特許第6850836号(P6850836)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6850836
(24)【登録日】2021年3月10日
(45)【発行日】2021年3月31日
(54)【発明の名称】箱詰め装置、箱詰め方法および箱体
(51)【国際特許分類】
   B65B 5/00 20060101AFI20210322BHJP
   B65B 35/16 20060101ALI20210322BHJP
   G07D 11/00 20190101ALI20210322BHJP
   B25J 15/08 20060101ALI20210322BHJP
【FI】
   B65B5/00
   B65B35/16
   G07D11/00 311
   B25J15/08 A
【請求項の数】7
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2019-135153(P2019-135153)
(22)【出願日】2019年7月23日
(65)【公開番号】特開2021-17279(P2021-17279A)
(43)【公開日】2021年2月15日
【審査請求日】2020年6月4日
(73)【特許権者】
【識別番号】000230858
【氏名又は名称】日本金銭機械株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100136319
【弁理士】
【氏名又は名称】北原 宏修
(74)【代理人】
【識別番号】100148275
【弁理士】
【氏名又は名称】山内 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100142745
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 世子
(74)【代理人】
【識別番号】100143498
【弁理士】
【氏名又は名称】中西 健
(72)【発明者】
【氏名】上溝 順亮
(72)【発明者】
【氏名】上田 貴司
【審査官】 内田 茉李
(56)【参考文献】
【文献】 実開昭56−084922(JP,U)
【文献】 実公昭35−011882(JP,Y1)
【文献】 特開平02−083186(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65B 5/00
B25J 15/08
B65B 35/16
G07D 11/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
側壁の一部が着脱自在である箱体に対して物体を詰める箱詰め装置であって、
前記箱体を載置する載置台と、
前記物体を把持して前記物体を前記箱体に詰める箱詰め機構と、
前記載置台に載置された前記箱体から前記側壁の一部を取り外す取外し動作と、前記側壁の一部を元に戻して前記箱体を再形成する再形成動作とを行うことが可能である箱形態変更機構と
を備える、箱詰め装置。
【請求項2】
前記箱体に詰め込まれる前記物体の量を計測する計測部と、
前記計測部で計測された前記物体の量が第1規定量に達した場合に前記箱形態変更機構に対して前記取外し動作を行わせる動作制御部と
をさらに備える、請求項1に記載の箱詰め装置。
【請求項3】
前記載置台は、ターンテーブルに設置されており、
前記ターンテーブルは、前記計測部で計測された前記物体の量が第2規定量に達した場合に第1角度だけ回転させられる
請求項2に記載の箱詰め装置。
【請求項4】
物体を把持し、側壁の一部が着脱自在である箱体に対して前記物体を詰める第1箱詰め工程と、
前記箱体に詰められる前記物体が第1規定量に達した場合に、前記箱体から前記側壁の一部を取り外す取外し工程と、
前記側壁の一部が取り外れた前記箱体に対して前記物体を詰める第2箱詰め工程と、
前記側壁の一部を元に戻して前記箱体を再形成する再形成工程と
を備える、箱詰め方法。
【請求項5】
前記箱体は、ターンテーブルに載置されており、
前記箱体に詰められる前記物体が第2規定量に達した場合に、前記ターンテーブルを第1角度だけ回転させるターンテーブル回転工程をさらに備える、請求項4に記載の箱詰め方法。
【請求項6】
請求項1から3のいずれか1項に記載の箱詰め装置に用いられる箱体であって、
底壁部と、
前記底壁部の縁から片側方向に延びると共に底壁部側の反対側に開口を有する側壁と、
を備え、
前記側壁の一部は、前記側壁の他部とロック機構を介して取り付けられており、前記ロック機構によるロックが解除されることによって前記側壁の他部から脱離自在となる
箱体。
【請求項7】
側壁の一部が着脱自在である箱体を載置する載置台と、
前記載置台に載置された箱体から前記側壁の一部を取り外す取外し動作と、前記側壁の一部を元に戻して前記箱体を再形成する再形成動作とを行うことが可能である着脱機構と
を備える、箱形態変更装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、箱詰め装置に関する。また、本発明は、箱詰め方法にも関する。また、本発明は、箱詰め装置および箱詰め方法において物体を詰める対象となる箱体にも関する。
【背景技術】
【0002】
過去に「ロボットを利用して多種多様な収納容器に有価媒体を収納することのできる有価媒体収納システム」が提案されている(例えば、特開2016−031619号公報等)。この有価媒体収納システムでは、作業ロボットが、紙幣整理機から紙幣束を取り出してその紙幣束をカセットに収納する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2016−031619号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上述の通り作業ロボットが紙幣束をカセットに収容する際、カセットには、作業ロボットのハンドを挿入する空間が必要となる。このため、カセットにおいて、その空間の分、紙幣束の収容量が減ってしまう。
【0005】
本発明の課題は、ロボットハンド付きロボットアーム等のアクチュエータで紙幣束等の物体を箱詰めする場合において、箱体の収納空間をできるだけ物体の収容として利用することができるようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1局面に係る箱詰め装置は、箱体に対して物体を詰める箱詰め装置であって、載置台、箱詰め機構および箱形態変更機構を備える。なお、この箱体は、側壁の一部が着脱自在である。また、ここで、箱体は、天面が開口していることが好ましい。載置台には、箱体が載置される。箱詰め機構は、例えば、ロボットハンド付きロボットアーム等のアクチュエータ等であって、物体を把持して、その物体を箱体に詰める。なお、ここで、箱体の天面が開口している場合、箱詰め機構は、その開口を介して物体を箱体に詰めていくのが好ましい。箱形態変更機構は、取外し動作および再形成動作を行うことが可能である。取外し動作では、載置台に載置された箱体から側壁の一部が取り外される。なお、取外し動作が行われた際、箱詰め機構は、箱体の天面の開口か、側壁の一部が取り外れたことによって新たに生成された開口を介して物体を箱体に詰めていくのが好ましい。再形成動作では、側壁の一部が元に戻されて箱体が再形成される。
【0007】
このため、この箱詰め装置では、例えば、箱詰め機構の一部が箱体に挿入することが難しくなる前に箱形態変更機構により箱体から側壁の一部を取り外し、箱詰め機構が、取り外された側壁の側から物体を箱体に詰め、箱体に物体が詰められる度に又は箱体に物体が詰められた後に箱形態変更機構により箱体を再形成することができる。したがって、この箱詰め装置では、箱詰め機構によって紙幣束等の物体を箱詰めする場合において、箱体の収納空間をできるだけ物体の収容に利用することができる。
【0008】
本発明の第2局面に係る箱詰め装置は、第1局面に係る箱詰め装置であって、計測部および動作制御部をさらに備える。計測部は、箱体に詰め込まれる物体の量を計測する。なお、ここで、物体の量は、物体の厚み等、他の関連物理量によって間接的に計測されてもよい。動作制御部は、計測部で計測された物体の量が第1規定量に達した場合に箱形態変更機構に対して取外し動作を行わせる。
【0009】
このため、この箱詰め装置では、箱詰めされる物体の量が少なく、箱体にロボットハンドを挿入することができる空間が十分にある間、箱形態変更機構による取外し動作および再形成動作を省くことができる。したがって、この箱詰め装置では、箱形態変更機構を効率的に動作させることができる。
【0010】
本発明の第3局面に係る箱詰め装置は、第2局面に係る箱詰め装置であって、載置台は、ターンテーブルに設置されている。ターンテーブルは、計測部で計測された物体の量が第2規定量に達した場合に第1角度だけ回転させられる。
【0011】
このため、この箱詰め装置では、例えば、箱詰め作業が完了した際に箱体を180°回転させることができ、箱詰め機構から離れた位置で作業者が安全に箱体を回収等することができる。
【0012】
本発明の第4局面に係る箱詰め方法は、第1箱詰め工程、取外し工程、第2箱詰め工程および再形成工程を備える。箱詰め工程では、物体が把持され、側壁の一部が着脱自在である箱体に対して物体が詰められる。なお、ここで、箱体は、天面が開口していることが好ましい。かかる場合、第1箱詰め工程では、その開口を介して物体が箱体に詰められるのが好ましい。取外し工程では、箱体に詰められる物体が第1規定量に達した場合に、箱体から側壁の一部が取り外される。第2箱詰め工程では、側壁の一部が取り外れた箱体に対して物体が詰められる。第2箱詰め工程では、箱体の天面の開口か、側壁の一部が取り外れたことによって新たに生成された開口を介して物体が箱体に詰められるのが好ましい。再形成工程では、側壁の一部が戻されて箱体が再形成される。なお、取外し工程と再形成工程は最初と最後に1回ずつ行われてもよいし、交互に繰り返し行われてもよい。
【0013】
このため、この箱詰め方法では、例えば、物体を把持する把持体が箱体に挿入することが難しくなる前に箱体から側壁の一部を取り外すことができ、その把持体が、取り外された側壁の側から物体を箱体に詰めることができる。そして、その後、箱体に物体が詰められる度に又は箱体に物体が詰められた後に箱体を再形成することができる。したがって、この箱詰め方法を利用すれば、紙幣束等の物体を箱詰めする場合において、箱体の収納空間をできるだけ物体の収容として利用することができる。
【0014】
本発明の第5局面に係る箱詰め方法は、第4局面に係る箱詰め方法であって、箱体は、ターンテーブルに載置されている。そして、この箱詰め方法は、ターンテーブル回転工程をさらに備える。ターンテーブル回転工程では、箱体に詰められる物体が第2規定量に達した場合に、ターンテーブルが第1角度だけ回転させられる。
【0015】
このため、この箱詰め方法では、例えば、箱詰め作業が完了した際に箱体を180°回転させることができ、箱詰め作業位置から離れた位置で作業者が安全に箱体を回収等することができる。
【0016】
本発明の第6局面に係る箱体は、第1局面から第3局面のいずれか1局面に記載の箱詰め装置に用いられる箱体であって、底壁部および側壁を備える。側壁は、底壁部の縁から片側方向に延びると共に底壁部側の反対側に開口を有する。そして、側壁の一部は、側壁の他部とロック機構を介して取り付けられており、ロック機構によるロックが解除されることによって側壁の他部から脱離自在となる。
【0017】
このため、この箱体は、上述の箱詰め装置や箱詰め方法において、再形成後もその形状を良好に維持することができ、延いては物体を良好に収容することができる。
【0018】
本発明の第7局面に係る箱形態変更装置は、載置台および着脱機構を備える。載置台には、箱体が載置される。箱体は、側壁の一部が着脱自在である。着脱機構は、取外し動作および再形成動作を行うことが可能である。取外し動作では、載置台に載置された箱体から側壁の一部が取り外される。再形成動作では、側壁の一部が元に戻されて箱体が再形成される。
【0019】
この箱形態変更装置は箱詰め機構と組み合わせられることによって、以下のような動作例を実現することができる。箱詰め機構の一部が箱体に挿入することが難しくなる前に箱形態変更装置が箱体から側壁の一部を取り外し、箱詰め機構が、取り外された側壁の側から物体を箱体に詰め、箱体に物体が詰められる度に又は箱体に物体が詰められた後に箱形態変更装置により箱体を再形成する。したがって、この箱形態変更装置は、箱詰め機構によって紙幣束等の物体を箱詰めする場合において、箱体の収納空間をできるだけ物体の収容に利用させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明の実施の形態に係る箱詰め装置の平面図である。
図2】本発明の実施の形態に係る箱詰め装置の側面図である。
図3】本発明の実施の形態に係る箱詰め装置の制御装置のブロック図である。
図4】本発明の実施の形態に係る箱詰め装置で用いられているロボットハンドの縦断面図である。
図5】本発明の実施の形態に係る搬送ケースの斜視図である。
図6】本発明の実施の形態に係る搬送ケースの平面図である。
図7】本発明の実施の形態に係る搬送ケースにおいて前壁ユニットを取り外した状態の部分箱ユニットの斜視図である。
図8】本発明の実施の形態に係る搬送ケースを構成する前壁ユニットの後方斜視図である。
図9】ロック機構を図6のI−I線で切ったときの断面の拡大図である。
図10】本発明の実施の形態に係る箱詰め装置を構成する壁着脱装置の正面図である。
図11】本発明の実施の形態に係る箱詰め装置を構成する壁着脱装置の左側面図である。本図では、吸引ヘッドは、吸引ユニットの直下に位置しており、待機位置となっている。
図12】本発明の実施の形態に係る箱詰め装置を構成する壁着脱装置の左側面図である。本図では、吸引ヘッドが搬送ケースの前壁ユニットに接触している。
図13】本発明の実施の形態に係る箱詰め装置を構成する壁着脱装置の左側面図である。本図では、吸引ヘッドにより搬送ケースから前壁ユニットが取り外されると共にその前壁ユニットが斜め上方に引き上げられている。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明の実施の形態に係る紙葉類束箱詰め装置100は、紙葉類の束(以下「紙葉類束」という。)MTを搬送ケース10に詰める装置であって、図1図3に示されるように、主に、ロボットハンド付きロボットアーム200、撮像装置300、壁着脱装置400、ターンテーブル500および制御装置600から構成されている。以下、これらの構成要素について詳述する。
【0022】
1.ロボットハンド付きロボットアーム
ロボットハンド付きロボットアーム200は、図1図3に示されるように、主に、ロボットアーム210およびロボットハンド220から構成されている。以下、これらの構成要素について詳述する。
【0023】
(1)ロボットアーム
ロボットアーム210は、例えば、既存の多軸ロボットアームである。ロボットアーム210の基端は、図2に示されるように、固定台に取り付けられている。また、このロボットアーム210は、図3に示されるように制御装置600の制御部610に通信接続されている。
【0024】
(2)ロボットハンド
ロボットハンド220は、図4に示されるように、二指型のロボットハンドであって、ロボットアーム210の先端に取り付けられている。そして、このロボットハンド220は、図4に示されるように、主に、可動フィンガ221、固定フィンガ222、可動フィンガ昇降機構223、押出部224、押出部往復動機構225および連結部226から構成されている。また、このロボットハンド220は、図3に示されるように制御装置600の制御部610に通信接続されている。
【0025】
(2−1)可動フィンガ
可動フィンガ221は、図4に示されるように、紙葉類束MTを把持するためのものであって、本実施形態では二股形状を呈する厚板部位である。この可動フィンガ221は、固定フィンガ222(後述)と対向しており、固定フィンガ222と略平行の関係にある。この可動フィンガ221は、可動フィンガ昇降機構223の前側昇降板223B(後述)に固定されている。また、この可動フィンガ221の片方の側面には、マーカが表示されている。
【0026】
(2−2)固定フィンガ
固定フィンガ222は、図4に示されるように、紙葉類束MTを把持するためのものであって、本実施形態では可動フィンガ221と同様に二股形状を呈する厚板部位である。この固定フィンガ222は、上述の通り、可動フィンガ221と対向しており、可動フィンガ221と略平行の関係にある。この固定フィンガ222は、可動フィンガ昇降機構223の支持板223A(後述)に固定されている。また、この固定フィンガ222において、可動フィンガ221のマーカ表示面の同じ側の側面にマーカが表示されている。なお、固定フィンガ222および可動フィンガ221それぞれの片側面に表示されたマーカは、可動フィンガ221および固定フィンガ222の対向方向に沿って並んでいる。
【0027】
(2−3)可動フィンガ昇降機構
可動フィンガ昇降機構223は、図4に示されるように、二段ストローク型の昇降機構であって、主に、支持板223A、前側昇降板223B、後側昇降板223C、前側エアシリンダ機構223Dおよび後側エアシリンダ機構223Eから構成されている。支持板223Aは、後側エアシリンダ機構223Eを支持している。後側エアシリンダ機構223Eは、複動式のものであって、後側昇降板223Cを昇降させるための駆動源である。そして、この後側エアシリンダ機構223Eは、上述の通り支持板223Aに取り付けられている。後側昇降板223Cには、前側エアシリンダ機構223Dが取り付けられている。前側エアシリンダ機構223Dは、複動式のものであって、前側昇降板223Bを昇降させるための駆動源である。そして、上述の通り、前側昇降板223Bには、可動フィンガ221が取り付けられている。すなわち、後側エアシリンダ機構223Eは、後側昇降板223Cを昇降させることによって前側エアシリンダ機構223D、前側昇降板223Bおよび可動フィンガ221を昇降させる。一方、前側エアシリンダ機構223Dは、前側昇降板223Bを昇降させることによって可動フィンガ221を昇降させている。また、前側エアシリンダ機構223Dおよび後側エアシリンダ機構223Eにはそれぞれエア給排気口(図示せず)が設けられている。これらのエア給排気口には、エア給排気管(図示せず)が接続されている。そして、この可動フィンガ昇降機構223により、固定フィンガ222と可動フィンガ221とで紙葉類束MTを把持することが可能となっており、また、一度把持した紙葉類束MTを離すこともできる。
【0028】
(2−4)押出部
押出部224は、矩形の板状部材であって、ロボットハンド220が把持した紙葉類束MTを離して搬送先から退避する際に紙葉類束MTを押し出すことによってロボットハンド220が紙葉類束MTを引きずることを防止するためのものである。そして、この押出部224は、図4に示されるように押出部往復動機構225(後述)の先端に固定されている。押出部224は、押出部往復動機構225によって前後方向に往復動させられる。
【0029】
(2−5)押出部往復動機構
押出部往復動機構225は、上述の通り、押出部224を前後方向に往復動させるための機構であって、図4に示されるように固定フィンガ222の上側面に固定されている。なお、図4から明らかな通り、この押出部往復動機構225の往復方向は、固定フィンガの延設方向と平行の関係にある。
【0030】
(2−6)連結部
連結部226は、図4に示されるように、ロボットハンド220をロボットアーム210に連結させる部位であって、例えば、フランジ等である。
【0031】
2.撮像装置
撮像装置300は、例えば、CCDカメラ等のデジタル式カメラであって、図1および図2に示されるように、ロボットハンド付きロボットアーム200の左下に配設されている。なお、この撮像装置300は、図1に示されるように撮像方向が壁着脱装置400の反対側を向くようにして配設されている。そして、この撮像装置300は、ロボットハンド220のマーカ表示側の側面が撮像エリアに入ったタイミングで、そのロボットハンド220の側面を撮像し、得られた画像データを制御装置600に送信する。なお、本実施の形態では、ロボットハンド220は、ロボットハンド220のマーカ表示側の側面が撮像エリアに入る前において紙葉類束MTを把持している。すなわち、撮像装置300がロボットハンド220のマーカ表示側の側面を撮像する際、ロボットハンド220には紙葉類束MTが把持されている。
【0032】
3.壁着脱装置
壁着脱装置400は、図10および図11に示されるように、主に、載置台410および吸着機構420から構成されている。
【0033】
載置台410は、図10および図11に示されるように側面視において略直角三角形状を呈する傾斜台であって、台座部411および本体部412から形成されている。本体部412は、台座部411の上側に配設されている。そして、この本体部412の傾斜面が、搬送ケース10を載置するための載置面として用いられる。なお、この本体部412の載置面には、搬送ケース10の前壁ユニット12(後述)が上方に位置するようにして搬送ケース10が着脱自在に載置される。
【0034】
吸着機構420は、後述する搬送ケース10の前壁ユニット12をチャックするためのバキュームチャック機構等であって、図10および図11に示されるように、主に、ケース421、ガイドレール422、スライドバー(図示せず)、往復動機構(図示せず)、給排気装置、蛇腹チャック423および支持板424から構成されている。ケース421には、ガイドレール422の主要部分、スライドバーおよび往復動機構が収容されている。ガイドレール422は、スライドバーを案内する部材であって、載置台410の傾斜面に平行な方向に沿って配設されている。スライドバーは、ガイドレール422に沿って移動可能な棒状部材であって、往復動機構に取り付けられている。すなわち、このスライドバーは、往復動機構によってガイドレール422に沿って移動させられる。往復動機構は、例えば、エアシリンダ機構、ラック・アンド・ピニオン機構、ボールネジ機構、モータシリンダ機構、電動スライダ機構、ベルトスライダ機構およびリニアスライダ機構である。また、駆動源としては、駆動源として空気圧や電動機が挙げられる。蛇腹チャック423は、吸着対象物に接触する部材であって、図10に示される通り、支持板424によって支持されており、給排気装置に管接続されている。なお、給排気装置は、蛇腹チャック423が吸着対象物に接触して収縮する際に蛇腹チャック423内の空気を排気することによって吸着対象物を吸着する。一方、蛇腹チャック423から吸着対象物を解放する際、給排気装置は、蛇腹チャック423内に給気する。支持板424は、図10に示されるようにスライドバーの下端両脇に配設されており、蛇腹チャック423を支持している。また、この支持板424の外側には、図10に示されるように当接板424aが接合されている。この当接板424aは、搬送ケース10のロック機構Lr,Ll(後述)のロック状態を解除する目的で設けられている。
【0035】
そして、この吸着機構420は、図3に示されるように制御装置600の制御部610に通信接続されている。なお、この吸着機構420において制御装置600の制御対象となっているのは、往復動機構および給排気装置である。
【0036】
以下、吸着機構420の動作を説明する。
吸着機構420は、待機時、図10および図11に示された状態、すなわち、蛇腹チャック423が上方に引き上げられた状態となっている。そして、吸着機構420が制御装置600の制御部610から動作開始信号を受信すると、吸着機構420は、図12に示されるようにスライドバーを下降させて、本実施形態の吸着対象物である搬送ケース10の前壁ユニット12に蛇腹チャック423を当接させると共に、そのまま蛇腹チャック423を前壁ユニット12に押し付けて蛇腹チャック423を収縮させる。このとき、吸着機構420の給排気装置は、蛇腹チャック423内の空気を外部に排出することによって蛇腹チャック423に前壁ユニット12を吸着させる。また、これと同時に、支持板424の当接板424aが搬送ケース10の右側ロックピンSrおよび左側ロックピンSlを押し込んで、ロック機構Lr,Llのロック状態を解除すると共にそのロック解除状態を維持する。この後、吸着機構420は、当接板424aにより搬送ケース10のロック機構Lr,Llのロック解除状態を維持しながらスライドバーを上昇させて、前壁ユニット12を上方に引き上げる(図13参照。)。
【0037】
一方、搬送ケース10を再形成する際、吸着機構420は、スライドバーを下降させて前壁ユニット12を部分箱ユニット11に当接させる。次に、給排気装置から蛇腹チャック423内に給気が行われることによって蛇腹チャック423が前壁ユニット12を解放する。その後、吸着機構420は、スライドバーを上昇させて待機状態へと戻る。なお、スライドバーが引き上げられる際、搬送ケース10の右側ロックピンSrおよび左側ロックピンSlが付勢力によってロック状態に戻り、部分箱ユニット11に対して前壁ユニット12がロックされる。なお、この搬送ケース10の再形成は、上述の動作開始信号の受信後、前壁ユニット12の上方引き上げに引き続いて行われる。
【0038】
4.ターンテーブル
ターンテーブル500は、図1および図2に示されるように、主に、回転動力機構510および円形テーブル520から構成されている。回転動力機構510は、エアシリンダやステッピングモータ等の動力源であって、その回転軸に沿ってシャフト515が延びている。そして、このシャフト515の上端部は、円形テーブル520の中心箇所に嵌合されている。また、このターンテーブル500の回転動力機構510は、図3に示されるように制御装置600の制御部610に通信接続されている。円形テーブル520は、円形の厚板部材である。この円形テーブル520は、上述の通りその中心箇所でシャフト515の上端部に嵌合されている。そして、図1に示されるように、この円形テーブル520の上には、一対の壁着脱装置400が互いに逆方向を向くようにして載置(固定)されている。
【0039】
5.制御装置
制御装置600は、図3に示されるように、主に、制御部610、演算部620、記憶部630および取得部640から構成されている。以下、これらの構成要素について詳述する。
【0040】
(1)制御部
制御部610は、例えば、コンピュータの中央処理演算装置の制御装置等であって、図3に示されるように、ロボットアーム210、ロボットハンド220、撮像装置300、壁着脱装置400の吸着機構420およびターンテーブル500の回転動力機構510に通信接続されている。そして、この制御部610は、ロボットアーム210、ロボットハンド220、撮像装置300、吸着機構420および回転動力機構510に種々の制御信号を送信することによって、ロボットアーム210の動作や、ロボットハンド220の動作、撮像装置300の撮像処理、吸着機構420の動作、回転動力機構の動作を制御する。ところで、制御部610は、記憶部630に格納される制御プログラムに記述される命令に従って、ロボットアーム210、ロボットハンド220、撮像装置300、吸着機構420および回転動力機構510に制御信号を送信する。また、この制御部610は、図3に示されるように、演算部620および記憶部630の少なくとも一方から制御信号の生成に必要なデータを読み出し、そのデータから制御信号を生成してロボットアーム210、ロボットハンド220、撮像装置300、吸着機構420および回転動力機構510に送信する。
【0041】
ところで、この制御部610は、ロボットハンド220が紙葉類束MTを把持した後、ロボットアーム210を制御してそのロボットハンド220を撮像装置300の撮像ポイントに移動させる。そして、この制御部610は、ロボットアーム210から動作完了信号を受信した後に、撮像装置300に対して撮像処理実行信号を送信する。撮像処理実行信号を受信した撮像装置300は、撮像処理を実行し、その撮像処理により得られた撮像データを制御装置600の取得部640に送信する。また、この制御部610は、吸着機構420に対して動作開始信号を送信した後、吸着機構420、ロボットアーム210およびロボットハンド220それぞれから取得部640を介して送信されてくる動作完了信号を利用して吸着機構420、ロボットアーム210およびロボットハンド220の動作順序を制御する(図3参照)。
【0042】
(2)演算部
演算部620は、例えば、コンピュータの中央処理演算装置の演算装置等であって、図3に示されるように、記憶部630に格納されるデータおよび取得部640から送信されてくるデータから制御信号の生成に必要なデータを生成して、そのデータを制御部610に供給する。例えば、この演算部620は、取得部640を介して撮像装置300から送られてくる撮像データからロボットハンド220の可動フィンガ221および固定フィンガ222のマーカ間の距離を計測し、その計測値から、ロボットハンド220が把持している紙葉類束MTの厚みを計測する。
【0043】
また、この演算部620は、その紙葉類束MTの厚みを積算していき、積算毎にその積算値が第1閾値を超えるか否か、および、第3閾値(第1閾値よりも大きい閾値)を超えるか否かを判断する。なお、ここで、第1閾値は、ロボットハンド220が開口OPを介して搬送ケース10に進入することが難しくなる少し前の紙葉類束MTの厚みの目途を示しており、第3閾値は、搬送ケース10に収容可能な紙葉類束MTの厚みの目途を示している。そして、この演算部620は、その積算値が第1閾値を超えたと判断すると、制御部610に対して吸着機構420に動作開始信号を送信する命令を示す信号(以下「動作開始信号送信命令信号」という。)を送信する。そして、この吸着機構420の動作開始信号送信命令信号を受信した制御部610は、吸着機構420に対して動作開始信号を送信する。すると、吸着機構420は、搬送ケース10から前壁ユニット12を取り外した後、部分箱ユニット11(後述)に対して前壁ユニット12を取り付けて、その動作を停止する。また、この演算部620は、その積算値が第3閾値を超えたと判断すると、制御部610に対して回転動力機構510の動作開始信号送信命令信号を送信すると共にその積算値をリセットして「0」とする。そして、この回転動力機構510の動作開始信号送信命令信号を受信した制御部610は、回転動力機構510に対して動作開始信号を送信する。すると、回転動力機構510が円形テーブル520を半回転させる。その後、再度、紙葉類束MTの厚みが計測されると、演算部620が再びその紙葉類束MTの厚みを積算していき、上述の処理が繰り返される。
【0044】
また、この演算部620は、紙葉類束MTの積算毎にその積算値が第2閾値(第1閾値よりも大きく、第3閾値よりも僅かに小さい閾値)を超えるか否かを判断する。なお、ここで、第2閾値は、ロボットハンド220が開口OPを介して搬送ケース10に進入することが実質的に不可能となる紙葉類束MTの厚みの目途を示している。そして、この演算部620は、その積算値が第2閾値を超えたと判断すると、制御部610に対してロボットアーム210に動作変更信号を送信する命令を示す信号(以下「動作変更信号送信命令信号」という。)を送信する。そして、このロボットアーム210の動作変更信号送信命令信号を受信した制御部610は、ロボットアーム210に対して動作変更信号を送信する。すると、ロボットアーム210は、その動作を「ロボットハンド220(すなわち紙葉類束MT)を、開口OPを介して搬送ケース10の内部に進入させる動作」から、「ロボットハンド220(すなわち紙葉類束MT)を、部分箱ユニット11の前面側の開口(すなわち、前壁ユニット12が存在していた側の開口)を介して搬送ケース10の内部に進入させる動作」に切り換える。
【0045】
(3)記憶部
記憶部630には、紙葉類束箱詰め装置100の各構成要素を制御するための制御プログラム、制御パラメータ、制御テーブル等が格納されている。
【0046】
(4)取得部
取得部640は、例えば、コンピュータの通信インターフェイス等であって、図3に示されるように、撮像装置300によって得られた撮像データを受信して演算部620に送信する役目を担っている。また、この取得部640は、図3に示されるように吸着機構420、ロボットアーム210およびロボットハンド220それぞれから送信されてくる動作完了信号を、演算部620を経由して制御部610へと送信する。なお、取得部640は、吸着機構420、ロボットアーム210およびロボットハンド220それぞれから送信されてくる動作完了信号を直接的に制御部610に送信してもよい。
【0047】
6.搬送ケース
搬送ケース10は、図5および図6に示されるように、天面が開口する組立式の無色透明な箱体であって、主に、部分箱ユニット11(図7参照)および前壁ユニット12(図8参照)から構成されている。なお、以下に示される前壁部12A、右側壁部11C、左側壁部11Dおよび背壁部11Bは、角筒状の囲み壁部を構成している。なお、この「囲み壁部」は、特許請求の範囲に規定される「側壁」に対応している。また、この囲み壁部の天面側の開口に対して「OP」の符号を付する(図5および図6参照)。
【0048】
部分箱ユニット11は、図7に示されるように、主に、底壁部11A、背壁部11B、右側壁部11C、左側壁部11D、右側フランジ部11E、左側フランジ部11F、後側ハンドルBr、右側受け部Rrおよび左側受け部Rlから形成されている。底壁部11Aは、その字の通り、搬送ケース10の底壁を構成する矩形部位である。背壁部11Bは、その字の通り、搬送ケース10の背壁を構成する部位であって、図5および図6に示されるように底壁部11Aの後端から上方に向かって延びている。なお、この背壁部11Bは図5に示されるように、上部中央が切りかかれた凹形状を呈している。右側壁部11Cは、その字の通り、搬送ケース10の右側壁を構成する矩形部位であって、図5および図6に示されるように底壁部11Aの右端から上方に向かって延びている。左側壁部11Dは、その字の通り、搬送ケース10の左側壁を構成する矩形部位であって、図5および図6に示されるように底壁部11Aの左端から上方に向かって延びている。右側フランジ部11Eは、右側受け部Rrを内部に支持する矩形部位であって、図5および図6に示されるように右側壁部11Cの前端部の外側に取り付けられている。左側フランジ部11Fは、左側受け部Rlを内部に支持する矩形部位であって、図5および図6に示されるように左側壁部11Dの前端部の外側に取り付けられている。後側ハンドルBrは、図5に示されるように背壁部11Bの外面の上端部に取り付けられている。右側受け部Rrは、後述する右側ロックピンSrを受ける筒状の部位であって、筒軸が前後方向に沿うように右側フランジ部11Eの内部に埋め込まれている。左側受け部Rlは、後述する左側ロックピンSlを受ける筒状の部位であって、筒軸が前後方向に沿うように左側フランジ部11Fの内部に埋め込まれている。なお、図6に示されている符号Lrは右側ロック機構を示しており、その右側ロック機構は右側受け部Rrと右側ロックピンSrから構成されるものである。また、同様に、図6に示されている符号Llは左側ロック機構を示しており、その左側ロック機構は左側受け部Rlと左側ロックピンSlから構成されるものである。
【0049】
前壁ユニット12は、図8に示されるように、主に、前壁部12A、前側ハンドルBf、右側ロックピンSrおよび左側ロックピンSlから形成されている。前壁部12Aは、その字の通り、搬送ケース10の前壁を構成する矩形部位である。なお、この前壁部12Aは、図5および図6に示されるように、その幅が右側フランジ部11Eの右端から左側フランジ部11Fの左端までの長さと同一の長さとされている。前側ハンドルBfは、図5に示されるように前壁部12Aの外面の上端部に取り付けられている。右側ロックピンSrは、先端が押されることによって後端部に配されたボールが没入可能な状態となる公知のボールロックピン式のロックピン(その構造は、例えば、特開2006−526888号公報の図4等を参照。)であって、図5に示されるように前壁部12Aの右側中央部を貫通するように前壁部12Aの右側中央部に固定されている。左側ロックピンSlは、右側ロックピンSrと同様に、先端が押されることによって後端部に配されたボールが没入可能な状態となる公知のボールロックピン式のロックピンであって、図5に示されるように前壁部12Aの左側中央部を貫通するように前壁部12Aの左側中央部に固定されている。
【0050】
以下、ロック機構Lr,Llについて説明する。
本発明の実施の形態に係るロック機構Lr,Llは、ボールロック式のロック機構である。ロックピンSr,Slにおいて付勢力に逆らってピストンが押し込まれると、その反対側に配設される突起部(ボール)Prが半径方向内側に没入可能な状態となり、受け部Rr,RlからロックピンSr,Slを引き抜くことができるようになる(図9参照)。その一方、付勢力によってピストンが押し戻されると、その突起部(ボール)Prが半径方向外側に突出してその突起部Prがロックされ(すなわち、突起部(ボール)Prが半径方向内側に没入不可能な状態となる。)、受け部Rr,RlからロックピンSr,Slを引き抜くことができないようになる(図9参照)。
【0051】
<本発明の実施の形態に係る紙葉類束箱詰め装置の制御例>
以下、本発明の実施の形態に係る紙葉類束箱詰め装置100の制御例について説明する。
【0052】
先ず、制御装置600は、ロボットアーム210を制御して、所定位置に待機されたロボットハンド220を、紙葉類束MTの存在位置まで移動させる。次に、制御装置600は、ロボットハンド220の可動フィンガ昇降機構223を制御して、可動フィンガ221を最上端位置まで引き上げる。次いで、制御装置600は、ロボットアーム210を制御して、可動フィンガ221と固定フィンガ222との間に紙葉類束MTが位置するようにロボットハンド220を位置させる。続いて、制御装置600は、可動フィンガ221を下方に移動させて、可動フィンガ221と固定フィンガ222とで紙葉類束MTを把持させる。なお、ここで、ロボットハンド220が紙葉類束MTを把持しやすいように、紙葉類束MTは予め揃えられていることが好ましい。
【0053】
そして、制御装置600は、ロボットアーム210を制御して、ロボットハンド220を撮像装置300の撮像ポイントまで移動させる。その後、制御装置600は、撮像装置300に撮像処理実行信号を送信して、撮像装置300にロボットハンド220の画像を撮らせる。撮像装置300は、ロボットハンド220の画像を撮り終えると、その画像データを制御装置600の取得部640に送信する。取得部640は、その画像データを演算部620に送信する。そして、演算部620は、画像データからロボットハンド220の可動フィンガ221および固定フィンガ222のマーカ間の距離を計測し、その計測値から、ロボットハンド220が把持している紙葉類束MTの厚みを計測し、その厚みデータを記憶部630に記憶させる。
【0054】
続いて、制御装置600は、ロボットアーム210を制御して、ロボットハンド220を、壁着脱装置400の載置台410に載置される搬送ケース10に差し入れさせた後、押出部往復動機構225を制御して押出部224を前方に移動させると共に、可動フィンガ昇降機構223を制御して可動フィンガ221を上方に引き上げて紙葉類束MTを放させる。そして、制御装置600は、ロボットアーム210を制御して、ロボットハンド220の傾斜角度を維持したままロボットハンド220を搬送ケース10から退避させる。なお、このとき、押出部往復動機構225は前方に移動しているため、押出部224が紙葉類束MTを引きずるのを防いでいる。その後、制御装置600は、ロボットハンド220が搬送ケース10から完全に退避してから押出部往復動機構225を制御して押出部224を後方に引き戻す。最後に、制御装置600は、ロボットアーム210を制御して、ロボットハンド220を待機位置まで移動させて次の紙葉類束MTの搬送に備えさせる。
【0055】
そして、上述の一連の処理は、搬送ケース10に第3閾値の厚み以下の厚みの紙葉類束MTが収容されるまで順次繰り返される。
【0056】
ところで、記憶部630に記憶された上述の厚みデータは、上述の一連の処理が繰り返される度に演算部620により積算される。そして、演算部620によりその積算値が第1閾値(第3閾値よりも小さい閾値)を超えたと判断されると、演算部620が制御部610に対して吸着機構420の動作開始信号送信命令信号を送信する。そして、この動作開始信号送信命令信号を受信した制御部610は、吸着機構420に対して動作開始信号を送信する。すると、吸着機構420は、図11図13に示される前壁ユニット着脱動作を開始する。なお、ここで、前壁ユニット着脱動作は、ロボットハンド220により紙葉類束MTが搬送ケース10に挿入される度に行われる。すなわち、吸着機構420が前壁ユニット12を引き上げた後に、ロボットハンド220により紙葉類束MTが、部分箱ユニット11の開口OPから搬送ケース10に挿入され、さらにその後に吸着機構420が前壁ユニット12を引き下げて搬送ケース10を再構築する。なお、この一連の処理の順序は、上述の通り、ロボットアーム210、ロボットハンド220および吸着機構420からの動作完了信号を利用して制御されている。
【0057】
なお、演算部620によりその積算値が第2閾値(第1閾値よりも大きく、第3閾値よりも僅かに小さい閾値)を超えたと判断されると、演算部620が制御部610に対してロボットアーム210の動作変更信号送信命令信号を送信する。そして、この動作変更信号送信命令信号を受信した制御部610は、ロボットアーム210に対して動作変更信号を送信する。すると、ロボットアーム210は、その動作を「ロボットハンド220(すなわち紙葉類束MT)を、開口OPを介して搬送ケース10の内部に進入させる動作」から、「ロボットハンド220(すなわち紙葉類束MT)を、部分箱ユニット11の前面側の開口(すなわち、前壁ユニット12が存在していた側の開口)を介して搬送ケース10の内部に進入させる動作」に切り換える。
【0058】
また、演算部620は、その積算値が第3閾値を超えた判断すると、制御部610に対して回転動力機構510の動作開始信号送信命令信号を送信すると共にその積算値をリセットして「0」とする。そして、この回転動力機構510の動作開始信号送信命令信号を受信した制御部610は、回転動力機構510に対して動作開始信号を送信する。すると、回転動力機構510が円形テーブル520を半回転させる。その後、再度、紙葉類束MTの厚みが計測されると、演算部620が再びその紙葉類束MTの厚みを積算していき、上述の処理が繰り返される。
【0059】
<本発明の実施の形態に係る紙葉類束箱詰め装置の特徴>
(1)
本発明の実施の形態に係る紙葉類束箱詰め装置100では、演算部620により紙葉類束MTの厚みの積算値が第1閾値を超えたと判断された際に、吸着機構420により搬送ケース10から前壁ユニット12が取り外され、ロボットハンド付きロボットアーム200により部分箱ユニット11に紙葉類束MTが詰められていく。したがって、この紙葉類束箱詰め装置100では、ロボットハンド付きロボットアーム200によって紙葉類束MTを箱詰めする場合において、搬送ケース10の収納空間をできるだけ紙葉類束MTの収容に利用することができる。
【0060】
(2)
本発明の実施の形態に係る紙葉類束箱詰め装置100では、演算部620により紙葉類束MTの積算値が第2閾値を超えたと判断された場合、ロボットハンド付きロボットアーム200が、取り外された前壁ユニット12の側の開口から紙葉類束MTを詰めていく。このため、この紙葉類束箱詰め装置100では、紙葉類束MTを部分箱ユニット11に詰める度、紙葉類束MTを圧縮することができ、延いては搬送ケース10における紙葉類束MTの充填率を向上させることができる。
【0061】
(3)
本発明の実施の形態に係る紙葉類束箱詰め装置100では、演算部620により紙葉類束MTの厚みの積算値が第1閾値を超えたと判断されたときに、吸着機構420が前壁ユニット着脱動作を開始した。このため、この紙葉類束箱詰め装置100では、箱詰めされる紙葉類束Mの量が少なく、搬送ケース10にロボットハンド220を挿入することができる空間が十分にある間、吸着機構420による前壁ユニット12の取外し動作および搬送ケース10の再形成動作を省略することができる。したがって、この紙葉類束箱詰め装置100では、吸着機構420を効率的に動作させることができ、引いては吸着機構420の動作に伴うエネルギー消費を抑制することができる。
【0062】
(4)
本発明の実施の形態に係る紙葉類束箱詰め装置100では、演算部620により紙葉類束MTの厚みの積算値が第3閾値を超えたと判断されたときに、回転動力機構510が円形テーブル520を半回転させる。このため、この紙葉類束箱詰め装置100では、ロボットハンド付きロボットアーム200および壁着脱装置400から離れた位置で作業者が安全に搬送ケース10を回収等することができる。
【0063】
<変形例>
(A)
先の実施の形態に係る紙葉類束箱詰め装置100では紙葉類束MTがロボットハンド220に把持されたときに紙葉類束MTの厚み計測が実施されたが、紙葉類束MTの厚み計測は、ロボットハンド220に把持される前に行われてもかまわない。例えば、ロボットハンド付きロボットアーム200の紙葉類束搬送方向上流側に別のロボットハンド付きロボットアームや別の搬送装置(例えば、ベルトコンベアやスライダーボックス等)等が存在する場合、その別のロボットハンド付きロボットアームのロボットハンドによって紙葉類束MTが把持された際にその紙葉類束MTの厚みが計測されてもよいし、その別の搬送装置による搬送途中に紙葉類束MTの厚みが計測されてもよい。
【0064】
(B)
先の実施の形態に係る紙葉類束箱詰め装置100では紙葉類束MTの厚みが画像データに基づいて計測されたが、紙葉類束MTの厚みはロボットハンド220に圧力センサーを配設してその圧力センサーによって計測されてもよいしその他の計測方法によって計測されてもよい。
【0065】
(C)
先の実施の形態に係る紙葉類束箱詰め装置100では演算部620によりその積算値が第1閾値(第3閾値よりも小さい閾値)を超えたと判断された後、ロボットハンド付きロボットアーム200により搬送ケース10に紙葉類束MTが挿入される度に吸着機構420による前壁ユニット着脱動作が行われたが、紙葉類束MTの厚みが第1閾値を超えたときに前壁ユニット12が取り外され、紙葉類束MTの厚みが第3閾値を超えたときに初めて前壁ユニット12が部分箱ユニット11に戻され、搬送ケース10が再構築されてもよい。
【0066】
(D)
先の実施の形態に係る紙葉類束箱詰め装置100では、ターンテーブル500の円形テーブル520の上に2台の壁着脱装置400が互いに逆方向を向くようにして配設されたが、円形テーブル520に配設される壁着脱装置400の数は制限されず、例えば、3つ以上あってもよい。かかる場合、壁着脱装置400は、円形テーブル520において円周方向に沿って載置台410の傾斜面が一方を向くようにして均等配置されるのが好ましい。そして、N個の壁着脱装置400が円形テーブル520にそのように配置される場合、搬送ケース10への紙葉類束MTの箱詰め完了時において回転動力機構510は、円形テーブル520を360/N(°)だけ回転させることになる。
【0067】
(E)
先の実施の形態に係る紙葉類束箱詰め装置100では、壁着脱装置400がターンテーブル500の上に配設されたが、ターンテーブル500を省いて壁着脱装置400を床に固着させてもかまわない。
【0068】
(F)
先の実施の形態に係る紙葉類束箱詰め装置100では、ロボットアーム210、ロボットハンド220および吸着機構420それぞれが制御装置600に対して動作完了信号を送信し、制御装置600がその動作完了信号受信後に新たな動作開始信号をロボットアーム210、ロボットハンド220および吸着機構420に送信してロボットアーム210、ロボットハンド220および吸着機構420の動作順序を制御(連動制御)していたが、吸着機構420による前壁ユニット12の取外し時から搬送ケース10を再構築時までの間においてロボットアーム210、ロボットハンド220および吸着機構420の動作がタイミング制御(時間管理制御)されてもよい。
【0069】
(G)
先の実施の形態に係る紙葉類束箱詰め装置100では、演算部620により紙葉類束MTの厚みの積算値が第2閾値を超えたと判断されるまでの間、紙葉類束MTが天面側の開口OPから挿入され、演算部620により紙葉類束MTの厚みの積算値が第2閾値を超えたと判断されてから紙葉類束MTが、部分箱ユニット11の前面側の開口(すなわち、前壁ユニット12が存在していた側の開口)から搬送ケース10に挿入されたが、演算部620により紙葉類束MTの厚みの積算値が第1閾値を超えたと判断された時点で、紙葉類束MTが、部分箱ユニット11の前面側の開口から搬送ケース10に挿入されてもよい。かかる場合、第2閾値は不要となる。
【0070】
(H)
先の実施の形態に係る紙葉類束箱詰め装置100ではターンテーブル500のテーブルとして円形テーブル520が採用されたが、テーブルの形状は特に限定されず任意の形状のテーブルが採用されてよい。
【0071】
(I)
先の実施の形態に係る紙葉類束箱詰め装置100では自動制御型のターンテーブル500が採用されたが、手動型のターンテーブルが採用されてもよい。
【0072】
(J)
先の実施の形態に係る紙葉類束箱詰め装置100では、搬送ケース10の前壁ユニット12をチャックする手段としてバキュームチャック機構等の吸着機構420が採用されたが、搬送ケース10の前壁ユニット12をチャックする手段として他の把持機構が採用さてもよい。ただし、かかる場合、その把持機構が、搬送ケース10のロック状態を解除しながら前壁ユニット12を持ち上げることができることが前提となる。
【0073】
(K)
先の実施の形態に係る搬送ケース10では、ロック機構Lr,Llとしてボールロック式のロック機構が採用されたが、公知の他のロック機構が採用されてもよい。ただし、かかる場合、吸着機構420が、そのロック状態を解除しながら前壁ユニット12を持ち上げることができることが前提となる。
【0074】
(L)
先の実施の形態に係る搬送ケース10は無色透明であったが、搬送ケースの透明度や色彩は特に限定されず、有色不透明であってもよいし、有色透明であってもよい。なお、先の実施の形態に係る紙葉類束箱詰め装置100がカジノのバックヤードに載置される場合、搬送ケースは透明であることが好ましい。
【0075】
(M)
先の実施の形態では箱詰め対象物として紙幣束等の紙葉類束MTが例示されたが、本発明において箱詰め対象物は特に限定されず、紙葉類束以外の物体であってもよい。
【0076】
なお、上記変形例は適宜組み合わせて適用されてもかまわない。
【符号の説明】
【0077】
10 搬送ケース(箱体)
11A 底壁部
11C 右側壁部(側壁の他部)
11D 左側壁部(側壁の他部)
12A 前壁部(側壁の一部)
100 紙葉類束箱詰め装置(箱詰め装置)
200 ロボットハンド付きロボットアーム(箱詰め機構)
410 載置台
420 吸着機構(箱形態変更機構)
500 ターンテーブル
610 制御部(動作制御部)
620 演算部(計測部)
Ll,Lr ロック機構
MT 紙葉類束(物体)
OP 開口
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13