジタル変換器であり、前記分圧器網部分は、バンドギャップ電圧ジェネレーターの出力と差動アナログ/デジタル変換器の第1の入力との間に接続されて前記変換器に基準電圧を与える。このことによって、差動アナログ/デジタル変換器の基準電圧としてバンドギャップ電圧ジェネレーターの出力電圧を用いることができ、これによって、いくつかの構成要素の相互利用化と、面積と電力消費においてさらなる向上が可能になる。
【0013】
添付の図面を参照しながら以下の実施形態(これに限定されない)についての説明を読むことによって、本温度センサー構成の他の特徴及び利点を理解することができるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】従来技術による温度センサー構成を概略的に示している。
【
図2】本発明に係る温度センサー構成の第1の実施形態を概略的に示している。
【
図3】本発明に係る温度センサー構成の第2の実施形態を概略的に示している。
【
図4】本発明に係る温度センサー構成の第3の実施形態を概略的に示している。
【
図5】
図1の従来技術の温度センサー構成における出力フリッカーノイズと、
図2の温度センサー構成における出力フリッカーノイズとを比較する図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下の説明において、当業者によく知られている温度センサー構成の構成要素はすべて、簡略化した形態でしか説明しない。
【0016】
図2は、本発明に係る温度センサー構成10の第1の実施形態を示している。温度センサー構成10は、様々なアプリケーションに用いることができ、例えば、外部回路のパラメータをチューニングして温度変化の際のその非理想性を補償することに用いることができる。なお、これに限定されない。このような外部回路は、例えば、ノイズが非常に低い高精度の温度センサーを必要とする圧力センサー又は湿度センサーなどのマイクロ電気機械システムであることができる。温度センサー構成10は、製造中の内部テスト又は較正にも用いることができる。温度センサー構成10は、バンドギャップ電圧ジェネレーター12と、温度感知用の半導体接合14と、及びポリ抵抗R
b3とを備える。温度センサー構成10は、さらに、分圧器網部分18と、差動アナログ/デジタル変換器20と、基準電圧ジェネレーター22とを備えることができる。
【0017】
バンドギャップ電圧ジェネレーター12は、その出力23に出力電圧V
bgを与えるように構成している。出力電圧V
bgは、バンドギャップ基準電圧であることができ、その値は、典型的には、約25℃で1.16V〜1.25 Vの範囲内である。バンドギャップ電圧ジェネレーター12は、チョッパー安定化バンドギャップ電圧ジェネレーターであることができる。
【0018】
図2に示しているように、ポリ抵抗R
b3は、バンドギャップ電圧ジェネレーター12の出力23と半導体接合14との間に接続され、これによって、接合14に、この接合14を流れるバイアス電流を供給する。ポリ抵抗R
b3は、ノード19で半導体接合14に接続される。ポリ抵抗R
b3は、例えば、埋め込まれた多結晶ケイ素抵抗である。この場合、多結晶ケイ素抵抗は、典型的には、20kΩ〜25kΩの範囲の抵抗値を有することがある。代わりに、ポリ抵抗R
b3は、p+タイプの埋め込まれたポリ抵抗、又は拡散ポリ抵抗、又はフリッカーノイズの少ない任意のタイプの多結晶ケイ素抵抗であることができる。
【0019】
半導体接合14は、その端子において特定の電圧があり、その値は温度に依存する。
図2に示している特定の実施形態において、接合14は、例えば、バイポーラー接合トランジスターデバイスであり、典型的には、ダイオード接続基板pnp型トランジスターである。この場合、前記電圧は、トランジスターデバイスのベース−エミッター電圧V
beである。ベース−エミッター電圧V
beは、絶対温度に対して相補的(CTAT)な特性を有する。したがって、ポリ抵抗R
b3を流れるバイアス電流は、生来的に、絶対温度に比例する(PTAT:proportional to absolute temperature)スタイルとなる。このようなPTATバイアス電流は、半導体接合14にとって好ましい。なぜなら、温度に対する電圧V
beの伝達関数における非線形性が、温度に依存しないバイアス電流が用いられる場合と比較して、小さくなければならないからである。このV
be電圧値は、典型的には、約25℃で約0.7Vである。代わりに、接合14は、ダイオードを形成するバイポーラー接合であることができる。このダイオードは、例えば、センサー構成10の他の構成要素が埋め込まれたチップと同じチップ上又はそれとは別個のチップ上に埋め込まれたダイオードであることができる。
【0020】
半導体接合14は、ポリ抵抗R
b3によって供給されるバイアス電流によってバイアスされる。接合14の電極の一方は、電源端子24に接続され、前記電源端子24は、例えば、接地に接続される。
【0021】
分圧器網部分18は、バンドギャップ電圧ジェネレーター12の出力23と差動ADC20の第1の入力25との間に接続される。より正確には、分圧器網部分18は、ノード26で直列に接続される2つの抵抗R
1、R
2を有する。差動ADC20の第1の入力25は、典型的には、ADC20の非反転入力であり、ノード26に接続される。したがって、ノード26は、差動ADC20の第1の入力25にオフセット電圧V
offを与える。第1の抵抗R
1は、バンドギャップ電圧ジェネレーター12の出力23に接続され、第2の抵抗R
2は、電源端子27に接続され、前記電源端子27は、例えば、接地に接続される。
【0022】
差動ADC20は、ノード19、26に接続され、温度測定のデジタル化される出力D
outを与える。より正確には、ADC20の第2の入力28は、典型的には、ADC20の反転入力であり、ポリ抵抗R
b3と半導体接合14との間のノード19に接続される。
【0023】
差動ADC20は、例えば、様々なアプリケーションのために出力をマイクロプロセッサーに接続することができるマルチチャネルセンサーADC、典型的には、高分解能ADC、である。ADC20によって与えられるデジタル化出力D
outは、例えば、16ビット又は18ビットのデジタル化された出力であることができる。
【0024】
基準電圧ジェネレーター22は、差動ADC20の基準端子30に接続されている。基準電圧ジェネレーター22は、基準電圧V
refを差動ADC20に与えるように構成しており、この差動ADC20はその基準電圧V
refによってバイアスされる。基準電圧ジェネレーター22は、バンドギャップ電圧ジェネレーターであることができる。基準電圧V
refは温度の影響を受けない電圧である。V
ref電圧値は、典型的には、約0.7Vである。
【0025】
このような構成において、ADCデジタル化出力D
outを以下のように表すことができる。
【0028】
図3に、温度センサー構成10の第2の実施形態を示している。第1の実施形態に係るセンサー構成と同じないし類似の
図3に示している機能的及び構造的要素には、同じ参照番号を割り当ててており、以降においては詳細には説明しない。
【0029】
温度センサー構成10は、2つのポリ抵抗R
3、R
5を有する。これらの2つの抵抗R
3、R
5は、別個の抵抗値を有し、対応するスイッチ32を介して半導体接合14に選択的に接続され、バンドギャップ電圧ジェネレーター12の出力23に接続されるように構成している。好ましくは、この構成10は、追加のスイッチ34A、34Bを有することができ、その各スイッチ34A、34Bは、バンドギャップ電圧ジェネレーター12の出力23とポリ抵抗R
3、R
5の1つとの間に接続される。
【0030】
図3に示している特定の実施形態において、半導体接合14は、例えば、バイポーラー接合トランジスターデバイスであり、典型的には、ダイオード接続基板pnp型トランジスターである。
【0031】
分圧器網部分18は、直列に接続される3つの抵抗R
0、R
1、R
2を備える。抵抗R
0及びR
1は、第1のノード36で直列に接続される。抵抗R
1及びR
2は、第2のノード38で直列に接続される。差動ADC20の第1の入力25は、典型的には、ADC20の非反転入力であり、第2のノード38に接続される。
【0032】
この第2の実施形態において、温度センサー構成10は、いずれの基準電圧ジェネレーターも備えない。代わりに、差動ADC20の基準端子30は、分圧器網部分18の第1のノード36に接続される。これによって、分圧器網部分18は、基準電圧V
refを差動ADC20に供給し、前記基準電圧V
refは、出力電圧V
bg未満である。図示していない代替実施形態において、基準電圧V
refは、出力電圧V
bgであることができる。
【0033】
温度センサー構成10のこの第2の実施形態によって、半導体接合14のばらつきを克服することができる。
【0034】
図4は、温度センサー構成10の第3の実施形態を示している。第1実施形態及び第2実施形態に係るセンサー構成と同じないし類似の
図4に示している機能的及び構造的要素には、同じ参照番号を割り当てており、以下において詳細に説明しない。
【0035】
温度センサー構成10は、2つの半導体接合14A、14Bと、2つの対応するポリ抵抗R
3、R
4と、及びポリ抵抗R
3、R
4のうちの1つを介する各半導体接合14A、14Bとバンドギャップ電圧ジェネレーター12との間で接続と不接続を選択的に切り替えるスイッチング手段34A、34Bとを備える。スイッチング手段34A、34Bは、例えば、2つのスイッチ34A、34Bを有し、その各スイッチ34A、34Bは、バンドギャップ電圧ジェネレーター12の出力23とポリ抵抗R
3、R
4のうちの1つとの間に接続される。各ポリ抵抗R
3、R
4は、スイッチ34A、34Bの対応する1つと半導体接合14A、14Bのうちの1つとの間に接続される。
【0036】
スイッチ32によって、ADC20の反転入力28を、第1の半導体接合14A及び第1のポリ抵抗R
4によって構成する第1の回路分岐のノード19Aに、又は第2の半導体接合14B及び第2のポリ抵抗R
3によって構成する第2の回路分岐のノード19Bに、選択的に接続することが可能になる。
【0037】
図4に示している特定の実施形態において、バンドギャップ電圧ジェネレーター12は、チョッパー増幅器40と、チョッパー増幅器40の出力に接続されるソースフォロア出力ステージ42とを備える。
図4に示しているように、ソースフォロア出力ステージ42は、例えば、分圧器網部分18の抵抗R
0、R
1、R
2及びポリ抵抗R
3、R
4をバイアスするトランジスターデバイス、典型的には、金属酸化物半導体電場効果トランジスター(MOSFET)である。ポリ抵抗R
3、R
4はそれぞれ、スイッチ34A、34Bを介してソースフォロワ出力ステージ42の出力23に接続される。図示していない別の実施形態において、ポリ抵抗R
3、R
4はそれぞれ、スイッチ34A、34Bを介してチョッパー増幅器40の出力に接続される。
【0038】
第1の半導体接合14Aは、例えば、バイポーラー接合トランジスターデバイス、典型的には、ダイオード接続基板pnp型トランジスター、である。第2の半導体接合14Bは、例えば、ダイオードである。好ましくは、温度センサー構成10は、チップによって構成しており、バンドギャップ電圧ジェネレーター12、両方のポリ抵抗R
3、R
4、スイッチング手段32、34A、34B及びバイポーラー接合トランジスターデバイス14Aがチップに埋め込まれる。ダイオード14Bは、別の異なるチップ上に埋め込まれる。この他の別個のチップは、圧力センサー又は湿度センサーのような、温度補償されるMEMSセンサーのチップであることができる。温度センサー構成10のこの第3の実施形態において、ポリ抵抗R
3、R
4は、温度補償されるMEMSセンサーの近くのダイオード14Bをバイアスするか、又は試験又は他の温度感知のアプリケーションのためにバイポーラー接合トランジスターデバイス14Aをバイアスするように、用いられる。バイアスされる半導体接合14A、14Bの選択は、例えば、レジスタービットを利用して行うことができる。
【0039】
図5は、
図1の従来技術の温度センサー構成1における出力フリッカーノイズ(I
bにおけるフリッカーノイズが意図的には低減されない場合)と、
図2の温度センサー構成10における出力フリッカーノイズとを比較する図である。第1の曲線44は、周波数の関数として、従来技術の温度センサー構成1におけるフリッカーノイズの強度の進展を示している。第2の曲線46は、周波数の関数として、本発明に係る温度センサー構成10におけるフリッカーノイズの強度の進展を示している。本発明に係る温度センサー構成10のおかげで、フリッカーノイズが大幅に減少したことが明らかである。例えば、1mHzの周波数では、フリッカーノイズの強度は、従来技術の温度センサー構成1では58μV/sqrt(Hz)であるが、本発明に係る温度センサー構成10では1μV/sqrt(Hz)にすぎない。
【0040】
請求の範囲において、用語「備える」は、他の要素又はステップがあることを排除するものではなく、単数形であっても複数あることを排除するものではない。互いに異なる従属請求項又は異なる実施形態において異なる特徴が記載されていることだけでは、これらの特徴の組み合わせを有利に用いることができないことを示唆しているということにはならない。請求の範囲において記載された参照符号は、本発明の範囲を限定するものと解釈されるべきではない。
【符号の説明】
【0041】
10 温度センサー構成
12 バンドギャップ電圧ジェネレーター
14、14A、14B 半導体接合
18 分圧器網部分
20 アナログ/デジタル変換器
22 基準電圧ジェネレーター
30 基準端子
32、34A、34B スイッチ
40 チョッパー増幅器
42 ソースフォロワ出力ステージ
R
b3、R
3、R
4、R
5 ポリ抵抗
V
bg 出力電圧
V
ref 基準電圧