特許第6850601号(P6850601)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6850601
(24)【登録日】2021年3月10日
(45)【発行日】2021年3月31日
(54)【発明の名称】画像表示装置
(51)【国際特許分類】
   G02F 1/1333 20060101AFI20210322BHJP
   G02B 5/30 20060101ALI20210322BHJP
   C09J 201/00 20060101ALI20210322BHJP
   C09J 7/00 20180101ALI20210322BHJP
   B32B 27/00 20060101ALI20210322BHJP
   G02F 1/1335 20060101ALI20210322BHJP
【FI】
   G02F1/1333
   G02B5/30
   C09J201/00
   C09J7/00
   B32B27/00 D
   B32B27/00 B
   G02F1/1335 510
【請求項の数】5
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2016-248511(P2016-248511)
(22)【出願日】2016年12月21日
(65)【公開番号】特開2018-101117(P2018-101117A)
(43)【公開日】2018年6月28日
【審査請求日】2019年10月21日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003964
【氏名又は名称】日東電工株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000154
【氏名又は名称】特許業務法人はるか国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100152571
【弁理士】
【氏名又は名称】新宅 将人
(74)【代理人】
【識別番号】100141852
【弁理士】
【氏名又は名称】吉本 力
(72)【発明者】
【氏名】寳田 翔
(72)【発明者】
【氏名】山本 真也
(72)【発明者】
【氏名】澤崎 良平
(72)【発明者】
【氏名】保井 淳
【審査官】 廣田 かおり
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−229538(JP,A)
【文献】 特開2014−115468(JP,A)
【文献】 特開2013−171250(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02F 1/1333
G02F 1/1335
G02B 5/30
C09J 201/00
C09J 7/00
B32B 27/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像表示セルの表面に偏光板を備える画像表示パネルと、前面透明部材と、が一体化された画像表示装置であって、
前記画像表示パネルの偏光板上に第一粘着シートを介して透明フィルム基材が貼り合わせられ、前記透明フィルム基材上に第二粘着シートを介して前面透明部材が貼り合わせられており、
前記前面透明部材は透明樹脂板を含み、前記透明樹脂板が前記第二粘着シートに接しており、
前記第二粘着シートは、厚みが50μm以上であり、かつ前記第二粘着シートの前記前面透明部材と貼り合わせられている部分における粘着剤の105℃における貯蔵弾性率が3×10Pa以上であり、
前記第二粘着シートの25℃における貯蔵弾性率が、前記第一粘着シートの25℃における貯蔵弾性率よりも大きい、画像表示装置。
【請求項2】
前記第二粘着シートの25℃における貯蔵弾性率が1×10Pa以上である、請求項1に記載の画像表示装置。
【請求項3】
前記第二粘着シートの105℃における貯蔵弾性率が2×10Pa以下である、請求項1または2に記載の画像表示装置。
【請求項4】
前記第一粘着シートの厚みが5μm〜50μmである、請求項1〜3のいずれか1項に記載の画像表示装置。
【請求項5】
前記第一粘着シートの厚みdと前記第二粘着シートの厚みdの比d/dが、0.5以下である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の画像表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像表示パネルの前面に透明板やタッチパネル等の前面透明部材を備える画像表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
携帯電話、カーナビゲーション装置、パソコン用モニタ、テレビ等の各種画像表示装置として、液晶表示装置や有機EL表示装置が広く用いられている。外表面からの衝撃による画像表示パネルの破損防止等を目的として、画像表示パネルの視認側に、前面透明板(「ウインドウ層」等とも称される)が設けられることがある。また、近年、画像表示パネルの視認側にタッチパネルを備えるデバイスが普及している。
【0003】
画像表示パネルの前面に前面透明板を配置する方法として、画像表示パネルの最表面に配置される偏光板と、前面透明板とを、粘着剤を介して貼り合わせる「層間充填構造」が提案されている(例えば、特許文献1)。また、画像表示パネルの前面にタッチパネルを配置する場合にも、偏光板とタッチパネルとを粘着剤により層間充填する構成が採用されている。層間充填構造では、画像表示パネルと前面透明部材との間が粘着剤で充填されるため、界面の屈折率差が減少し、反射や散乱に起因する視認性の低下が抑制される。近年、屋外で使用されることが多い携帯電話やスマートフォン等のモバイルディスプレイ用途で、粘着剤を用いた層間充填構造の採用が広がっている。
【0004】
視認性に対する要求の高まりから、カーナビゲーション装置等の車載用ディスプレイにおいても、画像表示パネルと前面透明部材とを粘着剤により層間充填する構成の採用が検討されている。一般に、車載用ディスプレイでは、モバイル用ディスプレイに比べて、より高温での耐久性が求められ、近年では100℃以上の高温耐久試験後でも表示性能の劣化を生じないことが要求されるようになっている。
【0005】
粘着剤を用いて画像表示パネルと前面透明部材とを層間充填した画像表示装置を、車載用ディスプレイで必要とされる長時間の高温耐久試験に供した際に、画像表示パネルを構成する偏光板の面内中央部の透過率が低下する場合がある。偏光板の透過率の低下は、高温環境下での水分の滞留により、偏光子保護フィルム等から遊離した酸が触媒となって、偏光子を構成するポリビニルアルコールが脱水してポリエンが生じることに起因すると考えられている(例えば特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2011−219665号公報
【特許文献2】特開2014−102353号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明者らは、粘着剤による層間充填構成を有する画像表示装置において、樹脂製の前面透明板を用いた場合に、高温環境下でも偏光板の透過率の低下を抑制できることを見出した。一方、樹脂製の前面透明板を用いた場合は、高温での加熱試験後に、前面透明板からのアウトガスが、前面透明板と粘着シートとの界面に気泡として滞留して視認性の低下を招く場合がある。また、樹脂製の前面透明板は温度変化による反りが生じやすく、前面透明板の反りに伴って粘着剤の剥がれが生じる場合がある。
【0008】
上記に鑑み、本発明は、高温環境に長時間暴露された場合でも、偏光板の劣化が生じ難く、かつ偏光板と前面透明部材との貼り合わせに用いられる粘着剤への気泡の混入や、反りによる前面透明部材の剥がれが生じ難い画像表示装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、画像表示セルの表面に偏光板を備える画像表示パネルと前面透明部材とが一体化された画像表示装置に関する。画像表示パネルの偏光板上に第一粘着シートを介して透明フィルム基材が貼り合わせられ、透明フィルム基材上に第二粘着シートを介して前面透明部材が貼り合わせられている。透明部材は透明樹脂板を含み、透明樹脂板が第二粘着シートに接している。第二粘着シートは、厚みが50μm以上であり、かつ第二粘着シートの前面透明部材と貼り合わせられている部分における粘着剤の105℃における貯蔵弾性率が3×10Pa以上である。
【0010】
第二粘着シートの25℃における貯蔵弾性率は、第一粘着シートの25℃における貯蔵弾性率よりも大きい。第二粘着シートの25℃における貯蔵弾性率は、1×10Pa以上が好ましい。第二粘着シートの105℃における貯蔵弾性率は2×10Pa以下が好ましい。
【0011】
第一粘着シートの厚みは5μm〜50μmが好ましい。第一粘着シートの厚みdは、第二粘着シートの厚みdの0.5倍以下が好ましい。
【発明の効果】
【0012】
本発明の画像表示装置では、前面透明部材として透明樹脂板が用いられているため、高温環境に長時間暴露された場合でも、偏光板への水分の滞留が抑制され、偏光子のポリエン化等による劣化を抑制できる。画像表示パネルと前面透明部材とが、透明フィルム基材の表裏に貯蔵弾性率の異なる粘着シートを備える基材付き粘着シートを介して貼り合わせられているため、透明樹脂板からのアウトガスによる気泡の滞留や透明樹脂板の反りが抑制される。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】画像表示装置の一実施形態を模式的に表す断面図である。
図2】両面粘着剤付き偏光板の積層構成を模式的に表す断面図である。
図3】基材付き積層粘着シートの積層構成を模式的に表す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図1は、本発明の画像表示装置の一形態を表す模式的断面図である。画像表示装置100は、画像表示パネル60と前面透明部材70とを備える。画像表示パネル60は、画像表示セル50の視認側表面に偏光板10を備える。
【0015】
画像表示パネル60の偏光板10と前面透明部材70との間には、透明フィルム基材25が配置されており、画像表示パネル60の偏光板10と透明フィルム基材25とが第一粘着シート21を介して貼り合わせられ、透明フィルム基材25と前面透明部材70とが第二粘着シート22を介して貼り合わせられている。このように、画像表示装置100では、透明フィルム基材25の両面に配置された粘着シート21,22により、画像表示パネル60と前面透明部材70とが貼り合わせられ、一体化されている。
【0016】
[画像表示パネル]
(画像表示セル)
画像表示パネル60の画像表示セル50は、例えば液晶セルまたは有機ELセルである。液晶表示パネルでは、液晶セルの視認側に設けられた偏光板が液晶セルを透過した光の偏光状態に応じて透過率を調整する。有機ELパネルでは、有機ELパネルの視認側に円偏光板を設けることにより、有機ELセルの金属電極層で反射した外光の視認側への出射を遮蔽してディスプレイの視認性を向上できる。
【0017】
(偏光板)
画像表示セル50の視認側表面に設けられる偏光板10は、偏光子11を含む。偏光子11は、ヨウ素や二色性染料等の二色性材料を含有するポリビニルアルコール系フィルムである。偏光子に適用されるポリビニルアルコール系フィルムの材料としては、ポリビニルアルコールまたはその誘導体が用いられる。ポリビニルアルコールの誘導体としては、ポリビニルホルマール、ポリビニルアセタール等が挙げられる他、エチレン、プロピレン等のオレフィン、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸等の不飽和カルボン酸そのアルキルエステル、アクリルアミド等で変性したものが挙げられる。ポリビニルアルコールは、重合度が1000〜10000程度、ケン化度が80〜100モル%程度のものが一般に用いられる。
【0018】
ポリビニルアルコール系フィルムに、二色性材料による染色および延伸を施すことにより、偏光子が得られる。偏光子11として、厚みが10μm以下の薄型の偏光子を用いることもできる。薄型の偏光子としては、例えば、特開昭51−069644号公報、特開2000−338329号公報、WO2010/100917号パンフレット、特許第4691205号明細書、特許第4751481号明細書等に記載されている偏光子を挙げることができる。このような薄型偏光子は、例えば、ポリビニルアルコール系樹脂層と延伸用樹脂基材とを積層体の状態で延伸する工程と、ヨウ素等の二色性材料により染色する工程とを含む製法により得られる。
【0019】
偏光板10は、偏光子11に隣接して、透明保護フィルム12,13を備えることが好ましい。偏光子11と透明保護フィルム12,13とは、適宜の接着剤(不図示)を介して貼り合せられていることが好ましい。透明保護フィルムを構成する材料としては、例えば、透明性、機械強度、および熱安定性に優れる熱可塑性樹脂が挙げられる。このような熱可塑性樹脂の具体例としては、トリアセチルセルロース等のセルロース系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリエーテルスルホン系樹脂、ポリスルホン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、(メタ)アクリル系樹脂、環状ポリオレフィン系樹脂(ノルボルネン系樹脂)、ポリアリレート系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、およびこれらの混合物が挙げられる。
【0020】
偏光子11の両面に透明保護フィルム12,13が設けられる場合、表裏の透明保護フィルムの材料は同一でもよく、異なっていてもよい。光学補償や視野角拡大等を目的として、偏光子11の画像表示セル50側に設けられる透明保護フィルム13として、位相差板(延伸フィルム)等の光学異方性フィルムを用いてもよい。偏光子11の画像表示セル50側の透明保護フィルム13として1/4波長板を用いることにより、偏光板10を円偏光板として、画像表示セルに入射した外光の反射に起因する視認性の低下を抑制できる。偏光子11の視認側に設けられる透明保護フィルム12として1/4波長板を用いることにより、画像表示装置から視認側への出射光を円偏光として、偏光サングラスを装着した視認者に対しても、適切な画像表示を視認させることができる。
【0021】
偏光子11の視認側に設けられる透明保護フィルム12は、透湿度が300g/m・24h以上であることが好ましく、500g/m・24h以上であることがより好ましく、700g/m・24hであることがさらに好ましい。透明保護フィルム12の透湿度が高い場合は、偏光板10内での水分の滞留を抑制して、偏光子を構成するポリビニルアルコールのポリエン化に起因する透過率の低下を抑制できる。
【0022】
例えば、透明保護フィルム12の材料としてセルロース系樹脂を用いることにより、透湿度を上記範囲に調整できる。セルロース系樹脂としては、例えばセルロースと脂肪酸のエステルが挙げられる。セルロースエステルの具体例としでは、トリアセチルセルロース、ジアセチルセルロース等の酢酸セルロース、セルロースプロピオネート、セルロースブチレート等が挙げられる。
【0023】
偏光板10の表面には、ハードコート層、反射防止層、スティッキング防止層、帯電防止層、易接着層等の機能性コーティング層が付加されていてもよい。ただし、偏光子11の視認側に設けられる透明保護フィルム12は、透湿度を高く保つ観点から、ハードコート層や反射防止層等の透湿度を低下させる機能性コーティング層が設けられていないことが好ましい。
【0024】
(セル側粘着シート)
画像表示パネル60において、画像表示セル50と偏光板10は、粘着シート30を介して貼り合わせられていることが好ましい。画像表示セルと偏光板との貼り合わせに用いられるセル側粘着シート30の厚みは、3μm〜30μmが好ましい。セル側粘着シートを構成する粘着剤としては、アクリル系粘着剤が好ましく用いられる。
【0025】
セル側粘着シート30は、25℃における貯蔵弾性率G’25が、1×10Pa〜1×10Paであることが好ましく、5×10Pa〜5.0×10Paであることがより好ましく、1×10Pa〜1×10Paであることがさらに好ましい。セル側粘着シートのG’25が上記範囲であれば、適度の接着性を示すとともに、粘着シートや粘着剤付き偏光板を所定サイズにカットする際のカット刃等への粘着剤の移着や、粘着剤の割れ・欠け等を抑制できる。
【0026】
(画像表示パネルを構成する他の部材)
画像表示パネル60は、画像表示セル50と偏光板10との間に、粘着シート30以外に、光学補償フィルム、視野角拡大フィルム等光学要素を含んでいてもよい。画像表示セル50の背面側には、バックライト、背面側偏光板、輝度向上フィルム等の光学要素が配置されていてもよい。
【0027】
[前面透明部材]
前面透明部材70としては、前面透明板(ウインドウ層)やタッチパネル等が挙げられる。前面透明部材70は、画像表示パネル側の面に透明樹脂板71を含み、透明樹脂板71は第二粘着シート22と接している。
【0028】
前面透明部材70が前面透明板である場合、透明樹脂板71を構成する樹脂材料としては、アクリル系樹脂やポリカーボネート系樹脂等が好ましい。透明性と機械強度を両立する観点から、異なる樹脂材料からなる複数の透明樹脂板を積層して用いてもよい。例えば、アクリル系樹脂板と、ポリカーボネート系樹脂板との積層樹脂板を用いることにより、アクリル系樹脂の透明性を維持しながら、ポリカーボネート系樹脂により透明板の機械強度を向上できる。
【0029】
透明樹脂板71の厚みは、500μm以上が好ましく、700μm以上がより好ましく、800μm以上がさらに好ましい。透明樹脂板71の厚みを大きくすることにより、画像表示装置が100℃以上の高温環境に曝された場合でも、反りが生じ難く、画像表示パネルからの前面透明部材の剥がれを抑制できる。温度変化による反りを抑制する観点においては、透明樹脂板71の厚みは大きいほど好ましい。一方、厚みが過度に大きいと透明性が低下する場合があるため、透明樹脂板71の厚みは5mm以下が好ましく、4mm以下がより好ましく、3mm以下がさらに好ましい。
【0030】
透明樹脂板71の表面には、反射防止性、耐擦傷、防汚性等の機能を付与するためのコーティング層が設けられていてもよい。透明樹脂板71の粘着シート22との貼り合わせ面の周縁部には、一般には、装飾や光遮蔽を目的とした印刷層76が設けられている。印刷層76の厚みは、例えば5〜30μm程度である。
【0031】
前面透明部材70は、透明樹脂板71を基板とするタッチパネルでもよい。タッチパネルとしては、抵抗膜方式、静電容量方式、光学方式、超音波方式等、任意の方式のタッチパネルが用いられる。抵抗膜方式や静電容量方式のタッチパネルでは、透明樹脂板上に、位置検出のための電極が設けられていてもよい。
【0032】
[画像表示パネルと前面透明部材の間の構成]
画像表示装置100は、画像表示パネル60と前面透明部材70との間に、画像表示パネル60側から、第一粘着シート21、透明フィルム基材25、および第二粘着シート22を備える。第一粘着シート21により、画像表示パネル60の偏光板10と透明フィルム基材25とが貼り合わせられ、第二粘着シート22により、透明フィルム基材25と前面透明部材70とが貼り合わせられている。
【0033】
(透明フィルム基材)
2つの粘着シート21,22の間に配置される透明フィルム基材25は、前面透明部材70の透明樹脂板71と第二粘着シート22との貼り合わせ界面に生じる応力をバランスさせて、透明樹脂板の反りを抑制する作用を有する。透明フィルム基材25は、偏光板10からの水分を系外に散逸させるための水分の通り道としても作用する。透明樹脂板の反りの抑制に寄与し得る曲げ剛性を持たせ、かつフィルム側面を水分の通り道として有効に作用させるために、透明フィルム基材25の厚みは10μm以上が好ましく、20μm以上がより好ましい。透明性を維持し、かつフィルムの主面から水分を散逸させ、偏光板10内での水分の滞留を抑制する観点から、透明フィルム基材25の厚みは、150μm以下が好ましく、100μm以下がより好ましく、80μm以下がさらに好ましい。
【0034】
透明フィルム基材25を構成する材料としては、偏光子の透明保護フィルムの材料として前述した各種の熱可塑性樹脂材料が好ましく用いられる。透明フィルム基材25を水分の通り道として有効に作用させるために、偏光子11の視認側に設けられる透明保護フィルム12と同様、透明フィルム基材25の材料は、セルロース系樹脂が好ましい。
【0035】
(粘着シート)
画像表示パネル表面の偏光板10と透明フィルム基材25との間に設けられる第一粘着シート21は、透明フィルム基材25とともに、透明樹脂板71の貼り合わせ界面における応力を緩和させ、反りを抑制する作用を有する。透明フィルム基材25と透明樹脂板71との間に設けられる第二粘着シート22は、透明樹脂板71からのアウトガスの放出圧力に抗して、貼り合わせ界面への気泡の滞留を抑制する作用を有する。前面透明部材70の周縁に印刷層76が設けられている場合、第二粘着シート22は、印刷層の印刷段差付近への気泡の滞留や、印刷段差に起因する表示ムラを抑制するためのクッション層(段差吸収層)としての作用も有する。
【0036】
透明樹脂板からのアウトガスに抗するために、第二粘着シート22は、高温において適度の硬さを有する必要がある。具体的には、第二粘着シート22は、前面透明部材70の透明樹脂板71との貼り合わせ部分において、105℃における貯蔵弾性率G’105が3×10Pa以上であることが好ましく、5×10Pa以上であることがより好ましく、6×10Pa以上であることがさらに好ましい。
【0037】
本明細書において、貯蔵弾性率G’は、JIS K7244−1「プラスチック−動的機械特性の試験方法」に記載の方法に準拠して、周波数1Hzの条件で、−50〜150℃の範囲で昇温速度5℃/分で測定した際の、所定温度における値を読み取ることにより求められる
【0038】
第二粘着シート22は、複数の粘着剤層を積層した積層粘着シートでもよい。例えば、透明樹脂板71との貼り合わせ部分に位置する粘着剤層としてG’105が上記範囲の粘着剤を用い、相対的に柔らかい粘着剤層を透明フィルム基材25側に積層することにより、第二粘着シート全体にクッション性を持たせてもよい。第二粘着シートが単層の粘着剤層からなる場合は、第二粘着シートのG’105が上記範囲であることが好ましい。第二粘着シートの貯蔵弾性率が過度に高いと、前面透明部材の周縁部の印刷段差に起因して、表示ムラが発生する場合がある。そのため、第二粘着シートの105℃における貯蔵弾性率G’105は2×10Pa以下が好ましく、1×10Pa以下がより好ましい。
【0039】
第一粘着シート21として、常温での貯蔵弾性率が第二粘着シート22よりも小さいものを用いることにより、透明樹脂板71の貼り合わせ界面における応力を緩和させ、透明樹脂板71の反りに起因する端部の剥がれを抑制できる。具体的には、第二粘着シート22の25℃における貯蔵弾性率G’25は、第一粘着シートの25℃における貯蔵弾性率G’25よりも大きい。第二粘着シート22のG’25は、第一粘着シート21のG’25よりも5×10Pa以上大きいことが好ましく、1×10Pa以上大きいことがより好ましい。
【0040】
本発明の画像表示装置では、前面透明板が樹脂材料からなるため、偏光板10への水分の滞留を抑制して、偏光子11を構成するポリビニルアルコールの変性(ポリエン化等)に起因する透過率の低下を抑制できる。一方、樹脂製の透明板は、ガラス製の透明板に比べて、剛性が小さく、加熱時の寸法変化が大きいため、反りが生じやすい。特に、加熱環境から室温に戻すと、温度変化に伴って貼り合わせ界面に応力が生じると共に、透明樹脂板の弾性率が高くなるため、透明樹脂板に反りが生じやすい。また、透明樹脂板として、アクリル系樹脂層とポリカーボネート系樹脂層との積層板のように、異なる材料からなる樹脂層が積層された積層樹脂板を用いた場合には、温度変化による表裏の樹脂層の寸法変化量が異なるため、反りが生じやすくなる。透明樹脂板に反りが生じると、周縁部(端面)で透明樹脂板が粘着シートから剥がれる場合がある。
【0041】
本発明の画像表示装置では、第二粘着シート22の透明樹脂板71との貼り合わせ部分における貯蔵弾性率が大きいため、加熱環境における透明樹脂板71からのアウトガスの放出圧力に抗して貼り合わせ界面への気泡の滞留を抑制できる。また、第二粘着シート22は、相対的に貯蔵弾性率が高いため、加熱環境から室温(25℃付近)に戻した際に、透明樹脂板71と第二粘着シート22との貼り合わせ界面の応力に反作用して、透明樹脂板の反りを抑制できる。さらに、第二粘着シート22と偏光板10との間に、透明フィルム基材25および相対的に貯蔵弾性率が低い第一粘着シート21が設けられているため、透明樹脂板71と第二粘着シート22との貼り合わせ界面における応力を吸収・散逸して、反りを抑制できる。
【0042】
上記の様に、本発明の画像表示装置では、前面透明部材に樹脂材料を用いることにより高温環境における偏光板の劣化を抑制可能である。樹脂材料に起因するアウトガスおよび反りについては、偏光板10と透明樹脂板71とを、所定の粘弾特性を有する2層の粘着シート21,22の間に透明フィルム基材25を備える基材付き積層粘着シート20を用いて貼り合わせることにより解決できる。
【0043】
粘着シートや粘着剤付き偏光板を所定サイズにカットする際のカット刃等への粘着剤の付着を防止し、かつ貼り合わせ時の初期粘着特性を確保するために、第一粘着シート21のG’25は、1×10Pa〜2×10Paが好ましく、5×10Pa〜1.5×10Paがより好ましい。前述のように、第二粘着シート22のG’25は、第一粘着シート21のG’25よりも大きく、かつ、1×10Pa以上であることが好ましい。第二粘着シート22のG’25は、3×10Pa〜8×10Paが好ましく、5×10Pa〜5×10Paがより好ましく、7×10Pa〜3×10Paがさらに好ましい。
【0044】
第二粘着シート22と前面透明部材70との貼り合わせ時の加熱や、画像表示装置の実使用時の加熱環境における端面からの粘着シートのはみだしを抑制する観点から、第一粘着シート21および第二粘着シート22のそれぞれは、105℃における貯蔵弾性率G’105が、5×10Pa〜2×10Paが好ましく、8×10Pa〜1.5×10Paがより好ましい。
【0045】
クッション層としての作用により印刷段差に対する段差吸収性を持たせるために、第二粘着シート22の厚みdは50μm以上が好ましく、70μm以上がより好ましく、80μm以上がさらに好ましい。第二粘着シート22の厚みの上限は特に限定されないが、粘着シートの生産性や、端面からのはみ出し防止等の観点から、500μm以下が好ましい。第二粘着シートが複数の粘着剤層の積層シートである場合、透明樹脂板71からのアウトガスに対する対抗力および反り抑制の観点から、透明樹脂板71に接して設けられる粘着剤層の厚みは、5μm以上が好ましく、10μm以上がより好ましく、15μm以上がさらに好ましい。
【0046】
第一粘着シート21の厚みdは3〜50μmが好ましく、5〜40μmがより好ましく、10〜30μmがさらに好ましい。第一粘着シート21の厚みは、第二粘着シート22の厚みよりも小さいことが好ましい。第一粘着シート21の厚みdと第二粘着シート22の厚みdの比d/dは、0.5以下が好ましく、0.3以下がより好ましく、0.2以下がさらに好ましい。
【0047】
(粘着剤の組成)
第一粘着シート21および第二粘着シート22は、前述の各特性を有していれば、粘着剤の組成は特に限定されず、アクリル系ポリマー、シリコーン系ポリマー、ポリエステル、ポリウレタン、ポリアミド、ポリビニルエーテル、酢酸ビニル/塩化ビニルコポリマー、変性ポリオレフィン、エポキシ系、フッ素系、天然ゴム、合成ゴム等のゴム系等のポリマーをベースポリマーとする粘着剤を適宜に選択して用いることができる。
【0048】
光学的透明性および接着性に優れる粘着剤としては、アクリル系ポリマーをベースポリマーとするアクリル系粘着剤が好ましく用いられる。アクリル系粘着剤は、粘着剤組成物の固形分全量に対するアクリル系ベースポリマーの含有量が50重量%以上であることが好ましく、70重量%以上であることがより好ましく、80重量%以上であることがさらに好ましい。
【0049】
アクリル系ポリマーとしては、(メタ)アクリル酸アルキルエステルのモノマー単位を主骨格とするものが好適に用いられる。なお、本明細書において、「(メタ)アクリル」とは、アクリルおよび/またはメタクリルを意味する。(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては、アルキル基の炭素数が1〜20である(メタ)アクリル酸アルキルエステルが好適に用いられる。
【0050】
(メタ)アクリル酸アルキルエステルは、アルキル基が分枝を有していてもよい。分枝アルキル(メタ)アクリル酸エステルとしては、(メタ)アクリル酸2‐エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸イソオクチル、(メタ)アクリル酸イソノニル、(メタ)アクリル酸イソデシル、(メタ)アクリル酸イソテトラデシル、(メタ)アクリル酸イソオクタデシル等が好適に用いられる。
【0051】
アクリル系ベースポリマー中の(メタ)アクリル酸アルキルエステルの含有量は、ベースポリマーを構成するモノマー成分全量に対して40重量%以上が好ましく、50重量%以上がより好ましく、60重量%以上がさらに好ましい。アクリル系ベースポリマーは、複数の(メタ)アクリル酸アルキルエステルの共重合体であってもよく、直鎖アルキル(メタ)アクリル酸エステルと分枝アルキル(メタ)アクリル酸エステルとの共重合体でもよい。共重合体における構成モノマー単位の並びはランダムであっても、ブロックであってもよい。
【0052】
アクリル系ポリマーは、構成モノマー成分として、多官能モノマー成分を含んでいてもよい。共重合モノマー成分として多官能モノマーを有することにより、粘着剤の貯蔵弾性率が高められる傾向がある。多官能モノマー成分の種類や含有量を変化させることにより、第一粘着シートおよび第二粘着シートの貯蔵弾性率を所望の範囲に調整できる。多官能モノマーは、(メタ)アクリロイル基またはビニル基等の不飽和二重結合を有する重合性の官能基を少なくとも2つ有するモノマーである。
【0053】
ポリマーの分子量を調整するために、連鎖移動剤が用いられていてもよい。連鎖移動剤は、成長ポリマー鎖からラジカルを受け取ってポリマーの伸長を停止させるとともに、ラジカルを受け取った連鎖移動剤がモノマーを攻撃して再び重合を開始させる作用を有する。連鎖移動剤が用いられることにより、反応系中のラジカル濃度を低下させることなく分子量の増大を抑止でき、粘着シートの貯蔵弾性率が小さくなる傾向がある。連鎖移動剤としては、例えば、α−チオグリセロール、ラウリルメルカプタン、グリシジルメルカプタン、メルカプト酢酸、2−メルカプトエタノール、チオグリコール酸、チオグルコール酸2−エチルヘキシル、2,3−ジメルカプト−1−プロパノール等のチオール類が好適に用いられる。
【0054】
アクリル系ベースポリマーは、共重合成分として、架橋可能な官能基を有するアクリル系モノマー単位を含有していてもよい。ベースポリマーが架橋可能な官能基を有する場合、紫外線照射による硬化を容易に行い得る。架橋可能な官能基を有するアクリル系モノマーとしてはヒドロキシ基含有モノマーや、カルボキシ基含有モノマーが挙げられる。中でも、第二粘着シートを構成する粘着剤は、ベースポリマーの共重合成分として、ヒドロキシ基含有モノマーを含有することが好ましい。ベースポリマーが、モノマーユニットとしてヒドロキシ基含有モノマーを有する場合、ベースポリマーの架橋性が高められるとともに、高温高湿環境下での粘着剤の白濁が抑制される傾向があり、透明性の高い粘着剤が得られる。
【0055】
第二粘着シート22を構成する粘着剤は、ベースポリマーが、上記の(メタ)アクリル酸アルキルエステルおよびヒドロキシ基含有モノマーユニットに加えて、窒素含有モノマー等の極性の高いモノマーユニットを含有することが好ましい。ヒドロキシ基含有モノマーユニットに加えて、窒素含有モノマーユニット等の高極性モノマーユニットを含有することにより、粘着剤が高い接着性と保持力を有するとともに、高温高湿環境下での白濁が抑制される傾向がある。
【0056】
アクリルベースポリマーは、溶液重合、UV重合、塊状重合、乳化重合等の公知の重合方法により調製できる。粘着剤の透明性、耐水性、コスト等の点で、溶液重合法、または活性エネルギー線重合法(例えばUV重合)が好ましい。溶液重合の溶媒としては一般に酢酸エチル、トルエン等が用いられる。
【0057】
紫外線硬化型粘着剤のベースポリマーには、架橋構造が導入されていてもよい。架橋構造の導入により、粘着シートの貯蔵弾性率が大きくなる傾向がある。架橋構造の形成は、例えば、ベースポリマーの重合後に架橋剤を添加し、加熱することにより行われる。架橋剤としては、イソシアネート系架橋剤、エポキシ系架橋剤、オキサゾリン系架橋剤、アジリジン系架橋剤、カルボジイミド系架橋剤、金属キレート系架橋剤等の一般に用いられているものを使用できる。また、ベースポリマーの官能基と結合可能な官能基とラジカル重合性官能基とを有するラジカル重合性化合物を、ベースポリマーと混合することにより、ベースポリマーにラジカル重合性官能基を導入することができる。ベースポリマーの官能基と結合可能な官能基としては、イソシアネート基が好ましい。イソシアネート基は、ベースポリマーのヒドロキシ基とウレタン結合を形成するため、ベースポリマーへのラジカル重合性官能基の導入を容易に行い得る。
【0058】
粘着剤組成物中には、接着力の調整を目的として、シランカップリング剤や粘着付与剤が含まれていてもよい。また、粘着剤組成物中には、可塑剤、軟化剤、劣化防止剤、充填剤、着色剤、酸化防止剤、界面活性剤、帯電防止剤等の添加剤が含まれていてもよい。
【0059】
第一粘着シート21および/または第二粘着シート22を構成する粘着剤は、光硬化型または熱硬化型の粘着剤でもよい。第二粘着シート22として、未重合成分を含む硬化型の粘着剤を用いれば、前面透明板71との貼り合わせ時には貯蔵弾性率が小さく流動性が高いため、粘着剤が段差付近に入り込みやすく、段差付近への気泡の混入を抑制できる。貼り合わせ後に硬化を行えば、貯蔵弾性率が増大するため、第二粘着シート22に、上述のようなアウトガスに対する対抗力や反り抑制の作用を持たせることができる。
【0060】
前面透明部材との貼り合わせ後の硬化が容易であることから、硬化型粘着剤は光硬化型であることが好ましい。光硬化の方法としては、光硬化性化合物と光重合開始剤を含有する系に紫外線等の活性光線を照射する方法が好ましい。特に、光感度の高さや、選択できる材料が豊富であることから、エチレン性不飽和化合物と光ラジカル発生剤を用いたシステムが好ましい
【0061】
第二粘着シート22の粘着剤が光硬型である場合、光硬化性化合物の含有量は、粘着剤組成物全体100重量部に対して、0.01〜50重量部が好ましく、0.05〜30重量部がより好ましい。硬化後の粘着剤の貯蔵弾性率を適切な範囲とするために、粘着剤組成物中の光硬化性の多官能モノマーの含有量は、粘着剤組成物全体100重量部に対して5重量部以下が好ましく、3重量部以下がより好ましく、2重量部以下がさらに好ましい。
【0062】
粘着シートは、例えば基材上に粘着剤組成物を塗布し、必要に応じて溶媒を乾燥することにより得られる。基材としては、透明フィルム基材25を用いてもよく、他の基材を用いてもよい。塗布方法としては、ロールコート、キスロールコート、グラビアコート、リバースコート、ロールブラッシュ、スプレーコート、ディップロールコート、バーコート、ナイフコート、エアーナイフコート、カーテンコート、リップコート、ダイコーター等による押出しコート法等の方法が挙げられる。これらの中でも、ダイコーターを使用することが好ましく、特にファウンテンダイ、スロットダイを用いるダイコーターを使用することが好ましい。
【0063】
粘着剤組成物のベースポリマーが溶液重合ポリマーである場合、塗布後に溶剤の乾燥を行うことが好ましい。乾燥方法としては、目的に応じて、適宜、適切な方法が採用され得る。加熱乾燥温度は、好ましくは40℃〜200℃、より好ましくは50℃〜180℃、さらに好ましくは70℃〜170℃である。乾燥時間は、適宜、適切な時間が採用され得る。乾燥時間は、好ましくは5秒〜20分、より好ましくは5秒〜15分、さらに好ましくは10秒〜10分である。
【0064】
粘着剤組成物が架橋剤を含有する場合、基材上への塗布後に、加熱による架橋が行われてもよい。加熱温度や加熱時間は、使用する架橋剤の種類によって適宜設定されるが、通常、20℃〜160℃の範囲で、1分から7日程度の加熱により架橋が行われる。塗布後の粘着剤を乾燥させるための加熱が、架橋のための加熱を兼ねていてもよい。
【0065】
粘着シート上には、必要に応じて保護シートが剥離可能に貼着される。保護シートは、粘着剤が被着体との貼り合わせに用いられるまでの間、粘着剤の露出面を保護する目的で用いられる。粘着剤層の形成(塗布)時に用いられた基材を、そのまま粘着剤層の保護シートとして用いてもよい。
【0066】
[画像表示装置の形成]
画像表示セル50の表面にセル側粘着シート30を介して偏光板10を貼り合わせ、偏光板10と前面透明部材70とを、間に透明フィルム基材25を介して、第一粘着シート21および第二粘着シート22により貼り合わせることにより画像表示装置が得られる。
【0067】
貼り合わせの順序は特に限定されない。図2に示すように、偏光板10の一方の面にセル側粘着シート30が設けられ、他方の面に第一粘着シート21、透明フィルム基材25および第二粘着シートが設けられた両面粘着剤付き偏光板を用いれば、画像表示セルの表面に偏光板を貼り合わせた後、偏光板上に別途の粘着シートを付設する工程を省略でき、画像表示装置の製造工程を簡略化できる。
【0068】
偏光板10上に、第一粘着シート21,透明フィルム基材25および第二粘着シート22を設ける方法は特に限定されない。図3に示すように、透明フィルム基材25の一方の面に第一粘着シート21が設けられ、他方の面に第二粘着シート22が設けられた基材付き積層粘着シート20を予め形成しておき、この基材付き積層粘着シート20を偏光板10上に貼り合わせることが好ましい。
【0069】
基材付き積層粘着シート20は、図3に示すように、第一粘着シート21の表面、および第二粘着シート22の表面のそれぞれに、保護シート41,42が仮着されていることが好ましい。第一粘着シート21の表面に設けられた保護シート41を剥離して偏光板10と貼り合わせることにより、偏光板10上に第一粘着シート21、透明フィルム基材25および第二粘着シート22が設けられ、第二粘着シート22の表面に保護シート42が仮着された粘着剤付き偏光板が得られる。両面粘着剤付き偏光板においては、図2に示すように、セル側粘着シートの表面に保護シート43が仮着されていることが好ましい。
【0070】
粘着シートの表面に仮着される保護シート41,42,43の構成材料としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート等のプラスチックフィルムが好ましく用いられる。保護シートの厚みは、通常5〜200μm、好ましくは10〜150μm程度である。保護シートの粘着シートとの付設面に、シリコーン処理、長鎖アルキル処理、フッ素処理等の剥離処理を適宜おこなうことにより、粘着剤からの剥離性が高められる。
【0071】
図2に示す両面粘着剤付き偏光板を用いる場合、貼り合わせの順序は特に限定されない。画像表示セル50側の貼り合わせが先に行われてもよく、前面透明部材70側の貼り合わせが先に行われてもよい。また、両者の貼り合わせを同時に行うこともできる。貼り合わせの作業性や、偏光板の軸精度を高める観点からは、セル側粘着シート30の表面から保護シート43を剥離後、偏光板10と画像表示セル50とが粘着シート30を介して貼り合わせられるセル側貼合工程が行われ、その後に、第二粘着シート22の表面から保護シート42を剥離し、偏光板10と前面透明部材70とが基材付き積層粘着シート20を介して貼り合わせられる視認側貼合工程が行われることが好ましい。
【0072】
偏光板10と前面透明部材70との貼り合わせ後には、第二粘着シート22と前面透明部材70との界面や、前面透明部材70の印刷層76等の非平坦部近辺の気泡を除去するための脱泡が行われることが好ましい。脱泡方法としては、加熱、加圧、減圧等の適宜の方法が採用され得る。例えば、減圧・加熱下で気泡の混入を抑制しながら貼り合わせが行われ、その後、ディレイバブルの抑制等を目的として、オートクレーブ処理等により、加熱と同時に加圧が行われることが好ましい。粘着シートが光硬化型または熱硬化型である場合は、前面透明部材との貼り合わせおよび加熱処理を行った後に、粘着剤を硬化することが好ましい。
【実施例】
【0073】
以下に実施例および比較例を挙げて、本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0074】
[粘着剤組成物の調製]
<粘着剤A>
反応容器内に、2−エチルヘキシルアクリレート(2EHA):65重量部、N−ビニルピロリドン(NVP):15重量部、ヒドロキシエチルアクリレート(HEA):20重量部、および光重合開始剤として1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(BASF製「イルガキュア184」):0.1重量部を投入し、窒素雰囲気下で紫外線を照射して、重合率10%のプレポリマー組成物を得た。このプレポリマー組成物100重量部に、光重合開始剤として2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン(BASF製「イルガキュア651」;IRG651):0.2重量部、多官能モノマーとして1,6−ヘキサンジオールジアクリレート(新中村化学工業製「NKエステル A−HD−N」):0.3重量部、およびシランカップリング剤として3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(信越化学製「KBM−403」):0.3重量部を添加して、均一に混合して、粘着剤組成物Aを調製した。
【0075】
<粘着剤B>
粘着剤組成物中の多官能モノマーの添加量を0.09重量部に変更した。それ以外は、粘着剤組成物Aの調製と同様にして粘着剤組成物Bを調製した。
【0076】
<粘着剤C>
連鎖移動剤としてα−チオグリセロール(TGR)0.2重量部を添加した。それ以外は粘着剤組成物Bの調製と同様にして粘着剤組成物Cを調製した。
【0077】
<粘着剤D>
プレポリマー組成物の調製における仕込みモノマーの組成を、2HEA:55重量部、NVP:25重量部、およびHEA:20重量部に変更し、粘着剤組成物中の多官能モノマーの添加量を0.7重量部に変更した。それ以外は、粘着剤組成物Aの調製と同様にして粘着剤組成物Dを調製した。
【0078】
<粘着剤E>
プレポリマー組成物の調製における仕込みモノマーの組成を、ブチルアクリレート(BA):57重量部、シクロヘキシルアクリレート(CHA):12重量部、HEA:8重量部、および4−ヒドロキシブチルアクリレート(4HBA):23重量部に変更し、粘着剤組成物中に添加する多官能モノマーをジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(日本化薬製「KAYARAD DPHA」):0.12重量部に変更した。それ以外は、粘着剤組成物Aの調製と同様にして粘着剤組成物Eを調製した。
【0079】
<粘着剤F>
反応容器内に、モノマー成分として、BA:95重量部、アクリル酸(AA):4.9重量部、およびHEA:0.1重量部、ならびに熱重合開始剤としてアゾビスイソブチロニトリル(AIBN):0.2重量部を、酢酸エチル233重量部とともに投入し、23℃の窒素雰囲気下で1時間撹拌し、窒素置換を行った。その後、60℃で5時間反応させアクリルベースポリマーを得た。このアクリルベースポリマー溶液に、イソシアネート系架橋剤としてトリメチロールプロパントリレンジイソシアネート(日本ポリウレタン工業製「コロネートL」):0.6重量部、およびシランカップリング剤としてKBM−403:0.3重量部を添加した後、均一に混合して粘着剤組成物F(溶液)を調製した。
【0080】
<粘着剤G(セル側粘着剤)>
モノマー組成を、BA:97重量部およびAA:3重量部に変更し、粘着剤組成物に添加する架橋剤(コロネートL)を0.8重量部、シランカップリング剤(KBM−403)を0.1重量部に変更したこと以外は、上記粘着剤Fの調製と同様にして粘着剤組成物G(溶液)を調製した。
【0081】
[単層粘着シートの作製]
<粘着シートA〜E>
セパレータ(片面がシリコーンで離型処理されたポリエステルフィルム)の離型処理面に、上記の粘着剤組成物Aを、厚みが250μmとなるように塗布して塗布層を形成し、この塗布層上に、別のセパレータの離型処理面を貼り合わせた。その後、ランプ直下の照射面における照射強度が5mW/cmになるように位置調節したブラックライトにより、積算光量が3000mJ/cmとなるまでUV照射を行って重合を進行させ、両面にセパレータが仮着された粘着シートA1を得た。
【0082】
塗布厚みを20μmに変更したこと以外は上記と同様にして、粘着シートA2を得た。粘着剤組成物の種類および厚みを変更して、粘着剤組成物Bを用いた粘着シートB1(厚み250μm)、粘着剤組成物Cを用いた粘着シートC1(厚み250μm)および粘着シートC2(厚み20μm)、粘着剤組成物Dを用いた粘着シートD1(厚み250μm)、ならびに粘着剤組成物Eを用いた粘着シートE1(厚み250μm)、粘着シートE2(厚み100μm)および粘着シートE3(厚み500μm)を作製した。
【0083】
<粘着シートF>
セパレータの離型処理面上に、上記の粘着剤組成物Fを乾燥後の厚みが250μmとなるように塗布し、100℃で加熱して溶媒を除去した。その後、50℃で48時間加熱して、架橋処理を行い、厚み250μmの粘着シートF1を得た。
【0084】
<貯蔵弾性率の測定>
粘着剤組成物A〜Fのそれぞれについて、厚み250μmの単層粘着シートを作製し、複数の粘着シートを積層して厚さ約1.5mmとしたものを測定用試料とした。Rheometric Scientific社製「Advanced Rheometric Expansion System(ARES)」を用いて、以下の条件により動的粘弾性測定を行い、測定結果から、25℃、50℃および105℃における貯蔵弾性率(G’25、G’50およびG’105)を読み取った。
(測定条件)
変形モード:ねじり
測定周波数:1Hz
昇温速度:5℃/分
測定温度:−50〜150℃の範囲
形状:パラレルプレート 8.0mmφ
【0085】
粘着剤組成物A〜Fの組成、およびそれぞれの粘着シートの貯蔵弾性率の測定結果を表1に一覧で示す。
【表1】
【0086】
[片面粘着剤付き偏光板の作製]
セパレータの離型処理面上に、上記の粘着剤組成物Gを乾燥後の厚みが20μmとなるように塗布し、100℃で加熱して溶媒を除去した。その後、50℃で48時間加熱して、架橋処理を行い、セル側粘着シートを得た。
【0087】
ヨウ素が含浸された厚み25μmの延伸ポリビニルアルコールフィルムからなる偏光子の一方の面に厚み40μmのトリアセチルセルロース(TAC)透明保護フィルムを備え、他方の面に厚み30μmのアクリル系透明保護フィルムを備える偏光板を用いた。この偏光板のアクリル系保護フィルム側の面(セル側の面)に、上記のセル側粘着シートを、ロールラミネータを用いて貼り合わせ、偏光板の一方の面に粘着シートを備える偏光板を得た。
【0088】
[実施例1]
<基材付き積層粘着シートの作製>
片面にハードコート層を備える厚み40μmのトリアセチルセルロース(TAC)フィルムのハードコート層形成面に上記の粘着シートA1を貼り合わせ、他方の面に上記の粘着シートF1を貼り合わせ、2層の粘着シートの間にTAC基材フィルムを備える基材付き積層粘着シートを作製した。
【0089】
<両面粘着剤付き偏光板の作製>
上記の片面粘着剤付き偏光板の粘着シートを付設していない面(TAC透明保護フィルム側の面)に、上記の基材付き積層粘着シートの粘着シートF1側の面を貼り合わせて、両面粘着剤付き偏光板を得た。
【0090】
<評価用パネルの作製>
上記の両面粘着剤付き偏光板を200mm×140mmのサイズにカットした後、セル側粘着シート上のセパレータを剥離し、0.7mm厚のガラス板の中央部にセル側粘着シート面を重ね合わせ、ハンドローラーを用いて貼り合わせた。
【0091】
その後、両面粘着剤付き偏光板の視認側の面のセパレータを剥離し、黒色インクが周縁部に枠状に印刷された透明樹脂板の印刷面を、粘着剤の露出面(粘着シートA1上)上に載置し、真空熱圧着装置で貼り合わせを行った(温度25℃、装置内圧力50Pa、圧力0.3MPa、圧力保持時間10秒)。その後、オートクレーブ処理(50℃、0.5MPa、15分)を行い、評価用パネルを得た。透明樹脂板は、ポリメチルメタクリレート(PMMA)とポリカーボネート(PC)の積層透明樹脂板(1mm厚×200mm×140mm)であり、PC側の面に黒色インクの印刷面を有していた(インク印刷厚み=10μm、両短辺(長辺方向)のインク印刷幅:各15mm、両長辺(短辺方向)のインク印刷幅:各5mm)。
【0092】
[実施例2〜6、および比較例1〜3]
基材付き積層粘着シートの構成を表2に示すように変更した。それ以外は実施例1と同様の手順で、評価用疑似画像表示装置を作製した。
【0093】
[実施例7]
前面透明板として厚み0.7mmの前面透明板(PMMAとPCの積層透明樹脂板)を用いたこと以外は、実施例3と同様の手順で評価用パネルを作製した。
【0094】
[実施例8,9]
前面透明板として厚み2mmの透明樹脂板を用いたこと以外は、実施例1と同様の手順で評価用パネルを作製した。実施例8では、前面透明板として、PMMAとPCの積層透明樹脂板を用いた。実施例9では、前面透明板として、PMMA/PC/PMMAの3層からなる積層透明樹脂板を用いた。
【0095】
[比較例4]
両面粘着剤付き偏光板の作製において、偏光板の視認側の粘着シートとして、積層粘着シートに代えて粘着シートA1を単層で用いた。それ以外は実施例1と同様の手順で評価用パネルを作製した。
【0096】
[比較例5]
前面透明板として厚さ0.7mmのガラス板を用いたこと以外は、比較例4と同様の手順で評価用パネルを作製した。
【0097】
[比較例6]
前面透明板として厚さ0.7mmのガラス板を用いたこと以外は、実施例3と同様の手順で評価用パネルを作製した。
【0098】
[評価]
<気泡>
評価用パネルの黒色インク印刷層の内側近傍を倍率20倍のデジタルマイクロスコープで観察し、粘着シート中の気泡の有無を確認した。気泡が確認されなかったものをOK,気泡が確認されたものをNGとした。
【0099】
<加熱試験>
評価用パネルの面内中央部の単体透過率(JlS Z8701の2度視野(C光源)により視感度補正を行ったY値)を測定した。単体透過率を測定後の評価用パネルを、温度105℃の熱風オーブン内に投入して、500時間後に取り出し、室温になるまで放冷した後、下記の評価を実施した。
【0100】
(透過率変化)
評価用パネルの面内中央部の単体透過率を測定し、加熱試験前の単体透過率に対する変化率を算出した。
【0101】
(粘着剤剥がれ)
評価用パネルの長辺方向の側面を観察し、端部におけるガラス板と前面透明板との剥がれの有無を確認した。剥がれが確認されたものについて、端部からの剥がれ量(端部からの距離)を測定した。剥がれが確認されなかったものは剥がれ量0とした。
【0102】
(面内気泡)
前面透明板側から評価用パネルの面内中央部の外観を目視確認し、気泡が確認された部分をデジタルマイクロスコープで観察した。気泡が確認されなかったもの、および確認された気泡がいずれも異物を核とするものまたは直径が300μm未満であったものをOK、異物を核としない直径300μm以上の気泡が確認されたものをNGとした。
【0103】
[評価結果]
上記各実施例および比較例において、偏光板と前面透明板との貼り合わせに用いた基材付き積層粘着シートの構成(ただし、比較例4,5は単層の粘着シート)、各粘着シート(単層)の厚みおよび貯蔵弾性率、前面透明板の材料および厚み、ならびに評価結果を表2に示す。
【0104】
【表2】
【0105】
前面透明板としてガラス板を用いた比較例5では、加熱試験後に偏光板が変色しており、パネル面内中央部の透過率が大幅に低下していた。比較例4では、加熱試験後の透過率の低下はみられなかったが、樹脂板に反りが生じており、パネル端部で樹脂板と粘着剤との界面が剥離していた。
【0106】
偏光板と樹脂板との貼り合わせに、基材フィルムの両面に粘着シートを備える基材付き積層粘着シートを用いた実施例1〜9および比較例1〜3では、加熱試験後の透過率の低下はみられず、パネル端部での樹脂板の剥離も抑制されていた。基材付き積層粘着シートにより偏光板とガラス板とを貼り合わせた比較例6では、比較例5と同様に加熱試験後に偏光板の変色による透過率の低下が確認された。
【0107】
上記の結果から、前面透明板として透明樹脂板を用いることにより、100℃以上の加熱試験後も偏光板のポリエン化等による劣化が抑制されることが分かる。透明樹脂板を用いた場合は、透明樹脂板の反りに起因する剥がれが生じる場合があるが、基材付き積層粘着シートを用いることにより、反りを抑制できることが分かる。
【0108】
同一の積層粘着シートを用いた実施例1と実施例8および実施例9とを対比すると、樹脂板の厚みが大きい実施例8,9では反りによる剥がれ量が小さくなっていた。また、実施例3と実施例7との対比においても、同様の傾向がみられた。これらの結果から、樹脂板の厚みを大きくすることにより、温度変化に起因する反りを低減できることが分かる。
【0109】
偏光板とフィルム基材との間に設けられる第一粘着シート(粘着シート1)として25℃における貯蔵弾性率G’25の大きい粘着シートA2を用いた比較例3では、比較例4よりは樹脂板の反りに起因する剥がれが小さくなっていたが、実施例1〜6よりも剥がれ量が大きくなっていた。実施例1〜6および比較例3は、同一の樹脂板を用いていることから、粘着シートの種類によって反りに起因する樹脂板の剥がれ量に差異が生じていることが分かる。
【0110】
具体的には、第二粘着シートの種類が同一で、第一粘着シートの種類が異なる実施例3と比較例3との対比から、第一粘着シートのG’25が小さい場合に、応力を緩和して、反りに起因する剥がれを抑制できることが分かる。また、第一粘着シートの種類が同一で、第二粘着シートの種類が異なる実施例1と実施例2との対比から、第二粘着シートのG’25が大きい場合に、反りに起因する剥がれを抑制できることが分かる。これらの結果から、第二粘着シートのG’25が第一粘着シートのG’25よりも大きい場合に、反りによる剥がれの抑制効果が高いといえる。
【0111】
樹脂板とフィルム基材との間に設けられる第二粘着シート(粘着シート2)として高温での貯蔵弾性率が小さい粘着シートC1を用いた比較例1では、加熱試験後に、粘着シートと樹脂板との界面に気泡が確認された。同一の粘着シートを用いてガラス板を貼り合わせた比較例6では気泡が確認されなかったことから、比較例3では、樹脂板の加熱により発生したアウトガスが、粘着シートとの界面に滞留したと考えられる。実施例1〜8では、樹脂板を用いているが、気泡の滞留は確認されなかった。これらの結果から、第二粘着シートの高温での貯蔵弾性率が大きい場合に、アウトガスの放出圧力に対抗して、界面への気泡の滞留を抑制できることが分かる。一方、比較例2では、第二粘着シートの貯蔵弾性率が過度に大きいため、粘着シートの段差吸収性が十分ではなく、透明樹脂板の印刷段差付近に気泡の滞留がみられた。
【0112】
以上の結果を総合すると、画像表示セルの表面に設けられる前面透明部材として樹脂板を用いることにより、偏光板の劣化に起因する透過率の低下を抑制でき、2層の粘着シートの間に透明フィルム基材を備える基材付き積層粘着シートを介して偏光板と樹脂板とを貼り合わせることにより、反りに起因する樹脂板の剥がれを抑制できることが分かる。また、積層粘着シートを構成する粘着シートが所定の貯蔵弾性率を有することにより、樹脂板の反りに起因する剥がれをさらに抑制できるとともに、樹脂板からのアウトガスの貼り合わせ界面への滞留を抑制でき、かつ段差吸収性による印刷段差付近への気泡の混入も抑制できることが分かる。
【符号の説明】
【0113】
10 偏光板
11 偏光子
12,13 透明保護フィルム
20 基材付き積層粘着シート
21,22,30 粘着シート
25 透明フィルム基材
41,42,43 保護シート
80 両面粘着剤付き偏光板
50 画像表示セル
60 画像表示パネル
70 前面透明部材
71 透明樹脂板
76 印刷層
100 画像表示装置
図1
図2
図3