(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
運転部の前部に設けた操縦塔の上部に、前後方向及び左右方向の揺動操作によって、走行機体の操向操作及び刈取部の昇降操作を行う二方向操作レバーと、前後方向の揺動操作によって、前記刈取部に対する掻き込み用リールの昇降操作を行う一方向操作レバーと、が左右方向で並ぶ状態に備えられ、
前記二方向操作レバーにおける前後方向揺動操作用の第一揺動支軸と、前記一方向操作レバーにおける前後方向揺動操作用の第二揺動支軸と、が各別に備えられ、
前記二方向操作レバーの前後方向揺動によって操作される第一制御バルブと、前記一方向操作レバーの前後方向揺動によって操作される第二制御バルブと、が一つのバルブユニットで構成されており、
前記第一揺動支軸に連結され、前記第一制御バルブに連携された第一操作ロッドと、
前記第二揺動支軸に連結され、前記第二制御バルブに連携された第二操作ロッドと、を備えている収穫機。
前記第一揺動支軸における前記第二揺動支軸側の端部と、前記第二揺動支軸における前記第一揺動支軸側の端部と、を支持する支持部材が、前記操縦塔に備えられている請求項1記載の収穫機。
前記支持部材に、前記第一揺動支軸及び前記第二揺動支軸のうちの一方の端部が支持された水平部と、前記第一揺動支軸及び前記第二揺動支軸のうちの他方の端部が支持された鉛直部と、が備えられている請求項2記載の収穫機。
前記支持部材に対して、前記第一揺動支軸及び前記第二揺動支軸のうちの一方が位置変更可能に、かつ前記第一揺動支軸及び前記第二揺動支軸のうちの他方が前記支持部材に対して位置変更不能に支持され、
前記バルブユニットが前記操縦塔に対する取付位置を調節可能に構成されている請求項2又は3記載の収穫機。
前記支持部材は、前記操縦塔の前壁と後壁とにわたる状態で前壁と後壁とに支持され、かつ前記第二揺動支軸の前記第一揺動支軸側の端部とは反対側の端部を支持する他端支持部材が、前記操縦塔の左右方向の横壁に支持されている請求項2〜5のいずれか一項記載の収穫機。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に示された構造のものでは、操縦塔の上部に設けた二方向操作レバーと一方向操作レバーとを併用して、比較的簡単な構造で、刈取部昇降装置や旋回操作装置、及び掻き込み用リールの昇降操作装置を、各別に、かつ確実に操作し得る点で有用なものである。
この構造では、二方向操作レバーの前後方向揺動作動用の支軸と、一方向操作レバーの前後方向揺動作動用の支軸とが、共通の一本軸で構成され、各操作レバーに連係する制御バルブは、共通のバルブブロックに支持されている。このため、二方向操作レバーと一方向操作レバーとのいずれか一方の操作レバーと、それに対応する制御バルブとの位置関係を調節しようとした場合、共通の支軸の回転角度が変化して、他方の操作レバーと、その他方の操作レバーに対応する制御バルブとの位置関係までもが変化してしまう虞がある。
そのため、いずれか一方の操作レバーと制御バルブとの位置関係の調節操作を、簡単には行い難いという点で改善の余地がある。
【0005】
本発明は、二方向操作レバーと一方向操作レバーとの軸支構造を工夫し、簡単な構造で、一方の操作レバーと制御バルブとの位置関係の調節操作が、他方の操作レバーと制御バルブとの位置関係に影響を及ぼす虞が少ない収穫機を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明による収穫機は、運転部の前部に設けた操縦塔の上部に、前後方向及び左右方向の揺動操作によって、走行機体の操向操作及び刈取部の昇降操作を行う二方向操作レバーと、前後方向の揺動操作によって、前記刈取部に対する掻き込み用リールの昇降操作を行う一方向操作レバーと、が左右方向で並ぶ状態に備えられ、前記二方向操作レバーにおける前後方向揺動操作用の第一揺動支軸と、前記一方向操作レバーにおける前後方向揺動操作用の第二揺動支軸と、が各別に備えられ、前記二方向操作レバーの前後方向揺動によって操作される
第一制御バルブと、前記一方向操作レバーの前後方向揺動によって操作される
第二制御バルブと、が一つのバルブユニットで構成されて
おり、前記第一揺動支軸に連結され、前記第一制御バルブに連携された第一操作ロッドと、前記第二揺動支軸に連結され、前記第二制御バルブに連携された第二操作ロッドと、を備えている点に特徴がある。
【0007】
本構成によると、二方向操作レバーの前後方向での揺動軸心を備えた第一揺動支軸と、一方向操作レバーの前後方向での揺動軸心を備えた第二揺動支軸とが、各別に備えられている。このため、二方向操作レバーと制御バルブとの位置関係を調節して第一揺動支軸の回転角度が多少変化しても、もしくは一方向操作レバーと制御バルブとの位置関係を調節して第二揺動支軸の回転角度が多少変化しても、一方の揺動支軸の回転角度の変化が他方の揺動支軸の回転角度に影響を及ぼす虞がない。
したがって、一方の操作レバーと制御バルブとの位置関係の調節操作を、他方の操作レバーと制御バルブとの位置関係に影響を及ぼす虞が少ない状態で容易に行い易いという利点がある。
【0008】
本発明においては、前記第一揺動支軸における前記第二揺動支軸側の端部と、前記第二揺動支軸における前記第一揺動支軸側の端部と、を支持する支持部材が、前記操縦塔に備えられていると好適である。
【0009】
本構成によれば、操縦塔に備えられた支持部材によって、第一揺動支軸の第二揺動支軸側の端部と、第二揺動支軸の第一揺動支軸側の端部とが支持される。
したがって、共通の支持部材によって、第一揺動支軸の第二揺動支軸側の端部と、第二揺動支軸の第一揺動支軸側の端部とが支持され、簡単な構造で第一揺動支軸と第二揺動支軸との、両軸の支持を行え、構造の簡素化を図り易い。
【0010】
本発明においては、前記支持部材に、前記第一揺動支軸及び前記第二揺動支軸のうちの一方の端部が支持された水平部と、前記第一揺動支軸及び前記第二揺動支軸のうちの他方の端部が支持された鉛直部と、が備えられていると好適である。
【0011】
本構成によれば、支持部材に水平部と鉛直部とが備えられているので、第一揺動支軸と第二揺動支軸とが、互いの軸心方向や軸心に交差する方向で位置ずれした状態に配置されていても、その位置ずれ量を吸収して両軸を支持することができる。
【0012】
本発明においては、前記支持部材に対して、前記第一揺動支軸及び前記第二揺動支軸のうちの一方が位置変更可能に、かつ前記第一揺動支軸及び前記第二揺動支軸のうちの他方が前記支持部材に対して位置変更不能に支持され、前記バルブユニットが前記操縦塔に対する取付位置を調節可能に構成されていると好適である。
【0013】
本構成によれば、第一揺動支軸又は第二揺動支軸の何れか一方が位置変更可能に構成されているので、第一揺動支軸と第二揺動支軸との相対的な位置関係を容易に調節することができる。
また、第一揺動支軸及び第二揺動支軸を支持した支持部材と、の集合体が、操縦塔に対する取付位置を調節可能に構成されているので、油圧系統に繋がる制御バルブ側の位置を変更させずに、第一揺動支軸及び第二揺動支軸の位置を容易に変更し易い。
【0014】
本発明においては、前記支持部材に対する前記第二揺動支軸の支持位置が調節可能に構成されていると好適である。
【0015】
本構成によれば、走行機体の操向操作及び刈取部の昇降操作を行う二方向操作レバーの前後方向での揺動軸心を備えた第一揺動支軸ではなく、刈取部に対する掻き込み用リールの昇降操作を行う一方向操作レバーの前後方向での揺動軸心を備えた第二揺動支軸が調節可能である。
つまり、常時多用される操向操作及び刈取部の昇降操作を行う二方向操作レバーに関しては、その前後方向での揺動軸心を備えた第一揺動支軸が、最も操作し易い位置で安定的に固定された状態に維持し、操作性及び耐久性の良い状態で使用される。
そして、それほど使用頻度の高くない掻き込み用リールの昇降操作を行う一方向操作レバーの前後方向での揺動軸心を備えた第二揺動支軸を調節するようにしている。したがって、あまり操作頻度の高くない掻き込み用リールの昇降操作を行う一方向操作レバーの第二揺動支軸の位置が多少変化しても、それほど不便さもなく、全体として、操作性及び耐久性に優れた支持構造を得易いものである。
【0016】
本発明においては、前記支持部材は、前記操縦塔の前壁と後壁とにわたる状態で前壁と後壁とに支持され、かつ前記第二揺動支軸の前記第一揺動支軸側の端部とは反対側の端部を支持する他端支持部材が、前記操縦塔の左右方向の横壁に支持されていると好適である。
【0017】
本構成によれば、支持部材は、操縦塔の前壁と後壁とに支持され、かつ第二揺動支軸の第一揺動支軸側の端部とは反対側の端部を支持する他端支持部材が、操縦塔の左右方向の横壁に支持されているので、この三箇所で強固に支持される。
【0018】
本発明においては、前記運転部の左右方向における横側部位置にサイドパネルが配設され、前記サイドパネルは前部が前記操縦塔の左右方向端部と隣り合う状態に配置され、前記サイドパネルの横側方に運転座席が配設され、前記サイドパネルは、前部の上面が前記操縦塔の上部と同じ、又はほぼ同じ高さ位置にあり、後部が前部よりも低い高さ位置で水平又はほぼ水平方向に沿って設けられ、前記サイドパネルの前部と後部との間における中間部の上面が、後ろ下がりの傾斜面に形成されていると好適である。
【0019】
本構成によれば、操縦塔が比較的高い位置に設けられても、サイドパネルの後部は比較的低くして運転座席に搭座する運転者が、サイドパネルの後部の操作具や計器類を見やすくすることができる。
そして、サイドパネルの中間部では、後下がりの傾斜面であることにより、運転座席からの目視が行い易い。
【0020】
本発明においては、前記サイドパネルの中間部に走行変速レバーが配置され、前記サイドパネルの後部に作業部のクラッチレバーが配置されていると好適である。
【0021】
本構成によれば、比較的使用頻度の高い走行変速レバーが、運転座席に搭座した運転者が目視し易い後ろ下がりの傾斜面に配置され、操作性の向上を図り易い。
また、作業部のクラッチレバーは、運転座席の横側方で比較的低い位置にあり、腕や肩を持ち上げながら操作するような不自由な体勢となる虞の少ない状態で、楽な姿勢で操作し易い。
【0022】
本発明においては、前記運転部の左右方向における横側部位置で、かつ前部が前記操縦塔の左右方向端部と隣り合う位置にサイドパネルが配設され、前記サイドパネルの横側方に運転座席が配置され、前記運転座席の下方にエンジンが配設され、前記サイドパネルのうち、左右方向で前記エンジンから遠い側の端部に、上下方向に沿う縦壁が備えられていると好適である。
【0023】
本構成によれば、サイドパネルのうち、左右方向でエンジンから遠い側の端部に上下方向に沿う縦壁が備えられるので、エンジンルームからの排気に乗って搬出される塵埃や熱風が、サイドパネルの横側方に位置するフィーダの横壁に衝突して、運転部側に跳ね返ってくる虞が少ない。
【0024】
本発明においては、前記縦壁のうち、前後方向で前記エンジンと同じ位置に相当する部分が多孔部材であると好適である。
【0025】
本構成によれば、サイドパネルのうち、左右方向でエンジンから遠い側の端部に上下方向に沿う縦壁うち、前後方向でエンジンと同じ位置に相当する部分が多孔部材であることにより、その縦壁部分を通過した排気は、横側位置のフィーダの横壁側への動圧が減衰され、縦壁を通過した排気がフィーダの横壁に衝突して跳ね返る虞は少なく、緩やかに上昇しながら排出され、運転部側へ多くの塵埃や熱風が流れ込む虞は少ない。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
尚、本実施形態での説明における前後方向及び左右方向は、特段の説明がない限り、次のように記載している。つまり、本発明を適用した普通型コンバイン(収穫機の一例)の作業走行時における前進側の進行方向(
図2における矢印DF参照)が「前」、後進側への進行方向(
図2における矢印DB参照)が「後」、その前後方向での前向き姿勢を基準としての右側に相当する方向(
図2における矢印DR参照)が「右」、同様に左側に相当する方向(
図2における矢印DL参照)が「左」である。
【0028】
〔全体構成〕
図1及び
図2に収穫機の一例としての普通型コンバインが示されている。
この普通型コンバインの機体は、左右一対のクローラ走行装置1上に車体フレーム10が支持されているとともに、車体フレーム10上に、原動部A及び運転部Bを搭載することにより自走式に構成されている。
車体フレーム10上には、作物収穫用の作業装置として、刈取前処理装置C(刈取部に相当する)、脱穀装置D、グレンタンクE、アンローダFが備えられている。
【0029】
自走式に構成された機体(以下自走機体と略称する)において、原動部Aは車体フレーム10の右側前部に配置され、その原動部Aの上部に位置させて運転部Bが設けられている。そして、車体フレーム10の左側前部、及び車体フレーム10よりも前方側に位置させて刈取前処理装置Cが設けられている。
車体フレーム10の後部位置には、刈取前処理装置Cで刈り取られた穀稈が送り込まれる全稈投入型の脱穀装置Dと、脱穀装置Dから供給される穀粒(作物に相当する)を貯留するグレンタンクE(作物貯留部に相当する)とが左右に振り分け配置されている。グレンタンクEの後部に、グレンタンクEに貯留された穀粒を機外に排出するためのアンローダFが備えられている。
【0030】
原動部Aでは、車体フレーム10にエンジン3が搭載されているとともに、そのエンジン3の上方側を覆う箱状のエンジンカバー11が備えられている。このエンジンカバー11の上面側に、後述する運転部Bの運転座席2が設置されている。
エンジンカバー11の横外側部には吸気ケース12が形成され、吸気ケース12の外面側には横外方から冷却風を吸気するため防塵網が張設されている。
自走機体の前部の中央位置には、エンジン3からの駆動力を左右のクローラ走行装置1に伝えるミッションケース4が、車体フレーム10の上下にわたって備えられている。このミッションケース4には、エンジン3からの駆動力を無段階に変速する主変速装置としての静油圧式無段変速装置(図示せず)が備えられ、さらに、副変速装置としてのギヤ変速装置(図示せず)、及び左右のクローラ走行装置1に伝える駆動力の断続を行う操向クラッチ(図示せず)が内蔵されている。
【0031】
刈取前処理装置Cは、植立穀稈の穂先側を掻き込み用リール5の回転作動により掻き起こし、その穀稈の株元をカッター6で切断するように構成されている。刈り取られた穀稈(刈取穀稈)は、横送りオーガ7によって横送りされてフィーダ8の入り口近くに寄せ集められる。その全稈がフィーダ8により後方送りされて脱穀装置Dに送り込まれるように構成されている。
また、刈取前処理装置Cは、フィーダ8の後端部側の横軸心(図外)周りで上下揺動自在に構成されている。フィーダ8の上下揺動は、車体フレーム10とフィーダ8の下部とにわたって設けられた油圧シリンダ等のアクチュエータ16によって行われる。このアクチュエータ16の作動による揺動量の設定により穀稈の刈高さの調節が可能に構成されている。
【0032】
フィーダ8の前端側の上方位置に配備された掻き込み用リール5は、後端部側の揺動支点5B回りで上下揺動することにより、フィーダ8に対する高さ位置を変更可能に構成されている。このように掻き込み用リール5のフィーダ8に対する相対高さを変更することで、刈り高さを変えずに植立穀稈などの刈取対象作物に対する掻き込み高さを変更することができる。この掻き込み用リール5の高さ位置の変更は、フィーダ8の上部との間に介装した油圧シリンダで構成されるリール昇降装置5Aの伸縮作動によって行われる。
このリール昇降装置5Aに対する昇降操作は、後述するリール昇降レバー14の前後揺動に伴って行われる。
【0033】
脱穀装置Dは、扱室に供給された刈取穀稈の扱き処理を行うように自走機体の前後方向に沿う姿勢の軸心周りに駆動回転する軸流型の扱胴(図示せず)、及び扱き処理によって得られた処理物から穀粒を選別する選別処理装置(図示せず)を備えている。
この選別処理装置においては、選別された穀粒のうち、一番物は揚穀装置(図外)によってグレンタンクEに供給され、二番物は二番還元装置(図示せず)によって扱胴が旋回する扱室(図示せず)に戻され、穀粒以外の藁屑等は、選別処理装置の後部から自走機体の後方に落下放出される。
【0034】
グレンタンクEは、揚穀装置から供給される穀粒を貯留するためのタンク本体9を備えている。このタンク本体9は、後部位置の上下軸心Y周りでの旋回により、全体が自走機体に格納される作業姿勢と、自走機体から横方向に張り出す点検姿勢とに、姿勢切換可能に支持されている。前記上下軸心Yは、タンク本体9の後面側に設けたアンローダFが備える縦搬送筒18の筒軸心と合致するように構成されている。
【0035】
アンローダFは、上向きに立設された直管状の縦搬送筒18と、その縦搬送筒18の上端部から水平方向に沿って延設された横搬送筒19とを備えている。縦搬送筒18は上下軸心Y回りで左右揺動可能に設けられ、横搬送筒19は水平横軸心X回りで起伏揺動可能に装備され、縦搬送筒18とともに前記上下軸心Y回りで左右揺動可能に構成されている。
縦搬送筒18及び横搬送筒19は、それぞれが内部に搬送スクリューを内装した周知のスクリュー式搬送装置によって構成されている。
【0036】
〔運転部〕
運転部Bは次のように構成されている。
エンジンカバー11の上面側に運転座席2が搭載設置され、運転座席2の前方側に運転部ステップ15を挟んで操縦塔20が立設されている。
操縦塔20の上面21側に、自走機体の操向制御を行う操作具と、刈取前処理装置Cの昇降制御を行う操作具とを兼ねる二方向操作レバー13と、前後方向の揺動操作で、カッター6に対する掻き込み用リール5の昇降操作を行うリール昇降レバー14(一方向操作レバーに相当する)と、が左右方向で並ぶ状態に設けられている。
【0037】
二方向操作レバー13は、
図3に示すように、非操作状態で直立姿勢となる中立位置Nに維持される。この中立位置Nを基準にして左旋回位置L及び右旋回位置Rに操作可能であるように、左右方向で揺動操作可能に構成されている。
二方向操作レバー13が左右方向で揺動操作されることにより、後述する第一操作連係機構H1を介して操向制御バルブV1の操作アームが押し引き操作される。操向制御バルブV1が切換操作されるに伴ってミッションケース4に内蔵されている操向クラッチが入り切り制御され、自走機体の操向(旋回)を実現する。
また、この二方向操作レバー13を前後方向に操作することで前述したアクチュエータ16を制御する昇降制御バルブV2(制御バルブに相当する。
図3参照)を操作して刈取前処理装置Cの昇降作動を実現することができる。
【0038】
操縦塔20の上面側に設けられたリール昇降レバー14(一方向操作レバーに相当する)は、
図3乃至
図5に示すように、前後方向への揺動操作で掻き込み用リール5の昇降操作を行うように構成されている。
すなわち、リール昇降レバー14が前後方向で揺動操作されることにより、後述する第二操作連係機構H2を介してリール昇降装置5Aを制御する昇降制御バルブV3(制御バルブに相当する)を操作し、掻き込み用リール5の昇降作動が行われる。
【0039】
図12及び
図14に示すように、運転座席2の左側部には、操縦塔20の左横端部位置から後方側へ向けて延設されたサイドパネル30が設けられている。このサイドパネル30の上面31のうち、前部側に位置する前部上面31Aには、自走機体の走行速度を制御する走行変速レバーとして、主変速レバー33と副変速レバー34とが設けられている。
【0040】
そして、サイドパネル30の上面31のうち、後部側に位置する後部上面31Bには、主変速レバー33や副変速レバー34よりも後方側位置に、作業部のクラッチレバーとして、脱穀クラッチレバー35と刈取クラッチレバー36とが左右に並ぶ状態で設けられている。
脱穀クラッチレバー35は、脱穀クラッチレバー35の前後揺動操作で脱穀装置Dにおける脱穀クラッチ(図示せず)を入り切り操作を行うように構成されている。刈取クラッチレバー36は、刈取クラッチレバー36の前後揺動操作で刈取前処理装置Cにおける刈取クラッチ(図示せず)の入り切り操作を行うように構成されている。
【0041】
また、サイドパネル30上には、主変速レバー33や副変速レバー34よりも後方側で、脱穀クラッチレバー35や刈取クラッチレバー36よりも前方側の位置に、エンジン3の回転数を制御するアクセルレバー38が設けられている。
【0042】
サイドパネル30は、運転座席2の左横側方に位置し、前部が操縦塔20の左右方向端部と隣り合う位置にある。
このサイドパネル30の上面31のうち、操縦塔20の左右方向端部と隣り合う前端部位置では、サイドパネル30の上面31が操縦塔20の上部と同じ、又はほぼ同じ高さ位置にあり、前記後部上面31Bは、前部上面31Aよりも低い高さ位置で水平又はほぼ水平方向に沿って設けられている。
このため、サイドパネル30の上面31のうち、サイドパネル30の前端部と後部上面31Bとの中間部に位置する前部上面31Aは、後ろ下がりの傾斜面に形成されている。
したがって、主変速レバー33や副変速レバー34は、後ろ下がりの傾斜面の上側に突出した状態で設けられている(
図12参照)。
【0043】
後部上面31Bに設けられた脱穀クラッチレバー35と刈取クラッチレバー36は、
図12に示すように、側面視でほぼL字状に屈曲形成されていて、後部上面31Bの下側で枢支軸37に枢支され、前後揺動可能に設けられている。つまり、同図に実線で示すほぼ起立姿勢のクラッチ入り状態から、同図に仮想線で示すように、ほぼ倒伏姿勢のクラッチ切り状態に姿勢変更可能に構成されている。このとき、クラッチ切り状態に姿勢変更された脱穀クラッチレバー35と刈取クラッチレバー36の各握り部35a,36aが、後部上面31Bから所定間隔d1だけ離れた位置で停止するように、脱穀クラッチレバー35と刈取クラッチレバー36の揺動作動範囲が定められている。
【0044】
〔操作連係機構について〕
図3乃至
図10に、刈取前処理装置Cの昇降制御と自走機体の操向制御を行う二方向操作レバー13と、掻き込み用リール5の昇降操作を行うリール昇降レバー14(一方向操作レバーに相当する)と、が示されている。
二方向操作レバー13の前後及び左右方向の揺動操作は、次のように構成された第一操作連係機構H1を介して、昇降制御バルブV2と、操向駆動部としての操向制御バルブV1とに伝達されている。
また、リール昇降レバー14の前後方向の揺動操作は、後述する第二操作連係機構H2を介して、昇降制御バルブV3に伝達されている。
【0045】
〔第一操作連係機構〕
第一操作連係機構H1は次のように構成されている。
操縦塔20の上面側に立設されている二方向操作レバー13は、その前後及び左右方向の揺動操作を、操縦塔20の内部に配設された第一操作連係機構H1を介して昇降制御バルブV2や操向制御バルブV1に伝えるように構成されている。
図3乃至
図10に示すように、第一操作連係機構H1は、操縦塔20の内部に固定されたレバー支持枠50と、そのレバー支持枠50に支持された軸支部材60とを備えている。軸支部材60は、二方向操作レバー13を揺動可能に支持する一方向の揺動軸心y1を有した第一軸部61(第一揺動支軸に相当する)と、前記二方向操作レバー13を他方向の揺動軸心x1まわりで揺動可能に支持する第二軸部62とを備えている。
上記の両揺動軸心x1,y1のうち、自走機体の左右方向に沿う一方向の揺動軸心y1が、二方向操作レバー13の前後方向での揺動作動の軸心となり、自走機体の前後方向に沿う他方向の揺動軸心x1が二方向操作レバー13の左右方向での揺動作動の軸心となる。
【0046】
<取付ブラケット>
図3乃至
図6、及び
図8乃至
図11に示すように、操縦塔20の上面21よりも下方側で、操縦塔20の前壁20Fと後壁20Bとの、壁部同士にわたって、左右一対の取付ブラケット22,23が溶接固定されている。
ただし、この構造では、
図4乃至
図6、及び
図11に示すように、前壁20Fの内面側に断面L字状の前側取付板26が溶接固定されており、後壁20Bの内面側に平面視で門形となる形状の後側取付板27が溶接固定されているので、取付ブラケット22,23は、これらの前側取付板26と後側取付板27とにわたって溶接固定されている。
この取付ブラケット22,23に、レバー支持枠50の左右に備えた上壁部分50Uがボルト連結され、レバー支持枠50が操縦塔20に固定されている。
【0047】
上記の取付ブラケット22,23のうち、右横側部に位置する右側取付ブラケット22(支持部材に相当する)は、
図3乃至
図6、及び
図9乃至
図11に示されるように、レバー支持枠50の上壁部分50Uに当接する水平板面22a(水平部に相当する)と、その水平板面22aの右横側端から下向きに折り曲げられた鉛直板面22b(鉛直部に相当する)と、水平板面22aの左横側端から上向きに折り曲げられた立ち上がり板面22cと、を備えて、断面クランク状に形成されている。
【0048】
右側取付ブラケット22には、水平板面22aのうち、左横側部の立ち上がり板面22cに近い箇所に固定用ナット22dが溶接固定されている。したがって右側の上壁部分50Uに形成されている連結用孔50aに連結用ボルト24を挿入し、前記固定用ナット22dに螺合させることにより、上壁部分50Uの右側を右側取付ブラケット22に連結して支持することができる。
【0049】
また、水平板面22aの右横側端から下向きに折り曲げられた鉛直板面22bには、連結孔22eが形成されている(
図10,11参照)。
この連結孔22eは、リール側支軸部40(第二揺動支軸に相当する)の一端部を支持する取付板43を連結ボルト44で連結固定するためのものであり、連結ボルト44と螺合する固定ナット部44aを備えている。
上記のリール側支軸部40は、リール昇降レバー14が前後方向で揺動作動する際の軸心y4を有したものである。そして、取付板43には、リール側支軸部40の一端部に嵌合する枢支孔43aと、前記連結ボルト44が挿通される支持孔43bとが形成されている。
取付板43の支持孔43bは、この支持孔43bに挿通される連結ボルト44の径よりも少し大きな内径を有した、所謂バカ孔に形成されている。これによって、支持孔43b内径と連結ボルト44の外径との差に相当する範囲内での融通を利用して、支持孔43bと連結ボルト44との相対位置を調節することが可能である。
【0050】
上記の取付ブラケット22,23のうち、右側取付ブラケット22よりも左右方向で機体中央側寄りに位置する左側取付ブラケット23は、レバー支持枠50の上壁部分50Uに当接する水平板面23a(水平部に相当する)と、その水平板面23aの左横側端から上向きに折り曲げられた立ち上がり板面23cと、を備えて、断面L字状に形成されている。
【0051】
この左側取付ブラケット23は、レバー支持枠50のうち、前記右側取付ブラケット22に支持された側との端部とは反対側の端部に近い位置で、操縦塔20の前後の壁部同士にわたるように、前側取付板26と後側取付板27とにわたって溶接固定されている。左側取付ブラケット23の水平板面23aにも固定用ナット23dが設けられている。レバー支持枠50の上壁部分50Uのうち、左側端部近くに設けられている連結用孔50aに下方側から連結用ボルト25を挿入し、前記固定用ナット23dに螺合させることにより、上壁部分50Uの左側を左側取付ブラケット23に連結して支持することができる。
【0052】
リール側支軸部40のうち、取付板43に枢支された側とは反対側の端部は、操縦塔20の左右方向での右横壁20R(横壁に相当する)に支持されている。
つまり、
図3及び
図11に示すように、右横壁20Rに、前後方向視でチャンネル状の固定ブラケット46(他端支持部材に相当する)が溶接固定されている。この固定ブラケット46の開放された左側端部に、軸取付板45がボルト連結されている。
軸取付板45は、
図3及び
図10に示すように、上下方向での中央部位にリール側支軸部40の端部に外嵌する枢支孔45aを備え、その枢支孔45aの上下方向に離れた上下二箇所に連結孔45b,45bが設けられている。
枢支孔45aはリール側支軸部40に密に外嵌する軸支用の孔であるが、上下の枢支孔45aは、それぞれ上下方向が長径の長孔に形成されている。これによって、固定ブラケット46に対する軸取付板45の上下方向での相対位置を調節することが可能となり、操縦塔20の右横壁20Rに対するリール側支軸部40の上下位置を調節することができる。
【0053】
<レバー支持枠>
図3乃至
図10に示すように、レバー支持枠50は、前後方向での後方側に位置する後壁50Bと、左右方向での右側に位置する右側壁50Rと、左側に位置する左側壁50Lとを備えて、平面視では門形に形成されている。右側壁50Rと左側壁50Lとは、それぞれが後壁50Bと上壁部分50Uとにわたって溶接固定され、レバー支持枠50全体の保形強度を高めている。レバー支持枠50は板金製材料で構成され、上壁部分50Uは後壁50Bを構成する部分と一体材料で構成されていて、後壁50Bの左右両側の上部で前方へ折り曲げることにより、上壁部分50Uが上向きとなるように構成されている。
【0054】
右側壁50Rには、第一軸部61の軸心方向での一端側に対向して、その第一軸部61の軸端部を枢支する筒ボス状の軸受部51が、右側壁50Rの右側の横外側(
図3中では左側)に突出する状態で形成されている。この右側壁50Rの横外側に、軸受部51と同様に固定係止ピン52が突出形成されている。
固定係止ピン52は、後述する昇降中立戻しバネ76が軸受部51に装着された際に、その昇降中立戻しバネ76に係止して、前後方向に操作された二方向操作レバー13が中立位置Nへ復帰付勢されるようにするためのものである。
【0055】
そして、左側壁50Lには、第一軸部61の軸心方向での他端側を支持するための連結部53が設けられている。連結部53は、固定用ナット53a,53aが溶接固定されたものであり、この連結部53に対して軸支部材60の第一軸部61に装着された連結部材65が、左側壁50Lの横外側から当てつけられた状態で、二本の連結ボルト53b,53bを介して装着されている。
【0056】
レバー支持枠50の後壁50Bには、
図7、
図9、
図10に示すように、二方向操作レバー13の前後方向及び左右方向のうちの一方向の揺動範囲として、前後方向での揺動範囲を所定範囲内に制限する規制部55が設けられている。
この規制部55は、二方向操作レバー13の前後方向での揺動範囲を所定角度範囲に設定するように、後壁50Bに形成されたほぼ矩形の開口によって構成されている。つまり、
図7に示すように、レバー支持枠50に枢支されている軸支部材60のうち、二方向操作レバー13の前後方向での揺動にともなって、第一軸部61の揺動軸心y1回りで回動する第二軸部62の一部が前記規制部55の開口に入り込む状態で配置されている。このため、第一軸部61の揺動軸心y1回りで揺動作動する第二軸部62の揺動範囲が、同図に仮想線で示すように、第二軸部62と規制部55の開口縁との当接によって制限される。
【0057】
<軸支部材>
軸支部材60は、二方向操作レバー13の前後方向及び左右方向のうちの、一方向の揺動軸心y1を有した第一軸部61と、前記操作レバーの前後方向及び左右方向のうちの他方向の揺動軸心x1を有した第二軸部62とを備えている。
第一軸部61と第二軸部62とは、それぞれの軸同士を軸長さ方向での中間部で連結するように、共通の保持枠体63によって固定されている。これらの第一軸部61と第二軸部62とは、上側と下側とで互いに交差する状態に位置して、保持枠体63の上部側で前後方向に向く第二軸部62が固定され、保持枠体63の下部側で左右方向に向く第一軸部61が固定されている。
【0058】
第一軸部61は、その右端側に、レバー支持枠50の右側壁50Rに設けた筒ボス状の軸受部51に対して挿抜される被軸受部61aを備えている。これによって第一軸部61の右端側がレバー支持枠50に回動自在に枢支される。
第一軸部61の左端側は、第一軸部61の左端側寄りの箇所に設けた一対の鍔部61b,61bに挟み込まれた連結部材65を介して、レバー支持枠50の左側壁50Lに設けた連結部53に支持されている。
このとき、連結部材65のうち、連結部53に連結される側である一方の端部では、連結部材65が連結部53に対してボルト連結され完全に固定される。連結部材65のうち、第一軸部61に連結される側である他方の端部では、一対の鍔部61b,61bに挟み込まれた連結部材65と第一軸部61とは、相対回転自在な状態で第一軸部61を支持している。これによって、第一軸部61は、その軸線方向、及び前後方向、ならびに上下方向の動きが規制された状態で連結部材65に支持されている。
【0059】
第一軸部61の右端側では、レバー支持枠50の右側壁50Rの内方側に位置する箇所に、第一操作板64が第一軸部61と一体に取り付けてある。この第一操作板64の横外方へ向く面よりもさらに横外方へ突出する状態で前記被軸受部61aが第一軸部61と一体に設けられていて、被軸受部61aをレバー支持枠50の軸受部51に挿入した状態で、第一操作板64は右側壁50Rの内方側に位置している。
このように、第一軸部61の軸端部を枢支する筒ボス状の軸受部51が、右側壁50Rの横外側(
図3中では左側)に突出し、第一操作板64は右側壁50Rの内方側に位置し、連結部材65は左側壁50Lの左側の横外側(
図3中では左側壁50Lの右側)から当てつけられた状態で連結可能であるように構成されている。したがって軸支部材60は、レバー支持枠50に対して、左側から当てつけるようにして、連結部材65と連結部53とを、連結ボルト53b,53bを用いてボルト連結することで容易に組み込むことができる。
【0060】
第一操作板64は
図3乃至
図6に示すように、右側壁50Rよりも下方側に長く延出されている。そして下方側に長く延出された第一操作板64の下部には、右側壁50Rの下端縁を越えて第一操作板64から右側壁50Rの横外側へ突出するように可動係止ピン64aが立設されている。この可動係止ピン64aは、
図3乃至
図6に示すように、軸受部51に昇降中立戻しバネ76が装着された際に、その昇降中立戻しバネ76に係止するように設けられている。
したがって、軸受部51に装着された昇降中立戻しバネ76に対しては、レバー支持枠50の右側壁50Rの横外側に突出形成された固定係止ピン52と、第一軸部61の第一操作板64から横外側へ突出するように立設された可動係止ピン64aとが係止している。
【0061】
この状態で二方向操作レバー13が前後方向に揺動操作されると、
図6に仮想線で示すように、第一操作板64の揺動に伴って可動係止ピン64aが昇降中立戻しバネ76の一端側を固定係止ピン52から離れる側へ移動させる。このとき、昇降中立戻しバネ76の他端側は固定係止ピン52に係止されていて動かないので、二方向操作レバー13には、可動係止ピン64aを固定係止ピン52に近づける方向へ向けて弾性付勢する昇降中立戻しバネ76の付勢力が作用する。これによって、二方向操作レバー13は、手を離せば中立位置に復帰するように構成されている。
【0062】
このときの二方向操作レバー13の前後方向での揺動操作範囲の限界が、
図7に示すように、レバー支持枠50に形成された前記規制部55とその規制部55に挿入された状態にある第二軸部62との当接によって行われる。
また、二方向操作レバー13と、その前後方向での揺動軸心y1となるところの第一軸部61は、前記揺動軸心y1を通る鉛直線に近い位置に、中立姿勢における二方向操作レバー13の杆身部分が存在するように関連づけられた状態で配設されている。
【0063】
第一軸部61の右端側では、レバー支持枠50の右側壁50Rの内方側に位置する箇所で、第一操作板64よりも第二軸部62の揺動軸心x1に近い位置に、操作アーム67が固定されている。この操作アーム67は、二方向操作レバー13が中立位置に操作されている状態で遊端側を前方に向けた姿勢に延出され、その延出端近く設けた連結孔67aに操作ロッド68の一端が連結されている。
操作ロッド68の他端は、アクチュエータ16の作動を制御する昇降制御バルブV2に連係されている。したがって、二方向操作レバー13の前記揺動軸心y1周りでの前後揺動操作に伴って、アクチュエータ16を作動させ、刈取前処理装置Cの昇降操作を行うことができる。
【0064】
第一軸部61の左端側では、
図3、及び
図9、
図10に示すように、一対の鍔部61b,61bに挟み込まれた連結部材65が存在する箇所よりも、さらに左端側位置に第二操作板66が取り付けられている。
第二操作板66の下端部には、操向制御バルブV1と二方向操作レバー13とを連係するように設けられた操作ワイヤ82を保持するための切り欠き部66aが形成されている。操作ワイヤ82は、アウターワイヤ部分の内部にインナーワイヤ部分が相対摺動可能に挿通されたプッシュプルワイヤで構成され、インナーワイヤ部分の一端側が二方向操作レバー13の揺動操作を伝えるところの後述する出力操作体71に連結され、アウターワイヤ部分が切り欠き部66aに抱き込み状態で保持されている。
このように第二操作板66で操作ワイヤ82の途中部分を支持することによって、出力操作体71による操作ワイヤ82の操作を円滑に行い易くすることができる。
【0065】
第一軸部61の第一操作板64と連結部材65との中間位置には、平面視で前方側が開放されたチャンネル状の保持枠体63の左右両側片部分が溶接固定されて一体化されている。そして、前記第一軸部61とは交差する状態で、軸心を前後方向に沿わせた第二軸部62が、前記第一軸部61よりも上部で保持枠体63を前後に貫通する状態で設けられている。つまり、保持枠体63を介して、上下の第一軸部61と第二軸部62が互いに直交する姿勢で一体化されている。
【0066】
第二軸部62は、保持枠体63よりも前方側に、二方向操作レバー13が枢支される枢軸部分62Aを位置させ、保持枠体63よりも後方側に延長軸部分62Bを位置させたものである。
そして、その後方側への延長軸部分62Bがレバー支持枠50に形成された規制部55に係合するように構成されている。また、延長軸部分62Bには操向中立戻しバネ75が巻回されている。操向中立戻しバネ75の両端部には、保持枠体63から後方向きに突設した中立規制ピン63Aと、後述する操作ブラケット70に備えた操作軸72のうちの、操作ブラケット70から後方向きに突設した操作軸72部分とが係止されている。
【0067】
図7及び
図10に示すように、前方側の枢軸部分62Aには、保持枠体63に近い側に、二方向操作レバー13と一体に形成されている矩形板状の操作ブラケット70のボス部70Aが外嵌されている。そして保持枠体63から遠い側には、操作ブラケット70よりも前方側に位置する矩形板状の出力操作体71のボス部71A(筒軸部に相当する)が第二軸部62に外嵌されていて、これらの操作ブラケット70及び出力操作体71が第二軸部62の軸心である揺動軸心x1回りで相対回動可能に支持されている。
【0068】
二方向操作レバー13と一体の操作ブラケット70には、第一軸部61の下側に位置させて、第二軸部62の揺動軸心x1と平行な前後方向に沿わせた軸心x2を有した操作軸72が、操作ブラケット70を前後に貫通する状態で溶接され一体化されている。
この操作軸72は、操作ブラケット70から前方向きに突設した操作軸72部分(係止体に相当する)と、操作ブラケット70から後方向きに突設した操作軸72部分(突出部材に相当する)とを備えている。
そして、前方向きに突設した操作軸72部分が、後述する出力操作体71の操作用開口71Cに挿入され、後方向きに突設した操作軸72部分が、保持枠体63に形成された後述する規制用開口63Bに挿入されている。
【0069】
出力操作体71は、第二軸部62に外嵌するボス部71Aと、そのボス部71Aに一体に装着された板状の揺動板部分71Bとを備え、かつ、揺動板部分71Bに、前記操作軸72が挿入される操作用開口71Cが備えられている。また、揺動板部分71Bの下部には、操作用開口71Cよりも下方側に位置する状態で係止ピン73(スプリング係止部に相当する)が設けられている。この係止ピン73は、第二軸部62及び操作軸72と同様に軸心x3が前後方向に沿う方向に向けられ、出力操作体71の前後両側に突出する状態で揺動板部分71Bに溶接固定されている。
そして、揺動板部分71Bよりも前方側におけるボス部71Aに、弾性体としてのコイルスプリング74が巻回され、かつ、コイルスプリング74の両端側の各端部が、操作用開口71Cに挿通された前方向きの操作軸72部分、及び係止ピン73の左右両側に振り分けられた状態で位置するように装着されている。
【0070】
揺動板部分71Bの後方側に突出した係止ピン73には、
図3、
図7、及び
図10に示すように、操作ワイヤ82が着脱可能に連結されている。この操作ワイヤ82は、
図3に示すように、操向制御バルブV1に連係され、二方向操作レバー13の左右方向、つまり第二軸部62の揺動軸心x1回りでの揺動操作に連動して操向制御バルブV1を切換操作し、図示しない走行装置の操向クラッチを左右で各別に入り切り操作し、機体の旋回操作が行われるように構成されたものである。
このように、操向制御バルブV1と二方向操作レバー13とを連係するように設けられた前記操作ワイヤ82と、第一操作連係機構H1において二方向操作レバー13の左右方向、つまり第二軸部62の揺動軸心x1回りでの揺動操作を操作ワイヤ82に伝えるところの、第二軸部62や出力操作体71などによって、操向ユニットU1が構成されている。
【0071】
操向ユニットU1における二方向操作レバー13と出力操作体71との間には、出力操作体71が二方向操作レバー13の揺動作動に追従して一体的に移動する状態と、二方向操作レバー13に対して出力操作体71が一体的に追従せずに二方向操作レバー13の単独での揺動作動を許容する状態とが現出されるように、ある程度の融通が備えられている。
その融通は、揺動板部分71Bに形成された操作用開口71Cと、その操作用開口71Cの内径と操作軸72の外径との間に径差が存在することによって構成されている。
【0072】
〔第二操作連係機構〕
リール昇降レバー14の前後方向の揺動操作を行う第二操作連係機構H2は次のように構成されている。
図3乃至
図5、及び
図9、
図10に示すように、リール昇降レバー14は、リール側支軸部40に対して、U字状に屈曲させた下端側を溶接固定した帯板状の部材で構成されている。そして、リール側支軸部40には、板状の操作アーム41も溶接固定されている。
この操作アーム41は、リール昇降レバー14が中立位置に操作されている状態で遊端側を前方に向けた姿勢に延出され、その延出端近く設けた連結孔41aに操作ロッド42の一端が連結されている。操作ロッド42の他端は、リール昇降装置5Aの作動を制御する昇降制御バルブV3に連係されている。
したがって、リール側支軸部40の軸心y4周りでのリール昇降レバー14の揺動操作にともなって、リール昇降装置5Aを作動させ、刈取前処理装置Cに対する掻き込み用リール5の高さ位置の変更操作を行うことができる。
【0073】
リール昇降レバー14を支持するリール側支軸部40は、二方向操作レバー13を支持する第一軸部61とは、それぞれの軸心y4,y1を左右方向に沿わせて、左右に並ぶ状態で僅かに離れて配置されているが、同心状に配置されたものではない。
つまり、リール側支軸部40の軸心y4は、上下方向で第一軸部61における揺動軸心y1よりも少し下方にずれた位置にある。前後方向でも、リール側支軸部40の軸心y4が第一軸部61における揺動軸心y1よりも少し前方にずれた位置に配置されている。この位置関係で、リール側支軸部40と第一軸部61が、前記取付ブラケット22,23により、操縦塔20に取り付けられている。
【0074】
リール昇降装置5Aの作動を制御する昇降制御バルブV3、及び刈取前処理装置Cの昇降操作を行うアクチュエータ16の作動を制御する昇降制御バルブV2は、共通のバルブブロックVB(バルブユニットに相当する)に組み込まれている。バルブブロックVBは、操縦塔20の内部で、その取付位置を、前後、又は左右、あるいは上下に変更して取り付けることが可能である。
このバルブブロックVBの位置を変更することで、前記昇降制御バルブV3、及び昇降制御バルブV2の位置を、一括して同時に変更することが可能である。
【0075】
〔原動部の構造〕
図12及び
図13に示すように、原動部Aにおいて、エンジンカバー11の右横外方に吸気ケース12の設けられ、エンジンカバー11の左横側部にサイドパネル30が設けられている。
エンジンカバー11の内部では、エンジン3の右横外側にラジエータ17及び吸気ファン17Aが設けられている。吸気ケース12及びラジエータ17を通過して吸い込まれた外気は、吸気ファン17Aによりエンジンルーム内の冷却風として、右方向から左方向に強制送風されている。
【0076】
吸気ファン17Aによる送風は、エンジンルーム内を経て、サイドパネル30の後部における左側方から外方へ排出されるものであるが、このサイドパネル30の左横外方には、刈取前処理装置Cから脱穀装置Dへ向けて刈取収穫物を搬送するフィーダ8が存在している。
サイドパネル30の左横側面とフィーダ8の右横側面との間には適度な間隔があるので、吸気ファン17Aによる送風がそれほど強くなければ特に問題はないが、エンジン3自体が大型で強い出力を持つものであったり、作業負荷が比較的大きくてエンジン3の出力を上げて作業したりしている場合には、速い速度で吹き出された吸気ファン17Aからの送風が、フィーダ8の右横側面に衝突して、上方の運転部B側へ跳ね返ってくることがある。
【0077】
そこで、サイドパネル30のうち、左右方向でエンジン3から遠い側の端部に、上下方向に沿う縦壁32を設け、かつ、この縦壁32を、吸気ファン17Aによる送風が制限されながら通過し得る程度の多数の通気用小孔が形成されたパンチングメタル(多孔部材に相当する)で構成したものである。
これにより、吸気ファン17Aによる送風が、速い速度でフィーダ8の右横側面に直接的に衝突して跳ね返る虞は少ない。そして、縦壁32が無孔であるものに比べ、エンジンルーム内に熱気が滞留する虞も少ない。
【0078】
この縦壁32に通気用小孔が形成される範囲は、縦壁32の全体であってもよいが、前後方向でエンジン3が存在する位置と同じ位置に相当する部分のみであってもよい。
つまり、前後方向で吸気ファン17Aとエンジン3とはほぼ同じ位置にあり、吸気ファン17Aの送風方向は、エンジン3の存在する方向に向けられる。したがって通気用小孔が形成される範囲も、エンジン3が存在する位置と前後方向で同じ位置、又はほぼ同じ位置に相当する範囲であればよい。
【0079】
〔その他〕
図15は、運転部ステップ15の位置やサイドパネル30部分の形状が異なる二種類の運転部Bを、実線と二点鎖線で示した比較用の説明図である。
まず、
図15に二点鎖線で記載された形状の運転部Bについて説明する。
この運転部Bでは、運転部ステップ15及びステップ下面15Uの位置が比較的低い位置に設定されている。そして、操縦塔20の底面20Uは、運転部ステップ15の上面よりも一段低くなった位置で運転部ステップ15に取り付けられている。
そして、サイドパネル30の上面31は、操縦塔20の後端位置に引き続いて、その後端位置と同程度の高さ位置で、全体が水平又はほぼ水平方向に沿った平坦面に形成されている。
【0080】
次に、
図15に実線で記載された形状の運転部Bについて説明する。
この運転部Bでは、運転部ステップ15におけるステップ下面15Uの位置が、上記の二点鎖線で記載された形状のものに比べて、高低差h1だけ高くしてある。そして、運転部ステップ15の上面は、上述した二点鎖線で示した比較例の構造のような低い段部はなく、全体が平坦面で形成され、その上に操縦塔20の底面20Uが搭載されている。この運転部ステップ15の上面は、上記の二点鎖線で記載された形状のものに比べて、高低差h2だけ高くしてある。
その結果、操縦塔20の上端部は、比較例の構造に比べてかなり高くなっている。しかし、サイドパネル30の上面31は、全体が水平又はほぼ水平方向に沿った平坦面で形成されるのではなく、その前側部分と後側部分とで異なる形状に形成されている。
つまり、サイドパネル30の上面31のうち、操縦塔20の上部後端位置に引き続く前部上面31Aが、操縦塔20の後端から、操縦塔20の上面に沿う後ろ下がりの傾斜面に形成され、さらにその後方に引き続く後部上面31Bが水平又はほぼ水平方向に沿った平坦面に形成されている。そして、この後部上面31Bは、比較例の構造におけるサイドパネル30の上面31に比べて、高低差h3だけ高くしてある。
【0081】
上述したように、実線で記載された形状の運転部Bは、二点鎖線で記載された形状の運転部Bを採用した場合に比べて、全体として少し底上げされ、サイドパネル30の上面31の高さも少し高くなっている。運転部ステップ15の上面からサイドパネル30の後部上面31Bまでの距離はほとんど変わらない。
上記の
図15に実線で記載された形状の運転部Bは、本発明の運転部Bに相当する構造である。
この構造は、車体フレーム10に搭載されるエンジン3の大型化や、ミッションケース4の大型化などに伴って、運転部ステップ15におけるステップ下面15Uの位置を底上げし、地上高を高く確保したい場合に用い易い。例えば、ステップ下面15Uの地上高を高くしても、サイドパネル30の上面31に備えられる各種操作具の位置や、運転座席2の高さは、あまり高くしたくないというような場合に有効である。
つまり、二点鎖線で記載された比較例の運転部Bにおける、運転部ステップ15の位置やサイドパネル30部分の形状を採用した場合に比べて、実線で記載された形状の運転部Bにおける、運転部ステップ15の位置やサイドパネル30部分の形状を採用した場合には、ステップ下面15U同士の高低差h1や、運転部ステップ15の上面同士の高低差h2に比べると、サイドパネル30の後部上面31Bにおける高低差h3は、かなり少ないので有利である。
【0082】
また、エンジン3や、ミッションケース4の大型化に際して、走行変速用の主変速装置として用いられる静油圧式無段変速装置の容量を大きく設定すると、次の点で有利な変速装置を得やすい。
つまり、静油圧式無段変速装置は、その機能上、斜板角を大きくして比較的高速域で用いられた方が効率良く使用することが知られている。そこで一般的な収穫機では、ミッションケース4内のギヤ式副変速装置との組み合わせで、高速域である「路上走行速度」と、中速域である「通常作業走行速度」と、低速域である「倒伏作業走行速度」との三種の走行形態を現出するようにしている。
【0083】
この構造では、静油圧式無段変速装置は、例えば最高速(100%出力)で用い、ギヤ式副変速装置を「倒伏作業走行速度」に適した低速と、「通常作業走行速度」に適した中速と「路上走行速度」に適した高速との三段階に切り換えて使用するようにしている。
しかし、収穫機全体の大きさに対して、エンジン3の出力や静油圧式無段変速装置の容量に余裕があれば、
図16に示すように、静油圧式無段変速装置の使い方と、ギヤ式副変速装置との組み合わせで、ギヤ式副変速装置を二段階の切り換えが行えるだけの簡単かつ小型な構造ものを採用することもできる。
【0084】
図16の表は、静油圧式無段変速装置を中速(例えば50%出力)と、例えば最高速(100%出力)とに使い分けるとともに、標準速(1速)と高速(2速)との二段階に変速可能なギヤ式副変速装置との組み合わせで用いた場合の、走行速度の出力状態を示している。この表に示されるように、容量に余裕のある静油圧式無段変速装置と二段階に変速可能なギヤ式副変速装置を用いて、低速域である「倒伏作業走行速度」と、中速域である「通常作業走行速度」と、高速域である「路上走行速度」、との三種の走行形態を現出できるようにしたものである。
これによって、ギヤ式副変速装置の小型化と簡素化とを実現し易くなる。
【0085】
〔別実施形態の1〕
上記実施形態では、二方向操作レバー13の前後方向の操作で刈取前処理装置Cの昇降操作を行い、二方向操作レバー13の左右方向の操作で自走機体の操向操作を行うように構成した構造のものを示したが、これに限られるものではない。
例えば、二方向操作レバー13の左右方向の操作で刈取前処理装置Cの昇降操作を行い、二方向操作レバー13の前後方向の操作で自走機体の操向操作を行うように構成した構造のものであっても差し支えない。
その他の構成は、前述した実施形態と同様の構成を採用すればよい。
【0086】
〔別実施形態の2〕
上記実施形態では、運転部Bにおいて、サイドパネル30の前部が、操縦塔20の左右方向端部に対して、後端側に接続された構造のものを例示したが、この構造に限られるものではない。
例えば、図示はしないが、操縦塔20の左右方向端部に対して、その操縦塔の左右方向での横外側にサイドパネル30の前部が位置するように隣り合わせた構造のものであってもよい。
また、操縦塔20とサイドパネル30とは、互いに接続された構造であるに限らず、多少の間隔を空けて配置されたものであってもよい。
その他の構成は、前述した実施形態と同様の構成を採用すればよい。
【0087】
〔別実施形態の3〕
上記実施形態では、支持部材において、二方向操作レバー13の第一軸部61が支持されているレバー支持枠50を、右側取付ブラケット22の水平板面22aに固定し、リール昇降レバー14のリール側支軸部40を、鉛直板面22bに位置調節可能に支持させた構造のものを例示したが、この構造に限定されるものではない。
例えば、リール昇降レバー14のリール側支軸部40を、右側取付ブラケット22の水平板面22aに固定し、二方向操作レバー13の第一軸部61が支持されているレバー支持枠50を、鉛直板面22bに位置調節可能に支持させた構造のものであってもよい。
その他の構成は、前述した実施形態と同様の構成を採用すればよい。
【0088】
〔別実施形態の4〕
上記実施形態では、支持部材を、右側取付ブラケット22と左側取付ブラケット23との組み合わせで構成した構造を示したが、この構造に限定されるものではない。例えば、右側取付ブラケット22と左側取付ブラケット23とを一体に構成した構造のものであってもよい。
その他の構成は、前述した実施形態と同様の構成を採用すればよい。
【0089】
〔別実施形態の5〕
上記実施形態では、二方向操作レバー13の支持構造として、互いにほぼ直交する軸心y1,x1を有した第一軸部61や第二軸部62を採用した構造のものに限らず、例えば球軸受けで構成された支持構造を採用するなど、適宜の構造を採用することができる。また、リール昇降レバー14の支持構造としても、二方向操作レバー13の支持構造とは完全に独立した支持構造を採用するなど、適宜の構造を採用することができる。
その他の構成は、前述した実施形態と同様の構成を採用すればよい。
【0090】
〔別実施形態の6〕
上記実施形態では、前壁20Fの内面側と後壁20Bの内面側とのそれぞれに、前側取付板26と後側取付板27とを溶接固定して、その前側取付板26と後側取付板27とに、取付ブラケット22,23を溶接固定した構造のものを示したが、これに限られるものではない。
例えば、図示はしないが、前側取付板26を、前壁20Fの内面側に対して、長孔や複数個の取付孔とボルトによる連結構造を用いて連結し、後側取付板27を、後壁20Bに対して、長孔や複数個の取付孔とボルトによる連結構造を用いて連結してもよい。
このようにすれば、前側取付板26や後側取付板27を含めた取付ブラケット22,23と、その取付ブラケット22,23に支持される軸支部材60、及びリール側支軸部40とを含む集合体の全体を、操縦塔20に対して位置調節して取り付けるように構成することもできる。
その他の構成は、前述した実施形態と同様の構成を採用すればよい。