特許第6850801号(P6850801)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6850801ネイバーテーブルを管理する方法及びネイバーテーブルを管理するよう構成される通信装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6850801
(24)【登録日】2021年3月10日
(45)【発行日】2021年3月31日
(54)【発明の名称】ネイバーテーブルを管理する方法及びネイバーテーブルを管理するよう構成される通信装置
(51)【国際特許分類】
   H04W 40/24 20090101AFI20210322BHJP
   H04W 84/18 20090101ALI20210322BHJP
   H04W 92/18 20090101ALI20210322BHJP
【FI】
   H04W40/24
   H04W84/18
   H04W92/18
【請求項の数】11
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2018-531177(P2018-531177)
(86)(22)【出願日】2016年12月7日
(65)【公表番号】特表2018-537920(P2018-537920A)
(43)【公表日】2018年12月20日
(86)【国際出願番号】EP2016080025
(87)【国際公開番号】WO2017102486
(87)【国際公開日】20170622
【審査請求日】2019年12月5日
(31)【優先権主張番号】15200131.9
(32)【優先日】2015年12月15日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】516043960
【氏名又は名称】シグニファイ ホールディング ビー ヴィ
【氏名又は名称原語表記】SIGNIFY HOLDING B.V.
(74)【代理人】
【識別番号】100163821
【弁理士】
【氏名又は名称】柴田 沙希子
(72)【発明者】
【氏名】レルケンス アルマンド ミシェル マリー
(72)【発明者】
【氏名】ワン シャンユ
(72)【発明者】
【氏名】ヴァン ハーセン リック
(72)【発明者】
【氏名】チャン チィツオン
(72)【発明者】
【氏名】ドン ペイリャン
(72)【発明者】
【氏名】ファン ロン
【審査官】 伊東 和重
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−95220(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 7/24−7/26
H04W 4/00−99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
通信装置におけるネイバーテーブルを管理する方法であって、
当該方法は、
前記通信装置が、該通信装置の直接通信範囲内の通信ノードであるそれぞれの隣接ノードに対応する複数のネイバーテーブルエントリを含むネイバーテーブルを維持管理するステップ、
を含み、
前記維持管理するステップは、前記ネイバーテーブルの容量が閾値に達したと判断すると、前記ネイバーテーブルからの接ノードに対応するイバーテーブルエントリを、新しい隣接ノードに対応する新しいネイバーテーブルエントリに置き換えるステップを含み、前記置き換えは、前記新しい隣接ノードが通信相手であるという判断に基づき、通信ノードは、以下の条件のうちの少なくとも1つの条件が満たされる場合、通信相手として定義され
条件a:発信元アドレスとして通信相手を含むメッセージが、前記通信装置により受信されたこと、
条件b:宛先アドレスとして通信相手を含むメッセージが、前記通信装置により送信されたこと
前記隣接ノードは、前記通信装置の通信相手ではない、又は、前記通信装置と前記隣接ノードとの間のリンク品質が前記通信装置と前記新しい隣接ノードとの間のリンク品質よりも低い通信相手である、方法。
【請求項2】
通信ノードは、以下の条件cが満たされる場合、通信相手としてさらに定義される、請求項1に記載の方法
条件c:前記新しい隣接ノードが、コンフィギュレーションにより通信相手として定義されること
【請求項3】
条件aにおいて、前記メッセージは、宛先アドレスとして前記通信装置を含み、条件bにおいて、前記メッセージは、発信元アドレスとして前記通信装置を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
条件cは、ネットワークコントローラによるネットワーク動作中のコンフィギュレーション又はインストール時のプリコンフィギュレーションを含む、請求項2に記載の方法。
【請求項5】
前記ネイバーテーブルエントリの有効期間の満了を判断するステップ、及び有効期限が満了した前記ネイバーテーブルエントリが通信相手に対応しない限り、該ネイバーテーブルエントリを削除するステップを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記通信装置は、通信相手の、有効期限が満了した前記ネイバーテーブルエントリを、該通信相手は到達不能であることを示すフラグと共に、前記ネイバーテーブルに維持する、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
到達不能であるとフラグされた第1の通信相手からのメッセージを受信すると、前記通信装置は、前記第1の通信相手に対応する前記ネイバーテーブルエントリが再アクティブ化されるよう前記フラグを除去することにより該ネイバーテーブルエントリの値を更新する、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記維持管理するステップは、隣接ノードとのリンク品質の決定を可能にする制御メッセージを受信すると行われる、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
通信装置であって、
それぞれの隣接ノードに対応する複数のネイバーテーブルエントリを含むネイバーテーブルを含むメモリと、
当該通信装置の直接通信範囲内の通信ノードである前記複数の隣接ノードにメッセージを送信するための送信機と、
前記複数の隣接ノードからメッセージを受信するための受信機と、
前記メモリに格納されたネイバーテーブルを維持管理するよう構成されるコントローラであって、前記ネイバーテーブルの容量が閾値に達したと判断すると、前記ネイバーテーブルからの接ノードに対応するイバーテーブルエントリを、新しい隣接ノードに対応する新しいネイバーテーブルエントリに置き換えるよう構成されるコントローラであり、前記置き換えは、前記新しい隣接ノードが通信相手であるという判断に基づき、通信ノードは、以下の条件のうちの少なくとも1つの条件が満たされる場合、通信相手として定義される、コントローラと、
を備え
条件a:発信元アドレスとして通信相手を含むメッセージが、当該通信装置により受信されたこと、
条件b:宛先アドレスとして通信相手を含むメッセージが、当該通信装置により送信されたこと
前記隣接ノードは、前記通信装置の通信相手ではない、又は、前記通信装置と前記隣接ノードとの間のリンク品質が前記通信装置と前記新しい隣接ノードとの間のリンク品質よりも低い通信相手である、通信装置。
【請求項10】
通信ノードは、前記新しい隣接ノードがコンフィギュレーションにより通信相手として定義される場合、通信相手としてさらに定義される、請求項9に記載の通信装置。
【請求項11】
通信装置に含まれる処理ユニットにより実行される場合、前記通信装置に請求項1乃至8の何れか一項に記載の方法を実行させるよう適合される命令のセットを含むコンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通信ネットワーク、例えば、ネットワークの通信ノードを形成する複数の通信装置を含む無線通信ネットワークに関し、一例においては、照明ネットワークに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、建物のための無線照明における現在の傾向では、ネットワーク内の通信ノードの数が増加し、例えば、単一フロアに500個以上の照明器具があることは珍しいことではない。この傾向は、非常に密集したネットワークにつながる。さらに、近代的な無線チップの伝送範囲は、かなり満足できるものである。例えば、典型的なオフィス屋内環境のために約20〜30メートルの伝送範囲の無線チップを有することは珍しいことではない。
【0003】
斯かる伝送範囲でもって、斯かる通信ネットワークは、典型的には、2〜4メートルごとに設置される照明器具があるので、高密度の電気設備として特徴付けられ得る。結果として、あるネットワークにおいて、通信装置は、1つの伝送範囲内で100以上の他の通信ノードを容易に聞き得る。
【0004】
通信及びデータメッセージのルーティングを最適化するために、通信装置は、ネイバーテーブル(neighbour table (NBT))において、該通信装置が直接通信することができる通信ノードの記録をつけるべきである。このネイバーテーブルは、各々がそれぞれの隣接ノード(neighbouring node)に対応する複数のネイバーテーブルエントリを含む。隣接ノードは、単一の通信ホップ内で当該通信装置により到達され得る通信ノードである。
【0005】
しかしながら、通信装置のコストを低く抑えるために、その無線ユニットは、典型的には、リソースが制約されており、特にメモリが限られている。したがって、通信装置の近傍の全ての通信ノードの網羅的なリストをネイバーテーブルに格納することは、選択肢ではない。典型的には、ネイバーテーブルに組み込まれるべきノードは、通信装置と隣接ノードとの間のリンク品質に基づくことができる。しかしながら、これは、通信及びネットワークスループットの観点から最適ではないかもしれない。実際に、最良のリンク品質を示す隣接ノードのみがネイバーテーブルに含まれる場合、これらは、典型的には、より近い通信ノードであり、これにより、ホップが短くなり、考慮されるルートのためのホップ数が多くなる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、上記で特定された問題を軽減することである。
【0007】
本発明の他の目的は、通信ネットワークにおいてより効率的なルーティングを可能にするためにネイバーテーブルの内容を最適化する方法を提案することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この目的のために、本発明の第1の態様によれば、通信装置におけるネイバーテーブルを管理する方法であって、
当該方法は、
通信装置が、通信装置の通信範囲内の通信ノードであるそれぞれの隣接ノードに対応する複数のネイバーテーブルエントリを含むネイバーテーブルを維持管理する(maintain)ステップ、
を含み、
維持管理するステップは、ネイバーテーブルの容量が閾値に達したと判断すると、ネイバーテーブルからの以前の隣接ノード(former neighbouring node)に対応する以前のネイバーテーブルエントリ(former neighbour table entry)を、新しい隣接ノードに対応する新しいネイバーテーブルエントリに置き換えるステップを含み、置き換えは、新しい隣接ノードが通信相手(communication partner)であるという判断に基づき、通信ノードは、以下の条件のうちの少なくとも1つの条件が満たされる場合、通信相手として定義される、方法が提案される
条件a:発信元アドレス(source address)として通信相手を含むメッセージが、通信装置により受信されたこと、
条件b:宛先アドレス(destination address)として通信相手を含むメッセージが、通信装置により送信されたこと、
条件c:新しい隣接ノードが、コンフィギュレーションにより通信相手として定義されること。
【0009】
斯くして、ネイバーテーブルの内容は、通信のために最適化される。通信装置の通信相手に対応するネイバーテーブルエントリは、他のネイバーテーブルエントリよりも高い優先度を有し、これにより、このネイバーテーブルに基づくメッセージのルーティングが、優先的に単一ホップルートを有することを可能にする。メッセージが通信ノードから通信ノードに中継されるネットワークにおいて、これは、ネットワークにおける転送の数を減らし、それにより、システムの干渉を減らす。さらに、データメッセージの各転送は、失われる可能性があるので、転送の数を減らすことにより、パケットロス(lost packet)の数が減り、再送信が少なくて済み、これは、再び干渉の低減に関与する。
【0010】
本発明の第1の態様の一実施形態によれば、以前の隣接ノードは、通信装置の通信相手ではない。実際、この実施形態において、通信相手に対応するネイバーテーブルエントリは、他の通信ノードのネイバーテーブルエントリよりも高い優先度を有し、ネイバーテーブルを管理する際に、通信相手に対応するエントリが、単なるネイバー通信ノードのエントリに比べて優先されることが提案される。
【0011】
先の実施形態と組み合わせられ得る本発明の第1の態様の変形例において、通信装置と前記以前の隣接ノードとの間のリンク品質は、ネイバーテーブルのネイバーテーブルエントリに対応し且つ通信ノードの通信相手ではない全ての隣接ノードのリンク品質よりも低い。これは、複数のネイバーテーブルエントリを置き換える場合に最も低いリンク品質のネイバーテーブルエントリを先ず除去することにより、最良のリンク品質を有するネイバー通信ノードに対応するネイバーテーブルエントリのみを維持することを可能にする。
【0012】
本発明の他の実施形態において、以前の隣接ノードは、通信装置の通信相手ではない、又は、通信装置と前記以前の隣接ノードとの間のリンク品質が通信装置と新しい隣接ノードとの間のリンク品質よりも低い通信相手である。斯くして、この例において、ネイバーテーブルエントリは、該ネイバーテーブルエントリが通信相手ではない通信ノードに対応する場合、又は通信相手だけがネイバーテーブルにリストされていて、この通信ノードに関連するリンク品質ノードが他の通信相手のリンク品質よりも低い場合、除去される又は置き換えられる。これは、ネイバーテーブルが通信相手だけで満たされるべき場合、最良の通信相手(信頼性が高い)だけを維持することを可能にする。
【0013】
本発明の上記の変形例の全てにおいて、条件aにおいて、前記メッセージは、宛先アドレスとして前記通信装置を含み、条件bにおいて、前記メッセージは、発信元アドレスとして前記通信装置を含むことが有益であり得る。斯くして、通信相手の定義は、単一ホップルートの場合に限定される、すなわち、発信元ノード及び宛先ノードは、互いに直接到達することができる。これは、上述したような干渉をさらに低減することを可能にする。
【0014】
本発明の例において、発信元(source)の発信元アドレスの意味は、データリンク層ではなく、ネットワーク層において考慮され(view)得る。これは、(ネットワーク層における)メッセージの実際の発信元であって、転送ノード(又はデータリンク層における前のホップ)ではないことを区別することを可能にする。同様に、宛先ノード(destination node)の宛先アドレスの意味は、(ネットワーク層における)メッセージの最終宛先であって、ルート上の次の転送者(forwarder)(又はデータリンク層における次のホップ)ではないことを区別するために、データリンク層ではなく、ネットワーク層において考慮され得る。
【0015】
本発明の上記の変形例の全てにおいて、条件cは、ネットワークコントローラによるネットワーク動作中のコンフィギュレーション又はインストール(installation)時のプリコンフィギュレーションを含んでもよい。このプリコンフィギュレーションは、動作中に、通信相手が学習する必要がなく、その識別子が予め通信装置に格納されるように実行されてもよい。この場合、通信装置は、通信相手が自身の近傍にいることを発見した場合、該通信相手は、自動的にネイバーテーブルに追加され、ネイバーテーブルが一杯である場合には他のエントリの置換をもたらす。同様に、通信相手リスト(communication partner list)は、動作中にネットワークに分配されてもよい。
【0016】
先の例と組み合わされ得る本発明の第1の態様の他の変形例において、当該方法は、ネイバーテーブルエントリの有効期間の満了を判断するステップ、及び有効期限が満了した前記ネイバーテーブルエントリが通信相手に対応しない限り、該ネイバーテーブルエントリを削除するステップを含む。斯くして、例えば、しばらくの間使用されていない(又は如何なる他のプロセスにより再認証され(revalidate)ていない)ネイバーテーブルエントリは、通信相手に対応するエントリでない場合に削除される。これは、通信相手を依然として維持しながら、ネイバーテーブルのスペースを空けることを可能にする。
【0017】
先の変形例において、通信装置は、通信相手の、有効期限が満了したネイバーテーブルエントリを、該通信相手は到達不能であることを示すフラグと共に、ネイバーテーブルに維持してもよい。斯くして、通信相手に対応するが、しばらくの間使用されていないエントリが、ネイバーテーブルに維持される。
【0018】
先の実施形態の一例において、到達不能であるとフラグされた第1の通信相手からのメッセージを受信すると、通信装置は、第1の通信相手に対応するネイバーテーブルエントリが再アクティブ化(reactivate)されるよう前記フラグを除去することにより該ネイバーテーブルエントリの値を更新する。斯くして、パケットが通信相手から直接受信された場合、対応するネイバーテーブルエントリは直ちに再アクティブ化され得る。
【0019】
上記で詳述した全ての例と組み合わされ得る第1の態様の別の変形形態において、維持管理するステップは、隣接ノードとのリンク品質の決定を可能にする制御メッセージを受信すると行われる。この例において、制御メッセージは、それぞれの隣接する通信ノードがリンク品質を推定できるようにネットワーク内の全ての通信ノードにより随時送信されてもよい。斯くして、この実施形態による通信装置は、斯かる制御メッセージを受信すると、受信した制御メッセージに対応する隣接する通信ノードが通信相手であるか否かを確認してもよい。そうである場合、該通信ノードは、ネイバーテーブルに入力されるべき高い優先度を有し、任意選択的に、テーブルが一杯である場合は、他のエントリを置き換える。
【0020】
本発明の第2の態様によれば、通信装置であって、
それぞれの隣接ノードに対応する複数のネイバーテーブルエントリを含むネイバーテーブルを含むメモリと、
当該通信装置の通信範囲内の通信ノードである複数の隣接ノードにメッセージを送信するための送信機と、
複数の隣接ノードからメッセージを受信するための受信機と、
メモリに格納されたネイバーテーブルを維持管理するよう構成されるコントローラであって、ネイバーテーブルからの以前の隣接ノードに対応する以前のネイバーテーブルエントリを、新しい隣接ノードに対応する新しいネイバーテーブルエントリに置き換えるよう構成されるコントローラであり、置き換えは、新しい隣接ノードが通信相手であるという判断に基づき、通信ノードは、以下の条件のうちの少なくとも1つの条件が満たされる場合、通信相手として定義される、コントローラと、
を備える、通信装置が提案される
条件a:発信元アドレスとして通信相手を含むメッセージが、当該通信装置により受信されたこと、
条件b:宛先アドレスとして通信相手を含むメッセージが、当該通信装置により送信されたこと、
条件c:新しい隣接ノードが、コンフィギュレーションにより通信相手として定義されること。
【0021】
本発明の第1の態様の全ての変形例は、本発明のこの第2の態様にも等しく適用可能である。
【0022】
本発明の第1の態様は、コンピュータにより実施されてもよく、斯くして、本発明の他の態様は、処理ユニットにより実行される場合、該処理ユニットに本発明の第1の態様の方法を実行させるよう適合される命令のセットを含むコンピュータプログラムに関する。
【0023】
本発明のこれら及び他の態様は、以下に述べられる実施形態から明らかになり、以下に述べられる実施形態を参照して詳述される。
【図面の簡単な説明】
【0024】
本発明を、添付の図面を参照して、例として、より詳細に説明する。
図1】本発明の一実施形態が実施される通信ネットワークのブロック図である。
図2】本発明の一実施形態による通信装置のブロック図である。
図3】本発明の一実施形態による方法を表すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0025】
本発明は、例えば図1に表される通信ネットワーク1において用いられる通信装置に関する。
【0026】
この通信ネットワーク1において、通信ノード10a〜10jを構成する複数の通信装置がネットワーク内で通信を行っている。通信ノード10aが、範囲外の遠隔通信ノード10jにデータメッセージを送信する必要がある場合、データメッセージは、転送通信ノード(forwarding communication node)により転送又は中継される。例えば、通信ノード10aから通信10jへのデータメッセージの場合、データメッセージは、通信ノード10jに到達するまで、通信ノード10b、次いで10c、次いで10d、次いで10eにより中継される。これらの通信装置は、例えば、照明ネットワーク内の照明器具を制御するために、アクチュエータに使用されてもよい。斯くして、通信装置10aは、関連する照明器具11jを制御するために通信装置10jにより受信されるコマンドを送信するためスイッチ11a(例えば、壁スイッチ、存在センサ、光度検出器)と関連付けられてもよい。
【0027】
このルーティングを支援するため、図2に示されるように、通信装置10は、例えばアンテナに結合されたRFユニットである、送信機21a及び受信機21bを含むトランシーバ21と、トランシーバの動作に関連するコンフィギュレーションデータとネイバーテーブルを記憶するメモリ22とを備える。上述したように、ネイバーテーブル(NBT)は、通信装置の範囲内にある通信ノードの記録をつけるために使用される。このネイバーテーブルは、各々がそれぞれの隣接ノードに対応する複数のネイバーテーブルエントリを含む。隣接ノードは、単一の通信ホップ内で当該通信装置により到達可能な通信ノードである。図1の例として、通信ノード10aは、通信ノード10b、10dの範囲内にあり、これらに対応するエントリが、自身のネイバーテーブルに含まれる。
【0028】
図2に示されるように、通信装置10はまた、例えば、IEEE802.15.4に基づくZigBee(登録録標)モジュール等の、メモリ22と関連して、トランシーバ21を動作させるコントローラ23を備える。さらに、通信装置は、他の通信ノードとのリンク品質を推定するために、制御メッセージに関する何らかの測定を実行する測定ユニット24を含むことができる。
【0029】
本発明の一実施形態において、各通信装置は、例えば通信相手リストにおいて、自身のそれぞれの"通信相手"の記録をつける。上述したように、通信相手は、通信装置がパケットを受信する通信ノード、又は通信装置がパケットを送信しなければならない通信ノードとして定義され得る。
【0030】
先に詳述した図1の例においては、発信元アドレスは、通信ノード10aのアドレスであり、宛先アドレスは、通信ノード10jに対応するアドレスである。
【0031】
"通信相手"のうちの1つが隣接ノードでもあることが生じた場合、ネイバーテーブルに組み込まれることが優先され、可能であれば、ネイバーテーブルが一杯である場合通信相手ではない他のノードを置き換える。
【0032】
逆に、既にネイバーテーブルにある"通信相手"ノードは、通信相手ではない隣接ノードにより置き換えられることはない。
【0033】
第1の実施形態の一例として、通信ノード10dの場合を考える。通信ノード10dの範囲100dを考慮して、すべての通信ノード10a〜10fは、この通信ノード10dと直接通信することができる。しかしながら、、この例において、ネイバーテーブルは4つのエントリに制限されている。したがって、通信ノード10dが通信相手を認識していない場合、この例において、最良のリンク品質を有する4つの通信ノード、ここでは10a、10b、10c及び10eのみがネイバーテーブルにリストされる。
【0034】
この例において、リンク品質は、通信10dがいくつかの特性、例えばRSSIを測定することを可能にする特別な制御メッセージの受信時に推定される。他の特性、例えばSIR、BER等も使用され得る。逆に、通信ノード10dは、定期的に、すべてのオーバヒアリング(overhearing)通信ノードにより、例えばこれらノードが知覚したリンク品質の指示と共に応答される、ある種のビーコン又はハートビートメッセージを送信してもよい。
【0035】
斯くして、通信ノード10dは、このようにして、例えば、ZigBee(登録商標)でこのリンク状態メッセージを受信することにより、ネイバー情報を収集する。これらのメッセージは制御メッセージである。データメッセージ(例えば、コマンドメッセージ)が到着すると、通信ノード10dは、発信者がネイバーテーブルにあるかどうかをチェックし、それが通信相手としてマークされているかどうかをチェックする。同様に、ローカル上位層(local higher layer)からのデータパケットが受信され、送り出されるべき場合(例えば、スイッチが作動している場合)、宛先アドレスが、ネイバーテーブル内の対応するネイバーテーブルエントリの存在についてチェックされる。存在する場合、この宛先も通信相手としてマークされる。さらにネイバーからリンク状態メッセージを受信した場合、これらの通信相手は、より良いリンク品質を持つネイバーが存在する場合でも、NBTから削除されることはない。
【0036】
本例において、通信ノード10fから発信されたデータパケットが受信された場合、通信ノード10dは、通信ノード10fが通信相手であると判定する。この実施形態の第1の変形例において、通信ノード10dは、通信ノード10fを通信相手リストに追加する。そして、通信ノード10dは、上記のように通信ノード10fから制御メッセージを受信した場合、通信ノード10dは、通信相手リストをチェックし、通信ノード10fに対応するエントリを検索する。そして、通信ノード10dは、通信ノード10fをネイバーリストに追加することを決定するが、該リストは満杯である。斯くして、このエントリに既に存在するものを置き換える必要がある。この例示的な実施形態において、通信ノード10dは、通信10dの通信相手ではなく、通信ノード10b、10c及び10eと比較してリンク品質が最も低い通信ノード10aを選択する。この実施形態の変形例において、(ある種の孤立(orphaning)を避けるため)隣接する各通信ノードの隣接ノードの数等のさらなる特性を考慮に入れることができる。
【0037】
この実施形態の他の変形例において、通信ノード10dは、宛先アドレスとして通信ノード10dを有する通信ノード10fからの発信元送信(original transmission)をオーバヒアリングする。この場合、通信ノード10dは、制御メッセージを受信していない場合であっても、通信ノード10dは、上述したようにネイバーテーブルエントリの置き替えを直に進める。これは、各通信ノードにおいて通信相手テーブルを維持することを回避する利点がある。
【0038】
本発明の変形例において、ネイバーテーブルにリストされ、通信相手でもある隣接通信ノードがしばらくの間聞かれていない場合、該ノードは、ネイバーテーブルから単純にエージアウト(age out)されないが、到達不能としてマークされる。その場合、該ノードに送られる必要があるさらなるメッセージは、通常のルーティングプロシージャを介する、すなわち、中間通信ノードにより転送される必要がある。しかしながら、データメッセージが直接該ノードから受信された場合、該ノードは、例えばリンク状態メッセージ等の制御メッセージを待つことなく、ネイバーテーブルにおいて直ちに再アクティブ化されるべきである。
【0039】
第2の実施形態において、ノードの通信相手は、上記のように動的に決定されるのではなく、管理インターフェースによりインストール時又はその後に該ノードにプログラムされる。
【0040】
本発明の他の態様において、図3に示される方法がここで述べられる。上述したように、ステップS100において、通信装置は、制御メッセージ又はデータメッセージを受信する。ステップS101において、通信装置は、このメッセージがネイバーテーブルにまだ存在しない通信ノードに関するものであるかどうか、例えば、
ネイバーテーブルにまだ存在しない新しい隣接通信ノードに対応するリンク品質メッセージが受信されたか、又は
この通信装置宛であって、ネイバーテーブルにまだ存在しない通信ノードから発信されているデータメッセージをオーバヒアリングしたか、
をチェックする。
【0041】
メッセージが、ネイバーテーブルの既に存在するエントリに対応する場合、ステップS102において、通信装置は、ネイバーテーブルを更新する(リンク品質の更新、通信相手フラグの更新、オプションでリセットされるエントリのエージング)。
【0042】
メッセージが、潜在的な新しいエントリに対応する場合、通信装置は、ステップS103において、ネイバーテーブルが一杯であるかどうかをチェックする。この新たなエントリのためにネイバーテーブルに十分な空きがある場合、通信装置は、ステップS104において、この新たなエントリをネイバーテーブルに追加する。反対に、ステップS103において、ネイバーテーブルが満杯であると判断された場合、通信装置は、ステップS105において、この潜在的な新たなエントリが通信相手に対応するか否かをチェックする。そうでない場合、ステップS106において、置き換えは、リンク品質(及び/又は他のパラメータ)のみに基づいて実行され、通信相手に対応しない他のエントリと比較される。通信装置が、ステップS105において、この潜在的な新たなエントリが通信相手に対応すると判断した場合、通信装置は、ステップS107において、通信相手ではない通信ノードに対応するエントリのうちの1つをこの新たなエントリと置き換える。好ましくは、この削除されるエントリは、ネイバーテーブルの最低のリンク品質に対応する非通信相手のエントリに対応する。斯くして、通信相手のエントリは、ネイバーテーブルにおいてより高い優先度を有する。しかしながら、ネイバーテーブルのすべてのエントリが通信相手に対応する場合、他の基準、例えば、最近の使用からの経過時間、使用頻度、リンク品質等に基づいてネイバーテーブルからの通信相手のエントリを置き換えることも可能である。
【0043】
本発明の実施形態は、照明制御設備に典型的であるような少数の送信者/受信者の組合せしか存在しない、すなわち、多数の照明器具が単一のゲートウェイに送信又は単一のゲートウェイから受信するが、照明器具自体の間での通信はない、大規模な無線ネットワークに有益であり得る。
【0044】
本発明は、変形されたZigBee(登録商標)スタックが、標準的なZigBee(登録商標)デバイスとの下位互換性を維持することを可能にすることに留意されたい。したがって、サードパーティのZigBee(登録商標)デバイスとの相互運用性が脅かされることはない。
【0045】
本発明は、図面及び前述の説明において詳細に図示及び説明されてきたが、そのような図示及び説明は、説明的又は例示的であって、制限的ではないとみなされるべきであり、本発明は開示された実施形態に限定されない。開示された実施形態に対する他の変更は、図面、開示、及び添付の特許請求の範囲の研究から、クレームされた発明を実施する際に当業者により理解され、達成され得る。特許請求の範囲において、「含む(comprising)」という単語は他の要素又はステップを排除するものではなく、不定冠詞「a」又は「an」は複数を除外しない。特定の手段が相互に異なる従属請求項に列挙されているという単なる事実は、これらの手段の組み合わせが有利に使用できないことを示すものではない。特許請求の範囲内のいかなる参照符号も、範囲を限定するものとして解釈されるべきではない。
図1
図2
図3