(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第2の成形ステップから生じた前記物品の伸びは、前記第1の成形ステップから生じた前記加熱された物品の伸びの75%〜125%である、請求項15に記載のプロセス。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】以下のように処理された異なる調質度のAA6016合金試料の応力ひずみ曲線を示す線プロットである:T4試料は、室温で1ヶ月時効処理され;T61試料は、140℃で14時間の熱処理によりT4調質度試料から得られ;T6試料は、180℃で14時間の熱処理によりT4試料から得られた。工学ひずみ(%)は、X軸上にプロットされている。工学応力(MPa)は、Y軸上にプロットされている。
【
図2】引張試験に使用された試料アルミニウム合金試験片の写真である。
【
図3】90℃/秒の速度での誘導加熱により様々な温度(示される通り)に加熱されたT4調質度のAA6016合金試料の加熱曲線を示す線プロットである。矢印は、引張試験の開始を示す。時間(秒)は、X軸上にプロットされている。温度(℃)は、Y軸上にプロットされている。
【
図4】90℃/秒の速度での誘導加熱により様々な温度(示される通り)に加熱されたT61調質度のAA6016合金試料の応力−ひずみ曲線を示す線プロットである。室温(「RT」)におけるAA6016合金試料の応力−ひずみ曲線もまた示されている。垂直の実線は、室温(RT)試料の全伸びを表す。垂直の点線は、室温試料の全伸びと比較した3%の全伸びの増加を表す。各温度における伸びのパーセンテージが示されている。工学ひずみ(%)は、X軸上にプロットされている。工学応力(MPa)は、Y軸上にプロットされている。
【
図5】90℃/秒の速度での誘導加熱により様々な温度(示される通り)に加熱されたT6調質度のAA6016合金試料の応力−ひずみ曲線を示す線プロットである。室温(「RT」)におけるAA6016合金試料の応力−ひずみ曲線もまた示されている。垂直の実線は、室温(RT)試料の全伸びを表す。垂直の点線は、室温試料の全伸びと比較した5%の全伸びの増加を表す。各温度における伸びのパーセンテージが示されている。工学ひずみ(%)は、X軸上にプロットされている。工学応力(MPa)は、Y軸上にプロットされている。
【
図6】90℃/秒の速度での誘導加熱により様々な温度(示される通り)に加熱され、水焼き入れされ、水焼き入れ後に室温で1週間時効処理されたT61調質度のAA6016合金試料の応力−ひずみ曲線を示す線プロットである。引張試験は室温で行われた。室温(「RT」)に維持されたAA6016合金試料の応力−ひずみ曲線もまた示されている。工学ひずみ(%)は、X軸上にプロットされている。工学応力(MPa)は、Y軸上にプロットされている。
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図7】90℃/秒の速度での誘導加熱により様々な温度(示される通り)に加熱され、水焼き入れされ、水焼き入れ後に室温で1週間時効処理されたT6調質度のAA6016合金試料の応力−ひずみ曲線を示す線プロットである。引張試験は室温で行われた。比較のために、室温(「RT」)に維持されたAA6016合金試料の応力−ひずみ曲線もまた示されている。工学ひずみ(%)は、X軸上にプロットされている。工学応力(MPa)は、Y軸上にプロットされている。
【
図8】90℃/秒または3℃/秒の速度での誘導加熱により様々な温度(示される通り)に加熱され、水焼き入れされ、水焼き入れ後に室温で1週間時効処理されたT6調質度のAA6016合金試料の応力−ひずみ曲線を示す線プロットである。引張試験は室温で行われた。室温(「RT」)に維持されたAA6016合金試料、及びT4調質度のAA6016合金試料(「基準T4」)の応力−ひずみ曲線もまた示されている。工学ひずみ(%)は、X軸上にプロットされている。工学応力(MPa)は、Y軸上にプロットされている。
【
図9】温間成型加熱処理後のAA6016合金試料の比較電気伝導率測定の結果を示す棒グラフである。伝導率測定前に、T6調質度の試料を、90℃/秒(各対の右のヒストグラムバー)及び3℃/秒(各対の左のヒストグラムバー)の速度での誘導加熱により様々な温度(示される通り)に加熱し、水焼き入れし、その後室温で1週間時効処理した。水平の線は、T4調質度のAA6016試料から予測される伝導率レベルを示す。温度(℃)は、X軸上にプロットされている。伝導率(MS/m)は、Y軸上にプロットされている。
【
図10】温間成型加熱処理後のAA6016合金試料の比較電気伝導率測定の結果を示す棒グラフである。伝導率測定前に、T61調質度(各対の左のヒストグラムバー)及びT6調質度(各対の右のヒストグラムバー)の試料を、90℃/秒の速度での誘導加熱により様々な温度(示される通り)に加熱し、水焼き入れし、その後室温で1週間時効処理した。水平の線は、T4調質度のAA6016試料から予測される伝導率レベルを示す。温度(℃)は、X軸上にプロットされている。伝導率(MS/m)は、Y軸上にプロットされている。
【
図11】3℃/秒の速度での誘導加熱により様々な温度(示される通り)に加熱されたT6調質度の加熱されたAA6016合金試料の応力−ひずみ曲線を示す線グラフである。引張試験は示された温度で行われた。室温(「RT」)におけるAA6016合金試料の応力−ひずみ曲線もまた示されている。工学ひずみ(%)は、X軸上にプロットされている。工学応力(MPa)は、Y軸上にプロットされている。
【
図12】試験に使用された型打ちされた合金の写真である。
図12に示される合金は、室温で型打ちされ、成形中に破砕した。
【
図13】試験に使用された型打ちされた合金の写真である。
図13に示される合金は200℃に予熱され、成形中破砕しなかった。
【
図14】試験に使用された型打ちされた合金の写真である。
図14に示される合金は250℃に予熱され、成形中破砕しなかった。
【
図15】試験に使用された型打ちされた合金の写真である。
図15に示される合金は350℃に予熱され、成形中破砕しなかった。
【
図16】試験に使用された型打ちされた合金の写真である。
図16に示される合金は200℃に予熱され、成形中破砕しなかった。
【
図17】試験に使用された型打ちされた合金の写真である。
図17に示される合金は250℃に予熱され、成形中破砕しなかった。
【
図18】試験に使用された型打ちされた合金の写真である。
図18に示される合金は350℃に予熱され、成形中破砕しなかった。
【
図19】実施例5及び6に記載される予熱及び成型された合金試料の引張強度試験結果を示す線プロットである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本明細書で使用される、「発明」、「本発明(the invention)」、「本発明(this invention)」、及び「本発明(the present invention)」という用語は、本特許出願及び以下の特許請求の範囲の主題の全てを幅広く示すことを意図する。これらの用語を含む記述は、本明細書に記載の主題を限定しないように、または以下の特許請求の意味もしくは範囲を限定しないように理解されるべきである。
【0016】
この説明において、AA番号及び他の関連記号表示、例えば「シリーズ」または「7xxx」で特定される合金が参照される。アルミニウム及びその合金を命名及び特定する上で最も一般的に使用される数字記号表示システムを理解するには、共にThe Aluminum Associationにより出版されている、「International Alloy Designations and Chemical Composition Limits for Wrought Aluminum and Wrought Aluminum Alloys」または「Registration Record of Aluminum Association Alloy Designations and Chemical Compositions Limits for Aluminum Alloys in the Form of Castings and Ingot」を参照されたい。
【0017】
本明細書で使用される場合、文脈上異なる定義が明示されていない限り、「a」、「an」、及び「the」の意味は、単数形及び複数形の呼称を含む。
【0018】
以下の例において、アルミニウム合金は、それらの元素組成に関して重量パーセント(重量%)で説明される。各合金において、残りはアルミニウムであり、全ての不純物の合計の最大重量%は0.15%である。
【0019】
本明細書で他のものが指定されない限り、室温は、20℃、21℃、22℃、23℃、24℃、または25℃を含む、約20℃〜約25℃の温度を指す。
【0020】
別段に指定されない限り、熱処理は、一般に、合金シートまたは物品を、合金シートまたは物品を温間成型するのに十分な温度に加熱することを指す。温間成型のための熱処理は、加熱されたアルミニウム合金シートまたは物品に対して成型が行われるように、成型ステップ前及び/またはそれと同時に行われてもよい。
【0021】
アルミニウム合金及び物品
開示されるプロセスは、任意のアルミニウム合金または析出硬化性アルミニウム合金、例えば、Al、Mg、Si、及び任意選択でCuを含有し、時効硬化反応を示し得るアルミニウム合金を用いて実行され得る。開示されるプロセスに供され得るアルミニウム合金は、硬化された熱処理可能な時効硬化性アルミニウム合金(例えば、熱処理及び/または時効により強化され得る合金)、例えば、2XXX、6XXX、及び7XXXシリーズ合金を含む。非限定的な例は、AA6010、AA6013、AA6056、AA6111、AA6016、AA6014、AA6008、AA6005、AA6005A、AA6120、AA6170、AA7075、AA7085、AA7019、AA7022、AA7020、AA2013、AA2014、AA2008、AA2014、及びAA2017、及びAA2024を含む。
【0022】
例示的なアルミニウム合金は、アルミニウム以外に以下の構成物質を含み得る(全て重量パーセント(重量%)で表される):Si:0.4〜1.5重量%、Mg:0.3〜1.5重量%、Cu:0〜1.5重量%、Mn:0〜0.40重量%、及びCr:0〜0.30重量%。別の例において、アルミニウム合金は、アルミニウム以外に以下の構成物質を含み得る:Si:0.5〜1.4重量%、Mg:0.4〜1.4重量%、Cu:0〜1.4重量%、Mn:0〜0.35重量%、及びCr:0〜0.25重量%。さらに別の例において、アルミニウム合金は、アルミニウム以外に以下の構成物質を含み得る:Si:0.6〜1.3重量%、Mg:0.5〜1.3重量%、Cu:0〜1.3重量%、Mn:0〜0.30重量%、及びCr:0〜0.2重量%。さらに別の例において、アルミニウム合金は、アルミニウム以外に以下の構成物質を含み得る:Si:0.7〜1.2重量%、Mg:0.6〜1.2重量%、Cu:0〜1.2重量%、Mn:0〜0.25重量%、及びCr:0〜0.15重量%。アルミニウム合金の組成は、熱処理に対するその反応に影響し得る。例えば、熱処理中または熱処理後の強度は、合金中に存在するMgまたはCu−Si−Mg析出物の量によって影響され得る。
【0023】
開示される方法における使用に好適なアルミニウム合金は、硬化された状態で提供され得る。いくつかの場合において、アルミニウム合金の強度を増加させるための硬化は、少なくとも以下のステップを含む:ほぼ均質な固溶体を達成するのに十分高い温度及び十分長い時間合金を浸漬することにより合金が熱処理された際に生じる、可溶相の固溶を達成するための溶体熱処理;ならびに、室温(自然時効)または高温(人工的時効もしくは析出熱処理)のいずれかにおける溶質原子の析出を達成するための時効硬化。「人工的時効」または「人工的時効硬化」(これらは「析出熱処理」とも称され得る)は、アルミニウム合金の強度及び硬度特性の改善を達成するための、115〜190℃で5〜48時間の処理を指し得る。「自然時効」または「自然時効硬化」は、室温での時効であり、その間、析出及び実質的に安定な状態は、典型的には、数日の期間内で達成される。
【0024】
好適なアルミニウム合金は、T6、T61、またはT5調質度で提供され得る。記号表示「T6」は、合金が溶体熱処理され、次いで人工的に時効処理される、アルミニウム合金の調質度の記号表示である。それと比較して、記号表示「T4調質度」は、アルミニウム合金が溶体熱処理され、実質的に安定な状態まで自然に時効処理された(但し人工的には時効処理されなかった)ことを意味する。T6調質度のアルミニウム合金は、T4調質度の同じ合金よりも低い伸びを有し得るが、より高い降伏強度を有し得る。「T61調質度」という用語は、本明細書で、T4調質度の合金よりも降伏強度は高いが伸びはより低く、またT6調質度よりも降伏強度は低いが伸びはより高い、T4〜T6の中間的調質度を指すように使用される。「T5」は、高温成形プロセスから冷却され、次いで人工的に時効処理されたアルミニウム合金に対する調質度の記号表示である。本明細書に記載のプロセスのうちのいくつかの例において、アルミニウム合金は、熱処理ステップ後に、熱処理ステップ前と同じ調質度(例えば、T6、T61、またはT5)を維持する。
【0025】
開示される温間成型プロセスに供され得るアルミニウム合金物品は、「出発物品」または「出発材料」と呼ぶことができ、また、加熱速度が達成される限り、シート、プレート、管、パイプ、プロファイル、及び他のものを含む。「物品」、「材料」、及び「部品」という用語は、本明細書で同義的に使用され得る。開示される温間成型プロセスは、時効硬化処理及び熱処理され得る任意のアルミニウム物品に対して使用され得る。開示されるプロセスにおいて出発材料として使用され得るアルミニウム合金シートは、所望の厚さ(ゲージ)の、例えば動力車部品の生産に好適な厚さのシート形態で生産され得る。アルミニウム合金シートは、アルミニウム合金インゴット、ビレット、スラブ、ストリップまたは同様のものから生産された圧延アルミニウムシートであってもよい。
【0026】
温間成型プロセス前に、硬化された状態、例えばT6、T61、またはT5である限り、異なる方法を使用してアルミニウムシートまたはプレートが作製されてもよい。例えば、アルミニウム合金シートは、アルミニウム合金をインゴットに直接チル鋳造することと、インゴットを熱間圧延して、シートを作製することと、シートを最終ゲージまで冷間圧延することとを含むプロセスにより生産されてもよい。直接チル鋳造の代わりに連続鋳造またはスラブ鋳造を使用して、シートに加工される出発材料を作製してもよい。また、アルミニウム合金シート生産プロセスは、焼成または溶体熱処理、つまり、合金を好適な温度に加熱し、1つ以上の構成物質を固溶状態にするのに十分長い時間それをその温度に保持し、次いでこれらの構成物質を溶体として保持するのに十分急速にそれを冷却するプロセスを含んでもよい。いくつかの場合において、アルミニウム合金シート及び/またはプレートは、約0.4mm〜約10mm、または約0.4mm〜約5mmの厚さを有してもよい。
【0027】
アルミニウム合金シートは、開示されるプロセスを実行する前に、展開または平坦化され得る。アルミニウム合金シートは、例えば、前駆アルミニウム合金物品、または、型打ちのための前駆体を意味する「型打ちブランク」等の「ブランク」と呼ばれる形態に切断することによって分断されてもよい。「ブランク」または「型打ちブランク」は、開示されるプロセスに従って処理され得る物品の中に含まれる。「物品」または「材料」という用語は、開示されるプロセスを実行する前に提供される物品、開示されるプロセスにより処理されている、またはそれに供されている物品、及び、追加のステップまたはプロセスに供された物品を含む、開示されるプロセス後に得られる物品を指し得る。例えば、物品は、開示されるプロセスによる温間成型前に、予備成型されてもよく、または他の手順、プロセス及びステップに供されてもよい。別の例において、物品は、開示されるプロセスによる温間成型後に、後成型されてもよく、または他の手順、プロセス、及びステップに供されてもよい。物品は、型打ち及び/または絞り加工ステップのうちの1つ以上を使用して、温間成型後に最終形状に成型されてもよい。物品は、開示されるプロセス後に、成型後熱処理または塗装に供されてもよい。別の例において、物品は、その強度を増加させるために時効処理されてもよい。成形された物品または製品と称され得る、開示されるプロセスを実行する過程で生産されたアルミニウム合金物品は、本発明の範囲内に含まれる。
【0028】
アルミニウム合金物品は、二次元及び三次元形状アルミニウム合金物品を含む。合金物品の一例は、展開または平坦化されたシートであり、別の例は、さらなる成形なしでシートから切断された平坦な物品である。別の例は、1つ以上の三次元成形ステップ、例えば湾曲、型打ち、プレス、プレス成型または絞り加工を含むプロセスにより生産された非平面アルミニウム合金物品である。そのような非平面アルミニウム合金物品は、「型打ちされた」、「プレスされた」、「プレス成型された」、「絞り加工された」、「三次元成形された」、または他の同様の用語で称され得る。開示される温間成型プロセスに従って成形される前に、アルミニウム合金物品は、別の「温間成型」または「冷間成型」プロセス、ステップまたはステップの組み合わせにより予備成型されてもよい。「冷間成型」は、成型前または成型中に物品に追加的な熱が加えられないことを意味する。成形された物品または製品と称され得る、開示されるプロセスを使用して生産されたアルミニウム合金物品は、本明細書に記載の例に含まれる。
【0029】
開示されるプロセスは、これらに限定されないが、自動車製造、トラック製造、船舶及びボートの製造、列車の製造、飛行機、及び宇宙船製造を含む、輸送及び動力車産業において有利に使用され得る。動力車部品のいくつかの非限定的な例は、フロアパネル、リアウォール、ロッカー、モーターフード、フェンダー、屋根、ドアパネル、B−ピラー、縦通材、車体側部、ロッカーまたは衝突部材を含む。「動力車」という用語及び関連用語は、本明細書で使用される場合、自動車に限定されず、様々な車両クラス、例えば、自動車、車、バス、バイク、海上船舶、オフハイウェイ車、軽トラック、トラック、または貨物自動車を含む。しかしながら、アルミニウム合金物品は、動力車部品に限定されず、本出願に記載されるプロセスに従って製造された他の種類のアルミニウム物品が想定される。例えば、開示されるプロセスは、武器、ツール、電子デバイスの本体、ならびに他の部品及びデバイスを含む、機械デバイス及び他のデバイスまたは機械類の様々な部品の製造に有利に使用され得る。
【0030】
アルミニウム合金物品は、複数の部品を含んでもよく、またはそれらから組み立てられてもよい。例えば、動力車部品は、2つ以上の部品から組み立てられてもよい(例えば内側及び外側パネルを有する自動車フード、または内側及び外側パネルを有する自動車ドア、または複数のパネルを有する少なくとも部分的に組み立てられた動力車車体)。さらに、複数の部品を含む、またはそれらから組み立てられるそのようなアルミニウム合金物品は、それらが組み立てられた、または部分的に組み立てられた後に、開示される温間成型プロセスに好適となり得る。また、いくつかの場合において、アルミニウム合金物品は、非アルミニウム部品またはセクション、例えば、他の金属または金属合金(例えば鋼またはチタン合金)を含有する、またはそれらから組み立てられる部品またはセクションを含んでもよい。いくつかの例において、アルミニウム合金物品は、コア層の片側または両側にクラッド層を有する、コア及びクラッドの構造を有してもよい。
【0031】
加熱
アルミニウムシートまたはそのようなシートから作製された物品の成形は、合金、シート、または物品の加熱を含む。いくつかの例において、シートまたは物品の加熱は、指定された加熱速度または指定された範囲内の加熱速度で、指定された温度または指定された範囲内の温度まで行われる。温度、加熱速度もしくはそれらの範囲、またはそれらの組み合わせは、「加熱パラメータ」と称され得る。本明細書に記載のプロセスにおいて、シートまたは物品は、約125〜425℃、150〜425℃、175〜425℃、200〜425℃、225〜425℃、250〜425℃、275〜425℃、300〜425℃、325〜400℃、350〜400℃、375〜400℃、125〜375℃、125〜375℃、150〜375℃、175〜375℃、200〜375℃、225〜375℃、250〜375℃、275〜375℃、300〜375℃、325〜375℃、350〜375℃、125〜350℃、150〜350℃、175〜350℃、200〜350℃、225〜350℃、250〜350℃、275〜350℃、300〜350℃、325〜350℃、125〜325℃、150〜325℃、175〜325℃、200〜325℃、225〜325℃、250〜325℃、275〜325℃、300〜325℃、125〜300℃、150〜300℃、175〜300℃、200〜300℃、225〜300℃、250〜300℃、275〜300℃、125〜275℃、150〜275℃、175〜275℃、200〜275℃、225〜275℃、250〜275℃、125〜250℃、150〜250℃、175〜250℃、200〜250℃、225〜250℃、250〜275℃、125〜225℃、150〜225℃、175〜225℃、200〜225℃、125〜200℃、150〜200℃、175〜200℃、125〜175℃、150〜175℃、または125〜150℃、例えば、最大約150℃、175℃、200℃、225℃、250℃、275℃、300℃、325℃、または350℃の温度に加熱される。
【0032】
3〜90℃/秒、10〜90℃/秒、20〜90℃/秒、30〜90℃/秒、40〜90℃/秒、50〜90℃/秒、60〜90℃/秒、70〜90℃/秒、または80〜90℃/秒の加熱速度が、開示される方法において使用され得る。いくつかの例において、約90℃/秒の加熱速度が使用される。他の例において、約3℃/秒の加熱速度が使用される。いくつかの例において、約3℃/秒〜約100℃/秒、約3℃/秒〜約110℃/秒、約3℃/秒〜約120℃/秒、約3℃/秒〜約150℃/秒、約3℃/秒〜約160℃/秒、約3℃/秒〜約170℃/秒、約3℃/秒〜約180℃/秒、約3℃/秒〜約190℃/秒、または約3℃/秒〜約200℃/秒の加熱速度が使用され得る。他の例において、約90℃/秒〜約150℃/秒の加熱速度が使用され得る。他の例において、約200℃/秒〜約600℃/秒の加熱速度が使用され得る。例えば、約200℃/秒〜約250℃/秒、300℃/秒、350℃/秒、400℃/秒、450℃/秒、500℃/秒、550℃/秒、または600℃/秒の加熱速度が使用され得る。当業者であれば、シートまたは物品の所望の特性に応じて、利用可能な機器を用いて加熱速度を調整することができる。
【0033】
加熱プロセスにおいて、様々な加熱パラメータが使用され得る。一例において、125〜425℃の温度まで約90℃/秒の加熱速度が使用される。別の例において、125〜325℃の温度まで約90℃/秒の加熱速度が使用される。さらに別の例において、150〜250℃の温度まで約90℃/秒の加熱速度が使用される。別の例において、200〜250℃の温度まで約90℃/秒の加熱速度が使用される。別の例において、200〜250℃の温度まで約3℃/秒の加熱速度が使用される。これらの例は、本明細書で別段に説明される異なる温度及び加熱速度を限定するのではなく、例示を意図する。加熱パラメータは、様々な因子、例えばアルミニウム合金またはアルミニウム合金物品の特性の所望の組み合わせに基づいて選択される。上記温度及び温度範囲は、「到達加熱」温度を指すように使用される。開示されるプロセスにおいて、誘導加熱等の加熱プロセスは、「到達加熱」温度に達するまでシートまたは物品に適用される。換言すれば、「到達加熱」温度は、シートまたは物品が成形ステップ前に加熱される温度である。「到達加熱」温度は、適切な加熱プロセスにより成形ステップ中に維持されてもよく、または、加熱プロセスは、成形ステップ前に停止されてもよく、この場合、成形ステップ中のシートまたは物品の温度は、指定された「到達加熱」温度より低くてもよい。シートまたは物品の温度は、適切な手順及び機器により監視されてもよく、または監視されなくてもよい。例えば、温度が監視されない場合、「到達加熱」温度は、計算された温度及び/または実験的に推測された温度であってもよい。
【0034】
加熱速度は、適切な熱処理、加熱プロセス、またはアルミニウム合金シートを加熱するためのシステムを選択することにより達成され得る。一般に、使用される加熱プロセスまたはシステムは、上で指定された加熱速度を達成するために十分なエネルギーを送達するべきである。例えば、加熱は、誘導加熱により達成され得る。使用され得る加熱プロセスのいくつかの他の非限定的な例は、接触加熱、抵抗加熱、赤外線加熱、ガスバーナーによる加熱、及び直接抵抗加熱である。一般に、熱流量を管理するために、かつ/またはシートもしくは物品の所望の特性を達成するために、加熱システム及びプロトコルの設計及び最適化が行われてもよい。
【0035】
特性
本明細書に開示されるプロセスにおけるシートまたは物品の加熱は、特性の有利な組み合わせをもたらす。例えば、シートまたは物品の成型性及び強度特性の有利な組み合わせが達成される。いくつかの他の場合において、シートはまた、成形中に有利に低い細線化を示し得る。さらに、シートまたは物品は、加熱前及び加熱後で同じ冶金学的状態を維持し、冷却されると、加熱前のシートまたは物品が有する特性と比較して、ある特定の特性及び挙動を保つ。
【0036】
開示されるプロセスは、シートまたは物品の成型性を向上させる。シートまたは物品の成型性は、破断または過度の細線化前に耐えることができる変形の量の尺度である。伸びは、成型性の指標として機能し得、より高い伸びを有するシート及び物品は、良好な成型性を有する。一般に、伸びは、材料が破損する前に湾曲され得る、伸長し得る、または圧縮され得る程度を指す。成型性、成形プロセスの結果、及び結果として得られる製品の品質に影響する、シートまたは物品の伸び、及び他の特性は、引張試験により決定され得る。
【0037】
試料の引張試験は、関連出版物において説明される、材料科学の分野において知られている標準的手順、例えば米国材料試験協会(ASTM)により提供されているものに従って行われる。「Standard Test Methods for Tension Testing of Metallic Materials」という名称のASTM E8/EM8(DOI:10.1520/E0008 E0008M−15A)は、金属材料に対する引張試験手順を規定している。簡潔に説明すると、引張試験は、当業者に知られている標準引張試験機で行われる。試料は、典型的には、2つの肩(機械によって容易に把持され得る)及びより小さいコアセクションのゲージ領域を有する標準的形状の平坦試験片である。試験中、試験片は、試験機内に設置され、破断するまで単軸方向に引き延ばされ、一方で、合金試験片のゲージセクションの伸びが、印加された力に対して記録される。伸びは、試験片の永久的な伸長の量であり、試験片のゲージ長さの増加として測定される。試験片のゲージ長さは、伸びの値に影響するため指定される。引張試験中に測定され、アルミニウム合金を特性決定するために使用されるいくつかの特性は、工学応力、工学ひずみ、及び破断時伸びである。伸び測定は、「工学ひずみ」またはゲージの長さの元の長さに対する変化の比率を計算するために使用され得る。工学ひずみは、パーセント(%)で報告され得る。全伸びとしても報告され得る破断時伸びは、試験片の破断時の工学ひずみの量である。工学応力は、試験片に印加された荷重を試験片の元の断面積で除すことにより計算される。工学ひずみ及び工学応力データ点は、応力−ひずみ曲線としてグラフ化され得る。
【0038】
開示される温間成型プロセスにおいて使用される加熱ステップは、室温での同じシートまたは物品と比較して、シートまたは物品の伸びを改善する。例えば、加熱ステップは、加熱前のシートまたは物品と比較して、シートまたは物品の伸びを、最大約10%、最大約7.5%、最大約5.5%、最大約5%、最大約4.5%、最大約3%、少なくとも約2.5%、少なくとも約3%、少なくとも約3.5%、約2.5〜10%、約3〜10%、約3.5〜10%、約4〜10%、約4.5〜10%、約5〜10%、約7.5〜10%、約2.5〜7.5%、約3〜7.5%、約3.5〜7.5%、約4〜7.5%、約4.5〜7.5%、約5〜7.5%、約2.5〜5.5%、約3〜5.5%、約3.5〜5.5%、約4〜5.5%、約4.5〜5.5%、約2.5〜5%、約2.5〜5%、約3〜5%、約3.5〜5%、約4〜5%、約4.5〜5%、約2.5〜4.5%、約3〜4.5%、約3.5〜4.5%、約4〜4.5%、約2.5〜4%、約3〜4%、約3.5〜4%、約2.5〜3.5%、または約3〜3.5%改善し得る。いくつかの場合において、シートまたは物品の伸びは、約3、3.25、4、4.25、4.5、4.75または5%改善される。いくつかの場合において、シートまたは物品の加熱は、少なくとも約10%、少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、または最大約35%、約15〜35%、20〜35%、25〜35%、30〜35%、15〜30%、20〜30%、25〜30%、15〜25%、20〜25%、または15〜20%の伸び(工学ひずみとして測定される)をもたらす。
【0039】
開示される温間成型プロセスにおいて使用される加熱ステップは、強度特性(例えば、工学応力として測定される引張強度)を工業的成型プロセスに好適な範囲内に保ちながら、加熱されたシートまたは物品の伸びを改善する。例えば、加熱されたアルミニウムシートまたは物品は、少なくとも約50MPa、少なくとも約60MPa、少なくとも約70MPa、少なくとも約80MPa、少なくとも約90MPa、少なくとも約100MPa、少なくとも約110MPa、少なくとも約120MPa、少なくとも約130MPa、少なくとも約140MPa、少なくとも約150MPa、少なくとも約160MPa、少なくとも約170MPa、少なくとも約180MPa、少なくとも約190MPa、少なくとも約200MPa、少なくとも約210MPa、少なくとも約220MPa、少なくとも約230MPa、少なくとも約240MPa、少なくとも約250MPa、少なくとも約260MPa、少なくとも約270MPa、少なくとも約280MPa、少なくとも約290MPa、少なくとも約300MPa、少なくとも約310MPa、少なくとも約320MPa、少なくとも約330MPa、少なくとも約340MPa、少なくとも約350MPa、少なくとも約360MPa、少なくとも約370MPa、少なくとも約380MPa、少なくとも約390MPa、少なくとも約400MPa、少なくとも約410MPa、少なくとも約420MPa、少なくとも約430MPa、少なくとも約440MPa、少なくとも約450MPa、少なくとも約460MPa、少なくとも約470MPa、少なくとも約480MPa、少なくとも約490MPa、少なくとも約500MPa、少なくとも約510MPa、少なくとも約520MPa、少なくとも約530MPa、少なくとも約540MPa、少なくとも約550MPa、少なくとも約560MPa、少なくとも約570MPa、少なくとも約580MPa、少なくとも約590MPa、少なくとも約600MPa、約50〜200MPa、約50〜190MPa、約50〜180MPa、約50〜170MPa、約50〜160MPa、約50〜150MPa、約50〜140MPa、約50〜130MPa、約50〜120MPa、約50〜110MPa、約50〜100MPa、約50〜90MPa、約50〜80MPa、約50〜70MPa、約50〜60MPa、約60〜200MPa、約60〜190MPa、約60〜180MPa、約60〜170MPa、約60〜160MPa、約60〜150MPa、約60〜140MPa、約60〜130MPa、約60〜120MPa、約60〜110MPa、約60〜100MPa、約60〜90MPa、約60〜80MPa、約60〜70MPa、約70〜200MPa、約70〜190MPa、約70〜180MPa、約70〜170MPa、約70〜160MPa、約70〜150MPa、約70〜140MPa、約70〜130MPa、約70〜120MPa、約70〜110MPa、約70〜100MPa、約70〜90MPa、約70〜80MPa、約80〜200MPa、約80〜190MPa、約80〜180MPa、約80〜170MPa、約80〜160MPa、約80〜150MPa、約80〜140MPa、約80〜130MPa、約80〜120MPa、約80〜110MPa、約80〜100MPa、約80〜90MPa、約90〜200MPa、約90〜190MPa、約90〜180MPa、約90〜170MPa、約90〜160MPa、約90〜150MPa、約90〜140MPa、約90〜130MPa、約90〜120MPa、約90〜110MPa、約90〜100MPa、約100〜200MPa、約100〜190MPa、約100〜180MPa、約100〜170MPa、約100〜160MPa、約100〜150MPa、約100〜140MPa、約100〜130MPa、約100〜120MPa、約100〜110MPa、約110〜200MPa、約110〜190MPa、約110〜180MPa、約110〜170MPa、約110〜160MPa、約110〜150MPa、約110〜140MPa、約110〜130MPa、約110〜120MPa、約120〜200MPa、約120〜190MPa、約120〜180MPa、約120〜170MPa、約120〜160MPa、約120〜150MPa、約120〜140MPa、約120〜130MPa、約130〜200MPa、約130〜190MPa、約130〜180MPa、約130〜170MPa、約130〜160MPa、約130〜150MPa、約130〜140MPa、140〜200MPa、約140〜190MPa、約140〜180MPa、約140〜170MPa、約140〜160MPa、約140〜150MPa、150〜200MPa、約150〜190MPa、約150〜180MPa、約150〜170MPa、約150〜160MPa、160〜200MPa、約160〜190MPa、約160〜180MPa、約160〜170MPa、170〜200MPa、約170〜190MPa、約170〜180MPa、180〜200MPaまたは約180〜190MPa、約190〜200MPa、約200〜250MPa、約200〜240MPa、約200〜230MPa、約200〜120MPa、約200〜210MPa、約210〜250MPa、約210〜240MPa、約210〜230MPa、約210〜220MPa、約220〜250MPa、約220〜240MPa、約220〜230MPa、約230〜250MPa、約230〜240MPa、約240〜250MPa、約250〜400MPa、約250〜390MPa、約250〜380MPa、約250〜370MPa、約250〜360MPa、約250〜350MPa、約250〜340MPa、約250〜330MPa、約250〜320MPa、約250〜310MPa、約250〜300MPa、約250〜290MPa、約250〜280MPa、約250〜270MPa、約250〜260MPa、約260〜400MPa、約260〜390MPa、約260〜380MPa、約260〜370MPa、約260〜360MPa、約260〜350MPa、約260〜340MPa、約260〜330MPa、約260〜320MPa、約260〜310MPa、約260〜300MPa、約260〜290MPa、約260〜280MPa、約260〜270MPa、約270〜400MPa、約270〜390MPa、約270〜380MPa、約270〜370MPa、約270〜360MPa、約270〜350MPa、約270〜340MPa、約270〜330MPa、約270〜320MPa、約270〜310MPa、約270〜300MPa、約270〜290MPa、約270〜280MPa、約280〜400MPa、約280〜390MPa、約280〜380MPa、約280〜370MPa、約280〜360MPa、約280〜350MPa、約280〜340MPa、約280〜330MPa、約280〜320MPa、約280〜310MPa、約280〜300MPa、約280〜290MPa、約290〜400MPa、約290〜390MPa、約290〜380MPa、約290〜370MPa、約290〜360MPa、約290〜350MPa、約290〜340MPa、約290〜330MPa、約290〜320MPa、約290〜310MPa、約290〜300MPa、約300〜300MPa、約300〜390MPa、約300〜380MPa、約300〜370MPa、約300〜360MPa、約300〜350MPa、約300〜340MPa、約300〜330MPa、約300〜320MPa、約300〜310MPa、約310〜400MPa、約310〜390MPa、約310〜380MPa、約310〜370MPa、約310〜360MPa、約310〜350MPa、約310〜340MPa、約310〜330MPa、約310〜320MPa、約320〜400MPa、約320〜390MPa、約320〜380MPa、約320〜370MPa、約320〜360MPa、約320〜350MPa、約320〜340MPa、約320〜330MPa、約330〜400MPa、約330〜390MPa、約330〜380MPa、約330〜370MPa、約330〜360MPa、約330〜350MPa、約330〜340MPa、340〜400MPa、約340〜390MPa、約340〜380MPa、約340〜370MPa、約340〜360MPa、約340〜350MPa、350〜400MPa、約350〜390MPa、約350〜380MPa、約350〜370MPa、約350〜360MPa、360〜400MPa、約360〜390MPa、約360〜380MPa、約360〜370MPa、370〜400MPa、約370〜390MPa、約370〜380MPa、380〜400MPaまたは約380〜390MPa、約390〜400MPa、約400〜450MPa、約400〜440MPa、約400〜430MPa、約400〜420MPa、約400〜410MPa、約410〜450MPa、約410〜440MPa、約410〜430MPa、約410〜420MPa、約420〜450MPa、約420〜440MPa、約420〜430MPa、約430〜450MPa、約430〜440MPa、約440〜450MPa、約450〜600MPa、約450〜590MPa、約450〜580MPa、約450〜570MPa、約450〜560MPa、約450〜550MPa、約450〜540MPa、約450〜530MPa、約450〜520MPa、約450〜510MPa、約450〜500MPa、約450〜490MPa、約450〜480MPa、約450〜470MPa、約450〜460MPa、約460〜600MPa、約460〜590MPa、約460〜580MPa、約460〜570MPa、約460〜560MPa、約460〜550MPa、約460〜540MPa、約460〜530MPa、約460〜520MPa、約460〜510MPa、約460〜500MPa、約460〜490MPa、約460〜480MPa、約460〜470MPa、約470〜600MPa、約470〜590MPa、約470〜580MPa、約470〜570MPa、約470〜560MPa、約470〜550MPa、約470〜540MPa、約470〜530MPa、約470〜520MPa、約470〜510MPa、約470〜500MPa、約470〜490MPa、約470〜480MPa、約480〜600MPa、約480〜590MPa、約480〜580MPa、約480〜570MPa、約480〜560MPa、約480〜550MPa、約480〜540MPa、約480〜530MPa、約480〜520MPa、約480〜510MPa、約480〜500MPa、約480〜490MPa、約490〜600MPa、約490〜590MPa、約490〜580MPa、約490〜570MPa、約490〜560MPa、約490〜550MPa、約490〜540MPa、約490〜530MPa、約490〜520MPa、約490〜510MPa、約490〜500MPa、約500〜600MPa、約500〜590MPa、約500〜580MPa、約500〜570MPa、約500〜560MPa、約500〜550MPa、約500〜540MPa、約500〜530MPa、約500〜520MPa、約500〜510MPa、約510〜600MPa、約510〜590MPa、約510〜580MPa、約510〜570MPa、約510〜560MPa、約510〜550MPa、約510〜540MPa、約510〜530MPa、約510〜520MPa、約520〜600MPa、約520〜590MPa、約520〜580MPa、約520〜570MPa、約520〜560MPa、約520〜550MPa、約520〜540MPa、約520〜530MPa、約530〜60
0MPa、約530〜590MPa、約530〜580MPa、約530〜570MPa、約530〜560MPa、約530〜550MPa、約530〜540MPa、540〜600MPa、約540〜590MPa、約540〜580MPa、約540〜570MPa、約540〜560MPa、約540〜550MPa、550〜600MPa、約550〜590MPa、約550〜580MPa、約550〜570MPa、約550〜560MPa、560〜600MPa、約560〜590MPa、約560〜580MPa、約560〜570MPa、570〜600MPa、約570〜590MPa、約570〜580MPa、580〜600MPa、または約580〜590MPaの
極限
引張強度(引張試験中の工学ひずみとして測定される)を有し得る。
【0040】
開示される温間成型プロセスにおける熱処理条件は、アルミニウムシートまたは物品の冶金学的状態ならびに時効挙動及び特性が保たれるように選択され得る。加熱中の硬化されたアルミニウム合金の析出及び溶解プロセスの競合は、多くの場合、粒成長及び望ましくない過時効をもたらし、強度及び硬度の損失を伴う。開示されるプロセスは、温度及び加熱速度の特定の組み合わせを使用することによりこの問題を回避する。開示される加熱ステップは、冷却に続く任意選択の製造実践に好適な範囲内の時効期間後に、アルミニウムシートまたは物品の強度特性(例えば、工学応力として測定される引張強度)を保ち得る。この状況において、強度特性は、「残留」と呼ぶことができる。例えば、いくつかの場合において、アルミニウムシートまたは物品は、水焼き入れによる冷却に続く室温で1週間の時効硬化後、引張試験中に工学ひずみとして測定される、少なくとも約200MPa、少なくとも約225MPa、少なくとも約250MPa、約200〜275MPa、約200〜250MPa、約225〜275MPa、または約225〜275MPaの残留
極限引張強度を有する。
【0041】
開示される温間成型プロセスにおいて使用される加熱ステップは、冷却に続く任意選択の製造実践に好適な範囲内の時効硬化及び/または熱処理後、合金の冶金学的状態を保ち得る。冶金学的状態は、標準プロトコルに従って測定される電気伝導率により特徴付けられ得る。「Standard Test Method for Determining Electrical Conductivity Using the Electromagnetic (Eddy−Current) Method」という名称のASTM E1004は、金属材料に対する関連試験手順を規定している。例えば、いくつかの場合において、6XXXアルミニウム合金シートは、開示される温間成型プロセスに従う熱処理、及び水焼き入れによる冷却に続く室温で1週間の時効硬化後、約25〜29メガジーメンス毎メートル(MS/m)、26〜29MS/m、27〜29MS/m、または28〜29MS/mの電気伝導率を有する。
【0042】
説明されたプロセスに従って成形されたアルミニウムシートまたは物品は、上で議論された特性を様々な手法で組み合わせることができる。例えば、開示されるプロセスに供されたアルミニウム合金は、200℃で20.3%の伸び、200℃の温度で195MPaの
極限引張強度、200℃での熱処理に続く水焼き入れ及び室温で1週間の時効に供された後の262MPaの
極限引張強度、ならびに、200℃での熱処理に続く水焼き入れ及び室温で1週間の時効に供された後の28.7mS/mの伝導率のうちの1つ以上を有してもよい。他の値または値の範囲、例えば、本節で先に列記されたものが、シートまたは物品により示されてもよい。
【0043】
成形
開示されるプロセスは、加熱ステップ中または加熱ステップ後に少なくとも1つの成形ステップを含んでもよい。「成形」という用語は、本明細書で使用される場合、切断、型打ち、プレス、プレス成型、絞り加工、または当業者に知られている二次元もしくは三次元形状を形成し得る他のプロセスを含み得る。時効硬化性の熱処理可能アルミニウム合金で作製された物品は、本明細書で先に論じられたように加熱され、加熱された物品が成形される。上記成形ステップは、温間成型プロセスに含まれてもよい。温間成型は、型打ちまたはプレスにより行われてもよい。一般的に説明される型打ちまたはプレスプロセスステップにおいて、物品は、相補的な形状の2つの金型の間でそれをプレスすることにより成形される。温間成型は、等温条件または非等温条件下で行うことができる。等温条件下では、アルミニウム合金ブランク及び全ての工具構成要素、例えば金型は、同じ温度に加熱される。非等温条件下では、工具構成要素は、ブランクとは異なる温度を有してもよい。
【0044】
上記温間成型ステップ以外に、開示されるプロセスは、追加的な成形ステップを含んでもよい。例えば、温間成型前に、アルミニウム合金物品は、温間成型または冷間成型プロセスまたはステップのうちの1つ以上の組み合わせにより成形されてもよい。例えば、シートは、温間成型に供される前に、例えば、前駆物品、または型打ちのための前駆体を意味する「型打ちブランク」等の「ブランク」と呼ばれる形態に切断することによって分断されてもよい。したがって、アルミニウムシートを、型打ちプレスにおいてさらに成形される「型打ちブランク」に切断するステップが利用されてもよい。シートまたはブランクはまた、温間成型前に型打ちにより成形されてもよい。
【0045】
工業プロセス
開示されるプロセスは、アルミニウム合金物品、例えば、型打ちされたアルミニウム物品(例えば、型打ちされた自動車パネル)の生産のための既存のプロセス及びラインに組み込まれ、それにより、合理的及び経済的な様式でプロセス及び結果として得られる物品を改善し得る。本明細書に記載のプロセスを実行し、かつ物品を生産するための装置及びシステムは、本発明の範囲内に含まれる。
【0046】
動力車パネル等の型打ちされたアルミニウム合金物品を生産するための例示的なプロセスは、一連の型打ちプレス(「プレスライン」)で物品を型打ちするいくつかの(2つ以上、例えば2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、またはそれ以上の)ステップを含む。プロセスは、型打ちステップのうちの1つ以上の前、またはその間に異なるプロセス点で行われる1つ以上の熱処理ステップを含む。型打ちブランクは、第1の型打ちステップ前に提供される。加熱ステップは、第1の型打ちステップ前に(すなわち、プレスラインの入口で)型打ちブランクに対して行われてもよい。加熱ステップはまた、第1または中間プレスステップのうちの1つ以上の後に含まれてもよい。例えば、プレスラインが5つの型打ちプレス及び対応するステップを含む場合、そのような加熱ステップは、第1、第2、第3、第4、及び第5の中間型打ちステップのうちの1つ以上の前に含まれてもよい。
【0047】
加熱ステップは、様々な組み合わせで生産プロセスに含まれてもよく、特定の組み合わせ及び生産プロセスにおける加熱ステップの配置を決定する際に、様々な考慮点が考慮され得る。例えば、加熱ステップは、より高い成型性が望ましい1つ以上の型打ちステップ前に行われてもよい。プロセスは、1つ以上の温間成型ステップ及び1つ以上の冷間成型ステップを含んでもよい。例えば、2ステッププロセスにおいて、アルミニウムシートは、温間成型ステップに続く冷間成型ステップにおいて成形されてもよい。あるいは、冷間成型ステップは、温間成型ステップに先行してもよい。
【0048】
開示されるプロセスを実践するための機器を組み込んだ、アルミニウム合金物品を生産または製造するためのプロセスを行うためのシステムも開示される。1つの例示的なシステムは、ラインの様々な点において温間成型ステーションまたはシステムを組み込んだ、パネル等の型打ちされた物品を生産するためのプレスラインである。
【0049】
開示されるプロセスは、アルミニウム物品の生産において使用される追加的なステップ、例えば、切断、縁曲げ、接合、成型と同時に、もしくは成型後に行われる他の熱処理ステップ、冷却、時効硬化、または好適な塗料もしくはコーティングによるコーティングもしくは塗装のステップを含んでもよい。プロセスは、「塗料焼付け(paint baking)」、「塗料焼付け(paint bake)」、「塗料焼付けサイクル」、または他の関連用語で称され得る塗料焼付けステップを含んでもよい。アルミニウム物品を生産または製造するプロセスに使用されるステップのうちのいくつか、例えば、成型後熱処理ステップ及び塗料焼付けサイクルは、物品が製造されるアルミニウム合金の時効に影響し得、したがってその強度等の機械的特性に影響し得る。
【0050】
アルミニウム物品を生産または製造する例示的なプロセスは、硬化された熱処理可能な時効硬化性アルミニウム合金で作製されたアルミニウム合金ブランク(例えば、T6またはT61調質度の6XXXシリーズ合金で作製されたブランク)を、約3〜200℃/秒、例えば約3〜90℃/秒または90℃/秒の加熱速度で125〜425℃の温度に加熱するステップを含んでもよい。いくつかの場合において、ブランクは、例えば、ブランクを速やかに型打ちツールに移し、型打ちツール内で型打ちすることによりブランクを成形し、型打ち後、切断、縁曲げ、及び接合ステップのうちの1つ以上を行うことにより成形され得る。アルミニウム物品を生産または製造する別の例示的なプロセスは、硬化した熱処理可能な時効硬化性アルミニウム合金で作製されたアルミニウム合金ブランク(例えば、T6またはT61調質度の6XXXシリーズ合金で作製されたブランク)を、3〜90℃/秒、例えば90℃/秒の加熱速度で150〜250℃の温度に加熱するステップと、ブランクを素早く型打ちツール内に移すステップと、型打ちツール内で型打ちによりブランクを成形するステップと、型打ち後、切断するステップ、縁曲げするステップ、及び接合するステップのうちの1つ以上を含んでもよい。
【0051】
いくつかの例において、上述の温間成型ステップ後に、追加的な冷間成形ステップ(複数可)が任意選択で追加されてもよい。いくつかの例において、冷間成型ステップ(複数可)は、単一の温間成型ステップに対して得られた加熱された物品の伸びと比較してより大きい、冷間成型ステップから得られた物品の伸びを提供し得る。例えば、冷間成型ステップから得られた物品の伸びは、第1の温間成型ステップから得られた加熱された物品の伸びの約75%〜約125%であってもよい。いくつかの例において、冷間成型ステップからの伸びは、第1の温間成型ステップの約75%、80%、85%、90%、95%、100%、105%、110%、115%、120%または125%であってもよく、単一の温間成型ステップに供された物品の全伸びより大きくなり得る物品の全伸びをもたらし得る。以下の実施例6は、増加した伸びを示す実験データを提供する。任意選択の成型後の熱処理ステップが追加されてもよい。
【0052】
以下の実施例は、本発明をさらに例示するのに役立つが、但し、同時に、そのいかなる限定も構成しない。逆に、本明細書における説明を読んだ後に、本発明の趣旨から逸脱せずに当業者が考案し得る様々な実施形態、その修正及び均等物が考慮され得ることが、明確に理解されるべきである。
【0053】
実施例1
T4、T61及びT6調質度のAA6016合金試料の室温引張試験
T4、T61及びT6調質度のAA6016アルミニウム合金試料の室温引張試験を行った。引張試験により得られた応力−ひずみ曲線を、
図1に示す。試験試料は、
図2に示されるように成形されたAA6016合金の試験片であった。試験片は、1.2mmの厚さを有した。試験片を、以下のように処理した:「T4」試料−室温で1ヶ月時効処理;「T61」試料−T4調質度試料を140℃で14時間熱処理;「T6」試料−T4試料を180℃で14時間熱処理。
図1に示される応力−ひずみ曲線は、3つの調質度の間の強度及び成型性の差を示す。
【0054】
実施例2
AA6016の高温引張試験
AA6016アルミニウム合金試料の高温引張試験を行った。高温試験のために、
図2に示される試験片に実質的に類似し、1.2mmの厚さを有する試験片を、90℃/秒の速度での誘導加熱により様々な温度(
図3に示される通り)に加熱した。高温計を使用して、各試験片の温度を測定した。引張試験中、各試験片の指定された試験温度を維持した。
図3は、引張試験前及びその間のT4調質度のAA6016アルミニウム合金試料の加熱曲線を示し、矢印は、一旦試験片が目標温度に達した時の引張試験の開始を示している。T6またはT61調質度のAA6016アルミニウム合金試料の加熱曲線は、
図3に類似していた(図示せず、試料の加熱は、試料の調質度と無関係であるため)。
【0055】
図4は、90℃/秒の速度での誘導加熱により様々な温度(示される通り)に加熱されたT61調質度のAA6016合金試料の応力−ひずみ曲線を示す。室温(「RT」)におけるAA6016合金試料の応力−ひずみ曲線もまた示されている。垂直の実線は、室温(RT)試料の全伸びを表す。垂直の点線は、室温試料の全伸びと比較した3%の全伸びの増加を表す。
図5は、90℃/秒の速度での誘導加熱により様々な温度(示される通り)に加熱されたT6調質度のAA6016合金試料の応力−ひずみ曲線を示す。室温(「RT」)におけるAA6016合金試料の応力−ひずみ曲線もまた示されている。垂直の実線は、室温(RT)試料の全伸びを表す。垂直の点線は、室温試料の全伸びと比較した5%の全伸びの増加を表す。引張試験は、150〜250℃の温度へのAA6016合金試料の加熱が、室温(RT)での同じ調質度のAA6016試験片により示された全伸びと比較して、3〜5%の全伸びの増加をもたらし得ることを示した。
図4に示されるように、300℃へのT61調質度のAA6016合金試料の加熱は、約33.3%の全伸びの増加をもたらした。引張試験は、温間成型に許容され得る強度特性を維持しながら、T6またはT61調質度の合金試料に対する全伸びの有利な増加が達成され得ることを示した。
【0056】
実施例3
熱処理後引張試験
T6及びT61調質度のAA6016アルミニウム合金試料の熱処理後引張試験を行った。試験試料は、
図2に示されるように成形されたAA6016合金試料の試験片であった。試料は、1.2mmの厚さを有した。熱処理後試験のために、試料を90℃/秒の速度での誘導加熱により様々な温度に加熱し、水中で冷却(「水焼き入れ」)し、水焼き入れ後に室温で1週間時効処理した。引張試験は室温で行われた。室温で維持されたAA6016の試料(
図6〜7中の「RT」)も比較のために試験した。
【0057】
図6は、T61調質度の熱処理後AA6016試料の応力−ひずみ曲線を示す。
図7は、T6調質度の熱処理後AA6016試料の応力−ひずみ曲線を示す。150、200及び250℃で処理された試料の熱処理後応力−ひずみ曲線は、実質的に同様の形状及び規模のものであり、室温(RT)試料の応力−ひずみ曲線とも類似していた。
図6及び7に示された応力−ひずみ曲線は、実験に使用された熱処理が、AA6016試料の残留機械特性を実質的に改変しなかったことを実証している。さらに、上述のデータは、温間成型ステップ後の冷間成型ステップの実行が、全成型能を増加させ、この場合では全成型能を倍加することを示している。
【0058】
実施例4
異なる加熱速度で加熱された試料の熱処理後引張試験
異なる加熱速度で加熱されたT6調質度のAA6016合金試料の引張試験を行った。試験試料は、
図2に示されるAA6016の試料であった。試料はそれぞれ、1.2mmの厚さを有した。熱処理後試験のために、試料を3℃/秒(
図8中の特定された曲線、及び
図9中の各組の左のヒストグラム)、または90℃/秒(
図8中の特定された曲線、及び
図9中の各組の右のヒストグラム)の速度での誘導加熱により様々な温度に加熱し、水中で冷却(「水焼き入れ」)し、室温で1週間時効処理した。室温で維持されたAA6016合金試料(
図8中の「RT」)もまた、比較のために試験された。
図8は、室温で試験された、このようにして処理されたAA6016試料の応力−ひずみ曲線を示す。室温で維持されたAA6016合金試料の応力−ひずみ曲線もまた示されている(グラフで「基準T4」と称する)。
【0059】
図9は、
図8を生成するために実験において使用された試料と同じ様式で処理されたAA6016合金試料の比較電気伝導率特性の結果を示す棒グラフである。T6調質度の試料を、3℃/秒(各対の左のヒストグラムバー)及び90℃/秒(各対の右のヒストグラムバー)の速度での誘導加熱により様々な温度(示される通り)に加熱し、水焼き入れし、その後室温で1週間時効処理した。水平の線は、T4調質度のAA6016試料から予測される伝導率レベルを示す。
図10は、90℃/秒の速度での誘導加熱により様々な温度(示される通り)で処理され、水中で冷却(「水焼き入れ」)され、室温で1週間時効処理された、T61調質度(各組の左のヒストグラムバー)及びT6調質度(各組の右のヒストグラムバー)のAA6016合金試料の比較電気伝導率測定の結果を示す棒グラフである。
図11は、3℃/秒の速度での誘導加熱により様々な温度(示される通り)で試験された加熱されたAA6016合金試料の応力−ひずみ曲線を示す。
【0060】
図8及び9に示される実験データは、加熱速度がAA6016合金試料の機械的特性及び冶金学的状態に影響したことを実証している。90℃/秒のより高い加熱速度が使用された場合、強度の損失のない伸びの改善がより幅広い温度範囲において生じた。この観察に相関して、3℃/秒のより低い速度での加熱は、より高い温度で熱処理された試料の冶金学的状態の変化(伝導率測定により示される通り)をもたらした。
図10中の実験データは、より高い温度(例えば350℃〜500℃)で熱処理されたT6及びT61調質度の試料と比較した、より低い温度(例えば室温〜300℃)で熱処理されたT6及びT61調質度の試料間の冶金学的状態におけるより大きな差を示している。
【0061】
実施例5
実験室規模の型打ち
T6調質度のアルミニウム合金AA6016シート(厚さ2mm)を、40cm×10cmの型打ちブランクに切断した。矩形片を、任意選択で本明細書に記載の温間成型方法に従って加熱した。4つの試料を型打ち実験に使用した。試料1を加熱せず、室温(約25℃)で型打ちした。試料2を200℃に加熱した。試料3を250℃に加熱した。試料4を350℃に加熱した。試験パラメータ及び結果を表1に示す。
【表1】
【0062】
試料1を40mmの深さに絞り加工すると、
図12に示されるように亀裂及び最終的な破砕を示した。試料2は、200℃に予熱され、40mmの深さに絞り加工されたが、
図13に示されるように破砕しなかった。試料3は、250℃に予熱され、40mmの深さに絞り加工されたが、
図14に示されるように破砕しなかった。試料4は、350℃に予熱され、40mmの深さに絞り加工されたが、
図15に示されるように破砕しなかった。全ての試料のブリネル硬度は、ISO6506−1標準に従って、型打ち後に測定された。
【0063】
型打ち結果は、合金が予熱された後に部品が安全に生産され得ることを示唆している。シートの成型性は、型打ちされた部品の亀裂なしでの達成可能な絞り深さにより特性付けられる。シートの強度(硬度結果により例示される)は、200℃で保たれ、250℃に予熱された場合若干減少し(ただしまだ許容され得る)、より高い温度に予熱された場合には著しく減少する。
【0064】
実施例6
予熱された合金におけるより深い絞り深さのための2ステップ型打ち手順
T6調質度のアルミニウム合金AA6016シート(厚さ2mm)を、40cm×10cmの型打ちブランクに切断した。2ステップ型打ち手順の第1のステップにおいて、矩形片を、本明細書に記載の温間成型方法に従って加熱した。3つの試料を型打ち実験に使用した。試料5を200℃に加熱した。試料6を250℃に加熱した。試料7を350℃に加熱した。基準として実施例5からの試料1が含まれている。試験パラメータ及び結果を表2に示す。
【表2】
【0065】
試料1を40mmの深さに絞り加工すると、
図12に示されるように亀裂及び最終的な破砕を示した。試料5は、200℃に予熱され、40mmの深さに絞り加工されたが、破砕しなかった。試料5は、室温に冷却され、80mmの全絞り深さまでさらに40mm絞り加工されたが、
図16に示されるように破砕しなかった。試料6は、250℃に予熱され、40mmの深さに絞り加工されたが、破砕しなかった。試料6は、室温に冷却され、80mmの全絞り深さまでさらに40mm絞り加工されたが、
図17に示されるように破砕しなかった。試料7は、350℃に予熱され、40mmの深さに絞り加工されたが、破砕しなかった。試料7は、室温に冷却され、80mmの全絞り深さまでさらに40mm絞り加工されたが、
図18に示されるように破砕しなかった。全ての試料のブリネル硬度は、ISO6506−1標準に従って、型打ち後に測定された。
【0066】
室温での40mmの絞り深さへの型打ちは、合金を予熱せずには不可能である(
図12を参照のこと)。2ステップ手順を行うことにより、予熱温度が適切に選択されれば、T6強度を維持しながら少なくとも80mmの絞り深さへの型打ちが可能となり得る。実施例6に記載され、かつ
図12及び16〜18に示される型打ち結果は、250℃に予熱された異なる試料に対する
図19に示される引張曲線から測定された伸びと一致している。例えば、
図19に示されるように、開示される2ステップ成型プロセスが行われた試料の引張曲線は、室温で維持された試料(
図19で「RT」と称する)及び1ステップ成型プロセスのみが行われた試料(「T6 250℃」と称する)の両方に対する引張曲線と比較して、より高い工学ひずみ値(x軸)を示している。室温で維持された試料の工学ひずみ値は、約29%であり、単一温間成型ステップにおいて成型された試料の工学ひずみは、約31%であった。
図19はまた、2ステッププロセスにより成型された2つの試料の、約34%及び35%の最終工学ひずみ値を示している。第1の成型ステップは、最初に約15%及び約20%までひずめられた試料に対する、それぞれ「T6 250℃−15%」及び「T6 250℃−20%」と称される曲線により表されている。予ひずみされた試料を、第2の成型ステップとして、室温でさらにひずめた(「T6 250℃−15%RT」及び「T6 250℃−20%RT」と称される曲線により表される)。約13%(T6 250℃−15%RT)及び17%(T6 250℃−20%RT)まで予ひずみすることにより、最終ひずみ値を得ることができた。
【0067】
上で引用された全ての特許、特許出願、出版物、及び要約は、参照によりそれらの全体が本明細書に組み込まれる。本発明の様々な例が、本発明の様々な目的を遂行するものとして説明された。これらの例は、本発明の原理の単なる例示である。以下の特許請求の範囲において定義される本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく、数々の修正及びその適応が当業者に容易に明らかになるであろう。