(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記ハウジングの前記一端部に当接するとともに前記カバー体の前記巻き込み部に当接するように弾性体が配置されることにより、前記密閉容器が前記仕切り部材側に向けて付勢されている、請求項1に記載のガス発生器。
前記カバー体の前記巻き込み部を構成する部分の板厚が、前記カップ体の前記側壁部を構成する部分の板厚よりも大きい、請求項1から3のいずれかに記載のガス発生器。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施の形態について、図を参照して詳細に説明する。以下に示す実施の形態は、サイドエアバッグ装置に組み込まれるシリンダ型ガス発生器に本発明を適用した場合を例示するものである。なお、以下に示す実施の形態においては、同一のまたは共通する部分について図中同一の符号を付し、その説明は繰り返さない。
【0023】
図1は、本発明の実施の形態におけるシリンダ型ガス発生器の概略図である。
図2および
図3は、それぞれ
図1に示すシリンダ型ガス発生器の点火器近傍の拡大断面図および仕切り部材近傍の拡大断面図である。まず、これら
図1ないし
図3を参照して、本実施の形態におけるシリンダ型ガス発生器1の構成について説明する。
【0024】
図1に示すように、本実施の形態におけるシリンダ型ガス発生器1は、長尺円柱状の外形を有しており、軸方向に位置する一端部および他端部が閉塞された長尺円筒状のハウジングを有している。ハウジングは、ハウジング本体10と、ホルダ20と、閉塞部材30とを含んでいる。
【0025】
ハウジング本体10、ホルダ20および閉塞部材30にて構成されたハウジングの内部には、内部構成部品としての点火器40、仕切り部材50、コイルバネ60、密閉容器70、ガス発生剤80、オートイグニッション剤81、区画部材82、コイルバネ83およびフィルタ90等が収容されている。また、ハウジングの内部には、上述した内部構成部品のうちのガス発生剤80が主として配置された燃焼室S1と、フィルタ90が配置されたフィルタ室S2とが位置している。
【0026】
ハウジング本体10は、ハウジングの周壁部を構成しており、軸方向の両端に開口が形成された長尺円筒状の部材からなる。ホルダ20は、ハウジング本体10の軸方向と同方向に沿って延びる貫通部21を有する筒状の部材からなり、その外周面に後述するかしめ固定のための環状溝部22を有している。閉塞部材30は、所定の厚みを有する円盤状の部材からなり、その周面に後述するかしめ固定のための環状溝部31を有している。これらかしめ固定のための環状溝部22,31は、いずれもホルダ20の外周面および閉塞部材30の周面に周方向に沿って延びるように形成されている。
【0027】
ハウジング本体10は、ステンレス鋼や鉄鋼、アルミニウム合金、ステンレス合金等の金属製の部材にて構成されていてもよいし、SPCEに代表される圧延鋼板をプレス加工することで円筒状に成形したプレス成形品にて構成されていてもよい。また、ハウジング本体10は、STKMに代表される電縫管にて構成されていてもよい。
【0028】
特に、ハウジング本体10を圧延鋼板のプレス成形品や電縫管にて構成した場合には、ステンレス鋼や鉄鋼等の金属製の部材を用いた場合に比べて安価にかつ容易にハウジング本体10を形成することができるとともに、大幅な軽量化が可能になる。
【0029】
一方、ホルダ20および閉塞部材30は、ステンレス鋼や鉄鋼、アルミニウム合金、ステンレス合金等の金属製の部材にて構成されている。
【0030】
ホルダ20は、ハウジング本体10の軸方向の一方の開口端を閉塞するようにハウジング本体10に固定されている。具体的には、ハウジング本体10の上記一方の開口端にホルダ20が内挿された状態で、当該ホルダ20の外周面に設けられた環状溝部22に対応する部分のハウジング本体10が径方向内側に向けて縮径させられて当該環状溝部22に係合することにより、ホルダ20がハウジング本体10に対してかしめ固定されている。これにより、ハウジングの軸方向の一端部がホルダ20によって構成されることになる。
【0031】
閉塞部材30は、ハウジング本体10の軸方向の他方の開口端を閉塞するようにハウジング本体10に固定されている。具体的には、ハウジング本体10の上記他方の開口端に閉塞部材30が内挿された状態で、当該閉塞部材30の周面に設けられた環状溝部31に対応する部分のハウジング本体10が径方向内側に向けて縮径させられて当該環状溝部31に係合することにより、閉塞部材30がハウジング本体10に対してかしめ固定されている。これにより、ハウジングの軸方向の他端部が閉塞部材30によって構成されることになる。
【0032】
これらかしめ固定は、ハウジング本体10を径方向内側に向けて略均等に縮径させる八方かしめと呼ばれるかしめ固定である。この八方かしめを行なうことにより、ハウジング本体10には、かしめ部12,13が設けられることになる。これにより、かしめ部12,13は、それぞれ環状溝部22,31に直接接触することになり、これらの間に隙間が生じることが防止されている。
【0033】
なお、ハウジング本体10に対するホルダ20および閉塞部材30の組付構造は、上述した組付構造に限定されるものではなく、他の組付構造を採用することとしてもよい。また、ハウジング本体10と閉塞部材30とを別体とはせずに、有底筒状の形状を有する一つの部材にてこれらを構成することとしてもよい。
【0034】
図1および
図2に示すように、点火器40は、ホルダ20によって支持されることでハウジングの軸方向の上述した一端部に組付けられている。点火器40は、ガス発生剤80を燃焼させるためのものであり、ハウジングの内部の空間に面するように設置されている。
【0035】
点火器40は、点火部41と、一対の端子ピン42とを含んでいる。点火部41の内部には、一対の端子ピン42に接続するように抵抗体(ブリッジワイヤ)が取付けられており、この抵抗体を取り囲むようにまたはこの抵抗体に接するように点火部41内に点火薬が充填されている。また、点火部41内には、必要に応じて伝火薬が装填されていてもよい。
【0036】
ここで、抵抗体としては、一般にニクロム線やプラチナおよびタングステンを含む合金製の抵抗線等が用いられ、点火薬としては、一般にZPP(ジルコニウム・過塩素酸カリウム)、ZWPP(ジルコニウム・タングステン・過塩素酸カリウム)、鉛トリシネート等が用いられる。また、伝火薬としては、B/KNO
3、B/NaNO
3、Sr(NO
3)
2等に代表される金属粉/酸化剤からなる組成物や、水素化チタン/過塩素酸カリウムからなる組成物、B/5−アミノテトラゾール/硝酸カリウム/三酸化モリブデンからなる組成物等が用いられる。なお、点火部41の外表面を規定するスクイブカップは、一般に金属製またはプラスチック製である。
【0037】
衝突を検知した際には、端子ピン42を介して抵抗体に所定量の電流が流れる。抵抗体に所定量の電流が流れることにより、抵抗体においてジュール熱が発生し、点火薬が燃焼を開始する。燃焼により生じた高温の熱粒子は、点火薬を収納しているスクイブカップを破裂させる。抵抗体に電流が流れてから点火器40が作動するまでの時間は、抵抗体にニクロム線を利用した場合には一般に2ミリ秒以下である。
【0038】
点火器40の点火部41には、略筒状の金属製の燃焼制御カバー43が外挿されている。燃焼制御カバー43は、作動時において点火器40にて発生する熱粒子を効率的にガス発生剤80に導くためのものであり、より詳細には、点火器40の点火部41にて発生する熱粒子の進行方向に指向性を与えるものである。
【0039】
具体的には、点火部41が燃焼制御カバー43によって取り囲まれていることにより、点火部41の外表面を規定するスクイブカップの破裂の際に、当該スクイブカップのうちのガス発生剤80側に位置する先端部において主として開口が形成されることになり、これに伴って点火部41にて発生する熱粒子の進行方向がハウジング本体10の軸方向に絞られることになる。
【0040】
そのため、上述した如くの燃焼制御カバー43を設けることにより、点火器40で発生する熱粒子を効率的にガス発生剤80に導くことが可能になる。
【0041】
なお、点火器40および燃焼制御カバー43は、ホルダ20に設けられたかしめ部23によってホルダ20に固定されている。より詳細には、ホルダ20は、点火器40および燃焼制御カバー43をかしめ固定するためのかしめ部23をハウジングの内部の空間に面する方の軸方向端部に有しており、燃焼制御カバー43が取付けられた点火器40が貫通部21に内挿されてホルダ20の貫通部21を規定する部分の壁部に当て留めされた状態で上述したかしめ部23がかしめられることにより、点火器40および燃焼制御カバー43がホルダ20に挟持されて固定される。
【0042】
ホルダ20の外部に露出する方の軸方向端部には、上述した貫通部21に連続する窪み部24が設けられている。窪み部24は、点火器40とコントロールユニット(不図示)とを結線するためのハーネスの雄型コネクタ(図示せず)を受け入れる雌型コネクタ部を形成しており、当該窪み部24内には、点火器40の端子ピン42の先端寄りの部分が露出して位置している。当該雌型コネクタ部としての窪み部24には、雄型コネクタが挿し込まれ、これによりハーネスの芯線と端子ピン42との電気的導通が実現される。
【0043】
図1および
図3に示すように、ハウジングの内部の空間の所定位置には、仕切り部材50が配置されている。仕切り部材50は、ハウジングの内部の空間を軸方向において燃焼室S1とフィルタ室S2とに仕切るための部材である。
【0044】
仕切り部材50は、有底円筒状の形状を有しており、たとえばステンレス鋼や鉄鋼、アルミニウム合金、ステンレス合金等の金属製の部材にて構成されている。仕切り部材50は、ハウジング本体10の軸方向に直交するように配置された平板状の隔壁部51と、当該隔壁部51の周縁から立設された筒板状の環状壁部52とを有している。仕切り部材50は、その隔壁部51の外側の主面がフィルタ90に当接するように配置されており、環状壁部52の外周面は、ハウジング本体10の内周面に当接している。
【0045】
隔壁部51のフィルタ90に当接する主面には、スコア51aが設けられている。スコア51aは、ガス発生剤80の燃焼による燃焼室S1の内圧上昇に伴って当該隔壁部51が開裂して開口部が形成されるようにするためのものであり、たとえば放射状に互いに交差するように設けられた複数の溝にて構成される。スコア51aは、フィルタ90のうちの中空部91に対向する部分に設けられている。
【0046】
図1ないし
図3に示すように、ハウジングの内部の空間のうち、ホルダ20と仕切り部材50とによって挟まれた空間(すなわち燃焼室S1)には、コイルバネ60と、密閉容器70が配置されている。また、密閉容器70の内部の空間であるガス発生剤収容室S1Aには、ガス発生剤80と、オートイグニッション剤81と、区画部材82と、コイルバネ83とが収容されている。
【0047】
密閉容器70は、内部に収容されたガス発生剤80を封止するためのものであり、点火器40が作動することによって発生する熱または圧力によって溶融または破裂する脆弱な部材にて構成されている。密閉容器70は、両端が閉塞された略円筒状の形状を有しており、ハウジングと略同軸上に配置されている。
【0048】
より詳細には、密閉容器70は、カップ体71とカバー体72とを含んでおり、これらカップ体71とカバー体72とが接合されることにより、密閉容器70の内部には、上述したガス発生剤収容室S1Aが形成されている。
【0049】
カップ体71は、平板状の頂壁部71aと、当該頂壁部71aの周縁から延びる筒状の側壁部71bとを有している。一方、カバー体72は、カップ体71の開口端71b1に挿入されることでカップ体71の内部に位置する平板状の底部72aと、当該底部72aの周縁から延び、カップ体71の開口端71b1の内周面、端面および外周面を覆うようにその一部が曲成された巻き込み部72bとを有している。上述したガス発生剤収容室S1Aは、カップ体71の頂壁部71aおよび側壁部71bならびにカバー体72の底部72aによって主として規定されている。
【0050】
ここで、カップ体71の開口端71b1を覆うように設けられた巻き込み部72bには、第1かしめ部72b1および第2かしめ部72b2(
図4参照)が設けられており、これによりカバー体72がカップ体71に固定されることになるが、当該開口端71b1および巻き込み部72bによって構成された接合部の構成の詳細については、後述することとする。
【0051】
密閉容器70は、カップ体71の頂壁部71aが仕切り部材50側に位置するとともに、カバー体72の底部72aがホルダ20側に位置するようにハウジング本体10に挿入されている。これにより、カバー体72の底部72aは、点火器40の点火部41に面している。
【0052】
より詳細には、密閉容器70の頂壁部71aが位置する側の端部は、仕切り部材50の内部に挿入されることで当該仕切り部材50に嵌合しており、密閉容器70の底部72aが位置する側の端部は、ハウジング本体10に遊嵌されている。これにより、密閉容器70は、ハウジング本体10に対して位置決めされて固定されることになり、ハウジング本体10の内周面から所定の距離だけ離れて配置されることになる。
【0053】
そのため、ハウジングの周壁部を構成するハウジング本体10と、密閉容器70の側壁部71bとの間には、所定の大きさの空間である断熱層S1Bが形成されることになり、当該断熱層S1Bは、燃焼室S1の軸方向に沿って略円筒状に延在することになる。なお、断熱層S1Bの機能については、後述することとする。
【0054】
密閉容器70の内部に形成されたガス発生剤収容室S1Aのうち、仕切り部材50側の端部には、オートイグニッション剤81および区画部材82が配置されており、ホルダ20側の端部には、コイルバネ83が配置されている。一方、密閉容器70の内部に形成されたガス発生剤収容室S1Aのうち、仕切り部材50側の端部とホルダ20側の端部とを除く部分には、ガス発生剤80が配置されている。
【0055】
区画部材82は、ガス発生剤収容室S1Aを軸方向において区画するための部材であり、作動時においてガス発生剤80の燃焼に伴ってこれが破裂または溶融するように比較的脆弱な部材にて構成されており、たとえば銅やアルミニウム、銅合金、アルミニウム合金等の金属製のプレス成形品や、射出成形やシート成形等によって形成された樹脂成形品等からなるカップ状の部材からなる。
【0056】
区画部材82は、ガス発生剤80およびオートイグニッション剤81の双方に接触してこれらによって挟み込まれるように位置している。なお、区画部材82の外周面は、密閉容器70の側壁部71bに当接していることが好ましい。
【0057】
ガス発生剤80は、点火器40が作動することによって生じた熱粒子によって着火されて燃焼することでガスを発生させる薬剤である。ガス発生剤80としては、非アジド系ガス発生剤を用いることが好ましく、ガス発生剤80は、一般に燃料と酸化剤と添加剤とを含む成形体として構成される。
【0058】
燃料としては、たとえばトリアゾール誘導体、テトラゾール誘導体、グアニジン誘導体、アゾジカルボンアミド誘導体、ヒドラジン誘導体等またはこれらの組み合わせが利用される。具体的には、たとえばニトログアニジンや硝酸グアニジン、シアノグアニジン、5−アミノテトラゾール等が好適に利用される。
【0059】
酸化剤としては、たとえば塩基性硝酸銅等の塩基性硝酸塩や、過塩素酸アンモニウム、過塩素酸カリウム等の過塩素酸塩、アルカリ金属、アルカリ土類金属、遷移金属、アンモニアから選ばれたカチオンを含む硝酸塩等が利用される。硝酸塩としては、たとえば硝酸ナトリウム、硝酸カリウム等が好適に利用される。
【0060】
添加剤としては、バインダやスラグ形成剤、燃焼調整剤等が挙げられる。バインダとしては、たとえばカルボキシメチルセルロースの金属塩、ステアリン酸塩等の有機バインダや、合成ヒドロタルサイト、酸性白土等の無機バインダが好適に利用可能である。スラグ形成剤としては、窒化珪素、シリカ、酸性白土等が好適に利用可能である。燃焼調整剤としては、金属酸化物、フェロシリコン、活性炭、グラファイト等が好適に利用可能である。
【0061】
ガス発生剤80の成形体の形状には、顆粒状、ペレット状、円柱状等の粒状のもの、ディスク状のものなど様々な形状のものがある。また、円柱状のものでは、成形体内部に貫通孔を有する有孔状(たとえば単孔筒形状や多孔筒形状等)の成形体も利用される。これらの形状は、シリンダ型ガス発生器1が組み込まれるエアバッグ装置の仕様に応じて適宜選択されることが好ましく、たとえばガス発生剤80の燃焼時においてガスの生成速度が時間的に変化する形状を選択するなど、仕様に応じた最適な形状を選択することが好ましい。また、ガス発生剤80の形状の他にもガス発生剤80の線燃焼速度、圧力指数などを考慮に入れて成形体のサイズや充填量を適宜選択することが好ましい。
【0062】
オートイグニッション剤81は、点火器40の作動に依らずに自動発火する薬剤であり、密閉容器70の頂壁部71aに当接するように配置されている。より詳細には、オートイグニッション剤81は、偏平円柱状に成形されたペレットからなり、密閉容器70の頂壁部71aと区画部材82とによって挟み込まれることにより、これら頂壁部71aおよび区画部材82に接触している。
【0063】
オートイグニッション剤81は、ガス発生剤80よりも低い温度で自然発火する薬剤であり、シリンダ型ガス発生器1が組み込まれたエアバッグ装置が装備された車両等において万が一火災等が発生した場合に、シリンダ型ガス発生器1が外部から加熱されることによって異常動作が誘発されないようにするためのものである。
【0064】
コイルバネ83は、成形体からなるガス発生剤80が振動等によって粉砕されてしまうことを防止する目的で設けられるものであり、金属線材を曲げ加工することによって形成されたバネ部83aおよび押圧部83bを有している。バネ部83aは、その一端が密閉容器70の底部72aに当接するように配置されており、その他端に押圧部83bが形成されている。押圧部83bは、たとえば金属線材が所定の間隔をもって略平行に配置されることで構成されており、ガス発生剤80に当接している。
【0065】
これにより、ガス発生剤80は、コイルバネ83によって仕切り部材50側に向けて弾性付勢されることになり、密閉容器70の内部において移動してしまうことが防止されている。なお、上述した如くのコイルバネ83に代えて、たとえばセラミックスファイバの成形体やロックウール、発泡樹脂(たとえば発泡シリコーン、発泡ポリプロピレン、発泡ポリエチレン等)、クロロプレンおよびEPDMに代表されるゴム等からなる部材からなるクッション材を利用することとしてもよい。
【0066】
燃焼室S1のうち、密閉容器70よりもホルダ20側に位置する空間には、上述したコイルバネ83とは別部品である弾性体としてのコイルバネ60が配置されている。コイルバネ60は、ハウジングの内部に収容される各種の構成部品の寸法ばらつきを吸収するための部材であり、上述したコイルバネ83とは異なり、当該コイルバネ83が有する如くの押圧部83bを有していない一般的なバネ部材によって構成されている。
【0067】
より詳細には、コイルバネ60は、その一端がホルダ20に当接するように配置されており、その他端が密閉容器70のホルダ20側の端部に位置する巻き込み部72bの先端に当接するように配置されている。これにより、密閉容器70は、コイルバネ60によって仕切り部材50側に向けて弾性付勢されることになり、上述した仕切り部材50とコイルバネ60とによって挟持されることでハウジングに対して固定されることになる。
【0068】
なお、上述した如くのコイルバネ60に代えて、たとえばセラミックスファイバの成形体やロックウール、発泡樹脂(たとえば発泡シリコーン、発泡ポリプロピレン、発泡ポリエチレン等)、クロロプレンおよびEPDMに代表されるゴム等からなる部材からなるクッション材等の他の弾性体にて、密閉容器70をハウジングに対して固定することとしてもよい。
【0069】
図1に示すように、ハウジングの内部の空間のうち、閉塞部材30と仕切り部材50とによって挟まれた空間(すなわちフィルタ室S2)には、フィルタ90が配置されている。フィルタ90は、ハウジング本体10の軸方向と同方向に延びる中空部91を有する円筒状の部材からなり、その軸方向の一方の端面が閉塞部材30に当接しており、その軸方向の他方の端面が仕切り部材50に当接している。
【0070】
フィルタ90は、ガス発生剤80が燃焼することによって発生したガスがこのフィルタ90中を通過する際に、ガスが有する高温の熱を奪い取ることによってガスを冷却する冷却手段として機能するとともに、ガス中に含まれるスラグ(残渣)等を除去する除去手段としても機能する。上述したように円筒状の部材からなるフィルタ90を利用することにより、作動時においてフィルタ室S2を流動するガスに対する流動抵抗が低く抑えられることになり、効率的なガスの流動が実現可能となる。
【0071】
フィルタ90としては、好適にはステンレス鋼や鉄鋼等からなる金属線材または金属網材の集合体にて構成されたものが利用できる。具体的には、メリヤス編みの金網や平織りの金網、クリンプ織りの金属線材の集合体、またはこれらをプレスにより押し固めたもの等が利用できる。
【0072】
また、フィルタ90として、孔あき金属板を巻き回したもの等を利用することもできる。この場合、孔あき金属板としては、たとえば、金属板に千鳥状に切れ目を入れるとともにこれを押し広げて孔を形成して網目状に加工したエキスパンドメタルや、金属板に孔を穿つとともにその際に孔の周縁に生じるバリを潰すことでこれを平坦化したフックメタル等が利用できる。
【0073】
フィルタ室S2を規定する部分のハウジング本体10には、ガス噴出口11が周方向および軸方向に沿って複数個設けられている。これら複数個のガス噴出口11は、フィルタ90を通過した後のガスをハウジングの外部に導出するためのものである。
【0074】
次に、
図1を参照して、本実施の形態におけるシリンダ型ガス発生器1の作動時における動作について説明する。
【0075】
図1を参照して、本実施の形態におけるシリンダ型ガス発生器1が搭載された車両が衝突した場合には、車両に別途設けられた衝突検知手段によって衝突が検知され、これに基づいて車両に別途設けられたコントロールユニットからの通電によって点火器40が作動する。
【0076】
点火器40が作動すると、点火薬またはこれに加えて伝火薬が燃焼することによって点火部41内の圧力が上昇し、これによって点火部41が破裂して熱粒子が点火部41の外部へと流出する。
【0077】
点火部41から流出した熱粒子には、上述した燃焼制御カバー43によって指向性が与えられ、これにより密閉容器70の底部72aへと至る。これにより、点火器40が作動することによって発生した熱または圧力によって密閉容器70の底部72aが溶融または破裂し、上述した熱粒子が、ガス発生剤80へと達する。
【0078】
ガス発生剤80に達した熱粒子は、ガス発生剤80を燃焼させ、これにより多量のガスが発生する。これに伴い、ガス発生剤収容室S1Aの圧力および温度が上昇し、密閉容器70の側壁部71bおよび区画部材82が破裂または溶融するとともに、オートイグニッション剤81が燃焼し、さらには密閉容器70の頂壁部71aが破裂または溶融する。
【0079】
ガス発生剤80が燃焼することにより、燃焼室S1全体の圧力がさらに上昇し、燃焼室S1の内圧が所定の圧力にまで達することにより、仕切り部材50のうちのスコア51aが設けられた部分に破断が生じる。これにより、フィルタ90の中空部91に対向する部分において仕切り部材50に連通孔が形成されることになり、燃焼室S1とフィルタ室S2とが当該連通孔を介して連通した状態となる。
【0080】
これに伴い、燃焼室S1において発生したガスが、仕切り部材50に形成された連通孔を介してフィルタ室S2へと流入する。フィルタ室S2に流れ込んだガスは、フィルタ90の中空部91を軸方向に沿って流動した後に径方向に向けて向きを変え、フィルタ90の内部を通流する。その際に、フィルタ90によって熱が奪われてガスが冷却されるとともに、ガス中に含まれるスラグがフィルタ90によって除去される。
【0081】
そして、フィルタ90を通流した後のガスは、ガス噴出口11を介してハウジングの外部へと噴出される。噴出されたガスは、シリンダ型ガス発生器1に隣接して設けられたエアバッグの内部に導入され、エアバッグを膨張および展開する。
【0082】
図4は、
図2に示す領域IVの拡大図である。次に、この
図4を参照して、上述したシリンダ型ガス発生器1の密閉容器70の接合部の構成について詳細に説明する。
【0083】
上述したように、本実施の形態におけるシリンダ型ガス発生器1においては、密閉容器70がカップ体71とカバー体72とによって構成されているとともに、カップ体71の開口端71b1がカバー体72の巻き込み部72bによって覆われることにより、これら開口端71b1および巻き込み部72bによって接合部が構成されている。
【0084】
ここで、カップ体71およびカバー体72は、いずれも点火器40が作動することによって発生する熱または圧力によって溶融または破裂する脆弱な部材にて構成されている。より詳細には、カバー体72は、点火器40が作動することで点火薬またはこれに加えて伝火薬が燃焼し、点火薬またはこれに加えて伝火薬が燃焼することで発生する熱または圧力によって溶融または破裂する脆弱な部材にて構成されており、カップ体71は、点火器40が作動することでガス発生剤80が燃焼し、ガス発生剤80が燃焼することで発生する熱または圧力によって溶融または破裂する脆弱な部材にて構成されている。
【0085】
具体的には、カップ体71およびカバー体72は、たとえば銅やアルミニウム、銅合金、アルミニウム合金等の金属製のプレス成形品にて構成されていることが好ましく、これらが上述した接合部において接合されることにより、内部に収容されたガス発生剤80が外部から気密に封止されることになる。
【0086】
図4に示すように、カバー体72の底部72aから立設された部分の巻き込み部72bは、カップ体71の開口端71b1の内周面に当接するように位置しており、当該部分の巻き込み部72bの先端には、カップ体71の開口端71b1の端面を覆うように曲成された折り返し部が設けられている。また、当該折り返し部から延設された部分の巻き込み部72bは、カップ体71の開口端71b1の外周面に当接するように位置しており、当該部分の巻き込み部72bの先端は、ガス発生剤収容室S1Aを規定する部分のカップ体71の側壁部71bにまで達している。
【0087】
ここで、巻き込み部72bのうち、カップ体71の開口端71b1の外周面を覆う部分であってかつカバー体72の底部72aに隣接する位置のガス発生剤収容室S1Aを規定する部分のカップ体71の側壁部71bに対応した部分には、当該巻き込み部72bを径方向内側に向けて縮径させることで形成された第1かしめ部72b1が位置している。
【0088】
また、巻き込み部72bのうち、カップ体71の開口端71b1の外周面を覆う部分であってかつカップ体71の開口端71b1の内周面を覆う部分の巻き込み部72bに対向した部分には、当該巻き込み部72bを径方向内側に向けて縮径させることで形成された第2かしめ部72b2が位置している。
【0089】
このように、カバー体72の巻き込み部72bを2箇所の位置においてかしめることにより、カップ体71に対するカバー体72の接合強度が高まることになり、簡素な構成にて密閉容器70によるガス発生剤80の封止性能を大幅に高めることが可能になる。したがって、密閉容器70のハウジング本体10に対する組付けの際に、カップ体71の開口端71b1およびカバー体72の巻き込み部72bによって構成された接合部に外力が加わった場合にも、ガス発生剤80の密閉性が損なわる程度にまで接合部が破損することが防止できることになる。
【0090】
特に、本実施の形態におけるシリンダ型ガス発生器1においては、密閉容器70のハウジング本体10に対する組付け後において、上述したようにコイルバネ60の一方の端部が密閉容器70の巻き込み部72bの先端(すなわち、巻き込み部72bの上述した曲成された部分)に当接するように配置されることになるが、その際にも、ガス発生剤80の密閉性が損なわる程度にまで接合部が破損することが抑制できることになる。
【0091】
また、本実施の形態におけるシリンダ型ガス発生器1においては、カップ体71の側壁部71bを構成する部分の板厚をt1とし、カバー体72の巻き込み部72bを構成する部分の板厚をt2とした場合に、これら板厚t1,t2が、t1<t2の条件を満たしている。すなわち、カバー体72の巻き込み部72bを構成する部分の板厚t2が、カップ体71の側壁部71bを構成する部分の板厚t1よりも大きい。
【0092】
より詳細には、カップ体71の側壁部71bを構成する部分の板厚t1は、ガス発生剤80が燃焼することで発生する熱または圧力によって確実に溶融または破裂するように、相対的にその板厚が小さく構成されており、たとえば0.15mm以上0.25mm以下とされることが好ましい。ここで、本実施の形態においては、当該板厚t1が、0.20mmとされている。
【0093】
一方、カバー体72の巻き込み部72bを構成する部分の板厚t2は、カバー体72が点火薬またはこれに加えて伝火薬が燃焼することで発生する熱または圧力が直接的に作用し、そのためこれら熱または圧力によって比較的容易に溶融または破裂することを考慮し、相対的にその板厚が大きく構成されており、上記板厚t1よりも大きいことを条件に、たとえば0.25mm以上0.35mm以下とされることが好ましい。ここで、本実施の形態においては、当該板厚t2が、0.30mmとされている。
【0094】
このように、点火器40が作動することで発生する熱または圧力が直接的に作用するカバー体72の巻き込み部72bを構成する部分の板厚t2を、点火器40が作動することで発生する熱または圧力が直接的に作用することはなく、点火器40が作動することでガス発生剤80が燃焼し、ガス発生剤80が燃焼することで発生する熱または圧力が作用するカップ体71の側壁部71bを構成する部分の板厚t1よりも大きくすることにより、シリンダ型ガス発生器1の確実な動作を保証しつつ、カップ体71の開口端71b1およびカバー体72の巻き込み部72bによって構成された接合部の剛性を高めることができる。
【0095】
そのため、当該構成を採用することにより、接合部の剛性が高まってカップ体71に対するカバー体72の接合強度が高まることになり、簡素な構成にて密閉容器70によるガス発生剤80の封止性能を大幅に高めることが可能になる。したがって、密閉容器70のハウジング本体10に対する組付けの際に、カップ体71の開口端71b1およびカバー体72の巻き込み部72bによって構成された接合部に外力が加わった場合にも、ガス発生剤80の密閉性が損なわる程度にまで接合部が破損することが防止できることになる。
【0096】
特に、本実施の形態におけるシリンダ型ガス発生器1においては、密閉容器70のハウジング本体10に対する組付け後において、上述したようにコイルバネ60の一方の端部が密閉容器70の巻き込み部72bの先端(すなわち、巻き込み部72bの上述した曲成された部分)に当接するように配置されることになるが、その際にも、ガス発生剤80の密閉性が損なわる程度にまで接合部が破損することが抑制できることになる。
【0097】
以上において説明したように、本実施の形態におけるシリンダ型ガス発生器1とすることにより、簡素な構成にて密閉容器70によるガス発生剤80の封止性能を大幅に高めることが可能になり、これにより所望のガス出力を得ることが可能とされたシリンダ型ガス発生器とすることができる。
【0098】
ここで、上述したように、本実施の形態におけるシリンダ型ガス発生器1においては、ガス発生剤80が収容された密閉容器70とハウジング本体10との間に円筒状の形状を有する断熱層S1Bが設けられている。このように構成することにより、当該シリンダ型ガス発生器1が組み込まれたエアバッグ装置が装備された車両等において火災等が発生した場合にも、ガス発生剤80が外部から加熱されて昇温してしまうことが効果的に抑制できることになる。
【0099】
すなわち、ガス発生剤80が収容された密閉容器70の径方向外側の部分に断熱層S1Bが設けられることにより、当該断熱層S1Bが熱抵抗となってハウジング本体10の熱がガス発生剤80に伝熱され難くなり、結果としてガス発生剤80の昇温を抑制することができる。
【0100】
ここで、断熱層S1Bは、ハウジング本体10の熱伝導率よりも低い熱伝導率を有していることが好ましく、本実施の形態においては、空気層にて構成されている。しかしながら、断熱層S1Bは、必ずしも空気層である必要はなく、他の気体が充填された気体層によって構成されていてもよいし、真空層にて構成されていてもよい。さらには、この他にも、各種の断熱部材を当該空間に配置することで断熱層S1Bを構成してもよい。
【0101】
一方で、オートイグニッション剤81は、ハウジング本体10との間で金属製の部材である区画部材82、金属製の部材である密閉容器70の頂壁部71a寄りの端部および金属製の部材である仕切り部材50を介して実質的に最短経路で熱的に接触しているため、火災等が発生した場合に当該オートイグニッション剤81が効率的に加熱されることになる。
【0102】
このように本実施の形態におけるシリンダ型ガス発生器1においては、ガス発生剤80については、これに対して外部からの熱が伝わり難くなるように構成されているとともに、オートイグニッション剤81については、これに対して外部からの熱が伝わり易くなるように構成されている。
【0103】
そのため、車両等において火災等が発生した場合において、オートイグニッション剤81が自動発火することで開始されるオートイグニッション動作の発現のタイミングが早められることになり、結果として、当該オートイグニッション動作が発現する際のガス発生剤80の温度を相対的に低く抑えることができる。したがって、オートイグニッション動作時のハウジングの内圧の上昇を大幅に抑制することが可能になる。
【0104】
これにより、ハウジングの破損がより確実に防止できるばかりでなく、ハウジングに要求される耐圧をより低く抑えることも可能になり、結果としてハウジングの厚み(特にハウジング本体10の厚み)を薄型化することが可能となり、シリンダ型ガス発生器を従来に比して小型軽量化することもできる。
【0105】
したがって、上記構成を採用することにより、従来に比して小型軽量化が可能であるとともに、より安全性が高められたシリンダ型ガス発生器1とすることができる。
【0106】
なお、オートイグニッション剤81に対して外部からの熱をより伝わり易くするためには、密閉容器70の頂壁部71a側に位置する側壁部71bの端部を仕切り部材50の環状壁部52に当接させるのみならず、図示するようにさらに密閉容器70の頂壁部71aの外面を仕切り部材50の隔壁部51に当接させることが好ましい。
【0107】
ここで、
図1ないし
図4に示すように、当該断熱層S1Bをハウジングの内部に形成するためには、密閉容器70の側壁部71bがハウジング本体10の内周面から所定の距離(すなわち、
図3および
図4において示す距離d)をもって位置することとなるように、密閉容器70がハウジングに対して位置決めして組付けられていることが必要である。
【0108】
この点、本実施の形態においては、上述したように、密閉容器70の頂壁部71aが位置する側の端部が仕切り部材50の内部に挿入されることで当該仕切り部材50に嵌合するとともに、密閉容器70の底部72aが位置する側の端部がハウジング本体10に遊嵌されることにより、上記位置決めが可能に構成されている。
【0109】
すなわち、
図3に示すように、仕切り部材50の環状壁部52の厚みを上記距離dと同じ大きさとすることにより、密閉容器70の頂壁部71aが位置する側の端部およびその近傍において、密閉容器70の側壁部71bがハウジング本体10の内周面から距離dだけ離れて位置することになる。
【0110】
一方、
図4に示すように、密閉容器70の底部72aが位置する側の端部は、ハウジング本体10の内周面に当接した状態にはないが、カップ体71の開口端71b1の外周面を覆う部分の巻き込み部72bの板厚t2分だけ、密閉容器70の底部72aが位置する側の端部がハウジング本体10の内周面に近づいた状態で位置することになる。
【0111】
そのため、上述したように当該巻き込み部72bを含む部分の密閉容器70の端部をハウジング本体10に遊嵌することのみによっても、密閉容器70の底部72aが位置する側の端部近傍において、密閉容器70の側壁部71bをハウジング本体10の内周面からおおよそ距離dだけ離れた状態で配置することが可能になる。
【0112】
ここで、上述したように、カバー体72の巻き込み部72bを構成する部分の板厚t2をカップ体71の側壁部71bを構成する部分の板厚t1よりも大きくすることにより、巻き込み部72bを含む部分の密閉容器70の端部とハウジング本体10との間の隙間(いわゆる遊び)の大きさが当該板厚t2分だけ小さくなることになり、上述した位置決め効果をより高く得ることができる。
【0113】
また、上述したように、巻き込み部72bのうち、カップ体71の開口端71b1の外周面を覆う部分であってかつカップ体71の開口端71b1の内周面を覆う部分の巻き込み部72bに対向した部分に第2かしめ部72b2を設けることにより、そのかしめ加工の際の加圧流動により、当該第2かしめ部72b2に隣接する部分の巻き込み部72bが僅かではあるが外側に迫り出すことにもなり、その分だけ上述した隙間(いわゆる遊び)の大きさが小さくなることにもなり、この点においても上述した位置決め効果をより高く得ることができる。
【0114】
したがって、当該構成を採用することにより、密閉容器70の点火器40側の端部に仕切り部材50の如くのスペーサ部材を配置しなくとも、ハウジングの内部に所定の大きさの断熱層S1Bを確実に形成することが可能になり、部品点数の削減とシリンダ型ガス発生器の小型軽量化が図れることになる。
【0115】
なお、本実施の形態におけるシリンダ型ガス発生器1においては、燃焼室S1自体が外部から気密に封止されるようにハウジングの各所にOリング等のシール材が設けられた構成とはされておらず、燃焼室S1内に設置された密閉容器70により、ガス発生剤80が配置されたガス発生剤収容室S1Aを独立して外部から気密に封止する構成とされている。そのため、密閉容器70には、孔は一切設けられていない。
【0116】
したがって、本実施の形態におけるシリンダ型ガス発生器1は、周壁に孔が設けられた筒状体をハウジングに同軸上に介装してなるいわゆる2筒式のシリンダ型ガス発生器とは、その構成が相違するものである。
【0117】
上述した本発明の実施の形態においては、ハウジングの内部であってかつ密閉容器の径方向外側に断熱層が形成されるように構成してなるシリンダ型ガス発生器に本発明を適用した場合を例示して説明を行なったが、当該断熱層は必ずしも必須の構成ではない。すなわち、本発明は、上述した如くの断熱層が設けられていないシリンダ型ガス発生器にも当然に適用することができ、その場合には、密閉容器がハウジング本体に圧入されることでハウジング本体の内周面に密閉容器の側壁部が当接することになる。
【0118】
また、上述した本発明の実施の形態においては、ガス発生剤のみならず、オートイグニッション剤、区画部材およびコイルバネを密閉容器に収容してなるシリンダ型ガス発生器に本発明を適用した場合を例示して説明を行なったが、必ずしもこのように構成する必要はなく、少なくともガス発生剤が密閉容器に収容されていればよい。
【0119】
また、上述した本発明の実施の形態においては、点火器の点火部内に点火薬のみまたは点火薬と伝火薬とが装填された場合を例示して説明を行なったが、伝火薬を装填する場合にこれが点火器の点火部内に装填されている必要は必ずしもなく、点火器の点火部とガス発生剤との間の位置にたとえばカップ状の部材や容器等を用いてこれが装填されていてもよい。
【0120】
また、上述した本発明の実施の形態においては、本発明をサイドエアバッグ装置に組み込まれるシリンダ型ガス発生器に適用した場合を例示して説明を行なったが、本発明の適用対象はこれに限られるものではなく、カーテンエアバッグ装置やニーエアバッグ装置、シートクッションエアバッグ装置等に組み込まれるシリンダ型ガス発生器や、シリンダ型ガス発生器と同様に長尺状の外形を有するいわゆるT字型ガス発生器にもその適用が可能である。
【0121】
このように、今回開示した上記実施の形態はすべての点で例示であって、制限的なものではない。本発明の技術的範囲は特許請求の範囲によって画定され、また特許請求の範囲の記載と均等の意味および範囲内でのすべての変更を含むものである。