【課題を解決するための手段】
【0008】
この目的のために、本発明の第1の態様によれば、通信装置におけるネイバーテーブルを管理する方法であって、
当該方法は、
通信装置が、通信装置の通信範囲内の通信ノードであるそれぞれの隣接ノードに対応する複数のネイバーテーブルエントリを含むネイバーテーブルを維持管理する(maintain)ステップ、
を含み、
維持管理するステップは、ネイバーテーブルの容量が閾値に達したと判断すると、ネイバーテーブルからの以前の隣接ノード(former neighbouring node)に対応する以前のネイバーテーブルエントリ(former neighbour table entry)を、新しい隣接ノードに対応する新しいネイバーテーブルエントリに置き換えるステップを含み、置き換えは、新しい隣接ノードが通信相手(communication partner)であるという判断に基づき、通信ノードは、以下の条件のうちの少なくとも1つの条件が満たされる場合、通信相手として定義される、方法が提案される
条件a:発信元アドレス(source address)として通信相手を含むメッセージが、通信装置により受信されたこと、
条件b:宛先アドレス(destination address)として通信相手を含むメッセージが、通信装置により送信されたこと、
条件c:新しい隣接ノードが、コンフィギュレーションにより通信相手として定義されること。
【0009】
斯くして、ネイバーテーブルの内容は、通信のために最適化される。通信装置の通信相手に対応するネイバーテーブルエントリは、他のネイバーテーブルエントリよりも高い優先度を有し、これにより、このネイバーテーブルに基づくメッセージのルーティングが、優先的に単一ホップルートを有することを可能にする。メッセージが通信ノードから通信ノードに中継されるネットワークにおいて、これは、ネットワークにおける転送の数を減らし、それにより、システムの干渉を減らす。さらに、データメッセージの各転送は、失われる可能性があるので、転送の数を減らすことにより、パケットロス(lost packet)の数が減り、再送信が少なくて済み、これは、再び干渉の低減に関与する。
【0010】
本発明の第1の態様の一実施形態によれば、以前の隣接ノードは、通信装置の通信相手ではない。実際、この実施形態において、通信相手に対応するネイバーテーブルエントリは、他の通信ノードのネイバーテーブルエントリよりも高い優先度を有し、ネイバーテーブルを管理する際に、通信相手に対応するエントリが、単なるネイバー通信ノードのエントリに比べて優先されることが提案される。
【0011】
先の実施形態と組み合わせられ得る本発明の第1の態様の変形例において、通信装置と前記以前の隣接ノードとの間のリンク品質は、ネイバーテーブルのネイバーテーブルエントリに対応し且つ通信ノードの通信相手ではない全ての隣接ノードのリンク品質よりも低い。これは、複数のネイバーテーブルエントリを置き換える場合に最も低いリンク品質のネイバーテーブルエントリを先ず除去することにより、最良のリンク品質を有するネイバー通信ノードに対応するネイバーテーブルエントリのみを維持することを可能にする。
【0012】
本発明の他の実施形態において、以前の隣接ノードは、通信装置の通信相手ではない、又は、通信装置と前記以前の隣接ノードとの間のリンク品質が通信装置と新しい隣接ノードとの間のリンク品質よりも低い通信相手である。斯くして、この例において、ネイバーテーブルエントリは、該ネイバーテーブルエントリが通信相手ではない通信ノードに対応する場合、又は通信相手だけがネイバーテーブルにリストされていて、この通信ノードに関連するリンク品質ノードが他の通信相手のリンク品質よりも低い場合、除去される又は置き換えられる。これは、ネイバーテーブルが通信相手だけで満たされるべき場合、最良の通信相手(信頼性が高い)だけを維持することを可能にする。
【0013】
本発明の上記の変形例の全てにおいて、条件aにおいて、前記メッセージは、宛先アドレスとして前記通信装置を含み、条件bにおいて、前記メッセージは、発信元アドレスとして前記通信装置を含むことが有益であり得る。斯くして、通信相手の定義は、単一ホップルートの場合に限定される、すなわち、発信元ノード及び宛先ノードは、互いに直接到達することができる。これは、上述したような干渉をさらに低減することを可能にする。
【0014】
本発明の例において、発信元(source)の発信元アドレスの意味は、データリンク層ではなく、ネットワーク層において考慮され(view)得る。これは、(ネットワーク層における)メッセージの実際の発信元であって、転送ノード(又はデータリンク層における前のホップ)ではないことを区別することを可能にする。同様に、宛先ノード(destination node)の宛先アドレスの意味は、(ネットワーク層における)メッセージの最終宛先であって、ルート上の次の転送者(forwarder)(又はデータリンク層における次のホップ)ではないことを区別するために、データリンク層ではなく、ネットワーク層において考慮され得る。
【0015】
本発明の上記の変形例の全てにおいて、条件cは、ネットワークコントローラによるネットワーク動作中のコンフィギュレーション又はインストール(installation)時のプリコンフィギュレーションを含んでもよい。このプリコンフィギュレーションは、動作中に、通信相手が学習する必要がなく、その識別子が予め通信装置に格納されるように実行されてもよい。この場合、通信装置は、通信相手が自身の近傍にいることを発見した場合、該通信相手は、自動的にネイバーテーブルに追加され、ネイバーテーブルが一杯である場合には他のエントリの置換をもたらす。同様に、通信相手リスト(communication partner list)は、動作中にネットワークに分配されてもよい。
【0016】
先の例と組み合わされ得る本発明の第1の態様の他の変形例において、当該方法は、ネイバーテーブルエントリの有効期間の満了を判断するステップ、及び有効期限が満了した前記ネイバーテーブルエントリが通信相手に対応しない限り、該ネイバーテーブルエントリを削除するステップを含む。斯くして、例えば、しばらくの間使用されていない(又は如何なる他のプロセスにより再認証され(revalidate)ていない)ネイバーテーブルエントリは、通信相手に対応するエントリでない場合に削除される。これは、通信相手を依然として維持しながら、ネイバーテーブルのスペースを空けることを可能にする。
【0017】
先の変形例において、通信装置は、通信相手の、有効期限が満了したネイバーテーブルエントリを、該通信相手は到達不能であることを示すフラグと共に、ネイバーテーブルに維持してもよい。斯くして、通信相手に対応するが、しばらくの間使用されていないエントリが、ネイバーテーブルに維持される。
【0018】
先の実施形態の一例において、到達不能であるとフラグされた第1の通信相手からのメッセージを受信すると、通信装置は、第1の通信相手に対応するネイバーテーブルエントリが再アクティブ化(reactivate)されるよう前記フラグを除去することにより該ネイバーテーブルエントリの値を更新する。斯くして、パケットが通信相手から直接受信された場合、対応するネイバーテーブルエントリは直ちに再アクティブ化され得る。
【0019】
上記で詳述した全ての例と組み合わされ得る第1の態様の別の変形形態において、維持管理するステップは、隣接ノードとのリンク品質の決定を可能にする制御メッセージを受信すると行われる。この例において、制御メッセージは、それぞれの隣接する通信ノードがリンク品質を推定できるようにネットワーク内の全ての通信ノードにより随時送信されてもよい。斯くして、この実施形態による通信装置は、斯かる制御メッセージを受信すると、受信した制御メッセージに対応する隣接する通信ノードが通信相手であるか否かを確認してもよい。そうである場合、該通信ノードは、ネイバーテーブルに入力されるべき高い優先度を有し、任意選択的に、テーブルが一杯である場合は、他のエントリを置き換える。
【0020】
本発明の第2の態様によれば、通信装置であって、
それぞれの隣接ノードに対応する複数のネイバーテーブルエントリを含むネイバーテーブルを含むメモリと、
当該通信装置の通信範囲内の通信ノードである複数の隣接ノードにメッセージを送信するための送信機と、
複数の隣接ノードからメッセージを受信するための受信機と、
メモリに格納されたネイバーテーブルを維持管理するよう構成されるコントローラであって、ネイバーテーブルからの以前の隣接ノードに対応する以前のネイバーテーブルエントリを、新しい隣接ノードに対応する新しいネイバーテーブルエントリに置き換えるよう構成されるコントローラであり、置き換えは、新しい隣接ノードが通信相手であるという判断に基づき、通信ノードは、以下の条件のうちの少なくとも1つの条件が満たされる場合、通信相手として定義される、コントローラと、
を備える、通信装置が提案される
条件a:発信元アドレスとして通信相手を含むメッセージが、当該通信装置により受信されたこと、
条件b:宛先アドレスとして通信相手を含むメッセージが、当該通信装置により送信されたこと、
条件c:新しい隣接ノードが、コンフィギュレーションにより通信相手として定義されること。
【0021】
本発明の第1の態様の全ての変形例は、本発明のこの第2の態様にも等しく適用可能である。
【0022】
本発明の第1の態様は、コンピュータにより実施されてもよく、斯くして、本発明の他の態様は、処理ユニットにより実行される場合、該処理ユニットに本発明の第1の態様の方法を実行させるよう適合される命令のセットを含むコンピュータプログラムに関する。
【0023】
本発明のこれら及び他の態様は、以下に述べられる実施形態から明らかになり、以下に述べられる実施形態を参照して詳述される。