特許第6851187号(P6851187)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6851187
(24)【登録日】2021年3月11日
(45)【発行日】2021年3月31日
(54)【発明の名称】自動車用ルーフサイドウエザストリップ
(51)【国際特許分類】
   B60J 10/77 20160101AFI20210322BHJP
   B60J 10/16 20160101ALI20210322BHJP
   B60J 10/248 20160101ALI20210322BHJP
   B60J 10/25 20160101ALN20210322BHJP
【FI】
   B60J10/77
   B60J10/16
   B60J10/248
   !B60J10/25
【請求項の数】7
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2016-226450(P2016-226450)
(22)【出願日】2016年11月22日
(65)【公開番号】特開2018-83473(P2018-83473A)
(43)【公開日】2018年5月31日
【審査請求日】2019年11月7日
(73)【特許権者】
【識別番号】000241463
【氏名又は名称】豊田合成株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100097076
【弁理士】
【氏名又は名称】糟谷 敬彦
(72)【発明者】
【氏名】山田 一貴
(72)【発明者】
【氏名】玉置 清隆
(72)【発明者】
【氏名】羽山 暢夫
【審査官】 菅 和幸
(56)【参考文献】
【文献】 特開2008−162474(JP,A)
【文献】 特開平10−264655(JP,A)
【文献】 特開平03−000522(JP,A)
【文献】 特開2003−054329(JP,A)
【文献】 実開平02−015513(JP,U)
【文献】 米国特許第09033394(US,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60J 10/77
B60J 10/16
B60J 10/248
B60J 10/25
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
サッシュレスドアタイプの自動車車体の車体開口部周縁のリテーナに取付けられ、車体開口部周縁とドアのドアガラスの周辺部との間をシールするルーフサイドウエザストリップにおいて、
上記ルーフサイドウエザストリップは、上記車体開口部周縁のリテーナに取付けられる取付基部と、該取付基部に一体的に形成され上記車体開口部周縁と上記ドアガラスとの間をシールするシール部を有し、
該シール部は、上記取付基部の内周側に一体的に形成され、上記ドアガラスの上端と当接しシールする中空状の車外側シール部と、上記ドアガラスの先端部の車内側側面に当接してシールする中空状の車内側シール部を分離して設け、
上記取付基部は、上記リテーナに取付けられ、少なくとも底壁と上記取付基部の車内側側端に一体的に形成される車内側側壁と、上記底壁の車外側側端に一体的に形成される車外側側壁を有し、
上記車内側シール部は、上記車内側側壁に一体的に形成され、上記車外側シール部は、上記底壁と上記車外側側壁に一体的に形成され、
上記車内側側壁は、車内側は車内側側壁車内側柱部を有し、車外側は車内側側壁第1車外側柱部を有し、内周側は車内側側壁第2車外側柱部を有し、外周側は車内側側壁根元部を有するとともに、上記車内側側壁車内側柱部、上記車内側側壁第1車外側柱部、上記車内側側壁第2車外側柱部及び上記車内側側壁根元部で囲まれた車内側側壁中空部を有し、上記車内側側壁第1車外側柱部と上記車内側側壁第2車外側柱部は、145〜160度の角度で連結され、
上記車内側シール部は、上記ルーフサイドウエザストリップの外周側に位置する車内側シール部外周壁と、内周側に位置する車内側シール部内周壁と、上記車内側シール部外周壁の先端と上記車内側シール部内周壁の先端が連結した車内側シール部先端部を有するとともに、上記車内側シール部外周壁と、上記車内側シール部内周壁と、上記車内側シール部先端部と、上記車内側側壁第2車外側柱部で囲まれた車内側シール部中空部を有し、上記車内側シール部外周壁の断面形状は、内周方向に凸に曲線状に湾曲して形成され、
上記車内側側壁の車外側面は、内周方向に行くにつれて上記ドアガラスとの間の間隔が広くなるように傾斜して形成されたことを特徴とする自動車用ルーフサイドウエザストリップ。
【請求項2】
上記車内側シール部外周壁の曲線状に湾曲して形成された内周方向の表面の最も凹んだ部分は、上記車内側シール部先端部の最先端部分よりも内周方向に位置する請求項1に記載の自動車用ルーフサイドウエザストリップ。
【請求項3】
上記車内側シール部外周壁は、肉厚が略一定である請求項1又は請求項2に記載の自動車用ルーフサイドウエザストリップ。
【請求項4】
上記車内側シール部先端部の外周方向の面は、外周方向に凸に膨らんで形成された請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の自動車用ルーフサイドウエザストリップ。
【請求項5】
上記車内側側壁の車外側面は、上記車内側側壁第1車外側柱部の車外側面であり、内周方向に行くにつれて上記ドアガラスとの間の間隔が広くなるように傾斜して形成された請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の自動車用ルーフサイドウエザストリップ。
【請求項6】
上記車内側シール部外周壁の根元部分は、上記車内側側壁第1車外側柱部と上記車内側側壁第2車外側柱部の連結部と連結し、上記車内側シール部内周壁の根元部分は、上記車内側側壁車内側柱部の先端部分と連結し、上記車内側シール部外周壁の根元部分が連結した部分よりも上記車内側シール部内周壁が連結した部分が車内側に位置する請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載の自動車用ルーフサイドウエザストリップ。
【請求項7】
上記車内側側壁車内側柱部と上記車内側側壁根元部は、ソリッド材で形成され、上記車内側シール部と上記車外側シール部はスポンジ材で形成された請求項1乃至請求項6のいずれか1項に記載の自動車用ルーフサイドウエザストリップ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車車体のドア開口縁の上部とドアのドアガラスとの間をシールする自動車用ルーフサイドウエザストリップに関する。
【背景技術】
【0002】
サッシュレスドアタイプの自動車車体として、ドアサッシュをなくして、ドア1のベルトライン部位よりも上部では、ドアガラス5だけを自由に昇降させることが行われている。これによって、自動車の側面では、ドア1のベルトライン部位から上の部分では、ドアガラス5のみの外観とすることができる。
【0003】
この場合に、車体のドア開口縁の上部とドアガラス5との間のシールは、図3に示すように、車体開口部周縁6の上部に取付けられたルーフサイドウエザストリップ110にドアガラス5が当接することにより行われる。車体開口部周縁6には、モール部としてのレールガーニッシュ2にリテーナ4が取付けられている。
【0004】
そのルーフサイドウエザストリップ110は、図4に示すように、車体開口部周縁6のリテーナ4に取り付けられる取付基部111と、ドアガラス5の上端と当接してシールするシール部150から構成される。取付基部111は、車外側側壁120、車内側側壁130と底壁140から構成されている。
【0005】
シール部150は、ドアガラス5の上端と当接するシール壁151と中空部152から形成され、ドアガラス5が当接すると、シール壁151が中空部152の内部に撓むとともにドアガラス5の上端を包み込むようにシールすることができる(例えば、特許文献1参照。)。なお、車体開口部周縁6のフランジには、トリム170が装着され、ルーフサイドウエザストリップ110から延設されたカバーリップ159が当接して隙間をカバーしている。
【0006】
しかしながら、この場合には、ドアガラス5は、サッシュドアのように、その上部と側部の外周縁をドアサッシュとガラスランで保持されることがなく、ドアガラス5の上端の位置がぶれやすくなるとともに、車外方向に撓みやすくなる。そのため、ドア閉時に、ドアガラス5がシール部150に当接する位置が変わり、シール部150が異常変形して、シール性が低下する場合があった。
【0007】
そのため、図5に示すように、中空のシール部を2つに分割して、ドアガラス5の上端と上端部の車内側側面の2箇所でシールして、ドアガラス5のそれぞれの当接方向に対して、分割したそれぞれのシール部でシールするようにしたものがある(例えば、特許文献2参照。)。
【0008】
図5においては、ルーフサイドウエザストリップ210は、車体開口部周縁6に取付ける取付基部211と、取付基部211に一体的に、分割して形成された2つのシール部である車外側シール部250と車内側シール部260から構成される。
取付基部211は、車外側側壁220、車内側側壁230と底壁240から構成される。
【0009】
車外側シール部250と車内側シール部260は、スポンジ材で形成されている。
車外側シール部250は取付基部211の車外側に形成され、車外側側壁220の上端と底壁240からそれぞれ延設されて中空状を形成し、ドアガラス5の先端と当接して、シールしている。
【0010】
見栄え向上のために、ルーフサイドウエザストリップ210の上下方向の幅を狭くすると、車内側シール部260と車外側シール部250との間隔が狭くなることがある。その場合において、ドアガラス5が上昇するときに、まず車内側シール部260に当接して、その後、車外側シール部250と当接すると、車内側シール部260の先端が屈曲して、車外側シール部250と当接する場合がある。
【0011】
その場合には、ドアガラス5の上昇時の荷重が急増することとなる。そのため、図5に示すように、車内側シール部260の外周方向のシール壁261に屈曲点を形成して、変形形状を制御しようとする試みがある。
しかしながら、単にシール壁261に屈曲点を形成したのみでは、ドアガラス5の上昇時の荷重が急増することについての対応は、不十分であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】特開2003−54329号公報
【特許文献2】特開2014−58277号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
このため、サッシュレスドアタイプの自動車において、見栄えが良く、ドアガラス5の上昇時の荷重が増大しないルーフサイドウエザストリップが求められていた。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記課題を解決するために請求項1の本発明は、サッシュレスドアタイプの自動車車体の車体開口部周縁のリテーナに取付けられ、車体開口部周縁とドアのドアガラスの周辺部との間をシールするルーフサイドウエザストリップにおいて、
ルーフサイドウエザストリップは、車体開口部周縁のリテーナに取付けられる取付基部と、取付基部に一体的に形成され車体開口部周縁とドアガラスとの間をシールするシール部を有し、
シール部は、取付基部の内周側に一体的に形成され、ドアガラスの上端と当接しシールする中空状の車外側シール部と、ドアガラスの先端部の車内側側面に当接してシールする中空状の車内側シール部を分離して設け、
取付基部は、リテーナに取付けられ、少なくとも底壁と取付基部の車内側側端に一体的に形成される車内側側壁と、底壁の車外側側端に一体的に形成される車外側側壁を有し、
車内側シール部は、車内側側壁に一体的に形成され、車外側シール部は、底壁と車外側側壁に一体的に形成され、
車内側側壁は、車内側は車内側側壁車内側柱部を有し、車外側は車内側側壁第1車外側柱部を有し、内周側は車内側側壁第2車外側柱部を有し、外周側は車内側側壁根元部を有するとともに、車内側側壁車内側柱部、車内側側壁第1車外側柱部、車内側側壁第2車外側柱部及び車内側側壁根元部で囲まれた車内側側壁中空部を有し、車内側側壁第1車外側柱部と車内側側壁第2車外側柱部は、145〜160度の角度で連結され、
車内側シール部は、ルーフサイドウエザストリップの外周側に位置する車内側シール部外周壁と、内周側に位置する車内側シール部内周壁と、車内側シール部外周壁の先端と車内側シール部内周壁の先端が連結した車内側シール部先端部を有するとともに、車内側シール部外周壁と、車内側シール部内周壁と、車内側シール部先端部と、車内側側壁第2車外側柱部で囲まれた車内側シール部中空部を有し、車内側シール部外周壁の断面形状は、内周方向に凸に曲線状に湾曲して形成され、
車内側側壁の車外側面は、内周方向に行くにつれてドアガラスとの間の間隔が広くなるように傾斜して形成されたことを特徴とする自動車用ルーフサイドウエザストリップである。
【0015】
請求項1の本発明では、ルーフサイドウエザストリップは、車体開口部周縁のリテーナに取付けられる取付基部と、取付基部に一体的に形成され車体開口部周縁とドアガラスとの間をシールするシール部を有する。このため、取付基部を車体開口部周縁のリテーナに取付けると、シール部の位置が固定して、確実にドアガラスと当接してシールすることができる。
【0016】
シール部は、取付基部の内周側に一体的に形成され、ドアガラスの上端と当接しシールする中空状の車外側シール部と、ドアガラスの先端部の車内側側面に当接してシールする中空状の車内側シール部を分離して設けている。このため、ドアガラスの上端と上端部の車内側側面で2重にシールすることができ、シール性を向上させることができる。
【0017】
また、中空状に形成されているため、柔軟に撓んで、シール性を向上させることができる。さらに、ドア閉時にドアガラスが横方向から当接しても、ドアガラスが昇降するときに、下から当接しても、車外側シール部と車内側シール部の変形が相互に影響することがなく、それぞれ独立にシールすることができ、シール性を確保することができる。
【0018】
取付基部は、リテーナに取付けられ、少なくとも底壁と取付基部の車内側側端に一体的に形成される車内側側壁を有している。このため、リテーナに取付基部を取付けると、底壁と車内側側壁をリテーナに保持することができ、車外側シール部と車内側シール部が安定して保持されて、車外側シール部と車内側シール部のシール性を確保することができる。
【0019】
車内側シール部は、車内側側壁に一体的に形成され、車外側シール部は、底壁と車外側側壁に一体的に形成されているため、車外側シール部と分離して車内側側壁に車内側シール部を形成することができる。
車内側側壁は、車内側は車内側側壁車内側柱部を有し、車外側は車内側側壁第1車外側柱部を有し、内周側は車内側側壁第2車外側柱部を有し、外周側は車内側側壁根元部を有する。このため、車内側側壁は、車内側側壁車内側柱部がリテーナに取付けられるとともに、車内側は車内側側壁車内側柱部と車内側側壁第1車外側柱部及び車内側側壁第2車外側柱部により車内側シール部を保持することができる。
車内側側壁車内側柱部、車内側側壁第1車外側柱部、車内側側壁第2車外側柱部及び車内側側壁根元部で囲まれた車内側側壁中空部を有する。このため、車内側側壁の重量を低減することができるとともに、ドアガラスが上昇したときに、車内側側壁第1車外側柱部が過度に撓むことを防止することにより車内側シール部の変形のばらつきを抑制して、安定した形状変形とシール反力を得ることができる。
車内側側壁第1車外側柱部と車内側側壁第2車外側柱部は、145〜160度の角度で連結されている。このため、ドアガラスが上昇したときに、中空形状を維持するとともに、車内側側壁第1車外側柱部と車内側側壁第2車外側柱部の連結部が車内側側壁中空部の内側に撓むことを抑制して、車内側シール部の変形によるシール反力を安定して発現させることにより、シール性を確保することができる。
車内側側壁第1車外側柱部と車内側側壁第2車外側柱部の連結角度が145度未満の場合には、車内側側壁第2車外側柱部と車内側側壁車内側柱部との連結部が、車内側シール部内周壁と離れた位置となることによりドアガラスの上昇により発生する車外側方向に車内側シール部内周壁を引っ張る力に対する抵抗力が低下し、車内側側壁カバーリップが浮き上がる不具合となる場合がある。連結角度が160度を超える場合には、車内側側壁第1車外側柱部や車内側側壁第2車外側柱部が変形することにより、車内側シール部のドアガラスの車内側面に対する反力が低下してしまう。
車内側シール部は、ルーフサイドウエザストリップの外周側に位置する車内側シール部外周壁と内周側に位置する車内側シール部内周壁と、車内側シール部外周壁の先端と車内側シール部内周壁の先端が連結した車内側シール部先端部を有し、車内側シール部外周壁と、車内側シール部内周壁と、車内側シール部先端部と、車内側側壁第2車外側柱部で囲まれた車内側シール部中空部を有している。このため、中空状の車内側シール部が容易に変形して、車内側シール部先端部がドアガラスに当接してシールすることができる。
【0020】
車内側シール部外周壁の断面形状は、内周方向に凸に曲線状に湾曲して形成されている。このため、ドアガラスの先端が車内側シール部に当接したときに、内周方向に曲線状に湾曲して形成されている部分が局所的ではなく、全体的に撓むことができ、車内側シール部先端部の回転軌跡を小回りにすることができ、ドアガラスの先端が当接したときに、車外側シール部に車内側シール部先端部が当接しにくくすることができる。また、車内側シール部外周壁の曲線状に湾曲して形成された部分から雨水を車外へ排出することができ、車内への雨水の侵入を防止できる。
【0021】
車内側側壁の車外側面は、内周方向に行くにつれてドアガラスとの間の間隔が広くなるように傾斜して形成されている。このため、ルーフサイドウエザストリップの縦方向の幅を小さくしても、車内側シール部先端部と車外側シール部の間の距離を大きくすることができ、ドアガラスの先端が当接したときに、車外側シール部に車内側シール部先端部が当接しにくくすることができる。
【0022】
請求項2の本発明は、車内側シール部外周壁の曲線状に湾曲して形成された内周方向の表面の最も凹んだ部分は、車内側シール部先端部の最先端部分よりも内周方向に位置する自動車用ルーフサイドウエザストリップである。
【0023】
請求項2の本発明では、車内側シール部外周壁の曲線状に湾曲して形成された内周方向の表面の最も凹んだ部分は、車内側シール部先端部の最先端部分よりも内周方向に位置する。このため、車内側シール部外周壁が撓みやすく、撓んだときに、車内側シール部先端部を根元側に引くように撓むため、車内側シール部先端部の回転軌跡を小回りにすることができ、ドアガラスの先端が当接したときに、車外側シール部に車内側シール部先端部が当接しにくくすることができる。
【0024】
請求項3の本発明は、車内側シール部外周壁は、肉厚が略一定である自動車用ルーフサイドウエザストリップである。
【0025】
請求項3の本発明では、車内側シール部外周壁は、肉厚が略一定であるため、車内側シール部外周壁の撓みやすさは均一であり、ドアガラスの先端が車内側シール部に当接したときに、車内側シール部外周壁が全体的に均一に撓んで、局所的に屈曲することがなく、車内側シール部先端部の回転軌跡を小回りにすることができ、車外側シール部に車内側シール部先端部が当接しにくくすることができる。
【0026】
請求項4の本発明は、車内側シール部先端部の外周方向の面は、外周方向に膨らんで形成された自動車用ルーフサイドウエザストリップである。
【0027】
請求項4の本発明では、車内側シール部先端部の外周方向の面は、外周方向に膨らんで形成されたため、車内側シール部先端部の剛性が大きくなり、ドアガラスの先端が車内側シール部に当接したときに、車内側シール部先端部が撓み難く、ドアガラスの車内側面に、車内側シール部先端部が確実に当接して、シール面圧を向上させることができる。また、車内側シール部先端部の剛性が高いため、ドアガラスの車内側面に当接した時の接触面積が小さく、ドアガラスの上昇によって引きずり上げられることがなく、車外側シール部との干渉を防止することができる。
【0033】
請求項5の本発明は、車内側側壁の車外側面は、車内側側壁第1車外側柱部の車外側面であり、内周方向に行くにつれてドアガラスとの間の間隔が広くなるように傾斜して形成された自動車用ルーフサイドウエザストリップである。
【0034】
請求項5の本発明では、車内側側壁の車外側面は、車内側側壁第1車外側柱部の車外側面であり、内周方向に行くにつれてドアガラスとの間の間隔が広くなるように傾斜して形成されている。このため、車内側側壁第1車外側柱部と車外側シール部との間の空間が大きくなり、ドアガラスの上昇時に、車内側側壁第1車外側柱部が撓まなくても、車内側シール部の先端部が回動することのできる空間を確保することができる。
【0035】
車内側側壁第1車外側柱部とドアガラスの上昇方向とのなす角度は、好ましくは5〜20度であり、更に好ましくは、7〜15度である。角度が5度未満の場合には、車内側側壁第1車外側柱部とドアガラスの車内側面との間の距離が小さくなるため、車内側シール部外周壁湾曲部の異常変形(座屈変形)が発生した場合には、反力が低下してシール性が低下する。角度が20度を超える場合には、車内側シール部全体の反力が低下してシール性が低下する。また、車内側シール部の反力が低下すると、ドアガラスの車外方向への押え力が低下するため、ドアガラスのバタつきにつながる場合がある。
【0036】
請求項6の本発明は、車内側シール部外周壁の根元部分は、車内側側壁第1車外側柱部と車内側側壁第2車外側柱部の連結部と連結し、車内側シール部内周壁の根元部分は、車内側側壁車内側柱部の先端部分と連結し、車内側シール部外周壁の根元部分が連結した部分よりも車内側シール部内周壁が連結した部分が車内側に位置する自動車用ルーフサイドウエザストリップである。
【0037】
請求項6の本発明では、車内側シール部外周壁の根元部分は、車内側側壁第1車外側柱部と車内側側壁第2車外側柱部の連結部と連結し、車内側シール部内周壁の根元部分は、車内側側壁車内側柱部の先端部分と連結し、車内側シール部外周壁の根元部分が連結した部分よりも車内側シール部内周壁が連結した部分が車内側に位置している。このため、車内側シール部内周壁を車内側シール部外周壁よりも長く形成することができ、ドアガラスが上昇して車内側シール部外周壁の変形時に、車内側シール部内周壁が車内側シール部外周壁の変形に追従して、シール性を確保することができる。
【0038】
請求項7の本発明は、車内側側壁車内側柱部と車内側側壁根元部は、ソリッド材で形成され、車内側シール部と車外側シール部はスポンジ材で形成された自動車用ルーフサイドウエザストリップである。
【0039】
請求項7の本発明では、車内側側壁車内側柱部と車内側側壁根元部は、ソリッド材で形成されているため、ルーフサイドウエザストリップをリテーナに安定して取付けることができ、車内側シール部を安定して保持することができる。
車内側シール部と車外側シール部はスポンジ材で形成されているため、ドアガラスの位置がずれても、ドアガラスに柔軟に当接してシール性を確保することができる。
【発明の効果】
【0040】
車内側シール部外周壁の断面形状は、内周方向に凸に曲線状に湾曲して形成されているため、ドアガラスの先端が車内側シール部に当接したときに、全体的に均一に撓むことができ、ルーフサイドウエザストリップの縦方向の幅を小さくしても、車内側シール部先端部の回転軌跡を小回りにすることができ、車外側シール部に車内側シール部先端部が当接しにくくすることができる。
【0041】
車内側側壁の車外側面は、内周方向に行くにつれてドアガラスとの間の間隔が広くなるように傾斜して形成されているため、車内側側壁の車外側面とドアガラスの車内側面の間の距離を大きくすることができ、ドアガラスの先端が当接したときに、車内側シール部の変形スペースを十分にとることができ、過度な変形による異常変形を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0042】
図1】本発明の実施の形態における、ルーフサイドウエザストリップを車体開口部周縁上部に取付けた状態の断面図であり、図3のA−A線に沿った断面図である。
図2】本発明の実施の形態における、ルーフサイドウエザストリップを車体開口部周縁上部に取付けて、ドアガラスが上昇した状態の断面図である。
図3】自動車の側面図である。
図4】従来のルーフサイドウエザストリップ断面図である。
図5】従来の他のルーフサイドウエザストリップ断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0043】
本発明の実施の形態を図1図3に基づき説明する。
図1図2は、本発明の実施の形態を示すものである。図3は、自動車の側面図である。図3に示すように、本発明のルーフサイドウエザストリップ10は、サッシュレスドアタイプの自動車に使用されるもので、自動車の側面のドア1であるフロントドアとリヤドアの両方のベルトライン部位よりも上部には、ドアサッシュがなくドアガラス5がほぼ全面に設けられ、ドアガラス5はドア1から上下に昇降することができる。
【0044】
図1は、図3のA−A線におけるレールガーニッシュ2とルーフサイドウエザストリップ10の取付状態を示す断面図であり、図2はドアガラス5が上昇してルーフサイドウエザストリップ10と当接してシールしている状態を示す断面図である。
車体のルーフサイドは、車体開口部周縁6の付近においては、ルーフから連続して車内側に屈曲して、ルーフサイドのインナーボディパネル3を形成している。このインナーボディパネル3は車体開口部周縁6の入り口部分でフロントドアとリヤドアのドアガラス5の上端を収納する平坦部を形成している。この平坦部の下面にレールガーニッシュ2とリテーナ4が取付けられる。
【0045】
レールガーニッシュ2は、車体開口部周縁6の車外側面にフロントからリヤ方向に延びるように形成される。レールガーニッシュ2とインナーボディパネル3は、両面接着テープや取付ネジ等で固着される。レールガーニッシュ2の先端は、後述するルーフサイドウエザストリップ10の車外側シール部50の車外側面に当接して、車外側シール部50の車外側シール部車外側保持壁51を保持している。
【0046】
レールガーニッシュ2には断面が略コ字形のリテーナ4が取付けられている。リテーナ4は、リテーナ4の車外側の辺がリテーナ車外側側壁4aを形成し、車内側の辺がリテーナ車内側側壁4bを形成し、リテーナ車外側側壁4aとリテーナ車内側側壁4bを連結するリテーナ底壁4cが形成されている。
【0047】
上述のように、リテーナ底壁4cが車体開口部周縁6のインナーボディパネル3にレールガーニッシュ2とともに取付けられている。
リテーナ車外側側壁4aは、中央部に段部が形成されて、その段部に後述するルーフサイドウエザストリップ10の底壁40の底壁車外側部41と後述する車外側側壁21の連結部分が係合される。
【0048】
リテーナ車内側側壁4bは、中央部にリテーナ車内側段部4eが形成されて、そのリテーナ車内側段部4eに後述するルーフサイドウエザストリップ10の車内側側壁30の車内側側壁係止リップ33aが係合される。リテーナ車内側側壁4bのリテーナ車内側段部4eの先端側にはリテーナ車内側係止部4fが形成されている。
本実施の形態では、車内側側壁係止突部として、リップ状の車内側側壁係止リップ33aを使用しているが、リップ状以外にも、突条タイプのものも使用することができる。
【0049】
そして、レールガーニッシュ2及びリテーナ4にルーフサイドウエザストリップ10が装着される。ルーフサイドウエザストリップ10は、取付基部20とシール部から構成され、取付基部20は、車外側側壁21、車内側側壁30及び底壁40から形成されている。車外側側壁21は省略し、後述する車外側シール部50を直接底壁40から形成することもできる。
【0050】
車外側側壁21は、リテーナ車外側側壁4aに当接し、その根元は、後述する底壁車外側部41の端部から延設され、その先端は、後述する車外側シール部50に連続している。
ルーフサイドウエザストリップ10は、車内側側壁30の車内側側壁車内側柱部31、車内側側壁先端部32及び車内側側壁根元部33がソリッド材で形成され、車内側側壁30の車内側側壁車内側柱部31、車内側側壁先端部32及び車内側側壁根元部33以外の他の部分は、スポンジ材で形成されている。
【0051】
底壁40は、車外側に形成されリテーナ底壁4cに当接する底壁車外側部41と、底壁車外側部41と連続して形成される底壁連結部42を有している。
底壁車外側部41と車外側側壁21の連続部分にリテーナ車外側側壁4aの中央部の段部が係合して、底壁車外側部41と車外側側壁21を保持している。
【0052】
底壁車外側部41は、リテーナ底壁4cと対向する面の車外側の先端部分に底壁車外側部第1突部41aが形成され、底壁連結部42側の部分に底壁車外側部第2突部41bが形成されている。底壁車外側部第1突部41aと底壁車外側部第2突部41bがリテーナ底壁4cに当接してシールしている。
【0053】
底壁連結部42は、底壁車外側部41と車内側側壁30を連結している。このため、底壁車外側部41がリテーナ4に当接して底壁40を支えて、底壁連結部42が車内側側壁30を連結して、底壁40と車内側側壁30の両方でルーフサイドウエザストリップ10をリテーナ4に保持させることができる。
【0054】
底壁連結部42は、ルーフサイドウエザストリップ10の内周方向(図1における下方)に凸に湾曲した形状を有するとともに、リテーナ底壁4cとの距離が車内側方向(図1における左方向)に行くにつれて連続的に増加するようにスムースな円弧状に形成されている。これにより、底壁連結部42には、屈曲点がないため、応力が集中して屈曲するような部分がなく、取付基部20をリテーナ4に取付けるときに、底壁連結部42に皺が寄ったり、座屈したりするような異常変形をすることなく、取付基部20を確実に取付けることができる。
【0055】
車内側側壁30は、車内側は車内側側壁車内側柱部31が形成され、車外側は車内側側壁第1車外側柱部36が形成され、先端方向である内周側は車内側側壁第2車外側柱部37が形成され、根元側である外周側は車内側側壁根元部33の車内側側壁根元張出部33bが形成されている。
【0056】
車内側側壁30は、車内側側壁車内側柱部31、車内側側壁第1車外側柱部36、車内側側壁第2車外側柱部37及び後述する車内側側壁根元張出部33bで囲まれた車内側側壁中空部35を有し、車内側側壁第1車外側柱部36と車内側側壁第2車外側柱部37は、145〜160度の角度で屈曲して連結されている。
【0057】
車内側側壁中空部35を有するため、車内側側壁30の重量、すなわちルーフサイドウエザストリップ10の重量を低減することができる。
車内側側壁第1車外側柱部36と車内側側壁第2車外側柱部37は、145〜160度の角度で連結されているため、ドアガラス5が上昇したときに、車内側側壁第1車外側柱部36と車内側側壁第2車外側柱部37の連結部が、車内側側壁中空部35の中空形状を維持して、ドアガラス5に対する車内側シール部60の反力の低下を防止して、ドアガラス5の車外方向の位置を維持することができるとともに、シール性を維持することができる。
【0058】
車内側側壁第1車外側柱部36と車内側側壁第2車外側柱部37の連結角度が145度未満の場合には、車内側側壁第2車外側柱部37と車内側側壁車内側柱部31との連結部が、車内側シール部内周壁62と離れた位置となることによりドアガラス5の上昇により発生する車外側方向に車内側シール部内周壁62を引っ張る力に対する抵抗力が低下し、車内側側壁カバーリップ34が浮き上がる不具合となる場合がある。連結角度が160度を超える場合には、車内側側壁第1車外側柱部36や車内側側壁第2車外側柱部37が変形することにより、車内側シール部60のドアガラス5の車内側面に対する反力が低下してしまう。
【0059】
車内側側壁車内側柱部31は、車内側側壁車内側柱部31の根元側に形成される車内側側壁根元部33と車内側側壁車内側柱部31の先端側に形成される車内側側壁先端部32が連結して形成されている。上述のとおり、車内側側壁車内側柱部31、車内側側壁根元部33及び車内側側壁先端部32は、ソリッド材で形成されている。
【0060】
車内側側壁根元部33の車内側側壁根元張出部33bは、底壁連結部42と連続して形成されている。車内側側壁根元張出部33bが、底壁40と連続して、取付基部20としてリテーナ4に保持される。
車内側側壁先端部32の車外側面には、車内側側壁第2車外側柱部37が連結されるとともに、後述する車内側シール部60の車内側シール部内周壁62が連結されている。
【0061】
車内側側壁先端部32の先端から車内側側壁カバーリップ34が車内方向に延設されている。車内側側壁カバーリップ34と車内側シール部内周壁62は、連続して形成され、車内側側壁先端部32の先端を覆い、スポンジ材で形成されている。車内側側壁カバーリップ34の先端は、ガーニッシュ70に当接して、ルーフサイドウエザストリップ10とガーニッシュ70の間の隙間を覆っている。
【0062】
車内側側壁根元部33には、車内方向に張出してリテーナ4の車内側の被係合部であるリテーナ車内側段部4eに係合される車内側側壁係止リップ33aが形成されている。車内側側壁係止リップ33aがリテーナ車内側段部4eに係合されているため、底壁車外側部41と合わせて、ルーフサイドウエザストリップ10がリテーナ4に確実に保持されることができる。
【0063】
車内側側壁30及び車内側側壁第1車外側柱部36の車外側面である車内側側壁第1車外側柱部車外側面36aは、内周方向、すなわち先端に行くにつれてドアガラス5との間の間隔が広くなるように傾斜して形成されている。このため、車内側側壁第1車外側柱部36と車外側シール部50との間の空間が大きくなり、ドアガラス5の上昇時に、車内側シール部60の車内側シール部先端部63が撓むことのできる空間を確保することができる。
【0064】
車内側側壁第1車外側柱部36とドアガラス5の上昇方向となす角度、即ち、ドアガラス5の上昇後のドアガラス5の車内側側面となす角度は、好ましくは5〜20度であり、更に好ましくは、7〜15度である。
角度が5度未満の場合には、車内側側壁第1車外側柱部36とドアガラス5の車内側面との間の距離が小さくなるため、車内側シール部外周壁湾曲部61aの異常変形(座屈変形)が発生した場合には、反力が低下してシール性が低下する。角度が20度を超える場合には、車内側シール部60全体の反力が低下してシール性が低下する。また、車内側シール部60の反力が低下すると、ドアガラス5の車外方向への押え力が低下するため、ドアガラス5のバタつきにつながる場合がある。
【0065】
ルーフサイドウエザストリップ10のシール部は、取付基部20の内周側に一体的に形成され、ドアガラス5の上端と当接しシールする中空状の車外側シール部50と、ドアガラス5の先端部の車内側側面に当接してシールする中空状の車内側シール部60を分離して設けている。
【0066】
このため、ドアガラス5の上端と上端部の車内側側面で2重にシールすることができ、シール性を向上させることができる。また、中空状に形成されているため、柔軟に撓んで、シール性を向上させることができる。さらに、ドア閉時にドアガラス5が横方向から当接しても、ドアガラス5が昇降するときに、下から当接しても、車外側シール部50と車内側シール部60の変形が相互に影響することがなく、それぞれ独立にシールすることができ、シール性を確保することができる。
【0067】
車外側シール部50は、スポンジ材で中空状に形成され、車外側側壁21の先端と連続する車外側シール部車外側保持壁51と、底壁40の底壁連結部42から連続する車外側シール部当接壁52から形成され、車外側シール部中空部54を有している。車外側シール部当接壁52は、ドアガラス5が上昇して閉じたときに、ドアガラス5の先端に当接してシールする。
なお、車外側シール部車外側保持壁51を底壁車外側部41から直接形成することもできる。
【0068】
車外側シール部車外側保持壁51と車外側シール部当接壁52の先端は連結して形成され、連結部分は、車外側シール部凹部53が形成されている。ドアガラス5の先端が当接したときに、車外側シール部凹部53の部分で撓むことができる。
車外側シール部車外側保持壁51の外面にはレールガーニッシュ2のレールガーニッシュ先端部2aが当接している。車外側シール部車外側保持壁51の当接部分は肉厚に形成されている。
【0069】
車内側シール部60は、スポンジ材で中空状に形成され、ルーフサイドウエザストリップ10の外周側、すなわち底壁40側に位置する車内側シール部外周壁61と、内周側すなわち車内側側壁30の先端方向に位置する車内側シール部内周壁62と、車内側シール部外周壁61の先端と車内側シール部内周壁62の先端が連結した車内側シール部先端部63と、車外側シール部中空部64を有している。このため、中空状の車内側シール部60は、容易に変形して、車内側シール部先端部63がドアガラス5の車内側の側面に当接してシールすることができる。
【0070】
車内側シール部外周壁61は、内周方向、すなわち車外側シール部中空部64の方向に曲線状に凸に湾曲して形成され、中央付近は車内側シール部外周壁湾曲部61aを有している。車内側シール部外周壁61の一方の先端は車内側側壁第1車外側柱部36と車内側側壁第2車外側柱部37の連結部に接続されて、他方の先端は上述のように、車内側シール部先端部63に接続されている。
【0071】
車内側シール部外周壁湾曲部61aは、ドアガラス5の先端が車内側シール部60に当接したときに、内周方向に凸に曲線状に湾曲して形成されている部分が局所的ではなく、全体的に撓むことができ、車内側シール部先端部63の回転軌跡を小回りにすることができ、ドアガラス5の先端が当接したときに、車外側シール部50の車外側シール部当接壁52に車内側シール部先端部63が当接しにくくすることができる。
【0072】
車内側シール部外周壁湾曲部61aの内周方向の表面の最も凹んだ部分は、車内側シール部先端部63の最先端部分よりも内周方向に位置することが好ましい。この場合には、車内側シール部外周壁61が撓みやすく、撓んだときに、車内側シール部先端部63を根元側に引くように撓むため、車内側シール部先端部63の回転軌跡を小回りにすることができ、ドアガラス5の先端が当接したときに、車外側シール部50の車外側シール部当接壁52に車内側シール部先端部63が当接しにくくすることができる。
また、車内側シール部外周壁湾曲部61aが樋の役割を果たして、車両の前後方向に雨水を車外へ排出することができ、車内への雨水の侵入を防止できる。
【0073】
車内側シール部外周壁61は、肉厚が略一定であることが好ましい。この場合には、車内側シール部外周壁61の撓みやすさは均一であり、ドアガラス5が上昇時に、ドアガラス5の先端が車内側シール部60の車内側シール部内周壁62に当接したときに、車内側シール部外周壁61が全体的に均一に撓んで、車内側シール部先端部63の回転軌跡を小回りにすることができ、車外側シール部50の車外側シール部当接壁52に車内側シール部先端部63が当接しにくくすることができる。
【0074】
車内側シール部先端部63の外周方向すなわち底壁40側の面である車内側シール部先端部外周面63aは、外周方向に膨らんで形成されることが好ましい。この場合には、車内側シール部先端部63の剛性が大きくなり、ドアガラス5の先端が車内側シール部60に当接したときに、車内側シール部先端部63が撓み難く、ドアガラス5の車内側面に、車内側シール部先端部63が確実に当接して、シール面圧を向上させることができる。また、車内側シール部先端部63の剛性が高いため、ドアガラス5の車内側面に当接した時の接触面積が小さく、ドアガラス5の上昇によって引きずり上げられることがなく、車外側シール部50との干渉を防止することができる。
【0075】
車内側シール部内周壁62の一方の先端は、車内側側壁車内側柱部31の先端の車内側側壁先端部32に接続されて、他方の先端は上述のように、車内側シール部先端部63に接続されている。
車内側シール部内周壁62は、車内側シール部外周壁61の根元部分が連結した部分よりも車内側シール部内周壁62の根元部分が連結した部分の方が車内側に位置している。
【0076】
このため、車内側シール部内周壁62を車内側シール部外周壁61よりも長く形成することができ、ドアガラス5が上昇して車内側シール部外周壁61の変形時に、車内側シール部内周壁62が車内側シール部外周壁61の変形に追従して、シール性を確保することができる。
【0077】
次に、図2に基づき、ドアガラス5がルーフサイドウエザストリップ10に当接した状態を説明する。
ドアガラス5が上昇すると、ドアガラス5の上端は、まず、車内側シール部60の車内側シール部先端部63に当接する。そのとき、車内側シール部60の車内側シール部外周壁61は、車内側シール部外周壁湾曲部61aで撓んで、車内側シール部先端部63が、車外側シール部50の車外側シール部当接壁52に当接せずに、回動する。
【0078】
その後、ドアガラス5の上端は、更に上昇して、車外側シール部50の車外側シール部当接壁52に当接して、車外側シール部凹部53が撓み、車外側シール部当接壁52は車外側シール部中空部54の内側に、ドアガラス5の上端を包み込むように撓む。ドアガラス5が上昇するときに、ドアガラス5の先端が最初に当接する車内側シール部先端部63が、車内側シール部外周壁湾曲部61aが撓むために車内側シール部先端部63の回転軌跡が小さくなり、車外側シール部当接壁53に当接しないため、ドアガラス5の上昇時に、ドアガラス5の上昇荷重が増大することがない。
また、車内側側壁第1車外側柱部車外側面36aが傾斜して形成されているため、車内側シール部先端部63が車外側シール部当接壁52から離れて形成されている。
【0079】
車外側シール部50は中空状で、かつ、スポンジ材で形成されているため、柔軟に変形することができる。このため、ドアガラス5の上端と車外側シール部50との間のシールを確保することができる。また、車外側シール部車外側保持壁51がレールガーニッシュ先端部2aで保持されているので、ドアガラス5の上端を車外側に変位しないように保持することができる。
【0080】
ドアガラス5が上昇するときに、ドアガラス5の上端部の車内側側面に、車内側シール部60の車内側シール部先端部63が当接する。ドアガラス5の上昇につれて、車内側シール部先端部63は、ドアガラス5の車内側側面を摺動して上方に屈曲しつつ、ドアガラス5の車内側側面と車内側シール部60の間をシールする。
【0081】
車内側シール部先端部外周面63aの部分は、厚肉に形成されているため、車内側シール部先端部63の剛性が大きくなり、ドアガラス5の先端が車内側シール部60に当接したときに、車内側シール部先端部63が撓み難く、ドアガラス5の車内側面に、車内側シール部先端部63が確実に当接して、シール面圧を向上させることができる。また、車内側シール部先端部63の剛性が高いため、ドアガラス5の車内側面に当接した時の接触面積が小さく、ドアガラス5の上昇によって引きずり上げられることがなく、車外側シール部50との干渉を防止することができる。
【0082】
このため、ドアガラス5の上端と上端部の車内側側面で2重にシールすることができ、シール性を向上させることができる。さらに、車外側シール部50と車内側シール部60とは、分離して形成されているので、ドア閉時とドアガラス5が昇降するときに、車外側シール部50と車内側シール部60の変形が相互に影響することがなく、それぞれ独立にシールすることができ、シール性を確保することができる。
【0083】
車内側シール部60は、ドア閉時等でドアガラス5の車内側側面に当接したときに、断面がさらにL字形に屈曲変形するように車内側シール部外周壁湾曲部61aで屈曲できるようになっている。このため、ドアガラス5が当接したときに、車内側シール部60は、柔軟に屈曲変形し、ドアガラス5の位置がずれても車内側シール部60が確実にドアガラス5に当接し、シールすることができる。
【0084】
また、車内側シール部60をリップ状ではなく中空状にしたため、ドアガラス5の昇降時に、リップ形状と比べて、剛性が大きく、巻き込まれることがなく、異常変形することがない。さらに、ドアガラス5に当接したときに、上述したように所定の屈曲部で屈曲するために、車内側シール部60の全体の変化量が小さく、シール性が低下することがない。
【0085】
ルーフサイドウエザストリップ10は、ソリッド材もスポンジ材もいずれも、合成ゴム、熱可塑性エラストマー、軟質合成樹脂が使用され、例えば合成ゴムでは、EPDMゴム、熱可塑性エラストマーでは、オレフィン系エラストマー、軟質合成樹脂では、軟質塩化ビニル等が使用される。
合成ゴムの場合は、押出成形後に加硫槽に搬送されて、熱風や高周波等により加熱されて加硫が行われる。熱可塑性エラストマー、軟質合成樹脂の場合は、冷却され固化される。その後所定の長さに切断されて、押出成形部分の製造は完成する。
【符号の説明】
【0086】
1 ドア
4 リテーナ
10 ルーフサイドウエザストリップ
20 取付基部
30 車内側側壁
31 車内側側壁車内側柱部
36 車内側側壁第1車外側柱部
37 車内側側壁第2車外側柱部
40 底壁
50 車外側シール部
60 車内側シール部
61 車内側シール部外周壁
62 車内側シール部内周壁
63 車内側シール部先端部
図1
図2
図3
図4
図5