特許第6850794号(P6850794)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6850794メソ流体および/またはマイクロ流体プロセス用のデバイスおよび方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6850794
(24)【登録日】2021年3月10日
(45)【発行日】2021年3月31日
(54)【発明の名称】メソ流体および/またはマイクロ流体プロセス用のデバイスおよび方法
(51)【国際特許分類】
   G01N 35/08 20060101AFI20210322BHJP
   B01J 19/00 20060101ALI20210322BHJP
   B01F 13/08 20060101ALI20210322BHJP
   B01F 15/06 20060101ALI20210322BHJP
   G01N 37/00 20060101ALI20210322BHJP
   C12M 1/00 20060101ALN20210322BHJP
   C12Q 1/6806 20180101ALN20210322BHJP
   C12Q 1/686 20180101ALN20210322BHJP
【FI】
   G01N35/08 A
   B01J19/00 321
   B01F13/08 Z
   B01F15/06 Z
   G01N37/00 101
   !C12M1/00 A
   !C12Q1/6806 Z
   !C12Q1/686 Z
【請求項の数】7
【全頁数】56
(21)【出願番号】特願2018-512185(P2018-512185)
(86)(22)【出願日】2016年9月2日
(65)【公表番号】特表2018-534538(P2018-534538A)
(43)【公表日】2018年11月22日
(86)【国際出願番号】US2016050246
(87)【国際公開番号】WO2017041023
(87)【国際公開日】20170309
【審査請求日】2019年8月30日
(31)【優先権主張番号】62/214,630
(32)【優先日】2015年9月4日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】502221282
【氏名又は名称】ライフ テクノロジーズ コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100095898
【弁理士】
【氏名又は名称】松下 満
(74)【代理人】
【識別番号】100098475
【弁理士】
【氏名又は名称】倉澤 伊知郎
(74)【代理人】
【識別番号】100130937
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 泰史
(72)【発明者】
【氏名】ラファーティ, ウィリアム
(72)【発明者】
【氏名】バシュタノフ, ミハイル
(72)【発明者】
【氏名】クロスリー, ピーター
(72)【発明者】
【氏名】グラハム, アビ
(72)【発明者】
【氏名】ジェップス, ゲイリー
(72)【発明者】
【氏名】リンターン, リチャード
(72)【発明者】
【氏名】ロウ, ステュアート
(72)【発明者】
【氏名】ルー, ヤン
(72)【発明者】
【氏名】オンスロー, ジェイムズ
(72)【発明者】
【氏名】ポロック, ニール
(72)【発明者】
【氏名】ラメンシー, セバスチャン
(72)【発明者】
【氏名】ジャンス ヴァン レンズバーグ, リチャード
(72)【発明者】
【氏名】ウェイクフィールド, スティーブ
(72)【発明者】
【氏名】オイクスター, ピーター
【審査官】 福田 裕司
(56)【参考文献】
【文献】 特開2014−077806(JP,A)
【文献】 特開2010−151716(JP,A)
【文献】 特開2008−076275(JP,A)
【文献】 特表2013−518289(JP,A)
【文献】 国際公開第2015/045134(WO,A1)
【文献】 国際公開第2013/140846(WO,A1)
【文献】 特表2004−537714(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2008/0003145(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 35/00〜37/00
B01F 13/08
B01F 15/06
B01J 19/00
C12M 1/00
C12Q 1/6806
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
カートリッジであって、
頂面および底面を備え、それぞれ前記底面から前記頂面に延在する第1の開口部および第2の開口部を画定するシャーシと、
第1のエラストマー膜であって、前記シャーシの前記底面に接続され、かつ
流体を運ぶチャネルの少なくとも一部分を画定する非シール部分、および
前記非シール部分を取り囲むシール部分、を備える、第1のエラストマー膜と、
第2のエラストマー膜であって、前記第1のエラストマー膜の前記シール部分に固定的に接続されたシール部分であって、前記第1のエラストマー膜の前記シール部分および前記第2のエラストマー膜の前記シール部分が、前記チャネルの周囲の少なくとも一部分を画定する、シール部分、を備える、第2のエラストマー膜と、
前記シャーシの前記頂面に接続された可撓性層であって、前記カートリッジ上で前記第1の開口部と垂直に位置合わせされた状態で試薬をカプセル化する、可撓性層と、を備え、
前記第1のエラストマー膜が、少なくとも前記第1および第2の開口部と重なり合う1つ以上の開放部分を備え、前記チャネルが、前記1つ以上の開放部分に通じており
前記可撓性層が、前記第1および第2の開口部を覆い、前記シャーシの前記頂面と前記可撓性層との間に分岐流路が形成されている、カートリッジ。
【請求項2】
前記シャーシの前記頂面に接続されたフォイル層を備え、前記試薬が、前記可撓性層と前記フォイル層との間に位置付けられている、請求項1に記載のカートリッジ。
【請求項3】
前記フォイル層が破断されると、前記試薬が前記分岐流路に露出する、請求項2に記載のカートリッジ。
【請求項4】
前記試薬が、凍結乾燥ビーズの形である、請求項1に記載のカートリッジ。
【請求項5】
前記可撓性層が、ポリプロピレンを含む、請求項1に記載のカートリッジ。
【請求項6】
前記分岐流路は、前記1つ以上の開放部分を介して前記チャネルに通じている、請求項1〜5のいずれか1項に記載のカートリッジ。
【請求項7】
前記第1の開口部と前記第2の開口部との間で前記チャネルを閉鎖するように前記第2のエラストマー膜を前記シャーシの底面に向けて押し当て得るデバイスを更に含む、請求項1〜6のいずれか1項に記載のカートリッジ。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
本開示は、一般的には、ポリメラーゼ連鎖反応および/またはDNA塩基配列決定などの、メソ流体および/またはマイクロ流体プロセス用のデバイスおよび方法に関する。より具体的には、本開示は、核酸抽出;PCR;核酸およびタンパク質を含む生体分子の単離、分離、および検出用の生物学的試料の調製;DNA塩基配列決定;qPCR;免疫アッセイ;細胞の調製および遺伝子操作;ならびに免疫療法などの、生体分子のプロセス、アッセイ、およびワークフローを遂行するためのメソ流体および/またはマイクロ流体プロセス用のデバイスおよび方法に関する。
【0002】
ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)は、デオキシリボ核酸(DNA)の鎖を特定および複製するものであり、現代の遺伝子解析技法において用いられている。PCRの原理は、酵素ポリメラーゼを使用したDNAの鎖の生体外増殖である。
【0003】
PCRにおけるDNA鎖の複製は、3つの原理ステップで行われる。第1に、元の二重鎖のDNAが、2本の単一鎖のDNAに分割される、「変性」または「融解」と呼ばれるプロセスである。第2に、単一鎖のDNAの所定サイトにプライマーが付着する。第3に、プライマーから始まって、ポリメラーゼが、単一鎖のDNAに付着して相補的DNA鎖を形成し、それにより元の二重鎖のDNAの同一(またはほぼ同一)のコピーを形成する。次いで、このプロセスが、複数回繰り返されて、同一のDNA鎖の数の対数増殖を達成する。次いで、得られたDNAのプールの分析を遂行することができる。
【0004】
PCRは、典型的に、サーマルサイクラーと呼ばれるデバイス内で遂行される。具体的には、小型プラスチックチューブは、DNA試料をプライマーおよびポリメラーゼ分子と共に好適なバッファ内に収容し、サーマルサイクラーは、例えば典型的な用途では15〜25回、チューブを上述のPCR相にわたって繰り返し温度サイクルに供する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らは、連続流PCRおよびDNA塩基配列決定などのメソ流体および/またはマイクロ流体プロセス用の公知の方法およびデバイスに関するいくつかの問題に気づいた。これらの問題のうちの1つ以上は、デバイスにより、自動化された流体取り扱いおよび処理の複数のステージにおいて、装置および無料のカスタマイズされた使い捨てカートリッジを使用して対処され得る。カートリッジは、1つ以上の一体化な流路を含み、1つ以上の一体化な流路は、多数の異なる検査技法を用いることにより、ユーザの手作業による取り扱いの必要性または汚染のリスクなしに、流体または試薬がある処理ステージから次の処理ステージへ通過できるようにする。装置は、使い捨てカートリッジの異なる部分に作用してユーザが希望する処理ステージを達成する、いくつかの機械的構成要素を含む。
【0006】
このような1つの使い捨てカートリッジは、第2のエラストマー膜の部分に当接または近接する第1のエラストマー膜の部分を含む。第1および第2のエラストマー膜のこれらの部分を、流体により順次押し隔てて、最小限のデッドボリュームを含むか、またはデッドボリュームを含まない流体用のチャネルを形成することができる。好ましくは、第1および第2のエラストマー膜のこれらのチャネル形成部分は、第2のエラストマー膜の対応するシール部分に固定的に取り付けられている第1のエラストマー膜のシール部分により取り囲まれる。他の実施形態では、単一のエラストマー膜が、用いられ得る。
【0007】
生体分子のアッセイおよびワークフローは、試料および試薬の複雑な操作を必要とし得る。ユーザは、このような複雑な操作を自動化および一体化により単純化することの恩恵を得る。自動化および一体化は、プロセスをより効率的に、よりロバストに、より容易に再現可能に、より使いやすく、かつより費用効果が高いものにする。
【0008】
したがって、本開示は、例えば、圧送およびバルブ操作ワークフローと、広範な容積範囲にわたっての湿式および乾式試薬の一体化な貯蔵および放出と、試薬および試料の正確な温度制御と、磁気ビーズ、常磁性ビーズ、非磁気ビーズ、および被覆フィルムまたは基材を介しての反応物質、中間生成物、反応生成物、および生体分子の固相分離と、反応および中間生成物を検出するための光学ツールと、を含むがこれらに限定されない膨大な潜在的なワークフローおよびアッセイを可能にするために、以下の機能を一体化したシステムを提供する。最後に、このような自動化システムは、上述の例示的なワークフローおよび関連付けられた機能のそれぞれを結びつける能力を有する。機能を組み合わせのビルディングブロックとして結びつけることは、単純な添加および混合から、上記ビルディングブロックのそれぞれの複数の連続的繰り返しを通じて試料を処理することを含む複雑な完全に一体化するシステムまで及ぶ、ワークフローの迅速な配備を可能にする。
【0009】
追加の特徴が、本明細書には記載されており、以下の詳細な説明および図から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本開示の一実施形態の断面図を描く。
図2A】本開示の一実施形態の溝の断面図を描く。
図2B】本開示の一実施形態の溝の断面図を描く。
図2C】本開示の一実施形態の溝の断面図を描く。
図3A】本開示の一実施形態の等角図を例示する。
図3B】本開示の一実施形態の底面図を例示する。
図4A】本開示の一実施形態の等角図を例示する。
図4B】本開示の一実施形態の底面図を例示する。
図5】本開示の一実施形態の溝の縁部の異なる図を描く。
図6】本開示の一実施形態の断面図を描く。
図7】本開示のある実施形態における熱可塑性シートのシールの写真を例示する。
図8】本開示の一実施形態の断面図を描く。
図9A】本開示の一実施形態の断面図を描く。
図9B】本開示の一実施形態の溝の断面図を描く。
図9C】一実施形態本開示のチャンバの上面図を描く。
図9D】本開示の一実施形態のレーン組立体の断面図を描く。
図10A】本開示の一実施形態の断面図を描く。
図10B】本開示の一実施形態の溝の断面図を描く。
図10C】一実施形態本開示のチャンバの上面図を描く。
図10D】本開示の一実施形態のレーン組立体の断面図を描く。
図11A】本開示の一実施形態の断面図を描く。
図11B】本開示の一実施形態の溝の断面図を描く。
図11C】一実施形態本開示のチャンバの上面図を描く。
図12A】本開示の一実施形態の断面図を描く。
図12B】本開示の一実施形態の溝の断面図を描く。
図12C】一実施形態本開示のチャンバの上面図を描く。
図13】本開示の一実施形態の断面図を描く。
図14】本開示の一実施形態の流路の断面図を描く。
図15】本開示の一実施形態の流路の断面図を描く。
図16】本開示の一実施形態の組立体の等角分解図を例示する。
図17】本開示の一実施形態の組立体の等角分解図を例示する。
図18A】本開示の一実施形態の組立体の断面分解図を例示する。
図18B】本開示の一実施形態の断面組立図を例示する。
図19】本開示の一実施形態の断面図を例示する。
図20A】本開示の一実施形態の膜流体路の断面図を例示する。
図20B】本開示の一実施形態の断面図を例示する。
図21】本開示の一実施形態の流路の断面図を例示する。
図22A】本開示の一実施形態の加熱器ブロックの写真を例示する。
図22B】本開示の一実施形態の加熱器ブロックの画像を例示する。
図22C】本開示の一実施形態の加熱器ブロックの画像を例示する。
図23A】本開示の一実施形態の断面図を例示する。
図23B】本開示の一実施形態の断面図を例示する。
図23C】本開示の一実施形態の断面図を例示する。
図24A】本開示の一実施形態の断面図を例示する。
図24B】本開示の一実施形態の断面図を例示する。
図25A】本開示の一実施形態のエラストマー膜の側面図を例示する。
図25B】本開示の一実施形態のエラストマー膜の側面図を例示する。
図26A】本開示の一実施形態の膜の混合チャンバの写真を例示する。
図26B】本開示の一実施形態の膜の混合チャンバの写真を例示する。
図26C】本開示の一実施形態の膜の混合チャンバの写真を例示する。
図26D】本開示の一実施形態の膜の混合チャンバの写真を例示する。
図27A】本開示の一実施形態のエラストマー膜の断面図を例示する。
図27B】本開示の一実施形態のエラストマー膜の断面図を例示する。
図27C】本開示の一実施形態のエラストマー膜の断面図を例示する。
図28A】本開示の一実施形態のエラストマー膜の断面図を例示する。
図28B】本開示の一実施形態のエラストマー膜の断面図を例示する。
図29】本開示の様々な混合チャンバ幾何形状の実施形態を通じたフロー分布を描く。
図30A】本開示の一実施形態の流路の断面図を例示する。
図30B】本開示の一実施形態の流路の断面図を例示する。
図30C】本開示の一実施形態の流路の概略図を描く。
図30D】本開示の一実施形態の流路の概略図を描く。
図30E】本開示の一実施形態の混合ビーズを含む混合チャンバの概略図を描く。
図31】本開示のある混合チャンバの実施形態の写真を例示する。
図32A】本開示の一実施形態のエラストマー膜の図を例示する。
図32B】本開示の一実施形態のエラストマーパッチを有するエラストマー膜の図を例示する。
図32C】本開示の一実施形態の断面図を例示する。
図33A】本開示の一実施形態の写真を例示する。
図33B】本開示の一実施形態の写真を例示する。
図34A】本開示の一実施形態の断面図の写真を例示する。
図34B】本開示の一実施形態の写真を例示する。
図35】本開示の一実施形態の写真を例示する。
図36】本開示の一実施形態を貫いて移動する流体を示す一連の写真を例示する。
図37】本開示の一実施形態のエラストマー膜を貫流する試薬の写真を例示する。
図38】本開示の一実施形態の分解組立体の等角図を例示する。
図39】本開示の一実施形態の部分的組立体の図を例示する。
図40】本開示の一実施形態の部分的組立体の図を例示する。
図41】本開示の一実施形態の部分的組立体の概略図を例示する。
図42】本開示のある気泡トラップ実施形態の図を例示する
図43A】本開示の一実施形態の写真を例示する。
図43B】本開示の一実施形態の写真を例示する。
図44】本開示の一実施形態の容積測定概略図を例示する。
図45】本開示の一実施形態における一対のブリスタの側面断面分解図を例示する。
図46】本開示の一実施形態における一対のブリスタの製造の側面断面図を例示する。
図47】本開示の一実施形態における一対のブリスタの使用の側面断面図を例示する。
図48】本開示の一実施形態における一対のブリスタの使用の側面断面図を例示する。
図49A】公知の調製および処理方法におけるワークフローの流れ図である。
図49B】本開示の一実施形態におけるワークフローの流れ図である。
図50】本開示の一実施形態におけるカートリッジを含む装置を例示する。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本開示及び添付の特許請求の範囲で使用されているように、単数形「a」、「an」、および「the」には、文脈が明確に指示しない限り、複数の指示対象が含まれることに留意されたい。よって、例えば、「材料(a material)」または「材料(the material)」への言及は、2つ以上の材料を含む。「Xおよび/またはY」の文脈で使用される「および/または」という用語は、「X」、もしくは「Y」、または「XおよびY」として解釈されるべきである。本明細書で使用する場合、「例」という用語は、とりわけ用語の列挙が後に続くとき、単に例示的なものであり、排他的または包括的であるとみなされるべきではない。
【0012】
本明細書で使用する場合、「約(about)」、「約(approximately)」、および「実質的に(substantially)」は、数字の範囲内、例えば言及した数から−10%〜+10%の範囲、好ましくは言及した数から−5%〜+5%以内、より好ましくは言及した数から−1%〜+1%以内、最も好ましくは言及した数から−0.1%〜+0.1%以内の数を指すと理解される。「類似の寸法の(Similarly dimensioned)」は、言及した構成要素が、別の構成要素の対応する寸法と実質的に同じ少なくとも2つの寸法を、かつ一部の実施形態ではこのような3つの寸法を、有することを意味する。
【0013】
本明細書に記載の全ての数値範囲は、範囲内の全ての整数、整数または分数を含むと理解されるべきである。その上、これらの数値範囲は、その範囲内の任意の数または数のサブセットに向けられた請求項のサポートを提供すると解釈されるべきである。例えば、1〜10の開示は、1〜8、3〜7、1〜9、3.6〜4.6、3.5〜9.9などの範囲をサポートすると解釈されるべきである。
【0014】
「第1の」および「第2の」などの数の形容詞は、単に構成要素を区別するために使用されている。これらの数の形容詞は、他の構成要素の存在、相対的な位置決め、または任意の時間的順序の実装を含意しない。この点について、「第2の開口部」の存在は、「第1の開口部」が必ずしも存在することを含意しない。さらにこの点について、「第2の開口部」は、「第1の開口部」がもしあれば、「第1の開口部」から上流に、下流に、または同一場所に設置され得る。「第2の開口部」は、「第1の開口部」がもしあれば、「第1の開口部」の前に、後に、および/または同時に使用され得る。
【0015】
本明細書に開示のデバイスには、本明細書に具体的に開示されていないいかなる要素が欠けていてもよい。よって、「備える(comprising)」という用語を使用するある実施形態の開示は、特定されている構成要素「から主としてなる(consisting essentially of)」実施形態およびそれら「からなる(consisting of)」実施形態の開示を含む。同様に、本明細書に開示の方法には、本明細書に具体的に開示されていないいかなるステップが欠けていてもよい。よって、「備える(comprising)」という用語を使用するある実施形態の開示は、特定されているステップ「から主としてなる(consisting essentially of)」実施形態およびそれら「からなる(consisting of)」実施形態の開示を含む。
【0016】
メソ流体および/またはマイクロ流体デバイスの様々な実施形態が、本明細書に開示されており、特に明示的かつ直接的に言明されていない限り、いずれの実施形態も、他の任意の実施形態と組み合わせることができる。一部の実施形態では、デバイスは、PCR、DNA塩基配列決定、またはそれらの組み合わせである連続流プロセス用に構成されたカートリッジである。本明細書で使用する場合、「連続流」とは、初期試料が、カートリッジに追加され、カートリッジから異なるデバイスに移される必要なしに、完了に至るまでのプロセスを経ることを意味する。
【0017】
公知の試料調製方法および設計
【0018】
試料調製、PCR、およびDNA塩基配列決定用の公知のシステムは、典型的に、プロセスの特定のステージに応じて、いくつかの独立モジュールまたは装置を伴う。大部分の公知のシステムでは、プロセスの各個別モジュールまたはステップは、別々の装置が流体に作用することを必要とし、このことは、したがって、手作業による装置のセットアップおよび作業者による流体の取り扱いの複数のフェーズを必要とする。例えば、塩基配列決定の準備の1つの例では、典型的な公知の方法は、ラボベンチワークフローおよび装置使用の組み合わせを含む。
【0019】
図49Aは、試料調製および処理のための公知の方法を表す概略流れ図である。ワークフローは、A、B、C、およびDの4つのステージを含み、そのそれぞれは、それぞれ別々の装置、すなわち装置#1、#2、#3、および#4の使用を必要とする。例示的な一実施形態では、ステージAは、生試料からのDNA抽出を必要とする。装置#1は、このような抽出を達成するために、ピペット、チューブ/プレート、ボルテックスター(vortexter)、遠心分離器、およびビーズ取り扱い用の磁石ラックを含む、主として手作業による作業を含む。ステージAのDNA抽出に続いて、試料は、ステージBで、装置#2を使用して、熱サイクリングを経なければならず、装置#2は、典型的に、市販のサーマルサイクラーであろう。ステージCも、サーマルサイクラーの使用を含むが、ステージBの熱サイクル後に、かつステージCの熱サイクリングが始まる前に、ユーザが試薬をプレートに追加することを必要とする。最後に、ステージDは、塩基配列決定のクリーンアップワークフローであり得、これは、典型的に手作業により達成される。ステージDで使用される装置#4は、ピペット、遠心分離器、ボルテックスター(vortexter)、および磁石ラックなどの、ステージAの装置#1と同じツールのうちの多くを伴い得る。
【0020】
ステージAおよびDに記載の手作業によるワークフロー、ならびにステージBとCとの間で必要とされる手作業による試薬補充は、複数の非効率性および変数を伴うことが理解されるべきである。上述した図49Aに例示するプロセスなどのプロセスは、効率的に、確実に、かつプロセス中に試料を損傷または汚染することなしに行われなければならない、非常に正確かつ一貫性あるユーザ実行を必要とする。
【0021】
自動化試料調製方法およびデバイスの概要
【0022】
本開示により提供される様々な実施形態では、ステージA〜Dのそれぞれ、ならびにステージA〜Dを実行するために必要とされる全ての装置が、装置および無料の対応するカートリッジを含む単一の自動化システム内に一体化されている。図49Bに描くように、本明細書に開示の新しいワークフローは、ステージA、B、C、およびDのそれぞれを単一の装置内にカプセル化し、このようにして誤り、非一貫性、または試料の汚染のリスクを排除し、したがって再現可能な試料を生産するコストを減少させる。
【0023】
本開示の様々な実施形態では、図14、21、および50に一般的に例示するように、試料調製、PCR、およびDNA塩基配列決定などのプロセス用のデバイスは、対象の流体を処理するための複数の異なるモジュールを含む一体化された流路を含む。本明細書で論じ、図50に一般的に例示する様々な実施形態では、このようなデバイスは、複数の機械的構成要素と、処理されるべき任意の流体または試薬を収容するように構成された無料の使い捨てカートリッジ10とを有する装置8を含む。使い捨てカートリッジの例示的な流路およびプロセスを、図14および21に詳細に例示する。様々な実施形態では、装置8の機械的構成要素は、プロセスのステージ間のユーザによる取り扱いを最小化しながら、カートリッジ10の適切な位置に作用して流体流路内の流体流を可能にし、生試料からDNAを抽出し、熱サイクリングを提供し、試薬を導入および混合し、塩基配列決定のクリーンアップならびに他のタスクを遂行するように構成されている。選択された試薬、プロセス、流体経路、およびユーザの定義した目標の仕様を含むようにカートリッジ10をカスタマイズすることにより、装置8は、個別的な装置の手作業によるセットアップおよび不要なユーザによる流体の取り扱いを必要とすることなしに、ワークフロー全体を自動化するようにプログラムすることができる。
【0024】
自動化システムは、図14、21、および50に例示し、全体にわたって論じるように、より高い試料品質、再現可能性、および予測可能性を提供することにより、公知の多装置システムよりも費用効果が高いであろうことが理解されるべきである。さらに、共通の装置内で使用されるべきカートリッジ10をカスタマイズすることを可能にすることは、現在のシステムにはない増大した柔軟性をユーザに与える。カートリッジ10は、上述の図49Aに示す手作業によるラボ技法と少なくとも同等に機能し得る。
【0025】
本開示により提供されるシステムの1つ以上の実施形態の別の利点は、使い捨てカートリッジ10が全ての必要な試薬をオンボードで有することである。カートリッジ10は、複数の試料、例えば8〜12試料の多重の、同時試験を可能にし得る。その上、カートリッジ10は、複数の個別的な経路を備え得、複数の個別的な経路のそれぞれは、単一の試料を処理し得る。カートリッジ10は、所望の数の試料を処理するようにユーザにより構成され得る。注目すべきことに、カートリッジ10は、1つの具体的な種類の処理に限定されず、カートリッジ10は、任意の種類のメソ流体および/またはマイクロ流体処理用に容易に構成され得る。
【0026】
好ましくは、カートリッジ10は、装置8とカートリッジ10のレーンとの間の正確な位置合わせの必要性を回避するように、装置8に協働的に接続する。ある実施形態では、カートリッジ10から装置8への空気圧接続は、必要ではない。空気圧接続を排除することは、交差汚染および流体のエアロゾル化のリスク、空気接続の低信頼性、ならびに空気源(圧力)の較正の必要性を回避する。一般に、中でカートリッジが使用される10装置8は、信頼性を最大化し、かつコストを低減するために、公知のメソ流体および/またはマイクロ流体デバイスと比較して単純化されている。
【0027】
図14で一般的に例示するある実施形態には、カートリッジ10および装置8の両方の断面図が表示されている。カートリッジ10は、例えば、少なくとも、第1のシャーシ11と、柔軟層20を有するサポートブロック12と、第1および第2のエラストマー膜21、22と、第1および第2のフォイル層31、32とを含み得る。様々な実施形態では、サポートブロック12は、カートリッジ10内の1つ以上のバルブを形成し得る。装置8の機械的要素は、少なくとも、プランジャー51、151、および152と、加熱器ブロック52と、ピストン53と、上部および下部磁石301および302とをそれぞれ含み得る。
【0028】
図14に見られるように、4つの試料ステージが例示されており、各ステージは、垂直の破線により分離されている。例示する実施形態では、第1のステージは、流体の貯蔵/放出であり、初期流体は、より詳細に後述するように、カートリッジの流路内に押し入れられる。フローが図の右側に向かって続くにつれて、流体は、第2のステージで熱処理を経る。熱処理中、装置内に配設された永久的な加熱器ブロックまたは加熱器ブロックが、使い捨てカートリッジの流体流路に作用して、第1の流体貯蔵/放出ステージから熱処理ステージへのシームレスな移行を可能にする。図14に例示する第3の例示的なステージは、乾式試薬の添加および再構成である。図14に見られるように、乾式試薬の放出および再構成は、装置8内に一体化された永久的な機械的構成要素であるプランジャー151、152を使用してカートリッジ上のフォイル層を破裂させることにより可能になる。
【0029】
最後に、図14に例示する第4の例示的なステージは、試料の磁気ビーズ取り扱いである。磁気ビーズ取り扱い機構300は、増幅されたDNAを結合、洗浄、および溶出するように構成され得る。磁気ビーズ取り扱い機構300は、1つ以上の磁石、例えば上部磁石301および/または下部磁石302を備え得る。様々な実施形態において装置の一部である磁石301、302は、モータ駆動型であってもよい。図14に例示するステージのそれぞれについて、より詳細に後述する。
【0030】
図21は、上述した図14に例示する配置として、自動化プロセスの概要の類似の構成を例示する。数ある差異のなかでも、図21は、膜21と22との間の流路内に凍結乾燥試薬ビーズを導入するためのプランジャー155を有する凍結乾燥試薬ビーズポット213を含む。ポット213内の試薬は、エラストマー膜21と22との間で画定される流路との流体連通に、好ましくは、装置8により提供され得るプランジャー152により破裂されるフォイル層(複数可)を貫いて流体連通に入る。図21に描く実施形態の追加の変形例および討議は、本明細書でより詳細に後述する。
【0031】
これより図38を参照すると、手作業によるシステムの一部分の分解図を例示および説明するが、当業者は、このようなシステムも自動化され得ることを認識するであろう。いくつかのポットおよび該ポットのそれぞれ内に配設されるべき複数の関連付けられたプランジャーを含む、カートリッジ10の一実施形態を例示する。カートリッジ10は、好適な締め付けフレームの頂部に位置付けられる。いくつかの実施形態では、1つ以上の締め付けフレーム、装置シャーシ、ならびにその下側の個別的なクランプおよびプランジャーの全ては装置8の永久的な部分であることが理解されるべきである。流路(複数可)と、試薬および/または流体の導入のためのポット(複数可)と、混合チャンバ(複数可)と、熱サイクリングおよびPCRのための加熱器ブロックと、磁気ビーズ取り扱い機構と、試料クリーンアップとのカートリッジ10上のレイアウトは、装置8の複数のトグルクランプ、プランジャー、および他の永久的な機構のため、多くの想定される構成で設計され得る。後述する様々な実施形態では、装置8のトグルクランプが、バルブアクチュエータとして作用し、カートリッジの異なる部分に対して圧力を伝えて、流路を画定または阻害し、試料の初期導入から試料調製および最後のクリーンアップまで流体流を圧送および方向付けるのを援助することが理解されるべきである。
【0032】
図14、21、および38から分かるように、装置8およびカートリッジ10を備えるシステムは、カートリッジ10と、中でカートリッジ10が使用される装置8との間のインターフェースを単純化する(例えば、流体/気体接続を最小化または回避する、カートリッジ10のレーンに対する複雑な機械的取り付けを回避するなど)。その上、各インターフェースの種類の数が、最小化される(例えば、1種類の機械的インターフェース)。
【0033】
カートリッジの構築および設計
【0034】
図1、2A〜2C、3A、3B、4A、および4Bに一般的に例示するある実施形態では、カートリッジ10の一例の詳細図が、開示されている。カートリッジ10は、第1のシャーシ11を備え得る。第1のシャーシ11は、ポリプロピレン材料、環状オレフィンコポリマー(COC)、もしくは他の任意の好適な材料、またはそれらの組み合わせにより少なくとも部分的に形成され得る。第1のシャーシ11は、カートリッジ10の枠の少なくとも一部分を形成し得る。
【0035】
第1のフォイル層31は、第1のシャーシ11の下に位置付けられ得る。第1のフォイル層31の上面の少なくとも一部分、好ましくは第1のフォイル層31の上面の全体が、第1のシャーシ11に当接し得る。第1のフォイル層31の上面は、第1のシャーシ11に熱溶着され、レーザ溶接され、感圧性接着剤により結合され、または別の方法で固定的に取り付けられたシール部分31aを備え得る。第1のフォイル層31は、アルミニウムまたはポリプロピレン(PP)などのプラスチックを含み得、平滑または波形であり得る。ある非限定的な例として、第1のフォイル層31は、約37μmの厚さを有し得る。
【0036】
柔軟層20が、第1のフォイル層31の下に位置付けられ得る。柔軟層20は、例えば、柔軟層20が固定的に取り付けられ得る支持ブロック12を移動することにより、第1のフォイル層31に当接する閉鎖位置と第1のフォイル層31に接触しない開放位置との間で可逆的に移動し得る。ある好ましい実施形態では、中でカートリッジ10が使用される装置8は、支持ブロック12および柔軟層20を提供する。
【0037】
第1のフォイル層31の上面は、シール部分31aにより取り囲まれた非シール部分31bを備える。よって、第1のフォイル層31のシール部分31aは、任意の特定の方向のシール部分31a間の距離が同じ方向の非シール部分31bの幅になるように、第1のフォイル層31の非シール部分31bの外縁を画定し得る。非シール部分31bは、より詳細に後述するように、非シール部分31bがチャネルを形成するように構成されるように、互いに連続しシール部分31aにより中断されない状態で、カートリッジ10のほぼ全長に延在し得る。ある非限定的な例として、チャネルは、約10mmの長さを有し得る。
【0038】
流体、例えばPCRおよび/またはDNA塩基配列決定のための1つ以上の試薬を含有する流体が、第1のシャーシ11と、第1のフォイル層31の非シール部分31bの一区域との間に位置付けられ得る。有利なことに、カートリッジ10は、分注液体である初期試料種類を有効化し得る。流体は、第1のフォイル層31の隣接する下流の非シール部分31b上に、例えば容積移送により、かつ好ましくは空気圧移送なしに推進され、それにより第1のフォイル層31の下流の非シール部分31bを第1のシャーシ11から押し離し得る。結果的に、第1のフォイル層31の非シール部分31bは、第1のシャーシ11から順次押し離されて、第1のフォイル層31と第1のシャーシ11との間にチャネルを形成し得る。
【0039】
よって、第1のフォイル層31のシール部分31aは、第1のシャーシ11と第1のフォイル層31の非シール部分31bとの間に形成されるチャネルの外縁を画定し得る。例えば、第1のフォイル層31のシール部分31aが約2mm隔たっている場合、チャネルは、約2mmの幅を有し得る。
【0040】
流体が下流に進むにつれて、流体が排出したチャネルの上流の非シール部分31bは、第1のフォイル層31が実質的に平坦である休止状態に戻り得る。ある好ましい実施形態では、柔軟層20は、流体を収容する非シール部分31b内に押し入れられて、例えば流体を収容する非シール部分31bを押して実質的に平坦にすることにより、流体を下流に容積移送し、流体の後ろのチャネルを閉鎖する。上流の非シール部分31bも柔軟層20により実質的に平坦に保持される場合、流体は、下流に進行し得る。チャネルを閉鎖するために必要とされる圧力は、柔軟層20の剛性および厚さ、柔軟層20の幾何形状、ならびにチャネル寸法に依存し得る。
【0041】
溝133が、例えば第1のフォイル層31の非シール部分31bが拡張できるようにすることにより、チャネルの形成を容易にし得る。好ましくは、溝133の幅は、第1のフォイル層31の非シール部分132の幅にほぼ等しく、よって得られるチャネルの幅にほぼ等しいべきである。ある非限定的な例として、溝133は、約2mm〜約3mmの幅および少なくとも約20μm、例えば約50μm〜約100μmの深さを有し得る。
【0042】
図2Aに描くある実施形態では、支持ブロック12は、溝133を備え得る。図2Bおよび2Cに描くある実施形態では、第1のシャーシ11は、溝133を備え得、溝133は、チャネルの第1のフォイル層31とは反対側を形成し得る。図2Bでは、溝133は、直角または隅肉付きであり、図2Cでは、溝133は、丸み付きである。これらの実施形態では、柔軟層20を通じて加えられる圧力は、第1のフォイル層31の非シール部分132が溝133に適合するように強制し、それによりチャネルを閉鎖し得る。
【0043】
図3Aは、図1に示す実施形態を使用したカートリッジ10のある実施形態の画像であり、図3Bは、このような実施形態における第1のシャーシ11の底面を示す概略図である。図4Aは、図1に示す構成を使用したカートリッジ10の別の実施形態の図であり、図4Bは、このような実施形態における第1のシャーシ11の底面を示す概略図である。
【0044】
これらの図に一般的に例示し、本明細書でより詳細に後述するように、第1のシャーシ11は、開口部11aを有し得る。カプセル化試薬は、開口部11a内に位置付けられ得、かつ/または1つ以上のエラストマーシールが、第1のシャーシ11上に開口部11aの上に位置付けられ得る。カプセル化試薬は、チャネルの隣接区域にアクセスし得、かつ/またはチャネルの隣接区域からアクセスされ得る。第1のシャーシ11は、開口部11aのうちの1つ以上の上に位置付けられた1つ以上のポット11bを備え得、1つ以上のポット11b内の試薬は、チャネルの隣接区域にアクセスし得、かつ/または対応する開口部11aを通じてチャネルの隣接区域からアクセスされ得る。
【0045】
流体は、当初、バリア膜により保持チャンバ(例えば、フォイル「ブリスタ」)内に収納され得る。例えば、バリア膜は、第1のフォイル層31と第1のシャーシ11との間のより弱い溶着またはシールであり得、第1のフォイル層31の非シール部分31b内に位置付けられ得る。ある実施形態では、バリア膜は、シール部分31aと第1のフォイル層31の非シール部分31bとの交点から内側へある距離だけ離間されてあり得る。バリア膜は、その中の流体がチャネルの形成を開始することができるように、破断され得る。
【0046】
隣接するポット11b内で押下されるピストンからの圧力および/または第1のフォイル層31内へ上向きに押される柔軟層20の隣接区域からの圧力などの圧力は、バリア膜を破断し、流体が保持チャンバから出てチャネルの形成を開始することができるようにし得る。破断可能なバリア膜およびそれを破断するためのプロセスを、より詳細に後述する。
【0047】
図5は、支持ブロック12内の溝133の側面の形状の詳細図を示す。追加的または代替的に、溝133は、第1のシャーシ11内に位置付けられ得る。ある好ましい実施形態では、溝133の側面は、円筒形状を有し、円筒形のチャネルを可能にし得る(最下部のパネル)。磁気ビーズなどのビーズが用いられる場合(本明細書でより詳細に後述する)、隅肉付きの外形が好ましい(真ん中のパネル)。
【0048】
図6は、本開示により提供される別の実施形態を一般的に例示する。第1のエラストマー膜21は、第1のシャーシ11の下に位置付けられ得、第1のシャーシ11に熱溶着され、レーザ溶接され、感圧性接着剤により結合され、または別の方法で固定的に取り付けられたシール部分21aを備え得る。ある非限定的な例として、第1のエラストマー膜21は、約25μm〜約200μmの厚さを有し得る。
【0049】
柔軟層20は、第1のエラストマー膜21の下に位置付けられ得る。柔軟層20は、例えば、柔軟層20が固定的に取り付けられ得る支持ブロック12を移動することにより、第1のエラストマー膜21に当接する閉鎖位置と第1のエラストマー膜21に接触しない開放位置との間で可逆的に移動し得る。
【0050】
第1のエラストマー膜21のシール部分21aは、第1のエラストマー膜21の非シール部分21bを取り囲み得る。よって、第1のエラストマー膜21のシール部分21aは、任意の特定の方向のシール部分21a間の距離が同じ方向の非シール部分21bの幅になるように、第1のエラストマー膜21の非シール部分21bの外縁を画定し得る。
【0051】
非シール部分21bは、非シール部分21bがチャネルを形成するように構成されるように、互いに連続し得る。流体、例えば1つ以上のPCR試薬を含有する流体が、第1のシャーシ11と、第1のエラストマー膜21の非シール部分21bの一区域との間に方向付けられ得る。流体は、第1のエラストマー膜21の隣接する下流の非シール部分21b上に、例えば容積移送により、かつ好ましくは空気圧移送なしに推進され、それにより第1のエラストマー膜21の下流の非シール部分21bを第1のシャーシ11から押し離し得る。結果的に、第1のエラストマー膜21の非シール部分21bは、第1のシャーシ11から順次押し離されて、第1のエラストマー膜21と第1のシャーシ11との間にチャネルを形成し得る。
【0052】
よって、第1のエラストマー膜21のシール部分21aは、第1のシャーシ11と、第1のエラストマー膜21の非シール部分21bとの間に形成されるチャネルの外縁を画定し得る。例えば、第1のエラストマー膜21のシール部分21aが約2mm隔たっている場合、チャネルは、約2mmの幅を有し得る。上述したように、かつ図38に例示するように、装置8内の複数のアクチュエータ(一実施形態では、トグルクランプ)は、流体が流体流路に沿って流れることを許容および規制するように、チャネルに沿って配設され得る。任意の好適な公知のアクチュエータを使用してエラストマー膜(複数可)および流体流路に沿ってバルブを作製することができることが理解されるべきである。流体流路を画定するように作用する1つ以上のエラストマー膜(複数可)を有する実施形態の議論では、いずれの開示したバルブ操作も、図38のトグルクランプまたは他の公知の作動要素を使用して達成され得る。
【0053】
流体が下流に進むにつれて、流体が排出したチャネルの上流の非シール部分21bは、第1のエラストマー膜21が実質的に平坦である休止状態に戻り得る。ある好ましい実施形態では、柔軟層20は、流体を収容する非シール部分21b内に押し入れられて、例えば流体を収容する非シール部分21bを押して実質的に平坦にすることにより、流体を下流に容積移送し、流体の後ろのチャネルを閉鎖する。上流の非シール部分21bも柔軟層20により実質的に平坦に保持される場合、流体は、下流に進行し得る。
【0054】
図7は、カートリッジ10のある実施形態における熱可塑性シートのシールのある非限定的な例の写真を示す。この実施形態では、低密度ポリエチレン(LDPE)シートをバリアとして使用して、高密度ポリエチレン(HDPE)基材への結合を達成する。
【0055】
試薬の貯蔵および導入
【0056】
本開示の様々な実施形態では、ユーザの定めたプロセスのために必要とされる試薬は、カートリッジ内に貯蔵されており、調製中、適切な順序で、再構成されるか、凍結乾燥されるか、または前進する試料に対して単純に添加されるかのいずれかである。図8に示すように、カートリッジ10のある実施形態は、第1のシャーシ11内のポット11bのうちの1つ、すなわち第1のポット13を覆うフォイル膜18を備える。第1のポット13は、1つ以上の試薬16、例えばPCRおよび/またはDNA塩基配列決定のための1つ以上の試薬を収容し得る。第1のポット13は、下部開口部14と、第1のポット13の下部開口部14とは反対の端部にある上部開口部15とを有する構造体であり得る。第1のポット13の上部開口部15は、第1のポット13の内部の汚染を防止するために、フォイル膜18によりシールされ得る。様々な実施形態では、フォイル膜18は、栓を通じた流体損失を最小化するためのバリアとしても作用する。いくつかの実施形態では、栓は、ポット内のプランジャーに作用する任意追加的な部材であることが理解されるべきである。このような実施形態では、栓は、外力により押下され、ポット内の関連付けられたプランジャーを押し、次いで、プランジャーが、流体流路の膜間に新たに確立された流体経路を通じて、1つ以上の試薬16を押し通す。
【0057】
ある好ましい実施形態では、第1のポット13は、円筒形状を有するが、第1のポット13は、特定の形状に限定されない。さらに、任意の数の第1のポット13を使用することができ、カートリッジ10は、特定の数の第1のポット13に限定されない。
【0058】
第1のフォイル層31は、第1のシャーシ11に溶着されて、1つ以上の試薬16を第1のポット13内にシールし得る。第1のエラストマー膜21は、第1のフォイル層31の下に位置付けられ得る。第1のエラストマー膜21の上面の少なくとも一部分は、第1のフォイル層31に当接し得る。第1のエラストマー膜21は、第1のフォイル層31に熱溶着され、第1のフォイル層31にレーザ溶接され、第1のフォイル層31に感圧性接着剤により取り付けられ、または技能工に公知の他の任意の好適な手段を使用して第1のフォイル層31に定着され得る。
【0059】
柔軟層20は、第1のエラストマー膜21の下に位置付けられ得、柔軟層20の上面の少なくとも一部分、好ましくは柔軟層20の上面の全体が、第1のエラストマー膜21に当接し得る。柔軟層20は、好ましくは第1のエラストマー膜21より厚く、例えば少なくとも2倍厚い。
【0060】
支持ブロック12および柔軟層20を貫く下部通路50は、第1の下部プランジャー51が、第1のエラストマー膜21を破ることなしに第1のフォイル層31を破裂させるように、位置付けられ得る。例えば、第1の下部プランジャー51は、下部通路50内を上向きに移動して、第1のエラストマー膜21の垂直に位置合わせされた区域を第1のフォイル層31の垂直に位置合わせされた区域に押し当て、それにより第1のフォイル層31の垂直に位置合わせされた区域を破断し得る。
【0061】
様々な実施形態では、第1のフォイル層31は、第1のエラストマー膜21の全体を覆うフォイルシートから構成される。実施形態では、第2のエラストマー膜22は、第1のエラストマー膜21に隣接して位置付けられている。第1のエラストマー膜21は、それぞれ1つ以上の関連付けられたポット11bに位置合わせされた、1つ以上の所定の開口部、穿孔、または弱点を含み得る。本開示の全体にわたってより詳細に論じるように、第1および第2の膜21、22は、流体経路を形成するように互いに接続され得る。様々な実施形態では、第1のエラストマー膜21内の開口部は、流体または他の材料が1つ以上の関連付けられたポット11bから流体経路に入るための入口点を提供する。二重膜の一実施形態では、第2のエラストマー膜22は、連続的であり、開口部を含まない。
【0062】
ある実施形態では、フォイル層またはフォイルパッチは、第1のエラストマー膜21内の各開口部に位置合わせされ、各開口部の近くに取り付けられる。一部の実施形態は、各それぞれの第1のエラストマー膜開口部を覆う個別的なフォイルパッチを含み、他の実施形態は、2つ以上の第1のエラストマー膜開口部を覆う1つ以上のより大きなフォイルシートを含む。フォイル層31は、各個別的な第1のエラストマー膜開口部の上に溶着され得る。
【0063】
第1のエラストマー膜21にシールされた1つ以上のフォイル層を含む実施形態では、フォイル層31の材料は、1つ以上の下部プランジャー51の作動時に制御された破断を可能にするように選択される。様々な実施形態では、フォイル層31は、第2のエラストマー膜22の材料よりも脆性な材料から作製される。各第1のエラストマー膜開口部については、1つ以上の下部プランジャー51による作動時に、第2のエラストマー膜22が、屈曲し、第1のエラストマー膜開口部上に配設されたより脆性なフォイル層31に圧力を移し、ついにはフォイル層31が破断点に到達する。しきい値圧力レベルに到達すると、プランジャー51は、フォイル層31にその破断点を超えさせ、第1のエラストマー膜開口部に関連付けられたポット11b内の流体が、フォイル層31の下の第1および第2のエラストマー膜21、22の間で画定される流体経路と流体連通する。第1および第2のエラストマー膜21、22の材料の選択のため、フォイル層31をその破断点に到達させるしきい値圧力レベルは、第2のエラストマー膜22も破断させ、穿孔させ、または別の方法で損なわせるには不十分である。第2のエラストマー膜22は、屈曲されることになるが、破断されない。様々な実施形態では、第1および第2のエラストマー膜21、22は、同じまたは類似の可撓特性を有する。代替的な実施形態では、第2のエラストマー膜22は、第1のエラストマー膜21とは異なる屈曲耐性を有し得る。
【0064】
第1のポット13は、例えばピストンなどの別の構成要素により押されることにより、第1のシャーシ11内を下向きに移動され得る第1の上部プランジャー55を含み得る。第1の上部プランジャー55は、それにより1つ以上の試薬16を第1のフォイル層31の破断区域を通って押し通し得る。
【0065】
上述の特徴は、本明細書で後述する他の試薬貯蔵の特徴と共に、カートリッジ10が、カートリッジ10の単一レーン上で複数の異なる試薬および洗剤の独立的なオンボード貯蔵を有利に提供することができるようにする。その上、カートリッジ10は、交差汚染および試薬貯蔵中の過度の流体損失を防止する。
【0066】
試薬の熱処理および混合
【0067】
図9A〜9Dは、図1に描く構造を利用するカートリッジ10の一実施形態を一般的に例示する。図9Cに示すように、1つ以上の試薬16は、バリア膜33により、カートリッジ10内で下流に流れることを規制され得る。この実施形態は、フォイル膜18を剥離または穿孔し、第1の上部プランジャー55を押下して1つ以上の試薬16を作動させることにより用いられ得、次いで、1つ以上の試薬16の分注中の流体圧力が、バリア膜33を破断し得る。
【0068】
図9Aに示すように、カートリッジ10および/または中でカートリッジ10が使用される装置8は、1つ以上の試薬16を熱処理に供し得る。例えば、中でカートリッジ10が使用される装置8は、加熱器ブロック52を備え得る。カートリッジ10を装置8内に挿入することは、加熱器ブロック52をバリア膜33から下流に位置付け得る。
【0069】
加熱器ブロック52は、1つ以上の試薬16が加熱器ブロック52に隣接して(例えば、上または下に)位置付けられているとき、1つ以上の試薬16を加熱するように構成され得る。一部の実施形態では、加熱器ブロック52は、柔軟層20中の穴を通って延在する。
【0070】
上述のように、第1のフォイル層31の非シール部分31bは、1つ以上の試薬16により第1のシャーシ11から押し離されるとき、チャネルを形成し得る。非シール部分31bは、チャネルが1つ以上の試薬16を加熱器ブロック52に隣接する位置に方向付けるように、構成され得る。図9Bに示すように、支持ブロック12は、第1のフォイル層31の非シール部分31bがチャネルを形成することができるようにする溝133を備え得、チャネルは、次いで、柔軟層20により閉鎖される。
【0071】
図9A、9C、および9Dを参照すると、カートリッジ10は、第1の混合チャンバ111および/または第2の混合チャンバ112を備え得、第1および第2の混合チャンバ111、112は、加熱器ブロック52の上または下に位置付けられ得る。第1および第2の混合チャンバ111、112は、第1の混合チャンバ111に先行するチャンバの幅および/または第2の混合チャンバ112の後続のチャネルの幅よりも小さい、例えばそれらに対して半分未満の幅を有する1つ以上の混合チャネル113により、互いに接続され得る。
【0072】
図9Aに示すように、第2のエラストマー膜22は、第1のシャーシ11内の開口部上に、かつ開口部の加熱器ブロック52とは反対側に、位置付けられ得る。ある実施形態では、第1のエラストマー膜21は、不在であり得る。第1および第2の混合チャンバ111、112は、第2のエラストマー膜22および第1のフォイル層31により少なくとも部分的に形成され得る。第1および第2の混合チャンバ111、112のうちの一方または両方は、その中の1つ以上の試薬16の混合を容易にするように、かつ/またはその中の1つ以上の試薬16がカートリッジ10を通じて圧送され得るように、変形可能であり得る。
【0073】
例えば、中でカートリッジ10が使用される装置8は、第1の混合チャンバ111および/または第2の混合チャンバ112を可逆的に押下および解放して流体流を制御する1つ以上のピストン53を備え得る。第1の混合チャンバ111を押下して、その中の1つ以上の試薬16を1つ以上の混合チャネル113および/または第2の混合チャンバ112内へ推進することができる。結果として、カートリッジ10は、システムにおける複雑性の軽減およびより簡単な使用を容易にするオンボードポンプを提供し得る(例えば、装置8は、より単純な設計を有し得る)。図9A、10A、11A、および12Aは、参照番号53でラベル付けされている構成要素をテキストでは「プランジャー(装置)」として特定している一方、この詳細な説明では、この構成要素をピストン(複数可)53と呼んでいる。
【0074】
柔軟層20の一区域は、第1および第2の混合チャンバ111、112から上流のチャネルの区域を可逆的に閉鎖し、よって、第1のバルブとして機能し得る。柔軟層20の別の区域は、第1および第2の混合チャンバ111、112から下流のチャネルの区域を可逆的に閉鎖し、よって、第2のバルブとして機能し得る。
【0075】
第1のバルブが第1の混合チャンバ111から上流の第1のフォイル層31の非シール部分31bへのアクセスを阻止する場合、第1の混合チャンバ111を対応するピストン53により押下して、1つ以上の試薬16を第1の混合チャンバ111から1つ以上の混合チャネル113および/または第2の混合チャンバ112内へ推進することができる。第2のバルブが第2の混合チャンバ112の後続の第1のフォイル層31の非シール部分31bへのアクセスを阻止する場合、第2の混合チャンバ112を対応するピストン53により押下して、その中の1つ以上の試薬16を1つ以上の混合チャネル113および/または第1の混合チャンバ111内へ戻るように推進することができる(好ましくは、第1の混合チャンバ111が解放された状態で)。これらのステップは、1つ以上の試薬16の互いとの、およびそれらに添加される任意の追加の試薬との混合を達成するために、反復され得る。
【0076】
第2の混合チャンバ112の後続の第1のフォイル層31の非シール部分31bがアクセス可能であり、第1の混合チャンバ11が対応するピストン53により押下される場合、第2の混合チャンバ112を押下して、1つ以上の試薬16を第2の混合チャンバ112から第1のフォイル層31のこれらの非シール部分31b内へ推進し、その中にチャネルを形成することができる。
【0077】
図9A〜9D、図10A〜10D、図11A〜11C、および図12A〜12Cは図8に描く構造を利用する異なる実施形態の類似のそれぞれの図を例示することが理解されるべきである。具体的には、図10A〜10Dは、図9A〜9Dに示す実施形態における構成要素に類似した1つ以上の構成要素を有し得るカートリッジ10のある実施形態を一般的に例示するが、好ましくは、第1の下部プランジャー51が、バリア膜33の代わりに利用される。図10A、11A、および12Aは、参照番号51でラベル付けされている構成要素をテキストでは「穿孔機(エラストマー層を貫いてフォイルシールを破断する)」として特定している一方、この詳細な説明では、この構成要素を下部プランジャー(複数可)51と呼んでいる。
【0078】
第1および第2の混合チャンバ111、112は、第1および第2のエラストマー膜21、22により少なくとも部分的に形成され得る。図10A〜10Dの実施形態は、第2のフォイル層32を例えば加熱器ブロック52と第1のエラストマー膜21との間のパッチとして使用して、加熱器ブロック52と第1および第2の混合チャンバ111、112との熱接触を提供し得る。
【0079】
図11A〜11Cは、図10A〜10Dに示す実施形態における構成要素に類似した1つ以上の構成要素を有し得るカートリッジ10のある実施形態を一般的に例示するが、好ましくは、第1および第2の混合チャンバ111、112は、第1のエラストマー膜21および第1のフォイル層31により形成される。一部の実施形態では、第2のエラストマー膜22は、不在であり得る。
【0080】
加熱器ブロック52は、第1および第2の混合チャンバ111、112の上に位置付けられ得る。第1の混合チャンバ111および/または第2の混合チャンバ112を可逆的に押下および解放するピストン53は、第1および第2の混合チャンバ111、112の下に位置付けられ得る。このような実施形態では、第1のエラストマー膜21は、移動可能な構成要素53がそれを通って可逆的に伸長および退避することを可能にする穴を有し得る。
【0081】
図12A〜12Cは、図11A〜11Cに示す実施形態における構成要素に類似した1つ以上の構成要素を有し得るカートリッジ10のある実施形態を一般的に例示するが、好ましくは、第2のフォイル層32は、第1のフォイル層31と柔軟層20との間に位置付けられる。第2のフォイル層32は、溶着、感圧性接着剤、または技能工に公知の他の任意の好適な手段により第1のフォイル層31に取り付けられ得る。第1のエラストマー膜21は、第1および第2の混合チャンバ111、112が上述の流体混合を経ることを可能にするパッチの形であり得る。
【0082】
好ましくは第1のフォイル層31の上面は、好ましくは第1のフォイル層31の上面の実質的に全体にわたって、第1のシャーシ11に固定的に取り付けられる。この実施形態では、チャネルは、第1および第2のフォイル層31、32の間に形成され得る。例えば、第1のフォイル層31のシール部分31aは、第2のフォイル層32の部分32bに熱溶着され、レーザ溶接され、感圧性接着剤により結合され、または別の方法で固定的に取り付けられ得る。第1および第2のフォイル層31、32は、非シール部分31b、32bにより取り囲まれた非シール部分31b、32bを備える。よって、第1および第2のフォイル層31、32のシール部分31a、32aは、任意の特定の方向のシール部分31a、32a間の距離が同じ方向の非シール部分32a、32bの幅になるように、第1および第2のフォイル層31、32の非シール部分31b、32bの外縁を画定し得る。第1および第2のフォイル層31、32の非シール部分32a、32bは、それらがチャネルを形成するように構成されるように、連続的であり得る。
【0083】
1つ以上の試薬16は、第1および第2のフォイル層31、32の非シール部分31b、32bの間に方向付けられ得る。流体は、第1および第2のフォイル層31、32の隣接する下流の非シール部分31b、32b上に、例えば容積移送により、かつ好ましくは空気圧移送なしに推進され、それにより第1のフォイル層31の下流の非シール部分31bおよび第2のフォイル層32の下流の非シール部分32bを互いから押し離し得る。結果的に、第1および第2のフォイル層31、32の非シール部分31b、32bは、順次押し隔てられて、第1および第2のフォイル層31、32間にチャネルを形成し得る。
【0084】
よって、第1および第2のフォイル層31、32のシール部分31a、32aは、第1および第2のフォイル層31、32の非シール部分31b、32b間に形成されるチャネルの外縁を画定し得る。流体が下流に進むにつれて、流体が排出したチャネルの上流の非シール部分31b、32bは、第1および第2のフォイル層31、32の非シール部分31b、32bが実質的に平坦である休止状態に戻り得る。
【0085】
流体経路を画定するフォイル層およびエラストマー膜の構築
【0086】
図13〜16に一般的に例示するカートリッジ10のある実施形態では、第1のエラストマー膜21は、第1のシャーシ11の下に位置付けられ得、第1のエラストマー膜21の上面の少なくとも一部分は、第1のシャーシ11に当接し得る。第1のフォイル層31は、第1のエラストマー膜21の下に位置付けられ得、第1のフォイル層31の上面の少なくとも一部分は、第1のエラストマー膜21に当接し得る。第2のフォイル層32は、第1のフォイル層31の下に位置付けられ得、第2のフォイル層32の上面の少なくとも一部分は、第1のフォイル層31に当接し得る。第2のエラストマー膜22は、第2のフォイル層32の下に位置付けられ得、第2のエラストマー膜22の上面の少なくとも一部分は、第2のフォイル層32に当接し得る。
【0087】
柔軟層20は、第2のエラストマー膜22の下に位置付けられ得、柔軟層20は、第2のエラストマー膜22に当接する閉鎖位置と第2のエラストマー膜22に接触しない開放位置との間で可逆的に移動し得る。中でカートリッジ10が使用される装置8により提供され得る支持ブロック12は、柔軟層20の下に位置付けられ得る。支持ブロック12は、柔軟層20を動かし得る。
【0088】
この実施形態では、第1のエラストマー膜21は、好ましくはポリプロピレン/熱可塑性エラストマー(PP/TPE)の層であり、好ましくは約50μm〜約200μm、例えば約180μmの厚さを有する。第1のフォイル層31は、好ましくは硬質鍛錬アルミニウムフォイルであり、好ましくは約20μmの厚さを有する。第2のフォイル層32は、好ましくは軟質焼鈍アルミニウムフォイルであり、好ましくは約25μmの厚さを有する。第2のエラストマー膜22は、好ましくはポリウレタンエラストマーの層であり、好ましくは約25μmの厚さを有する。けれども、これらの構成要素は、特定の材料または特定の厚さに限定されない。
【0089】
第1のシャーシ11は、1つ以上の試薬16を収容し得る第1のポット13を備え得る。試料は、任意のサイズであり得、非限定的な例として約10μl、約25μl、または約50μlである。図16に示すカートリッジ10の実施形態では、カートリッジ10は、第1のシャーシ11に接続して第1のポット13を覆うキャップ19を備え得る。
【0090】
図13〜15を再び参照すると、第1のポット13は、1つ以上の試薬16を下部開口部14を貫いて推進するための第1のボール17を収容し得る。ある好ましい実施形態では、第1のポット13は、上部開口部15から下部開口部14に延在する通路を有し、第1のボール17は、通路の少なくとも一部を貫いて移動するようなサイズである。第1のボール17を下部開口部14に向かって押すことは、下部開口部14に向かって、かつ下部開口部14を貫いて1つ以上の試薬16を押し得る。ある実施形態では、通路は、第1のボール17が下部開口部14に到達するのを防止するために、第1のボール17より狭い直径を有する下部区域を有する。第1のボール17は、特定の形状に限定されず、第1のボール17は、1つ以上の試薬16を下部開口部14を貫いて推進するように通路内で移動され得る任意の構成要素であり得る。
【0091】
ある実施形態では、第1のボール17は、第1の上部プランジャー55として作用する。別の実施形態では、第1の上部プランジャー55は、第1のボール17を押すために使用される異なる構成要素である。
【0092】
第1のエラストマー膜21は、第1の弱化部分23を備え得、第1のポット13は、第1のポット13の下部開口部14が第1の弱化部分23のすぐ上にくるように、第1のエラストマー膜21の第1の弱化部分23と垂直に位置合わせされ得る。第1の弱化部分23は、1つ以上の試薬16が第1のポット13内に保持されるように第1のポット13の下部開口部14をシールし得、次いで、第1の弱化部分23は、1つ以上の試薬16が第1のポット13から排出することができるように破断され得る。
【0093】
第1の弱化部分23は、1つ以上の切り込み、例えば互いに交差して「X」を形成する2つの切り込み、第1のエラストマー膜21内のパンチ穴;第1のエラストマー膜21の隣接する区域よりも小さい厚さを有する第1のエラストマー膜21の区域;または第1のエラストマー膜21のこの区域に加えられた圧力が、第1のエラストマー膜21の隣接する区域を損傷することなしに、第1のエラストマー膜21の第1の弱化部分23を破断することを可能にする任意の構造であり得る。第1の弱化部分23は、特定の構造に限定されない。
【0094】
ある好ましい実施形態では、第1の弱化部分23は、支持ブロック12を貫いて上向きに推進される第1の下部プランジャー51により破断される。第1の下部プランジャー51は、柔軟層20が第1のエラストマー膜21の第1の弱化部分23に押し当たり、それにより第1の弱化部分23を破断するように、第1の下部プランジャー51と垂直に位置合わせされた柔軟層20の区域に上向きに押し当たり得る。次いで、第1のポット13内の1つ以上の試薬16は、例えば第1のボール17および/または第1の上部プランジャー55を使用することにより破断された第1の弱化部分23を通じて第1のポット13から出ることができる。
【0095】
図14に示すように、かつ手短に上述したように、第1のフォイル層31および/または第2のフォイル層32は、第1の弱化部分23および/または第1の下部プランジャー51と垂直に位置合わせされた1つ以上の穴を備え得る。このような実施形態では、下部開口部14を通じて第1のポット13から出る1つ以上の試薬16は、次いで、破断された第1の弱化部分23ならびに第1のフォイル層31および/または第2のフォイル層32の1つ以上の穴を貫いて進行して、第2のエラストマー膜22の上面に到達し得る。第1のポット13を出て、第2のフォイル層32と第2のエラストマー膜22との間に位置付けられた1つ以上の試薬16は、次いで、第2のフォイル層32および第2のエラストマー膜22の下流の非シール部分に進み、それにより第2のフォイル層32と第2のエラストマー膜22との間にチャネルを形成し得る。上述のように、チャネル沿いの流体流は、装置8内のチャネルに沿って配設された様々なアクチュエータまたはクランプの加える圧力により少なくとも部分的に制御される。このようなクランプは、流体の通過を所望通りに選択的に阻害または許容するバルブとして作用し得る。
【0096】
フォイル層およびエラストマー膜の組み立ては、異なる方法で達成され得る。例えば、図17、18A、18B、19、20A、20B、および21に示すように、カートリッジ10およびその他の構成要素に対する層の様々な組み立て構成が、想定されている。このような好ましい一実施形態では、第1のフォイル層31は、第1のシャーシ11の下に位置付けられ得、感圧性接着剤(PSA)層34は、第1のフォイル層31の下に位置付けられ得る。第1および第2のエラストマー膜21、22は、PSA層34の下、かつ柔軟層20の上に位置付けられ得る。図18Bに示すように、第1のポット13は、第1のボール17および/または第1の上部プランジャー55を備え得る。
【0097】
第1のフォイル層31は、第1のポット13の下部開口部14をシールし得る。上述のように、一部の実施形態では、第1のフォイル層31は、それぞれ第1のシャーシ11の下面の一部分のみを覆う1つ以上のパッチとして設けられているが、他の実施形態では、第1のフォイル層31は、第1のシャーシ11の下面全体を実質的に覆う1つ以上の連続的な部品であり得る。
【0098】
この好ましい実施形態では、第1のエラストマー膜21は、1つ以上の穴25を有し得、PSA層34は、1つ以上の穴35を有し得る。図17に示すように、対応するポット11bの下の第1のフォイル層31の部分を破断することが、対応するポット11b内の1つ以上の試薬16が第1のフォイル層31の破断部分、PSA層34の1つ以上の穴35、および第1のエラストマー膜21の1つ以上の穴25を貫いて進行することができるように、穴25、35は、1つ以上のポット11bと垂直に位置合わせされ得る。結果として、1つ以上の試薬16は、第2のエラストマー膜22の上面に到達し得る。第1のポット13を出て、第1および第2のエラストマー膜21、22の間に位置付けられた1つ以上の試薬16は、次いで、第1および第2のエラストマー膜21、22の下流の非シール部分に進み得る。
【0099】
例えば、図19、20A、および20Bに示すように、第1のエラストマー膜21は、第2のエラストマー膜22の部分22aに熱溶着され、レーザ溶接され、感圧性接着剤により結合され、または別の方法で固定的に取り付けられるシール部分21aを備え得る。第1および第2のエラストマー膜21、22は、シール部分21a、22aにより取り囲まれた非シール部分21b、22bを備える。1つ以上の試薬16は、第2のエラストマー膜の隣接する非シール部分22bおよび第1のエラストマー膜21の対応する非シール部分21bを互いから押し離して、チャネルを形成し得る。1つ以上の試薬16を、第1および第2のエラストマー膜21、22の隣接する下流の非シール部分21b、22bの間に、例えば容積移送により、かつ好ましくは空気圧移送なしに推進し、それにより第1および第2のエラストマー膜21、22の下流の非シール部分21b、22bを押し隔てることができる。結果的に、第1および第2のエラストマー膜21、22の非シール部分21b、22bは、順次押し隔てられて、第1および第2のエラストマー膜21、22の間にチャネルを形成し得る。
【0100】
よって、第1および第2のエラストマー膜21、22のシール部分21a、22aは、チャネルの外縁を画定し得る。例えば、第1および第2のエラストマー膜21、22のシール部分21a、22aが約2mm隔たっている場合、チャネルは、約2mmの幅を有し得る。流体が下流に進むにつれて、流体が排出したチャネルの上流部分は、例えば第1のエラストマー膜21の非シール部分21bおよび第2のエラストマー膜22の非シール部分22bを強制的にまとめてチャネルを閉鎖する柔軟層20を通じて加えられる圧力下で、第1および第2のエラストマー膜21、22が実質的に平坦である休止状態に戻り得る(図20B)。
【0101】
この実施形態では、第1および第2のエラストマー膜21、22の非シール部分21b、22bの一区域は、好ましくは、第1および第2の混合チャンバ111、112のうちの一方または両方などのチャンバ(図20A)を形成する。チャンバの第1の部分は、第1のエラストマー膜21により形成され得、第2のエラストマー膜22により形成されるチャンバの第2の部分に対して対称的であり得る。好ましくは、これらのチャンバ形成区域は、1つ以上の試薬16がそれらに到達する前に互いに当接または近接しており、例えば0.0〜50μm隔たっており、好ましくは0.0〜10μm隔たっている。チャンバは、第1のエラストマー膜21のチャンバ形成区域を第2のエラストマー膜22の対応するチャンバ形成区域から強制的に隔てる1つ以上の試薬16により形成され得る。チャンバは、好ましくは卵形状を有するが、特定の形状に限定されない。
【0102】
図21は、カートリッジ10のある実施形態を一般的に例示し、この実施形態では、第1および第2の膜21、22は、図17、18A、18B、19、20A、および20Bに示すように構成され得る。第1のフォイル層31は、シャーシ11のポット11bのうちの1つ、例えば第2のポット103の下に位置付けられ得る。PSA層34は、第1のフォイル層31の下に位置付けられ得、第1および第2のエラストマー膜21、22は、PSA層34の下に位置付けられ得る。
【0103】
休止状態では、第1のエラストマー膜21の非シール部分21bは、第2のエラストマー膜22の非シール部分22bに当接または近接しており、例えば0.0〜50μm隔たっており、好ましくは0.0〜10μm隔たっている。上述のように、1つ以上の試薬16は、第1および第2のエラストマー膜21、22の領域内で、第1のエラストマー膜21の非シール部分21bと第2のエラストマー膜22の非シール部分22bとの間で容積移送されて、この領域内で非シール部分21b、22bを互いから押し離し得る。
【0104】
次いで、流体を、例えば継続する容積移送により、第1および第2のエラストマー膜21、22の隣接する領域内に推進し、それにより隣接する領域内で非シール部分21b、22bを押し隔てることができる。結果的に、非シール部分21b、22bは、順次押し隔てられて、第1および第2のエラストマー膜21、22の間にチャネルを形成し得る。流体が非シール部分21b、22bを通って進むにつれて、流体が排出した上流の非シール部分21b、22bは、それらが互いに当接または近接する休止状態に戻り得る。好ましくは、チャネルは、いかなる感圧性接着剤も含まず、よって、流体は、このような材料に接触しない。
【0105】
例えば、第1のエラストマー膜21の非シール部分21bは、第2のエラストマー膜22の同様の寸法の非シール部分22bに対向し得、非シール部分21b、22bは、シール部分21a、22aにより中断されることなしに、カートリッジ10の一端に近接する点からカートリッジ10の反対端に近接する点に連続的に延在し得る。
【0106】
理論に束縛されるものではないが、本発明者らは、流体が流体の体積に実質的に一致する容積まで非シールエラストマー膜部分を押し隔てることが、流体が進行する経路内のデッドボリュームを最小化または防止し、それにより流体内の気泡を最小化または防止すると考える。本開示により提供されるデバイスでは、流体は、2つのエラストマー膜の間に閉じ込められ得、チャンバおよび流体路は、溶着線により画定され得、容積ゼロのチャンバおよび流体チャネルが、達成され得、試料挿入圧力を使用して、チャンバおよびチャネルを膨張させ得、材料性能が、例えば熱サイクリング中に、流動および拡張をモデル化することにより、評価され得る。
【0107】
それゆえに、第1および第2のエラストマー膜21、22は、メソ流体および/またはマイクロ流体試料が横切るチャネル内のデッドボリュームを最小化または防止する。その上、この構成は、処理ステップ間に連続的に延在するチャネルを設けることにより、カートリッジ10内の流体接続の数を最小化し、別のデバイスに移す必要性がなく、かつ異なるチャネル内に移す必要性がない。例えば、より詳細に後述するように、カートリッジ10は、手作業によるチャンバプロセスを、例えば磁気ビーズ取り扱いおよび熱サイクリングの両方を、かつ各プロセスに関して類似の材料およびチャンバ設計を使用する一部の実施形態では他のプロセスに関して、行うことができる。
【0108】
図14および21に示すように、カートリッジ10の実施形態は、カートリッジ10を横切る1つ以上の試薬16を熱処理に供し得る。例えば、加熱器ブロック52は、中でカートリッジ10が使用される装置8により提供され得、第1のポット13から下流に位置付けられ得る。加熱器ブロック52は、1つ以上の試薬16が第1および第2のエラストマー膜21、22の間に、加熱器ブロック52の上または下に位置付けられているとき、1つ以上の試薬16を加熱するように構成され得る。
【0109】
第1および第2のエラストマー膜21、22の非シール部分21b、22bは、加熱器ブロック52の上に第1のチャンバ24を形成するように構成され得る。第1のチャンバ24は、好ましくは0〜75μLの容積および約0.0〜2.0mmの高さを有する卵形状を有するが、第1のチャンバ24は、特定の形状または特定の寸法に限定されない。第1のチャンバ24は、図17および21に少なくとも部分的に膨張した状態で示されている。
【0110】
図22Aに一般的に例示するように、一実施形態の加熱器ブロック52は、凸状であり、支持ブロック12は、伝導を低減し熱サイクリング性能を改善するように、加熱器ブロック52の側部から離隔されている。図22bおよび22Cに示すように、図17に示す実施形態における加熱器ブロック52を形成する2つの円形加熱器ブロックは、好ましくは、図21に示す実施形態における加熱器ブロック52を形成する1つの長円形ブロックに併合される。様々な代替的な実施形態では、加熱器ブロック52は、平坦、凹状、または凸状の接触面を有し得る。
【0111】
図22Cは、加熱器ブロック52が、第1のチャンバ24の縁部を越えて延在し、カートリッジ10の隣接する構成要素により第1のチャンバ24から伝導されて奪われる熱を低減し得ることを例示する。例えば、加熱器ブロック52は、第1のチャンバ24の長さより大きい長さおよび/または第1のチャンバ24の幅より大きい幅を有し得る。第1のチャンバ24は、外部の分離バルブ252を有する単一のチャンバであり得る。
【0112】
図14および21を再び参照すると、第1のチャンバ24を押下して、第1のチャンバ24から1つ以上の試薬16を排出し、1つ以上の試薬16を第1のチャンバ24から第1および第2のエラストマー膜21、22の下流の非シール部分21b、22bに推進することができることが好ましい。例えば、ピストン53のうちの1つは、第1のチャンバ24を押下して、1つ以上の試薬16を第1のチャンバ24から第1および第2のエラストマー膜21、22の下流の非シール部分21b、22bに推進し得る。ある実施形態では、1つ以上のピストン53を、第1のエラストマー膜21および第2のエラストマー膜22のうちの1つに押し当てて内側へ押し、それにより第1のチャンバ24を少なくとも部分的に収縮させることができる。結果として、第1のチャンバ24を、ポンプとして使用することができる。
【0113】
熱処理された1つ以上の試薬16は、加熱器ブロック52から、第1および第2の膜21、22の非シール部分21b、22bを通じて下流に進行し得る。カートリッジ10は、熱処理された1つ以上の試薬16と混合されるべき組成物116の少なくとも一部分を収容する第2のポット103を備え得る。ある実施形態では、組成物116は、熱処理された1つ以上の試薬16中に存在するDNAの増幅のための少なくとも1つの試薬を含む。
【0114】
第2のポット103は、下部開口部114と、第2のポット103の下部開口部114とは反対の端部にある上部開口部115とを有する構造体であり得る。ある好ましい実施形態では、第2のポット103は、円筒形状を有するが、第2のポット103は、特定の形状に限定されない。さらに、任意の数の第2のポット103を使用することができ、カートリッジ10は、特定の数の第2のポット103に限定されない。図16に示すカートリッジ10の実施形態では、第1のシャーシ11に接続し得るキャップ19は、第2のポット103を覆い得る。
【0115】
上述のように、カートリッジの様々な実施形態は、導入からPCRを通じてクリーンアップまで試薬の流体通過を可能にする。カートリッジは、それを通じて試料があるプロセスから別のプロセスに進行し得る一体化された流体経路を生み出すことにより、かつ全体にわたっての外部からの試薬導入、ならびに必要に応じて磁気ビーズ取り扱いおよび熱処理を可能にする機構を組み込むことにより、優れた試料調製を容易にする。
【0116】
上述のように、図14および21は、本開示の自動化デバイスにより想定されている一体化されたワークフロー全体の様々な実施形態を例示する。図14および21では、第2のポット103の上部開口部115は、第2のポット103の内部の汚染を防止するために、例えばフォイル膜128により、シールされ得る。第2のポット103は、組成物116を第2のポット103の下部開口部114を通じて推進するための第2のボール118を収容し得る。ある好ましい実施形態では、第2のポット103は、上部開口部115から下部開口部114に延在する通路を有し、第2のボール118は、通路の少なくとも一部を貫いて移動するようなサイズである。第2のボール118を下部開口部114に向かって押すことは、下部開口部114に向かって、かつ下部開口部114を貫いて組成物116を押し得る。ある実施形態では、通路は、第2のボール118が下部開口部114に到達するのを防止するために、第2のボール118より狭い直径を有する下部区域を有する。第2のボール118は、特定の形状に限定されず、第2のボール118は、組成物116を下部開口部114を貫いて推進するように通路内で移動され得る任意の構成要素であり得る。
【0117】
図14および15に示す実施形態では、第2のポット103の下部開口部114は、例えばシール係合において、第1のエラストマー膜21に隣接または当接し得る。第1のエラストマー膜21は、第2の弱化部分123を備え得、第2のポット103は、第2のポット103の下部開口部114が第2の弱化部分123のすぐ上にくるように、第1のエラストマー膜21の第2の弱化部分123と垂直に位置合わせされ得る。第2の弱化部分123は、組成物116が第2のポット103内に保持されるように第2のポット103の下部開口部114をシールし得、次いで、第1の弱化部分23は、1つ以上の試薬16が第1のポット13から排出することができるように破断され得る。
【0118】
第2の弱化部分123は、1つ以上の切り込み、例えば互いに交差して「X」を形成する2つの切り込み、第1のエラストマー膜21内のパンチ穴;第1のエラストマー膜21の隣接する区域よりも小さい厚さを有する第1のエラストマー膜21の区域;または第1のエラストマー膜21のこの区域に加えられた圧力が、第1のエラストマー膜21の隣接する部分を損傷することなしに、第1のエラストマー膜21の第2の弱化部分123を破断することができるようにする任意の構造であり得る。第2の弱化部分123は、特定の構造に限定されない。
【0119】
ある好ましい実施形態では、第2の弱化部分123は、支持ブロック12を貫いて上向きに推進される第2の下部プランジャー151により破断される。第2の下部プランジャー151は、第2のエラストマー膜22が第1のエラストマー膜21の第2の弱化部分123に押し当たり、それにより第2の弱化部分123を破断するように、第2の下部プランジャー151と垂直に位置合わせされた第2のエラストマー膜22の区域に上向きに押し当たり得る。次いで、第2のポット103中の組成物116は、破断された第2の弱化部分123を通じて第2のポット103から出ることができる。
【0120】
第1のフォイル層31および/または第2のフォイル層32は、第2の弱化部分123および/または第2の下部プランジャー151と垂直に位置合わせされた1つ以上の穴を備え得る。このような実施形態では、下部開口部114を通じて第2のポット103から出る組成物116は、次いで、破断された第2の弱化部分123ならびに第1および第2のフォイル層31、32の1つ以上の穴を貫いて進行して、第2のエラストマー膜22の上面に到達し得る。
【0121】
固体試薬の導入
【0122】
図23A〜23Cに示すように、組成物116は、少なくとも部分的に1つ以上の固体試薬117から形成され、固体試薬117は、第2のポット103中に位置付けられる。例えば、1つ以上の固体試薬117は、凍結乾燥ビーズであり得る。別の例として、1つ以上の固体試薬117は、凍結乾燥されたケーキであり得、ケーキは、ポット内で乾燥、またはフォイル層とシールとの間で乾燥され得る。異なるフォイル層を、ケーキと共に使用することができる。ある実施形態では、外力が加えられるとき上部フォイル層のみが破断することおよび/または外力が加えられるとき上部フォイル層が下部フォイル層よりも前に破断することを確保するために、上部フォイル層は、下部フォイル層よりも弱い。
【0123】
組成物116は、例えば希釈液119を使用することにより、凍結乾燥ビーズ117を再構成することにより形成され得る。希釈液119による凍結乾燥ビーズ117の再構成は、組成物116を形成し得、組成物116は、熱処理された1つ以上の試薬16と混合し得る。希釈液119の少なくとも一部分は、第2のポット103内に位置付けられ得る。第2のポット103は、第2の上部プランジャー155を備え得、第2の上部プランジャー155は、希釈液119による凍結乾燥ビーズ117の再構成を容易にし得る。結果として、カートリッジ10は、公知のメソ流体および/またはマイクロ流体処置デバイスとは異なり、湿式試薬と並んで乾式試薬のオンボード貯蔵および再構成を有利に行うことができる。
【0124】
凍結乾燥ビーズ117は、上部膜および下部膜により覆われ得る。図23Aおよび23Bに示すように、第2の上部プランジャー155は、第2の上部プランジャー155の下端に下向きスパイクを備え得る。第2の上部プランジャー155は、例えば栓により押されることにより、第2のポット103内で下向きに移動され、それにより下向きスパイクを上部膜を通って押し通し、希釈液119が凍結乾燥ビーズ117に到達することができるようにし得る。
【0125】
図23Aに示すように、第2の上部プランジャー155は、第2の上部プランジャー155の上端上に延長部分を備え得、延長部分を押下して、第2の上部プランジャー155を第2のポット103内で下向きに移動させることができる。下向きスパイクは、上部膜を破断し、希釈液119が凍結乾燥ビーズ117に到達することを可能にし得、かつ下部膜を破断し、希釈液119による凍結乾燥ビーズ117の再構成により形成された組成物116が、熱処理された1つ以上の試薬16に到達することができるようにし得る。第1および第2のエラストマー膜21、22は、下向きスパイクを収容するように構成され得る。
【0126】
図23Bおよび23Cに示すように、構成要素(例えば、第1および第2のエラストマー膜21、22のうちの一方または両方)は、上向きスパイクを備え得る。上向きスパイクは、例えば栓により押されることにより、第2のポット103に向かって押され、上向きスパイクを凍結乾燥ビーズ117を覆う下部膜を通って上向きに押し通し得る。好ましくは、第2の上部プランジャー155が上向きスパイクにより作製された開口部を通じて組成物116を第2のポット103の外に押し出すように、上向きスパイク、次いで第2の上部プランジャー155が用いられる(図23B)。図23Cに示す別の実施形態では、第2の上部プランジャー155は、下向きスパイクを有しない場合があり、上向きスパイクは、凍結乾燥ビーズ117を覆う下部膜および上部膜の両方を穿刺し得る。
【0127】
図21に示す実施形態では、第2のポット103の下部開口部114は、例えばシール係合において、第1のフォイル層31に隣接または当接し得る。第1のフォイル層31は、第3のポット213の下に位置付けられ得、感圧性接着剤(PSA)層34は、第1のフォイル層31の下に位置付けられ得る。
【0128】
第2のポット103は、希釈液119を収容し得、第3のポット213は、凍結乾燥ビーズ117を収容し得る。第3のポット213は、下部開口部214と、第3のポット213の下部開口部214とは反対の端部にある上部開口部215とを有する構造体であり得る。ある好ましい実施形態では、第3のポット213は、円筒形状を有するが、第3のポット213は、特定の形状に限定されない。さらに、任意の数の第3のポット213を使用することができ、カートリッジ10は、特定の数の第3のポット213に限定されない。一部の実施形態では、第3の下部プランジャー152を使用して、第3のポット213の下部開口部214に隣接する第1のフォイル層31の区域を破断することができる。
【0129】
第3のポット213は、第1のシャーシ11に接続する別々の部品であり得、よって、カートリッジ10がモジュール式になることを可能にし得る(例えば、選択された第3のポット213により収容される所望の材料に基づいて、複数の第3のポット213から特定の第3のポット213が選択され得る)。例えば、第3のポット213の一部分は、第1のシャーシ11内の開口部に類似の寸法の形状を有し得る(図24A)。あるいは、第3のポット213の少なくとも一部分および第1のシャーシ11の少なくとも一部分が材料の単一部品により形成されるように、第3のポット213は、第1のシャーシ11と一体的であり得る(図24B)。
【0130】
第3のポット213の上部開口部215は、第3のポット213の内側の汚染を防止するために、例えばフォイル膜218により、シールされ得る。第3のポット213は、より詳細に後述するように、凍結乾燥ビーズ117の再構成後に、凍結乾燥ビーズ117を下部開口部214を貫いて推進するための第3の上部プランジャー255を収容し得る。ある好ましい実施形態では、第3のポット213は、上部開口部215から下部開口部214に延在する通路を有し、第3の上部プランジャー255は、通路の少なくとも一部を貫いて移動するようなサイズである。ある実施形態では、通路は、第3の上部プランジャー255が下部開口部214に到達するのを防止するために、第3の上部プランジャー255より狭い直径を有する下部区域を有する。
【0131】
第2のポット103の下の第1のフォイル層31の部分を破断することが、第2のポット103内の希釈液119が、第1のフォイル層31の破断部分および第1のエラストマー膜21の1つ以上の穴25を貫いて進行して、第2のエラストマー膜22の上面に到達することができるようにし得るように、第1のエラストマー膜21は、第2のポット103の下部開口部114と垂直に位置合わせされた1つ以上の穴25のうちの少なくとも1つを有し得る。
【0132】
ある好ましい実施形態では、PSA層34は、1つ以上の予備形成された穴を有し得る。第2のポット103の下の第1のフォイル層31の部分は、支持ブロック12を貫いて上向きに推進される第2の下部プランジャー151により破断される。第2の下部プランジャー151は、第2のエラストマー膜22が第2のポット103の下の第1のフォイル層31の部分に押し当たり、それにより第2のポット103の下の第1のフォイル層31の部分を破断するように、第2の下部プランジャー151と垂直に位置合わせされた第1および第2のエラストマー膜21、22の区域に上向きに押し当たり得る。追加的または代替的に、PSA層34は、第1のフォイル層31の部分と共に破断され得る弱化構造を有し得る。
【0133】
第3のポット213の下の第1のフォイル層31の部分を破断することが、第2のポット103を出た希釈液119が、第1のエラストマー膜21およびPSA層34の1つ以上の穴25ならびに第1のフォイル層31の破断部分を貫いて進行して、第3のポット213の内部に到達することができるようにし得るように、第1のエラストマー膜21およびPSA層34は、第3のポット213の下部開口部214と垂直に位置合わせされた1つ以上の穴25のうちの少なくとも1つを有し得る。第3のポット213に入る希釈液119は、凍結乾燥ビーズ117を再構成し得る。第3の上部プランジャー255を下向きに押して、希釈液119による凍結乾燥ビーズ117の再構成により形成された組成物116を、第3のポット213の下部開口部214を通じて推進することができる。組成物116は、第1のフォイル層31の破断部分ならびに第1のエラストマー膜21およびPSA層34の1つ以上の穴25を貫いて進行して、第2のエラストマー膜22の上面に到達し得る。
【0134】
図45〜48は、1つ以上の固体試薬117(例えば、凍結乾燥ビーズ)がカートリッジ10内で処理または取り扱いされている1つ以上の試薬16と混合され得る、別の実施形態を一般的に例示する。図45に示すように、この実施形態の構成要素は、(i)アミン末端ポリアニリン(OPA)124a層、アルミニウム層12b、およびポリプロピレン層124cを含み得るブリスタ層124と、(ii)熱シールラッカー131aおよび穿孔可能なアルミニウム層131bを含み得る穿孔可能なフォイル層131と、(iii)第1および第2のエラストマー膜21、22と、のうちの1つ以上を備え得る。
【0135】
図46に示すように、1つ以上の固体試薬117は、1つ以上の固体試薬117が液体の形態である間に、例えば1つ以上の固体試薬117をブリスタ層124内に充填し、次いで、ブリスタ層124をその中の1つ以上の固体試薬と共に凍結乾燥することにより、ブリスタ層124内に位置付けられ得る。1つ以上の固体試薬117がブリスタ層124内に位置付けられた後、穿孔可能なフォイル層131を、ブリスタ層124に熱シールして、1つ以上の固体試薬117をカプセル化することができる。次いで、上に穿孔可能なフォイル層131を有するブリスタ層124を第1のシャーシ11の上面に熱シールして、一対のブリスタを形成することができる。
【0136】
第1および第2のエラストマー膜21、22は、第1のシャーシ11の底面に熱シールされ得る。追加的または代替的に、感圧性接着剤を使用して、第1および第2のエラストマー膜21、22を第1のシャーシ11の底面に取り付けることができる。第1および第2のエラストマー膜21、22は、上に穿孔可能なフォイル層131を有するブリスタ層124が第1のシャーシ11の上面に熱シールされる前に、上に穿孔可能なフォイル層131を有するブリスタ層124が第1のシャーシ11の上面に熱シールされた後で、かつ/または上に穿孔可能なフォイル層131を有するブリスタ層124が第1のシャーシ11の上面に熱シールされている間に、第1のシャーシ11の底面に取り付けられ得る。
【0137】
1つ以上の固体試薬117(例えば、凍結乾燥ビーズ)は、1つ以上の固体試薬117が第1および第2のエラストマー膜21、22を貫いて進行する1つ以上の試薬によりアクセスされ得るように、第1のシャーシ11内の開口部11aと垂直に位置合わせされ得る。例えば、図47に示すように、開口部11aに隣接するエリア内で穿孔可能なフォイル層131が破断されるようにブリスタを圧縮することにより、一対のブリスタを、使用することができる。開口部11a間の第1のシャーシ11の区域は、例えば第1および第2のエラストマー膜21、22のうちの少なくとも1つを第1のシャーシ11に押し当て得るクランプまたは別のデバイスにより、流体がそこを通過するのを防止するように、バルブにより閉鎖され得る。次いで、1つ以上の試薬16は、開口部11aのうちの第1の開口部を貫いて進行して、1つ以上の固体試薬117に到達し、1つ以上の固体試薬117と混合し得る。得られた混合物は、ブリスタ層124と第1のシャーシ11の上面との間を進行し、次いで、開口部11aのうちの第2のものを通過して、第1および第2のエラストマー膜21、22の間の位置に戻り得る。
【0138】
図48に示すように、カートリッジ10を、その上に位置付けられる1つ以上の固体試薬117なしに、使用することができる。例えば、開口部11aを覆うブリスタ層124のエリアを、1つ以上の試薬16が第1のシャーシ11の下に維持されるように、下向きに圧縮することができる。1つ以上の試薬16は、第2のエラストマー膜22に沿って進むことにより、下流に進行し得る。
【0139】
図45〜48に一般的に例示する一対のブリスタの実施形態は、1つ以上の固体試薬117(例えば、凍結乾燥ビーズ)を縮絨封入することにより、貯蔵安定性を提供し得る。さらに、この実施形態は、ストリップフォーマットの処理に適し、ブリスタの製作をシャーシ組み立てから分離するため、製造性は、有利であり得る。その上、この実施形態は、ブリスタの圧縮のため、デッドボリュームを著しく最小化する。
【0140】
図14および21に示すように、熱処理された1つ以上の試薬16は、熱処理された1つ以上の試薬16が組成物116と混合するように、第1および第2のエラストマー膜21、22の非シール部分21b、22bを貫いて下流に推進され得る。好ましくは、組成物116中の試薬は、1つ以上の試薬16中の単一鎖のDNAを増幅する。熱処理された1つ以上の試薬16は、第1および第2のエラストマー膜21、22の非シール部分21b、22b内で組成物116と混合し得る。
【0141】
磁気ビーズ取り扱い機構
【0142】
図14および21に示すように、カートリッジ10は、増幅されたDNAを結合、洗浄、および溶出するように構成され得る磁気ビーズ取り扱い機構300を備え得る。よって、カートリッジ10は、PCRおよび/またはDNA塩基配列決定などの処理を、遠心分離器の必要性なしに、遂行し得る。磁気ビーズ取り扱い機構300は、1つ以上の磁石、例えば上部磁石301および/または下部磁石302を備え得、磁石301、302は、モータ駆動型であってもよい。例えば、任意追加的にグラフィックユーザインターフェースに通信接続されたプロセッサが、磁石301、302の運動(例えば、第1および第2のエラストマー膜21、22に対する磁石の高さを変えるための垂直運動、カートリッジ10の長さおよび/または幅に沿って磁石の距離を変えるための水平運動、ならびに磁石の回転運動)を制御し得る。磁石301、302のそれぞれは、永久磁石であり得、かつ/または、例えばプロセッサによりアクティブ化され、非アクティブ化され、かつ場の強度が調節され得る電磁石であり得る。任意の数の磁石が使用され得、第1および第2の磁石301、302に関する本明細書に記載の開示は、追加の磁石、例えば、第3の磁石、第4の磁石などにも当てはまる。
【0143】
磁気ビーズ取り扱い機構300は、第1および第2のエラストマー膜21、22により形成された1つ以上のチャンバ310を備え得、1つ以上の試薬16は、組成物116と混合された後に、1つ以上のチャンバ310に入り得る。例えば磁石301、302がビーズ結合されたDNAをまとめられた状態に保つことにより、磁石301、302がチャンバ310内のビードの位置を維持する間に、ビーズ結合されたDNAの1回以上の洗浄が、遂行され得る。好ましくは、磁石301、302は、ビーズが洗浄される間、静止状態に保持される。ある好ましい実施形態では、1つ以上のチャンバ310は、第1および第2の混合チャンバ111、112ならびに本明細書で上述した1つ以上の混合チャネル113を備える。
【0144】
磁気ビーズ取り扱い機構300は、中でカートリッジ10が使用される装置8内のプロセッサにより制御され得る温度センサおよび温度制御デバイス(図示せず)を備え得る。
【0145】
様々な代替的な実施形態では、ダイターミネータ除去ビーズを用いて、ダイがプロセスを進む前に、試薬からダイを抽出し得る。一部の実施形態では、このようなビーズは、穿孔可能なバイパスバルブを介してアクセス可能な、可撓性膜に沿ってチャンバ内にカプセル化された非磁気ダイスポンジであり得る。一部の実施形態では、非磁気ダイターミネータ除去ビーズが、上述の磁気ビーズ取り扱い機構の代わりに用いられる。他の実施形態では、非磁気ダイターミネータ除去ビーズは、磁気ビーズ取り扱い機構への補足として使用される。
【0146】
図21を再び参照すると、柔軟層20および支持ブロック12は、カートリッジ10内の様々な位置で1つ以上のバルブを形成し得る。バルブの閉鎖位置は、第1および第2のエラストマー膜21、22の非シール部分21b、22bにより形成されたチャネルの区域を閉鎖し、チャネル内の流体を上流および/または下流に追いやり得る(他のバルブおよびピストンの位置に依存して)。バルブの開放位置は、1つ以上の試薬16からの圧力下でチャネルの一区域が開くことができるようにし得る。
【0147】
例えば、バルブの閉鎖位置は、第1のエラストマー膜21の非シール部分21bの一区域を、第2のエラストマー膜22の非シール部分22bのうちの対応する(例えば、垂直に位置合わせされた)区域に対して保持し得る。結果的に、1つ以上の試薬16は、第1および第2のエラストマー膜21、22の非シール部分21b、22bのこれらの区域内へ、またはそれらを貫いて移動することができない。バルブの開放位置は、第1のエラストマー膜21の非シール部分21bの区域が、1つ以上の試薬16がこれらの区域に到達するとき、第2のエラストマー膜22の非シール部分22bの対応する区域から離れる方向に移動することができるようにし得る。
【0148】
ある非限定的な例として、バルブのうちの1つは、第1のポット13と加熱器ブロック52との間に位置付けられ得、第1のポット13から注入された1つ以上の試薬16が加熱器ブロック52に隣接する第1のチャンバ24に到達することを防止するように閉鎖位置にあり得、次いで、1つ以上の試薬16が加熱器ブロック52に隣接する第1のチャンバ24に到達することができるように開放位置にあり得、次いで、加熱器ブロック52に隣接する第1のチャンバ24内の1つ以上の試薬16がカートリッジ10内で上流に進行するのを防止するように閉鎖位置に戻り得る(例えば、第1のポット13に向かって戻る)。
【0149】
別の非限定的な例として、バルブのうちの1つは、加熱器ブロック52と第2のポット103との間に位置付けられ得、加熱器ブロック52に隣接する第1のチャンバ24内の1つ以上の試薬16が第2のポット103に到達するのを防止するように閉鎖位置にあり得、次いで、1つ以上の試薬16が第2のポット103に到達することができるように開放位置にあり得、次いで、第2のポット103に隣接する1つ以上の試薬16がカートリッジ10内で上流に進行するのを防止するように閉鎖位置に戻り得る(例えば、加熱器ブロック52の上の第1のチャンバ24に向かって戻る)。
【0150】
さらに別の非限定的な例として、バルブのうちの1つは、第3のポット213の間に位置付けられ得、第3のポット213に隣接する1つ以上の試薬16が磁気ビーズ取り扱い機構300に到達するのを防止するように閉鎖位置にあり得、次いで、1つ以上の試薬16が磁気ビーズ取り扱い機構300に到達することができるように開放位置にあり得、次いで、磁気ビーズ取り扱い機構300に隣接する1つ以上の試薬16がカートリッジ10内で上流に進行するのを防止するように閉鎖位置に戻り得る(例えば、第3のポット213に向かって戻る)。
【0151】
図14および21に示すように、磁気ビーズ取り扱い機構300の1つ以上のチャンバ310は、第1の混合チャンバ111、第2の混合チャンバ112、ならびに第1および第2の混合チャンバ111、112間の流体連通を提供する1つ以上の混合チャネル113を備え得る。
【0152】
ある実施形態では、第1および第2の混合チャンバ111、112に対応する第1および第2のエラストマー膜21、22の区域は、所望の形状で予備形成され得る(図25A)。このような実施形態では、1つ以上の試薬16が第1および第2のエラストマー膜21、22のこれらの予備形成された区域に到達する前に、第1のエラストマー膜21の予備形成された区域は、下向きに湾曲し、第2のエラストマー膜22の予備形成された区域に当接し得る。次いで、1つ以上の試薬16がこれらの区域に到達するとき、1つ以上の試薬16は、第1および第2の混合チャンバ111、112が形成されるように、第1のエラストマー膜21の予備形成された区域を、第2のエラストマー膜22の予備形成された区域から押し離し得る。このような実施形態の利点としては、第1および第2の混合チャンバ111、112の膨張の容易性、ならびに第1および第2の混合チャンバ111、112の内側の圧力の最小化が挙げられる。
【0153】
別の実施形態では、第1および第2の混合チャンバ111、112に対応する第1および第2のエラストマー膜21、22の区域は、1つ以上の試薬16がこれらの部分に到達する前は、平坦である(図25B)。次いで、1つ以上の試薬16がこれらの区域に到達するとき、1つ以上の試薬16は、第1および第2の混合チャンバ111、112が形成されるように、それらを押し隔て得る。このような実施形態の利点としては、熱接触の改善、ならびに第1および第2の混合チャンバ111、112内の気泡の可能性の低減が挙げられる。
【0154】
他の実施形態では、第1および第2の混合チャンバ111、112のうちの一方または両方は、第1および第2のエラストマー膜21、22の予備形成された区域ではない。
【0155】
図26A〜26Dは、第1および第2の混合チャンバ111、112が第1および第2のエラストマー膜21、22の予備形成された区域を備えるある実施形態において遂行された初期チャンバ流体取り扱い試験からの写真である。
【0156】
図27A〜27Cは、互いに取り付けられた第1のエラストマー膜21および第2のエラストマー膜22のある実施形態の断面図を示す。入口孔224および/またはチャンバポート225が、第1のエラストマー膜21上に位置付けられ得る。入口孔224およびチャンバポート225は、任意の好適な材料、例えば環状オレフィンコポリマー(COC)から形成され得、材料の単一部品、または材料のはっきりと異なる部品により提供され得る。ある実施形態では、第1のシャーシ11は、入口孔224および/またはチャンバポート225を、好ましくは磁気ビーズ取り扱い機構300の一部として、例えばそれぞれ第1の混合チャンバ111および第2の混合チャンバ112と垂直に位置合わせされた状態で、提供し得る。ピストン53は、入口孔224および/またはチャンバポート225内に移動して、第1のエラストマー膜21および/または第2のエラストマー膜22に押し当たり、その中の1つ以上の試薬16を他方の混合チャンバまたは下流の位置に推進し得る。
【0157】
図28Aおよび28Bは、第1および第2のエラストマー膜21、22の非シール部分21b、22bの変位をそれらの断面において示す。これらの図に示すように、流体は、エラストマー膜21、22を互いから変位させてチャネルを形成し、さらに大きい変位を発揮してチャンバを形成する。図29は、このような「蝶ネクタイ」構成におけるフロー分布を他の幾何形状と比較して示す。
【0158】
第1および第2の混合チャンバ111、112は、カートリッジ10内で遂行されるDNA精製プロセスの1つ以上のステップのために利用され得る。例えば、磁気ビーズは、第1および第2の混合チャンバ111、112内で用いられ得る。磁気ビーズに関連して本明細書で使用するとき、「分散」は、ビーズが運搬され得るように、ビーズを流体中に再懸濁することを指し、「混合」は、ビーズを再懸濁すること、次いで、必要とされる時間尺度の間十分なビーズ表面積が必ず特定の試薬(試料/洗剤)に接触するようにするためのステップを遂行することを指す。磁気ビーズが運搬されるとき、磁気ビーズは、正しいチャンバに到達しなければならず、拡散またはこの点を越えて漂流してはならない。したがって、ある実施形態では、磁気ビーズは、磁気ビーズの溶液が第1の混合チャンバ111内に注入されるとき、磁石301、302のうちの1つ以上により固定的に位置付けられ(「トラップされ」)得る。
【0159】
磁気ビーズは、注入されるとき、第1および第2の混合チャンバ111、112内で遠くまで分散し得るが、磁石301、302のうちの1つ以上が存在する間に磁気ビーズが注入される場合、正確にトラップされ得る。ある実施形態では、磁気ビーズは、1分未満で収集され得る。磁気ビーズの収集は、磁石301、302のうちの1つ以上が、静止位置に維持されるのではなく、第1および第2の混合チャンバ111、112に対して移動される場合、促進され得る。
【0160】
第1および第2の混合チャンバ111、112内のフローは、第1および第2の混合チャンバ111、112のうちの一方への入口孔により、かつ/または第1および第2のエラストマー膜21、22のうちの1つ以上を押下および解放することにより流体を圧送することにより、生成され得る。
【0161】
第1および第2の混合チャンバ111、112の丸みのある形状は、速度の低いその縁部に淀んだエリアをもたらし得る。これらのエリア内に位置付けられた磁気ビーズは、除去するのが困難であり得る。したがって、ある好ましい実施形態では、1つ以上の混合チャネル113は、流体流を集中させ、その中で高い速度を確保するために、狭小であり得、例えば1〜2mmの幅および3〜5mmの長さを有する。磁気ビーズは、磁石301、302が取り除かれるとき、1つ以上の混合チャネル113内に収集され、容易に分散され得る。
【0162】
磁気ビーズは、磁気ビーズを可動磁石により広げることおよび/または振動流を使用することにより、実質的に均一に分散および/または混合され得る。振動流は、第1および第2のエラストマー膜21、22のうちの1つ以上を押下および解放すること(例えば、ピストン53を使用して)により、ならびに/または第1および第2の混合チャンバ111、112の入口もしくは出口に接続されたシリンジを使用してフローを方向付けることにより、生成され得る。
【0163】
ある非限定的な例として、サンガー法が、カートリッジ10内で使用され得る。この実施形態では、磁気ビーズは、溶液中に放出され得、磁気ビーズは、第1の混合チャンバ111に移され得、試料は、第1の混合チャンバ111内に移され得、磁気ビーズは、必要および/または所望に応じて再懸濁され得、磁気ビーズは、第1の洗浄に供される間に1つ以上の磁石により第1の混合チャンバ111内に固定的に位置付けられ得、磁気ビーズは、必要および/または所望に応じて再懸濁され得、磁気ビーズは、第2の洗浄に供される間に磁石301、302のうちの1つ以上により第1の混合チャンバ111内に固定的に位置付けられ得、磁気ビーズは、必要および/または所望に応じて再懸濁され得、溶出バッファが、第1の混合チャンバ111に追加され得、磁気ビーズは、必要および/または所望に応じて再懸濁され得、溶出バッファは、第1の混合チャンバ111から第2の混合チャンバ112に移され得る。この非限定的な例では、これらのステップは、列挙されている順序で遂行されることが好ましいが、ステップのうちの1つ以上は、省略され得、追加のステップが、追加され得る。
【0164】
ある実施形態では、磁石301、302は、エタノール洗浄の間第1および第2の混合チャンバ111、112内に磁気ビーズをトラップし得、溶出バッファによる溶出ステップの前に、1つ以上の混合チャネル113内に磁気ビーズをトラップし得る。ある実施形態では、磁石301、302は、ピストン53内に位置付けられ得、ピストン53内に退避可能であり得る。磁石301、302のこの構成は、磁気ビーズを第1および第2の混合チャンバ111、112の内側に急速にトラップし得る。磁気ビーズが磁石301、302により収集された後、収集された磁気ビーズは、1つ以上の混合チャネル113内に引き入れられ得る。
【0165】
図30A〜30Eは、磁気ビーズ取り扱い機構300内で用いられ得る様々な実施形態を一般的に例示する。図30A〜30Dに示すように、混合チャネル113は、穿孔可能なバイパスバルブを備え得、穿孔可能なバイパスバルブは、事前ロードされた乾式試薬または液体ビーズを収容し得る。図30Eに示すように、第1および第2の混合チャンバ111、112は、幅広な「腎臓形状の」チャンバを形成し得、混合チャネル113は、不在であり得る。磁気ビーズは、チャンバ111、112の一端の、バルブにより遮断された領域内にトラップされ得る。
【0166】
一部の実施形態では、追加のチャンバ114が、第1および第2の混合チャンバ111、112のうちの一方または両方に接続され得る。バルブは、第1および第2の混合チャンバ111、112のうちの対応する1つの洗浄の間などに、追加のチャンバ114の中身がチャンバ114から出るのを防止するように、追加のチャンバ114への接続を選択的に封鎖し得る。追加のチャンバ114を利用する実験の非限定的な例を、図31に示す。
【0167】
エラストマー膜の物理特性
【0168】
好ましくは、第1および第2のエラストマー膜21、22の材料は、次の特性のうちの1つ以上を有する。すなわち、本明細書で上述したように、フォイルプランジャーであるに押し当てられることによりフォイルを穿孔することができる;本明細書で上述したように、チャンバを形成するように膨張されることができる;形成可能である;溶着可能である;生体適合性である;100℃の動作温度で無欠陥性を維持することができる;および/または高温蒸気バリアとして働く、である。例えば、ポリ塩化ビニルなどの一部の熱可塑性エラストマーは、より高温で継続した機能が可能であり、ポリエチレンおよびポリウレタンの共押出などの一部の高バリアフィルムが、用いられ得る。したがって、図32Aに一般的に例示するある好ましい実施形態では、第1のエラストマー膜21は、材料の単一部品から形成され、第2のエラストマー膜22は、材料の単一部品から形成される。
【0169】
図32Bおよび32Cに一般的に例示するように、カートリッジ10のある実施形態は、1つ以上の第1のエラストマーパッチ121を第1のエラストマー膜21上に使用する。1つ以上の第1のエラストマーパッチ121と第1のエラストマー膜21との組み合わせが連続層を形成するように、第1のエラストマー膜21は、1つ以上の第1のエラストマーパッチ121と実質的に同一の広がりを有する開放区域21cを備え得る。1つ以上の第1のエラストマーパッチ121は、好ましくは、第1のエラストマー膜21とは異なる材料、例えば第1のエラストマー膜21の材料と比較してより高い温度許容度および/またはより大きい蒸気バリア特性を有する材料である。1つ以上の第1のエラストマーパッチ121を、カートリッジ10を横切る流体が高温に供されるカートリッジ10のエリア内で使用することができる。カートリッジ10は、上述の1つ以上の第1のエラストマーパッチ121および第1のエラストマー膜21と同様に、第2のエラストマー膜22と協働し得る1つ以上の第2のエラストマーパッチ(図示せず)を備え得る。
【0170】
ある非限定的な例として、図33Aおよび33Bは、成型レーン、例えばポリプロピレン内に成型されたレーンにエラストマーが直接結合されたカートリッジ10のある実施形態を示す。エラストマーは、熱シール、感圧性接着剤、または技能工に公知の他の任意の好適な手段により直接結合され得る。直接結合に対して追加的または代替的に、エラストマーは、成型レーン上にあるフォイル層に結合され得、フォイル層は、任意追加的に感圧性接着剤層と共に、チャンバの蓋を形成し得る。外部から適用される特徴部を使用して、流体をチャネルから排出することができる。
【0171】
図34Aおよび34Bは、一方向に回転されてバルブを開放位置に動かし得、反対方向に回転されてバルブを閉鎖位置に動かし得るねじを備えたバルブにより、締め付けプレート81を備え得る固定具80内に締め付けられた、カートリッジ10のこの実施形態を示す。好ましくは、締め付けプレート81は、陥凹部を備え、陥凹部は、バルブにより閉鎖されていない場合であって、1つ以上の試薬16により到達されるとき、第1および第2のエラストマー膜21、22の非シール部分21b、22bが膨張することができるように構成されている。締め付けプレート81は、第1および第2のエラストマー膜21、22などの、カートリッジ10内の層が剥離するのを防止し得る。
【0172】
図35は、カートリッジ10のこの実施形態内への流体ロードを示す。図36は、カートリッジ10にわたっての流体の前進、例えば流体の分注および混合を示す。図37は、第1および第2の膜21、22の非シール部分21b、22bの間を流れ、それによりカートリッジ10内にチャネルを形成する1つ以上の試薬16を示す。
【0173】
図38〜41は、カートリッジ10を備えるシステム100のある実施形態を示す。システム100は、1つ以上の試薬16および/または他の材料をカートリッジ10内に分注するために使用され得るプランジャー101と、カートリッジ10が可逆的に接続し得る締め付けフレーム102と、締め付けフレーム102が可逆的に接続し得る中間部品104と、中間部品103が可逆的に接続し得る基部105とを備え得る。基部105は、カートリッジ10を高い位置に位置付けるように構成された1つ以上の脚部106を備え得る。
【0174】
ある実施形態では、基部106は、トグルクランプ107を備え得、トグルクランプ107は、例えば閉鎖位置と開放位置との間で動くことにより、別々に操作され、それによりカートリッジ10内のチャネルを作動させるように構成されている。トグルクランプ106のうちの1つを閉鎖位置に動かすことは、カートリッジ10の対応する区域内に位置付けられた1つ以上の試薬16をカートリッジ10内の下流の位置に推進し得る。例えば、トグルクランプ107のそれぞれは、支持ブロック12の一区域と、支持ブロック12の一区域上に定着された柔軟層20の一区域とを備え得る。
【0175】
図42は、好ましくは第1および第2のエラストマー膜21、22の間に気泡トラップが使用される、カートリッジ10のある実施形態を一般的に例示する。気泡トラップは、デッドボリュームにつながり得、よって気泡トラップは、生み出されるデッドボリュームと気泡を除去する有効性とのバランスをとるように構成され得る。図42は、インサート、例えばステレオリソグラフィインサートが、気泡トラップとして用いられ得ることを示す。代替的な幾何形状および材料を、インサート用に使用することができる。ある実施形態では、インサートは、形成または作製されたプラスチックフォイルであり得る。
【0176】
図42は、第1および第2のエラストマー膜21、22を積層するために使用される溶着技法は気泡を形成し得ること、例えば、第2のエラストマー膜22の区域に溶着された第1のエラストマー膜21の区域は、気泡を形成し得ること、を示す概略図を含む。図43Aは、第1のエラストマー膜21の区域が第2のエラストマー膜22の区域に溶着され、気泡を形成し得る実施形態の写真である。
【0177】
図43Bは、気泡除去チャネル253の写真である。様々な実施形態では、気泡除去チャネル253は、1つの壁が多孔質膜である流体チャネルを含む。気泡を含む流体が圧力下でチャネルに沿って押されるにつれて、空気は、膜を通じて排出され、それにより流体から取り除かれる。
【0178】
図44は、カートリッジ10のある実施形態における、試薬とカートリッジ10内のそれらの位置との非限定的な例の概略図である。
【0179】
本明細書に記載の現在の好ましい実施形態に対する様々な変更および変形は、当業者に明らかであろう。このような変更および変形は、本主題の趣旨および範囲から逸脱することなしに、かつその意図する利点を減縮することなしに、行われ得る。したがって、このような変更および変形は、添付請求項により包含される。
以下に本発明の実施態様を記載する。
(実施態様1)カートリッジであって、開口部を画定するシャーシと、第1のエラストマー膜であって、前記開口部から流体を受容するチャネルの少なくとも一部分を画定する非シール部分、および前記非シール部分を取り囲むシール部分、を備える、第1のエラストマー膜と、を備える、カートリッジ。
(実施態様2)前記シャーシが、上部通路を画定するポットを備え、前記上部通路が、前記開口部と垂直に位置合わせされている、実施態様1に記載のカートリッジ。
(実施態様3)前記シャーシが、チャネルの形成を容易にするように構成された溝を備える、実施態様1に記載のカートリッジ。
(実施態様4)前記溝が、直角、隅肉付き、および丸み付きからなる群から選択された形状を有する、実施態様3に記載のカートリッジ。
(実施態様5)前記第1のエラストマー膜の少なくとも一部分に固定的に取り付けられた第2のエラストマー膜を備える、実施態様1に記載のカートリッジ。
(実施態様6)前記第2のエラストマー膜が、前記第1のエラストマー膜の前記シール部分に固定的に接続されたシール部分を備え、前記第1のエラストマー膜の前記シール部分および前記第2のエラストマー膜の前記シール部分が、前記チャネルの周囲の少なくとも一部分を画定する、実施態様5に記載のカートリッジ。
(実施態様7)流体が、前記第1のエラストマー膜に隣接して位置付けられ、前記流体が、前記チャネル内へ、かつ/または前記チャネルを通って移動可能である、実施態様1に記載のカートリッジ。
(実施態様8)前記開口部の内側に位置付けられたカプセル化試薬を備え、前記シャーシが、前記カプセル化試薬を前記チャネル内へ方向付けるように、かつ/または前記チャネルからの前記カプセル化試薬へのアクセスを提供するように構成されている、実施態様1に記載のカートリッジ。
(実施態様9)前記シャーシと前記第1のエラストマー膜との間に位置付けられた第1のフォイル層であって、前記シャーシに固定的に取り付けられた上面と前記第1のエラストマー膜に固定的に取り付けられた下面とを備える、第1のフォイル層、を備える、実施態様1に記載のカートリッジ。
(実施態様10)前記第1のフォイル層が、カプセル化試薬を前記シャーシにより形成されたポット内にシールする、実施態様9に記載のカートリッジ。
(実施態様11)流体を保持チャンバ内にシールし、前記流体が前記チャネルの形成を開始することができるように、圧力に応答して破断可能であるように構成されたバリア膜を備える、実施態様1に記載のカートリッジ。
(実施態様12)前記ポットが、前記上部通路の内側に位置付けられた第1のプランジャーを備え、前記第1のプランジャーが、圧力に応答して下向きに移動し、前記流体を前記チャネル内に方向付けるように構成されている、実施態様2に記載のカートリッジ。
(実施態様13)試薬の熱処理のためのシステムであって、
熱を放出する加熱器ブロックと、
第1のエラストマー膜と、
前記第1のエラストマー膜に隣接して位置付けられた第2のエラストマー膜であって、前記第2のエラストマー膜の一部分が、前記加熱器ブロックからの前記熱を受容するように位置付けおよび配置される第1のチャンバを画定するように、前記第1のエラストマー膜の一部分にシールされている、第2のエラストマー膜と、を備える、システム。
(実施態様14)前記第1および第2のエラストマー膜が、第2のチャンバを画定する、実施態様1に記載のシステム。
(実施態様15)前記加熱器ブロックに対向するピストンを備える、実施態様1に記載のシステム。
(実施態様16)前記ピストンが、磁石を備える、実施態様3に記載の前記システム。
(実施態様17)前記第1および第2のエラストマー膜が、前記第1のチャンバに通じるチャネルを形成する、実施態様1に記載のシステム。
(実施態様18)カートリッジが、前記第1および第2のエラストマー膜を備え、前記カートリッジと相互作用するように構成された装置が、前記加熱器ブロックを備える、実施態様1に記載のシステム。
(実施態様19)混合システムであって、
第1のエラストマー膜と、
前記第1のエラストマー膜に隣接して位置付けられた第2のエラストマー膜であって、前記第2のエラストマー膜の一部分が、チャネル、第1の混合チャンバ、および第2の混合チャンバを形成するように、前記第1のエラストマー膜の一部分にシールされている、第2のエラストマー膜と、
前記第1の混合チャンバと相互作用するように構成された第1のピストンと、
前記第2の混合チャンバと相互作用するように構成された第2のピストンと、を備える、混合システム。
(実施態様20)前記第1および第2の混合チャンバからそれぞれ上流および下流に位置付けられ、前記第1および第2の混合チャンバを前記チャネルから隔離するように構成された、第1のバルブおよび第2のバルブを備える、実施態様1に記載のシステム。
(実施態様21)柔軟層が、前記支持ブロックに固定的に取り付けられている、実施態様1に記載のシステム。
(実施態様22)前記第1のピストンが、前記第1の混合チャンバに圧力を加えるように構成されている、実施態様1に記載のシステム。
(実施態様23)前記第2のピストンが、前記第2の混合チャンバに圧力を加えるように構成されている、実施態様4に記載のシステム。
(実施態様24)前記第1および第2のピストンが、前記第1および第2の混合チャンバを交互に押下および解放する、実施態様5に記載のシステム。
(実施態様25)磁気ビーズ取り扱いシステムであって、
第1のエラストマー膜と、
前記第1のエラストマー膜に隣接して位置付けられた第2のエラストマー膜であって、前記第2のエラストマー膜の一部分が、チャネル、第1の混合チャンバ、および第2の混合チャンバを形成するように、前記第1のエラストマー膜の一部分にシールされている、第2のエラストマー膜と、
前記第1および第2の混合チャンバの外側に位置付けられた磁石であって、前記磁石からの磁界が前記第1および第2の混合チャンバのうちの少なくとも1つ内に延在する位置に、選択的に移動するように構成されている、磁石と、を備える、磁気ビーズ取り扱いシステム。
(実施態様26)前記磁石が、永久磁石および電磁石からなる群から選択される、実施態様1に記載の磁気ビーズ取り扱いシステム。
(実施態様27)方法であって、
流体をチャネル内に導入するステップであって、前記チャネルが、第2のエラストマー膜の一部分にシールされた第1のエラストマー膜の一部分により画定され、前記第1および第2のエラストマー膜が、非シール部分を取り囲むシール部分を備える、ステップを含み、
流体の前記チャネル内への導入前に、前記第1のエラストマー膜の前記非シール部分が、前記第2のエラストマー膜の前記非シール部分に実質的に当接し、前記流体の導入が、前記第2のエラストマー膜の前記非シール部分からの前記第1のエラストマー膜の前記非シール部分の分離を強制する、方法。
(実施態様28)前記流体が前記チャネルを通って第2の非シール部分内に流入するように、第1の非シール部分に圧力を加えることを含み、前記第1の非シール部分が、対向する非シール部分との実質的な当接に戻る、実施態様1に記載の方法。
(実施態様29)前記流体をポット内に貯蔵することを含み、前記ポットが、上部通路を画定し、該上部通路を通って、前記流体が、前記チャネル内に導入される、実施態様1に記載の方法。
(実施態様30)カートリッジであって、
頂面および底面を備え、それぞれ前記底面から前記頂面に延在する第1の開口部および第2の開口部を画定するシャーシと、
第1のエラストマー膜であって、前記シャーシの前記底面に接続され、かつ
流体を運ぶチャネルの少なくとも一部分を画定する非シール部分、および
前記非シール部分を取り囲むシール部分、を備える、第1のエラストマー膜と、
第2のエラストマー膜であって、
前記第1のエラストマー膜の前記シール部分に固定的に接続されたシール部分であって、前記第1のエラストマー膜の前記シール部分および前記第2のエラストマー膜の前記シール部分が、前記チャネルの周囲の少なくとも一部分を画定する、シール部分、および
前記シャーシの前記頂面に接続されて、前記カートリッジ上で試薬をカプセル化する、前記第1の開口部と垂直に位置合わせされている可撓性層、を備える、第2のエラストマー膜と、を備え、
前記第1のエラストマー膜が、少なくとも前記第1および第2の開口部と重なり合う1つ以上の開放部分を備え、前記チャネルが、前記1つ以上の開放部分に通じている、カートリッジ。
(実施態様31)前記シャーシの前記頂面に接続されたフォイル層を備え、前記試薬が、前記可撓性層と前記フォイル層との間に位置付けられている、実施態様1に記載のカートリッジ。
(実施態様32)前記試薬が、凍結乾燥ビーズの形である、実施態様1に記載のカートリッジ。
(実施態様33)前記可撓性層が、ポリプロピレンを含む、実施態様1に記載のカートリッジ。
(実施態様34)カートリッジを使用して流体を試薬と混合する方法であって、
前記流体を、前記カートリッジ内の第1および第2のエラストマー膜により形成されたチャネルを通って方向付けることであって、前記第1のエラストマー膜が、前記カートリッジのシャーシの底面に接続され、可撓性層が、前記シャーシの頂面に接続され、前記シャーシが、それぞれ前記底面から前記頂面に延在する第1および第2の開口部を画定する、方向付けることと、
前記流体を、前記シャーシの前記頂面に接続された可撓性層により位置付けられた試薬に接触するように、前記第1のエラストマー膜の開放部分を通って、次いで前記シャーシ内の前記第1の開口部を通って方向付けることであって、前記流体と前記試薬が、混合物を形成する、方向付けることと、を含む、方法。
(実施態様35)前記混合物を前記カートリッジの前記頂面上で前記第2の開口部に対して方向付けることを含む、実施態様5に記載の方法。
(実施態様36)前記混合物を前記第2の開口部を通って前記チャネル内に戻るように方向付けることを含む、実施態様6に記載の方法。
(実施態様37)前記流体の前記シャーシ内の前記第1の開口部を通っての前記方向付けることが、前記第1の開口部から下流の前記チャネルの一区域を閉鎖するようにバルブを作動させることを含む、実施態様5に記載の方法。
(実施態様38)前記試薬が、前記流体が前記試薬に接触する前に、前記可撓性層と前記シャーシの前記頂面に接続されたフォイル層との間に位置付けられている、実施態様5に記載の方法。
(実施態様39)前記流体が前記試薬に接触する前に、前記フォイル層が開放されて前記第1の開口部を通じて前記試薬へのアクセスを提供するように、前記可撓性層を圧縮することを含む、実施態様9に記載の方法。
図1
図2A
図2B
図2C
図3A
図3B
図4A
図4B
図5
図6
図7
図8
図9A
図9B
図9C
図9D
図10A
図10B
図10C
図10D
図11A
図11B
図11C
図12A
図12B
図12C
図13
図14
図15
図16
図17
図18A
図18B
図19
図20A
図20B
図21
図22A
図22B
図22C
図23A
図23B
図23C
図24A
図24B
図25A
図25B
図26A
図26B
図26C
図26D
図27A
図27B
図27C
図28A
図28B
図29
図30A
図30B
図30C
図30D
図30E
図31
図32A
図32B
図32C
図33A
図33B
図34A
図34B
図35
図36
図37
図38
図39
図40
図41
図42
図43A
図43B
図44
図45
図46
図47
図48
図49A
図49B
図50