特許第6851303号(P6851303)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6851303
(24)【登録日】2021年3月11日
(45)【発行日】2021年3月31日
(54)【発明の名称】化粧製品を塗布するための塗布具
(51)【国際特許分類】
   A45D 34/04 20060101AFI20210322BHJP
【FI】
   A45D34/04 510A
【請求項の数】16
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2017-517756(P2017-517756)
(86)(22)【出願日】2015年10月2日
(65)【公表番号】特表2017-529956(P2017-529956A)
(43)【公表日】2017年10月12日
(86)【国際出願番号】EP2015072794
(87)【国際公開番号】WO2016050956
(87)【国際公開日】20160407
【審査請求日】2017年5月22日
【審判番号】不服2019-3646(P2019-3646/J1)
【審判請求日】2019年3月18日
(31)【優先権主張番号】1459527
(32)【優先日】2014年10月3日
(33)【優先権主張国】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】391023932
【氏名又は名称】ロレアル
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(72)【発明者】
【氏名】エリック・コリエ
(72)【発明者】
【氏名】ポリーヌ・プラーデ
(72)【発明者】
【氏名】アラン・ベロー
【合議体】
【審判長】 柿崎 拓
【審判官】 堀川 一郎
【審判官】 長馬 望
(56)【参考文献】
【文献】 特開2007−21230(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2008/0317542(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A45D 34/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
皮膚に化粧製品を塗布するための塗布具(2)であって、塗布具部材(10)を備え、前記塗布具部材(10)が、その外面における凹所(12)と前記塗布具部材(10)の遠位端に向かって前記凹所(12)から延在する実質的に平坦な主小面(20)を有する尖った塗布具先端(15)とを有し、前記塗布具部材(10)が、多孔質材料から作られており、前記塗布具先端(15)が、その前記主小面(20)から離れている面において、前記塗布具先端(15)の背部(43)を形成する背面(45)を有し、前記背面(45)が、外向きに凸状の丸みを帯びた面であり、前記塗布具先端(15)が、前記主小面(20)と前記背面(45)との間で延在する2つの平坦な副小面(40a、40b)を有する、塗布具。
【請求項2】
前記主小面(20)が、前記遠位端(25)まで延在する、請求項1に記載の塗布具。
【請求項3】
前記塗布具部材(10)が、長手方向軸Xに沿って延在し、前記主小面(20)が、前記長手方向軸Xに対して角度αで傾斜した軸Zに沿って延在する、請求項1または2に記載の塗布具。
【請求項4】
前記主小面(20)が、前方からの外観において2つの直線状の縁(35a、35b)を有し、前記2つの直線状の縁(35a、35b)が、前記塗布具先端(15)の前記遠位端(25)に向かって収束し、かつ互いの間に2°から45°の間の角度βを形成する、請求項1からのいずれか一項に記載の塗布具。
【請求項5】
前記凹所(12)が、隆条部によって前記主小面(20)に連結されている、請求項1からのいずれか一項に記載の塗布具。
【請求項6】
前記主小面(20)の軸Zと前記凹所(12)とが、前記主小面(20)と前記凹所(12)との接合部において互いの間に、30°から145°の間の角度ηを形成する、請求項に記載の塗布具。
【請求項7】
前記凹所(12)が、窪み(30)を形成し、前記窪み(30)が、前記主小面(20)から前記塗布具部材(10)の近位端(48)の方向に延在する、請求項1からのいずれか一項に記載の塗布具。
【請求項8】
前記背面(45)が、切り欠き(61)を備える、請求項1からのいずれか一項に記載の塗布具。
【請求項9】
前記切り欠き(61)が、前記塗布具部材(10)の長手方向軸Xと平行な方向に沿って測定されるとき、2mmから3mmの間にある長さlにわたって、前記凹所(12)と重なる、請求項に記載の塗布具。
【請求項10】
把手部(5)を備え、前記把手部(5)にはその端(60)に前記塗布具部材(10)が設けられている、請求項1からのいずれか一項に記載の塗布具。
【請求項11】
前記把手部(5)が、中空であり、かつ前記化粧製品を収容する貯留部を形成し、前記塗布具部材(10)が、その近位側に取付エンドピース(23)を備え、前記塗布具部材(10)の前記取付エンドピース(23)が、少なくとも部分的に前記把手部(5)の開口(11)に挿入され、かつ少なくとも部分的に前記貯留部中へ延在する、請求項10に記載の塗布具。
【請求項12】
前記把手部(5)が、直線状または曲線状である、請求項10または11に記載の塗布具。
【請求項13】
前記塗布具先端(15)が、前記把手部(5)の一方の端(60)から延在し、前記把手部(5)の前記端(60)が、その塗布具先端(15)との接合部において軸Tに沿って延在し、前記主小面(20)が、前記把手部(5)の前記端(60)の延在に沿う前記軸Tとゼロではない角度θを形成する軸Zに沿って延在する、請求項10から12のいずれか一項に記載の塗布具。
【請求項14】
前記凹所(12)が、前記塗布具部材(10)の近位端(48)の方向で前記主小面(20)から延在する窪み(30)を形成し、窪み(30)における前記塗布具部材(10)の厚さeが、0.5mmから10mmの間である、請求項1から13のいずれか一項に記載の塗布具。
【請求項15】
請求項1から14のいずれか一項に記載の塗布具(2)と、塗布される製品を収容する容器(100)と、を備え、前記容器(100)が、前記塗布具(2)と別個である、装置。
【請求項16】
請求項1から14のいずれか一項に記載の塗布具(2)により、化粧製品(P)を、目蓋に塗布するかまたは軽くたたくステップであって、目の内側の隅(C1)において前記目蓋に前記主小面(20)を当てるとともに前記主小面(20)を前記目蓋に沿って目の外側の隅(C2)に向かって移動することによりラインを引くことを含むステップを含み、
顔の外側に向かう跳ね上げ(V)を伴ってラインを伸ばすために、前記塗布具(2)の前記遠位端(25)が顔の外側の方へ向けられ、かつ前記塗布具(2)が前記ラインの端において若干上向きに傾斜される、メークアップ方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、皮膚に、具体的には目蓋に、化粧製品を塗布するための塗布具と、それに対応するメークアップ方法とに関する。
【背景技術】
【0002】
目蓋にラインを引くために、メークアップペンシルを使用することが知られている。
【0003】
塗布される製品を収容する貯留部と、製品を塗布するための柔軟な塗布具部材とを備え、塗布具部材が貯留部から分離している目蓋をメークアップするための装置も、具体的には特許文献1および特許文献2から知られている。これらの装置では、塗布具部材は、製品を保持するために、起毛とされ得る、もしくはフェルトから作られ得るプラスチックの先端によって、または、製品を保持するための毛細状の溝を備える先端によって形成される。塗布具部材は、きめ細かいブラシの形態であってもよい。
【0004】
貯留部と、先端を有する塗布具部材とを備え、塗布具部材に容器から容器の壁の圧縮によって製品が供給される装置も、具体的には特許文献3から知られている。
【0005】
このような装置の場合、使用者は、鉛筆と同じ方法でラインを引くために、製品が含まれた先端を目蓋の一方の側に当て、それを他方の端まで移動する。
【0006】
しかしながら、均一なラインを、特にラインの全長に沿って一定の太さで引くことは、比較的難しい。これは、使用者が、ラインを引く間に先端を多かれ少なかれ強く押し当てる傾向があり、そのため、先端が、大きな度合いまたは小さな度合いで目蓋へと押し潰されるためである。その結果、目蓋に当てられる先端の幅、延いては引かれるラインの幅が変わってしまう。きめ細かいブラシの場合も、均一である細いラインを得ることは、同じくかなり難しい。
【0007】
さらに、使用者が同じように押し当てることは決してないため、両方の目蓋に同一のラインを引くのは非常に難しい。具体的には、使用者は、目蓋ごとに手を替え、不器用な方の手が使われる結果となるか、または、両方の目蓋に同じ手を用い、2つの異なる動作を実行するかのいずれかを強いられる。
【0008】
アイライナー構成物を異なる手の動作で目蓋に塗布するための他の種類の塗布具が、記載されている。
【0009】
特許文献4は、所望の設計の形を有するパッドの形態である皮膚への塗布のための装置を開示している。パッドには、貯留部に圧力を加えることで化粧製品が供給される。
【0010】
特許文献5には、塗布される製品を収容する容器と、容器から製品が供給され、皮膚の上を移動させることなく、皮膚に、具体的には目蓋に模様を形成することを可能にする開口を画定する表面とを備える、化粧製品を包装および塗布するための装置が記載されている。
【0011】
特許文献6は、遠位端において離間され、塗布具表面を形成する安定化要素によって一体に連結される2つの腕部を備える、目蓋のための塗布具であって、塗布具表面が皮膚に接触し、1回の塗布で所望の模様を形成するために変形する塗布具を開示している。
【0012】
特許文献7は、皮膚と接触する柔軟な塗布具によって一体に連結される2つの部品にある製品を塗布および包装するための装置に関し、部品のうちの一方は、貯留部を形成し、化粧製品を収容し、部品のうちの他方は、貯留部における開口を閉じるためのキャップを形成する。
【0013】
特許文献8および特許文献9は、塗布される製品を分注するための孔が貫通している平坦な塗布面を備える塗布具を教示している。
【0014】
最後に、特許文献10には、唇、皮膚、または爪のための塗布具が記載されており、特許文献11は、皮膚および唇のための塗布具を教示しており、いずれの塗布具も、平坦な塗布具面と、この塗布具面に隣接する凹所とを備える。
【0015】
これらの装置は、多種多様な異なるメークアップの結果を得ることを可能にせず、使用者の目の形態に十分に適合せず、および/または、具体的には目の外側の隅において、特定の効果、具体的には点で終わる上向きの跳ね上げを作り出すことを可能にしない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0016】
【特許文献1】FR-A-2633256
【特許文献2】FR-A-2412287
【特許文献3】米国特許第4370989号
【特許文献4】WO99/55187
【特許文献5】EP1669003
【特許文献6】米国特許第6508255号
【特許文献7】EP1466540
【特許文献8】FR2966332
【特許文献9】特開2014-4084
【特許文献10】米国特許出願公開第2007/0017544号
【特許文献11】FR2917584
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
具体的には目蓋のためのメークアップ装置をさらに向上する必要性があり、具体的には、使用者の目の形態に適合する一方で、望む場合に、両方の目に対称のメークアップを得ることを可能にし、作り出されるラインを容易に仕上げることを可能にする装置から便益を得る必要性がある。目の外側の隅に、立ち上がる外向きの跳ね上げ効果を作り出すことができる装置に関心もある。
【課題を解決するための手段】
【0018】
本発明は、皮膚に、具体的には目蓋に、化粧製品を塗布するための塗布具であって、塗布具部材を備え、その塗布具部材が、その外面における凹所と、凹所から塗布具部材の遠位端に向かって延在する実質的に平坦な主小面を有する塗布具先端とを有する、塗布具を提案することで、これらの必要性の全部または一部を満たすことを目指している。
【0019】
以下の記載では、主小面の前方からの外観とは、主小面を向く方向で観察される主小面の外観のことを言っている。塗布具部材の側方からの外観とは、塗布具部材の長手方向軸と直交し、主小面と平行な方向で観察される塗布具部材の外観のことを言っている。
【0020】
「塗布具先端」という表現は、化粧製品を塗布することを可能にすると共に、その厚さと幅の両方が細くなっている塗布具の一部分を意味すると理解される。
【0021】
「塗布具部材の遠位端に向かって凹所から延在する実質的に平坦な主小面」によって、凹所が主小面の縁を画定することが理解されるべきである。
【0022】
前述の凹所は、好ましくは、隆条部によって主小面に連結される。これは、塗布表面を明確に画定することに寄与し、そのため塗布の正確性を向上する。
【0023】
凹所は、好ましくは、一方の側では主小面によって境界付けられ、他方の側では塗布具の後退面によって形成される。
【0024】
塗布具部材の尖った形は、化粧製品の正確な塗布を可能にする。これは、ラインをきれいに仕上げることと、望む場合に、外側の跳ね上げを容易に作り出すこととを可能にもする。
【0025】
凹所と組み合わされた主小面は、広がりが使用者によって加えられる圧力から比較的独立している塗布表面を有することを可能にする。
【0026】
凹所によって形成される分離は、主小面によって形成される塗布表面と塗布具の残りの部分との間の明確な境界を作り出すことによって、塗布領域を明確に画定することを可能にする。
【0027】
凹所は、例えば、化粧製品が分注されるのに通る開口と異なる。
【0028】
好ましくは、主小面の幅は遠位端に向かって縮小する。
【0029】
同じく好ましくは、主小面は遠位端まで延在する。これは正確な塗布を可能にする。
【0030】
好ましくは、塗布具先端の幅は、その全長に沿って、主小面の幅とおおよそ等しい。
【0031】
好ましくは、主小面は塗布具先端の全長に沿って延在する。
【0032】
主小面は、塗布具先端の遠位端において収束し、互いとの間に、好ましくは2°から45°の間、さらにより良いのは5°から45°の間、なおもさらにより良いのは15°から30°の間の角度βを形成する2つの直線状の縁を、前方からの外観において好ましくは有する。
【0033】
主小面は、前方からの外観において、水滴形、または、具体的には五角形もしくは三角形の全体の形といった多角形を有し得る。
【0034】
塗布具先端は、主小面から塗布具先端の背部に向かって各々延在する、少なくとも2つの好ましくはおおよそ平坦の副小面を有し得る。副小面は、好ましくは、互いに対して傾斜し、例えば断面において互いとの間に5°から50°の間といった角度δを形成する。
【0035】
塗布具先端は、具体的には錐状部または円筒部によって画定される、塗布具先端の背部を形成する例えば凸状の表面を備える背面を、塗布具先端の主小面から離れている面に有し得る。この凸状の表面は、前述の副小面または主小面の側縁に連結され得る。塗布具先端の背部は、塗布具部材の軸と、具体的には10°以下であり、さらにより良いのは5°以下である、ゼロでない角度εを形成する長手方向軸に沿って延在し得る。
【0036】
変形では、塗布具先端の背部は、塗布具部材の軸と平行な方向に沿って延在し得る。
【0037】
塗布具の背面は切り欠きをさらに備え得る。
【0038】
切り欠きは側方からの外観において丸みを帯びた形を有し得る。
【0039】
好ましくは、切り欠きは、塗布具部材の長手方向軸に沿って、主小面に隣接する凹所に対してずらされる。切り欠きは、好ましくは2mmから3mmの間にある長さlにわたって凹所と重なり得る。
【0040】
長手方向軸に沿って延在する塗布具部材については、主小面は、塗布具部材の長手方向軸に対して、好ましくは0°から60°の間であり、さらにより良いのは0°から45°の間であり、なおもさらにより良いのは2°から25°の間である角度αで傾斜した軸に沿って延在し得る。この傾斜は、製品を皮膚に塗布することをより容易にし、メークアップされる皮膚の表面、具体的には、顔から、手をある距離にさせることができる。
【0041】
この凹所は、塗布具先端の長手方向軸の周りの区域だけの周りで延在し得る。
【0042】
一変形では、凹所が塗布具先端の長手方向軸の周り全体に延在し、前記軸の周りに一定または非一定の断面を有し得る。
【0043】
好ましくは、側方からの外観において、主小面の長手方向軸と凹所とは、それらの接合部において互いとの間で、60°から145°の間の角度η、さらにより良いのは80°から130°の間の角度ηを形成する。
【0044】
凹所は、塗布具部材の近位端の方向で主小面から延在する窪みを形成し得る。
【0045】
好ましくは、窪みは塗布具部材の近位端までは延在しない。
【0046】
より好ましくは、窪みは、側方からの外観において丸みを帯びた形を有する。
【0047】
窪みにおける塗布具部材の厚さは、好ましくは0.5mmから10mmの間であり、さらにより良いのは1mmから5mmの間である。
【0048】
塗布具部材は、その近位側において取付エンドピースを備えてもよく、取付エンドピースは、塗布具部材の長手方向軸に沿って延在することが可能である。
【0049】
取付エンドピースは、回転柱の形態であってよく、把手部または貯留部に受け入れられ得る。
【0050】
塗布具部材は、多孔質材料から、具体的にはフェルトから作られ得る。
【0051】
塗布具部材は、ポリアミドとポリウレタン樹脂との混合物から、または、ポリオレフィンから、具体的には、ポリエチレンから作られ得る。
【0052】
塗布具部材は、機械加工によって、具体的には、研削またはレーザー加工によって成形され得る。
【0053】
塗布具部材は、エラストマから、具体的には、例えばHytrel(登録商標)といった、SEBSまたはポリエステルから作られ得る。
【0054】
塗布具部材、特に塗布具先端、具体的には主小面は、少なくとも部分的に起毛とされ得る。
【0055】
塗布具は、端に塗布具部材が設けられた把手部を備え得る。
【0056】
把手部は、中空にすることができ、塗布される製品を収容する貯留部を形成し得る。先に示したように、塗布具部材は、その近位側に取付エンドピースを備え、その取付エンドピースは、好ましくは少なくとも部分的に、さらにより良いのは全体が、把手部内で開口の中に挿入され、少なくとも部分的に貯留部中へ延在する。
【0057】
塗布具部材は、把手部にオーバーモールドされ得るか、または、把手部と一体に成型され得る。
【0058】
塗布具先端は把手部の一方の端から延在してもよく、前記端が、その塗布具先端との接合部において、主小面の軸とゼロではない角度θを形成する軸に沿って延在することが可能であり、角度θは、好ましくは20°から90°の間であり、さらにより良いのは30°から70°の間であり、なおもさらにより良いのは50°から70°の間である。塗布具先端の背部は、把手部の端の軸とゼロでない角度λを形成する軸に沿って延在し得る。
【0059】
把手部の端は、主小面の端から離れている塗布具先端の側に取り付けられ得る。
【0060】
塗布具は、把手部に取り付けられ、塗布具部材を覆う閉止キャップを備え得る。
【0061】
把手部は直線状であり得る。変形では、把手部は曲線状であり、具体的には、平面において曲げられている。
【0062】
主小面は長手方向軸に沿って延在してもよく、主小面の軸は、把手部の曲げ平面に含まれ得る。
【0063】
塗布具先端のこの長さDは、好ましくは3mmから20mmの間であり、さらにより良いのは5mmから15mmの間である。
【0064】
主小面の最大幅lmaxは、好ましくは10mm以下であり、さらにより良いのは2mmから5mmの間である。
【0065】
本発明の別の主題は、上記で定義したような本発明による塗布具と、塗布される製品を収容する容器とを備え、容器が塗布具と別個である、組立体である。
【0066】
本発明の別の主題は、化粧製品を、皮膚に、本発明による塗布具で塗布するステップを含むメークアップ方法である。
【0067】
この方法は、化粧製品を目蓋に塗布するステップを含み得る。
【0068】
製品は、皮膚に、具体的には目蓋に、塗布具で軽くたたくことによって塗布され得る。
【0069】
変形では、ラインは、皮膚に、具体的には目蓋に、塗布具で引かれ得る。
【0070】
好ましくは、主小面の長手方向軸は、塗布の間、目蓋とおおよそ平行に位置決めされ、塗布具部材の遠位端は、顔の外側の方へ向けられる。この向きでは、塗布具部材の先端はラインの尖った端を引くことができる。
【0071】
ラインの端において、塗布具は、顔の外側に向かう跳ね上げを形成するために、若干上向きに傾斜され得る。
【0072】
本発明は、その非限定的な図示の実施形態の以下の詳細な記載を読むことから、および、添付の図面を精査することから、より良く理解され得る。
【図面の簡単な説明】
【0073】
図1】本発明による塗布具の斜視の部分的な図である。
図2図1からの塗布具の塗布具部材をより明確に示す図である。
図3】矢印IIIに沿った図2の塗布具部材の部分的な図である。
図4】矢印IVに沿った塗布具部材の側面図である。
図5図3および図4のV-Vにおける塗布具先端の断面図である。
図6】本発明による変形の塗布具先端の図5と同様の図である。
図7図2図4における例の主小面の前方からの外観を示す図である。
図8】本発明による変形の主小面の図7と同様の図である。
図9】本発明による変形の主小面の図7と同様の図である。
図10】本発明による変形の塗布具の側方からの外観の概略図である。
図11図10のXIに沿った上面図である。
図12】本発明による組立体を示す図である。
図13】本発明による塗布具で作り出されたメークアップの結果の例を示す図である。
図14】本発明による別の変形の塗布具の斜視の部分的な図である。
図15図14の塗布具の図3と同様の図である。
図16図14の塗布具の図4と同様の図である。
図17図14の塗布具の背面図である。
図18図16のXVIII-XVIIIに沿った塗布具先端の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0074】
図1は、把手部5と、軸Xに沿って延在する塗布具部材10とを備える、本発明による塗布具2を示している。
【0075】
好ましくは、把手部5は直線状であるが、曲線状であってもよい。
【0076】
図1図5における例では、把手部5は中空であり、塗布される化粧製品を収容する。把手部5は貯留部として機能する。
【0077】
塗布具部材10は、把手部5において開口11の中に挿入され、化粧製品と接触するために把手部5の中に少なくとも部分的に延びる取付エンドピース23を備える。
【0078】
塗布具部材10は、化粧製品を、具体的には毛管作用によって、塗布のために使用される表面へと到達させるために、多孔質である。
【0079】
塗布具部材10は、例えば、多孔質材料であり、具体的にはフェルトである。
【0080】
塗布具部材は、ポリアミドとポリウレタン樹脂との混合物から、または、ポリオレフィンから、具体的にはポリエチレンから作られ得る。
【0081】
塗布具は、把手部5に取り付けられ、それによって塗布具部材10を覆う、図示されていない閉止キャップを備え得る。
【0082】
図2図4に具体的に示しているように、塗布具部材10は、その外面において、凹所12と、主小面20を有する塗布具先端15とを有する。主小面20は、凹所12から塗布具部材10の遠位端25まで延在する。
【0083】
好ましくは、主小面20の幅lは、図2で見ることができるように、塗布具先端15の遠位端25に向かって縮小する。
【0084】
長手方向軸Xでの所与の横座標における主小面20の幅lは、前方からの外観において、塗布具先端15の幅を定めることができる。
【0085】
主小面20の最大幅lmaxは、好ましくは10mm以下であり、さらにより良いのは2mmから5mmの間である。
【0086】
塗布具先端15の長さDは、例えば3mmから20mmの間であり、さらにより良いのは5mmから15mmの間である。
【0087】
好ましくは、主小面20は長手方向軸Xに対して傾斜している。主小面20は、好ましくは0°から60°の間、さらにより良いのは0°から45°の間、なおもさらにより良いのは2°から45°の間の角度αを、軸Xと形成する軸Zに沿って延在する。
【0088】
図2および図3において見ることができるように、主小面20は、塗布具先端15の遠位端25において収束し、互いとの間に、2°から45°の間、さらにより良いのは5°から45°の間、なおもさらにより良いのは15°から30°の間の角度βを形成する2つの直線状の主縁35aおよび35bを有する。好ましくは、縁35aおよび35bは軸Zに対して対称である。
【0089】
主小面20は、縁35aまたは35bの一方から凹所12へと各々延在する2つの直線状の副縁37aおよび37bも備え得る。
【0090】
好ましくは、主小面20は、その軸Zに対して対称であり、図示しているように、実質的に三角形の形を有し得る。
【0091】
図4および図5で見ることができるように、塗布具先端15は、主小面20から塗布具先端15の背部43まで延在する2つの副小面40aおよび40bを備え得る。
【0092】
副小面40aおよび40bの幅は、好ましくは、遠位端25の方向に縮小する。断面では、図5に示しているように、副小面40aおよび40bは、塗布具先端15の背部43の方向で収束し、好ましくは互いとの間に5°から50°の間の角度δを形成する。
【0093】
塗布具先端15は、好ましくは、その主小面20から離れている面に背面45を有する。背面45は、塗布具先端15の背部43を形成する、例えば図5に示した変形では錐状部といった、外向きに凸状の表面であり得る。この凸状の表面45は副小面40aおよび40bに付着される。
【0094】
好ましくは、塗布具先端15の背部43は、その頂部において、例えば直線状である軸Qに沿って延在し、塗布具部材10の軸Xと、10°以下であり、さらにより良いのは5°以下である角度εを伴う錐状母線を形成する。
【0095】
塗布具先端15は頂角γを形成し、角度γは、塗布具先端15の背部43の軸Qと主小面20の軸Zとの間に形成される角度であり、α+εと等しい。
【0096】
凹所12および主小面20は、互いとの間に隆条部13を形成し得る。
【0097】
好ましくは、小面20と窪み30とは、凹所12において、図4に示しているように、互いとの間で、30°から145°の間、さらにより良いのは80°から130°の間の角度ηを形成する。
【0098】
好ましくは、窪み30は、図4に示しているように、側方からの外観において丸みを帯びた形を有する。窪み30の底は、例えば、0.5mmから3mmの間、さらにより良いのは1mmから2mmの間の曲率半径rを有する。
【0099】
好ましくは、窪みの底における塗布具部材10の厚さeは、0.5mmから10mmの間であり、さらにより良いのは1mmから5mmの間である。
【0100】
好ましくは、隆条部13は、図3で見ることができるように、直線状である。
【0101】
取付エンドピース23は、好ましくは、把手部5における開口11へと導入するのをより容易にするために、その端において面取り50を伴って、実質的に回転柱の形態の形を好ましくは有する。
【0102】
取付エンドピース23の直径Eは、例えば、2mmから20mmの間であり、具体的には2mmから10mmの間である。
【0103】
図6に示した変形では、塗布具先端15は副小面を有していない。そのため、凸状の表面45は、主小面20の主縁35aおよび35bへと直接的に延在し得る。
【0104】
図8に示した例では、主側縁35aおよび35bは、主小面20が三角形を有するように、遠位端25から凹所12まで延在する。
【0105】
図9に示した例では、主側縁35aおよび35bは、遠位端25から、凹所12を画定する縁まで延在する。隆条部13は、曲線状の形、具体的には、1mmから10mmの間の半径pを伴う近位端に向かう円形の凹状の形を有する。そのため、主小面20は、おおよそ水滴の全体の形を有する。
【0106】
図10図12に示した変形では、把手部5は、曲線状の輪郭を有し、正中面Mにおいて曲げられている。
【0107】
把手部5は、正中面Mにおいて、主小面20の側方に向かう凸状の湾曲の部分Aと、主小面20の側方に向かう凹状の湾曲の部分Bとを有する。
【0108】
好ましくは、塗布具先端15は、図示しているように、把手部5の遠位端60から直接的に延在する。好ましくは、塗布具先端15は、主小面20が把手部5の背部から離れる側にあるように、その近位端の背部によって把手部5に取り付けられる。
【0109】
把手部5の遠位端は長手方向軸Tに沿って延在し、主小面20が延在する軸Zは、軸Tと、20°から90°の間、さらにより良いのは30°から70°の間、なおもさらにより良いのは50°から70°の間の角度θを形成し得る。
【0110】
凹所12は、一方の側では塗布具小面20によって境界付けられ、他方の側では把手部5の遠位端60によって形成される。
【0111】
隆条部13は、主小面20に対する傾斜の変わり目を表している。好ましくは、この例では、塗布具先端15の背部の軸Qは、軸Tと、10°から90°の間、さらにより良いのは30°から80°の間の角度λを形成する。
【0112】
把手部5は、使用者が化粧製品の塗布の間に自身の手によって邪魔されないように、主小面20の平面Sの下に全体が配置され得る。
【0113】
塗布具部材10、さらにより良くは塗布具2は、好ましくは、弾性材料、具体的にはSEBSまたはポリエステルから作られ、その表面が起毛され得る。
【0114】
把手部5は貯留部を収容していない。
【0115】
製品は、図12に示しているように、塗布具2と別個である容器100に収容され得る。
【0116】
容器100は蓋105によって閉じられ得る。
【0117】
塗布具2の使用の間、使用者は、所望のメークアップ効果が得られるまで、自身の皮膚に軽くたたくことができる、または、塗布具2で1つまたは複数のラインを引くことができる。
【0118】
例えば、目蓋への塗布の場合、図13に示しているように、使用者は、目の内側の隅C1において目蓋に主小面20を当て、そして主小面20を目蓋に沿って目の外側の隅C2に向かって移動することで、ラインを引くことができる。
【0119】
好ましくは、塗布具2は、その塗布具先端15が顔の外側の方へ向けられるように保持され、主小面20の軸Zは目蓋とおおよそ平行になる。このように取り扱うことで、ラインをきれいに仕上げること、具体的には、塗布具先端15をラインの端で若干上方に向けることで、図13に示しているように、立ち上がる跳ね上げVを作り出すことを可能にし、この跳ね上げVは顔の外側に向かって細くなる。
【0120】
図14に示した変形では、塗布具部材10は、端部23に隣接する円筒形の近位部22を備える。凹所12は、図16で見ることができるように、一方の側においては円筒形の近位部22によって境界付けられ、また図15で見ることができるように、他方の側においては主小面20によって境界付けられる。
【0121】
背面45は、図16に図示されている変形では、円筒形の部分を備える。塗布具先端の背部43は、塗布具部材の軸Xと平行な方向に沿って延在し、つまり、γ=αである。
【0122】
塗布具部材10は、さらに、少なくとも、塗布具部材の背面45が切り欠き61を備えるという事実において、図1図4に示した変形とさらに異なっている。
【0123】
塗布具部材10の軸Xと垂直な断面では、背面45は、図18に示したように、面取りされた円弧の形を有し得る。
【0124】
切り欠き61は、図16に示しているように、側方からの外観において丸みを帯びた形を有し得る。
【0125】
切り欠き61は、好ましくは、切り欠き61が凹所12と重なる塗布具部材10の長さlにわたって、塗布具部材10の厚さeが実質的に一定であるように、凹所12に対してずらされる。
【0126】
長さlは、好ましくは2mmから3mmの間にある。
【0127】
好ましくは、図16に表しているような側方からの外観において、塗布具部材10の背部43に対する切り欠きの深さdは、背面45が、切り欠き61とそれぞれの副小面40aおよび40bとの間の帯状の形の帯域62aおよび62bを呈するようになっている。
【0128】
好ましくは、塗布具部材10の長手方向軸Xと平行な方向で測定される凹所12の長さLは、5.5mmから7mmの間にある。
【0129】
好ましくは、塗布具部材10の長手方向軸Xと平行な方向で測定される切り欠き61の長さSは、6.5mmから7.5mmの間にある。
【0130】
切り欠き61は、図17に示しているように、塗布具部材10の背側から見たときに、好ましくは水滴形を有する。
【0131】
本発明はここで記載した例に限定されず、その特徴は、図示されていない変形の一部として、互いと組み合わされてもよい。
【0132】
具体的には、塗布される製品を収容する曲線状の把手部を有することが可能であり、塗布具は、多孔質材料から作られた塗布具部材を有する、または、塗布具は製品のための供給路を備える。
【0133】
「備える」という表現は、反することが明示されていない場合、「少なくとも1つを備える」と同義である。
【符号の説明】
【0134】
2 塗布具
5 把手部
10 塗布具部材
11 開口
12 凹所
13 隆条部
15 塗布具先端
20 主小面
22 近位部
23 取付エンドピース
25 遠位端、近位端
30 窪み
35a、35b 主縁
37a、37b 副縁
40a、40b 副小面
43 背部
45 背面、凸状の表面
50 面取り
60 遠位端
61 切り欠き
62a、62b 帯域
100 容器
105 蓋
A 凸状の湾曲の部分
B 凹状の湾曲の部分
C1 目の内側の隅
C2 目の外側の隅
d 深さ
E 直径
e 厚さ
L 長さ
l 幅
lmax 最大幅
M 正中面
Q 軸
r 曲率半径
S 平面
S 長さ
T 長手方向軸
V 跳ね上げ
X 長手方向軸
Z 軸
α 角度
γ 頂角
δ 角度
ε 角度
η 角度
λ 角度
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18