(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記切替部は、前記音声信号の切り替えを行う際、その時点での音声信号と、切替後の音声信号とがクロスフェードするように切り替えを行うことを特徴とする請求項1記載のマイクロホン装置。
前記切替部は、前記音声信号の切り替えを行う際、その時点での音声信号と、切替後の音声信号とがクロスフェードするように切り替えを行うことを特徴とする請求項3または4記載のカラオケシステム。
【背景技術】
【0002】
マイクロホン装置は、その用途により、指向特性や周波数特性の異なる様々なタイプが存在する。たとえば、無指向性のマイクロホン装置は、会議等において複数人の音声を集音する場合に用いられる。また、指向性のあるマイクロホン装置は、様々な音声の中から特定の対象者の音声だけを集音したい場合に用いられる。
【0003】
一方、一のマイクロホン装置が複数の指向特性を備えているものや、一のマイクロホン装置において周波数特性を切り替えることが可能なものがある。
【0004】
たとえば、特許文献1には、一の筐体内に複数の受音素子を内蔵し、各受音素子の出力を合成して無指向性特性、双指向性特性、高次の双指向性特性、及びそれらの相乗指向性特性の出力信号を引き出し、所定の座標変換演算を行った後に合成することにより、所定の方向の合成指向性特性を得ることができるマイクロホン装置が開示されている。このようなマイクロホン装置は、所定の位置に固定したまま、任意の座標変換演算を行うことにより任意の方向の音を選択して受音することができる。
【0005】
特許文献2には、マイク筐体内に周波数特性を変更可能なプリアンプ回路基板を設け、周波数特性を決定するパラメータをメモリ・カートリッジに記憶できるマイクロホン装置が開示されている。このようなマイクロホン装置は、一の受音素子に接続するアナログ回路をチューニングして周波数特性を切り替えることで、歌唱者の声質に合わせた周波数特性を持たせることができる。
【0006】
更に、非特許文献1には、マイクロホン装置の周波数特性を変更できるデジタルシグナルプロセッサ(DSP)が記載されている。このDSPは、一のマイクロホン装置において様々な周波数特性を実現するためのマイクロホン・モデリング機能を搭載している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ところで、カラオケ分野で使用されるマイクロホン装置の性能に関し、「吸い込みが良い/悪い」という評価を行う場合がある。「吸い込みが良い」とは、あるマイクロホン装置を使用してカラオケ歌唱を行った場合に、歌い易いと感じたり、歌唱音声が聞き取り易いと感じることをいう。逆に、「吸い込みが悪い」とは、あるマイクロホン装置を使用してカラオケ歌唱を行った場合に、歌い難いと感じたり、歌唱音声が聞き取り難いと感じることをいう。マイクロホン装置の性能を判断する作業者は、あるマイクロホン装置を使用した場合の歌い易さや得られた歌唱音声の聴き取り易さにより、そのマイクロホン装置の吸い込みが良いまたは悪いという評価を行う。吸い込みが良いマイクロホン装置を使用することにより、実際にカラオケ歌唱を行う歌唱者は、快適なカラオケ歌唱が可能となる。
【0010】
吸い込みが悪い場合、作業者はマイクロホン装置のチューニングを行う。このチューニングは、吸い込みが良くなるように(快適なカラオケ歌唱ができるように)、マイクロホン装置内に設けられたマイクロホンユニットの位置等を調整する機構的な処理である(以下、このようなチューニングを「アコースティック・チューニング」という場合がある)。
【0011】
ここで、歌唱区間(Aメロ、Bメロ、サビ等)によって最適なアコースティック・チューニングの状態は異なる。たとえば、楽曲のAメロやBメロを歌唱した際の吸い込みが良くなるようにチューニングすると、サビの歌唱では詰まったように感じられ、サビを歌唱した際の吸い込みが良くなるようにチューニングすると、AメロやBメロが歌い難く感じられる。すなわち、ある歌唱区間において吸い込みが良くなるようにアコースティック・チューニングを行った場合、別の歌唱区間においては吸い込みが悪くなるという問題がある。
【0012】
そのため、従来は全ての歌唱区間における吸い込みが悪くならない程度にチューニングを行っていた。つまり、従来の単一のマイクロホン装置においては、全ての歌唱区間における吸い込みを良くすることができなかった。従って、ある歌唱区間において吸い込みの悪さを感じてしまい、快適なカラオケ歌唱を行えない場合があった。
【0013】
本発明の目的は、単一のマイクロホン装置を用いて快適なカラオケ歌唱を可能とする技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記目的を達成するための一の発明は、カラオケ楽曲の歌唱に基づいて取得した音声信号を出力するユニットであって、異なるアコースティック・チューニングが施された複数のマイクロホンユニットと、歌唱に最適な前記アコースティック・チューニングが施されたマイクロホンユニットを前記カラオケ楽曲の歌唱区間毎に選択するためのユニット選択情報に基づいて、前記複数のマイクロホンユニットから出力された前記音声信号の切り替えを行う切替部と、を有するマイクロホン装置である。
本発明の他の特徴については、後述する明細書及び図面の記載により明らかにする。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、単一のマイクロホン装置を用いて快適なカラオケ歌唱が可能となる。
【発明を実施するための形態】
【0017】
後述する明細書及び図面の記載から、上記の主たる発明の他、少なくとも以下の事項が明らかとなる。
【0018】
すなわち、カラオケ楽曲の演奏を行うカラオケ装置、及びマイクロホン装置を含むカラオケシステムであって、前記カラオケ装置が、前記カラオケ楽曲の演奏の進行に伴って、前記マイクロホン装置に対し、歌唱に最適なアコースティック・チューニングが施されたマイクロホンユニットを前記カラオケ楽曲の歌唱区間毎に選択するためのユニット選択情報を順次送信する送信処理部を有し、前記マイクロホン装置が、前記カラオケ楽曲の歌唱に基づいて取得した音声信号を出力するユニットであって、異なるアコースティック・チューニングが施された複数のマイクロホンユニットと、前記カラオケ装置から送信された前記ユニット選択情報に基づいて、前記複数のマイクロホンユニットから出力された前記音声信号の切り替えを行う切替部と、を有するカラオケシステムが明らかとなる。このようなカラオケシステムによれば、単一のマイクロホン装置を用いて快適にカラオケ歌唱を行うことができる。
【0019】
或いは、カラオケ楽曲の演奏を行うカラオケ装置、及びマイクロホン装置を含むカラオケシステムであって、前記マイクロホン装置が、前記カラオケ楽曲の歌唱に基づいて取得した音声信号を前記カラオケ装置に送信するユニットであって、異なるアコースティック・チューニングが施された複数のマイクロホンユニットを有し、前記カラオケ装置が、歌唱に最適な前記アコースティック・チューニングが施されたマイクロホンユニットを前記カラオケ楽曲の歌唱区間毎に選択するためのユニット選択情報に基づいて、前記複数のマイクロホンユニットから出力された前記音声信号の切り替えを行う切替部を有するカラオケシステムが明らかとなる。このようなカラオケシステムによっても、単一のマイクロホン装置を用いて快適にカラオケ歌唱を行うことができる。また、このようなカラオケシステムによれば、マイクロホン装置の構成を簡素化することができる。
【0020】
また、前記切替部が、前記音声信号の切り替えを行う際、その時点での音声信号と、切替後の音声信号とがクロスフェードするように切り替えを行うマイクロホン装置またはカラオケシステムが明らかとなる。このようなマイクロホン装置またはカラオケシステムによれば、音声信号をより滑らかに切り替えることができ、カラオケ装置から放音される歌唱音声が不自然になることを低減できる。
【0021】
<第1実施形態>
図1〜
図3を参照して、第1実施形態に係るカラオケシステム1000について説明する。
【0022】
==カラオケシステム==
図1に示すように、本実施形態に係るカラオケシステム1000は、カラオケ装置1及びマイクロホン装置50を含む。
【0023】
カラオケ装置1は、カラオケ楽曲の演奏、及び歌唱者がカラオケ歌唱を行うための装置である。
【0024】
カラオケ装置1は、カラオケ本体10、スピーカ20、表示装置30、及びリモコン装置40を含む。カラオケ本体10は、選曲されたカラオケ楽曲の演奏制御、歌詞や背景映像等の表示制御といった、カラオケ歌唱に関する各種の制御を行う。スピーカ20はカラオケ本体10からの放音信号に基づいて放音するための構成である。表示装置30はカラオケ本体10からの信号に基づいて映像や画像を画面に表示するための構成である。リモコン装置40は、カラオケ装置1に対する各種操作を行うための装置である。
【0025】
マイクロホン装置50は、歌唱者の歌唱音声を取得し、カラオケ本体10に出力するための構成である。マイクロホン装置50は、予めアコースティック・チューニングが施されたものを用いる。
【0026】
上述の通り、アコースティック・チューニングは、マイクロホン装置50の吸い込みが良くなるように、マイクロホン装置50内に設けられたマイクロホンユニットの位置等を調整する機構的なチューニングである。ここで、カラオケ楽曲の歌唱区間(Aメロ、Bメロ、サビ等)によって、歌唱に最適なアコースティック・チューニングが存在する。本実施形態に係るマイクロホン装置50は、第1のマイクロホンユニット55及び第2のマイクロホンユニット56を有し、それぞれに異なるアコースティック・チューニングが施されている(詳細は後述)。
【0027】
==カラオケ本体==
[ハードウェア構成]
図2に示すように、カラオケ本体10は、通信部11、記憶部12、音響処理部13、表示処理部14、操作部15、及び制御部16を備える。各構成はインターフェース(図示なし)を介してバスBに接続されている。
【0028】
(通信部)
通信部11は、ルータ(図示なし)を介してカラオケ本体10をリモコン装置40やマイクロホン装置50と接続するためのインターフェースを提供する。
【0029】
(記憶部)
記憶部12は、各種のデータを記憶する大容量の記憶装置であり、たとえばハードディスクドライブなどである。記憶部12は、カラオケ装置1によりカラオケ演奏を行うための複数の楽曲データを記憶する。
【0030】
楽曲データは、個々のカラオケ楽曲を特定するための識別情報(楽曲ID)が付与されている。楽曲データは、伴奏データ、リファレンスデータ等を含む。伴奏データは、カラオケ演奏音の元となるMIDI形式のデータである。伴奏データは、カラオケ楽曲の歌唱区間(Aメロ、Bメロ、サビ等)を識別するための情報を含む。リファレンスデータは、歌唱者によるカラオケ歌唱を採点する際の基準として用いられるデータである。また、記憶部12は、各楽曲に対応する歌詞テロップを提示するための各種情報を含む歌詞テロップデータ、カラオケ演奏時に合わせて表示装置30等に表示される背景画像に対応する背景画像データ、及びカラオケ楽曲の属性情報(曲名、歌手名、作詞・作曲者名、及びジャンル等の当該カラオケ楽曲に関する情報)を記憶する。
【0031】
また、記憶部12は、各楽曲の歌唱区間毎に設定されたユニット選択情報を記憶する。ユニット選択情報は、歌唱に最適なアコースティック・チューニングが施されたマイクロホンユニットをカラオケ楽曲の歌唱区間毎に選択するための情報である。具体的に、ユニット選択情報は、Aメロ・Bメロ用のユニットIDやサビ用のユニットIDのように、各ユニットを特定するための情報である。
【0032】
(音響処理部)
音響処理部13は、制御部16の制御に基づき、カラオケ楽曲に対する演奏の制御およびマイクロホン装置50を通じて入力された音声信号の処理を行う。表示処理部14は、制御部16の制御に基づき、表示装置30における各種表示に関する処理を行う。操作部15は、パネルスイッチおよびリモコン受信回路などからなり、歌唱者によるカラオケ本体10のパネルスイッチあるいはリモコン装置40の操作に応じて選曲信号、演奏中止信号などの操作信号を制御部16に対して出力する。制御部16は、操作部15からの操作信号を検出し、対応する処理を実行する。
【0033】
(制御部)
制御部16は、カラオケ本体10の各種処理を制御する。制御部16は、CPUおよびメモリ(いずれも図示なし)を備える。CPUは、メモリに記憶された動作プログラムを実行することにより各種の制御機能を実現する。本実施形態に係る制御部16は、演奏処理部100及び送信処理部200として機能する。
【0034】
演奏処理部100は、伴奏データに基づいてカラオケ演奏を行う。演奏処理部100は、あるカラオケ楽曲の楽曲IDの入力を受けると、当該楽曲IDに対応する楽曲データを記憶部12から読み出し、当該カラオケ楽曲のカラオケ演奏を行う。また、演奏処理部100は、カラオケ演奏の進行に伴い、次に演奏される歌唱区間を示す情報を送信処理部200に出力する。
【0035】
送信処理部200は、カラオケ楽曲の演奏の進行に伴って、マイクロホン装置50に対し、ユニット選択情報を順次送信する。具体的に、送信処理部200は、演奏処理部100から次に演奏される歌唱区間を示す情報を受け取った場合、当該歌唱区間に対して設定されているユニット選択情報を記憶部12から読み出し、通信部11を介してマイクロホン装置50に対して送信する。
【0036】
==マイクロホン装置==
[ハードウェア構成]
図3はマイクロホン装置50のハードウェア構成例を示す図である。マイクロホン装置50は、マイク本体51、ヘッドケース52、ウインドスクリーン53、仕切り54、第1のマイクロホンユニット55、第2のマイクロホンユニット56、2つのアナログ回路AC及び切替部57を備える。
【0037】
マイク本体51は、歌唱者がマイクロホン装置50を使用する際に把持する部分である。本体部51の先端側には、ヘッドケース52が設けられている。ヘッドケース52は、マイクロホン装置50内部の構成を保護する網目状の金属製部材である。ウインドスクリーン53は、マイクロホンユニットに直接、歌唱者の息が当たらないようにするためのスポンジ状の部材である。ヘッドケース52がウインドスクリーン53と同様の機能を有していてもよい。仕切り54、第1のマイクロホンユニット55、第2のマイクロホンユニット56、及び切替部57は、マイクロホン装置50内部(マイク本体51またはヘッドケース52内部)に設けられている。
【0038】
仕切り54は、マイクロホン装置50内部に配置される板状の部材である。仕切り54は、第1のマイクロホンユニット55と第2のマイクロホンユニット56とを分ける壁としての役割を有する。
【0039】
第1のマイクロホンユニット55及び第2のマイクロホンユニット56は、カラオケ楽曲の歌唱に基づいて取得した音声信号を出力するユニットである。
【0040】
各マイクロホンユニットは受音素子を含む。受音素子は、歌唱者の歌唱音声の入力を受ける素子である。受音素子は、入力された歌唱音声をアナログ回路ACに出力する。アナログ回路ACは、歌唱音声をアナログの音声信号に変換する。アナログ回路ACは、音声信号を切替部57に出力する。つまり、切替部57には、異なるマイクロホンユニットで取得した複数の音声信号が同時に入力される。受音素子及びアナログ回路ACは、各マイクロホンユニットで略同一のものを使用することができる。
【0041】
第1のマイクロホンユニット55及び第2のマイクロホンユニット56は、異なるアコースティック・チューニングが施されている。
【0042】
図3に示すように、第1のマイクロホンユニット55は、ヘッドケース52の先端から距離R1の位置に設けられている。一方、第2のマイクロホンユニット55は、ヘッドケース52の先端から距離R1よりも長い距離R2の位置に設けられている。また、ウインドスクリーン53は、第1のマイクロホンユニット55よりも第2のマイクロホンユニット56の方をより広範囲で覆っている。このような、マイクロホンユニットの位置が調整された状態や、マイクロホンユニットを覆うウインドスクリーン53の範囲が調整された状態は、アコースティック・チューニングが施された一例である。なお、
図3では、説明のためにヘッドケース52からマイクロホンユニットまでの距離やウインドスクリーン53の範囲を誇張して記載している。実際には、距離R1と距離R2の差は1〜5mm程度である。また、ウインドスクリーン53の範囲も吸い込みを確認しながら1mm単位で調整を行うことにより設定されている。
【0043】
この例では、第1のマイクロホンユニット55は、Aメロ・Bメロ用にチューニングされ、第2のマイクロホンユニット56は、サビ用にチューニングされているとする。
【0044】
なお、マイクロホンユニットに対して施すアコースティック・チューニングは、マイクロホン装置50の吸い込みが良くなるものであれば
図3の構成に限定されない。たとえば、マイクロホンユニットの向きを変えたり、マイクロホンユニットに対する仕切り54の位置や角度を変えること、或いは、各マイクロホンユニットに対するウインドスクリーン53の厚みを調整することであってもよい。
【0045】
切替部57は、カラオケ装置1から送信されたユニット選択情報に基づいて、複数のマイクロホンユニットから出力された音声信号の切り替えを行う。切替部57は、通信部(図示無し)を介して、切り替えた音声信号をカラオケ装置1に送信する。
【0046】
たとえば、送信処理部200からAメロ・Bメロを示すユニット選択情報(Aメロ・Bメロ用のユニットID)を受信した場合、切替部57は、Aメロ・Bメロ用にチューニングされた第1のマイクロホンユニット55を選択し、第1のマイクロホンユニット55からの音声信号をカラオケ装置1に送信する。カラオケ装置1(音響処理部13)は、当該音声信号に基づいてAメロまたはBメロの歌唱音声を放音する。当該音声信号は、Aメロ・Bメロの歌唱に最適なアコースティック・チューニングが施されたマイクロホンユニットにより取得されたものである。従って、吸い込みが良いため、歌唱者は快適なカラオケ歌唱を楽しむことができる。
【0047】
その後、切替部57は、カラオケ演奏の進行に伴って送信処理部200からサビを示すユニット選択情報(サビ用のユニットID)を受信したとする。この場合、切替部57は、カラオケ装置1に送信する音声信号について、第1のマイクロホンユニット55から出力された音声信号から、サビ用にチューニングされた第2のマイクロホンユニット56から出力された音声信号への切り替えを行う。カラオケ装置1(音響処理部13)は、当該音声信号に基づいてサビの歌唱音声を放音する。当該音声信号は、サビの歌唱に最適なアコースティック・チューニングが施されたマイクロホンユニットにより取得されたものである。従って、吸い込みが良いため、歌唱者は引き続き快適なカラオケ歌唱を楽しむことができる。
【0048】
なお、切替部57は、音声信号の切り替えを行う際、その時点での音声信号と、切替後の音声信号とがクロスフェードするように切り替えを行うことも可能である。クロスフェードとは、一方の音声信号の出力を徐々に弱めつつ、他方の音声信号の出力を徐々に強くする処理である。
【0049】
たとえば、上記例において、切替部57は、カラオケ装置1に送信する音声信号について、第1のマイクロホンユニット55から出力された音声信号から、第2のマイクロホンユニット56から出力された音声信号への切り替えを行う際、第1のマイクロホンユニット55から出力された音声信号の出力を徐々に弱めつつ、第2のマイクロホンユニット56から出力された音声信号の出力を徐々に強くする処理を行う。この場合、カラオケ装置1から放音される歌唱音声もクロスフェードされた状態で聞こえることとなる。従って、音声信号をより滑らかに切り替えることができ、カラオケ装置から放音される歌唱音声が不自然になることが低減される。
【0050】
このように、本実施形態に係るマイクロホン装置50は、カラオケ楽曲の歌唱に基づいて取得した音声信号を出力するユニットであって、異なるアコースティック・チューニングが施された第1のマイクロホンユニット55及び第2のマイクロホンユニット56と、歌唱に最適なアコースティック・チューニングが施されたマイクロホンユニットをカラオケ楽曲の歌唱区間毎に選択するためのユニット選択情報に基づいて、第1のマイクロホンユニット55または第2のマイクロホンユニット56から出力された音声信号の切り替えを行う切替部57と、を有する。また、本実施形態に係るカラオケシステム1000は、上記ユニット選択情報を、カラオケ楽曲の演奏の進行に伴って順次送信する送信処理部200を有する。
【0051】
このような単一のマイクロホン装置50を用いることにより、歌唱に最適なアコースティック・チューニングが施されたマイクロホンユニットからの音声信号を、カラオケ楽曲の歌唱区間毎にカラオケ装置1に対して送信することが可能となる。従って、カラオケ装置1で放音される歌唱音声も吸い込みが良くなるため、歌唱者は歌唱区間に関わらず快適なカラオケ歌唱を行うことができる。
【0052】
<第2実施形態>
次に、
図4及び
図5を参照して、第2実施形態に係るカラオケシステム1000について説明する。本実施形態においては、カラオケ装置1側で切替部57に相当する構成を備えている。第1実施形態と同様の構成については詳細な説明を省略する。
【0053】
図4に示すように、マイクロホン装置50は、第1実施形態と同様、異なるアコースティック・チューニングが施された第1のマイクロホンユニット55及び第2のマイクロホンユニット56を有する。一方、本実施形態に係るマイクロホン装置50は、切替部57に相当する構成を有していない。従って、カラオケ楽曲の歌唱に基づいて各マイクロホンユニットが取得した音声信号は、カラオケ装置1に直接送信される。
【0054】
図5に示すように、カラオケ装置1の制御部16は、演奏処理部300、読出部400及び切替部500として機能する。
【0055】
演奏処理部300は、伴奏データに基づいてカラオケ演奏を行う。また、演奏処理部300は、カラオケ演奏の進行に伴い、次に演奏される歌唱区間を示す情報を読出部400に出力する。
【0056】
読出部400は、記憶部12から次に演奏される歌唱区間に対応するユニット選択情報を読み出して、切替部500に出力する。
【0057】
切替部500は、ユニット選択情報に基づいて、複数のマイクロホンユニットから出力された音声信号の切り替えを行う
【0058】
たとえば、読出部400からAメロ・Bメロを示すユニット選択情報(Aメロ・Bメロ用のユニットID)の入力を受けた場合、切替部500は、Aメロ・Bメロ用にチューニングされた第1のマイクロホンユニット55を選択し、第1のマイクロホンユニット55からの音声信号を音響処理部13に出力する。音響処理部13は、制御部16の制御に基づいて、当該音声信号に基づいてAメロまたはBメロの歌唱音声を放音する。当該音声信号は、Aメロ・Bメロの歌唱に最適なアコースティック・チューニングが施されたマイクロホンユニットにより取得されたものである。従って、吸い込みが良いため、歌唱者は快適なカラオケ歌唱を楽しむことができる。
【0059】
その後、切替部500は、カラオケ演奏の進行に伴って読出部400からサビを示すユニット選択情報(サビ用のユニットID)の入力を受けたとする。この場合、切替部500は、音響処理部13に出力する音声信号について、第1のマイクロホンユニット55から出力された音声信号から、サビ用にチューニングされた第2のマイクロホンユニット56から出力された音声信号への切り替えを行う。音響処理部13は、制御部16の制御に基づいて当該音声信号に基づいてサビの歌唱音声を放音する。当該音声信号は、サビの歌唱に最適なアコースティック・チューニングが施されたマイクロホンユニットにより取得されたものである。従って、吸い込みが良いため、歌唱者は引き続き快適なカラオケ歌唱を楽しむことができる。なお、切替部500は、第1実施形態の切替部57と同様に、音声信号の切り替えを行う際、その時点での音声信号と、切替後の音声信号とがクロスフェードするように切り替えを行うことも可能である。
【0060】
このように、本実施形態に係るカラオケシステム1000によっても、単一のマイクロホン装置50を用いることで、歌唱区間に関わらず快適にカラオケ歌唱を行うことができる。また、本実施形態に係るカラオケシステム1000によれば、マイクロホン装置50側に切替部を設ける必要が無いため、マクロホン装置側の構成を簡素化することができる。
【0061】
<その他>
上記実施形態におけるアコースティック・チューニングに加えて、アナログ回路ACにおけるチューニングを併用することにより、吸い込みをより良くすることが可能である。アナログ回路ACのチューニングは、音声信号経路のカップリング・コンデンサの容量、種類(セラミック、フィルム)等を変更することにより行う。また、このようなアナログ回路ACのチューニングを行うことにより、アコースティック・チューニングにより影響を受けた各マイクロホンユニットの周波数特性を補正することも可能である。
【0062】
また、上記実施形態では、2つのマイクロホンユニットを例に説明を行ったが、マイクロホンユニットの数は2つに限られない。たとえば、Cメロがあるカラオケ楽曲用に別のマイクロホンユニットを設けてもよい。或いは、上記実施形態において更にAメロ用とBメロ用でマイクロホンユニットを分けてもよい。これらの場合、マイクロホン装置50は3つのマイクロホンユニットを有することとなる。その際、マイクロホンユニットに施すアコースティック・チューニングはそれぞれ異なっている。たとえば、Aメロ用のマイクロホンユニットは、上記実施形態の第1のマイクロホンユニット55と同様のチューニングとし、サビ用のマイクロホンユニットは、上記実施形態の第2のマイクロホンユニット56と同様のチューニングとし、Bメロ用のマイクロホンユニットは、第1のマイクロホンユニット55と第2のマイクロホンユニット56との中間のチューニングとすることができる。
【0063】
上記実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定するものではない。上記の構成は、適宜組み合わせて実施することが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。上記実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。