特許第6850703号(P6850703)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6850703ウェハ基板の変形を監視及び制御する方法及びシステム
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6850703
(24)【登録日】2021年3月10日
(45)【発行日】2021年3月31日
(54)【発明の名称】ウェハ基板の変形を監視及び制御する方法及びシステム
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/3065 20060101AFI20210322BHJP
   H05H 1/24 20060101ALI20210322BHJP
   H05H 1/46 20060101ALI20210322BHJP
【FI】
   H01L21/302 103
   H05H1/24
   H05H1/46 L
【請求項の数】14
【外国語出願】
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2017-170915(P2017-170915)
(22)【出願日】2017年9月6日
(65)【公開番号】特開2018-85498(P2018-85498A)
(43)【公開日】2018年5月31日
【審査請求日】2020年9月3日
(31)【優先権主張番号】1615114.4
(32)【優先日】2016年9月6日
(33)【優先権主張国】GB
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】512221197
【氏名又は名称】エスピーティーエス テクノロジーズ リミティド
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】特許業務法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ヒューマ アシュラフ
(72)【発明者】
【氏名】ケビン リデル
(72)【発明者】
【氏名】ローランド マンフォード
(72)【発明者】
【氏名】グラント ボールドウィン
【審査官】 宇多川 勉
(56)【参考文献】
【文献】 特開平06−204325(JP,A)
【文献】 特開2011−098409(JP,A)
【文献】 特開2009−064998(JP,A)
【文献】 特開2000−124299(JP,A)
【文献】 特表2010−521820(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/3065
H05H 1/24
H05H 1/46
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気絶縁性ウェハ基板の変形を前記ウェハ基板のプラズマエッチングの間に監視及び制御する方法であって、
電気絶縁性ウェハ基板を、前記電気絶縁性ウェハの上面全体が露出するようにプロセスチャンバ内のプラテンアセンブリ上に配置する工程と、
前記プロセスチャンバ中にプロセスガスを通す工程と、
前記プラテンアセンブリに高周波バイアス電圧を印加する工程と、
前記プロセスチャンバ内にプラズマを生成させることによって前記電気絶縁性ウェハ基板の前記露出した上面全体をエッチングする工程と、
前記プラテンアセンブリと前記プロセスチャンバとの間の電圧差を監視することによって、前記プラテンアセンブリに対する前記電気絶縁性ウェハ基板の反り(ワーピング)を、前記エッチングの間に求める工程と、
閾値監視電圧に達したら、前記プラズマを減衰又は消滅させて、さらなるエッチングを防止する工程と、
を含む、方法。
【請求項2】
前記プラテンアセンブリの温度を制御して前記ウェハ基板の温度を調整する工程をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記絶縁性ウェハ基板がサファイア基板である、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記絶縁性ウェハ基板がガラス基板である、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記プラズマが、高周波(RF)電力を前記プロセスチャンバ中に誘導又は容量結合させることにより生成される、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記プロセスチャンバの周りに配置された1つ又は複数のアンテナにRF電位を印加することにより前記プロセスチャンバ中にRF電力を誘導結合させる工程をさらに含む、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記プラテンアセンブリと前記プロセスチャンバとの間のピーク・トゥ・ピーク電圧差(Vpp)を監視する工程を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記プラテンアセンブリと前記プロセスチャンバとの間のVppが前記エッチングの開始時のVppの10%を超えたら、前記プラズマを減衰又は消滅させる工程をさらに含む、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記プラテンアセンブリと前記プロセスチャンバとの間のVppが前記エッチングの開始時のVppの20%を超えたら、前記プラズマを減衰又は消滅させる工程をさらに含む、請求項7に記載の方法。
【請求項10】
前記Vppが、前記プラテンアセンブリ上に実質的にフラットな配向で延在する代表的な絶縁ウェハ基板のVppに対応する値まで減少したら、前記プラズマを減衰又は消滅させる工程をさらに含む、請求項7に記載の方法。
【請求項11】
前記プラテンアセンブリと前記プロセスチャンバとの間の直流電圧差(Vdc)を監視する工程を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記プラテンアセンブリと前記プロセスチャンバの間のVdcが前記エッチングの開始時のVdcの50%を超えたら、前記プラズマを減衰又は消滅させる工程をさらに含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記プラテンアセンブリと前記プロセスチャンバの間のVdcが前記エッチングプロセスの開始時のVdcの100%を超えたら、前記プラズマを減衰又は消滅させる工程をさらに含む、請求項11に記載の方法。
【請求項14】
前記Vdcが、前記プラテンアセンブリ上に実質的にフラットな配向で延在する代表的な絶縁性ウェハ基板のVdcに対応する値まで減少したら、前記プラズマを減衰又は消滅させる工程をさらに含む、請求項11に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プラズマエッチングプロセスの間にウェハのたわみを監視及び制御する方法及びシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
電子及び光電子用途用のウェハ基板を加工する場合、ウェハ表面が非常に滑らかで清浄であることを確保する必要がある。バルクウェハを作製したら、滑らかで均一な表面を生成させるために様々な研削、研磨及びエッチング工程が必要とされる。しかし、主に機械的研磨の結果として、ウェハの表面付近に応力が蓄積することがあることが判った。ウェハの表と裏の間の応力不均衡が、ウェハのバウ(bow)をもたらすことがあり、これにより、将来のプロセスステップにとって悪い結果をもたらすことがある。応力不均衡を最低限に抑えるために、湿式化学エッチング、化学的機械的研磨又はプラズマエッチング又はこれらのプロセスの組み合わせなどの様々な方法を使用することができる。
【0003】
応力を緩和するため又はウェハ基板上に表面テクスチャを生成させるためにプラズマエッチングを使用する場合、重要な要件は、ウェハ損傷を生じずにできるだけ高速でその表面から材料を均一に除去することである。このプラズマエッチングプロセスには、ウェハにおける応力の変化がつきものであり、この応力の変化は、ウェハの変形をもたらすことがある。過剰な変形は、ウェハの破損をもたらすことがあり、これは非常に望ましくない。なぜなら、典型的には、デブリ(debris)を除去するために、エッチチャンバをベントしなくてはならないからである。これは、プラズマエッチツールのための費用のかかるダウンタイムの原因となる。
【0004】
従来のプラズマエッチングにおいて、機械的又は静電クランプを使用して基板は所定の位置に保持され、例えばヘリウムなどのクーラントの使用により冷却される。しかし、ウェハの全表面をエッチングする必要がある場合には、クランプがウェハと接触してウェハを覆ってしまうウェハの領域が、ウェハの露出又は未被覆領域に対して異なるエッチ速度を受けるため、機械的クランピングは使用できない。さらに、基板が、例えばサファイアやガラスなどの絶縁体である場合には、静電クランプ又はチャックは使用できない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
我々は、プラズマエッチングプロセスの間にウェハ基板の変形を監視する方法及びシステムを発明した。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様によれば、ウェハ基板のプラズマエッチングの間に当該ウェハ基板の変形を監視及び制御する方法であって、
− ウェハ基板を、ウェハの上面全体が露出するようにプロセスチャンバ内のプラテンアセンブリ上に配置する工程;
− プロセスチャンバ中にプロセスガスを通す工程;
− プラテンアセンブリに高周波バイアス電圧を印加する工程;
− プロセスチャンバ内にプラズマを生成させる工程;
− エッチプロセスの間に、プラテンアセンブリとプロセスチャンバとの間の電圧差を監視する工程;
− 閾値監視電圧に達したら、さらなるエッチングを防止するためにプラズマを減衰又は消滅させる工程;
を含む方法が提供される。
【0007】
一実施形態において、プラズマエッチプロセスの間に、例えばワーピング(warping)及びバウイング(bowing)などのウェハ基板の変形をプラテンアセンブリに対して監視し、そして、プラテンアセンブリとチャンバとの間の電圧差を監視することにより相対的変形の量を求める。
【0008】
一実施形態において、当該方法は、高周波(RF)電力を前記プロセスチャンバ中に誘導又は容量結合させることによりプラズマを発生させることを含む。
【0009】
一実施形態において、当該方法は、チャンバの周りに配置された1つ又は2つ以上のアンテナ又はコイルにRF電位を印加することによりチャンバ中にRF電力を誘導結合させることを含む。代わりに、又は、これに加えて、当該方法は、プラテンアセンブリに対してRF電位を容量結合してチャンバ内にプラズマを生成させることを含む。
【0010】
当該方法は、プラテンアセンブリとチャンバとの間のピーク・トゥ・ピーク(peak-to-peak)電圧差(Vpp)を監視することを含む。さらなる一実施形態において、当該方法は、プラテンアセンブリとチャンバとの間の直流電圧差(Vdc)を監視することを含むか又はさらに含む。
【0011】
ウェハが、当初、平坦な形状を成している一実施形態において、当該方法は、プラテンアセンブリとチャンバとの間のピーク・トゥ・ピーク電圧差がエッチングプロセスの開始時のピーク・トゥ・ピーク電圧差の10%を超えたら、好ましくは20%を超えたら、プラズマを減衰又は消滅させることを含む。代わりに、又は、これに加えて、当該方法は、プラテンアセンブリとチャンバとの間の直流電圧差がエッチングプロセスの開始時の直流電圧差の50%を超えたら、より好ましくは100%を超えたら、プラズマを減衰又は消滅させることを含むことができる。いずれの状況でも、当該方法は、ウェハ基板の破壊又は破損をもたらしうるエッチプロセスの間の過剰なワーピング及びバウイングを防止するためにさらなるエッチングを防止するように構成されている。
【0012】
ウェハが、当初、変形又はワープした形状を成している一実施形態において、当該方法は、監視したピーク・トゥ・ピーク電圧差又は直流電圧差が、それぞれ、プラテンアセンブリ上に実質的にフラットな配向で延在するウェハのピーク・トゥ・ピーク電圧差又は直流電圧差に特徴的な値まで減少したら、プラズマを減衰又は消滅させることをさらに含む。この方法工程は、当初ワープしていたウェハのさらなるエッチングを防止するように実行される。ここで、当初のワーピングは、主に、ウェハ上に望ましくない層が存在することによって起こる。エッチングプロセスの間に層が除去されると、ウェハはプラテンアセンブリ上で緩和して好ましい平坦化した状態になる。当該方法は、したがって、ウェハの形状についての1つの指標を与え、その結果、エッチングプロセスを適切な時間で終了することができる。
【0013】
一実施形態において、当該方法は、ウェハ基板の温度を調節するのを助けるためにプラテンアセンブリの温度を制御することをさらに含む。
【0014】
一実施形態において、当該方法は、プラテン基板にバイアス電圧を与えるためにプラテンアセンブリに高周波(RF)電位を印加することをさらに含む。
【0015】
本発明の第2の態様によれば、ウェハ基板の上面全体をプラズマエッチングする間にウェハ基板の変形を監視するためのシステムであって、
プロセスチャンバ;
プロセスチャンバ中に配置され、ウェハ基板を受容するように構成されたプラテンアセンブリ;
プロセスガスをチャンバ中に受け入れるための入口;
プラズマを生成させるための手段;
当該プラテンアセンブリの電圧をバイアスするためにプラテンアセンブリに高周波電圧を印加するように構成された電圧発生器;
プラズマエッチプロセスの間にプラテンアセンブリとプロセスチャンバとの間の電圧差を監視するように構成された監視装置;及び
監視装置及びプラズマ生成手段に通信可能に結合されたプロセッサであって、閾値監視電圧に達したら、さらなるエッチングを防止するためにプラズマを減衰又は消滅させるように構成されたプロセッサ;
を含むシステムが提供される。
【0016】
一実施形態において、監視装置は、プラテンアセンブリとチャンバとの間の電圧差を代表する信号をプロセッサに出力するように構成されている。当該プロセッサは、監視装置からの信号出力に応じてプラテンアセンブリに対する変形量を求め、そして、監視装置からの信号出力に応じてプラズマ生成手段に信号を出力するように構成されている。
【0017】
一実施形態において、プラズマ生成手段は、RF電力をプロセスチャンバ中に誘導又は容量結合させるように設けられたRF発生器を備える。プロセッサは、チャンバ中へのRF電力の結合を制御するために、RF生成器と通信可能に結合されている。
【0018】
プラズマ生成手段は、チャンバの周りに配置された1つ又は2つ以上のアンテナ又はコイルであって、チャンバ中にプラズマを生成させるためのRF生成器と電気的に結合された1つ又は2つ以上のアンテナ又はコイルをさらに備える。代わりに、又は、それに加えて、RF生成器は、チャンバ中にプラズマを生成させるために、プラテンアセンブリに電気的に結合されていてもよい。
【0019】
監視装置は、好ましくは、プラテンアセンブリとチャンバとの間のピーク・トゥ・ピーク電圧差を監視するように構成される。さらなる一実施形態において、監視装置は、プラテンアセンブリとプロセスチャンバとの間の直流(dc)電圧差を監視又はさらに監視するように構成される。
【0020】
当該システムは、さらに、プラテンアセンブリの温度を制御するための手段を備える。
【0021】
本発明の第3の態様によると、ウェハ基板の上面全体をプラズマエッチングする間にウェハ基板の変形を監視するためのシステムであって、第1の態様に従う方法を実施するように構成されたシステムが提供される。
【0022】
本発明を上で説明したが、本発明は、上記の又は以下の説明に記載の特徴のいかなる独創的な組み合わせにも及ぶ。図面を参照しつつ本発明の例示的実施形態を本明細書で詳しく説明するが、本発明はこれらの詳細な実施形態に限定されるべきでないことが理解されるべきである。
【0023】
さらに、個別に又は一実施形態の一要素として記載した特定の特徴は、たとえ他の特徴及び実施形態が、その特定の特徴について言及していなくても、他の個別に記載した特徴と組み合わされても、あるいは、他の実施形態の複数の要素と組み合わされてもよい。したがって、本発明は、まだ説明していないかかる特定の組み合わせにも及ぶ。
【0024】
本発明は、様々な方法で実施することができ、本発明の実施形態を、例示のためだけの添付の図面を参照しながら説明する。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1図1は、ウェハ基板のプラズマエッチングの間にウェハ基板の変形を監視するための本発明の一実施形態に従うシステムの概略図である。
図2図2は、ウェハ基板のプラズマエッチングの間にウェハ基板の変形を監視するための本発明の一実施形態に従う方法に関連する工程の概略図である。
図3図3は、(a)最小限の変形及び(b)顕著な変形を経たウェハ基板のプラズマエッチングの間の、プラテンアセンブリにおける誘導ac及びdc電圧成分の大きさの変化を示すグラフである。
図4(a)-(c)】図4(a)−(c)は、ウェハ基板1〜3のプラズマエッチングの間のプラテンアセンブリにおける誘導ac電圧成分の大きさの変化を示すグラフである。
図4(d)-(f)】図4(d)−(f)は、ウェハ基板4〜6のプラズマエッチングの間のプラテンアセンブリにおける誘導ac電圧成分の大きさの変化を示すグラフである。
図4(g)】図4(g)は、ウェハ基板7のプラズマエッチングの間のプラテンアセンブリにおける誘導ac電圧成分の大きさの変化を示すグラフである。
図5図5は、ウェハ基板のプラズマエッチングの間にウェハ基板の変形を監視するために本発明の第2の実施形態に従う方法に関連する工程の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
図面の図1を参照すると、ウェハ11のプラズマエッチングの間に、ウェハ基板11(以下、「ウェハ」と呼ぶ。)、基本的には、電気絶縁性ウェハ11、例えばサファイア又はガラスウェハなどの変形を監視するための本発明の一実施形態に従うシステム10が示されている。システム10は、ウェハ11のいかなる破損や亀裂も予め阻止するために、エッチングプロセスの間にウェハ11のいかなるワーピング及びバウイングも監視するか、あるいは、所望のウェハ形状に達したらエッチングプロセスを終了するように構成されている。
【0027】
システム10は、プロセスチャンバ12を備え、プロセスチャンバ12内でウェハ11のプラズマエッチングが実施される。プロセスチャンバ12はチャンバ壁12aを備え、このチャンバ壁は例えばアルミニウムなどの金属から形成されたものであることができ、典型的には電気的に接地されている。システム10は、さらに、チャンバ12内に配置されたプラテンアセンブリ13を備え、このプラテンアセンブリも例えばアルミニウムなどの金属から形成されたものであることができるが、例えばセラミック絶縁材14などの従来の手段によってチャンバ壁12aから電気的に絶縁される。
【0028】
プラテンアセンブリ13は、ウェハ11を受容するための支持面13bを有する本体13aを備える。ウェハ11は、プラテンアセンブリ13に機械的にクランプされておらず、これによって、ウェハ11には、クランプ(図示せず)によって覆われた領域がなくなる。また、これによって、ウェハ11の上面11a全体が露出し、実質的に同様なエッチング速度にかけることができ、これは、ウェハ表面にわたる応力変動を最低限に抑えることを支援する。ウェハ11は、そのため、エッチプロセスを開始する前に支持面13b上に単に置かれる。
【0029】
システム10、及び、特にチャンバ12は、さらにガス入口15を備え、チャンバ12中にガスを導入するためのプロセスガス供給源(図示せず)がこのガス入口に流体的に結合されていてもよく、当該ガスは、例えばアルゴン、塩素又は三塩化ホウ素ガスを含んでよい。チャンバ12は、さらに出口16を備え、この出口を通ってプロセスガス及びエッチングプロセスの任意の副生成物がチャンバ12から出ることができる。
【0030】
一実施形態において、高周波(RF)電圧をRF電圧発生器17から、1つ又は2つ以上のアンテナ18に印加することによって、プラズマが生成される。1つ又は2つ以上のアンテナ18は、チャンバ12の周りに配置されており、チャンバ壁12a内に形成された各誘電体窓部12bに隣接した位置にある。1つ又は2つ以上のアンテナ18は、例えば、実質的に平面螺旋形状、ヘリカルコイル形状又はトロイダル形状を成していることができ、通常行われているように、アンテナ18からの電力の反射を最低限に抑えるために発生器17からのRF信号のアンテナ18とのインピーダンスマッチングが行われる。アンテナ18は、チャンバ12の周りに配置されており、誘電体窓部12bを介して電力をチャンバ12中に誘導結合させる。
【0031】
プラズマは、ウェハ11の上方に配置されたチャンバ12の領域19において生成され、その結果、ウェハ11はプラズマにさらされる。ガスは、例えばターボ分子ポンプ20などのポンプによりチャンバ12を通って引き出される。ポンプ20はチャンバ12の出口16又はその下流に配置されてもよく、チャンバ12の入口15及び出口16はプラズマ領域19の向かい合う側に配置されており、その結果、プロセスガスが領域19及びウェハ11上方を経由してチャンバ12を必ず通過する。
【0032】
一実施形態において、プラテンアセンブリ13は、さらに、流体をプラテンアセンブリ13に通すためのプラテンアセンブリ13を通って延在するダクト装置21aを備えた熱管理装置21を備えてもよい。流体(図示せず)は、プラテンアセンブリ13と熱交換して、プラテンアセンブリ13の温度を調節し、その結果、ウェハ11の温度を制御するように用意される。
【0033】
システム10は、プラテンアセンブリ13とチャンバ壁12aとの間の電圧差を監視するように配置された監視装置22と、チャンバ12中に結合されたRF電力を制御するためのプロセッサ23をさらに備える。監視装置22は、プラテンアセンブリ13とチャンバ壁12aとの間のピーク・トゥ・ピーク電圧差を監視し、しかも、プラテンアセンブリ13とチャンバ壁12aとの間の直流(dc)電圧差も監視するように構成された、例えば電圧計などの電圧検知装置24を備えていてもよい。電圧検知装置24は、プロセッサ23に通信可能に結合されており、上記ピーク・トゥ・ピーク電圧差及びdc電圧差を代表する信号をプロセッサ23に出力するように設けられる。
【0034】
当該システムは、プラテンアセンブリ13に高周波バイアス電圧を印加するための電圧発生器25をさらに含んでもよい。プラテンアセンブリ13に負のバイアス電圧を与えることは、例えば、ウェハ11の表面の正電荷イオン衝撃を制御することを支援することができる。
【0035】
図面の図2を参照すると、ウェハ基板11、基本的には電気絶縁性ウェハ11の変形を当該ウェハ11のプラズマエッチングの間に監視及び制御するための本発明の第1の実施形態に従う方法100に関連する工程が示されている。まず、工程101で、チャンバ12内のプラテンアセンブリ13上にウェハ11を置き、その後、工程102で、チャンバ12にプロセスガスを通過させる前にチャンバ12を排気する。プロセスガスは、その供給源(図示せず)からポンプ20によってチャンバ12中に引き込まれ、チャンバ12内の圧力が、圧力制御装置(図示せず)により約5〜25mTに維持される。ガスは、入口15から引き込まれ、出口16を介してチャンバ12から出る前にプラズマ領域19とウェハ11上を通る。
【0036】
チャンバ12を適切に排気し、及び/又は、プロセスガスでパージしたら、工程103aで、典型的には2MHz〜13.56MHzをもたらすRF電位がアンテナ18に印加されて、低圧プロセスガス中に電力を誘導結合させ、それによりプラズマを生成させ、ウェハ基板11のエッチングを開始する。工程103bで、典型的には380kHz〜13.56MHzで動作する電圧発生器25の使用によって、プラテンアセンブリ13にバイアス電圧も印加される。
【0037】
Vpp及びVdc値は、プラズマに暴露された支持面13bの領域、すなわち、ウェハ11と接触していない支持面13bの領域に依存することが見出された。エッチングプロセスに起因するウェハ11のいかなる変形又は再構成(reconfiguration)、例えばウェハ11のワーピング、バウイング、又は平坦化など、特にウェハ11の外周に沿うワーピング、バウイング、又は平坦化なども、ウェハ11により覆われた支持面13bの領域の変化をもたらす。これは、プラズマに暴露された支持面13bの領域の変化として現れ、従って、Vpp及びVdcの変化として現れる。
【0038】
工程104で、監視装置22によりVpp及びVdcが監視される。ウェハの破損又は破壊を防止するために当該方法を使用する一実施形態において、エッチプロセス開始時のVpp及びVdc成分の監視値を代表する信号が記録され、そして、プラズマの減衰を引き起こすため又はプラズマを消滅させるために、工程105で、Vpp及びVdc電圧成分の閾値を予め設定するために用いられる。Vpp成分の閾値は、典型的には、初期Vpp値よりも10〜20%高く設定されるのに対し、Vdc成分の閾値は、典型的には、初期Vdc成分よりも50〜100%高く設定される。
【0039】
工程106で、Vpp及びVdc成分の監視値を代表する信号が、エッチングプロセスの間に、プロセッサ23に周期的に送られ、そして、その信号が、Vpp又はVdc成分が各閾値を超えて増加したことを示す場合には、プロセッサ23は、RF電圧信号発生器17に信号を送って、工程107でプラズマを減衰又は消滅させ、それによりさらなるエッチングを防止するように構成される。
【0040】
図面の図3を参照すると、エッチ処理時間(秒)の関数として、2つの150mmサファイアウェハについての、プラテンアセンブリ13におけるVpp電圧成分の大きさ及びVdc成分の大きさの代表的な変化が示されている。以下の表1には、SPTS Technologies Advanced Plasma System (APS)プラズマエッチモジュールを使用して、150nm/分を超える速度でサファイア基板をエッチングするためのプロセス条件をまとめた。
【0041】
図面の図3に、標準的な運転の場合の、エッチ時間の関数としてのVpp及びVdc値を見ることができる。Vppは約1550Vで安定であることが判り、Vdc成分はエッチングプロセスの間、10V未満で安定であることが判る。しかし、望ましくないウェハ変形が起こった場合の図面の図3bでは、Vppが1850V超に増加することが判り、Vdcが100V超に増加することが判る。Vpp及びVdcの両方についての、プラテンアセンブリ13とチャンバ壁12aとの間の電圧差のこの増加は、ウェハ変形を示すものである。なぜなら、ウェハ11がたわむ及びワープすると、支持面13bのさらなる領域がプラズマに暴露されることになるからである。したがって、ウェハ11のさらなるエッチングが、過剰な変形によるウェハの破壊をもたらすおそれがあることが予測される。しかし、ウェハ11の研削/研磨プロセスにある程度の変動があるため、ウェハ11が破壊前に許容することができる変形の量、すなわちバウ及びワープの量は多様である。
【0042】
【表1】
【0043】
図面の図4を参照すると、それぞれ直径150mmの7つのサファイアウェハについての、プラテンアセンブリ13におけるVppの大きさの変動がグラフ図で示されている。これらのウェハは、表側(FS)エッチの間に約1〜2μmを除去し。裏側(BS)エッチでは約3μmを除去することを意図して、上記のシステムを使用して別々にエッチした。ウェハ2〜7のエッチングの間、Vppについて1770Vの閾値を設定した。そのため、Vppがこの閾値に達したら、エッチングプロセスを終了した。しかし、ウェハ1の場合には、Vpp値にかかわらずエッチプロセスを継続するために、Vppの閾値を設定しなかった。下記の表2に、各ウェハについてのエッチングプロセスの結果をまとめた。
【0044】
図面の図4を参照すると、まず、ウェハ1に関する図4aから、Vppが、エッチングプロセスの開始時の約1600Vから約870秒のプロセス時間における約1884Vまで増加したことが判る。この増加は、ウェハのワープ及びバウの代表的なものであり、ウェハがエッチプロセスの間に凹状構造を形成し、この変形によって支持面13bがプラズマにより多く暴露されるという理論と整合する。しかし、エッチングプロセスは、Vppについて閾値を使用しないことにより870秒で終了せず、Vppは、1884Vからエッチングプロセス開始時のVpp値、すなわち1600Vまで急激に低下したことが判る。Vppのこの不連続な変化は、ウェハ破壊に特徴的なものである。なぜなら、ウェハが壊れると、ウェハは、変形した凹状配置、ウェハ11が支持面13bを覆うその初期の平坦な形状に緩和するからである。
【0045】
【表2】
【0046】
図面の図4c及び4dと表2を参照すると、ウェハ3及び4は、同様なプレエッチバウ及びワープ値を示したが、ウェハ3及び4が、時間の関数として異なるVppトレースを示したことが判る(おそらく、ウェハの表側と裏側の間で応力分布が異なり、2つのウェハで異なる変形が生じたことによる)。ウェハ4の場合に1134秒でVppが1770Vに急激に増加したために、ウェハ破壊の可能性を低減するために、3μmの裏面エッチが完了する前にプロセスを停止した。ウェハ2及び5も、図面の図4b及び4eにそれぞれ示されているように、Vpp値のあらかじめ設定された閾値を超えてVpp値が増加したために、プロセスを短縮することを必要とした。しかし、図面の図4c、4f及び4gを参照すると、ウェハ3、6及び7のVpp値がそれぞれ予め設定された閾値を超えず、そのため、エッチプロセスを終了する必要がなかったことが判る。
【0047】
図面の図5を参照すると、ウェハ基板11、基本的には電気絶縁性ウェハ11の変形を、当該ウェハ11のプラズマエッチングの間に監視及び制御するための本発明の第2の実施形態に従う方法200が示されている。第2の方法200は、例えば当初ワープ又はたわんでいたウェハ11が関わるエッチプロセスを終了するように構成されている。ウェハ11は、ウェハ11の表面及び裏面との間に応力変化を生じるその上に設けられた材料の望ましくないコーティング又は層(図示せず)の存在のために、ワープした又はたわんだ初期形状を成していてもよい。この場合、エッチングプロセスが進行すると、コーティング又は層が除去され、その結果、ウェハ11がプラテンアセンブリ13の支持面13bを覆う平坦化状態にウェハ11が緩和する。
【0048】
第2の実施形態の方法200は、第1の実施形態の方法と実質的に同じであり、そのため、同様の工程は、100だけ増やしたことを除いて同じ番号で参照する。この実施形態において、Vpp及びVdcは、工程204で監視装置22により監視され、そのため、ウェハ11の望ましい再構成及び変形(すなわち平坦な形状)が達成されたら、エッチングプロセスを終了することができる。
【0049】
プラズマの減衰を引き起こすため又はプラズマを消滅させるために、工程205で、支持面13b上に廃止された平坦なウェハのVpp及びVdc成分を代表する信号を用いてVpp及びVdc電圧成分の閾値が予め設定される。工程206で、Vpp及びVdc成分の監視値を代表する信号が、エッチングプロセスの間に、プロセッサ23に周期的に送られ、そして、その信号が、Vpp又はVdc成分が各閾値(平坦なウェハの代表的な閾値)まで減少したことを示したら、プロセッサ23は、RF電圧信号発生器17に信号を送って、工程107でプラズマを減衰又は消滅させ、それによりさらなるエッチングを防止するように構成される。
【0050】
上記の説明から、上記の方法及びシステムが、プラズマエッチングプロセスの間のウェハの変形又は再構成についての1つの指標を与えることは明らかである。
図1
図2
図3
図4(a)-(c)】
図4(d)-(f)】
図4(g)】
図5