(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来のグリルでは、例えば
図7に示すように、加熱庫80の側壁801の内面下部、即ち、加熱庫80内に収容される焼き網やグリルプレートなどの調理具9の外側下方に、枠体86を前後摺動可能に係合保持するための係合突起89が設けられている。そのため、調理具9から外側方へ食材の油や焼き汁が漏下した場合に、係合突起89や枠体86、係合突起89と枠体86との間隙に付着残留し易い。また、このように係合突起89やその周辺の間隙に油や焼き汁等の汚れが付着すると、容易に落とし難く、清掃に手間がかかった。特に、加熱庫80の底壁802と係合突起89との間隙は、係合突起89が邪魔になってより清掃し難かった。
【0005】
また、上記グリル8のように、調理具9の下方の空間にのみバーナ81が配設されたものでは、バーナ81から放出される熱気を加熱庫80内全体へ循環供給させる必要があるため、バーナ81の燃焼出力が大きく設定される。従って、係合突起89やその周辺の間隙に汚れが付着残留していると、バーナ81から放出される熱気によって汚れが熱せられて焦げ付き易く、清掃がより困難になる虞もあった。
【0006】
本発明は、上記課題を鑑みてなされたものであり、その目的は、加熱庫の前扉が本体前面から前方へ引き出すようにして開くように構成されたグリルにおいて、加熱庫内の清掃性の向上を図ることにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、食材や調理具を収容可能な加熱庫と、加熱庫の前面開口部を被閉する前扉とを備えたグリルであって、前扉の後面に、本体内部における調理具との下方対向位置に挿通され、前扉を支持する扉支持枠が後方へ向かって延設され、前記下方対向位置に、扉支持枠を前後摺動可能な状態で係合保持する被係合部が設けられ、扉支持枠を前記下方対向位置に挿通し、被係合部に係合保持させることで、前扉が本体前面に対して前後に摺動開閉するように構成され
、加熱庫の底壁上部に、調理具の配設部と被係合部の配設部とを上下に分離画成するカバー板が設けられ、前記カバー板は、下方に開放する形状を有し、被係合部を上方から覆うようにして加熱庫の底壁上部に固定して設けられているものである。
【0008】
このものでは、調理具の下方位置に扉支持枠および被係合部が配されるから、たとえ調理具から外側方へ食材の油や焼き汁が漏下しても、被係合部やその周辺の間隙に付着し難い。よって、清掃の手間が省ける。しかも、調理具との下方対向位置に扉支持枠の被係合部を配したことで、加熱庫内の側壁下部に既述従来のグリルのような係合突起を設ける必要がないから、側壁内面をより清掃し易い簡素な構成にすることが可能である。
また、前扉を開いて調理具を前面開口部から引き出す際に、調理具から後方へ食材の油や焼き汁が漏下しても、カバー板によってそれら油や焼き汁が被係合部やその周辺の間隙に付着するのを防止できるから、清掃に一層手間がかからない。
【0009】
好ましくは、上記グリルにおいて、調理具との下方対向位置に、加熱庫内の中央側から外側方へ向けて熱気を放出するバーナが設けられ、バーナの熱気放出部より加熱庫中央寄りの位置に、被係合部が配される。
【0010】
このものでは、調理具の下方位置にバーナが設けられているから、調理具から外側方へ油や焼き汁が飛散しても、バーナに付着し難い。よって、清掃に一層手間がかからない。しかも、調理具の下方位置にバーナを設け、調理具の下方から外側方(加熱庫の側壁側)へ向けて放出される熱気により調理具および食材を加熱するように構成したことで、加熱庫の側壁にバーナを設ける必要がないから、側壁内面をより清掃し易い簡素な構成にすることが可能である。また、加熱庫の側壁内面を、汚れが残留し難い簡素な構成としたことで、たとえバーナの燃焼出力を大きく設定しても、側壁内面にて汚れの焦げ付きが生じ難いから、清掃に一層手間がかからない。
【0011】
ところで、調理具の下方から加熱庫の外側方へ向けて熱気を放出するように構成されたグリルでは、加熱庫の側壁内面に既述従来のグリルのような係合突起が設けられていると、上記熱気が側壁内側に沿って調理具の上方へ円滑に回り込まず、調理具や食材を効率良く加熱できない虞がある。しかしながら、本発明に係るグリルでは、加熱庫の側壁内面に既述従来のグリルのような係合突起を設ける必要がなく、側壁内面をより簡素な構成にすることが可能であるから、上記熱気を側壁内側に沿って調理具の上方へ円滑に導き、調理具および食材を効率良く加熱することができる。しかも、このものでは、バーナの熱気放出部より加熱庫中央寄りの位置に被係合部が配されており、被係合部や扉支持枠が上記熱気によって直接的に熱せられないから、被係合部および扉支持枠の熱による変色や変形も防止できる。
【発明の効果】
【0014】
以上のように、本発明によれば、被係合部やその周辺の間隙に汚れが付着し難く、また、加熱庫の側壁内面をより清掃し易い簡素な構成にすることが可能であるから、加熱庫内の清掃性が向上する。
【発明を実施するための形態】
【0016】
次に、上記した本発明を実施するための形態について、添付図面を参照しながら詳述する。
【0017】
図1および
図2に示すように、本発明の実施の形態に係るグリル2は、天板101の上面に単数或いは複数のコンロバーナ11を有するガスコンロ1のコンロ本体10に一体的に構成されており、コンロ本体10がグリル2の外郭を構成している。尚、本明細書では、コンロ本体10を前面(以下、「本体前面」という)103側から見たときの奥行き方向を前後方向、幅方向を左右方向、高さ方向を上下方向という。
【0018】
グリル2は、焼き網やグリルプレート、加熱容器などの調理具3を収容可能な略矩形箱状の加熱庫20と、調理具3に載置又は収容される食材を加熱するグリルバーナ21とを備えている。尚、上記グリル2では、調理具3として、焼き網やグリルプレート、蓋付きの加熱容器(例えば、ダッチオーブン鍋)、蓋なしの加熱容器などを使用することができるが、本実施の形態では、グリルプレートを使用する場合の構成を中心に説明する。
【0019】
加熱庫20は、本体前面103からコンロ本体10の内部後方へ向かって延設されており、食材や調理具3の出し入れ口となる加熱庫20の前面開口部200は、本体前面103に開設されている。
【0020】
前面開口部200は、前方から前扉(以下、「グリル扉」という)22により被閉されている。本体前面103におけるグリル扉22の左右位置には、コンロバーナ11の点火および消火を行うための単数或いは複数のコンロ点消火操作子13と、グリルバーナ21の点火および消火を行うためのグリル点消火操作子23とが配設されている。
【0021】
図示しないが、コンロ本体10の内部には、コンロ点消火操作子13の点火操作や消火操作に連動して開閉するコンロバーナ11用のバルブユニット、グリル点消火操作子23の点火操作や消火操作に連動して開閉するグリルバーナ21用のバルブユニット、ガス供給元管から上記各バルブユニットへガスを導くガス配管等が組み込まれている。
【0022】
コンロ本体10内における加熱庫20の後方には、グリルバーナ21から加熱庫20内に放出されたガスの燃焼排気(熱気)や食材から発生した油煙、臭気成分等を、天板101に開設された排気口14へ導く排気筒24が配設されている。排気筒24は、加熱庫20の後壁204の上端部に開設された排気筒入口240から後上方へ向かって略L字状に延設されており、上端の排気筒出口241を排気口14に下方から臨ませている。
【0023】
グリル扉22の後面を構成する扉後板220には、調理具3を支持する調理具支持枠(以下、「ベース枠」という)25と、グリル扉22を支持する扉支持枠(以下、「スライド枠」という)26とが連設されている。ベース枠25およびスライド枠26は何れも、グリル扉22の後面側から後方へ向かって、加熱庫20の後壁204の前面近傍位置まで延設されている。
【0024】
ベース枠25の前後端の上部にはそれぞれ、左右方向に長い略平板状の板枠250が設けられており、板枠250の上面に調理具(ここでは、グリルプレート)3が取り外し可能な状態で載置される。
【0025】
図2および
図3に示すように、加熱庫20の内側上部は、加熱庫20の上壁201と、上壁201を下方から覆う集熱板27とからなる二重構造をなしている。集熱板27は、両側端部が加熱庫20の左右の側壁205に支持固定されており、上壁201との間に、排気筒入口240を通じて排気筒24に繋がる排気通路20Cを画成している。
【0026】
集熱板27は、加熱庫20の左右方向の中央、即ち、縦中心線上に配設される下向きに凸の前方視略逆台形状の膨出部51と、側壁205から膨出部51の外側端縁へ向かって斜め上方に延出する傾斜部52とからなる正面視略M字状に形成されている。
【0027】
膨出部51および傾斜部52は、何れも集熱板27の前端から後端に亘って形成されている。従って、加熱庫20内の側壁205に沿って上昇する熱気は、上記傾斜部52の下面に沿って膨出部51の周辺に導かれ、さらに膨出部51の下面に沿って下方、即ち、調理具3側へ導かれる。これにより、調理具3および調理具3に載置又は収容された食材は、加熱庫20内を外側から上方を回って中央下方へ流れる熱気(対流熱)によって上方から加熱される。
【0028】
集熱板27の後端は、後壁204における排気筒入口240の下縁部に沿って当接しており、調理具3が収容される空間(以下、「調理具収容部」という)20Eと排気筒入口240とを分離している。また、膨出部51の前後方向の中央よりも前寄りの位置、および、後寄りの位置にはそれぞれ、調理具収容部20Eと排気通路20Cとを連通する複数の熱気導出孔53が開設されている。従って、グリルバーナ21から放出され、調理具収容部20Eへ導かれる熱気や調理具3の食材から発生する油煙、臭気成分は、熱気導出孔53を通じて排気通路20Cに導出され、さらに排気通路20Cを通って排気筒入口240へ導かれ、排気筒24から排気筒出口241を通じてコンロ本体10の外部に排出される。また、集熱板27の前寄りの位置に設けられた熱気導出孔53を通じて排気通路20Cへ導出された熱気中の熱は、排気通路20Cを流れる間に集熱板27によって回収され、調理具3側へ向けて輻射される。これにより、調理具3の食材は、集熱板27からの輻射熱によって上方から加熱される。
【0029】
グリルバーナ21は、二つの樋状体を上下に重ね合わせて形成された直管状のバーナであり、調理具3との下方対向位置における加熱庫20の縦中心線を挟んで左右対称位置にそれぞれ配設され、加熱庫20の後壁204から前方へ向かって略水平に延出している。
【0030】
炎孔210は、グリルバーナ21の外側端面に沿って設けられており(
図3参照)、グリルバーナ21に供給されたガスを加熱庫20内の中央側から外側方(側壁205側)へ略水平に噴出させるように構成されている。尚、図示しないが、各グリルバーナ21の炎孔210の近傍にはそれぞれ、点火プラグが配設されており、グリル点消火操作子23の点火操作に連動して上記各点火プラグから特定の炎孔210の周辺で火花放電させ、炎孔210から噴出されるガスを着火させる。
【0031】
底壁202の内面上部における左右方向の略中央位置には、下方に開放する前方視略コ字状のカバー板28が加熱庫20の前面開口部200から後壁204に亘って前後方向に延設されている。グリルバーナ21は、カバー板28の内側の空間(以下、「バーナ収容部」という)20Aに配設される。
【0032】
カバー板28の上板(以下、「カバー上板」という)61は、比較的面積の広い略平板状に形成されており、加熱庫20内に、調理具収容部20Eとバーナ収容部20Aとを上下に分離画成している。調理具3は、カバー上板61の上面側に所定の間隔20Bを存して配設される。
【0033】
カバー板28の側板(以下、「カバー側板」という)62には、グリルバーナ21の炎孔210に対向してガス導出口63が開設されている。カバー側板62と加熱庫20の側壁205との間には、調理具収容部20Eに繋がる空間(以下、「熱気連絡通路」という)20Fが画成されており(
図3参照)、バーナ収容部20Aにてグリルバーナ21から外向きに放出された熱気は、ガス導出口63を通って熱気連絡通路20Fに導出され、調理具3の外側を側壁205に沿って上昇する。その結果、調理具3が側方から加熱される。これにより、調理具3に載置又は収容された食材は、調理具33からの伝導熱によって加熱される。
【0034】
カバー上板61の下方で且つ底壁202の内面上部における左右方向の略中央位置、即ち、グリルバーナ21の炎孔210の形成部より加熱庫20の左右方向の中央寄りの位置には、下方に開放する前方視略コ字状のレール板29が加熱庫20の前面開口部200から後壁204に亘って前後方向に延設されている。
【0035】
底壁202におけるレール板29で上方から覆われた領域には、加熱庫20の外部空気をグリルバーナ21の燃焼用の二次空気としてバーナ収容部20Aに取り込むための空気取込口206が複数開設されている。また、レール板29の側板(以下、「レール側板」という)65には、レール板29の内側の空間20Gとバーナ収容部20Aとを繋ぐ連絡孔66が開設されている。従って、グリルバーナ21が点火された際のドラフト作用によって、空気取込口206からレール板29の内側の空間20Gに導入される加熱庫20の外部空気は、連絡孔66を通ってバーナ収容部20Aに導入される。
【0036】
ベース枠25は、加熱庫20の前面開口部200から熱気連絡通路20Fに挿通される。一方、スライド枠26は、レール板29の内側の空間(以下、「アーム挿通部」という)20Gに挿通され、レール板29によって前後摺動可能な状態で係合保持される。即ち、レール板29がスライド枠26を前後摺動可能な状態で係合保持する被係合部となる。このように、スライド枠26を本体前面103側からアーム挿通部20Gに挿通させ、レール板29に前後摺動可能な状態で係合保持させることで、グリル扉22は、本体前面103に対して前後に摺動開閉するように支持される。
【0037】
図3および
図4に示すように、ベース枠25およびスライド枠26は何れも、金属製の丸線材を平面視略U字状に折曲形成したものであり、一端(開放端)側の基端部25A,26Aが扉後板220に連結固定され、片持ち梁状に支持されている。
【0038】
ベース枠25の他端側の後端部25Bは、略垂直上向きに折曲形成されており、上記後端部25Bの中央の側延部251に、調理具3の後部側を支持する板枠250が連結固定されている。尚、調理具3の前部側を支持する板枠250は、扉後板220の上縁に沿って一体形成されている。
【0039】
側延部251の略中央部には、下向きに突出する単数又は複数の曲凸部255が形成されており、曲凸部255の下端がカバー上板61の上面に当接し、後端部25B側の板枠250をカバー上板61の上面に所定の間隙20Bを存して支持する。これにより、板枠250の上部に載置された調理具3や食材の荷重がベース枠25の基端部25Aに集中的に加わらず、カバー板28に分散される。よって、基端部25Aや扉後板220との連結部に変形や破損が生じ難い。
【0040】
ベース枠25の左右の後延部252は、熱気連絡通路20Fにおける底壁202の上面に沿って当接する。従って、グリル扉22を開閉する際に、板枠250の上部に載置された調理具3が必要以上に左右へ傾かない。また、後延部252は、熱気連絡通路20Fにおける底壁202の上面に当接する高さ、即ち、グリルバーナ21の炎孔210より下方となる高さに配設されるため、グリルバーナ21から熱気連絡通路20Fへ略水平外向きに放出される熱気が直接的に噴き付けられることもない。
【0041】
スライド枠26の他端側の後端部26Bは、斜め上方へ所定の角度で折曲形成されている。上記後端部26Bの中央側延部261は、左右方向へ略水平に形成されており、後端部26Bが上方へ所定以上移動した場合に、レール板29の上板64の下面に当接する。また、スライド枠26の左右の後延部262は、アーム挿通部20Gにおける底壁202の上面に当接する。このように、スライド枠26の後端の中央側延部261がレール板29の上板64の下面に当接し、且つ、後延部262が底壁202の上面に当接することで、グリル扉22を開閉する際に、グリル扉22が自重や調理具3、食材の荷重によって必要以上に下方へ傾倒するのが阻止される。
【0042】
上記グリル2によれば、加熱庫20内における調理具3の下方位置に、スライド枠26およびレール板29が配されるから、たとえ調理具3から外側方へ食材の油や焼き汁が漏下しても、レール板29やスライド枠26、レール板29とスライド枠26との間隙には付着し難い。よってその分、清掃の手間が省け、加熱庫20内の清掃性が向上する。
【0043】
しかも、調理具3との下方対向位置にレール板29を配したことで、加熱庫20の側壁205の内面に既述従来のグリルのような係合突起を設ける必要がないから、側壁205の内面をより清掃し易い簡素な構成にすることが可能である。よって、加熱庫20内の清掃性が一層向上する。
【0044】
また、調理具3との下方対向位置にグリルバーナ21を設け、調理具3の下方から外側方(側壁205側)へ向けて放出される熱気により調理具3および食材を加熱するように構成したことで、側壁205にバーナを設ける必要もないから、側壁205の内面をより清掃し易い簡素な構成にすることが可能である。よって、加熱庫20内の清掃性がより一層向上する。また、上記のように側壁205の内面を、汚れが残留し難い簡素な構成としたことで、たとえグリルバーナ21の燃焼出力を大きく設定しても、側壁205の内面にて汚れの焦げ付きが生じ難いから、清掃に一層手間がかからない。よって、加熱庫20内の清掃性がより一層向上する。
【0045】
また、上記グリル2のように調理具3の下方から外向きに熱気を放出するように構成されたものでは、側壁205の内面に既述従来のグリルのような係合突起が設けられていると、グリルバーナ21から放出された熱気が側壁205の内側に沿って調理具収容部20Eへ円滑に回り込まず、調理具3や食材を効率良く加熱できない虞がある。しかしながら、上記実施の形態に係るグリル2では、側壁205の内面に既述従来のような係合突起を設ける必要がなく、側壁205の内面をより簡素な構成とすることが可能であるから、上記熱気を側壁205の内側に沿って調理具収容部20Eへ円滑に導き、調理具3および食材を効率良く加熱することができる。よって、調理性能も向上する。
【0046】
しかも、このものでは、グリルバーナ21の炎孔210の形成部(熱気放出部)よりも加熱庫20の左右方向の中央寄りの位置にレール板29が配されており、レール板29やスライド枠26が上記熱気によって直接的に熱せられないから、レール板29およびスライド枠26の熱による変色や変形も防止できる。
【0047】
また、このものでは、レール板29やグリルバーナ21を上方から覆うように、加熱庫20の底壁202の上部に、調理具収容部20Eとバーナ収容部20A(レール板29の配設部)とを上下に分離画成するカバー板28が設けられており、グリル扉22を開いて調理具3を前面開口部200からコンロ本体10の前方へ引き出す際に、調理具3から後方へ食材の油や焼き汁が漏下しても、カバー板28によってそれら油や焼き汁がレール板29やその周辺の間隙、グリルバーナ21等に付着するのを防止できるから、清掃に一層手間がかからない。しかも、カバー上板61は、比較的面積の広い略平板状に形成されているから、カバー上板61の上面に油や焼き汁が付着しても、容易に清掃できる。よって、加熱庫20内の清掃性がより一層向上する。
【0048】
尚、上記実施の形態では、ベース枠25は、後端部25Bが略垂直上向きに折曲形成され、その側延部251に板枠250が連結固定されたものを説明したが、
図5および
図6に示すように、後端部25Bが上向きに折曲形成されておらず、ベース枠25が同一平面状で略U字状に折曲形成され、扉後板220からカバー上板61と略平行に後方へ向かって延設されたものとしてもよい。この場合、グリル扉22を開閉する際に調理具3が必要以上に左右へ傾かないよう、底壁202に対するグリルバーナ21の支持構造部(図示せず)に干渉しない範囲内で、スライド枠26の後延部262相互の左右方向の離間距離をできる限り大きく設定するのが好ましい。
【0049】
また、上記実施の形態では、スライド枠26が金属製の丸線材を平面視略U字状に折曲して形成されたものを説明したが、一枚又は複数枚の金属製の板体を用いて上記スライド枠26と同様の構成形態に形成されたものとしてもよいし、
図5および
図6に示すように、スライド枠26が独立した二本の線材で構成され、それら各線材が後延部262となり、一端が扉後板220に連結固定されて片持ち梁状に支持される一方、他端の後端部26Bが斜め上方に折曲形成され、レール板29の上板64の下面に当接するように構成されたものとしてもよい。
【0050】
また、上記実施の形態では、レール板29が、下方に開放する前方視略コ字状に形成され、底壁202における左右方向の略中央位置に配設されたものを説明したが、スライド枠26を前後摺動可能に係合支持することができれば、レール板29が、一対の前方視略L字状の板材を内向きに対向して並設させたものとしてもよいし、カバー上板61の下面に、上記実施の形態と上下対称に配設されたものとしてもよい。この場合、レール側板65に連絡孔66を設ける必要はなく、また、空気取込口206は、レール板29の配置にかかわらず、カバー板28の内側における底壁202の任意の位置に配設することができる。
【0051】
また、上記実施の形態では、底壁202におけるレール板29の内側に設けられた空気取込口206からグリルバーナ21の燃焼用の二次空気を導入するように構成されたものを説明したが、底壁202におけるレール板29の外側に空気取込口206が設けられたものとしてもよいし、バーナ収容部20Aに繋がる後壁204の所定位置に空気取込口206が設けられたものとしてもよいし、バーナ収容部20Aを前方から覆う図示しない前板に前面開口部200が設けられたものとしてもよい。
【0052】
また、上記実施の形態では、底壁202の空気取込口206からアーム挿通部20Gに導入された外部空気を、レール側板65に設けられた連絡孔66を通じてバーナ収容部20Aに導入されるように構成されたものを説明したが、レール板29の上板64にアーム挿通部20Gとバーナ収容部20Aとを繋ぐ連絡孔66が開設され、アーム挿通部20Gに導入された外部空気を、上記上板64の連絡孔66を通じてバーナ収容部20Aに導入されるように構成されたものとしてもよい。
【0053】
また、上記実施の形態では、二つの直管状のグリルバーナ21を加熱庫20の縦中心線を挟んで左右対称位置にそれぞれ配したものを説明したが、上方視略U字状に形成された一つのバーナであって、その左右両側の直管部を上記グリルバーナ21と同様、加熱庫20の縦中心線を挟んで左右対称位置にそれぞれ配したものとしてもよいし、一つの直管状のバーナを調理具3の下面側中央に配し、上記バーナから調理具3の左右の外側方へ向けて熱気を放出するように構成されたものとしてもよい。
【0054】
本発明は、加熱庫20の側壁205にバーナを配し、上記バーナから調理具3の下方へ向けて放出した熱気によって調理具および調理具の食材を加熱するように構成されたグリルにも適用できるし、加熱庫20の側壁205および上壁201にそれぞれバーナを配し、側壁205に設けられた下火バーナから放出した熱気によって調理具3を下方から加熱する一方、上壁201に設けられた上火バーナから放出した熱気により調理具3や食材を上方から加熱するように構成されたグリルにも適用できる。
【0055】
また、本発明は、キッチンのテーブルに載置して使用されるテーブルコンロや、キッチンのカウンタトップに開設されたコンロ取付孔に落とし込み状態で装着されるビルトインコンロの他、天板101の上面にコンロバーナ11を有しないグリル装置にも適用できる。