(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6850366
(24)【登録日】2021年3月9日
(45)【発行日】2021年3月31日
(54)【発明の名称】半導体集積回路
(51)【国際特許分類】
H03K 3/037 20060101AFI20210322BHJP
H03K 3/3562 20060101ALI20210322BHJP
G01R 31/28 20060101ALI20210322BHJP
【FI】
H03K3/037 B
H03K3/3562
G01R31/28 G
G01R31/28 V
【請求項の数】3
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2019-565761(P2019-565761)
(86)(22)【出願日】2018年12月11日
(86)【国際出願番号】JP2018045448
(87)【国際公開番号】WO2019142546
(87)【国際公開日】20190725
【審査請求日】2020年5月12日
(31)【優先権主張番号】特願2018-4718(P2018-4718)
(32)【優先日】2018年1月16日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】520133916
【氏名又は名称】ヌヴォトンテクノロジージャパン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109210
【弁理士】
【氏名又は名称】新居 広守
(74)【代理人】
【識別番号】100137235
【弁理士】
【氏名又は名称】寺谷 英作
(74)【代理人】
【識別番号】100131417
【弁理士】
【氏名又は名称】道坂 伸一
(72)【発明者】
【氏名】中西 和幸
【審査官】
渡井 高広
(56)【参考文献】
【文献】
特開2017−096881(JP,A)
【文献】
特開平06−021777(JP,A)
【文献】
特開平05−325586(JP,A)
【文献】
特開2017−055332(JP,A)
【文献】
特開2003−043108(JP,A)
【文献】
特開2006−005661(JP,A)
【文献】
特開2009−021650(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2017/0292993(US,A1)
【文献】
米国特許出願公開第2017/0016955(US,A1)
【文献】
特開平10−290142(JP,A)
【文献】
特開2012−114837(JP,A)
【文献】
特開2011−004104(JP,A)
【文献】
特開2004−80172(JP,A)
【文献】
特開2000−275304(JP,A)
【文献】
特開平11−340796(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H03K 3/037
H03K 3/3562
G01R 31/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の入力回路、前記第1の入力回路からの出力信号を入力とする第1のマスターラッチ、および前記第1のマスターラッチからの出力信号を入力とする第1のスレーブラッチを備える第1のフリップフロップと、
第2の入力回路、前記第2の入力回路からの出力信号を入力とする第2のマスターラッチ、および前記第2のマスターラッチからの出力信号を入力とする第2のスレーブラッチを備える第2のフリップフロップと、
前記第1のフリップフロップと前記第2のフリップフロップとに共通のクロック信号を供給するクロック生成回路とを備え、
前記第1のスレーブラッチは、第1のインバータと、前記第1のインバータからの出力信号を入力とする第1のフィードバックインバータと、前記第1のインバータの入力端子と前記第1のフィードバックインバータの出力端子との間に接続された第1のスイッチとを有し、
前記第1のフィードバックインバータの出力端子から前記第1のフリップフロップの出力信号が出力され、
前記第1の入力回路には、第1のデータ入力信号と第1のスキャン入力信号とが入力され、
前記第2の入力回路には、第2のデータ入力信号と前記第1のインバータから出力される信号とが入力され、
前記第2の入力回路は、入力された複数の信号から選択された信号の論理を反転して出力するセレクタである、
半導体集積回路。
【請求項2】
前記第1のインバータは、一方の入力端子にリセット信号が入力される2入力NANDである、請求項1記載の半導体集積回路。
【請求項3】
前記第1のフィードバックインバータは、一方の入力端子にセット信号が入力される2入力NANDである、請求項1または2記載の半導体集積回路。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体集積回路に関し、特に、マルチビットフリップフロップ回路に関するものである。
【背景技術】
【0002】
半導体集積回路において、複数のフリップフロップで1つのクロックバッファを共有し、全体としてのクロックバッファの数を削減することで小面積化と低電力化の効果が得られるマルチビットフリップフロップは、近年の半導体集積回路で多用されている。
【0003】
フリップフロップはチップ面積と電力に大きな影響を及ぼす最も重要な基本回路の一つであるため、マルチビットフリップフロップのさらなる小面積化が要求される。
【0004】
その要求に対する解決策の一つは、その回路における一部分の削減である。例えば、特許文献1に示される典型的なマルチビットフリップフロップでは、出力回路を備える。これに対して、出力回路が削減されたマルチビットフリップフロップの例が特許文献2に示される。ここで出力回路とは、そこからの出力信号がフリップフロップの内部のトランジスタのゲート入力に接続されず、フリップフロップの外部の回路にのみ接続される回路である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2017−055332号公報
【特許文献2】特開2014−060750号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記従来の出力回路が削減されたマルチビットフリップフロップでは、信号伝搬経路が短いため、内部の電位状態が不安定である場合には、出力信号の波形が十分に整形されずに出力される。その結果、ノイズの影響を受けやすくなり、マルチビットフリップフロップの出力端子の接続先の回路までノイズの影響が伝搬する恐れがある。
【0007】
本発明の目的は、ノイズの影響を受けにくく、かつ小面積で構成できるマルチビットフリップフロップを備える半導体集積回路を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
ある観点によれば、本発明に係る半導体集積回路は、第1の入力回路、前記第1の入力回路からの出力信号を入力とする第1のマスターラッチ、および前記第1のマスターラッチからの出力信号を入力とする第1のスレーブラッチを備える第1のフリップフロップと、第2の入力回路、前記第2の入力回路からの出力信号を入力とする第2のマスターラッチ、および前記第2のマスターラッチからの出力信号を入力とする第2のスレーブラッチを備える第2のフリップフロップと、前記第1のフリップフロップと前記第2のフリップフロップとに共通のクロック信号を供給するクロック生成回路とを備え、前記第1のスレーブラッチは、第1のインバータと、前記第1のインバータからの出力信号を入力とする第1のフィードバックインバータと、前記第1のインバータの入力端子と前記第1のフィードバックインバータの出力端子との間に接続された第1のスイッチとを有し、前記第1のフィードバックインバータの出力端子から前記第1のフリップフロップの出力信号が出力され
、前記第1の入力回路には、第1のデータ入力信号と第1のスキャン入力信号とが入力され、前記第2の入力回路には、第2のデータ入力信号と前記第1のインバータから出力される信号とが入力され、前記第2の入力回路は、入力された複数の信号から選択された信号の論理を反転して出力するセレクタである。
【0009】
これにより、出力回路を備えず、かつ、信号伝搬経路上のインバータの段数を十分確保できる回路構成を実現でき、内部の電位状態が不安定の場合でもノイズの影響を受けにくく、かつ小面積で構成できるマルチビットフリップフロップを備える半導体集積回路を構成できる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、ノイズの影響を受けにくく、かつ小面積で構成できるマルチビットフリップフロップを備える半導体集積回路を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】
図1は、本発明の実施形態1に係る半導体集積回路が備えるマルチビットフリップフロップの回路構成を示す図である。
【
図2】
図2は、本発明の実施形態1に係る半導体集積回路が備えるマルチビットフリップフロップの内部電位状態を示す図である。
【
図3】
図3は、インバータの段数と信号波形の傾きの関係の一例を示す図である。
【
図4】
図4は、本発明の実施形態2に係る半導体集積回路が備えるマルチビットフリップフロップの回路構成を示す図である。
【
図5】
図5は、本発明の実施形態3に係る半導体集積回路が備えるマルチビットフリップフロップの回路構成を示す図である。
【
図6】
図6は、本発明の実施形態4に係る半導体集積回路が備えるマルチビットフリップフロップの回路構成を示す図である。
【
図7】
図7は、本発明の実施形態5に係る半導体集積回路が備えるマルチビットフリップフロップの回路構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、以下で説明する実施形態は、いずれも本発明の一具体例を示すものである。以下の実施形態で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置位置及び接続形態、電位状態、信号の波形、信号のタイミング等は、一例であり、本発明を限定する主旨ではない。また、以下の実施形態における構成要素のうち、本発明の最上位概念を示す独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。また、各図は、必ずしも厳密に図示したものではない。各図において、実質的に同一の構成については同一の符号を付し、重複する説明は省略又は簡略化する場合がある。
【0013】
《実施形態1》
図1に示される本実施形態に係る半導体集積回路が備えるマルチビットフリップフロップ10aは、第1のフリップフロップ1aと、第2のフリップフロップ2aと、クロック生成回路3とを備える。
【0014】
第1のフリップフロップ1aは、(1)データD1を入力とするインバータI11で構成される第1の入力回路、(2)スイッチS11、インバータI12とフィードバックトライステートインバータI13とで構成され、第1の入力回路からの出力信号を入力とする第1のマスターラッチ、(3)スイッチS12、第1のインバータI14と第1のフィードバックインバータI15と第1のスイッチS13とで構成され、第1のマスターラッチからの出力信号を入力とする第1のスレーブラッチから成り、第1のフィードバックインバータI15の出力端子から第1のフリップフロップ1aの出力信号Q1を出力する、出力回路のないフリップフロップである。
【0015】
第2のフリップフロップ2aは、(1)データD2を入力としインバータI21で構成される第2の入力回路、(2)スイッチS21、インバータI22とフィードバックトライステートインバータI23とで構成され、第2の入力回路からの出力信号を入力とする第2のマスターラッチ、(3)スイッチS22、第2のインバータI24と第2のフィードバックインバータI25と第2のスイッチS23とで構成され、第2のマスターラッチからの出力信号を入力とする第2のスレーブラッチから成り、第2のフィードバックインバータI25の出力端子から第2のフリップフロップ2aの出力信号Q2を出力する、出力回路のないフリップフロップである。
【0016】
クロック生成回路3は、インバータIaとインバータIbとで構成される。クロック生成回路3は、クロックCKを入力とし、クロック内部信号NCKおよびPCKを出力し、第1のフリップフロップ1aと第2のフリップフロップ2aへ共通に供給する。クロックCKがローレベルからハイレベルへ遷移するとき、スイッチS11およびスイッチS21がオフして新たなデータ入力を遮断すると同時に、スイッチS12およびスイッチS22がオンし、マスターラッチへ取り込まれたデータ信号がスレーブラッチへ転送される。
【0017】
図2は、クロックCKの遷移の直前にデータD1がハイレベルへ遷移した場合の、
図1に示される各ノードの電位状態の例を示す図である。ノードn11の電位が遷移中にスイッチS11がオフとなりつつあるため、ノードn11およびノードn12の電位が不安定な状態で遷移し、大きく傾いた信号波形となっている。このノードn11およびノードn12での信号波形がノードn13およびノードn14での信号波形にまで影響している。従来の出力回路のないマルチビットフリップフロップでは、ノードn14から直接出力されることとなり、ノイズの影響を受けやすくなり、マルチビットフリップフロップの出力端子の接続先の回路まで影響が伝搬する恐れがある。本実施形態によれば、スイッチS12から第1のフリップフロップ1aの出力信号Q1への伝搬までにインバータを2段以上(第1のインバータI14および第1のフィードバックインバータI15)経由するので、傾いた信号波形を整形でき、出力信号Q1のような波形が得られる。
【0018】
図3は、インバータの段数(横軸)と信号波形の傾き(縦軸)の関係の一例を示す図である。ここで、「信号波形の傾き」とは、信号の立ち上がりまたは立ち下がり時における瞬時的な電位変化からの傾斜の度合いであり、大きい値であるほどゆっくり電位が変化することを意味する。黒丸プロットで示されるように、入力信号の傾きを100%としたとき、インバータを1段経由後は信号の傾きが約10%であり入力信号の傾きの影響が残っているが、2段経由すれば信号の傾きさらに抑えられ、それ以上の段数では抑制効果が飽和することがわかる。したがって、本実施の形態によれば、出力回路を備えず、かつ、上述の経由段数を2段確保できるため、内部の電位状態が不安定の場合でもノイズの影響を受けにくく、かつ小面積でマルチビットフリップフロップ10aを構成できる。上述の
図2、
図3の説明は、第2のフリップフロップ2aに対しても同様に有効である。
【0019】
以上のように、本実施形態に係る半導体集積回路が備えるマルチビットフリップフロップ10aは、第1の入力回路、第1の入力回路からの出力信号を入力とする第1のマスターラッチ、および第1のマスターラッチからの出力信号を入力とする第1のスレーブラッチを備える第1のフリップフロップ1aと、第2の入力回路、第2の入力回路からの出力信号を入力とする第2のマスターラッチ、および第2のマスターラッチからの出力信号を入力とする第2のスレーブラッチを備える第2のフリップフロップ2aと、第1のフリップフロップ1aと第2のフリップフロップ2aとに共通のクロック信号を供給するクロック生成回路3とを備える。第1のスレーブラッチは、第1のインバータI14と、第1のインバータI14からの出力信号を入力とする第1のフィードバックインバータI15と、第1のインバータI14の入力端子と第1のフィードバックインバータI15の出力端子との間に接続された第1のスイッチS13とを有し、第1のフィードバックインバータI15の出力端子から第1のフリップフロップ1aの出力信号が出力される。
【0020】
これにより、出力回路を備えず、かつ、第1のスレーブラッチに入力された信号は、2つのインバータを経由してから第1のフリップフロップ1aの出力信号として出力されるので、内部の電位状態が不安定の場合でもノイズの影響を受けにくく、かつ小面積なマルチビットフリップフロップ10aを備える半導体集積回路が実現される。
【0021】
《実施形態2》
図4に示される本実施形態に係る半導体集積回路が備えるマルチビットフリップフロップ10bは、第1のフリップフロップ1bと、第2のフリップフロップ2bと、クロック生成回路3とを備え、スキャンテスト対応構成となっており、第1のフリップフロップ1bから第2のフリップフロップ2bへシリアルにスキャン接続される。すなわち、第1のフリップフロップ1bが備える第1の入力回路は、実施形態1と異なり、第1のデータ入力信号であるデータD1、第1のスキャン入力信号であるスキャン入力データDT、その2つを切り替えるスキャンイネーブルNTを入力とするセレクタSL1で構成される。第2のフリップフロップ2bが備える第2の入力回路は、実施形態1と異なり、第2のデータ入力信号であるデータD2、第1のフリップフロップ1b内のノードn13をスキャン入力とし、その2つを切り替えるスキャンイネーブルNTを入力とするセレクタSL2で構成される。それ以外は、
図1に示される実施形態1と同様である。
【0022】
以上のように、本実施の形態本実施形態に係る半導体集積回路が備えるマルチビットフリップフロップ10bによれば、第1の入力回路には、第1のデータ入力信号と第1のスキャン入力信号とが入力され、第2の入力回路には、第2のデータ入力信号と第1のインバータI14に入力される信号とが入力される。よって、スキャン構成であっても、出力回路を備えず、かつ、上述の経由段数を2段確保できるため、内部の電位状態が不安定の場合でもノイズの影響を受けにくく、かつ小面積でマルチビットフリップフロップ10bを構成できる。
【0023】
《実施形態3》
図5に示される本実施形態に係る半導体集積回路が備えるマルチビットフリップフロップ10cは、第1のフリップフロップ1cと、第2のフリップフロップ2cと、クロック生成回路3とを備え、実施形態2と同様に、スキャンテスト対応構成となっている。第2のフリップフロップ2cが備える第2の入力回路は、実施形態2と異なり、第2のデータ入力信号であるデータD2とフリップフロップ1内のノードn14をスキャン入力とし、その2つを切り替えるスキャンイネーブルNTを入力とするセレクタSL2で構成される以外は、
図4に示される実施形態2と同様の構成である。
【0024】
以上のように、本実施形態に係る半導体集積回路が備えるマルチビットフリップフロップ10cでは、第1の入力回路には、第1のデータ入力信号と第1のスキャン入力信号とが入力され、第2の入力回路には、第2のデータ入力信号と第1のインバータI14から出力される信号とが入力される。
【0025】
実施形態2では、スイッチS12から第2のフリップフロップ2cのスイッチS21までの信号伝搬経路上にはセレクタSL2のみである。それに対して本実施の形態では、その信号伝搬経路上には第1のインバータI14とセレクタSL2とがあるためスキャンデータの伝搬をより遅延させることができる。すなわち、第2のフリップフロップ2cのホールドに対して余裕が生じるメリットを備えつつ、内部の電位状態が不安定の場合でもノイズの影響を受けにくく、かつ小面積でマルチビットフリップフロップ10cを構成できる。
【0026】
《実施形態4》
図6に示される本実施形態に係る半導体集積回路が備えるマルチビットフリップフロップ10dは、第1のフリップフロップ1dと、第2のフリップフロップ2dと、クロック生成回路3とを備え、実施形態3に対してリセット機能が付加された構成となっている。トライステート2入力NAND C11およびC21は、それぞれ、第1のフリップフロップ1dおよび第2のフリップフロップ2dのマスターラッチのフィードバックインバータとして用いられ、2入力NAND C12およびC22は、それぞれ、第1のフリップフロップ1dおよび第2のフリップフロップ2dのスレーブラッチのインバータとして用いられる。2入力NAND C11、C21、C12およびC22のそれぞれ一方の入力端子にはリセット信号Rが入力され、リセット信号Rがローレベルのとき、出力信号Q1およびQ2がローレベルとなる。
【0027】
以上のように、本実施の形態に係る半導体集積回路が備えるマルチビットフリップフロップ10dによれば、第1のインバータI14は、一方の入力端子にリセット信号Rが入力される2入力NANDである。よって、リセット機能が付加された構成であっても、出力回路を備えず、かつ、上述の経由段数を2段確保できるため、内部の電位状態が不安定の場合でもノイズの影響を受けにくく、かつ小面積でマルチビットフリップフロップ10dを構成できる。
【0028】
《実施形態5》
図7に示される本実施形態に係る半導体集積回路が備えるマルチビットフリップフロップ10eは、第1のフリップフロップ1eと、第2のフリップフロップ2eと、クロック生成回路3とを備え、実施形態3に対してセット機能が付加された構成となっている。トライステート2入力NAND C11およびC21は、それぞれ、第1のフリップフロップ1eおよび第2のフリップフロップ2eのマスターラッチのインバータとして用いられ、2入力NAND C12およびC22は、それぞれ、第1のフリップフロップ1eおよび第2のフリップフロップ2eのスレーブラッチのフィードバックインバータとして用いられる。2入力NAND C11、C21、C12およびC22のそれぞれ一方の入力端子にはセット信号Sが入力され、セット信号Sがローレベルのとき、出力信号Q1、Q2がハイレベルとなる。
【0029】
以上のように、本実施の形態に係る半導体集積回路が備えるマルチビットフリップフロップ10eによれば、第1のフィードバックインバータI15は、一方の入力端子にセット信号Sが入力される2入力NANDである。よって、セット機能が付加された構成であっても、出力回路を備えず、かつ、上述の経由段数を2段確保できるため、内部の電位状態が不安定の場合でもノイズの影響を受けにくく、かつ小面積でマルチビットフリップフロップ10eを構成できる。
【0030】
以上、本発明に係るマルチビットフリップフロップを備える半導体集積回路について、実施形態1〜5を説明したが、これらの実施形態中の構成要素を組み合わせて新たな実施の形態とすることも可能である。
【0031】
また、インバータおよび2入力NANDの代わりに他の回路であっても、入力と出力が反転関係となる機能をもつ回路であるならば、具体的な回路構成を限定せずインバータとみなしてもよい。
【0032】
また、スイッチおよびトライステートインバータの代わりに他の回路であっても、入力と出力をクロック内部信号によって接続または遮断する機能をもつ回路であるならば、具体的な回路構成を限定せずスイッチとみなしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0033】
本発明に係る半導体集積回路は、出力回路がなくても、ノイズの影響を抑えることができるため、小面積で安定動作を求められるモバイル機器等の電子機器に搭載されるマルチビットフリップフロップ回路として有用である。
【符号の説明】
【0034】
1a〜1e 第1のフリップフロップ
2a〜2e 第2のフリップフロップ
3 クロック生成回路
10a〜10e マルチビットフリップフロップ
CK クロック
NCK、PCK クロック内部信号
D1、D2 データ
DT スキャン入力データ
NT スキャンイネーブル
Q1、Q2 出力信号
R リセット信号
S セット信号
I11、I12 インバータ
I14 第1のインバータ
I15 第1のフィードバックインバータ
I21、I22 インバータ
I24 第2のインバータ
I25 第2のフィードバックインバータ
Ia、Ib インバータ
I13、I23 フィードバックトライステートインバータ
S11、S12、S13、S21、S22、S23 スイッチ
SL1、SL2 セレクタ
n11、n12、n13、n14 ノード
n21、n22、n23、n24 ノード
C11、C21、C12、C22 2入力NAND