特許第6851037号(P6851037)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社大地コーポレーションの特許一覧

<>
  • 特許6851037-枕 図000002
  • 特許6851037-枕 図000003
  • 特許6851037-枕 図000004
  • 特許6851037-枕 図000005
  • 特許6851037-枕 図000006
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6851037
(24)【登録日】2021年3月11日
(45)【発行日】2021年3月31日
(54)【発明の名称】枕
(51)【国際特許分類】
   A47G 9/10 20060101AFI20210322BHJP
【FI】
   A47G9/10 M
【請求項の数】3
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2017-82954(P2017-82954)
(22)【出願日】2017年4月19日
(65)【公開番号】特開2018-175634(P2018-175634A)
(43)【公開日】2018年11月15日
【審査請求日】2020年3月10日
(73)【特許権者】
【識別番号】513243251
【氏名又は名称】株式会社大地コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100078776
【弁理士】
【氏名又は名称】安形 雄三
(72)【発明者】
【氏名】内田 悠歩
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 歩
【審査官】 渡邉 洋
(56)【参考文献】
【文献】 登録実用新案第3147907(JP,U)
【文献】 登録実用新案第3052900(JP,U)
【文献】 特開平06−339496(JP,A)
【文献】 特開2014−105020(JP,A)
【文献】 登録実用新案第3176139(JP,U)
【文献】 登録実用新案第3121650(JP,U)
【文献】 特開平08−140886(JP,A)
【文献】 特開2008−201464(JP,A)
【文献】 登録実用新案第3137890(JP,U)
【文献】 米国特許出願公開第2014/0317852(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47G 9/00− 9/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
緩衝機能を有する本体部と、
前記本体部の底面と略同一の大きさの面を有するシートと、
前記本体部及び前記シートを覆うカバーと、を備え、
前記シートは、発泡ウレタンからなり、前記本体部の底面に当接するように設けられ、前記本体部と分離可能であり、
前記シートには、前記シートを分割可能なミシン目が、前記ミシン目で前記シートが分割される前の状態で形成されてい
枕。
【請求項2】
互いに当接する前記本体部及び前記シートの表面は、相対移動が抑制される構成とされている
請求項1に記載の枕。
【請求項3】
前記シートは、複数設けられ、
複数の前記シートは、互いに厚さが異なる
請求項1又は2に記載の枕。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高さ調整可能な枕に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、使用者の好みや体型に応じて、高さ調整可能な枕が知られている。例えば、特許文献1には、充填材が出し入れ可能な複数の隔室と、当該隔室全体の底面と略同一の大きさの面を有する高さ調整板と、を備える枕が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2016−106908号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上記のような枕においては、高さ調整板では、部分的な高さの調整ができない。また、各隔室の充填材を用いて高さ調整を行う場合には、ファスナーの開閉や、充填材の出し入れが必要になり、手間がかかる点について、改善の余地が残されていた。
【0005】
本発明はこうした実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、容易に部分的な高さ調整ができる枕を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決する枕は、緩衝機能を有する本体部と、前記本体部の底面と略同一の大きさの面を有するシートと、前記本体部及び前記シートを覆うカバーと、を備え、前記シートは、発泡ウレタンからなり、前記本体部の底面に当接するように設けられ、前記本体部と分離可能であり、前記シートには、前記シートを分割可能なミシン目が、前記ミシン目で前記シートが分割される前の状態で形成されている。
【0007】
上記構成によれば、シートを本体部の底面に当接するように設けることで、枕の高さを調整できる。このとき、ミシン目に沿ってシートを分割することで、枕の部分的な高さ調整ができる。したがって、容易に部分的な高さ調整ができる。
【0008】
また、上記枕において、互いに当接する前記本体部及び前記シートの表面は、相対移動が抑制される構成とされていることが好ましい。
【0009】
上記構成によれば、本体部及びシートの相対移動が抑制されるため、シートによって部分的に高さ調整された本体部の位置を保持できる。
【0010】
また、上記枕において、前記シートは、複数設けられ、複数の前記シートは、互いに厚さが異なることが好ましい。
【0011】
上記構成によれば、複数のシートを用いることで、枕の高さを調整できる。また、複数のシートの厚さが互いに異なるため、複数のシートの組み合わせによって、細かい厚さの調整ができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】(a)一実施形態に係る枕の上面図、(b)側面図。
図2】(a)上記枕におけるシートの上面図、(b)側面図。
図3】(a)上記枕における第1シートのみ使用する場合の側面図、(b)第2シートのみ使用する場合の側面図、(c)シートを使用しない場合の側面図。
図4】上記枕におけるシートの中央部が切り取られた状態の上面図。
図5】上記枕におけるシートの長手方向における中央が切り取られた状態の上面図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、高さ調整可能な枕の一実施形態について、図面を参照しつつ説明する。
【0014】
図1に示すように、枕1は、緩衝機能を有する本体部10と、枕1の高さを調整するシート20と、本体部10とシート20とを覆うカバー30と、を備える。
【0015】
図1に示すように、本体部10は、略直方体をなしている。本体部10は、図示しない内カバーで覆われている。本体部10の内カバーは、例えばポリエステルからなるニット生地で形成されている。
【0016】
図2に示すように、シート20は、略板状をなしている。シート20は、厚さ方向から見たときの両面の形状及び大きさが、本体部10を厚さ方向から見たときの片面(底面)の形状及び大きさと略同一となるように形成される。シート20は、発泡ウレタンからなる。シート20は、厚さの異なる第1シート201及び第2シート202を有する。第1シート201の厚さは、例えば0.5cmであり、第2シート202の厚さは、例えば1.0cmである。
【0017】
また、シート20には、シート20の厚さ方向にミシン目21が貫通形成される。シート20は、ミシン目21に沿って分割可能となっている。
【0018】
ミシン目21は、シート20の短手方向に沿って形成される第1ミシン目211及び第2ミシン目212と、シート20の長手方向に沿って形成される第3ミシン目213及び第4ミシン目214と、を有する。第1ミシン目211及び第2ミシン目212は、シート20の長手方向における両端から離間した位置に形成される。また、第1ミシン目211及び第2ミシン目212は、シート20の長手方向において、互いに離間した位置に形成される。そして、第1ミシン目211及び第2ミシン目212は、シート20の短手方向における一方の端部から他方の端部にかけて形成される。
【0019】
一方、第3ミシン目213及び第4ミシン目214は、シート20の短手方向における両端から離間した位置に形成される。また、第3ミシン目213及び第4ミシン目214は、シート20の短手方向において、互いに離間した位置に形成される。そして、第3ミシン目213及び第4ミシン目214は、第1ミシン目211から第2ミシン目212にかけて形成される。したがって、シート20は、ミシン目21によって、最大5つに分割可能となっている。
【0020】
なお、これらのミシン目21は、第1シート201及び第2シート202のそれぞれに形成されている。
【0021】
次に、シート20を用いて枕1の高さを調整するときの作用について説明する。
【0022】
図1に示すように、枕1は、本体部10及びシート20が、互いの厚さ方向において当接するように配置される。すなわち、シート20は、本体部10の底面に当接する。また、本体部10及びシート20がカバー30で覆われるように構成される。このとき、枕1は、シート20が床面に対向し、本体部10が使用者の頭部に対向するように設置される。
【0023】
なお、枕1は、使用者が仰向けに寝る場合には、枕1の長手方向における中央に使用者の後頭部が当接し、使用者が横向きに寝る場合には、枕1の長手方向における外側に使用者の側頭部が当接するように使用される。
【0024】
図1及び図3に示すように、第1シート201及び第2シート202をともに用いる場合には、枕1の高さが1.5cm上昇する。一方、第1シート201のみ用いる場合には、枕1の高さが0.5cm上昇し、第2シート202のみ用いる場合には、枕1の高さが1.0cm上昇する。したがって、シート20を用いない状態も含めて、第1シート201及び第2シート202によって、枕1の高さが4段階に調整される。こうして、枕1の高さがシート20によって調整される。
【0025】
また、ミシン目21に沿って分割されたシート20を、本体部10の厚さ方向に重ねることで、枕1の高さが部分的に調整される。
【0026】
例えば、図2に示すように、シート20における第1ミシン目211、第2ミシン目212、第3ミシン目213及び第4ミシン目214に囲まれた部分を中央部22としたときに、図4に示すように、中央部22が切り取られたシート20を用いることで、本体部10におけるシート20の中央部22に当接する部位が沈みやすくなる。こうして、使用者が仰向けに寝ている場合に、枕1における使用者の後頭部が当接する部位の高さが、他の部位より低くなるように調整される。
【0027】
また、ミシン目21に沿って中央部22のみ切り取ることで、シート20の中央部22以外の部位が連結されたままの状態にできる。その結果、シート20の形状が崩れにくくなるため、枕1におけるシート20によって高さが調整される部位が保持されやすい。
【0028】
さらに、図5に示すように、第1ミシン目211及び第2ミシン目212が分割されたシート20の長手方向における両端側のみ用いることで、枕1の長手方向における両端側はシート20によって高くなる一方で、中央が沈みやすくなる。したがって、使用者が仰向けに寝ている場合に、枕1における使用者の後頭部及び頸部が当接する部位の高さが、他の部位より低くなる。また、使用者が横向きに寝ている場合に、枕1における使用者の側頭部が当接する部位の高さが、他の部位より高くなるように調整される。
【0029】
また、シート20を分割して枕1の高さを部分的に調整する場合、第1シート201又は第2シート202の一方のみ分割する場合も含めて、4段階の部分的な高さ調整を行うことができる。
【0030】
なお、本体部10の内カバー及びシート20は、互いに相対移動しにくい素材からなる。すなわち、本体部10及びシート20の表面は、相対移動が抑制される構成となっているため、本体部10及びシート20の相対位置が保持される。
【0031】
上述した実施形態によれば、以下に示す効果を得ることができる。
【0032】
(1)シート20を本体部10の底面に当接するように設けることで、枕1の高さを調整できる。このとき、ミシン目21に沿ってシート20を分割することで、枕1の部分的な高さ調整ができる。したがって、容易に枕1の部分的な高さ調整ができる。
【0033】
(2)本体部10及びシート20の相対移動が抑制されるため、シート20によって部分的に高さ調整された本体部10の位置を保持できる。
【0034】
(3)複数のシート20を用いることで、枕1の高さ調整ができる。また、複数のシート20の厚さが互いに異なるため、複数のシート20の組み合わせによって、細かい厚さの調整ができる。
【0035】
以下に、上述した実施形態の別の実施形態を説明する。
【0036】
・シート20は1枚であってもよいし、3枚以上であってもよい。シート20が複数設けられる場合、複数のシート20は、互いに異なる厚さであってもよいし、全て同じ厚さであってもよい。また、複数のシート20は、厚さが同じシート20と異なるシート20が混在していてもよい。
【0037】
・本体部10の内カバー及びシート20は、相対移動が抑制される素材によって形成されなくてもよい。例えば、本体部10及びシート20の表面に凹凸が形成されており、当該凹凸によって、本体部10とシート20との相対移動が抑制される構成となっていてもよい。また、本体部10の内カバー及びシート20のうち一方に突出部が形成され、他方に突出部に対応する溝や孔が形成され、突出部が溝や孔に差し込まれることによって、本体部10とシート20との相対移動が抑制される構成となっていてもよい。
【0038】
・ミシン目21が形成される数及び位置は、上記実施形態に限らなくてよい。例えば、ミシン目21は、シート20の短手方向及び長手方向に1つのみ、又は3つ以上形成されていてもよい。また、ミシン目21は、シート20の長手方向における一端から他端にかけて形成されていてもよい。
【0039】
・本体部10が床面側に配置され、シート20が使用者の頭部側に配置されてもよい。
【0040】
・シート20における本体部10の底面と略同一の大きさ及び形状の面は、シート20の厚さ方向における片面のみでもよい。また、シート20は、厚さ方向から見たときの大きさのみ本体部10の底面と略同一であり、形状は異なっていてもよい。
【符号の説明】
【0041】
1:枕
10:本体部
20:シート
201:第1シート
202:第2シート
21:ミシン目
211:第1ミシン目
212:第2ミシン目
213:第3ミシン目
214:第4ミシン目
22:中央部
30:カバー
図1
図2
図3
図4
図5