(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の実施形態について、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。
なお、各実施形態の説明において、同一の構成要素に関しては同一の符号を付し、重複した説明は省略するものとする。
本実施形態では、本発明の画像撮影装置を、コンクリートの製造工程において、材料の粒度分布を測定するための粒度分布測定システムに適用した場合について説明する。
【0015】
[第一実施形態]
第一実施形態の粒度分布測定システム1は、
図1に示すように、材料3を撮影する画像撮影装置2Aと、画像撮影装置2Aから得られた材料3の画像に基づいて、材料3の粒度分布を算出する算出部60と、を備えている。また、粒度分布測定システム1は、画像撮影装置2Aに材料3を搬送するベルトコンベア10と、画像撮影装置2Aを通過した材料3が収容されるホッパ80と、を備えている。
【0016】
ベルトコンベア10は、粗粒材(骨材等)および細粒材(土砂等)を含有する粒状の材料3を後記する整流部20に供給するためのものである。
ベルトコンベア10は、上流側および下流側のプーリ11,11と、両プーリ11,11に掛け回された無端ベルト12と、上流側のプーリ11を回転させるモータ(図示せず)と、を備えている。
【0017】
画像撮影装置2Aは、ベルトコンベア10の下流側に設けられた整流部20と、整流部20の下流側に設けられたスクリーン30と、スクリーン30を照らす照明部40と、スクリーン30の前側の空間を通過する材料3を撮影する撮影部50と、を備えている。
【0018】
整流部20は、
図2に示すように、前後二枚の整流板21,22と、左右二枚の側壁23,23とを備えている。両整流板21,22および両側壁23,23によって角筒状のダクトとなるように形成されている。
【0019】
前後の整流板21,22は、
図1に示すように、前後の平面の法線が水平方向に配置されている。前後の整流板21,22は、前後方向に間隔を空けて平行に配置されている。前側の整流板21の後面21aと、後側の整流板22の前面22a(特許請求の範囲における「表面」)とは、前後方向に間隔を空けて対峙している。
【0020】
後側の整流板22の上端部は、後方に向けて傾斜している(
図2参照)。また、前側の整流板21の上端部は、後側の整流板22の上縁部よりも上方に突出している。
左右の側壁23,23は、
図2に示すように、前後の整流板21,22の側縁部に取り付けられている。両側壁23,23の上縁部は、両整流板21,22の上縁部よりも下方に配置されている。
【0021】
整流部20の上側開口部20aは、
図1に示すように、無端ベルト12の下流側の端部の下方に配置されている。無端ベルト12から排出された材料3は、整流部20の上側開口部20aに流入する。
後側の整流板22の上端部は後方に向けて傾斜しており、上側開口部20aの上側において前後の整流板21,22の間隔が広がっているため、材料3は上側開口部20aに入り易い。
また、前側の整流板21は、上側開口部20aよりも上方に突出しているため、無端ベルト12から排出された材料3が前側の整流板21の前方に飛び出すのを防ぐことができる。
【0022】
整流部20内に流入した材料3は、前側の整流板21の後面21aおよび後側の整流板22の前面22aに沿って流下する。そして、整流部20の下側開口部20bから鉛直下向きに直線状の軌道(軌線)で流下する。
【0023】
第一実施形態の整流部20では、
図2に示すように、前側の整流板21の後面21aおよび後側の整流板22の前面22aに三本の回転ピン25が立設されている。
回転ピン25は、軸断面が円形の部材である。回転ピン25の軸方向は、
図1に示すように、前側の整流板21の後面21aおよび後側の整流板22の前面22aに対して垂直に配置されている。すなわち、回転ピン25は、前後方向に水平に延びている。
【0024】
回転ピン25の前端部25aは、前側の整流板21に形成された取付穴21bに挿通され、前側の整流板21の前面21cに設けられた軸受に軸支されている。
回転ピン25の後端部25bは、後側の整流板22に形成された取付穴22bに挿通され、後側の整流板22の後面22c側に突出している。
回転ピン25の前端部25aおよび後端部25bは、前後の整流板21,22に対して軸回りに回転自在に取り付けられている。
【0025】
第一実施形態では、
図2に示すように、整流部20の上部に一本の回転ピン25を配置し、整流部20の下部に二本の回転ピン25,25を配置している。
上側の回転ピン25は、整流部20の左右方向の中央部に配置され、下側の二本の回転ピン25,25は、上側の回転ピン25の左右両側に配置されている。
【0026】
第一実施形態の画像撮影装置2Aでは、
図1に示すように、回転ピン25を軸回りに回転させるための駆動装置26が設けられている。
第一実施形態の駆動装置26は、電動モータであり、後側の整流板22の後面22cに取り付けられている。また、三本の回転ピン25にそれぞれ駆動装置26が設けられている。したがって、後側の整流板22の後面22cには、三台の駆動装置26が三本の回転ピン25の位置に合わせて配置されている。
駆動装置26の出力軸には、回転ピン25の後端部25bが連結されている。これにより、駆動装置26の出力軸の回転に連動して、回転ピン25が軸回りに回転する。
【0027】
スクリーン30は、
図1に示すように、整流部20の下流側に設けられた平板である(
図2参照)。このスクリーン30は、両整流板21,22に対して平行に配置されている。さらに、スクリーン30は、後側の整流板22に対して後側(特許請求の範囲における「裏側」)にオフセットされている。
なお、スクリーン30は、整流部20の下側開口部20bから流下した材料3が、スクリーン30の前面30aに接触しないように、材料3の軌道(軌線)から離れた位置に配置されている。
【0028】
照明部40は、スクリーン30の前面30aを照らす光源(ライト)であり、後側の整流板22とスクリーン30との間に形成された隙間から前面30aに光を照射するように構成されている。つまり、照明部40は、スクリーン30の前側の空間を通過する材料3の後側に配置されている。
【0029】
ホッパ80は、スクリーン30の前側の空間を通過した材料3を収容するものである。ホッパ80の上側の開口部は、スクリーン30の下方に配置されている。
【0030】
撮影部50は、スクリーン30の前側(特許請求の範囲における「表側」)の空間を通過する材料3を前側から撮影し、撮影結果を後記する算出部60に出力するカメラである。撮影部50は、鉛直下向きに流下する材料3を水平方向から撮影するように設定されている。すなわち、撮影部50の撮像素子の撮像面は、鉛直方向に平行な平面に配置されている。なお、撮影部50としては、デジタル画像を取得可能なビデオカメラまたはデジタルカメラが好適である。
【0031】
算出部60は、入力手段、出力手段、CPU、ROM、RAM等からなるコンピュータである。算出部60は、撮影部50の画像を取得し、その画像に基づいて、材料3の粒度分布を算出する。
【0032】
ここで、算出部60による粒度分布の算出方法について説明する。
撮影部50では、スクリーン30の前面30aを背景として、上流側から下流側に向けて流れる材料3を撮影する。そして、算出部60では撮影結果を二値化処理して材料3の大きさを算出する。
【0033】
第一実施形態の画像撮影装置2Aでは、スクリーン30の前側の空間を通過する材料3の後側で、スクリーン30の前面30aが照明部40によって照らされている。そのため、スクリーン30の前面30aのみが明るくなり、材料3は黒い影として撮影される。これにより、材料3に模様がある場合でも、画像上で材料3の外形を明確に認識することができる。
【0034】
また、整流部20を通過した材料3は、スクリーン30から離れた位置を通過するため、スクリーン30の前面30aが材料3によって汚れるのを防ぐことができる。これにより、撮影部50が材料3を撮影したときに、スクリーン30の汚れが撮影されなくなるため、画像上の材料3を正確に認識することができる。
【0035】
また、整流部20から流下した材料3は、撮影部50の撮像素子の撮像面に平行して鉛直下向きに流下しており、撮像面から撮影領域内の各材料3までの距離が一定になるため、画像上で材料3の大きさを正確に測定することができる。
【0036】
以上のような粒度分布測定システム1の画像撮影装置2Aでは、
図1に示すように、整流部20に流入した材料3は、前後の整流板21,22に沿って鉛直下向きに流下する。また、材料3は三本の回転ピン25に接触して効果的に拡散される。これにより、各材料3は重なり合うことなく、整流された状態で流下する。
そして、整流された材料3がスクリーン30の前側で撮影部50に撮影されるため、材料3の画像に基づいて行われる粒度分布測定の精度を高めることができる。
【0037】
また、整流部20に材料3を流入させるときには、駆動装置26によって回転ピン25を軸回りに回転させておく。このようにすると、回転ピン25の上側に材料3が付着した場合でも、材料3は回転ピン25の回転に伴って回転ピン25の下側に移動するので、材料3が回転ピン25から剥がれ落ちる。また、回転ピン25に付着した材料3は回転ピン25の回転による遠心力によって回転ピン25から剥がれ落ちる。これにより、回転ピン25に付着した材料3を確実に落下させることができる。
したがって、画像撮影装置2Aでは、回転ピン25に材料3の塊が付着し難いため、回転ピン25を有する整流部20に材料3をスムーズに流下させて、材料3を整流させることができる。
【0038】
なお、整流部20に材料3を流入させるときに、回転ピン25を常に回転させておいてもよいが、間欠的に回転ピン25を回転させてもよい。さらに、回転ピン25に材料3が付着したときに回転ピン25を回転させてもよい。
【0039】
以上、本発明の第一実施形態について説明したが、本発明は前記第一実施形態に限定されることなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜に変更が可能である。
例えば、第一実施形態では、三本の回転ピン25が設けられているが、回転ピンの本数や配置は限定されるものではない。また、回転ピン25の太さや軸断面の形状も限定されるものではない。回転ピン25の構成は、材料3の大きさや粘性等に応じて適宜に設定される。
【0040】
また、第一実施形態の画像撮影装置2Aでは、前後の整流板21,22が鉛直に配置されているが、前後の整流板21,22の上部が下部に対して後方に配置されるように傾斜させ、材料3が後側の整流板22の前面22aを滑り落ちるように構成してもよい。
【0041】
また、第一実施形態の画像撮影装置2Aでは、前後二枚の整流板21,22が設けられているが、後側の整流板22のみを設け、材料3が後側の整流板22の前面22aに沿って流下するように構成してもよい。
【0042】
また、第一実施形態の画像撮影装置2Aでは、後側の整流板22の後面22cに駆動装置26が取り付けられているが、前側の整流板21の前面21cに駆動装置26を取り付けてもよい。この場合には、駆動装置26の出力軸を回転ピン25の前端部25aに連結する。
【0043】
また、第一実施形態の駆動装置26は、電動モータであるが、駆動装置26の構成は限定されるものではない。また、一台の駆動装置26と複数の回転ピン25とをベルト機構などの駆動伝達機構によって連結することで、一台の駆動装置26によって複数の回転ピン25を回転させてもよい。
【0044】
[第二実施形態]
次に、第二実施形態の画像撮影装置2Bについて説明する。
第二実施形態の画像撮影装置2Bは、
図3に示すように、前記第一実施形態の画像撮影装置2A(
図1参照)と略同様な構成であり、駆動装置26を備えていない点が異なっている。
【0045】
第二実施形態の画像撮影装置2Bの整流部20では、回転ピン25の前端部25aは、前側の整流板21に形成された取付穴21bに挿通され、前側の整流板21の前面21cに設けられた軸受に軸支されている。
また、回転ピン25の後端部25bは、後側の整流板22に形成された取付穴22bに挿通され、後側の整流板22の後面22cに設けられた軸受に軸支されている。
回転ピン25の前端部25aおよび後端部25bは、前後の整流板21,22に対して軸回りに回転自在に取り付けられている。
【0046】
第二実施形態の整流部20において、回転ピン25の上側に材料3が付着した場合には、材料3の重さや、材料3が回転ピン25に衝突したときの衝撃によって、回転ピン25が軸回りに回転し、回転ピン25の下側から材料3が剥がれ落ちる。
【0047】
第二実施形態の画像撮影装置2Bのように、回転ピン25を自由回転させる構成では、整流部20の構成を簡素化することができる。
【0048】
以上、本発明の第二実施形態について説明したが、本発明は前記第二実施形態に限定されることなく、前記第一実施形態と同様に、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜に変更が可能である。
例えば、第二実施形態の整流部20において、回転ピン25の外周面に羽根を設け、流下する材料3が羽根に接触することで、回転ピン25が回転するように構成してもよい。