特許第6851341号(P6851341)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6851341無端フィラメントから、スパンボンデット不織布を製造するための装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6851341
(24)【登録日】2021年3月11日
(45)【発行日】2021年3月31日
(54)【発明の名称】無端フィラメントから、スパンボンデット不織布を製造するための装置
(51)【国際特許分類】
   D01D 5/098 20060101AFI20210322BHJP
   D01D 5/08 20060101ALI20210322BHJP
   D04H 3/16 20060101ALI20210322BHJP
【FI】
   D01D5/098
   D01D5/08 C
   D04H3/16
【請求項の数】8
【外国語出願】
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2018-63809(P2018-63809)
(22)【出願日】2018年3月29日
(65)【公開番号】特開2018-172841(P2018-172841A)
(43)【公開日】2018年11月8日
【審査請求日】2019年7月5日
(31)【優先権主張番号】17164375.2
(32)【優先日】2017年3月31日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】505313830
【氏名又は名称】ライフェンホイザー・ゲゼルシャフト・ミト・ベシュレンクテル・ハフツング・ウント・コンパニー・コマンデイトゲゼルシャフト・マシイネンファブリーク
(74)【代理人】
【識別番号】100069556
【弁理士】
【氏名又は名称】江崎 光史
(74)【代理人】
【識別番号】100111486
【弁理士】
【氏名又は名称】鍛冶澤 實
(74)【代理人】
【識別番号】100191835
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 真介
(72)【発明者】
【氏名】デートレフ・フライ
(72)【発明者】
【氏名】マルティン・ノイエンホーファー
(72)【発明者】
【氏名】ゼバスティアン・ゾンマー
【審査官】 川口 裕美子
(56)【参考文献】
【文献】 特開2003−268619(JP,A)
【文献】 特開2006−057233(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2010/0062672(US,A1)
【文献】 特開2013−087412(JP,A)
【文献】 国際公開第2014/064029(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
D01D 5/098
D01D 5/08
D04H 3/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
特に熱可塑性の合成物質から成る無端フィラメント(1)から、スパンボンデット不織布を製造するための装置であって、この装置が、
前記無端フィラメント(1)の紡ぎ出しのための、少なくとも1つの紡糸口金(2)と、前記フィラメントの冷却のための少なくとも1つの冷却装置(3)と、
前記フィラメントの延伸のための、少なくとも1つの延伸装置(7)と、および、
不織布ウェブへの前記フィラメントの載置のための、特に載置スクリーンベルト(21)の様式の、少なくとも1つの載置装置とを備えており、
前記延伸装置(7)と、前記載置装置もしくは前記載置スクリーンベルト(21)との間に、少なくとも1つのディフューザー(10)が配設されており、従って、前記フィラメントおよび一次空気が、前記延伸装置から、前記ディフューザー(10)内へと到達し、少なくとも1つの前記ディフューザー(10)の領域内において、前記ディフューザー(10)の向かい合って位置する側に配設された、少なくとも2つの二次空気流入間隙(11、12)が設けられており、前記二次空気流入間隙を通って、二次空気が、前記ディフューザー(10)内へと到達し、
少なくとも1つの前記二次空気流入間隙(11、12)、有利には、少なくとも2つの前記二次空気流入間隙(11、12)が、前記二次空気がフィラメント流動方向(FS)に対して、もしくは、前記装置もしくは前記ディフューザー(10)の長手方向中心軸線(M)に対して、角度(α)において流入する、という条件付きで形成されており、この流れ込み角度(α)が、100°よりも小さく、合目的に90°以下であり、有利には80°よりも小さく、有利には70°よりも小さく、および、特に65°より小さく、
前記フィラメントの流動方向において、前記二次空気流入間隙(11、12)の後ろもしくは下に、収斂状のディフューザー部分(15)が接続しており、
前記フィラメントの流動方向において、前記収斂状のディフューザー部分(15)に、前記ディフューザー(10)の狭隘位置が接続しており、および、この狭隘位置に、少なくとも1つの末広がり状のディフューザー部分(17)が接続しており、
前記収斂状のディフューザー部分(15)が、前記末広がり状のディフューザー部分(17)よりも短く、もしくは、明確に短く構成されており、且つ、前記収斂状のディフューザー部分(15)の長さが、前記末広がり状のディフューザー部分(17)の長さの、最大で60%の値であり、
前記フィラメント流動方向(FS)において最後のディフューザー部分が、前記載置装置に向かって末広がり状のディフューザー壁部(18)を有しており、これらディフューザー壁部(18)が、機械方向(MD)において幅(B)を有する、ディフューザー流出部(19)を形成しており、
前記載置装置もしくは前記載置スクリーンベルト(21)を通って、空気もしくはプロセス空気を吸引するための、少なくとも1つの吸引装置が設けられており、および、前記ディフューザー流出部(19)の下方に配設された、吸引領域(23)が、前記機械方向に幅(b)を有しており、この幅が、前記ディフューザー流出部(19)の前記幅(B)よりも大きい、
ことを特徴とする装置。
【請求項2】
前記吸引領域(23)の前記幅(b)は、前記ディフューザー流出部(19)の前記幅(B)の少なくとも1.2倍、有利には少なくとも1.3倍、および、特に有利には少なくとも1.4倍の値であることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記吸引領域(23)は、前記機械方向(MD)に関して、前記フィラメントの前記吸引領域の後で、(第1の)吸引部分(24)だけ前記ディフューザー流出部(19)を越えて突出している、及び/または、前記吸引領域(23)が、前記機械方向(MD)に関して、前記フィラメントの前記吸引領域の手前で、(第2の)吸引部分(25)だけ前記ディフューザー流出部(19)を越えて突出していることを特徴とする請求項1または2に記載の装置。
【請求項4】
前記吸引装置による前記吸引は、少なくとも前記ディフューザー流出部(19)の領域内において、三次空気が前記ディフューザー壁部(18)の外側の表面に沿って前記載置装置もしくは前記載置スクリーンベルト(21)への方向に流動する、という条件付きで行われ、
前記三次空気の流れが、有利には、前記ディフューザー(10)の内側において前記ディフューザー流出部(19)への方向に流動する、前記一次空気と前記二次空気とから成る混合流に対して平行に、もしくは、基本的に平行に整向されており、および、
前記三次空気も、前記載置装置もしくは前記載置スクリーンベルト(21)を通って吸引されることを特徴とする請求項1から3のいずれか一つに記載の装置。
【請求項5】
前記吸引装置でもって吸引される前記三次空気の容積流量(V)は、吸引される前記一次空気および前記二次空気の容積流量の少なくとも25%、有利には少なくとも40%、および、特に有利には少なくとも50%の値であることを特徴とする請求項1から4のいずれか一つに記載の装置。
【請求項6】
前記冷却装置(3)および前記延伸装置(7)から成る機構ユニットは、閉鎖された機構ユニットとして形成されており、
前記冷却装置内における冷却空気の供給以外、この閉鎖された機構ユニット内への、流動状の媒体の如何なる更なる供給も、もしくは、如何なる更なる空気供給も行われないことを特徴とする請求項1から5のいずれか一つに記載の装置。
【請求項7】
前記ディフューザー(10)の前記長手方向中心軸線(M)に対するディフューザー流出角度(β)は、最大30°、有利には最大25°の値であることを特徴とする請求項1から6のいずれか一つに記載の装置。
【請求項8】
前記載置装置もしくは前記載置スクリーンベルト(21)に対する、前記ディフューザー(10)もしくは前記ディフューザー(10)の下側縁部の間隔は、20mmから300mmまで、特に30mmから150mmまで、および、有利には30mmから120mmまでの値であることを特徴とする請求項1から7のいずれか一つに記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無端フィラメント、特に熱可塑性の合成物質から成る無端フィラメントから、スパンボンデット不織布を製造するための装置に関し、この装置が、
前記無端フィラメントの紡ぎ出しのための、少なくとも1つの紡糸口金と、
前記フィラメントの冷却のための少なくとも1つの冷却装置と、
前記フィラメントの延伸のための、少なくとも1つの延伸装置と、および、
不織布ウェブへの前記フィラメントの載置のための、少なくとも1つの載置装置とを備えている。
「無端フィラメント」は、本発明の範囲内において、ほぼエンドレスの長さを有するフィラメントを意味している。これら無端フィラメントは、ステープルファイバーと、これらステープルファイバーが例えば10mmから60mmまでのはるかに短い長さを有するという点において相違している。
【背景技術】
【0002】
前記で述べられた様式の装置は、実務から、原理的に、種々の実施形態において公知である。そのような装置は、同様に、スパンボンド装置とも称される。
この様式の実務から公知の装置の多くは、高いフィラメント速度、および、高い装入量並びに製造速度の際に、フィラメント載置物(Filamentablage)の品質が思わしくないことの欠点を有している。このことは、特に、載置物の均一性、並びに、製造された不織布ウェブの強度に関係する。生成されたフィラメントの高いフィラメント速度、および、低い番手は、しばしば、製造された不織布ウェブのただ明確な品質損失だけを有して、実現することが可能である。
それ故に、これら公知の装置は、改善の余地がある。
【0003】
このような様式の装置に関して、記載すべき先行技術文献情報はない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のことに応じて、本発明の根底をなす課題は、冒頭に記載された様式の装置を提供することであり、この装置において、高いフィラメント速度、および、低い番手、並びに、高い製造速度が実現され得、且つ、それにも拘らず、フィラメント載置物もしくは生成された不織布ウェブの品質が、全ての諸要件に適合している。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この技術的な課題の解決のために、本発明は、特に熱可塑性の合成物質から成る無端フィラメントから、スパンボンデット不織布を製造するための装置を教示し、この装置が、前記無端フィラメントの紡ぎ出しのための、少なくとも1つの紡糸口金と、
前記フィラメントの冷却のための少なくとも1つの冷却装置と、
前記フィラメントの延伸のための、少なくとも1つの延伸装置と、および、
不織布ウェブへの前記フィラメントの載置のための、特に載置スクリーンベルトの様式の、少なくとも1つの載置装置とを備えており、
その際、前記延伸装置と、前記載置装置もしくは前記載置スクリーンベルトとの間に、少なくとも1つのディフューザーが配設されており、従って、前記フィラメントおよび一次空気が、前記延伸装置から、前記ディフューザー内へと到達し、その際、少なくとも1つの前記ディフューザーの領域内において、前記ディフューザーの向かい合って位置する側に配設された、少なくとも2つの二次空気流入間隙が設けられており、前記二次空気流入間隙を通って、二次空気が、前記ディフューザー内へと到達し、
その際、少なくとも1つの前記二次空気流入間隙、有利には、少なくとも2つの前記二次空気流入間隙が、前記二次空気がフィラメント流動方向FSに対して、もしくは、前記装置もしくは前記ディフューザーの長手方向中心軸線Mに対して、流れ込み角度αにおいて流入する、という条件付きで形成されており、その際、この流れ込み角度αが、100°よりも小さく、合目的に90°以下であり、有利には80°よりも小さく、有利には70°よりも小さく、および、特に65°より小さく、
前記フィラメントの流動方向において、前記二次空気流入間隙の後ろもしくは下に、収斂状のディフューザー部分が接続しており、
前記フィラメントの流動方向において、前記収斂状のディフューザー部分に、前記ディフューザーの狭隘位置が接続しており、および、この狭隘位置に、少なくとも1つの末広がり状のディフューザー部分が接続しており、
前記収斂状のディフューザー部分が、前記末広がり状のディフューザー部分よりも短く、もしくは、明確に短く構成されており、且つ、前記収斂状のディフューザー部分の長さが、前記末広がり状のディフューザー部分の長さの、最大で60%の値であり、
その際、前記フィラメント流動方向FSにおいて最後(letzte)のディフューザー部分が、前記載置装置に向かって末広がり状のディフューザー壁部を有しており、その際、これらディフューザー壁部が、機械方向(MD)に関して幅Bを有するディフューザー流出部を形成しており、
その際、前記載置装置もしくは前記載置スクリーンベルトを通って、空気もしくはプロセス空気を吸引するための、1つの吸引装置が設けられており、および、その際、前記ディフューザー流出部の下方に配設された吸引領域が、前記機械方向(MD)に幅bを有しており、この幅bが、前記ディフューザー流出部の前記幅Bよりも大きい。
「機械方向(MD)」は、本発明の範囲内において、特に、載置装置もしくは載置スクリーンベルトの上での、フィラメント載置物もしくは不織布ウェブの搬送方向を意味している。
【発明の効果】
【0006】
吸引領域が、この吸引領域の幅bでもって、ディフューザーの下方で、ディフューザー流出部の全幅Bにわたって延在していることは、本発明の範囲内にある。この吸引領域が、機械方向に相前後して配設された2つの分離壁によって境界されていることは、更に、本発明の範囲内にある。吸引領域の幅bは、特に、両方の分離壁の上側の−載置装置もしくは載置スクリーンベルトの方を向いた−端部の間で、機械方向に測定される。
合目的に、少なくとも1つの吸引送風機が設けられており、この吸引送風機でもって、吸引領域内におけるプロセス空気が、載置装置もしくは載置スクリーンベルトを通って吸引される。
本発明の実施形態に従い、機械方向に、複数の吸引領域−例えば3つの吸引領域−が相前後して配設されていることは可能であり、これら吸引領域は、特に、これら吸引領域の吸引速度に関して、相互に相違している。その場合に、請求項1内において請求された吸引領域は、ディフューザー流出部の下もしくはこのディフューザー流出部の直ぐ下に配設された主吸引領域である。基本的に、ディフューザー流出部の下もしくはこのディフューザー流出部の直ぐ下に設けられた吸引領域もしくは主吸引領域は、それ自身、例えば分離壁によって、区分され得る。
その場合に、この吸引領域もしくは主吸引領域は、吸引速度がこの吸引領域の全幅bにわたって同じである、もしくは、基本的に同じであることによって特徴付けられる。合目的に、吸引領域もしくは主吸引領域内における平均的な吸引速度は、20%以下、特に30%以下または40%以下、および特に50%以下で変化する。
この関連において、実施形態の変形に従い、機械方向(MD)に関して吸引領域もしくは主吸引領域の手前に配設された付加的吸引領域内において、及び/または、機械方向(MD)に関して吸引領域もしくは主吸引領域の後ろに配設された付加的吸引領域内において、1つの吸引速度が存在し、この吸引速度が、この吸引領域もしくは主吸引領域の吸引速度と異なっていることは、本発明の範囲内にある。
【0007】
本発明の特に推奨される実施形態に従い、吸引領域の幅bは、ディフューザー流出部の幅Bの少なくとも1.2倍、有利には少なくとも1.3倍、および、特に有利には少なくとも1.4倍の値である。実施形態の変形に従い、吸引領域の幅bは、ディフューザー流出部の幅Bの少なくとも1.5倍、特に少なくとも1.6倍、または、少なくとも1.7倍の値であることは可能である。
【0008】
本発明の極めて有利な実施形態は、吸引領域が、機械方向(MD)に関して、フィラメントの吸引領域の後で、第1の吸引部分だけディフューザー流出部の幅を越えて突出している、及び/または、その際、吸引領域が、機械方向(MD)に関して、フィラメントの吸引領域の手前で、第2の吸引部分だけディフューザー流出部の幅を越えて突出している、ことによって特徴付けられている。
有利には、吸引領域もしくは主吸引領域は、両方の側において、この吸引領域の幅bに関して、ディフューザー流出部の幅Bを越えて、しかも、一方の側で第1の吸引部分だけ、および、他方の側で第2の吸引部分だけ、突出している。合目的に、第1の吸引部分の幅b、及び/または、第2の吸引部分の幅bは、ディフューザー流出部の幅Bの、2%から30%まで、有利には2.5%から25%まで、および、特に有利には3%から20%までの値である。
【0009】
本発明の極めて推奨される実施形態は、吸引装置による吸引が、少なくともディフューザー流出部の領域内において、三次空気がディフューザー壁部の外側の表面に沿って載置装置もしくは載置スクリーンベルトへの方向に流動する、という条件付きで行われ、および、この三次空気の少なくとも一部が、載置装置もしくは載置スクリーンベルトを通って吸引されることによって特徴付けられる。その際、三次空気の流れが、ディフューザーの内側においてディフューザー流出部への方向に流動する、一次空気と二次空気とから成る混合流に対して平行に、もしくは、基本的に平行に整向されていることは、本発明の範囲内にある。
吸引装置でもって吸引される三次空気の容積流量Vは、吸引される一次空気および二次空気の容積流量の少なくとも25%、有利には少なくとも30%、有利には少なくとも40%、および、特に有利には少なくとも50%の値であることは推奨される。この三次空気の前記で説明された有利な吸引は、このことによって、フィラメントの吸引領域内における所望されない渦流が回避され得るという点において有用であることが実証された。
【0010】
本発明に従い、無端フィラメントは、スパンボンド装置でもって製造される。その際に、冷却装置、延伸装置、および、少なくとも1つのディフューザーが、機械方向(MD)に対して横方向に、製造幅もしくは製造されるべき不織布ウェブの幅(CD幅(DC−Breite))にわたって延在することは、本発明の範囲内にある。
本発明の特に有利な実施形態に従い、冷却装置および延伸装置から成る機構ユニットは、閉鎖された機構ユニットとして形成されており、且つ、前記冷却装置内における冷却空気の供給以外、冷却装置および延伸装置から成る機構ユニットから成るこの閉鎖された機構ユニット内への、流動状の媒体の如何なる更なる供給も、もしくは、如何なる更なる空気供給も行われない。
この閉鎖された機構ユニットもしくはこの閉鎖されたシステムは、本発明の範囲内において、特に有用であることが実証され、且つ、効果的に、技術的な課題の解決に寄与する。
【0011】
本発明に従う装置の冷却装置は、ただ1つだけの冷却チャンバーを有することは可能であり、この冷却チャンバー内において、フィラメントが、冷却空気もしくは所定の温度のプロセス空気に曝される。
本発明の更に別の実施形態に従い、冷却装置は、重なり合ってもしくは相前後して配設された、2つの冷却チャンバーを有している。これら両方の冷却チャンバー内において、フィラメントは、それぞれに、冷却空気もしくは異なる温度のプロセス空気に曝される。この装置は、同様に、フィラメントの冷却のための上側の冷却チャンバーからプロセス空気の流出速度と、下側の冷却チャンバーからの流出速度とが異なる、という条件付きで設備(eingerichtet)され得る。
【0012】
本発明の範囲内において、二次空気流入間隙もしくはこの二次空気流入間隙を通って導入される二次空気には、特別な意義がある。その際、二次空気流入間隙が装置の全幅にわたって機械方向に対して横方向に(CD方向に((in CD−Richtung)))延在していることは、本発明の範囲内にある。
本発明の極めて有利な実施形態に従い、向かい合って位置する2つの二次空気流入間隙は、延伸装置と、この延伸装置に接続するディフューザーとの間に配設されている。
本発明の実施形態の変形に従い、フィラメント流動方向FSに、2つのディフューザーが、相前後して配設されており、および、向かい合って位置する2つの二次空気流入間隙が、これら両方のディフューザーの間に設けられている。2つの二次空気流入間隙が、同じ垂直方向の高さで設けられていることは可能である。しかしながら同様に、二次空気流入間隙が、装置の異なる垂直方向の高さで設けられていることも本発明の範囲内にある。
本発明の有利な実施形態に従い、向かい合って位置するただ2つだけの二次空気流入間隙は、しかも、特に有利には、延伸装置とディフューザーとの間に設けられている。
【0013】
更に、二次空気の流れ込み角度αには、特別な意義がある。本発明に従い、少なくとも1つの二次空気流入間隙は、および、有利には少なくとも2つの二次空気流入間隙、特に有利には2つの二次空気流入間隙は、二次空気が、フィラメント流動方向FSに対して流れ込み角度αにおいて流入する、という条件付きで形成されている。
本発明の実施形態に従い、流れ込み角度αは、80°から110°の値である。推奨される実施形態は、流れ込み角度αが、90°よりも小さい、有利には80°よりも小さい、有利には、70°よりも小さい、および、特に有利には、65°よりも小さい、ことによって特徴付けられている。その際、流れ込み角度αが、60°よりも小さい、有利には55°のよりも小さい、および、極めて有利には、50°よりも小さいことは、特に有用であることが実証された。極めて推奨される実施形態に従い、流れ込み角度αは、0°と60°との間に、合目的に1°と55°との間に、有利には2°と50°との間に、極めて有利には2°と45°との間に、特に有利には2°と40°との間にある。
二次空気の流れ込みが、この二次空気がこの二次空気の流入の後にフィラメント流動方向FSに対して平行もしくはほぼ平行に流動する、という条件付きで行われることは、極めて特に推奨される。
【0014】
合目的に、二次空気流入間隙は、流れ込み角度αの実現のために、特に、流れ込み傾斜部、及び/または、流れ込み管路、およびその種の他の物を用いて、相応して設備される。有利な実施形態に従い、流れ込み角度αの実現のために、1つの二次空気流入間隙の領域内において、ディフューザーの壁部に接続するもしくは接続されている、傾斜した流れ込み壁部が設けられており、この流れ込み壁部が、フィラメント流動方向FSと、流れ込み角度αに相応するもしくは基本的に相応する角度を成している。
有利には、この実施形態において、それぞれの二次空気流入間隙のために、1つの相応する流れ込み壁部が設けられている。そのような流れ込み壁部は、推奨のように、流れ込み角度αの実現のために、1つの流れ込み傾斜部を形成している。本発明に従う流れ込み角度αの実現は、本発明の範囲内において、特に有用であることが実証され、且つ、効果的に、技術的な課題の解決に寄与する。
吸引領域の本発明に従う構成との組み合わせにおいて、品質的に高価値のフィラメント載置物、および、特に均一な不織布ウェブが与えられ得る。本発明に従う装置の特徴の組み合わせの範囲内において、同様に、閉鎖されたシステム、もしくは、閉鎖された機構ユニットとしての冷却装置と延伸装置から成る機構ユニットの構成にも、特別な意義がある。
【0015】
「一次次空気」は、本発明の範囲内において、延伸装置を通って導かれるプロセス空気を意味し、このプロセス空気が、延伸装置から、もしくは、この延伸装置の延伸ダクトからディフューザー内へと流出する。
本発明の極めて有利な実施形態は、二次空気流入間隙の領域内において、一次空気と二次空気との容積流量の比率V/Vは、5よりも小さい、有利には4.8よりも小さい、有利には4.5よりも小さいことによって特徴付けられている。
本発明の推奨される実施形態に従い、二次空気流入間隙を通って流入する二次空気の容積流量は、調節可能であり、有利には、それぞれの二次空気流入間隙に関して調節可能であり、および、実施形態の変形に従い、相互に依存せずに調節可能である。この目的のために、二次空気流入間隙の断面積が、変化可能もしくは調節可能であることは推奨される。合目的に、ディフューザーの向かい合って位置する側に配設された2つの二次空気流入間隙を通ってそれぞれに流入する二次空気の容積流量は、同じであり、もしくは、基本的に同じであり、または、最大で15%まで、特に、最大で20%に至るまで相違している。二次空気流入間隙の垂直方向の高さは、2mmから20mmまで、有利には3mmから18mmまで、特に有利には5mmから15mmまでの値である。
本発明の実施形態は、二次空気流入間隙を通って流入する二次空気の容積流量が、CD幅(機械方向MDに対して横方向)にわたって、調節され得る、もしくは、変化され得ることによって特徴付けられる。合目的に、この目的のために、二次空気流入間隙の垂直方向の高さが、CD幅(機械方向MDに対して横方向)にわたって調節もしくは変化される。二次空気流入間隙の調節は、推奨のように、流れ込むべき二次空気の容積流量が、CD方向に関して、装置の縁部もしくは二次空気流入間隙の縁部へと減少する、という条件付きで行われる。
有利には、二次空気流入間隙を通って流入する二次空気容積流量は、ただ二次空気流入間隙の縁部領域内だけにおいて、これら二次空気流入間隙の中央の領域よりも少ない。これら縁部領域は、その際、推奨のように、5mmから20mmまでの長さを有している。これら縁部領域内において、合目的に、二次空気容積流量の最大で75%、有利には、最大で80%が供給され、この二次空気容積流量は、二次空気流入間隙の中央の領域内において流入する。
機械方向に対して横方向に、もしくは、装置のCD幅において、二次空気流入間隙を通っての二次空気の均等な流れ込みが、しかも、本発明の実施形態の変形に従い、前記の縁部領域を除いて、合目的に、二次空気流入間隙の全ての中央の領域内において行われることは、本発明の範囲内において有利である。本発明は、それ故に、これに伴って、特に均一なフィラメント載置物が達成され得、もしくは、極めて均一なフィラメント載置物が、CD幅にわたって達成され得ることの認識を基礎としている。
【0016】
本発明の極めて推奨される実施形態は、フィラメント流動方向において、二次空気流入間隙の後ろもしくは下に、1つのディフューザーのもしくはこのディフューザーの1つの収斂状の部分が接続していることによって特徴付けられる。
その際、1つの実施形態が極めて特に有利であり、この実施例において、フィラメント流動方向において、二次空気流入間隙の後ろもしくは下に、先ず第一に、このディフューザーの1つの収斂状の部分が配設されており、その後、このディフューザーの1つの狭隘位置が接続しており、および、この狭隘位置の後ろもしくは下に、このディフューザーの1つの末広がり状の部分が設けられている(収斂状−狭隘位置−末広がり状)。
狭隘位置において、いわば、流入した二次空気、もしくは、一次空気−二次空気混合の圧縮が行われる。好まれる(praeferiert)実施形態は、ディフューザーの収斂状の部分が、ディフューザーの末広がり状の部分よりも短く、もしくは、明確に短く構成されていること、によって特徴付けられている。合目的に、収斂状のディフューザー部分の長さlは、ディフューザーの末広がり状の部分の長さlの、最大で75%、有利には最大で60%、および、有利には最大で50%の値である。推奨のように、ディフューザーの収斂状の部分の長さlは、ディフューザーの末広がり状の部分の長さlの最大で40%、有利には最大で30%に達する。
合目的に、末広がり状のディフューザー部分の長さlに対する、収斂状のディフューザー部分の長さlの比率l/lは、0.1から1まで、有利には0.15から0.9までの値である。
収斂状のディフューザー部分の長さlが、ディフューザーの全体の長さLの5%から50%まで、および有利には、10%から50%までの値であることは推奨される。
【0017】
ディフューザー部分の、−もしくはフィラメント流動方向において最後の、載置装置の上方に配設されたディフューザー部分の−、ディフューザー流出角度βは、最大30°、有利には最大25°、および極めて有利には最大20°の値であることは、本発明の範囲内にある。
ディフューザー流出角度βは、従って、末広がり状のディフューザー部分のディフューザー壁部と、ディフューザーの長手方向中心軸線Mとの間で測定される。有利には、ディフューザー流出部を形成する末広がり状のディフューザー部分のディフューザー壁部は、旋回可能に形成しており、従って、ディフューザー流出角度βが、変化可能もしくは調節可能である。推奨のように、末広がり状のディフューザー部分のディフューザー流出部の幅Bは、延伸装置もしくはこの延伸装置の延伸ダクトの、流出間隙の幅Vの、最大で300%、有利には最大で250%、および、有利には、最大で200%の値である。
本発明の特に有利な実施形態は、載置装置もしくは載置スクリーンベルトに対する、ディフューザーもしくはディフューザーの下側縁部−特に最も下方の下側縁部−の間隔が、20mmから300mmまで、特に30mmから150mmまで、および、有利には30mmから120mmまでの値であることによって特徴付けられている。
【0018】
紡糸口金と冷却装置との間に、モノマー吸引装置が配設されていることは、本発明の範囲内にある。このモノマー吸引装置でもって、空気が、紡糸口金の下方のフィラメント形成室から吸引される。このことによって、無端フィラメントと並んで生じる(austretenden)、モノマー、オリゴマー、分解生成物、およびその種の他の物のようなガスは、本発明に従う装置から除去され得る。
モノマー吸引装置は、合目的に、少なくとも1つの吸引チャンバーを有しており、この吸引チャンバーに、有利には、少なくとも1つの吸引ファンが接続されている。少なくとも1つの吸引チャンバーは、フィラメント形成室に向かって、前記ガスの吸引のための、少なくとも1つの吸引スリットを備えている。
技術的な課題の特に効果的な解決のために、更に、
紡糸口金とモノマー吸引装置との間に、紡糸口金とモノマー吸引装置との間で形成された第1の間隙の密閉のための、少なくとも1つの第1の変形可能な密閉材が配設されており、及び/または、
その際、モノマー吸引装置と冷却装置との間に、モノマー吸引装置と冷却装置との間で形成された第2の間隙の密閉のための、少なくとも1つの第2の変形可能な密閉材が設けられており、及び/または、
その際、冷却装置と、延伸装置もしくはこの延伸装置の中間管路との間に、冷却装置と、延伸装置もしくは中間管路との間で形成された第3の間隙の密閉のための、少なくとも1つの第3の変形可能な密閉材が配設されている、
ことによって特徴付けられている本発明の有利な実施形態は寄与する。
有利には、当接特性、特に、そのような変形可能な密閉材の押付け力もしくは押付け圧力は、それぞれの間隙の境界領域もしくは境界面に関して、変化可能もしくは後調節可能である。この様式の、有利な変形可能な密閉材は、推奨のように、本発明に従う装置の全幅にわたって、もしくは、全CD幅にわたって(機械方向に対して横方向に)延在する。そのような変形可能な密閉材が、フィラメント流動管路の全周を覆って、もしくは、基本的に全周を覆って取り囲む(umlaeuft)ことは、本発明の範囲内にある。
更に、変形可能な密閉材でもって密閉されるべき間隙の垂直方向の高さhが、3mmから35mm、特に5mmから30mmまでの値であること、および、少なくとも1つの変形可能な密閉材が、この間隙のこの高さhにわたって密閉することは、本発明の範囲内にある。合目的に、間隙の高さhに関する不均等性は、高さ方向における、密閉材の当接特性の変化もしくは後調節によって補償可能である。
密閉材が、流動状の媒体でもって充填可能である、もしくは、充填され得ること、および、密閉材の後調節もしくは調節が、この密閉材内への流動状の媒体の導入によって、もしくは、この密閉材からの流動状の媒体の導出によって行われることは推奨される。有利には、少なくとも1つの変形可能な密閉材は、膨張可能な密閉材である。
他の実施形態の変形に従い、変形可能な密閉材が、同様に、少なくとも1つのばね要素を用いて、密閉されるべき間隙の境界面に対して押圧された少なくとも1つの密閉要素を有していることも可能である。この密閉要素が、特に、密閉唇状片であること、この密閉材が、これに伴って、ばね負荷された密閉唇状片であることは可能である。ばね要素は、その場合に、合目的に、密閉されるべき間隙の境界面において固定され、且つ、密閉要素もしくは密閉唇状片を、この間隙の向かい合って位置する境界面に対して押圧する。有利には、少なくとも1つの変形可能な密閉材は、密閉が、2,000Pa以上、特に2,500Pa以上の、フィラメント流動管路内における圧力において行われる、という条件付きで設備されている。
この変形可能な密閉材を有する実施形態は、本発明に従う教示の範囲内において、特に有用であることが実証された。本発明に従う装置の、残りの、本発明に従うもしくは有利な特徴の組み合わせにおいて、装置内において、最適な、空気動力学的な挙動が与えられ、この装置が、効果的に、本発明に従う技術的な課題の解決のために寄与する。
【0019】
本発明は、本発明に従う装置でもって、優れた品質の不織布ウェブもしくはスパンボンデット不織布が生成され得る、ことの認識を基礎としている。特に、本発明に従う教示を用いて、機械方向およびこの機械方向に対して横方向において、均一のフィラメント載置物が、および、これに伴って、均一の不織布ウェブが製造され得る。最適な、均一の不織布載置物は、特に、同様に、比較的に高い、もしくは、高い製造速度においても達成可能である。
本発明に従う装置でもって、高いフィラメント速度、および、これに伴って、低いフィラメントの番手が、それにも拘らず、(nichtsdestowenig)、良好な、均一なフィラメント載置物において、実現可能である。高いフィラメント速度、および、低い番手は、何の問題もなく、高い装入量、もしくは、例えば400m/min以上の生産速度において、達成可能である。
本発明に従う装置が、それにも拘らず、比較的に簡単に、且つ、少ない手間暇もしくは複雑さで構成されていることは、強調されるべきである。
【0020】
以下で、本発明を、ただ1つだけの実施例を図示している図に基づいて詳しく説明する。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明に従う装置の概略的な縦断面図である。
図2図1の本発明に従う装置の下側の領域の、部分Aの概略的な拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
図は、無端フィラメント1、特に熱可塑性の合成物質から成る無端フィラメント1から、スパンボンデット不織布を製造するための、本発明に従う装置を示している。
この装置は、無端フィラメント1の紡ぎ出しのための紡糸口金2、並びに、フィラメントの冷却のための冷却装置3を有している。この紡糸口金2と冷却装置3との間に、本発明の特に有利な実施形態に従い、モノマー吸引装置4が配設されている。このモノマー吸引装置4でもって、紡糸プロセスの際に発生する(auftretende)妨害ガスが、この装置から除去され得る。その際、ここで扱われているのは、例えば、モノマー、オリゴマー、もしくは、分解生成物、および、そのような物質である。
このモノマー吸引装置4と冷却装置3との間に、間隙5が形成されており、この間隙は、通常、全フィラメント形成室もしくはフィラメント流動室の周囲を取り巻いている。極めて有利な実施形態およびこれら図に従う実施例により、モノマー吸引装置4と冷却装置3との間に、前記間隙5の密閉のための、少なくとも1つの変形可能な密閉材6が配設されている(特に、図1を参照)。合目的に、少なくとも1つの変形可能な密閉材6は、間隙5内において、全フィラメント形成室もしくはフィラメント流動室を覆って取り囲んでいる。その際、間隙5の境界面に関する、密閉材6の当接特性、特に押付け力もしくは押付け圧力は、変化もしくは後調節され得ることは、本発明の範囲内にある。
間隙5の垂直方向の高さhは、この実施例において、5mmから30mmまでの値であり、且つ、少なくとも1つの変形可能な密閉材6が、間隙5の垂直方向の高さhにわたって、この間隙5を密閉する。有利には、および、この実施例において、少なくとも1つの変形可能な密閉材6は、流動状の媒体でもって膨張可能な密閉材6である。流動状の媒体−有利には空気−の供給もしくは排出によって、密閉材6の当接特性、特に押付け力もしくは押付け圧力は、変化され得る。
【0023】
この実施例において(特に、図1を参照)、冷却装置3は、重なり合ってもしくは相前後して配設された、2つの冷却チャンバーを有しており、これら冷却チャンバー内において、フィラメントが、特に、異なる温度のプロセス空気もしくは冷却空気に曝される。基本的に、本発明の範囲内において、しかしながら、同様に、ただ1つの冷却チャンバーだけを有する冷却装置3も可能である。
【0024】
冷却装置3に、フィラメント流動方向FSに、フィラメント1の延伸のための延伸装置7が後接続されている。
有利には、および、この実施例において、冷却装置3に、中間管路8が接続しており、この中間管路が、冷却装置3を延伸装置7の延伸ダクト9と結合している。有利な実施形態に従い、および、この実施例において、冷却装置3および延伸装置7から成る機構ユニット、もしくは、冷却装置3、中間管路8、および、延伸ダクト9から成る機構ユニットは、閉鎖されたシステムとして形成されている。冷却装置3内における冷却空気の供給を除いて、この機構ユニット内への如何なる更なる空気供給も行われない。
延伸装置7もしくは延伸ダクト9を通って案内される空気は、ここで、および、以下で、一次空気Pと表示される。
【0025】
本発明に従い、延伸装置7に、フィラメント流動方向FSに、少なくとも1つのディフューザー10接続している。有利には、および、この実施例において、延伸装置7もしくは延伸ダクト9と、ディフューザー10との間に、二次空気Sの導入のための、向かい合って位置する2つの二次空気流入間隙11、12が配設されている。合目的に、これら二次空気流入間隙11、12は、本発明に従う装置の全幅もしくはCD幅(CD−Breite)にわたって延在している。
本発明に従い、二次空気流入間隙を通る二次空気は、流れ込み角度αでもって供給され、この流れ込み角度が、100°よりも小さい、合目的に90°よりも小さいまたは同じ、有利には、80°よりも小さい、および、この実施例において、45°よりも小さい。本発明の極めて推奨される実施形態に従い、この流れ込み角度αは、0°と60°との間、有利には、2°と50°の間にある。
流れ込み角度αの実現のために、この実施例において(特に、図2を参照)、相応して設備された流れ込み案内部13が設けられており、これら流れ込み案内部が、この実施例において、傾斜して、二次空気流入間隙11、12に接続された流れ込み管路14として形成されている。その際、流れ込み管路14は、フィラメント流動方向FSもしくは長手方向中心軸線Mと、二次空気が前記された流れ込み角度αのもとで流入可能である、という条件付きで、1つの角度を形成している。
特に有利な実施形態に従い、フィラメント流動方向FSに対する二次空気のほぼ平行な流れ込みが行われる。
【0026】
本発明の極めて推奨される実施形態に従い、二次空気流入間隙11、12を通って供給される二次空気の容積流量は、調節され得る。このことは、特に、二次空気流入間隙11、12の断面積の調節によって実現され得る。基本的に、向かい合って位置する両方の二次空気流入間隙11、12に関して、同様に供給される二次空気Sの異なる容積流量も調節され得る。
本発明の実施形態に従い、二次空気流入間隙11、12を通って流入する二次空気容積流量−有利には、それぞれの二次空気流入間隙11、12に関して−は、機械方向に対して横方向に、もしくは、CD幅にわたって調節され、もしくは、変化され得る。その際、合目的に、装置もしくは二次空気流入間隙11、12の縁部領域内において供給される二次空気容積流量は、この装置の中央の領域、もしくは、これら二次空気流入間隙11、12の中央の領域と比較して相違している。
【0027】
二次空気流入間隙11、12を通る二次空気Sの流入に基づいて、引き続いてのディフューザー10内において、一次空気Pが、二次空気Sと混合される。本発明の有利な実施形態に従い、二次空気流入間隙11、12の領域内において、一次空気と二次空気との容積流量の比率V/Vは、5よりも小さい、および有利には、4.5よりも小さい。
【0028】
これら図に従う本実施例において、ただ1つのディフューザー10だけが、フィラメント流動方向FSに、延伸装置7の下方に設けられている。基本的に、同様に、2つ、または、より多くのディフューザー10が、相前後して接続されていることは可能である。これら図に従う本実施例において設けられたディフューザー10は、有利な実施形態に従い、フィラメント流動方向FSにおいて、二次空気流入間隙11、12の後ろもしくは下に、収斂状のディフューザー部分15を有している。
この収斂状のディフューザー部分15に、有利には、および、この実施例において、ディフューザー10の狭隘位置16が接続している。フィラメント流動方向FSに、この狭隘位置16の後方もしくは下方に、このディフューザー10は、有利には、および、この実施例において、末広がり状のディフューザー部分17を備えている。
推奨のように、および、この実施例において、ディフューザー10の末広がり状のディフューザー部分17は、フィラメント流動方向FSに、収斂状のディフューザー部分15よりも長い、もしくは、明確に長い。有利には、および、この実施例において、収斂状のディフューザー部分15の長さlは、末広がり状のディフューザー部分17の長さlの50%よりも短い値である。
【0029】
推奨のように、および、この実施例において、末広がり状のディフューザー部分17のディフューザー壁部18と、ディフューザー10の長手方向中心軸線Mとの間のディフューザー流出角度βは、最大25°の値である。合目的に、および、この実施例において、ディフューザー流出部19の幅Bは、延伸ダクト9の流出間隙20の幅Vの、最大300%、有利には、250%の値である。
【0030】
ディフューザー10から流出する無端フィラメント1は、載置スクリーンベルト21として形成された載置装置の上で、フィラメント載置物もしくは不織布ウェブ22へと載置される。このフィラメント載置物もしくは不織布ウェブ22は、次いで、載置スクリーンベルト21でもって、機械方向MDに排出移動もしくは搬出される。
本発明に従い、載置装置もしくは載置スクリーンベルト21を通って、空気もしくはプロセス空気を吸引するための吸引装置が設けられている。この目的のために、ディフューザー流出部19の下方に、吸引領域23が配設されており、この吸引領域が、1つの幅bを、機械方向(MD)に有している。この吸引領域23の幅bは、本発明に従い、ディフューザー流出部19の幅Bよりも大きい。図2内において、幅bおよびBが図示されている。
本発明の有利な実施形態に従い、吸引領域23の幅bは、ディフューザー流出部19の幅Bの少なくとも1.2倍、有利には少なくとも1.3倍の値である。この実施例において、ディフューザー流出部19の幅Bは、ディフューザー壁部18の下側の端部の、水平方向の間隔として測定される。
末広がり状のディフューザー部分17のディフューザー壁部18の端部が、同じ水平方向の面内において終端していない、もしくは、同じ垂直方向の高さで終端していない場合、有利には、同じ垂直方向の高さでの、延長された仮想の、より短いディフューザー壁部18の端部からの、より長いディフューザー壁部18の端部の間隔が測定される。
【0031】
載置スクリーンベルト21の下側に配設された吸引領域23は、機械方向MDに相前後して配設された、2つの分離壁27、28によって境界されている。吸引領域23の幅bは、両方の分離壁27、28の間の間隔として、しかも、これら両方の分離壁27、28の上側の端部の間隔として測定される。
特に図2から、吸引領域23が、機械方向(MD)に関して、フィラメント1の吸引領域の後で、第1の吸引部分24だけ、ディフューザー流出部19を越えてもしくはこのディフューザー流出部19の幅Bを越えて突出していることは見て取れる。その他更に、吸引領域23は、機械方向(MD)に関して、フィラメント1の吸引領域の手前で、第2の吸引部分25だけ、ディフューザー流出部19を越えてもしくはこのディフューザー流出部19の幅Bを越えて突出している。
図2内において、第1の吸引部分24が幅bを、および、第2の吸引部分25が幅bを有している、ことは認識可能である。1つの実施形態、および、この実施例において、幅b、および、bは同じ大きさである。基本的に、これら幅が、しかしながら同様に、異なって構成されていることも可能である。
【0032】
特に、吸引領域23の本発明に従う構成に基づいて、載置スクリーンベルト21を通っての吸引は、ディフューザー流出部19の領域内において三次空気Tが外側の表面26に沿って載置スクリーンベルト21への方向に流動する、という条件付きで行われる。
特に有利な実施形態に従い、三次空気Tの流れは、その際、ディフューザー10のディフューザー流出部19への方向に流動する、一次空気Pと二次空気Sから成る混合流に対して平行に、もしくは、基本的に平行に整向されている。
これに伴って、本発明の極めて有利な実施形態に従い、載置スクリーンベルト21を通って、一次空気Pおよび二次空気Sが、並びに、同様に三次空気Tも吸引される。
合目的に、その際、一次空気P、二次空気S、および、三次空気Tの流れは、平行に、もしくは、ほぼ平行に、載置スクリーンベルト21を通って流動する。
【符号の説明】
【0033】
1 フィラメント、無端フィラメント
2 紡糸口金
3 冷却装置
4 モノマー吸引装置
5 間隙
6 密閉材
7 延伸装置
8 中間管路
9 延伸ダクト
10 ディフューザー
11 二次空気流入間隙
12 二次空気流入間隙
13 流れ込み案内部
14 流れ込み管路
15 収斂状のディフューザー部分
16 狭隘位置
17 末広がり状のディフューザー部分
18 ディフューザー壁部
19 ディフューザー流出部
20 延伸ダクト9の流出間隙
21 載置スクリーンベルト
22 不織布ウェブ
23 吸引領域
24 第1の吸引部分
25 第2の吸引部分
26 外側の表面
27 分離壁
28 分離壁
b 吸引領域23の幅


B ディフューザー流出部19の幅
FS フィラメント流動方向
h 垂直方向の高さ
収斂状のディフューザー部分15の長さ
末広がり状のディフューザー部分17の長さ
M 長手方向中心軸線
MD 機械方向
P 一次空気
S 二次空気
T 三次空気
流出間隙20の幅
α 流れ込み角度
β ディフューザー流出角度
図1
図2