(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、このような従来装置にあっては、断熱材の形状、配置や、吸気口・排気口の形状、配置などを適切に設定して、バッテリの温度上昇を効率良く抑制することは困難であった。
【0006】
また、一般には断熱体を配置することによって、構造体の複雑化等を招いていたため、バッテリ温度上昇を効率良く抑制する構造を得ることは難しかった。
【0007】
本発明は、このような問題点を解決するためになされたものであり、簡易な構成でバッテリの温度上昇を抑制可能なコミュニケーションユニット、および、このユニットを備えるコミュニケーション装置を提供することを目的とする。
【0008】
また、本発明の他の目的は、コミュニケーションユニットに、バッテリの温度上昇を抑制させる制御を行わせるプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の目的を達成するために、本発明のコミュニケーションユニットは、
バッテリからの電源供給を受けて信号処理を実行するコントローラを備えたユニットであって、
筐体と、
筐体の内部に設けられ、コントローラを収容する第1収容室と、
筐体の内部に設けられ、バッテリを収容する第2収容室と、
第1収容室と第2収容室とを離間させた部屋として仕切る断熱室と、
を備え
、
前記第1収容室と前記第2収容室との間で、断熱材を並べて構成される。
【0010】
本発明によれば、断熱効果を有する断熱室は、第1収容室と第2収容室とを離間させた「部屋」として仕切るので、第1収容室に収容されるコントローラから、第2収容室に収容されるバッテリへの熱移動等が抑制される。この結果、コントローラでの発熱に影響されることによって、バッテリの温度上昇が生じることを、放熱ファン等を設けずに抑制できる。
【0011】
断熱室は、第1収容室と第2収容室との間で断熱材を並べて構成される。より具体的には、断熱室は、第1収容室と第2収容室との間で所定形状の断熱材を複数個並べて構成される。
【0012】
また、筐体は、
前側筐体と後側筐体とで成り、
前側筐体と後側筐体の各々には、
上側リブ同士と下側リブ同士とが対応するように、上側リブと下側リブとが形成され、
断熱室は、上側リブ同士と下側リブ同士とで上下方向が規
制される空間を、所定形状の断熱材を複数個並べて充填して構成される。
【0013】
この構成において、より具体的には、断熱室は、空間を、所定形状の断熱材を当接させながら所定方向に複数個並べて充填される。所定方向は、筐体正面視における、左右方向、前後方向、上下方向などである。
【0014】
また、断熱室において電源供給線を通す他の態様として、コントローラとバッテリとは、電源供給線で接続され、電源供給線は、当接の状態にある1組の断熱材に挟まれて通される構成としても良い。
【0015】
さらに、コントローラとバッテリとは、電源供給線で接続され、
電源供給線は、複数個並べて充填された内のいずれか一個の断熱材に形成された貫通孔、または、当接の状態にある1組の断熱材の双方に跨がって形成された貫通孔、に挿通される構成とすることができる。また、電源供給線は、複数個並べて充填された内のいずれか一個の断熱材に形成されたスリットに挿通させることもできる。
【0016】
さらに、第2収容室の内部に設けられ、バッテリの温度を検出して対応する温度信号を出力する温度検出部と、
コントローラに搭載され、温度信号に基づいてバッテリの充電制御を行う充電制御部と、をさらに備え、
温度検出部と充電制御部とは、信号線で接続される構成を備えることも好ましい。この場合、信号線と電源供給線とは束ねて構成すれば良い。
【0017】
本発明の他の態様は、バッテリからの電源供給を受けて信号処理を実行するコントローラを備えたユニットであって、
筐体と、
筐体の内部に設けられ、コントローラを収容する第1収容室と、
筐体の内部に設けられ、バッテリを収容する第2収容室と、
第1収容室と第2収容室とを離間させ、筐体の外部と直接連通する貫通部と、を備えている。
【0018】
本発明によれば、筐体の外部と直接連通する貫通部が、第1収容室と第2収容室とを離間させるので、第1収容室に収容されるコントローラから、第2収容室に収容されるバッテリへの熱移動等が抑制される。この結果、コントローラでの発熱に影響されることによって、バッテリの温度上昇が生じることを、放熱ファン等を設けずに抑制できる。
【0019】
一態様として、貫通部は、第1収容室と前記第2収容室との間で、所定形状の貫通孔が筐体を貫く構成である。
【0020】
また、筐体は、前側筐体と後側筐体とで成り、
前側筐体と前記後側筐体の各々には、
上側リブ同士と下側リブ同士の各々が連結するように、上側リブと下側リブとが形成され、
貫通部は、
上側リブ同士と下側リブ同士とで上下方向が規制されて構成される態様とすることができる。
【0021】
さらに、コントローラとバッテリとは、電源供給線で接続され、
電源供給線は、
前側筐体と後側筐体の各々における上側リブと下側リブとに、対応するように形成された切欠部に通されて接続される。一例として、切欠部は、上側リブと下側リブにおける一角で、かつ、貫通部の左右における筐体の内部に形成される。
【0022】
そして、貫通部の左または右における前記筐体の内部であって、上下方向が規制された空間に1組の断熱材が設けられ、
電源供給線は、1組の断熱材に挟まれて通される構成とすることができる。
【0023】
また、上述してきたミュニケーションユニットであって、
コントローラは、
入力部から渡される入力信号に基づいた信号処理を実行して得られた出力信号を出力部に出力するプロセッサを備えた構成とすることもできる。
【0024】
そして、本発明のコミュニケーション装置は、
上述したいずれかのコミュニケーションユニットと、
コミュニケーションユニットを収容する収容体と、を有する。
【0025】
収容体は、その裏面が綿材で形成され、綿材の表面に多孔性部材が設けられている構成とすることができる。
【0026】
また、本発明のプログラムは、上記のいずれか一項に記載のコミュニケーションユニットに、
バッテリの温度上昇を抑制させるための制御を行う機能、を実現させるためのプログラムである。
【0027】
さらに、本発明の他の態様のコミュニケーションユニットは、
入力部と、出力部と、
入力部から入力信号を受信し、出力部に出力信号を送信するコントローラと、
コントローラに電力を供給するバッテリと、
コントローラを収容する第1収容部と、
バッテリを収容する第2収容部と、
第1収容部と第2収容部を離間させる空洞部を画定し、第1収容部と第2収容部を連結する連結部を有する筐体とを備えた構成である。
【0028】
また、入力部は音声を入力信号に変換するマイクまたは周囲の動きや温度を入力信号に変換するセンサであり、出力部は出力信号を音声に変換するスピーカまたは出力信号を振動に変換するバイブレータとすることができる。
【0029】
また、第1収容部は第2収容部の上方に配置された構成とすることができる。空洞部に対して断熱材を配置したりする構成とすることや、コントローラとバッテリとをFFC(Flexible Flat Cable)により接続された構成とすることも好ましい。さらに、第1収容部には排気口が形成されていても良い。
【0030】
さらに、本発明のコミュニケーション装置は、
上述してきたコミュニケーションユニットと、
コミュニケーションユニットを収容する収容体と、を備えている。
【0031】
そして、本発明の他の態様のコミュニケーション装置は、
入力部と、コントローラと、バッテリとが筐体に組み込まれ、
筐体が、コントローラを収容する第1収容部と、バッテリを収容する第2収容部と、第1収容部と第2収容部を離間させる空洞部を画定し第1収容部と第2収容部を連結する連結部とを有するコミュニケーションユニットと、
入力部からの入力信号に基づいた出力信号をコントローラから受信する出力部と、
コミュニケーションユニットと前記出力部を収容する収容体とを備えている。
【0032】
この構成において、入力部は音声を入力信号に変換するマイクまたは温度や周囲の動きを入力信号に変換するセンサとしたり、出力部は出力信号を音声に変換するスピーカ、出力信号を振動に変換するバイブレータ、または出力信号を変位に変換するアクチュエータとしたりすることができる。
【0033】
また、コミュニケーションユニットと収容体との間に多孔性のクッション材が配置された構成とすること、収容体が生物の外観を有する構成とすること、収容体が多面体の外観を有する構成とすることなどができる。
【0034】
そして、マイクと、スピーカと、コントローラと、バッテリとが筐体に組み込まれ、筐体が、コントローラを収容する第1収容部と、バッテリを収容する第2収容部と、第1収容部と第2収容部を離間させる空洞部を画定し第1収容部と第2収容部を連結する連結部とを有するコミュニケーションユニットの制御を実行させるプログラムであって、
マイクからの入力信号およびスピーカへの出力信号の処理に関する制御フローがモジュール化されているプログラムも提供される。
【発明の効果】
【0035】
本発明によれば、簡易な構成でバッテリの温度上昇を抑制可能なコミュニケーションユニット、および、このユニットを備えるコミュニケーション装置を実現できるという効果が得られる。
【0036】
また、本発明によれば、コミュニケーションユニットにバッテリ温度上昇を抑制するための制御を行わせるプログラムを実現できるという効果が得られる。
【発明を実施するための形態】
【0038】
(第1実施形態)
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。まず、本発明のコミュニケーションユニット1およびコミュニケーション装置40の全体構成について説明する。
図1は、本発明の一実施形態のコミュニケーション装置40の概要図、
図2は、本発明の一実施形態のコミュニケーションユニット1の正面図、
図3は、
図2における線A−Aにおける断面図である。
【0039】
本実施形態では、マイク26を「入力部」とし、スピーカ27を「出力部」とすることで、音声によってユーザとコミュニケーションを取ることが可能なコミュニケーション1を提供することができる。この場合、コミュニケーション装置40は、いわゆるインテリジェントスピーカ(AIスピーカ)となる。なお、本発明における「コミュニケーション」とは、ユーザ等が認識可能であるかぎり、音声のみでは無く、振動、各種の動作等による情報伝達も含む。
【0040】
(構造)
図1に示すように、正面視が縦長長方形の外観を有するコミュニケーションユニット1は、クッション材44を介して収容体42内に収容され、コミュニケーション装置40が構成される。収容体42は、例えば、動物、人間等の生物の外観を模した形状を有する「ぬいぐるみ型」とされており、コミュニケーション装置40は、対話可能なロボットとなる。また、収容体42を直方体のような多面体形状としてもよい。また、「ぬいぐるみ型」として構成した際における、その「ぬいぐるみ」のデザイン等は、適宜なものを採用し得る。
【0041】
図3にあっては、図面左側が「前側」、図面右側が「後側」となるが、収容体1に収容する場合には前後逆に収容し得る。
図2、
図3に示すように、コミュニケーションユニット1は、略縦長直方体状の筐体10で外観を構成している。筐体10は、第1収容部12と、第2収容部14と、両収容部12、14を離間させる空洞部18を画定する連結部16とを備えている。また、筐体10の内部には、コントローラ22と、バッテリ24と、マイク26と、スピーカ27とを備えている。
【0042】
筐体10の上部には、排気口19が形成されている。コントローラ22は、回路基板21を実装する。回路基板21は、CPU23、電源スイッチ28、および、不図示の各種電子部品(メモリ部、電源部、オーディオ部、無線部など)を搭載、実装して構成される。筐体10の後側には、電源スイッチ28に対向する部分に電源ボタン29が配置されている。ユーザが、電源ボタン29をON・OFF操作することにより、電源スイッチ28が「ON−OFF」される。なお、筐体10の前側、側面側において、電源ボタン29を配置する構成としても良い。
【0043】
コントローラ22、マイク26、および、スピーカ27は、第1収容部12に収容されている。一方、バッテリ24は、第2収容部14に収容されている。バッテリ24、スピーカ26、および、マイク27のそれぞれは、コントローラ22に電気的に接続されている。コントローラ22は、バッテリ24から電力を受けて作動する。
【0044】
なお、バッテリ24と、コントローラ22とは、連結部16を貫通するFFC(Flexible Flat Cable)により接続されている。FFCは、薄い平板形状を有しているため、連結部16における密閉性を高めることができる。密閉性を高めることにより、第1収容室12と第2収容室14の連通が抑制され、連結部16における伝熱を抑制することができる。
【0045】
また、バッテリ24の周囲の温度(あるいは、バッテリパックの温度)を検出して対応する温度信号を出力する温度検出部(温度センサ)が、第2収容部14の内部の壁面等に設けられ、この温度検出部(
図2、
図3では不図示)と、第1収容部12に収容されるコントローラ22とが電気的に接続されて、温度検出部からの温度信号が、コントローラ22に入力されている。なお、温度検出部(温度センサ)は、バッテリ24のパックに接続する等して設けてよく、バッテリ24の温度を正確に検出できるのであればいかなる場所でも良い。
図2、
図3では、不図示の温度検出部とコントローラ22とは、空洞部18に設けた不図示の穴を介してFFC等で接続されている。
【0046】
マイク26は、ユーザが発する音声を音声信号として検出してコントローラ22に送信する。コントローラ22は、受信した音声信号に基づいて、発話すべき音声信号を合成し、合成した音声信号等をスピーカ27で出力させる。また、マイク26への音声信号の入力や、スピーカ27からの放音などのため、筐体10の前面における、マイク26、スピーカ27に対応する位置には小孔が形成されている。
【0047】
空洞部18によって、第1収容部12と第2収容部14とが離間されているため、発熱体であるコントローラ22の熱が、バッテリ24に伝わりにくくなっている。断熱の観点からは、離間距離を大きくすることが有利であるが、コミュニケーションユニット1が大型化してしまう。
【0048】
このため、両者のバランスを考慮して、空洞部18の高さは、例えば「15〜25(mm)」程度の範囲に設定することが好ましいことを確認している。ここで、空洞部18の内壁面、および/または、外壁面に対して断熱材(不図示)を設ければ、断熱効果が一層向上する。
【0049】
本実施形態によれば、コントローラ22を収容する第1収容部12は、筐体10内部における部屋(第1収容室)として形成されるとともに、バッテリ24を収容する第2収容部14は、筐体10内部における部屋(第2収容室)として形成されている。
【0050】
そして、「第1収容室」としての第1収容部12と、「第2収容室」としての第2収容部14との間において、連結部16によって形成された空洞部18は、外部と直接連通される空洞状の部屋である「空洞室」として形成される。
【0051】
したがって、空洞部18(空洞室)の介在によって、第1収容部12(第1収容室)と第2収容部14(第2収容室)とが離間され、発熱体であるコントローラ22の熱が、バッテリ24に伝わることが抑制される。
【0052】
図1のコミュニケーション装置40において、コミュニケーションユニット1は、第1収容部12が、第2収容部14の上方になるように、収容体42内に配置されることにより、コントローラ22の熱がバッテリ24に一層伝わりにくくなっている。
【0053】
コントローラ22の熱は、排気口19、および、第1収容部12の表面から、多孔性のクッション材44を介して収容体42に伝わり、収容体42からその外部に放熱される。収容体42の一部に通気口(不図示)を設けて、放熱性を一層高めた構成とすることもできる。
【0054】
クッション材44は、放熱効果を得るために「多孔性材料」で形成されている。クッション材44の材料は、放熱効果とコミュニケーション装置40の手触りの触感とのバランスを考慮して適切に選定される。
【0055】
また、電源ボタン29を筐体10の前側、または、後側に大型に形成することで、コミュニケーションユニット1が、収容体42に収容された状態であっても、ユーザは、電源スイッチ28を外部から容易にON・OFF操作することができる。
【0056】
(動作内容)
次に、コミュニケーションユニット1の動作例について説明する。
図4は、本発明の実施形態であるコミュニケーションユニット1の動作例を示すフローチャートである。
【0057】
電源ボタン29のON操作によって、電源スイッチ28がONになると、ステップS11において、CPU23は、オペレーティングシステム(OS)を起動し、ステップS12において、スピーカ27から起動音が発せられる。起動音を放音することにより、コミュニケーションユニット1が収容体42に収容されて視認できない状態にあっても、ユーザは、OSが起動されたことを確実に把握することができる。
【0058】
OSの起動が完了すると、ステップS13において、CPU23は、WLAN(Wireless Local Area Network)との接続を開始する。WLANと接続できない場合には、接続の試行を継続的に実行する。ステップS14において、CPU23は、WLANと接続されているか否かを判定する。WLANに接続されていないと判定された場合(ステップS14の「No」)、ステップS15に進み、CPU23は、オフラインで対話(以下「オフライン対話」)を実行して、ステップS17に進む。
【0059】
一方、コミュニケーションユニット1がWLANに接続されていると判定された場合(ステップS14の「Yes」)、ステップS16に進み、CPU23は、オンラインで対話(以下「オンライン対話」)を実行して、ステップS17に進む。なお、「オフライン対話」、「オンライン対話」の詳細については、後に
図5、
図6を参照しながら説明する。
【0060】
また、ステップS17において、CPU23は、充電制御を実行し、ステップS18に進む。充電制御の詳細については、後に
図9を参照して説明する。
【0061】
次に、ステップS18において、CPU23は、「スリープトリガー」を検知したか否かを判定する。「スリープトリガー」を検知したと判定された場合(ステップS18の「Yes」)、ステップS19に進み、CPU23は「スリープモード」となる。「スリープモード」においては、CPU23の動作を間欠的に停止させて消費電力を抑制する。
【0062】
「スリープトリガー」が検知される場合としては、(1)筐体10内部のバッテリ24の近傍位置等の所定位置の温度が限界温度Tlに達した場合、(2)ユーザによって発音された「おやすみ」などの所定コマンドワードが音声認識された場合、(3)非対話状態が所定時間継続した場合などが挙げられる。そして、CPU23は、「スリープモード」の状態で、ステップS20に進む。「スリープトリガー」が検知されないと判定された場合(ステップS18の「No」)、ステップS22に進む。
【0063】
ステップS20においては、CPU23は、ステップS17と同様の充電制御を実行し、ステップS21に進む。充電制御の詳細については、後に
図9を参照して説明する。
【0064】
ステップS21において、CPU23は「ウェイクトリガー」が検知されたか否かを判定する。「ウェイクトリガー」が検知されないと判定された場合(ステップS21の「No」)、ステップS19に戻って「スリープモード」が継続される。「ウェイクトリガー」が検知されたと判定された場合(ステップS21の「Yes」)、「スリープモード」から脱して、ステップS22に進む。「ウェイクトリガー」が検知される場合としては、例えば、(1)電源ボタン29が押された場合、(2)バッテリ残量が低下した場合などが挙げられる。
【0065】
ステップS22において、CPU23は、バッテリ残量が所定量よりも低下しているか否かを判定する。バッテリ残量が所定量よりも低下していないと判定された場合(ステップS22の「No」)、ステップS23に進む。一方、バッテリ残量が所定量より低下していると判定された場合(ステップS22の「Yes」)、ステップS24に進み、CPU23は、シャットダウン処理をして電源を強制的にOFFにする。
【0066】
また、ステップS23において、CPU23は、電源スイッチ28が長押しされているか否かを判定する。電源スイッチ28が、長押しされていないと判定された場合(ステップS23の「No」)、ステップS14に戻って、CPU23は、コミュニケーションユニット1がWLANと接続されているか否かを判定して、再度、「オフライン対話」または「オンライン対話」が実行される。
【0067】
電源スイッチ28が長押しされていると判定された場合(ステップS23の「Yes」)、ステップS24に進み、CPU23は、シャットダウン処理を実行して電源を強制的にOFFにする。シャットダウン処理において、電源をOFFにすることを、発話動作によりユーザに伝えるようにしてもよい。
【0068】
(オフライン対話)
次に、
図4のステップS15における「オフライン対話」について説明する。
図5は、「オフライン対話」を示すフローチャートであり、
図4のステップS15のサブルーチンに相当する。
【0069】
ステップS51において、CPU23は、マイク26から入力された音声信号をコントローラ22内にあるローカルの音声認識エンジンである「ローカル音声認識エンジン」に入力して「受話テキスト」を認識する。ステップS52において、認識された「受話テキスト」をローカルの「対話エンジン」に入力し、「発話テキスト」を選定する。
【0070】
次いで、ステップS53において、CPU23は、選定された「発話テキスト」に基づいて発話処理を実行する。発話処理の詳細は、後に
図7を参照して説明する。そして、ステップS54において、CPU23は「処理速度制御」を実行する。「処理速度制御」の詳細については、後に
図8を参照して説明する。「処理速度制御」が完了すると、
図4のフローチャートにリターンする。
【0071】
(オンライン対話)
次に、
図4のステップS16における「オンライン対話」の詳細について説明する。
図6は、オンライン対話を示すフローチャートであり、
図4のステップS16のサブルーチンに相当する。
【0072】
ステップS61において、CPU23は、マイク26から入力された音声信号をサーバの音声認識エンジンである「サーバ音声認識エンジン」に入力して、「受話テキスト」を認識する。ステップS62において、認識された「受話テキスト」を、サーバまたはローカルの「対話エンジン」に入力し、「発話テキスト」を選定する。
【0073】
ステップS63において、CPU23は、選定された発話テキストに基づいて発話処理を実行する。発話処理の詳細は、後に
図7を参照して説明する。次いで、ステップS64において、CPU23は、「処理速度制御」を実行する。「処理速度制御」の詳細については、後に
図8を参照して説明する。「処理速度制御」が完了すると、
図4のフローチャートにリターンする。
【0074】
(発話処理)
次に、
図5のステップS53、
図6のステップS63における「発話処理」について説明する。
図7は「発話処理」を示すフローチャートであり、
図5のステップS53、
図6のステップS63のサブルーチンに相当する。
【0075】
ステップS71において、CPU23は、「発話テキスト」の有無を判定する。「発話テキスト」が得られている場合(ステップS71の「Yes」)、ステップS72に進み、CPU23は「発話テキスト」に相当する音声信号を合成して、ステップS73に進む。
【0076】
ステップS73において、CPU23は、合成した音声信号に対応する合成音声信号をスピーカ27から出力する。スピーカ27からの音声出力が完了すると、
図5または
図6のフローチャートにリターンする。「発話テキスト」が得られていない場合(ステップS71の「No」)、そのまま、
図5または
図6のフローチャートにリターンする。
【0077】
(処理速度制御)
次に、
図5のステップS54、
図6のステップS64における「処理速度制御」について説明する。
図8は、「処理速度制御」を示すフローチャートであり、
図5のステップS54、
図6のステップS64のサブルーチンに相当する。
【0078】
ステップS81において、CPU23は、バッテリ24近傍の所定位置の温度が、警告温度Taを超えているか否かを判定する。この所定位置は、第2収容部14(第2収容室)内の位置である。バッテリ24近傍の所定位置の温度が、警告温度Taを超えていると判定された場合(ステップS81の「Yes」)、ステップS83に進み、CPU23は、処理速度を「低速」に設定して、
図5または
図6のフローチャートにリターンする。
【0079】
一方、CPU23は、バッテリ24近傍の所定位置の温度が、警告温度Ta以下であると判定した場合(ステップS81の「No」)、ステップS82に進み、CPU23は、処理速度を「高速」に設定して、
図5または
図6のフローチャートにリターンする。
【0080】
(充電制御)
次に、
図4のステップS17、ステップS20における「充電制御」について説明する。
図9は、充電制御を示すフローチャートであり、
図4のステップS17、ステップS20のサブルーチンに相当する。
【0081】
ステップS91において、CPU23は、コミュニケーションユニット1がAC電源(不図示)に接続されているか否かを判定する。AC電源に接続されていないと判定された場合(ステップS91の「No」)、ステップS95に進み、CPU23は、充電処理をせずに、または、充電を停止処理して、
図4のフローチャートにリターンする。
【0082】
CPU23は、コミュニケーションユニット1がAC電源に接続されていると判定した場合(ステップS91の「Yes」)、ステップ92に進む。ステップS92において、CPU23は、バッテリ24が「フル充電」されているか否かを判定する。「フル充電」されていると判定された場合(ステップS92の「Yes」)、ステップS95に進み、充電処理せずに、または、充電を停止処理して、
図4のフローチャートにリターンする。ここで「フル充電」は、これ以上充電不能な状態を指す。
【0083】
一方、「フル充電」されていないと判定された場合(ステップS92の「No」)、ステップS93に進み、CPU23は、バッテリ24近傍の所定位置の温度が、警告温度Taを超えているか否かを判定する。この所定位置は、第2収容部14(第2収容室)内の位置である。バッテリ24近傍の所定位置の温度が、警告温度Taを超えていると判定された場合(ステップS93の「Yes」)、ステップS95に進み、充電処理せずに、または充電を停止処理して、
図4のフローチャートにリターンする。
【0084】
そして、バッテリ24近傍の所定位置の温度が、警告温度Ta以下であると判定された場合(ステップS93の「No」)、ステップS94に進み、充電処理を開始、または、継続して
図4のフローチャートにリターンする。
【0085】
(効果実験結果例)
次に、上述してきたコミュニケーション装置40を、上述したように動作させた場合における、バッテリ温度上昇の抑制効果について説明する。
図10は、コミュニケーション装置の作動時における、時間に対するバッテリ近傍の温度変化の実験結果を示したもので、「空洞部18が有る場合」、「空洞部18が無い場合」の各々に対するグラフである。
【0086】
上側のグラフは、「空洞部18無し」の場合、下側のグラフは「空洞部18有り」の場合のグラフである。横軸は「時間」、縦軸は「バッテリ温度上昇」を示す。
【0087】
空洞部18が無い場合、熱平衡状態までの温度変化が「20.9℃」であるのに対して、空洞部18が有る場合、「4.4℃」まで抑制されている。すなわち、コミュニケーション装置40がコミュニケーションユニット1を内蔵することにより、バッテリ近傍において「16.5℃」の温度上昇抑制効果が得られている。
【0088】
リチウムイオン型バッテリの充電可能な上限温度が「45℃」程度であることなどを考慮すると、十分な熱上昇の抑制効果が得られた。
【0089】
なお、P点において、
図8の「処理速度制御」によりCPU23の処理速度を「低速」に設定すること、および、
図9の「充電制御」により充電を停止することにより、バッテリ温度を低下させている。
【0090】
図11は、空洞部18を有するコミュニケーション装置40において、収容体42(ぬいぐるみ)の外の環境温度と、バッテリ周囲温度の差を示すグラフである。特に、
図8の「処理速度制御」、および、
図9の「充電制御」を省略して動作させた場合の実験結果を示すグラフである。
【0091】
図11に示すように、熱平衡状態が安定的であり、熱平衡状態温度がバッテリ環境温度として余裕があると判断できる場合には、CPU23の「処理速度制御」や、「充電制御」を省略してもよい事が分かる。
【0092】
また、以上説明した一連の処理に加えて、コミュニケーションユニット1のコントローラ22としての一般的な制御ステップも含めると、コントローラ22の制御内容は、例えば、マイク制御、スピーカ制御、発話区間検出、効果音再生、バッテリ制御、電源制御、WLAN制御、スイッチ監視、雑音抑制、音声合成、音声認識、応答作成、温度監視、アップデート制御、Bluetooth(登録商標)制御、LED制御などがある。
【0093】
これらの制御内容を総てモジュール化することで、モジュール単位で処理内容をカスタマイズすることができる。そのため、多種類のコミュニケーション装置を開発する場合にあっては、2種類目以降については、コミュニケーション装置40の動物等のキャラクタに関係しない部分(マイク制御、スピーカ制御、発話区間検出、バッテリ制御、電源制御、WLAN制御、スイッチ監視、雑音抑制、温度監視、アップデート制御、Bluetooth(登録商標)制御、LED制御など)はそのままにすると共に、コミュニケーション装置40のキャラクタに関係する部分(効果音再生、音声合成、音声認識、応答作成など)のカスタマイズのみで済むことが多いため、ソフトウェアの開発工数が大幅に削減できる。
【0094】
また、本実施形態のコミュニケーションユニット1によれば、コントローラ22を収容する第1収容部12(第1収容室)と、バッテリ24を収容する第2収容部(第2収容室)との間に、空洞部18(空洞室)が形成されている。
【0095】
したがって、コントローラ22とバッテリ24とが離間して配置されていることや、空洞部18の存在による断熱効果などによって、コントローラ22からバッテリ24への伝熱が抑制されて、バッテリ24の温度上昇を確実に抑制できる。
【0096】
また、コミュニケーションユニット1のハードウェアを上述したように構成することによって、バッテリ24の温度上昇を抑制できるので、コミュニケーションユニット1が収容される収容体42の仕様にかかわらず、コミュニケーション装置40におけるバッテリ24の温度上昇を抑制することができる。
【0097】
したがって、コミュニケーション装置40の設計自由度が向上し、アピール性の高いコミュニケーション装置40を工数低減させて開発することも可能になる。
【0098】
以上、「入力部」としてマイク26を採用し、「出力部」としてスピーカ27を採用した実施形態について説明した。例えば、「入力部」として、マイク26の代わりに、周囲の動きを検知する「モーションセンサ」を採用した構成としてもよい。
【0099】
この構成によれば、店舗の入口等に設置して、来客に対して、挨拶等の言葉により歓迎の意を伝えることができる。また、「入力部」として、「温度センサ」を採用してもよい。この構成によれば、温度管理が必要な場所の温度状況を管理者に伝えることができる。
【0100】
さらに、「出力部」としてスピーカ27の代わりに、バイブレータを採用した構成としてもよい。この構成によれば、ユーザの話しかけに対して振動で返答するコミュニケーションを実現できる。また、「出力部」としてコントローラ22からの無線信号に基づいて変位を生じさせる「アクチュエータ」を採用してもよい。
【0101】
この構成によれば、店舗の入口等に設置し、来客に対してお辞儀などの所定動作をさせることによって、歓迎の意などの各種の意思表現を実現することができる
【0102】
(第2実施形態)
(ユニット外観)
図12は、本発明の第2実施形態のコミュニケーションユニット1の外観を示す外観図である。
図12(a)は「正面図」、
図12(b)は「側面図」、
図12(c)は「背面図」、
図12(d)は「底面図」である。
【0103】
第2実施形態のコミュニケーションユニット1は、その外観が略直方体状の筐体11で成っている。筐体11は、前側(正面側)の前側筐体11aと、後側(背面側)の後側筐体11bとで成る。前側筐体11aと後側筐体11bとは、例えば、縁部が互いに嵌着するように形成され、前側筐体11aと後側筐体11bとがビス等で固定されて、筐体11が構成される。
【0104】
筐体11の前面には、ユーザの音声信号をマイク26が拾い易いように小孔が形成されている。一例として、筐体11の正面の中央やや左側の位置に、マイク26に対応するように小孔が形成されている。また、筐体11の前面には、スピーカ27から放音される音声合成信号をユーザが聴取し易いように、複数の小孔が全体的に円状に形成されている。一例として、筐体11の正面の中央より上の位置に、スピーカ27に対応するように複数の小孔が全体的に円状に形成されている。
【0105】
また、筐体11の背面には、その略中央に電源ボタン60が設けられている。さらに、筐体11の底面にも電源ボタン61が設けられている。電源ボタン60は、筐体11の背面側にユーザが取り外し可能に装着されており、ユーザは、電源ボタン60を取り外して、コントローラ22などに設けられた各種のスイッチ等を直接操作可能になっている。
【0106】
筐体11の底面には、充電用のUSB端子も設けられている。このUSB端子と充電用アダプタとをUSBケーブルで接続してコミュニケーションユニット1を充電したり、USB端子とノート型PC等の情報処理装置とをUSBケーブルで接続してコミュニケーションユニット1を充電したりすることなどが可能に構成されている。
【0107】
筐体11の底面には、ボリュームボタン63も設けられている。ボリュームボタン63は、スピーカ27からの放音音量を大きくするための音量増加ボタンと、放音音量を小さくするための音量減少ボタンとを有している。これらのボタンをユーザが押下操作することにより、スピーカ27からの音量を適切に調整可能になっている。
【0108】
また、電源ボタン60の幅を片手程度の大きさに形成することにより、収容体42内にコミュニケーションユニット1が収容された場合であっても、収容体42越しにユーザが電源ON・OFF操作が可能になっている。
【0109】
コミュニケーションユニット1の大きさに特に制限は無いが、好適な一例では、筐体11の「高さ、幅、奥行き」が「105(mm)×77.1(mm) ×56.5(mm)」で、重量は「0.15(kg)」程度である。
【0110】
(構造)
図13、
図14は、第2実施形態の構造の模式的説明図である。
図13に示すように、前側筐体11aの内側の壁面には、リブR1(上側リブ)とリブR2(下側リブ)とが形成されている。リブR2は、リブR1よりも所定長さ下方に形成されている。
【0111】
同様に、後側筐体11bの内側の壁面には、リブR3(上側リブ)とリブR4(下側リブ)とが形成されている。リブR4は、リブR3よりも所定長さ下方に形成されている。リブR1、リブR2は、前側筐体11aと一体的に形成することが可能であり、また、リブR3、リブR4は、後側筐体11bと一体的に形成することが可能である。一例として、射出成形等を用いてリブと前側・後側筐体を一体成形することができる。
【0112】
また、リブR1とリブR3とが対応するとともに、リブR2とリブR4とも対応するように、各リブR1〜R4は、筐体11の内壁面に形成されている。
図13の例では、リブR1とリブR3とは、筐体11の底面からの距離が同じになるように形成され、また、リブR2とリブR4も、筐体11の底面からの距離が同じになるように形成されている。
【0113】
かくして、筐体11は、前側筐体11aと後側筐体11bとで構成され、前側筐体11aと後側筐体11bとの各々には、上側リブ同士「R1、R3」と、下側リブ同士「R2、R4」とが対応するように、上側リブ「R1、R3」と下側リブ「R2、R4」とが形成されている。
【0114】
また、上側リブR1と下側リブR2との間には断熱材65が充填されている。一方、上側リブR3と下側リブR4との間には断熱材66が充填されている。
【0115】
断熱材65、断熱材66は、その長手方向が図面に垂直になっていて、外観が直方体状の部材である。この例では2個の断熱材65、66を用いているが、その個数には特に制限は無い。
【0116】
前側筐体11aと後側筐体11bとの両者を嵌着させる(
図13「a」、「b」参照)ことによって、上側リブ同士「R1、R3」と、下側リブ同士「R2、R4」とで上下方向が規
制される空間に対して、断熱材65と断熱材66とが筐体11の前後方向に当接させた状態で充填される。
【0117】
断熱材65、断熱材66は、例えば、「ポリエチレンフォーム」で「独立気泡性(気泡がそれぞれ独立して並んだもの)」を有するものを用いれば良い。かくして、この断熱材65、断熱材66は、断熱性を有するとともに、弾力性をも有する。
【0118】
断熱材65、断熱材66は、断熱性を有するとともに弾力性をも有するので、上側リブ同士「R1、R3」と、下側リブ同士「R2、R4」とで上下方向が規
制される空間に対して、直方体状の断熱材65、断熱材66が当接された状態で並べて充填されることが容易に行われる。この結果、隙間無く断熱材を並べることができるので、断熱効果が格段に向上する。
【0119】
図14は、前側筐体11aと、後側筐体11bとが嵌着されビス等で固定された筐体11の内部の断面図の模式的説明図である。筐体11の内部には、第1収容室Aと、断熱室Bと、第2収容室Cとが形成されている。
【0120】
第1収容室Aは、スピーカ27、コントローラ22等を収容し、また、第2収容室Bは、バッテリ24、温度センサ46等を収容する。そして、断熱材65、断熱材66が当接されて並べられて充填された断熱室Bは、第1収容室Aと、第2収容室Cとを離間した部屋として仕切っている。なお、温度センサ46は、バッテリ24のバッテリパック等に接して設けるようにしても良く、バッテリ24の温度を正確に検出できれば、第2収容室Cのいずれの位置に設けても良い。
【0121】
また、バッテリ24とコントローラ22とは、電源供給線30で接続され、バッテリ24からコントローラ22への電源供給が可能に構成されている。また、温度センサ46とコントローラ22とは、信号線31で接続され、温度センサ46からの温度信号が信号線31を介してコントローラ22に送られる。
【0122】
そして、電源供給線30と信号線31とは束ねられた「電線」と成っており、この束ねられた「電線」は、当接の状態にある1組の断熱材65、断熱材66に挟まれて通される。これにより、配線時に筐体11や他の部品に対して孔加工等の特別な加工を施さなくても良くなる。
【0123】
また、(1)2個の断熱材の内のいずれか一個の断熱材65または断熱材66に貫通孔を形成すること、(2)当接の状態にある1組の断熱材65、断熱材66の双方に跨がった貫通孔を形成することも可能であり、これらの貫通孔に電線を挿通させることもできる。例えば、(2)の場合には、半円の貫通部を断熱材65と断熱材66との双方に形成し、両方の半円の貫通部で一つの貫通孔を形成するようにすれば良い。また、断熱材にスリットを設け、このスリットに電線を通すこともできる。
【0124】
本実施形態によれば、断熱効果を有する断熱室Bが、第1収容室Aと第2収容室Cとを離間させた「部屋」として仕切るので、第1収容室Aから第2収容室Cへの熱移動等が抑制される。
【0125】
具体的には、
図10、
図11で示した実験結果と同等、または、これ以上の結果を得ることができた。よって、コントローラ22での発熱によって生じるバッテリ24の温度上昇を、放熱ファン等を設けずに抑制することができる。
【0126】
本実施形態では2個の断熱材65、断熱材66で断熱室Bを構成しているが、断熱材の個数は特に制限が無い。また、断熱材の配置方向を筐体11の前後方向に代えて左右方向としたり、上下方向としたりすることも可能である。例えば、上下方向の場合には、平面視が四角形状の薄型の断熱材を複数積層させて断熱室Bを構成できる。
【0127】
また、リブR1〜R4に代えて、他の突起状部材を筐体11の内部の前側壁面や後側壁面に形成することも可能である。また、部品交換等のために、リブR1〜R4の一部を筐体11に対して着脱可能に構成することも可能である。
【0128】
また、本実施形態においては、筐体11を前後方向に前側筐体11aと後側筐体11bとに分離可能であるが、筐体11を左右方向に分離可能に構成して、分離させた「左側筐体」と「右側筐体」の内部の壁面に対して、上側リブと下側リブとを形成した構成としても良い。
【0129】
(第3実施形態)
図19は、本発明の第3実施形態における筐体11の内部の構成図である。
図19の「左側」、「右側」はそれぞれ、コミュニケーションユニット1の「前側」、「後側」に対応する。また、
図19は、筐体11内部の左側面を示している。
【0130】
本実施形態の筐体11は、その外観が縦長の直方体状であり、筐体11は、左側面に開口を有する「本体部」と、この開口を塞ぐ「蓋部」とで成っている。つまり、
図19は、「蓋部」を取り除いた「本体部」の内部構造を示す模式的説明図である。
【0131】
まず、
図19の構成について説明する。筐体11の「本体部」の内部の前側の壁面には、図面に垂直な方向に延びる凹部71、凹部74が設けられている。凹部74は、凹部71よりも所定距離下方に設けられている。
【0132】
同様に、「本体部」の内部の後側の壁面には、図面に垂直な方向に延びる凹部70、凹部73が設けられている。凹部73は、凹部70よりも所定距離下方に設けられている。
【0133】
そして、凹部70と凹部71とは、両凹部70、71が対応するように、筐体11の底面から同じ高さに設けられている。同様に、凹部73と凹部74とは、両凹部73、74とが対応するように、筐体11の底面から同じ高さに設けられている。
【0134】
また、平面視が長方形状の上側仕切板80は、凹部70、凹部71に嵌着した状態で、筐体11内部に収容されるように構成されている。同様に、平面視が長方形状の下側仕切板85は、凹部73、凹部74と嵌着した状態で、筐体11の内部に収容されるように構成されている。
【0135】
また、凹部70、凹部71を利用して上側仕切板80をスライドさせることにより、上側仕切板80を筐体11に対して出没させることが可能になっている。同様に、凹部73、凹部74を利用して、下側仕切板85をスライドさせることにより、下側仕切板85を筐体11に対して出没させることが可能になっている。
【0136】
そして、上側仕切板80の上面には、マイク26、スピーカ27、コントローラ22等が実装されている。コントローラ22は、CPU等の電子デバイスを搭載した回路基板21を、上側仕切板80に設けた不図示の凹部に嵌着させて立設されている。
【0137】
一方、筐体11の内部空間において、下側仕切板85よりも下側の空間には、バッテリ24が取り外し可能に装着されている。また、コントローラ22とバッテリ24とは、電源供給線(
図19では不図示)で接続されている。同様に、コントローラ22と、バッテリ24の温度を検出して対応する温度信号を送る温度センサ46とは、信号線(
図19では不図示)で接続されている。
【0138】
一例として、温度センサ46は、バッテリパックに接した位置や、下側仕切板85より下側の筐体11の内壁面や、下側仕切板85の下面などに設けられている。電源供給線と信号線とは束ねられて電線として配線されている。なお、温度センサ46は、上記の位置以外に設けても良く、バッテリ24の温度を正確に検出できれば、いずれの位置に設けても良い。
【0139】
電線は(1)上側仕切板80と下側仕切板85とに形成された不図示の貫通孔に挿通されたり、(2)筐体11の内部の後方壁面に形成された孔に挿通されたりする構成により、コントローラ22と、バッテリ24(および温度センサ46)とを電気的に接続することができる。筐体11の内部の後方壁面に孔を形成する場合には、例えば、側面視が湾曲となる孔を形成した構成とすれば、電線の挿通性の向上を図ることができる。また、断熱材にスリットを設け、このスリットに電線を通すこともできる。
【0140】
図19に示す構成にあっては、上側仕切板80よりも上方の筐体内空間が「第1収容室」となり、下側仕切板85よりも下方の筐体内空間が「第2収容室」となる。そして、上側仕切板80と下側仕切板85で、上下方向が規定される筐体内空間に複数個の断熱材を充填することにより、「断熱室」が形成される。
【0141】
上側仕切板80と下側仕切板85とで上下方向が規定される筐体内部の空間に、複数の断熱材を充填する態様としては、一例として、図面垂直方向に延在する直方体状の断熱材を複数個、筐体11の前後方向に並べること等が挙げられるが、断熱材の充填態様はこれに限られない。上側仕切板80と下側仕切板85で上下方向が規定される筐体内部の空間に隙間が生じないように、複数の断熱材を当接させて並べることによって、当該空間を断熱材で充填する。
【0142】
したがって、本実施形態にあっても、「断熱室」が、「第1収容室」と「第2収容室」とを離間された「部屋」として仕切ることにより、「第1収容室」から「第2収容室」への熱移動等が抑制される。このため、コントローラ22での発熱に影響されて、バッテリ24の温度上昇が生じることを抑制できるので、放熱用ファン等を設ける必要がなくなる。
【0143】
(第4実施形態)
本実施形態は第1実施形態の変形例になり、「前側筐体」と「後側筐体」の対応するリブを連結させて、貫通部Eを設ける点などに特徴がある。
【0144】
図15は、筐体13の模式的外観図、および、後側筐体13bの内部構造の模式的説明図、
図16は、筐体13の模式的正面図、
図17は、筐体13の模式的断面図、
図18は、後側筐体13bの内部構造の模式的説明図である。
【0145】
図15に示すように、本実施形態の筐体13は、前側筐体13aと、後側筐体13bとで成っている。前側筐体13aと後側筐体13bとはそれらの縁部が嵌着され、ビス止め等により固定されて、筐体13が組み立てられることにより、コミュニケーションユニット1が実現される。
【0146】
前側筐体13aと後側筐体13bとの上下方向の中央部よりやや下側に横長状(楕円状)の長孔である貫通孔THが形成されている。貫通孔THは、筐体11を貫いて形成される貫通部Eを構成している。かくして、貫通部Eは、筐体11の外部に直接連通している。
【0147】
図15に示すように、後側筐体13bの内面には、上側リブR5と、下側リブR6とが突出するように形成され、上側リブR5と、下側リブR6とは、横長孔状の貫通孔THの上下方向を規制している。
図17(a)などを参照して分かるように、前側筐体13aの内部構造は、後側筐体13bの内部構造と等しい。
【0148】
つまり、
図17(a)等を参照すれば分かるように、前側筐体13aの内面には、上側リブR7と、下側リブR8とが突出するように形成され、上側リブR7と、下側リブR8とは、横長孔状の貫通孔THの上下方向を規制している。そして、上側リブR5と、上側リブR7とは、筐体13の底面からの高さが等しく形成されており、また、下側リブR6と、下側リブR8とが、筐体13の底面からの高さが等しく形成されている。かくして、上側リブ同士「R5、R7」と、下側リブ同士「R6、R8」とが対応する。
【0149】
また、上側リブR5の先端と上側リブR7の先端とは、互いに嵌着可能に構成されるとともに、下側リブR6の先端と下側リブR8の先端とは、互いに嵌着可能に構成されている。嵌着態様としては、一方のリブ先端に凸部を設け、他方のリブ先端に凹部を設ける等の様々なものが挙げられる。
【0150】
かくして、筐体13は、前側筐体13aと、後側筐体13bとで成り、前側筐体13aと後側筐体13bとの各々には、上側リブ同士「R5、R7」と、下側リブ同士「R6、R8」の各々が連結する。そして、貫通部Eは、その上下方向が上側リブ同士「R5、R7」と下側リブ同士「R6、R8」とで規制されている。
【0151】
また、例えば、上下のリブや、両側に湾曲部を有する横長孔状の貫通孔THを構成するための部材等は、射出成形等によって、筐体13に一体に形成することが、部品点数等を少なくする点から好ましい。
【0152】
また、
図15に示すように、後側筐体13bの上側リブR5と、下側リブR6とは、共に平面視が長方形状に形成されており、この長方形の手前側で左側の左角部には、切欠部92と、切欠部93とが互いに対応するように形成されている。
【0153】
同様に、
図15では図示されないが、前側筐体13aの上側リブR7と下側リブR8とは、共に平面視が長方形状に形成されており、この長方形の奥側の左側の角部には、切欠部92と、切欠部93とが対応するように形成されている(
図17参照)。
【0154】
つまり、切欠部92、切欠部93は、対応する上側リブR5と下側リブR6における一角(左角)で、かつ、貫通部Eの左右における筐体13の内部に形成される。同様に、
図15では不図示の一対の切欠部92、93は、対応する上側リブR7と下側リブR8における一角(左角)で、かつ、貫通部Eの左右における筐体13の内部に形成される(
図17参照)。
【0155】
そして、後側筐体13bのリブR5に形成された切欠部92と、前側筐体13aのリブR7に形成された切欠部92とが合わさって、正面視、長方形状の孔が構成される。また、後側筐体13bのリブR6に形成された切欠部93と、前側筐体13aのリブR8に形成された切欠部93とが合わさって、正面視、長方形状の孔が構成される。2つの切欠部92で構成される上側の長方形状の孔と、2つの切欠部93で構成される下側の長方形状の孔とは、上下方向において対応する。
【0156】
後に再度説明するが、電源供給線30と、信号線31とは束ねられて電線とされた状態で、当接状態にある1組の断熱材に挟まれて通されて、コントローラ22と、バッテリ22(および温度センサ46)とを接続する。なお、切欠部92、93の位置は、図面右側などの他の位置としても良い。
【0157】
なお、温度センサ46は、バッテリ24のバッテリパック等に接して設けるようにしても良く、バッテリ24の温度を正確に検出できれば下側リブR6、R8より下のいずれの位置に設けても良い。
【0158】
また、
図15に示すように、貫通孔THの左右における筐体13内部であって、上側リブR5と下側リブR6とで上下方向が規制された空間には、断熱材を収容するための断熱材収容部90a、90bが形成されている。
【0159】
同様に、
図15では前側筐体13aの裏側になって見えないが、貫通孔THの左右における筐体13内部であって、上下方向が上側リブR7と下側リブR8とで上下方向が規制された空間には、断熱材を収容するための断熱材収容部90a、90bが形成されている。
【0160】
前側筐体13aの左右の断熱材収容部90a、90bと、後側筐体13bの左右の断熱材収容部90a、90bとには、断熱材が収容されている。例えば、断熱材は、その外観が直方体状であり、その延材方向が筐体13の前後方向となるように断熱材収容部90a、90bに収容される。また、断熱材は、例えば、筐体13の前後方向に伸びる断面四角形状のものを採用し得る、
【0161】
そして、本実施形態の一例では、電源供給線30、信号線31等を電線として束ねた状態で、前側筐体13aの左側の断熱材収容部90a(
図17では不図示)に収容された断熱材67(
図17参照)と、後側筐体13bの左側の断熱材収容部90b(
図17では不図示)に収容された断熱材68(
図17参照)との1組の断熱材に挟んで通されている。なお、右側の1組の断熱材に電線を挟んで通す構成としても良い。
【0162】
なお、断熱材収容部90a、90bに断熱材を収容せずに、単なる空間(空洞)としておくこともできる。この場合にあっては、電源供給線30と信号線31とを束ねて、切欠部92、切欠き部93を介して、コントローラ22とバッテリ24とを電気的に接続すれば良い。
【0163】
(内部構造詳細)
図17(a)は、
図16の筐体13の正面図における「A−A」での断面図、
図17(b)は、
図16の筐体13の正面図における「B−B」での断面図である。また、
図18は、後側筐体13bの内部構成の模式的説明図である。これらを特に参照して、より具体的に筐体13の内部構造を説明する。
【0164】
図17(a)に示すように、筐体13は、前側筐体13aと、後側筐体13bとで成り、前側筐体13aの上側リブR7の先端と、後側筐体13bの上側リブR5の先端とが嵌着されて結合される。同様に、前側筐体13aの下側リブR8の先端と、後側筐体13bの下側リブR6の先端とが嵌着されて結合される。
【0165】
かくして、筐体13には、正面視が横長孔状の貫通孔THが貫通するように形成された貫通部Eが形成される。貫通部Eが形成される結果、コントローラ22などを収容する第1収容室Aと、バッテリ24などを収容する第2収容室Bとが離間される。よって、コントローラ22等で発生した熱によって、バッテリ24の温度が上昇するのを、放熱ファン等を設けずに抑制することが可能になる。
【0166】
なお、第1収容室Aには、コントローラ22の他にマイク26、スピーカ27等の所要のデバイスが収容され、また、第2収容室Bには、バッテリ24の他に温度センサ46等の他の所要のデバイスが収容される。また、コントローラ22には、CPU、DSP等のプロセッサ、RAM、ROM等が実装される。
【0167】
図17(b)に示す「B−B」断面図は、貫通孔THを有する貫通部Eの左に位置する箇所での断面図である。「B−B」断面図においては、前側筐体13aの上側リブR7の先端と、後側筐体13bの上側リブR5の先端とは、連結された状態には無く、また、前側筐体13aの下側リブR8の先端と、後側筐体13bの下側リブR6の先端とは、連結された状態には無い。
【0168】
これは、
図15を参照して説明した切欠部92、切欠部93が形成されているためである。つまり、
図16における「B−B」断面は、切欠部92、切欠部93の位置での筐体13の縦断面である。また、
図17(b)を参照すれば分かるように、電源供給線30と信号線31とが電線として束ねられた状態で、切欠部92、切欠部93を通される。
【0169】
また、貫通孔THの左の筐体13内部であって、前側筐体13aの上側リブR7と下側リブR8とで上下方向が規制される部分には、
図17(b)では符号を記載していない「断熱材収容部90a(不図示)」に断熱材67が収容されている。同様に、貫通孔THの左の筐体13内部であって、後側筐体13bの上側リブR5と下側リブR6とで上下方向が規制される部分には「断熱材収容部90a(
図15参照)」に断熱材68が収容されている。
【0170】
そして、当接状態にある1組の断熱材67、断熱材68の間に、電源供給線30、信号線31を束ねた電線を通している。これにより、第1収容室A内に収容されているコントローラ22と、第2収容室B内に収容されているバッテリ22(および温度センサ46)とを接続することができる。
【0171】
図18は、後側筐体13bの内部構造の模式的説明図である。
図18の貫通孔THの左の位置では、後側筐体13bの上側リブR5と下側リブR6との間には、断熱材68が収容されている。なお、
図18において、切欠部92、切欠部93、断熱材収容部90a、90b等を図示省略している。
【0172】
一方、
図18の貫通孔THの右の位置においても、後側筐体13bの上側リブR5と下側リブR6との間には、断熱材69が収容されている。このように、貫通孔THを有する貫通部Eの左、右の筐体13内部に断熱材を設けることにより、コントローラ22の発熱によるバッテリ24の温度上昇を一層抑制することができる。
【0173】
また、
図18に示す断熱材68、断熱材69は必ずしも設ける必要は無く、この場合には、
図18では図示省略した断熱材収容部90a、90bをそのまま空間(空洞)としておけば良い。
【0174】
また、本実施形態においては、
図18に示すように、貫通孔THの左(貫通部Eの左)の筐体13の内部で、上下方向が上側リブR5、下側リブR6で規制された空間に充填した1組の断熱材68、69で電線を挟んだ構成としているが、貫通孔THの右(貫通部Eの右)の筐体13の内部で、上下方向が上側リブR5、下側リブR6で規制された空間に充填した1組の断熱材(一方の断熱材69のみ
図18に図示)で電線を挟んだ構成としても良い。
【0175】
本実施形態によれば、貫通部Eが、第1収容室Aと第2収容室Bとを離間させるので、第1収容室Aに収容されるコントローラ22から、第2収容室Bに収容されるバッテリ24への熱移動等が抑制される。しかも、貫通部Eは、筐体13の外部と直接連通するので、貫通部Eの貫通空間は外部と連通して温度低下が一層効果的に生じる。
【0176】
この結果、コントローラでの発熱に影響されることによって、バッテリの温度上昇が生じることを、放熱ファン等を設けずに抑制できる。本実施形態によっても、
図10、
図11で示した実験結果と同等、または、これ以上の結果を得ることができた。
【0177】
なお、貫通部Eの断熱材を設けるために、第1収容室Aの下面、第2収容室Bの上面に肉薄の断熱材を設けた構成とすることも好ましい。また、
図18に示す貫通孔THの両側の湾曲部に沿うような断面を有するように断熱材を加工して、これを断熱材68、69の代わりにすることなども可能である。
【0178】
このためには、断熱材断面の四角形状の一辺を貫通孔THの湾曲部に応じて湾曲させた断熱材を採用すれば良い。なお、断熱材67、断熱材68、断熱材69としては、例えば、第2実施形態で使用した弾力性を有するものを利用すれば良い。
【0179】
また、以上説明してきた各実施形態において、筐体幅方向に幅広なコントローラ22や他の電子デバイス等を搭載した電子基板を、後側筐体11b(13b)にネジ止め等で固定しても良いし、電子基板を上側リブR3(R5)の上部に載置して固定する構成としても良い。例えば、電子基板を上側リブR3(R5)に形成した凹部に差し込んで立設させて固定する構成とする事などが可能である。
【0180】
また、マイク26、スピーカ27を前側筐体11a(13a)にネジ止め等で固定しても良いし、マイク26、スピーカ27を上側リブR1(R7)の上部に載置して固定する構成としても良い。例えば、マイク26、スピーカ27等を上側リブR1(R7)に形成した適宜の嵌着用部材に嵌着させる構成とすることなどができる。
【0181】
(収容体42)
図20は、コミュニケーションユニット1を収容体42に収容した状態での収容体内部を示す模式的説明図である。収容体42として、一例として「ぬいぐるみ」を想定している。「ぬいぐるみ」としては、例えば、動物等の生物の外形をデフォルメした外観を呈するものなどが挙げられるが、いかなる態様なものでも良い。
【0182】
「ぬいぐるみ」は、全体的に布体で構成され、布体の裏面には「綿CT」が設けられている。布体と綿CTとは縫製等の適宜の方法で一体に構成されて両者が分離不能に構成されている。
【0183】
また、「ぬいぐるみ」の背面等の位置には、コミュニケーションユニット1を出し入れするための開口部が形成されている。この開口部は、面チャック等の留具で通常時には閉じられている。一方、コミュニケーションユニット1を出し入れする際には、留具を操作して開口部を開けることによって、コミュニケーションユニット1を出し入れすることができる。
【0184】
なお、留具は、ファスナー、ボタン等の他のものを採用することもできる。また、「ぬいぐるみ」の開口部の縁部に厚手の布を縫い付けて、コミュニケーションユニット1を出し入れ操作し易くするとともに、出し入れ操作を相当回数行ったとしても、開口部の縁部の布の縫い目が、ほつれることを防止することができる。
【0185】
収容体42としての「ぬいぐるみ」の裏面の綿CTの内部には、コミュニケーションユニット1を覆うようにして、スポンジSPが設けられている。スポンジSPとしては、例えば、「ウレタンフォーム」で「連続気泡(気泡が繋がっているもの)」タイプのものを用いれば良い。「セル数」が、「8〜13(個/25(mm))」程度のものがより好ましい。このような材質のスポンジを用いることにより、スポンジSPは、多孔性と弾力性(クッション性)を有する部材となる。
【0186】
図20にはスポンジSPの配置態様の一例を示す。スポンジSPは、コミュニケーションユニット1を載置する底面から覆うよう設けた「台座用スポンジ」と、コミュニケーションユニット1の底面以外の面を覆うように設けた「包囲用スポンジ」とから成る。なお、
図20では、コミュニケーションユニット1の前面をスポンジSPで覆っていないように図示しているが、これは理解し易く図示したものであり、実際には、コミュニケーションユニット1の全面をスポンジSPで覆うようにする。
【0187】
このためには、一例として、「包囲用スポンジ」における、「ぬいぐるみ」の開口部に対応する位置に、スポンジSPの切れ目を形成し、この切れ目を介してスポンジSP内にコミュニケーションユニット1を挿入可能な構成とすればよい。なお、「ぬいぐるみ」内部におけるスポンジSPの配置態様は、
図20に示すものには限られない。
【0188】
かくして、コミュニケーションユニット1が「ぬいぐるみ」に入れられる場合には、コミュニケーションユニット1の筐体11(10)は、スポンジSPと接し、スポンジSPは「ぬいぐるみ」の裏面の綿CTと接する。
【0189】
かかる構成によれば、コミュニケーションユニット1から発せられた熱は、周囲のスポンジSPに逃げることができ、コミュニケーションユニット1の内部に熱が籠もることを抑制することが可能になる。このためにも、スポンジSPとしては、「セル数」が「8〜13(個/25(mm))」程度のものを使用するのが好ましい。
【0190】
また、スポンジSPの体積を可能な限り大きくすることによって、「ぬいぐるみ」の裏面の綿CTの厚みを低減させて熱籠もりを一層抑制することが可能となる。なお、「ぬいぐるみ」を構成する布等の材質自体を、通気性を有するものとすること、裏面に綿CTを使用しない構成とすること等によって、スポンンジSPを使用しないことも可能である。
【0191】
以上のようにして、コミュニケーションユニット1を収容体42としての「ぬいぐるみ」に、そのまま入れることで、ユーザとのコミュニケーション機能を有するコミュニュケーション装置40とすることができる。
【0192】
(電子系の構成)
図21は、本発明の各実施形態におけるコントローラ22を含む電子系の構成図である。また、CPU23の機能を示す機能構成も含んでいる。なお、
図21に示す電子系の構成図は電子系の構成の一例である。
【0193】
コントローラ22は、プロセッサとしてのCPU23、各種のワークエリアとして機能するRAM32、不揮発的に情報を記憶するROM37、音声合成LSI160、通信部170を有する。また、CPU23の代わりにDSP等の他のプロセッサを使用しても良い。
【0194】
ROM37は、OS34、各種のプログラム35、各種のデータ36を不揮発的に記録する。データ36は、ローカルの音声認識エンジン、ローカルの対話エンジン等を実現するための各種のデータ等を含む。ROM37の記憶内容は図示したものには限られない。
【0195】
なお、書き換え可能で不揮発的に情報を記憶可能なフラッシュメモリにOS34、プログラム35、データ36を格納して、これらを適宜バージョンアップで更新可能とすることも可能である。
【0196】
また、プログラム35には、アプリケーションプログラム(「AP」、「アプリ」とも称する)はもちろんのこと、ミドルウエア等の各種のプログラムが含まれても良い。OS34としては、例えば「Linux(登録商標)」等を用いればよいが、OSの種類はこれに限られない。
【0197】
CPU23は、全体制御部100、通信制御部110、音声認識部120、対話処理部130、充電制御部140、処理速度制御部150などの各種の機能を有する。これらの各機能は、CPU23が、OS34の支配下で、RAM32をワークエリア等として用いながらプログラム35を実行することによって実現できる。
【0198】
CPU23には、電源スイッチ28、マイク26、温度センサ46、バッテリ残量検出部48からの信号が入力される。なお、CPU23の入力側には、これら以外のデバイスを設けることもできる。また、バッテリ残量検出部48を別途センサとして設けずに、CPU23がバッテリ電圧を参照して、バッテリ残量を検出することが可能である。また、バッテリ残量検出部48は、例えば第2収容室Bに設けることができる。
【0199】
また、図示はしないが、マイク26、温度センサ46、バッテリ残量検出部48と、CPU23との間には、アナログデジタル変換器が設けられ、CPU23には変換されたデジタル信号が入力される。また、温度センサ46自体がアナログデジタル変換機能を有していても良い。
【0200】
全体制御部100は、電源スイッチ28からのON・OFF信号を受信することによって、ユーザによる電源ボタン60のON・OFF操作に応じてコミュニケーションユニット1の電源のオン・オフ制御を行う。また、音声認識部120は、マイク26が拾ったユーザの音声信号に基づいて音声認識を行う。
【0201】
また、温度センサ46は、第2収容室Bにおけるバッテリ24の温度を検出して対応する温度信号を出力し、バッテリ残量検出部48は、バッテリ24の残量を検出して対応する残量信号を出力する。充電制御部140は、温度信号や残量信号に基づいて、バッテリ24の充電制御を行う。
【0202】
処理速度制御部150は、温度センサ46からの温度信号に基づいて、CPU23の処理速度を「高速モード」または「低速モード」に切り換える。なお、処理速度制御部150が、モード制御信号を全体制御部100に送ることによって、全体制御部100は、切り換えられたモードに応じて、CPU23の処理実行動作を「高速(高速モード)」または「低速(低速モード)」に設定する。一例として、全体制御部100は、「低速モード」では、「高速モード」よりもCPU23のクロックを落とす(クロック数を減じる)。
【0203】
また、全体制御部100は、「スリープトリガー」が検出されると、CPU23を「スリープモード」として、CPU23の動作を間欠的に停止させて消費電力を抑制する。一方、全体制御部100は、「ウェイクトリガー」が検出されると、CPU23を「ウエイクモード」として、CPU23の動作を開始させる。また、全体制御部100は、バッテリ残量検出部48からの残量信号に基づいて、シャットダウン処理なども実行する。
【0204】
また、CPU23には、音声合成LSI160、通信部170が接続されている。なお、CPU23の出力側にはこれら以外のデバイスを接続しても良い。対話処理部130は、得られた発音テキストに応じて、音声合成LSI160を駆動制御することにより、スピーカ27から所要の音声信号が出力される。
【0205】
また、通信制御部110が、通信部170に対して通信制御信号を送ることによって、通信部170は、インターネット通信網上の各種のサーバ装置にアクセスして所要の情報を得て、これを対話処理部130等に与える。例えば、通信部170は、Wi−Fi(登録商標)等を利用してインターネット通信網上の特定アクセスポイントにアクセスすることによって、インターネット通信網に接続することができる。
【0206】
また、コミュニケーションユニット1が、不図示のAC電源に接続されると、ACDC変換部185は、AC電圧を所定のDC電圧に変換し、スイッチ180を介してバッテリ24に供給する。全体制御部100、充電制御部140などは、スイッチ180に制御信号を送ることによりスイッチ180を開閉制御して、バッテリ24へのDC電圧の供給を継続・停止制御する。
【0207】
例えば、ACDC変換部185は、ACアダプタとして構成することができる。このACアダプタは、コミュニケーションユニット1に対して着脱可能に構成されている。また、PC(Personal Computer)等の外部電子機器とのインターフェイスとしてUSB端子等が設けられている。USB端子は、充電用として用いたりすることができるが、情報送受信用として用いるタイプのUSBを利用することもできる。
【0208】
また、コミュニケーションユニット1の筐体表面に極小型のディスプレイを埋め込み、様々な情報を表示させる構成とすることもできる。例えば、CPU23が実現する表示制御部が、ディスプレイに各種のエラー情報を表示したり、各種プログラムの更新情報、各種の履歴情報等を表示したりする構成とすることもできる。
【0209】
また、音声認識部120、対話処理部130などが、機械学習機能を有する構成とすることもできる。これにより、適切な受話テキストを求めることができるとともに、受話テキストに対応する適切な発話テキストを選択することができるようになる。
【0210】
例えば、不揮発性メモリを増設するなどして構築したニューラルネットワークに対して、1組の入出力信号とこれに対する教師信号とを与えることによって、シナプスの重み係数が適切に変更される構成とすることができる。学習方法には、バックプロパゲーション等を含めることができ、学習には「深層学習」を含めることができる。
【0211】
(動作概要例)
次に、
図4の全体動作例を説明するフローチャート、
図21にて示した電子系の構成図を参照して、再度、コミュニケーションユニット1の動作概要の一例を説明する。
【0212】
電源ボタン60のON操作によって、電源スイッチ28がONになると、ステップS11において、全体制御部100は、電源スイッチ28がON状態にあることを検出して、OS34を立ち上げ、音声合成LSI160を駆動制御して、スピーカ27から立上げ起動音を放音させる(ステップS12)。
【0213】
全体制御部100は、OS34の起動が完了すると、プログラム35を立ち上げる。プログラム35が立ち上がると、通信制御部110は、通信部170に通信制御信号を送信する。これにより、通信部170は、インターネット通信網に接続することをトライする(ステップS13)。
【0214】
ステップS14において、通信部170が、インターネット通信網と接続できたか否かに応じて、対話処理部130は「オフライン対話」(ステップS15)、または、「オンライン対話処理」(ステップS16)を実行する。
【0215】
「オフライン対話」の場合には、音声認識部120が、マイク26で拾ったユーザの音声信号を認識して不図示の「音声認識エンジン」に入力して「受話テキスト」を求めて対話処理部130に渡す。対話処理部130は「受話テキスト」をローカルの不図示の「対話エンジン」に入力し、「発話テキスト」を選定する。対話処理部130は、音声合成LSI160を駆動制御して、「発話テキスト」に基づいた発話を行わせる。
【0216】
一方、「オンライン対話」の場合、音声認識部120は、マイク26を介して入力された音声信号を、通信部170を介して「サーバ音声認識エンジン」に送信する。通信部170は「サーバ音声認識エンジン」から得られた検索情報を音声認識部120に渡す。音声認識部120は、渡された検索情報に基づいて「受話テキスト」を認識する。
【0217】
そして、対話処理部130は、認識された「受話テキスト」をサーバまたはローカルの「対話エンジン」に入力し、「発話テキスト」を選定する。対話処理部130は、音声合成LSI160を駆動して、選定された発話テキストに基づいた発話処理を実行する。
【0218】
そして、
図4には図示していないが、「オフライン対話」、「オンライン対話」の双方における発話処理の後、処理速度制御部150は、処理速度制御を実行する。処理速度制御部150は、温度センサ46からの温度信号で示される温度が、警告温度Taを超えていると判定した場合、CPU23の処理速度を「低速」に設定する。一方、処理速度制御部150は、温度センサ46からの温度信号で示される温度が、警告温度Ta以下であると判定した場合には、CPU23の処理速度を「高速」に設定する。
【0219】
次いで、ステップS17において、充電制御部140は、充電制御を実行する。充電制御部140は、「(1)コミュニケーションユニット1がAC電源(不図示)に接続されていると判定したこと」、「(2)バッテリ残量検出部48からの残量信号に基づいて、バッテリ24が「フル充電」されていないと判定したこと」、「(3)温度センサ46からの温度信号に基づいて、バッテリ24の温度が警告温度Taを超えていないと判定したこと」の総ての条件を満たす場合、「充電制御開始」を行うが、これ以外の場合には、充電処理せずに、または、スイッチ180を開状態として「充電停止」させる。
【0220】
次に、ステップS18において、全体制御部100が、「スリープトリガー」を検知したと判定した場合、全体制御部100は、CPU23を「スリープモード」とする(ステップS19)。「スリープモード」においては、全体制御部100が、CPU23の動作を間欠的に停止させて消費電力を抑制する。一方、全体制御部100が「スリープトリガー」を検知してないと判定した場合、ステップS22に進む。
【0221】
ステップS20においては、充電制御部140は、ステップS17と同様の充電制御を実行し、ステップS21において、全体制御部100は、「ウェイクトリガー」が検知されたか否かを判定する。全体制御部100が、「ウェイクトリガー」が検知されないと判定した場合、「スリープモード」を継続する。一方、全体制御部100が、「ウェイクトリガー」を検知したと判定した場合、「スリープモード」から脱して、ステップS22に進む。
【0222】
ステップS22では、全体制御部100は、バッテリ残量検出部48からの残量信号に基づいて、バッテリ残量が所定量よりも低下しているか否かを判定する。全体制御部100が、バッテリ残量が所定量よりも低下していないと判定した場合、ステップS23に進む。一方、全体制御部100が、バッテリ残量が所定量より低下していると判定した場合、全体制御部100は、シャットダウン処理をして電源を強制的にOFFにする(ステップS24)。
【0223】
ステップS23において、全体制御部100が、電源ボタン60が長押しされていないと判定した場合、対話処理部130は、インターネット網と接続されているか否かに応じて、「オフライン対話」または「オンライン対話」を実行する(ステップS14)。一方、全体制御部100は、電源ボタン60が長押しされていると判定した場合、シャットダウン処理をして電源を強制的にOFFにする(ステップS24)。
【0224】
以上が動作概要の一例の説明である。本発明の実施形態のコミュニケーションユニット1のコントローラ22を含む電子系の構成によれば、ユーザとのコミュニケーションを行うための処理を実行することができる。
【0225】
さらに、処理速度制御部150が、バッテリ24の温度に応じて、CPU23の処理速度を「高速」と「低速」との間で切り換え制御し、充電制御部140が、バッテリ24の温度に応じて、充電制御の開始制御・停止制御をすること等ができる。
【0226】
したがって、処理速度制御部150、充電制御部140が実行する処理によって、バッテリ24の温度上昇を抑制させるための制御を実現することができる。また、CPU23が、バッテリ24の温度が所定値以上となる場合、コミュニケーションユニット1の一部のデバイスを休止状態とする機能、所定の処理の実行を休止させる機能等を有する構成としても良い。
【0227】
また、バッテリ24を長持ちさせるための他の構成例として、(1)所定時間対話が行われない場合、CPU23が強制的に電源オフとすること(この所定時間はユーザが設定可能とする)、(2)バッテリ24の電圧消費量が大きなWi−Fi(登録商標)の代わりに、Bluetooth(登録商標)のテザリング機能を使用して、インターネット通信網等の外部ネットワークに接続することなどが挙げられる。
【0228】
また、コミュニケーションユニット1に対し、無線により充電させる構成として、スマートフォン等の情報処理端末装置を近づける操作を行うことにより、無線での電源供給を可能とすることもできる。
【0229】
また、「ユーザにより「ぬいぐるみ」越しの操作のために、電源ボタン60を長押ししないとコミュニケーションユニット1が反応しない構成とすること」、「センサを使用して「ぬいぐるみ」が叩かれたことや揺らせれたことを検知して自動発話させて、電源が投入されていることをユーザに把握容易とすること」などもできる。センサとしては、例えば、6軸の加速度センサ、振動センサ等の各種のセンサを用いることができる。
【0230】
以上、本発明の実施形態について説明してきたが、各実施形態に対して、種々の変形、変更などを施すことができる。また、本発明によれば、筐体に貫通空洞を設けたり、筐体と一体形成したリブ間に断熱材を挿入して電線を挟み込む構成としたりするので、コミュニケーションユニット1の小型化も図ることが可能になる。即ち、本発明と同様または類似の構造を有する対話型装置であって、バッテリの温度上昇抑制を行うことができたり、あるいは、従来に比して小型化を図ることができるものは、本発明の権利範囲に包含される。以上、本発明の実施形態について説明してきたが、各実施形態に対して、種々の変形、変更などを施すことができる。