特許第6850807号(P6850807)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6850807
(24)【登録日】2021年3月10日
(45)【発行日】2021年3月31日
(54)【発明の名称】流体通路を含む金属切削工具ホルダ
(51)【国際特許分類】
   B23B 29/12 20060101AFI20210322BHJP
   B23C 5/28 20060101ALN20210322BHJP
   B23B 51/06 20060101ALN20210322BHJP
【FI】
   B23B29/12 Z
   !B23C5/28
   !B23B51/06 D
【請求項の数】13
【全頁数】21
(21)【出願番号】特願2018-537488(P2018-537488)
(86)(22)【出願日】2016年12月19日
(65)【公表番号】特表2019-501788(P2019-501788A)
(43)【公表日】2019年1月24日
(86)【国際出願番号】EP2016081641
(87)【国際公開番号】WO2017125220
(87)【国際公開日】20170727
【審査請求日】2019年10月23日
(31)【優先権主張番号】16151678.6
(32)【優先日】2016年1月18日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】507226695
【氏名又は名称】サンドビック インテレクチュアル プロパティー アクティエボラーグ
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】ポイ, ゲルト
【審査官】 山本 忠博
(56)【参考文献】
【文献】 特開2006−218549(JP,A)
【文献】 特開平08−025111(JP,A)
【文献】 実開平02−104903(JP,U)
【文献】 独国特許出願公開第19654010(DE,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23B 27/10,29/12,51/06,
B23C 5/10,5/28,
B23Q 11/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属切削工具ホルダ(1)であって、
工具ホルダ本体部(2)
を含み、
前記工具ホルダ本体部(2)は、
第1の入口部(10)と第1の出口部(11)との間で第1の方向(4)に延在する第1の流体通路(3)と、
第2の入口部(12)と第2の出口部(13)との間で第2の方向(6)に延在する第2の流体通路(5)と
を含み、
前記第1の方向(4)は、前記第2の方向(6)とは異なっており、
前記工具ホルダ本体部(2)は、空洞(8)を含み、
前記第1の出口部(11)および前記第2の入口部(12)は、前記空洞(8)と交差しており、
前記第1の出口部(11)および前記第2の入口部(12)は離間されている、金属切削工具ホルダ(1)において、
前記工具ホルダ(1)は、前記第1の出口部(11)と前記第2の入口部(12)とを接続する湾曲した第3の流体通路(9)が部材(7)によって少なくとも部分的に形成されるように前記空洞(8)の中に位置決め可能である部材(7)を含み、
前記湾曲した第3の流体通路(9)は、前記第1の出口部(11)に隣接する第1の端部(14)から、前記第2の入口部(12)に隣接する第2の端部(15)へ延在しており、
前記第1の方向(4)は、前記第1の端部(14)において、前記湾曲した第3の流体通路(9)に接している、または実質的に接しており、
前記第2の方向(6)は、前記第2の端部(15)において、前記湾曲した第3の流体通路(9)に接している、または実質的に接しており、
前記部材(7)は、円筒状のまたは実質的に円筒状の形状を有しており、
前記部材(7)は、円形のまたは実質的に円形の上面(18)と、反対側の円形のまたは実質的に円形の底面(19)と、前記上面(18)および前記底面(19)を接続する側面(20)とを含み、
前記部材(7)の中心軸(21)は、前記上面(18)と前記底面(19)との間に延在しており、
溝部(26)は、前記部材(7)の前記側面(20)の中に形成されており、
前記部材(7)が前記空洞(8)の中に装着されているときに、前記溝部(26)の第1の端部は、前記湾曲した第3の流体通路(9)の前記第1の端部(14)に対応しており、前記溝部(26)の第2の端部は、前記湾曲した第3の流体通路(9)の前記第2の端部(15)に対応していることを特徴とする、金属切削工具ホルダ(1)。
【請求項2】
前記第1の出口部(11)と前記第2の入口部(12)とを接続する前記湾曲した第3の流体通路(9)は、前記部材(7)および前記工具ホルダ本体部(2)によって形成されている、請求項1に記載の金属切削工具ホルダ(1)。
【請求項3】
前記金属切削工具ホルダは、切削インサート(17)のためのインサートシート(16)を含み、
前記第2の出口部(13)は、前記インサートシート(16)と前記部材(7)との間に、または、実質的に前記インサートシート(16)と前記部材(7)との間に位置する、請求項1または2に記載の金属切削工具ホルダ(1)。
【請求項4】
前記部材は、前記上面(18)と前記底面(19)との間に延在する貫通孔(27)を含み、
前記貫通孔(27)の中心軸(22)は、前記部材(7)の前記中心軸(21)とは異なっており、
前記切削工具ホルダ(1)は、スクリュー(23)、および、前記空洞(8)の中に開口するねじ山付きの孔を含み、
前記部材(7)は、前記スクリュー(23)によって前記空洞(8)の中に取り付け可能であり、
前記スクリュー(23)は、前記貫通孔(27)の内側に部分的に位置決めされている、請求項1から3のいずれか一項に記載の金属切削工具ホルダ(1)。
【請求項5】
前記貫通孔(27)は、前記部材(7)の前記中心軸(21)に平行である、または実質的に平行であり、前記部材(7)の前記中心軸(21)から離間されており、
前記空洞(8)は、前記工具ホルダ本体部(2)の外部表面の中に開口しており、
前記空洞(8)は、底面(24)および側面(25)を含み、
前記ねじ山付きの孔は、前記空洞(8)の前記底面(24)の中へ開口している、請求項に記載の金属切削工具ホルダ(1)。
【請求項6】
前記溝部(26)および貫通孔(27)は、前記部材(7)の前記中心軸(21)の反対側または実質的に反対側に位置する、請求項1から5のいずれか一項に記載の金属切削工具ホルダ(1)。
【請求項7】
前記湾曲した第3の流体通路(9)の前記第1の端部(14)に対応する前記溝部(26)の前記第1の端部は、第1の半径(34)を有する凹形底面を有しており、
前記湾曲した第3の流体通路(9)の前記第2の端部(15)に対応する前記溝部(26)の前記第2の端部は、第2の半径(33)を有する凹形底面を有しており、
前記第1の半径(34)は、前記第2の半径(33)よりも大きい、請求項1から6のいずれか一項に記載の金属切削工具ホルダ(1)。
【請求項8】
前記第1の流体通路(3)の直径(31)は、前記第2の流体通路(5)の直径(38)よりも大きい、請求項1からのいずれか一項に記載の金属切削工具ホルダ(1)。
【請求項9】
前記湾曲した第3の流体通路(9)の前記第1の端部(14)は、前記湾曲した第3の流体通路(9)の前記第2の端部(15)よりも大きい断面積を有する、請求項1からのいずれか一項に記載の金属切削工具ホルダ(1)。
【請求項10】
前記第1の方向(4)および前記第2の方向(6)は、共通の平面上に位置する、請求項1からのいずれか一項に記載の金属切削工具ホルダ(1)。
【請求項11】
前記工具ホルダ本体部(2)は、カップリングを含み、当該カップリングは、フランジ面(37)およびテーパー面(36)を含み、前記テーパー面(36)は、前記工具ホルダ本体部(2)の長手方向の中心軸(30)の周りに対称的にまたは実質的に対称的に配置されており、
前記フランジ面(37)は、前記工具ホルダ本体部(2)の前記長手方向の中心軸(30)に対して垂直であり、
前記第1の入口部(10)は、前記フランジ面(37)と交差している、請求項1から10のいずれか一項に記載の金属切削工具ホルダ(1)。
【請求項12】
前記空洞(8)は、底面(24)および側面(25)を含み、
前記第1の出口部(11)および前記第2の入口部(12)のそれぞれは、前記空洞(8)の前記側面(25)と交差している、請求項1から11のいずれか一項に記載の金属切削工具ホルダ(1)。
【請求項13】
旋削動作によって金属ワークピースを機械加工するための方法であって、
請求項3〜11のいずれか一項に記載の金属切削工具ホルダ(1)を供給するステップと、
前記インサートシート(16)の中に旋削インサート(17)を締結するステップと、
金属ワークピースを供給するステップと、
前記金属ワークピースを回転させるステップと、
前記第1の入口部(10)から前記第2の出口部(13)へ流体を供給するステップと、
前記旋削インサート(17)の切削刃が前記金属ワークピースから切屑を切削するように、前記金属ワークピースに対して前記金属切削工具ホルダ(1)を移動させるステップと
を含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、金属切削の技術分野に属する。より詳細には、本発明は、コンピュータ数値制御(すなわち、CNC)機械など機械の中で金属切削のために使用される金属切削工具ホルダの分野に属する。
【背景技術】
【0002】
本発明は、請求項1のプリアンブルによる金属切削工具ホルダに言及する。換言すれば、本発明は、金属切削工具ホルダであって、工具ホルダ本体部を含み、工具ホルダ本体部は、第1の入口部と第1の出口部との間で第1の方向に延在する第1の流体通路と、第2の入口部と第2の出口部との間で第2の方向に延在する第2の流体通路とを含み、第1の方向は、第2の方向とは異なっており、工具ホルダ本体部は、空洞を含み、第1の出口部および第2の入口部は、空洞と交差しており、第1の出口部および第2の入口部は離間されている、金属切削工具ホルダに言及する。第2の態様では、本発明は、そのような金属切削工具ホルダによって金属ワークピースを機械加工する方法に関する。
【0003】
金属切削において、流体を使用することが一般的であり、流体は、切削ゾーンに方向付けられ、すなわち、機械加工される金属ワークピースから切屑を切削する切削刃に方向付けられ、または、その付近に方向付けられる。これは、流体が使用されないいわゆる乾式機械加工とは対照的である。流体は、流体供給源から切削ゾーンへチャネルまたは通路を通して供給される。動作のタイプ、ワークピース材料、および他の要因に応じて、流体の効果は変化する。特に、旋削において、流体が頻繁に使用される。
【0004】
流体は、外部システムまたは内部システムを通して供給され得る。外部システムは、流体チャネル(通常は、チューブ)が切削工具ホルダから離間される場合である。内部システムは、流体チャネルが切削工具ホルダの一部であるかまたは切削工具ホルダの内側にある場合である。外部システムはフレキシビリティーなどの利点を有することが可能であるが、流体の出口部から切削ゾーンへの大きい距離、および、切屑切断による流体チャネル(たとえば、チューブ)の損傷のリスクなど、不利益も存在している。
【0005】
流体の適用の1つのタイプは、最小量潤滑(MQL)と呼ばれる。MQLは、乾式機械加工および従来の潤滑(フラッドクーラントとも呼ばれる)の両方と比較して、多くの利点を有する。1つのそのような利点は、より少ない排出量である。したがって、環境的な理由のために、MQLは、より魅力的になっている。
【0006】
MQLは、液体潤滑剤および空気の混合または混合物である。MQLに適切な潤滑剤の例は、合成エステルおよび脂肪アルコールを含む。別々のチャネルまたは通路、すなわち、デュアルチャネルシステムが、潤滑剤および空気のために使用され得るが、そのようなシステムは、より多くのコストがかかり、MQLのために設計された機械を必要とする可能性がある。したがって、シングルチャネルシステムが、より経済的である。内部システムが使用される場合には、工具ホルダ本体部の中に別々のチャネルを作製することは、より高価であり、工具ホルダ本体部の機械的な強度を低減させる。しかし、デュアルチャネルシステムにおいて、潤滑剤および空気は、スピンドルを出るときに混合され得、これは、工具ホルダ本体部の中に別々のチャネルまたは通路を必要としないことになる。
【0007】
潤滑剤および空気を含む流体を移動させて混合することは、エーロゾル粒子を生成させるために、リザーバから流体を吸い上げるベンチャ(venture)を通して空気を押すことなど、さまざまなに行われ得る。代替的に、圧力ベースのまたはポンプベースのシステムが使用され得る。
【0008】
空気または空気流の速度は、潤滑剤を切削ゾーンへ運ぶ。1時間当たり最大で50mLの潤滑剤が、通常、MQLであると考えられ、いかなるケースにおいても、1時間当たり500mLを超える潤滑剤の流れは、MQLであるとは考えられない。したがって、MQLは、いわゆるフラッドクーラントと比較してかなり少ない体積の液体しか必要としない。
【0009】
空気圧力は、通常、4barを上回るか、または、60psiを上回る。通常、潤滑剤の液滴を運搬するのに十分な最小量の空気流が選ばれるべきである。
【0010】
EP1762320は、MQLにおいて使用される流体を輸送するのに適すると言われている、クーラント孔を備えたボーリング加工工具を開示している。孔は、ボーリング加工工具の内側に形成されている。クーラント孔は、3つの孔、すなわち、主孔、副孔、および、連絡孔から形成されている。連絡孔は、主孔の後端部と副孔の前方端部とを接続するために設けられた孔である。連絡孔の開口端部は、プラグによって覆われている。
【0011】
本発明者は、EP1762320に開示されているボーリング加工工具を使用するときに、金属切削におけるMQLの効果がさらに改善され得ることを見出した。
【発明の概要】
【0012】
本発明の目的は、金属切削におけるMQLの改善された効果を有する金属切削工具ホルダを提供することである。さらなる目的は、切削ゾーンに供給される流体のための流体通路が工具ホルダ本体部の内側に形成されている、金属切削工具ホルダを提供することである。一層さらなる目的は、経済的に製造され得る金属切削工具ホルダを提供することである。
【0013】
少なくとも主要目的は、最初に定義された金属切削工具ホルダによって実現され、工具ホルダは、第1の出口部と第2の入口部とを接続する湾曲した第3の流体通路が部材によって少なくとも部分的に形成されるように空洞の中に位置決め可能である部材を含み、湾曲した第3の流体通路は、第1の出口部に隣接する第1の端部から、第2の入口部に隣接する第2の端部へ延在しており、第1の方向は、第1の端部において、湾曲した第3の流体通路に接している、または実質的に接しており、第2の方向は、第2の端部において、湾曲した第3の流体通路に接している、または実質的に接していることを特徴とする。
【0014】
そのような金属切削工具ホルダによって、MQLにおいて使用される潤滑剤の液滴形成が低減される。本発明者は、従来の孔接合部が、MQLにおいて使用される流体の満足のいかない流れを与え、孔接合部において、または、流体が流れ方向の急激な変化または鋭い変化を受けるときに、液滴形成を引き起こすことを見出した。
【0015】
湾曲した第3の流体通路は、液滴形成を低減させるようにMQL流体が流れることを可能にする。湾曲した第3の流体通路が、第1の端部において第1の方向に接しており、また、第2の端部において第2の方向に接しているので、MQL流体は、液滴形成のリスクの低減を伴う効果的に、第1の入口部から第2の出口部へ流れることが可能であり、これによって、金属切削動作におけるMQL流体の効果を改善する。
【0016】
そのような金属切削工具ホルダによって、MQLの効果を低減させる、工具ホルダ本体部の内側の有底の孔は、回避され得る。
【0017】
部材によって少なくとも部分的に形成された、第1の出口部と第2の入口部とを接続する湾曲した第3の流体通路を備えた金属切削工具ホルダを提供することによって、金属切削工具ホルダ本体部は、アディティブマニュファクチャリングなど高価な生産方法に対する必要性なしに、第1および第2の流体通路をドリル加工するなど経済的に製造され得る。
【0018】
金属切削工具ホルダは、たとえば、旋削、フライス加工、ドリル加工、またはボーリング加工などの、金属切削動作において使用するように適合されているデバイスである。金属切削工具ホルダは、CNC旋盤など工作機械に装着または接続されるように配置されており、金属切削工具ホルダは、直接的に、または、1つもしくは複数の工具ホルダによって工作機械の工具スピンドルもしくは工具ポストに間接的に、のいずれかによって、装着または接続されるように配置されている。
【0019】
工具ホルダ本体部は、1つの単数のまたは単一片の本体部であり、好ましくは、ワンピースの鋼から作製されている。第1および第2の流体通路、または流体貫通孔、または流体チャネルは、工具ホルダ本体部の中に形成されており、流体の輸送に適切である。
【0020】
第1および第2の流体通路は、好ましくは、少なくとも1mmかつ5mm未満の直径を有する。第1および第2の流体通路は、好ましくは、真っ直ぐな孔の形態になっており、真っ直ぐな孔は、好ましくは、円形断面を有するドリル加工された孔である。第1および第2の流体通路のそれぞれは、好ましくは、一定の直径を有する。
【0021】
第1の流体通路は、第1の入口部または入口と第1の出口部または出口との間で第1の方向に延在しており、流体が第1の入口部から第1の出口部へ輸送され得るようになっている。第1の入口部は、工具ホルダ本体部の表面を出て、または、工具ホルダ本体部の表面と交差しており、工具ホルダ本体部の表面は、工具ホルダ本体部の内側表面または外側表面、たとえば、工具ホルダ本体部の後方外側表面、後方内側表面、または底部外側表面などであることが可能である。第1の入口部は、工作機械のマシンスピンドルの中の流体チャネルに接続され得る。第1の入口部は、好ましくはねじ式接続によって第1の入口部に接続されているチューブの形態の流体チャネルに接続され得る。第2の出口部は、好ましくは、工具ホルダ本体部の外側表面または外部表面と交差している。チューブ形状の物体、たとえば、流体またはクーラントノズルチューブなどは、好ましくは、第2の出口部に接続して位置する。そのようなチューブ形状の物体の目的は、金属切削動作における流体の効果をさらに強化することである。
【0022】
第2の流体通路は、第2の入口部または入口と第2の出口部または出口との間で第2の方向に延在しており、流体が第2の入口部から第2の出口部へ輸送され得るようになっている。第1の方向は、第2の方向とは異なっており、これは、第1の方向が、第2の方向に対してゼロよりも大きい角度を形成していることを意味している。
【0023】
工具ホルダ本体部は、空洞、すなわち、凹部または孔、たとえば、有底の孔または貫通孔などを含む。空洞は、工具ホルダ本体部の内部境界表面または好ましくは外部境界表面へ開口しており、または工具ホルダ本体部の内部境界表面または好ましくは外部境界表面と交差している。空洞は、好ましくは、円筒状の形状を有する。第1の出口部および第2の入口部は、空洞と交差しているか、または、空洞の中へ出る。
【0024】
第1の出口部および第2の入口部は、離間されており、または、互いにゼロよりも大きい距離に設置されている。
【0025】
工具ホルダは、部材またはエレメントを含み、部材またはエレメントは、好ましくは、金属、たとえば、鋼から作製されている本体部である。部材は、工具ホルダ本体部とは別々の本体部である。部材が工具ホルダ本体部に対して移動しないように、部材は、空洞の中または内側に、位置決め可能、取り付け可能、挿入可能、または装着可能である。空洞の内側に部材を位置決めするか、取り付けるか、または装着するための手段は、スクリュー、ねじ山、グルーなどの接着剤、ろう付け、クランプ、ばね、および溶接のうちの1つもしくは複数、または、これらの組み合わせを含む。部材は、空洞の中に恒久的に位置決め可能であることが可能である。部材は、好ましくは、たとえばスクリューによって、部材が非破壊式で除去可能となるように、空洞の中に位置決め可能である。部材の少なくとも一部分は、装着状態で空洞の内側に位置する。好ましくは、部材全体が、装着状態で空洞の内側に位置する。
【0026】
湾曲した、好ましくは円弧形状の、第3の流体通路は、第1の出口部と第2の入口部とを接続しており、金属切削動作の間に、流体が第1の流体通路から第2の流体通路へ流れることができるようになっている。湾曲した、好ましくは円弧形状の、第3の流体通路は、好ましくは、経路にしたがっており、または、円形、楕円形、もしくは螺旋形の一部分の形状を有する。湾曲した第3の流体通路は、好ましくは、空洞の内側のポイントの周りに湾曲している。第3の流体通路は、部材によって少なくとも部分的に形成されている。すなわち、第3の流体通路は、部材によって、たとえば、部材の中に2つの開口部を有する湾曲した通路または孔によって、完全に形成され得る。したがって、第3の流体通路壁部は、部材によって完全に形成されている。代替的に、第3の流体通路は、部材および工具ホルダ本体部の両方によって形成され得る。換言すれば、第3の流体通路は、部材と工具ホルダ本体部との間に位置するか、走っているか、または延在していることが可能である。換言すれば、第3の流体通路壁部または境界表面は、部材および工具ホルダ本体部の両方によって形成され得る。湾曲した第3の流体通路は、第1の出口部に隣接するかまたは第1の出口部と連通している第1の端部から、第2の入口部に隣接するかまたは第2の入口部と連通している第2の端部へ延在している。好ましくは、第3の流体通路の端部とそれぞれの隣接する出口部または入口部との間の任意のギャップは、0.2mm未満である。第3の流体通路の第1および第2の端部は、部材の外部表面によって少なくとも部分的に形成されており、または、部材の外部表面と交差している。
【0027】
第1の方向は、第1の端部において、湾曲した第3の流体通路に接している、または実質的に接しており、第2の方向は、第2の端部において、湾曲した第3の流体通路に接している、または実質的に接しており、流体が、湾曲した経路に沿って、または、流れ方向に鋭い変化がないように、第1の出口部から第2の入口部へ流れるかまたは走ることができるようになっている。
【0028】
第1、第2、および第3の流体通路は、流体通路または流体通路システムを一緒に形成しており、流体通路システムは、好ましくは、有底の孔がない。
【0029】
空洞および部材のサイズおよび形状は、流体漏出が回避または最小化されるように、相互に関係付けられている。換言すれば、空洞および部材の形状は、第1の入口部に進入する流体のすべてまたはほとんど、すなわち、少なくとも99%が、第2の出口部を出るように、相互に関係付けられている。
【0030】
本発明の実施形態によれば、第1の出口部と第2の入口部とを接続する湾曲した第3の流体通路は、部材および工具ホルダ本体部によって形成されている。
【0031】
そのような金属切削工具ホルダによって、金属切削工具ホルダは、はるかに経済的に製造され得る。その理由は、湾曲した第3の流体通路が、部材および工具ホルダ本体部によって、一緒にまたは共同で形成されているからである。たとえば、溝部は、部材の外部表面の中に形成され得、または、溝部は、空洞の表面の中に形成され得、または、これらの組み合わせである。したがって、部材の内側の高価な湾曲した貫通孔は必要でない。
【0032】
第3の流体通路は、部材によって、および、すなわち、工具ホルダ本体部とともに形成されており、すなわち、第3の流体通路壁部または境界表面は、部材および工具ホルダ本体部の両方によって形成されている。換言すれば、第3の流体通路は、部材と工具ホルダ本体部との間に位置するか、走っているか、または延在している。
【0033】
本発明の実施形態によれば、金属切削工具ホルダは、切削インサートのためのインサートシートを含み、
第2の出口部は、インサートシートと部材との間に、または、実質的にインサートシートと部材との間に位置する。
【0034】
そのように、MQLにおいて使用される流体などの流体は、切削インサートに向けて方向付けられ得、これによって、熱除去、潤滑、もしくは切屑除去、または、これらの組み合わせを改善することによって、金属切削動作を改善する。
【0035】
インサートシートまたはインサートポケットは、たとえば、スクリューまたはクランプによって、切削インサートが装着され得る構成になっている。
【0036】
第2の出口部は、インサートシートと部材との間に位置する。換言すれば、部材とインサートシートとの間の距離は、部材から第2の出口部への距離、および、第2の出口部からインサートシートへの距離の両方よりも大きい。別の言い方をすれば、第2の方向、より具体的には、第2の方向の延在は、上面図において、インサートシートの中に装着可能な切削インサートと交差している。換言すれば、第2の方向は、インサートシートの中に装着可能な切削インサートに向けて延在している。
【0037】
本発明の実施形態によれば、部材は、円筒状のまたは実質的に円筒状の形状を有しており、部材は、円形のまたは実質的に円形の上面と、反対側の円形のまたは実質的に円形の底面と、上面および底面を接続する側面とを含み、部材の中心軸線は、上面と底面との間に延在している。
【0038】
その効果は、部材が経済的に製造され得ることである。部材の円筒状のまたは実質的に円筒状の形状は、湾曲した第3の流体通路が一定のまたは実質的に一定の曲率を有することを可能にし、これは、滴形成のリスクをさらに低減させる。
【0039】
好ましくは、部材の側面の少なくとも大部分、すなわち、少なくとも50%が、部材の中心軸から一定の距離に位置する。湾曲した第3の流体通路は、部材の中心軸の周りに湾曲している。
【0040】
本発明の実施形態によれば、部材は、上面と底面との間に延在する貫通孔を含み、貫通孔の中心軸は、部材の中心軸とは異なっており、切削工具ホルダは、スクリュー、および、空洞の中に開口するねじ山付きの孔を含み、
部材は、スクリューによって空洞の中に取り付け可能であり、スクリューは、貫通孔の内側に部分的に位置決めされている。
【0041】
そのような配置によって、空洞の中の部材の回転または間違った場所のリスクが低減される。
【0042】
部材は、貫通孔を含み、貫通孔は、スクリュー孔であり、上面と底面との間に延在している。
【0043】
貫通孔の中心軸は、部材の中心軸とは異なっており、または、部材の中心軸からオフセットされており、または離間されている。換言すれば、貫通孔の中心軸は、部材の中心軸と一致していない。
【0044】
切削工具ホルダは、スクリュー、および、空洞の中に開口するねじ山付きの孔を含み、スクリューがねじ山付きの孔の中に取り付けられ得るようになっている。
【0045】
部材は、スクリューによって空洞の中に取り付け可能または装着可能であり、スクリューは、貫通孔の内側に部分的に位置決めされており、また、ねじ山付きの孔の内側に部分的に位置決めされている。
【0046】
本発明の実施形態によれば、貫通孔は、部材の中心軸に平行である、または実質的に平行であり、部材の中心軸から離間されており、空洞は、工具ホルダ本体部の外部表面の中に開口しており、空洞は、底面および側面を含み、ねじ山付きの孔は、空洞の底面の中へ開口している。
【0047】
そのような配置によって、部材は、容易に空洞の中に設置され、または、空洞から除去され得る。また、部材が空洞の中に十分に位置するかどうか、または、スクリューがさらに締め付けられる必要があるかどうかが、容易に検出され得る。さらに、空洞と部材との間からの漏出が容易に観察され得る。
【0048】
貫通孔は、部材の中心軸に平行であるか、または、部材の中心軸に実質的に(すなわち、10°以内)平行である。
【0049】
空洞は、工具ホルダ本体部の外部表面の中にまたは中へ開口している。
【0050】
側面は、空洞の底面と空洞の開口部の境界部とを接続している。
【0051】
空洞の底面は、空洞の開口部の反対側にあり、開口部の中へ、部材が位置決め可能である。
【0052】
空洞は、好ましくは円筒状のまたは実質的に円筒状になっており、空洞の半径は、部材の半径と同一または実質的に同一である。
【0053】
ねじ山付きの孔は、好ましくは、空洞の底面の中へ開口し、または、空洞の底面と交差している。ねじ山付きの孔は、好ましくは、空洞の中心軸から離間されているその中心軸を有する。
【0054】
本発明の実施形態によれば、溝部は、部材の側面の中に形成されている。
【0055】
これによって、空洞の内側に溝部を形成することは必要ではなく、したがって、工具ホルダ本体部は、より経済的に製造され得る。
【0056】
溝部は、好ましくは、部材の中心軸に対して垂直なまたは実質的に垂直な(すなわち、10°以内)平面上に、主要な延在を有する。溝部は、好ましくは、部材の上面から離間されている。溝部は、好ましくは、部材の底面から離間されている。
【0057】
本発明の実施形態によれば、溝部および貫通孔は、部材の中心軸の反対側または実質的に反対側に位置する。
【0058】
そのように、部材の機械的な強度が改善され、または、空洞の中の部材のより安全な場所を許容する、より大きい直径のスクリューが選ばれ得る。
【0059】
溝部および貫通孔は、部材の中心軸の反対側または実質的に反対側に位置しており、すなわち、中心軸は、貫通孔と溝部の少なくとも一部分との間に位置する。
【0060】
本発明の実施形態によれば、部材が空洞の中に装着されているときに、溝部の第1の端部は、湾曲した第3の流体通路の第1の端部に対応しており、溝部の第2の端部は、湾曲した第3の流体通路の第2の端部に対応している。
【0061】
その効果は、溝部の第1または第2の端部が有底の孔の一部を形成しないので、流体の流れがさらに改善されることである。異なって定式化されると、湾曲した第3の流体通路の第1の端部が、第1の出口部へ延在しているが、第1の出口部を越えていないので、また、湾曲した第3の流体通路の第2の端部が、第2の入口部へまたは第2の入口部まで延在しているが、第2の入口部を越えていないので、湾曲した第3の流体通路は、任意の有底の孔部分を伴わないことが可能である。
【0062】
部材が空洞の中に装着されているときに、溝部の第1の端部は、湾曲した第3の流体通路の第1の端部に対応しており、または、空洞の側面の一部分とともに、湾曲した第3の流体通路の第1の端部を部分的に形成している。これに対応するように、部材が空洞の中に装着されているときに、溝部の第2の端部は、湾曲した第3の流体通路の第2の端部に対応しており、または、空洞の側面の一部分とともに、湾曲した第3の流体通路の第2の端部を部分的に形成している。
【0063】
溝部の第1および第2の端部は、溝部の主要な延在の中の溝部の端部部分または端点である。したがって、溝部は、形状が円形ではない。換言すれば、溝部は、部材の中心軸の周りに360°延在してはいない。好ましくは、溝部は、部材の中心軸の周りに20°〜300°延在している。
【0064】
部材が空洞の中に装着されているときに、第1の方向および第2の方向の延在の想像上の交点から測定される、溝部の第1および第2の端部によって形成される角度は、好ましくは、第1および第2の流体通路によって形成される角度と同一または実質的に同一(すなわち、10°以内、好ましくは、5°以内)になっている。
【0065】
部材が工具ホルダ本体部に対して移動可能でないように、部材は、空洞の中に装着されている。換言すれば、部材は、空洞の中にロックされておりまたは移動不可能である。これは、たとえば、空洞の中に形成されているスクリュー孔の内側のスクリューによって、空洞の中に部材をロックすることによって実現され得、スクリュー孔は、空洞の内側の部材の回転が可能でないように設置されている。
【0066】
本発明の実施形態によれば、湾曲した第3の流体通路の第1の端部に対応する溝部の第1の端部は、第1の半径を有する凹形底面を有しており、湾曲した第3の流体通路の第2の端部に対応する溝部の第2の端部は、第2の半径を有する凹形底面を有しており、第1の半径は、第2の半径よりも大きい。
【0067】
そのように、湾曲した第3の流体通路は、第1および第2の流体通路の断面積が異なっている場合でも、第1および第2の流体通路の断面積に対応する断面積を有する端部を有することが可能であり、これによって、流体の流れをさらに改善する。
【0068】
したがって、溝部の第1および第2の端部は、部材の中心軸を含む平面の中の断面において、凹形形状を有する。
【0069】
本発明の実施形態によれば、第1の流体通路の直径は、第2の流体通路の直径よりも大きい。
【0070】
そのように、流体の速度は、第2の出口部において増加させられ、これによって、金属切削動作における流体の効果を改善する。
【0071】
したがって、第1および第2の流体通路は、断面が円形になっている。
【0072】
本発明の実施形態によれば、湾曲した第3の流体通路の第1の端部は、湾曲した第3の流体通路の第2の端部よりも大きい断面積を有する。
【0073】
そのように、湾曲した第3の流体通路は、それぞれの隣接する流体通路に対応することができる断面積を有する端部を有しており、これによって、流体流れを改善する。
【0074】
好ましくは、湾曲した第3の流体通路の第1の端部は、第1の出口部の断面と同じまたは実質的に同じサイズを有する断面を有する。好ましくは、湾曲した第3の流体通路の第2の端部は、第2の入口部の断面と同じまたは実質的に同じサイズを有する断面を有する。
【0075】
本発明の実施形態によれば、第1の方向および第2の方向は、共通の平面上に位置する。
【0076】
このように、部材は、高さがより低くされ得、すなわち、上面と底面との間で、より小さい距離を有しており、これによって、空洞の深さを低減させ、このことは、工具ホルダ本体部の改善された機械的な強度を与える。
【0077】
本発明の実施形態によれば、工具ホルダ本体部は、カップリングを含み、カップリングは、フランジ面およびテーパー面を含み、テーパー面は、工具ホルダ本体部の長手方向の中心軸の周りに対称的にまたは実質的に対称的に配置されており、フランジ面は、工具ホルダ本体部の長手方向の中心軸に対して垂直であり、第1の入口部は、フランジ面と交差している。
【0078】
そのように、金属切削工具ホルダは、MQLにおいて使用される流体供給に関して最適化されていない、正確で安定したクイックチェンジカップリングシステムとともに使用され得る。
【0079】
そのようなカップリングの1つの例は、ISO26623−1:2014に準拠したカップリングである。
【0080】
本発明の実施形態によれば、空洞は、底面および側面を含み、第1の出口部および第2の入口部のそれぞれは、空洞の側面と交差している。
【0081】
前記底面は、好ましくは、円形または実質的に円形になっている。前記底面は、好ましくは、平坦もしくは平面的であり、または、実質的に平坦もしくは実質的に平面的である。換言すれば、前記底面は、ディスク形状になっている、または実質的にディスク形状になっている。前記側面は、好ましくは、円周方向の側面である。前記側面は、好ましくは、円形シリンダの側部として形作られている。
【0082】
本発明のさらなる態様は、旋削動作によって金属ワークピースを機械加工するための方法であって、本発明による金属切削工具ホルダを供給するステップと、インサートシートの中に旋削インサートを締結するステップと、金属ワークピースを供給するステップと、金属ワークピースを回転させるステップと、第1の入口部から第2の出口部へ流体を供給するステップと、旋削インサートの切削刃が金属ワークピースから切屑を切削するように、金属ワークピースに対して金属切削工具ホルダを移動させるステップとを含む、方法に関する。
【0083】
流体は、好ましくは、潤滑剤および空気の混合物である。第1の入口部の中へ供給される混合物の中に含まれる供給された潤滑剤の体積は、好ましくは、500mL/時間未満、さらにより好ましくは、50mL/時間未満である。
【0084】
ここで、本発明について、本発明の異なる実施形態の説明によって、および、添付の図面を参照することによって、より詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0085】
図1】第1の実施形態による金属切削工具ホルダの側面図である。
図2図1の金属切削工具ホルダの背面図である。
図3図1の中の断面B−Bの図である。
図4図3の中のセクションDの詳細図である。
図5図1の金属切削工具ホルダのさらなる側面図である。
図6図5の中の断面A−Aの上面図である。
図7図1の金属切削工具ホルダからの部材の斜視図である。
図8図7の部材の側面図である。
図9図8の中の断面E−Eの図である。
図10図7の部材のさらなる側面図である。
図11図7の部材の一層さらなる側面図である。
図12図6と同様の、第2の実施形態による金属切削工具ホルダの一部である工具ホルダ本体部の上面図である。
図13図12の工具ホルダ本体部を含む金属切削工具ホルダの断面の上面図である。
図14図3と同様の、図13の金属切削工具ホルダの断面の図である。
図15図14の中のセクションCの詳細図である。
【発明を実施するための形態】
【0086】
すべての図面または図は、原寸に比例して描画されている。
【0087】
図1を参照すると、図1は、第1の実施形態による金属切削工具ホルダ1の側面図を示している。金属切削工具ホルダ1は、旋削工具ホルダであり、金属切削工具ホルダ1は、工具ホルダ本体部2を含み、工具ホルダ本体部2は、ワンピースの金属合金から作製されており、第1の実施形態では、金属合金は、鋼である。金属切削工具ホルダ1は、旋削インサートの形態の切削インサート17のためのインサートシート16を含む。旋削インサートは、超硬合金など、工具ホルダ本体部2よりも硬い材料から作製されている。工具ホルダ1は、スクリュー23によって工具ホルダ本体部2に取り付けられている部材7を含む。部材は、工具ホルダ本体部2の外部表面の中に開口する有底の孔の形態の空洞の中に位置決めされている。第2の出口部13は、インサートシート16と部材7との間に、または、実質的にインサートシート16と部材7との間に位置する。第2の出口部13は、第2の出口部13を出る流体が切削インサート17に向けて流れるように配置されている。工具ホルダ本体部2は、カップリングを含み、カップリングは、フランジ面37およびテーパー面36を含む。カップリングは、ISO26623−1:2014に準拠している。カップリングは、工具ホルダ本体部2の後方端部に形成されており、直接的に、または、間接的に、すなわち、さらなるエクステンション本体部によって、不図示のCNC機械のマシンスピンドルなど工作機械に連結されるのに適する。
【0088】
ここで、図2を参照すると、図2は、図1の金属切削工具ホルダ1の背面図を示している。カップリングは、フランジ面37およびテーパー面36を含む。テーパー面36は、工具ホルダ本体部の長手方向の中心軸30の周りに実質的に対称的に配置されている。フランジ面37は、工具ホルダ本体部の長手方向の中心軸30に対して垂直である。流体のための第1の入口部10が、フランジ面37と交差している。第1の入口部10は、工具ホルダ本体部の長手方向の中心軸30から半径方向の距離29に位置する。半径方向の距離29は、10〜100mmの範囲の中にある。切削インサート17の少なくとも一部分は、工具ホルダ本体部の長手方向の中心軸30から、半径方向の距離29よりも大きい半径方向の距離に延在している。
【0089】
ここで、図3を参照すると、図3は、図1の断面B−Bの図である。第2の出口部13は、実質的に切削インサート17と部材7との間に位置する。部材7は、上面18および反対側の底面を含み、この底面は、部材が位置する空洞の中の底面24と接触している。部材7および空洞は、同じ直径を有する。部材は、直径28を有しており、直径28は、5〜40mmの範囲の中にあり、第1の実施形態では、直径28は16mmである。空洞の深さおよび部材7の高さは、実質的に同じである。部材7の高さ35は、2〜20mmの範囲の中にある。湾曲した第3の流体通路9が、部材7および工具ホルダ本体部によって一緒に形成されている。より正確には、湾曲した第3の流体通路9は、部材7の側面の中の溝部、および、空洞の側面によって形成されている。
【0090】
ここで、図4を参照すると、図4は、図3の中のセクションDの詳細図である。空洞の側面25は、部材の側面の中に形成された溝部とともに、湾曲した第3の流体通路9を一緒に形成している。溝部は、凹形底面を有する。凹形底面は、第1の半径34および第2の半径33を含み、ここで、第1の半径34は、第2の半径33よりも大きくなっている。
【0091】
ここで、図5を参照すると、図5は、図1の金属切削工具ホルダ1のさらなる側面図である。金属切削工具ホルダ1は、切削インサート17およびカップリングを含み、カップリングは、フランジ面37およびテーパー面36を含み、テーパー面36は、工具ホルダ本体部の長手方向の中心軸30の周りに、実質的に対称的に配置されている。
【0092】
ここで、図6を参照すると、図6は、図5の中の断面A−Aの上面図である。工具ホルダ本体部2は、第1の流体通路3を含み、第1の流体通路3は、第1の入口部10と第1の出口部11との間で第1の方向4に延在している。工具ホルダ本体部2は、第2の流体通路5をさらに含み、第2の流体通路5は、第2の入口部12と第2の出口部13との間に第2の方向6に延在している。第2の出口部13は、第2の出口部13を出る流体が切削インサート17に向けて流れるように配置されている。第2の出口部13は、第2の出口部13を出る流体が切削インサート17の一部分に向けて流れるように配置されており、切削インサート17は、インサートシートの中に位置決めされており、インサートシートは、工具ホルダ本体部2の長手方向の中心軸から最大の距離に位置する。第1の方向4は、第2の方向6とは異なっている。第1の流体通路3の直径31は、第2の流体通路5の直径38よりも大きい。工具ホルダ本体部2は、空洞8を含む。第1の出口部11および第2の入口部12は、空洞8と交差している。第1の出口部11および第2の入口部12は離間されている。部材7は、空洞8の中に位置決めされており、第1の出口部11と第2の入口部12とを接続する湾曲した第3の流体通路9が形成されるようになっている。空洞8の側面25は、部材7の側面の中に形成された溝部とともに、湾曲した第3の流体通路9を一緒に形成している。湾曲した第3の流体通路9は、第1の出口部11に隣接する第1の端部14から、第2の入口部12に隣接する第2の端部15へ延在している。
【0093】
溝部の第1の端部は、湾曲した第3の流体通路9の第1の端部14に対応しており、溝部の第2の端部は、湾曲した第3の流体通路の第2の端部15に対応している。換言すれば、部材の側面の中に形成された溝部の延在は、湾曲した第3の流体通路の延在に対応しており、または、湾曲した第3の流体通路の延在に等しい、もしくは実質的に等しい。第1の方向4は、第1の端部14において、湾曲した第3の流体通路9に接している、または実質的に接している。第2の方向6は、第2の端部15において、湾曲した第3の流体通路9に接している、または実質的に接している。第1の流体通路3の直径31は、第2の流体通路5の直径38よりも大きい。湾曲した第3の流体通路9の第1の端部14は、湾曲した第3の流体通路9の第2の端部15よりも大きい断面積を有する。
【0094】
空洞8の半径32は、湾曲した第3の流体通路9の曲率半径に等しい、または実質的に等しい。より具体的には、空洞8の半径32は、湾曲した第3の流体通路9の外側部分の曲率半径に等しい、または実質的に等しく、ここで、湾曲した第3の流体通路の外側部分は、空洞の中心軸から最大の距離に位置する、湾曲した第3の流体通路の部分である。
【0095】
空洞8の半径32は、部材7の直径の半分と同一である、または実質的に同一である。湾曲した第3の流体通路9は、部材7の中心軸に位置するかまたは実質的に位置するポイントの周りで湾曲している。部材7の貫通孔27は、中心から外れており、すなわち、部材7の中心軸から離間されている。溝部および貫通孔27は、部材7の中心軸の反対側にまたは実質的に反対側に位置する。
【0096】
図6において見ることができるように、空洞8は、底面および側面25を含み、第1の出口部11および第2の入口部12のそれぞれは、空洞8の側面25と交差している。前記底面は、好ましくは、円形または実質的に円形になっている。前記底面は、好ましくは、平坦もしくは平面的であり、または、実質的に平坦もしくは実質的に平面的である。換言すれば、前記底面は、ディスク形状になっている、または実質的にディスク形状になっている。前記側面25は、好ましくは、円周方向の側面25である。前記側面25は、好ましくは、円形シリンダの側部として形作られている。
【0097】
金属切削工具ホルダは、好ましくは、中実の鋼材を供給するステップと、フライス加工など金属切削動作によって空洞を形成するステップと、それぞれのドリル加工切削動作が空洞の内側で終了するように、金属切削ドリル加工によって第1および第2の流体通路をドリル加工するステップとを含むように、作り出される。そのようにして、金属切削工具ホルダ本体部は、経済的に製造され得る。したがって、第1および第2の流体通路を形成するときに使用される1つまたは複数のドリルが、切削の間に、空洞に向けてそれぞれの方向に移動している。
【0098】
ここで、図7を参照すると、図7は、図1の金属切削工具ホルダからの部材7の斜視図である。部材7は、円形のまたは実質的に円形の上面18と、反対側の円形のまたは実質的に円形の底面19とを含む。部材7の底面19の少なくとも一部分は、工具ホルダ本体部の中の空洞形態の中に装着されているときに、空洞の底面の少なくとも一部分と接触している。側面20は、上面18と底面19とを接続している。溝部26が、部材7の側面20の中に形成されている。貫通孔27は、上面18から底面19へ延在している。
【0099】
ここで、図8図10、および図11を参照すると、図8図10、および図11は、図7の部材の側面図を示している。部材7は、上面18および反対側の底面19を含む。上面18および底面19は、平行なまたは実質的に平行な平面上にそれぞれ延在している。部材7の中心軸21は、上面18と底面19との間に延在している。側面20は、上面18と底面19とを接続している。側面20の面積の大部分、すなわち、50%超、好ましくは、80%超が、部材7の中心軸21から一定の距離または実質的に一定の距離に位置する。溝部26は、部材7の側面20の中に形成されている。溝部26は、上面18から離間されている。溝部26は、底面19から離間されている。溝部26は、凹形底面を有する。凹形底面は、部材7の中心軸21から離間されている。溝部26の第1の端部は、第1の半径または曲率半径34を有する凹形底面を有する。溝部26の第2の端部は、第2の半径または曲率半径33を有する凹形底面を有する。第1の半径34は、第2の半径33よりも大きい。
【0100】
ここで、図9を参照すると、図9は、図8の中の断面E−Eの図である。貫通孔27の中心軸22は、部材7の中心軸21から離間されている。溝部および貫通孔27は、部材7の中心軸21の反対側または実質的に反対側に位置する。異なって定式化されると、溝部の第1の端部と第2の端部との間の中間に位置する溝部の一部分、および貫通孔27は、部材7の中心軸21の反対側または実質的に反対側に位置する。溝部の第1の端部は、湾曲した第3の流体通路9の第1の端部14に対応しており、溝部の第2の端部は、湾曲した第3の流体通路9の第2の端部15に対応している。部材は、5〜40mmの範囲の中にある直径28を有する。第1の実施形態では、直径28は、16mmである。
【0101】
ここで、図12から図15を参照すると、図12から図15は、第2の実施形態による金属切削工具ホルダを示している。第2の実施形態による金属切削工具ホルダは、部材の側面の形状が異なっているという点、および、空洞の側面の形状が異なっているという点のみにおいて、第1の実施形態による金属切削工具ホルダとは著しく異なっている。
【0102】
ここで、図12を参照すると、図12は、第2の実施形態による金属切削工具ホルダの一部を形成する工具ホルダ本体部2の上面図を示している。部材のために、工具ホルダ本体部2の外部表面の中に開口する有底の孔の形態の空洞8が形成されている。第2の出口部13は、インサートシートと空洞8との間に、または、実質的にインサートシートと空洞8との間に位置する。第2の出口部13は、第2の出口部13を出る流体が切削インサートに向けて流れるように配置されている。工具ホルダ本体部2は、カップリングを含み、カップリングは、フランジ面37およびテーパー面36を含む。カップリングは、ISO26623−1:2014に準拠している。カップリングは、工具ホルダ本体部2の後方端部に形成されており、直接的に、または、間接的に、すなわち、さらなるエクステンション本体部によって、不図示のCNC機械のマシンスピンドルなど工作機械に連結されるのに適する。工具ホルダ本体部2は、第1の流体通路3を含み、第1の流体通路3は、第1の入口部10と第1の出口部11との間に延在している。工具ホルダ本体部2が、第2の流体通路5をさらに含み、第2の流体通路5は、第2の入口部12と第2の出口部13との間に延在している。第1の出口部11および第2の入口部12は、空洞8と交差している。第1の出口部11および第2の入口部12は離間されている。部材は、空洞8の中に位置決め可能であり、第1の出口部11と第2の入口部12とを接続する湾曲した第3の流体通路が形成されるようになっている。空洞8の側面25の中に形成された溝部は、部材の側面とともに、湾曲した第3の流体通路を一緒に形成している。湾曲した第3の流体通路9は、第1の出口部11に隣接する第1の端部から、第2の入口部12に隣接する第2の端部へ延在している。
【0103】
空洞8の側面25の中に形成された溝部の第1の端部は、湾曲した第3の流体通路9の第1の端部に対応しており、溝部の第2の端部は、湾曲した第3の流体通路の第2の端部15に対応している。
【0104】
換言すれば、空洞の側面の中に形成された溝部の延在は、湾曲した第3の流体通路の延在に対応しており、または、湾曲した第3の流体通路の延在に等しい、もしくは実質的に等しい。
【0105】
ここで、図13を参照すると、図13は、図6に示されている図と同様の、図12の工具ホルダ本体部を含む金属切削工具ホルダの断面の上面図である。工具ホルダ本体部は、第1の流体通路3を含み、第1の流体通路3は、第1の入口部と第1の出口部との間で第1の方向に延在している。工具ホルダ本体部は、第2の流体通路5をさらに含み、第2の流体通路5は、第2の入口部と第2の出口部との間で第2の方向に延在している。第1の方向は、第2の方向とは異なっている。第1の流体通路3の直径31は、第2の流体通路5の直径38よりも大きい。工具ホルダ本体部は、空洞を含む。第1の出口部および第2の入口部は、空洞と交差している。第1の出口部および第2の入口部は離間されている。部材7は、空洞の中に位置決めされており、第1の出口部と第2の入口部とを接続する湾曲した第3の流体通路9が形成されるようになっている。空洞の側面の中に形成された溝部は、部材7の側面とともに、湾曲した第3の流体通路9を一緒に形成している。湾曲した第3の流体通路9は、第1の出口部に隣接する第1の端部から、第2の入口部に隣接する第2の端部へ延在している。第1の方向は、第1の端部において、湾曲した第3の流体通路9に接している、または実質的に接している。第2の方向は、第2の端部において、湾曲した第3の流体通路9に接している、または実質的に接している。空洞の半径32は、湾曲した第3の流体通路9の曲率半径に等しい、または実質的に等しい。より具体的には、空洞の半径32は、湾曲した第3の流体通路9の内側部分の曲率半径に等しい、または実質的に等しく、ここで、湾曲した第3の流体通路の内側部分は、空洞の中心軸から最大の距離に位置する、湾曲した第3の流体通路の部分である。湾曲した第3の流体通路の外側部分の半径42は、空洞の中心軸から、空洞の側面の中に形成された溝部の底部への距離に等しい。部材7は、円筒状のまたは実質的に円筒状の形状を有する。部材7は、任意の適切な手段によって空洞の中に位置する。
【0106】
ここで、図14を参照すると、図14は、図3と同様の、図13の金属切削工具ホルダの断面の図である。第2の出口部13は、実質的に切削インサート17と部材7との間に位置する。部材7は、上面18および反対側の底面を含み、この底面は、部材が位置する空洞の中の底面24と接触している。部材7および空洞は、同じ直径を有する。部材は、直径28を有しており、直径28は、5〜40mmの範囲の中にあり、第2の実施形態では、直径28は16mmである。空洞の深さおよび部材7の高さは、実質的に同じである。部材7の高さ35は、2〜20mmの範囲の中にある。湾曲した第3の流体通路9が、部材7および工具ホルダ本体部によって一緒に形成されている。より正確には、湾曲した第3の流体通路9は、空洞の側面の中の溝部、および、部材7の側面によって形成されている。
【0107】
ここで、図15を参照すると、図15は、図14の中のセクションCの詳細図である。空洞の側面25の中に、溝部41が形成されており、溝部41は、部材の側面とともに、湾曲した第3の流体通路を形成している。溝部41は、凹形底面を有する。溝部41の凹形底面は、0.5〜5.0mmの範囲の中にある半径を有する。第2の実施形態では、半径は、1.0mmである。
【0108】
不図示の第3の実施形態によれば、金属切削工具ホルダは、工具ホルダ本体部を含み、工具ホルダ本体部は、第1の入口部と第1の出口部との間で第1の方向に延在する第1の流体通路と、第2の入口部と第2の出口部との間で第2の方向に延在する第2の流体通路とを含み、第1の方向は、第2の方向とは異なっており、工具ホルダ本体部は、空洞を含み、第1の出口部および第2の入口部は、空洞と交差しており、第1の出口部および第2の入口部は離間されており、工具ホルダは、部材を含み、部材は、空洞の中に位置決め可能であり、第1の出口部と第2の入口部とを接続する湾曲した第3の流体通路が、部材によって少なくとも部分的に形成されるようになっており、湾曲した第3の流体通路は、第1の出口部に隣接する第1の端部から、第2の入口部に隣接する第2の端部へ延在しており、第1の方向は、第1の端部において、湾曲した第3の流体通路に接している、または実質的に接しており、第2の方向は、第2の端部において、湾曲した第3の流体通路に接している、または実質的に接している。
【0109】
金属切削工具ホルダは、空洞の側面と部材の側面との間に位置するリング形状のシーリングをさらに含む。リング形状のシーリング部材は、湾曲した第3の流体通路と部材の上面との間に位置する。リング形状のシーリング部材は、可撓性の材料など、流体漏出を防止するのに適した材料から作製されている。第2の実施形態では、リング形状のシーリング部材の材料は、ゴムである。
【0110】
不図示の第4の実施形態によれば、金属切削工具ホルダは、工具ホルダ本体部を含み、工具ホルダ本体部は、第1の入口部と第1の出口部との間で第1の方向に延在する第1の流体通路と、第2の入口部と第2の出口部との間で第2の方向に延在する第2の流体通路とを含み、第1の方向は、第2の方向とは異なっており、工具ホルダ本体部は、空洞を含み、第1の出口部および第2の入口部は、空洞と交差しており、第1の出口部および第2の入口部は離間されており、工具ホルダは、部材を含み、部材は、空洞の中に位置決め可能であり、第1の出口部と第2の入口部とを接続する湾曲した第3の流体通路が、部材によって少なくとも部分的に形成されるようになっており、湾曲した第3の流体通路は、第1の出口部に隣接する第1の端部から、第2の入口部に隣接する第2の端部へ延在しており、第1の方向は、第1の端部において、湾曲した第3の流体通路に接している、または実質的に接しており、第2の方向は、第2の端部において、湾曲した第3の流体通路に接している、または実質的に接している。
【0111】
さらに、金属切削工具ホルダは、その前方端部に位置するインサートシートを含む。さらに、金属切削工具ホルダは、工具ホルダ本体部の長手方向の中心軸に対して垂直の断面を有しており、この断面は、少なくとも金属切削工具ホルダの後方端部において、矩形、たとえば、正方形の形状になっており、この後方端部は、金属切削工具ホルダの前方端部の反対側にある。さらに、第1の入口部は、工具ホルダ本体部の外部表面または外側表面と交差している。さらに、第1の入口部は、外部チューブが第1の入口部に接続され得るように配置されている。
【0112】
不図示の第5の実施形態によれば、金属切削工具ホルダは、工具ホルダ本体部を含み、工具ホルダ本体部は、第1の入口部と第1の出口部との間で第1の方向に延在する第1の流体通路と、第2の入口部と第2の出口部との間で第2の方向に延在する第2の流体通路とを含み、第1の方向は、第2の方向とは異なっており、工具ホルダ本体部は、空洞を含み、第1の出口部および第2の入口部は、空洞と交差しており、第1の出口部および第2の入口部は離間されており、工具ホルダは、部材を含み、部材は、空洞の中に位置決め可能であり、第1の出口部と第2の入口部とを接続する湾曲した第3の流体通路が、部材によって少なくとも部分的に形成されるようになっており、湾曲した第3の流体通路は、第1の出口部に隣接する第1の端部から、第2の入口部に隣接する第2の端部へ延在しており、第1の方向は、第1の端部において、湾曲した第3の流体通路に接している、または実質的に接しており、第2の方向は、第2の端部において、湾曲した第3の流体通路に接している、または実質的に接している。
【0113】
さらに、金属切削工具ホルダは、溝削り工具ホルダであり、溝削りインサートのためのインサートシートを含む。さらに、空洞は、貫通孔の形態になっている。さらに、金属切削工具ホルダは、部材を含み、部材は、工具ホルダ本体部の中に形成された空洞にまたはその中に、恒久的に取り付けられているかまたは取り付け可能である。
【0114】
本発明は、開示されている実施形態に限定されるのではなく、以下の特許請求の範囲の中で変更および修正され得る。
【0115】
たとえば、金属切削工具ホルダは、好ましくは、MQLなど、潤滑剤または空気の混合物である流体とともに使用されるが、エマルジョン、油、水、または、これらの組み合わせなど、他の流体を使用するときにも、プラスの効果が観察された。
【0116】
本出願において、「含む(including)」などの用語の使用は、オープンエンド形式であり、「含む(comprising)」などの用語と同じ意味を有することが意図されており、他の構造、材料、または作用の存在を除外することは意図されていない。同様に、「可能である(can)」または「可能である(may)」などの用語の使用は、オープンエンド形式であることが意図されており、また、構造、材料、または作用が必要でないことを示すことが意図されているが、そのような用語を使用しなかったことは、構造、材料、または作用が必須であることを示すことが意図されているわけではない。構造、材料、または作用が必須であると現在考えられる範囲では、これらは、このように識別されている。「上側」、「下側」、「上部」、「底部」、「前方」、および「後方」などの用語は、現在の図面に示されているような、および、当業者によって知覚されるような、特徴を表している。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15