(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の一実施形態(本実施形態)について具体例を挙げて説明する。以下の説明では、車両を乗物の一例に挙げて説明する。ただし、本発明は、車両以外の乗物にも適用可能であり、例えば、自動二輪車、船舶又は航空機に対しても適用可能である。
【0020】
<<本実施形態に係る情報通知装置の用途について>>
以下、本実施形態に係る情報通知装置の用途について説明する。本実施形態に係る情報通知装置は、所定の条件を満たす車両の所有者に対して、その事実(すなわち、自己の車両が所定の条件を満たすこと)を認識させるために用いられる。
【0021】
具体的に説明すると、本実施形態では、リコール対象候補の車両やリコール未実施の車両の保有者に対して、その事実を認識させるために用いられる。ここで、リコール発生の流れについて
図1を参照しながら概説する。
図1は、リコール発生の流れを示す図である。
【0022】
リコール発生の原因となる事象(例えば、欠陥車両が存在していること)が車両メーカ側で認識されたとき、車両メーカは、所定の機関(例えば、国土交通省)に対してリコールの届け出を行う。当該機関は、届出を受理すると、リコール対象候補の車両を特定し、特定した車両を販売した車両メーカ及びディーラに対してリコールの実施を指示する。
【0023】
リコールの実施を指示された車両メーカ及びディーラは、従来、これらの者が保有している車両保有者のリスト(所有者、カーオーナリスト)を参照し、当該リストに記載されている住所や連絡先にダイレクトメール等を送付していた。しかしながら、『発明が解決しようとする課題』の項で説明したように、リコール対象候補の車両を販売してから長期間が経過していると、当該車両の保有者が転居していたり、車両の移譲によって保有者自体が変わっていたりする。このようなケースでは、販売時当初の車両保有者に対してダイレクトメールを送付しても、その車両保有者あるいは変更後の車両保有者に適切に届かない虞がある。
【0024】
また、車両メーカ及びディーラがリコール対象候補車両の所有者に対して、その事実を知らせる手段としては、新聞や雑誌等のメディアを通じてリコール対象候補の車両を告知することも従来から行われている。ただし、このような方法では、不特定多数を相手に知らせるため、リコール対象候補車両の保有者が、その情報に気付かないで見過ごしてしまう虞がある。
【0025】
これに対して、本実施形態に係る情報通知装置を用いれば、リコール対象候補の車両やリコール未実施の車両の保有者に対して、その事実を的確に認識させることができ、その後の対応(具体的には、リコール改修のための入庫予約手続)を円滑に進めることが可能となる。
【0026】
以下では、本実施形態に係る情報通知装置について2つの例(第一実施例及び第二実施例)を挙げ、各例に係る情報通知装置の構成例や動作例について説明することとする。
【0027】
<<第一実施例に係る情報通知装置について>>
第一実施例に係る情報通知装置(以下、単に装置10)は、整備工場において利用されるコンピュータからなり、具体的には、整備工場が自己の顧客を管理するための管理ツールとして利用されているパソコンによって構成される。詳しく説明すると、整備工場は、サービスとして車両の点検や整備を実施すると共に、中古車の販売を事業として行っている。整備工場の従業員は、装置10を利用して、車両の点検・整備に関する内容や実施年月日等を、点検・整備の依頼者である車両所有者(カーオーナ)毎に記録する。また、整備工場の従業員は、装置10を利用して、販売した中古車に関する車両情報を、中古車の所有者(カーオーナ)毎に記録する。また、整備工場の従業員は、以上の情報を記録する際に、車両所有者(カーオーナ)の個人情報、具体的には住所やメールアドレス等の連絡先を併せて記録する。
【0028】
装置10は、
図2に示すように、ネットワークを通じて他の関連装置と共に情報通知システムSを構築している。
図2は、情報通知システムSの説明図である。情報通知システムSは、同図に示すように、装置10と、第一のデータベース1と、第二のデータベース2と、第三のデータベース3とを主な構成機器として備えている。装置10は、第一のデータベース1、第二のデータベース2及び第三のデータベース3の各々とネットワークを介して通信可能に接続されている。
【0029】
第一のデータベース1は、リコール届出を受理すると共にリコールの監督・指導を行う機関(具体的には、国土交通省)が管理するデータベースであり、具体的にはデータベースサーバによって構成されている。第一のデータベース1には、リコール対象候補の車両を抽出するために設定された乗物抽出情報を蓄積している。ここで、第一のデータベース1に蓄積されている乗物抽出情報は、リコールの届出内容から特定されるものであり、具体的には、リコール対象候補の車両の車台番号を示す情報である。ただし、乗物抽出情報については、車台番号に限定されるものではなく、それ以外の情報(例えば、リコール対象候補の車両が販売されていた期間や販売地区)であってもよい。
【0030】
第二のデータベース2は、整備工場の顧客管理業務を支援するサポート会社が管理するデータベースであり、上記のサポート会社が保有するデータベースサーバ、あるいは、クラウドサービス提供用のサーバコンピュータによって構成されている。第二のデータベース2には、整備工場において装置10を利用して入力された情報、具体的には、車両の点検・整備に関する情報や販売した中古車の車両情報が蓄積されている。
【0031】
より詳しく説明すると、整備工場において点検・整備が行われた車両の車台番号(識別情報に相当)、点検・整備の実施年月日、点検結果や整備内容(交換部品)、次回の定期点検の実施予定日が車両所有者の個人情報と紐付けられた状態で第二のデータベース2に蓄積されている。また、整備工場にて販売された中古車のうち、購入された車両の車台番号(識別情報に相当)、購入年月日、オプション購入品の有無、車検の有効期限が車両所有者(購入者)の個人情報と紐付けられた状態で第二のデータベース2に蓄積されている。
【0032】
なお、第二のデータベース2に蓄積されている情報は、逐次更新され、具体的には車両の点検・整備が行われる度に更新され、あるいは、整備工場で販売している中古車が購入される度に更新される。
【0033】
第三のデータベース3は、車両メーカが管理するデータベースであり、具体的には、データベースサーバによって構成されている。第三のデータベース3には、リコール対象車両であってリコールによる改修が未実施である車両(すなわち、リコール未実施の車両)を抽出するために設定された乗物抽出情報を蓄積している。より詳しく説明すると、第三のデータベース3に蓄積されている乗物抽出情報は、リコール車両情報である。リコール車両情報とは、車両メーカが把握しているリコール未実施の車両の車台番号を示す情報、あるいはリコールによる改修が既に実施された車両の車台番号を示す情報である。なお、第三のデータベース3に蓄積されているリコール車両情報は、リコールによる改修が行われる度(換言すると、リコール未実施の車両が減る度)に更新される。
【0034】
以上までに説明してきた機器により構成された情報通知システムSでは、装置10が第二のデータベース2に定期的にアクセスして、近日中に定期点検の実施予定日や車検の有効期限日を迎える車両と、その保有者の連絡先とを特定する。この際に特定される車両(すなわち、近日中に定期点検の実施予定日や車検の有効期限日を迎える車両)は、第一実施例における対象車両に相当する。
【0035】
また、装置10は、対象車両を特定する際に、当該対象車両の車台番号(識別情報に相当)を第二のデータベース2から読み出す。その後、車台番号が読み出された対象車両については、リコール対象候補の車両又はリコール未実施の車両であるか否かが判定される。
【0036】
具体的に説明すると、装置10が対象車両の車台番号と共に特定した当該対象車両の所有者の連絡先宛てに、整備工場から定期点検や車検の実施依頼通知が送られてくる。対象車両の所有者は、当該通知を受領すると、所定の方法により点検又は整備の申し込みを行う。点検又は整備の申し込みは、整備工場への対象車両の入庫を予約するタイミング、あるいは、入庫のために対象車両を整備工場へ持ち込むタイミングで行われる。
【0037】
対象車両の所有者が点検又は整備を申し込む際、整備工場の従業員は、装置10を操作して、申し込みに必要な情報(例えば、対象車両の保有者の名前等)を入力する。この入力情報の入力は、ディスプレイの画面(画面に相当)を通じて行われる。入力情報の入力が行われると、これを契機として装置10が第二のデータベース2にアクセスし、入力情報をキーとして対象車両の車台番号を検索する。装置10は、検索した対象車両の車台番号を装置10内のメモリに記憶する。
【0038】
その後、装置10は、メモリから対象車両の車台番号を読み出すと共に、第一のデータベース1や第三のデータベース3にアクセスして、リコール対象候補の車台番号を示す情報やリコール車両情報を取得する。その後、第一のデータベース1や第三のデータベース3から取得した情報に基づいて、リコール対象候補の車両の車台番号及びリコール未実施車両の車台番号が割り出される。
【0039】
ここで、データベースから取得した情報に基づいて車台番号を割り出す際には、データベースから取得した情報(ダウンロードした情報)を装置10が直接読み取ることで車台番号を割り出してもよい。あるいは、データベースから取得した情報を画面表示し、その情報を見た人(ヒト)が当該情報から車台番号を割り出してもよい。なお、人が車台番号を割り出した場合には、割り出した車台番号を別のデータベース(例えば、後述する第四のデータベース4)に蓄積し、以降、当該データベースから車台番号を参照してもよい。
【0040】
装置10は、第一のデータベース1や第三のデータベース3から取得した情報に基づいて割り出された車台番号と、装置10内のメモリから読み出した対象車両の車台番号とを照合する。すなわち、装置10は、対象車両がリコール対象候補の車両又はリコール未実施車両であるかどうかを判定する。この結果、装置10は、対象車両がリコール対象候補の車両又はリコール未実施の車両であるかどうかについての判定結果を取得する。
【0041】
そして、装置10は、対象車両がリコール対象候補の車両又はリコール未実施の車両であるという判定結果を取得したとき、当該判定結果に応じた情報を通知するための処理を実行する。具体的に説明すると、装置10は、
図3や
図4に示すように、点検・整備の申し込み時に入力情報の表示画面として利用されたディスプレイの画面に、対象車両がリコール対象候補の車両又はリコール未実施の車両である旨のメッセージを表示する。
【0042】
以上により、点検・整備の申し込みを受け付けるために装置10を操作している整備工場の従業員は、対象車両がリコール対象候補の車両又はリコール未実施の車両であることを認識するようになる。また、整備工場の従業員は、対象車両の所有者に対して、当該対象車両がリコール対象候補の車両又はリコール未実施の車両である旨をメール等の通知手段によって通知する。これにより、対象車両の所有者も、自己の車両がリコール対象候補の車両又はリコール未実施の車両であることを認識するようになる。なお、対象車両の所有者への通知は、装置10によって自動的に行われてもよい。
【0043】
以上までに説明してきた内容について補足すると、上記の実施例では、対象車両がリコール対象候補の車両であるか否かを判定するにあたり、装置10が第一のデータベース1や第三のデータベース3にアクセスして乗物抽出情報(具体的には、リコール対象候補の車両の車台番号を示す情報やリコール車両情報)を取得することとした。このような構成では、対象車両が変わると、その度に装置10が第一のデータベース1や第三のデータベース3にアクセスする形になる。
【0044】
一方、第一のデータベース1に蓄積されている乗物抽出情報(すなわち、リコール対象候補の車両の車台番号)は、一度登録されると、原則として変化しない情報である。かかる点に注目し、例えば、第二のデータベース2を構成するサーバコンピュータに、第一のデータベース1に蓄積されている乗物抽出情報のリストをダウンロードさせてもよい。その上で、
図2に示すように、第二のデータベース2を構成するサーバコンピュータが同コンピュータ内に、第一のデータベース1と同様のデータベースである第四のデータベース4(すなわち、乗物抽出情報を蓄積したデータベース)を別途構築してもよい。このような構成であれば、装置10は、リコール対象候補の車両の車台番号を取得するにあたり、第一のデータベース1よりもアクセスし易い第四のデータベース4にアクセスすればよいことになる。この結果、対象車両が変わる度に第一のデータベース1にアクセスするという処理を行う必要がなく、乗物抽出情報の取得が円滑に行われるようになる。
【0045】
なお、以下では、乗物抽出情報を取得する際のアクセス先が、第四のデータベース4ではなく第一のデータベース1であるケースを例に挙げて説明することとする。
【0046】
また、上記の実施例では、対象車両がリコール対象候補の車両やリコール未実施の車両であるか否かの判定が装置10によって行われることとした。ただし、これに限定されるものではなく、上記の判定が第一のデータベース1や第三のデータベース3を構成するデータベースサーバ側で行われてもよい。かかる場合、装置10は、対象車両の車台番号を示すデータを上記のデータベースサーバに引き渡し、上記のデータベースサーバからネットワークを通じて判定結果を取得することになる。
【0047】
以下では、装置10の構成について詳しく説明する。装置10は、前述したように、コンピュータ(厳密にはパソコン)からなり、
図5に示すように、CPU10a(中央演算装置)、ROMやRAM等のメモリ10b、ハードディスクドライブ10c、通信用インタフェース10d、キーボードやマウス等の入力機器10e、及びディスプレイ10fを有する。
図5は、装置10のハードウェア構成を示す図である。
【0048】
装置10としての機能は、上記のコンピュータがメモリ10bに格納されたコンピュータプログラム(以下、情報通知プログラム)を実行することで実現される。情報通知プログラムは、フラッシュメモリ、光ディスク等、コンピュータが読み取り可能な情報記憶媒体に記憶されており、この情報記憶媒体が上記のコンピュータに読み取られること(分かり易くは、インストールされてコンピュータ内に格納されること)で実行可能となっている。なお、情報通知プログラムは、インターネットやイントラネットを通じたデータ通信によって配信されてもよい。また、情報通知プログラムは、アプリケーションサービスプロバイダ(ASP)やクラウドサービス用のサーバを介してネットワーク経由で利用可能なプログラムであってもよい。
【0049】
装置10の構成を機能面から改めて説明すると、装置10は、
図6に示すように、表示部11と、入力情報取得部12と、識別情報読み出し部13と、特定情報記憶部14と、判定結果取得部15と、情報通知処理部16と、を有する。
図6は、装置10が有する機能部を示すブロック図である。
【0050】
上記の各機能部は、装置10のハードウェア機器(具体的には、CPU10a、メモリ10b、ハードディスクドライブ10c、通信用インタフェース10d、入力機器10e、及びディスプレイ10f)がソフトウェアとしての情報通知プログラムと協働することで実現される。以下、装置10が有する各機能部について個別に説明する。
【0051】
表示部11は、ディスプレイ10fに表示画面(画面に相当)を描画し、その表示画面上で情報を表示する。表示部11が描画する表示画面には、対象車両の所有者が点検又は整備を申し込むときに整備工場の従業員が所定の入力情報を入力するための入力画面が含まれる。
【0052】
また、表示部11が表示する情報には、
図3や
図4に図示した判定結果情報が含まれている。判定結果情報とは、対象車両がリコール対象候補の車両であるか否かについての判定結果に応じた情報であり、具体的には、判定結果が記載された警告メッセージである。
【0053】
入力情報取得部12は、対象車両の所有者が対象車両に関するサービスを申し込むときに入力される入力情報を取得する。具体的に説明すると、対象車両の所有者がサービスとして対象車両の検査又は整備を申し込む際、整備工場の従業員が対象車両の所有者から申し込み内容を聴取し、聴取した内容を入力するために装置10の入力機器10eを操作する。従業員が装置10の入力機器10eを操作すると、表示部11がディスプレイ10fに入力画面を描画する。従業員が入力画面(画面に相当)を通じて入力情報を入力すると、入力情報取得部12は、入力機器10eを介して入力操作を受け付け、入力情報を取得する。
【0054】
なお、以下では、入力情報取得部12が入力情報として点検・整備の申し込み者(すなわち、対象車両の保有者)の氏名を取得するケースを例に挙げて説明することとする。
【0055】
識別情報読み出し部13は、入力情報取得部12が取得した入力情報に基づき、点検又は整備が申し込まれた車両、すなわち対象車両の車台番号(識別情報)を第二のデータベース2から読み出す。具体的に説明すると、入力情報取得部12が入力情報を取得すると、これを契機として識別情報読み出し部13が第二のデータベース2にアクセスする。そして、識別情報読み出し部13は、入力情報である対象車両の所有者の氏名をキーとして、対象車両の車台番号を読み出す。
【0056】
特定情報記憶部14は、装置10が有するメモリ10bの記憶領域の一部に、識別情報読み出し部13が読み出した対象車両の車台番号(識別情報)を特定情報として一時的に記憶する。換言すると、識別情報読み出し部13は、第二のデータベース2から読み出した対象車両の車台番号を特定情報として特定情報記憶部14に記憶させる。ここで、特定情報とは、対象車両を特定するための情報のことである。
【0057】
判定結果取得部15は、対象車両がリコール対象候補の車両やリコール未実施の車両であるかどうかの判定結果を取得する。具体的に説明すると、判定結果取得部15は、入力情報取得部12が入力情報を取得すると、対象車両の特定情報を特定情報記憶部14から読み出す。これと共に、判定結果取得部15は、第一のデータベース1や第三のデータベース3にアクセスして、対象車両がリコール対象候補の車両又はリコール未実施の車両であるか否かの判定結果を取得する。
【0058】
より詳しく説明すると、入力情報取得部12が入力情報を取得したことをトリガーとして判定結果取得部15が特定情報記憶部14から特定情報(すなわち、対象車両の車台番号)を読み出す。その後、判定結果取得部15は、インターネット等の外部通信ネットワークを経由して第一のデータベース1にアクセスし、リコール対象候補の車両の車台番号を取得する。判定結果取得部15は、特定情報記憶部14から読み出した対象車両の車台番号と、第一のデータベース1から取得したリコール対象候補の車両の車台番号とを照合する。
【0059】
そして、両方の車台番号が一致した場合、判定結果取得部15は、対象車両がリコール対象候補の車両であるという判定結果を得る。反対に、両方の車台番号が相違する場合、判定結果取得部15は、対象車両がリコール対象候補の車両ではないという判定結果を得る。
【0060】
また、対象車両がリコール対象候補の車両であるという判定結果を得たとき、判定結果取得部15は、さらに第三のデータベース3にアクセスし、リコール車両情報(厳密には、第三のデータベース3にアクセスした時点でリコール未実施である車両の車台番号、あるいは、同時点でリコールによる改修が既に実施済みである車両の車台番号)を取得する。判定結果取得部15は、第三のデータベース3から取得したリコール車両情報からリコール未実施車両の車台番号を割り出す。判定結果取得部15は、特定情報記憶部14から読み出した対象車両の車台番号と、リコール車両情報から割り出したリコール未実施車両の車台番号とを照合する。
【0061】
そして、両方の車台番号が一致した場合、判定結果取得部15は、対象車両がリコール未実施車両であるという判定結果を得る。反対に、両方の車台番号が相違する場合、判定結果取得部15は、対象車両がリコール未実施の車両ではないという判定結果を得る。
【0062】
本実施形態では、上述のように、判定結果を取得するにあたり、判定結果取得部15が、特定情報記憶部14から読み出した対象車両の車台番号と、第一のデータベース1や第三のデータベース3から取得した車台番号とを照合する。ただし、これに限定されるものではない。例えば、対象車両の車台番号を示すデータ(以下、車体番号データ)を第一のデータベース1を構成するサーバコンピュータや第三のデータベース3を構成するサーバコンピュータに引き渡し、サーバコンピュータ側で番号照合を実施し、照合の結果(すなわち、判定結果)をサーバコンピュータから受け取ることで判定結果を取得してもよい。
【0063】
情報通知処理部16は、対象車両がリコール対象候補の車両やリコール未実施車両であるという判定結果を判定結果取得部15が取得したときに、判定結果情報を通知するための処理を実行する。具体的に説明すると、情報通知処理部16は、判定結果情報を示すデータを生成し、当該データに基づいて表示部11を制御する。これにより、
図3や
図4に図示したような判定結果情報がディスプレイ10fの表示画面に表示されるようになる。より厳密に説明すると、対象車両の点検・整備の申し込みに必要な入力情報を受け付けるためにディスプレイ10fに描画された入力画面の上に重ねるように判定結果情報が表示(詳しくは、ポップアップ表示)される。
【0064】
本実施形態では、上述のように、整備工場に設置されたディスプレイ10fの画面に判定結果情報を表示することで当該判定結果情報を通知する。ただし、これに限定されるものではなく、判定結果情報が示す内容を音声にて再生することで当該判定結果情報を通知してもよい。また、判定結果情報を整備工場側で通知すると共に、対象車両の所有者に通知してもよい。具体的には、判定結果情報を示すメールを対象車両の所有者のアドレス宛に送信したり、対象車両の所有者の携帯電話やスマートフォンに架電したりして通知してもよい。
【0065】
次に、装置10を用いた情報通知方法について
図7を参照しながら説明する。
図7は、装置10を用いた情報通知のフロー(以下、情報通知フロー)を示す図である。
【0066】
情報通知フローは、本発明の情報通知方法を採用している。つまり、情報通知フロー中の各工程(具体的には、
図7に図示の各ステップ)は、本発明の情報通知方法を構成する要素に相当する。また、情報通知フローの各工程は、装置10を構成するコンピュータ(以下、単にコンピュータ)によって実施される。
【0067】
情報通知フローの前段階において、コンピュータは、第二のデータベース2にアクセスし、近日中に定期点検の実施予定日や車検の有効期限日を迎える車両(対象車両)と、その保有者の連絡先とを特定する。装置10を操作する整備工場の従業員は、特定された対象車両の保有者に向けて、定期点検や車検の実施依頼通知を送付する。対象車両の所有者は、その通知を受領すると、所定の方法により点検又は整備の申し込みを行う。
【0068】
整備工場の従業員は、対象車両の所有者から点検又は整備の申し込みがあると、コンピュータを操作して、申し込みに必要な入力情報(具体的には、対象車両の保有者の氏名)を入力する。換言すると、コンピュータは、対象車両の検査又は整備を申し込むときに入力される入力情報を取得する(S001)。かかるステップS001を契機として、情報通知フローが開始され、以降のステップが実施されるようになる。
【0069】
具体的に説明すると、コンピュータは、入力情報を取得すると第二のデータベース2にアクセスし、対象車両の保有者の氏名をキーとして対象車両の車台番号を読み出す(S002)。また、コンピュータは、読み出した対象車両の車台番号を同コンピュータ内のメモリに特定情報として一時的に記憶させる(S003)。
【0070】
その後、コンピュータは、メモリに一時的に記憶された対象車両の車台番号を読み出すと共に、第一のデータベース1にアクセスする(S004、S005)。コンピュータは、リコール対象候補の車両の車台番号を第一のデータベース1から取得する(S006)。そして、コンピュータは、ステップS004で読み出した対象車両の車台番号と、ステップS006で第一のデータベース1から取得した車台番号とを照合する。これにより、コンピュータは、対象車両がリコール対象候補の車両であるか否かについての判定結果を取得する(S007)。
【0071】
そして、コンピュータは、対象車両がリコール対象候補の車両であるという判定結果を取得したとき、その旨をディスプレイ10fの表示画面に表示させるためのデータ処理(処理に相当)を実行する(S008)。この際、表示画面には、リコールに関する詳細調査を行うか否かの選択ボタン(
図3中、記号Bが付されたボタン)を併せて表示する。そして、選択ボタンが画面上で押されると(S009でYes)、コンピュータは、ステップS010以降の工程を実施する。
【0072】
一方、対象車両がリコール対象候補の車両であるという判定結果を取得しない場合、及び、上記の選択ボタンが押されなかった場合(S009でNo)、コンピュータは、その時点で情報通知フローを終了する。
【0073】
ステップS009に戻って説明すると、選択ボタンが押された場合、コンピュータは、第三のデータベース3にアクセスして、リコール車両情報を取得する(S010、011)。そして、コンピュータは、ステップS011で取得したリコール車両情報からリコール未実施車両の車台番号を割り出し、割り出した車台番号と、ステップS004で読み出した対象車両の車台番号とを照合する。これにより、コンピュータは、対象車両がリコール未実施車両であるか否かについての判定結果を取得する(S012)。
【0074】
対象車両がリコール未実施車両であるという判定結果を取得したとき、コンピュータは、その旨をディスプレイ10fの表示画面に表示させるためのデータ処理(処理に相当)を実行する(S013)。そして、ディスプレイ10fに判定結果が表示された時点で、情報通知フローが終了する。
【0075】
反対に、対象車両がリコール未実施車両ではないという判定結果を取得した場合、対象車両がリコール実施済みの車両であることになる。そのため、コンピュータは、判定結果を取得した時点で情報通知フローを終了させる。
【0076】
以上のような手順によって情報通知フローが実施されることで、整備工場の従業員は、対象車両がリコール対象候補の車両又はリコール未実施の車両であった場合に、その事実を認識するようになる。また、整備工場の従業員は、対象車両の所有者に対して、当該対象車両がリコール対象候補の車両又はリコール未実施の車両である旨を通知する。これにより、対象車両の所有者も、自己の車両がリコール対象候補の車両又はリコール未実施の車両であることを認識するようになる。
【0077】
以上までに説明してきたように、第一実施例では、点検又は整備の申し込み対象となる車両を対象車両として当該対象車両がリコール対象候補の車両又はリコール未実施車両であるか否かを判定し、その判定結果を点検又は整備の申し込み時に通知する。
【0078】
なお、上述のケースでは、整備工場において従業員が操作するコンピュータが本発明の情報通知装置としての機能(すなわち、表示部11、入力情報取得部12、識別情報読み出し部13、特定情報記憶部14、判定結果取得部15及び情報通知処理部16)を有することとした。ただし、これに限定されるものではなく、第二のデータベース2を構成するサーバコンピュータが本発明の情報通知装置として機能してもよい。かかる場合、整備工場において従業員が操作するコンピュータは、情報通知装置の機能を利用するためのインタフェース機器として用いられることになる。
【0079】
また、上述のケースでは、対象車両がリコール対象候補の車両又はリコール未実施車両であるという判定結果が得られたときに、その旨を表示するデータ処理のみを実行することとしたが、当該データ処理に加えて、他のデータ処理を更に実行してもよい。具体的に説明すると、リコールの届出があると、そのリコールに対して届出番号(以下、リコール届出番号)が付与される。リコール届出番号は、リコール届出の受理機関(具体的には、国土交通省)により公開される。また、リコール届出番号には、様々な情報(例えば、リコール発生の原因となった事象や対策方法)が紐付けられるようになる。すなわち、リコール届出番号をキーに設定することで、リコール対策に必要な情報を検索することが可能である。そして、対象車両がリコール対象候補の車両又はリコール未実施車両であるという判定結果が得られた場合には、当該対象車両の車両情報とリコール届出番号とを関連付けて第二のデータベース2等に記憶するデータ処理を別途実行してもよい。
【0080】
<<第二実施例に係る情報通知装置について>>
第二実施例に係る情報通知装置(以下、第二の装置20)は、例えば車両管理サービスを提供する会社(以下、サービス会社)が保有するサーバコンピュータによって構成される。詳しく説明すると、サービス会社は、車両管理用のアプリケーションプログラム(以下、車両管理用アプリ)を配信している。車両の所有者(カーオーナ)は、サービス会社から配信される車両管理用アプリをダウンロードし、自身のスマートフォンやタブレット端末等のユーザ端末30(端末に相当)にインストールする。以降、車両の所有者(カーオーナ)は、ユーザ端末30で車両管理用アプリを起動することにより、サービス会社が提供する各種のサービスを利用することができる。
【0081】
そして、サービス会社が提供するサービスの中には、リコール対象チェックのサービスが含まれている。このサービスは、車両の所有者(カーオーナ)がユーザ端末30にて車両管理用アプリを起動した後に自己の車両に関する情報を入力すると、入力された情報からリコール対象候補の車両やリコール未実施車両であるかを判定し、その判定結果に応じた情報をユーザ端末30の画面に表示させるものである。
【0082】
第二実施例において、第二の装置20は、
図8に示すように、ユーザ端末30、第一のデータベース1及び第三のデータベース3と共に情報通知システムSを構築している。
図8は、第二実施例に係る情報通知システムSの説明図である。
【0083】
具体的に説明すると、第二の装置20は、第一のデータベース1、第三のデータベース3及びユーザ端末30の各々とネットワークを介して通信可能に接続されている。第二の装置20は、第一のデータベース1や第三のデータベース3にアクセスすることで、乗物抽出情報(具体的には、リコール対象候補の車両の車台番号を示す情報やリコール車両情報)を取得する。
【0084】
また、第二の装置20は、車両の所有者(カーオーナ)がユーザ端末30を操作することで取得した当該所有者の車両の車台番号(識別情報)を、ユーザ端末30から受信する。なお、第二実施例では、上述のリコール対象チェックのサービスを利用するためにユーザ端末30を操作する者の所有車両が対象車両に該当する。
【0085】
第二実施例において対象車両の車台番号を取得する手順について詳しく説明すると、対象車両の所有者は、対象車両の車検証を用意した上で、ユーザ端末30を操作して車両管理用アプリを起動する。その後、対象車両の所有者は、車検証に印字された画像情報としての二次元バーコード情報をユーザ端末30(厳密には、ユーザ端末30に備えられた画像読取機構)に読み取らせる。ユーザ端末30は、読み取った二次元バーコード情報を解析することで対象車両の車台番号を割り出す。
【0086】
対象車両の車台番号を割り出したユーザ端末30は、車両管理用アプリの機能により、対象車両の車台番号を示すデータを生成して、第二の装置20に向けて送信する。第二の装置20は、ネットワーク経由でユーザ端末30から上記データを取得することで、対象車両の車台番号を取得する。
【0087】
第二の装置20は、取得した対象車両の車台番号に基づき、対象車両がリコール対象候補の車両やリコール未実施の車両であるかを判定する。具体的には、第二の装置20はユーザ端末30から取得した対象車両の車台番号と、第一のデータベース1や第三のデータベース3から取得した乗物抽出情報が示す車台番号とを照合する。そして、両方の車台番号が一致した場合、第二の装置20は、対象車両がリコール対象候補の車両やリコール未実施車両であるという判定結果を得ることになる。
【0088】
第二の装置20は、対象車両がリコール対象候補の車両又はリコール未実施の車両であるという判定結果を取得したとき、当該判定結果に応じた情報を通知するための処理を実行する。具体的に説明すると、第二の装置20は、判定結果情報を示すデータを生成してユーザ端末30に向けて送信する。ユーザ端末30は、ネットワーク経由で上記のデータを受信すると、この受信データを展開する。これにより、ユーザ端末30の表示画面には、
図9や
図10に示すように、対象車両がリコール対象候補の車両又はリコール未実施の車両である旨のメッセージが表示される。
図9及び
図10は、対象車両がリコール対象候補の車両又はリコール未実施車両である場合の画面例を示す図である。
【0089】
以上により、サービス会社のサービスを利用可能なカーオーナ(車両の所有者)は、ユーザ端末30を通じて、自己の車両がリコール対象候補の車両又はリコール未実施の車両であることを確認することが可能となる。つまり、第二実施例において、対象車両の所有者は、自己のリコール対象候補の車両又はリコール未実施の車両である場合に、その事実をユーザ端末30で視認することで認識するようになる。
【0090】
以下では、第二の装置20の構成について詳しく説明する。第二の装置20は、
図11に示すように、ハードウェア機器として、CPU20a、メモリ20b、ハードディスクドライブ20c及び通信用インタフェースを有する。
図11は、第二の装置20のハードウェア構成を示す図である。
【0091】
第二の装置20としての機能は、第二の装置20を構成するコンピュータがメモリ20bに格納されたコンピュータプログラム(情報通知プログラム)を実行することで実現される。
【0092】
第二の装置20の構成を機能面から改めて説明すると、第二の装置20は、
図12に示すように識別情報取得部21と、特定情報記憶部22と、判定結果取得部23と、情報通知処理部24と、を有する。
図12は、第二の装置20が有する機能部を示すブロック図である。なお、上記の各機能部は、第二の装置20のハードウェア機器(具体的には、CPU20a、メモリ20b、ハードディスクドライブ20c及び通信用インタフェース10d)がソフトウェアとしての情報通知プログラムと協働することで実現される。
【0093】
識別情報取得部21は、対象車両に対して付与された識別情報、厳密には車台番号を取得する。具体的に説明すると、識別情報取得部21は、ユーザ端末30と通信することで、ユーザ端末30が車検証の二次元バーコードを読み取して割り出した対象車両の車台番号を取得する。また、識別情報取得部21は、取得した対象車両の車台番号を特定情報として特定情報記憶部22に記憶させる。
【0094】
特定情報記憶部22及び判定結果取得部23は、第一実施例における特定情報記憶部14及び判定結果取得部15と同様であるため、説明を省略することとする。
【0095】
情報通知処理部24は、対象車両がリコール対象候補の車両やリコール未実施車両であるという判定結果を判定結果取得部23が取得したときに、判定結果情報を通知するための処理を実行する。具体的に説明すると、情報通知処理部24は、判定結果情報を示すデータを生成し、当該データをユーザ端末30に向けて送信する。ユーザ端末30では、受信したデータを展開することにより、
図9や
図10に図示したような判定結果情報がユーザ端末30の表示画面に表示されるようになる。
【0096】
次に、第二の装置20を用いた情報通知方法について
図13を参照しながら説明する。
図13は、第二の装置20を用いた情報通知のフロー(以下、第二実施例に係る情報通知フロー)を示す図である。
【0097】
第二実施例に係る情報通知フローは、本発明の情報通知方法を採用している。つまり、第二実施例に係る情報通知フロー中の各工程(具体的には、
図13に図示の各ステップ)は、本発明の情報通知方法を構成する要素に相当する。また、第二実施例に係る情報通知フローの各工程は、第二の装置20を構成するコンピュータ(以下、単にコンピュータ)によって実施される。
【0098】
第二実施例に係る情報通知フローの前段階において、サービス会社のサービスを受けようとするカーオーナ(車両の所有者)がユーザ端末30を操作して車両管理用アプリを起動する。その上で、カーオーナは、自己の車両の車検証に印字された二次元バーコードをユーザ端末30によって読み取る。これにより、ユーザ端末30は、対象車両の車台番号(識別番号)を割り出す。また、ユーザ端末30は、割り出した車台番号を示すデータを生成して第二の装置20に向けて送信する。
【0099】
コンピュータは、ユーザ端末30と通信することで、対象車両の車台番号を示すデータを受信して、当該車台番号を取得する(S021)。かかるステップS021を契機として、第二実施例に係る情報通知フローが開始され、以降のステップが実施されるようになる。
【0100】
コンピュータは、先ず、ステップS021で取得した対象車両の車台番号を同コンピュータ内のメモリに特定情報として一時的に記憶させる(S022)。その後、コンピュータは、メモリに一時的に記憶された対象車両の車台番号を読み出すと共に、第一のデータベース1にアクセスする(S023、S024)。コンピュータは、リコール対象候補の車両の車台番号を第一のデータベース1から取得する(S025)。
【0101】
また、コンピュータは、ステップS021で読み出した対象車両の車台番号と、ステップS025で第一のデータベース1から取得した車台番号とを照合する。これにより、コンピュータは、対象車両がリコール対象候補の車両であるか否かについての判定結果を取得する(S026)。
【0102】
そして、コンピュータは、対象車両がリコール対象候補の車両であるという判定結果を取得したとき、その旨をユーザ端末30の表示画面に表示させるためのデータ処理(処理に相当)を実行する(S027)。具体的に説明すると、コンピュータは、対象車両がリコール対象候補の車両であることを示す警告メッセージをユーザ端末30の表示画面に表示させるためのデータを生成し、ユーザ端末30に向けて送信する。
【0103】
ユーザ端末30側で判定結果情報を表示させると、
図9に示すように、リコールに関する詳細調査を行うか否かの選択ボタン(
図9中、記号Bが付されたボタン)が併せて画面表示される。選択ボタンが画面上で押されると(S028でYes)、その事を示すデータがユーザ端末30から送信される。コンピュータは、選択ボタンが押されたことを示すデータをユーザ端末30から受信すると、ステップS029以降の工程を実施する。一方、対象車両がリコール対象候補の車両であるという判定結果を取得しない場合、及び、上記の選択ボタンが押されなかった場合(S028でNo)、コンピュータは、その時点で情報通知フローを終了する。
【0104】
ステップS028に戻って説明すると、選択ボタンが押された場合、コンピュータは、第三のデータベース3にアクセスしてリコール車両情報を取得する(S029、S030)。そして、コンピュータは、ステップS030で取得したリコール車両情報からリコール未実施車両の車台番号を割り出し、割り出した車台番号と、ステップS021で読み出した対象車両の車台番号とを照合する。これにより、コンピュータは、対象車両がリコール未実施車両であるか否かについての判定結果を取得する(S031)。
【0105】
対象車両がリコール未実施車両であるという判定結果を取得したとき、コンピュータは、その旨をディスプレイ10fの表示画面に表示させるためのデータ処理(処理に相当)を実行する(S032)。具体的に説明すると、コンピュータは、対象車両がリコール未実施車両であることを示す警告メッセージをユーザ端末30の表示画面に表示させるためのデータを生成し、ユーザ端末30に向けて送信する。
【0106】
そして、コンピュータが上記の警告メッセージデータを送信した時点で、情報通知フローが終了する。また、対象車両がリコール未実施車両ではないという判定結果を取得した場合、コンピュータは、当該判定結果を取得した時点で情報通知フローを終了させる。
【0107】
以上のような手順によって情報通知フローが実施されることで、対象車両の所有者は、当該対象車両がリコール対象候補の車両又はリコール未実施車両であった場合に、その事実をユーザ端末30にて確認(視認)するようになる。
【0108】
以上までに説明してきたように、第二実施例では、対象車両の所有者が任意の時点で第二の装置20を操作し、その操作時点において、対象車両がリコール対象候補の車両又はリコール未実施車両であるか否かについての判定結果を得ることになっている。つまり、第二実施例は、第一実施例のように対象車両の点検又は整備の申し込みに併せて判定結果を取得して判定結果情報を通知するものではなく、対象車両の所有者が希望する時期に判定結果情報を通知する。
【0109】
なお、上述のケースでは、サービス会社が保有するサーバコンピュータが本発明の情報通知装置としての機能(すなわち、識別情報取得部21、特定情報記憶部22、判定結果取得部23及び情報通知処理部24)を有することとした。ただし、これに限定されるものではなく、ユーザ端末30が本発明の情報通知装置として機能してもよい。
【0110】
<<その他の実施形態>>
以上までに本発明の情報通知装置及び情報通知方法について具体例(第一実施例及び第二実施例)を挙げて説明してきたが、他の例も考えられる。例えば、上記の実施形態では、対象車両がリコール対象候補の車両又はリコール未実施車両であるか否かを判定し、その判定結果に応じた情報を通知することとした。ただし、これに限定されるものではなく、対象車両が上記以外の条件を満たす車両(例えば、事故車や高齢者所有の車両)であるか否かを判定し、その判定結果に応じた情報を通知してもよい。
【0111】
また、上記の実施形態のうち、第一実施例では、対象車両の点検又は整備を申し込む際に、その申し込みに併せて、対象車両がリコール対象候補の車両又はリコール未実施車両であるかについての判定結果を対象車両の所有者に知らせることとした。ただし、これに限定されるものではなく、点検や整備の実施依頼通知を対象車両の所有者宛に送付するタイミング、あるいは、点検や整備を行った後で伝票を発行するタイミングで上記の判定結果を知らせてもよい。
【0112】
また、車両点検又は整備以外のサービス(例えば、対象車両の修理や調整あるいは対象車両の売買)を申し込む際に、対象車両がリコール対象候補の車両又はリコール未実施車両であるかを判定し、その判定結果に応じた情報をサービス利用者に知らせてもよい。
【0113】
また、対象車両に関するサービスの申し込みを契機として、対象車両がリコール対象候補の車両又はリコール未実施車両であるか否かを判定するケースには限定されない。例えば、第一のデータベース1に新たな乗物抽出情報(具体的には、リコール対象候補の車両の車台番号を示す情報)が記憶された際に、これを契機として上記の判定が行われてもよい。かかるケース(以下、変形例)について
図14を参照しながら説明する。
図14は、変形例に係る情報通知フローを示す図であり、
図7と対応する図である。
【0114】
変形例に係る情報通知フローの各工程は、整備工場で利用されるコンピュータ(すなわち、装置10を構成するコンピュータ)によって実施される。なお、変形例に係る情報通知フローは、整備工場で利用されるコンピュータ以外のコンピュータ、例えば、整備工場の顧客管理業務を支援するサポート会社が運用するコンピュータ、より具体的には第二のデータベース2を構成するサーバコンピュータによって実行されてもよい。
【0115】
情報通知フローの前段階において、整備工場で利用されるコンピュータ(以下、単にコンピュータ)は、定期的に第一のデータベース1にアクセスし、前回のアクセス時点から新たな乗物抽出情報(具体的には、新たにリコール対象候補となった車両の車台番号を示す情報)が追加されているか否かを判定する(S041)。なお、
図14に示すフローでは、コンピュータが定期的に第一のデータベース1にアクセスして新たな乗物抽出情報の有無を判定する形になっているが、これに限定されるものではない。例えば、第一のデータベース1に新たな乗物抽出情報が記憶されたときに、第一のデータベース1を構成するサーバコンピュータが、その旨を通知するデータをコンピュータに向けて送信する形でもよい。
【0116】
コンピュータは、第一のデータベース1に新たな乗物抽出情報が追加されていると判定した場合、これを契機として情報通知フローを開始し、以降のステップを実施する。以降のステップ(S042〜S053)の内容については、
図14に示すように、第一実施例に係る情報通知フロー中の対応するステップ(具体的には、S002〜S013)と同様であるため、説明を省略する。なお、
図14に図示のフローでは、ステップS045において第一のデータベース1にアクセスすることになっている。ただし、それ以前のステップS041で既に第一のデータベース1にアクセスしているため、ステップS047での判定に必要な情報をステップS041で全て取得していれば、ステップS045については実施を省略してもよい。
【0117】
以上までに説明した変形例に係る情報通知フローによれば、新たなリコールの届け出に伴ってリコール対象候補の車両の車台番号が新たに設定された場合に、随時対応することが可能である。具体的には、リコール対象候補の車両の車台番号が新たに第一のデータベース1に記憶されたタイミングで、整備工場が管理する顧客の車両について、リコール対象候補の車両(厳密には、新たにリコール対象候補となった車両)に該当するかを確認することが可能となる。