(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0005】
履物製品は、ソール構造体、およびアッパーを含む。アッパーは、フロント部(front section)およびリア部(rear section)を含み、両方がソール構造体に固定されている。フロント部は、少なくとも部分的にリア部の前方でソール構造体に固定されており、かつ、ソール構造体の上で足受容キャビティ(foot-receiving cavity)を一緒に部分的に画定する内側部分(medial portion)および外側部分(lateral portion)と、足受容キャビティの足エントリー開口部(foot entry opening)とを含む。履物製品は、さらに、内側部分および外側部分に固定されたジッパーを含む。ジッパーは、ジッパーの閉じた位置(zipped position)とジッパーの開いた位置(unzipped position)との間で移動可能なスライダーを含む。ジッパーの開いた位置はジッパーの閉じた位置の前方にある。スライダーがジッパーの閉じた位置にあるときに、内側部分および外側部分は相互にジッパーで閉じられている(zipped)。アンカーが、スライダーのジッパーの閉じた位置の前方でフロント部またはソール構造体のいずれかに固定されており、そして、コードが、ジッパーおよびアッパーのリア部と係合し、かつ、アンカーを通じてルート設定され(routed)ている。スライダーがジッパーの開いた位置からジッパーの閉じた位置まで移動するとき、コードが、リア部をアクセス位置(access position)から使用位置(use position)まで前方に向かって引張り、その結果、リア部が足エントリー開口部を部分的に閉じる。一つの実施形態において、スライダーがジッパーの開いた位置にあるとき、フロント部の内側部分および外側部分は、ソール構造体の横方向に外側へ(laterally outward)広がっている。
【0006】
一つの実施形態に従って、コードはスライダーと係合している。例えば、スライダーは、ダブルヘッド(double-headed)スライダーであってよく、内側ヘッドは、コードがそこを通じて延びるクラウンを有している。別の実施形態において、コードは、シングルヘッドスライダーであってよく、そして、コードは、スライダーの内側においてループを通じて延び、もしくは、いくつかの実施形態において、スライダーの外側においてクラウン(crown)を通じて延びている。
【0007】
一つの実施形態において、アンカーは少なくとも部分的にループを画定し、かつ、コードがループを通過している。アンカーは、いくつかの実施形態において、エクステリア(exterior)の内側に配置されており、そして、他の実施形態においては、フロント部のエクステリアの外側に配置されている。
【0008】
一つの実施形態において、フロント部は、アンカーの後方で、かつ、リア部の前方にコード開口部を有している。コードは、コードがコード開口部の後方でフロント部の外側に露出するように、コード開口部を通じて延び、かつ、コード開口部の前方でフロント部の内側に延びている。例えば、フロント部は、内側層および外側層を含み得る。コードは、コード開口部の前方で内側層と外側層との間に配置されてよい。
【0009】
一つの実施形態に従って、アンカーは、外側部分に隣接して配置された外側アンカーであり、そして、履物製品は、さらに、スライダーのジッパーの閉じた位置の前方で内側部分またはソール構造体のうち1つに固定された内側アンカーを含む。コードは、内側アンカーを通じてルート設定され得る。そうした一つの実施形態において、コードは、フロント部の内側および外側の両方においてアンカーを通じてルート設定されている。
【0010】
一つの実施形態に従って、リア部は、ソール構造体に隣接するヒンジを含む。例えば、リア部は、ヒンジとして機能するため十分にフレキシブルであり、そして、ヒンジは、リア部の一体部分(integral portion)である。コードは、ヒンジとリア部の最上の範囲(uppermost extent)との中間位置において、リア部と係合している。一つの実施形態に従って、履物製品は、リア部に固定されたコンジット(conduit)を含み、そして、コードが、コンジットを通じて延びている。コンジットは、リア部に沿ってU字形に延在しているチャネル(channel)を少なくとも部分的に画定し得る。例えば、コンジットは、外側アームおよび内側アームを含んでよく、これらアームそれぞれは、スライダーがジッパーの閉じた位置にあるときには、リア部の前方へ延びており、そして、それぞれが、ターミナル端部(terminal end)を含み、ターミナル端部においてチャネルへの開口部を有する。
【0011】
一つの実施形態に従って、リア部はカラー部分(collar portion)を含み、そして、ヒンジが、カラー部分とソール構造体との間に存在する。リア部は、ジッパーの閉じた位置まで移動するスライダーによってコードが引張られるときに、ヒンジにおいてソール構造体に関して関節を形成(articulate)する。スライダーがジッパーの閉じた位置にあるとき、カラー部分は、フロント部の内側部分および外側部分とオーバーラップしている。
【0012】
履物製品のためのアッパーは、フロント部およびリア部を含む。フロント部は、フォアフット領域(forefoot region)およびミッドフット領域(midfoot region)を含み、かつ、ミッドフット領域の後方に足エントリー開口部を有する足受容キャビティを部分的に画定している。フロント部は、内側部分および外側部分を有する。ジッパーが、内側部分および外側部分に固定されている。ジッパーは、ジッパーの閉じた位置とジッパーの開いた位置との間で移動可能なスライダーを含み、ジッパーの開いた位置はジッパーの閉じた位置の前方にある。スライダーがジッパーの閉じた位置にあるときに、内側部分および外側部分は相互にジッパーで閉じられている。アンカーが、ジッパーの閉じた位置の前方で、かつ、フロント部に隣接して配置されている。コードが、ジッパーおよびアッパーのリア部と係合し、かつ、アンカーを通してルート設定されている。スライダーがジッパーの開いた位置からジッパーの閉じた位置まで移動されるとき、コードが、リア部をアクセス位置から使用位置まで前方に向かって引張り、使用位置において、リア部は、足エントリー開口部を部分的に閉じている。
【0013】
一つの実施形態において、アッパーのフロント部は、アンカーの後方で、かつ、リア部の前方にコード開口部を有している。コードは、コード開口部を通じて延び、そして、コード開口部の後方でフロント部の外側に露出されており、かつ、コード開口部の前方でフロント部の内側に延びている。
【0014】
一つの実施形態において、アッパーのフロント部は、内側層および外側層を含む。コードは、内側層と外側層との間で、コード開口部の前方に配置されている。スライダーがジッパーの開いた位置にあるとき、フロント部の内側部分および外側部分が、相互に離れて横方向に外側へ広がることができる。
【0015】
一つの実施形態に従って、リア部は、リア部の最上の範囲においてカラー部分を含む。カラー部分は、スライダーがジッパーの閉じた位置にあるとき、フロント部の内側部分および外側部分とオーバーラップしている。
【0016】
一つの実施形態において、アッパーは、ソール構造体と組み合わされ、そして、内側部分、外側部分、およびリア部は、ソール構造体に固定されている。リア部は、ヒンジを有し、かつ、ヒンジにおいてソール構造体に対して関節を形成する。
【0017】
本発明の教示に係る上記の特徴と利点、および、他の特徴と利点は、添付の図面に関連して理解される場合、本発明の教示を実施するためのモードに係る以下の詳細な説明から直ちに明らかである。
【0018】
図面を参照すると、同様な参照番号は、図の全体を通じて同様なコンポーネントを参照するものであり、
図1は、ソール構造体12、および、ソール構造体12に固定されたアッパー16を有する履物製品10を示している。アッパー16は、足の進入(entry)および固定、並びに、足の取出し(removal)を比較的に容易な方法で推進するように構成されている。より具体的には、ここにおいて開示されるように、アッパー16のフロント部16Aをジッパーで閉めることは、アッパーのリア部16Bを、
図1に示される開いた(open)、アクセス位置から、
図2に示される閉じた(closed)、使用位置まで移動させる。フロント部16Aのジッパーを開けることは、リア部16Bを開いた位置に戻すことができる。
【0019】
図2および
図6に最も良く示されるように、リア部16Bは、リア部16Bの一体的な部分(integral portion)であるヒンジ18において、ソール構造体12のヒール領域(heel region)24に対してヒンジ止め(hinged)されている。フロント部16Aおよびリア部16Bは、フロント部16Aにおいてジッパー50が閉じられるときに、リア部16Bが、アクセス位置(
図2、ジッパーの開いた位置としても参照されるもの)から使用位置(
図1、ジッパーの閉じた位置としても参照されるもの)まで移動するように、協働するよう構成されている。言い換えると、リア部16Bは、アクセス位置と使用位置との間でヒール領域24のリア部16Bにおけるヒンジ18において回動(pivot)する。アクセス位置において、リア部16Bは、ヒール領域24の後方にあり、かつ、フロント部16Aの内側エッジ34および外側エッジ36から離間されている。使用位置において、リア部16Bは、フロント部16Aと部分的にオーバーラップしている。ここにおいて使用されるように、アクセス位置と使用位置との間”between”における移動可能(movable)とは、リア部16Bが、一方の位置から他方の位置まで移動可能であることを意味する。ジッパー50は、スライダー52に力が働かないときにジッパーの閉じた位置に留まるように、セルフロック式(self-locking)ジッパーであってよい。ジッパープル58を引張り、ジッパーの開いた位置に向かって移動させることによる、といったものである。別の実施形態において、ジッパー50は、様々な位置において選択的に停止し、かつ、ロックされるように、複数のストップを有してよい。
【0020】
ここにおいて説明されるように、アッパー16および履物製品10のこれら及び他の特徴は、履物製品10の中へ容易に足を入れることができるアクセス位置(access position)を可能にする。アクセス位置は、ここにおいて説明されるように、後方から前方へ上方に(upward)角度を付ける(
図2を参照のこと)大きな足エントリー開口部(foot entry opening)23(
図2および
図6を参照のこと)を提供して、後方(rear)からの足のアクセスを可能にしており、足を挿入するために、アッパー16のいずれからも障害がほとんどなく、または、移動する必要もない。足エントリー開口部23は、比較的に柔軟性に乏しい足(feet)及び/又は足首(ankles)を有する者について足の進入(entry)を容易にするために特に有用である。例えば、フロント部16Bの傾斜した内側エッジ34、外側エッジ36、および、ここにおいて説明されるアクセス位置のおかげで、下肢(lower leg)に対して概ね垂直に保持された足(立っているときの配置として)が、足エントリー開口部23に進入することができ、エントリーの最中に背屈(dorsiflexion)または底屈(plantar flexion)の必要性が最小限である。ここにおける履物10は、レジャーシューズまたは運動靴として示されているが、本教示は、また、ドレスシューズ、ワークキングシューズ、サンダル、スリッパ、ブーツ、または、その他のあらゆるカテゴリーの履物も含んでいる。
【0021】
図1に示されるように、履物10は、3つの一般的な領域へと分割することができる。フォアフット(forefoot)領域20、ミッドフット(midfoot)領域22、およびヒール(heel)領域24であり、これらは、また、それぞれに、ソール構造体12およびアッパー16に係るフォアフット領域、ミッドフット領域、およびヒール領域でもある。フォアフット領域20は、一般的に、つま先(toes)、およびミッドフット骨(metatarsals)を趾骨(phalanges)を連結している関節(joints)に対応する履物製品10の部分を含んでいる。ミッドフット領域22は、一般的に、足のアーチ領域に対応する履物製品10の部分を含み、そして、ヒール領域24は、踵骨(calcaneus bone)を含む、足のリア部に対応している。
【0022】
ソール構造体12は、ミッドソール(midsole)26、および、ミッドソール26に固定されたアウトソール(outsole)28を含む。ミッドソール26は、圧縮性ポリマー発泡体(compressible polymer foam element)(例えば、ポリウレタン(polyurethane)またはエチルビニルアセテート(ethylvinylacetate)発泡体)から形成することができ、歩行(walking)、走行(running)、または他の歩行活動の最中に足と地面との間で圧縮されたときの地面の反力(reaction forces)を減衰させる(つまり、クッション性(cushioning)を提供する)。さらなる構成において、ミッドソール26は、流体で満たされたチャンバ、プレート、減速材(moderator)、または、さらに力を減衰させ、安定性を高め、または、足の動きに影響を与える他の要素を組み込むことができる。例えば、ミッドソール26は、ヒール領域24の近位表面(proximal surface)において凹部(recess)を含んでよく、ヒールの衝撃から結果として生じる力を吸収するために、流体が充填されたブラダ(fluid-filled bladder)要素が凹部に配置されている。例えば、流体が充填されたブラダ要素は、空気または窒素が充填されてシールされたチャンバを画定する、ポリマー製ブラダであってよい。ミッドソール26は、単一の、ワンピースのミッドソールとして描かれているが、他の実施形態においては、ユニットとして一体化された複数のコンポーネントであってよい。いくつかの実施態様において、ミッドソール26は、ユニソール(unisole)として、アウトソール28と一体化されてよい。アウトソール28は、いくつかの別個のアウトソールコンポーネントであってよく、または、ワンピースであってよく、そして、摩耗耐性ゴム材料(wear-resistant rubber material)から形成されてよい。ゴム材料は、トラクション(traction)を付与するようにテクスチャリングされてよく、かつ/あるいは、ミッドソール26の底面に対して固定されたトレッド要素またはクリート(cleats)といった、トラクション要素を含んでよい。
【0023】
ソール構造体12は、ソール構造体12の足対向面(foot-facing surface)29の上で、履物10の足受容キャビティ33の中に配置されたインソール27(
図6に示されるもの)を含んでよく、そうして、インソール27は、足対向面29上で支持されている。ソール構造体12の足対向面29は、フロント部16Aに固定されたストローベル(strobel)によってカバーされてよく、そして、ミッドソール27は、足対向面29の直接的な上ではなく、ストローベルの上に置かれてよい。ソール構造体12は、ミッドソール26のヒール部分の後方に固定されたヒールエクステンダ(heel extender)31を含んでよい。接着剤または他の物による、といったものである。ヒールエクステンダ31は、ミッドソール26よりも高い硬度を有してよい。例えば、ヒールエクステンダ31は、ミッドソール26の発泡材料よりも硬い熱可塑性ポリウレタン(TPU)材料であってよい。
【0024】
履物10は、外側面(lateral side)30(
図1)、および、
図6にも示されているように、外側面30と対向する内側面(medial side)32(
図3)を有している。外側面30および内側面32は、フォアフット領域20、ミッドフット領域22、およびヒール領域24それぞれを通じて延び、そして、履物製品10の両側と対応している。フォアフット領域20、ミッドフット領域22、ヒール領域24、外側面30、および内側面32は、履物10の正確な領域を画定する(demarcate)ように意図されたものではないが、代わりに、説明を助けるために履物10の一般的な領域を表すように意図されている。
【0025】
履物のアッパー16は、皮革、織物、ポリマー、綿、発泡体(foam)、複合材料、等といった、種々の材料であってよい。限定的でない実施例において、履物のアッパー16は、アッパー16に対して弾性を提供することができるポリマー材料であってよく、そして、編んだ構造(braided construction)、編み物(例えば、タテ編み(warp-knitted))構造、または織物構造であってよい。
【0026】
フロント部16Aは、ソール構造体12のフォアフット領域20に対して、より詳細には、ミッドソール26に対して固定されており、足受容キャビティ33を部分的に画定する。図示された実施形態において、フロント部16Aは、ミュール(mule)として構成されており、そして、ミュール部として参照され得る。フォアフット領域20からヒール領域24にかけてミッドソール26から延び、かつ、固定されているからあり、
図6に示されるように、リア部35は、外側面30から内側面32までヒール領域24の周りに延在している。
【0027】
フロント部16Aは、
図3および6に示される内側部分(medial portion)40と、
図1および
図6に示される外側部分(lateral portion)2とを含んでいる。内側部分40および外側部分42は、一緒に、ソール構造体12の上の足受容キャビティ33、および足受容キャビティ33の足エントリー開口部23を画定している。履物製品10は、内側部分40および外側部分42に対して固定されたジッパー50を含んでいる。ジッパー50は、歯の第1セット46、および、相互にメッシュ状(meshingly)に噛み合うように構成された歯の第2セット48を有している。歯の第1セット46は、内側部分40のエッジに沿って延び、そして、歯の第2セット48は、
図6に示されるように、外側部分42のエッジに沿って延びている。アッパー16の一部分は、ジッパーカバー50A、50Bとして機能し、そして、内側部分40および外側部分42と、それぞれに、一体化されてよい。そして、
図8に示されるように、ジッパー50においてジッパーが閉じられたときに、歯46、48をカバーすることができる。
【0028】
ジッパー50は、歯の第1セットおよび第2セット46、48と噛み合うスライダー52を含んでいる。より具体的には、
図1、2、3、および6に最も良く示されるように、スライダー52は、ジッパーの閉じた位置(
図1および
図3)とジッパーの開いた位置(
図2および
図6)との間で移動可能である。ジッパーの開いた位置は、ジッパーの閉じた位置の前方にあり、そして、スライダー52がジッパーの閉じた位置にあるときに、内側部分40と外側部分42は、相互にジッパーの閉じた位置にある。
【0029】
図5に最も良く示されるように、ジッパー50は、ダブルヘッドジッパー(double-headed zipper)である。スライダー52が、外側ヘッド53および内側ヘッド54を有するからであり、外側ヘッド53と内側ヘッド54との間にはスロット56が形成されている。歯の第1および第2セット46、48は、スライダー52がジッパーの閉じた位置とジッパーの開いた位置との間で歯のセット46、48に沿って移動するときに、スライダー52の両側においてスロット56を通過する。ジッパープル58は、外側ヘッド53上のクラウン(crown)60Aに固定されている。長さがより長く、または、異なる材料の別のジッパープルが使用されてよい。内側ヘッド54は、また、
図4におけるスライダー52の底面図に最もよく示されるように、クラウン60Bも有している。内側ヘッド54は、そこに対して固定されるジッパープルを有する必要はない。内側ヘッド54およびクラウン60Bは、
図1−10の実施形態において、足受容キャビティ33の中で、内側部分および外側部分40、42の下方に配置されている。
【0030】
リア部16Bは、
図2のアクセス位置と
図1の使用位置との間でソール構造体12およびフロント部16Aに関して移動可能であり、そして、部分的には、ジッパー50およびリア部16Bと係合するコードのせいで、スライダー52が、ジッパーの開いた位置からジッパーの閉じた位置まで移動するときに、アクセス位置から使用位置へ移動する。コード64は、フレキシブルであり、引張荷重に耐えることができる細長い(elongated)構造である。コード64は、例えば、編んだナイロン、といった材料であってよい。本出願および添付の請求項において使用される「コード(”cord”)」64は、以下の中から選択される2つまたはそれ以上の任意の1つ、または複数のもの、もしくは、任意の組み合わせを含み得る。ストラップ、テザー、フィラメント、ストランド、リボン、チューブ、編組(braid)、ストリップ、ケーブル、レース(lace)、ベルト、ストリング、糸(thread)、ロープ、およびワイヤ、である。
【0031】
コード64は、ジッパーの開いた位置からジッパーの閉じた位置へスライダー52が移動されるときに、フロント部16Aに向かってリア部16Bを前方に引張り、そして、足エントリー開口部23を部分的に閉じる。
図1−10の実施形態においては、単一のコード64が、ここにおいて説明されるように、リア部16Bに沿って、かつ、内側部分40および外側部分42の両方に沿って、スライダー52まで延びている。一つの代替的な実施形態においては、2つの別個のコードが使用され得る。リア部分16Bから内側部分40に沿ってスライダー52まで延びる第1コード、および、リア部分16Bから外側部分42に沿ってスライダー52まで延びる第2コードである。そうした2つのコードの実施形態において、各コードは、リア部16Bに別々に取り付けられるだろう。例えば、各コードは、リア部16Bに固定された後端部(rear end)を有するだろう。縫い合わせ(stitching)、または、リア部の小さな穴を通って延びて、端部で結ばれることによる、といったものであり、そうして、端部は穴を通過することができない。各コードは、前端部(front end)を有するだろう。そこで、コードはクラウン60Bの周りに結び付けられ、または、そうでなければ、スライダー52に固定される。2つのコードの実施形態においては、コンジット(conduit)は使用されないだろう。2つのコードのどちらも、単一のコードの実施形態におけるように、リア部16B全体に沿って延びないであろうからである。別の実施形態においては、ループアンカー(looped anchors)66A、66Bのうち1つだけが存在し、コードがループアンカーを通ってスライダー52に延びている。そして、アンカーを有しないアッパー16の側面において、コード64の端部がフロント部16Aに固定されてよい。
【0032】
履物製品10は、さらに、内側アンカー(medial anchor)66Aおよび外側アンカー(lateral anchor)66Bを含み、これは、スライダー52の動きと共にリア部16Bの動きを可能にするように、コード64を通す(route)ことを手助けする。内側アンカー66Aは、
図3に最も良く示されるように、フロント部16Aの内側部分40またはソール構造体12に固定されてよく、そして、いずれの場合にも、スライダー52のジッパーの閉じた位置の前方で、かつ、履物製品10の内側におけるものである。外側アンカー66Bは、
図1に最も良く示されるように、フロント部16Aの外側部分42、または、スライダー52のジッパーの閉じた位置の前方で、かつ、履物製品10の外側において、ソール構造体12に固定されてよい。内側および外側のアンカー66A、66Bは、また、ウェビング(webbing)として参照されてもよく、そして、これらに限定されるわけではないが、コード64がアンカー66A、66Bに対してスライドする際の磨滅(abrasion)に抵抗する編組ナイロン(braided nylon)または他の材料であってよい。
【0033】
図1の実施形態において、内側および外側アンカー66A、66Bは、ソール構造体12、そして、より特定的には、ミッドソールの周辺エッジの近くでミッドソール26に固定されており、かつ、フロント部16Aの内側層(inner layer)70とフロント部16Aの外側層(outer layer)72との間に配置されている。
図11に最も良く示されようにであり、そこでは、内側層および外側層が互いに分離されて、アンカー66Bを露出させている。例えば、アンカー66Bの端部75は、アッパーのフロント部16Aがソール構造体12に固定されているのと同じ方法で、ミッドソール26に縫合され(stitched)または接着されてよい。アンカー66A、66Bが配置されている内側層と外側層との間の開口部は、スライダー52がジッパーの閉じた位置からジッパーの開いた位置へ動かされる際に、縫い合わせ(stitching)によって、または、そうでなければ、歯のセットに沿って、かつ、コード64が移動する領域において、妨げられず維持され得る。その逆もまた同様である。他の実施形態において、フロント部16Aは、単一層であってよく、内側層70を有しない。いくつかの実施形態において、アンカー66A、66Bは、
図7においてアンカー66Bに関して例示されるように、フロント部16Aの内部で、足受容キャビティ33内に直接的に配置されてよい。
【0034】
アンカー66A、66Bは、コード64が通過するループをそれぞれ形成する。アンカー66A、66Bは、
図1−3の実施形態においては、内側層70と外側層72との間に配置されているので、それぞれが視野から隠されており、そして、フロント部のエクステリア(exterior)77の内部に配置されている。
図11−14に関して説明した代替的な実施形態において、アンカーの一方または両方は、フロント部のエクステリアの外部にある。
【0035】
内側部分40および外側部分42それぞれは、リア部16Bが閉じた位置にある場合でさえも、内側アンカー66Aおよび外側アンカー66Bの後方、かつ、リア部16Bの前方にコード開口部74を有している。コード開口部74は、示されるように、グロメット(grommets)76によって補強され得る。コード64は、コード開口部74を通じて延びており、そうして、コード64は、各コード開口部74の後方でフロント部16Aの外側に露出されている。そして、コード64は、コード開口部74の前方で内側層70と外側層72との間に配置され、そうして、コード64は、コード開口部74の前方で外側に露出されていない。このことによって、コード64は、外側層72を通じて内部に配置されたアンカー66A、66Bに到達するように延びることができる。一方で、リア部16Bまで延びて、開口部74の後方でフロント部16Aの外側に露出されており、コード64も、また、係合されている。
【0036】
図9を参照すると、コンジット80を有するサポート(support)78が、リア部16Bに固定されている。サポート78とコンジット80は一体化されてよい。コンジット80は、リア部16Bに沿ってU字形に延在するチャネル(channel)82を少なくとも部分的に画定する。示される実施形態において、コンジット80およびチャネル82は、サポート78およびリア部16Bの外側にある。代替的に、コンジットおよびチャネルは、リア部16Bの内側に配置され得る。コンジット80は、サポート78から分離されてよく、そして、例えば、リア部16Bの内部の側に、または、リア部16Bの内側層と外側層との間に配置され得る。
【0037】
コード64は、
図1−3に示されるように、コンジット80のチャネル82を通じて延びている。サポート78およびコンジット80の材料は、コード64がチャンル82内で容易にスライドできるように比較的に滑らか(smooth)であってよく、そして、足首の後方について支持を提供するために、ヒンジ18におけるリア部16Bの材料よりも剛性があってよい。例えば、サポート78およびコンジット80は、TPUであってよい。コンジット80は、外側アーム(lateral arm)80Aおよび内側アーム(medial arm)80Bを含み、アームそれぞれは、スライダー52がジッパーの閉じた位置にあるときにリア部16Bの前方に延び、そして、それぞれは、ターミナル端部(terminal end)84を含み、ターミナル端部84においてチャネル82に対する開口部86を有している。他の実施形態において、コンジット80は、リア部16Bのエッジにおいて終了してよく、または、コンジット80は、リア部16Bの後方において短いループであってよい。加えて、いくつかの実施形態においては、サポートが設けられておらず、そして、そこを通じてコードが延びるコンジットが、リア部16Bのエクステリア表面に対して縫い付けられた、または、他の方法で固定されたカバーによって形成されてよく、そして、サポートと一体化される必要はない。
【0038】
コード64は、このように、リア部16Bの最上の範囲(uppermost extent)とヒンジ18との間でリア部16Bに沿ってルート設定され(routed)ており、内側アンカー66Aおよび外側アンカー66Bの両方を通じてルート設定され、そして、スライダー52に固定されている。内側および外側アンカー66A、66Bは、スライダー52がジッパーの開いた位置にあるときはスライダー52の後方に配置されており、そして、スライダー52がジッパーの閉じた位置にあるときはスライダー52の前方かつ下方に配置されているので、
図6に示されるように、コード64は、リア部16Bをヒンジ18のピボット軸Pのまわりに回動させる(pivoting)ことによって、
図2の開いた位置から
図1の閉じた位置まで、リア部分16Bを前方に向かって引張る。スライダー52が、ジッパーの開いた位置からジッパーの閉じた位置まで移動するとき、リア部16Bの閉じた位置までの移動は、足エントリー開口部23を部分的に閉じる。リア部16Bは、リア部16Bの最上の範囲にカラー部分(collar portion)90を含んでいる。ヒンジ18は、カラー部分90とソール構造体12との間に存在しており、そして、概ねピボット軸Pのまわりに回動する。コード64は、ヒンジ18とリア部の最上の範囲92との中間位置である、コンジット80の中でリア部16Bと係合している。
【0039】
図2に示されるように、ジッパー50が開けられるとき、スライダー52から内側または外側アンカー66A、66Bまで延びているコード64のスパンの長さはL1であり、そして、内側または外側アンカー66A、66Bからコンジット80のそれぞれのアーム80A、80Bまで延びているコード64のスパンの長さはL2である。スライダー52が、
図1のジッパーの閉じた位置まで移動されるとき、
図1に示されるように、スライダー52から内側または外側アンカー66A、66Bまで延びているコード64のスパンの長さはL3であり、そして、内側または外側アンカー66A、66Bからコンジット80のそれぞれのアーム80A、80Bまで延びているコード64のスパンの長さはL4である。スライダー52からそれぞれのアーム80A、80Bまでのコード64の全長は一定に維持されており、そうして、長さL1およびL2の合計は、長さL3およびL4の合計と同じである。ジッパーの閉じた位置にあると、長さL3は長さL1よりもずっと長く、そして、長さL4は長さL2よりもずっと短い。言い換えると、スライダー52が、ジッパーの閉じた位置に移動するとき、コード64はアンカー66A、66Bを通じてスライドし、そして、リア部16Bが開いた位置にあるときに以前はそれぞれのアンカー66A、66Bの後方であったコード64の部分が、アンカーからジッパーの閉じた位置にあるスライダー52に向かって、アンカー66A、66Bを通じて、そして、上かつ後ろへ延びるように上方へスライドする。スライダー52が、ジッパーの開いた位置に移動されるとき、コード64の当該部分は、アンカー66Aまたは66Bを通じて戻り、そして、アンカーとアーム80Aまたは80Bとの間で、アンカー66Aまたは66Bの後方に配置されて、リア部分16Bが、ヒンジ18において開いた位置まで回動できるようにしている。リア部16Bは、自動的に開いた位置まで回動してよく、または、一旦、スライダー52がジッパーの開いた位置になると、手動で開いた位置まで回動されてよく、コード64に十分なたるみ(slack)を提供している。
【0040】
アッパーのリア部16Bは、サポート78とソール構造体12との間で十分にフレキシブルであり、ヒンジ18においてソール構造体12に関して関節を形成(articulate)している。例えば、リア部16Bは、
図6および9に最も良く示されるように、ソール構造体12においてネック94まで狭くなり、ネック94において曲げを可能にしている。なおも、さらに、双安定素子(bi-stable element)といった、フレキシブルなインサートが、ソール構造体に固定され、そして、リア部16Bのネック94に沿って延在してよい。双安定素子は、2つの安定位置を有し得るものである。リア部16Bの開いた位置、および、リア部16Bの閉じた位置である。双安定素子は、従って、リア部16Bを、閉じた位置および開いた位置のいずれか一方に向かってバイアスし、コード64を介してリア部16Bが安定位置のうち一方から離れるように動かされたときに、他方の安定位置に向かってリア部16Bを動かすことを促進する。
【0041】
スライダー52が、ジッパーの開いた位置まで移動するときに、リア部16Bが、開いた位置まで移動すること、または、移動できることに加えて、アッパー16のフロント部16Aは、十分にフレキシブルであり、そうして、
図6に最も良く示されるように、スライダー52がジッパーの開いた位置にあるときには、フロント部16Aの内側部分40および外側部分42が、横方向に外側へ広がるか、または、ソール構造体12の横方向に外側へ、かつ、互いに離れて手動で広げられ得る。それによって、なおも、足のエントリーのために足受容キャビティ33をさらに広げている。内側部分40および外側部分42のこれらの広がった位置(splayed position)は、リア部16Bの開いた位置と一緒に、アッパー16の容易な清掃およびアッパー16の迅速な乾燥を可能にする。
【0042】
図1および3の閉じた位置におけるリア部16Bで最も良く示されるように、アッパー16は、ハイトップ(high-top)アッパーである。足が足受容キャビティ33に挿入されたときに足首を取り囲むように、十分に高くあるように構成された足首領域(ankle region)98を含むからである。リア部16Bは、テーパ付きのネック94から横方向に外側へ裾が広がっており(flared)、カラー部分90の内側ウィング96Aおよび外側ウィング96Bを形成している。ウィング96A、96Bは、スライダー52がジッパーの閉じた位置にあるときに、カラー部分90が、フロント部16Aの内側部分40および外側部分42とオーバーラップすることを可能にする。オーバーラップは、ハイトップアッパー16の足首領域98において生じ、ウィング96A、96Bにおけるフロント部16Aおよびリア部分16Bのオーバーラップは、従って、足首をさらに支持するように機能している。
【0043】
図12−
図13は、履物製品110に係る別の実施形態を示している。履物製品10に関して説明したように機能する、履物製品10と同じ特徴の多くを有している。しかしながら、フロント部16Bの内側層と外側層との間に配置される代わりに、内側アンカー66Aおよび外側アンカー66Bのいずれかまたは両方が、フロント部16Aのエクステリア95の外に配置されている。
図12−
図13は、このように配置された外側アンカー66Bだけを示しているが、内側アンカー66Aも同様に配置され得る。コード64が、フロント部16Aの内側層70と外側層72との間に配置され、かつ、外側に配置されたアンカー66A、66Bを通じてさらに延びるためには、スリット(slit)またはスロット(slot)であり得る開口部67が、外側部分42において外側層72を通じて延びている。開口部67は、コード64が、外側アンカー66Bに隣接する外側層72を通じて延び、かつ、そこを通じてスライドできるように、十分な形状およびサイズであり、一方で、また、スライダー52を用いて外側アンカー66Bに対しても移動している。内側アンカー66Aが、フロント部16Aのエクステリア表面の外側に同様に配置される場合には、次いで、追加の同様な開口部67が、内側部分40に配置される。
【0044】
図14−
図15は、履物製品210に係る別の代替的な実施形態を示している。ここで、内側アンカーおよび外側アンカー66A、66Bは、フロント部16Aのエクステリア表面95の外側に配置されており、そして、コード64も、また、エクステリア表面95の外側に配置されている。そうした実施形態において、コード64は、ジッパープル58と共にクラウン60Aを通じて延び、そして、スライダー52は、ダブルスライダー(double-slider)である必要はない。
【0045】
種々の実施形態の説明を支援し、かつ、明確にするために、種々の用語がここにおいて定義されている。特に指定されない限り、以下の定義は、この明細書(請求項を含む)全体を通じて適用される。加えて、全ての言及された参考文献は、その全体がここにおいて包含されている。
【0046】
「履物製品(”article of footwear”)」、「履物製品の製造(”footwear article of manufacture”)」および「履物(”footwear”)」は、機械および製造の両方であるものとみなされてよい。組み立てられ、直ぐに着用できる履物製品(例えば、靴、サンダル、ブーツ、等)、並びに、直ぐに着用できる履物製品への最終組み立て以前の、履物製品の個別のコンポーネント(例えば、ミッドソール、アウトソール、アッパーコンポーネント、等)が、考慮されており、そして、代替的に、ここにおいては、単数または複数どちらの場合も、「履物製品」または「履物」として参照される。
【0047】
「一つの(”a”、”an”)」、「その(”the”)」、「少なくとも一つの(”at least one”)」、および、「1つまたはそれ以上の(”one or more”)」は、アイテムのうち少なくとも1つが存在することを示すために交換可能に使用されている。複数のそうしたアイテムは、コンテクスト(context)が明確にそうでないものと示していなければ、存在し得るものである。この明細書中におけるパラメータ(例えば、量または条件)に係る全ての数値は、コンテクストを考慮して明示的または明確に指定されない限り、添付の請求項を含んで、数値の前に実際に「約(”about”)」が現れるか否かにかかわらず、全ての場合において用語「約」によって変更されているものとして理解されるべきである。「約」は、記載された数値が、いくらかの僅かな不正確さ(正確な値に対していくらかのアプローチを伴う、概ね(approximately)または適度に(reasonably)値に近い、ほぼ近いもの)を許容することを示している。「約」によって提供される不正確さが、この通常の意味をもって当該技術分野においてそうでないものと理解される場合に、ここにおいて使用される「約」は、少なくとも、そうしたパラメータを測定および使用する通常の方法から生じ得る変動を示すものである。明細書および添付の請求項において使用されるように、値は、それが記載された値より5%より大きくなく、かつ、5%より小さくなければ、記載された値に「概ね」等しいとみなされる。加えて、範囲の開示は、全ての値および範囲内でさらに分割された範囲を特定的に開示しているものとして理解されるべきである。
【0048】
用語「含む(”comprising”、”including”、および”having”)」は、包含的であり、そして、従って、記載された特徴、ステップ、オペレーション、エレメント、またはコンポーネントの存在を明示するが、1つまたはそれ以上の他の特徴、ステップ、オペレーション、エレメント、またはコンポーネントの存在または追加を排除するものではない。ステップ、プロセス、およびオペレーションの順序は、可能であれば変更されてよく、そして、追加的または代替的なステップが使用されてよい。この明細書において使用されているように、用語「または(”or”)」は、関連する列挙されたアイテムのうちいずれか1つおよび全ての組み合わせを含むものである。用語「いずれか(”any of”)」は、参照されるアイテムの「いずれか」を含む、参照されるアイテムの任意の可能な組み合わせを含むものと理解される。用語「いずれか」は、参照される請求項の「いずれか1つ」を含む、添付の特許請求の範囲に係る参照される請求項の任意の可能な組み合わせを含むものと理解される。
【0049】
一貫性および便宜性のために、方向的な形容詞が、説明される実施形態に対応しているこの詳細な説明の全体を通して使用されてよい。当業者であれば、「上(”above”)」、「下(”below”)」、「上方(”upward”)」、「下方(”downward”)」、「上面(”top”)」、「底面(”bottom”)」といった用語が、請求項によって定義されるように、本発明の範囲について限定を表すことなく、図面に関して説明的に使用され得ることを認識するだろう。
【0050】
用語「長手方向(”longitudinal”)」は、コンポーネントの長さを延長する方向を参照するものである。例えば、靴の長手方向は、靴のフォアフット領域とヒール領域との間に延びている。用語「前方(”forward”または”anterior”)」は、ヒール領域からフォアフット領域へ向かう一般的な方向を参照するために使用されており、そして、用語「後方(”rearward”または”posterior”)」は、対向する方向、すなわち、フォアフット領域からヒール領域へ向かう方向、を参照するために使用されている。いくつかの事例において、コンポーネントは、長手方向の軸、並びに、その軸に沿った前方および後方の長手方向を用いて特定され得る。縦方向または軸は、前後方向(anterior-posterior direction)または軸としても参照され得る。
【0051】
用語「横切る(”transverse”)」は、コンポーネントの幅を延長する方向を参照する。例えば、靴を横切る方向は、靴の外側(lateral side)と内側(medial side)との間に延在している。横切る方向または軸は、外側方向または軸、もしくは、内外(mediolateral)方向または軸としても参照され得る。
【0052】
用語「垂直(”vertical”)」は、横方向および長手方向の両方に対して概ね垂直な方向を参照する。例えば、ソールが地面に平坦に置かれた(planted)場合に、垂直方向は地面から上方へ延びてよい。これらの方向的な形容詞それぞれは、ソールの個々のコンポーネントに適用され得ることが理解されるだろう。用語「上方(”upward”または”upwards”)」は、コンポーネントの上面を指す垂直方向を参照し、これは、アッパーの甲(instep)、締結領域(fastening region)、及び/又は、スロート(throat)を含み得る。用語「下方(”downward”または”downwards”)」は、コンポーネントの底面に向かう、上方方向と対向する方向を指す垂直方向を参照し、そして、一般的に、履物製品のソール構造体の底面に向かい指し示し得るものである。
【0053】
靴といった、履物製品の「内部(”interior”)」は、靴が着用されたときに着用者の足によって占有される空間における部分を参照する。コンポーネントの「内側(”inner side”)」は、組み立てられた履物製品において履物コンポーネントまたは履物製品の内部に向かって方向付けされている(または、されるであろう)コンポーネントの側面または表面を参照する。コンポーネントの「外側(”outer side”)」または「外部(”exterior”)」は、組み立てられた靴において靴の内部から離れて方向付けされている(または、されるであろう)コンポーネントの側面または表面を参照する。いくつかの事例においては、他のコンポーネントが、コンポーネントの内側と、組み立てられた履物製品の内部との間に存在してよい。同様に、他のコンポーネントが、コンポーネントの外側と、組み立てられた履物製品の外部の空間との間に存在してよい。さらに、用語「内方(”inward”および”inwardly”)」は、靴といった、履物コンポーネントまたは履物製品の内部へ向かう方向を参照し、そして、用語「外方(”outward”および”outwardly”)」は、靴といった、履物コンポーネントまたは履物製品の外部へ向かう方向を指す。加えて、用語「近位(”proximal”)」は、履物コンポーネントの中心により近い方向、または、使用者によって着用されると、履物製品の中に足が挿入されるときに、足に向かってより近い方向を参照する。同様に、用語「遠位(”distal”)」は、履物コンポーネントの中心からさらに離れているか、または、使用者によって着用されると、履物製品の中に足が挿入されるときに、さらに足から遠い相対的な位置を参照する。従って、用語「近位」および「遠位」は、相対的な空間的位置を記述するために、一般的に対向する用語を提供するものと理解され得る。
【0054】
種々の実施形態が説明されてきたが、本説明は、限定するものではなく、むしろ例示的なものであることが意図されており、そして、当業者にとっては、実施形態の範囲内にあるより多くの実施形態および実施例が可能であることが明らかであろう。任意の実施形態の任意の特徴は、特に制限されない限り、あらゆる他の実施形態における任意の他の特徴またはエレメントについて、組み合わされて、または、代わりに使用することができる。従って、実施形態は、添付の請求項およびそれらの均等物を考慮する場合を除いて、限定されるものではない。また、添付の特許請求の範囲内で、種々の修正および変更が成され得る。
【0055】
本教示の多くの態様を実行するためのいくつかのモードが詳細に説明されてきたが、これらの教示が関係する従来技術に精通している者は、添付の特許請求の範囲内にある本発明の教示を実施するための様々な代替的な態様を認識するであろう。上記の説明に含まれ、または、添付の図面において示される全ての事項は、当業者が、含まれる内容に基づいて暗示されている、構造的及び/又は機能的に等価であるか、または、その他の点で自明であると認識するであろう代替の実施形態の全範囲の説明的かつ例示的なものとして解釈されるべきであり、明示的に描かれた実施形態及び/又は記載された実施形態のみに限定されるものではない。