特許第6850590号(P6850590)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 昭和電工株式会社の特許一覧

特許6850590搭載プレート、ウェハ支持台、及び化学気相成長装置
<>
  • 特許6850590-搭載プレート、ウェハ支持台、及び化学気相成長装置 図000002
  • 特許6850590-搭載プレート、ウェハ支持台、及び化学気相成長装置 図000003
  • 特許6850590-搭載プレート、ウェハ支持台、及び化学気相成長装置 図000004
  • 特許6850590-搭載プレート、ウェハ支持台、及び化学気相成長装置 図000005
  • 特許6850590-搭載プレート、ウェハ支持台、及び化学気相成長装置 図000006
  • 特許6850590-搭載プレート、ウェハ支持台、及び化学気相成長装置 図000007
  • 特許6850590-搭載プレート、ウェハ支持台、及び化学気相成長装置 図000008
  • 特許6850590-搭載プレート、ウェハ支持台、及び化学気相成長装置 図000009
  • 特許6850590-搭載プレート、ウェハ支持台、及び化学気相成長装置 図000010
  • 特許6850590-搭載プレート、ウェハ支持台、及び化学気相成長装置 図000011
  • 特許6850590-搭載プレート、ウェハ支持台、及び化学気相成長装置 図000012
  • 特許6850590-搭載プレート、ウェハ支持台、及び化学気相成長装置 図000013
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6850590
(24)【登録日】2021年3月10日
(45)【発行日】2021年3月31日
(54)【発明の名称】搭載プレート、ウェハ支持台、及び化学気相成長装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/683 20060101AFI20210322BHJP
   H01L 21/205 20060101ALI20210322BHJP
   H01L 21/673 20060101ALI20210322BHJP
   C23C 16/458 20060101ALI20210322BHJP
   C23C 16/455 20060101ALI20210322BHJP
【FI】
   H01L21/68 N
   H01L21/205
   H01L21/68 U
   C23C16/458
   C23C16/455
【請求項の数】6
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2016-224428(P2016-224428)
(22)【出願日】2016年11月17日
(65)【公開番号】特開2018-82100(P2018-82100A)
(43)【公開日】2018年5月24日
【審査請求日】2019年8月8日
(73)【特許権者】
【識別番号】000002004
【氏名又は名称】昭和電工株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100141139
【弁理士】
【氏名又は名称】及川 周
(74)【代理人】
【識別番号】100163496
【弁理士】
【氏名又は名称】荒 則彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134359
【弁理士】
【氏名又は名称】勝俣 智夫
(74)【代理人】
【識別番号】100064908
【弁理士】
【氏名又は名称】志賀 正武
(74)【代理人】
【識別番号】100094400
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 三義
(72)【発明者】
【氏名】馬渕 雄一郎
【審査官】 内田 正和
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−056561(JP,A)
【文献】 特開2014−103364(JP,A)
【文献】 国際公開第2014/017650(WO,A1)
【文献】 特表2016−519426(JP,A)
【文献】 特開平10−167886(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/683
C23C 16/455
C23C 16/458
H01L 21/205
H01L 21/673
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
オリフラを有するウェハが載置されるウェハ載置面を有するウェハ支持部と、ウェハの外周を囲むリング状部とを備えた搭載プレートであって、
前記ウェハ載置面にはザグリが形成されており、
前記ウェハのオリフラと前記搭載プレートとの間の隙間からの原料ガスの回り込みを防止する回り込み防止部を備え、
ウェハを前記ウェハ支持部に載置した際、前記ウェハの表面が前記リング状部の上面よりも低い位置にあり、
前記リング状部は、円環状の本体部と、前記本体部の内周から内側に突き出る第1突起部と、からなり、
前記第1突起部は、前記ウェハ載置面と直交する方向からの平面視でオリフラの切り欠け形状に対応する形状を有し、
前記ウェハ支持部は、前記ウェハ載置面から立設する第2突起部を有し、
前記第2突起部は、前記ウェハ載置面と直交する方向からの平面視でオリフラの切り欠け形状に対応する形状を有し、
前記回り込み防止部は、前記第1突起部と、前記第2突起部と、からなり、
前記第1突起部と前記第2突起部とは、前記ウェハ載置面と直交する方向からの平面視で重なる、搭載プレート。
【請求項2】
凹状収容部を有する搭載プレートの前記凹状収容部内に収容されるウェハ支持台であって、
オリフラを有するウェハが載置されるウェハ載置面を有するウェハ支持部と、ウェハの外周を囲むリング状部とを備え、
前記ウェハ載置面にはザグリが形成されており、
前記ウェハのオリフラと前記ウェハ支持台との間の隙間からの原料ガスの回り込みを防止する回り込み防止部を備え、
ウェハを前記ウェハ支持部に載置した際、前記ウェハの表面が前記リング状部の上面よりも低い位置にあり、
前記リング状部は、円環状の本体部と、前記本体部の内周から内側に突き出る第1突起部と、からなり、
前記第1突起部は、前記ウェハ載置面と直交する方向からの平面視でオリフラの切り欠け形状に対応する形状を有し、
前記ウェハ支持部は、前記ウェハ載置面から立設する第2突起部を有し、
前記第2突起部は、前記ウェハ載置面と直交する方向からの平面視でオリフラの切り欠け形状に対応する形状を有し、
前記回り込み防止部は、前記第1突起部と、前記第2突起部と、からなり、
前記第1突起部と前記第2突起部とは、前記ウェハ載置面と直交する方向からの平面視で重なる、ウェハ支持台。
【請求項3】
オリフラを有するウェハを載置した際、前記第2突起部は、前記オリフラを有するウェハの下方まで延在している、請求項2に記載のウェハ支持台。
【請求項4】
オリフラを有するウェハを載置した際、前記第2突起部は、前記オリフラを有するウェハの下方まで延在しており、
前記第2突起部は、前記オリフラの少なくとも一部を支持する、請求項2に記載のウェハ支持台。
【請求項5】
請求項に記載の搭載プレートを備える化学気相成長装置。
【請求項6】
請求項のいずれか一項に記載のウェハ支持台を備える化学気相成長装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、搭載プレート、ウェハ支持台、及び化学気相成長装置に関する。
【背景技術】
【0002】
炭化珪素(SiC)は、シリコン(Si)に比べて絶縁破壊電界が1桁大きく、バンドギャップが3倍大きく、熱伝導率が3倍程度高い等の特性を有する。炭化珪素はこれらの特性を有することから、パワーデバイス、高周波デバイス、高温動作デバイス等への応用が期待されている。このため、近年、上記のような半導体デバイスにSiCエピタキシャルウェハが用いられるようになっている。
【0003】
SiCエピタキシャルウェハは、SiC基板上にSiC半導体デバイスの活性領域となるSiCエピタキシャル膜を成長させることによって製造される。SiC基板は、昇華法等で作製したSiCのバルク単結晶から加工して得られ、SiCエピタキシャル膜は、化学的気相成長法(Chemical Vapor Deposition:CVD)によって形成される。
【0004】
SiCエピタキシャルウェハを製造するための装置としては、複数のウェハを水平に配置し、各ウェハを公転させるとともにウェハ中心を軸にしてウェハ自体を自転させる水平自公転型のエピタキシャル成長装置が知られている(例えば、特許文献1及び特許文献2)。
【0005】
このエピタキシャル成長装置では、複数の凹状収容部を有し、回転可能な搭載プレート(サセプタ)上に、この搭載プレートの回転軸を囲むように、その複数の凹状収容部内のそれぞれに、SiC基板の外周端部の外側から通過することで、原料ガスがSiC基板上に供給される。この際が載置されるウェハ支持台が収容される。ウェハ支持台が回転駆動機構によって自転可能とされることにより、このウェハ支持台上に載置されたSiC基板は、搭載プレートの回転軸を中心に公転するとともに自転することで、自公転可能に構成されている。この自公転によって、SiC基板の被処理面に対して原料ガスが均一に届くように工夫がなされている。
【0006】
上述のようなエピタキシャル成長装置においては、原料ガスが搭載プレート上に載置されたSiC基板の外周端部の外側から通過することで、原料ガスがSiC基板上に供給される。この際、加熱手段によってSiC基板を高温に維持しながら、基板上にエピタキシャル材料をエピタキシャル成長させることでエピタキシャル膜を成膜する。
この自公転型のエピタキシャル成長装置は、SiC基板はウェハ支持台を介して搭載プレート上にSiC基板が載置される構成であるが、基板が搭載プレートに形成された凹部に直接、載置される構成のエピタキシャル成長装置もある。
【0007】
ここで、加熱されたSiC基板は、エピタキシャル成長した膜が形成された表面と裏面との熱膨張率の差によって、裏面側が凸になるように反ることが知られている。基板は搭載プレートの下方に配置された加熱装置(例えば、高周波誘導加熱コイル)によって搭載プレートを介して加熱される。基板が載置される搭載プレートの凹部の底面が平坦である場合には、基板が反ってしまうとその底面に密着して接触しないため、基板の温度分布が不均一になる等の問題がある。そこで、加熱時に基板が反った状態でも搭載プレートの凹部の底面(ウェハ載置面)にフィットさせるために、凹部の周縁部から中心に向かうほど大きく凹む凹曲面形状に窪ませたザグリ(座ぐり)を形成することが知られている(例えば、特許文献3、特許文献4等)。一方で、基板が搭載プレートの凹部の底面に接触状態になることで、基板の裏面にその底面との接触跡が形成されてしまうことがあり(例えば、特許文献4の段落0006参照)、ザグリの形状としては様々な観点で多数の提案がなされている。
なお、本明細書では、「ザグリ」とは、基板あるいはウェハが載置される面が平坦な面から凹んでいる(窪んでいる)部分を指す。
【0008】
搭載プレートに形成されたザグリとしては、基板を支持する円環状の外周側部分と、該外周側部分の内側に該外周側部分よりも窪んだ状態に形成された平面視円形の内周側部分とを有する構成(特許文献3、特許文献4等)や、同様に外周側部分と内周側部分とを有し、その外周側部分が所定の低傾斜角とすると共に、その外周側部分が基板と重なる部分が多くなる水平幅を有する構成(特許文献5)などが知られている。
なお、特許文献4及び5は、シリコン(Si)基板上にシリコンのエピタキシャル膜が形成されたシリコンエピタキシャルウェハが実施例として記載されている。
【0009】
特許文献5に開示された搭載プレートにおいて、外周側部分が所定の低傾斜角とすると共に、その外周側部分が基板と重なる部分が多くなる水平幅を有する構成としたのは、特許文献5に開示された搭載プレートでは、その中央領域に、シリコン単結晶基板の裏面の自然酸化膜の除去やハローの形成の防止等のために貫通孔が形成されており、その貫通孔から、シリコン基板の裏面に原料ガスが回り込み、シリコン単結晶基板の裏面にデポが発生することを防止することを目的としたものである(段落0005、段落0007等参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特許第2771585号公報
【特許文献2】特許第2835338号公報
【特許文献3】特開昭64−89318号公報
【特許文献4】特開2007−305991号公報
【特許文献5】特許第4661982号公報
【特許文献6】特開2015−26793号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
ここで、通常円盤状のSiC基板(以下、「SiCウェハ」ということがある。)は、SiCウェハの結晶方位を示すための目印として、外周の一部に直線状の切り欠きであるオリエンテーションフラット(OF;以下、「オリフラ」と略称することがある。)が設けられていることがある。
特許文献6には、SiCウェハがオリフラを有する場合、そのオリフラと搭載プレートのザグリの内壁との間に堆積物が発生し、その結果、堆積物にウェハが乗り上げて温度分布が悪化する等の問題が挙げられており、その問題を解決する方策としてザグリの形状を工夫した構成が開示されている。
【0012】
特許文献6には、いくつかの比較例のザグリに比べて、その堆積物の発生が抑制できる旨、記載されているが、その堆積物の発生のそもそもの原因である、そのオリフラからザグリへ原料ガスが入り込むことを防止する構成については何ら記載がない。
【0013】
本発明者は、ザグリを有するウェハ支持台を用いて、オリフラを有するSiCウェハ上にSiCエピタキシャル膜を形成して作製したSiCエピタキシャルウェハについて、SiCエピタキシャルウェハの外周の一部に平坦度(GBIR:Global Backside Ideal Range)が非常に悪い箇所が現れることを見出した。鋭意検討の結果、その原因を掴み、その原因を除去する構成に想到した。
ここで、GBIRとは、ウェハを吸着固定した際の厚さ(裏面基準平面からの距離)の最大値と最小値との差として定義されるものである。
【0014】
図12は、搭載プレート上にウェハが搭載された構成を模式的に示す図であって、(a)は平面図であり、(b)は(a)においてX−X線で切った断面図である。図12に示す例では、搭載プレートが凹状収容部を有し、その凹状収容部内に収容されるウェハ支持台にウェハが載置されることで、搭載プレート上にウェハが搭載される場合を示す。
図12は、オリフラ部Waを有するウェハWが載置されるウェハ載置面を有するウェハ支持部2Aと、ウェハWの外周を囲むリング状部2Bとを備えたウェハ支持台2を示す。
図12はかなり誇張して描いているが、ウェハ支持部2Aがザグリ2aを有する場合、ウェハのオリフラ部Waとウェハ支持台2のリング状部2Bとの間の隙間Sから原料ガスがウェハWの裏面Wbに回り込み、特にオリフラ部Wa近傍(図中の点線の丸印)にデポが付く。このようにして付いたデポがGBIRの悪化の原因であることを本発明者は突き止めた。
そこで、発明者は鋭意検討の結果、原料ガスの回り込みを防止する構成として本発明に想到した。
【0015】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、原料ガスの回り込みを防止できる搭載プレート、原料ガスの回り込みを防止できるウェハ支持台、及び、それらの搭載プレート又はウェハ支持台を備えた化学気相成長装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明は、上記課題を解決するため、以下の手段を提供する。
【0017】
(1)本発明の一態様に係る搭載プレートは、オリフラを有するウェハが載置されるウェハ載置面を有するウェハ支持部と、ウェハの外周を囲むリング状部とを備えた搭載プレートであって、前記ウェハ載置面にはザグリが形成されており、前記ウェハのオリフラと前記搭載プレートとの間の隙間からの原料ガスの回り込みを防止する回り込み防止部を備える。
【0018】
(2)上記(1)に記載の搭載プレートにおいて、前記回り込み防止部は、前記リング状部の一部であって、平面視して前記オリフラの切り欠け形状に対応する形状を有し、オリフラの方に突き出た突出部であってもよい。
【0019】
(3)上記(1)に記載の搭載プレートにおいて、前記回り込み防止部は、前記ウェハ支持部の一部であって、平面視して前記オリフラの切り欠け形状に対応する形状を有し、前記ウェハ載置面から立説して前記ウェハのオリフラと前記リング状部との間の隙間に突き出た突出部であってよい。
【0020】
(4)本発明の一態様に係るウェハ支持台は、凹状収容部を有する搭載プレートの前記凹状収容部内に収容されるウェハ支持台であって、オリフラを有するウェハが載置されるウェハ載置面を有するウェハ支持部と、ウェハの外周を囲むリング状部とを備え、前記ウェハ載置面にはザグリが形成されており、 前記ウェハのオリフラと前記ウェハ支持台との間の隙間からの原料ガスの回り込みを防止する回り込み防止部を備える。
【0021】
(5)上記(4)に記載のウェハ支持台において、前記回り込み防止部は、前記リング状部の一部であって、平面視して前記オリフラの切り欠け形状に対応する形状を有し、オリフラの方に突き出た突出部であってもよい。
【0022】
(6)上記(4)に記載のウェハ支持台において、前記回り込み防止部は、前記ウェハ支持部の一部であって、平面視して前記オリフラの切り欠け形状に対応する形状を有し、前記ウェハ載置面から立説して前記ウェハのオリフラと前記リング状部との間の隙間に突き出た突出部であってよい。
【0023】
(7)本発明の一態様に係る化学気相成長装置は、上記(1)〜(3)のいずれか一つに記載の搭載プレートを備える。
【0024】
(8)本発明の一態様に係る化学気相成長装置は、上記(4)〜(6)のいずれか一つに記載のウェハ支持台を備える。
【発明の効果】
【0025】
本発明の搭載プレートによれば、原料ガスの回り込みを防止できる搭載プレートを提供することができる。
本発明のウェハ支持台によれば、原料ガスの回り込みを防止できるウェハ支持台を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】本発明の一実施形態に係る化学気相成長装置の一例を模式的に示す断面図である。
図2図1のシーリング側から見た搭載プレートの平面図である。
図3】本発明の一実施形態に係るウェハ支持台の一例の模式図であり、(a)は平面図、(b)は断面図である。
図4】本発明の一実施形態に係る搭載プレートの一例の模式図であり、(a)は平面図、(b)は断面図である。
図5】本発明の他の実施形態に係るウェハ支持台の一例の模式図であり、(a)は平面図、(b)は断面図である。
図6】本発明の他の実施形態に係る搭載プレートの一例の模式図であり、(a)は平面図、(b)は断面図である。
図7】本発明の他の実施形態に係るウェハ支持台の一例の模式図であり、(a)は平面図、(b)は断面図である。
図8】本発明の他の実施形態に係るウェハ支持台の一例の模式図であり、(a)は平面図、(b)は断面図である。
図9】本発明の他の実施形態に係る搭載プレートの一例の模式図であり、(a)は平面図、(b)は断面図である。
図10】本発明の他の実施形態に係るウェハ支持台の一例の模式図であり、(a)は平面図、(b)は断面図である。
図11】本発明の他の実施形態に係るウェハ支持台の一例の模式図であり、(a)は平面図、(b)は断面図である。
図12】従来の搭載プレート(ウェハ支持台)の一例を模式的に示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明を適用した実施形態である搭載プレートと、ウェハ支持台と、それらのいずれかを備えた化学気相成長装置について、図面を用いて詳細に説明する。なお、以下の説明で用いる図面は、特徴をわかりやすくするために、便宜上特徴となる部分を拡大して示している場合があり、各構成要素の寸法比率などが実際と同じであるとは限らない。また、以下の説明において例示される材料、寸法等は一例であって、本発明はそれらに限定されるものではなく、その効果を奏する範囲で適宜変更して実施することが可能である。
本発明の搭載プレート及び化学気相成長装置は以下に示す例では、複数のウェハを搭載する構成を示しているが、1枚のウェハを搭載する場合も含まれることは言うまでもない。また、ウェハは、基板やエピタキシャル膜が炭化珪素(SiC)の場合を例示して説明しているが、それに限定されない。
【0028】
本明細書において「ウェハ」との記載は、エピタキシャル成長前の単結晶基板を指す場合と、単結晶基板上にエピタキシャル膜を有するエピタキシャルウェハを指す場合がある。また、エピタキシャル成長途中のウェハも「ウェハ」と記載する場合がある。
【0029】
[化学気相成長装置]
図1は、本発明の一実施形態に係る化学気相成長装置の一例を模式的に示す断面図である。本発明の化学気相成長装置は、図1の構成のものには限られないが、以下理解を容易にするために、図1の化学気相成長装置に基づき本発明を説明する。
【0030】
本発明の一実施形態に係る化学気相成長装置100は、例えば、減圧排気が可能なチャンバ(成膜室)内に、原料ガスGを供給しながら、加熱されたウェハ(SiCウェハ)Wの面上に層を堆積成長させる。例えば、SiCをエピタキシャル成長させる場合、原料ガスGには、Si源にシラン(SiH)、ジクロロシラン(SiCl)、トリクロロシラン(SiCl)、四塩化ケイ素(SiCl)等を用いることができ、炭素(C)源にプロパン(C)、エタン(C)、エチレン(C)等を用いることができる。また、キャリアガスとして水素(H)を含むもの等を用いることができる。
【0031】
化学気相成長装置100は、チャンバの内部において、複数のウェハWが載置される搭載プレート(サセプタ)10と、この搭載プレート10との間で反応空間Kを形成するように搭載プレート10の上面に対向して配置されたシーリング(天板)50と、搭載プレート10およびシーリング50の外側に位置して反応空間Kの周囲を囲むように配置された周壁60と、を備えている。
シーリング50は、チャンバ内に着脱自在に取り付けられている。具体的には、このシーリング50は、周壁60の内周面から突出して設けられた支持部61の上に、その外周部が載置されることによって、鉛直上向きに支持されている。
【0032】
図1に示す化学気相成長装置100では、搭載プレート(サセプタ)10はその上面10aに凹状収容部11が形成されており、ウェハWが直接載置されるウェハ支持台(サテライト)20は搭載プレート10とは別部材である構成となっている。ウェハ支持台が搭載プレートの一部分である構成でもよい。換言すれば、搭載プレートにウェハWを載置するウェハ支持部及びリング状部が形成された構成であってもよい。
すなわち、ウェハWは図1に示すように、ウェハ支持台を介して搭載プレートに搭載される構成であってもよいし、あるいは、搭載プレートの上面にウェハWが直接載置される構成であってもよい。
ウェハ支持台が搭載プレートの一部分である構成の場合、ウェハ支持台とは搭載プレートにおいて、ウェハが載置されるウェハ載置面及びザグリからなるウェハ支持部と、ウェハの外周を囲むリング状部とからなる部分を指す。
ウェハ支持部だけが搭載プレートに形成されており(すなわち、ウェハ支持部が搭載プレートに一体であり)、リング状部が搭載プレートとは別部材であってもよい。
【0033】
図示を省略する高周波電源から誘導コイル70に高周波電流が供給されると、搭載プレート10およびシーリング50が高周波誘導加熱により加熱される。そして、搭載プレート10およびシーリング50からの輻射や、搭載プレート10上に配されたウェハ支持台(サテライト)20からの熱伝導等により、ウェハ支持台20に載置されたウェハWを加熱することができる。なお、加熱手段は、搭載プレート10の下面側およびシーリング50の上面側に配置された構成に限らず、これらのいずれか一方側のみに配置された構成とすることも可能である。また、加熱手段としては、高周波誘導加熱に限らず、抵抗加熱によるもの等を用いてもよい。
【0034】
化学気相成長装置100では、ガス導入管30を通り、その開口部31から放出された原料ガスGを、反応空間Kの内側から外側に向かって放射状に流すことにより、ウェハWの面内に対して平行に原料ガスGを供給することが可能となっている。チャンバ内で不要になったガスは、周壁60の外側に設けられた排気口(不図示)からチャンバの外へと排出することが可能となっている。
【0035】
搭載プレート10は、いわゆるプラネタリ(自公転)方式を用いた構造となっている。搭載プレート10は、駆動モータ(不図示)を用いて回転軸12を回転駆動させた際に、それに連動し、回転軸12を軸として自転する回転台としての機能を有している。
【0036】
搭載プレートの上面10aには、平面視円形状をなし、搭載プレート10の周方向(回転方向)に等間隔に複数並んで凹状収容部11が設けられている。図2は、化学気相成長装置100の搭載プレート10を平面視した模式図である。凹状収容部11が等間隔に6個並んで設けられている場合を例示している。
【0037】
図2は、シーリング50側から見た搭載プレート10の平面図である。
ウェハ支持台20は、図2に示すように搭載プレート10の凹状収容部11に収容され、上面にウェハWを載置することができる。ウェハ支持台20は、シーリング50と対向する側に、ウェハ載置面21Sと、載置されるウェハの周囲を囲むように起立するリング状部22とを有している。図2では、簡単のため搭載プレート10の2つの凹状収容部11にのみウェハ支持台20を収容した例を示している。図2に示したウェハWではオリフラは省略した。
なお、本明細書において、「ウェハ載置面」とは、実際にウェハが接触している部分を含む面である。
【0038】
ウェハ支持台20は、その下面と凹状収容部11との間に、原料ガスGとは別の駆動用ガスが供給されることにより、中心軸周りに回転駆動される仕組みとなっている(不図示)。これにより、ウェハ支持台20に載置されたウェハWに対して均等に成膜を行うことができる。
【0039】
[ウェハ支持台(第1実施形態)]
図3に、本発明の一実施形態に係るウェハ支持台の一例の模式図を示す。図3(a)は平面図であり、図3(b)は図3(a)のウェハ支持台のX−X線で切った断面図である。
図3に示すウェハ支持台20は、凹状収容部を有する搭載プレートの凹状収容部内に収容されるウェハ支持台であって、オリフラWaを有するウェハWが載置されるウェハ載置面21Sを有するウェハ支持部21と、ウェハWの外周を囲むリング状部22とを備え、ウェハ載置面にはザグリ21aが形成されており、ウェハWのオリフラWaとウェハ支持台20との間の隙間からの原料ガスの回り込みを防止する回り込み防止部22Aを備えている。
なお、図3において、符号21Sと共に示した点線は断面で見たときの載置されたウェハの位置(高さ)を示すものであって、ウェハ載置面自体を示すものではない。
本発明において、ザグリの形状は、ウェハを載置した段階で直接接触しないように凹んだ形状であればよく、特に制限はない。
【0040】
図3に示すウェハ支持台20では、ウェハ支持部21とリング状部22とは別部材であるが、本発明のウェハ支持台はウェハ支持部とリング状部とが別部材である場合に限らず、一体であっても構わない。図3に示すウェハ支持台20では別部材であるので、符号21の部材はウェハ支持部材、符号22の部材はリング状部材と言ってもよい。
【0041】
図3に示すウェハ支持台20では、リング状部22が平面視して、ウェハWのオリフラWaと従来のリング状の部分と同様な部分22Bとの間の隙間を埋めるようにオリフラWa側に突起した突起部である回り込み防止部22Aを有する。
図3に示すリング状部22は、回り込み防止部22Aと、それ以外の部分(従来のリング状の部分と同様な部分)22Bとからなる。
回り込み防止部22Aは、リング状部22の一部であって、平面視して、ウェハWのオリフラWaの切り欠け形状に対応する形状を有し、オリフラの方に突き出た突出部である。
【0042】
図3に示すウェハ支持台20はこの回り込み防止部22Aを備えるため、ウェハWのオリフラWaとウェハ支持台20との間の隙間からウェハWの裏側に原料ガスが回り込むことが防止されている。
【0043】
回り込み防止部22AとウェハWのオリフラWaとは近接しているほど(例えば、ほぼ接触するほど)、原料ガスの回り込み防止効果は大きい。この近接の程度を回り込み防止部22AとウェハWのオリフラWaとの隙間を平面視した距離で言えば、例えば、0.5〜3mm、より好ましくは0.5〜1mmとすることができる。
【0044】
[搭載プレート(第1実施形態)]
図4は図としては図3に類似するが、図4に示すのは、本発明の一実施形態に係る、ウェハ支持部とリング状部とを備えた搭載プレートのウェハ支持部近傍の一例の模式図である。図4(a)は平面図であり、図4(b)は図4(a)の搭載プレートのX−X線で切った断面図である。図3に記載の部材と同様な部材については同じ符号を付してその説明を省略する。
図4に示す搭載プレート110は、オリフラWaを有するウェハWが載置されるウェハ載置面110−21Sを有するウェハ支持部110−21と、ウェハWの外周を囲むリング状部22とを備え、ウェハ載置面にはザグリ110−21aが形成されており、ウェハWのオリフラWaと搭載プレート110との間の隙間からの原料ガスの回り込みを防止する回り込み防止部22Aを備えている。
なお、図4において、符号110−21Sと共に示した点線は断面で見たときの載置されたウェハの位置(高さ)を示すものであって、ウェハ載置面自体を示すものではない。
【0045】
図4に示す搭載プレート110では、ウェハ支持部110−21は搭載プレート110の一部分であるのに対して、リング状部22は搭載プレート110とは別部材である。リング状部22はリング状部材22と言ってもよい。
【0046】
図4に示す搭載プレート110では、リング状部22が平面視して、ウェハWのオリフラWaの部分を埋めるようにオリフラWa側に突起した部分である回り込み防止部22Aを有する。
図4に示すリング状部22は、回り込み防止部22Aと、それ以外の部分(従来のリング状の部分と同様な部分)22Bとからなる。
回り込み防止部22Aは、リング状部22の一部であって、平面視して、ウェハWのオリフラWaの切り欠け形状に対応する形状を有し、オリフラの方に突き出た突出部である。
【0047】
図4に示す搭載プレート110はこの回り込み防止部22Aを備えるため、ウェハWのオリフラWaとリング状部22(搭載プレート110)との間の隙間からウェハWの裏側に原料ガスが回り込むことが防止されている。
【0048】
回り込み防止部22AとウェハWのオリフラWaとは近接しているほど(例えば、ほぼ接触するほど)、原料ガスの回り込み防止効果は大きい。この近接の程度を回り込み防止部22AとウェハWのオリフラWaとの隙間を平面視した距離で言えば、例えば、0.5〜3mm、より好ましくは0.5〜1mmとすることができる。
【0049】
[ウェハ支持台(第2実施形態)]
図5に、本発明の他の実施形態に係るウェハ支持台の一例の模式図を示す。図5(a)は平面図であり、図5(b)は図5(a)のウェハ支持台のX−X線で切った断面図である。先述した図に記載の部材と同様な部材については同じ符号を付してその説明を省略する。
図5に示すウェハ支持台120は、凹状収容部を有する搭載プレートの凹状収容部内に収容されるウェハ支持台であって、オリフラWaを有するウェハWが載置されるウェハ載置面121Sを有するウェハ支持部121と、ウェハWの外周を囲むリング状部122とを備え、ウェハ載置面にはザグリ121aが形成されており、ウェハWのオリフラWaとウェハ支持台120との間の隙間からの原料ガスの回り込みを防止する回り込み防止部121Aを備えている。
【0050】
図5に示すウェハ支持台120では、ウェハ支持部121とリング状部122とは別部材であるが、一体であっても構わない。図5に示すウェハ支持台120では別部材であるので、ウェハ支持部121はウェハ支持部材121、リング状部122はリング状部材122と言ってもよい。
【0051】
図5に示すウェハ支持台120では、ウェハ支持部121が平面視して、ウェハWのオリフラWaとリング状部122との隙間を埋めるようにウェハ載置面121Sから立設した突起部である回り込み防止部121Aを有する。
図5に示すウェハ支持台120は、ウェハ載置面121Sと、ザグリ121aと、回り込み防止部121Aとを備える。
回り込み防止部121Aは、ウェハ支持部121の一部であって、平面視して前記オリフラの切り欠け形状に対応する形状を有し、ウェハ載置面121Sから立説してウェハWのオリフラWaとリング状部122との間の隙間に突き出た突出部である。
【0052】
図5に示すウェハ支持台120はこの回り込み防止部121Aを備えるため、ウェハWのオリフラWaとウェハ支持台20との間の隙間からウェハWの裏側に原料ガスが回り込むことが防止されている。
【0053】
回り込み防止部121AとウェハWのオリフラWaとは近接しているほど(例えば、ほぼ接触するほど)、原料ガスの回り込み防止効果は大きい。この近接の程度を回り込み防止部121AとウェハWのオリフラWaとの隙間を平面視した距離で言えば、例えば、0.5〜3mm、より好ましくは0.5〜1mmとすることができる。
【0054】
[搭載プレート(第2実施形態)]
図6は図としては図5に類似するが、図6に示すのは、本発明の一実施形態に係る、ウェハ支持部とリング状部とを備えた搭載プレートのウェハ支持部近傍の一例の模式図である。図6(a)は平面図であり、図6(b)は図6(a)の搭載プレートのX−X線で切った断面図である。図5に記載の部材と同様な部材については同じ符号を付してその説明を省略する。
図6に示す搭載プレート210は、オリフラWaを有するウェハWが載置されるウェハ載置面210−121Sを有するウェハ支持部210−121と、ウェハWの外周を囲むリング状部122とを備え、ウェハ載置面にはザグリ110−121aが形成されており、ウェハWのオリフラWaと搭載プレート210との間の隙間からの原料ガスの回り込みを防止する回り込み防止部210−121Aを備えている。
なお、図6において、符号210−121Sと共に示した点線は断面で見たときの載置されたウェハの位置(高さ)を示すものであって、ウェハ載置面自体を示すものではない。
【0055】
図6に示す搭載プレート210では、ウェハ支持部210−121は搭載プレート210の一部分であるのに対して、リング状部122は搭載プレート210とは別部材である。リング状部122はリング状部材122と言ってもよい。
【0056】
図6に示す搭載プレート210では、ウェハ支持部210−121が平面視して、ウェハWのオリフラWaとリング状部122との隙間を埋めるようにウェハ載置面210−121Sから立設した突起部である回り込み防止部121Aを有する。
図6に示す搭載プレート210は、ウェハ載置面210−121Sと、ザグリ210−121aと、回り込み防止部210−121Aとを有するウェハ支持部210−121を備える。
回り込み防止部210−121Aは、ウェハ支持部210−121の一部であって、平面視してオリフラWaの切り欠け形状に対応する形状を有し、ウェハ載置面210−121Sから立説してウェハWのオリフラWaとリング状部122との間の隙間に突き出た突出部である。
【0057】
図6に示す搭載プレート210はこの回り込み防止部210−121Aを備えるため、ウェハWのオリフラWaとリング状部122(搭載プレート210)との間の隙間からウェハWの裏側に原料ガスが回り込むことが防止されている。
【0058】
回り込み防止部121AとウェハWのオリフラWaとは近接しているほど(例えば、ほぼ接触するほど)、原料ガスの回り込み防止効果は大きい。この近接の程度を回り込み防止部121AとウェハWのオリフラWaとの隙間を平面視した距離で言えば、例えば、0.5〜3mm、より好ましくは0.5〜1mmとすることができる。
【0059】
[ウェハ支持台(第3実施形態)]
図7に、本発明の他の実施形態に係るウェハ支持台の一例の模式図を示す。図7(a)は平面図であり、図7(b)は図7(a)のウェハ支持台のX−X線で切った断面図である。先述した図に記載の部材と同様な部材については同じ符号を付してその説明を省略する。
図7に示すウェハ支持台220は、凹状収容部を有する搭載プレートの凹状収容部内に収容されるウェハ支持台であって、オリフラWaを有するウェハWが載置されるウェハ載置面221Sを有するウェハ支持部221と、ウェハWの外周を囲むリング状部222とを備え、ウェハ載置面にはザグリ221aが形成されており、ウェハWのオリフラWaとウェハ支持台220との間の隙間からの原料ガスの回り込みを防止する回り込み防止部222A及び221Aを備えている。
【0060】
図7に示すウェハ支持台220では、ウェハ支持部221とリング状部222とは別部材であるが、一体であっても構わない。図7に示すウェハ支持台220では別部材であるので、ウェハ支持部221はウェハ支持部材221、リング状部222はリング状部材222と言ってもよい。
【0061】
図7に示すウェハ支持台220では、リング状部222が平面視して、ウェハWのオリフラWaと従来のリング状の部分と同様な部分222Bとの間の隙間を埋めるようにオリフラWa側に突起した突起部222Aを有すると共に、ウェハ支持部221が平面視して、ウェハWのオリフラWaとリング状部222との隙間を埋めるようにウェハ載置面221Sから立設した突起部221Aを有する。
図7に示すウェハ支持台220においては、リング状部222が有する突起部222A及びウェハ支持部221が有する突起部221Aが共に、原料ガスの回り込みを防止する機能を有する回り込み防止部である。
このウェハ支持台220は図3に示した回り込み防止部と、図5に示した回り込み防止部とを両方有する構成であると言えるが、図7に示す構成のように、平面視して突起部222Aと突起部221Aのオリフラ側の端面が重なる(面一となる)ような構成の場合には、原料ガスの回り込みを防止する機能は、リング状部222が有する突起部222Aの方がウェハ支持部221が有する突起部221Aよりも大きいと言える。
【0062】
図7に示すウェハ支持台220のように図3に示した回り込み防止部と、図5に示した回り込み防止部とを両方有する構成の場合に例えば、平面視して、突起部222AとオリフラWaとの隙間よりも突起部221AとオリフラWaとの隙間をより狭くする等することによって、突起部221Aの方の原料ガスの回り込みを防止する機能を強化する等を行ってもよい。
あるいは、図7に示すウェハ支持台220の変形例として、図8に示す、ウェハ支持部221の突起部221AAのように、オリフラWaの近傍において、ウェハ支持部の突起部をウェハWの下方にまで延在する構成としてもよい。
【0063】
[搭載プレート(第3実施形態)]
図9は図としては図7に類似するが、図9に示すのは、本発明の一実施形態に係る、ウェハ支持部とリング状部とを備えた搭載プレートのウェハ支持部近傍の一例の模式図である。図9(a)は平面図であり、図9(b)は図9(a)の搭載プレートのX−X線で切った断面図である。図5に記載の部材と同様な部材については同じ符号を付してその説明を省略する。
図9に示す搭載プレート310は、オリフラWaを有するウェハWが載置されるウェハ載置面310−221Sを有するウェハ支持部310−221と、ウェハWの外周を囲むリング状部222とを備え、ウェハ載置面にはザグリ310−221aが形成されており、ウェハWのオリフラWaと搭載プレート310との間の隙間からの原料ガスの回り込みを阻止する回り込み阻止部222A及び310−221Aを備えている。
なお、図9において、符号310−221Sと共に示した点線は断面で見たときの載置されたウェハの位置(高さ)を示すものであって、ウェハ載置面自体を示すものではない。
【0064】
図9に示す搭載プレート310では、ウェハ支持部310−221は搭載プレート310の一部分であるのに対して、リング状部222は搭載プレート310とは別部材である。リング状部222はリング状部材222と言ってもよい。
【0065】
図9に示す搭載プレート310では、リング状部222が平面視して、ウェハWのオリフラWaと従来のリング状の部分と同様な部分222Bとの間の隙間を埋めるようにオリフラWa側に突起した突起部222Aを有すると共に、ウェハ支持部310−221が平面視して、ウェハWのオリフラWaとリング状部222との隙間を埋めるようにウェハ載置面310−221Sから立設した突起部310−221Aを有する。
【0066】
図9に示す搭載プレート310においては、リング状部222が有する突起部222A及びウェハ支持部310−221が有する突起部310−221Aが共に、原料ガスの回り込みを防止する機能を有する回り込み防止部である点は、図7に示したウェハ支持台220と同様であり、作用効果や変形例は同様に適用できるので説明は省略する。
【0067】
[ウェハ支持台(第4実施形態)]
図10に、本発明の他の実施形態に係るウェハ支持台の一例の模式図を示す。図10(a)は平面図であり、図10(b)は図10(a)のウェハ支持台のX−X線で切った断面図である。先述した図に記載の部材と同様な部材については同じ符号を付してその説明を省略する。
図10に示すウェハ支持台320は、凹状収容部を有する搭載プレートの凹状収容部内に収容されるウェハ支持台であって、オリフラWaを有するウェハWが載置されるウェハ載置面321Sを有するウェハ支持部321と、ウェハWの外周を囲むリング状部322とを備え、ウェハ載置面にはザグリ321aが形成されており、ウェハWのオリフラWaとウェハ支持台220との間の隙間からの原料ガスの回り込みを防止する回り込み防止部322Aを備えている。
【0068】
図10に示すウェハ支持台320が上述の実施形態に係るウェハ支持台と異なるのは、リング状部(リング状部材)322の外周を囲んでその外周を支持するリング状部材外周支持部322wを備えることである。
上述の実施形態に係るウェハ支持台では、リング状部(リング状部材)外周を囲んでその外周を支持する機能は、搭載プレート(サセプタ)に形成されたウェハ支持台を収容する凹状収容部が担うことができる。
【0069】
[ウェハ支持台(第5実施形態)]
図11に、本発明の他の実施形態に係るウェハ支持台の一例の模式図を示す。図11(a)は平面図であり、図11(b)は図11(a)のウェハ支持台のX−X線で切った断面図である。先述した図に記載の部材と同様な部材については同じ符号を付してその説明を省略する。
図11に示すウェハ支持台420は、凹状収容部を有する搭載プレートの凹状収容部内に収容されるウェハ支持台であって、オリフラWaを有するウェハWが載置されるウェハ載置面421Sを有するウェハ支持部421と、ウェハWの外周を囲むリング状部422とを備え、ウェハ載置面にはザグリ421aが形成されており、ウェハWのオリフラWaとウェハ支持台420との間の隙間からの原料ガスの回り込みを防止する回り込み防止部422Aを備えている。
【0070】
図11に示すウェハ支持台320が上述の実施形態に係るウェハ支持台と異なるのは、リング状部422がウェハ支持部421と一体になってウェハ支持台420を構成していることである。加工しやすい様に、回り込み防止部を含む一部分を別の部品としてウェハ支持部にはめ込んで一体化する形にしてもよい。
【実施例】
【0071】
以下、本発明の実施例について説明する。本発明は以下の実施例のみに限定されるものではない。
【0072】
(実施例)
SiC基板として、OFを有する板厚350μmの4インチ(0001)Si面4°オフのSiC単結晶基板を用い、ホットウォールプラネタリ型ウェハ自公転型のCVD装置のウェハ支持台(サテライト)上に載置した。このときSiC単結晶基板の周囲には、ウェハ支持部としてSiC製のリング状部材を配置した。
同一バッチ内に2枚のSiC単結晶基板を投入し、そのうち1枚のSiC単結晶基板は完全円形(ドーナツ状)のSiC製のリング状部材を用い、もう一枚のSiC単結晶基板は回り込み防止部を備えたSiC製のリング状部材を用いて、SiC単結晶基板上にSiCエピタキシャル層を30μm成長させた。
こうして得られたSiCエピタキシャルウェハについて、ウェハの裏面の平坦度をウエハ平面度測定器ウルトラソート(トロッペル(Tropel)社製)を用いて測定した。完全円形(ドーナツ状)のSiC製のリング状部材を用いて成長させたSiCエピタキシャルウェハでは、オリフラ近傍に特徴的なピークが現れ、SiCエピタキシャルウェハの平坦度GBIRは8.29μmであった。一方で、回り込み防止部を備えたSiC製のリング状部材を用いて成長させたSiCエピタキシャルウェハでは、オリフラ近傍にピークが現れなかった。SiCエピタキシャルウェハの平坦度GBIRは6.95μmであり、平坦度が改善していた。
【符号の説明】
【0073】
10、110、210、310、搭載プレート(サセプタ)
20、120、220、320、420 ウェハ支持台(サテライト)
21S、121S、221S、321S、421S ウェハ載置面
110−21S、210−121S、310−221S ウェハ載置面
21、121、221、321、421 ウェハ支持部
121A、210−121A、221A、221AA、210−221A 回り込み防止部
21a、121a、221a、321a、421a ザグリ
22、122、222、322、422 リング状部
22A、222A、322A、422A 回り込み防止部
100 化学気相成長装置
W ウェハ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12