(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
上記リッドは、このリッドの芯部を構成するベース部と、上記ベース部を被覆し且つ上記本体側対向部よりも軟質な材料からなる被覆部と、を有し、上記被覆部が上記ベース部よりも上記本体側対向部に近い位置まで延出することによって上記第1対向部が構成されている、請求項1に記載の車両用コンソールリッド構造。
上記リッドは、上記閉鎖位置と上記開放位置との間で回動するときの上記コンソール本体の上記本体側対向部との間の隙間が、上記閉鎖位置にあるときに上記本体側対向部と上記第2対向部との間に形成される上記規制隙間を下回らないように構成されている、請求項1または2に記載の車両用コンソールリッド構造。
上記操作部は、上記リッドが上記閉鎖位置と上記開放位置との間で回動するとき、上記第2対向部が通る軌跡を越えて上記本体側対向部に近づかない領域に配置されている、請求項3に記載の車両用コンソールリッド構造。
上記リッドは、上記第1対向部及び上記第2対向部が互いに隣接した位置に設けられ且つ上記第2対向部が上記第1対向部よりも上記コンソール本体の上記本体側対向部に近い位置まで突出するように構成されている、請求項1〜4のいずれか一項に記載の車両用コンソールリッド構造。
上記リッドの左右方向の両端面の一方である左側端面に設けられた上記操作部としての第1操作部と、上記両端面の他方である右側端面に設けられた上記操作部としての第2操作部と、上記第1操作部と上記第2操作部を連結する連結部と、上記第1操作部及び上記第2操作部がともに当該操作部の初期位置に保持されるように上記連結部を弾性付勢する付勢部と、上記リッドを上記コンソール本体に右開き方向に回動可能に連結する第1ヒンジ部と、上記リッドを上記コンソール本体に左開き方向に回動可能に連結する第2ヒンジ部と、を備え、
上記第1操作部及び上記第2操作部はいずれも、上記初期位置を挟んだ左右方向の両側の突入位置と突出位置との間で上記付勢部の弾性付勢力に抗してスライド可能であり、上記第1操作部及び上記第2操作部の一方が当該操作部の上記初期位置から上記突入位置にスライドすることによって上記第1操作部及び上記第2操作部の他方が当該操作部の上記初期位置から上記突出位置にスライドするように構成されており、
上記リッドは、上記第1操作部が当該操作部の上記初期位置から上記突入位置にスライドしたときに上記第1ヒンジ部を中心に上記閉鎖位置と上記開放位置との間で回動可能になる一方で、上記第2操作部が当該操作部の上記初期位置から上記突入位置にスライドしたときに上記第2ヒンジ部を中心に上記閉鎖位置と上記開放位置との間で回動可能になるように構成されている、請求項1〜5のいずれか一項に記載の車両用コンソールリッド構造。
【発明を実施するための形態】
【0010】
上述の態様の好ましい実施形態について以下に説明する。
【0011】
上記の車両用コンソールリッド構造において、上記リッドは、このリッドの芯部を構成するベース部と、上記ベース部を被覆し且つ上記本体側対向部よりも軟質な材料からなる被覆部と、を有し、上記被覆部が上記ベース部よりも上記本体側対向部に近い位置まで延出することによって上記リッド側対向部が構成されているのが好ましい。
【0012】
このコンソールリッド構造によれば、リッドの被覆部の一部をベース部よりも本体側対向部に近い位置まで延出させることによって、本体側対向部よりも軟質なリッド側対向部を構成することできる。このため、リッド側対向部のために新たな部材を追加する必要がない。
【0013】
上記の車両用コンソールリッド構造において、上記リッドは、上記コンソール本体の上記収容空間の開閉のために乗員によって操作される操作部と、上記リッド側対向部を第1対向部としたとき上記リッドが上記閉鎖位置にあるときに上記第1対向部とは別の位置で上記コンソール本体の上記本体側対向部に対向する第2対向部と、を有し、上記第2対向部は、上記リッドが上記閉鎖位置にあるときに上記本体側対向部との間に乗員の手指の挿入を規制する規制隙間を形成するように構成されているのが好ましい。
【0014】
このコンソールリッド構造によれば、コンソール本体の本体側対向部と第2対向部との間に規制隙間が設けられているため、操作部を操作する乗員の手指が本体側対向部と第2対向部との間に入り込むのを防ぐことができる。
【0015】
上記の車両用コンソールリッド構造において、上記リッドは、上記閉鎖位置と上記開放位置との間で回動するときの上記コンソール本体の上記本体側対向部との間の隙間が、上記閉鎖位置にあるときに上記本体側対向部と上記第2対向部との間に形成される上記規制隙間を下回らないように構成されているのが好ましい。
【0016】
このコンソールリッド構造によれば、リッドの第2対向部によって規制隙間を形成する一方で、リッドが閉鎖位置と開放位置との間で回動するときにコンソール本体の本体側対向部に干渉するのを防ぐことができる。このため、リッドを円滑に回動させることができる。
【0017】
上記の車両用コンソールリッド構造において、上記操作部は、上記リッドが上記閉鎖位置と上記開放位置との間で回動するとき、上記第2対向部が通る軌跡を越えて上記本体側対向部に近づかない領域に配置されているのが好ましい。
【0018】
このコンソールリッド構造によれば、リッドが閉鎖位置と開放位置との間で回動するときに、リッドの操作部は第2対向部が通る軌跡を越えて本体側対向部に近づかない。このため、リッドと本体側対向部との間の隙間を所定間隔以上に維持できる。
【0019】
上記の車両用コンソールリッド構造において、上記リッドは、上記第1対向部及び上記第2対向部が互いに隣接した位置に設けられ且つ上記第2対向部が上記第1対向部よりも上記コンソール本体の上記本体側対向部に近い位置まで突出するように構成されているのが好ましい。
【0020】
このコンソールリッド構造によれば、第1対向部と第2対向部について複雑な配置が形状を用いる必要がないため、第1対向部及び第2対向部の両方を有するリッドの構造を簡素化することができる。
【0021】
上記の車両用コンソールリッド構造において、上記リッドの左右方向の両端面の一方である左側端面に設けられた上記操作部としての第1操作部と、上記両端面の他方である右側端面に設けられた上記操作部としての第2操作部と、上記第1操作部と上記第2操作部を連結する連結部と、上記第1操作部及び上記第2操作部がともに当該操作部の初期位置に保持されるように上記連結部を弾性付勢する付勢部と、上記リッドを上記コンソール本体に右開き方向に回動可能に連結する第1ヒンジ部と、上記リッドを上記コンソール本体に左開き方向に回動可能に連結する第2ヒンジ部と、を備え、
上記第1操作部及び上記第2操作部はいずれも、上記初期位置を挟んだ左右方向の両側の突入位置と突出位置との間で上記付勢部の弾性付勢力に抗してスライド可能であり、上記第1操作部及び上記第2操作部の一方が当該操作部の上記初期位置から上記突入位置にスライドすることによって上記第1操作部及び上記第2操作部の他方が当該操作部の上記初期位置から上記突出位置にスライドするように構成されており、
上記リッドは、上記第1操作部が当該操作部の上記初期位置から上記突入位置にスライドしたときに上記第1ヒンジ部を中心に上記閉鎖位置と上記開放位置との間で回動可能になる一方で、上記第2操作部が当該操作部の上記初期位置から上記突入位置にスライドしたときに上記第2ヒンジ部を中心に上記閉鎖位置と上記開放位置との間で回動可能になるように構成されているのが好ましい。
【0022】
このコンソールリッド構造によれば、第1操作部が初期位置から突入位置に設定された状態でリッドが第1ヒンジ部を中心に閉鎖位置から開放位置へ右開き方向へ回動するとき、初期位置から突出位置に設定された第2操作部が他の部材に干渉した場合には、この第2操作部を付勢部の弾性付勢力を利用して突出位置から押し戻すことができる。
同様に、第2操作部が初期位置から突入位置に設定された状態でリッドが第2ヒンジ部を中心に閉鎖位置から開放位置へ左開き方向へ回動するとき、初期位置から突出位置に設定された第1操作部が他の部材に干渉した場合には、この第1操作部を付勢部の弾性付勢力を利用して突出位置から押し戻すことができる。
このため、リッドが閉鎖位置から開放位置へと回動する開動作が、第1操作部又は第2操作部と他の部材との干渉によって邪魔されるのを防ぐことができる。
【0023】
以下、車両に装着される車両用コンソールリッド構造の実施形態について、図面を参照しつつ説明する。
【0024】
なお、この実施形態の説明のための図面において、特にことわらない限り、車両前方を矢印Xで示し、車両右方を矢印Yで示し、車両上方を矢印Zで示すものとする。
また、車両左右方向(以下、単に「左右方向」という。)を矢印D1で示し、車両前後方向(以下、単に「前後方向」という。)を矢印D2で示し、車両上下方向(以下、単に「上下方向」という。)を矢印D3で示すものとする。
【0025】
(実施形態1)
図1に示されるように、実施形態1の車両用コンソールリッド構造(以下、単に「リッド構造」という。)1は、車両の運転席と助手席との間に設けられるものである。このリッド構造1は、コンソール本体10と、リッドアセンブリ20と、を備えている。
【0026】
コンソール本体10は、上面が開口した収容空間11aを有するボックス部材11と、このボックス部材11の車両前方側に取付けられたコンソールアッパーパネル12と、を備えている。
【0027】
コンソールアッパーパネル12には、典型的には、シフトレバーのレバー軸が挿通されるレバー開口や、シフトレバーのシフト位置を表示するインジケータなどが設けられる。ボックス部材11及びコンソールアッパーパネル12はいずれも、樹脂材料からなる樹脂成形体として構成されている。
【0028】
図2に示されるように、リッドアセンブリ20は、コンソール本体10の収容空間11aを開閉可能に構成されている。このリッドアセンブリ20は、蓋部としてのリッド21と、取付部20aと、ヒンジ部30と、を備えている。このリッドアセンブリ20は、リッド21と取付部20aとヒンジ部30が一体状に組付けられるように構成されている。
【0029】
このリッドアセンブリ20は、コンソール本体10とは別体として準備される。このリッドアセンブリ20の各要素は、樹脂材料からなる樹脂成形部品によって構成されている。このリッドアセンブリ20を、「ドアアッシー」或いは「ドアモジュール」ということもできる。
【0030】
リッドアセンブリ20のリッド21は、コンソール本体10の収容空間10aを覆うための部位である。このリッド21は、コンソール本体10のボックス部材11に収容空間11aを閉鎖する閉鎖位置(
図3中の閉鎖位置P1を参照)とこの収容空間11aを開放する開放位置(
図3中の開放位置P2を参照)との間で回動可能に取付けられている。
【0031】
リッドアセンブリ20の取付部20aは、コンソール本体10に着脱可能に取付けられる部位である。リッドアセンブリ20は、この取付部20aの取付けによってコンソール本体10に組付けられる。この取付部20aは、リッドアセンブリ20の前後の二箇所に設けられている。特に図示しないものの、この取付部20aには、複数の係止爪が設けられている。
【0032】
前側の取付部20aは、コンソール本体10の取付ベース14に取付けられ、後側の取付部20aは、コンソール本体10の取付ベース15に取付けられる。これら2つの取付ベース14,15はいずれも、上下方向D3を板厚方向とした板状部分であり、コンソール本体10の右壁と左壁を連結するように左右方向D1に延在している。2つの取付ベース14,15は、コンソール本体10のうち収容空間11aを挟んだ前後に設けられており、いずれにも取付部20aの複数の係止爪が嵌合可能な係止開口部(図示省略)が設けられている。このため、前側の取付部20aの複数の係止爪が取付ベース14の係止開口部に嵌合し、且つ後側の取付部20aの複数の係止爪が取付ベース15の係止開口部に嵌合することによって、リッドアセンブリ20がコンソール本体10に組付けられる。
【0033】
ヒンジ部30は、2つの取付部20aに対してリッド21を回動可能に支持する部位であり、前後方向D2に延在するヒンジ軸によって構成されている。ヒンジ部30としての右側の2つの第1ヒンジ部30Aは、リッド21をコンソール本体10に右開き方向に回動可能に連結する。このため、第1ヒンジ部30Aは、リッド21の左右方向D1の両端面の一方である左側端面21fに設けられた第1操作部21aが手動操作されたときにリッド21が右開きするときの回動中心となる。
【0034】
これに対して、ヒンジ部30としての左側の2つの第2ヒンジ部30Bは、コンソール本体10の収容空間10aを挟んで2つの第1ヒンジ部30Aと対向する左側の位置にこれら2つの第1ヒンジ部30Aに平行に延在している。これら2つの第2ヒンジ部30Bは、リッド21をコンソール本体10に左開き方向に回動可能に連結する。このため、第2ヒンジ部30Bは、リッド21の左右方向D1の両端面の他方である右側端面21gに設けられた第2操作部21bが手動操作されたときにリッド21が左開きするときの回動中心となる。
【0035】
リッドアセンブリ20は、コンソール本体10の収容空間11aの開閉のためにいずれも乗員によって操作される2つの操作部21a,21bと、2つのヒンジ部30A,30Bと、に加えて、第1操作部21aと第2操作部21bを連結する連結部21cと、第1操作部21a及び第2操作部21bがともに当該操作部の初期位置(
図6中の初期位置Q1,R1を参照)に保持されるように連結部21cを弾性付勢する付勢部21dと、を備えている。また、左右の操作部21a,21bのいずれか一方を操作することによって、切り替え部材36が前後方向D2のいずれか一方向に動くようになっている。
【0036】
前側のヒンジベース31の左側上部には、軸穴32aを有するブラケット部32が設けられている。このブラケット部32は、リンク体33を介してリッド21の前側領域に連結されている。リンク体33は、一端側に軸穴33aを有し且つ他端側に軸穴33bを有する。リンク体33は、軸穴33aに挿入される第1ヒンジ軸としての第1ヒンジ部30Aによってリッド21に回動可能に連結されている。このリンク体33は、軸穴33bに挿入される第2ヒンジ軸としての第2ヒンジ部30Bによってブラケット部32に回動可能に連結されている。また、このリンク体33は、ブラケット部32を収容可能な収容空間33cを備えている。更に、このリンク体33は、前側のヒンジベース31にラッチ係合可能に構成されている。
【0037】
後側のヒンジベース31の右側上部には、軸穴34aを有するブラケット部34が設けられている。このブラケット部34は、リンク体35を介してリッド21の後側領域に連結されている。リンク体35は、一端側に軸穴35aを有し且つ他端側に軸穴35bを有する。リンク体35は、軸穴35aに挿入される第1ヒンジ軸としての第1ヒンジ部30Aによってブラケット部34に回動可能に連結されている。このリンク体35は、軸穴35bに挿入される第2ヒンジ軸としての第2ヒンジ部30Bによってリッド21に回動可能に連結されている。また、このリンク体35は、ブラケット部34を収容可能な収容空間35cを備えている。更に、このリンク体35は、後側のヒンジベース31にラッチ係合可能に構成されている。
【0038】
操作部21aが操作されたとき、切り替え部材36が前後方向D2の一方に動くことによって、リンク体33が前側のヒンジベース31にラッチ係合し、且つリンク体35と後側のヒンジベース31とのラッチ係合が解除される。このため、リンク体33は、前側のヒンジベース31に対しては水平状態のまま一体化され、且つリッド21に対しては第1ヒンジ部30Aを中心に回動可能な状態になる。これに対して、リンク体35は、リッド21に対しては格納空間21eに格納された状態で一体化され(二点鎖線を参照)、且つ後側のヒンジベース31に対しては第1ヒンジ部30Aを中心に回動可能な状態になる。このため、
図3に示されるように、リッド21は、前後の2つの第1ヒンジ部30Aを中心に右開きが可能になる。
【0039】
操作部21bが操作されたとき、切り替え部材36が操作部21aのときとは逆方向に動くことによって、リンク体33と前側のヒンジベース31とのラッチ係合が解除され、且つリンク体35が後側のヒンジベース31にラッチ係合する。このため、リンク体33は、前側のヒンジベース31に対しては第2ヒンジ部30Bを中心に回動可能な状態になり、且つリッド21に対しては格納空間21eに格納された状態で一体化される(二点鎖線を参照)。これに対して、リンク体35は、リッド21に対しては第2ヒンジ部30Bを中心に回動可能な状態になり、且つ後側のヒンジベース31に対しては水平状態のまま一体化された状態になる。このため、特に図示しないものの、リッド21は、前後の2つの第2ヒンジ部30Bを中心に左開きが可能になる。
【0040】
このように、本実施形態のリッドアセンブリ20は、2つの操作部21a,21bのいずれか一方を選択的に操作して、2つの第1ヒンジ部30Aと2つの第2ヒンジ部30Bのいずれか一方を選択的に使用することによってリッド21の両開きが可能な両開き式リッドアセンブリとして構成されている。
【0041】
なお、上記の両開き構造の更なる詳細な説明については、例えば特開2007−245838号公報に開示の両開きリッド構造が参照される。
【0042】
図4に示されるように、リッド21は、リッド側対向部としての第1対向部28と、この第1対向部28よりも後方に設けられた第2対向部29と、を有する。
【0043】
第1対向部28は、リッド21が閉鎖位置P1にあるときに上下方向D3についてコンソール本体10の本体側対向部13に対向し且つリッド21が閉鎖位置P1に向かう閉動作時に本体側対向部13に近づいてこの本体側対向部13との間に乗員の手指が入り込むのを許容する許容隙間Aを形成する機能を果たす。そして、第1対向部28が本体側対向部13よりも軟質な材料(「柔らかい材料」若しくは「柔軟な材料」ともいう。)によって構成されている。ここで、本体側対向部13は、コンソールアッパーパネル12の後端部によって構成されている。
【0044】
ここで、第1対向部28と本体側対向部13との間に形成される許容隙間Aは、複数の乗員の指の太さについての統計データに基づいて、指を挟まれたときの圧迫感を緩和できる(挟み込み荷重を低く抑えることができる)大きさに寸法設定されるのが好ましい。
【0045】
第2対向部29は、リッド21が閉鎖位置P1にあるときに第1対向部28とは別の位置で上下方向D3についてコンソール本体10の本体側対向部13に対向するように構成されている。この第2対向部29は、第1操作部21aに隣接した位置に、具体的には第1操作部21aよりも下方に設けられている。この第2対向部29は、リッド21が閉鎖位置P1にあるときに本体側対向部13との間に乗員の手指の挿入を規制する規制隙間Bを形成する機能を果たす。
【0046】
ここで、第2対向部29と本体側対向部13との間に形成される規制隙間Bは、複数の乗員の指の太さについての統計データに基づいて、手指を挿入しにくい若しくは手指を挿入できない大きさに寸法設定されるのが好ましい。
【0047】
本実施形態では、リッド21は、第1対向部28及び第2対向部29が前後方向D2について互いに隣接した位置に設けられ且つ第2対向部29が第1対向部28よりもコンソール本体10の本体側対向部13に近い位置まで突出するように構成されている。
【0048】
本構成によれば、第1対向部28と第2対向部29について複雑な配置が形状を用いる必要がないため、第1対向部28及び第2対向部29の両方を有するリッド21の構造を簡素化することができる。
【0049】
図5に示されるように、リッド21は、このリッド21の芯部を構成するベース部22と、ベース部22を被覆する被覆部25と、を有する。
【0050】
ベース部22は、いずれも硬質の樹脂材料からなるインナ部材23及びアウタ部材24によって構成されている。このベース部22において、アウタ部材24がインナ部材23よりも外側に配置されている。
【0051】
被覆部25は、アウタ部材24に接合されたウレタン層26と、リッド21の意匠面を形成する表皮27と、によって構成されている。ウレタン層26は、本体側対向部13よりも軟質で柔軟性があり、且つクッション性及び衝撃吸収性の双方に優れたウレタン素材からなる。表皮27は、ウレタン層26よりも薄肉で且つ本体側対向部13よりも軟質な樹脂材料からなる。従って、被覆部25は、その全体が本体側対向部13よりも軟質な材料からなる。
【0052】
被覆部25の下端部25aは、上下方向D3についてベース部22よりも本体側対向部13に近い位置まで下向きに延出するように構成されている。即ち、被覆部25の一部である下端部25aは、ベース部22のインナ部材23及びアウタ部材24のそれぞれの下端部よりも低所に配置されている。そして、被覆部25の下端部25aによって前記の第1対向部28が構成されている。
【0053】
本構成によれば、リッド21の被覆部25の一部である下端部25aをベース部22よりも本体側対向部13に近い位置まで延出させることによって、本体側対向部13よりも軟質な第1対向部28を構成するができる。このため、第1対向部28のために新たな部材を追加する必要がない。
【0054】
図6に示されるように、第1操作部21aは、初期位置Q1を挟んだ左右方向の両側の突入位置Q2と突出位置Q3との間で付勢部21dの弾性付勢力に抗してスライド可能に構成されている。同様に、第2操作部21bは、初期位置R1を挟んだ左右方向の両側の突入位置R2と突出位置R3との間で付勢部21dの弾性付勢力に抗してスライド可能に構成されている。
【0055】
第1操作部21a及び第2操作部21bの一方が当該操作部の初期位置から突入位置にスライドすることによって第1操作部21a及び第2操作部21bの他方が当該操作部の初期位置から突出位置にスライドするように構成されている。
【0056】
即ち、第1操作部21aが初期位置Q1から突入位置Q2にスライドすることによって第2操作部21bが初期位置R1から突出位置R3にスライドする。また、第2操作部21bが初期位置R1から突入位置R2にスライドすることによって第1操作部21aが初期位置Q1から突出位置Q3にスライドする。
【0057】
リッド21は、第1操作部21aが初期位置Q1から突入位置Q2にスライドしたときに第1ヒンジ部30Aを中心に閉鎖位置P1と開放位置P2との間で回動可能になる。同様に、リッド21は、第2操作部21bが初期位置R1から突入位置R2にスライドしたときに第2ヒンジ部30Bを中心に閉鎖位置P1と開放位置P2との間で回動可能になる。
【0058】
ここで、ベース部22を構成するインナ部材23の下端部23aによって前記の第2対向部29が構成されている。また、リッド21は、閉鎖位置P1と開放位置P2との間で回動するときのコンソール本体10の本体側対向部13との間の隙間が、閉鎖位置P1にあるときに本体側対向部13と第2対向部29との間に形成される規制隙間Bを下回らないように構成されている。本構成については
図7を参照することができる。
【0059】
図7に示されるように、例えば第2操作部21bが初期位置R1から突入位置R2にスライドするように操作されて、リッド21が第2ヒンジ部30Bを中心に開放位置P2に向けて開動作するとき、第1操作部21aは、第2対向部29が通る軌跡Tを越えて本体側対向部13に近づかない領域Saに配置されており、この領域Saのみを動く。
【0060】
即ち、第1操作部21aは、最も突出した突出位置Q3からそれよりも第2ヒンジ部30B寄りの突入位置Q2までの領域のみを移動できる。このため、第1操作部21aが最も突出した突出位置Q3にあるときに回動することで形成される軌跡T1は、軌跡Tよりも第2ヒンジ部30B寄りに形成される。その結果、リッド21は、第2ヒンジ部30Bを中心に回動するときには、コンソール本体10の本体側対向部13との間に規制隙間Bとして形成された所定間隔Cを上回る隙間が維持される。
【0061】
従って、リッド21が閉鎖位置P1と開放位置P2との間で回動するときに、リッド21の第1操作部21aは第2対向部29が通る軌跡Tを越えて本体側対向部13に近づかない。このため、リッド21と本体側対向部13との間の隙間を所定間隔以上に維持できる。
【0062】
この場合、リッド21の第2対向部29によって規制隙間Bを形成する一方で、リッド21が閉鎖位置P1と開放位置P2との間で回動するときにコンソール本体10の本体側対向部13に干渉するのを防ぐことができる。このため、リッド21を円滑に回動させることができる。
【0063】
なお、特に図示しないものの、第1操作部21aが初期位置Q1から突入位置Q2にスライドするように操作されるときも同様である。リッド21が第1ヒンジ部30Aを中心に開放位置P2に向けて開動作するとき、第2操作部21bは、第2対向部29に相当する部位が通る軌跡を越えて本体側対向部13に近づかない領域Sbに配置されており、この領域Sbのみを動く。
【0064】
次に、実施形態1の作用効果について説明する。
【0065】
上記のリッド構造1において、リッド21が閉鎖位置P1に向かう閉動作時にコンソール本体10の本体側対向部13とリッド21の第1対向部28との間に乗員の手指が入り込むのを許容する許容隙間Aが形成される。そして、この許容隙間Aを形成する第1対向部28は、許容隙間Aにおける挟み込み物との接触によって本体側対向部13よりも優先的に凹むように軟質で柔らかい。即ち、挟み込み荷重を受けたときには軟質な方の第1対向部28が本体側対向部13よりも先に凹む。この挟み込み物には、乗員の手指をはじめ、手指以外の異物などが包含される。このため、リッド21が閉鎖位置P1に向かう閉動作時に本体側対向部13と第1対向部28との間の許容隙間Aに挟み込み物が入り込んだときでも軟質な材料が優先的に凹むためリッド21の開閉操作が阻害されにくい。
従って、リッド21の開閉操作性に優れたリッド構造1を提供することができる。
【0066】
上記のリッド構造1によれば、コンソール本体10の本体側対向部13と操作部21a,21bに隣接した位置に設けられた第2対向部29との間に規制隙間Bが設けられているため、操作部21a,21bを操作する乗員の手指が本体側対向部13と第2対向部29との間に入り込むのを防ぐことができる。
【0067】
上記のリッド構造1によれば、第1操作部21aが初期位置Q1から突入位置Q2に設定された状態でリッド21が第1ヒンジ部30Aを中心に閉鎖位置P1から開放位置P2へ右開き方向へ回動するとき、初期位置R1から突出位置R3に設定された第2操作部21bが他の部材に干渉した場合には、この第2操作部21bを付勢部21dの弾性付勢力を利用して突出位置R3から押し戻すことができる。
【0068】
同様に、第2操作部21bが初期位置R1から突入位置R2に設定された状態でリッド21が第2ヒンジ部30Bを中心に閉鎖位置P1から開放位置P2へ左開き方向へ回動するとき、初期位置Q1から突出位置Q3に設定された第1操作部21aが他の部材に干渉した場合には、この第1操作部21aを付勢部21dの弾性付勢力を利用して突出位置Q3から押し戻すことができる。
【0069】
このため、リッド21が閉鎖位置P1から開放位置P2へと回動する開動作が、第1操作部21a又は第2操作部21bと他の部材との干渉によって邪魔されるのを防ぐことができる。
【0070】
以下、上記の実施形態1に関連する他の実施形態について図面を参照しつつ説明する。他の実施形態において、実施形態1の要素と同一の符号を付しており、当該同一の要素についての説明は省略する。
【0071】
(実施形態2)
図8に示されるように、実施形態2のリッド構造101は、リッド21において第2対向部29が第1対向部28よりも突出しておらず、第1対向部28と第2対向部29が平坦面をなすように構成されている点で、実施形態1のリッド構造1と相違している。
その他の構成は、実施形態1と同様である。
【0072】
このリッド構造101では、コンソール本体10の本体側対向部13は、リッド21の第2対向部29に向けて上方へ突出した突出部13aを備えている。この場合、リッド21が閉鎖位置P1にあるときに、リッド21の第2対向部29と本体側対向部13の突出部13aとの間に乗員の手指の挿入を規制する規制隙間Bが形成される。
【0073】
実施形態2のリッド構造101によれば、リッド21の第1対向部28と第2対向部29との間に段差が形成されないため、リッド21の構造を簡素化することができる。
その他、実施形態1と同様の作用効果を奏する。
【0074】
(実施形態3)
図9に示されるように、実施形態3のリッド構造201は、リッド21が第2対向部29に相当する部位を備えていない点で、実施形態1のリッド構造1と相違している。
その他の構成は、実施形態1と同様である。
【0075】
このリッド構造201では、第1対向部28を構成する被覆部25の下端部25aが、コンソール本体10の本体側対向部13に対向しつつ、リッド21の前側から操作部21aよりも下方まで前後方向D2に延在している。このため、乗員の手指が入り込むのを許容する許容隙間Aが前後方向D2に沿った広範囲に形成される。
【0076】
実施形態3のリッド構造201によれば、乗員がリッド21の前側領域を把持しているときは勿論、乗員が操作部21aを操作しているときに、この乗員の手指が許容隙間Aに入り込んだときでも被覆部25の下端部25aが優先的に凹むため手指の圧迫感を緩和できる(挟み込み荷重を低く抑えることができる)。
その他、実施形態1と同様の作用効果を奏する。
【0077】
本発明は、上記の実施形態のみに限定されるものではなく、本発明の目的を逸脱しない限りにおいて種々の応用や変形が考えられる。例えば、上記の実施形態を応用した次の各形態を実施することもできる。
【0078】
上記の実施形態では、リッド側対向部28が本体側対向部13よりも軟質な材料によって構成される場合について例示したが、これに代えて、本体側対向部13がリッド側対向部28よりも軟質な材料によって構成される構造を採用してもよい。
【0079】
上記の実施形態では、リッド21の被覆部25の一部を利用して本体側対向部13よりも軟質な第1対向部28を構成する場合について例示したが、これに代えて、本体側対向部13よりも軟質な部材をベース部22に取付けた構造や、リッド側対向部28よりも軟質な部材を本体側対向部13に取付けた構造を採用することもできる。
【0080】
上記の実施形態では、コンソール本体10の本体側対向部13がコンソールアッパーパネル12の一部によって構成される場合について例示したが、これに代えて、本体側対向部13に相当する部位がコンソールアッパーパネル12の取付けられた別部材によって或いはボックス部材11の一部によって構成された構造を採用することもできる。
【0081】
上記の実施形態では、両開き式のリッドアセンブリ20において、リッド21に第1対向部28及び第2対向部29のうちの少なくとも第1対向部28を設ける構造について例示したが、本構造をリッド21が左右のいずれか一方や前後のいずれか一方に開くことが可能な片開き式のリッドアセンブリにも適用できることは勿論である。
【0082】
上記の実施形態では、リッドアセンブリ20にヒンジ部30A,30Bが組み込まれる場合について例示したが、これに代えて、ヒンジ部30A,30Bに相当する部位がコンソール本体10側に組み込まれた構造を採用することもできる。