特許第6850498号(P6850498)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6850498
(24)【登録日】2021年3月10日
(45)【発行日】2021年3月31日
(54)【発明の名称】摩砕機
(51)【国際特許分類】
   B02C 17/06 20060101AFI20210322BHJP
   B02C 17/24 20060101ALI20210322BHJP
   B02C 17/16 20060101ALN20210322BHJP
【FI】
   B02C17/06
   B02C17/24
   !B02C17/16 Z
【請求項の数】2
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2019-169754(P2019-169754)
(22)【出願日】2019年9月18日
(62)【分割の表示】特願2018-144393(P2018-144393)の分割
【原出願日】2011年3月31日
(65)【公開番号】特開2020-11239(P2020-11239A)
(43)【公開日】2020年1月23日
【審査請求日】2019年10月17日
(73)【特許権者】
【識別番号】591079650
【氏名又は名称】有限会社大東土木
(74)【代理人】
【識別番号】100082072
【弁理士】
【氏名又は名称】清原 義博
(72)【発明者】
【氏名】柳瀬 茂夫
【審査官】 瀧 恭子
(56)【参考文献】
【文献】 特開平04−066132(JP,A)
【文献】 特開2011−045809(JP,A)
【文献】 実開昭63−122648(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B02C 17/00−17/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
摩擦媒体を用いない摩砕機であって、
一部から取り入れた被摩砕物を他部から排出することが可能に構成され、半円筒状のドラム体を組み合わせてなる円筒状のドラム体と、
前記ドラム体内をその筒長方向に貫く中心軸と、
前記中心軸に軸方向に所定間隔で取り付けられて、前記ドラム体の内部空間を複数の摩砕室に区画する複数の仕切板と、
前記ドラム体に取り付けられて、前記各仕切板にそれぞれ対向する複数の摩擦板であって、該複数の摩擦板のそれぞれの中心部に配された内縁周部と所定の間隔をあけて前記中心軸を挿通してなる複数の摩擦板を備え、これによって前記仕切板および前記摩擦板が相対的に逆方向に回転するように構成し、
前記仕切板の表面には、凹凸パターンが形成され、
前記摩擦板には、同心円状に配置された複数の貫通孔が設けられ、
前記仕切板は円周方向に一定間隔で山と谷が繰り返されるように波打った曲面構造を有し
前記中心軸に直交する摩擦板を用いる場合、仕切板は前記中心軸に直交する面に対して傾いている構成を有するか、又は前記中心軸に直交する面に対して傾いている摩擦板を用いる場合、前記仕切板は前記中心軸に直交している構成とを有し、
前記仕切板と前記摩擦板とが接近した狭い領域において、前記被摩擦物が前記仕切板と前記摩擦板との間で強く押しつけられるとともに、前記仕切板の回転力による摩擦力を受けることにより、前記被摩擦物が前記摩擦板や前記仕切板に擦られ、前記被摩砕物同士で擦り合い、
前記円筒状のドラム体と前記中心軸が相対的に逆方向に回転することにより、前記仕切板及び前記摩擦板が相対的に逆方向に回転する
ことを特徴とする摩砕機。
【請求項2】
前記摩擦板の曲面構造は円周方向に一定間隔で山と谷が繰り返されるように波打った曲面構造を有していることを特徴とする請求項1載の摩砕機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、骨材等の摩砕を行うための摩砕機に係り、特に騒音の低減対策等に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、コンクリートやアスファルトの廃材から再生骨材を得るための装置として、種々のボールミル型摩砕機が存在している。
そのうち、被摩砕物の滞留時間を長くとるために、ドラム体内を複数の仕切板により区画した構造を有するものも多く存在しており、このような構造を有する摩砕機では、被摩砕物は仕切板の周縁部とドラム体内壁との隙間を通ってドラム体の一端側から他端側へと移動しながら、各区画内においてボール(摩砕媒体)により摩砕される。
【0003】
ところで、このような従来の摩砕機は、仕切板が中心軸に対して直交するように取り付けられているため、ボールを積極的に前後方向(ドラム体の軸長方向)に移動させることはできず、ボールの運動は径方向及び周方向が殆どであった。
そのため、ボールと被摩砕物が等速度で回るいわゆる共回り現象が発生し、これが摩砕効率を大きく低下させる原因となっていた。
【0004】
本出願人はかかる問題点を解決するために、上記した共回り現象の発生を防いで、摩砕効率を飛躍的に向上させることを可能とした摩砕機を既に提案している(下記特許文献1、2参照)。
特許文献1,2記載の発明は、仕切板を中心軸に直交する面に対して傾けて取り付けることにより、摩砕媒体(ボール等)に積極的に前後方向の運動を与えることを可能としたものであり、言わば仕切板に攪拌羽根としての機能を持たせたものである。
【0005】
しかしながら、特許文献1,2記載の摩砕機も含め、従来のボールミル型摩砕機において、大きな騒音を発するという問題があった。
本出願人が調べたところ、騒音の主たる原因は、ボールや被摩砕物とドラム体との衝突にあり、特に、ボールとドラム体との衝突による騒音の音量が大きいことがわかった。
そこで、仕切板との衝突騒音を効果的に低減するには、例えば摩砕媒体の数を低減することが考えられるが、摩砕媒体の数を減らすと被摩砕物と摩砕媒体との接触回数が減るため、摩砕効率が低下してしまうという問題が生じる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2008−104910号公報
【特許文献2】特開2010−125446号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上記したような従来技術の問題点を解決すべくなされたものであって、摩砕効率を低下させることなく、摩砕媒体をなくして騒音を低減し、ひいては、装置の小型化と処理能力の改善に貢献しうる摩砕機を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の第1の態様に係る摩砕機は、摩擦媒体を用いない摩砕機であって、
一部から取り入れた被摩砕物を他部から排出することが可能に構成され、半円筒状のドラム体を組み合わせてなる円筒状のドラム体と、
前記ドラム体内をその筒長方向に貫く中心軸と、
前記中心軸に軸方向に所定間隔で取り付けられて、前記ドラム体の内部空間を複数の摩砕室に区画する複数の仕切板と、
前記ドラム体に取り付けられて、前記各仕切板にそれぞれ対向する複数の摩擦板であって、該複数の摩擦板のそれぞれの中心部に配された内縁周部と所定の間隔をあけて前記中心軸を挿通してなる複数の摩擦板を備え、これによって前記仕切板および前記摩擦板が相対的に逆方向に回転する、
ことを特徴とする摩砕機。
【発明の効果】
【0009】
本発明の第1の態様に係る摩砕機は、一部から取り入れた被摩砕物を他部から排出することが可能に構成され、半円筒状のドラム体を組み合わせてなる円筒状のドラム体と、前記ドラム体内をその筒長方向に貫く中心軸と、前記中心軸に軸方向に所定間隔で取り付けられて、前記ドラム体の内部空間を複数の摩砕室に区画する複数の仕切板と、前記ドラム体に取り付けられて、前記各仕切板にそれぞれ対向する複数の摩擦板であって、該複数の摩擦板のそれぞれの中心部に配された内縁周部と所定の間隔をあけて前記中心軸を挿通してなる複数の摩擦板を備え、これによって前記仕切板および前記摩擦板が相対的に逆方向に回転する、ことを構成上の特徴としているので、仕切板と摩擦板との間に挟み込まれた被摩砕物に作用する摩擦力がより高められるので、摩砕効率を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の実施形態に係る摩砕機の部分断面正面図である。
図2】実施形態に係る摩擦板を示す図であって、(a)は平面図、(b)はIIb−IIb線における断面図である。
図3】実施形態に係る仕切板を示す図であって、(a)は平面図、(b)は側面図、(c)はIIIc−IIIc線における断面図である。
図4】実施形態に係るふるい部材およびコンベア装置の部分断面正面である。
図5】摩擦板の第1変形例を示す断面図である。
図6】摩擦板と仕切板とによる摩砕作用を説明するための断面図である。
図7】摩擦板の第2変形例を示す図であって、(a)は一片の斜視図、(b)は2片を合わせた状態の斜視図である。
図8】摩擦板の第3変形例を示す図であって、(a)は一片の斜視図、(b)は2片を合わせた状態の斜視図である。
図9】摩擦板の第4変形例を示す図であって、(a)は一片の斜視図、(b)は2片を合わせた状態の斜視図である。
図10】全体構造の変形例に係る摩砕機の部分断面正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態に係る摩砕機の実施形態について、図面を参照しながら説明する。
図1は本発明の実施形態に係る摩砕機の部分断面正面図である。
本発明の実施形態に係る摩砕機は、被摩砕物(原料)を一部(ホッパー(71))から内部に取り入れ、他部(排出用ホッパー(21))から排出することが可能に構成された円筒状のドラム体(1)と、ドラム体(1)内を筒長方向に貫く中心軸(2)と、中心軸(2)の長さ方向に所定間隔で取り付けられて、ドラム体(1)の内部空間を複数の摩砕室(6)に区画する複数の仕切板(4)と、ドラム体(1)に取り付けられて、仕切板(4)に対向する摩擦板(5)とを備えている。
また、排出用ホッパー(21)の下流側には、中心軸(2)と共に回転するふるい部材(22)が取り付けられている。
中心軸(2)の両端部は、一対の軸受け部材(16)、(17)により支持されている。
中心軸(2)の一端部(上流側)には、中心軸(2)を回転させるための駆動源となるモータ(M)が連結され、他端部(下流側)にはふるい部材(22)が取り付けられている。ふるい部材(22)は、ドラム体(1)から離れるにつれて次第に大径となるテーパをもつ円筒形状である。
【0012】
ドラム体(1)は、上下2つの半円筒状部材を組み合わせることにより、ほぼ円筒状の形になる。
複数の仕切板(4)は、中心軸の軸方向に一定間隔で設けられており、ドラム体(1)の内部を軸長方向に複数の摩砕室(6)に区画している。各仕切板(4)は、中心軸(2)に直交する面に対して傾いており、且つ、互いにほぼ平行である。各摩砕室(6)には、摩砕媒体(ボール等)が無い。
複数の摩擦板(5)は、各摩砕室(6)に配置され、それぞれ中心軸(2)に対して直交している。
本実施形態の摩砕機においては、被摩砕物(a)は、水(b)と共にホッパー(71)から供給され、各摩砕室(6)を順次通過した後、ドラム体(1)の最下流側にある排出用ホッパー(21)から排出され、ふるい部材(22)に送り込まれる。
ただし、このような湿式構造ではなく、ブロワーにより被摩砕物(a)を送る乾式構造を採用してもよい。
【0013】
図3は、本実施形態に係る仕切板を示す図であって、(a)は平面図、(b)は側面図、(c)はIIIc−IIIc線における断面図である。
仕切板(4)は、2つの半円状曲板を合わせたほぼ円形の構造を有し、その中心孔(41)に中心軸(2)が挿通される。仕切板(4)は、中心軸(2)に直交する面から時計回りに傾いて取り付けられている。
なお、仕切板(4)の傾き方向が本実施の形態と逆の場合でも、被摩砕物(a)の移動は、水流(湿式の場合)や空気流(乾式の場合)によってなされるので、摩砕処理に不具合が生じることはない。
仕切板(4)には、同心円状に配置された複数の部分円弧状の貫通孔(42)が設けられている。貫通孔(42)の円弧幅は、所定粒径未満に摩砕された被摩砕物(a)のみが通過できる大きさに設定されている。貫通孔(42)の円弧幅は、ドラム体(1)の上流側の仕切板(4)から下流側の仕切板(4)に向けて次第に小さくなっていてもよい。
【0014】
さらに、図3(b)、(c)に示すように、仕切板(4)の表面には、半球状の凸部(43)が設けられ、大きな凹凸パターンが形成されている。このような大きな凹凸パターンが存在することにより、被摩砕物(a)が仕切板(4)に斜め方向から衝突したとき、仕切板(4)の表面を少し滑った後、凸部(43)で擦られるなどの作用が得られ、被摩砕物(a)の摩砕効率が高くなる。
また、仕切板(4)の凸部(43)だけを特に硬い材料(例えば、超硬合金)で構成して、仕切板(4)の摩耗を低減し、耐用期間を延長させることもできる。
なお、凸部(43)に代えて、比較的大きな凹部を設けた凹凸パターンを形成してもよい。その場合にも凸部(43)を設けた凹凸パターンと同様の作用効果が得られる。
【0015】
なお、図1においては、見やすいように、仕切板(4)を平板状に表示しているが、図3に示すように、本実施形態における仕切板(4)は円周方向に一定間隔で山と谷が繰り返されるように波打った曲面構造を有している。ただし、仕切板(4)が平面構造を有していてもよい。また、仕切板(4)が、全体として円板ではなく、楕円板であってもよい。また、後述する摩擦板(5)に対して、同様の曲面構造を採用してもよい。
【0016】
図2は、本実施形態に係る摩擦板を示す図であって、(a)は平面図、(b)はIIb−IIb線における断面図である。
摩擦板(5)は、半円筒状のドラム体(1)に対応して、2つの部品に分けられており、ほぼ半円板状の半円板部(50)と、半円板部(50)の外周側を囲むフランジ部(54)とを有している。
半円板部(50)において、2つの摩擦板(5)が組み合わされたものの中心部に相当する位置には、半円状の内縁周部(51)が形成され、内縁周部(51)が中心軸(2)と所定の間隙を隔てて対向する。
摩擦板(5)は、半円筒状のフランジ部(54)の外周部(53)をドラム体(1)の内壁に接触させた状態で、ネジ(図示せず)によりドラム体(1)に取り付けられている。フランジ部(54)には、ネジ用の挿通孔(55)が設けられている。
【0017】
見やすくするために、図1の摩擦板(5)の断面における表示を省略しているが、摩擦板(5)の半円板部(50)には、同心円状に配置された多数の部分円弧状の貫通孔(52)が形成されている。貫通孔(52)の円弧幅は摩砕室(6)内で所定粒径未満に摩砕された被摩砕物(a)のみが通過できる大きさに設定されている。貫通孔(52)の円弧幅は、ドラム体(1)の上流側の摩擦板(5)から下流側の摩擦板(5)に向けて次第に小さくなっていてもよい。
加えて、摩擦板(5)の半円板部(50)やフランジ部(54)には、図2(b)の部分拡大図に示すように、鋳造、プレス成形などで形成された微細な凹凸パターン(57)が設けられている。
なお、本実施形態における摩擦板(5)は平板構造を有しているが、後で説明する変形例のごとく、摩擦板(5)が曲板構造を有していてもよい。また、摩擦板(5)が、全体として円板ではなく、楕円板であってもよい。
【0018】
仕切板(4)、摩擦板(5)は、少なくともいずれか一方が回転すればよいが、本実施形態では、ドラム体(1)が固定され、中心軸(2)が回転するように構成されている。
したがって、本実施形態では、中心軸(2)が回転し、中心軸(2)に取り付けられた仕切板(4)が回転する一方、ドラム体(1)に取り付けられた摩擦板(5)は静止している。
【0019】
図6は、摩擦板と仕切板とによる摩砕作用を説明するための断面図である。
同図に示すように、仕切板(4)は、図6に示す実線位置から180°回転したときには、図6の破線に示す位置にあり、その後、再び実線位置まで戻るように、回転を繰り返す。その間、仕切板(4)と摩擦板(5)とが接近した狭い領域(Rm)において、被摩砕物(a)が、仕切板(4)と摩擦板(5)との間で強く押しつけられるとともに、仕切板(4)の回転力による摩擦力を受ける。その結果、被摩砕物(a)が摩擦板(5)や仕切板(4)に擦られ、あるいは、被摩砕物(a)同士で擦り合うことにより、被摩砕物(a)の表面に付着したセメント等の異物が効率よく除去される。
被摩砕物(a)は、仕切板(4)および摩擦板(5)の貫通孔(42)、(52)や、摩擦板(5)と中心軸(2)との間のすき間(Sp1)、仕切板(4)とドラム体(1)との間のすき間(Sp2)を通過して、水(b)と共に下流側に送られる。
このとき、仕切板(4)や摩擦板(5)に設けられた多数の貫通孔(42)、(52)のエッジによっても、異物を削り落とす作用が得られるため、異物をより効果的に除去することができる。
【0020】
本発明の摩砕機の構造は、図1に示す構造に限定されるものではない。
例えば、摩擦板(5)のみを回転させ、仕切板(4)を固定してもよい。
その場合、ドラム体(1)のみを回転させることになるが、被摩砕媒体(a)がドラム体(1)の回転から受ける遠心力でドラム体(1)、仕切板(4)、摩擦板(5)と強く衝突しても、ドラム体(1)と摩砕媒体との間の衝突のような大きな騒音は生じない。また、ドラム体(1)の回転によって、被摩砕物(a)に大きな遠心力を与えることができるので、被摩砕物(a)と摩擦板(5)のフランジ部(54)との衝突によって摩砕効率が高められる。
また、仕切板(4)、摩擦板(5)の双方を相対的に逆方向に回転させてもよい。
その場合、仕切板(4)と摩擦板(5)との間に挟み込まれた被摩砕物(a)に作用する摩擦力がより高められるので、摩砕効率を向上させることができる。
【0021】
図5は、摩擦板(5)の第1変形例を示す断面図である。
第1変形例に係る摩擦板(5)においては、フランジ部(54)が図2(b)に示すよりも広幅に設けられており、たとえば、各摩砕室(6)の中間点まで延びている。このように、フランジ部(54)を広幅にすることにより、被摩砕物(a)が衝突するフランジ部(54)の内側面の面積が広くなるので、摩砕効率を高めることが可能になる。
【0022】
また、図5の部分拡大図に示すように、摩擦板(5)の半円板部(50)やフランジ部(54)の表面には、サンドブラストなどにより形成された微細な凹凸パターン(57)が形成されている。
図2(b)や図5に示す微細な凹凸パターン(57)により、被摩砕物(a)が摩擦板(5)の表面に斜め方向から衝突したときに、摩擦板(5)の表面を滑らずに強く擦られる確率が高くなる。したがって、摩擦板(59)に、微細な凹凸パターン(57)を設けたことにより、被摩砕物(a)の摩砕効率をより高めることができる。
図3には図示されていないが、仕切板(4)にも、微細な凹凸パターンを設けて、被摩砕物(a)の摩砕効率をより高めるようにしてもよい。
ただし、仕切板(4),摩擦板(5)のいずれにおいても、必ずしも微細な凹凸パターンを設ける必要はない。
また、図2(b)や図5には示されていないが、摩擦板(5)にも、仕切板(4)のような凸部や、凹部による大きな凹凸パターンを形成してもよい(後述する変形例参照)。
その場合にも、上述の作用効果が得られる。
【0023】
仕切板(4),摩擦板(5)の構成材料としては、制限されるものではないが、汎用の鋼材、合金鋼などの高硬度の鉄鋼材料、超硬合金、セラミックス、金属−セラミックス材料、などがある。摩砕効率を高めたり、耐用期間を延長するためには、より高硬度の材料が好ましい。汎用の鋼材によって構成される仕切板(4)、摩擦板(5)の表面を、高硬度の材料でコーティングするなど、一部だけを高硬度の材料で構成してもよい。
【0024】
図4は、本実施形態に係るふるい部材およびコンベア装置の部分断面正面である。
ふるい部材(22)の下方には、ふるい部材(22)の網目をくぐった比較的小径の被摩砕物(a1)を受ける案内部材(82)と、案内部材(82)の下方に配置された第1送り装置(8)が配置されている。第1送り装置(9)には、被摩砕物(a1)を図4の紙面の後方に送る第1コンベア部材(81)が取り付けられている。
また、ふるい部材(22)の下流側には、ふるい部材(22)の網目をくぐらずに送られてきた比較的大径の被摩砕物(a2)を受ける第2送り装置(9)が配置されている。
第2送り装置(9)には、被摩砕物(a1)を図4の紙面の前方に送る第2コンベア部材(91)が取り付けられている。
【0025】
本実施の形態のように、摩砕機の下流側端部にふるい部材(22)を設け、摩砕された被摩砕物を用途に応じた大きさに分別することにより、摩砕工程と連続的して分別工程を実施することができ、全体的な能率を向上させることができる。
ふるい部材(22)の網目の大きさは、最終的に得ようとする骨材の種類に応じて任意に選択することができる。例えば、砂利と砂とに分別する場合には、例えば5mm程度の大きさの網目を採用することができる。
ふるい部材(22)の材質は、特に限定されないが、一般的には、パンチングメタル(鋼板)が用いられる。
【0026】
また、本実施の形態のように、被摩砕物(a1),(a2)をそれぞれ運ぶコンベア部材(81)、(91)を配置することにより、分別された被摩砕物(a1),(a2)を用途に分けて収納する大型容器を摩砕機と干渉することなく配置することができる。
なお、ふるい部材の個数は、2個以上でもよく、それに応じて、3個以上のコンベア部材(送り装置)を配置してもよい。
【0027】
次に、摩擦板(5)のさらなる変形例について説明する。
図7は、摩擦板の第2変形例を示す図であって、(a)は一片の斜視図、(b)は2片を合わせた状態の斜視図である。
第2変形例に係る摩擦板(5)は、図3に示す仕切板(4)と類似形状の半円板部(50)を有している。すなわち、半円板部(50)は中心軸(2)に直交する面に対して傾いた曲面からなり、半円板部(50)には、同心円状に配置された多数の凸部(56)(凹凸パターン)と、同心円状に配置された多数の部分円弧状の貫通孔(52)とが設けられ、内縁周部(51)が中心軸(2)と所定の間隙を隔てて対向する。
貫通孔(52)の円弧幅は、所定粒径未満に摩砕された被摩砕物(a)のみが通過できる大きさに設定されている。
フランジ部(54)は、第1変形例と同様に、広幅に設けられており、フランジ部(54)の外周部(53)がドラム体(1)に接触した状態で、摩擦板(5)がドラム体(1)に取り付けられる。
【0028】
このように半円板部(50)が中心軸(2)に直交する面に対して傾いている摩擦板(5)を用いる場合、仕切板(4)は中心軸(2)に直交していることが好ましい。仕切板(4)が平面構造でも曲面構造でも構わないが、例えば、図2に示す摩擦板(5)の半円板部(50)とほぼ同じ形状の仕切板(4)を用いることができる。
【0029】
図8は、摩擦板の第3変形例を示す図であって、(a)は一片の斜視図、(b)は2片を合わせた状態の斜視図である。
第3変形例に係る摩擦板(5)は、中心軸(2)に直交する半円板部(50)を有している。半円板部(50)には、同心円状に配置された多数の凸部(56)(凹凸パターン)と、同心円状に配置された多数の部分円弧状の貫通孔(52)とが設けられ、内縁周部(51)が中心軸(2)と所定の間隙を隔てて対向する。
貫通孔(52)の円弧幅は、所定粒径未満に摩砕された被摩砕物(a)のみが通過できる大きさに設定されている。
フランジ部(54)は、第1変形例と同様に、広幅に設けられており、フランジ部(54)の外周部(53)がドラム体(1)に接触した状態で、摩擦板(5)がドラム体(1)に取り付けられる。
【0030】
このように半円板部(50)が中心軸(2)から傾いている摩擦板(5)を用いる場合、仕切板(4)は中心軸(2)に対して傾いていることが好ましい。仕切板(4)が平面構造でも曲面構造でも構わない。
【0031】
図9は、摩擦板の第4変形例を示す図であって、(a)は一片の斜視図、(b)は2片を合わせた状態の斜視図である。
第4変形例に係る摩擦板(5)は、図7に示す第2変形例に係る摩擦板(5)とほぼ同
形状の半円板部(50)およびフランジ部(54)を有している。
第4変形例に係る摩擦板(5)が第2変形例に係る摩擦板(5)と異なる点は、中心軸(2)に直交する面に対して半円板部(50)が傾いている方向が逆であることである。
すなわち、第2変形例に係る摩擦板(5)が中心軸(2)に直交する面から時計回りに傾いているのに対し、第4変形例に係る摩擦板(5)は中心軸(2)に直交する面から反時計回りに傾いている。
摩擦板(5)の傾き方向が、第2変形例、第4変形例のいずれであっても、被摩砕物(a)の移動は、水流(湿式の場合)や空気流(乾式の場合)によってなされるので、摩砕処理に不具合が生じることはない。
第4変形例に係る摩擦板(5)を用いる場合にも、仕切板(4)は中心軸(2)に直交していることが好ましい。仕切板(4)が平面構造でも曲面構造でも構わないが、例えば、図2に示す摩擦板(5)の半円板部(50)とほぼ同じ形状の仕切板(4)を用いることができる。
【0032】
以上説明した各変形例から容易に理解できるように、仕切板(4)と、摩擦板(5)の半円板部(50)との構造や材料は、互いに同じであってもよい。また、仕切板(4)と、摩擦板(5)の半円板部(50)とが、中心軸(2)に直交するか、あるいは直交面から傾いているかは、交替的に採用してもよいし、両者共に傾いていてもよい。
また、両者共に傾いていなくてもよいが、少なくとも仕切板(4)と摩擦板(5)との間に、被摩砕物(a)を挟み込む狭い領域(Rm)が存在していることが好ましい。
【0033】
次に、摩砕機の全体構造の変形例について説明する。
図10は、全体構造の変形例に係る摩砕機の部分断面正面図である。
同図に示すように、本変形例に係る摩砕機は、被摩砕物(原料)を投入するホッパー(71)をドラム体(1)の中央部に備え、ドラム体(1)の左右に、排出用ホッパー(21)と、ふるい部材(22)と、モータ(M)とを備えている。
また、一方(図中右側)のふるい部材(22)を回転するために、中心軸(2)とは切り離されたふるい回転軸(2a)を備えており、中心軸(2)とふるい回転軸(2a)とは、軸受け部材(18)により相対的に回転自在に支持されている。
尚、モータ(M)を中心軸(2)の両端部にそれぞれ連結し、左右のモータ(M)を同期させて回転することにより、左右のふるい部材(22)を中心軸(2)と共に回転させる構造としてもよい。この場合は、中心軸(2)とふるい回転軸(2a)は一体とする。
この変形例の構造によれば、原料をドラム体(1)の中央から投入して、左右のふるい部材(22)から排出することにより、処理能力を大幅(約2倍)に向上させることができる。
【産業上の利用可能性】
【0034】
本発明に係る摩砕機は、例えばコンクリート廃材やアスファルト廃材から再生骨材を得
るために利用される。
【符号の説明】
【0035】
a 被摩砕物
b 水
1 ドラム体
2 中心軸
22 ふるい部材
4 仕切板
41 中心孔
42 貫通孔
5 摩擦板
50 半円板部
51 内周縁部
52 貫通孔
54 フランジ部
6 摩砕室
8 第1送り装置
81 第1コンベア装置
9 第2送り装置
91 第2コンベア装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10