(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0015】
(第1の実施形態)
本実施形態では、医療用機器として滅菌装置を例として挙げており、滅菌装置の運転状況に関するデータを管理するシステムについて説明する。
図1に、本実施形態のデータ通信システム10の概略構成を示す。
滅菌装置12は病院等の施設内に設置されており、治療用の包帯、メス、鉗子、手術着等の滅菌が必要な被滅菌物を滅菌処理する装置である。滅菌装置12は、被滅菌物を収容する圧力容器を有しており、この圧力容器内に蒸気又は酸化エチレンガスなどの滅菌剤を導入して被滅菌物を滅菌する。
【0016】
滅菌装置12には、滅菌装置12の運転状況データを取得し、取得した運転状況データを送信可能なデータ処理送信モジュール14が設けられている。データ処理送信モジュール14としては、小型のPC(Personal Computer)を想定しており、内部にCPU、メモリ等からなる制御部16と、制御部16によって制御されて外部との通信を実行する通信部18とを有している。
【0017】
ここで、滅菌装置12を蒸気滅菌装置であるとした場合を例にとって、蒸気滅菌装置の運転工程について説明する。
蒸気滅菌装置は、滅菌槽である圧力容器を有しており、この圧力容器内に飽和水蒸気を導入して加圧・加熱し、所定の圧力及び温度を一定時間保持することにより被滅菌物を滅菌するように動作する。圧力容器としては、内缶と外缶とからなる二重缶構造のものを採用することがある。内缶と外缶の間がジャケット部である。ジャケット部に飽和水蒸気を導入することで内缶の温度を調整できる。
【0018】
作業者が内缶内に被滅菌物を収納した後、蒸気滅菌装置は滅菌を実行する前の予熱工程(コンディショニング工程)を実行する。予熱工程では、真空ポンプによって内缶を真空状態とした後、飽和水蒸気を導入して内缶を飽和水蒸気によって大気圧まで上昇させる。そして、再度内缶内を真空状態とする。この動作を複数回繰り返すことによって、被滅菌物が十分に予熱されると共に、内缶内に残留する空気を水蒸気に置換し、内缶内雰囲気を飽和蒸気状態に近づけていく。
【0019】
蒸気滅菌装置は、予熱工程の終了後、内缶内に飽和水蒸気を導入して所定の圧力に加圧し、またジャケット部に飽和水蒸気を導入して内缶を所定温度に加熱する。内缶内が、飽和水蒸気によって所定圧力・所定温度で一定時間維持されることによって収容された被滅菌物の滅菌が施される。
一定時間経過後は、滅菌工程を終了させて内缶とジャケット部から飽和水蒸気を排出する排気工程が実行される。排気工程によって真空状態となった内缶内では、被滅菌物に付着した水分を蒸発させて乾燥させる。
【0020】
滅菌装置12は、上記のような工程を実行するために、滅菌装置12の各構成部品を制御するための制御部9を備えている。制御部9は、CPU及びメモリ等から構成されており、滅菌装置12が備える各バルブ、蒸気発生器、真空ポンプ等に対して制御信号を出力するとともに、温度センサ、圧力センサ等からの温度データや圧力データを取得する。
【0021】
また、滅菌装置12のデータ処理送信モジュール14は、制御部9から運転状況データとして、以下のデータを取得する。ただし、これらのデータは一例であり、これらすべてのデータを取得することが必須ではなく、またこれら以外のデータを取得してもよい。
運転状況データは大きく分けて次の4つのデータ、運転モニタデータ、運転プログラムデータ、運転履歴データ、及び異常履歴データを含む。
【0022】
運転モニタデータとしては、サンプリング年月、サンプリング日時、サンプリング分秒、その日の運転回数、ラックNo.、現在プログラム番号、現在処理情報、現在工程情報、運転残時間、内筒温度、外筒温度、内筒圧力、異常番号、運転開始年月、運転開始日時、運転開始分秒、メッセージ番号、が挙げられる。
【0023】
運転プログラムデータとしては、消毒温度、予備消毒時間、排気速度、予熱パルス回数、予熱時間、蒸気ブロー時間、真空パルス回数、ダイナミックパルス回数、滅菌温度、滅菌時間、真空乾燥時間、混合乾燥時間、放置時間、エアーブロー時間、が挙げられる。
【0024】
運転履歴データとしては、その日の運転回数、ラックNo.、プログラム番号、運転開始年月、運転開始日時、運転開始分秒、運転終了年月、運転終了日時、運転終了分秒、滅菌開始年月、滅菌開始日時、滅菌開始分秒、滅菌終了年月、滅菌終了日時、滅菌終了分秒、停電発生、異常発生、自動修正、パス/強制終了操作、手動操作、一時停止操作、ランニングコスト、作業者コード、が挙げられる。
【0025】
異常履歴データとしては、その日の運転回数、ラックNo.、発生時 プログラム番号、発生時処理情報、発生時工程情報、発生時内筒温度、発生時外筒温度、発生時内筒圧力、発生時サンプル温度、異常番号、異常発生年月、異常発生日時、異常発生分秒、が挙げられる。
【0026】
データ処理送信モジュール14は、通信回線20を介して管理サーバ30と通信可能に接続されている。通信回線20としては、機密性を確保できることが好ましいため、本実施形態では、モバイルデータ通信回線を用いている。
【0027】
モバイルデータ通信回線は使用できる帯域が制限されており、あるいはベストエフォート型であり、通信されるデータ量や通信頻度、通信回線の混雑状況によってはデータの輻輳が生じる可能性もある。すなわち、モバイルデータ通信回線は、リアルタイム通信でデータ送信するとデータを欠損するおそれもあり、欠損が起きては困るデータの通信を行いたい場合には、この組み合わせは不向きであるといえる。しかしながら、本発明では以下のようにこのような欠点を補うことができる。
【0028】
すなわち、データ処理送信モジュール14は運転状況データをリアルタイム送信するとともに、1つの処理工程が終了するごとに運転状況データをまとめてバッチ送信するので、管理サーバ30側では最終的に欠損の無い運転状況データを受信できる。
管理サーバ30は、リアルタイム送信された運転状況データをリアルタイムで確認でき、なおかつバッチ送信された運転状況データに基づいて滅菌装置12の保守管理等に役立てることができる。
【0029】
データ処理送信モジュール14は、所定のプログラム(ソフトウェア)を制御部16が実行することで実現されるリアルタイム送信部22とバッチ送信部24とを備える。
リアルタイム送信部22は、滅菌装置12の制御部9から上記の運転モニタデータを取得し、通信部18から管理サーバ30へリアルタイム送信する。リアルタイム送信部22は、通信プロトコルとして通常はUDP(User Datagram Protocol)を用いて運転モニタデータを送信するが、TCP(Transmission Control Protocol)を用いることもできる。
【0030】
バッチ送信部24は、上記の運転モニタデータを、1回の滅菌工程が終了した時点でまとめて通信部18から管理サーバ30へ送信する。バッチ送信部24は、通信プロトコルとしてTCP(Transmission Control Protocol)を用いて運転モニタデータを送信する。
なお、バッチ送信部24は、運転モニタデータの送信に際し、運転モニタデータを圧縮処理するとよい。これにより、通信回線20の帯域を有効利用することができ、輻輳などの発生を防止できる。圧縮処理としては、可逆圧縮処理であるZIP形式などを採用するとよい。
【0031】
ただし、本発明としては、通信回線20をモバイルデータ通信回線に限定するものではない。通信回線20としてインターネットやイントラネットを用いてもよい。ただし、通信回線20がモバイルデータ通信回線でなくても、例えば通信機器であるハブ等がダウンするなど不測の事態により、リアルタイム送信中にデータ欠損の可能性がある。したがって、通信回線20がモバイルデータ通信回線でなくても、バッチ送信によって欠損のないデータを送信するという効果を奏しうる。
【0032】
なお、リアルタイム送信せず、バッチ送信のみによって管理サーバ30へ送信する運転状況データもある。
バッチ送信のみによって送信する運転状況データは、上記の運転プログラムデータ、運転履歴データ、及び異常履歴データである。これらのデータは、リアルタイムで送信する必要がない。すなわち、これらのデータはリアルタイムで状況確認をする必要性が高くなく、履歴管理に必要とされるのみであるためバッチ送信によって送信される。
【0033】
次に管理サーバ30について説明する。
管理サーバ30は、モニタ32と、CPU及びメモリ等からなる制御部34と、制御部34によって制御されて外部との通信を実行する通信部36と、ハードディスクドライブ等の記憶部38とを有している。
管理サーバ30の制御部34は、リアルタイム送信された運転モニタデータをモニタ32上で表示させるためのソフトウェアである表示手段40を実行する。
【0034】
表示手段40によってモニタ32に表示される運転モニタデータの例を
図2〜
図3に示す。
図2に示す図が、滅菌装置1台をリアルタイムにモニタするリアルタイムモニタ画面の例である。
リアルタイムモニタ画面42の上部では、その日の運転回数、稼働中か否か、滅菌対象物、現在工程、運転残時間、内筒温度、内筒圧力、外筒温度が表示されている。そして、内筒温度、内筒圧力及び外筒圧力については、横軸を時間軸とし、縦軸を温度及び圧力としたグラフに表示される。表示手段40は、このグラフがリアルタイムで更新されるように制御する。
【0035】
図3に示す図が、滅菌装置8台の運転モニタデータをモニタ32に表示されたリアルタイムモニタ画面の例である。
表示手段40は、複数の滅菌装置のそれぞれに対して運転モニタデータのリアルタイムモニタ画面42をモニタ32に表示させることができる。各リアルタイムモニタ画面42の内容は
図2と同様であるので、ここでは説明は省略する。
【0036】
管理サーバ30の記憶部38は、運転モニタデータがバッチ送信されてきた場合に、この運転モニタデータを記憶する。このため、管理サーバ30の操作者は、リアルタイム送信中にデータの欠損があった場合でも記憶部38に記憶されている運転モニタデータを参照することができる。
さらに管理サーバ30の記憶部38は、バッチ送信された運転モニタデータ以外に、バッチ送信された運転プログラムデータ、運転履歴データ及び異常履歴データを記憶する。
【0037】
図4に管理サーバに送信された各データの使用例のイメージを示す。
図4における管理サーバ30は、通信回線20とは別にインターネット回線44と接続している。そして、管理サーバ30の制御部34は、インターネット回線44を介して外部から閲覧可能なWEBページ46を管理サーバ30内で構築している。すなわち、管理サーバ30はWEBサーバとして機能し、他のWEBクライアント(特許請求の範囲でいう外部コンピュータ)のWEBブラウザによってWEBページ46を閲覧させることができる。
【0038】
WEBクライアントとしては、滅菌装置12を備えているユーザ(病院)、又は滅菌装置12の保守管理を行う保守管理業者のコンピュータ50又はモバイル機器51などがある。
ただし、ユーザ、保守管理業者以外の第三者の閲覧ができないように、WEBクライアントがアクセスしたときには、あらかじめ設定したユーザ名及びパスワードを入力しなければWEBページ46にアクセスできないようなポータルサイト47を設定するとよい。
【0039】
WEBページ46としては、
図2〜
図3に示したリアルタイムモニタ画面42及びバッチ送信された運転プログラムデータ、運転履歴データ及び異常履歴データ(図示せず)を挙げることができる。
ユーザ又は保守管理業者は、コンピュータ50又はモバイル機器51でリアルタイムモニタ画面42を確認した結果、異常が発生したことを認識した場合に該当する滅菌装置12へ赴いて対処することができる。
【0040】
また、ユーザ又は保守管理業者は、コンピュータ50又はモバイル機器51で運転プログラムデータ、運転履歴データ及び異常履歴データを確認することでメンテナンス等の参考にすることができる。
【0041】
また、管理サーバ30の制御部34は、WEBクライアントに対して警告を送信する警告送信部43を実現する。
警告送信部43は、特にリアルタイム送信された運転モニタデータの異常を検出したときに、ユーザ又は保守管理業者のコンピュータ50又はモバイル機器51に警告を送信するものである。警告の具体例としては、「警告」であることを記載したメールであったり、またあらかじめコンピュータ50又はモバイル機器51に警告送信部43からの警告メールを受信すると警告音が生じるように設定をしておくなどが考えられる。
【0042】
警告送信部43が警告を送信する場合としては、例えばコンディショニング工程、滅菌工程、排気工程、乾燥工程の各工程において内缶圧力が所定圧力を越えた場合、又は内缶温度若しくは外缶温度が所定温度を越えた場合が該当する。ただし、所定圧力及び所定温度は各工程ごとにあらかじめ閾値を設定して記憶しておくことが必要である。
なお、警告送信部43は、各工程において所定圧力又は所定温度に達しない場合も異常として警告を送信してもよい。この場合も各工程において、低圧、低温側の所定圧力及び所定温度の閾値を設定して記憶しておく。
【0043】
(第2の実施形態)
本実施形態では、医療用機器として洗浄装置を採用した場合について、
図5に基づいて説明する。なお、第1の実施形態で説明した構成要素と同一の構成要素については同一の符号を付し、説明を省略する場合もある。
【0044】
洗浄装置60は、メス、鉗子、鋏等のステンレス製又は鉄製などの医療用器材を洗浄する装置である。このような医療用器材が、医療で使用されると血液や体液と接触するが、使用直後に洗浄せずに放置されると錆が発生する。また,これら血液や体液が付着した医療用器材は感染の危険性がある。感染防止のために、医療用器材に付着した血液や体液は、確実に洗浄し取り除き,また洗浄後は再汚染させないために速やかに乾燥させる必要がある。
【0045】
なお、洗浄装置60としては、洗浄槽と乾燥槽を兼ねた1つの槽を有する単槽タイプであることが一般的であるが、単槽タイプに限定するものではない。
【0046】
以下、本実施形態の洗浄装置における工程を説明する。
まず、洗浄装置60は、洗浄工程を実施する前に、予備洗浄(予洗)を行う。予備洗浄とは、洗浄剤を用いずに水又は温水で被洗浄物を洗浄する工程である。これにより、被洗浄物表面の埃等を落とすことができる。予備洗浄においては、被洗浄物を水又は温水に浸漬させておくだけの浸漬洗浄、水又は温水を被洗浄物に噴射させるジェット洗浄、水又は温水に被洗浄物を浸漬させておき水又は温水に超音波振動をかける超音波洗浄のいずれかを採用することができる。
【0047】
そして、洗浄装置60は予備洗浄終了後、洗浄槽に収納された被洗浄物に対して洗浄液を噴射して洗浄するジェット洗浄、洗浄液に超音波をかけて洗浄を行う超音波洗浄のうちの双方の洗浄方式又はいずれか一方の方式により洗浄を行う。
【0048】
洗浄装置60は、被洗浄物に対して洗浄を施した後、水又は温水によるすすぎを行う。すすぎについても、水又は温水を噴射して洗浄するジェット洗浄、水又は温水に超音波をかけて洗浄を行う超音波洗浄のうちの双方の洗浄方式又はいずれか一方の洗浄方式を採用することができる。
また、洗浄装置60は、すすぎ工程において、水又は温水に防錆潤滑剤を添加してもよい。
【0049】
洗浄装置60はすすぎを行ったのち、熱水処理を行う。熱水処理においては、水又は温水を65℃〜93℃に加熱して処理を行うことで、洗浄対象物を消毒することができる。この熱水処理においては、水又は温水に浸漬させておくだけの浸漬洗浄、水又は温水を洗浄対象物に噴射させるジェット洗浄などを採用することができる。
【0050】
熱水処理の後、洗浄装置60は、被洗浄物を乾燥させる。乾燥は、熱風を被洗浄物に噴射させることと、又は被洗浄物の設置雰囲気を加温することにより行われる。これにより、被洗浄物の洗浄工程が終了する。
【0051】
洗浄装置60は、上記のような工程を実行するために、洗浄装置60の各構成部品を制御するための制御部61を備えている。制御部61は、CPU及びメモリ等から構成されており、洗浄装置60が備える各バルブ、ポンプ、超音波発生器等に対して制御信号を出力するとともに、温度センサ等からの温度データを取得する。
【0052】
また、洗浄装置60のデータ処理送信モジュール64は、制御部61から運転状況データとして、以下のデータを取得する。ただし、これらのデータは一例であり、これらすべてのデータを取得することが必須ではなく、またこれら以外のデータを取得してもよい。
運転状況データは大きく分けて次の4つのデータ、運転モニタデータ、運転プログラムデータ、運転履歴データ、及び異常履歴データを含む。
【0053】
運転モニタデータとしては、サンプリング年月、サンプリング日時、サンプリング分秒、その日の運転回数、ラックNo.、現在プログラム番号、現在処理情報、現在工程情報、運転残時間、液温度、槽内温度、ポンプ圧、水位、異常番号、運転開始年月、運転開始日時、運転開始分秒、メッセージ番号、が挙げられる。
【0054】
運転プログラムデータとしては、予洗:温度(℃)、予洗:時間(分)、予洗:回数、予洗:使用水、予洗:排水、洗浄:温度(℃)、洗浄:時間(分)、洗浄:回数、洗浄:薬剤、洗浄:薬剤濃度(%)、洗浄:使用水、洗浄:排水、洗浄2回目:使用水、洗浄2回目:薬剤、洗浄2回目:排水、洗浄2回目:時間(分)、洗浄2回目:温度(℃)、洗浄2回目:薬剤濃度(%)、洗浄3回目:使用水、洗浄3回目:薬剤、洗浄3回目:排水、洗浄3回目:時間(分)、洗浄3回目: 温度(℃)、洗浄3回目:薬剤濃度(%)、洗浄4回目:使用水、洗浄4回目:薬剤、洗浄4回目:排水、洗浄4回目:時間(分)、洗浄4回目:温度(℃)、洗浄4回目:薬剤濃度(%)、洗浄5回目:使用水、洗浄5回目:薬剤、洗浄5回目:排水、洗浄5回目:時間(分)、洗浄5回目:温度(℃)、洗浄5回目:薬剤濃度(%)、超音波:温度(℃)、超音波:時間(分)、超音波:回数、超音波:薬剤、超音波:薬剤濃度(%)、超音波:使用水、超音波:排水、超音波:水位、超音波:方式、すすぎ:温度(℃)、すすぎ:時間(分)、すすぎ:回数、すすぎ:使用水、すすぎ:排水、すすぎ2回目:使用水、すすぎ2回目:排水、すすぎ2回目:時間(分)、すすぎ2回目:温度(℃)、すすぎ3回目:使用水、すすぎ3回目:排水、すすぎ3回目:時間(分)、すすぎ3回目:温度(℃)、すすぎ4回目:使用水、すすぎ4回目:排水、すすぎ4回目:時間(分)、すすぎ4回目:温度(℃)、すすぎ5回目:使用水、すすぎ5回目:排水、すすぎ5回目:時間(分)、すすぎ5回目:温度(℃)、熱水:温度(℃)、熱水:時間(分)、熱水:回数、熱水:使用水、熱水:排水、熱水:A0値、防錆:温度(℃)、防錆:時間(分)、防錆:回数、防錆:薬剤、防錆:薬剤濃度(%)、防錆:使用水、防錆:排水、乾燥:温度(℃)、乾燥:時間(分)、乾燥:回数、A0、強制終了の動作選択、自動コンベア、リザーブタンク使用回数、リザーブタンクの薬剤濃度(%)、排水冷却、扉インターロック、プログラムバージョン、が挙げられる。
【0055】
運転履歴データとしては、その日の運転回数、ラックNo.、プログラム番号、運転開始年月、運転開始日時、運転開始分秒、運転終了年月、運転終了日時、運転終了分秒、ジェット洗浄開始年月、ジェット洗浄開始日時、ジェット洗浄開始分秒、ジェット洗浄終了年月、ジェット洗浄終了日時、ジェット洗浄終了分秒、停電発生、異常発生、自動修正、パス/強制終了操作、手動操作、一時停止操作、ランニングコスト、作業者コード、が挙げられる。
【0056】
異常履歴データとしては、その日の運転回数、ラックNo.、発生時プログラム番号、発生時処理情報、発生時工程情報、発生時液温度、発生時槽内温度、発生時ポンプ圧、発生時水位、異常番号、異常発生年月、異常発生日時、異常発生分秒、が挙げられる。
【0057】
データ処理送信モジュール64は、通信回線20を介して管理サーバ30と通信可能に接続されている。通信回線20としては、機密性を確保できることが好ましいため、本実施形態では、モバイルデータ通信回線を用いている。
【0058】
データ処理送信モジュール64は運転状況データをリアルタイム送信するとともに、1つの処理工程が終了するごとに運転状況データをまとめてバッチ送信する。このため、管理サーバ30側では最終的に欠損の無い運転状況データを受信できる。
管理サーバ30は、リアルタイム送信された運転状況データをリアルタイムで確認でき、なおかつバッチ送信された運転状況データに基づいて洗浄装置60の保守管理等に役立てることができる。
【0059】
データ処理送信モジュール64は、所定のプログラム(ソフトウェア)を制御部66によって実行することで実現されるリアルタイム送信部72とバッチ送信部74とを備える。
リアルタイム送信部72は、洗浄装置60の制御部61から上記の運転モニタデータを取得し、通信部68から管理サーバ30へリアルタイム送信する。リアルタイム送信部72は、通信プロトコルとして通常はUDP(User Datagram Protocol)を用いて運転モニタデータを送信するが、TCP(Transmission Control Protocol)を用いることもできる。
【0060】
バッチ送信部74は、上記の運転モニタデータを、1回の洗浄工程が終了した時点でまとめて通信部68から管理サーバ30へ送信する。バッチ送信部74は、通信プロトコルとしてTCP(Transmission Control Protocol)を用いて運転モニタデータを送信する。
なお、バッチ送信部74は、運転モニタデータの送信に際し、運転モニタデータを圧縮処理するとよい。これにより、通信回線20の帯域を有効利用することができ、輻輳などの発生を防止できる。圧縮処理としては、可逆圧縮処理であるZIP形式などを採用するとよい。
【0061】
ただし、本発明としては、通信回線20をモバイルデータ通信回線に限定するものではない。通信回線20としてインターネットやイントラネットを用いてもよい。ただし、通信回線20がモバイルデータ通信回線でなくても、例えば通信機器であるハブ等がダウンするなど不測の事態により、リアルタイム送信中にデータ欠損の可能性がある。したがって、通信回線20がモバイルデータ通信回線でなくても、バッチ送信によって欠損のないデータを送信するという効果を奏しうる。
【0062】
なお、リアルタイム送信せず、バッチ送信のみによって管理サーバ30へ送信する運転状況データもある。
バッチ送信のみによって送信する運転状況データは、上記の運転プログラムデータ、運転履歴データ、及び異常履歴データである。これらのデータは、リアルタイムで送信する必要がない。すなわち、これらのデータはリアルタイムで状況確認をする必要性が高くなく、履歴管理に必要とされるのみであるためバッチ送信によって送信される。
【0063】
管理サーバ30はリアルタイム送信された洗浄装置60の運転モニタデータを、リアルタイムモニタ画面として、表示手段40によってモニタ32に表示させる(図示せず)。ただし、リアルタイムデータ画面については、
図2〜
図3に示した内容とは異なる内容となる。
【0064】
また、管理サーバ30の記憶部38は、バッチ送信された洗浄装置60の運転プログラムデータ、運転履歴データ、異常履歴データも記憶する。
【0065】
なお、管理サーバ30に接続されるユーザ及び管理保守業者、警告送信部43並びにWEBページ46については第1の実施形態と同様であるため、ここでは説明を省略する。
【0066】
(他の実施形態)
上述した各実施形態では、滅菌装置からの運転状況データを送受信するシステムと、洗浄装置からの運転状況データを送受信するシステムを別々の実施形態で説明したが、滅菌装置から送信される管理サーバと、洗浄装置から送信される管理サーバが同一の管理サーバであって、この管理サーバは滅菌装置と洗浄装置からの運転状況データの双方を受信できるようにしてもよい。