特許第6850883号(P6850883)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6850883乾癬及び尋常性白斑の治療薬の製造のための、メチル4−[9−(6−アミノプリニル)]−2(S)−ヒドロキシブチラートの使用。
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6850883
(24)【登録日】2021年3月10日
(45)【発行日】2021年3月31日
(54)【発明の名称】乾癬及び尋常性白斑の治療薬の製造のための、メチル4−[9−(6−アミノプリニル)]−2(S)−ヒドロキシブチラートの使用。
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/52 20060101AFI20210322BHJP
   A61P 17/00 20060101ALI20210322BHJP
   A61P 17/06 20060101ALI20210322BHJP
【FI】
   A61K31/52
   A61P17/00
   A61P17/06
【請求項の数】4
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2019-520193(P2019-520193)
(86)(22)【出願日】2017年6月29日
(65)【公表番号】特表2019-518801(P2019-518801A)
(43)【公表日】2019年7月4日
(86)【国際出願番号】CN2017090684
(87)【国際公開番号】WO2018001287
(87)【国際公開日】20180104
【審査請求日】2018年12月26日
【審判番号】不服2020-4858(P2020-4858/J1)
【審判請求日】2020年4月9日
(31)【優先権主張番号】201610510528.2
(32)【優先日】2016年6月30日
(33)【優先権主張国】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】511076044
【氏名又は名称】中国科学院上海薬物研究所
【氏名又は名称原語表記】SHANGHAI INSTITUTE OF MATERIA MEDICA, CHINESE ACADEMY OF SCIENCES
(73)【特許権者】
【識別番号】518459433
【氏名又は名称】▲寧▼波紫▲園▼▲薬▼▲業▼有限▲責▼任公司
【氏名又は名称原語表記】NINGBO ZIYUAN PHARMACEUTICALS INC.
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】左建平
(72)【発明者】
【氏名】唐▲ウェイ▼
(72)【発明者】
【氏名】林▲沢▼民
(72)【発明者】
【氏名】袁崇生
【合議体】
【審判長】 滝口 尚良
【審判官】 渕野 留香
【審判官】 石井 裕美子
(56)【参考文献】
【文献】 中国特許出願公開第1565453(CN,A)
【文献】 Acta Pharmacologica Sinica,2014年,Vol.35,pp.219−229
【文献】 Autoimmunity Reviews,2016年 1月21日,Vol.15,p.397−404
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K31/00-33/44,A61P1/00-43/00
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
JSTplus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
メチル4−[9−(6−アミノプリニル)]−2(S)−ヒドロキシブチラートを含む乾癬及び/又は尋常性白斑の治療用組成物。
【請求項2】
膚塗布の剤又は経口剤の形態である請求項1に記載の治療用組成物
【請求項3】
組成物におけるメチル4−[9−(6−アミノプリニル)]−2(S)−ヒドロキシブチラートの濃度が、皮膚塗布の剤のために、0.125重量%〜8重量である請求項1に記載の治療用組成物。
【請求項4】
1日に1回又は2回皮膚に塗布するための組成物である請求項1〜3のいずれか1つに記載の治療用組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、メチル4−[9−(6−アミノプリニル)]−2(S)−ヒドロキシブチラートの新規使用に関する。具体的には、本発明は、乾癬及び尋常性白斑の治療薬の製造のための、メチル4−[9−(6−アミノプリニル)]−2(S)−ヒドロキシブチラートの使用に関する。
【背景技術】
【0002】
乾癬はよく見られる慢性再発性炎症性皮膚病であり、典型的な臨床的発現としては、境界がはっきりしている紅斑、皮疹、プラーク、スケールがある。前記疾患の発症機序は複雑であり、その原因も未だに不明である。現在、乾癬の治療は、おおよそ局所治療を主としている。乾癬の治療において、ステロイド類ホルモン、例えば、ヒドロコルチゾンブチレート、フランカルボン酸モメタゾン等が広く使われている。しかし、長期使用の場合、副作用が大きいため、ステロイド類ホルモンの使用に影響を与える。タクロリムス、カルシトリオール等は高額であるため、臨床での使用が制限される。
【0003】
尋常性白斑はよく頻繁に見られる色素性皮膚病であり、その罹患率は0.1%〜2%である。前記尋常性白斑は、局所性又は全身性に色素脱失して白斑を形成することを特徴とする、後天性な局所又は全身性の皮膚色素脱失症である。その原因は複雑であり、遺伝、自己免疫、神経等に関連すると考えられる。尋常性白斑の発病は、細胞性免疫、液性免疫及び関連サイトカインに関連する。様々な実験によって、尋常性白斑患者は、通常免疫抗体及び補体レベルの異常が付随していることが証明された。そのことから、臓器の免疫機能のバランスが崩れることは、尋常性白斑の発病と非常に関連性が強いと考えられる。
【0004】
S−アデノシル−L−ホモシステイン加水分解酵素(S−adenosyl−L−homocysteine hydrolase、SAHH)は、細胞内に広く存在する酵素であり、S−アデノシル−L−ホモシステイン(S−adenosyl−L−homocysteine、AdoHcy)の加水分解を加速させ、アデノシン及びホモシステイン(Hcy)を生成する機能がある。SAHHの阻害により細胞内のAdohcy蓄積を招き、メチル基移転反応に対してフィードバック性阻害作用を生じさせる。SAHH阻害剤は、酵素阻害メカニズムにより3種類に分けられる。1型、2型SAHH阻害剤の酵素活性阻害は不可逆である。SAHHが体内に広く存在しているため、前記酵素を不可逆的に阻害することによって、有毒な副作用を引き起こす。その毒性作用のため、これらの不可逆型SAHH阻害剤を免疫抑制薬物とする研究及び開発が制限されている。3型SAHH酵素阻害剤は、その酵素阻害作用が可逆であり、薬物活性作用の減少につれて、酵素活性を回復できる。そのため、毒性作用が少ない。メチル4−[9−(6−プリニル)]−2(S)−ヒドロキシブチラートは3型SAHH阻害剤の1種であり、その細胞毒性は低い。メチル4−[9−(6−アミノプリニル)]−2(S)−ヒドロキシブチラートは、実験性自己免疫性脳脊髓炎(experimental autoimmune encephalomyelitis、EAE)、全身性エリテマトーデス(systemic lupus erythematosus、SLE)等の疾患動物モデルの治療に良好な治療効果を示す。メチル4−[9−(6−アミノプリニル)]−2(S)−ヒドロキシブチラートは、以下構造式を有する。
【0005】
【化1】
【0006】
これまで、乾癬及び尋常性白斑等皮膚病の治療では、メチル4−[9−(6−アミノプリニル)]−2(S)−ヒドロキシブチラートを使用した報告がなかった。
【発明の概要】
【0007】
本発明は、はじめて乾癬及び尋常性白斑に対するメチル4−[9−(6−アミノプリニル)]−2(S)−ヒドロキシブチラートの治療効果を発見した。
上記問題を解決するために、本発明は、乾癬及び/又は尋常性白斑の薬物の製造のための、メチル4−[9−(6−アミノプリニル)]−2(S)−ヒドロキシブチラートの使用を提供する。また、本発明は、局所投与の方法によって、メチル4−[9−(6−アミノプリニル)]−2(S)−ヒドロキシブチラートを利用する乾癬及び尋常性白斑の治療効果及び利便性を向上すると共に、副作用を低減できることを発見した。
【0008】
前記製造した造乾癬及び/又は尋常性白斑の治療薬物は、メチル4−[9−(6−アミノプリニル)]−2(S)−ヒドロキシブチラートを含む軟膏剤、ゼラチン剤又は経口剤等とすることができる。
本発明において、はじめてマウス類乾癬モデル及び尋常性白斑の発生と発展に対するメチル4−[9−(6−アミノプリニル)]−2(S)−ヒドロキシブチラートの抑制作用を公開する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】乾癬マウスの皮膚損傷に対するメチル4−[9−(6−アミノプリニル)]−2(S)−ヒドロキシブチラートの治療及び緩和効果。イミキモド誘導BALB/cマウス乾癬に対し、メチル4−[9−(6−アミノプリニル)]−2(S)−ヒドロキシブチラートを使用して外部から治療する。毎日薬を塗り、乾癬皮膚損傷面積及び疾患レベル指数(PASI)により評価する。図1のグループは、それぞれ正常対照群、モデル対照群、カルシトリオールクリーム対照群、軟膏治療群であり、グループごとに10匹マウスを投入する。***P<0.001、n=10。図1A、1B、1C及び1Dは、順に紅斑評価、スケール評価、皮膚肥厚評価及び総合評価の棒グラフである。
図2】イミキモド誘導したマウスの脾臓肥大及び脾臓におけるTリンパ細胞活化に対するメチル4−[9−(6−アミノプリニル)]−2(S)−ヒドロキシブチラートの阻害効果を示す。イミキモドにより乾癬を誘導したモデルを作ってから7日目に、実験マウスを秤量(図2A)して安楽死させ、マウスの脾臓を秤量し、脾臓指数を計算する(図2B)。初期T(T、CD3+CD4+CD44−CD62L+)細胞比例(図2C図2D)及び活化T(activeT、CD3+CD4+CD44+CD62L−)細胞比例(図2C図2E)を測定する。*P<0.05、***P<0.001、n?5。図のグループは、それぞれ正常対照群、モデル対照群、軟膏治療群である。図2CはCD3+CD4+T細胞であり、図2D及び図2Eにおいて、細胞比例が全脾臓リンパ細胞におけるCD3+CD4+T細胞の占有比例である。
図3】イミキモド誘導マウスの皮膚損傷組織におけるIL−17に対するメチル4−[9−(6−アミノプリニル)]−2(S)−ヒドロキシブチラートの抑制レベルを示す。イミキモドにより乾癬を誘導したモデル作成後7日目に、病変部位の皮膚を採取し、ELISA法でそのIL−17含量を測定する。*P<0.05、n?5。図のグループは、それぞれ正常対照群、モデル対照群及び軟膏治療群である。
図4】乾癬マウスの皮膚損傷に対するメチル4−[9−(6−アミノプリニル)]−2(S)−ヒドロキシブチラート軟膏剤の治療及び緩和効果を示す。イミキモドにより乾癬を誘導したマウスをメチル4−[9−(6−アミノプリニル)]−2(S)−ヒドロキシブチラート軟膏剤により治療後7日目の、正常対照群、モデル対照群、カルシトリオール軟膏治療群及び軟膏治療群のマウスの皮膚損害の典型的な代表図である。
図5】乾癬マウスの皮膚損傷をメチル4−[9−(6−アミノプリニル)]−2(S)−ヒドロキシブチラート経口剤により治療及び緩和する写真を示す。イミキモドにより乾癬を誘導したマウスをメチル4−[9−(6−アミノプリニル)]−2(S)−ヒドロキシブチラート経口剤により治療後7日目の、正常対照群、モデル対照群、経口治療組マウスの皮膚損害の典型的な代表図である。
図6】乾癬マウスの皮膚損傷をメチル4−[9−(6−アミノプリニル)]−2(S)−ヒドロキシブチラートゼラチンにより治療及び緩和する写真である。イミキモドにより乾癬を誘導したマウスをメチル4−[9−(6−アミノプリニル)]−2(S)−ヒドロキシブチラートゼラチン剤により治療後6日目の、モデル対照群、ゼラチン治療組のマウス皮膚損害の典型的な代表図である。
図7】尋常性白斑症例皮膚損傷をメチル4−[9−(6−アミノプリニル)]−2(S)−ヒドロキシブチラート軟膏剤により治療及び緩和する写真である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、具体的な実施形態により本発明を詳しく説明する。下記実施例は、本発明の実施形態の説明又は解釈のために用いるものであり、本発明の請求の範囲を限定するものではない。
実施例1.
メチル4−[9−(6−アミノプリニル)]−2(S)−ヒドロキシブチラート軟膏マトリックスの製造
1)液体パラフィン15部、ワセリン50部、モノステアリン酸グリセリル50部、モノステアリン酸100部を混合し、70℃まで加熱することで、油相Aを得る。
2)グリセリン100部、トリエタノールアミン2部、ラウリル硫酸ナトリウム2部、p−ヒドロキシ安息香酸エチル1部を精製水450部に溶解し、70℃まで加熱することで、水相Bを得る。
3)水相Bに油相Aをゆっくり添加しながら撹拌し、軟膏マトリックスを製造してから静置、冷却する。
【0011】
実施例2.
メチル4−[9−(6−アミノプリニル)]−2(S)−ヒドロキシブチラート軟膏の製造
1)液体パラフィン15部、ワセリン50部、モノステアリン酸グリセリル50部、モノステアリン酸100部を混合し、70℃まで加熱することで、油相Aを得る。
2)グリセリン100部、トリエタノールアミン2部、ラウリル硫酸ナトリウム2部、p−ヒドロキシ安息香酸エチル1部を精製水450部に溶かし、70℃まで加熱してから、メチル4−[9−(6−アミノプリニル)]−2(S)−ヒドロキシブチラート15部を添加することで、水相Bを得る。迅速に撹拌して溶解させる。水相Bに油相Aをゆっくり添加しながら撹拌し、メチル4−[9−(6−アミノプリニル)]−2(S)−ヒドロキシブチラート軟膏を製造してから静置、冷却する。
前記軟膏の規格は実際の需要により選択できるが、通常、単位制剤、例えば20g、30g、40g等の規格を使用する。メチル4−[9−(6−アミノプリニル)]−2(S)−ヒドロキシブチラート軟膏剤の濃度は0.125%〜8%(wt)である。
【0012】
実施例3.
乾癬様動物モデルに対するメチル4−[9−(6−アミノプリニル)]−2(S)−ヒドロキシブチラート軟膏の治療効果
試験材料:実施例1で製造した軟膏マトリックス及び実施例2で製造したメチル4−[9−(6−アミノプリニル)]−2(S)−ヒドロキシブチラート軟膏。
用いられるメチル4−[9−(6−アミノプリニル)]−2(S)−ヒドロキシブチラート軟膏は、軟膏剤10gにメチル4−[9−(6−アミノプリニル)]−2(S)−ヒドロキシブチラート0.2gを含むものである。
モデル用薬物:イミキモド軟膏、Sichuan Med−shine Pharmaceutical有限責任会社から生産され、中国国薬準字H20030128、産品バッチ番号15060139。
陽性対照薬:カルシトリオール軟膏、HUAPONT PHARM有限会社から生産され、中国国薬準字H20113541、産品バッチ番号2015002。
実験動物:balb/cマウス、メス、体重18〜22g、Shanghai SLAC Laboratory Animal有限会社より提供。
【0013】
実験方法:
乾癬様モデルのモデル作り:正常対照群、モデル対照群、カルシトリオール軟膏対照群、軟膏治療群について、いずれも動物10匹を使用する。マウスの背部毛を刈り取った後、モデル対照群、陽性薬対照群及び軟膏治療群のマウスそれぞれの背部皮膚に、イミキモド軟膏62.5mgを毎日塗る。塗抹時間は毎朝7:30であり、7日間又は15日間持続的に行う。
治療方法:正常対照群、モデル対照群マウス背部皮膚に実施例1で製造した軟膏マトリックス62.5mgを毎日塗る。カルシトリオール対照群マウス背部皮膚にカルシトリオール軟膏62.5mgを毎日塗る。軟膏治療群のマウス背部皮膚に実施例2で製造したメチル4−[9−(6−アミノプリニル)]−2(S)−ヒドロキシブチラート軟膏62.5mgを毎日塗る。塗抹時間は毎晩18:30であり、7日間又は15日間持続的に行う。15日間、各グループのマウスの皮膚損傷変化状況を毎日観察し、PASI評価基準に基づいてマウス背部皮膚紅斑(図1A)、スケール(図1B)及び浸潤肥厚程度(図1C)について0〜4分の評価を与え、3つの評価を合わせて総合皮膚損傷程度の総合評価をする(図1D)。
結果から分かるように、メチル4−[9−(6−アミノプリニル)]−2(S)−ヒドロキシブチラートは、イミキモド誘導したマウス乾癬様皮膚損傷を有效に緩和できる。
【0014】
治療してから7日後、乾癬様皮膚損傷がより深刻な程度に至ったため、マウスの体重を称量して安楽死させる。手術では、各グループのマウスの脾臓を取って秤量する。図2A及び図2Bに実験結果を示す。
結果から分かるように、メチル4−[9−(6−アミノプリニル)]−2(S)−ヒドロキシブチラートの介入性治療は、イミキモド誘導したスケール病様マウスの脾臓肥大状況を顯著に改善できる。
フローサイトメトリーによって、脾臓リンパ細胞における初期T(T、CD3+CD4+CD44−CD62L+)細胞比例(図2C図2D)及び活化T(activeT、CD3+CD4+CD44+CD62L−)細胞比例を測定する(図2C図2E)。結果から分かるように、メチル4−[9−(6−アミノプリニル)]−2(S)−ヒドロキシブチラートは、イミキモド誘導した乾癬様マウスのTリンパ細胞活化を抑制できる。
各グループのマウスの損傷皮膚を秤量し、組織サンプルとT−PER抽出試薬(T−PER Tissue Protein Extraction Reagent)を1:20(w/v)(g:ml)で混合し、組織サンプルを均質化させた後、沈殿した組織を遠心分離させる。ELISA法で抽出液における炎症性因子インターロイキン−17(IL−17)のレベル(図3)を測定する。結果から分かるように、メチル4−[9−(6−アミノプリニル)]−2(S)−ヒドロキシブチラートは、損傷皮膚における炎症性サイトカインIL−17のレベルを顯著に抑制できる。
【0015】
治療から7日目に、各グループのマウスの写真を撮り、乾癬様動物モデルに対するメチル[9−(6−アミノプリニル)]−2(S)−ヒドロキシブチラートの治療効果を観察する。結果から分かるように、メチル4−[9−(6−アミノプリニル)]−2(S)−ヒドロキシブチラート軟膏剤は、イミキモド誘導したマウス乾癬様皮膚損傷を有效に緩和できる(図4)。
【0016】
実施例4.
乾癬様動物モデルに対するメチル4−[9−(6−アミノプリニル)]−2(S)−ヒドロキシブチラート経口剤の治療効果
試験材料:メチル[9−(6−アミノプリニル)]−2(S)−ヒドロキシブチラート5mgを精製水1mLに溶かす比例で、メチル[9−(6−アミノプリニル)]−2(S)−ヒドロキシブチラート5mg/mL(w/v)経口剤を得る。
モデル用薬物:イミキモド軟膏、Sichuan Med−shine Pharmaceutical有限責任会社から生産、中国国薬準字H20030128、産品バッチ番号15060139。
実験動物:balb/cマウス、メス、体重18〜22g、Shanghai SLAC Laboratory Animal有限会社より提供。
【0017】
実験方法:乾癬様モデルのモデル作り:正常対照群、モデル対照群、経口治療組について、いずれも動物10匹を使用する。マウスの背部毛を刈り取った後、モデル対照群、陽性薬対照群及びカルシトリオール軟膏治療群のマウスそれぞれの背部皮膚に、毎日イミキモド軟膏62.5mgを塗る。塗抹時間は毎朝7:30であり、7日間持続的に行う。
治療方法:ブランク対照群、モデル対照群のマウスにそれぞれ純水0.2mLを毎日経口投与し、経口治療組マウスにメチル[9−(6−アミノプリニル)]−2(S)−ヒドロキシブチラート5mg/mL(w/v)0.2mLを毎日投与する。7日間持続的に行う。治療から7日目に、各グループのマウスの写真を撮る。乾癬様動物モデルに対するメチル[9−(6−アミノプリニル)]−2(S)−ヒドロキシブチラート経口剤の治療効果を観察する。
結果から分かるように、メチル4−[9−(6−アミノプリニル)]−2(S)−ヒドロキシブチラート経口剤は、イミキモド誘導したマウス乾癬様皮膚損傷を有效に緩和できる(図5)。
【0018】
実施例5.
乾癬様動物モデルに対するメチル4−[9−(6−アミノプリニル)]−2(S)−ヒドロキシブチラートゼラチンの治療効果
試験材料:
メチル4−[9−(6−アミノプリニル)]−2(S)−ヒドロキシブチラートゼラチン2%のゼラチンの製造:メチル4−[9−(6−アミノプリニル)]−2(S)−ヒドロキシブチラート2部を96部精製水に溶かし、溶液Aを得る。溶液Aにカルボキシメチルセルロースナトリウム3部、グリセリン1部を添加し、撹拌してメチル4−[9−(6−アミノプリニル)]−2(S)−ヒドロキシブチラート2%のゼラチンを得る。
ゼラチンマトリックスの製造:
カルボキシメチルセルロースナトリウム3部、グリセリン1部を精製水96部に添加し、撹拌してゼラチンマトリックスを得る。
モデル用薬物:イミキモド軟膏、Sichuan Med−shine Pharmaceutical有限責任会社から生産、中国国薬準字H20030128、産品バッチ番号15060139。
実験動物:balb/cマウス、メス、体重18〜22g、Shanghai SLAC Laboratory Animal有限会社より提供。
【0019】
実験方法:乾癬様モデルのモデル作り:モデル対照群、ゼラチン治療組について、いずれも動物10匹を使用する。マウスの背部毛を刈り取った後、モデル対照群、ゼラチン治療組マウスそれぞれの背部皮膚に、イミキモド軟膏62.5mgを毎日塗る。塗抹時間は毎朝7:30であり、6日間持続的に行う。
治療方法:モデル対照群マウス背部皮膚にゼラチンマトリックス62.5mgを毎日塗り、ゼラチン治療組マウス背部皮膚にメチル4−[9−(6−アミノプリニル)]−2(S)−ヒドロキシブチラートゼラチン62.5mgを毎日塗る。塗抹時間は毎晩18:30であり、6日間持続的に行う。
【0020】
治療後6日目に、各グループのマウスの写真を撮る。乾癬様動物モデルに対するメチル[9−(6−アミノプリニル)]−2(S)−ヒドロキシブチラートゼラチンの治療効果を観察する。
結果から分かるように、メチル4−[9−(6−アミノプリニル)]−2(S)−ヒドロキシブチラートゼラチン剤は、イミキモド誘導したマウス乾癬様皮膚損傷を有効に緩和できる(図6)。
【0021】
実施例6.
尋常性白斑患者に対するメチル4−[9−(6−アミノプリニル)]−2(S)−ヒドロキシブチラート軟膏の治療効果
陳、女性、54歳、発病してから4年間を経て、患部は顔面部に分布、その総合面積は約4cmであり、尋常性白斑と診断された。実施例2で製造したメチル4−[9−(6−アミノプリニル)]−2(S)−ヒドロキシブチラート軟膏を塗膜面積が患部全体を覆うように、毎日、朝晩それぞれ一回ずつ塗る。治療から11日後、図7に示すように、患部の皮膚がピンク色に変わり、病状が抑制され、損傷部が徐々に色素沈着点へと変化した。
図1A
図1B
図1C
図1D
図2
図3
図4
図5
図6
図7