(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6850557
(24)【登録日】2021年3月10日
(45)【発行日】2021年3月31日
(54)【発明の名称】視線追跡デバイスおよび前記視線追跡デバイスを埋め込む頭部装着型デバイス
(51)【国際特許分類】
A61B 3/113 20060101AFI20210322BHJP
【FI】
A61B3/113
【請求項の数】8
【外国語出願】
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2016-124627(P2016-124627)
(22)【出願日】2016年6月23日
(65)【公開番号】特開2017-12746(P2017-12746A)
(43)【公開日】2017年1月19日
【審査請求日】2019年6月18日
(31)【優先権主張番号】15306047.0
(32)【優先日】2015年6月30日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】518341334
【氏名又は名称】インターデジタル シーイー パテント ホールディングス
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100108213
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 豊隆
(72)【発明者】
【氏名】ルノー ドレ
(72)【発明者】
【氏名】フランク ギャルピン
(72)【発明者】
【氏名】ブノア ヴァンダーメ
【審査官】
安田 明央
(56)【参考文献】
【文献】
国際公開第2015/130849(WO,A1)
【文献】
特開2015−061595(JP,A)
【文献】
国際公開第2016/149416(WO,A1)
【文献】
国際公開第2014/030158(WO,A1)
【文献】
特開2012−085747(JP,A)
【文献】
特表2017−515182(JP,A)
【文献】
特開2013−081762(JP,A)
【文献】
特表2015−526187(JP,A)
【文献】
特表2016−539717(JP,A)
【文献】
特開平08−278134(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 3/00−3/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
視線追跡デバイスであって、
前記視線追跡デバイスの使用者の目の表面上に赤外光を投影するように構成された複数の光源と、
前記使用者の前記目の前記表面から反射された前記赤外光を捕捉するための複数のマイクロレンズを有するマイクロレンズアレイを含むライトフィールドカメラであって、前記マイクロレンズアレイの少なくとも一つのマイクロレンズに偏光フィルターが装備される、ライトフィールドカメラと、
を備える、前記視線追跡デバイス。
【請求項2】
前記光源は、前記使用者の前記目の視野の周辺部に配置される、請求項1に記載の視線追跡デバイス。
【請求項3】
前記ライトフィールドカメラは、前記使用者の前記目の視野の周辺部に配置される、請求項1または2に記載の視線追跡デバイス。
【請求項4】
前記光源は、偏光された赤外光を放出する、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の視線追跡デバイス。
【請求項5】
少なくとも1つの視線追跡デバイスを備える頭部装着型デバイスであって、
前記視線追跡デバイスの使用者の目の表面上に赤外光を投影するように構成された複数の光源と、
前記使用者の前記目の前記表面から反射された前記赤外光を捕捉するための複数のマイクロレンズを有するマイクロレンズアレイを含むライトフィールドカメラであって、前記マイクロレンズアレイの少なくとも一つのマイクロレンズに偏光フィルターが装備される、ライトフィールドカメラと、
を備える、前記頭部装着型デバイス。
【請求項6】
前記光源は、前記頭部装着型デバイスのフレームの縁上に配置される、請求項5に記載の頭部装着型デバイス。
【請求項7】
前記ライトフィールドカメラは、前記頭部装着型デバイスの前記フレームの前記縁上に配置される、請求項5または6に記載の頭部装着型デバイス。
【請求項8】
前記ライトフィールドカメラは、前記頭部装着型デバイスの前記フレームの側部上に埋め込まれる、請求項7に記載の頭部装着型デバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般に、とりわけ目の開きが狭い使用者向けの、使用者の視線の確実かつ正確な追跡を提供することが可能な視線追跡デバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
視線追跡は、人間の頭部に対する注視点または目の動きを測定するプロセスである。視線追跡デバイスは、眼位および眼球運動を測定することが可能なデバイスである。
【0003】
国際公開第2013/167864号に開示されているように、視線追跡は、頭部装着型デバイスまたはHMDの主要な特徴である。なぜならそれは、頭部の移動度の限界を超えたところに配置された物体を視るように、そのようなHMDの使用者の能力を拡張することができるからである。1つの視線追跡技術は、HMDの使用者の目の位置を決定するために、使用者の目の中に赤外光を投影し、1次プルキンエ反射および瞳孔がマスクされた反射を利用することからなる。この方法は、使用者の目の前に配置されたビームスプリッタを用いて使用者の注視点を特徴付けるベクトルを設定するために、反射された画像の相対的な動きを追跡することからなる。この結果得られる視線追跡デバイスは、大きくて扱いにくく、HMD内に埋め込むのが困難である。この方法の別の制限は、照明方式と反射された画像の幾何学図形的配列との組合せのために制限された視野である。
【0004】
本発明は、上記を考慮に入れて考案した。
【発明の概要】
【0005】
本発明の第1の特徴は、視線追跡デバイスにかかわり、視線追跡デバイスは、
− 前記視線追跡デバイスの使用者の目の表面上に赤外光を投影するように構成された複数の光源と、
− 上記使用者の上記目の上記表面から反射された上記赤外光を捕捉するライトフィールドカメラと、
を備える。
【0006】
本発明による視線追跡デバイスの実施形態では、上記光源は、上記使用者の上記目の視野の周辺部に配置される。
【0007】
本発明による視線追跡デバイスの実施形態では、上記ライトフィールドカメラは、上記使用者の上記目の視野の周辺部に配置される。
【0008】
本発明による視線追跡デバイスの実施形態では、上記光源は、偏光された赤外光を放出する。
【0009】
本発明による視線追跡デバイスの実施形態では、少なくとも上記ライトフィールドカメラのマイクロレンズアレイのマイクロレンズに、偏光フィルターが装備される。
【0010】
本発明の第2の特徴は、少なくとも1つの視線追跡デバイスを備える頭部装着型デバイスにかかわり、視線追跡デバイスは、
− 前記視線追跡デバイスの使用者の目の表面上に赤外光を投影するように構成された複数の光源と、
− 上記使用者の上記目の上記表面から反射された上記赤外光を捕捉するライトフィールドカメラと、
を備える。
【0011】
本発明による頭部装着型デバイスの実施形態によると、上記光源は、上記頭部装着型デバイスのフレームの縁上に配置される。
【0012】
本発明による頭部装着型デバイスの実施形態によると、上記ライトフィールドカメラは、上記頭部装着型デバイスの上記フレームの上記縁上に配置される。
【0013】
本発明による頭部装着型デバイスの実施形態によると、上記ライトフィールドカメラは、上記頭部装着型デバイスの上記フレームの側部上に埋め込まれる。
【0014】
本発明の要素によって実施されるいくつかのプロセスは、コンピュータで実施することができる。したがって、そのような要素は、完全にハードウェアの実施形態、完全にソフトウェアの実施形態(ファームウェア、常駐ソフトウェア、マイクロコードなどを含む)、またはソフトウェアとハードウェアの特徴を組み合わせた実施形態の形をとることができ、本明細書ではすべてを全体として、「回路」、「モジュール」、または「システム」と呼ぶことができる。さらに、そのような要素は、任意の有形表現媒体内で実施されるコンピュータプログラム製品の形をとることができ、媒体内で実施されるコンピュータ使用可能プログラムコードを有する。
【0015】
本発明の要素は、ソフトウェアで実施することができるため、本発明は、任意の適したキャリア媒体上のプログラム可能装置に提供するためのコンピュータ可読コードとして実施することができる。有形のキャリア媒体は、フロッピーディスク、CD−ROM、ハードディスクドライブ、磁気テープデバイス、または固体状態メモリデバイスなどの記憶媒体を含むことができる。一時的なキャリア媒体は、電気信号、電子信号、光信号、音響信号、磁気信号、または電磁信号、たとえばマイクロ波またはRF信号などの信号を含むことができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
本発明の実施形態について、例示のみを目的として、以下の図面を参照しながら、次に説明する。
【
図1】本発明の実施形態による視線追跡デバイスを表す図である。
【
図2】本発明の実施形態による視線追跡デバイスのライトフィールドカメラのマイクロレンズアレイのマイクロレンズを表す図である。
【
図3】本発明の実施形態による視線追跡デバイスのライトフィールドカメラによって取得されるライトフィールドデータを処理する装置を示す概略ブロック図である。
【
図4】本発明の実施形態による視線追跡デバイスを埋め込む頭部装着型デバイスを表す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
当業者には理解されるように、本原理の特徴は、システム、方法、またはコンピュータ可読媒体として実施することができる。したがって、本原理の特徴は、完全にハードウェアの実施形態、完全にソフトウェアの実施形態(ファームウェア、常駐ソフトウェア、マイクロコードなどを含む)、またはソフトウェアとハードウェアの特徴を組み合わせた実施形態の形をとることができ、本明細書ではすべてを全体として、「回路」、「モジュール」、または「システム」と呼ぶことができる。さらに、本原理の特徴は、コンピュータ可読記憶媒体の形をとることができる。1つまたは複数のコンピュータ可読記憶媒体の任意の組合せを利用することができる。
【0018】
図1は、本発明の実施形態による視線追跡デバイス100を表す。そのような視線追跡デバイス100は、たとえばあご当てを備える固定の支持体上に装着することができ、または持ち運びできるデバイスとして実施することができる。本説明では以下、視線追跡デバイス100は、持ち運びできるタイプであると仮定するが、以下に記載する本発明の実施形態は、固定の支持体上に装着される視線追跡デバイス上でも同様に実施することができる。
【0019】
図1に表す視線追跡デバイス100は、使用者の左目向けに設計される。使用者の右目向けに適合された視線追跡デバイスは、
図1に示す視線追跡デバイス100に対して対称である。
【0020】
視線追跡デバイス100は、複数の光源101を備える。光源101は、赤外光源またはIR光源101である。IR光源101は、視線追跡デバイス100のフレーム102上に配置される。このようにして、IR光源101は目103の視野の周辺部に配置されるため、IR光源101は、視線追跡デバイス100の使用者の目103の視野内に位置しない。本発明の実施形態では、IR光源101は、円板、長方形などの開口とすることができる。
【0021】
視線追跡デバイス100のフレーム102内に、ライトフィールドカメラ104が埋め込まれる。したがって、IR光源101と同様に、ライトフィールドカメラ104も、目103の視野の周辺部に配置される。ライトフィールドカメラ104は、複数のマイクロレンズ106を備えるマイクロレンズアレイ105を備える。
【0022】
円板部分107aは、右側を見ている目103を表す。IR光源101によって放出されるIR光108aは、右側を見ている目107aに当たって入射角θ1で反射する。反射したIR光108bは、マイクロレンズ106を通ってライトフィールドカメラ104によって捕捉される。
【0023】
円板部分107bは、左側を見ている目103を表す。IR光源101によって放出されるIR光109aは、左側を見ている目107bに当たって入射角θ2で反射する。反射したIR光109bは、マイクロレンズ106を通ってライトフィールドカメラ104によって捕捉される。
【0024】
ライトフィールドカメラ104によって捕捉される画像内の信号対雑音比を増大させ、したがって得られる視線追跡情報の精度の増大を与えるため、目に当たるIR光の反射を可能な限り多く生成することが重要である。この目標を実現するために、IR光源101は、IR光源101によって放出されるIR光がライトフィールドカメラ104のセンサの少なくとも1つの画素によって捕捉されるようなパターンで、視線追跡デバイス100のフレームの周囲全体にわたって配置することができる。
【0025】
本発明の別の実施形態では、使用者の視線の測定の感度を増大させるために、IR光が目103の表面に当たって反射する際に目103の表面に対して法線方向のベクトルに関係する追加情報が使用される。実際には、目103の表面に対して法線方向のベクトルに関する知識は、目103の向きを計算することを有効にする。
【0026】
目103の表面に対して法線方向のベクトルに関係するそのような情報は、IR光を偏光させることによって得られる。
【0027】
本発明の第1の実施形態では、IR光源101は、偏光されたIR光を放出する。IR光の偏光は、IR光源101に偏光フィルターを装備することによって実現することができる。
【0028】
図2に表す本発明の第2の実施形態では、ライトフィールドカメラ200のマイクロレンズアレイ202のマイクロレンズ201に偏光フィルターが装備される。たとえば、マイクロレンズ201には、2つの異なるタイプの偏光フィルター203、204が装備される。たとえば、偏光フィルター203、204は、直線偏光タイプとすることができ、偏光フィルター203、204の偏光は互いに直交している。偏光フィルター203、204はまた、円偏光タイプとすることができ、偏光フィルター203、204の偏光は互いに逆向きである。
【0029】
IR光源101によって放出された偏光されていないIR光が眼球の表面に当たる反射は、自然偏光を提供することができる。実際には、放出されたIR光の入射角がブルースター角に等しくなることが標的とされるとき、反射したIR光の偏光は、平行偏光に近くなり、すなわち反射したIR光の偏光は、入射するIR光および反射したIR光によって画定される平面に直交する。ブルースター角は、眼球に当たるIR光の反射が生じる位置で眼球の表面に対する法線ベクトルによって画定され、他の媒体が空気であることを考慮して、眼球の透明媒体材料の屈折率にのみ依存する。ブルースター角の値は、それ自体が測定されるのではなく、偏光効果を通じて光に与えられる効果だけが検出される。
【0030】
したがって、本発明の別の実施形態では、IR光源101のいくつかは、偏光されたIR光を放出するのに対して、他のIR光源101は、偏光されていないIR光を放出する。偏光されていないIR光を放出するIR光源は、放出されるIR光の入射角と、この入射角に応じて眼球に入射するIR光の反射が反射したIR光の自然偏光をもたらすという知識とに基づいて選択される。
【0031】
本発明の別の実施形態では、偏光されたIR光を放出するIR光源101の選択は動的であり、使用者の目の現在の位置に基づく。したがって、使用者の目の現在の位置に応じて、所与のIR光源101は、偏光されたIR光を放出し、または偏光されたIR光を放出しない。
【0032】
使用者の目の位置を決定するために、ライトフィールドカメラ104、200によって捕捉されるIR光に関係する情報は、画像処理デバイスへ送信される。本発明の実施形態では、画像処理デバイスおよび視線追跡デバイス100は、頭部装着型デバイスまたはHMDなどの同じ装置内に埋め込まれる。本発明の別の実施形態では、画像処理デバイスおよび視線追跡デバイス100は、互いから離れた2つの別個のデバイスである。視線追跡デバイス100のライトフィールドカメラ104によって捕捉されるIR光に関係する情報は、ケーブルまたは無線通信を介して画像処理デバイスへ送信される。本発明のそのような実施形態では、視線追跡デバイス100は、頭部装着型デバイス内に埋め込まれるのに対して、画像処理デバイスは、たとえばコンピュータ内に埋め込まれる。
【0033】
図3は、本発明の実施形態による視線追跡デバイス100のライトフィールドカメラ104によって取得されたライトフィールドデータを処理する装置の例を示す概略ブロック図である。
【0034】
装置300は、バス306によって接続されたプロセッサー301、記憶ユニット302、入力デバイス303、ディスプレイデバイス304、およびインターフェースユニット305を備える。当然ながら、コンピュータ装置300の構成要素は、バス接続以外の接続によって接続することもできる。
【0035】
プロセッサー301は、装置300の動作を制御する。記憶ユニット302は、プロセッサー301によって実行されるべき少なくとも1つのプログラムと、ライトフィールドカメラ104によって取得されまたは視線追跡デバイス100によって提供されるライトフィールドデータ、プロセッサー301によって実行される演算によって使用されるパラメータ、プロセッサー301によって実行される演算の中間データなどを含む様々なデータとを記憶する。プロセッサー301は、任意の知られている適したハードウェアもしくはソフトウェア、またはハードウェアおよびソフトウェアの組合せによって形成することができる。たとえば、プロセッサー301は、処理回路などの専用のハードウェアによって、またはそのメモリ内に記憶されたプログラムを実行するCPU(中央処理ユニット)などのプログラム可能処理ユニットによって、形成することができる。
【0036】
記憶ユニット302は、プログラム、データなどをコンピュータ可読に記憶することが可能な任意の適した記憶部または手段によって形成することができる。記憶ユニット302の例は、半導体メモリデバイスなどの非一時的コンピュータ可読記憶媒体、および読み書きユニット内へロードされる磁気、光、または光磁気記録媒体を含む。プログラムは、プロセッサー301に学習プロセスおよび分類プロセスを実行させる。
【0037】
入力デバイス303は、使用者によってコマンドを入力するために使用されるキーボード、マウスなどのポインティングデバイスなどによって形成することができる。出力デバイス304は、たとえばグラフィカルユーザインターフェース(GUI)を表示するためのディスプレイデバイスによって形成することができる。入力デバイス303および出力デバイス304は、たとえばタッチスクリーンパネルによって一体形成することができる。
【0038】
インターフェースユニット305は、装置300と外部装置との間のインターフェースを提供する。インターフェースユニット305は、ケーブルまたは無線通信を介して外部装置に通信可能とすることができる。実施形態では、外部装置は、視線追跡デバイス100を埋め込む頭部装着型デバイスまたは視線追跡デバイス100自体とすることができる。この場合、視線追跡デバイス100のライトフィールドカメラ104によって取得されるライトフィールドデータは、インターフェースユニット305を通って視線追跡デバイス100から装置300へ入力することができ、次いで記憶ユニット302内に記憶することができる。
【0039】
この実施形態では、装置300について、それは視線追跡デバイス100から分離されるがそれらはケーブルまたは無線通信を介して互いに通信可能であるものとして、例示的に論じる。
【0040】
学習プロセスは、複数の眼位が検索される訓練期間からなり、学習プロセスの例は、効率的かつ正確なニューラルネットワークまたは任意の他の機械学習プロセスの使用に依拠することができる。したがって、訓練期間中、IR光が目によって反射された後にライトフィールドカメラ104によって捕捉されるIR光源101によって放出されたIR光に関係するデータは、複数の眼位に対して装置300の記憶ユニット302内に記憶される。これらの記憶された位置は、たとえば動いている制御された標的または任意の他の較正手段の使用を通じて決定することができる。パターンは、ライトフィールドカメラ104によって捕捉される複数の画像内の複数の反射光点として画定され、捕捉された画像内の位置ならびにそれぞれの反射光点の強度は、装置300の記憶ユニット302内に記憶される。
【0041】
次いで、プロセッサー301は、目の推定位置を決定する識別プロセスを走らせる。識別プロセスは、訓練期間後、プロセッサー301によってリアルタイムで実行される。学習プロセスの結果、すなわち記憶ユニット302によって記憶されるIR光源101によって放出されたIR光の反射パターンを使用して、使用者の目の位置をリアルタイムで決定することが可能である。
【0042】
本発明の異なる実施形態による視線追跡デバイス100は、捕捉されたIR光に関係する情報を与え、この情報は、処理された後、特にアジア人の目などの狭い開きを有する目向けの、正確かつ確実な視線の追跡を有効にする。これは、空間的な相違を導入するライトフィールドカメラ104の使用のために可能になる。視線追跡の精度は、空間的な相違に加えて偏光に相違を導入することによって増大される。
【0043】
図4は、頭部装着型デバイス400の使用者の左目401aおよび右目401bの位置をそれぞれ決定するための2つの視線追跡デバイスを埋め込む頭部装着型デバイス400を表す。
【0044】
視線追跡デバイスは、複数の光源402aおよび402bを備える。光源402a、402bはIR光源である。IR光源402a、402bは、頭部装着型デバイス400のフレーム403上に配置される。本発明による頭部装着型デバイス400の実施形態で、IR光源402a、402bは、頭部装着型デバイス400のフレーム403の縁404内に埋め込まれる。このようにして、IR光源402a、402bは、頭部装着型デバイス400の使用者の目401a、401bの視野内に位置しない。本発明の別の実施形態では、IR光源402a、402bはまた、頭部装着型デバイス400のフレーム403の側部405a、405b内に埋め込まれる。
【0045】
本発明の実施形態では、視線追跡デバイスの空間的なサンプリングを改善するために、頭部装着型デバイス400内に2次IR光源(図示せず)が埋め込まれる。2次IR光源によって放出されるIR光は、まず、頭部装着型デバイス400の主レンズまたは主ディスプレイに当たって反射する。本発明の実施形態では、2次IR光源は、卵形の幾何学図形的配列を呈する開口とすることができ、または格子とすることができる。
【0046】
頭部装着型デバイス400のフレーム403内に、ライトフィールドカメラ406a、406bが埋め込まれる。したがって、IR光源402a、402bと同様に、ライトフィールドカメラ406a、406bも、目401a、401bの視野の周辺部に配置される。ライトフィールドカメラ406a、406bは、複数のマイクロレンズを備えるマイクロレンズアレイを備える。
【0047】
頭部装着型デバイス400の別の実施形態では、ライトフィールドカメラ406a、406bは、頭部装着型デバイス400のフレーム403の側部405a、405b上に埋め込まれる。
【0048】
使用者の視線の測定の感度を増大させるために、頭部装着型デバイス400の第1の実施形態では、IR光源402a、402bは、偏光されたIR光を放出する。IR光の偏光は、IR光源402a、402bに偏光フィルターを装備することによって実現することができる。
【0049】
頭部装着型デバイス400の第2の実施形態では、ライトフィールドカメラ406a、406bのマイクロレンズアレイのマイクロレンズに偏光フィルターが装備される。
【0050】
IR光源101によって放出された偏光されていないIR光が眼球の表面に当たる反射は、自然偏光を提供することができる。したがって、頭部装着型デバイス400の第3の実施形態では、IR光源402a、402bのいくつかは、偏光されたIR光を放出するのに対して、他のIR光源402a、402bは、偏光されていないIR光を放出する。偏光されていないIR光を放出するIR光源は、放出されるIR光の入射角と、この入射角に応じて眼球に当たる入射するIR光の反射が反射したIR光の自然偏光をもたらすという知識とに基づいて選択される。
【0051】
頭部装着型デバイス400の別の実施形態では、偏光されたIR光を放出するIR光源402a、402bの選択は動的であり、使用者の目の現在の位置に基づく。したがって、使用者の目の現在の位置に応じて、所与のIR光源402a、402bは、偏光されたIR光を放出し、または偏光されたIR光を放出しない。
【0052】
使用者の目の位置を決定するために、ライトフィールドカメラ406a、406bによって捕捉されるIR光に関係する情報は、画像処理デバイスへ送信される。本発明の実施形態では、画像処理デバイスは、頭部装着型デバイス400内に埋め込まれる。本発明の別の実施形態では、画像処理デバイスおよび頭部装着型デバイス400は、互いから離れた2つの別個のデバイスである。ライトフィールドカメラ406a、406bによって捕捉されるIR光に関係する情報は、ケーブルまたは無線通信を介して画像処理デバイスへ送信される。
【0053】
本発明について特有の実施形態を参照して上記で記載したが、本発明は、特有の実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲内の当業者には修正形態が明らかであろう。
【0054】
多くのさらなる修正形態および変形形態は、本発明の範囲を限定しようとするものではなく例示のみを目的として与えられる説明に役立つ上記の実施形態を参照すれば当業者には想到されよう。本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲のみによって決定される。特に、異なる実施形態からの異なる特徴は、適宜入れ替えられる。
上述の実施形態の一部又は全部は、以下の付記のように記載され得るが、以下には限定されない。
(付記1)
視線追跡デバイスであって、
視線追跡デバイスの使用者の目の表面上に赤外光を投影するように構成された複数の光源と、
使用者の目の表面から反射された赤外光を捕捉するライトフィールドカメラと、
を備える、視線追跡デバイス。
(付記2)
光源は、使用者の目の視野の周辺部に配置される、付記1に記載の視線追跡デバイス。
(付記3)
ライトフィールドカメラは、使用者の目の視野の周辺部に配置される、付記1または2に記載の視線追跡デバイス。
(付記4)
光源は、偏光された赤外光を放出する、付記1乃至3のいずれか一項に記載の視線追跡デバイス。
(付記5)
少なくともライトフィールドカメラのマイクロレンズアレイのマイクロレンズに、偏光フィルターが装備される、付記1乃至3のいずれか一項に記載の視線追跡デバイス。
(付記6)
少なくとも1つの視線追跡デバイスを備える頭部装着型デバイスであって、
視線追跡デバイスの使用者の目の表面上に赤外光を投影するように構成された複数の光源と、
使用者の目の表面から反射された赤外光を捕捉するライトフィールドカメラと、
を備える、頭部装着型デバイス。
(付記7)
光源は、頭部装着型デバイスのフレームの縁上に配置される、付記6に記載の頭部装着型デバイス。
(付記8)
ライトフィールドカメラは、頭部装着型デバイスのフレームの縁上に配置される、付記6または7に記載の頭部装着型デバイス。
(付記9)
ライトフィールドカメラは、頭部装着型デバイスのフレームの側部上に埋め込まれる、付記8に記載の頭部装着型デバイス。