特許第6850467号(P6850467)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 横沢 聡の特許一覧

<>
  • 特許6850467-運動変換機構および駆動装置 図000002
  • 特許6850467-運動変換機構および駆動装置 図000003
  • 特許6850467-運動変換機構および駆動装置 図000004
  • 特許6850467-運動変換機構および駆動装置 図000005
  • 特許6850467-運動変換機構および駆動装置 図000006
  • 特許6850467-運動変換機構および駆動装置 図000007
  • 特許6850467-運動変換機構および駆動装置 図000008
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6850467
(24)【登録日】2021年3月10日
(45)【発行日】2021年3月31日
(54)【発明の名称】運動変換機構および駆動装置
(51)【国際特許分類】
   F16H 31/00 20060101AFI20210322BHJP
   F16G 11/10 20060101ALI20210322BHJP
   F16C 1/10 20060101ALI20210322BHJP
   H01F 7/122 20060101ALI20210322BHJP
【FI】
   F16H31/00 G
   F16H31/00 A
   F16H31/00 H
   F16G11/10 A
   F16C1/10 Z
   H01F7/122 A
【請求項の数】5
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2020-118836(P2020-118836)
(22)【出願日】2020年7月9日
【審査請求日】2020年11月12日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】720003662
【氏名又は名称】横沢 聡
(72)【発明者】
【氏名】横沢 聡
【審査官】 鷲巣 直哉
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許第03177543(US,A)
【文献】 特開2010−059992(JP,A)
【文献】 特開2002−164380(JP,A)
【文献】 米国特許第05572770(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16H 31/00
F16C 1/10
F16G 11/10
H01F 7/122
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
直線方向における第1の向きの移動体の移動を規制し当該第1の向きとは逆向きである第2の向きの当該移動体の移動を許容するように構成されて基体部に固定された第1規制機構と、前記直線方向に沿って前記第1規制機構から離間する位置において当該第1規制機構に対して当該直線方向に沿って接離可能に配設されると共に前記第1の向きの前記移動体の移動を規制し前記第2の向きの当該移動体の移動を許容するように構成された第2規制機構とを備え、前記第2規制機構を前記第1規制機構に対して前記直線方向に沿って接離させる往復運動を前記第2の向きの前記移動体の直動運動に変換する運動変換機構。
【請求項2】
前記直線方向に沿って互いに離間して縦設された複数の前記第2規制機構を備えている請求項1記載の運動変換機構。
【請求項3】
前記移動体は、棒状、紐状およびケーブル状のいずれかの形状に形成され、
前記第1規制機構および前記第2規制機構は、前記移動体を挿通可能に構成されると共に周壁に貫通孔が形成された第1筒体と、当該第1筒体の前記周壁から突出入可能に前記貫通孔に嵌め込まれた球体と、前記第1筒体を前記直線方向に移動可能に収容する収容部を有して当該第1筒体が当該収容部の前記第1の向き側に位置している第1状態において当該収容部の内周面と当該第1筒体における前記周壁の外周面とが近接し当該第1筒体が当該収容部の前記第2の向き側に位置している第2状態において当該内周面と当該外周面とが離間するように形成された第2筒体と、前記第1筒体を前記第1の向きに付勢する付勢部とを備え、前記第1状態において前記球体が前記内周面に接触して前記第1筒体の内部に突入し当該第1筒体に挿通されている前記移動体を当該球体が押圧して前記第2の向きの当該移動体の移動を規制し、前記第2状態において当該第1筒体に挿通されている前記移動体に対する前記球体の押圧を解除して前記第2の向きの当該移動体の移動を許容する請求項1または2記載の運動変換機構。
【請求項4】
請求項1から3のいずれかに記載の運動変換機構と、前記第2規制機構を前記第1規制機構に対して前記直線方向に沿って接離するように往復運動させるアクチュエータとを備えている駆動装置。
【請求項5】
前記アクチュエータの中央部には開口部が形成され、
前記第1規制機構、前記第2規制機構および前記アクチュエータは、各々の中心軸が同軸となるように配置されている請求項記載の駆動装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、往復運動を直動運動に変換する運動変換機構、およびその運動変換装置を備えた駆動装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
運動形態を変換する運動変換機構として、例えば、往復運動を回転運動に変換したり回転運動を往復運動に変換したりするクランク機構(例えば、下記特許文献1に開示されているクランク機構)や、回転運動を直動運動に変換したり直動運動を回転運動に変換したりするラックアンドピニオン(例えば、下記特許文献2に開示されているラックアンドピニオン)が知られている。
【特許文献1】特開2020−70881号公報(第5頁、図12
【特許文献2】特開2019−156208号公報(第11頁、図7
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、往復運動を直動運動に変換する単一の運動変換機構は存在しないため、従来の技術を用いて往復運動を直動運動に変換するためには、往復運動を回転運動に変換し、さらにその回転運動を直動運動に変換する、つまり複数の運動変換機構を組み合わせる必要があった。このような構成では、機構が複雑となり、この結果、機構が大型化することに加えて、エネルギーロスが大きいという問題点が存在する。
【0004】
本発明は、かかる問題点に鑑みてなされたものであり、小型化およびエネルギーロスの軽減を実現し得る運動変換機構および駆動装置を提供することを主目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成すべく請求項1記載の運動変換機構は、直線方向における第1の向きの移動体の移動を規制し当該第1の向きとは逆向きである第2の向きの当該移動体の移動を許容するように構成されて基体部に固定された第1規制機構と、前記直線方向に沿って前記第1規制機構から離間する位置において当該第1規制機構に対して当該直線方向に沿って接離可能に配設されると共に前記第1の向きの前記移動体の移動を規制し前記第2の向きの当該移動体の移動を許容するように構成された第2規制機構とを備え、前記第2規制機構を前記第1規制機構に対して前記直線方向に沿って接離させる往復運動を前記第2の向きの前記移動体の直動運動に変換する。
【0006】
また、請求項2記載の運動変換機構は、請求項1記載の運動変換機構において、前記直線方向に沿って互いに離間して縦設された複数の前記第2規制機構を備えている。
【0007】
また、請求項3記載の運動変換機構は、請求項1または2記載の運動変換機構において、前記移動体は、棒状、紐状およびケーブル状のいずれかの形状に形成され、前記第1規制機構および前記第2規制機構は、前記移動体を挿通可能に構成されると共に周壁に貫通孔が形成された第1筒体と、当該第1筒体の前記周壁から突出入可能に前記貫通孔に嵌め込まれた球体と、前記第1筒体を前記直線方向に移動可能に収容する収容部を有して当該第1筒体が当該収容部の前記第1の向き側に位置している第1状態において当該収容部の内周面と当該第1筒体における前記周壁の外周面とが近接し当該第1筒体が当該収容部の前記第2の向き側に位置している第2状態において当該内周面と当該外周面とが離間するように形成された第2筒体と、前記第1筒体を前記第1の向きに付勢する付勢部とを備え、前記第1状態において前記球体が前記内周面に接触して前記第1筒体の内部に突入し当該第1筒体に挿通されている前記移動体を当該球体が押圧して前記第2の向きの当該移動体の移動を規制し、前記第2状態において当該第1筒体に挿通されている前記移動体に対する前記球体の押圧を解除して前記第2の向きの当該移動体の移動を許容する。
【0008】
また、請求項4記載の駆動装置は、請求項1から3のいずれかに記載の運動変換機構と、前記第2規制機構を前記第1規制機構に対して前記直線方向に沿って接離するように往復運動させるアクチュエータとを備えている。
【0009】
また、請求項5記載の駆動装置は、請求項4記載の駆動装置において、前記アクチュエータの中央部には開口部が形成され、前記第1規制機構、前記第2規制機構および前記アクチュエータは、各々の中心軸が同軸となるように配置されている。
【発明の効果】
【0010】
請求項1記載の運動変換機構および請求項4記載の駆動装置によれば、第1の向きの移動体の移動を規制し第2の向きの移動体の移動を許容する第1規制機構および第2規制機構を備えて運動変換機構を構成したことにより、第2規制機構を第1規制機構に対して直線方向に沿って接離させる往復運動から第2の向きの移動体の直動運動の変換を、簡易な構成で実現することができる。また、この運動変換機構および駆動装置によれば、複数の運動変換機構を組み合わせることなく単独の機構で往復運動を直動運動に変換することができる。したがって、この運動変換機構および駆動装置によれば、小型化およびエネルギーロスの軽減を実現することができる。
【0011】
また、請求項2記載の運動変換機構および請求項4記載の駆動装置によれば、直線方向に沿って互いに離間して縦設された複数の第2規制機構を備えたことにより、例えば、1つの第2規制機構を第2の向きに移動させているときに他の1つの第2規制機構を第1の向きに移動させ、1つの第2規制機構を第1の向きに移動させているときに他の1つの第2規制機構を第2の向きに移動させることで、移動体を連続的に移動(直動運動)させることができる。
【0012】
また、請求項3記載の運動変換機構および請求項4記載の駆動装置によれば、第1筒体、球体、第2筒体および付勢部を備えて第1規制機構および第2規制機構を構成したことにより、極めて簡易な構成でありながら、棒状、紐状およびワイヤー状のいずれかの形状に形成した移動体を直線方向に移動(直動運動)させることができるため、運動変換機構および駆動装置をより小型化することができる。
【0013】
また、請求項5記載の駆動装置によれば、リニア振動アクチュエータの中央部に開口部を形成し、第1規制機構、第2規制機構およびアクチュエータを、各々の中心軸が同軸となるように配置したことにより、第1の移動規制機構、第2の移動規制機構およびアクチュエータを移動移動体の移動方向に沿って一直線上に配置することができるため、駆動装置をさらに小型化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】駆動装置1の構成を示す構成図である。
図2】駆動装置1の動作を説明する第1の説明図である。
図3】駆動装置1の動作を説明する第2の説明図である。
図4】駆動装置1の動作を説明する第3の説明図である。
図5】駆動装置1の動作を説明する第3の説明図である。
図6】駆動装置101の構成を示す構成図である。
図7】運動変換機構の他の構成を示す構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明に係る運動変換機構および駆動装置の実施の形態について、添付図面を参照して説明する。
【0016】
最初に、図1に示す駆動装置1の構成について説明する。駆動装置1は、本発明に係る駆動装置の一例であって、同図に示すように、規制機構11a,11b、ケーブル12、筐体13およびアクチュエータ14を備えて構成されている。この場合、規制機構11a,11b、ケーブル12および筐体13によって運動変換機構が構成される。
【0017】
規制機構11aは、第1規制機構に相当し、図1に示すように、筐体13の下部側に固定されている。また、規制機構11aは、同図における下向き(直線方向における第1の向き)のケーブル12の移動を規制し、上向き(直線方向における第2の向き)のケーブル12の移動を許容するように構成されている。具体的には、規制機構11aは、筒体21、球体22、筒体23およびコイルばね24を備えて構成されている。
【0018】
筒体21は、第1筒体に相当し、図1に示すように、ケーブル12を挿通可能に構成されている。また、筒体21は、同図に示すように、上部側が上端部に向かうに従って大径となる逆円錐状に形成されている。また、筒体21の周壁21aには、球体22の挿通が可能な3つの孔21b(同図では、2つだけを図示している)が周方向に沿って等間隔に形成されている。
【0019】
球体22は、一例としてステンレス等の金属で形成され、図1に示すように、筒体21の周壁21aからの突出入が可能に各孔21bにそれぞれ嵌め込まれている。
【0020】
筒体23は、第2筒体に相当し、図1に示すように、筐体13の一端部側(同図における下端部側)に固定されている。また、筒体23は、筒体21を直線方向(同図における上下方向)に移動可能に収容する平面視円形の収容部23aを有している。この収容部23aは、下部側(第1の向き側)に向かうに従って内径が小径となる逆円錐状に形成されている。コイルばね24は、付勢部の一例であって、筒体21を下向き(第1の向き)に付勢する。なお、コイルばね24に代えてゴム等の弾性部材を用いることもできる。
【0021】
この規制機構11aでは、上記したように、筒体21の上部側および筒体23の収容部23aを逆円錐状に形成したことにより、筒体21が収容部23aの下部側(第1の向き側)に位置している第1状態(図1に示す状態)において、収容部23aの内周面23bと筒体21の外周面21cとが近接する。この第1状態では、規制機構11aは、図1に示すように、各球体22が内周面23bに接触して筒体21の内部に突入し、筒体21に挿通されているケーブル12を各球体22が押圧することにより、下向き(第1の向き)のケーブル12の移動を規制する。また、筒体21が収容部23aの上部側(第2の向き側)に位置している第2状態(図2に示す状態)において、内周面23bと外周面21cとが離間する。この第2状態では、図2に示すように、筒体21に挿通されているケーブル12に対する球体22の押圧が解除され、これにより、規制機構11aは、ケーブル12の上向き(第2の向き)の移動を許容する。
【0022】
規制機構11bは、第2規制機構に相当し、図1に示すように、同図における上下方向(直線方向)に沿って規制機構11aから上方に離間する位置において規制機構11aに対して上下方向に沿って接離可能に筐体13内に配設されている。また、規制機構11bは、規制機構11aと同様に構成されて、同図における下向き(直線方向における第1の向き)のケーブル12の移動を規制し、上向き(直線方向における第2の向き)のケーブル12の移動を許容する。
【0023】
ケーブル12は、移動体に相当し、一例としてステンレスワイヤが用いられている。なお、ケーブル12に代えて、棒状または紐状の移動体を用いることもできる。筐体13は、基体部に相当し、一例として筒状に形成されて、規制機構11a,11bおよびアクチュエータ14を収容可能に構成されている。
【0024】
アクチュエータ14は、図1に示すように、筐体13内における規制機構11bの上方の位置に固定され、規制機構11bを規制機構11aに対して上下方向(直線方向)に沿って接離するように往復運動させる。また、アクチュエータ14は、一例として、リニア振動アクチュエータで構成されている。具体的には、アクチュエータ14は、同図に示すように、筒状のボビン41aおよびボビン41aに巻回された導線41bで構成されたコイル41と、コイル41を取り囲むように配設された円筒形の磁石42とを備えて、全体として円筒状(中央部に開口部を有する円柱状)に形成構成されている。このアクチュエータ14では、コイル41(導線41b)に流す電流の極性を変えることにより、軸線方向(同図における上下方向)に沿って磁石42を振動させることができる。また、コイル41に流す電流値をコントロールすることにとり、振幅を変更することができる。
【0025】
また、規制機構11a,11bおよびアクチュエータ14は、図1に示すように、各々の中心軸が同軸となるように配置されている。
【0026】
次に、駆動装置1の動作について、図面を参照して説明する。なお、駆動装置1のケーブル12の下端部には錘100が取り付けられているものとする。
【0027】
この駆動装置1では、図1に示す状態(以下、「初期状態」ともいう)において、規制機構11a,11bの筒体21がコイルばね24によって下向きに押圧され、筒体23における収容部23aの下部に位置している(第1状態)。この第1状態では、筒体23の収容部23aの内周面23bと筒体21の外周面21cとが近接し、各球体22が内周面23bに接触して筒体21の内部に突入している。このため、筒体21に挿通されているケーブル12を各球体22が押圧し、これにより、下向き(第1の向き)のケーブル12の移動が規制されている。
【0028】
次いで、アクチュエータ14を作動させる。具体的には、アクチュエータ14のコイル41に極性を変えつつ電流を流す。これに応じて、磁石42が軸線方向(図1における上下方向)に沿って振動する。また、この磁石42の振動により、規制機構11bが、規制機構11aに対して上下方向(直線方向)に沿って接離するように往復運動させられる。また、規制機構11a,11b、ケーブル12および筐体13によって構成される運動変換機構が、規制機構11bの往復運動を上向き(第2の向き)のケーブル12の直動運動に変換する。
【0029】
この往復運動から直動運動への変換のメカニズムを以下詳細に説明する。まず、図2に示すように、往復運動において規制機構11bが最初に上向きに移動したとすると、規制機構11bがケーブル12の下向きの移動(規制機構11bに対するケーブル12の下向きの相対的な移動)を規制しているため、ケーブル12は、規制機構11bと共に上向きに移動する(引き上げられる)。なお、このときの移動距離をLとする(図2参照)。
【0030】
一方、規制機構11aでは、図2に示すように、ケーブル12の上向きの移動によって筒体21がコイルばね24の付勢力に抗してケーブル12と共に上向きに移動しようとする(引き上げられようとする)。この際に、筒体21が上向きに僅かに移動した時点で、筒体23の内周面23bと筒体21の外周面21cとが離間する。この状態(第2状態)では、筒体21に挿通されているケーブル12に対する球体22の押圧が解除され(ケーブル12の上向きの移動が許容され)、ケーブル12が上向きに移動距離Lだけ移動する。
【0031】
次いで、往復運動において規制機構11bが上向きの移動から下向きの移動に変化したときには、球体22の押圧によってケーブル12を係止している規制機構11bの筒体21を介してケーブル12に対して下向きの力が作用する。しかしながら、規制機構11aによってケーブル12の下向きの移動が規制されるため、ケーブル12に対する下向きの力の反力(上向きの押圧力)が筒体21に作用し、図3に示すように、その反力によって筒体21がコイルばね24の付勢力に抗してケーブル12と共に上向きに移動しようとする。この際に、筒体21が上向きに僅かに移動した時点で、筒体23の内周面23bと筒体21の外周面21cとが離間し、ケーブル12に対する球体22の押圧(球体22によるケーブル12の係止)が解除される。この結果、ケーブル12から筒体21に作用する上向きの押圧力が解除され、図4に示すように、筒体21がコイルばね24の付勢力によって下向きに移動して初期位置(図1に示す初期状態)に復帰する。
【0032】
続いて、往復運動において規制機構11bが下向きの移動から上向きの移動に変化したときには、上述した動作と同様にして、ケーブル12が上向きに移動距離Lだけ(初期状態から見て2Lとなる位置まで)移動する。以下、同様にして、往復運動において規制機構11bが上向きに移動する毎にケーブル12が移動距離Lずつ上向きに直動運動する。つまり、運動変換機構は、規制機構11bが上向きに移動するときだけケーブル12を上向きに移動させ、規制機構11bが下向きに移動するときにはケーブル12を移動させない状態に維持する。これにより、規制機構11bの往復運動がケーブル12の直動運動に変換される。
【0033】
このように、この運動変換機構および駆動装置1によれば、ケーブル12の下向きの移動を規制しケーブル12の上向きの移動を許容する規制機構11a,11bを備えて運動変換機構を構成したことにより、規制機構11bを規制機構11aに対して直線方向に沿って接離させる往復運動から上向きのケーブル12の直動運動の変換を、簡易な構成で実現することができる。また、この運動変換機構によれば、複数の運動変換機構を組み合わせることなく単独の機構で往復運動を直動運動に変換することができる。したがって、この運動変換機構および駆動装置1によれば、小型化およびエネルギーロスの軽減を実現することができる。
【0034】
また、この運動変換機構および駆動装置1によれば、筒体21,23、球体22およびコイルばね24を備えて規制機構11a,11bを構成したことにより、極めて簡易な構成でありながら、ケーブル12を直線方向に移動(直動運動)させることができるため、運動変換機構および駆動装置1をより小型化することができる。
【0035】
また、この駆動装置1によれば、アクチュエータ14の中央部に開口部を形成し、規制機構11a,11bおよびアクチュエータ14を、各々の中心軸が同軸となるように配置したことにより、規制機構11a,11bおよびアクチュエータ14をケーブル12の移動方向に沿って一直線上に配置することができるため、駆動装置1をさらに小型化することができる。
【0036】
次に、駆動装置の他の実施例としての図6に示す駆動装置101の構成について説明する。なお、なお、以下の説明において、上記した駆動装置1と同様の構成要素については、同じ符号を付して、重複する説明を省略する。
【0037】
この駆動装置101は、図6に示すように、規制機構11a、2つの規制機構11b,11b、ケーブル12、筐体13および2つのアクチュエータ14を備えて構成されている。この場合、規制機構11a,11b,11b、ケーブル12および筐体13によって運動変換機構が構成される。
【0038】
この駆動装置101では、一方(例えば、図6における下方)のアクチュエータ14が一方の規制機構11bを上向きに移動させているときに、他方(同図における上方)のアクチュエータ14が他方の規制機構11bを下向きに移動させ、一方のアクチュエータ14が一方の規制機構11bを下向きに移動させているときに、他方のアクチュエータ14が他方の規制機構11bを上向きに移動させる。このような構成を採用することにより、ケーブル12を断続的ではなく連続的に移動(直動運動)させることができる。
【0039】
なお、本発明は、上記した構成に限定されない。例えば、移動体としてケーブル12を用い、筒体21、球体22、筒体23およびコイルばね24で規制機構11a,11b(第1規制機構および第2規制機構)を構成した運動変換機構を例に挙げて説明したが、他の構成を採用することもできる。一例として、図6に示すように、傾斜歯71が形成されたラック61を移動体として用いると共に、基体部63に固定された第1規制機構としてのラチェット62a、およびラチェット62aに対して接離よるようにアクチュエータ64によって移動させられる第1規制機構としてのラチェット62bを備えた運動変換機構を採用することができる。この構成においても、上記した運動変換機構と同様の効果を実現することができる。
【0040】
また、アクチュエータ14としてリニア振動アクチュエータを採用した例について上記したが、第2規制機構を往復運動させる機能を有する各種のアクチュエータを用いることができる。一例として、レシプロエンジン、エアシリンダおよび油圧シリンダ等を用いることができる。
【0041】
また、上記した駆動装置101は、2つの規制機構11bおよび2つのアクチュエータ14を備えているが、3つ以上の規制機構11bと各規制機構11bを個別に往復運動させる3つ以上のアクチュエータ14を備えた構成を採用することもできる。
【符号の説明】
【0042】
1,101 駆動装置
12 ケーブル
13 筐体
11a,11b 規制機構
21 筒体
21a 周壁
21b 孔
21c 外周面
22 球体
23 筒体
23a 収容部
23b 内周面
24 コイルばね
14,64 アクチュエータ
41 コイル
61 ラック
62a,62b ラチェット
63 基体部
64 アクチュエータ
【要約】
【課題】小型化およびエネルギーロスの軽減を実現する。
【解決手段】上下方向における下向きのケーブル12の移動を規制し上向きのケーブル12の移動を許容するように構成されて筐体13に固定された規制機構11aと、上下方向に沿って規制機構11aから離間する位置において規制機構11aに対して上下方向に沿って接離可能に配設されると共に下向きのケーブル12の移動を規制し上向きのケーブル12の移動を許容するように構成された規制機構11bとを備え、規制機構11bを規制機構11aに対して上下方向に沿って接離させる往復運動を上向きのケーブル12の直動運動に変換する。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7