(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0012】
本明細書及び添付図面の記載により、少なくとも、以下の事項が明らかとなる。
【0013】
内部に冷却水の往路と復路とが設けられた中空ロッドと、
前記中空ロッドの先端に設けられ、前記往路から供給されて前記復路を通して排出される前記冷却水で満たされる空間内に水中カメラを収納するよう構成された、耐熱ガラス窓を有する収納室と、を備えることを特徴とする水中カメラ保護装置。
【0014】
このような水中カメラ保護装置によれば、高温室内を観察する装置を簡易な構成で実現することが可能となる。
【0015】
かかる水中カメラ保護装置であって、
前記中空ロッドの内部を中心軸を含む面の両側に二分割する仕切りを備え、
前記中空ロッド内の前記往路と前記復路とが、前記仕切りの両側のうちの一方側と他方側とにそれぞれ位置することが望ましい。
【0016】
このような水中カメラ保護装置によれば、中空ロッドに仕切りを挿入して固定するという簡便な方法で、往路と復路を実現することが可能となる。
【0017】
かかる水中カメラ保護装置であって、
前記収納室と前記復路とを繋ぐ連絡流路を有し、
前記収納室から冷却水が流出する流出口が前記連絡流路の入口となっており、
前記流出口の最下端は、前記収納室に冷却水が流入する流入口の最上端よりも上側に位置することが望ましい。
【0018】
このような水中カメラ保護装置によれば、収納室をより適切に冷却水で満たすことが可能となる。
【0019】
かかる水中カメラ保護装置であって、
前記流出口の最下端は、前記水中カメラが前記収納室に収納された状態において該水中カメラの最上端よりも上側又は同じ位置に位置することが望ましい。
【0020】
このような水中カメラ保護装置によれば、収納室内に収納された水中カメラをより確実に冷却水中に浸すことができ、これにより水中カメラをより確実に保護することが可能となる。
【0021】
かかる水中カメラ保護装置であって、
前記収納室は、天井部を備え、
前記流出口は、該天井部に設けられていることが望ましい。
【0022】
このような水中カメラ保護装置によれば、収納室内に収納された水中カメラをより一層確実に冷却水中に浸すことができ、これにより水中カメラをより確実に保護することが可能となる。
【0023】
次に、上記水中カメラ保護装置と、前記収納室内に収納され、前記耐熱ガラス窓の方向に向けられた水中カメラと、を備えることを特徴とする高温室内観察装置。
【0024】
このような高温室内観察装置によれば、高温室内を観察する装置を簡易な構成で実現することが可能となる。
【0025】
次に、内部に冷却水の往路と復路とが設けられた中空ロッドの先端に設けられた収納室内に、前記中空ロッドを通して冷却水を供給及び排出することと、
前記中空ロッドの前記先端を高温室内に挿入し、前記収納室内に収納された水中カメラで前記高温室内を観察することと、を含む高温室内観察方法。
【0026】
このような高温室内観察方法によれば、簡易な構成で実現された高温室内観察装置により高温室内を観察することができる。
【0027】
===本実施の形態に係る炉内観察装置10について===
次に、高温室内観察装置の一例としての炉内観察装置10について、
図1乃至
図5を用いて説明する。
図1は、炉内観察装置10の上面図である。
図2は、炉内観察装置10の側面図である。
図3は、
図2のA−A断面図である。
図4は、
図1の要部を拡大した拡大断面図である。
図5は、
図2の要部を拡大した拡大断面図である。
【0028】
なお、本発明における水中カメラ保護装置及び高温室内観察装置の上下方向は、収納室への冷却水注水時の方向を意味している。また以下に説明する本実施の形態の炉内観察装置10は、収納室30への冷却水注水時及び炉内観察装置10が炉内観察のために炉内に設置された時の双方において、中空ロッド22の長手方向を水平に保ち且つ耐熱ガラス窓35を上方に向けておくものであるため、以下の説明における炉内観察装置10の方向(上下方向、水平方向)はこの状態における方向を示している。
【0029】
本実施の形態に係る炉内観察装置10は、石灰の焼成炉を観察するためのものである。特に、炉内観察装置10は、焼成炉の一部を構成する水平チャネル部の天井部分に設けられた耐火物が欠損していないかどうかを検査するためのものである。
【0030】
炉内観察装置10は、水中カメラ12と、当該水中カメラ12を収容しかつ保護するための水中カメラ保護装置20と、を備えている。つまり、水中カメラ保護装置20に水中カメラ12を取り付けると、炉内観察装置10が得られるようになっている。そして、水中カメラ保護装置20は、中空ロッド22と、収納室30と、連絡流路40と、を有している。
【0031】
中空ロッド22は、水平方向に延びる長尺状の部材である。この中空ロッド22の内部は中空となっており、当該内部(中空部)を冷却水が流れるようになっている。本実施の形態において、中空部の断面形状は円形となっている。
【0032】
また、当該内部(中空部)は、
図3に示すように、中空ロッド22の中心軸22aを含む面で仕切り23により仕切られ、2つの半円形状の部分に分けられている。そして、2つの半円形状の部分の一方が冷却水の往路24に、他方が冷却水の復路26になっている。すなわち、中空ロッド22内の往路24と復路26とが、仕切り23の両側のうちの一方側と他方側とにそれぞれ位置している。なお、本実施の形態においては、仕切面の法線方向は水平方向に沿っており、往路24と復路26は水平方向において並ぶように設けられている。
【0033】
また、中空ロッド22の先端には、水中カメラ12が収納される収納室30が設けられ、中空ロッド22の後端部分には、往路24へ冷却水を給水する往路給水部24aと復路26から冷却水を排水する復路排水部26aとが備えられている。
【0034】
そして、往路給水部24aから往路24へ給水された冷却水は、往路24を水平方向に(後端側から先端側へ)移動し、収納室30へ至る。収納室30へ至った冷却水は、さらに、後述する連絡流路40を経由して、復路26を水平方向に(先端側から後端側へ)移動し、復路排水部26aから排水される。このことにより、収納室30は、冷却水で満たされることとなる。
【0035】
なお、本実施の形態に係る中空ロッド22は、複数のロッドを組み合わせて構成されており、各ロッドはフランジ22bをネジ止めすることにより連結されている。
【0036】
収納室30は、水中カメラ12を収納するための部屋である。この収納室30は、中空ロッド22の先端に設けられ、往路24から供給されて復路26を通して排出される冷却水で満たされる空間内に水中カメラ12を収納するように構成されている。
【0037】
本実施の形態に係る収納室30は、円形状の底部31及び天井部32(上壁)と側部33(側壁)とを有し、円筒状の形状となっている。そして、底部31、天井部32、側部33が、前記空間を画成している。尚、本発明において天井部とは、収納室内の空間を画成する壁面のうち、収納室への冷却水注水時に上側に位置する壁面を意味している。
【0038】
収納室30の底部31には、
図4に示すように、一対のカメラ支持体34が互いに対向するように立設されている。このカメラ支持体34は、板状の金属製の部材であり、
図5に示すように、上部にカメラ固定部34a(切り欠かれた部分)を有している。そして、水中カメラ12は、一対のカメラ支持体34の間に置かれた状態で、カメラ固定部34aに蝶ボルト60で固定されるようになっている。このように、カメラ支持体34は、冷却水で満たされる空間内に水中カメラ12が収納されるような構成を実現している。
【0039】
また、本実施の形態においては、水中カメラ12が、上方を向くように(上方を観察できるように)カメラ支持体34に設置されるようになっている。そして、天井部32には、耐熱ガラス窓35が設けられており、水中カメラ12は、耐熱ガラス窓35を通して上方を検査する(可視範囲を、
図5において一点鎖線で示している)。つまり、炉内観察装置10において、水中カメラ12は耐熱ガラス窓35の方向に向けられている。
【0040】
また、収納室30には、当該収納室30に冷却水が流入する流入口A1と、当該収納室30から冷却水が流出する流出口A2とが、それぞれ設けられている。
図4及び
図5に示すように、中空ロッド22の一部(先端部分)が収納室30の内部(前記空間)に入り込んだ状態で、中空ロッド22と収納室30とが固定されている。つまり、中空ロッド22(換言すれば、往路24及び復路26)の小口22cは、収納室30の内部(前記空間)に位置している。
【0041】
そして、往路24の小口22cは、開口となっているため、往路24の出口24bとなっている。すなわち、当該出口24bが収納室30に冷却水が流入する流入口A1となっている。
【0042】
一方で、復路26の小口22cには、連絡流路40が連結されており、当該小口22cのうち連絡流路40が連結されていない部分については、蓋部材により閉じられている。
【0043】
連絡流路40は、復路26と収納室30とを繋ぐための円形断面の管であり、L字形状を有している。つまり、連絡流路40は、水平方向に沿った第一部分40aと上下方向に沿った第二部分40bとを備えている。
【0044】
連絡流路40の一端側(第一部分40a側)の端部は、復路26の内部に位置しているものの、連絡流路40の他の部分は、全て収納室30の内部(前記空間)に位置している。そして、連絡流路40の他端側(第二部分40b側)の小口は、開口となっているため、連絡流路40の入口40cとなっている。すなわち、当該入口40cが収納室30から冷却水が流出する流出口A2となっている。
【0045】
なお、本実施の形態において、連絡流路40の入口40c(流出口A2)は、天井部32の近傍(天井部32の僅かに下)に位置し、入口40c(流出口A2)の面内方向は、水平方向に沿っている。そのため、流出口A2(の最下端)は、流入口A1の最上端よりも上側に位置し、さらには、水中カメラ12が収納室30に収納された状態において水中カメラ12の最上端12aよりも上側又は同じ位置(本実施の形態においては、上側)に位置する。
【0046】
このように、収納室30と往路24は連絡流路を介さずに直接繋がれているのに対し、収納室30と復路26は連絡流路40を介して繋がれている。そのため、冷却水は、往路24(すなわち、往路24の出口24bである流入口A1)から直接収納室30に流入するのに対し、直接収納室30から復路26に流出するのではなく、連絡流路40(すなわち、連絡流路40の入口40cである流出口A2)を介して復路26に流出するようになっている。
【0047】
そして、上述した構成を備える炉内観察装置10の収納室30に冷却水を供給及び排出して収納室30を冷却水で満たし、中空ロッド22の先端(収納室30)を炉内に挿入して収納室30内に収納された水中カメラ12で炉内の観察を実行する。
【0048】
===本実施の形態に係る水中カメラ保護装置20(炉内観察装置10)の有効性について===
上述したとおり、本実施の形態に係る水中カメラ保護装置20は、内部に冷却水の往路24と復路26とが設けられた中空ロッド22と、中空ロッド22の先端に設けられ、往路24から供給されて復路26を通して排出される冷却水で満たされる空間内に水中カメラ12を収納するよう構成された、耐熱ガラス窓35を有する収納室30と、を備えることとした。また、本実施の形態に係る高温室内観察装置(炉内観察装置10)は、かかる水中カメラ保護装置20と、収納室30内に収納され、耐熱ガラス窓35の方向に向けられた水中カメラ12と、を備えることとした。そのため、高温室内を観察する装置を簡易な構成で実現することが可能となる。
【0049】
従来の高温室内観察装置においては、圧縮空気が流れる空気流路が中空ロッドに設けられ、当該空気流路にカメラが設置されるようになっていた。そして、当該空気流路の周囲(外周)に当該空気流路とは別に冷却水が流れる冷却水流路が設けられていた。
【0050】
そして、空気流路に位置するカメラは、冷却水流路を流れる冷却水により冷やされ、空気流路を流れる圧縮空気により異物の付着が防止されるようになっていた。
【0051】
しかしながら、当該高温室内観察装置においては、冷却水と圧縮空気がそれぞれ必要となるため、これらに対応する機器及び構造物を各々毎に準備しなければならず、高温室内観察装置の部品点数が多くなり、その構成が複雑化する問題があった。
【0052】
これに対し、本実施の形態に係る高温室内観察装置(炉内観察装置10)及び水中カメラ保護装置20においては、カメラを水中カメラ12とし、当該水中カメラ12を空気ではなく冷却水に直接接触させて水冷する構成としたため、圧縮空気が不要となる。そのため、圧縮空気に対応する機器及び構造物を準備する必要がなくなり、高温室内を観察する装置を簡易な構成で実現することが可能となる。
【0053】
また、本実施の形態においては、中空ロッド22の内部を中心軸を含む面の両側に二分割する仕切り23を備え、中空ロッド22内の往路24と復路26とが、仕切り23の両側のうちの一方側と他方側とにそれぞれ位置することとした。
【0054】
そのため、中空ロッド22に仕切り23を挿入して固定するという簡便な方法で、往路24と復路26を実現することが可能となる。
【0055】
===その他の実施の形態===
以上、上記実施の形態に基づき本発明に係る水中カメラ保護装置等を説明したが、上記した発明の実施の形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明は上記実施の形態に限定されるものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得ると共に、本発明にはその等価物が含まれることはもちろんである。
【0056】
例えば、上記実施の形態においては、高温室内観察装置として炉内観察装置10を例に挙げて説明したが、これに限定されるものではない。高温室内を観察する装置であれば、どのような装置にも本発明を適用することができる。
【0057】
また、上記実施の形態においては、収納室30と復路26とを繋ぐ連絡流路40を有し、収納室30には、収納室30から冷却水が流出する流出口A2が設けられ、該流出口A2が連絡流路40の入口40cとなっており、流出口A2の最下端は、収納室30に冷却水が流入する流入口A1の最上端よりも上側に位置することとした。
【0058】
しかしながら、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば以下の構成としても構わない。すなわち、収納室30と往路24が連絡流路を介さずに直接繋がれているのと同様、収納室30と復路26が連絡流路を介さずに直接繋がれ、復路26の入口(小口)が収納室30に冷却水が流入する流入口A1となっていてもよい。
【0059】
ただし、かかる場合には、流入口A1と流出口A2が上下方向において同じ(高さ)位置となることに起因して、以下の不都合が生じ易くなる。すなわち、流入口A1から収納室30に流入した冷却水がそのまま流出口A2から復路26へ流出してしまい、収納室30のうち流入口A1より上方の空間が冷却水で満たされにくくなる。
【0060】
一方、上記実施の形態においては、連絡流路40を別途設けることで流出口A2を流入口A1よりも上方に位置させることとしたため、流入口A1より上方の空間を冷却水で満たすことができる。したがって、収納室30をより適切に冷却水で満たすことが可能となる点で上記実施の形態の方が望ましい。
【0061】
また、上記実施の形態において、流出口A2の最下端は、水中カメラ12が収納室30に収納された状態において該水中カメラ12の最上端12aよりも上側又は同じ位置に位置することとしたが、これに限定されるものではない。ただし、当該実施形態においては、収納室30内に収納された水中カメラ12をより確実に冷却水中に浸すことができ、これにより水中カメラをより確実に保護することが可能となる点で望ましい。
【0062】
また、流出口A2の最下端を水中カメラ12の最上端12aよりも上側又は同じ位置に位置させる形態としては、
図6に示すように、流出口A2を収納室30の天井部32に設ける例も考えられる。かかる実施形態においては、冷却水が天井部32に到達しないと収納室30から冷却水が流出しないため、収納室30内に収納された水中カメラ12をより一層確実に冷却水中に浸すことができ、これにより水中カメラをより確実に保護することが可能となる。なお、
図6は、
図5に対応した図であり、このような連絡流路40の変形例を示した図である。