特許第6850608号(P6850608)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6850608
(24)【登録日】2021年3月10日
(45)【発行日】2021年3月31日
(54)【発明の名称】電子構造素子およびその製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01C 7/10 20060101AFI20210322BHJP
【FI】
   H01C7/10
【請求項の数】12
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2016-568579(P2016-568579)
(86)(22)【出願日】2015年5月18日
(65)【公表番号】特表2017-516315(P2017-516315A)
(43)【公表日】2017年6月15日
(86)【国際出願番号】EP2015060882
(87)【国際公開番号】WO2015177085
(87)【国際公開日】20151126
【審査請求日】2016年12月14日
【審判番号】不服2019-11778(P2019-11778/J1)
【審判請求日】2019年9月6日
(31)【優先権主張番号】102014107040.2
(32)【優先日】2014年5月19日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】300002160
【氏名又は名称】ティーディーケイ・エレクトロニクス・アクチェンゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】TDK ELECTRONICS AG
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】特許業務法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】リンネル,フランツ
(72)【発明者】
【氏名】ワン,ヨンリ
【合議体】
【審判長】 五十嵐 努
【審判官】 山本 章裕
【審判官】 赤穂 嘉紀
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭56−115501(JP,A)
【文献】 特開2014−72207(JP,A)
【文献】 特開平2−66901(JP,A)
【文献】 特開平5−205907(JP,A)
【文献】 実開昭50−74444(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01C 7/02-7/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
バリスタ(100)であって、主構成成分としてセラミック材料を有する機能体(1)と、第1接点(4a)、第2接点(4b)とを備え、前記第1接点(4a)は前記機能体(1)の第1表面(5)に電気的に接続され、前記第2接点(4b)は、前記第1表面(5)とは逆側にある第2表面(6)に接続されていて、
前記第1接点(4a)および前記第2接点(4b)の少なくとも1つは、縁領域(7)と中央領域(8)とを有し、
前記機能体(1)の前記第1表面(5)と前記第2表面(6)との間での、前記機能体(1)の電気抵抗が、前記バリスタ(100)の平面図で見ると前記縁領域(7)と重複する第1機能体部分(3)中において、前記バリスタ(100)の平面図で見ると前記第1接点(4a)および前記第2接点(4b)のうち少なくとも1つの接点(4aまたは4b)の前記中央領域(8)と重複する第2機能体部分(2)中よりも大きいように、前記機能体(1)は形成されており、
前記第1機能体部分(3)が前記第2機能体部分(2)と比較して、比電気抵抗がより大きいように、前記機能体(1)は形成されており、前記第1機能体部分(3)は、酸化イットリウムまたはこれ以外の希土類金属もしくはその酸化物を含むドーパントを有する素材を含み、
前記第1機能体部分のより大きな比電気抵抗の結果として、前記第1機能体部分における温度負荷は、前記バリスタの動作中に減少し、
前記第1機能体部分(3)中での前記機能体(1)の厚さ(D1)は、前記第2機能体部分(2)中での前記機能体(1)の厚さ(D2)よりも大きい、バリスタ(100)。
【請求項2】
前記バリスタ(100)の平面図で見ると、前記第1機能体部分(3)は前記第2機能体部分(2)を少なくとも部分的に周回する、請求項1に記載のバリスタ(100)。
【請求項3】
前記バリスタ(100)の平面図で見ると、前記第2機能体部分(2)の面積は、前記第1機能体部分(3)の面積よりも大きい、請求項1または2に記載のバリスタ(100)。
【請求項4】
前記機能体(1)は、前記第1機能体部分(3)中で、前記接点(4a、4b)が前記機能体(1)と電気的に接続されていない接点無しの領域(9)を有する、請求項1〜3のいずれか1項に記載のバリスタ(100)。
【請求項5】
前記第1機能体部分(3)中での前記機能体(1)の前記厚さ(D1)は、前記第2機能体部分(2)中での前記機能体(1)の前記厚さ(D2)よりも5%〜15%大きい、請求項に記載のバリスタ(100)。
【請求項6】
記第2接点は、前記機能体(1)の第2表面(6)に電気的に接続されていて、
前記第1および前記第2機能体部分(3、2)中の前記接点(4a、4b)間で、前記機能体(1)中の電流の電流密度分布が均等化されているように、前記機能体(1)が形成されている、請求項1〜のいずれか1項に記載のバリスタ(100)。
【請求項7】
前記バリスタ(100)が、バリスタ構造素子、例えばディスク型バリスタまたはブロック型バリスタである、請求項1〜のいずれか1項に記載のバリスタ(100)。
【請求項8】
前記機能体(1)が多結晶性である、請求項1〜のいずれか1項に記載のバリスタ(100)。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれか1項に記載のバリスタ(100)用の機能体(1)の製造方法であって、
以下の工程、すなわち、
・前記バリスタ(100)用に前記機能体(1)の素材(1)を準備する工程と、
・2つの対向する表面(5、6)間で計測すると、前記機能体(1)の電気抵抗が、第1機能体部分(3)中では、第2機能体部分(2)中よりも大きくなるように、前記素材(1)を利用して前記機能体(1)を形成する工程とを含み、
前記機能体(1)の比電気抵抗が、前記第1機能体部分(3)中で、前記第2機能体部分(2)中よりも大きくなるように、前記素材(1)を前記機能体(1)に焼結し、前記素材(1)は焼結前にドーパントを備え、前記ドーパントは、前記第1機能体部分(3)を形成するために、焼結時に前記素材(1)中に拡散し、前記ドーパントは、酸化イットリウムまたはこれ以外の希土類金属もしくはその酸化物を含み、
前記第1機能体部分のより大きな比電気抵抗の結果として、前記第1機能体部分における温度負荷は、前記バリスタの動作中に減少する、方法。
【請求項10】
前記素材(1)は、前記機能体(1)よりも均一な材料組成を有する、請求項に記載の方法。
【請求項11】
前記第1機能体部分(3)中では、前記第2機能体部分(2)中と比較すると、前記素材(1)をより大きい厚さで形成する、請求項または10に記載の方法。
【請求項12】
前記第1機能体部分(3)を形成するために、前記素材(1)の材料組成は、その第1部分(3)中で焼結時に変化する、請求項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子構造素子、例えばバリスタ構造素子、およびその製造方法に関する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0002】
解決すべき課題は、改良された電子構造素子、とりわけ柔軟に採用可能でかつ/または頑丈な電子構造素子のための手段を示すことである。
【課題を解決するための手段】
【0003】
この課題は、独立特許請求項の特徴により達成される。有利な構成およびさらなる構成は、従属特許請求項の対象物である。
【0004】
提案される電子構造素子は、機能体を具備している。この機能体は、目的に合うように、電子構造素子の機能性素子である。さらに、この電子構造素子は、接点を具備し、この接点は、機能体の第1表面に電気的に接続されていて、または、これと接触している。この接点は、電気接点層でありえ、および/または金属部またはこれ以外の接触部でありえる。この接点を介して、機能体は、目的に合うように接触され、かつ/またはさらなる接続部(例えば、電子構造素子の外側電極)に電気的に接続される。
【0005】
表面とは、好ましくは第1表面であり、例えば機能体の第1主表面である。接点は、縁領域と中央領域とを有する。さらに、第1表面と、この第1表面とは逆側にある機能体の第2表面または主表面との間での、機能体の電気抵抗が、電子構造素子とりわけ第1表面の平面図で見ると、縁領域と重複する第1機能体部分中において、接点の中央領域と重複する第2機能体部分中よりも大きいように、機能体は形成されている。第1および第2機能体部分は、好ましくは機能体の半径方向の部分である。
【0006】
接点の中央領域は、好ましくは、接点の内側および/または中央領域であり、一方で縁領域は、好ましくは接点の外側縁を示し、またはこれを規定する。
【0007】
好ましくは、接点は、第1機能体部分にも第2機能体部分にも電気的に接続されている。第1機能体部分は、好ましくは機能体の外側または縁部分を示す。逆に、第2機能体部分は、好ましくは機能体の内側または中央部分を示す。第2機能体部分と中央領域とは、電子構造素子の平面図で見ると、好ましくは合同である。
【0008】
好ましくは上述の接点は第1接点である。目的に合うように、電子構造素子は、さらに第2接点を具備し、これは、機能体の第2表面に電気的に接続されまたはこれと接触する。第2接点は、好ましくは第1接点に類似に形成されていて、第1接点が第1表面に対して配置されているように、第2表面に対して配置されている。第1および第2接点は、例えば電子構造素子の縦軸に対して対称的に配置可能である。好ましくは、この電子構造素子および/または機能体は、ディスク形状で、これの縦軸に対して少なくともほぼ回転対称で配置されている。
【0009】
電子構造素子としてディスク型バリスタが存在する場合には、好ましくはそれぞれ1つの接点が、電気接続または接触のためにディスクの上面および下面に設けられ、ないし配置されている。
【0010】
好ましくは、この第1および第2接点は、例えば電子構造素子の平面図で見ると、合同で配置されている。
【0011】
例えば、機能体は、縦軸に沿った断面図で見ると、好ましくは接点間で直接配置されている。
【0012】
ある好適な構成では、電子構造素子はバリスタ構造素子である。このバリスタ構造素子は、好ましくは過電圧保護として採用される。この構成によれば、この機能体は、目的に合うように、バリスタ構造素子の機能性素子であるように構成されている。この関連で、機能体は多結晶性で、焼結された材料を含みうる。
【0013】
ある好適な構成では、電子構造素子はディスク型またはブロック型バリスタである。
ある構成では、電子構造素子の平面図で見ると、第1機能体部分は第2機能体部分を少なくとも部分的に周回する。好ましくは、第1機能体部分は第2機能体部分を完全に取り囲むまたは周回する。
【0014】
ある構成では、電子構造素子の動作中および/または機能体中で電流が流れた際に、第1機能体部分中で、とりわけ第1機能体部分と接点の縁領域との接触箇所で、または、第1機能体部分と縁領域との間で、電流密度が減少または低下するように、機能体は形成されている。好ましくは、電流密度は、この際、従来の電子構造素子または従来技術の構造素子と比較して、減少または低下する。
【0015】
とりわけ、上述の接触箇所では、電流密度およびこれと関連付けられた温度負荷は、例えば電子構造素子の動作中に特に高くなりうる。この原因は、電子構造素子の動作中で生じる、エッジ効果でありうる。
【0016】
ここで紹介した電子構造素子によれば、動作時に、例えばジュール熱の発生による熱の発生が、第1機能体部分中で低下、または減少されうるので有利であるが、この理由は、電気抵抗が高くなることにより、したがって電流密度が減少することにより、通常、より少ない熱が発生するからである。これにより、電子構造素子は、同時に温度に対して耐性を有し、かつ多方面で採用可能になる。さらに、電子構造素子の寿命は長くなりえ、これは有利である。
【0017】
機能性素子中が高温になると、この電子構造素子(とりわけバリスタ構造素子の場合)は、寿命および/または採用領域が著しく制限されうる。上述の熱負荷は、とりわけバリスタ構造素子については、過電圧がより長くかけられる場合には、構成部品の破壊にさえもつながりうる。これに対してこの機能体では上述の構成により、第1機能体部分が、第2機能体部分よりもより大きな電気抵抗を有することで対抗するが、この理由は、これにより上述のエッジ効果が弱められるからである。
【0018】
ある好適な構成では、第2機能体部分の面積は、電子構造素子の平面図で見ると、第1機能体部分の面積よりも大きい。この構成により、とりわけ、第1表面と第2表面との間での電子構造素子の機能体の電気抵抗は、全体として第2機能体部分により規定されている、または規定され続けることが達成可能である。これにより、電気特性、例えばバリスタ構造素子の場合にはバリスタ電圧も実質的に変わらないままであり、例えば第2機能体部分の面積が、第1機能体部分の面積の2倍、3倍、または10倍になる。
【0019】
ある好適な構成では、機能体は、第1機能体部分中に接点無しの領域を有する。この接点無しの領域は、好ましくは機能体の半径方向の外側部分である。この接点無しの領域は、これにしたがって、機能体に対して好ましくは縁側に配置されている。接点無しの領域中では、好ましくは、接点は存在しない。この構成により、機能体の接触が改良されるので有利である。とりわけ機能体の縁、縁領域またはエッジにおける電気閃絡が防がれまたは制限されうる。好ましくは接点無しの領域またはその縁が、電子構造素子の平面図では、折り曲げられることなく、延在している。このような折り曲げ無しの構成により、とりわけ接触部のエッジの長さまたはエッジの面積も小さくなり、または最小限にされ、したがって「ホットスポット」(英語で「熱い箇所」という意味の語で、この中では、特に高い電界、熱機械的応力、および/または熱的、機械的または電気的負荷が生じる)の発生が、防がれまたは制限されうる。
【0020】
ある好適な構成では、第1機能体部分中の機能体の厚さが、第2機能体部分中の機能体の厚さよりも大きい。好ましくは、第1機能体部分の厚さも、第2機能体部分の厚さも、少なくとも大概一定またはおおよそ一定である。この構成により、第1機能体部分中での電気抵抗をより大きくする手段が示されうるので有利であり、これにより電子構造素子の動作中の電流密度ひいては温度負荷が、第1機能体部分中で減少しうる。換言すれば、第2機能体部分とは異なり、第1機能体部分中の接点または表面間の距離が大きくなることにより、ないし厚さに沿った道のりがより大きくなることにより、第1機能体部分の電気抵抗はより大きくなり、この場合、例えば、電子構造素子にかけられる電圧が等しい場合、電力負荷ひいては過熱または温度負荷が、第1機能体部分中で低下しうる。
【0021】
上述の厚さは、この場合、好ましくは電子構造素子の上述の縦軸に沿って伸張する。
好ましくは、機能体の厚さは、電子構造素子および/または機能体の一方の側または主表面でのみより大きくなり、逆に、電子構造素子の別の側では、機能体の第1機能体部分および第2機能体部分の面は平坦でありかつ/または平面中にある。あるいは、例えば第1機能体部分の上面および下面は、第2機能体部分の上面ないし下面に対して1つの平面中に配置されていないように、機能体が構成可能である。
【0022】
ある好適な構成では、第1機能体部分中の機能体の厚さは、第2機能体部分中の機能体の厚さよりも5%〜15%大きい。特に好適には、第1機能体部分中の機能体の厚さは、第2機能体部分の厚さよりも少なくとも10%大きい。あるいは、上述の厚さは、例えば15%を上回ってより大きいことが可能である。この際、厚さがより大きくなる効果は、電気抵抗に関して、定性的には等しい。
【0023】
ある好適な構成では、第1機能体部分の半径方向の伸張は、第1機能体部分中の機能体の厚さの1倍〜2倍である。
【0024】
ある好適な構成では、機能体の材料特性が、第1機能体部分中では、第2機能体部分中の機能体の材料特性とは異なっている。この構成により、目的に合うように、第1機能体部分中の電気抵抗が、第2機能体部分に比較してより大きくなる。
【0025】
ある好適な構成では、第1機能体部分が、第2機能体部分と比較して、より大きな比電気抵抗を有するように、機能体は形成されている。この構成により、第1機能体部分の厚さのみがより大きくされた構成に代えてまたはこれに追加的に、電子構造素子の動作中の第1機能体部分中の電流密度を下げうる、または減少できる。材料特性における相応の差異は、好ましくは電子構造素子の製造方法中におよび/または機能体の焼結時に生成されまたは形成されうる(下参照)。上ですでに示唆したように、比電気抵抗をより大きくすることにより、所定の電流パルスにおいて、第1機能体部分中で、電流密度ひいては温度負荷を、とりわけ第1機能体部分中で下げることができるという利点がある。
【0026】
ある好適な構成では、機能体は焼結された材料を有する。
ある好適な構成では、上述の接点は第1接点であり、電子構造素子は、追加的に第2接点を有し、この第2接点は、機能体の第2表面に電気的に接続されていて、かつ、ある電流において電流分布または電流密度分布が、機能体中の第1および第2機能体部分中の接点間で均等化されているように、機能体が形成されている。この点は、例えば電子構造素子の動作中においておよび/または機能体中の電流において存在する電流密度の不一致またはばらつきがより小さくなることを意味しうる。好ましくは、第2接点は第1接点に類似して、縁領域と中央領域とを有する。
【0027】
ある好適な構成では、好ましくは、機能体は、ほぼ多結晶性である。この意味合いで、機能体は、例えば主構成成分として多結晶性の材料を有しうる。
【0028】
ある好適な構成では、機能体は、例えば主構成成分としてセラミックを有する。このセラミックは、好ましくは焼結されたセラミックである。
【0029】
ある好適な構成では、特性閾値を上回る電圧(バリスタ構造素子の場合には、例えばバリスタ電圧)をかけた後に、第1表面と第2表面との間で例外なく電気が導電するように、機能体は形成されていて、機能体が電気絶縁性の領域を有することはない。
【0030】
さらに、上述の電子構造素子用の機能体の製造方法を示す。機能体および/または電子構造素子は、好ましくは、ここで示す方法により製造可能であるまたは製造されている。とりわけこの方法について開示された全特徴は、機能体および/または電子構造素子にも関連しえ、逆もまた同様である。
【0031】
この方法は、この電子構造素子用に機能体の素材を準備する工程と、2つの対向する表面(すなわち、上述の第1および第2表面)間で計測する場合、機能体の電気抵抗が、第1機能体部分中では、第2機能体部分中よりも大きくなるように、上述の素材を利用して機能体を形成する工程とを含む。
【0032】
方法についてのある好適な構成では、この方法は、機能体に、その対向する表面にそれぞれ1つの接点を備える工程を含み、各接点、例えば上述の第1および第2接点は、第1および第2機能体部分に電気的に接続される。
【0033】
方法についてのある好適な構成では、素材は、機能体よりも均一な材料組成を有する。素材の材料組成は好ましくはほぼ均等で、逆に機能体の材料組成は、とりわけ第1機能体部分と第2機能体部分の材料組成とを比較すると、個々の材料構成成分に関して均等ではない。
【0034】
方法についてのある好適な構成では、第1機能体部分中の素材は、第2機能体部分と比較して、より大きい厚さで形成される。この構成により、第1機能体部分の電気抵抗を、第2機能体部分と比較してより大きくすることが可能になるという利点がある。
【0035】
方法についてのある好適な構成では、機能体の比電気抵抗が、第1機能体部分中で、第2機能体部分中よりも大きくなるように、素材が焼結され機能体になる。例えば、このために、結晶粒ないし相応の粒径が、機能体の第1機能体部分中で、第2機能体部分中よりも小さいまたはより小さく形成されるように、素材は焼結される。目的に合うように、第1機能体部分で第2機能体部分と比較して、粒径がより小さいないしの粒界密度がより大きいことにより、機能体の比電気抵抗が、第1機能体部分中で、第2機能体部分中よりも大きくなるように構成されている。
【0036】
方法についてのある好適な構成では、第1機能体部分を形成するために、素材の材料組成は、その焼結時に第1部分中で変化する。好ましくは焼結により、素材の第1部分から、第1機能体部分が形成される。
【0037】
方法についてのある好適な構成では、素材は、焼結時に勾配付きの温度にさらされ、この素材には、焼結時および好ましくは焼結前にも材料添加物が備えられない。この場合、好ましくは、外側から、例えば焼結炉の外側からも、焼結時に、素材にさらなる材料が添加されない。好ましくは、素材中に元々含有される構成成分の移行および/または拡散プロセスにより、第1機能体部分中で、素材の材料組成は変化する。
【0038】
ある好適な構成では、素材には、焼結前にドーパントが備えられ、このドーパントは、焼結時に素材中で拡散し、これにより、第1機能体部分が形成される。ドーパントまたは添加材料は好ましくは素材上に塗布され、または、素材は焼結前にドーパントまたはこのドーパントを有する溶液中に浸される。ドーパントは、酸化イットリウム、例えばY、またはこれ以外の希土類金属もしくはその酸化物でありうる。
【0039】
方法についてのある好適な構成では、電流強度30Aで、パルス形状8/20の電気テストパルス下で第1機能体部分中に現れる最大温度が、例えば従来の電子構造素子と比較して、少なくとも500℃だけ下げられているように、第1機能体部分は形成されている。
【0040】
さらに、電子構造素子の製造方法も示すが、この方法は、機能体を製造するための上述の方法の方法工程を含む。
【0041】
本発明のさらなる利点、有利である構成および合目的性は、以下の実施形態の説明を図と関連付けると明らかである。
【図面の簡単な説明】
【0042】
図1】電子構造素子の概略透視図である。
図2】本発明による電子構造素子の概略断面図である。
図3】本発明による電子構造素子の代替的な実施形態の概略断面図である。
図4】バリスタ構造素子として実施された電子構造素子の例示的な電圧電流特性曲線である。
図5A】電子構造素子の動作シミュレーション結果を示す図である。
図5B】電子構造素子の動作シミュレーション結果を示す図である。
図5C】電子構造素子の動作シミュレーション結果を示す図である。
図5D】電子構造素子の動作シミュレーション結果を示す図である。
図6】電子構造素子の動作シミュレーションについての値を示す表である。
【発明を実施するための形態】
【0043】
等しい、様式が等しいおよび作用が等しい部材は、図中、同じ参照符号を付けている。図および図中で提示された部材の互いの寸法の割合は、縮尺通りであるとは見なすことはできない。むしろ、個々の部材は、よりよく提示できるように、および/または、よりよく理解できるように、過剰に大きく提示されている可能性がある。
【0044】
図1は、電子構造素子100の概略透視図である。この電子構造素子100は、好ましくはバリスタ構造素子であり、とりわけディスク型バリスタまたはブロック型バリスタである。特に好適には、この電子構造素子100はディスク型バリスタである。
【0045】
この電子構造素子100は、図1によれば、ディスク形状で構成され、縦軸または対称軸Xを有し、この軸は、ディスクの中心を通っている。縦軸Xに対して、この電子構造素子は、好ましくは少なくともおおよそ回転対称である。この電子構造素子は、図1によれば、さらに、ディスク形状の機能体1を有する。
【0046】
バリスタ構造素子の場合には、この機能体1は、好ましくは半導体材料および/または例えば焼結されたセラミックを含む。これにしたがって、この機能体1は、さらに、好ましくは多結晶材料、ないし異なる導電性を有する粒界および/または粒を含む材料を含む。好ましくは、バリスタ電圧を上回る電圧がかけられた後に、電気的に絶縁した状態から導電状態に切り換えられうるように、バリスタ構造素子の機能性成分としての機能体1は形成されている。この機能体1は、第1機能体部分3と、第2機能体部分2とを含む。第1機能体部分3は、電子構造素子100の平面図で見ると、好ましくはその外側縁で、第2機能体部分2を周回し、またはこれを取り囲み、かつ、好ましくは、固着によりおよび/または1つの片から第2機能体部分と連結され、これにより機能体1を形成する。上述の部分間の境界は点線で示されている。
【0047】
この電子構造素子ないしディスク型またはブロック型バリスタは、例えば直径が約30mmで、厚さが約3mmである。上述の厚さは、好ましくは縦軸に沿った第2機能体部分2の厚さである。
【0048】
この電子構造素子の代替的で明示的には提示されていないある構成では、この構造素子または相当の機能体は、長方形の形状を有する。これにしたがって、この電子構造素子は、本発明によれば、例えば矩形のブロック型バリスタでありえる。
【0049】
図2は、電子構造素子100の本発明のある構成の概略断面図である。図2は、好ましくは、図1に記載の電子構造素子100を縦軸Xに沿って示した断面図である。さらに、この機能体1は、その第1機能体部分3中では厚さD1を有することが認識できる。第2機能体部分2中では、機能体1は厚さD2を有する。厚さD2は厚さD1よりも小さい。厚さD1は、第2の厚さよりも例えば5%、10%または15%大きくまたはさらに大きくありえる。
【0050】
機能体1は、さらに、第1表面5と、第1表面5とは逆側にある第2表面6とを有する。第2表面6は、図によれば平坦に形成されているが、一方で、第1機能体部分3中の厚さD1が大きいことにより、第1表面5はD2と比較すると平坦ではない。あるいは、第1機能体部分3の厚さD1を、第2機能体部分2に比較してより大きくするのは、第1機能体部分3中の双方の表面5、6を第2機能体部分2に対して隆起させ、したがって、全体として平坦でないようにすることによっても実現可能である。
【0051】
図2中で提示されているように、機能体1の厚さは、例えば、第1機能体部分から第2機能体部分へ(内側から外側に向かって)傾斜する推移をとって、より大きくなることができる(以下の図5A〜5Dも参照)。あるいは、機能体1の厚さの推移において、この厚さを、段を介して急激に変化させることも考えられる(図中では、明示的には提示していない)。
【0052】
第2機能体部分2(図2中のD2参照)と比較して、第1機能体部分3の厚さD1がより大きいことにより、本発明によれば、機能体1の第1表面5と第2表面6との間の電気抵抗をより大きく構成しうるが、これは、とりわけ第1機能体部分3中の道のりが第2機能体部分2中の道のりよりも長いことによる。
【0053】
電子構造素子100は、さらに、第1接点4aを有し、これが、第1表面5に電気的に接続されている。第1接点4aは、好ましくは第1機能体部分3にも第2機能体部分2にも接続されている。接点4aも縁領域7と中央領域8とを有する。好ましくは、縁領域7は中央領域8を取り囲む。
【0054】
これに類似して、電子構造素子は第2接点4bを有し、これは、第2表面6で、第1機能体部分3と第2機能体部分2とに接続されている。第1接点と相当に、第2接点4bは、好ましくは縁領域7と中央領域8とを有する。好ましくは、第1および第2接点4a、4bは、電子構造素子100の平面図で見ると、合同で配置されている。
【0055】
接点4a、4bは、好ましくは機能体1と接触する。接点は、例えば金属化された電極、とりわけ金属製の接点層でありえる。さらに、接点4a、4bは、機能体1にある(明示的には記載されていない)外側電極に電気接続または接触するために設けられていることができる。
【0056】
バリスタ構造素子の場合には、接点4a、4b間に電圧がかけられると、この電圧が接点4a、4b間で特徴的なバリスタ電圧よりも小さい場合に限り、好ましくはわずかな漏れ電流のみが流れる。接点4a、4bに、または、接点4a、4b間に過電圧がかけられると、機能体1は、目的に合うように導電し、これにより、例えばさらなる電気部品が、過電圧またはこれらの部品を損ねる電圧から守られる。
【0057】
電子構造素子100の平面図で見ると、すなわち例えば表面5の平面図で見ると、第1機能体部分3は、好ましくは縁領域7と重複する。第2機能体部分2は、電子構造素子100の平面図で見ると、好ましくは中央領域8と重複する。
【0058】
第2機能体部分2と比較して第1機能体部分3の抵抗をより大きくする構成により、電子構造素子100の動作時に第2機能体部分3中で生じる電流またはとりわけ電流密度を、より減少させ、または低下させることができるので有利である。電力負荷を減少させることにより、同時に第1機能体部分中の熱の発生ひいては温度負荷も低下させることができる。
【0059】
本発明の電子構造素子100は、好ましくは第1機能体部分3の厚さD1を除いては、従来の電子構造素子または従来技術の電子構造素子に匹敵しうる寸法を有する。とりわけ接点面、すなわち、接点4a、4bが機能体1に接続されている面は、これに関して類似のまたは匹敵しうるような寸法を有し、またはこのように構成されている。
【0060】
とりわけ、第1機能体部分3に対する接点4a、4bの上述の縁領域7または縁の境界または接触箇所では、例えば電子構造素子の動作中の電流密度およびこれに関連する温度負荷は、「エッジ効果」により特に高くなりうる。このエッジ効果は、構造素子100の動作中に縁領域7に接する位置でまたはこの中で、例えば中央領域8中よりも大きくなる電界により、引き起こされうる。
【0061】
電流密度は、第1機能体部分3中の接点間の距離がより大きくなることにより低下するが、電子構造素子100のさらなる電気特性は、好ましくは変わらず、および/または、第2機能体部分2により決定され続ける。
【0062】
第2機能体部分2の面積は、好ましくは、第1機能体部分3の面積よりも大きい。例えば第2機能体部分3の面積は、第1機能体部分3の面積の2倍、3倍または10倍である。これにより、電子構造素子の電気特性、例えば、バリスタ構造素子の場合ではバリスタ電圧は、好ましくは第1機能体部分3の構成に依存しない。
【0063】
第1機能体部分3の半径方向の伸張は、図2中R1で記されている。さらに、第2機能体部分2の半径方向の伸張とりわけ直径は、R2で記されている。好ましくはこの半径方向の伸張R1は、第1機能体部分3中における機能体1の厚さD1の1倍と2倍との間である。
【0064】
図2では、第1機能体部分3中に、さらに、機能体1の接点無しの縁9が提示されていて、この縁中では、接点4a、4bが機能体1に電気的に接続されていない。接点無しの領域9は、好ましくは機能体1の半径方向の外側部分を示す。換言すれば、接点4a、4bは、電子構造素子100の外側縁では機能体1と同一平面で終わらず、接点4a、4bの縁領域7は、構造素子の外側縁と比較すると、内側にずれている。好ましくは、接点4a、4bが接点無しの縁以外で完全に機能体1と接触するように配置されているように、これらの接点が形成されている。
【0065】
図3は、電子構造素子100のさらなる本発明の構成の概略断面図である。図3中では、機能領域2が、その全伸張に渡って、一定の厚さ、例えば図2中の厚さD2に相当する厚さを有することが認識可能である。本発明の構成で第2機能体部分2と比較して第1機能体部分3の抵抗をより大きくするために、この場合は、第1および第2機能体部分の材料特性が、好ましくは異なるように選択されている。
【0066】
面が等しく一致している場合に、電子構造素子100の動作中に第1機能体部分3中の電流強度および/または電流密度を減少させるために、第1機能体部分3は、第2機能体部分2よりも大きな比電気抵抗を有する。この構成により、厚さをより大きくした上述の実施形態に類似して、抵抗をより大きくすることにより、電流密度ひいては熱発生を、第1機能体部分3中、とりわけ縁領域7への接触箇所中またはこれに接する位置で減少させることができる。
【0067】
機能体1は、好ましくは焼結された多結晶性材料を有する。バリスタ構造素子の場合には、この材料は、好ましくは炭化ケイ素、酸化亜鉛またはこれ以外の金属酸化物であって、酸化ビスマス、酸化クロムまたは酸化マンガンなどである。ここで記載した構成によれば、好ましくは、第2機能体部分2と比較して第1機能体部分3がより大きな比電気抵抗を有するように、機能体1用の出発材料が焼結されたことにより、またはすでに焼結前からこの機能体用の出発材料の組成が選択されたことにより、第1機能体部分3が製造されまたは得られる。この点は、この場合、出発材料の製剤により、および、焼結条件とりわけ焼結時のプロセス条件により達成可能である。電子構造素子100および/または電子構造素子用の機能体1の製造方法自体は、好ましくは、機能体1用の素地または素材1を準備する工程と、この素材1を利用して、機能体1の電気抵抗が、第1機能体部分3中で、第2機能体部分2よりも大きくなるように機能体1を形成する工程を含む。
【0068】
これに加えて、上述のように、第1機能体部分3の厚さD1を、第2機能体部分2の厚さD2よりも厚く構成する。
【0069】
あるいはまたは追加的に、第1機能体部分3中の機能体1の比電気抵抗が、第2機能体部分2中より大きくなるように、素材1が機能体1に焼結されうる。このために、素材1は、焼結時に例えばある勾配付きの温度にさらされることができ、焼結時には、素材1に対してさらなる材料が添加されない。これに代えて、比電気抵抗に関する機能体1の特性は、好ましくは、製剤または組成のみにより発生させられ、例えば素材1中に元から含有される材料の構成成分の移行および/または拡散プロセスに基づいて発生させられる。
【0070】
この構成によれば、この組成は、例えば、焼結時に、上述の温度勾配により、好ましくは第1機能体部分3中に移行、拡散またはそこで蓄積される材料を含みうる。
【0071】
あるいはまたは追加的に、素材1の特定の原材料が、素材1から蒸発または素材1の表面から気化することにより、素材1の化学量論から除去され、これにより、機能体1中で、基体とは異なり、不均一な材料組成が引き起こされる。
【0072】
上述の効果または過程により、目的に合うように、結晶粒ないしその粒径が、機能体1の第1機能体部分3中で、第2機能体部分2中よりも小さい、または小さく形成され、したがって比電気抵抗が、第1機能体部分3中で、第2機能体部分2とは異なり大きくなるようになる。
【0073】
あるいは、素材1は、第1機能体部分3を形成するために、焼結前にドーパントを備えることが可能で、このドーパントは、例えば焼結時に素材1中に拡散する。このドーパントは、例えば酸化イットリウム、とりわけY、またはこれ以外の希土類金属またはその酸化物を含むことができ、または、これらからなりうる。ドーパントまたは添加材料は、好ましくは素材上に塗布され、または、素材が焼結前にドーパント中に、または、例えばこれを含有する溶液もしくは化合物中に浸される。
【0074】
図2および図3中の構成は、例えば上述の製造方法を用いて、本発明によれば、第2機能体部分と比較して第1機能体部分3の厚さをより厚くすることと、材料製剤または組成を変えることとを組み合わせることも可能である。これにより、第1機能体部分3中の電流密度/熱発生を減少または低下させるために、上述の効果が付加されるまたは強化される。
【0075】
図4は、本発明による電子構造素子の電圧−電流特性曲線の一例(点線)、および従来の相当の電子構造素子の電圧−電流特性曲線の一例(実線)を示す。特別であるのは、電気電界強度が、電流密度の関数として対数尺度でプロットされている点である。この特性曲線は、好ましくは該当する構造素子の動作領域を記載している(とりわけ、10A/mmより上の範囲を参照)。
【0076】
点線での電圧−電流特性曲線は、とりわけ本発明によるバリスタ構造素子の電気的挙動を表し、この際、上述の第1機能体部分3の厚さ(例えば図2参照)は、第2機能体部分に対して10%大きくなっている。従来のバリスタ構造素子は、この場合好ましくは、上述した厚さがより大きいことを除いては、本発明によれば構造素子と同一または類似のように形成されている。
【0077】
例えば図4中では、所定の電界強度では、本発明の構成部品の電流密度は、X軸上の対数尺度を考慮すると、少なくとも中央の平坦に延在する特性曲線の領域では、明らかに、従来のバリスタ構造素子の場合よりも小さいことが認識可能である。
【0078】
図5A〜5Dは、本発明のバリスタ構造素子と、従来のバリスタ構造素子との図4の特性曲線での動作のシミュレーション結果を示す。このシミュレーションは、好ましくは「有限要素(FEM)」シミュレーションである。とりわけ、構造素子の電流密度および温度ないし構造素子中の温度分布は、それぞれ、25℃で、パルス形状が8/20(μs)で、電流強度が30アンペアの標準テストパルスでの電気負荷の下でシミュレーションした。
【0079】
図5A〜5Dは、ディスク型バリスタのそれぞれ4つの様々な幾何学形状または部分図((1)〜(4)の番号を参照)であり、少なくとも図5Aおよび5B中では、断面図のそれぞれほぼ右半分または上方の右4分の1は、図2および3に類似またはこれらに相応するように提示されている。この結果はディスク型バリスタに関し、これは、直径が30mm、および相応の第2機能体部分(上の参照符号2参照)の厚さが3mmである。図5A〜5D中の垂直の点線は、各構成部品の上述の第1機能体部分を規定し、これを視覚的に第2機能体部分と境界づけている。少なくとも第1接点の厚さは10μmである。円で囲んだ領域中では、それぞれ接点の縁領域7(上の参照符号4a参照)が認識できる。
【0080】
(2)〜(4)の番号付けは、それぞれ本発明の構成に相当し、逆に番号(1)は、それぞれ上述のような従来の構造素子のシミュレーションを示す。
【0081】
図5Aおよび5C中では、それぞれ電流密度の結果をA/mmで示す。図5Bおよび5Dは、それぞれ温度の結果を℃で示す(各図の下部領域中の色目盛りを参照)。
【0082】
部分図(2)中では、本発明により、それぞれ第1機能体部分の厚さ(図2中のD1)が、第2機能体部分に対して、10%大きくなっている(図5A〜5Dの部分図(2)の右縁参照)。
【0083】
部分図(3)では、本発明の構成部品の構成について、それぞれ対応するシミュレーション結果を示すが、この場合、機能体部分の厚さは等しいが、第1機能体部分は、その材料組成により、比電気抵抗が第2機能体部分よりも大きい(図3およびその説明)。
【0084】
部分図(4)中では、部分図(2)および(3)の構成が組み合わされていて、それぞれ、第1機能体部分の厚さはより厚く、かつ、材料組成によりこの比電気抵抗がより大きく示され、シミュレーションされている。
【0085】
図5A〜5D中では、温度ないし電流密度も、それぞれ下部に示した色目盛りによれば、第1機能体部分3中では、第2機能体部分2中よりも不均等に分布していることが少なくともある程度まで認識可能である。この点は、図5Cおよび5D中で、図5Aおよび5Bとは逆により大きく示されていることにより明らかに示されている。
【0086】
とりわけ接点の縁領域7では、ないし、上述の縁領域7が機能体ないし第1機能体部分に接する接触箇所では(円で囲んだ領域参照)、温度も電流密度も、点状で実質的に対応する残りの機能体中よりも高い。
【0087】
上述の条件下では、バリスタ構造素子の温度は、上述のテストパルスへの反応として、第1機能体部分中、とりわけ接点の縁領域7の付近に生じるが、この温度は、本発明によれば最大750℃低下することができる。テストパルスの最大パルスにおける電流密度の結果、および、パルス終端における最大の温度の結果を、数値に基づいて、図5の表中で、全ての部分図(1)〜(4)について記載している。さらに、バリスタの電圧を示している。電圧値が、全てのシミュレーションされた状態(部分図)について、わずかしか異なっていない一方で、例えば部分図(4)について、すなわち、本発明の図2の構成と図3の構成との組み合わせについて、温度も電流密度も、部分図(1)とは逆に明らかに低下する(これも、図6Dの右の数値参照)。
【0088】
本発明は、実施形態に基づく説明に限定されない。むしろ本発明は、新しい特徴および特徴の各組み合わせ(これは、とりわけ特許請求項中の特徴の組み合わせを含む)を含み、これは、この特徴および特徴の組み合わせ自体が、明示的に特許請求項中または実施形態中に示されていない場合であっても該当する。
【符号の説明】
【0089】
1 機能体/素材
2 第2機能体部分
3 第1機能体部分/素材の部分
4a 第1接点
4b 第2接点
5 第1表面
6 第2表面
7 縁領域
8 中央領域
9 接点無しの領域
100 電子構造素子
D1、D2 厚さ
R1、R2 半径方向の伸張
図1
図2
図3
図4
図5A
図5B
図5C
図5D
図6