特許第6850592号(P6850592)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6850592
(24)【登録日】2021年3月10日
(45)【発行日】2021年3月31日
(54)【発明の名称】油圧ホース用多連リール
(51)【国際特許分類】
   B65H 75/38 20060101AFI20210322BHJP
   E02F 5/02 20060101ALI20210322BHJP
   B65H 75/48 20060101ALI20210322BHJP
【FI】
   B65H75/38 R
   E02F5/02 N
   B65H75/48 C
   B65H75/38 K
【請求項の数】3
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2016-229723(P2016-229723)
(22)【出願日】2016年11月28日
(65)【公開番号】特開2018-87050(P2018-87050A)
(43)【公開日】2018年6月7日
【審査請求日】2019年9月27日
(73)【特許権者】
【識別番号】599112113
【氏名又は名称】株式会社東亜利根ボーリング
(74)【代理人】
【識別番号】100108327
【弁理士】
【氏名又は名称】石井 良和
(72)【発明者】
【氏名】徳永 進
【審査官】 佐藤 秀之
(56)【参考文献】
【文献】 実公昭49−002570(JP,Y1)
【文献】 実開昭63−144956(JP,U)
【文献】 実開平05−087338(JP,U)
【文献】 実開平02−004873(JP,U)
【文献】 特開2016−195763(JP,A)
【文献】 実開昭51−030232(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65H 75/00−75/50
E02F 5/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のリールを独立して回転可能に単一のリール軸に並列させ、摩擦板を介してリールに回転駆動力を伝達して油圧ホースを巻き取るものであって、ある油圧ホースに設定値を超えた引張力が作用すると油圧ホースがリールから繰り出され、引張力が設定値を下回ると繰り出されたホースが巻き戻される油圧ホース用多連リールであって、作動油の通路を軸方向に設けたリールの固定軸に油圧モータの回転駆動力が摩擦板を介して伝達されるスリーブが回転可能に嵌装してあり、このスリーブに複数のリールがスリーブに設けた伝達摩擦板を介してスリーブに対して回転可能に取り付けてあり、伝達摩擦板はスリーブに伝達ピンで固定してあり、油圧モータと摩擦板の間にはバネが設置されており摩擦板への押圧力が調整可能としてある油圧ホース用多連リール。
【請求項2】
請求項1において、油圧モータと摩擦板の間に設けたバネは皿バネであり、弾発力調整用の調整ナットが設けてある油圧ホース用多連リール。
【請求項3】
請求項1または2において、各リールには制動用ブレーキが設けてあり、任意のリールを独立して制動可能としてある油圧ホース用多連リール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、水平多軸掘削機など、複数の油圧利用装置を有する機器に作動油を供給する油圧ホースを巻き取るリールに関する。
【背景技術】
【0002】
油圧を駆動源とする掘削機や駆動伸縮ブームなどでは、油圧源と油圧利用装置の間の距離が稼働中に変化するので、距離の変化に対応するため油圧ホースはリールに巻いてあり、油圧ホースの繰り出しと巻き戻しによって距離の変化に対応させることがおこなわれている。その際、油圧ホースに弛みが生じないようにホースリールは渦巻きバネや油圧モータによって油圧ホースを巻き取る方向に付勢してある。
図1は油圧駆動の掘削機(水平多軸掘削機)を示したものである。掘削の進行に伴って掘削機1は地中に降下していくのでそれに伴って油圧ホース3がリール2から繰り出されて掘削機1と油圧源(図示しない)の間の距離の変化に対応させている。
【0003】
水平多軸掘削機1にはカッター駆動装置、姿勢制御装置、位置調整装置など(いずれも図示しない)の複数の油圧駆動装置が装備されており、これらの装置に個々に油圧を供給する油圧ホースが複数装備されている。各油圧ホースについて巻取用のリールが必要であるので、従来、図2に示すように、油圧モータ4で回転駆動されるリール軸21に複数のリール2a〜2fを並列して固定する多連リール20が提案されているが、複数のリール2a〜2fを単純にリール軸21に固定したものでは、油圧駆動装置の負荷変動による油圧ホース3a〜3fの伸びに対応することができず、油圧ホース3a〜3fに過大な張力が発生してダメージを与えることがあり好ましくなかった。
また、油圧ホース3a〜3fを最初に個々のリール2a〜2fに取り付ける際、油圧ホース3a〜3fのリールの軸の周方向の取り付け位置がリール2a〜2fによってそれぞれ異なっているのでリール2a〜2fの各取り付け位置と対応する油圧駆動装置の間の距離が異なっており、油圧ホース3a〜3fの長さの調整が必要となるが、リール2a〜2fがリール軸21に固定されているので長さの調整が困難であった。
【0004】
そこで、図3に示すように、油圧ホース3a〜3fに作用する張力を緩和するため、油圧モータ4とリール軸の間に摩擦板50を、また、リール2同士の間に伝達摩擦板51を設け、油圧ホース3a〜3fのいずれか、例えば油圧ホース3cに過大な引張力が発生し、油圧ホース3cが巻かれているリール2cに摩擦板51による摩擦力を超える回転力が作用すると、リール2cは伝達摩擦板51面上を滑って回転し、油圧ホース3cがリール2cから繰り出されて過大な張力を解消することが提案されている。
この装置では、摩擦力の調整は、伝達摩擦板51に押圧力を与える皿バネ40をナット41の回転によって皿バネの弾発力を調整することによっておこなわれている。しかし、引き出された油圧ホース3cに作用する引張力が解消すると、油圧ホース3cが引き出された状態でリール2cと伝達摩擦板51間の摩擦力がバランスした状態となるので、リール2cのみを巻き戻して油圧ホース3cを巻き取ることはできず、巻戻すにはこの多連リールの構造上、油圧ホースリール全体をリセットする必要があった。したがって、油圧駆動装置が水平多軸地中連続壁掘削機の場合は、リセット作業のために掘削作業を中断しなければならないので掘削作業に遅延をもたらし、掘削効率を低下させるので好ましいものではなかった。
また、油圧モータ4の回転駆動力をリール軸に伝達する摩擦板50が滑ると多連リール20全体が滑り、リール単体を巻き戻すことができないという欠点を有している。
【0005】
これらの問題を解消するため、図4に示すように、油圧ホースのリール2a〜2dを共通のリール軸に固定せず、油圧利用装置ごとに対応する駆動モータ4a〜4dを具備する独立したリール2a〜2dを並列させることが試みられたが、個々の独立リール2a〜2dに油圧モータ4a〜4dをそれぞれ装備させているので装置全体が大きくなって装置の占有空間が大きくなり、前記の多連型に比較して装備できる油圧ホースの数が少なくなると共にコストがかかり、他の装置の配設に影響がでることがあった。また、複数のリール2a〜2dを個別に駆動するので油圧回路が複雑となってメンテナンスにコストがかかるという問題も生ずることになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2012−012839号公報
【特許文献1】特公平6−96432号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、複数のリールを一つのリール軸に並列させ、摩擦板によってリールに回転駆動力を伝達し、油圧ホースに過大な引張力が作用しないように所定引張力を超えた場合には自動的に油圧ホースがリールから繰り出されるようにすると共に、過大な引張力が解消して定常状態に戻った場合に、繰り出された油圧ホースのリールだけを自動的に巻き戻されるようにするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
複数のリールを独立して回転可能に単一のリール軸に並列させ、摩擦板を介してリールに回転駆動力を伝達して油圧ホースを巻き取るものであって、ある油圧ホースに設定値を超えた引張力が作用すると油圧ホースがリールから繰り出され、引張力が設定値を下回ると繰り出されたホースが巻き戻される油圧ホース用多連リールであって、作動油の通路を軸方向に設けたリールの固定軸に油圧モータの回転駆動力が摩擦板を介して伝達されるスリーブが回転可能に嵌装してあり、このスリーブに複数のリールがスリーブに設けた伝達摩擦板を介してスリーブに対して回転可能に取り付けてあり、伝達摩擦板はスリーブに伝達ピンで固定してあり、油圧モータと摩擦板の間にはバネが設置されており、このバネの弾発力を調整することによって摩擦板による摩擦力を調整可能とした油圧ホース用多連リールである。
油圧モータと摩擦板の間に設けたバネは、皿バネであり、弾発力調整用の調整ナットが設けてある油圧ホース用多連リールである。
更に、各リールには制動用ブレーキが設けてあり、任意のリールを独立して制動可能としてある油圧ホース用多連リールである。
更に、各リールの外周部にはブレーキパッドが設けてあってリールを独立して制動可能である油圧ホース用多連リールである。
【発明の効果】
【0009】
作動油の通過回路を設けた固定軸に回転スリーブが嵌装してあり、回転スリーブは固定軸に対して水平移動可能としてあり、回転スリーブは皿バネの弾発力によって横方向に付勢されており、皿バネの弾発力を固定軸に取り付けてあるナットによって調整可能としてある。この皿バネの弾発力によって摩擦板を押し付ける力を調整して摩擦板に作用する摩擦力を調整しており、リールに作用する制動力を調整することができる。油圧ホース単体の適正引張力が発生するよう皿バネを圧縮してリールと伝達摩擦板に摩擦力を発生させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】油圧駆動装置(掘削機)の油圧ホース用リールの配置位置の説明図。
図2】従来の多連リールの正面断面図。
図3】従来の摩擦板を使用した多連リールの正面断面図。
図4】従来の油圧ホースリールを並列させた正面図。
図5】本発明の多連油圧ホースリールの正面断面図、及び側面図。
図6】本発明のリール軸の断面図。
図7】本発明のリール軸の固定軸の断面図。
図8】本発明のリール軸のスリーブの断面図。
図9】伝達摩擦板の正面図及び側面図及び固定用のピンの斜視図。
図10】ブレーキの説明図。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
図5に示すように、本発明の多連リール20は、リール軸21に複数のリール2a〜2fが並列に取り付けてあり、リール軸21を回転中心としてリール2a〜2fが回転するものであり、リール2a〜2fにはそれぞれ油圧ホース3a〜3fが巻いてある。
図6図8の断面図に示すように、リール軸21は、固定軸25とこれに回転可能に嵌装されているスリーブ26で構成されており、両端部の摩擦板50及びリール2a〜2fの間に設けた伝達摩擦板51の摩擦力によってリール2a〜2fは、スリーブ26と共に回転したり、または、回転せずに空転してその位置に留まったりするものである。
摩擦板50、及び伝達摩擦板51はクロムモリブデン鋼(SCM440)等の合金鋼を用いており、軟窒化処理等の表面硬化処理をおこなって耐摩耗性を高めている。
図7に示すように、固定軸25には、その軸端面から対応するリールの取り付け位置まで油圧作動油の流路5a〜5f(5c、5e、5fは図示していない)が形成してあり、リール2の取り付け位置の全周に形成した溝6a〜6fに連通しており、溝6a〜6fの上部は嵌装されるスリーブ26の内面で塞がれており、そして、この溝6a〜6fの両側にはパッキング61、61が固定軸の全周に渡って設けてあって溝6a〜6fからの作動油の漏洩を防止している。
固定軸25の左右両端部には嵌装されるスリーブ26の回転を支持する軸受8、8が設けてあり、駆動モータ4が取り付けられる反対側の端部には固定用の固定板9が設けてある。
【0012】
図8に示すように、スリーブ26は、固定軸25に回転可能に嵌装されるものであり、組立てた状態において、固定軸25の表面の溝6a〜6fに対応する位置に開口62a〜62fが形成してあり、その開口の62a〜62fの両側の表面にはパッキング61、61が全周に渡って設けてあって作動油の漏出を防止している。開口62a〜62fに対応する位置にはリール2a〜2fが軸方向にスライド可能に取り付けてある。
以上の構成によって作動油は流路5a〜5fを通ってリール2a〜2fに連結された油圧ホース3a〜3fを通じて各油圧機器に供給される。
【0013】
スリーブ26の両端部には、油圧モータ4の回転駆動力を伝達する摩擦板50、50が設けてあり、皿バネ40の弾発力によって図の右端の摩擦板50を左側に押圧して所定の摩擦力をリール2a〜2fに与えられており、リール2a〜2fは、スリーブ26とともに回転するようにしてある。
リール2a〜2fの側面には図9に示す伝達摩擦板51がスリーブ26に軸方向に移動可能に設けてある。伝達摩擦板51は、リング状の部材であり、リングの内側には頭部が四角形のストップピン51bの頭部が嵌合する凹部51aが形成してある。ストップピン51bはスリーブ26に設けたピン穴51cに挿入され、ストップピン5bの頭部がスリーブ26の表面から突出した状態に取り付けられる。ピン穴51cはリール2の取り付け位置の間に位置するように設けてある。伝達摩擦板51の凹部51aはストップピン51bの四角形にほぼ合致しているので、スリーブ26の回転は伝達摩擦板51に伝達されて一緒に回転する。皿バネ40の弾発力による伝達摩擦板への押圧力を変化させると、伝達摩擦板51は、スリーブ26の軸方向にスライドしてリール2の側面への押圧力を変化させて摩擦力が調整される。
【0014】
伝達摩擦板51と各リールとの摩擦によって油圧モータ4の回転駆動力が各リール2a〜2fに伝達されるので、駆動モータ4に必要とされる回転駆動力は、油圧ホース単体の適正引張力×本数で設計する。
皿バネ40によって設定した伝達摩擦板51に生ずる摩擦力を超える引張力がいずれかの油圧ホースに生じた場合、その油圧ホースが巻きつけてあるリールが回転を始め、油圧ホースが引張方向に繰り出されるので油圧ホースに作用する引張力が緩和される。
【0015】
油圧駆動装置である掘削機1が掘削作業中に移動する場合は、駆動モータ4によって全リールを同時に回転させて油圧ホース3に生じる引張力を適切な値に維持しながら繰り出し、または、巻き取りをおこなうことができ、円滑な移動をおこなうことができる。
油圧駆動装置に供給している作動油の圧力変動により設定した適正引張力を超過する引張力が、例えば油圧ホース3dに作用すると、伝達摩擦板51とリール2dとの摩擦係合がはずれて滑りだすので、リール2dが回転して油圧ホース3dがリール2dから繰り出される。
油圧ホース3dがリール2dから繰り出されたことによって油圧ホース3dに作用する引張力は減少緩和されて油圧ホース3dの設定引張力に等しいか、または僅かに小さくなると、両者間の摩擦係合が回復してリール2dの回転が停止する。更に引張力が設定引張力以下に下がると、リール2dと伝達摩擦板51の間の摩擦力が引張力より大きくなると、リール2dは駆動モータ4の回転駆動力によって油圧ホースの巻取り方向に回転し、油圧ホース3dはリール2dに適正引張力に等しくなるまで自動的に巻き取られる。
【0016】
リール2dと伝達摩擦板51の間の摩擦力が十分でなく油圧ホース3をリール2に巻き取るのに必要な回転力が得られず油圧ホース3が巻き戻されない場合は、図10に示すブレーキ7を巻き戻すべきリール以外の他のリールに作動させて回転を停止させ、回転駆動力をリール2に集中させてリール2を回転させることによって油圧ホース3を巻き取ることができる。
ブレーキ7の具体例の一つを挙げると、図10に示すように、リール2のリムに押し当てる形式のものであり、各リール2a〜2fを独立して個別に制動できるものとしてある。油圧シリンダー7bを作動させてブレーキ7のパッド7aをリール2のリムに押圧し、ブレーキ7を作動させて回転させるべきリール以外のリールが回転しないように固定し、油圧モータ4の回転駆動力を目的の巻き戻すべきリールに集中させることによって油圧ホース3をリール2に巻き取る。
このブレーキ7を作動させる操作を適宜おこなうことによって、油圧機器である掘削機の掘削負荷の増大によって油圧ホース3に作用する引張力が増大するのを緩和させ、掘削負荷が低下して油圧ホースに作用する引張力が小さくなると自動的に油圧ホース3が巻き戻される。
【符号の説明】
【0017】
1 掘削機
2 リール
20 多連リール
21 リール軸
25 固定軸
26 スリーブ
3 油圧ホース
4 油圧モータ
40 バネ
41 バネ調整用ナット
50 摩擦板
51 伝達摩擦板
51a 凹部
51b ピン
51c ピン穴
6 軸受
6a パッキング
7 ブレーキ
70 ブレーキパッド
8 軸受
9 固定板
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10