【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 販売日又は配布:平成27年12月8日〜平成28年5月17日 販売場所又は配布場所:Miraikan Kitchen他延べ618か所
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 販売又は配布日:平成27年12月8日〜平成28年5月17日 販売場所又は配布場所:米風土オンラインショップ「http://maifudo.com/」にて、埼玉県さいたま市在住個人他延べ339か所
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 開催日:平成28年1月14日 集会名、開催場所:イセキ社長会(研修会) グランパシフィックLE DAIBA(東京都港区台場2−6−1)
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用 展示日:平成28年1月20日〜1月22日 展示会名、開催場所:SCビジネスフェア 2016 パシフィコ横浜 展示ホール(神奈川県横浜市西区みなとみらい1−1−1)
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 ウェブサイトの掲載日:平成28年2月8日 ウェブサイトのアドレス:http://itpro.nikkeibp.co.jp/atcl/column/16/020400030/020400001/
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 開催日:平成28年2月10日〜2月12日 展示会名、開催場所:第50回スーパーマーケット・トレードショー2016 東京ビッグサイト(東京都江東区有明3−11−1)
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 ウェブサイトの掲載日:平成28年2月12日 ウェブサイトのアドレス:http://p−prom.com/person/?p=5681
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 開催日:平成28年2月18日・2月19日 展示会名、開催場所:熊本イセキ展示会 井関農機(株)九州支店(熊本県上益城郡益城町安永1400)
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 開催日:平成28年2月29日、3月1日 集会名、開催場所:井関農機(株) 夢ある農業総合研究所(茨城県つくばみらい市青木560)
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 開催日:平成28年4月13日〜4月15日 展示会名、開催場所:第19回ファベックス2016 東京ビッグサイト(東京都江東区有明3−11−1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記親子対応付け手段は、前記親コードと前記子コードとの対応付けのエラーの有無を判断することを特徴とする、請求項1〜4のいずれかに記載の農作物トレーサビリティシステム。
前記親子対応付け手段は、前記親コードに対応付け可能な前記子コードの数によって、前記エラーの有無を判断することを特徴とする、請求項5に記載の農作物トレーサビリティシステム。
前記親子対応付け手段は、前記親コードが出荷済みであるか否か、若しくは、前記親コードに前記原料情報が紐付けされているか否かによって、前記エラーの有無を判断することを特徴とする、請求項5に記載の農作物トレーサビリティシステム。
前記第2の親コード読み取り手段は、読み取った前記親コードのエラーの有無を判断することを特徴とする、請求項1〜7のいずれかに記載の農作物トレーサビリティシステム。
前記管理サーバーは、前記親コードに紐付いている重量と、前記子コードに紐付いている重量とに基づいて、所定の基準に従って判定を行なうことを特徴とする、請求項1〜13のいずれかに記載の農作物トレーサビリティシステム。
前記農作物が米穀類の場合、前記所定の基準として、前記親コードに紐付いている重量と前記子コードに紐付いている重量との比率によって認識された精米度合いが用いられることを特徴とする、請求項14に記載の農作物トレーサビリティシステム。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかし、特許文献2に記載の発明では、生産者に対して、予め、単位精米ロット番号が対応付けされた状態で、システム管理者から提供されている。すなわち、大袋の「単位出荷ロット番号」と、小袋の「単位精米ロット番号」とが、予め紐付けされて管理されている。そのため、小分け時には、大袋の「単位出荷ロット番号」に対応する小袋の「単位精米ロット番号」を小袋に貼り付ける必要があり、非常に面倒である。また、特許文献2の発明の場合、複数の生産者からの玄米をブレンドしたりすることはできない。また、余った米や返品の米をブレンドすることもできない。実際の現場では、様々な生産者からの生産物を小分けして、商品化して出荷しており、特許文献2に記載の技術のように、大袋の「単位出荷ロット番号」と、小袋の「単位精米ロット番号」とが、予め紐付けされて管理されていては、柔軟な履歴管理に対応することができない。よって、特許文献2に記載の発明は、実用的に利用することができない。
【0010】
特許文献3に記載の発明では、出荷玄米のバーコード又はロット番号を、その都度、印刷して発行し、袋に貼り付けることとなっている。特許文献3では、小分け後の精米について、バーコード又はロット番号をどのようにして貼り付けるかは不明であるが、出荷玄米と同様に考えるならば、印刷機を用いて、印刷していると考えられる。しかし、バーコードを生産者や加工業者が印刷して貼り付けるとなると、生産者や加工業者に適切な印刷機を設置しておく必要がある。さらに、同じバーコードが二重で発行されないように、サーバーで管理しなければならない。このように、印刷機の設備投資を生産者等に要求する必要があり、実際に導入するのは非常に困難である。
【0011】
特許文献4に記載の発明では、処理の度に、ロット番号を発行して、サーバーに記録していき、各情報を紐付けしていくことで、最終商品から逆にたどって履歴を消費者等が閲覧できるようにして、トレーサビリティシステムを提供しているが、特許文献3と同様、処理した業者がその都度、ロット番号を発行する必要があり、さらに、発行したロット番号を生産物に貼り付ける必要があるため、印刷機を導入する必要がある。先述のように、印刷機を生産者等に導入させるのは、困難である。そのため、特許文献4に記載の発明も、実用的なシステムとして導入するのは困難である。
【0012】
このように、従来、小分けして販売する
農作物について、印刷機などを導入することなく簡易に流通、加工履歴を記録していくシステムは存在しなかった。特に、
農作物の生産者は、小規模零細事業者であることが多いので、できる限り、設備負担なく、簡易かつ正確にトレーサビリティを実現するシステムが必要である。近年、
農作物のトレーサビリティの必要性が言われているところであるが、現時点においては、簡易かつ実用的なトレーサビリティシステムが開発されていないため、結局、生産者や加工業者で、伝票などを保管して、履歴情報を記録している程度の履歴管理しか行われていない。IT技術を最大限に活用しつつ、簡易な方法で履歴管理を実現できるトレーサビリティシステムの開発が望まれている。
【0013】
それゆえ、本発明では、容易に導入しやすい
農作物のトレーサビリティシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明は、上記課題を解決するために、以下のような特徴を有する。本発明は、農作物の履歴を管理するための農作物トレーサビリティシステムであって、履歴を記録するための管理サーバーと、管理サーバーにネットワークを介して通信可能な生産者側端末と、管理サーバーにネットワークを介して通信可能な加工業者側端末とを備え、生産者側端末を使用する生産者に対して、親コードに関する情報が含まれている親コード識別物が事前に支給されており、加工業者側端末を使用する加工業者に対しては、子コードに関する情報が含まれている子コード識別物が事前に支給されていることを前提としている。
【0015】
管理サーバーは、記録手段を含み、記録手段は、親コード識別物及び子コード識別物が事前に支給された時点では、親コードと子コードとを、紐付けすることなく記録している。
【0016】
生産者側端末は、親コード識別物を読み取るための第1の親コード読み取り手段と、第1の親コード読み取り手段が読み取った親コードに対して、原料情報を対応付ける原料情報対応付け手段と、原料情報対応付け手段によって対応付けられた親コードと原料情報とを、管理サーバーに送信する親コード送信手段と含む。
【0017】
管理サーバーは、生産者側端末及び/又は加工業者側端末からの情報を、ネットワークを介して受信することが可能な受信手段を含み、記録手段は、受信手段が生産者側端末から送信されてきた親コードと原料情報とを受信すると、記録されている親コードに原料情報を紐付けして記録する。
【0018】
加工業者側において、加工業者側端末は、親コード識別物を読み取るための第2の親コード読み取り手段と、子コード識別物を読み取るための子コード読み取り手段と、子コード読み取り手段が読み取った子コードと、第2の親コード読み取り手段が読み取った親コードとを対応付ける親子対応付け手段と、親子対応付け手段によって対応付けられた子コード及び親コードを、管理サーバーに送信する子コード送信手段と含む。
【0019】
そして、管理サーバーにおいて、受信手段が加工業者側端末から送信されてきた子コード及び親コードを受信すると、記録手段は、記録されている親コードに、子コードを紐付けして記録する。
【0020】
一実施形態において、加工業者側端末は、農作物の小分けに関する小分け情報を、子コード読み取り手段が読み取った子コードに対応付ける小分け情報対応付け手段をさらに含む。
【0021】
そして、子コード送信手段は、子コードに対応付けて小分け情報を管理サーバーに送信し、管理サーバーにおいて、記録手段は、記録されている子コードに、加工業者側端末から送信されてきた小分け情報を紐付けして記録する。
【0022】
また、一実施形態において、加工業者側端末は、
農作物の加工に関する加工情報を、第2の親コード読み取り手段が読み取った親コード若しくは子コード読み取り手段が読み取った子コードに対応付けて、管理サーバーに送信する加工情報送信手段をさらに含む。
【0023】
そして、管理サーバーにおいて、記録手段は、記録されている親コード又は子コードに、加工業者側端末から送信されてきた加工情報を紐付けして記録する。
【0024】
具体的には、たとえば、加工情報には、加工時の歩留まりに関する情報が含まれている。
【0025】
好ましくは、親子対応付け手段は、親コードと子コードとの対応付けのエラーの有無を判断するとよい。
【0026】
そのとき、親子対応付け手段は、親コードに対応付け可能な子コードの数によって、エラーの有無を判断するとよい。
【0027】
また、親子対応付け手段は、親コードが出荷済みであるか否か、若しくは、親コードに原料情報が紐付けされているか否かによって、エラーの有無を判断するとよい。
【0028】
好ましくは、第2の親コード読み取り手段は、読み取った親コードのエラーの有無を判断するとよい。
【0029】
そのとき、第2の親コード読み取り手段は、親コードが加工済みであるか否か、親コードに原料情報が紐付けされているか否か、若しくは、親コードの読み込みが二回目以上であるか否かによって、エラーの有無を判断するとよい。
【0030】
一実施形態では、管理サーバーにおいて、記録手段は、加工後の残余物に対しても、子コードと親コードとの紐付けを行うことができるものとする。
【0031】
また、一実施形態では、管理サーバーにおいて、記録手段は、加工前の端数物に対しても、子コードと親コードとの紐付けを行うことができるものとする。
【0032】
また、一実施形態において、加工業者側端末は、返品物、残余物、若しくは端数物に付されている子コード又は親コードを読み取って、管理サーバーに送信する。
【0033】
このとき、管理サーバーは、返品物、残余物、若しくは端数物に関する子コード又は親コードに関するデータを受信したら、記録手段に、返品物、残余物、若しくは端数物についても、子コードを紐付け可能なように管理させるものとする。
【0034】
また、一実施形態において、加工業者側端末は、管理サーバーにおいて紐付けが許可されている子コードの付された
農作物を原料として、新たな子コードを対応付けて、対応付けを管理サーバーに送信する。
【0035】
このとき、管理サーバーは、子コード同士を紐付けするものとする。
【0036】
また、一実施形態において、管理サーバーは、親コードに紐付いている重量と、子コードに紐付いている重量とに基づいて、所定の基準に従って判定を行なうとよい。
【0037】
また、農作物が米穀類の場合、所定の基準として、親コードに紐付いている重量と子コードに紐付いている重量との比率によって認識された精米度合いが用いられるとよい。
【0038】
また、管理サーバーは、判定結果を記録するとよい。
【発明の効果】
【0039】
本発明によれば、親コード識別物及び子コード識別物が事前に支給された時点では、相互に紐付けされていない。そのため、生産者及び加工業者は、親コードや子コードの順番や対応関係を気にすることなく、生産物の包装に、親コードや子コードを付けることができる。そして、加工業者において、加工後に、親コードと子コードとを対応付けることで、初めて、親コードが子コードに紐づくこととなり、子コードを読み込んで履歴を追跡することで、親コードに対応する原料情報にまで、たどりつくことが可能となる。本発明では、生産者や加工業者に、親コードや子コードを印刷するための印刷機を導入させたり、生産や加工の度に、ロット番号や識別番号を発行したりするなどの面倒な手間を一切省くことができる。本発明によって、生産物の履歴をできる限り正確に記録していくことができる。よって、本発明により、容易に導入しやすいトレーサビリティシステムが提供されることに加え、可能な限り正確な生産物の履歴管理を実現することが可能となる。
【0040】
小分け情報を子コードに紐付けすることで、小分けの履歴も記録することが可能となる。
【0041】
加工情報を親コード又は子コードに紐付けすることで、加工の履歴も記録することが可能となる。
【0042】
加工情報に歩留まりを含めることで、残余物の正確な管理、親コードに対応付け可能な子コードの数を正確に管理することが可能となる。
【0043】
親子対応付け手段において、エラー判定を行うことで、不正な紐付けによる水増しや偽装を防止することが可能となる。
【0044】
第2の親コード読み取り手段において、エラー判定を行うことで、不正な親コードの読み込みによる水増しや偽装を防止することが可能となる。
【0045】
残余物や端数物、返品物についても子コードと紐付けすることを可能とすることで、残余物や端数物、返品物の再利用状態の履歴も記録に残すことが可能となる。
【0046】
子コード同士の紐付けを可能とすることで、残余物や端数物、返品物についても子コードと紐付けすることを可能となり、残余物や端数物、返品物の再利用状態の履歴も記録に残すことが可能となる。
【0047】
親コードに紐付いている重量と子コードに紐付いている重量とに基づいて、所定の基準に従って判定を行なうことで、子コードが付されている商品に対して、水増しや混入などの不正が行なわれていないか否かの判断が可能となる。
【0048】
たとえば、米穀類に本発明を用いる場合、親コードに紐付いている重量と子コードに紐付いている重量との比率によって認識された精米度合いを判定基準とすれば、水増しや不正な混入が行なわれているような場合、重量の比率と精米度合いとの間に、齟齬が生じることとなる。これにより、不正が行なわれていないか否かを確認することが可能となる。
【0049】
判定結果を記録しておくことで、判定結果が履歴として残れば、どこで不正が行なわれているかが客観的に分かることとなるので、不正が行なわれないように、各業者が心得ることとなる。
【0050】
本発明のこれら、及び他の目的、特徴、局面、効果は、添付図面と照合して、以下の詳細な説明から一層明らかになるであろう。
【発明を実施するための形態】
【0052】
本発明の実施形態の説明に先立ち、
農作物を大袋から小袋に小分け包装する場合の典型的なパターンを4つ説明することとする。なお、以下では、大袋、小袋というように「袋」という用語を使うこととするが、これは、包装形態の一例に過ぎず、箱、束、容器、ケースなど、
農作物の種類に応じて、適当な包装を使い分けることができるものとする。
【0053】
図1は、加工パターン1を示す概念図である。
図1に示す加工パターンは、最もシンプルなパターンであり、生産者Aからの1つの大袋に対して、n個の小袋に加工業者aが小分けして商品化する場合である。なお、本発明において、加工業者とは、生産者からの
農作物を洗浄したり、選別したり、精米したりするような業者のことをいうものとし、加工の方法は、特に限定されず、
農作物を何ら処理せず小分けだけする場合も加工であるということとする。また、生産者と加工業者とは、異なる者であっても、同一の者であってもよい。
【0054】
図1に示すように、生産者Aから出荷された大袋Aは、中間業者を介して、加工業者aの元に入荷する。入荷後、加工業者aは、加工して、小袋a1〜anに小分けする。このとき、一つの小袋の容量に満たなかったものが、残余物の小袋an+1となる。小袋a1〜anが出荷されて、中間業者及び販売店を介して、消費者の手元に届く。残余物の小袋an+1は、加工業者の手元に残ることとなる。
【0055】
図2は、加工パターン2を示す概念図である。
図2に示すパターンは、
農作物を混合するパターンである。たとえば、ジャガイモで考えた場合、生産者Aからm個の大袋で入荷したジャガイモを混ぜて、加工業者で洗浄して、n個の小袋にするような場合や、生産者Aからm個の大袋で入荷した玄米を混ぜて、加工業者で精米して、n個の小袋にするような場合が想定される。なお、異なる生産者からの大袋を混合する場合も考えられる。このようなときも、残余物の小袋an+1が生じる場合がある。
【0056】
図3は、加工パターン3を示す概念図である。
図3に示すパターンは、m個の小袋を混合するパターンである。たとえば、小分け済のm個の小袋を再度加工して、n個の小袋を作るような場合である。使用される小袋は、たとえば、加工前に出た端数の入った端数物の小袋や、加工後の残余物の小袋、返品後の小袋である。米を例にとって説明すると、生産者から30Kgの大袋で納入された玄米には、少し多めに、たとえば、33Kgの玄米が入っている場合がある。そのような玄米を精米して、10Kgの小袋を3個作る場合、歩留まりにもよるが、加工する必要のない端数の玄米が端数物となる。また、33Kgを全て精米したら、歩留まりにもよるが、10Kgを3袋作った際に、何グラムかは残余物として残ってしまう。また、米の場合、返品された米を再度精米すれば、商品として販売することができるので、10Kgの小袋が返品されたら、その小袋を加工することも可能である。このように、加工パターン3は、端数物、残余物、返品物の小袋を加工して、商品化するようなパターンである。米以外にも、それぞれの
農作物について、同様に、加工パターン3の状況になる場合がある。
【0057】
図4は、加工パターン4を示す概念図である。
図4に示すパターンは、大袋と小袋を混ぜて加工するパターンである。
図4に示す例では、m個の大袋とk個の小袋を加工して、n個の小袋を作る場合を示している。この場合も、小袋an+1が残余物となる。
【0058】
他にも、加工パターンは有りうるが、
図1〜
図4の例で、
農作物の加工のパターンを概ね理解できる。以上を踏まえて、本発明の実施形態について説明することとする。
【0059】
図5Aは、本発明の実施形態における
農作物トレーサビリティシステム1(以下、単に、システム1という)で使用される機器を示す図である。システム1は、管理サーバー2と、バーコード印刷発行装置3と、一以上の生産者側端末4と、一以上の中間業者側端末5と、一以上の加工業者側端末6と、一以上の販売店側端末7と、一以上の消費者側端末8とを備える。各装置は、携帯電話網、無線又は有線LAN網、光ファイバー網、電話回線網、インターネット網等からなるネットワーク9を介して、管理サーバー2と通信可能に接続される。
【0060】
管理サーバー2、バーコード印刷発行装置3、生産者側端末4、中間業者側端末5、加工業者側端末6、販売店側端末7、及び消費者側端末8は、それぞれ、コンピュータ装置であり、入力装置、出力装置、制御装置、演算装置、記録装置(記録手段)、通信装置(送信手段及び受信手段)を備えており、インストールされているプログラムを実行することで、システム1を実現するようになっている。以下では、各装置の特徴的な機能について説明する。
【0061】
管理サーバー2は、各装置からネットワーク9を介して送られてくる情報を記録するための記録手段を有し、記録手段に記録されている情報をそれぞれ対応付けする機能を有する。なお、本発明において、情報を対応付けることを、紐付けするという。
【0062】
バーコード印刷発行装置3は、バーコードを発行し印刷することができる装置であり、発行したバーコードに関する情報を、ネットワーク9を介して、管理サーバー2に登録することができる。なお、ここでは、後述の親コード及び子コードをバーコードであるとして説明するため、バーコード印刷発行装置3を一例として挙げているが、システム1において発行される親コード及び子コードは、バーコードに限らず、ロット番号や、識別番号、識別ラベル、ICタグなど、親コード及び子コードがそれぞれ重複することなく管理することができる情報であればよい。なお、バーコードとは、一次元のものに限らず、二次元のものいわゆる二次元コードも含まれることは言うまでもない。また、バーコード等は、予め大袋や小袋等に印刷又は貼り付けされていてもよい。予め袋に印刷されている場合、一枚一枚異なるバーコード等を印刷することができる印刷装置を用いるとよく、予め袋に貼り付けされている場合は、人によって貼り付けるか若しくはバーコード等を貼り付ける装置を用いるとよい。包装として、箱、束、容器、ケースなどの袋以外の形態を用いる場合についても同様に、予め、バーコード等が、包装に印刷又は貼り付けられていてもよく、そのような印刷や貼り付けが可能な装置が用いられているとよい。バーコードやロット番号、識別番号、識別ラベル、ICタグなど、親コードに関する情報を含む物を親コード識別物ということにする。また、同様に、バーコードやロット番号、識別番号、識別ラベル、ICタグなど、子コードに関する情報を含む物を子コード識別物ということにする。ICタグなどで、印刷が困難な識別物を用いる場合であっても、予めそのような識別物が包装に貼り付けられているものを用いてもよいことは、言うまでもない。
【0063】
生産者側端末4は、親コード及び子コードを読み取ることができる読み取り手段を有している必要がある。生産者側端末4は、たとえば、バーコードリーダーを接続しているパーソナルコンピュータや情報機器に必要なプログラムをインストールすることで実現できるが、一実施例として想定しているのは、カメラ機能を有するフューチャーフォンやスマートフォン、タブレット端末である。本出願時点においては、生産者側端末4は、スマートフォンやタブレット端末を最適な一実施例として想定しており、システム1を実現するために必要なアプリを生産者のスマートフォンやタブレット端末にインストールして、システム1を生産者が簡易に利用できるようにするものとする。ただし、これらに限定されるものではない。
【0064】
中間業者側端末5も、生産者側端末4と同様に、親コード及び子コードを読み取ることができる読み取り手段を有している必要があり、実施例も生産者端末4と同様である。
【0065】
加工業者側端末6も、生産者側端末4と同様に、親コード及び子コードを読み取ることができる読み取り手段を有している必要がある。生産者端末4と同様に、スマートフォンやタブレット端末を利用することができる。なお、加工業者においては、バーコードリーダーを接続しているパーソナルコンピュータを利用することも多い。
【0066】
販売店側端末7も、生産者側端末4と同様に、親コード及び子コードを読み取ることができる読み取り手段を有している必要があり、実施例も生産者端末4と同様である。
【0067】
消費者側端末5も、生産者側端末4と同様に、親コード及び子コードを読み取ることができる読み取り手段を有している必要があり、実施例も生産者端末4と同様である。
【0068】
ただし、生産者側端末4、中間業者側端末5、加工業者側端末6、販売店側端末7、消費者側端末8でインストールすべきプログラムやアプリは、それぞれに必要なプログラム等であればよいので、同一のプログラム等である必要はない。特に、生産者側端末4、中間業者側端末5、加工業者側端末6、及び販売店側端末7でインストールするプログラムは、アクセス制限を設けておく必要があるので、特別に発行されたIDを使用しないとログインできないようにしておく必要がある。消費者側端末8にインストールされるプログラムは、履歴情報の閲覧機能だけを有していればよいので、特に、ログイン制限を設ける必要はない。
【0069】
以上のようなシステム構成を踏まえた上で、システム1における動作の概要を
図5B〜
図5Kを参照しながら説明する。
図5B〜
図5Kでは、システム1の動作に合わせて、管理サーバー2に記録されている情報の遷移が分かるように記載している。
【0070】
図5Bは、バーコードの発行時のシステム1の動作の概念を示す図である。まず、バーコード印刷発行装置3(以下、発行装置3という)は、複数の親コードに対応するバーコードのシール(親コード識別物)が印刷された親コード群の用紙を発行する。次に、発行装置3は、複数の子コードに対応するバーコードのシール(子コード識別物)が印刷された子コード群の用紙を発行する。なお、ここでは、バーコードを例にとっているが、親コード及び子コードとして、ロット番号や識別番号、識別ラベルを用いる場合は、それに対応するシールが印刷された親コード群や子コード群の用紙を、発行装置3は、発行する。また、親コード及び子コードとして、ICタグを使用する場合は、ICタグが取り付けられた親コード群及び子コード群を、発行装置3は、発行する。また、予め袋にユニークなバーコードやロット番号、識別番号、識別ラベル等を印刷又は貼り付け等しておく場合、一枚一枚に異なるバーコード等を印刷できる印刷装置や貼り付けできる装置が用いられるとよい。
【0071】
発行装置3は、発行に合わせて、親コード及び子コードに関する情報を、管理サーバー2に登録する。これに応じて、管理サーバー2は、親コード及び子コードを記録する。この時点では、親コード及び子コードは、それぞれ独立に管理サーバー2に記録されているだけであり、各コードは、紐付けされていない。
【0072】
その上で、親コード群は生産者に事前に支給され、子コード群は加工業者に事前に支給される。本発明のポイントの一つが、この点にあり、生産者に親コード群が支給され、加工業者に子コード群が支給されたときには、各コードは、紐づいていないので、生産者及び加工業者は、どの親コード及び子コードを使用すべきか、その順番やコードの内容、対応関係などを全く意識する必要はなく、生産又は加工時に、手元にあるコードを順番や対応関係などを意識することなく貼り付ければよいだけとなっている。また、予め袋にユニークなバーコード等が印刷又は貼り付けされている場合には、生産又は下降時には、袋を使用する順番や対応関係などを意識する必要はない。以下、袋にバーコード等を貼り付けた場合と、予め袋にバーコード等が印刷されている場合とは、袋にバーコード等が付されている状況になれば、区別して説明する必要がないので、以下の説明では、袋にバーコード等を貼り付ける場合を代表して説明するが、バーコード等が予め印刷又は貼り付けられている袋を用いる場合には、袋にバーコード等を貼り付ける工程においては、そのような予め準備されている袋を用いるものとして読み替えて本発明を理解するものとする。
【0073】
図5Cは、生産者が大袋に生産物を詰めて出荷する時のシステム1の動作の概念を示す図である。生産者は、親コード群から適当にシールをはがして、使用する大袋に貼り付ける。貼り付ける順番や対応関係などは、一切気にする必要がない。そして、生産者は、生産者側端末4を用いて、貼り付けたバーコードを読み取る。なお、バーコード以外のシールやICタグを用いる場合も同様に、順番などは一切気にする必要がなく、ロット番号やICタグ等の親コードの読み取り手段が生産者側端末4に備わっているものとする。
【0074】
次に、生産者は、
農作物の種類や生産者の名前、生産場所、生産年月日、農薬の使用履歴、重量などの原料に関する情報(以下、原料情報という)を、生産者側端末4に入力する。なお、生産者側端末4は、予め、生産者に、原料情報を入力させるようにしておいて、記憶しておくようにしてもよい。また、生産者は、出荷場所や、出荷先、出荷日時など出荷に関する情報(以下、出荷情報という)を、生産者側端末4に入力する。なお、生産者側端末4は、予め、生産者に、出荷場所や出荷先などのよく使う出荷情報を入力させるようにしておいて、記憶しておくようにしてもよい。なお、出荷情報に原料の重量が入力されてもよい。
【0075】
原料情報及び出荷情報の入力が完了すると、生産者側端末4は、読み取った親コードと、原料情報及び出荷情報とを対応付けて、管理サーバー2に送信する。これにより、
図5Cに示すように、親コード(図では、A1〜Am)に、原料情報及び出荷情報が紐付いて、管理サーバー2の記録手段に記録されることとなる。
【0076】
次に、生産者から直接加工業者に、親コードA1が付された大袋が納入されたとする。
図5Dは、加工業者が大袋を入荷した時のシステム1の動作の概念を示す図である。加工業者は、加工業者側端末6を使用して、大袋に貼り付けられている親コードを読み取る。なお、バーコード以外のシールやICタグを用いる場合、加工業者側端末6は、ロット番号やICタグ等の親コードの読み取り手段を備えているものとする。
【0077】
親コードの読み取り後、加工業者は、入荷場所や、出荷元、入荷日時など入荷に関する情報(以下、入荷情報という)を、加工業者側端末6に入力する。なお、加工業者側端末6は、予め、加工業者に、入荷場所や出荷元などのよく使う入荷情報を入力させるようにしておいて、記憶しておくようにしてもよい。
【0078】
入荷情報の入力が完了すると、加工業者側端末6は、読み取った親コードと、入荷情報とを対応付けて、管理サーバー2に送信する。これにより、
図5Dに示すように、親コード(図では、A1)に、入荷情報が紐付いて、管理サーバー2の記録手段に記録されることとなる。
【0079】
図5Eは、加工業者が大袋の中の生産物を加工した時のシステム1の動作の概念を示す図である。加工業者は、加工業者側端末6を使用して、大袋に貼り付けられている親コードを読み取る。
【0080】
親コードの読み取り後、加工業者は、加工業者の名前や、加工場所、加工方法、歩留まりなど加工に関する情報(以下、加工情報という)を、加工業者側端末6に入力する。なお、加工業者側端末6は、予め、加工業者に、加工業者の名前や、加工場所、加工方法などのよく使う加工情報を入力させるようにしておいて、記憶しておくようにしてもよい。
【0081】
加工情報の入力が完了すると、加工業者側端末6は、読み取った親コードと、加工情報とを対応付けて、管理サーバー2に送信する。これにより、
図5Eに示すように、親コード(図では、A1)に、加工情報が紐付いて、管理サーバー2の記録手段に記録されることとなる。なお、ここでは、親コードに加工情報を紐付けすることとしているが、加工後の商品に付される子コードに加工情報が紐付けされてもよい。
【0082】
図5Fは、加工業者が小袋に詰める時のシステム1の動作の概念を示す図である。加工業者は、子コード群から適当にシールをはがして、使用する小袋に貼り付ける。貼り付ける順番や対応関係などは、一切気にする必要がない。そして、加工業者は、加工業者側端末6を用いて、貼り付けた子コードのバーコード(
図5Fでは、子コードa1〜an)を読み取る。なお、バーコード以外のシールやICタグを用いる場合も同様に、順番などは一切気にする必要がなく、ロット番号やICタグ等の子コードの読み取り手段が加工業者側端末6に備わっているものとする。
【0083】
次に、加工業者は、小分け単位(数量や質量、容量)、小分け方法など小分けに関する情報(以下、小分け情報という)を、加工業者側端末6に入力する。なお、加工業者側端末6は、予め、加工業者に、小分け単位や小分け方法などのよく使う小分け情報を入力させるようにしておいて、記憶しておくようにしてもよい。
【0084】
小分け情報の入力が完了すると、加工業者側端末6は、子コードに小分け情報を対応付けると共に、子コードに親コードを対応付けて、管理サーバー2に送信する。これにより、
図5Fに示すように、子コード(
図5Fでは、a1〜an)に、小分け情報が紐付くと共に、子コード(
図5Fでは、a1〜an)に、親コード(
図5Fでは、A1)が紐付くこととなる。なお、子コードが複数の場合、たとえば、子コードa1は、3キロの小分け、子コードanは、5キロの小分けのように、子コード毎に、異なる小分け情報が対応付けられてもよい。
【0085】
図5Fの時点で、初めて、親コードと子コードが紐づけられることとなる。ここまで、生産者と加工業者は、貼り付ける親又は子コードの順番や対応関係を一切気にすることなく、提供されている親又は子コード群から、適当に、シールを選んで、袋に貼り付けて、各端末を利用して、管理サーバー2に情報を送信しただけである。このように、本発明のシステム1は、使用方法が非常に簡単であるにも関わらず、適切に履歴を管理サーバー2上に記録しておくことが可能である。
【0086】
図5Gは、加工業者が小袋を出荷する時のシステム1の動作の概念を示す図である。加工業者は、小袋から、バーコードを読み取る。加工業者は、出荷情報を加工業者側端末6に入力する。加工業者側端末6は、予め、加工業者に、出荷場所や出荷先などのよく使う出荷情報を入力させるようにしておいて、記憶しておくようにしてもよい。
【0087】
出荷情報の入力が完了すると、加工業者側端末6は、読み取った子コードと、出荷情報とを対応付けて、管理サーバー2に送信する。これにより、
図5Gに示すように、子コード(図では、a1〜an)に、出荷情報が紐付いて、管理サーバー2の記録手段に記録されることとなる。
【0088】
図5Hは、中間業者が、大袋を入荷した時のシステム1の動作の概念を示す図である。中間業者は、中間業者側端末5を使用して、大袋に貼り付けられている親コード(図では、親コードA1)を読み取る。なお、バーコード以外のシールやICタグを用いる場合、中間業者側端末5は、ロット番号やICタグ等の親コードの読み取り手段を備えているものとする。
【0089】
親コードの読み取り後、中間業者は、入荷情報を、中間業者側端末5に入力する。なお、中間業者側端末5は、予め、中間業者に、入荷場所や出荷元などのよく使う入荷情報を入力させるようにしておいて、記憶しておくようにしてもよい。
【0090】
入荷情報の入力が完了すると、中間業者側端末5は、読み取った親コードと、入荷情報とを対応付けて、管理サーバー2に送信する。これにより、
図5Hに示すように、親コード(図では、A1)に、入荷情報が紐付いて、管理サーバー2の記録手段に記録されることとなる。このようにして、途中の流通過程の履歴も管理サーバー2に記録されていくこととなる。
【0091】
図5Iは、中間業者が、大袋を出荷する時のシステム1の動作の概念を示す図である。中間業者は、中間業者側端末5を使用して、大袋に貼り付けられている親コード(図では、親コードA1)を読み取る。
【0092】
親コードの読み取り後、中間業者は、出荷情報を、中間業者側端末5に入力する。なお、中間業者側端末5は、予め、中間業者に、出荷場所や出荷先などのよく使う出荷情報を入力させるようにしておいて、記憶しておくようにしてもよい。
【0093】
出荷情報の入力が完了すると、中間業者側端末5は、読み取った親コードと、出荷情報とを対応付けて、管理サーバー2に送信する。これにより、
図5Iに示すように、親コード(図では、A1)に、出荷情報が紐付いて、管理サーバー2の記録手段に記録されることとなる。このようにして、途中の流通過程の履歴も管理サーバー2に記録されていくこととなる。
【0094】
図5Jは、中間業者(又は販売店)が、小袋を入荷した時のシステム1の動作の概念を示す図である。中間業者は、中間業者側端末5を使用して、小袋に貼り付けられている小コード(図では、子コードa1)を読み取る。なお、バーコード以外のシールやICタグを用いる場合、中間業者側端末5は、ロット番号やICタグ等の子コードの読み取り手段を備えているものとする。
【0095】
子コードの読み取り後、中間業者は、入荷情報を、中間業者側端末5に入力する。なお、中間業者側端末5は、予め、中間業者に、入荷場所や出荷元などのよく使う入荷情報を入力させるようにしておいて、記憶しておくようにしてもよい。
【0096】
入荷情報の入力が完了すると、中間業者側端末5は、読み取った子コードと、入荷情報とを対応付けて、管理サーバー2に送信する。これにより、
図5Jに示すように、子コード(図では、a1)に、入荷情報が紐付いて、管理サーバー2の記録手段に記録されることとなる。このようにして、途中の流通過程の履歴も管理サーバー2に記録されていくこととなる。
【0097】
図5Kは、中間業者が、小袋を出荷する時のシステム1の動作の概念を示す図である。中間業者は、中間業者側端末5を使用して、小袋に貼り付けられている子コードを読み取る。
【0098】
子コードの読み取り後、中間業者は、出荷情報を、中間業者側端末5に入力する。なお、中間業者側端末5は、予め、中間業者に、出荷場所や出荷先などのよく使う出荷情報を入力させるようにしておいて、記憶しておくようにしてもよい。
【0099】
出荷情報の入力が完了すると、中間業者側端末5は、読み取った子コードと、出荷情報とを対応付けて、管理サーバー2に送信する。これにより、
図5Kに示すように、子コード(図では、a1)に、出荷情報が紐付いて、管理サーバー2の記録手段に記録されることとなる。このようにして、途中の流通過程の履歴も管理サーバー2に記録されていくこととなる。
【0100】
ここまで、
図5B〜
図5Kを用いて、1個の大袋に対して、n個の小袋が紐付けされる場合のシステム1の動作の例について、管理サーバー2での情報の遷移を示しながら、説明した。なお、
図5B〜
図5Kに示したデータ構造は、あくまでも、紐付け状況がイメージしやすいように記載したものに過ぎず、実際のデータ構造を特に限定するものではない。
【0101】
次に、複雑な紐付けがなされる場合の管理サーバー2内のデータ構造について、
図6A〜
図6Dを参照しながら説明する。なお、中間業者や販売店での入荷情報及び出荷情報の紐付けについては、記載を省略しているが、
図5H〜
図5Kに示したように、各コードに入荷情報及び出荷情報が紐づいていく。
【0102】
図6Aは、複数の大袋から、小袋が作られている場合のデータ構造の一例である。ここでは、小袋a1〜anには、大袋A1〜Amが使用されている場合を示している。
図6Aに示すように、子コードa1に親コードA1〜Amが紐付けされている。また、子コードanに親コードA1〜Amが紐付けされている。このように、子コードに対して、複数の親コードを紐付けすることも可能であるので、商品化された小袋に入っている原料となる大袋が複数の場合も、履歴が記録され、閲覧できるようになる。
【0103】
図6Bは、複数の小袋から、小袋が作られている場合のデータ構造の一例である。小袋から小袋が作られる例としては、原料となる小袋が、残余物であったり、返品物であったり、端数物であったりする場合である。ここでは、原料となる小袋b1〜bmには、元の原料となる大袋B1〜Bpが使われていることが示されている。この子コードb1〜bmと親コードB1〜Bpの紐付けは、
図6Aの例と同様である。そして、小袋a1〜anの子コードa1〜anには、子コードb1〜bmが紐付けされている。このように、子コードに子コードを紐付けすることも可能であるので、商品化された小袋の原料が小袋の場合でも、履歴が記録され、閲覧ができるようになっている。なお、管理サーバー2では、残余フラグ、返品フラグ、又は端数フラグが付される場合に、子コードに子コードを紐付けできるようにしているが、フラグ以外の方法で、子コードと子コードとの紐付けを管理してもよく、本発明を限定するものではない。
図6Bの例は、請求項13に係る発明の実施例である。なお、明細書中で、請求項に言及した記載があるが、それは、あくまでも、請求項の理解を助けるために、一例として挙げているに過ぎず、本発明を限定して解釈する趣旨ではないことは、言うまでもないが、付言しておく(他の記載箇所も同様)。
【0104】
図6Cは、原料となる大袋が複数の大袋から作られている場合のデータ構造の一例である。大袋から大袋が作られる例としては、
図5Fに示す例の変形であり、具体的には、加工業者が大袋を入荷して、入荷した大袋を混ぜて大袋を作るような場合である。この場合、親コードA1〜Amに親コードC1〜Cqを紐付けることとなる。通常であれば、親コードに親コードを紐付けることはできないが、特殊なケースとして、親コードに親コードを紐付けできるように、加工業者側端末6が管理サーバー2に許可を得ることで、このような紐付けができるようにしておく。これにより、小袋の原料となる大袋の原料の履歴まで遡ることが可能となる。なお、生産者自身が、複数の原料を混ぜて大袋を作っている場合は、生産者が原料情報に混ぜている原料の情報を入力することで、大袋の原料の履歴を残すようにしてもよい。
【0105】
図6Dは、大袋と小袋を原料として小袋が作られている場合のデータ構造の一例である。子コードb1は、
図6Bに示した場合と同様に、大袋B1〜Bpを原料としている。そして、子コードa1〜anの小袋の原料は、子コードb1の小袋と、親コードAmの大袋であるとしている。このように、小袋と大袋を原料にする場合も、履歴のトレースが可能となっている。
【0106】
なお、データ構造の例は、あくまでも本発明の実施例での一例に過ぎず、本発明を限定するものではなく、本発明の目的を達成することができるようなデータ構造であれば、どのようなデータ構造であってもよい。
【0107】
図6A〜
図6Dに示すような紐付けのデータ構造が可能な根拠は、
図8以下で説明するフローチャートによって、さらに明確になる。
【0108】
ここで、消費者側端末8が子コードを読み取った場合の表示の一例について説明することとする。
図7は、表示の一例を示す図である。
図7に示す例では、消費者の手元に届いた小袋が、3つの大袋に入っていた原料A,B,C及び小袋に入っていたその他の原料によって、商品化されたものであるとしている。データ構造で言えば、
図6Dのデータ構造に類似するデータ構造であり、消費者の手元に届いた小袋の原料が、原料A,B,Cの大袋3つと、その他の原料の小袋1つの場合である。
【0109】
図7に示すように、表示例では、大きくは、「商品情報」の欄と「流通履歴」の欄に分かれる。「商品情報」の欄では、商品名や、容量、産地などが表示されているが、主に、小分け情報から得られる情報が表示されている。具体的には、消費者側端末8が、子コードを読み取って、管理サーバー2にアクセスしたら、管理サーバー2が、送られてきた子コードに紐付いている情報から、「商品情報」の欄に表示すべき情報を抽出して、消費者側端末8に送信して、消費者側端末8が送られてきた情報を表示している。管理サーバー2に記録されている情報を全て消費者側端末8に送信する必要はなく、公開情報と非公開情報とは管理サーバー2上で明確に区別されており、公開情報のみが、消費者側端末8に送信されるようになっている。なお、「商品情報」の欄に表示される情報としては、他に、原料情報から得られる生産者名などの情報が用いられてもよい。
【0110】
次に、「流通履歴」の欄について説明する。「流通履歴」の欄は、大きく「原料表示/流通履歴」のA欄と、「商品化履歴」のB欄と、「商品流通履歴」のC欄とに分かれる。A欄には、用いられている原料が表示されている。A欄で表示される情報は、子コードに紐付けされている親コードの原料情報が用いられる。ただし、表示例のその他は、子コードに紐付いている子コードであるので、ここでは、その他として、さらに深く確認して原料が分かるようにしてある。
【0111】
たとえば、原料Aのところをクリックやタップ等すると、原料流通履歴が詳しく表示される。
図7に示す例では、原料Aについて、生産者から、集荷業者、加工工場が確認できるようになっている。原料B、Cについても原料Aと同様である。その他の原料については、クリックやタップ等をすると、その他の原料情報として、さらに、A〜C欄が表示されることとなっている。図示はしていないが、たとえば、その他の原料が、さらに複数の原料から作られている場合は、その他の原料情報の表示のA欄をタップ等すると、その他の原料に含まれている原料が表示されることとなる。その他の原料のB欄、C欄についても、そこをタップ等すれば、詳しい情報が表示されることとなっている。
【0112】
B欄では、商品化履歴が表示されるが、データ構造上では、親コードに紐付いている加工情報から、B欄に表示される情報が抽出される。なお、子コードに加工情報が紐付いている場合は、子コードに紐付いている加工情報からB欄に表示される情報が抽出されてもよい。
【0113】
B欄において、加工業者がさらに別の加工業者に加工を委託(委託加工)している場合、二つめの加工工場での商品化履歴が表示されるようになっている。
【0114】
C欄では、商品の流通履歴が表示されている。データ構造上は、親コード及び子コードに紐付いている入荷情報及び出荷情報から、C欄に表示される情報が抽出されて、表示されるものとする。
【0115】
なお、販売店での入荷情報のトレースは、システム1上では、任意としているため、販売店での入荷情報がない場合は、販売店名の欄は、空欄となっているものとする。
【0116】
図6A〜
図6Dに示すデータ構造の一例と、
図7に示す表示の一例によって、システム1によって、トレースされた履歴情報が、消費者側端末8において、どのように表示されるかの概略が理解できる。なお、ここに示す表示例は、あくまでも一例に過ぎず、本発明を限定するものではない。
【0117】
以上の概略理解を踏まえた上で、システム1の動作についてフローチャートを参照しながら詳しく説明していく。
【0118】
図8は、システム1の全体の流れを示すフローチャートである。以下、
図8を参照しながら、システム1の全体の流れを説明することとする。なお、
図8において、管理サーバー2に記録される記録情報を( )の中に記載しておくこととする。
【0119】
まず、生産者では、生産者側端末4を用いて、出荷処理を行う(S101)。このとき、親コードに対応付けた原料情報及び出荷情報が、管理サーバー2に記録される。
【0120】
次に、生産者から原料を入手した中間業者では、中間業者側端末5を用いて、入荷処理を行い(S102)、出荷処理を行う(S103)。このとき、親コードに対応付けた入荷情報及び出荷情報が、管理サーバー2に記録される。
【0121】
次に、中間業者から原料を入手した加工工場Gでは、加工業者端末6を用いて、入荷処理を行う(S104)。このとき、親コードに対応付けた入荷情報が、管理サーバー2に記録される。なお、入荷した原料が返品物の場合は、加工業者は、加工業者端末6を用いて、返品物に付与されている子コード(又は親コード)に対して、返品物フラグを設定する。また、入荷した原料が残余物の場合は、加工業者は、加工業者端末6を用いて、残余物に付与されている子コードに対して、残余物フラグを設定する。また、入荷した原料が端数物の場合は、加工業者は、加工業者端末6を用いて、端数物に付与されている子コードに対して、端数物フラグを設定する。返品物、残余物、端数物については、後述する。
【0122】
加工業者は、原料の入荷処理の後、原料を保管しておく(S104)。保管の後、原料を加工する段階になると(S105)、加工業者端末6は、原料の親コードに加工情報を対応付ける。ここで、加工の際に、加工前重量を計量し(S106)、加工後重量を計量して(S107)、加工前重量と加工後重量とを計算して、加工時の歩留まりを計算し(S108)、加工情報に歩留まりを含めるようにする。このとき、親コードに対応付けた歩留まりを含む加工情報が、管理サーバー2に記録される。なお、加工情報を子コードに対応付ける場合は、S110の動作で子コードに加工情報を対応付けることとする。なお、加工前重量と加工後重量は、それぞれの数値、及びその差分も含め、管理サーバー2には記録されることはない。
【0123】
S105の加工処理では、単品の原料を用いている場合となるが、複数の原料を用いる場合もある。よって、S105の加工処理と平行して、複数の原料を加工するときは、S109のように、他の原料についてもS106,S107,S108の処理を行って、加工情報を得て、他の原料の親コードに加工情報を対応付けることとする。なお、原料は3以上でもよく、3以上の原料を用いている場合も、原料毎に、S106,S107,S108の処理を行って、加工情報を得て、親コードに加工情報を対応付けることとする。
【0124】
なお、原料が返品物、残余物、端数物の場合は、S108において、返品物、残余物、端数物の子コードに、加工情報が対応付けられこととなる。
【0125】
加工時に、端数物が出る場合がある。その場合、端数物に子コードを割り当てて、端数物情報(後述)を対応付けて、管理サーバー2に記録する(S111)。
【0126】
また、加工後に、残余物が出る場合がある。その場合、S112に示すように、残余物に子コードを割り当てて、残余物情報(後述)を対応付けて、管理サーバー2に記録する(S112)。
【0127】
S110において、加工後の生産物を小分けして商品化することとなる。このとき、原料となる親コードと商品化後の子コードとが対応付けられて管理サーバー2に記録されると共に、入力された小分け情報に子コードが対応付けて管理サーバー2に記録される。
【0128】
なお、加工業者G以外の工場に加工を委託する場合は、委託加工であることが分かるように、管理サーバー2に記録する。
【0129】
小分け後、加工業者Gは、小分けした商品を出荷する(S113)。このとき、管理サーバー2は、出荷情報を子コードに対応付ける。出荷後、加工業者Hで委託加工がされる場合は、S105〜S110と同様にして、加工情報、小分け情報、出荷情報が親コード又は子コードに対応付けられる。なお、加工業者Gにおいて、加工せずに、親コードが付しただけの生産物を加工業者Gが加工業者Hに送る場合も考えられる。この場合は、加工業者Hは、先の加工業者Gの動作と同様、大袋の親コードと商品化後の子コードの対応付けを行うこととする。
【0130】
その後、中間業者に商品が入荷したとすると、中間業者は、中間業者側端末5を用いて、子コードに入荷情報を対応付ける(S115)。これにより、管理サーバー2は、子コードに入荷情報を対応付けて記録する。次に、中間業者が商品を出荷したとすると、中間業者は、中間業者側端末5を用いて、子コードに出荷情報を対応付ける(S116)。これにより、管理サーバー2は、子コードに出荷情報を対応付けて記録する。
【0131】
最後に、販売店に、商品が入荷したとすると、販売店は、販売店側端末7を用いて、子コードに入荷情報を対応付ける(S117)。これにより、管理サーバー2は、子コードに入荷情報を対応付けて記録する。なお、販売店が入荷情報を記録するかどうかは、任意であるとする。
【0132】
販売店が売れ残った商品を返品する場合、返品物は、加工業者Gに入荷する(S118)。このとき、加工業者Gは、加工業者側端末6を用いて、返品物の子コードに、どこからの返品であるか、返品日時などの返品に関する情報(以下、返品物情報)を対応付ける。合わせて、加工業者側端末6を用いて、管理サーバー2に子コードに対応する返品フラグを付けさせる。なお、イレギュラーなケースとして、親コードが付された状態で販売された商品については、親コードが付された状態で返品物として扱われることとなるので、親コードが付された返品物についても、返品物情報及び返品フラグを設定することで、加工に利用することができることとする。
【0133】
以上の全体動作を踏まえて、個々の端末の詳しい動作を
図9以下のフローチャートを参照しながら説明することとする。
【0134】
図9は、生産者側端末4の動作を示すフローチャートである。生産者側端末4は、大袋の親コードを読み取る(S201:第1の親コード読み取り手段)。次に、生産者側端末4は、大袋に入っている生産物の原料情報を生産者に入力させる(S202)。次に、生産者側端末4は、出荷情報を生産者に入力させる(S203)。そして、生産者側端末4は、親コードと原料情報及び出荷情報とを対応付けて(原料情報対応付け手段)、管理サーバー2にデータを送信する(S204:親コード送信手段)。管理サーバー2は、生産者側端末4からのデータを受信して、親コードと原料情報及び出荷情報とを紐付けて記憶する(S205)。
【0135】
図10は、大袋を入荷した中間業者側端末5の動作を示すフローチャートである。中間業者側端末5は、大袋の親コードを読み取る(S301)。次に、中間業者側端末5は、入荷情報を中間業者に入力させる(S302)。そして、中間業者側端末5は、親コードと入荷情報とを対応付けて、管理サーバー2にデータを送信する(S303)。管理サーバー2は、中間業者側端末5からのデータを受信して、親コードと入荷情報とを紐付けて記憶する(S304)。
【0136】
次に、出荷する場合、中間業者側端末5は、大袋の親コードを読み取る(S305)。次に、中間業者側端末5は、出荷情報を中間業者に入力させる(S306)。そして、中間業者側端末5は、親コードと出荷情報とを対応付けて、管理サーバー2にデータを送信する(S307)。管理サーバー2は、中間業者側端末5からのデータを受信して、親コードと出荷情報とを紐付けて記憶する(S308)。
【0137】
図11は、大袋を入荷した加工業者側端末6の動作を示すフローチャートである。加工業者側端末5は、大袋の親コードを読み取る(S401)。次に、加工業者側端末6は、入荷情報を中間業者に入力させる(S402)。そして、加工業者側端末6は、親コードと入荷情報とを対応付けて、管理サーバー2にデータを送信する(S403)。管理サーバー2は、加工業者側端末6からのデータを受信して、親コードと入荷情報とを紐付けて記憶する(S404)。
【0138】
図12は、加工業者が原料を加工するときの加工業者側端末6の動作を示すフローチャートである。加工業者側端末5は、大袋の親コードを読み取る(S501:第2の親コード読み取り手段)。次に、加工業者側端末6は、偽装が行われていないか否かのエラー判定を行う(S502:第2の親コード読み取り手段のエラー判断)。ここでのエラー判定は種々考えられるが、以下で、一例を説明する。
【0139】
たとえば、すでに加工済みの親コードが読み取られた場合は、エラーであると判定する。これにより、すでに空になった大袋に貼り付けられている親袋の親コードを読み込ませて、偽装に使用する生産物を利用したりすることができないようになる。なお、この判定は、加工業者側端末6が自ら行ってもよいし、管理サーバー2が判定して、判定結果を加工業者側端末6に送り返して、加工業者側端末6がエラーを通知してもよい。後述する他のエラー判定についても同様である。
【0140】
また、返品フラグ、残余フラグ、端数フラグが付与されていない子コードが読み取られた場合は、エラーであると判定する。これにより、子コードを読み込ませて、生産物を偽装することができないようになる。
【0141】
また、原料情報が付与されていない親コードを読み取った場合は、エラーであると判定する。原料情報が付与されていないということは、生産者が適切に出荷した生産物ではないということになるため、このような空の親コードを読み込ませて、水増しや産地偽装を行うのを防止することができる。
【0142】
また、親コードが重複して読み取られた場合は、エラーであると判定する。これにより、二回以上親コードを読ませておきながら、偽装した生産物を水増し等するのを防止することができる。
【0143】
なお、上記に示す偽装判定のためのエラー処理は、一例に過ぎず、本発明においては、その他、種々の偽装判定を用いることができる。親コードの読み取り時に、水増しや産地偽装が行われないようなエラー処理が実行されればよい。
【0144】
エラーがあった場合は、S508において、加工業者側端末6は、エラーを加工業者に通知する表示を行い、その次の処理に進めないように停止する(S509)。これにより、加工業者は、エラーが生じるような偽装の疑いのある行為を行うことができなくなる。なお、停止後、加工業者側端末6は、再読み込みを求めるようにするとよい。
【0145】
エラーがなかった場合、加工業者側端末6は、加工業者に、加工情報を入力させる(S503)。このとき、歩留まりは、この時点では、まだ決まっていないとするが、後述のS504による計量を行わずに、過去の経験値から、歩留まりを加工情報として入力してもよい。
【0146】
S503の後、加工業者側端末6は、加工業者に、加工前重量と加工後重量とを入力させる(S504)。次に、加工業者側端末6は、加工前重量と加工後重量とから、歩留まりを計算する(S505)。この計算によって得た歩留まりが加工情報に追加されることとなる。なお、S504及びS505の動作の後に、S503の動作が行われてもよい。なお、加工前重量と加工後重量は、それぞれの数値、及びその差分も含め、管理サーバー2には記録されることはない。
【0147】
加工業者側端末6は、親コードと加工情報とを対応付けて、管理サーバー2にデータを送信する(S506:加工情報送信手段)。管理サーバー2は、加工業者側端末6からのデータを受信して、親コードと加工情報とを紐付けて記憶する(S507)。なお、子コードと加工情報とを対応付ける実施形態の場合は、後述の
図14のS708で、子コードと加工情報とを対応付けて、管理サーバー2に送信することとする。
【0148】
図13は、加工業者が端数を処理するときの加工業者側端末6の動作を示すフローチャートである。加工業者が端数物を袋詰めすると(S601)、加工業者側端末6は、袋詰めされた端数物の子コードを読み取る(S602)。次に、加工業者側端末6は、読み取った子コードと、原料となる親コードとを対応付ける(S603)。なお、このとき、複数の原料が使用されている場合は、読み取った子コードに複数の親コードを対応付けることとする。また、残余物、端数物が原料となっている場合は、残余物、端数物の子コードと、読み取った子コードとを対応付ける。また、返品物が原料となっている場合は、返品物の子コード(又は親コード)と、読み取った子コードとを対応付ける。
【0149】
次に、加工業者側端末6は、端数物が得られた加工業者についての情報や日時などの端数物に関す情報(端数物情報という)を加工業者に入力させる(S604)。その後、加工業者側端末6は、子コードに対応する親コードに関するデータ、及び子コードに対応する端数物情報を管理サーバー2に送信する(S605)。管理サーバー2は、加工業者側端末6からのデータを受信して、子コードと親コードとを紐付けして記憶すると共に、その子コードに端数物情報を紐付けて記憶する(S606:請求項11に係る発明の実施例)。
【0150】
図14は、加工後の小分け時の加工業者側端末6の動作を示すフローチャートである。加工業者が小分け作業(S701)を行った後、加工業者側端末6は、小袋に貼り付けられた子コードを読み取る(S702:子コード読み取り手段)。そして、加工業者端末6は、加工業者に小分け情報を入力させて、子コードと小分け情報とを対応付ける(S703:小分け情報対応付け手段)。
【0151】
S703において、小分け情報は、子コード毎に入力することとなる。たとえば、子コードa1に対して、小分け情報として、10キロという情報を入力し、子コードa2に対して、小分け情報として、10キロという情報を入力し、子コードa3に対して、小分け情報として、5キロという情報を入力し、子コードa4に対して、小分け情報として、2キロという情報を入力することができる。
【0152】
次に、加工業者側端末6は、読み取った子コードと原料となる親コードとを対応付ける(S704:親子対応付け手段)。なお、このとき、複数の原料が使用されている場合は、読み取った子コードに複数の親コードを対応付けることとする。また、残余物、端数物が原料となっている場合は、残余物、端数物の子コードと、読み取った子コードとを対応付ける。また、返品物が原料となっている場合は、返品物の子コード(又は親コード)と、読み取った子コードとを対応付ける。
【0153】
次に、加工業者端末6は、紐付け数に関するエラー判定を実行する(S705:親子対応付け手段のエラー判断)。紐付け数に関するエラー処理としては、種々考えられるが、たとえば、以下のような例が考えられる。たとえば、親コードに紐付けできる子コードの上限値を歩留まり及び小分けする時の重量を考慮して計算して、上限値を超える子コードを親コードに対応付けられないようにする。たとえば、米穀類で考えた場合、親コードが30キロの原料情報をもっていたときに、歩留まりが90%であるとすると、10%は、精米時の糠や石などのゴミということになる。そのため、30キロの玄米でも、精米後は、27キロということになる。よって、5キロの小袋に小コードを用いるのであれば、親コードに対応付けられる子コードの数は、5キロ×5袋=25キロより、5つが上限ということとなる。また、10キロ、5キロ、2キロの小袋に子コードを用いるのであれば、10キロ×2袋、5キロ×1袋、2キロ×1袋の4つが、親コードに対応付けられる子コードということになる。その他にも、10キロ×1袋、5キロ×3袋、2キロ×1袋という対応付けも可能である。他にも、組み合わせは種々考えられるが、いずれにしても、親コードに対応付けられる子コードの数は、小分けする重量を考慮して上限数が決まることとなる。なお、小分けの仕方によっては、加工後の余りが残余物として出てくることとなるが、残余物の取り扱いについては、後述の
図15のフローチャートにて説明する。なお、紐付け数のエラー処理については、上記に限られるものではなく、親コードと子コードとが紐付けするのが理論的に成立しない組み合わせの場合を、エラーとして判定するようにすればよい。
【0154】
たとえば、S703で小分け情報として、10キロ×2袋、5キロ×1袋、2キロ×2袋というような情報を入力した場合、親コードの原料が30キロで、歩留まりが90%の場合は、2キロの1袋分が理論上成立しないので、エラーとして判定する。
【0155】
S705のエラー処理において、エラーがあった場合は、加工業者側端末6は、エラー通知を行う(S710)。エラー通知後、加工業者側端末6は、処理を停止するか、若しくは、処理のやり直しを求めるとよい。
【0156】
次に、S705のエラー処理で、エラーがなかったと判断されたとすると、加工業者側端末6は、S706の対応関係についてのエラー処理を実行する(親子対応付け手段のエラー判断)。対応関係についてのエラー処理は、以下のような例である。
【0157】
たとえば、すでに子コードが対応付けられて出荷済みの親コードには子コードは対応付けられないようにするとよい。また、原料情報が紐付けされていない親コードには、子コードは対応で付けられないとするようにしてもよい。
【0158】
S706のエラー処理で、エラーがあった場合は、加工業者側端末6は、エラー通知(S710)を行い、処理の停止や、処理のやり直しを求める。
【0159】
S706のエラー処理で、エラーがなかったと判断された場合、加工業者側端末6は、子コードとそれに対応付けられた親コードに関するデータを管理サーバー2に送信すると共に、子コードに対応付けられた小分け情報に関するデータを管理サーバー2に送信する(S708:子コード送信手段)。
【0160】
加工業者側端末6からデータを受け取った管理サーバー2は、子コードと親コードとを紐付けて、子コードに小分け情報を紐付けて記録する(S709)。
【0161】
図15は、残余物に対しての加工業者側端末6の動作を示すフローチャートである。加工業者が小分け作業(S801)を行った後、残余物ができたとする。このとき、加工業者側端末6は、小袋に貼り付けられた子コードを読み取る(S802)。そして、加工業者端末6は、加工業者に、残余物の重量や発生した日時等の残余物に関する情報(残余物情報という)を入力させて、残余物情報と子コードとを対応付ける(S803)。
【0162】
次に、加工業者側端末6は、残余物の子コードと原料となる親コードとを対応付ける(S804:請求項10に係る発明の実施例)。なお、このとき、複数の原料が使用されている場合は、読み取った子コードに複数の親コードを対応付けることとする。また、残余物、端数物が原料となっている場合は、残余物、端数物の子コードと、読み取った子コードとを対応付ける。また、返品物が原料となっている場合は、返品物の子コード(又は親コード)と、読み取った子コードとを対応付ける。
【0163】
残余物については、以下のような場合が一例として考えられる。たとえば、米穀類で考えた場合、親コードが30キロの原料情報をもっていたときに、歩留まりが95%であるとすると、5%は、精米時の糠や石などのゴミということになる。そのため、30キロの玄米でも、精米後は、28.5キロということになる。このとき、10キロ×2袋、5キロ×1袋、2キロ×1袋に小分けするとしたら、1.5キロ分が残余物ということになる。
【0164】
通常、残余物は、一袋分ということになるので、子コードに残余物情報を対応付けておけば、その子コードは、
図14のS705のエラー判定の対象外として、親コードに対応付けることができるものとする。
【0165】
その後、S805において、
図14と同様に、対応関係のエラー判定を行って、エラーがなければ、加工業者側端末6は、子コードとそれに対応付けられた親コードに関するデータを管理サーバー2に送信すると共に、子コードに対応付けられた残余物情報に関するデータを管理サーバー2に送信する(S806)。管理サーバー2は、加工業者側端末6からのデータを受信して、子コードとそれに対応付けられた親コードとを紐付けし、子コードとそれ対応付けられた残余物情報とを紐付けする(S807)。
【0166】
図16は、加工業者側端末6での出荷時の動作を示すフローチャートである。加工業者側端末6は、小袋の子コードを読み取る(S901)。次に、加工業者側端末6は、エラー判定を行う(S902)。このエラー判定は、小分け情報及び親コードが子コードに対応付けられているか否かを判定する処理で、出荷時に、再度、対応付けに漏れがないかを判断して、履歴が記録されていない商品を間違って出荷しないようにしたり、偽装した商品を出荷したりしないようにするための処理である。
【0167】
S902において、エラーがあれば、加工業者側端末6は、エラー通知を行い(S906)、再処理を加工業者に促す。
【0168】
S902において、エラーがなければ、加工業者側端末6は、加工業者に出荷情報を入力させて(S903)、子コードと出荷情報とを対応付けたデータを管理サーバー2に送信する(S904)。管理サーバー2は、加工業者側端末6からのデータを受信して、子コードと出荷情報とを紐付けて記録する(S905)。
【0169】
図17は、小袋を入荷した中間業者側端末5の動作を示すフローチャートである。中間業者側端末5は、小袋の子コードを読み取る(S1001)。次に、中間業者側端末5は、入荷情報を中間業者に入力させる(S1002)。そして、中間業者側端末5は、子コードと入荷情報とを対応付けて、管理サーバー2にデータを送信する(S1003)。管理サーバー2は、中間業者側端末5からのデータを受信して、子コードと入荷情報とを紐付けて記憶する(S1004)。
【0170】
図18は、小袋を出荷するときの中間業者側端末5の動作を示すフローチャートである。出荷する場合、中間業者側端末5は、小袋の子コードを読み取る(S1101)。次に、中間業者側端末5は、出荷情報を中間業者に入力させる(S1102)。そして、中間業者側端末5は、子コードと出荷情報とを対応付けて、管理サーバー2にデータを送信する(S1103)。管理サーバー2は、中間業者側端末5からのデータを受信して、子コードと出荷情報とを紐付けて記憶する(S1104)。
【0171】
図19は、小袋を入荷した販売店側端末7の動作を示すフローチャートである。販売店側端末7は、小袋の子コードを読み取る(S1201)。次に、販売店側端末7は、入荷情報を販売店に入力させる(S1202)。そして、販売店側端末7は、子コードと入荷情報とを対応付けて、管理サーバー2にデータを送信する(S1203)。管理サーバー2は、販売店側端末7からのデータを受信して、子コードと入荷情報とを紐付けて記憶する(S1204)。
【0172】
図20は、加工業者側端末6が返品物を受け付けるときの動作を示すフローチャートである(請求項12に係る発明の実施例)。加工業者が返品物を受け付けると(S1301)、加工業者側端末6は、返品物に貼られている子コード(又は親コード)を読み取る(S1302)。次に、加工業者側端末6は、加工業者に、返品物の受付日時や返品元などの情報(返品物情報という)を入力させる(S1303)。次に、加工業者側端末6は、読み取った子コード(又は親コード)と返品物情報とを対応付けたデータを、管理サーバー2に送信する(S1304)。管理サーバー2は、加工業者側端末6から送信されてきたデータに基づいて、子コード(又は親コード)に返品物情報を紐付けて記録し(S1305)、子コード(又は親コード)に返品フラグを付与する(S1306)。管理サーバー2は、以後、返品フラグが付与されている子コード(又は親コード)には、さらに子コードを紐付けできるように管理して、返品物を再利用してトレースすることができるようにする。
【0173】
図21は、加工業者端末6が残余物を受け付ける場合の動作を示すフローチャートである(請求項12に係る発明の実施例)。残余物を加工業者が受け付けると、加工業者側端末6は、残余物に貼られている子コードを読み取る(S1401)。次に、加工業者側端末6は、残余物の受付日時や、残余物の発生元などに関する情報(残余物情報)を加工業者に入力させる(S1402)。次に、加工業者側端末6は、読み取った子コードと残余物情報とを対応付けたデータを、管理サーバー2に送信する(S1403)。管理サーバー2は、加工業者側端末6から送信されてきたデータに基づいて、子コードに残余物情報を紐付けて記録し(S1404)、子コードに残余物フラグを付与する(S1404)。管理サーバー2は、以後、残余物フラグが付与されている子コードには、さらに子コードを紐付けできるように管理して、残余物を再利用してトレースすることができるようにする。
【0174】
図22は、加工業者端末6が端数物を受け付ける場合の動作を示すフローチャートである(請求項12に係る発明の実施例)。端数物を加工業者が受け付けると、加工業者側端末6は、端数物に貼られている子コードを読み取る(S1501)。次に、加工業者側端末6は、端数物の受付日時や、端数物の発生元などに関する情報(端数物情報)を加工業者に入力させる(S1502)。次に、加工業者側端末6は、読み取った子コードと端数物情報とを対応付けたデータを、管理サーバー2に送信する(S1503)。管理サーバー2は、加工業者側端末6から送信されてきたデータに基づいて、子コードに端数物情報を紐付けて記録し(S1504)、子コードに端数物フラグを付与する(S1504)。管理サーバー2は、以後、端数物フラグが付与されている子コードには、さらに子コードを紐付けできるように管理して、端数物を再利用してトレースすることができるようにする。
【0175】
図23は、消費者側端末8での表示の際の動作を示すフローチャートである。消費者側端末8は、小袋に貼り付けられている子コードを読み取る(S1601)。子コードには、ネットワーク9に関する接続情報(URL等)が含まれており、消費者側端末9は、接続情報に基づいて、ネットワーク9を介して、管理サーバー2に接続して、管理サーバー2に子コードの情報を送信して、管理サーバー2と通信を開始する(S1602)。管理サーバー2は、消費者側端末8から受信した子コードに関するデータに基づいて、公開が許可されている情報を消費者側端末8に送信する。これにより、消費者側端末8では、公開が許可されている情報を受信して(S1603)、表示することとなる(S1604)。
【0176】
このように、本発明の実施形態では、最初は別個独立に発行されている親コード識別物と子コード識別物とを、加工業者において、対応付けることで、管理サーバー2が親コードと子コードとを紐付けることができる。これにより、子コード識別物が付与されている商品を受け取った消費者等が、当該子コードを読み込むことで、親コードの原料や流通履歴、商品化での加工の履歴などを閲覧することが可能となる。本発明のシステム1では、生産者側に、親コードを発行するための印刷機を導入させたり、加工業者側に、子コードを発行させるための印刷機を導入したりする必要もなく、また、親コードや子コードを包装に付する際には、各コードの順番や対応関係などを一切気にすることなく、使用できる。よって、生産者や加工業者は、本システム1を容易に導入して、簡単に使用することが可能となる。
【0177】
なお、管理サーバー2は、単体のサーバーによって実現するだけでなく、複数のサーバーが協働することで実現されてもよいことは言うまでもない。
【0178】
ここで、コードを読み込むための専用アプリについて説明しておく。専用アプリは、各種端末で動作する。専用アプリでコードを読み込んだ場合、端末では、管理サーバー2やネットワーク上でのデコード用のサーバーと通信するか若しくはアプリ内のデコーダーによって、コード内の情報をデコードし、管理サーバー2に送信する。管理サーバー2は、デコードされた情報に対応する履歴情報のデータセットを端末側に送信する。そして、専用アプリは、送信されてくるデコードセットを受信し、デコードセットに基づく表示を行なう。このように、専用アプリを使用し、管理サーバー2から履歴情報を取得することで、端末側で表示することが可能となる。専用アプリ以外でコードを読み込もうとしても、管理サーバー2との通信が正常にできないので、履歴情報を表示することはできない。
【0179】
(親コードと子コードとの紐付け時の処理の一例)
次に、
図24ないし
図27を用いて、親コードと子コードとを紐付けた後の管理サーバー2での判定処理の一例を説明する。たとえば、以下に説明する処理は、不正防止に役立つ処理である。親コードと子コードとを紐付けた後とは、たとえば、出荷時点などが考えられるが、出荷時点に限らず、以下に説明する判例処理が出荷とは別に別途行なわれるようにしてもよい。
【0180】
図24は、親コードと子コードとを紐付けた後の管理サーバー2における判定処理の一例を示すフローチャートである。
図24において、管理サーバー2は、親コードと子コードとの紐付けが終わった後、親コードに対応している(紐付いている)重量を認識する(S1701)。たとえば、
図5Cの原料情報又は出荷情報に、原料の重量が紐付いており、たとえば、
図9のS205で、紐付けされている。
【0181】
次に、管理サーバー2は、親コードに紐付けされる子コードに紐付いている小袋の総重量を認識する(S1702)。たとえば、
図5Fの例の場合、親コードA1に紐付けされる子コードは、a1〜anということになるが、このような場合、管理サーバー2は、子コードa1〜anに紐付いている重量を合計して、総重量を算出する。なお、
図6Aないし
図6Dに示されているような複雑な紐付け状態の場合については、後述する。
【0182】
なお、S1701とS1702が行なわれる順番やフローの流れについては特に限定されない。たとえば、小袋を出荷する際又は出荷前の判定処理において、当該小袋に対応する子コードを読み取ったら、判定処理が開始し、管理サーバー2が、当該子コードに対応する親コードを認識して、親コードの重量を認識し、さらに、当該親コードに紐付いている全ての子コードを認識して、全ての子コードの総重量を認識するようにしてもよい。いずれにせよ、親コードの重量と、子コードの総重量とが管理サーバー2によって認識されれば、どのようなフローで認識が行なわれるか否かは問題とならない。
【0183】
そして、管理サーバー2は、所定の判定基準に基づいて、子コードが付された米穀類の種別を判定する(S1703)。所定の判定基準としては、種々考えられるが、ここでは、
図25に示す判定基準を一例として示す。ただし、判定基準は、
図25に示すものに限らず、適宜、使用する
農作物や業界の実情に合わせて、変更することができる。
【0184】
図25は、判定基準として、白米、分搗き米、玄米の精米度合いでの判定を行なう際の基準を示す表である。
図25では、管理サーバー2が、子コードに紐付いている小袋の総重量を親コードの重量で割ったときのパーセント値を基準に、米の種別の判定を行なっている。パーセント値が90%未満の場合、親コードが付された大袋の玄米に対して、10%以上、糠が削り取られたことを意味するわけであるから、子コードが付されている小袋は、白米であると判定することできる。また、パーセント値が90%以上92%未満の場合は、七分搗きであると判定することができる。同様にして、パーセント値が92%以上95%未満の場合は五分搗き、95%以上98%未満の場合は三分搗き、98%以上100%以下の場合は玄米であると判定することができる。
【0185】
管理サーバー2は、当該判定結果を、加工業者側端末に出力し、加工業者側端末での確認が行なわれる(S1704)。加工業者側端末を操作する加工業者が、判定結果に間違いが無かった場合は、その確認結果を管理サーバー2に送信する(S1704)。そして、管理サーバー2が、判定結果を子コードに対応づけて記録する(S1705)。なお、管理サーバー2は、親コードに判定結果を対応づけて記録してもよい。これにより、流通業者や消費者等は、管理サーバー2が判定した米の種別を、トレーサビリティに関する情報として確認することができる。
【0186】
ここで、判定結果に間違いがあった場合について説明する。たとえば、小袋に封入されている商品が白米であるにも関わらず、判定結果が玄米であると出た場合、どのようなことを意味しているのかというと、たとえば、30キロの玄米の大袋に対して、5キロの小袋が6袋生産されたということになる。しかし、30キロの玄米の大袋から、合計30キロの白米の小袋を生産することは不可能であり、そのような場合は、元々、大袋に30キロ以上の玄米が入っていたか、加工業者によって加工時に水増しが行なわれたか、若しくは、管理サーバー2によって想定している歩留まりが不正確であるかのいずれかになる。
【0187】
管理サーバー2による歩留まりについては、生産を繰り返すことで、精度を上げていくことが可能であるし、また、生産者が原料情報や大袋の出荷情報を正確に入力することで、大袋の情報の精度を上げることも可能である。
【0188】
しかし、加工業者側で、不正に、原料を水増しすることは、加工業者側の倫理に問題が帰着してしまう。本発明のシステムを用いれば、判定結果がトレーサビリティ情報として記録されてしまうので、もし、不正に水増しを行なった場合、出荷されている小袋が白米であるにも関わらず、玄米との記録が残ってしまうことになるわけであるから、加工業者によって、このような不正な水増しを行なうことは、実質的に不可能となる。
【0189】
よって、親コードの重量と親コードに紐付いている子コードの総重量とに基づいて、商品の種別を判定し、判定結果を記録していくことで、不正な水増し等を防止することが期待できる。
【0190】
なお、加工業者が不正を行なっていない場合は、S1704において、管理サーバー2の判定ミスであることを通知して、正しい履歴情報に変更するようにしておくとよい。
【0191】
また、全ての場合が加工業者の不正とは限らないが、このような判定ミスが頻発する場合は、管理サーバーの管理者によって、加工業者での精米状況を確認するなどするとよい。
【0192】
なお、
図25では、米穀類の種別の判定について記載したが、その他の判定基準を
図26に示す。
図26は、管理サーバー2による真贋判定の方法を説明するための図である。
図26において、パーセント値は、
図25と同様であるが、加工業者が自己申告した米穀類の種別が「加工業者による子コードへの登録内容」として、管理サーバー2に記録されている。そして、管理サーバー2は、登録されている内容と管理サーバー2が判定した種別とが一致している場合は、真であると判断し、一致しない場合は、贋であると判断する。たとえば、
図26の場合、管理サーバー2は、90%未満のパーセント値の場合に、aが白米を示しているのであれば、真と判定し、aが白米以外であれば、贋と判断する。他のパーセント値についても、
図26に示すように、同様に判定できる。このような判定結果は、トレーサビリティ情報として公開してもよいが、非公開としておいて、管理サーバー2側で記録しておき、贋判定が多い加工業者に対しては、管理サーバーの管理者によって、指導を行なうなどの措置を講じることが可能となる。
【0193】
図27は、消費者端末側や履歴情報を閲覧可能な端末での表示の動作例を示すフローチャートである。消費者端末側等において、加工業者が登録した米の種別を表示し(S1801)、管理サーバーが判定した米の種別又は真贋判定結果を表示する(S1802)ことにより、消費者端末側等で、商品の真贋を確認することも可能となる。なお、米の種別や真贋判定結果は、消費者端末側等では、表示されず、履歴情報として、管理サーバー2に非公開情報として記録されているだけでもよく、閲覧権限を有する者だけが閲覧できるようにしていてもよい。
【0194】
次に、複雑な紐付け状態の場合について説明する。
図6Aのように、複数の大袋から小袋が作られている場合、全ての大袋の親コードに紐付いている重量の合計を計算する。そして、全ての大袋の親コードに紐付いている全ての小袋の重量の合計を計算する。これによって、全ての大袋の総重量÷全ての小袋の総重量の計算が可能となる。そして、計算結果に基づいて、
図25や
図26と同様にして、米の種別や真贋を判定することが可能となる。
【0195】
図6Bのように、複数の小袋から小袋が作られている場合、全ての小袋(原料となる小袋)の子コードに紐付いている重量の合計を計算する。そして、全ての原料となる小袋の小コードに紐付いている全ての小袋(商品化後の小袋)の重量の合計を計算する。当然、各小袋の子コードに対応して、重量が紐付いて記録されている。これによって、全ての原料となる小袋の総重量÷全ての商品化後の小袋の総重量の計算が可能となる。そして、計算結果に基づいて、
図25や
図26と同様にして、米の種別や真贋を判定することが可能となる。
【0196】
図6Cの場合は、
図6Aの場合と同様にして判定が可能である。
【0197】
図6Dのように、原料となる袋が大袋と小袋の混合の場合、全ての原料となる大袋又は小袋の親又は子コードに紐付いている重量の合計を計算する。そして、全ての原料となる大袋又は小袋の親又は小コードに紐付いている全ての商品化後の小袋の重量の合計を計算する。これによって、全ての原料となる大袋又は小袋の総重量÷全ての商品化後の小袋の総重量の計算が可能となる。そして、計算結果に基づいて、
図25や
図26と同様にして、米の種別や真贋を判定することが可能となる。
【0198】
なお、一つの大袋から、複数の小袋が作られる場合、当該一つの大袋の重量も、合算する大袋が一つだけであると考えることができるわけであるから、一つの大袋の重量も、重量の総和ということができる。
【0199】
なお、上記では、米の精米について説明したが、米以外の穀物の精製について、同様にして判定を行なうことが可能である。農作物が米穀類の場合、所定の判定基準として、親コードに紐付いている重量と子コードの重量との比率(上記の例では、パーセント値)によって認識された精米度合い(白米、玄米、分搗き米のこと)を用いることで、不正の防止可能性を高めることが可能となる。
【0200】
また、米穀類に限らず、加工によって、重量の増減が生じるような
農作物に対しても、上記判定を用いることが可能である。たとえば、大袋(大箱も含む。他も同様)に複数のジャガイモが入っている場合に、小袋にしたジャガイモで、大袋の重量よりも小袋の重量の総和が大きいような場合は、廃棄したり返品があったようなジャガイモが混入しているなどの不正がありうる。たとえば、大袋に複数のネギが入っている場合に、小袋(小分けした束状も含む。他も同様)に複数のネギが入っている場合に、小袋にしたネギで、大袋
の重量よりも小袋の重量の総和が大きいような場合は、廃棄したり返品があったようなネギが混入しているなどの不正がありうる。その他、重量の増減によって、不正を見破ることが可能な
農作物に対して、上記判定方法は用いることができる。
【0201】
このように、上記判定処理では、親コードに紐付いている重量の総和(単に、重量と表現して概念化可能である)と、当該親コードに紐付いている子コードの重量の総和(同様に、単に、重量と表現して概念化可能である)と基づいて、所定の判定基準に基づいて、
農作物の種別や真贋等を判定することが可能となる。米穀類を例にとって、言い換えると、原料となる米穀類に対して記録されている総重量と商品化後の総重量とに基づいて、商品化後の米穀類の種別や真贋を管理サーバーで判定することが可能となる。管理サーバーは、当該判定結果を履歴情報として記録しておくことで、不正な加工を防止することが期待できる。
【0202】
なお、上記実施形態では、生産物として農作物を使用することとしたが、本発明のトレーサビリティシステムは、農作物以外の食品にも使用することができ、生産者から入荷した食品を小分けして商品化して販売する食品全般に使用することができる。本発明は、食品のトレーサビリティシステムとしても有益である。
【0203】
本発明のトレーサビリティシステムは、米穀類の履歴記録に最適であるが、履歴記録の対象は、米穀類に限られるものではない。
【0204】
以上、本発明を詳細に説明してきたが、前述の説明はあらゆる点において本発明の例示にすぎず、その範囲を限定しようとするものではない。本発明の範囲を逸脱することなく種々の改良や変形を行うことができることは言うまでもない。