特許第6850452号(P6850452)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6850452
(24)【登録日】2021年3月10日
(45)【発行日】2021年3月31日
(54)【発明の名称】油性化粧料
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/19 20060101AFI20210322BHJP
   A61K 8/29 20060101ALI20210322BHJP
   A61K 8/58 20060101ALI20210322BHJP
   A61K 8/55 20060101ALI20210322BHJP
   A61Q 1/10 20060101ALI20210322BHJP
   A61Q 1/06 20060101ALI20210322BHJP
   A61Q 1/08 20060101ALI20210322BHJP
   A61Q 1/12 20060101ALI20210322BHJP
   A61Q 1/02 20060101ALI20210322BHJP
【FI】
   A61K8/19
   A61K8/29
   A61K8/58
   A61K8/55
   A61Q1/10
   A61Q1/06
   A61Q1/08
   A61Q1/12
   A61Q1/02
【請求項の数】4
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2016-226680(P2016-226680)
(22)【出願日】2016年11月22日
(65)【公開番号】特開2018-83772(P2018-83772A)
(43)【公開日】2018年5月31日
【審査請求日】2019年9月5日
(73)【特許権者】
【識別番号】591147339
【氏名又は名称】株式会社トキワ
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(72)【発明者】
【氏名】富樫 俊介
(72)【発明者】
【氏名】荻野 一紀
【審査官】 池田 周士郎
(56)【参考文献】
【文献】 特開2001−072527(JP,A)
【文献】 特開2013−053072(JP,A)
【文献】 特開2014−189497(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 8/00− 8/99
A61Q 1/00−90/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材粉体を少なくともアルキルシラン及びリン脂質で湿式法にて複合処理してなる被覆粉体、を含有
前記被覆粉体は、前記基材粉体の表面が前記アルキルシラン及び前記リン脂質の混合物を含む被覆層で均一に覆われたものである、油性化粧料。
【請求項2】
粉体を5〜65質量%、固形油を0〜40質量%、及び液状油を25〜95質量%含有し、前記粉体のうちの前記被覆粉体の含有量が、油性化粧料全量を基準として、0.1〜65質量%である、請求項1に記載の油性化粧料。
【請求項3】
粉体を10〜55質量%、固形油を3〜30質量%、及び液状油を25〜65質量%含有し、前記粉体のうちの前記被覆粉体の含有量が、油性化粧料全量を基準として、5〜55質量%であり、
前記液状油が、25℃における粘度が200mPa・s未満である低粘度液状油を含み、
前記低粘度液状油の含有量が、油性化粧料全量基準で、32.5〜85質量%である、請求項1に記載の油性化粧料。
【請求項4】
固形である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の油性化粧料。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、油性化粧料に関する。
【背景技術】
【0002】
油性化粧料は皮膚や毛髪などを柔軟にしたり保護したりする目的で使用されている。特に、固形の油性化粧料は塗布が簡便であり、また携帯にも便利であるため、口紅、ファンデーション、チーク等のメイクアップ用、アイクリーム、制汗剤、練り香水等のスキンケア用、整髪料等の頭髪用などの様々な用途の化粧料に応用されている剤型である。
【0003】
アイブロウ、アイライナー、アイシャドウ等では、スティック状に成形された油性化粧料を繰り出し式の容器に収納したものが用いられ、ファンデーション等では、油性化粧料をコンパクト内の中皿に溶融充填し冷却固化したものが用いられる。これらの油性化粧料には着色剤として顔料粉体が配合されることがあるが、スティック型や中皿等の容器への充填を行う過程で油性化粧料が加熱溶解し液状になると、顔料粉体が凝集して縞状などの模様となり外観を損ねることがある。特に、アイブロウやアイライナー等では着色力を上げるために顔料粉体が高配合されることから、加熱溶解時の油性化粧料の流動性が得られにくく、容器への充填が困難になることがある。また、粉体が高配合された油性化粧料は、使用性も硬くなる傾向にある。
【0004】
油性化粧料における粉体の分散性を高める方法として、油性成分を調整する方法(例えば、下記特許文献1)や粉体表面上に親油性の処理剤を修飾する方法が知られている。被覆処理した粉体については、処理剤の特性が化粧料の使用時に発現することも知られている(例えば、下記特許文献2、3)。また、複数の表面処理剤を組み合わせて被覆することで粉体を高機能化する方法も提案されている(例えば、下記特許文献4)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2014−189497号公報
【特許文献2】特開2002−322015号公報
【特許文献3】特開2010−77111号公報
【特許文献4】特開2013−79264号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、従来の油性化粧料であっても、加熱溶融時における流動性及び粉体の凝集抑制と、使用時における伸展性やべたつきのなさ等の使用性とを高水準で両立するには未だ十分ではなく、更なる改善の必要がある。
【0007】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、加熱溶融されたときに十分な充填性を示すことができるとともに粉体の凝集に起因する問題が生じにくく、使用性にも優れた油性化粧料を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために本発明者らは鋭意検討した結果、粉体を特定の2種類の表面処理剤を用いて特定の方法で複合処理した被覆粉体が、油性化粧料に高配合した場合であっても十分な分散性を示し、油性化粧料の充填性、使用性を良好にすることができることを見出し、この知見に基づき本発明を完成するに至った。
【0009】
すなわち、本発明は、基材粉体を少なくともアルキルシラン及びリン脂質で湿式法により複合処理してなる被覆粉体、を含有する油性化粧料を提供する。
【0010】
本発明の油性化粧料は、上記被覆粉体を含有することにより、加熱溶融されたときに十分な充填性を示すことができるとともに粉体の凝集に起因する問題が生じにくく、使用性にも優れたものになり得る。被覆粉体における基材粉体が着色顔料である場合には、加熱溶解時に着色顔料が凝集して縞状などの模様となることを抑制することができる。また、本発明の油性化粧料は、上記被覆粉体を高配合した場合であっても、加熱溶融されたときに十分な充填性を示すことができ、使用性が硬くなりにくい。更に、上記被覆粉体は、肌に塗布した際の密着性にも優れ、本発明の油性化粧料を化粧もちに優れたものにすることが可能である。
【0011】
本発明の油性化粧料は、粉体を5〜65質量%、固形油を0〜40質量%、及び液状油を25〜95質量%含有し、粉体のうちの上記被覆粉体の含有量が、油性化粧料全量を基準として、0.1〜65質量%であってもよい。
【0012】
本発明の油性化粧料は固形であってもよい。すなわち、本発明の油性化粧料は油性固形化粧料とすることができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、加熱溶融されたときに十分な充填性を示すことができるとともに粉体の凝集に起因する問題が生じにくく、使用性にも優れた油性化粧料を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0014】
[油性化粧料]
本実施形態の油性化粧料は、粉体成分及び油性成分を含む。
【0015】
(粉体成分)
本実施形態の油性化粧料は、粉体成分として、基材粉体を少なくともアルキルシラン及びリン脂質で湿式法にて複合処理してなる被覆粉体を含有する。
【0016】
なお、上記湿式法による複合処理とは、基材粉体に、溶媒存在下で、少なくともアルキルシラン及びリン脂質を連続的に接触させることを意味する。この処理は、アルキルシランの添加とリン脂質の添加との間に溶媒の乾燥工程を設けない点で、乾式法とは区別されるものである。また、アルキルシラン及びリン脂質の連続的な接触は、アルキルシラン及びリン脂質の順、その逆の順、又は同時であってもよい。
【0017】
基材粉体としては、通常化粧品に使用されるものであれば特に限定されず用いることができる。例えば、体質粉体、着色顔料等が挙げられる。
【0018】
体質粉体としては、無機粉体、合成無機粉体、有機粉体、金属セッケン、合成高分子粉体などが挙げられる。より具体的には、マイカ、カオリン、セリサイト、タルク、金雲母、合成雲母、シリカ、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、酸化アルミニウム、窒化ホウ素、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸アルミニウム、ミリスチン酸亜鉛、ポリエチレン末、ウレタンビーズ、ポリメタクリル酸メチル、オルガノポリシロキサンエラストマー等が挙げられる。
【0019】
着色顔料としては、ベンガラ、黄酸化鉄、黒酸化鉄、酸化コバルト、群青、紺青、酸化チタン、酸化亜鉛、パール顔料(雲母チタン、魚鱗箔、オキシ塩化ビスマス等)、有機顔料(赤色228号、赤色226号、青色404号、赤色202号、黄色4号アルミニウムレーキ等)、天然色素(カルミン、ベニバナ等)などが挙げられる。
【0020】
基材粉体は、2種以上の粉体を複合化したものを用いてもよい。
【0021】
基材粉体の平均粒子径は、0.01〜200μmとすることができ、0.01〜150μmとすることができる。
【0022】
アルキルシランとしては、トリエトキシカプリリルシラン、トリエトキシデシルシラン等のトリエトキシアルキルシラン、トリメトキシカプリリルシラン、トリメトキシデシルシラン等のトリメトキシアルキルシランなどを用いることができる。これらのうち、疎水性、分散性等の観点から、トリエトキシカプリリルシラン、トリメトキシカプリリルシランが好ましい。
【0023】
リン脂質としては、水添レシチン、非水添レシチンなどを用いることができる。リン脂質は、金属塩等の塩の形態であってもよい。これらのうち、疎水性、分散性等の観点から、水添レシチンが好ましい。
【0024】
アルキルシランの添加量は、疎水性、分散性、使用性の観点から、基材粉体100質量部に対して、0.1〜10質量部であることが好ましく、1〜5質量部であることがより好ましい。
【0025】
リン脂質の添加量は、疎水性、分散性、使用性の観点から、基材粉体100質量部に対して、0.1〜10質量部であることが好ましく、1〜5質量部であることがより好ましい。
【0026】
アルキルシランの添加量Aとリン脂質の添加量Bとの質量比(A/B)は、疎水性、分散性の観点から、0.01〜100が好ましく、0.2〜5がより好ましい。
【0027】
基材粉体は、アルキルシラン及びリン脂質以外の表面処理剤で更に処理することができる。このような表面処理剤としては、シリコーン系、フッ素系、アミノ酸系等を用いることができる。
【0028】
湿式法で用いる溶媒としては、水、イソプロピルアルコール、メチルアルコール、エチルアルコール、1−プロパノール、アセトン、1−ブタノールなどが挙げられる。
【0029】
被覆粉体を作製する方法としては、例えば、以下の方法が挙げられる。基材粉体を仕込んだミキサー内に、アルキルシランと、塩化アルミニウムと、上記の溶媒とを混合した溶液を滴下し、基材粉体と溶液とが十分に混ざり合った後、アンモニア水等のアルカリ水溶液を加え、更に混合する。続いて、リン脂質をミキサー内に添加し撹拌した後、ミキサー内を加熱及び減圧し、溶媒などを除去することにより被覆粉体が得られる。
【0030】
アルキルシランとリン脂質との添加順序を入れ替えてもよく、例えば、以下の方法が挙げられる。基材粉体を仕込んだミキサー内に、リン脂質を添加し撹拌する。その後、ミキサー内にアルキルシランと、塩化アルミニウムと、上記の溶媒とを混合した容器を滴下し、基材粉体と溶液とが十分に混ざり合った後、アンモニア水等のアルカリ水溶液を加え、混合する。その後、ミキサー内を加熱及び減圧し、溶媒などを除去することにより被覆粉体が得られる。
【0031】
上記のように、基材粉体をアルキルシラン及びリン脂質で湿式法により複合処理することにより、基材粉体の表面がこれらの処理剤によって均一に覆われ、経時的な安定性を得ることができる。このような被覆粉体は、油性化粧料に配合したときに高水準の油分散性及び使用性を得ることができ、肌に塗布した際の密着性にも優れ、化粧もちを向上させることができる。
【0032】
油性化粧料における上記被覆粉体の含有量は、油性化粧料全量基準で0.1〜65質量%とすることができ、1〜55質量%とすることができ、5〜55質量%とすることができる。
【0033】
本実施形態の油性化粧料は、上記被覆粉体以外の粉体を含有することができる。粉体としては、上記の基材粉体で挙げたものを用いることができる。本実施形態の油性化粧料における粉体の全含有量は、油性化粧料全量基準で5〜65質量%とすることができ、10〜55質量%とすることができ、20〜55質量%とすることができる。
【0034】
(油性成分)
油性成分としては、例えば、通常化粧品に使用される固形油、液状油を用いることができ、2種以上を組み合わせて配合することができる。なお、固形油とは、40℃で傾けた際に流動しない油を指す。液状油は、25℃における粘度が200mPa・s以上である高粘度液状油、25℃における粘度が200mPa・s未満である低粘度液状油を用いることができる。
【0035】
固形油としては、例えば、ワセリン、ポリエチレンワックス等のパラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、ポリエチレン等の炭化水素類、硬化ヒマシ油、水添ホホバ油、カルナウバロウ、ライスワックス等の植物由来油脂、トリベヘン酸グリセリル、コレステロール脂肪酸エステル等のエステル類、ステアリン酸、ベヘン酸等の高級脂肪酸類、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコール等の高級アルコール類、アルキル変性シリコーン、アクリル変性シリコーン等のシリコーン類、パルミチン酸デキストリン、ステアリン酸イヌリン等の糖脂肪酸エステル類等が挙げられる。これらは、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0036】
液状油としては、例えば、流動パラフィン、スクワラン等の炭化水素油、リンゴ酸ジイソステアリル、ミリスチン酸イソプロピル、2−エチルヘキサン酸セチル、パルミチン酸イソプロピル、パルミチン酸エチルヘキシル、トリカプリル・カプリン酸グリセリル、トリ−2−エチルヘキサン酸グリセリル、トリイソステアリン酸ポリグリセリル等のエステル油、オリーブ油、ヒマシ油、マカデミアナッツ油、ホホバ油等の植物油、オレイルアルコール、オクチルドデカノール、イソステアリルアルコール等の高級アルコール、イソステアリン酸、オレイン酸等の高級脂肪酸、ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン等のシリコーン油等が挙げられる。これらは、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0037】
上記のうち、高粘度液状油としては、例えば、リンゴ酸ジイソステアリル、ヒマシ油、トリイソステアリン酸ポリグリセリル等が挙げられる。
【0038】
上記のうち、低粘度液状油としては、例えば、流動パラフィン、スクワラン、ミリスチン酸イソプロピル、2−エチルヘキサン酸セチル、オリーブ油、ホホバ油、オクチルドデカノール、ジメチルポリシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン等が挙げられる。
【0039】
本実施形態の油性化粧料における固形油の含有量は、油性化粧料全量基準で0〜40質量%とすることができ、0〜35質量%とすることができ、1〜30質量%とすることができ、3〜30質量%とすることができる。
【0040】
本実施形態の油性化粧料における液状油の含有量は、油性化粧料全量基準で25〜95質量%とすることができ、25〜87質量%とすることができ、25〜85質量%とすることができ、25〜75質量%とすることができ、25〜65質量%とすることができる。
【0041】
本実施形態の油性化粧料においては、使用性の観点から、低粘度液状油の含有量が、油性化粧料全量基準で25〜95質量%であることが好ましく、25〜85質量%であることがより好ましい。
【0042】
(その他の成分)
本実施形態の油性化粧料には、上記の油性成分及び粉体成分の他に通常化粧品に使用される他の成分、例えば保湿剤、界面活性剤、紫外線吸収剤、被膜形成剤、防腐剤、ビタミン類、美容成分、酸化防止剤、香料等を必要に応じて、本発明の効果を損なわない範囲で適宜配合することができる。
【0043】
本実施形態に係る油性化粧料の用途としては特に限定されないが、口紅、ファンデーション、チーク等のメイクアップ用化粧料、アイクリーム、制汗剤、練り香水等のスキンケア用化粧料、整髪料等の頭髪用化粧料などが挙げられる。
【0044】
また、本実施形態に係る油性化粧料は、固形、即ち、油性固形化粧料であってもよい。この場合の用途としては特に限定されないが、好ましくは、アイブロウ、アイライナー、アイシャドウ、ファンデーション等のメイクアップ用化粧料などが挙げられる。
【0045】
本実施形態に係る油性化粧料は、スティック状、ペンシル状に成形されていてもよく、中皿などの容器内に直接充填したものであってもよい。
【0046】
本実施形態に係る油性固形化粧料の製造方法としては、例えば、上述した油性成分、粉体成分、及び必要に応じてその他の成分を混合して得られる化粧料バルクを、所定の容器若しくは金型に充填し、固化する方法が挙げられる。
【0047】
化粧料バルクには揮発性溶剤を含有させることができる。揮発性溶剤としては、例えば、エタノール、プロピルアルコール、イソプロピルアルコール等のアルコール;イソドデカン、イソパラフィン等の炭化水素系溶剤;オクタメチルシクロペンタシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、オクタメチルトリシロキサン、デカメチルテトラシロキサン等のシリコーンなどが挙げられる。
【0048】
化粧料組成物を充填する所定の容器としては、例えば、金皿、樹脂皿などの中皿が挙げられる。これらの中皿は、油性固形化粧料が形成された後にそのままコンパクト容器に装着することが可能である。また、コンパクト容器、ジャー容器に直接充填することも可能である。化粧料をスティック状に成形する方法としては、例えば、公知な充填成型法や押出成型法などが挙げられる。
【実施例】
【0049】
以下、実施例によって本発明をさらに詳細に説明するが、これらの実施例により本発明の技術範囲が限定されるものではない。
【0050】
<被覆粉体の準備>
(被覆粉体W−1)
基材粉体である酸化チタンに、トリエトキシカプリリルシラン及びレシチンを下記の湿式法にて複合処理を施し、被覆酸化チタン(被覆粉体W−1)を得た。
【0051】
まず、ヘンシェルミキサーに酸化チタン(石原産業社製、酸化チタンCR−50)1000gを仕込んだ。一方で、1.0gの塩化アルミニウムを少量の水にて溶解させ、そこに、20.0gのトリエトキシカプリリルシラン(信越化学工業(株)社製、KBE−3083)と適量のイソプロピルアルコールを加え溶解させたトリエトキシカプリリルシラン溶液を用意した。
【0052】
ヘンシェルミキサー内に、上記溶液を撹拌しながら滴下混合し、基材粉体と溶液が混ざりあったことを確認後、8%アンモニア水を70.0g滴下した。アンモニア水を滴下後、更に撹拌した。
【0053】
次いで、ヘンシェルミキサー内に、水添レシチン(日光ケミカルズ(株)社製、NIKKOL レシノールS−10)を20.0g添加し、撹拌を続けた。レシチン添加後、充分に混ざりあったことを確認し、ヘンシェルミキサー内を加熱及び減圧し、イソプロピルアルコール、水及びアンモニアを除去した。溶剤などを除去した後、表面処理された粉体をミキサー内から取り出し、粉砕して加熱処理を行った。こうして、トリエトキシカプリリルシラン2質量%及びレシチン2質量%で複合処理された被覆酸化チタンを得た。
【0054】
(被覆粉体W−2〜4)
基材粉体である酸化チタンを下記の着色顔料にそれぞれ変更したこと以外は被覆粉体W−1と同様にして、被覆粉体をそれぞれ得た。
被覆粉体W−2:黒酸化鉄
被覆粉体W−3:ベンガラ
被覆粉体W−4:黄酸化鉄
【0055】
(被覆粉体W−5)
レシチンに代えて、N−ステアロイル−L−グルタミン酸ジナトリウム(味の素(株)社製、アミソフト HS−21)を用いたこと以外は被覆粉体W−1と同様にして、被覆粉体W−5を得た。
【0056】
(被覆粉体W−6〜8)
基材粉体である酸化チタンを下記の着色顔料にそれぞれ変更したこと以外は被覆粉体W−5と同様にして、被覆粉体をそれぞれ得た。
被覆粉体W−6:黒酸化鉄
被覆粉体W−7:ベンガラ
被覆粉体W−8:黄酸化鉄
【0057】
(被覆粉体W−9)
レシチンに代えて、トリデカフルオロオクチルトリエトキシシラン(デグサ社製、DYNASYLAN F8261)を用いたこと以外は被覆粉体W−1と同様にして、被覆粉体W−9を得た。
【0058】
(被覆粉体W−10〜12)
基材粉体である酸化チタンを下記の着色顔料にそれぞれ変更したこと以外は被覆粉体W−9と同様にして、被覆粉体をそれぞれ得た。
被覆粉体W−10:黒酸化鉄
被覆粉体W−11:ベンガラ
被覆粉体W−12:黄酸化鉄
【0059】
(被覆粉体W−13)
レシチンを添加しなかったこと以外は被覆粉体W−1と同様にして、被覆粉体W−13を得た。
【0060】
(被覆粉体W−14〜16)
基材粉体である酸化チタンを下記の着色顔料にそれぞれ変更したこと以外は被覆粉体W−13と同様にして、被覆粉体をそれぞれ得た。
被覆粉体W−14:黒酸化鉄
被覆粉体W−15:ベンガラ
被覆粉体W−16:黄酸化鉄
【0061】
(被覆粉体W−17)
ヘンシェルミキサーに酸化チタン1000gを仕込んだ。そこに、20.0gのレシチンとイソプロピルアルコールを加えて、混合した。十分に混ざりあったことを確認し、ヘンシェルミキサー内を加熱及び減圧し、イソプロピルアルコールを除去した。溶剤を除去した後、表面処理された粉末をミキサー内より取り出し、加熱処理して粉砕を行い、被覆粉体W−17を得た。
【0062】
(被覆粉体W−18〜20)
基材粉体である酸化チタンを下記の着色顔料にそれぞれ変更したこと以外は被覆粉体W−17と同様にして、被覆粉体をそれぞれ得た。
被覆粉体W−18:黒酸化鉄
被覆粉体W−19:ベンガラ
被覆粉体W−20:黄酸化鉄
【0063】
(被覆粉体D−1)
ヘンシェルミキサーに、酸化チタン(石原産業社製、CR−50)を1000g投入し、そこに20.0gのトリエトキシカプリリルシラン、及び20.0gのレシチンを加え、均一になるように分散し、減圧下80℃で30分混合した後、粉砕を行い、被覆粉体D−1を得た。
【0064】
(被覆粉体D−2〜4)
基材粉体である酸化チタンを下記の着色顔料にそれぞれ変更したこと以外は被覆粉体D−1と同様にして、被覆粉体をそれぞれ得た。
被覆粉体D−2:黒酸化鉄
被覆粉体D−3:ベンガラ
被覆粉体D−4:黄酸化鉄
【0065】
(実施例1〜3及び比較例1〜6)
表1、表2及び表3に示される処方(配合量は質量部)で、下記の製法にて油性固形化粧料(アイブロウペンシル)を調整した。
<製法>
油性成分を95℃で加熱し、溶解させて混合した。この混合物中に、粉体成分を添加し、攪拌機で均一に分散させた。その後、95℃で溶融した状態の溶解物(化粧料バルク)を金型に充填し、25℃まで冷却後取り出し、棒状のアイブロウペンシルのサンプル(評価試料)を得た。
【0066】
得られた化粧料バルク及びサンプル(評価試料)について、下記の評価方法に基づき各項目の評価を実施した。その結果を表1、表2及び表3に示す。
【0067】
[加熱溶融時の粉体の凝集による色浮き]
溶融した化粧料バルク表面について粉体の凝集による色浮き状態を観察し、4段階で評価した。
<評価基準>
◎:粉体の凝集による色浮きが見られない。
○:粉体の凝集による色浮きがほとんど見られない。
△:粉体の凝集による色浮きが見られる。
×:粉体の凝集による色浮きが多く見られる。
【0068】
[加熱溶融時の粘度(充填性)]
溶融した化粧料バルクを金型に充填する際の充填し易さを4段階で評価した。
<評価基準>
◎:非常に良好
○:良好
△:充填し難い
×:非常に充填し難い
【0069】
[使用性]
伸展性、べたつきなどの使用性について専用パネル10名で評価した。1点(不良)〜5点(非常に良好)の5段階で評価し、その平均点を求め、下記評価基準に基づいて判定した。
<評価基準>
◎:4.0点以上
○:3.0点以上〜4.0点未満
△:2.0点以上〜3.0点未満
×:2.0点未満
【0070】
[化粧持ち]
化粧持ちについて専用パネル10名で評価した。1点(不良)〜5点(非常に良好)の5段階で評価し、その平均点を求め、下記評価基準に基づいて判定した。
<評価基準>
◎:4.0点以上
○:3.0点以上〜4.0点未満
△:2.0点以上〜3.0点未満
×:2.0点未満
【0071】
[安定性]
密閉ガラス容器に化粧料を充填し、24時間室温静置後、50℃にて1週間静置し、その外観を観察し、4段階で評価した。
<評価基準>
◎:変化なし
○:軽微な変化あり
△:変化が見られるが、許容範囲内
×:著しい変化あり
【0072】
【表1】
【0073】
【表2】
【0074】
【表3】
【0075】
表1、表2及び表3に示されるように、本発明に係る被覆粉体を含む実施例1〜3の油性固形化粧料(アイブロウペンシル)は、加熱溶融時の粉体凝集による色浮き、加熱溶融時の粘度(充填性)、使用性、化粧持ち、安定性の全ての評価項目において良好な結果であった。一方、本発明に係る被覆粉体を含まない比較例1〜6の油性固形化粧料(アイブロウペンシル)は、評価項目の全てを満足させることができなかった。
【0076】
具体的には、被覆粉体を使用せず未処理粉体を使用した比較例1の油性固形化粧料は、加熱溶融時の粉体凝集による色浮き、加熱溶融時の粘度(充填性)、使用性、化粧持ちに問題があった。複合処理の水添レシチンを他の処理剤に変えた粉体を使用した比較例2及び3の油性固形化粧料は、加熱溶融時の粉体凝集による色浮き、加熱溶融時の粘度(充填性)、使用性に問題があった。複合処理でなくアルキルシラン単独処理粉体を使用した比較例4の油性固形化粧料は、化粧持ちにおいては満足できるものの、加熱溶融時の粉体凝集による色浮き、加熱溶融時の粘度(充填性)に問題があった。水添レシチン単独処理粉体を使用した比較例5の油性固形化粧料は、特に化粧持ちにおいて悪い結果であった。乾式法で作製した被覆粉体を使用した比較例6の油性固形化粧料は、安定性において問題があった。
【0077】
(実施例4:アイライナーペンシル)
(成分) (配合割合(質量%))
1. ポリエチレンワックス 4.00
2. キャンデリラロウ 9.00
3. トリイソステアリン酸ジグリセリル 2.16
4. トコフェロール 0.04
5. ジメチコン 21.00
6. リンゴ酸ジイソステアリル 8.00
7. トリメチルシロキシケイ酸 25.00
8. 合成金雲母 2.50
9. 被覆粉体W−1 0.10
10.被覆粉体W−2 25.00
11.被覆粉体W−3 0.10
12.被覆粉体W−4 0.10
13.シリカ 3.00
【0078】
<製法>
油性成分1〜7を95℃で加熱し、溶解させて混合した。この混合物中に、粉体成分8〜13を添加し、攪拌機で均一に分散させた。その後、95℃で溶融した状態の溶解物(化粧料バルク)を金型に充填し、25℃まで冷却後取り出し、棒状のアイライナーペンシルのサンプルを得た。
【0079】
<評価>
得られたアイライナーペンシルのサンプルについて、上記同様の評価を行ったところ、サンプルは、「加熱溶融時の粉体凝集による色浮き」、「加熱溶融時の粘度(充填性)」、「使用性」、「化粧持ち」、「安定性」のすべてについて「◎」の評価であることが確認された。
【0080】
(実施例5:アイライナーペンシル)
(成分) (配合割合(質量%))
1. ポリエチレンワックス 2.00
2. カルナウバロウ 9.00
3. トリエチルヘキサノイン 4.86
4. トコフェロール 0.04
5. マイクロクリスタリンワックス 6.00
6. メチルトリメチコン 25.00
7. セスキイソステアリン酸ソルビタン 1.00
8. トリメチルシロキシケイ酸 18.00
9. マイカ 9.50
10.被覆粉体W−1 0.10
11.被覆粉体W−2 10.00
12.被覆粉体W−3 7.50
13.被覆粉体W−4 6.00
14.メタクリル酸メチルクロスポリマー 3.00
【0081】
<製法>
油性成分1〜8を95℃で加熱し、溶解させて混合した。この混合物中に、粉体成分10〜14を添加し、攪拌機で均一に分散させた。その後、95℃で溶融した状態の溶解物(化粧料バルク)を金型に充填し、25℃まで冷却後取り出し、棒状のアイライナーペンシルのサンプルを得た。
【0082】
<評価>
得られたアイライナーペンシルのサンプルについて、上記同様の評価を行ったところ、サンプルは、「加熱溶融時の粉体凝集による色浮き」、「加熱溶融時の粘度(充填性)」、「使用性」、「化粧持ち」、「安定性」のすべてについて「◎」の評価であることが確認された。
【0083】
(実施例6:ジェルアイライナー)
(成分) (配合割合(質量%))
1. ステアリン酸イヌリン 6.00
2. ヒマワリ種子ロウ 2.00
3. パラフィンワックス 8.00
4. トリイソステアリン酸ジグリセリル 1.50
5. ジエチルヘキサン酸ネオペンチルグリコール 3.36
6. トコフェロール 0.04
7. マイクロクリスタリンワックス 4.00
8. メチルトリメチコン 25.00
9. セスキイソステアリン酸ソルビタン 1.00
10.トリメチルシロキシケイ酸 9.00
11.マイカ 20.00
12.被覆粉体W−1 0.50
13.被覆粉体W−2 5.30
14.被覆粉体W−3 6.30
15.被覆粉体W−4 7.00
16.シリカ 1.00
【0084】
<製法>
油性成分1〜10を95℃で加熱し、溶解させて混合した。この混合物中に、粉体成分11〜16を添加し、攪拌機で均一に分散させた。その後、95℃で溶融した状態の溶解物(化粧料バルク)をジャー容器に充填し、冷却し、ジェルアイライナーのサンプルを得た。
【0085】
<評価>
得られたジェルアイライナーのサンプルについて、上記同様の評価を行ったところ、サンプルは、「加熱溶融時の粉体凝集による色浮き」、「加熱溶融時の粘度(充填性)」、「使用性」、「化粧持ち」、「安定性」のすべてについて「◎」の評価であることが確認された。
【0086】
(実施例7:口紅)
(成分) (配合割合(質量%))
1. ポリエチレンワックス 5.50
2. リンゴ酸ジイソステアリル 23.19
3. ジフェニルシロキシフェニルトリメチコン 4.50
4. イソノナン酸イソトリデシル 4.50
5. オレフィンオリゴマー 9.00
6. 水添ポリイソブテン 35.00
7. ジメチルシリル化シリカ 1.00
8. シメチコン 0.02
9. トコフェロール 0.04
10.ダイマージリノール酸 13.00
(フィトステリル/イソステアリル/セチル/
ステアリル/べヘニル)(融点40℃前後の固形油)
11.被覆粉体W−21 0.20
12.被覆粉体W−22 0.50
13.被覆粉体W−1 0.70
14.被覆粉体W−4 0.10
15.被覆粉体W−3 0.20
16.赤色218号 0.05
17.雲母チタン 0.50
18.ホウケイ酸(Ca/Al) 2.00
【0087】
被覆粉体W−21は、基材粉体である酸化チタンを赤色202号に変更したこと以外は被覆粉体W−1と同様にして作製した被覆粉体である。また、被覆粉体W−22は、基材粉体である酸化チタンを黄色4号アルミニウムレーキに変更したこと以外は被覆粉体W−1と同様にして作製した被覆粉体である。
【0088】
<製法>
油性成分1〜6、8〜10を95℃で加熱し、溶解させて混合した。この混合物中に、粉体成分7、11〜18を添加し、攪拌機で均一に分散させた。その後、95℃で溶融した状態の溶解物(化粧料バルク)を金型に充填し、25℃まで冷却後取り出し、棒状の口紅のサンプルを得た。
【0089】
<評価>
得られた口紅のサンプルについて、上記同様の評価を行ったところ、サンプルは、「加熱溶融時の粉体凝集による色浮き」、「加熱溶融時の粘度(充填性)」、「使用性」、「化粧持ち」、「安定性」のすべてについて「◎」の評価であることが確認された。
【0090】
(実施例8:アイブロウペンシル)
(成分) (配合割合(質量%))
1. 水添ヒマシ油 8.00
2. モクロウ 9.00
3. ステアリン酸 15.00
4. ミツロウ 3.00
5. 硬化油 2.00
6. ミネラルオイル 1.68
7. イソステアリン酸ソルビタン 1.00
8. トコフェロール 0.02
9. タルク 5.00
10.マイカ 4.80
11.被覆粉体W−23 0.20
12.被覆粉体W−1 22.00
13.被覆粉体W−4 13.50
14.被覆粉体W−3 8.50
15.被覆粉体W−2 6.30
【0091】
被覆粉体W−23は、基材粉体である酸化チタンをグンジョウに変更したこと以外は被覆粉体W−1と同様にして作製した被覆粉体である。
【0092】
<製法>
油性成分1〜8を95℃で加熱し、溶解させて混合した。この混合物中に、粉体成分9〜15を添加し、攪拌機で均一に分散させた。その後、押出成形し、棒状のアイブロウペンシルのサンプルを得た。
【0093】
<評価>
得られたアイブロウペンシルのサンプルについて、上記同様の評価を行ったところ、サンプルは、「加熱溶融時の粉体凝集による色浮き」、「加熱溶融時の粘度(充填性)」、「使用性」、「化粧持ち」、「安定性」のすべてについて「◎」の評価であることが確認された。
【0094】
(実施例9:チークカラー)
(成分) (配合割合(質量%))
1. ポリエチレンワックス 5.00
2. トリ(カプリル/カプリン)酸グリセリル 18.00
3. ジフェニルシロキシフェニルトリメチコン 15.00
4. 水添ポリイソブテン 15.00
5. ダイマージリノール酸 13.00
ダイマージリノレイルビス
(ベヘニル/イソステアリル/フィトステリル)
(融点40℃前後の固形油)
6. リンゴ酸ジイソステアリル 26.349
7. トコフェロール 0.02
8. シメチコン 0.001
9. ジメチルシリル化シリカ 0.10
10.被覆粉体W−21 0.50
11.被覆粉体W−22 3.00
12.被覆粉体W−1 4.00
13.被覆粉体W−4 0.01
14.被覆粉体W−3 0.01
15.被覆粉体W−2 0.01
【0095】
<製法>
油性成分1〜8を95℃で加熱し、溶解させて混合した。この混合物中に、粉体成分9〜15を添加し、攪拌機で均一に分散させた。その後、95℃で溶融した状態の溶解物(化粧料バルク)を中皿に充填し、25℃まで冷却後取り出し、油性固形状のチークカラーのサンプルを得た。
【0096】
<評価>
得られたチークカラーのサンプルについて、上記同様の評価を行ったところ、サンプルは、「加熱溶融時の粉体凝集による色浮き」、「加熱溶融時の粘度(充填性)」、「使用性」、「化粧持ち」、「安定性」のすべてについて「◎」の評価であることが確認された。
【0097】
(実施例10:ファンデーション(油性液状タイプ))
(成分) (配合割合(質量%))
1. ジメチコン 16.00
2. ポリメチルシルセスキオキサン 3.00
3. (ジメチコン/ビニルジメチコン)クロスポリマー 1.50
4. エチルヘキサン酸セチル 18.00
5. トリイソステアリン 22.00
6. リンゴ酸ジイソステアリル 13.64
7. PEG−9ポリジメチルシロキシエチルジメチコン 3.00
8. セスキオレイン酸ソルビタン 0.50
9. トコフェロール 0.04
10.合成金雲母 7.00
11.ナイロン 4.00
12.被覆粉体W−24 5.00
13.被覆粉体W−1 5.60
14.被覆粉体W−4 0.55
15.被覆粉体W−3 0.12
16.被覆粉体W−2 0.05
【0098】
被覆粉体W−24は、基材粉体である酸化チタンを、平均粒径が長軸0.06μm及び短軸0.01μmである微粒子酸化チタン(石原産業(株)社製、超微粒子酸化チタン TTO−V−4)に変更したこと以外は被覆粉体W−1と同様にして作製した被覆粉体である。
【0099】
<製法>
油性成分1〜9を混合した。この混合物中に、粉体成分10〜16を添加し、攪拌機で均一に分散させた。その後、常温でボトル容器に充填し、ボトル状のファンデーションサンプルを得た。
【0100】
<評価>
得られたファンデーションのサンプルについて、上記同様の評価を行ったところ、サンプルは、「常温時の粉体凝集による色浮き」、「常温時の粘度(充填性)」、「使用性」、「化粧持ち」、「安定性」のすべてについて「◎」の評価であることが確認された。
【0101】
(実施例11:リップグロス)
(成分) (配合割合(質量%))
1. パルミチン酸デキストリン 6.50
2. パルミチン酸エチルヘキシル 10.00
3. リンゴ酸ジイソステアリル 38.96
4. 水添ポリイソブテン 40.00
5. フェノキシエタノール 0.50
6. トコフェロール 0.04
7. シメチコン 0.10
8. ジメチルシリル化シリカ 2.00
9. 被覆粉体W−25 0.30
10.被覆粉体W−1 0.70
11.被覆粉体W−4 0.30
12.被覆粉体W−3 0.05
13.被覆粉体W−2 0.05
14.雲母チタン 0.50
【0102】
被覆粉体W−25は、基材粉体である酸化チタンをカルミンに変更したこと以外は被覆粉体W−1と同様にして作製した被覆粉体である。
【0103】
<製法>
油性成分1〜7を95℃で加熱し、溶解させて混合した。この混合物中に、粉体成分8〜14を添加し、攪拌機で均一に分散させた。その後、95℃で溶融した状態の溶解物(化粧料バルク)を中皿に充填し、25℃まで冷却後取り出し、油性固形状のリップグロスのサンプルを得た。
【0104】
<評価>
得られたリップグロスのサンプルについて、上記同様の評価を行ったところ、サンプルは、「加熱溶融時の粉体凝集による色浮き」、「加熱溶融時の粘度(充填性)」、「使用性」、「化粧持ち」、「安定性」のすべてについて「◎」の評価であることが確認された。
【0105】
(実施例12:コンシーラー)
(成分) (配合割合(質量%))
1. パルミチン酸デキストリン 4.00
2. トリエチルヘキサノイン 18.00
3. ジエチルヘキサン酸ネオペンチルグリコール 3.00
4. 水添ポリデセン 6.00
5. メチルトリメチコン 26.50
6. リンゴ酸ジイソステアリル 5.00
7. (ビニルジメチコン/ラウリルジメチコン) 7.50
クロスポリマー
8. 合成金雲母 7.15
9. (ビニルジメチコン/メチコンシルセスキオキサン) 5.00
クロスポリマー
10.被覆粉体W−1 15.00
11.被覆粉体W−4 2.40
12.被覆粉体W−3 0.30
13.被覆粉体W−2 0.15
【0106】
<製法>
油性成分1〜7を95℃で加熱し、溶解させて混合した。この混合物中に、粉体成分8〜13を添加し、攪拌機で均一に分散させた。その後、95℃で溶融した状態の溶解物(化粧料バルク)をジャー容器に充填し、油性固形状のコンシーラーのサンプルを得た。
【0107】
<評価>
得られたコンシーラーのサンプルについて、上記同様の評価を行ったところ、サンプルは、「加熱溶融時の粉体凝集による色浮き」、「加熱溶融時の粘度(充填性)」、「使用性」、「化粧持ち」、「安定性」のすべてについて「◎」の評価であることが確認された。