【実施例1】
【0052】
本発明の鉄道信号設備監視支援プログラムの実施例1について、その具体的な構成を、図面を引用して説明する。
図1は、鉄道信号設備監視支援プログラム40の概要構成を示す機能ブロック図であり、鉄道用監視装置10などウェブサーバ20以外の構成は簡略化している。
【0053】
また、
図2は、関連情報リスト53のデータ構造とデータ例を示し、(a)がリスト全体のデータ構造、(b)が軌道回路の記号図とその関連情報に係る部分のデータ例、(c)が転てつ機および軌道回路の記号図とその転てつ機を対象にした関連情報に係る部分のデータ例、(d)が,信号機および内方軌道回路の記号図と,その信号機を対象にした関連情報に係る部分のデータ例と,その内方軌道回路を対象にした関連情報に係る部分のデータ例である。
【0054】
さらに、
図3は、代用返送プログラム45や要求集約プログラム43の構成例を示すフローチャートであり、
図4は、情報蓄積プログラム46や関連返送プログラム49更には同報返送プログラム44の構成例を示すフローチャートであり、
図5は、蓄積更新プログラム47の構成例を示すフローチャートであり、
図6は、関連要求プログラム48の構成例を示すフローチャートである。
【0055】
鉄道信号設備監視支援プログラム40は(
図1参照)、既述した鉄道信号設備監視支援プログラム30を改造して機能を強化したものであり、やはり既述した鉄道用監視装置(10+20)のウェブサーバ20にインストールして使用されるようになっている。
鉄道信号設備監視支援プログラム40が既述の鉄道信号設備監視支援プログラム30と相違するのは、既述した情報要求代行プログラム31が新たな情報要求代行プログラム41になった点と、既述した二次応答処理プログラム33が新たな二次応答処理プログラム42になった点と、新たなプログラム47,48が追加された点と、新たなデータ51〜54がデータ保持メモリ34にデータ保持されるようになった点である。
【0056】
すなわち(
図1参照)、鉄道信号設備監視支援プログラム40は、そのまま引き継がれた一次応答処理プログラム32と、既述の情報要求代行プログラム31に新たな要求集約プログラム43と代用返送プログラム45とが付加された情報要求代行プログラム41と、既述の二次応答処理プログラム33に新たな同報返送プログラム44と情報蓄積プログラム46と関連返送プログラム49とが付加された二次応答処理プログラム42と、新たな蓄積更新プログラム47と、新たな関連要求プログラム48とを備えている。
また、データ保持メモリ34には、新たな情報要求リスト51と蓄積情報リスト52と関連情報リスト53とがデータ保持されるようになっている。しかも、その関連情報リスト53のうちの一部が群状関連情報54に該当するものとなっている。
【0057】
既述したように、情報要求代行プログラム31は(情報要求代行手段)、携帯端末21(業務端末)から汎用通信回線を介して多数の検出器19,…,19のうち何れかの検出器19を対象にした情報要求が届くとそれを拠点端末14に引き渡すことで専用通信回線利用の順次ポーリング式通信での情報収集に向けて転送する処理を担い、一次応答処理プログラム32は(一次応答処理手段)、その転送に対する伝送集約装置13からの一次応答を待って二次応答の有無を判別する処理を担い、二次応答処理プログラム33は(二次応答処理手段)、その二次応答を待ってそれに含まれている設備状態情報を上記の汎用通信回線経由で要求元の携帯端末21へ返送する処理を担うようになっている。
【0058】
情報要求リスト51は、詳細な図示を割愛したが、多数のレコード(記録単位,登録単位)を連ねうるデータ群であり、リスト内の各レコードに、要求対象の検出器19の特定情報や要求受取時刻のタイムスタンプといった情報要求の内容と、その情報要求を出した携帯端末21を特定する要求元特定情報とを組データにして保持するようになっている。
蓄積情報リスト52は、これも詳細な図示を割愛したが、やはり多数のレコード(記録単位,登録単位)を連ねうるデータ群であり、リスト内の各レコードに、一つの検出器19について既に収集した設備状態情報と、収集時刻データとを組にして保持するようになっている。これらの情報要求リスト51と蓄積情報リスト52は、鉄道信号設備監視支援プログラム40の実行によって随時更新されるものである。
【0059】
関連情報リスト53は(
図2参照)、やはり多数のレコード(記録単位,登録単位)を連ねうるデータ群であり、リスト内の各レコード53b,53c,53d,54c,54dに(
図2(a)参照)、携帯端末21から届いた情報要求の対象になった或いは対象になりうる対象検出器を多数の検出器19,…,19のうちから一つ特定する情報である対象検出器Idと、その対象検出器について関連検出器として予め関連付けられている他の検出器を多数の検出器19,…,19のうちから一つ特定する関連検出器Idを関連付けの個数だけ並べたデータとを、組にして保持している。この関連付けは、対象検出器に係る鉄道信号設備を調べた後に関連検出器に係る鉄道信号設備も調べる頻度が高いといった関連性が両検出器の間に存在する場合や存在が予想される場合になされ、関連情報リスト53は、鉄道信号設備監視支援プログラム40の実行前か初期に設定されて、鉄道信号設備監視支援プログラム40の定常的な実行時には専ら参照されることになる。
【0060】
関連情報リスト53に含められるレコードの典型例を挙げると、軌道回路については、対象検出器が当該軌道回路に係るものであるときにはそれに隣接する軌道回路が関連検出器に係るものとされ、分岐路に係るレコード53bの場合(
図2(b)参照)、対象検出器Idの欄には当該軌道回路に係る検出器19のId(識別情報)が設定され、分岐先が三つであるのに対応して三つの関連検出器Idの欄には隣接軌道回路1,2,3それぞれに係る検出器19,19,19のIdが設定される。このレコード53bは、対象検出器から関連検出器への一方向的な関係を規定したものとなっている。
【0061】
また、転てつ機については、対象検出器が転てつ機に係るものであるときにはその転てつ機の属する軌道回路が関連検出器に係るものとされ、そのレコード53cの場合(
図2(c)参照)、対象検出器Idの欄には当該転てつ機に係る検出器のIdが設定され、通常は一つだけ設けられる又は規定される関連検出器Idの欄には当該軌道回路に係る検出器19のIdが設定される。しかも、この例では、転てつ機に続けて軌道回路を調べる頻度だけでなく軌道回路に続けて転てつ機を調べる頻度も高いとの想定から、逆向きのレコード54cも設けられて、対象検出器Idの欄には当該軌道回路に係る検出器のIdが設定され、関連検出器Idの欄には当該転てつ機に係る検出器19のIdが設定される。
【0062】
さらに、信号機については、対象検出器が信号機に係るものであるときにはその信号機の内方の軌道回路が関連検出器に係るものとされ、そのレコード53dの場合(
図2(d)参照)、対象検出器Idの欄には当該信号機に係る検出器のIdが設定され、通常は一つだけ設けられる又は規定される関連検出器Idの欄には内方軌道回路に係る検出器19のIdが設定される。しかも、この例では、信号機に続けて内方軌道回路を調べる頻度だけでなく内方軌道回路に続けて信号機を調べる頻度も高いとの想定から、逆向きのレコード54dも設けられて、対象検出器Idの欄には内方軌道回路に係る検出器のIdが設定され、関連検出器Idの欄には当該信号機に係る検出器19のIdが設定される。
【0063】
このような転てつ機と信号機に係る関連情報については(
図2(c),(d)参照)、転てつ機や信号機に係る対象検出器から軌道回路に係る関連検出器への一方向的な関係を規定したレコード53c,53dに加え、軌道回路に係る対象検出器から転てつ機や信号機に係る関連検出器への対向的な関係を規定したレコード54c,54dも、関連情報リスト53に含まれており、関連情報リスト53のうち該当レコード群53c,53d,54c,54dの群状関連情報54については、部分対象検出器と関連検出器との関連付けについて互いを入れ替えても関連付けが維持される群状関連が成立している。すなわち、転てつ機に係るものとその転てつ機の属する軌道回路に係るものとに群状関連が成立するとともに、信号機に係るものとその信号機の内方の軌道回路に係るものとにも群状関連が成立している。なお、レコード54c,54dについては、図示を割愛した他の関連検出器Idのアイテム(項目)欄に隣接軌道回路に係るものが設定されるのが望ましい。
【0064】
要求集約プログラム43は(要求集約手段,
図3参照)、この例では、既述した情報要求代行プログラム31における情報要求の受付処理(ステップS12)と情報要求の転送処理(ステップS13)との間に挿入する態様で作成されている(ステップS431〜S433)。具体的には、携帯端末21から情報要求を受け付けた後(ステップS11,S12→ステップS431)、その情報要求の内容たとえば設備状態情報要求対象の検出器のId等と、その要求元の携帯端末21を特定するための特定情報などとを合わせて一レコード(記録単位,登録単位)を構成し、そのレコードを情報要求リスト51に加えることでデータ保持メモリ34に保持するようになっている(ステップS431)。
【0065】
それから、要求集約プログラム43は(
図3参照)、情報要求リスト51を検索して、直前に情報要求リスト51へ付加したレコード以外で、それと同じ検出器を対象とした情報要求のレコードが存在しているか否かを調べる(ステップS432)。これにより、多数の検出器19,…,19のうち直前の情報要求が対象にしている検出器と同じ検出器を対象とする先行情報要求が情報要求リスト51に含まれているか否かが分かるので、含まれていないときには(ステップS432無)、情報要求代行プログラム31の転送処理へ移行するようになっている(ステップS13)。
【0066】
さらに、要求集約プログラム43は(
図3参照)、同じ検出器を対象とする先行情報要求が情報要求リスト51に含まれているときには(ステップS432有)、携帯端末21へ「要求受付」を返送することは行うが(ステップS433)、情報要求代行プログラム31の転送処理(ステップS13)を飛ばして実行させないことで(ステップS433の下向き矢線を参照)、後行の重複する情報要求を情報要求代行プログラム41の転送対象から除外するようになっている。このように、要求集約プログラム43は情報要求代行プログラム31の一部を改変する態様で情報要求代行プログラム41に組み込まれている。
【0067】
同報返送プログラム44は(同報返送手段,
図4参照)、二次応答処理プログラム33の一部を改変する態様で二次応答処理プログラム42に組み込まれている(ステップS441)。具体的には、伝送集約装置13から拠点端末14を介して二次応答が返送されて来て(ステップS31)、それが情報要求リスト51の検索にて先の情報要求の何れかに対応したものであれば(ステップS32,S33Yes)、それに含まれている設備状態情報を要求元の携帯端末21へ返送するが(ステップS34)、その一回の返送で直ちに二次応答処理プログラム42の処理を終えるのでなく、同じ検出器19に係る他の情報要求が情報要求リスト51に存在していれば(ステップS441Yes)、他の情報要求の要求元へも設備状態情報を返送し(ステップS34)、同じ検出器19に係る情報要求に総て返送してから二次応答処理プログラム42の処理を終えるようになっている(ステップS441No)。
【0068】
代用返送プログラム45は(代用返送手段,
図3参照)、情報要求代行プログラム31の一部を改変する態様で情報要求代行プログラム41に組み込まれている(ステップS451〜S454)。具体的には、携帯端末21から情報要求を受け付けた後(ステップS11,S12→ステップS451)、その情報要求の対象の検出器19と同じ検出器19から収集・取得された二次応答のデータが蓄積情報リスト52に既に保存されているか否かを蓄積情報リスト52の検索にて調べ(ステップS451)、経過時間が短くて有効な応答データが蓄積情報リスト52に存在しているときには(ステップS451有,S452Yes)、要求元の携帯端末21に対して、「要求受付」を返送するとともに(ステップS453)、該当する応答データに含まれている設備状態情報を該当情報として返送するようになっている(ステップS454)。
【0069】
それから、更に、代用返送プログラム45は、その情報要求に係る検出器19を対象検出器とするレコードが関連情報リスト53に含まれており且つそのレコードによって関連検出器とされる検出器19に係る設備状態情報が蓄積情報リスト52に含まれているか調べ(ステップS455)、それが有るうちは(ステップS455有)、その設備状態情報を関連情報として、それも上記の情報要求の要求元の携帯端末21へ返送するようになっている(ステップS454)。
【0070】
そして、その後(ステップS455無)、代用返送プログラム45は、上述した要求集約プログラム43の処理や情報要求代行プログラム41の実処理部分など(ステップS431〜S13)を行うことなく代用返送プログラム45の処理ばかりか情報要求代行プログラム41の処理をも終えることで(ステップS454から出た矢線を参照)、携帯端末21から受け付けた情報要求を情報要求代行プログラム41の転送対象から即ちウェブサーバ20から拠点端末14への転送対象から除外するものとなっている。
【0071】
また、代用返送プログラム45は、携帯端末21から受けた情報要求の対象の検出器19と同じ検出器19から収集・取得された二次応答のデータが蓄積情報リスト52に既に保存されているか否かを蓄積情報リスト52の検索にて調べたときに(ステップS451)、該当する応答データが蓄積情報リスト52に存在していなかったときや(ステップS451無)、該当する応答データが蓄積情報リスト52に存在していても経過時間が長くて無効になっていたときには(ステップS452No)、代用返送プログラム45の処理を終えるようになっている(→ステップS431)。
【0072】
情報蓄積プログラム46は(情報蓄積手段,
図4参照)、二次応答処理プログラム33の一部を改変する態様で二次応答処理プログラム42に組み込まれている(ステップS461)。具体的には、伝送集約装置13から拠点端末14を介して二次応答が返送されて来て(ステップS31)、それが情報要求リスト51の検索にて先の情報要求の何れかに対応したものであれば(ステップS32,S33Yes)、その応答データそのものか少なくともそれに含まれている設備状態情報と、収集時刻データとを組にして、一つのレコードを作成し、それを蓄積情報リスト52にデータ保持させるようになっている(ステップS461)。
【0073】
蓄積更新プログラム47は(蓄積更新手段,
図4,
図5参照)、周期的に起動される主要部(
図5ステップS471〜S474)と、上述した情報蓄積プログラム46への組み込み部とからなる(
図4ステップS475)。
そして、起動される度に(
図5参照)、収集後の経過時間が長くて無効になった応答データが蓄積情報リスト52に有れば(ステップS471有)、さらに、その応答データに係る検出器19への情報要求を処理中でなく且つ伝送集約装置13がビジーでもなくて(ステップS472No,S473No)、その情報要求を伝送集約装置13が拠点端末14経由で受け付けうる状態でもあれば、上述した無効になった応答データに係る検出器19への情報要求を新たに作成し、それを更新情報要求として拠点端末14を介して伝送集約装置13へ送信することで順次ポーリング式通信での情報収集に向けて送信するものとなっている(ステップS474)。
【0074】
これに対し、それ以外の場合は(ステップS471無,S472Yes,S473Yes)、今回の周期での更新情報要求処理を終え、処理すべきことが残っていれば次の周期での処理に委ねるようになっている。
また、上記の更新情報要求に応じた蓄積更新の処理は(
図4参照)、情報蓄積プログラム46が蓄積情報リスト52にデータ保存するときに(ステップS461)、情報蓄積プログラム46に組み込まれたプログラム部分(ステップS475)によって、蓄積情報リスト52に既存の旧いデータが有ればそれを新しいデータで上書きすることで行われるようになっている。
【0075】
さらに、蓄積更新プログラム47は、上記の更新情報要求を情報要求リスト51に含ませることなく拠点端末14へ送信することで、その更新情報要求が二次応答処理プログラム42の返送対象から外れるようにしている。
なお、この蓄積更新プログラム47は、それまでに情報収集された設備状態情報について特に限定することなく旧くなったら更新するようになっているが、複数の携帯端末21から同じ設備機器に対する情報要求が続いている間などに蓄積更新処理が限定されるようにしても良く、その場合は、例えば蓄積情報リスト52の各レコードに要求頻度などのアイテム(項目)を設けて、それを情報要求の度に更新するようにすると良い。
【0076】
関連要求プログラム48は(関連要求手段,
図6参照)、周期的に起動されるプログラムであり(ステップS481〜S486)、起動される度に、携帯端末21から届いた情報要求が蓄積情報リスト52に有って(ステップS481有)、更に、その情報要求に係る検出器19のIdが関連情報リスト53の何れかのレコードの対象検出器Id欄に有ると(ステップS482有)、該当するレコードの関連検出器Id欄のIdを関連情報リスト53から抽出することで、上記の対象検出器19に関連する他の関連検出器19を選定するようになっている(ステップS483)。
【0077】
それから、関連要求プログラム48は、上記の関連検出器19に係る情報要求を処理中でなく且つ伝送集約装置13がビジーでもなくて(ステップS484No,S485No)、その関連検出器への情報要求を伝送集約装置13が受け付けうる状態でもあれば、その情報要求を関連情報要求として拠点端末14を介して伝送集約装置13へ送信することで順次ポーリング式通信での情報収集に向けて送信するものとなっている(ステップS486)。しかも、その際、その関連情報要求を情報要求リスト51に含ませることなく拠点端末14を介して伝送集約装置13へ送信することで、その関連情報要求が二次応答処理プログラム42の返送対象から外れるようにしている。
【0078】
関連返送プログラム49は(関連返送手段,
図4参照)、二次応答処理プログラム33の一部を改変する態様で二次応答処理プログラム42に組み込まれている(ステップS491〜S492)。具体的には、伝送集約装置13から拠点端末14を介して二次応答が返送されて来て(ステップS31)、それが情報要求リスト51の検索にて先の情報要求の何れかに対応したものであって(ステップS32,S33Yes)、更に、上記の二次応答および情報要求に係る検出器19を対象検出器とするレコードが関連情報リスト53に含まれており且つそのレコードによって関連検出器とされる検出器19に係る設備状態情報が蓄積情報リスト52に含まれていれば(ステップS491有)、その設備状態情報を関連情報として上記の情報要求の要求元の携帯端末21へ返送するようになっている(ステップS492)。
【0079】
この実施例1の鉄道信号設備監視支援プログラム40について、その使用態様と、それを搭載したウェブサーバ20及びそれが接続された鉄道用監視装置10の動作とを、図面を引用して説明する。
図7は、鉄道信号設備監視支援プログラム40を導入した鉄道用監視装置(10+20)の動作状態を示す通信ダイアグラムであり、既述した
図12(b)と対比される。
【0080】
既述の例と同様(
図12(b)参照)、ここでも(
図7参照)、サイクルT1の間に、携帯端末21aから検出器19iへの情報要求と(矢付き実線を参照)、携帯端末21bから検出器19kへの情報要求と(矢付き一点鎖線を参照)、携帯端末21cから検出器19iへの情報要求とが(矢付き実線を参照)、その順で、ウェブサーバ20に届いた場合を想定し、そのときの通信状況を説明する。それに加え、ここでは(
図7参照)、サイクルT4に、携帯端末21bから検出器19iへの情報要求と(矢付き実線を参照)、携帯端末21aから検出器19kへの情報要求とが(矢付き一点鎖線を参照)、ウェブサーバ20に届いた場合も想定し、そのときの通信状況も説明する。
【0081】
また、図示は割愛したが、関連情報リスト53又はそのうちの群状関連情報54によって検出器19mが検出器19kに対して予め関連付けられているものとする。
そうすると、サイクルT1に携帯端末21a,21b,21cから夫々検出器19i,19k,19iに向けてウェブサーバ20に送られて来た三つの情報要求は、ウェブサーバ20において、情報要求代行プログラム41(特に31部分)と要求集約プログラム43とによって、対象検出器19i,19iが重複しているけれども、携帯端末21に対しては受け付けられ、何れの情報要求も情報要求リスト51に含められてデータ保持される。
【0082】
これに対し、それら三つの情報要求のうち携帯端末21a,21bから来て先に届いた二つの情報要求は情報要求代行プログラム41(特に31部分)によって上記の受付とデータ保持に加え検出器19i,19kに向けて伝送拠点装置15へ転送されるが(矢付き実線と矢付き一点鎖線を参照)、三つの情報要求のうち携帯端末21cから来て最後に届いた三番目の情報要求は、要求先が検出器19iで一番目の情報要求と重複しているので、要求集約プログラム43によって拠点端末14ひいては伝送集約装置13への転送が抑えられる(
図7のP1を参照)。そのため、一次応答が無くて、否定的な一次応答が有り得ないので、携帯端末21cについても、再要求を促すメッセージは表示されない。
【0083】
それから、関連要求プログラム48が起動されたとき、その処理によって、関連情報リスト53において検出器19kと関連付けられている検出器19mに向けた関連情報要求が作成され、その情報要求が伝送拠点装置15へ送信される(
図7のP2を参照)。
そして、その後の例えばサイクルT2に、鉄道用監視装置10の専用通信回線を介する順次ポーリング式の通信にて、伝送拠点装置15から現場装置18iへ情報要求が送信され、それが検出器19iに転送されて、現場装置18iに設備状態情報が返送される(矢付き実線を参照)。
【0084】
また、やはり専用通信回線を介する順次ポーリング式の通信にて、例えば同じサイクルT2における別のアクセス時に(矢付き一点鎖線を参照)、伝送拠点装置15から現場装置18kへ情報要求が送信され、それが検出器19kに転送されて、現場装置18kに設備状態情報が返送される。
さらに、やはり専用通信回線を介する順次ポーリング式の通信にて、例えば同じサイクルT2における別のアクセス時に(矢付き二点鎖線を参照)、伝送拠点装置15から現場装置18mへも情報要求が送信され(
図7のP3を参照)、それが検出器19mに転送されて、現場装置18mに設備状態情報が返送される。
【0085】
それから後の例えばサイクルT3に、検出器19iの設備状態情報が、専用通信回線を介する順次ポーリング式の通信にて現場装置18iから伝送拠点装置15へ上げられ、更に二次応答に含められてウェブサーバ20へ引き渡されたとする(太い矢付き実線を参照)。すると、その設備状態情報が、二次応答処理プログラム42(特に33部分)によって先の要求元の携帯端末21aに送信されるとともに(太い矢付き実線を参照)、情報蓄積プログラム46によって蓄積情報リスト52に含められ、更に、同報返送プログラム44によって後の要求元の携帯端末21cにも送信される(
図7のP4の太い矢付き実線を参照)。こうして、携帯端末21aに遅れて情報要求を出した携帯端末21cにも、携帯端末21aとほぼ同時に即ち携帯端末21aより短い待ち時間で、所望の設備状態情報が表示される。
【0086】
また、例えばサイクルT3に、検出器19kの設備状態情報が、専用通信回線を介する順次ポーリング式の通信にて現場装置18kから伝送拠点装置15へ上げられ、更に二次応答に含められてウェブサーバ20へ引き渡されたとする(太い矢付き一点鎖線を参照)。そうすると、その設備状態情報が、二次応答処理プログラム42(特に33部分)によって、要求元の携帯端末21bに送信される(太い矢付き一点鎖線を参照)。さらに、検出器19mの設備状態情報も、同様にして現場装置18mから伝送拠点装置15へ上げられ(
図7のP5を参照)、更にはウェブサーバ20へ引き渡されるが(太い矢付き二点鎖線を参照)、こちらの設備状態情報は、関連返送プログラム49によって携帯端末21bに送信される(太い矢付き二点鎖線を参照)。こうして、携帯端末21bには、直接要求した設備機器(検出器19k)の設備状態情報に加えて、それと予め関連付けられた他の設備機器(検出器19m)の設備状態情報も、速やかに表示される。
【0087】
その後、例えばサイクルT4に、検出器19iに向けた情報要求が携帯端末21bから送信されてウェブサーバ20に届くと(矢付き実線を参照)、検出器19iの設備状態情報が既に蓄積情報リスト52にデータ保持されているので、代用返送プログラム45によって、蓄積情報リスト52内の該当データが有効性の確認後に要求元の携帯端末21bに送信される(
図7のP6の太い矢付き実線を参照)。また、検出器19kに向けた情報要求が携帯端末21aから送信されてウェブサーバ20に届くと(矢付き一点鎖線を参照)、検出器19kの設備状態情報に加えて関連検出器19mの設備状態情報も既に蓄積情報リスト52にデータ保持されているので、代用返送プログラム45によって、蓄積情報リスト52内で該当する二つのデータが有効性の確認後に要求元の携帯端末21aに送信される(
図7のP7の太い一点鎖線と二点鎖線を参照)。こうして、蓄積済みの設備状態情報は順次ポーリング式の専用通信回線に負荷を掛けることなく速やかに表示される。
【0088】
なお、
図7のダイアグラムにおける図示は割愛したが、蓄積更新プログラム47が周期的に起動されて、蓄積情報リスト52にデータ保持されている設備状態情報が更新される。具体的には、蓄積情報リスト52については収集後の経過時間が長くて無効になった応答データが蓄積情報リスト52に有り、専用通信回線での順次ポーリング式通信については情報収集が可能な状態であれば、該当する応答データを収集し直すための更新情報要求がウェブサーバ20から拠点端末14へ送信される。そして、それに応じて新たな応答データが拠点端末14からウェブサーバ20に返送されると、情報蓄積プログラム46の蓄積更新プログラム47組み込み部分によって、蓄積情報リスト52における該当データが更新される。こうして、蓄積情報リスト52のデータが有効なものに維持される。
【実施例4】
【0099】
本発明の鉄道信号設備監視支援プログラムの実施例4について、その具体的な構成を、図面を引用して説明する。
図10は、群状関連情報の更なる具体例であり、(a)が停車場構内の一部経路の記号図であり、(b)が二つの進路に係る群状関連情報のデータ例である。
【0100】
この鉄道信号設備監視支援プログラムが上述した実施例2,3の鉄道信号設備監視支援プログラム60,70と相違するのは、停車場構内の一部経路に関して(
図10(a)参照)、その停車場構内にとられる進路に属する一連の設備機器について群状関連を成立させるレコードが群状関連情報リスト62に含まれている点である(
図10(b)参照)。具体的には、二つの進路の一方についてはレコード621が作成され、二つの進路の他方についてはレコード622が作成され、何れのレコードにも、該当する進路に属する一連の設備機器に係る複数の検出器19,…,19のIdが登録される。
【0101】
詳述すると、群状関連情報リスト62のレコード621には、当該転てつ機が定位方向に切り替わっていて更に当該信号機1が赤信号以外の色の進行信号を現示したときに確定する進路1に属する一連の設備機器である隣接軌道回路1と当該信号機1と内方軌道回路1と内方軌道回路2と内方軌道回路1に属する当該転てつ機とに係る検出器19のIdが登録されている。
一方、群状関連情報リスト62のレコード622には、当該転てつ機が反位方向に切り替わっていて更に当該信号機2が進行信号を現示したときに確定する進路2に属する一連の設備機器である隣接軌道回路2と当該信号機2と内方軌道回路1と内方軌道回路2と内方軌道回路1に属する当該転てつ機とに係る検出器19のIdが登録されている。
【0102】
この例でも、群状関連情報リスト62のレコード621,622の夫々について、携帯端末21から届いた情報要求が蓄積情報リスト52に有って、更に、その情報要求に係る検出器19のIdが群状関連情報リスト62の何れかのレコードに有ると、該当するレコードにおける総ての群内検出器について情報要求が有ったのと同様の処理を行うのが基本であるが、この例では、その基本処理の実行を限定する機能が例えば群状関連要求プログラム61の改造等によって付加されており、その付加機能に係る群状関連活用条件という項目が各レコードに追加されており、その項目には群状関連活用条件の実態規定データを指すポインタが入っている(
図10(b)参照)。
【0103】
進路1に係るレコード621の群状関連活用条件の項目の実態規定データには、当該信号機1が進行信号を現示していることと、当該転てつ機が定位方向に切り替わっていることという二つの条件が規定されている。
進路2に係るレコード622の群状関連活用条件の項目の実態規定データには、当該信号機2が進行信号を現示していることと、当該転てつ機が反位方向に切り替わっていることという二つの条件が規定されている。
【0104】
そして、本例の鉄道信号設備監視支援プログラムでは、携帯端末21からの情報要求に付随して又は可能であれば自発的な情報収集など何らかの手段によって群状関連活用条件の確認に必要な情報を取得して、群状関連活用条件が成立していることを確認することができたときに限って上述の基本処理を実行することにより、進路のように属する設備機器の多い群状関連情報を無条件に先行収集することの弊害を未然に防止することができるようにもなっている。
【0105】
[その他]
上記実施例では、検出器19が保持する設備状態情報について、簡明化のため一度の情報要求で総てが収集されるような場合を説明したが、検出器19によっては設備状態情報の要求と収集を一回で済ませられない機能上制約のため又は適宜な分割での要求に応じうる機能を持つため、一度の情報要求では一部の設備状態情報しか収集されない場合もある。例えば、定位側と反位側との二位置で転換状態を切り替える電気転てつ機の場合、定位側転換データと反位側転換データとが別個に情報要求の対象になりうる。そのような場合、両転換データを関連情報や群状関連情報として予め関連づけておくと良い。
【0106】
そのように、対象検出器とは別の他の検出器だけでなく、対象検出器と同一の検出器に係る残存部分の設備状態情報についても関連検出器として情報要求の対象にすることで、関連要求手段や関連返送手段さらには群状関連要求手段によって統一的かつ適切に処理される。また、上述の転換データのように予め残存部分が明確な場合は、群状関連情報54や群状関連情報リスト62で簡便かつ的確に関連付けできるが、先の情報要求によって残存部分が変動するような場合には、全設備状態情報の範囲を規定するデータを予め設定保持するとともに、それ等を調べて残存部分を確定するように関連要求手段等の機能を拡張するのも良い。
【0107】
上記実施例では、検出器19が保持する設備状態情報について、単に付設先の設備機器に係る設備状態情報としたが、最新の情報である現在情報だけでなく、ジャーナル情報と呼ばれる一連のタイムスタンプ付き履歴情報も保持される場合が多く、その場合、両者を一纏めにして取り扱うようにしても良く、区別して取り扱うようにしても良く、情報要求の際に情報種別を指定されたときには指定された情報だけ返送等するようにしても良い。
【0108】
上記実施例では、ウェブサーバ20が拠点端末14に接続される構成例を説明したが、ウェブサーバ20の接続先はそれに限られる訳でなく、本来の業務の妨げにならない設置場所が確保できれば、指令端末12や,伝送中央装置11,伝送集約装置13といった他の上位装置にウェブサーバ20を接続しても良い。また、ウェブサーバ20はそれらの上位装置11〜14と別体である必要が無く、それらの上位装置11〜14の何れかについてハードウェアを更新するとき等に、新規導入のコンピュータが高機能で余力があるような場合には、そのコンピュータに鉄道信号設備監視支援プログラム40をインストールして、ウェブサーバ20と上位装置11〜14とをハードウェア面では一体化しても良い。さらに、鉄道信号設備監視支援プログラム40が総て一台のコンピュータにインストールされている必要も無く、鉄道信号設備監視支援プログラム40を構成する各プログラム41〜71が複数の装置に分散してインストールされていても良い。
【0109】
上記実施例では、業務端末として携帯端末21を挙げたが、業務端末は、そのような無線利用の端末に限定される訳でなく、汎用通信回線に接続してウェブサーバ20に設備状態情報の要求を出すことができるものであれば、有線接続方式の端末であっても良い。
上記実施例では、情報要求リスト51や蓄積情報リスト52に含められたデータ(レコード,記録単位,登録単位)の消去について言及しなかったが、これは重要な要件に係る説明の簡明化のためであり、実用化に当たっては、処理済みのレコード(データ)や長時間経過後のレコードなど所定の条件を満たしたレコードは適宜な時期に各リストから取り除かれるように構成される。