特許第6850812号(P6850812)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6850812複数チャンバ式呼吸マスクの封止装置及び方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6850812
(24)【登録日】2021年3月10日
(45)【発行日】2021年3月31日
(54)【発明の名称】複数チャンバ式呼吸マスクの封止装置及び方法
(51)【国際特許分類】
   A62B 18/10 20060101AFI20210322BHJP
   F16K 24/00 20060101ALI20210322BHJP
   F16K 24/04 20060101ALI20210322BHJP
【FI】
   A62B18/10
   F16K24/00 Z
   F16K24/04 W
【請求項の数】5
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2018-550821(P2018-550821)
(86)(22)【出願日】2017年3月15日
(65)【公表番号】特表2019-512344(P2019-512344A)
(43)【公表日】2019年5月16日
(86)【国際出願番号】US2017022451
(87)【国際公開番号】WO2017172361
(87)【国際公開日】20171005
【審査請求日】2020年3月12日
(31)【優先権主張番号】62/313,949
(32)【優先日】2016年3月28日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】505005049
【氏名又は名称】スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100110803
【弁理士】
【氏名又は名称】赤澤 太朗
(74)【代理人】
【識別番号】100135909
【弁理士】
【氏名又は名称】野村 和歌子
(74)【代理人】
【識別番号】100133042
【弁理士】
【氏名又は名称】佃 誠玄
(74)【代理人】
【識別番号】100157185
【弁理士】
【氏名又は名称】吉野 亮平
(72)【発明者】
【氏名】カスティリオーネ,デーヴィッド エム.
【審査官】 飯島 尚郎
(56)【参考文献】
【文献】 特表2016−506791(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2014/0216474(US,A1)
【文献】 特表平11−505459(JP,A)
【文献】 登録実用新案第3184103(JP,U)
【文献】 登録実用新案第28815(JP,Z1)
【文献】 登録実用新案第26596(JP,Z1)
【文献】 特開平09−239047(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2008/0245364(US,A1)
【文献】 米国特許第2168695(US,A)
【文献】 実開平03−021349(JP,U)
【文献】 実開昭62−170055(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A62B 7/00−33/00
F16K 24/00
F16K 24/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1のチャンバ、第2のチャンバ、及び装着者のための呼吸可能空気領域を画定するマスク本体と、
第1及び第2の呼吸空気源構成要素であって、前記第1のチャンバが前記第1の呼吸空気源構成要素と流体連通し、前記第2のチャンバが前記第2の呼吸空気源構成要素と流体連通するように、前記マスク本体に取り付けられるように構成された第1及び第2の呼吸空気源構成要素と、
開構成と、前記第1及び第2の呼吸空気源構成要素と前記呼吸可能空気領域との流体連通を妨げる閉構成との間で操作可能な単一のアクチュエータを備える弁アセンブリと、を備える呼吸マスク保護装置であって、
前記第1及び第2のチャンバは、前記第1のチャンバが第1の吸気ポートを通じて前記呼吸可能空気領域と流体連通し、前記第2のチャンバが第2の吸気ポートを通じて前記呼吸可能空気領域と流体連通するように、実質的に流体隔離されている、呼吸マスク保護装置。
【請求項2】
前記第1及び第2の吸気ポートは、空気が前記呼吸可能空気領域に入ることを可能にし、空気が前記呼吸可能空気領域から前記第1又は第2のチャンバに出ることを妨げるように構成された逆止弁を備える、請求項1に記載の呼吸マスク保護装置。
【請求項3】
単一の隔壁が、前記第1の吸気ポートと前記第2の吸気ポートの両方を選択的に覆い、空気が前記第1及び第2のチャンバから前記呼吸可能空気領域に入ることを可能にし、空気が前記呼吸可能空気領域から前記第1又は第2のチャンバに出ることを妨げるように構成されている、請求項1に記載の呼吸マスク保護装置。
【請求項4】
呼吸マスク保護装置の操作方法であって、
第1の呼吸空気源構成要素と呼吸可能空気領域との間の第1のチャンバを通る第1の流路と、第2の呼吸空気源構成要素と前記呼吸可能空気領域との間の第2のチャンバを通る第2の流路とをマスク本体が提供する開構成から、前記第1及び第2の流路を通じた流体連通が妨げられる閉構成に、弁アセンブリを操作することを含み、
前記第1のチャンバは、前記第2のチャンバと流体連通しておらず、前記弁アセンブリは、前記開構成から前記閉構成に移動可能な単一のアクチュエータを備える、方法。
【請求項5】
第1のチャンバ、第2のチャンバ、及び装着者のための呼吸可能空気領域を画定するマスク本体と、
第1及び第2の呼吸空気源構成要素であって、前記第1のチャンバが前記第1の呼吸空気源構成要素と流体連通し、前記第2のチャンバが前記第2の呼吸空気源構成要素と流体連通するように、前記マスク本体に取り付けられるように構成された第1及び第2の呼吸空気源構成要素と、
開構成と、前記第1の呼吸空気源構成要素と前記呼吸可能空気領域との流体連通を妨げる閉構成との間で操作可能な単一のアクチュエータを備える弁アセンブリと、を備える呼吸マスク保護装置であって、
前記第1及び第2のチャンバは、前記第1のチャンバが第1の吸気ポートを通じて前記呼吸可能空気領域と流体連通し、前記第2のチャンバが第2の吸気ポートを通じて前記呼吸可能空気領域と流体連通するように、実質的に流体隔離されている、呼吸マスク保護装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、装着チェック装置を含む呼吸マスク保護装置及び方法を説明し、いくつかの実施形態では、複数の空気チャンバを含む呼吸マスク保護装置を説明する。
【背景技術】
【0002】
例えば、使用者の鼻及び口を覆って、呼吸可能空気を装着者に提供する呼吸マスク保護装置がよく知られている。空気は、装着者が空気を吸い込むことができる呼吸領域に、装着者によって呼吸可能空気源を通じて引き込まれるか、又はファン若しくは送風機によって送り込まれる。
【0003】
呼吸可能空気を装着者に効果的に送るために、呼吸マスク保護装置は、濾過されていない空気がマスクに入ることを妨げる。例えば、呼吸マスク保護装置の顔面シールの完全性をテストするための様々な技法が提案されている。正圧テストでは、装着者がマスク内に息を吐き出す間、呼吸マスク保護装置の呼気弁が遮られる。漏れがない場合には、空気がマスクから出られないことによる内部圧力の増加によって、適切なシールを知らせることができる。代わりに、装着者がマスクを装着して息を吸い込む間、フィルタカートリッジポートが遮られる、負圧テストが提案されている。漏れがない場合には、空気がマスクに入らないことによる内部圧力の減少によって、適切なシールを知らせることができる。負圧又は正圧テストを容易にするように1つ以上のポートを遮る様々な機構が設けられている。
【発明の概要】
【0004】
本明細書で説明する特定の実施形態は、第1のチャンバ、第2のチャンバ、及び装着者のための呼吸可能空気領域を画定するマスク本体を含む呼吸マスク保護装置を提供する。第1及び第2の呼吸空気源構成要素が、第1のチャンバが第1の呼吸空気源構成要素と流体連通し、第2のチャンバが第2の呼吸空気源構成要素と流体連通するように、マスク本体に取り付けられるように構成される。単一のアクチュエータを備える弁アセンブリが、開構成と、第1及び第2の呼吸空気源構成要素と呼吸可能空気領域との流体連通を妨げる閉構成との間で操作可能である。第1及び第2のチャンバは、第1のチャンバが第1の吸気ポートを通じて呼吸可能空気領域と流体連通し、第2のチャンバが第2の吸気ポートを通じて呼吸可能空気領域と流体連通するように、実質的に流体隔離されている。
【0005】
実施形態は、以下の特徴のいずれかを含んでもよく、全てを含んでもよく、又はいずれも含まなくてもよい。第1及び第2の吸気ポートは、空気が呼吸可能空気領域に入ることを可能にし、空気が呼吸可能空気領域から第1又は第2のチャンバに出ることを妨げるように構成された逆止弁を含むことができる。単一の隔壁が、第1の吸気ポートと第2の吸気ポートの両方を選択的に覆うことができ、空気が第1及び第2のチャンバから呼吸可能空気領域に入ることを可能にし、空気が呼吸可能空気領域から第1又は第2のチャンバに出ることを妨げるように構成される。マスク本体は、マスク本体を左右半体に分割する中央平面を含むことができ、第1及び第2のチャンバは、中央平面に対して少なくとも部分的に平行に向けられた壁によって分離されうる。弁アセンブリが開構成と閉構成との間で操作されるときに、弁アセンブリが少なくとも部分的に、第1及び第2の空気チャンバ内を移動することができる。弁アセンブリは、単体のプランジャを含むことができ、弁アセンブリが開構成と閉構成との間で操作されるときに、単体のプランジャが部分的に、第1の空気チャンバと第2の空気チャンバとの間にある分離壁の両側を移動する。単体のプランジャは、マスク本体を左右半体に分割する中央平面に沿って延びる長手方向軸線に沿って直線的に移動することができる。呼吸マスク保護装置は、第1及び第2の弾性シールを含むことができる。第1の呼吸空気源構成要素は、マスク本体に取り付けられたときに第1の弾性シールと封止係合することができ、第2の呼吸空気源構成要素は、マスク本体に取り付けられたときに第2の弾性シールと封止係合することができる。弁アセンブリは、第1及び第2の封止面を含むことができ、第1及び第2の吸気ポートは、対応する封止面を備え、閉構成では、弁アセンブリの第1の封止面が、第1の吸気ポートの封止面に接触し、弁アセンブリの第2の封止面が、第2の吸気ポートの封止面に接触する。アクチュエータは、弁アセンブリが閉構成にあるときに押下されているボタンとすることができる。弁アセンブリを開構成に向けて付勢することができる。弁アセンブリは、第1及び第2の空気チャンバを通る空気流を妨げるように構成された第1及び第2の封止面を含むことができる。第1及び第2の封止面を開構成と閉構成との間で直線的に移動するように構成することができる。
【0006】
本明細書で説明する特定の実施形態は、呼吸マスク保護装置の操作方法であって、第1の呼吸空気源構成要素と呼吸可能空気領域との間の第1のチャンバを通る第1の流路と、第2の呼吸空気源構成要素と呼吸可能空気領域との間の第2のチャンバを通る第2の流路とをマスク本体が提供する開構成から、第1及び第2の流路を通じた流体連通が妨げられる閉構成に、弁アセンブリを操作することを含む方法を提供する。
第1のチャンバは、第2のチャンバと流体連通しておらず、弁アセンブリは、開構成から閉構成に移動可能な単一のアクチュエータを備える。
【0007】
実施形態は、以下の特徴のいずれかを含んでもよく、全てを含んでもよく、又はいずれも含まなくてもよい。方法は、弁アセンブリが閉構成にある間に、息を吸い込むことを更に含むことができる。方法は、吸い込み中に観察される指標に基づいてマスク本体の装着を評価することを更に含むことができる。この指標は、吸い込みの困難性の増大とすることができる。マスク本体は、柔軟な顔面接触部分を更に含むことができ、指標は、柔軟な顔面接触部分の内側への撓みとすることができる。方法は、弁アセンブリが開構成に戻ることを可能にするためにアクチュエータを解放することを更に含むことができる。
【0008】
本明細書で説明する特定の実施形態は、第1のチャンバ、第2のチャンバ、及び装着者のための呼吸可能空気領域を画定するマスク本体を含む呼吸マスク保護装置を提供する。第1及び第2の呼吸空気源構成要素が、第1のチャンバが第1の呼吸空気源構成要素と流体連通し、第2のチャンバが第2の呼吸空気源構成要素と流体連通するように、マスク本体に取り付けられるように構成される。弁アセンブリが、開構成と、第1の呼吸空気源構成要素と呼吸可能空気領域との流体連通を妨げる閉構成との間で操作可能な単一のアクチュエータを含む。第1及び第2のチャンバは、第1のチャンバが第1の吸気ポートを通じて呼吸可能空気領域と流体連通し、第2のチャンバが第2の吸気ポートを通じて呼吸可能空気領域と流体連通するように、実質的に流体隔離されている。
【0009】
実施形態は、以下の特徴のいずれかを含んでもよく、全てを含んでもよく、又はいずれも含まなくてもよい。閉構成では、第2の呼吸空気源構成要素と呼吸可能空気領域との流体連通を妨げることができる。第1及び第2の吸気ポートは、空気が呼吸可能空気領域に入ることを可能にし、空気が呼吸可能空気領域から第1又は第2のチャンバに出ることを妨げるように構成された逆止弁を含むことができる。単一の隔壁が、第1の吸気ポートと第2の吸気ポートの両方を選択的に覆うことができ、空気が第1及び第2のチャンバから呼吸可能空気領域に入ることを可能にし、空気が呼吸可能空気領域から第1又は第2のチャンバに出ることを妨げるように構成することができる。弁アセンブリが開構成と閉構成との間で操作されるときに、弁アセンブリが少なくとも部分的に、第1及び第2の空気チャンバ内を移動することができる。弁アセンブリは、単体のプランジャを含むことができ、弁アセンブリが開構成と閉構成との間で操作されるときに、単体のプランジャが部分的に、第1の空気チャンバと第2の空気チャンバとの間にある分離壁の両側を移動することができる。
【0010】
1つ以上の実施形態の詳細が、添付図面及び以下の説明で明らかにされる。上記概要は、開示される各実施形態又は全ての実施形態を説明することを意図していない。他の特徴及び利点が、説明及び図面、並びに請求項から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0011】
本説明は添付図を参照して更に提示されるが、その際、同様の構造は、いくつかの図を通して同様の数字で参照される。
【0012】
図1】例示的な呼吸マスク保護装置の斜視図である。
【0013】
図2】例示的な呼吸マスク保護装置の部分断面図である。
【0014】
図3図2の呼吸マスク保護装置の部分分解図である。
【0015】
図4】第1及び第2の呼吸空気源構成要素を含む、図2の呼吸マスク保護装置の部分断面図である。
【0016】
図5】閉構成にある弁アセンブリを示す、図2の呼吸マスク保護装置の部分断面図である。
【0017】
前述した図では、開示した主題の様々な実施形態について記載しているが、他の実施形態も考えられる。すべての場合において、本開示では、開示した主題を、限定としてではなく代表として示している。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本開示は、装着者のための呼吸可能空気領域を画定し、1つ以上の呼吸空気源構成要素を受けるように構成されたマスク本体を含む呼吸マスク保護装置を提供する。呼吸マスク保護装置は、呼吸可能空気が呼吸空気源構成要素から呼吸可能空気領域へ進むことができる開位置と、空気流が遮られる閉位置との間で選択的に操作可能な弁アセンブリを含む。例示的ないくつかの実施形態では、呼吸マスク保護装置は、呼吸可能空気領域と流体連通する、実質的に互いに流体隔離された第1のチャンバ及び第2のチャンバを含む。第1及び第2の呼吸空気源構成要素から受けた空気を、呼吸可能空気領域に入る前に実質的に混合させずに、第1及び第2の空気チャンバのそれぞれを独立して通じて呼吸可能空気領域に送ることができる。
【0019】
図1を参照すると、装着者の口及び/又は鼻を覆う例示的な呼吸マスク保護装置100が示されている。呼吸マスク保護装置100は、1つ以上の受け部120を有するマスク本体110を含む。マスク本体110には、1つ以上の受け部120に1つ以上の呼吸空気源構成要素150を取り付けることができる。第1及び第2の呼吸空気源構成要素150は、外部環境から受けた空気を、マスク本体の呼吸可能空気領域に入る前に濾過するフィルタカートリッジを含むことができる。例示的な他の実施形態では、第1及び第2の呼吸空気源構成要素150は、管又は管路などの供給空気構成要素、動力式空気浄化呼吸マスク構成要素、又は他の適当な呼吸空気源構成要素150を含むことができる。
【0020】
マスク本体110は、硬質又は半硬質の部分110aと、柔軟な顔面接触部分110bとを含むことができる。柔軟な顔面接触部分110bは、マスク本体110が人の鼻及び口の上に快適に支持されること、及び/又は装着者の顔面との適切なシールを提供することを可能にする可撓性材料を含む。顔面接触部材110bは、装着者の鼻の上及び装着者の頬に対して快適にぴったり適合することを容易にするように内側に曲げられたカフを有することができる。硬質又は半硬質の部分110aは、マスク本体110に構造的完全性をもたらすことができる。例示的な様々な実施形態では、マスク本体の部分110a、110bを一体的に設けたり、恒久的若しくは取り外し可能な態様で後に結合される別個に形成された1つ以上の部分として設けたりすることができる。
【0021】
マスク本体110は、装着者による吐き出し中にマスク本体110内の内部空間から空気をパージすることができる呼気ポート111を含む。例示的な実施形態では、マスク本体110の中央に呼気弁が位置する。例えば、隔壁又は逆止弁を含む、呼気弁が、外気の侵入を妨げる一方で、マスク本体110内の正圧によって空気が出ることを選択的に可能にする。例示的ないくつかの実施形態では、呼気ポート111は、マスク本体の比較的低い位置、例えば、装着者の口より下方に配置される。
【0022】
装着者の口及び/又は鼻の上の所定位置にマスク本体110を支持するように、ハーネス又は他の支持アセンブリ(図1には示していない)を設けることができる。例示的な実施形態では、ハーネスは装着者の頭の後ろを通る1つ以上のストラップを含み、及び/又は、例えば、ハーネスを装着者の頭に支持されたクラウン部材又は帽子掛留部に取り付けることができる。
【0023】
マスク本体110の第1及び第2の受け部120には、フィルタカートリッジなどの1つ以上の呼吸空気源構成要素150を取り付けることができる。例示的な実施形態では、第1及び第2の受け部120は、マスク本体110の互いに反対側に、例えば、マスク本体110のチェック部分に近接して配置される。第1及び第2の受け部120は、マスク本体110にフィルタカートリッジをしっかり取り付けることができるように、相補的な嵌合特徴部を含む。嵌合特徴部は、第1及び第2のフィルタカートリッジを、それらの耐用寿命の終わりに、又は異なる呼吸空気源構成要素の使用が望まれる場合に取り外して交換できるように、取り外し可能な接続部を提供することができる。代わりに、フィルタカートリッジを損傷せずに取り外しできないように、接続部を恒久的なものとすることができる。
【0024】
例えば、1つ以上のラッチ、スレッド、コネクタ、又は相補的な特徴部によって、呼吸空気源構成要素150を受け部120に固定することができる。例示的な実施形態では、呼吸マスク保護装置100は、マスク本体110の受け部120に呼吸空気源構成要素150を固定するカンチレバーラッチ130を含む。カンチレバーラッチ130は、呼吸空気源構成要素150と一体であってよく、ノズル要素155と実質的に平行であってよく、及び/又は少なくとも部分的に共に延びていてよい。受け部120及び/又はマスク本体110は、カンチレバーラッチ130と協働して本体110と呼吸空気源構成要素150との確実な接続部を提供する1つ以上の相補的な嵌合特徴部を含むことができる。例示的な他の実施形態では、受け部120及び/又はマスク本体110は、呼吸空気源構成要素150の特徴部と協働するカンチレバーラッチ130を含むことができ、カンチレバーラッチ130及び/又は相補的な嵌合特徴部は、確実な係合をもたらすように撓むことができる。
【0025】
フィルタカートリッジ105などの呼吸空気源構成要素150は、周辺空気を、例えば、この空気がマスク本体110の内部空間に進む前に濾過することができる。例示的な実施形態では、フィルタカートリッジ105は、第1及び第2の主面151、152を有する本体部分153を含み、第1及び第2の主面151、152の間で少なくとも部分的に延びる1つ以上の側壁154を含むことができる。第1及び第2の主面151、152並びに/又は側壁のうちの1つ以上は、空気がフィルタカートリッジ105に入ることができるように、少なくとも部分的に流体を透過させることができる。例示的ないくつかの実施形態では、フィルタカートリッジ105は、外部ハウジングを伴わない濾材、又はハウジングによって部分的に囲まれた濾材を本質的に含むことができる。
【0026】
フィルタカートリッジ105は、流体がフィルタカートリッジ105から出てマスク本体110に入ることを可能にする出口ノズル155を含む。例示的な実施形態では、出口ノズル155は、側壁154などの本体部分153から外側に延びており、出口ノズル155を通る空気流路を画定する先端部156、外面157及び内面を含む。例示的な様々な実施形態では、第1又は第2の主面151、152、1つ以上の側壁154、又はそれらの組み合わせのいずれかに近接して、出口ノズル155を配置することができる。
【0027】
フィルタカートリッジ105は、少なくとも部分的に受け部120と係合して、マスク本体110に固定される。例示的な実施形態では、出口ノズル155は、弾性シール(図1には図示していない)によって部分的に画定された、受け部120の開口に挿入される。受け部120の硬質の外側部分が、例えば、マスク本体110とフィルタカートリッジ105との一次的な構造支持及び安定をもたらすことができ、弾性シールは、外部環境からの汚染物質又は細片の侵入を妨げるように、外面157及び/又は出口ノズル155の他の部分とフィルタカートリッジ150とを封止係合させることができる。
【0028】
呼吸マスク保護装置100は、1つ以上の呼吸空気源構成要素150からマスク本体110の呼吸可能空気領域への空気流を選択的に妨げる1つ以上の構成要素を有する弁アセンブリ170を含む。本明細書でより詳細に説明するように、弁アセンブリ170は、1つ以上の呼吸空気源構成要素150間の流体連通が遮られる閉構成と、呼吸可能空気が呼吸空気源構成要素150からマスク本体110の呼吸可能空気領域に流れることを可能にする開構成との間で操作可能である。
【0029】
図2図5を参照すると、例示的な呼吸マスク保護装置200が示されている。呼吸マスク保護装置200は、呼吸可能空気領域211を画定するマスク本体210(図2図5では、部分的に省略されている)を含み、いくつかの実施形態は、上で説明した呼吸マスク保護装置100と同様でありうる。呼吸マスク保護装置200は、第1の空気チャンバ213と、第2の空気チャンバ214と、第1及び第2の空気チャンバを通る空気流を選択的に遮る弁アセンブリ270とを含む。装着者は、1つ以上の呼吸空気源構成要素から呼吸可能空気領域への空気流を選択的に妨げるように弁アセンブリ270を操作して、装着テストを行うことができる。
【0030】
図2は、呼吸可能空気領域211と選択的に流体連通する第1の空気チャンバ213及び第2の空気チャンバ214を含む、例示的な呼吸マスク保護装置200の部分断面図を示している。呼吸可能空気は、第1の受け部220aでマスク本体210に入り、第1の空気チャンバ213を通って流れ、第1の吸気ポート215を通って呼吸可能空気領域211に進むことができる。同様に、呼吸可能空気は、第2の受け部220bでマスク本体210に入り、第2の空気チャンバ214を通って流れ、第2の吸気ポート216を通って呼吸可能空気領域211に進むことができる。
【0031】
例示的な実施形態では、第1及び第2の呼吸空気源構成要素からの空気は、呼吸可能空気領域211に入る前には実質的に混合されないままである。呼吸可能空気は、互いに独立して、第1及び第2の空気チャンバ213、214を通って呼吸可能空気領域211に流れ込むことができる。第1及び第2の呼吸空気源からの独立した空気流は、マスク本体210を通る制御された流れを促すことができ、及び/又はマスク本体を通じた圧力降下の増大及び呼吸抵抗の増大に関連しうる空気の乱流混合を低減することができる。よって、第1及び第2の空気チャンバ213、215を通って呼吸可能空気領域211に至る実質的に独立した空気流路は、マスク本体を通じた圧力降下及び呼吸抵抗を低減することができる。
【0032】
更に、呼吸可能空気領域211に実質的に独立して空気を送る第1及び第2の空気チャンバ213、214は、受け部220、吸気ポート215、216、及び/又はマスク本体210の他の構成要素の構成及び配置の自由度を許容する。例示的な実施形態では、第1及び第2の空気チャンバ213、214をそれぞれ通って、第1及び第2の吸気ポートに向かって実質的に反対側の又は異なる方向に空気が流れるように、受け部220は、マスク本体の実質的に互いに反対側に配置される。空気チャンバ213、214が実質的に流体隔離されているので、空気乱流をもたらしうる、第1及び第2の呼吸空気源構成要素から異なる方向に流れる空気同士の相互作用及び関連する抵抗が低減する。
【0033】
第1及び第2の空気チャンバ213、214は、マスク本体210の1つ以上の構成要素によって画定することができ、マスク本体210に取り付けられた呼吸空気源構成要素と呼吸可能空気領域211との間の空気流を提供する適当な形状を有することができる。例えば、第1のチャンバ213は、マスク本体210の内壁217及び外壁218によって少なくとも部分的に画定される。第1の空気チャンバ213は、第1の呼吸空気源構成要素から第1の受け部220を通って入り、第1の吸気ポート215を通って呼吸可能空気領域211に出ることができる空気を除いて、外部環境から実質的に封止される。第2のチャンバ214を、同様に、マスク本体210の内壁217及び外壁218によって少なくとも部分的に画定することができ、第2の呼吸空気源構成要素から第2の受け部220を通って入り、第2の吸気ポート216を通って呼吸可能空気領域211に出ることができる空気を除いて、外部環境から実質的に封止することができる。
【0034】
分離壁212が、第1及び第2の空気チャンバ213、214を分割することができる。例示的ないくつかの実施形態では、分離壁212は、第1及び第2の空気チャンバ213、214が分離壁212の互いに反対側に直接配置されるような、共通の分離壁とすることができる。分離壁212は、中央に位置することができ、例えば、マスク本体210を左右半体に分割する中央面に少なくとも部分的に沿って、及び/又は平行に配置することができる。分離壁212は、第1及び第2の空気チャンバ213、214を実質的に流体隔離するように、内壁217と弁アセンブリ270のアクチュエータ及び/又はプランジャ271との間の実質的に全距離にわたって延びることができる。
【0035】
マスク本体210の内壁217によって少なくとも部分的に画定された呼吸可能空気領域と、マスク本体の内壁217によって少なくとも部分的に画定された、及び/又は呼吸可能空気領域211から外側に配置された第1及び第2の空気チャンバ213、214とを有するマスク本体が、余分な嵩や重量を最小化しながら実質的に流体隔離されうる複数の空気チャンバを提供する。更に、装着者の顔面の近くにあり、不快感を生じさせると知覚されうる不当に大きな慣性モーメントをもたらさない外壁218を有するように、マスク本体210を構成することができる。
【0036】
第1及び/又は第2の空気チャンバ213、214はそれぞれ、1つ以上の呼吸空気源構成要素から第1及び第2の吸気ポート215、216にそれぞれ空気を導くダクトを提供することができる。第1及び第2の空気チャンバ213、214は、受け部220及び吸気ポート215、216をマスク本体210の異なる箇所に独立して配置することを可能にする。例えば、頬近くの位置及び/又はマスク本体210の最前部の後方に受け部220を配置することができる一方で、マスク本体210の中央を通って延びる中心軸線に近接して吸気ポート215、216を配置することができる。例示的ないくつかの実施形態では、このような構成によって、フィルタカートリッジなどの呼吸空気源構成要素が、装着者の顔面に沿って後方に延び、装着者の近くに質量中心を推し進め、装着者の視界内における呼吸空気源構成要素の存在を小さくすることを可能にする。
【0037】
内壁217は、第1及び第2の空気チャンバ213、214を少なくとも部分的に画定することができ、内壁217を通って延びる第1及び第2の吸気ポート215、216を含むことができる。第1及び第2の吸気ポート215、216は、第1及び第2の空気チャンバ213、214のそれぞれから呼吸可能空気領域211への流体連通を選択的に可能にする吸気弁を含む。例示的な実施形態では、吸気弁は、フラップ又は隔壁219を含む。第1及び第2の吸気ポート215、216の間の中央位置に、例えば、1つ以上のピン又はフランジによって、周縁又は他の適当な箇所に、隔壁219を固定することができる。隔壁219は、呼吸可能空気領域211への空気の通過を選択的に可能にするように、内壁217との係合、例えば、第1及び/又は第2の吸気ポート215、216によって画定された開口部の周囲との係合に向けて付勢される。吐き出し中など、呼吸可能空気領域内の圧力が第1及び/又は第2の空気チャンバ213、214よりも高いときに、隔壁219は、空気が吸気ポート215、216を通って呼吸可能空気領域211から出ることができないように、内壁217との封止係合状態に推進されたままになる。吸い込み中など、呼吸可能空気領域内の圧力が第1及び/又は第2の空気チャンバ213、214よりも低いときに、隔壁219は、空気が第1及び/又は第2の空気チャンバ213、214から呼吸可能空気領域211に流れ込むことを可能にするように、撓む又は開くことができる。例示的な実施形態では、隔壁219は、第1及び第2の吸気ポート215、216によって画定された開口にそれぞれ関連する第1及び第2の隔壁部分219a、219bを含む単一の一体型隔壁219を含む。例示的ないくつかの実施形態では、隔壁219は、第1の隔壁219aと、第1の隔壁219aとは別の独立した第2の隔壁219bとを含む。
【0038】
呼吸マスク保護装置200は、マスク本体210と呼吸空気源構成要素との封止接続を促す1つ以上の弾性シール260を含むことができる。弾性シール260は、Oリング、ガスケット、封止スリーブ、又は他の適当なシールを含むことができる。例示的な実施形態では、弾性シール260は、ノズル又は出口など、呼吸空気源構成要素の一部分を受け、第1の端部261と、第2の端部262と、チャネル265を少なくとも部分的に画定する外面263及び内面264とを含む。受け部220など、マスク本体の硬質の構成要素に第1の端部261を接続することができる。例示的な実施形態では、弾性シール260は、マスク本体210に取り付けられた、フィルタカートリッジ250など、呼吸空気源構成要素の外面を少なくとも部分的に囲む弾性スリーブを提供し、呼吸空気源構成要素250の少なくとも一部分をチャネル265内に配置できるような、第1及び第2の端部の間の長さ(L)を有する。例示的ないくつかの実施形態では、長さ(L)は、5mm〜100mm、10mm〜40mm、又は約20mmとすることができる。弾性シール260が、マスク本体210の一部分から少なくとも部分的に独立して移動又は変形できる一方で、第1の部分261がマスク本体210の構成要素(図2には示していない)に固定及び/又は硬く固定されるように、弾性シール260の第2の部分262及び/又は様々な箇所は、浮動していてもよく、又はマスク本体210の硬質の構成要素に固定されなくてもよい。
【0039】
図2図3を参照すると、呼吸マスク保護装置200は、アクチュエータ271と、封止面277、278などの1つ以上の封止面を有するプランジャ272とを含む、開構成と閉構成との間で操作可能な弁アセンブリ270を含む。アクチュエータ271は、開構成と閉構成との間で弁アセンブリ270を移動させるように使用者によって操作可能である。アクチュエータ271は、プランジャ272を移動させるように内側に押したり、操作したりできる、オーバーモールド成形された弾性プッシュボタン、摺動可能ボタンなどのボタンとすることができる。例えば、アクチュエータ271を内側に押して、第1及び第2の吸気ポート215、216に向かってプランジャ272を移動させることができる。例示的な様々な実施形態では、アクチュエータ271は、代わりに又は加えて、開構成と閉構成との間で弁アセンブリを移動させるように操作可能な、ツイスト機構、レバー、スライダ、又は他の適当なアクチュエータ271を含むことができる。いくつかの実施形態では、外壁218、及び/又は、呼吸可能空気領域211を少なくとも部分的に画定する、内壁217など、マスク本体210の後部分に係合する又は後部分と一体であるマスク本体210の前部分の間で、弁アセンブリ270を少なくとも部分的に支持することができる。
【0040】
例示的な実施形態では、弁アセンブリ270は、マスク本体210の呼吸可能空気領域211に2つ以上の呼吸空気源構成要素からの空気流が入ることを妨げる閉構成に、弁アセンブリ270を移動させるように操作可能なアクチュエータ271を含む。例えば、アクチュエータ271の操作によって、プランジャ272の封止面を、第1及び第2の吸気ポート215、216の相補的な封止面に封止係合させることができる。プランジャ272は、第1の吸気ポート215の相補的な第1の封止面215aに封止係合するように構成された第1の封止面277と、第2の吸気ポート216の相補的な第2の封止面216aに封止係合するように構成された第2の封止面278とを有することができる。開構成では、プランジャ272の封止面277、278は、吸気ポート215、216及び相補的な封止面215a、216aから離間する。閉構成では、プランジャ272の第1及び第2の封止面277、278は、相補的な封止面215a、216aに封止係合して、第1及び第2の空気チャンバ215、216から呼吸可能空気領域211への空気流を妨げる。代わりに又は加えて、弁アセンブリ270は、弾性シール260、受け部220、又はマスク本体210の他の構成要素との封止係合によって、第1及び/又は第2の呼吸空気源構成要素から呼吸可能空気領域211への空気流を妨げることができる。
【0041】
第1及び第2の吸気ポート215、216の封止面215a、216aは、使用者がアクチュエータ271に過大な力を加える必要なしに、封止面277、278など、弁アセンブリ270の相補的な封止面との一定の封止係合を容易にする。例示的な実施形態では、第1及び第2の吸気ポート215、216の封止面215a、216aは、第1及び第2の吸気ポート215、216によってそれぞれ画定された第1及び第2の開口を囲む、隆起面、リブ、フランジなどを含むことができる。プランジャ272の封止面277、278、及び/又は第1及び第2の吸気ポート215、216の封止面215a、216aは、一定の封止を促す柔軟な又は弾性の材料を含むことができる。例えば、第1及び第2の封止面215a、216aは、内壁217から延びる弾性のガスケット又はフランジを含むことができる。ガスケット又はフランジは、プランジャ272によって接触されると曲がって又は折れて、封止面215a、216aの全周における一定の係合を促すことができる。代わりに又は加えて、封止面277、278が、封止面215a、216aに接触して曲がる及び/又は回転する又は関節運動することができるように、プランジャ272の封止面277、278は、柔軟な又は弾性の材料を含むことができる。1つ以上の柔軟な又は弾性の部分を含む封止面は、例えば、使用者によってアクチュエータ271に加えられる力、又は弁アセンブリ270及び呼吸マスク保護装置200の他の構成要素の大きな寸法許容値に基づいて変化しうる、プランジャの変位及び向きの範囲を超える一定の封止係合を促すことができる。
【0042】
図3は、例示的な呼吸マスク保護装置200の部分分解図を示している。第1及び第2の吸気ポート215、216は、内壁217に配置される。内壁217は、マスク本体210の1つ以上の他の部分と一体でもよく、他の部分に組み付けられてもよい。例えば、内壁217は、外壁218又はマスク本体210の別の部分との気密な封止係合をもたらす1つ以上のシール241を含むことができる。
【0043】
例示的な実施形態では、弁アセンブリ270は、開構成と閉構成との間で封止面277、278のアラインメントを維持するガイド280を含む。ガイド280は、アクチュエータ271とプランジャ272との間に配置することができ、開位置と閉位置との間の移動中にプランジャ272の相補的な特徴部と相互作用することができる。例えば、プランジャ272は、ガイド280の開口281内に嵌る幅を画定する1つ以上のタブ291を有することができ、プランジャ272及び/又は封止面を適当なアラインメントに維持することができる。
【0044】
弁アセンブリ270は、封止面277、278を画定する単体のプランジャ272を含むことができ、又は封止面277、278を画定する1つ以上の構成要素を含むことができる。例示的な実施形態では、プランジャ272は、内壁212を少なくとも部分的に受けるように、及び/又は内壁に亘って移動するように構成される。例えば、弁アセンブリが開構成と閉構成との間で操作されるときに、プランジャ272が部分的に分離壁212の両側を移動できるように、プランジャ272は、弁アセンブリ270が開構成と閉構成との間を移動するときに、分離壁212が少なくとも部分的に内部にありうる流路279を含む。よって、単一のアクチュエータ271の操作によって、第1及び第2の空気チャンバ213、214に位置し、実質的に互いに流体隔離された第1及び第2の吸気ポート215、216を閉じるように、弁アセンブリ270を構成することができる。これにより、装着者は、単一のアクチュエータ271の操作によって、複数の呼吸空気源構成要素を有する呼吸マスク保護装置200の装着テキストを容易に行うことができる。
【0045】
図4及び図5を参照すると、弁アセンブリ270が開構成(図4)及び閉構成(図5)にある状態で、第1及び第2の受け部220に取り付けられた第1及び第2の呼吸空気源構成要素を含む呼吸マスク保護装置200の部分断面図が示されている。開構成では、空気は、第1のフィルタカートリッジ250aなどの第1の呼吸空気源構成要素から第1の空気チャンバ213に流れ込み、第1の吸気ポート215を通って呼吸可能空気領域211に流れ込むとともに、第2のフィルタカートリッジ250bなどの第2の呼吸空気源構成要素から第2の空気チャンバ214に流れ込み、第2の吸気ポート216を通って呼吸可能空気領域211に流れ込む。図5に示す閉構成では、弁アセンブリ270の封止面277、278は、第1及び第2の吸気ポート215、216の相補的な封止面と封止係合する。代わりに又は加えて、封止面277、278は、第1及び第2の呼吸空気源構成要素と呼吸可能空気領域211との流体連通を実質的に妨げるように、第1及び第2の弾性シール260の第2の端部262、又はマスク本体210の他の構成要素に接触することができる。
【0046】
受け部220は、弾性シール260によって画定された流路265内にフィルタカートリッジ250の出口ノズル255が摺動できるように構成される。出口ノズル255の外面257は、弾性シール260の内面264に接触して、フィルタカートリッジ250と受け部220との封止係合をもたらす。受け部220の硬質の外側部分221が、マスク本体210とフィルタカートリッジ250との間の実質的な構造支持及び安定をもたらすことができる一方で、弾性シール260とフィルタカートリッジ250との係合が、外部環境からの望ましくない汚染物質又は細片の侵入を妨げる適切なシールを提供する。
【0047】
例示的な実施形態では、出口ノズル255と弾性シール260との締まり嵌め及びぴったりした封止係合を促すように、内面264によって画定されたチャネル265よりも出口ノズル255の外面257を相対的に大きくすることができる。代わりに又は加えて、弾性シール260は、可変の壁厚及び/又は輪郭形状を有するセクションを含むことができる。例えば、内面264は、出口ノズル255の外面257に接触するように構成された箇所に配置された1つ以上のリブ267を含むことができる。1つ以上のリブ267は、適切なシールを提供するように出口ノズルの周囲における連続的な接触を促す。更に、1つ以上のリブ267は、フィルタカートリッジ250を受け部220に係合させる際に使用者による過大な力を必要とせずに、堅牢な封止を促すことができる圧力集中領域を、出口ノズル255と弾性シール260との間に提供することができる。
【0048】
呼吸マスク保護装置200の装着者は、マスク本体210を口及び/又は鼻の上の使用位置に配置し、弁アセンブリ270を操作することによって、装着テストを行うことができる。例えば、マスク本体210が使用位置にあり、1つ以上のフィルタカートリッジ250がマスク本体210に係合した状態で、弁アセンブリ270を開構成から閉構成に操作することができる。アクチュエータ271の操作は、例えば、アクチュエータ271を内側に押すことによって、弁アセンブリ270が部分的に分離壁212の両側にある状態で、プランジャ272を開位置(図4)から閉構成(図5)に移動させる。閉構成では、プランジャ272の封止面277、278は、第1及び第2の吸気ポート215、216の相補的な封止面215a、216aと封止係合する。
【0049】
開構成から閉構成への弁アセンブリ270の操作によって、例えば、装着者によって観察されうる、漏れの有無の指標を示すことによって、マスク本体210と使用者の顔面との所望のシールが形成されているかを確認する装着テストを使用者に行わせることができる。弁アセンブリ270が閉構成にあるときには、第1及び第2の空気チャンバ215、216から呼吸可能空気領域211に空気が入ることが妨げられる。よって、閉構成での装着者による吸い込みによって、マスク本体210内に負圧が形成され、使用者が更に息を吸い込むことをますます困難にさせることができる。代わりに又は加えて、使用者の顔面とのシールが形成されている場合には、閉構成での吸い込みによって、柔軟な顔面接触部分110b(図1)などの柔軟な顔面接触部分を内側に撓ませることができる。適切なシールが実現されていない場合には、負圧が形成されないようにすることができ、適切なシールの関連する指標が存在しないようにすることができる。これにより、閉構成への弁アセンブリ270の操作、それに続く使用者による吸い込みによって、呼吸マスク保護装置200と使用者の顔面とのシールが形成されているか否かの指標が提供される。
【0050】
開構成と閉構成との間で長手方向軸線に沿って直線的に移動するように、アクチュエータ271及び/又はプランジャ272を構成することができる。例えば、アクチュエータ271及び/又はプランジャ272は、アクチュエータ271及び/又はプランジャ272の中央を通って延びる長手方向軸線(A)に沿って、開構成と閉構成との間で直線的に移動することができる。長手方向軸線(A)は、アクチュエータ271の外面に直交して延びることができる。例示的ないくつかの実施形態では、長手方向軸線(A)は、第1及び第2の吸気ポート280の間でアクチュエータ271及びプランジャ272の実質的に中央を通って進む。
【0051】
第1及び/又は第2の封止面277、278も同様に、開構成と閉構成との間で移動軸線に沿って直線的に移動することができ、ガイド280は、閉構成での封止係合をもたらす第1及び第2の吸気ポート215、216との適当なアラインメントを維持することができる。代わりに又は加えて、アクチュエータ271及び/又はプランジャ272は、長手方向軸線(A)に沿って配置された、又は長手方向軸線(A)と平行であり、同軸線から離間したシャフト又はレールに沿って移動することができる。いくつかの実施形態では、アクチュエータ271及び/又はプランジャ272は、アクチュエータ271の可撓性ウェブ274によって、「浮動」することができ、又は実質的に支持されうる。可撓性ウェブ274は、アクチュエータ271及び/又はプランジャ272を開構成と閉構成との間の移動中に長手方向軸線(A)に対して実質的にアラインメントした状態で維持することができ、第1及び第2の空気チャンバ213、214から呼吸可能空気領域211への空気流を選択的に妨げるように、第1及び第2の吸気ポート215、216、及び/又はマスク本体110の他の構成要素との適当なアラインメントのための所定位置に封止面を維持することができる。代わりに又は加えて、アクチュエータ271、プランジャ272、及び/又は封止面277、278は、開構成と閉構成との間の非直線的な経路に少なくとも部分的に沿って、枢動、回転、又は移動することができる。
【0052】
使用者によって力が加えられていないときには所望の構成に戻るように、弁アセンブリ270を付勢することができる。例えば、弁アセンブリ270は、使用者によって解放されると弁アセンブリ270を開構成(図4)に戻す1つ以上の弾性部材を含む。例示的な実施形態では、アクチュエータ271は、封止面277、278が第1及び第2の吸気ポート215、216の相補的な封止面215a、216aとの封止係合状態から外れる開構成に向けて、プランジャ272を付勢する弾性部材として作用する弾性ボタンである。アクチュエータ271は、アクチュエータ271を支持し、アクチュエータ271を開位置へ付勢するように、外壁218又はマスク本体210の他の硬質の構成要素に取り付けられた可撓性ウェブ274を含むことができる。ウェブ274は、アクチュエータが使用者によって内側に押されたときに弾性変形可能である一方で、使用者によって力が加えられていないときに弁アセンブリ270を開構成に戻すように作用する、可撓性の又は柔軟な材料で形成される。代わりに又は加えて、弁アセンブリ270は、1つ以上の弾性部材を含むことができる。例示的な様々な実施形態では、弁アクチュエータ271及び/又はプランジャ272を開位置に向けて付勢するように、例えば、コイルバネ、板バネ、又は弾性バンドを設けることができる。
【0053】
開構成と閉構成との間の操作を容易にするように、アクチュエータ271とプランジャ272とを直接又は間接的に接続することができる。例示的な実施形態では、プランジャ272は、アクチュエータ271に比べて硬さ又は剛性が大きい。プランジャ272の開口276を通って配置された、アクチュエータ271のスナップ嵌合コネクタ275によって、アクチュエータ271とプランジャ272を結合することができる。代わりに又は加えて、例えば、リベット、メカニカルファスナー、接着剤、又は1つ以上の中間構成要素によって、アクチュエータ271とプランジャ272を結合することができる。実質的に硬質のプランジャ272が、弾性シール260の実質的に可撓性の又は柔軟な第2の端部262との堅牢な封止係合を容易にすることができる。例示的ないくつかの実施形態では、アクチュエータ271とプランジャ272は、アクチュエータ271とプランジャ272との間にガイド280が配置されるように結合される。
【0054】
前述の詳細な説明及び実施例は、理解しやすいように示したものにすぎない。詳細な説明及び実施形態による不要な限定はないものと理解すべきである。本開示の範囲から逸脱することなく、記載された実施形態において多くの変更を行うことができることが、当業者には明白であろう。上記の実施形態のいずれかに関して記載されたいずれかの特徴又は特性は、個々に、又は他のいずれかの特徴又は特性と組み合わせて組み込むことができ、単に明確性のために上記の順番及び組み合わせで提示される。よって、本開示の範囲は本明細書に述べられる厳密な詳細及び構造に限定されるべきではない。更に、特徴は、特定の組み合わせで機能するように本明細書で説明され、更にそのように最初に請求されることがあるが、組み合わされる、及び/又は請求される1つ以上の特徴は、場合によっては組み合わせから取り除かれてもよく、請求された組み合わせは、一部の組み合わせ又は一部の組み合わせの変形を目的としてもよい。
以下、例示的実施形態について述べる。
[1]
第1のチャンバ、第2のチャンバ、及び装着者のための呼吸可能空気領域を画定するマスク本体と、
第1及び第2の呼吸空気源構成要素であって、前記第1のチャンバが前記第1の呼吸空気源構成要素と流体連通し、前記第2のチャンバが前記第2の呼吸空気源構成要素と流体連通するように、前記マスク本体に取り付けられるように構成された第1及び第2の呼吸空気源構成要素と、
開構成と、前記第1及び第2の呼吸空気源構成要素と前記呼吸可能空気領域との流体連通を妨げる閉構成との間で操作可能な単一のアクチュエータを備える弁アセンブリと、を備える呼吸マスク保護装置であって、
前記第1及び第2のチャンバは、前記第1のチャンバが第1の吸気ポートを通じて前記呼吸可能空気領域と流体連通し、前記第2のチャンバが第2の吸気ポートを通じて前記呼吸可能空気領域と流体連通するように、実質的に流体隔離されている、呼吸マスク保護装置。
[2]
前記第1及び第2の吸気ポートは、空気が前記呼吸可能空気領域に入ることを可能にし、空気が前記呼吸可能空気領域から前記第1又は第2のチャンバに出ることを妨げるように構成された逆止弁を備える、[1]に記載の呼吸マスク保護装置。
[3]
単一の隔壁が、前記第1の吸気ポートと前記第2の吸気ポートの両方を選択的に覆い、空気が前記第1及び第2のチャンバから前記呼吸可能空気領域に入ることを可能にし、空気が前記呼吸可能空気領域から前記第1又は第2のチャンバに出ることを妨げるように構成されている、[1]に記載の呼吸マスク保護装置。
[4]
前記マスク本体は、前記マスク本体を左右半体に分割する中央平面を備え、前記第1及び第2のチャンバは、前記中央平面に対して少なくとも部分的に平行に向けられた壁によって分離されている、[1]に記載の呼吸マスク保護装置。
[5]
前記弁アセンブリが前記開構成と前記閉構成との間で操作されるときに、前記弁アセンブリが少なくとも部分的に、前記第1及び第2の空気チャンバ内を移動する、[1]に記載の呼吸マスク保護装置。
[6]
前記弁アセンブリは、単体のプランジャを備え、前記弁アセンブリが前記開構成と前記閉構成との間で操作されるときに、前記単体のプランジャが部分的に、前記第1の空気チャンバと第2の空気チャンバとの間にある分離壁の両側を移動する、[5]に記載の呼吸マスク保護装置。
[7]
前記単体のプランジャは、前記マスク本体を左右半体に分割する中央平面に沿って延びる長手方向軸線に沿って直線的に移動する、[6]に記載の呼吸マスク保護装置。
[8]
第1及び第2の弾性シールを備え、前記第1の呼吸空気源構成要素は、前記マスク本体に取り付けられたときに前記第1の弾性シールと封止係合し、前記第2の呼吸空気源構成要素は、前記マスク本体に取り付けられたときに前記第2の弾性シールと封止係合する、[1]に記載の呼吸マスク保護装置。
[9]
前記弁アセンブリは、第1及び第2の封止面を備え、前記第1及び第2の吸気ポートは、対応する封止面を備え、前記閉構成では、前記弁アセンブリの前記第1の封止面が、前記第1の吸気ポートの前記封止面に接触し、前記弁アセンブリの前記第2の封止面が、前記第2の吸気ポートの前記封止面に接触する、[1]に記載の呼吸マスク保護装置。
[10]
前記アクチュエータはボタンを備え、前記ボタンは、前記弁アセンブリが前記閉構成にあるときに押下されている、[1]に記載の呼吸マスク保護装置。
[11]
前記弁アセンブリは、前記開構成に向けて付勢されている、[1]に記載の呼吸マスク保護装置。
[12]
前記弁アセンブリは、第1及び第2の封止面を備える、[1]に記載の呼吸マスク保護装置。
[13]
前記第1及び第2の封止面は、前記開構成と前記閉構成との間で直線的に移動するように構成されている、[12]に記載の呼吸マスク保護装置。
[14]
呼吸マスク保護装置の操作方法であって、
第1の呼吸空気源構成要素と呼吸可能空気領域との間の第1のチャンバを通る第1の流路と、第2の呼吸空気源構成要素と前記呼吸可能空気領域との間の第2のチャンバを通る第2の流路とをマスク本体が提供する開構成から、前記第1及び第2の流路を通じた流体連通が妨げられる閉構成に、弁アセンブリを操作することを含み、
前記第1のチャンバは、前記第2のチャンバと流体連通しておらず、前記弁アセンブリは、前記開構成から前記閉構成に移動可能な単一のアクチュエータを備える、方法。
[15]
前記弁アセンブリが前記閉構成にある間に息を吸い込むことを含む、[14]に記載の方法。
[16]
吸い込み中に観察される指標に基づいて前記マスク本体の装着を評価することを含む、[15]に記載の方法。
[17]
前記指標は、吸い込みの困難性の増大である、[16]に記載の方法。
[18]
前記マスク本体は、柔軟な顔面接触部分を備え、前記指標は、前記柔軟な顔面接触部分の内側への撓みである、[16]に記載の方法。
[19]
前記弁アセンブリが前記開構成に戻ることを可能にするように、前記アクチュエータを解放することを含む、[14]に記載の方法。
[20]
第1のチャンバ、第2のチャンバ、及び装着者のための呼吸可能空気領域を画定するマスク本体と、
第1及び第2の呼吸空気源構成要素であって、前記第1のチャンバが前記第1の呼吸空気源構成要素と流体連通し、前記第2のチャンバが前記第2の呼吸空気源構成要素と流体連通するように、前記マスク本体に取り付けられるように構成された第1及び第2の呼吸空気源構成要素と、
開構成と、前記第1の呼吸空気源構成要素と前記呼吸可能空気領域との流体連通を妨げる閉構成との間で操作可能な単一のアクチュエータを備える弁アセンブリと、を備える呼吸マスク保護装置であって、
前記第1及び第2のチャンバは、前記第1のチャンバが第1の吸気ポートを通じて前記呼吸可能空気領域と流体連通し、前記第2のチャンバが第2の吸気ポートを通じて前記呼吸可能空気領域と流体連通するように、実質的に流体隔離されている、呼吸マスク保護装置。
[21]
前記閉構成では、前記第2の呼吸空気源構成要素と前記呼吸可能空気領域との流体連通が妨げられる、[20]に記載の呼吸マスク保護装置。
[22]
前記第1及び第2の吸気ポートは、空気が前記呼吸可能空気領域に入ることを可能にし、空気が前記呼吸可能空気領域から前記第1又は第2のチャンバに出ることを妨げるように構成された逆止弁を備える、[20]に記載の呼吸マスク保護装置。
[23]
単一の隔壁が、前記第1の吸気ポートと前記第2の吸気ポートの両方を選択的に覆い、空気が前記第1及び第2のチャンバから前記呼吸可能空気領域に入ることを可能にし、空気が前記呼吸可能空気領域から前記第1又は第2のチャンバに出ることを妨げるように構成されている、[20]に記載の呼吸マスク保護装置。
[24]
前記弁アセンブリが前記開構成と前記閉構成との間で操作されるときに、前記弁アセンブリが少なくとも部分的に、前記第1及び第2の空気チャンバ内を移動する、[20]に記載の呼吸マスク保護装置。
[25]
前記弁アセンブリは、単体のプランジャを備え、前記弁アセンブリが前記開構成と前記閉構成との間で操作されるときに、前記単体のプランジャが部分的に、前記第1の空気チャンバと第2の空気チャンバとの間にある分離壁の両側を移動する、[24]に記載の呼吸マスク保護装置。
図1
図2
図3
図4
図5