特許第6851119号(P6851119)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6851119
(24)【登録日】2021年3月11日
(45)【発行日】2021年3月31日
(54)【発明の名称】ブラインドの操作装置
(51)【国際特許分類】
   E06B 9/322 20060101AFI20210322BHJP
   E06B 9/324 20060101ALI20210322BHJP
【FI】
   E06B9/322
   E06B9/324
【請求項の数】6
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2017-207626(P2017-207626)
(22)【出願日】2017年10月26日
(65)【公開番号】特開2019-78121(P2019-78121A)
(43)【公開日】2019年5月23日
【審査請求日】2020年4月8日
(73)【特許権者】
【識別番号】000134958
【氏名又は名称】株式会社ニチベイ
(74)【代理人】
【識別番号】100182349
【弁理士】
【氏名又は名称】田村 誠治
(72)【発明者】
【氏名】遠藤 裕
【審査官】 家田 政明
(56)【参考文献】
【文献】 特開2016−037837(JP,A)
【文献】 特開2008−088626(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2005/0211394(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E06B 9/24−9/388
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
遮蔽材を開閉駆動する駆動部に駆動力を伝達可能なプーリを備え、
前記プーリは操作コードが巻き掛けられる巻掛部を有し、
前記巻掛部は回転方向によって拡径又は縮径されることを特徴とする、ブラインドの操作装置。
【請求項2】
前記巻掛部は、周方向に複数に分割されており、前記各巻掛部が径方向に移動することで拡径又は縮径されることを特徴とする、請求項1にブラインドの操作装置。
【請求項3】
前記巻掛部の径方向への移動を案内する案内部材を備え、
前記巻掛部が前記案内部材に対して相対回転すると、前記各巻掛部は前記案内部材の作用で径方向に移動することを特徴とする、請求項2に記載のブラインドの操作装置。
【請求項4】
前記巻掛部と前記案内部材には、一方に案内溝、他方に前記案内溝に沿って案内される突部が設けられ、
前記突部が前記案内溝に沿って案内されるときは前記巻掛部と前記案内部材とが相対回転可能であり、
前記突部が前記案内溝と係合したときは前記巻掛部と前記案内部材とが一体回転可能であることを特徴とする、請求項3に記載のブラインドの操作装置。
【請求項5】
前記巻掛部と一体回転するとともに前記巻掛部の径方向への移動を補助するサポート部材を備えたことを特徴とする、請求項2〜4のいずれかに記載のブラインドの操作装置。
【請求項6】
前記操作コードを前記巻掛部の外周面に押し付けるコード押さえを備えたことを特徴とする、請求項1〜5のいずれかに記載のブラインドの操作装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ブラインドの操作装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のブラインドの操作装置として、特開2008−88626号公報(特許文献1)に示されるものがある。同文献に開示されるブラインドの操作装置は、ブラインド上昇方向に対応するブラインド上昇回転方向とブラインド下降方向に対応するブラインド下降回転方向のいずれかの回転が伝達される入力軸と、遮蔽材を昇降するための昇降軸に連結される出力軸とを備える。そして、入力軸のブラインド上昇回転方向の回転に対して、入力軸と遊星歯車機構との間に設けられる第3構成要素を回転不能として、第1構成要素から第2構成要素に減速された回転を伝達するとともに、入力軸のブラインド下降回転方向の回転に対して、入力軸の回転を遊星歯車機構の全ての構成要素に伝達して、出力軸に入力軸と同速の回転を伝達するように切り替えるクラッチ機構を備える。
【0003】
これによれば、操作部から上昇回転方向の回転が入力軸に伝達されたときには、遊星歯車機構によって減速された回転が出力軸に出力されて操作荷重が軽くなり、軽快な操作感が得られ、操作部から下降回転方向の回転が入力軸に伝達されたときには、遊星歯車機構が無効化されて、出力軸には入力軸と同速の回転が伝達され、遮蔽材の下降スピードを遅延させることがなく、上昇操作時よりも速いスピードで遮蔽材を下降できるという効果を有する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−88626号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来のブラインドの操作装置では、操作荷重の軽減や操作速度の変更に対応できるようにするために、入力軸と出力軸との間に遊星歯車機構を介在させるため、操作装置としてヘッドボックス内での取り付けスペースが大きくなるという課題があった。
【0006】
そこで本発明は、このような問題に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、操作荷重の軽減や操作速度の変更に対応できるブラインドの操作装置をコンパクトにすることの可能なブラインドの操作装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明によれば、遮蔽材を開閉駆動する駆動部に駆動力を伝達可能なプーリを備え、前記プーリは操作コードが巻き掛けられる巻掛部を有し、前記巻掛部は回転方向によって拡径又は縮径されることを特徴とする、ブラインドの操作装置が提供される。
【0008】
かかる構成によれば、プーリの巻掛部を、巻掛部の回転方向、すなわち操作コードの操作方向によって拡径又は縮径可能とすることで、操作コードの操作量に対するプーリの回転量を操作方向によって異なるものとすることができ、操作荷重の軽減や操作速度の変更に対応できる。そして、巻掛部の径の変化によって操作荷重の軽減や操作速度の変更に対応するため、特許文献1のような遊星歯車機構を介在させる必要がなく、操作装置としてコンパクトに納めることができる。
【0009】
本発明は様々な応用が可能である。以下の応用例は適宜組み合わせることが可能である。
例えば、前記巻掛部は、周方向に複数に分割されており、前記各巻掛部が径方向に移動することで拡径又は縮径されるようにしてもよい。かかる構成により、巻掛部の回転方向、すなわち操作コードの操作方向によって、複数に分割された巻掛部が拡径又は縮径方向に移動することで、操作方向に応じた操作量の変化に対応できる。
【0010】
また、前記巻掛部の径方向への移動を案内する案内部材を備え、前記巻掛部が前記案内部材に対して相対回転すると、前記各巻掛部は前記案内部材の作用で径方向に移動するようにしてもよい。巻掛部と相対回転可能な案内部材を設け、巻掛部が案内部材に対して相対回転しながら径方向に移動可能とすることで、安定して動作させることができる。
【0011】
前記巻掛部と前記案内部材には、一方に案内溝、他方に前記案内溝に沿って案内される突部が設けられ、前記突部が前記案内溝に沿って案内されるときは前記巻掛部と前記案内部材とが相対回転可能であり、前記突部が前記案内溝と係合したときは前記巻掛部と前記案内部材とが一体回転可能であるようにしてもよい。各巻掛部と案内部材との間には、一方に案内溝、他方に案内溝に沿って案内される突部を設けることで、各巻掛部を均等に径方向に移動させることが可能となる。
【0012】
前記巻掛部と一体回転するとともに前記巻掛部の径方向への移動を補助するサポート部材を備えるようにしてもよい。サポート部材は巻掛部と一体回転しながら巻掛部の径方向への移動を補助することで、安定して動作させることができる。
【0013】
前記操作コードを前記巻掛部の外周面に押し付けるコード押さえを備えるようにしてもよい。コード押さえを設けることで、操作コードが巻掛部に押し付けられるため、操作コードの操作力を安定してプーリに伝達できる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、操作荷重の軽減や操作速度の変更に対応できるブラインドの操作装置をコンパクトにすることができる。本発明のその他の効果については、後述する発明を実施するための形態においても説明する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】第1の実施形態のブラインド100の全体構成を示す正面図である。
図2】操作装置160の構成を説明するための図であり、(a)はプーリ162からサポート部材165を取り外した状態を示す斜視図であり、(b)はプーリ162にサポート部材165を取り付けた状態を示す斜視図である。
図3】操作装置160の構成を説明するための図であり、(a)は巻掛部162aが縮径したときの状態を示す断面図であり、(b)は巻掛部162aが拡径したときの状態を示す断面図である。
図4】操作装置160の動作を説明するための図であり、(a)は縮径した巻掛部162aの状態を示す正面図であり、(b)は拡径した巻掛部162aの状態を示す正面図である。
図5】操作装置160の動作を説明するための図であり、(a)は縮径したときの巻掛部162aとサポート部材165の状態を示す正面図であり、(b)は拡径したときの巻掛部162aとサポート部材165の状態を示す正面図である。
図6】第2の実施形態の操作装置260を説明するための図であり、(a)は巻掛部262aが縮径した状態を示す正面図であり、(b)は巻掛部262aが拡径した状態を示す正面図である。
図7】第3の実施形態の操作装置360を説明するための図であり、(a)は巻掛部362aが縮径した状態を示す正面図であり、(b)は巻掛部362aが拡径した状態を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0017】
(第1の実施形態)
本発明の第1の実施形態について説明する。まず、本実施形態に係るブラインド100の全体構成について、図1を参照しながら説明する。図1は、実施形態に係るブラインド100の全体構成を説明するための正面図である。
【0018】
本実施形態のブラインド100は、図1に示したように、図示していない窓枠や天井等に固定されるヘッドボックス110と、ヘッドボックス110から垂下するラダーコード120と、ラダーコード120によって整列状態に支持される複数のスラット130と、複数のスラット130を昇降する昇降コード140と、ラダーコード120の下端及び昇降コード140の下端が連結されるボトムレール150と、ヘッドボックス110の一端に設けられ、複数のスラット130の昇降及び回転を操作する操作装置160と、操作装置160から垂下し、操作装置160を操作する操作コード170と、を備えて構成される。以下、各構成要素について詳細に説明する。
【0019】
ヘッドボックス110は、前述のように窓枠や天井等にブラケット111を介して固定される。ヘッドボックス110内には、図1に示したように、長手方向ほぼ全長にわたって回転軸112が回転可能に配設されている。回転軸112の一端は操作装置160に連結されている。回転軸112は、操作コード170の操作によって操作装置160を介して回転が操作される。
【0020】
また、ヘッドボックス110内には、図1に示したように、ラダーコード120及び昇降コード140を巻取り及び巻解き可能な巻取ドラム114が長手方向に等間隔に配置されている。巻取ドラム114は、ヘッドボックス110に固定されたドラム受け116に回転可能に支持されており、巻取ドラム114には、回転軸112が一体に回転するように貫通している。
【0021】
ラダーコード120は、スラット130を回転可能に支持するものである。ラダーコード120は、図1に示したように、複数のスラット130を整列状態に支持している。ラダーコード120の上端は巻取ドラム114に連結される。ラダーコード120と巻取ドラム114との構成は一般的なブラインドと同様である。ラダーコード120の下端はボトムレール150に連結される。
【0022】
スラット130は、開口部を遮蔽したり開放したりする遮蔽材である。複数のスラット130は、図1に示したように、ラダーコード120によって整列状態に支持されており、ラダーコード120が傾動することによって回転する。
【0023】
昇降コード140は、スラット130を昇降させるものである。昇降コード140は、図1に示したように、上端が巻取ドラム114に巻取り及び巻解き可能に連結される。昇降コード140の下端は、スラット130を挿通するか、スラット130の側部を通ってボトムレール150に連結される。昇降コード140は、巻取ドラム114の回転によって、昇降コード140に巻取り又は巻解かれてボトムレール150が昇降することにより、スラット130を昇降する。
【0024】
ボトムレール150は、ラダーコード120及び昇降コード140に張力を与えるものである。ボトムレール150は、図1に示したように、最下段のスラット130の下方に設けられて、ラダーコード120及び昇降コード140の下端が連結される。
【0025】
(操作装置160)
本実施形態に特徴的な操作装置160について説明する。操作装置160は、複数のスラット130の昇降及び回転を操作するものである。操作装置160は、図1に示したように、ヘッドボックス110の一端に設けられており、回転軸112の一端に駆動力を伝達可能に連結されている。
【0026】
操作装置160の各部の構成を、図2及び図3を参照しながら説明する。図2は、操作装置160の構成を説明するための図であり、(a)はプーリ162からサポート部材165を取り外した状態を示す斜視図であり、(b)はプーリ162にサポート部材165を取り付けた状態を示す斜視図である。図3は、操作装置160の構成を説明するための図であり、(a)は巻掛部162aが縮径したときの状態を示す断面図であり、(b)は巻掛部162aが拡径したときの状態を示す断面図である。
【0027】
操作装置160は、図2に示したように、スラット130を開閉駆動する駆動部161に駆動力を伝達可能なプーリ162を備え、プーリ162は操作コード170が巻き掛けられる巻掛部162aを有し、巻掛部162aは回転方向によって拡径又は縮径される。さらに、操作装置160は、巻掛部162aの径方向への移動を案内する案内部材163と、操作コード170を巻掛部162aの外周面に押し付けるコード押さえ164と、巻掛部162aと一体回転するとともに巻掛部162aの径方向への移動を補助するサポート部材165と、プーリ162やサポート部材165の脱落を防止する脱落防止部材166とを備える。
【0028】
(駆動部161)
駆動部161は、回転軸112に回転を伝達するものである。駆動部161は、図2(a)に示したように、ケース167内に配設されており、回転軸112に回転を伝達する回転伝達軸161aを中心に備える。回転伝達軸161aは、プーリ162の方向に突出しており、外周にプーリ162が配設される。また、駆動部161は、巻掛部162aの径方向への移動を案内する、後述する案内部材163を備える。
【0029】
(プーリ162)
プーリ162は、操作コード170の操作を駆動部161に伝達するものである。プーリ162は、図2(a)に示したように、操作コード170が巻き掛けられる巻掛部162aを有する。プーリ162は駆動部161の案内部材163に並設されており、中心には回転伝達軸161aが相対回転自在に挿通している。プーリ162は、周方向に3つのピース162−1、162−2、162−3に分割されている。3つのピース162−1、162−2、162−3が径方向に移動することで巻掛部162aが拡径又は縮径される。プーリ162は、案内部材163に対して相対回転すると、案内部材163の作用によって各巻掛部162aの径方向への移動が案内される。なお、ここで言うプーリ162の案内部材163に対する相対回転とは、軸心が同軸でない回転も含むものとする。
【0030】
3つのピース162−1、162−2、162−3の側部には、案内溝162bがそれぞれ形成されている。案内溝162bは、図3(a)に示したように、円弧状をしており、右端部から回転中心までの長さR1が、左端部から回転中心までの長さR2よりも短く、回転中心に対して傾いている。案内溝162bには、案内溝162bに沿って案内される後述の案内部材163の突部163aが配置される。
【0031】
3つのピース162−1、162−2、162−3のサポート部材165と対向する面には、図2(a)に示したように、サポート部材165によって径方向への移動が補助されるガイド突部162cが軸方向に突出してそれぞれ設けられている。
【0032】
(案内部材163)
案内部材163は、巻掛部162aの径方向への移動を案内するものである。案内部材163は、図2に示したように、円板状であり、中心に回転伝達軸161aが貫通して、回転伝達軸161aと一体回転する。案内部材163には、図3に示したように、円周方向に等間隔に3つの突部163aが軸方向に突出して設けられている。突部163aは、プーリ162の案内溝162bにそれぞれ配置され、案内溝162bの全長にわたって移動可能である。突部163aが案内溝162bに沿って案内されるときは巻掛部162aと案内部材163とが相対回転可能であり、突部163aが案内溝162bと係合したときは巻掛部162aと案内部材163とが一体回転可能である。
【0033】
(コード押さえ164)
コード押さえ164は、操作コード170を巻掛部162aの外周面に押し付けて、操作コード170の操作力を安定してプーリ162に伝達できるようにするものである。コード押さえ164は、図2に示したように、ケース167の上部両角部に設けられている。コード押さえ164は、扇形に形成されており、操作コード170を押圧する面が円弧状である。コード押さえ164の幅は、巻掛部162aの幅よりも小さく巻掛部162aからはみ出さない。よって、コード押さえ164は、後述するサポート部材165に干渉しない。
【0034】
コード押さえ164は、図3に示したように、凹状に形成されたバネ収容部164aにバネ164bが配置されている。バネ164bは、上端がケース167に接しており、下端がバネ収容部164aの底面に接している。コード押さえ164は、バネ164bの弾性力により巻掛部162aの方向に押圧されている。コード押さえ164は、図3(a)に示したように、巻掛部162aが縮径しているときは、バネ164bが伸長して突出し、図3(b)に示したように、巻掛部162aが拡径しているときは、バネ164bが縮んで引っ込む。よって、巻掛部162aの拡径又は縮径にかかわらず、操作コード170を巻掛部162aに押し付けることができる。
【0035】
(サポート部材165)
サポート部材165は、巻掛部162aと一体回転するとともに巻掛部162aの径方向への移動を補助するものである。サポート部材165は、図2(a)に示したように、ドーナツ形状をしており、プーリ162のガイド突部162cが配置される径方向ガイド溝165aが設けられている。径方向ガイド溝165aは、円周方向において等間隔に3か所に設けられており、外周から中心まで径方向に直線状に延びている。よって、ガイド突部162cは径方向ガイド溝165aに案内されて巻掛部162aを径方向に移動させる。
【0036】
サポート部材165は、図2(b)に示したように、中心を回転伝達軸161aが貫通して、プーリ162に並設される。サポート部材165は、径方向ガイド溝165aにプーリ162のガイド突部162cが配置されて、プーリ162と一体に回転する。サポート部材165を貫通した回転伝達軸161aには、脱落防止部材166が嵌め合わされて、サポート部材165がプーリ162から離間したり、サポート部材165が回転伝達軸161aから脱落したりすることが防止されている。
【0037】
以上、本実施形態に特徴的な操作装置160について説明した。未説明の操作コード170は、操作装置160を操作して、スラット130の昇降及び回転を操作するものである。操作コード170は、図1に示したように、無端状のコードであり、プーリ162の巻掛部162aに巻きかけられて、プーリ162を回転駆動する。
【0038】
以上、本実施形態のブラインド100の構成について説明した、次に、ブラインド100の動作について図4及び図5を参照しながら説明する。図4は、操作装置160の動作を説明するための図であり、(a)は縮径した巻掛部162aの状態を示す正面図であり、(b)は拡径した巻掛部162aの状態を示す正面図である。図5は、操作装置160の動作を説明するための図であり、(a)は縮径したときの巻掛部162aとサポート部材165の状態を示す正面図であり、(b)は拡径したときの巻掛部162aとサポート部材165の状態を示す正面図である。
【0039】
(スラット130の下降)
スラット130を下降させるときには、図4(a)に示したように、下側の操作コード170aを図4(a)の矢印A方向に引き出す。すると、プーリ162が図4(a)の矢印B方向に回転する。このとき、案内部材163の突部163aがプーリ162の案内溝162bの反時計回り方向の端部に当接していないときはプーリ162のみが回転し、プーリ162と案内部材163とは相対回転する。よって、突部163aが案内溝162bを移動し、プーリ162の各ピース162−1、162−2、162−3は回転伝達軸161aに接近するように径方向に移動する。また、各ピース162−1、162−2、162−3の径方向への移動は、図5(a)に示したように、径方向ガイド溝165aに沿ってガイド突部162cが移動するため、サポート部材165からもサポートされる。
【0040】
図4(a)に示したように、突部163aが案内溝162bの反時計回り方向の端部に当接すると、巻掛部162aは縮径した状態となり、プーリ162と案内部材163とが一体に回転するようになる。巻掛部162aが縮径すると、コード押さえ164は、バネ164bが伸長して突出し、操作コード170を巻掛部162aに押え付けるため、操作コード170の操作力が巻掛部162aに伝達される。
【0041】
このように、巻掛部162aが縮径すると、操作量に対する回転量が大きくなるため早く操作できる一方、操作荷重が大きくなるが、スラット130を下降させるときは小さな操作荷重でよいため、小さな操作荷重で回転量を大きくして、早く操作することができる。
【0042】
(スラット130の上昇)
スラット130を上昇させるときには、図4(b)に示したように、上側の操作コード170bを図4(b)の矢印C方向に引き出す。すると、プーリ162が図4(b)の矢印D方向に回転する(上記B方向とは逆回転)。このとき、プーリ162のみが回転し、プーリ162と案内部材163とは相対回転する。よって、突部163aが案内溝162bを移動し、プーリ162の各ピース162−1、162−2、162−3は回転しながら、回転伝達軸161aから離間するように径方向に移動する。また、各ピース162−1、162−2、162−3の径方向への移動は、図5(b)に示したように、径方向ガイド溝165aに沿ってガイド突部162cが移動するため、サポート部材165からもサポートされる。
【0043】
突部163aが案内溝162bの時計回り方向の端部に当接すると、巻掛部162aは拡径した状態となり、プーリ162と案内部材163とが一体に回転するようになる。巻掛部162aが拡径すると、コード押さえ164は、バネ164bが縮んで引っ込み、操作コード170を巻掛部162aに押え付ける。このため、操作コード170の操作力が巻掛部162aに伝達される。
【0044】
このように、巻掛部162aが拡径すると、操作量に対する回転量が小さくなるため軽い力で操作できる。スラット130を上昇させるときは大きな操作荷重が必要になるが、巻掛部162aが拡径するため、軽い力で操作することができる。
【0045】
(第1の実施形態の効果)
以上説明したように、本実施形態によれば、プーリ162の巻掛部162aを、回転方向、すなわち操作コード170の操作方向によって拡径あるいは縮径可能とすることで、操作コード170の操作量に対するプーリ162の回転量を操作方向によって異なるものとすることができ、操作荷重の軽減や操作速度の変更に対応できる。
【0046】
また、巻掛部162aの径の変化によって操作荷重の軽減や操作速度の変更に対応するため、特許文献1のような遊星歯車機構を介在させる必要がなく、操作装置160としてコンパクトに納めることができる。
【0047】
また、巻掛部162aの回転方向、すなわち操作コード170の操作方向に応じて、複数に分割された巻掛部162aが拡径又は縮径方向に移動することで、操作方向に応じた操作量の変化に対応できる。
【0048】
また、巻掛部162aと相対回転可能な案内部材163を設け、巻掛部162aが案内部材163に対して相対回転しながら径方向に移動可能とすることで、安定して動作させることができる。
【0049】
また、各巻掛部162aと案内部材163との間には、一方に案内溝162b、他方に案内溝162bに沿って案内される突部163aを設けることで、各巻掛部162aを均等に径方向に移動させることが可能となる。
【0050】
また、巻掛部162aと一体回転可能なサポート部材165を設け、巻掛部162aがサポート部材165と一体回転しながら径方向への移動が補助されることで、安定して動作させることができる。
【0051】
また、コード押さえ164を設けることで、操作コード170が巻掛部162aに押し付けられるため、操作コード170の操作力を安定してプーリ162に伝達できる。
【0052】
(第2の実施形態)
第2の実施形態に係るブラインドの操作装置260について、図6を参照しながら説明する。図6は、本実施形態の操作装置260を説明するための図であり、(a)は巻掛部262aが縮径した状態を示す正面図であり、(b)は巻掛部262aが拡径した状態を示す正面図である。本実施形態は、上記第1の実施形態とはコード押さえ264が異なるものである。本実施形態では、上記第1の実施形態と異なる点を中心に説明する。実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0053】
本実施形態の巻掛部262a、操作コード270は、第1の実施形態の巻掛部162a、操作コード170に対応するため、説明を省略する。
【0054】
コード押さえ264は、図6に示したように、第1の実施形態では扇形であったものをローラ264aに代えたものである。ローラ264aの端部には第1の実施形態のバネ164bと同様の作用を有するバネ264bが設けられている。ローラ264aは、バネ264bの弾性力により巻掛部262aの拡径又は縮径にかかわらず操作コード270に押し付けられる。
【0055】
(第2の実施形態の効果)
以上説明したように、本実施形態によれば、第1の実施形態の効果に加えて、コード押さえ264をローラ264aにしたことにより、操作コード270の移動時に操作コード270に加わる摩擦を低減することができる。
【0056】
(第3の実施形態)
第3の実施形態に係るブラインドの操作装置360について、図7を参照しながら説明する。図7は、本実施形態の操作装置360を説明するための図であり、(a)は巻掛部362aが縮径した状態を示す正面図であり、(b)は巻掛部362aが拡径した状態を示す正面図である。本実施形態は、上記第1の実施形態とはプーリ362が分割される数が異なるものである。本実施形態では、上記第1の実施形態と異なる点を中心に説明する。実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0057】
本実施形態のプーリ362、案内溝362b、案内部材363、突部363a、操作コード370は、第1の実施形態のプーリ162、案内溝162b、案内部材163、突部163a、操作コード170に対応するため、説明を省略する。
【0058】
プーリ362は、図7に示したように、第1の実施形態のプーリ162が3分割であったものを6分割にし、6つのピース362−1、362−2、362−3、362−4、362−5、362−6で構成したものである。プーリ362を6つのピースで構成したため、隣り合うピース同士の間隔が第1の実施形態の3分割のプーリ162よりも狭くなる。よって、拡径した巻掛部362aの形状がより円形に近づく。
【0059】
各ピース362−1、362−2、362−3、362−4、362−5、362−6には、案内溝362bがそれぞれ設けられている。また、案内溝362bの数に対応して案内部材363に突部363aが6つ設けられる。
【0060】
(第3の実施形態の効果)
以上説明したように、本実施形態によれば、第1の実施形態の効果に加えて、拡径した巻掛部362aの形状がより円形に近づくため、操作コード370によるプーリ362の回転が円滑になる。
【0061】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明はかかる例に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更例又は修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【0062】
例えば、上記実施形態では、巻掛部162a(262a、362a)は、周方向に複数に分割されており、各巻掛部162a(262a、362a)が径方向に移動することで拡径又は縮径される構成としたが、本発明はこの例に限定されない。
【0063】
また、上記実施形態では、巻掛部162a(262a、362a)は、案内部材と相対回転することで径方向へ移動する構成としたが、本発明はこの例に限定されない。例えば、巻掛部は、案内部材と相対回転することなく径方向へ移動したり、回転することなく径方向へ移動したりするようにしてもよい。
【0064】
また、上記実施形態では、巻掛部162a(262a、362a)と案内部材163(363)には、一方に案内溝162b(362b)、他方に案内溝162b(362b)に沿って案内される突部163a(363a)が設けられ、突部163a(363a)が案内溝162b(362b)に沿って案内されるときは巻掛部162a(262a、362a)と案内部材163(363)とが相対回転可能であり、突部163a(363a)が案内溝と係合したときは巻掛部162a(262a、362a)と案内部材163(363)とが一体回転可能である構成としたが、本発明は、この例に限定されず、適宜構成とすることができる。
【0065】
また、上記実施形態では、操作コード170(270、370)を巻掛部162a(262a、362a)の外周面に押し付けるコード押さえ164(264)を備えた構成としたが、本発明は、この例に限定されず、コード押さえは必ずしも設けなくてもよい。
【0066】
上記実施形態、応用例、変形例は、任意に組み合わせて実施することができる。
【符号の説明】
【0067】
100 ブラインド
110 ヘッドボックス
112 回転軸
114 巻取ドラム
116 ドラム受け
120 ラダーコード
130 スラット
140 昇降コード
150 ボトムレール
160、260、360 操作装置
161 駆動部
161a 回転伝達軸
162、362 プーリ
162−1、162−2、162−3、362−1、362−2、362−3、362−4、362−5、362−6 ピース
162a、262a、362a 巻掛部
162b、362b 案内溝
162c ガイド突部
163、363 案内部材
163a、363a 突部
164、264 コード押さえ
164a バネ収容部
164b、264b バネ
165 サポート部材
165a 径方向ガイド溝
166 脱落防止部材
167 ケース
170、170a、170b、270、370 操作コード
264a ローラ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7