(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のような復旧支援装置では、ユーザが復旧支援画面を見て復旧作業を行う場合、手順や操作の正誤をユーザが判断することになり、復旧操作を間違え、更には装置を壊してしまうリスクがある。
【0005】
本発明は、以上のような問題点に鑑みてなされたものであり、本発明のいくつかの態様によれば、ユーザが簡単に復旧することが可能な真空装置及び復旧支援方法を提供することができる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(1)本発明に係る真空装置は、試料を搬送する自動搬送機構と、装置の状態を検出するセンサとを備えた真空装置であって、前記センサからの信号に基づいて、復旧可能なエラーが発生したか否かを判定する判定部と、復旧可能なエラーが発生したと判定された場合に、復旧操作の手順をウィザード形式で表示部に表示させる表示制御部とを含み、前記表示制御部は、前記センサからの信号に基づいて前記表示部に表示されている手順通りに復旧操作が行われたか否かを判定し、前記手順通りに復旧操作が行われたと判定した場合に、復旧操作の次の手順を前記表示部に表示させる。
【0007】
また、本発明に係る復旧支援方法は、試料を搬送する自動搬送機構と、装置の状態を検出するセンサとを備えた真空装置の復旧支援方法であって、前記センサからの信号に基づいて、復旧可能なエラーが発生したか否かを判定する判定ステップと、復旧可能なエラーが発生したと判定された場合に、復旧操作の手順をウィザード形式で表示部に表示させる表示制御ステップとを含み、前記表示制御ステップでは、前記センサからの信号に基づいて前記表示部に表示されている手順通りに復旧操作が行われたか否かを判定し、前記手順通りに復旧操作が行われたと判定した場合に、復旧操作の次の手順を前記表示部に表示させる。
【0008】
本発明によれば、復旧操作の手順をウィザード形式で表示し、センサからの信号に基づいて手順通りに復旧操作が行われたと判定した場合に、次の手順を示す画面を表示することで、ユーザが簡単にミスなく復旧操作を行うことができる。
【0009】
(2)本発明に係る真空装置及び復旧支援方法では、前記表示制御部は(前記表示制御ステップでは)、復旧操作の手順に装置を動作させる手順が含まれる場合に、装置を動作させるための制御ボタンを前記表示部に表示させ、前記制御ボタンに対する操作に応じて
装置を動作させる制御を行う駆動制御部(駆動制御ステップ)を更に含んでもよい。
【0010】
本発明によれば、復旧操作の手順に装置を動作させる手順が含まれる場合に、装置を動作させるための制御ボタンを表示することで、ユーザが迷いなく復旧操作を行うことができる。
【0011】
(3)本発明に係る真空装置及び復旧支援方法では、前記表示制御部は(前記表示制御ステップでは)、復旧操作の手順通りに復旧操作が行われたか否かを前記センサからの信号に基づき判定できない場合は、判定できる状態にするための操作手順を前記表示部に表示させてもよい。
【0012】
本発明によれば、復旧操作の手順通りに復旧操作が行われたか否かをセンサで判定できない場合は、センサで判定できるところまで操作を誘導して、復旧操作の手順通りに復旧操作が行われたか否かを判定することで、ユーザがミスなく復旧操作を行うことができる。
【0013】
(4)本発明に係る真空装置及び復旧支援方法では、前記表示制御部は(前記表示制御ステップでは)、前記表示部に表示されている手順通りに復旧操作が行われたと判定した場合に、復旧操作の次の手順を示す画面に移行するための移行ボタンを有効化し、前記移行ボタンの操作が行われた場合に、前記次の手順を前記表示部に表示させてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本実施形態に係る真空装置の一例を模式的に示す図。
【
図2】本実施形態に係る真空装置の機能ブロック図の一例を示す図。
【
図3】ウィザード形式で表示される復旧操作の手順の一例を示す図。
【
図4】ウィザード形式で表示される復旧操作の手順の一例を示す図。
【
図5】ウィザード形式で表示される復旧操作の手順の一例を示す図。
【
図6】ウィザード形式で表示される復旧操作の手順の一例を示す図。
【
図7】ウィザード形式で表示される復旧操作の手順の一例を示す図。
【
図8】ウィザード形式で表示される復旧操作の手順の一例を示す図。
【
図9】ウィザード形式で表示される復旧操作の手順の一例を示す図。
【
図10】本実施形態に係る真空装置の処理の流れを示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の好適な実施形態について図面を用いて詳細に説明する。なお、以下に説明する実施形態は、特許請求の範囲に記載された本発明の内容を不当に限定するものではない。また以下で説明される構成の全てが本発明の必須構成要件であるとは限らない。
【0016】
1.構成
図1に、本実施形態に係る真空装置の一例を模式的に示す。なお本実施形態の真空装置は
図1の構成要素(各部)の一部を省略した構成としてもよい。真空装置1は、電子顕微鏡等の観察装置や、EPMA(電子線マイクロアナライザ)等の分析装置や、FIB(集束イオンビーム装置)等の加工装置に備わる真空装置である。真空装置1は、試料室2と、試料交換室3と、試料交換室3に設けられる試料交換棒4とを含む。試料室2は、観察(分析、加工)時に試料を置くための空間であり、試料交換室3は、試料室2を大気圧にすることなく試料を出し入れするために設けられた空間である。試料交換室3は、試料交換室3の試料室2側には仕切弁5が設けられ、試料交換室3の大気圧側には交換室扉6が設けられており、予備排気できるように構成されている。
【0017】
試料は試料ホルダ7に取り付けられ、試料ホルダ7は、ホルダアダプタ8に取り付けら
れる。図中実線で示す試料ホルダ7及びホルダアダプタ8は、試料室2内の試料ステージ9上にある状態を示しており、図中点線で示す試料ホルダ7及びホルダアダプタ8は、試料交換室3内にある状態を示している。試料ステージ9は、試料ホルダ7及びホルダアダプタ8を試料室2内で水平方向及び垂直方向に移動させる。
【0018】
試料交換棒4は、試料交換の際に試料室2と試料交換室3の間で試料を搬送(出し入れ)する自動搬送機構を構成する。試料交換棒4は、交換棒駆動モータ10によって駆動され、その先端部が左右方向に移動する。試料交換棒4の先端部は、ホルダアダプタ8に連結可能に構成される。試料交換棒4の先端部は、1回押し込まれるごとに90°回転し、垂直状態から水平状態、或いは水平状態から垂直状態になる。試料交換棒4の先端部が垂直状態でホルダアダプタ8に当接しホルダアダプタ8側に押し込まれると、先端部が回転して水平状態となり、ホルダアダプタ8に連結される。また、試料交換棒4の先端部が水平状態(ホルダアダプタ8に連結された状態)でホルダアダプタ8側に押し込まれると、先端部が回転して垂直状態となり、ホルダアダプタ8との連結が解除される。試料交換棒4の先端部が試料交換室3内にあるホルダアダプタ8に連結した状態で、先端部を試料室2側(右方向)に移動することで、試料ホルダ7を試料交換室3から試料室2に搬送することができる。また、試料交換棒4の先端部を試料室2内にあるホルダアダプタ8に連結した状態で、先端部を試料交換室3側(左方向)に移動することで、試料ホルダ7を試料室2から試料交換室3に搬送することができる。
【0019】
試料交換室3には、試料交換室3の圧力を測るセンサ11(真空計)と、交換室扉6の開閉を検出するセンサ12と、試料交換棒4の先端部の回転状態(水平状態か垂直状態か)を検出するセンサ13と、試料交換棒4の先端部の位置を検出するセンサ14、15が設けられている。センサ14により試料交換棒4の先端部が左端位置にある(試料交換棒4が縮みきった状態となっている)ことを検出することができ、センサ15により試料交換棒4の先端部が右端位置にある(試料交換棒4が伸びきった状態となっている)ことを検出することができる。なお、センサ13は、試料交換棒4の先端部が左端位置にある場合のみ、先端部の回転状態を検出することができる。また、試料室2には、仕切弁5の開閉を検出するセンサ16と、試料ステージ9の試料室2内での位置を検出するセンサ17が設けられている。また、真空装置1には、ホルダアダプタ8の位置を検出するセンサ18〜21が設けられ、そのうち、センサ18、19が試料交換室3に設けられ、センサ20が試料室2内のT字部22に設けられ、センサ21が試料ステージ9に設けられている。センサ18、19によりホルダアダプタ8が試料交換室3に位置することを検出することができ、センサ20によりホルダアダプタ8が試料交換室3と試料室2の間(仕切弁5を跨いだ位置)に位置することを検出することができ、センサ21によりホルダアダプタ8が試料ステージ9上に位置することを検出することができる。
【0020】
図2に、本実施形態に係る真空装置の機能ブロック図の一例を示す。真空装置1は、処理部100と、操作部110と、検出部120(センサ)と、表示部130と、駆動機構140と、記憶部150を含む。
【0021】
操作部110は、ユーザが操作情報を入力するためのものであり、入力された操作情報を処理部100に出力する。操作部110の機能は、キーボード、マウス、ボタン、タッチパネル、タッチパッドなどのハードウェアにより実現することができる。
【0022】
検出部120は、装置(真空装置1、自動搬送機構)の状態を検出するセンサであり、センサ11〜21を含む。検出部120に含まれる各センサの検出信号は処理部100に出力される。
【0023】
表示部130は、処理部100によって生成された画像を表示するものであり、その機
能は、LCD、CRT、操作部110としても機能するタッチパネルなどにより実現できる。
【0024】
駆動機構140は、試料交換棒4の駆動装置(交換棒駆動モータ10)と、真空ポンプの駆動装置と、真空バルブの駆動装置と、試料ステージ9の駆動装置とを含む。
【0025】
記憶部150は、処理部100の各部としてコンピュータを機能させるためのプログラムや各種データを記憶するとともに、処理部100のワーク領域として機能し、その機能はハードディスク、RAMなどにより実現できる。
【0026】
処理部100(コンピュータ)は、操作情報や検出部120からの信号、プログラムなどに基づいて、各種処理を行う。処理部100の機能は、各種プロセッサ(CPU、DSP等)などのハードウェアや、プログラムにより実現できる。処理部100は、判定部101、表示制御部102、駆動制御部103を含む。
【0027】
判定部101は、検出部120に含まれる1つ又は複数のセンサからの信号に基づいて、復旧可能な(ユーザの操作により復旧できる)エラーが発生したか否かを判定する。例えば、検出部120に含まれる各センサからの信号の組み合わせに対応する復旧可能なエラーの種類を特定するデータを記憶部150に記憶しておき、判定部101は、各センサからの信号の組み合わせに基づいて、当該データを参照して、当該組み合わせに対応するエラーがあるか否かを判定する。
【0028】
表示制御部102は、判定部101によって復旧可能なエラーが発生したと判定された場合に、当該エラーを復旧するための復旧操作の手順をウィザード形式で表示部130に表示させる制御を行う。例えば、復旧可能な各エラーの種類に対応付けて、復旧操作の手順をウィザード形式で表示するためのデータを記憶部150に記憶しておき、表示制御部102は、発生したエラーの種類に対応するデータを読み出して、当該エラーを復旧するための復旧操作の手順をウィザード形式で表示させる。復旧操作の各手順は、操作手順を示す文章、図、写真、或いは、これらの組み合わせにより表示される。
【0029】
また、表示制御部102は、検出部120に含まれる1つ又は複数のセンサからの信号に基づいて表示部130に表示されている手順通りに復旧操作が行われたか否かを判定し、当該手順通りに復旧操作が行われたと判定した場合に、復旧操作の次の手順を表示部130に表示させる。また、表示制御部102は、表示部130に表示されている手順通りに復旧操作が行われたと判定した場合に、復旧操作の次の手順を示す画面に移行するための移行ボタンを有効化し、有効化された移行ボタンに対する操作が行われた場合に、当該次の手順を表示部130に表示させてもよい。移行ボタンを有効化するとは、移行ボタンを操作不能状態から操作可能状態にすることである。移行ボタンを有効化する際には、移行ボタンを非表示状態から表示状態にしてもよいし、半透明で表示していた移行ボタンを不透明で表示してもよい。また、表示制御部102は、復旧操作の手順に装置を動作させる手順が含まれる場合には、装置を動作させるための制御ボタンを表示部130に表示させる。また、表示制御部102は、復旧操作の手順通りに復旧操作が行われたか否かを検出部120に含まれるセンサからの信号に基づき判定できない場合は、検出部120からの信号に基づき判定できる状態にするための操作手順を表示部130に表示させる。
【0030】
駆動制御部103は、駆動機構140に制御信号を出力して、駆動機構140を動作させる制御を行う。例えば、駆動制御部103は、ユーザによって試料ホルダ7を試料ステージ9に挿入することを指示する操作が行われた場合に、交換棒駆動モータ10を駆動して、ホルダアダプタ8に連結された試料交換棒4の先端部を試料室2側に移動することで、試料ホルダ7を試料ステージ9に搬送し、ホルダアダプタ8との連結を解除した試料交
換棒4の先端部を試料交換室3側に移動する。また、駆動制御部103は、ユーザによって試料ホルダ7の取り出しを指示する操作が行われた場合に、交換棒駆動モータ10を駆動して、ホルダアダプタ8に連結されていない試料交換棒4の先端部を試料室2側に移動させてホルダアダプタ8に連結させ、ホルダアダプタ8に連結された試料交換棒4の先端部を試料交換室3側に移動することで、試料ホルダ7を試料交換室3に搬送する。また、駆動制御部103は、復旧時のウィザードの画面に表示された制御ボタンに対する操作に応じて駆動機構140を動作させる。
【0031】
2.本実施形態の手法
次に本実施形態の手法について図面を用いて説明する。
図3〜
図9に、復旧可能なエラーが発生した場合に表示部130に表示される復旧ウィザード(ウィザード形式で表示される復旧操作の手順)の一例を示す。この例では、センサ21からの信号により試料ホルダ7及びホルダアダプタ8が試料ステージ9上にあることを検出し、センサ14からの信号により試料交換棒4の先端部が左端位置にあることを検出し、センサ13からの信号により試料交換棒4の先端部が水平状態となっていることを検出したため、復旧可能なエラー(試料交換棒4先端の回転状態の異常)が発生したと判定している。この場合、試料交換棒4の先端部が水平状態となっているため、ユーザが試料ホルダ7の取り出しを指示する操作を行っても、試料交換棒4の先端部がホルダアダプタ8に連結されず、試料ホルダ7を取り出すことができない。このエラーを復旧するには、ユーザは、試料交換棒4の先端部を手で押し込んで、先端部を水平状態から垂直状態にする復旧操作を行う必要がある。
【0032】
図3に、復旧ウィザードの最初の画面を示す。
図3に示す画面201には、試料室2と試料交換室3と試料ホルダ7の状態を示す図が表示されている。この図は、試料ホルダ7が試料室2にあり、試料室2と試料交換室3が排気されていることを示している。また、画面201には、復旧操作の最初の手順として、試料交換室3を大気圧にすることが表示されている。また、画面201には、「OK」ボタン(制御ボタン)が表示され、ユーザが「OK」ボタンを押す操作を行うと、センサ16からの信号に基づき仕切弁5が閉じていることが検出された後、真空バルブが駆動され試料交換室3が大気圧にされる。なお、ユーザが「Cancel」ボタンを押す操作を行うと、復旧ウィザードは終了する。
【0033】
センサ11からの信号に基づき試料交換室3が大気圧になったことが検出されると、
図4に示す画面202に移行する。画面202に表示された図は、試料交換室3が大気圧になっていることを示している。ユーザが、画面202に表示された「次へ」ボタン(移行ボタン)を押す操作を行うと、
図5に示す画面203に移行する。
【0034】
画面203には、復旧操作の次の手順として、交換室扉6を開けることが表示され、また、交換室扉6を開いた状態を示す写真が表示されている。ユーザが表示された手順通りに交換室扉6を開けて、センサ12からの信号に基づき交換室扉6が開いたことが検出されると、画面203に表示された「次へ」ボタン(移行ボタン)が有効化される。ユーザが有効化された「次へ」ボタンを押す操作を行うと、
図6に示す画面204に移行する。
【0035】
画面204には、復旧操作の次の手順として、試料交換棒4の先端部を左端位置から所定距離(数cm)だけ試料室2側に移動させる(IN状態にする)ことが表示され、また、IN状態の先端部を示す写真が表示されている。また、画面204には、試料交換棒4の先端部をIN状態にするための「IN」ボタン(制御ボタン)が表示される。ユーザが「IN」ボタンを押す操作を行うと、交換棒駆動モータ10が駆動され、試料交換棒4の先端部が左端位置から所定距離だけ試料室2側に移動し、
図7に示す画面205に移行する。
【0036】
画面205には、復旧操作の次の手順として、試料交換棒4の先端部を手で押し込んで垂直状態にした後、試料交換棒4の先端部を左端位置まで移動させる(OUT状態にする)ことが表示され、また、試料交換棒4の先端部を手で押し込む様子を示す写真と、垂直状態の先端部を示す写真と、水平状態の先端部を示す写真が表示されている。また、画面205には、試料交換棒4の先端部をOUT状態にするための「OUT」ボタン(制御ボタン)が表示される。ユーザが表示された手順通りに試料交換棒4の先端部を手で押し込んで垂直状態にして、「OUT」ボタンを押す操作を行うと、交換棒駆動モータ10が駆動され、試料交換棒4の先端部が左端位置まで移動し、センサ13からの信号に基づき試料交換棒4の先端部が垂直状態になったことが検出されると、画面205に表示された「次へ」ボタン(移行ボタン)が有効化される。ここで、試料交換棒4の先端部を手で押し込んで垂直状態にした段階では、試料交換棒4の先端部が左端位置にない(OUT状態でない)ため、先端部が垂直状態となったか否かをセンサ13からの信号に基づき判定することができない。そこで、この手順では、先端部をOUT状態(先端部が垂直状態となったことをセンサ13からの信号に基づき判定できる状態)にするための操作手順及び制御ボタンを表示し、当該手順に従って先端部がOUT状態にされた段階で、センサ13からの信号に基づき先端部が垂直状態となったか否かを判定する。ユーザが有効化された「次へ」ボタンを押す操作を行うと、
図8に示す画面206に移行する。
【0037】
画面206には、復旧操作の次の手順として、交換室扉6を閉めて試料交換室3を排気することが表示されている。ユーザが表示された手順通りに交換室扉6を閉めて、センサ12からの信号に基づき交換室扉6が閉じたことが検出されると、画面206に表示された「排気」ボタン(制御ボタン)が有効化される。ユーザが有効化された「排気」ボタンを押す操作を行うと、真空ポンプが駆動され試料交換室3が排気され、センサ11からの信号に基づき試料交換室3が排気されたことが検出されると、画面206に表示された「次へ」ボタン(移行ボタン)が有効化される。ユーザが有効化された「次へ」ボタンを押す操作を行うと、
図9に示す画面207に移行する。
【0038】
画面207には、復旧が完了し、通常の試料交換操作(試料ホルダ7の取り出しを指示する操作)により試料ホルダ7を取り出すことができる旨のメッセージが表示されている。ユーザが画面207に表示された「完了」ボタンを押す操作を行うと、復旧ウィザードは終了する。
【0039】
このように本実施形態によれば、センサからの信号に基づいて復旧可能なエラーが発生したと判定された場合に、復旧操作の手順をウィザード形式で表示し、センサからの信号に基づいて表示された手順通りに復旧操作が行われたか否かを判定し、手順通りに復旧操作が行われたと判定した場合に、次の手順を示す画面に移行するための移行ボタンを有効化し、有効化された移行ボタンの操作が行われた場合に、次の手順を示す画面を表示し、また、手順通りに復旧操作が行われたか否かをセンサで判定できない場合は、センサで判定できるところまで操作を誘導して、手順通りに復旧操作が行われたか否かを判定することで、ユーザが簡単にミスなく復旧操作を行うことができる。また、本実施形態によれば、復旧操作の手順に装置を動作させる手順が含まれる場合に、装置を動作させるための制御ボタンを表示することで、ユーザが迷いなく復旧操作を行うことができる。
【0040】
なお、復旧ウィザードの画面に移行ボタンを表示しないようにしてもよい。この場合、表示された手順通りに復旧操作が行われたと判定した場合に、自動で(ユーザの操作に依らずに)次の手順を示す画面を表示すればよい。
【0041】
3.処理
次に、本実施形態に係る真空装置の処理の一例について
図10のフローチャートを用いて説明する。
【0042】
まず、判定部101は、検出部120(センサ11〜21)からの信号に基づいて、復旧可能なエラーが発生したか否かを判断する(ステップS10)。復旧可能なエラーが発生した場合(ステップS10のY)には、表示制御部102は、複数種類のエラーのそれぞれに対応する復旧操作の手順の中から、発生したエラーに対応する復旧操作の手順を選択し(ステップS11)、変数Nに1をセットする(ステップS12)。
【0043】
次に、表示制御部102は、選択された復旧操作のN番目の手順を示す画面を表示部130に表示させる(ステップS13)。次に、駆動制御部103は、画面に表示された制御ボタンに対する操作が行われたか否かを判断し(ステップS14)、当該制御ボタンに対する操作が行われた場合(ステップS14のY)には、操作された制御ボタンに応じて駆動機構140を動作させる制御を行う(ステップS15)。次に、表示制御部102は、検出部120からの信号に基づいて、表示部130に表示されているN番目の手順通りに復旧操作が行われたか否かを判断する(ステップS16)。N番目の手順通りに復旧操作が行われていない場合(ステップS16のN)には、ステップS14に移行する。N番目の手順通りに復旧操作が行われた場合(ステップS16のY)には、復旧が完了した(復旧操作の全ての手順が実施された)か否かを判断し(ステップS17)、復旧が完了した場合(ステップS17のY)には、処理を終了する。
【0044】
復旧が完了していない場合(ステップS17のN)には、表示制御部102は、画面内の移行ボタンを有効化する(ステップS18)。次に、表示制御部102は、有効化された移行ボタンに対する操作が行われた否かを判断し(ステップS19)、当該移行ボタンに対する操作が行われた場合(ステップS19のY)には、変数Nに1を加算し(ステップS20)、ステップS13に移行する。以降、復旧操作の全ての手順が実施されるまで、ステップS13〜S20の処理を繰り返す。
【0045】
なお、本発明は、上述の実施の形態に限定されるものではなく、種々の変形が可能である。本発明は、実施の形態で説明した構成と実質的に同一の構成(例えば、機能、方法及び結果が同一の構成、あるいは目的及び効果が同一の構成)を含む。また、本発明は、実施の形態で説明した構成の本質的でない部分を置き換えた構成を含む。また、本発明は、実施の形態で説明した構成と同一の作用効果を奏する構成又は同一の目的を達成することができる構成を含む。また、本発明は、実施の形態で説明した構成に公知技術を付加した構成を含む。