【文献】
J. Biol. Chem., 2013, Vol.288, No.1, p.393-400
【文献】
J. Biol. Chem., 2004, Vol.279, No.13, p.12102-12109
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記切断型VWFが配列番号3に示される配列を含み、前記切断型VWFが、配列番号3の少なくとも位置1及び3の改変を含み、位置1の残基がG、P、V、E、Y、A及びLからなる群から選択され、位置3の残基がY、I、M、V、F、H、R及びWからなる群から選択され;該切断型VWFが第VIII因子(FVIII)に結合する、請求項1に記載のポリペプチド。
前記切断型VWFが、非改変の配列番号3を含む参照ポリペプチドより低い解離速度(off rate)で第VIII因子に結合する、請求項1又は2に記載のポリペプチド。
前記異種アミノ酸配列が、免疫グロブリン定常領域及びその部分、トランスフェリン及びその断片、ヒト絨毛性ゴナドトロピンのC末端ペプチド、XTENとして知られる大きな流体力学的体積を有する溶媒和ランダム鎖、ホモアミノ酸反復(HAP)、プロリン−アラニン−セリン反復(PAS)、アルブミン、アファミン、アルファ−フェトプロテイン、ビタミンD結合タンパク質、生理条件下でアルブミン又は免疫グロブリン定常領域に結合することができるポリペプチド、並びにそれらの組み合わせからなる群から選択されるポリペプチドを含むか又はそれからなる、請求項21に記載のポリペプチド。
前記半減期延長部分が、ヒドロキシエチルデンプン(HES)、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリシアル酸(PSA)、エラスチン様ポリペプチド、ヘパロサンポリマー、ヒアルロン酸及びアルブミン結合リガンド、並びにそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項23に記載のポリペプチド。
N−グリカンを含む糖タンパク質であり、該N−グリカンの少なくとも75%が平均して少なくとも1つのシアル酸部分を含む、請求項1から27までのいずれか一項に記載のポリペプチド。
請求項1から33までのいずれか一項に記載のポリペプチドを含む医薬組成物であって、第VIII因子(FVIII)と組合せて血液凝固障害を処置するための医薬組成物。
FVIIIの平均滞留時間(MRT)が、参照処置と比べて、請求項1から36までのいずれか一項に記載のポリペプチドの共投与により増大され、前記ポリペプチド及び前記FVIIIが該参照処置において等モル量で投与されることを除き、該参照処置が前記処置と同一である、請求項39から44までのいずれか一項に記載の医薬組成物。
前記ポリペプチドの共投与により、FVIIIの平均滞留時間(MRT)が該FVIII単独による処置と比べて増大され、及び/又は前記FVIIIの投与頻度が前記FVIII単独による処置と比べて低減される、請求項39から45までのいずれか一項に記載の医薬組成物。
(i)FVIII及び(ii)請求項1から33までのいずれか一項に記載のポリペプチドを含む医薬組成物であって、該組成物中の該ポリペプチドの該FVIIIに対するモル比が50より大きい、医薬組成物。
血液凝固障害の処置における同時使用、個別使用又は連続使用のための、(i)FVIII及び(ii)請求項1から33までのいずれか一項において定義されているポリペプチドを含む医薬キットであって、該処置が、内在性VWFを有する対象に該ポリペプチド及び該FVIIIを投与するステップを含み、投与される該ポリペプチドの該内在性VWFに対するモル比は0.5より大きく、及び/又は投与しようとする該ポリペプチドの投与しようとする該FVIIIに対するモル比が50より大きい、医薬キット。
増大したシアリル化を含むN−グリカンを含む請求項1から33までのいずれか一項に記載のポリペプチドを生成する方法であって、(i)請求項1から33までのいずれか一項に記載の該ポリペプチドをコードする核酸を含む細胞を提供するステップ、及び(ii)36.0℃未満の温度で該細胞を培養するステップを含む、方法。
請求項1から33までのいずれか一項に記載のポリペプチドの二量体を生成するか、又は該ポリペプチドの二量体化を増大するための方法であって、(i)請求項1から33までのいずれか一項に記載の該ポリペプチドのアミノ酸配列をコードする核酸を含む細胞を提供するステップ、及び(ii)36.0℃未満の温度で該細胞を培養するステップを含む、方法。
(ii)のステップの前に、前記細胞を37.0℃±1.0℃の温度で培養し、(ii)のステップが、前記細胞を34.0℃±2.0℃の温度で培養するステップを含む、請求項60から63までのいずれか一項の方法。
(i)請求項60から64までのいずれか一項において得られた前記ポリペプチドをイオン交換クロマトグラフィーにかけるステップであって、それにより高シアリル化のポリペプチドを低シアリル化のポリペプチドから分離する該ステップ;及びイオン交換カラムから溶出された高シアリル化を有するフラクションを回収するステップ;又は(ii)請求項60から64までのいずれか一項において得られた前記ポリペプチドを、シアリルトランスフェラーゼ及びシアル酸ドナーとインビトロで接触させるステップをさらに含む、請求項60から64までのいずれか一項の方法。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0012】
本出願人の同時係属国際特許出願番号PCT/AU2015/050369において、VWFのドメインD’におけるいくつかのの改変によって第VIII因子への結合が増大され得ることが開示されている。この出願の開示は、相互参照により本明細書に含まれる。本発明者らは、今回、第VIII因子へのVWFの結合が、D’における他の改変によって、特にD3ドメインにおける改変によって増大され得ることを見出した。
【0013】
従って、本発明は、以下の実施形態[1]から[93]までに関する。
[1]配列番号3に示される配列若しくはその断片又はそれらに90%同一である配列を含む、切断型フォンウィルブランド因子(VWF)を含むポリペプチドであって、該切断型VWFは、S1、S3、L18、V42、S43、K149、N248、S279、V320、T325、Q395及びK418からなる群から選択される少なくとも1つの位置に、配列番号3との比較において少なくとも1つの改変を含み;該切断型VWFが第VIII因子(FVIII)に結合する、ポリペプチド。
[2]前記切断型VWFが配列番号3に示される配列を含み、前記切断型VWFが、S1、S3、L18、V42、S43、K149、N248、S279、V320、T325、Q395及びK418からなる群から選択される少なくとも1つの位置に、配列番号3との比較において少なくとも1つの改変を含み;前記切断型VWFが第VIII因子(FVIII)に結合する、項1に記載のポリペプチド。
[3]前記切断型VWFが、非改変の配列番号3を含む参照ポリペプチドより低い解離速度(off rate)で第VIII因子に結合する、項1又は2に記載のポリペプチド。
[4]前記改変ポリペプチドが前記参照ポリペプチドより少なくとも5倍低い解離速度で第VIII因子に結合する、項3に記載のポリペプチド。
[5]前記改変ポリペプチドが前記参照ポリペプチドより少なくとも10倍低い解離速度で第VIII因子に結合する、項3に記載のポリペプチド。
[6]前記改変ポリペプチドが前記参照ポリペプチドより少なくとも5倍低いKDで第VIII因子に結合する、項3に記載のポリペプチド。
[7]前記改変ポリペプチドが前記参照ポリペプチドより少なくとも10倍低い解離速度で第VIII因子に結合する、項6に記載のポリペプチド。
[8]前記切断型VWFが少なくとも2つの改変を含む、項1から7までのいずれか一項に記載のポリペプチド。
[9]前記切断型VWFが少なくとも3つの改変を含む、項1から8までのいずれか一項に記載のポリペプチド。
[10]前記切断型VWFが配列番号5(S764P/S766W/V1083A)を含む、項1から9までのいずれか一項に記載のポリペプチド。
[11]前記切断型VWFが配列番号6(S764G/S766Y/V1083A)を含む、項1から9までのいずれか一項に記載のポリペプチド。
[12]前記切断型VWFが配列番号7(S764E/S766Y/V1083A)を含む、項1から9までのいずれか一項に記載のポリペプチド。
[13]前記切断型VWFが配列番号8(N1011S/V1083A/K1181E)を含む、項1から9までのいずれか一項に記載のポリペプチド。
[14]前記切断型VWFが配列番号17(S766Y/V1083A)を含む、項1から8までのいずれか一項に記載のポリペプチド。
[15]前記切断型VWFが配列番号9(V1083A)を含む、項1から7までのいずれか一項に記載のポリペプチド。
[16]前記切断型VWFが配列番号10(S1042T)を含む、項1から7までのいずれか一項に記載のポリペプチド。
[17]前記切断型VWFが配列番号11(V805A/Q1158L)を含む、項1から8までのいずれか一項に記載のポリペプチド。
[18]前記切断型VWFが配列番号12(K912E/T1088S)を含む、項1から8までのいずれか一項に記載のポリペプチド。
[19]前記切断型VWFが配列番号13(L781P)を含む、項1から7までのいずれか一項に記載のポリペプチド。
[20]前記切断型VWFが配列番号2の残基1243から1247をさらに含む、項1から19までのいずれか一項に記載のポリペプチド。
[21]前記切断型VWFが配列番号2の残基1243から1270をさらに含む、項1から20までのいずれか一項に記載のポリペプチド。
[22]前記切断型VWFが配列番号2の残基1243から1247を欠失する、項1から19までのいずれか一項に記載のポリペプチド。
[23]前記切断型VWFが配列番号2の残基1243から2813を欠失する、項22に記載のポリペプチド。
[24]配列番号3が、位置1の残基がG、P、V、E、Y、A及びLからなる群から選択されるように改変される、項22又は23に記載のポリペプチド。
[25]配列番号3が、位置3の残基がY、I、M、V、F、H、R及びWからなる群から選択されるように改変される、項22から24までのいずれか一項に記載のポリペプチド。
[26]前記切断型VWFが配列番号18(S764G/S766Y)を含む、項22から24までのいずれか一項に記載のポリペプチド。
[27]前記切断型VWFが配列番号19(S764P/S766I)を含む、項22から24までのいずれか一項に記載のポリペプチド。
[28]前記切断型VWFが配列番号20(S764P/S766M)を含む、項22から24までのいずれか一項に記載のポリペプチド。
[29]前記切断型VWFが配列番号21(S764V/S766Y)を含む、項22から24までのいずれか一項に記載のポリペプチド。
[30]前記切断型VWFが配列番号22(S764E/S766Y)を含む、項22から24までのいずれか一項に記載のポリペプチド。
[31]前記切断型VWFが配列番号23(S764Y/S766Y)を含む、項22から24までのいずれか一項に記載のポリペプチド。
[32]前記切断型VWFが配列番号24(S764L/S766Y)を含む、項22から24までのいずれか一項に記載のポリペプチド。
[33]前記切断型VWFが配列番号25(S764P/S766W)を含む、項22から24までのいずれか一項に記載のポリペプチド。
[34]前記切断型VWFが配列番号26(S766W/S806A)を含む、項22から24までのいずれか一項に記載のポリペプチド。
[35]前記切断型VWFが配列番号27(S766Y/P769K)を含む、項22から24までのいずれか一項に記載のポリペプチド。
[36]前記切断型VWFが配列番号28(S766Y/P769N)を含む、項22から24までのいずれか一項に記載のポリペプチド。
[37]前記切断型VWFが配列番号29(S766Y/P769R)を含む、項22から24までのいずれか一項に記載のポリペプチド。
[38]前記切断型VWFが配列番号30(S764P/S766L)を含む、項22から24までのいずれか一項に記載のポリペプチド。
[39]前記切断型VWFが配列番号3に示される配列又はその断片を含む、第VIII因子に結合するポリペプチドであって、該配列が少なくとも位置320、並びに位置1及び/又は3に改変を含み、その結果、前記切断型VWFが非改変の配列番号3を含む参照ポリペプチドより低い解離速度で第VIII因子に結合する、ポリペプチド。
[40]前記切断型VWFが配列番号3の少なくとも位置1、3及び320に改変を含む、項38に記載のポリペプチド。
[41]配列番号3が、位置320の残基がAであるように改変される、項38又は39に記載のポリペプチド。
[42]配列番号3が、位置3の残基がY、I、M、V、F、H、R及びWからなる群から選択されるように改変される、項38から40までのいずれか一項に記載のポリペプチド。
[43]配列番号3が、位置1の残基がG、P、V、E、Y、A及びLからなる群から選択されるように改変される、項38から41までのいずれか一項に記載のポリペプチド。
[44]前記切断型VWFが配列番号2の残基1243から1247をさらに含む、項38から42までのいずれか一項に記載のポリペプチド。
[45]前記切断型VWFが配列番号2の残基1243から1270をさらに含む、項38から43までのいずれか一項に記載のポリペプチド。
[46]前記切断型VWFが配列番号2の残基1243から2813を欠失する、項38から43までのいずれか一項に記載のポリペプチド。
[47]半減期延長部分をさらに含む、項1から46までのいずれか一項に記載のポリペプチド。
[48]前記半減期延長部分が前記切断型VWFに融合された異種アミノ酸配列である、項47に記載のポリペプチド。
[49]前記異種アミノ酸配列が、免疫グロブリン定常領域及びその部分、例えばFc断片、トランスフェリン及びその断片、ヒト絨毛性ゴナドトロピンのC末端ペプチド、XTENとして知られる大きな流体力学的体積を有する溶媒和ランダム鎖(solvated random chain)、ホモアミノ酸反復(HAP)、プロリン−アラニン−セリン反復(PAS)、アルブミン、アファミン、アルファ−フェトプロテイン、ビタミンD結合タンパク質、生理条件下でアルブミン又は免疫グロブリン定常領域に結合することができるポリペプチド、並びにそれらの組み合わせからなる群から選択されるポリペプチドを含むか又はそれからなる、項48に記載のポリペプチド。
[50]前記半減期延長部分が前記ポリペプチドにコンジュゲートされている、項47から49までのいずれか一項に記載のポリペプチド。
[51]前記半減期延長部分が、ヒドロキシエチルデンプン(HES)、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリシアル酸(PSA)、エラスチン様ポリペプチド、ヘパロサンポリマー、ヒアルロン酸及びアルブミン結合リガンド、例えば脂肪酸鎖、並びにそれらの組み合わせからなる群から選択される、項50に記載のポリペプチド。
[52]前記異種アミノ酸配列がアルブミンを含む、項49に記載のポリペプチド。
[53]前記アルブミンのN末端が、直接的に又はスペーサーを介して前記改変ポリペプチド配列のC末端に融合されている、項52に記載のポリペプチド。
[54]前記ポリペプチドの天然C末端の1から5個のアミノ酸が欠失された、項53に記載のポリペプチド。
[55]N−グリカンを含む糖タンパク質であり、該N−グリカンの少なくとも75%、好ましくは少なくとも85%、好ましくは少なくとも90%、より好ましくは少なくとも95%が平均して少なくとも1つのシアル酸部分を含む、項1から54までのいずれか一項に記載のポリペプチド。
[56]前記N−グリカンの少なくとも60%が平均して少なくとも1つのα−2,6−シアル酸部分を含む、項55のポリペプチド。
[57]二量体である、項1から55までのいずれか一項に記載のポリペプチド。
[58]第VIII因子分子と項1から57までのいずれか一項のポリペプチドとを含む複合体。
[59]血液凝固障害の処置又は予防で使用するための、項1から57までのいずれか一項のポリペプチド又は項58の複合体。
[60]前記血液凝固障害がフォンウィルブランド病(VWD)又は血友病Aである、項59に記載の使用のためのポリペプチド又は複合体。
[61]項1から57までのいずれか一項のポリペプチド又は項58の複合体を含む、医薬組成物。
[62]医薬的有効量の、項1から57までのいずれか一項のポリペプチド又は項58の複合体を、それを必要とする患者に投与するステップを含む、血液凝固障害を処置する方法。
[63]前記血液凝固障害がフォンウィルブランド病(VWD)又は血友病Aである、項62の方法。
[64]血液凝固障害の前記処置のための医薬の調製における、項1から57までのいずれか一項の改変ポリペプチド又は項58の複合体の使用。
[65]前記血液凝固障害がフォンウィルブランド病(VWD)又は血友病Aである、項64の使用。
[66]血液凝固障害を処置する方法であって、該処置が、内在性VWFを有する対象に項1から57までのいずれか一項に記載のポリペプチド及び第VIII因子(FVIII)を投与するステップを含み、投与しようとするポリペプチドの投与しようとするFVIIIに対するモル比が50より大きい、方法。
[67]血液凝固障害を処置する方法であって、該処置が、内在性VWFを有する対象に項1から57までのいずれか一項に記載のポリペプチド及び第VIII因子(FVIII)を投与するステップを含み、投与されるポリペプチドの内在性VWFに対するモル比が0.5より大きい、方法。
[68]前記対象がヒトである、項66又は67に記載の方法。
[69]前記ポリペプチドが静脈内投与される、項66から68までのいずれか一項に記載の方法。
[70]FVIIIの平均滞留時間(MRT)が、参照処置と比べて、項1から57までのいずれか一項に記載のポリペプチドの同時投与により増大され、前記ポリペプチド及び前記FVIIIが該参照処置において等モル量で投与されることを除き、該参照処置が前記処置と同一である、項66から69までのいずれか一項に記載の方法。
[71]前記FVIIIの投与頻度が、前記FVIII単独による処置と比べて低減される、項66から70までのいずれか一項に記載の方法。
[72]項1から57までのいずれか一項に記載のポリペプチドの血漿半減期が内在性VWFの血漿半減期よりも長い、項66から71までのいずれか一項に記載の方法。
[73]項1から57までのいずれか一項に記載のポリペプチドの血漿半減期が内在性VWFの血漿半減期よりも少なくとも25%長い、項73に記載の方法。
[74](i)FVIII及び(ii)項1から57までのいずれか一項に記載のポリペプチドを含む医薬組成物であって、該組成物中の該ポリペプチドの該FVIIIに対するモル比が50より大きい、医薬組成物。
[75]血液凝固障害の処置における同時使用、個別使用又は連続使用のための、(i)FVIII及び(ii)項1から57までのいずれか一項において定義されているポリペプチドを含む医薬キットであって、該処置が、内在性VWFを有する対象に該ポリペプチド及び該FVIIIを投与するステップを含み、投与される該ポリペプチドの該内在性VWFに対するモル比が0.5より大きく、及び/又は投与しようとする該ポリペプチドの投与しようとする該FVIIIに対するモル比が50より大きい、医薬キット。
[76]FVIIIの前記血漿半減期を改善するため、及び/又はFVIIIの前記投与頻度を低減するための、項1から57までのいずれか一項において定義されているポリペプチドの使用。
[77]有効量の、項1から57までのいずれか一項において定義されているポリペプチド及びFVIIIを、内在性VWFを有する患者に投与するステップを含む、血液凝固障害を処置する方法であって、投与される該ポリペプチドの該内在性VWFに対するモル比が0.5より大きく、及び/又は、投与しようとする該ポリペプチドの投与しようとする該FVIIIに対するモル比が50より大きい、方法。
[78]項1から57までのいずれか一項のポリペプチドをコードするポリヌクレオチド。
[79]項78のポリヌクレオチドを含むプラスミド又はベクター。
[80]前記プラスミド又はベクターが発現ベクターである、項79のプラスミド又はベクター。
[81]項78のポリヌクレオチド又は項79若しくは80のプラスミドを含む宿主細胞。
[82]切断型VWFを含むポリペプチドを生成する方法であって、
(i)切断型VWFを含む該ポリペプチドが発現するような条件下で、項81の宿主細胞を培養するステップ;及び
(ii)任意選択で、該切断型VWFを含む該ポリペプチドを該宿主細胞から又は培養培地から回収するステップ
を含む、方法。
[83]第VIII因子の半減期を増大させる方法であって、該第VIII因子を項1から57までのいずれか一項に記載のポリペプチドと混合するステップを含む、方法。
[84]増大したシアリル化を有するN−グリカンを含む項1から57までのいずれか一項に記載のポリペプチドを生成する方法であって、(i)項1から57までのいずれか一項に記載の該ポリペプチドをコードする核酸を含む細胞を提供するステップ、及び(ii)36.0℃未満の温度で該細胞を培養するステップを含む、方法。
[85]項1から57までのいずれか一項に記載のポリペプチドの二量体を生成するか、又は該ポリペプチドの二量体化を増大するための方法であって、(i)項1から57までのいずれか一項に記載の該ポリペプチドのアミノ酸配列をコードする核酸を含む細胞を提供するステップ、及び(ii)36.0℃未満の温度で該細胞を培養するステップを含む、方法。
[86]前記細胞が、シアリルトランスフェラーゼ、好ましくはα−2,6−シアリルトランスフェラーゼ又はα−2,3−シアリルトランスフェラーゼをコードする組換え核酸をさらに含む、項84又は85に記載の方法。
[87](ii)のステップの前に、前記細胞を37.0℃±1.0℃の温度で培養し、(ii)のステップが、前記細胞を34.0℃±2.0℃の温度で培養するステップを含む、項84から86までのいずれか一項の方法。
[88](i)項84から87までのいずれか一項において得られた前記ポリペプチドをイオン交換クロマトグラフィーにかけるステップであって、それにより高シアリル化のポリペプチドを低シアリル化のポリペプチドから分離する該ステップ;及びイオン交換カラムから溶出された高シアリル化を有するフラクションを回収するステップ;又は(ii)項84から87までのいずれか一項において得られた前記ポリペプチドを、シアリルトランスフェラーゼ及びシアル酸ドナーとインビトロで接触させるステップをさらに含む、項84から87までのいずれか一項の方法。
[89]平均して、得られた前記ポリペプチドの少なくとも75%の前記N−グリカンが少なくとも1つのシアル酸部分を含む、項84から88までのいずれか一項の方法。
[90]平均して、得られた前記ポリペプチドの少なくとも50%が二量体として存在する、項84から89までのいずれか一項の方法。
[91]項84から90までのいずれか一項の方法により得ることができるポリペプチド。
[92]血液凝固障害の処置における使用のための項91に記載のポリペプチドであって、該処置が有効量の該ポリペプチド及び有効量のFVIIIを対象に投与するステップを含み、該ポリペプチドが静脈内投与又は皮下投与され、該FVIIIが静脈内投与される、ポリペプチド。
[93]前記ポリペプチドの同時投与により、FVIIIの平均滞留時間(MRT)が該FVIII単独による処置と比べて増大され、及び/又は前記FVIIIの投与頻度が前記FVIII単独による処置と比べて低減される、項91に記載の使用のためのポリペプチド。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本明細書を通して、文脈がそうでないことを要求している場合を除き、用語「含む(comprise)」、又は「含む(comprises)」若しくは「含む(comprising)」などの変化形は、記載の要素若しくは整数、又は要素若しくは整数の群を含めるが、任意の他の要素若しくは整数又は要素若しくは整数の群を除外しないことを意味することは理解されよう。
【0020】
任意の先行刊行物(若しくはそれに由来する情報)又は公知の任意の事項に対する本明細書における参照は、先行刊行物(若しくはそれに由来する情報)又は公知の事項が、本明細書の関連する努力分野における共通の一般的知識の一部を形成するとの認識又は承認又は何らかの形態の示唆としてみなさず、またみなすべきではない。
【0021】
本明細書に記載されているすべての刊行物は、参照によってその全体が本明細書に組み込まれる。
【0022】
単数形の「一つの(a)」、「一つの(an)」、及び「その(the)」には、対象の明細書において使用する場合、文脈が明らかにそうでないことを明記している場合を除き、複数の態様が含まれることに留意されたい。従って、例えば、「一つの薬剤」という言及には、単一の薬剤と共に二つ以上の薬剤が含まれ、「一つの分子」という言及には、単一の分子と共に二つ以上の分子が含まれる等である。
【0023】
切断型VWF
本明細書で使用する場合、用語「フォンウィルブランド因子」又は「VWF」は、野生型VWFの生物学的活性、特に、第VIII因子に結合する能力を有する任意のポリペプチドを意味する。野生型VWFをコードする遺伝子は9kbのmRNAに転写され、これは、310,000Daの推定分子量を有する2813アミノ酸のプレプロポリペプチドに翻訳される。このプレプロポリペプチドは、22アミノ酸のシグナルペプチド、741アミノ酸のプロポリペプチド及び成熟サブユニットを含有する。741アミノ酸のプロポリペプチドのN末端からの切断は、2050アミノ酸からなる成熟VWFをもたらす。VWFプレプロポリペプチドのアミノ酸配列を配列番号2に示す。別段指示がない限り、VWF分子が配列番号2のすべての残基を含む必要がない場合であっても、本出願におけるVWF残基のアミノ酸の番号づけは配列番号2を参照する。成熟VWFのアミノ酸配列を配列番号
4に示す。本明細書で使用する場合、用語「VWF」は、別段指示がない限り、VWFの成熟形態を意味する。
【0024】
野生型VWFのプロポリペプチドは、以下の順序で配列されている複数のドメインを含む:
D1−D2−D’−D3−A1−A2−A3−D4−B1−B2−B3−C1−C2−CK。
【0025】
D1及びD2ドメインは、切断されて成熟VWFをもたらすプロペプチドを表す。D’−D3ドメインは、第VIII因子への結合を担うアミノ酸を包含する。野性型VWFのD’−D3ドメインの少なくとも一部のアミノ酸配列を配列番号3に示す。カルボキシ末端の90残基は、「システインノット」スーパーファミリーのタンパク質に相同な「CK」ドメインを含む。このファミリーのメンバーは、ジスルフィド結合を介して二量体化する傾向がある。
【0026】
好ましくは、野生型VWFは、配列番号
4で示す成熟VWFのアミノ酸配列を含む。VWFの生物学的活性、特に、FVIIIに結合する能力が保持される限り、VWFへの付加、挿入、N末端、C末端又は内部の欠失も包含される。欠失を有するVWFが少なくとも10%、好ましくは少なくとも25%、より好ましくは少なくとも50%、最も好ましくは少なくとも75%の野生型VWFの生物学的活性を保持する場合、本発明の意味において、生物学的活性は保持される。野生型VWFの生物学的活性は、リストセチン補因子活性(Federici ABら、2004.Haematologica 89:77〜85)、血小板糖タンパク質複合体Ib−V−IXのGP IbαへのVWFの結合(Suckerら、2006.Clin Appl Thromb Hemost.12:305〜310)又はコラーゲン結合アッセイ(Kallas&Talpsep.2001.Annals of Hematology 80:466〜471)に関する方法を使用して、当業者が決定することができる。VWFの生物学的活性がFVIIIに結合する能力である場合、これはいくつかの方法で測定することができるが、好ましくは、本明細書の例1に記載されているように測定される。
【0027】
第VIII因子
用語「血液凝固第VIII因子」、「第VIII因子」及び「FVIII」は、本明細書で互換的に使用される。「血液凝固第VIII因子」は、野生型血液凝固FVIII及び野生型血液凝固FVIIIの凝血原活性を有する野生型血液凝固FVIIIの誘導体を含む。誘導体は、野生型FVIIIのアミノ酸配列と比較して、欠失、挿入及び/又は付加を有し得る。用語FVIIIは、重鎖及び軽鎖を含む、FVIIIのタンパク質分解的にプロセシングを受けた形態、例えば、活性化前の形態を含む。血漿由来及びBドメイン欠失FVIIIを含めた組換えFVIIIが含まれる。商品の例としては、Advate(登録商標)、Kogenate(登録商標)、Xyntha(登録商標)、Loctate(登録商標)及びNovoeight(登録商標)が挙げられる。
【0028】
用語「FVIII」は、野生型第VIII因子の少なくとも25%、より好ましくは少なくとも50%、最も好ましくは少なくとも75%の生物学的活性を有する任意のFVIII変異体又は突然変異体を含む。
【0029】
非限定例として、FVIII分子としては、APC切断を防止する又は低減させるFVIII突然変異体(Amano 1998.Thromb.Haemost.79:557〜563)、A2ドメインをさらに安定化しているFVIII突然変異体(WO97/40145)、発現が増大したFVIII突然変異体(Swaroopら、1997.JBC 272:24121〜24124)、免疫原性が低減したFVIII突然変異体(Lollar 1999.Thromb.Haemost.82:505〜508)、別々に発現した重鎖及び軽鎖から再構成されたFVIII(Ohら、1999.Exp.Mol.Med.31:95〜100)、FVIII様HSPG(ヘパラン硫酸プロテオグリカン)及び/又はLRP(低密度リポタンパク質受容体関連タンパク質)の異化作用につながる受容体への結合が低減したFVIII突然変異体(Ananyevaら、2001.TCM、11:251〜257)、ジスルフィド結合安定化FVIII変異体(Galeら、2006.J.Thromb.Hemost.4:1315〜1322)、分泌特性が向上したFVIII突然変異体(Miaoら、2004.Blood 103:3412〜3419)、補因子特異的活性が増大したFVIII突然変異体(Wakabayashiら、2005.Biochemistry 44:10298〜304)、生合成及び分泌が向上した、ERシャペロン相互作用が低減した、ER−ゴルジ輸送が向上した、活性化が増大した又は不活性化への抵抗性が増大した、及び半減期が向上した、FVIII突然変異体(Pipe 2004.Sem.Thromb.Hemost.30:227−237によって概説されている)が挙げられる。別の特に好ましい例は、Zollnerら、2013、Thrombosis Research、132:280〜287に記載されているような組換え型のFVIIIである。これらのFVIII突然変異体及び変異体のすべては、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0030】
好ましくは、FVIIIは配列番号14で示すFVIIIの全長配列を含む。FVIIIの生物学的活性が保持される限り、FVIIIへの付加、挿入、置換、N末端、C末端又は内部の欠失も包含する。改変を有するFVIIIが野生型FVIIIの少なくとも10%、好ましくは少なくとも25%、より好ましくは少なくとも50%、最も好ましくは少なくとも75%の生物学的活性を保持する場合、本発明の意味において、生物学的活性は保持される。FVIIIの生物学的活性は、以下に記載のように当業者が決定することができる。
【0031】
FVIIIの生物学的活性を決定するのに適切な試験は、例えば、1段階又は2段階凝固アッセイ(Rizzaら 1982.Coagulation assay of FVIII:C and FIXa Bloom編、The Hemophilias. NY Churchchill Livingston 1992)又は発色性基質FVIII:Cアッセイ(S.Rosen、1984.Scand J Haematol 33:139〜145、補遺)である。これらの参考文献の内容は、参照によって本明細書に組み込まれる。
【0032】
成熟野生型形態のヒト血液凝固FVIIIのアミノ酸配列を配列番号14に示す。特定の配列のアミノ酸位置への言及は、当該FVIII野生型タンパク質における前記アミノ酸の位置を意味し、言及される配列中の他の位置における変異、例えば、欠失、挿入及び/又は置換の存在を除外しない。例えば、配列番号14に言及する「Glu2004」における変異は、改変相同体において、配列番号14の位置1から2332のうちの1つ又は複数のアミノ酸が失われていることを除外しない。
【0033】
上記の定義内の「FVIII」及び/又は「VWF」は、個体ごとに存在し得、生じ得る、天然の対立遺伝子変異も含む。上記の定義内の「FVIII」及び/又は「VWF」は、FVIII及び/又はVWFの変異体をさらに含む。そのような変異体は、1つ又は複数のアミノ酸残基が野生型配列と異なる。そのような相違の例としては、保存的アミノ酸置換、すなわち、類似した特徴を有する一群のアミノ酸、例えば、(1)小型アミノ酸、(2)酸性アミノ酸、(3)極性アミノ酸、(4)塩基性アミノ酸、(5)疎水性アミノ酸、及び(6)芳香族アミノ酸の範囲内の置換を挙げることができる。そのような保存的置換の例を表1に示す。
【表1】
【0034】
特徴「切断型」は、ポリペプチドが成熟VWFのアミノ酸配列全体(配列番号2のアミノ酸764〜2813)を含むのではないということを意味する。典型的には、切断型VWFは、配列番号2のアミノ酸764〜2813すべてを含むのではなく、その断片だけ含む。切断型VWFはまた、VWF断片(a VWF fragment)とも、複数形でVWF断片(VWF fragments)とも呼ぶことができる。
【0035】
典型的には、切断型VWFは第VIII因子に結合することができる。好ましくは、切断型VWFは、ヒト天然第VIII因子の成熟形態に結合することができる。別の実施形態において、切断型VWFは、配列番号15のアミノ酸配列からなる単鎖第VIII因子に結合することができる。
【0036】
本発明の切断型VWFは、好ましくは、(a)配列番号2のアミノ酸764〜1242に対して少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列、又は(b)その断片を含むか又はそれからなるが、ただし、切断型VWFはなおもFVIIIに結合することができる。より好ましくは、切断型VWFは、(a)配列番号2のアミノ酸764〜1242に対して、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、若しくは少なくとも99%の配列同一性を有するアミノ酸配列、又は(b)その断片からなるが、ただし、切断型VWFはなおもFVIIIに結合することができる。最も好ましくは、切断型VWFは、(a)配列番号2のアミノ酸764〜1242、又は(b)その断片からなるが、ただし、切断型VWFはなおもFVIIIに結合することができる。
【0037】
以下により詳細に記載されているように、ポリペプチドは、切断型VWFを含むポリペプチドをコードする核酸を含む細胞を使用する方法によって調製することができる。核酸は、当業者に公知の技術によって、適切な宿主細胞に導入される。
【0038】
好ましい実施形態において、宿主細胞中の核酸は、(a)配列番号2のアミノ酸1〜1242に対して少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列、又は(b)その断片をコードするが、ただし、切断型成熟VWFはなおもFVIIIに結合することができる。より好ましくは、核酸は、(a)配列番号2のアミノ酸1〜1242に対して、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、若しくは少なくとも99%の配列同一性を有するアミノ酸配列、又は(b)その断片をコードするが、ただし、切断型VWFはなおもFVIIIに結合することができる。最も好ましくは、核酸は、(a)配列番号2のアミノ酸1〜1242、又は(b)その断片をコードするが、ただし、切断型VWFはなおもFVIIIに結合することができる。特に、この発明によるポリペプチドが二量体である場合、たとえポリペプチドにおける切断型VWFがVWF(例えば配列番号2)のアミノ酸1〜763を含まなくても、核酸はVWF(例えば配列番号2)のアミノ酸1〜763をコードする配列を含む。
【0039】
他の実施形態において、切断型VWFは、それぞれ配列番号2を参照する、以下のアミノ酸配列のうちの1つを含むか又はそれからなる:
776〜805;766〜805;764〜805;776〜810;766〜810;764〜810;776〜815;766〜815;764〜815;776〜820;766〜820;764〜820;776〜825;766〜825;764〜825;776〜830;766〜830;764〜830;776〜835;766〜835;764〜835;776〜840;766〜840;764〜840;776〜845;766〜845;764〜845;76〜850;766〜850;764〜850;776〜855;766〜855;764〜855;776〜860;766〜860;764〜860;776〜864;766〜864;764〜864;776〜865;766〜865;764〜865;776〜870;766〜870;764〜870;776〜875;766〜875;764〜875;776〜880;766〜880;764〜880;776〜885;766〜885;764〜885;776〜890;766〜890;764〜890;776〜895;766〜895;764〜895;776〜900;766〜900;764〜900;776〜905;766〜905;764〜905;776〜910;766〜910;764〜910;776〜915;766〜915;764〜915;776〜920;766〜920;764〜920;776〜925;766〜925;764〜925;776〜930;766〜930;764〜930;776〜935;766〜935;764〜935;776〜940;766〜940;764〜940;776〜945;766〜945;764〜945;776〜950;766〜950;764〜950;776〜955;766〜955;764〜955;776〜960;766〜960;764〜960;776〜965;766〜965;764〜965;776〜970;766〜970;764〜970;776〜975;766〜975;764〜975;776〜980;766〜980;764〜980;776〜985;766〜985;764〜985;776〜990;766〜990;764〜990;776〜995;766〜995;764〜995;776〜1000;766〜1000;764〜1000;776〜1005;766〜1005;764〜1005;776〜1010;766〜1010;764〜1010;776〜1015;766〜1015;764〜1015;776〜1020;766〜1020;764〜1020;776〜1025;766〜1025;764〜1025;776〜1030;766〜1030;764〜1030;776〜1035;766〜1035;764〜1035;776〜1040;766〜1040;764〜1040;776〜1045;766〜1045;764〜1045;776〜1050;766〜1050;764〜1050;776〜1055;766〜1055;764〜1055;776〜1060;766〜1060;764〜1060;776〜1065;766〜1065;764〜1065;776〜1070;766〜1070;764〜1070;776〜1075;766〜1075;764〜1075;776〜1080;766〜1080;764〜1080;776〜1085;766〜1085;764〜1085;776〜1090;766〜1090;764〜1090;776〜1095;766〜1095;764〜1095;776〜1100;766〜1100;764〜1100;776〜1105;766〜1105;764〜1105;776〜1110;766〜1110;764〜1110;776〜1115;766〜1115;764〜1115;776〜1120;766〜1120;764〜1120;776〜1125;766〜1125;764〜1125;776〜1130;766〜1130;764〜1130;776〜1135;766〜1135;764〜1135;776〜1140;766〜1140;764〜1140;776〜1145;766〜1145;764〜1145;776〜1150;766〜1150;764〜1150;776〜1155;766〜1155;764〜1155;776〜1160;766〜1160;764〜1160;776〜1165;766〜1165;764〜1165;776〜1170;766〜1170;764〜1170;776〜1175;766〜1175;764〜1175;776〜1180;766〜1180;764〜1180;776〜1185;766〜1185;764〜1185;776〜1190;766〜1190;764〜1190;776〜1195;766〜1195;764〜1195;776〜1200;766〜1200;764〜1200;776〜1205;766〜1205;764〜1205;776〜1210;766〜1210;764〜1210;776〜1215;766〜1215;764〜1215;776〜1220;766〜1220;764〜1220;776〜1225;766〜1225;764〜1225;776〜1230;766〜1230;764〜1230;776〜1235;766〜1235;764〜1235;776〜1240;766〜1240;764〜1240;776〜1242;766〜1242;764〜1242;764〜1247;764〜1464;764〜1250;764〜1041;764〜828;764〜865;764〜1045;764〜1035;764〜1128;764〜1198;764〜1268;764〜1270;764〜1261;764〜1264;764〜1459;764〜1463;764〜1464;764〜1683;764〜1873;764〜1482;764〜1479;764〜1672;及び764〜1874。
【0040】
特定の実施形態において、切断型VWFは、成熟野生型VWFと比較して内部欠失を有する。例えば、A1、A2、A3、D4、C1、C2、C3、C4、C5、C6ドメイン又はそれらの組み合わせが欠失され得、D’ドメイン、D3ドメイン及びCKドメインが保持される。さらなる実施形態において、切断型VWFは、血小板糖タンパク質Ibα(GPIbα)、コラーゲン及び/又はインテグリンαIIbβIII(C1ドメイン内のRGDS配列)についての結合部位を含まない。他の実施形態において、切断型VWFは、VWFの中央A2ドメインに位置するADAMTS13についての切断部位(Tyr1605−Met1606)を含まない。さらに別の実施形態において、切断型VWFはGPIbαについての結合部位を含まず、及び/又はコラーゲンについての結合部位を含まず、及び/又はインテグリンαIIbβIIIについての結合部位を含まず、及び/又はVWFの中央A2ドメインに位置するADAMTS13についての切断部位(Tyr1605−Met1606)を含まない。
【0041】
他の実施形態において、切断型VWFは、前の段落において列挙されているアミノ酸配列のうちの1つに対して、少なくとも90%、又は少なくとも91%、又は少なくとも92%、又は少なくとも93%、又は少なくとも94%、又は少なくとも95%、又は少なくとも96%、又は少なくとも97%、又は少なくとも98%、又は少なくとも99%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むか又はそれからなるが、ただし、切断型VWFはFVIIIに結合することができる。
【0042】
本発明のポリペプチドは、本発明のポリペプチドの2つの単量体が共有結合で連結されている場合、本発明において「二量体」と称される。好ましくは、2つの単量体サブユニットは、少なくとも1つのジスルフィド架橋により、例えば1つ、2つ、3つ又は4つのジスルフィド架橋を介して共有結合により連結される。少なくとも1つのジスルフィド架橋を形成するシステイン残基は、好ましくは、本発明のポリペプチドの切断型VWF部分内に位置する。一実施形態において、これらのシステイン残基は、Cys−1099、Cys−1142、Cys−1222、Cys−1225若しくはCys−1227又はそれらの組み合わせである。
【0043】
本発明のポリペプチドが二量体である場合、切断型VWFは、好ましくは配列番号2のアミノ酸764〜1099、アミノ酸764〜1142、アミノ酸764〜1222、アミノ酸764〜1225、アミノ酸764〜1227、アミノ酸764〜1242、アミノ酸764〜1247、又はアミノ酸764〜1270に対して少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列をそれぞれ有する2つのポリペプチドを含むか又はそれからなるものであり、またFVIIIに結合することができる。好ましい実施形態において、切断型VWFは、配列番号2のアミノ酸764〜1099、アミノ酸764〜1142、アミノ酸764〜1222、アミノ酸764〜1225、又はアミノ酸764〜1227に対して少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、又は少なくとも99%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むか又はそれからなるものであり、またFVIIIに結合することができる。最も好ましくは、切断型VWFは、配列番号2のアミノ酸764〜1099、アミノ酸764〜1142、アミノ酸764〜1222、アミノ酸764〜1225、アミノ酸764〜1227、アミノ酸764〜1242、アミノ酸764〜1247、又はアミノ酸764〜1270を含むか又はそれからなる。
【0044】
切断型VWFは、WO2013/106787、WO2014/198699、WO2011/060242、WO2014/011819、WO2013/083858、WO2015/185758、又はWO2013/093760において開示されているVWF断片のうちのいずれか1つであってもよく、それらの開示は参照により本明細書に組み込まれる。
【0045】
半減期延長部分
切断型VWFに加えて、本発明のポリペプチドは、半減期延長部分をさらに含み得る。半減期延長部分は、切断型VWFに融合された異種アミノ酸配列であり得る。或いは、半減期延長部分は、ペプチド結合とは異なる共有結合によって、切断型VWFを含むポリペプチドに化学的にコンジュゲートされ得る。
【0046】
本発明の特定の実施形態において、本発明のポリペプチドの半減期は、化学修飾、例えば、ポリエチレングリコール(PEG化)、グリコシル化PEG、ヒドロキシルエチルデンプン(HES化)、ポリシアル酸、エラスチン様ポリペプチド、ヘパロサンポリマー又はヒアルロン酸などの半減期延長部分の結合により延長される。別の実施形態において、本発明のポリペプチドは、アルブミンなどのHLEPに化学リンカーを介してコンジュゲートされる。このコンジュゲーション技術の原理は、Conjuchem LLCによる例示的方式に記載されている(例えば、米国特許第7,256,253号を参照されたい)。
【0047】
半減期増大ポリペプチド(HLEP)
好ましくは、半減期延長部分は半減期延長ポリペプチド(HLEP)であり、より好ましくは、HLEPは、アルブミン又はその断片、免疫グロブリン定常領域及びその部分、例えばFc断片、大きな流体力学的体積を有する溶媒和ランダム鎖(例えば、XTEN(Schellenbergerら、2009;Nature Biotechnol.27:1186〜1190)、ホモアミノ酸反復(HAP)又はプロリン−アラニン−セリン反復(PAS)、アファミン、アルファ−フェトプロテイン、ビタミンD結合タンパク質、トランスフェリン又はその変異体、ヒト絨毛性ゴナドトロピン−βサブユニットのカルボキシル末端ペプチド(CTP)、生理条件下でアルブミン又は免疫グロブリン定常領域に結合することができるポリペプチド又は脂質から選択される。
【0048】
本明細書で使用する場合、「半減期増大ポリペプチド」は、好ましくは、アルブミン、アルブミンファミリーのメンバー、免疫グロブリンGの定常領域及びその断片、生理条件下でアルブミン、アルブミンファミリーのメンバー及び免疫グロブリン定常領域の部分に結合することができる領域及びポリペプチドからなる群から選択される。これは、本明細書に記載の完全長の半減期増大タンパク質(例えば、アルブミン、アルブミンファミリーのメンバー若しくは免疫グロブリンGの定常領域)又は凝固因子の治療活性若しくは生物学的活性を安定化する若しくは延長することができるそれらの1つ又は複数の断片でもよい。そのような断片は、HLEP断片が、HLEPのないそれぞれのポリペプチドと比較して少なくとも25%の機能的半減期の延長をもたらす限り、10個以上のアミノ酸長のものでもよく、又はHLEP配列由来の少なくとも約15個、少なくとも約20個、少なくとも約25個、少なくとも約30個、少なくとも約50個、少なくとも約100個、若しくはそれ以上の連続アミノ酸を含んでいてもよく、又はそれぞれのHLEPの特定のドメインの一部若しくはすべてを含んでいてもよい。
【0049】
本発明のポリペプチドのHLEP部分は、野生型HLEPの変異体であってもよい。用語「変異体」は、保存的又は非保存的な挿入、欠失及び置換を含み、そのような変化は、切断型VWFのFVIII結合活性を実質的に変えない。
【0050】
特に、提案される本発明のVWF HLEP融合構築物は、HLEPの天然に存在する多形変異体及びHLEPの断片を含むことができる。HLEPは、任意の脊椎動物、特に任意の哺乳動物、例えば、ヒト、サル、ウシ、ヒツジ又はブタに由来し得る。非哺乳類のHLEPは、限定されないが、ニワトリ及びサケが挙げられる。
【0051】
一実施形態において、ポリペプチドは以下の構造を有する:
tVWF−L1−H、[式1]
式中、tVWFは切断型VWFであり、L1は化学結合又はリンカー配列であり、HはHLEPである。
【0052】
L1は、化学結合であってもよいし、或いは互いに同一であっても異なっていてもよい1個又は複数のアミノ酸からなる、例えば、1〜50個、1〜30個、1〜20個、1〜15個、1〜10個、1〜5個又は1〜3個(例えば、1、2若しくは3個)のアミノ酸からなるリンカー配列であってもよい。通常、リンカー配列は、野生型VWFの対応する位置に存在しない。L1に存在する適切なアミノ酸の例としては、Gly及びSerが挙げられる。リンカーは非免疫原性であるべきであり、切断不可又は切断可能リンカーであってもよい。切断不可リンカーは、WO2007/090584に例示されているように、交互のグリシン及びセリン残基を含み得る。本発明の別の実施形態において、切断型VWF部分とアルブミン部分の間のペプチドリンカーはペプチド配列からなり、これがヒトタンパク質における天然ドメイン間リンカーとして役立つ。好ましくは、それらの天然環境におけるそのようなペプチド配列は、この配列に対する天然の耐性を仮定することができるように、タンパク質表面の近くに位置し、免疫系に対してアクセス可能である。例はWO2007/090584に示されている。切断可能なリンカー配列は、例えば、WO2013/120939 A1に記載されている。
【0053】
好ましいHLEP配列は以下に記載されている。さらに、それぞれのHLEPの正確な「N末端アミノ酸」若しくは「C末端アミノ酸」への融合、又はHLEPの1つ若しくは複数のアミノ酸のN末端欠失を含む、それぞれのHLEPの「N末端部分」若しくは「C末端部分」への融合が本発明に包含される。ポリペプチドは、2つ以上のHLEP配列、例えば、2つ又は3つのHLEP配列を含み得る。これらの複数のHLEP配列は、例えば連続的反復として、縦列にVWFのC末端部分に融合され得る。
【0054】
HLEPとしてのアルブミン
用語の「ヒト血清アルブミン」(HSA)及び「ヒトアルブミン」(HA)及び「アルブミン」(ALB)は、本出願において互換的に使用される。用語「アルブミン」及び「血清アルブミン」はより広範であり、ヒト血清アルブミン(並びにその断片及び変異体)と他の種由来のアルブミン(並びにその断片及び変異体)を包含する。
【0055】
本明細書で使用する場合、「アルブミン」は、アルブミンのポリペプチド若しくはアミノ酸配列、又はアルブミンの1つ若しくは複数の機能活性(例えば、生物学的活性)を有するアルブミンの断片若しくは変異体を総称的に意味する。特に、「アルブミン」は、ヒトアルブミン又はその断片、特に、本明細書に配列番号16で示すヒトアルブミンの成熟形態若しくは他の脊椎動物由来のアルブミン若しくはその断片、又はこれらの分子の類似体若しくは変異体若しくはその断片を意味する。
【0056】
特に、提案される本発明のポリペプチドは、ヒトアルブミンの天然及び非天然に存在する多形変異体及びヒトアルブミンの断片を含むことができる。概して、アルブミンの断片又は変異体は、少なくとも10個、好ましくは少なくとも40個、最も好ましくは70個を超えるアミノ酸長である。
【0057】
本発明の好ましい実施形態は、FcRn受容体への増強された結合を有する本発明のポリペプチドのHLEPとして使用されるアルブミン変異体を含む。そのようなアルブミン変異体は、野生型アルブミンとの切断型VWF融合体と比較して、切断型VWFアルブミン変異体融合タンパク質のより長い血漿半減期をもたらし得る。変異体は、WO2014072481、WO2012150319、WO2013135896、WO2011124718、WO2011051489及びWO2012059486に開示されているものを含んでおり、それらの開示は相互参照により組み込まれる。
【0058】
本発明のポリペプチドのアルブミン部分は、HAの少なくとも1つのサブドメイン若しくはドメイン又はそれらの保存的改変体を含むことができる。
【0059】
HLEPとしての免疫グロブリン
免疫グロブリンG(IgG)定常領域(Fc)は、治療用タンパク質の半減期を増大することが当技術分野で公知である(Dumont J Aら、2006.BioDrugs 20:151〜160)。重鎖のIgG定常領域は、3つのドメイン(CH1〜CH3)及びヒンジ領域からなる。免疫グロブリン配列は、任意の哺乳動物に由来していてもよいし、それぞれサブクラスのIgG1、IgG2、IgG3又はIgG4に由来していてもよい。IgG及び抗原結合ドメインを有さないIgG断片もHLEPとして使用することもできる。治療用ポリペプチド部分は、好ましくは、切断可能でさえあり得る抗体のヒンジ領域又はペプチドリンカーを介して、IgG又はIgG断片に接続される。いくつかの特許及び特許出願は、治療用タンパク質のインビボ半減期を増大するための、免疫グロブリン定常領域への治療用タンパク質の融合を記載している。US2004/0087778及びWO2005/001025は、免疫グロブリン定常領域のFcドメイン又は少なくとも部分と、ペプチドの半減期を増大させ、そうでなければインビボで急速に除去される生物学的に活性なペプチドとの融合タンパク質を記載している。生物学的活性の増大、循環半減期の延長、及びより大きな溶解度を達成したFc−IFN−β融合タンパク質が記載されている(WO2006/000448)。血清半減期が延長し、インビボでの効力が増大したFc−EPOタンパク質(WO2005/063808)、並びにG−CSF(WO2003/076567)、グルカゴン様ペプチド−1(WO2005/000892)、凝固因子(WO2004/101740)及びインターロイキン−10(米国特許第6,403,077号)とのFc融合体が開示されているが、すべて半減期増大特性を有する。
【0060】
この発明により使用され得る様々なHLEPは、WO2013/120939 A1に詳細に記載されており、その開示は相互参照により本明細書に含まれる。
【0061】
リンカー配列
この発明によれば、治療用ポリペプチド部分は、ペプチドリンカーによってHLEP部分に結合させることができる。リンカーは非免疫原性であるべきであり、切断不可リンカーであっても切断可能リンカーであってもよい。
【0062】
切断不可リンカーは、WO2007/090584に例示されているように、交互のグリシン及びセリン残基を含み得る。
【0063】
本発明の別の実施形態では、VWF部分とアルブミン部分の間のペプチドリンカーは、ペプチド配列からなり、これがヒトタンパク質における天然ドメイン間リンカーとして役立つ。好ましくは、それらの天然環境におけるそのようなペプチド配列は、この配列に対する天然の耐性を仮定することができるように、タンパク質表面の近くに位置し、免疫系に対してアクセス可能である。例はWO2007/090584に示されている。
【0064】
切断可能リンカーは、プロテアーゼによる切断を可能にする程十分にフレキシブルでなければならない。好ましい実施形態では、リンカーの切断は、融合タンパク質が改変FVIIIである場合、融合タンパク質内のFVIIIの活性化と同程度に速く進行する。
【0065】
切断可能リンカーは、好ましくは、
(a)治療用ポリペプチドの活性化の間にタンパク質分解的に切断されるタンパク質分解的切断部位を含有する場合、投与しようとする治療用ポリペプチド自体、
(b)治療用ポリペプチドの関与によって活性化若しくは形成されるプロテアーゼによって切断される基質ポリペプチド、又は
(c)凝固若しくは線維素溶解に関与するポリペプチド
に由来する配列を含む。
【0066】
より好ましい実施形態でのリンカー領域はVWFの配列を含み、発現される融合タンパク質の新抗原特性のリスクを低下させるはずである。
【0067】
リンカーペプチドは、好ましくは、凝固系のプロテアーゼ、例えばFIIa、FIXa、FXa、FXIa、FXIIa及びFVIIaによって切断可能である。
【0068】
治療用ポリペプチド、切断可能リンカー及びHLEPの例示的組み合わせとしては、WO2007/090584(例えば、表2及び
図4)並びにWO2007/144173(例えば、表3a及び3b)に列挙されている構築物が挙げられるが、これらに限定されない。
【0069】
別の実施形態では、本発明のポリペプチドの又は本発明のポリペプチドと複合体化されたFVIIIの機能的半減期は、野生型VWFの機能的半減期又は野生型VWF若しくは上で定義された参照ポリペプチドと複合体化されたFVIIIの機能的半減期と比較して、延長される。増大は、15%超、例えば、少なくとも20%又は少なくとも50%であり得る。また、そのような機能的半減期値は、改変VWF、又はFVIIIと改変VWFとの複合体が投与された後に、前記哺乳動物から様々な時間間隔で採取された血液試料において、インビトロで測定することができる。
【0070】
本発明の別の実施形態では、本発明のポリペプチド、又は本発明のポリペプチドと複合体化されたFVIIIは、野生型VWF、又は野生型VWF若しくは上で定義された参照ポリペプチドと複合体化されたFVIIIと比較して、改善されたインビボリカバリーを示す。インビボリカバリーは、インビボで、例えば、正常な動物で、又はFVIIIノックアウトマウスのような血友病Aの動物モデルで決定することができ、ここでは対応する野生型VWF又は上で定義された参照ポリペプチドと比較して、FVIIIのパーセンテージの増大が、抗原又は活性アッセイによって、i.v.投与の直後(5〜10分)の循環中に確認されることが予想される。
【0071】
インビボリカバリーは、野生型VWF、又は上で定義された参照ポリペプチドと複合体化されたFVIIIと比較して、好ましくは、少なくとも10%、より好ましくは少なくとも20%、さらにより好ましくは少なくとも40%増大する。
【0072】
比
以下により詳細に記載されているように、本発明のポリペプチドは、単量体、二量体、又はそれらの混合物であってもよい。本発明によるいずれのモル比も、実際に単量体として又は二量体として存在しても、本発明のポリペプチドの単量体サブユニットのモル濃度の比を意味する。比は、同時投与されるFVIIIのモル濃度に対して、又は内在性VWFサブユニットのモル濃度に対してのいずれかで形成される。本出願におけるFVIIIに対する本発明のポリペプチドの任意の比は、別段指示がなければ、投与しようとする本発明のポリペプチドの量(モル)を投与しようとするFVIIIの量(モル)で割ったものを意味する。内在性VWFは、本発明のポリペプチド及び同時投与されるFVIIIを投薬しようとする動物又はヒトの血漿中に天然に存在するVWFである。これは通常、約2〜40のVWFの単量体サブユニットの様々な異なるオリゴマーからなる。別段指示がなければ、本出願における内在性VWFに対する本発明のポリペプチドの任意の比は、本発明のポリペプチドの投与直後の本発明のポリペプチドの処置対象の体重1kg当たりの血漿モル濃度を、処置対象の体重1kg当たりの内在性VWFの血漿モル濃度で割ったものを意味する。本発明のポリペプチドの投与直後の処置対象の体重1kg当たりの本発明のポリペプチドの血漿モル濃度は、投与のすぐ後に投与された本発明のポリペプチドを40ml/kgの血漿量で希釈すると仮定して計算される。静脈内投与された場合、投与直後の本発明のポリペプチドの量は、本発明の目的において、投与された量と同じであると仮定される。
【0073】
本発明のポリペプチドは任意のレベルで投与され得るが、有利性は、本発明のポリペプチドの内在性VWFに対するモル比が0.5を超えるレベルで投与することによって達成することができる。処置しようとする対象の血漿中の内在性VWFの濃度は、例えば、実施例に記載されているように、ELISA又は及び活性アッセイにより決定され得る。典型的には、測定される濃度はU/mLで示される。この値は、以下に記載されているようにモル濃度に変換することができる。
【0074】
正常ヒト血漿(NHP)は、定義により1U/mL又は100%の濃度でVWFを含有する。これは、約10μg/mLのタンパク質濃度に相当する(Haberichter S.L.及びMontgomery R.R.、Structure and function of von Willebrand factor;Hemostasis及びThrombosis編 Marder、Aird、Bennett、Schulman及びWhite、Lippincott Williams & Wilkins 2013、pp197〜207)。NHP中のこのVWF濃度及び18〜19%のグリコシル化を含む約267,500Daの成熟VWF単量体の分子量に基づいて、約37×10
−9Mol/LのVWF単量体単位の血漿モル濃度がNHPに関して計算され得る。
【0075】
正常ラット又はウサギの血漿中のラット又はウサギVWFサブユニットのモル濃度を計算するため、それぞれ、ヒトVWFに相当する単量体サブユニットの分子量を、仮定される相当する特異的活性(100U/mg)及びラット又はウサギ血漿中の測定された内在性VWF活性とともに使用した(267,500Da)(実施例にも言及する)。
【0076】
ヒト集団におけるVWFの濃度は、NHP中、約60%から約200%までのVWF濃度で変化する。本発明の特定の実施形態において、内在性VWFの濃度は、NHP中の濃度として定義される。他の実施形態において、内在性VWFの濃度は、処置しようとする対象において決定され、ポリペプチドの用量は、この個々の値に基づく。
【0077】
投与される本発明のポリペプチドの内在性VWFに対するモル比は、好ましくは少なくとも2、又は少なくとも3、又は少なくとも4、又は少なくとも5、又は少なくとも6、又は少なくとも7、又は少なくとも8、又は少なくとも9、又は少なくとも10、より好ましくは少なくとも15、又は少なくとも20、又は少なくとも25、又は少なくとも30、最も好ましくは少なくとも40、又は少なくとも50、又は少なくとも75である。
【0078】
投与しようとする本発明のポリペプチドの内在性VWFに対するモル比は、0.5〜1,000、又は1〜500、又は2〜400、又は3〜300、又は4〜250、又は5〜200、又は6〜150、又は7〜140、又は8〜130、又は9〜120、又は10〜110の範囲に及び得る。好ましくは、投与される本発明のポリペプチドの内在性VWFに対するモル比は、3〜100、又は4〜90、又は5〜80、又は6〜75、又は10〜60の範囲に及ぶ。
【0079】
投与しようとする本発明のポリペプチドの投与しようとするFVIIIに対するモル比は、好ましくは少なくとも2、又は少なくとも5、又は少なくとも10、又は少なくとも20、又は少なくとも30、又は少なくとも40、又は少なくとも50であり、より好ましくは、比は50より大きく、又は少なくとも75、少なくとも100、又は100より大きく、又は少なくとも200であり、最も好ましくは、少なくとも300、又は少なくとも400、又は少なくとも500である。
【0080】
投与しようとする本発明のポリペプチドの投与しようとするFVIIIに対するモル比は、2〜10,000、又は5〜5,000、又は10〜4,000、又は20〜3,000、又は30〜2,000、又は40〜1,000の範囲に及び得る。好ましくは、投与しようとする本発明のポリペプチドの投与しようとするFVIIIに対するモル比は、60〜2,500、又は110〜2,000、又は150〜1,500、又は200〜1,000の範囲に及ぶ。
【0081】
表1は、本発明による処置の様々な実施形態を要約している。所与の実施形態においては、それぞれ、2列目及び3列目の両方の要件が満たされなければならない。
【表2-1】
【表2-2】
【表2-3】
【0082】
表1に示した実施形態1〜72は、本明細書に記載されている本発明の任意の他の実施形態及び態様と組み合わせることができる。本発明による処置のさらなる詳細は、以下にさらに記載されている。
【0083】
本発明のポリペプチドのN−グリカン及びシアリル化
本発明のポリペプチドは、好ましくはN−グリカンを含み、前記N−グリカンの少なくとも75%、好ましくは少なくとも85%、より好ましくは少なくとも90%は、平均して、少なくとも1つのシアル酸部分を含む。好ましい実施形態において、前記N−グリカンの少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、又は少なくとも99%は、平均して、少なくとも1つのシアル酸部分を含む。本発明者らは、高度にシアリル化されたVWF断片を含むポリペプチドが、それ自体の延長された半減期を有するだけでなく、同時投与されるFVIIIの半減期も延長することができるということを見出した。換言すると、本発明のポリペプチドの投与は、同時投与されたFVIIIの半減期の延長及び/又はクリアランスの低減をもたらす。
【0084】
本発明のポリペプチドは、好ましくはN−グリカンを含み、糖タンパク質のN−グリカンのシアリル基の少なくとも50%は、α−2,6−連結シアリル基である。一般に、末端シアリル基は、α−2,3−又はα−2,6−連結を介してガラクトース基に結合され得る。典型的には、本発明のポリペプチドのN−グリカンは、α−2,3−連結シアリル基よりもα−2,6−連結シアリル基を多く含む。好ましくは、N−グリカンのシアリル基の少なくとも60%、又は少なくとも70%、又は少なくとも80%、又は少なくとも90%は、α−2,6−連結シアリル基である。これらの実施形態は、例えば、哺乳動物細胞におけるヒトα−2,6−シアリルトランスフェラーゼの同時発現により得ることができる。
【0085】
一実施形態において、本発明のポリペプチドのN−グリカンの少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、又は少なくとも99%は、少なくとも1つのシアル酸基を含む。別の実施形態において、本発明のポリペプチドのN−グリカンの少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、又は少なくとも99%は、少なくとも1つのシアル酸基を含む。
【0086】
別の実施形態において、本発明のポリペプチドのN−グリカンの15%未満、12%未満、10%未満、又は8%未満、又は6%未満、又は5%未満、又は4%未満、又は3%未満、又は2%未満、又はさらに1%未満はアシアロ−N−グリカンであり、すなわち、それらはシアル酸基を欠いたN−グリカンである。別の実施形態において、本発明のポリペプチドのN−グリカンの15%未満、12%未満、10%未満、又は8%未満、又は6%未満、又は5%未満、又は4%未満、又は3%未満、又は2%未満、又はさらに1%未満はアシアロ−N−グリカンであり、すなわち、それらはシアル酸基を有していない。
【0087】
上記の実施形態は互いに組み合わせることができる。上述のN−グリカンの任意のパーセンテージ、又はシアリル化の程度の任意の指示は、平均パーセンテージ又は程度と理解されたく、すなわち、それらは単一の分子でなく、分子の集団を意味する。糖タンパク質の集団内の個別の糖タンパク質分子のグリコシル化又はシアリル化が多少の不均一性を示すことは明らかである。
【0088】
二量体
本発明のポリペプチドは高い比率の二量体を有し得るということがさらに見出された。従って、本発明のポリペプチドは、好ましくは二量体として存在する。一実施形態において、ポリペプチドの少なくとも50%、又は少なくとも60%、又は少なくとも70%は二量体として存在する。別の実施形態において、本発明のポリペプチドの二量体:単量体の比は、少なくとも1.5、好ましくは少なくとも2、より好ましくは少なくとも2.5、又は少なくとも3である。最も好ましくは、本発明のすべてのポリペプチドは、二量体で存在する。二量体は単量体と比較した場合に第VIII因子に対する改善された親和性を有するので、二量体の使用は好ましい。
【0089】
一実施形態において、第VIII因子に対する本発明のポリペプチドの親和性は、同じ第VIII因子分子に対するヒト天然VWFの親和性よりも高い。第VIII因子親和性は、ヒト天然第VIII因子、又は配列番号15を特徴とする第VIII因子分子に言及し得る。
【0090】
高比率で二量体を有する本発明のポリペプチドの調製物は、第VIII因子に対して増大した親和性を有することが見出された。そのような第VIII因子に対する増大した親和性は、本発明のポリペプチドにより第VIII因子の増大された安定化をもたらす。或いは、又は増加した二量体比率に対する代替又はそれとの組み合わせにおいても、第VIII因子に対する親和性を増大させる第VIII因子結合ドメイン内の変異を有する本発明によるポリペプチドは、本発明の好ましい実施形態である。適切な変異は、例えばWO2013/120939A1に記載されている。
【0091】
ポリペプチドの調製
本発明のポリペプチドをコードする核酸は、当分野において公知の方法に従って調製することができる。VWFのcDNA配列(配列番号3)に基づき、上述の切断型VWF構築物又は本発明のポリペプチドをコードする組換えDNAを設計し生成することができる。
【0092】
宿主細胞により分泌されるポリペプチドがVWFのアミノ酸1〜763を含んでいない場合でも、ポリペプチドの細胞内前駆体をコードする核酸(例えば、DNA)が配列番号2のアミノ酸23〜763、又は好ましくはアミノ酸1〜763に対して、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、又は少なくとも99%の配列同一性を有するアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列を含むことが好ましい。最も好ましくは、ポリペプチドの細胞内前駆体をコードする核酸(例えば、DNA)は、配列番号2のアミノ酸23〜763、又は配列番号2のアミノ酸1〜763をコードするヌクレオチド配列を含む。
【0093】
DNAが正確な方向で発現プラスミド中に挿入されたオープンリーディングフレーム全体を含有する構築物は、タンパク質発現において使用され得る。典型的な発現ベクターは、プラスミド保有細胞の挿入された核酸に対応する多量のmRNAの合成を方向づけるプロモーターを含有する。これらはまた、宿主生物内でのそれらの自律増殖を可能にする複製起点配列、及び合成されたmRNAが翻訳される効率を増大させる配列を含み得る。安定的な長期ベクターは、例えば、ウイルス(例えば、エプスタインバーウイルスのゲノム由来のOriP配列)の調節エレメントを使用することによって自由に複製する実体として維持することができる。ゲノムDNA中にベクターを組み込まれた細胞系も製造することができ、この方式では、遺伝子産物が連続して産生される。
【0094】
典型的には、提供しようとする細胞は、本発明のポリペプチドをコードする核酸を哺乳動物宿主細胞に導入することにより得られる。
【0095】
細胞培養可能であって、糖タンパク質の発現が可能な任意の宿主細胞が本発明により利用され得る。特定の実施形態において、宿主細胞は哺乳動物である。本発明により使用され得る哺乳動物細胞の非限定的な例としては、BALB/cマウス骨髄腫系(NSO/1、ECACC番号:85110503);ヒト網膜芽細胞(PER.C6(CruCell、Leiden、The Netherlands));SV40により形質転換されたサル腎臓CV1系(COS−7、ATCC CRL 1651);ヒト胚性腎臓系(懸濁培養の増殖用にサブクローニングされた293又は293細胞、Grahamら、J. Gen Virol.、36:59、1977);ベビーハムスター腎臓細胞(BHK、ATCC CCL10);チャイニーズハムスター卵巣細胞+/−DHFR(CHO、Urlaub and Chasin、Proc. Natl. Acad. Sci. USA、77:4216、1980);マウスセルトリ細胞(TM4、Mather、Biol. Reprod.、23:243 251、1980);サル腎臓細胞(CV1 ATCC CCL 70);アフリカミドリザル腎臓細胞(VERO−76、ATCC CRL−1 587);ヒト子宮頸がん細胞(HeLa、ATCC CCL 2);イヌ腎臓細胞(MDCK、ATCC CCL 34);水牛ラット肝細胞(BRL 3A、ATCC CRL 1442);ヒト肺細胞(W138、ATCC CCL 75);ヒト肝細胞(HepG2、HB 8065);マウス乳房腫瘍(MMT 060562、ATCC CCL51);TRI細胞(Matherら、Annals NY. Acad. Sci.、383:44〜68、1982);MRC 5細胞;PS4細胞;ヒト羊膜細胞(CAP);及びヒト肝細胞腫系(Hep G2)が挙げられる。好ましくは、細胞系は、齧歯動物細胞系、特にハムスター細胞系、例えばCHO又はBHKである。
【0096】
目的の糖タンパク質の発現を達成するための十分な核酸を哺乳動物宿主細胞に導入するのに適した方法は、当分野において公知である。例えば、Gethingら、Nature、293:620〜625、1981;Manteiら、Nature、281:40〜46、1979;Levinsonら、EP 117,060;及びEP 117,058を参照されたい。哺乳動物細胞については、遺伝子材料を哺乳動物細胞に導入する一般的な方法としては、Graham及びvan der Erbのリン酸カルシウム沈降法(Virology、52:456〜457、1978)又はHawley−Nelsonのlipofectamine(商標)(Gibco BRL)法(Focus 15:73、1993)が挙げられる。哺乳動物細胞宿主系形質転換の一般的な態様は、米国特許第4,399,216号においてAxelにより記載されている。遺伝子材料を哺乳動物細胞に導入する様々な技術については、Keownら、Methods in Enzymology、1989、Keownら、Methods in Enzymology、185:527〜537、1990、及びMansourら、Nature、336:348〜352、1988を参照されたい。
【0097】
細胞は、ポリペプチドの発現を可能にする条件下で培養する。ポリペプチドは、当業者に公知の方法を使用して、回収及び精製することができる。
【0098】
終末相半減期、MRT及びクリアランス
本発明の別の態様は、終末相半減期若しくは平均滞留時間(MRT)を増大させるため、又は第VIII因子のクリアランスを減少させるための、本明細書の上記で定義されているポリペプチドの使用である。薬物動態データを評価するため、線形薬物動態モデル(中央コンパートメントを介した化合物排出)を適用した。従って、本明細書で使用されるいずれかの薬物動態パラメーターは、別段指示がなければ、線形薬物動態モデル(中央コンパートメントを介した化合物排出)に基づいている。
【0099】
特定の時点tでの「半減期」T1/2(t)は、tの時点で存在する血漿濃度C(t)を半分にするために要する時間、すなわちC[t+T1/2(t)]=C(t)/2である。「終末相半減期」は、tが無限になる傾向を有する場合のT1/2(t)の限界である。
【0100】
投与されるFVIIIの終末相半減期は、有効量の本発明のポリペプチドが同時投与された場合、FVIIIの単独投与と比較して、少なくとも25%、好ましくは少なくとも50%、より好ましくは少なくとも75%、より好ましくは少なくとも100%、最も好ましくは少なくとも150%増大する。本発明の別の態様は、第VIII因子の終末相半減期を増大させるための、本明細書の上記で定義されているポリペプチドの使用である。
本明細書で使用される場合の用語「MRT」は、薬物分子(例えば、本発明のポリペプチド又はFVIII)が体内に留まる平均時間を意味する。一定クリアランスを用いる線形薬物動態系において、MRTは、一次モーメント曲線下面積(AUMC)を血漿濃度時間曲線下面積(AUC)で割ったものとして計算することができる。一次モーメント曲線は、時間にその時点の血漿濃度を掛けたものである。
【0101】
投与されるFVIIIのMRTは、有効量の本発明のポリペプチドが同時投与された場合、FVIIIの単独投与と比較して、少なくとも25%、好ましくは少なくとも50%、より好ましくは少なくとも75%、より好ましくは少なくとも100%、最も好ましくは少なくとも150%増大する。本発明の別の態様は、終末相半減期若しくは平均滞留時間(MRT)を増大させるため、又は第FVIII因子のクリアランスを減少させるための、本明細書の上記で定義されているポリペプチドの使用である。
【0102】
本明細書で使用される場合の用語「クリアランス」は、血漿から薬物が除去される速度を意味する。具体的には、これは薬物の現在の排出速度をその現在の血漿濃度で割ったものである。単回静脈内投与の後の線形薬物動態系において、クリアランスは、クリアランスが一定であるという条件下で、血漿濃度−時間曲線下面積(AUC)に対する用量の比として計算され得る。クリアランスが低いほど、血漿が薬物から除去されるまで長くかかる。
【0103】
投与されるFVIIIのクリアランスは、有効量の本発明のポリペプチドが同時投与された場合、FVIIIの単独投与と比較して、少なくとも10%、好ましくは少なくとも25%、より好ましくは少なくとも50%、より好ましくは少なくとも60%、最も好ましくは少なくとも70%減少する。
【0104】
本発明はさらに、対象に有効量の本明細書の上記で定義されているポリペプチドを投与するステップを含む、MRT若しくは半減期を増大させる方法、又はインビボで第VIII因子のクリアランスを減少させる方法に関する。
【0105】
本発明のさらなる態様は、それを必要とする患者に、有効量の本明細書の上記で定義されているポリペプチドを投与するステップを含む、血液凝固障害を処置する方法である。
【0106】
さらなる態様は、血友病Aの処置におけるFVIIIの投与頻度を減少させるための、本明細書の上記で定義されているポリペプチドの使用である。FVIIIの静脈内投与又は皮下投与の頻度は、週2回に低減され得る。或いは、FVIIIの静脈内投与又は皮下投与の頻度は、週1回、又はさらに少なく、例えば10日に1回又は14日に1回に低減され得る。FVIIIは、週2回、5日ごと、週1回、10日ごと、2週間ごと、3週間ごと、4週間ごと、若しくは1ヶ月に1回、又は前述の値のうちのいずれか2つの間の任意の範囲、例えば4日ごとから毎月、10日ごとから2週間ごと、若しくは週に2〜3回等で投与することができる。
【0107】
別の態様は、血友病Aの処置において投与しようとするFVIIIの用量を低減するための、本明細書の上記で定義されているポリペプチドの使用である。
【0108】
凝固障害の処置
本発明のポリペプチドは、血友病Aを含む凝固障害を処置するために有用である。用語「血友病A」は、機能的凝固FVIIIの欠乏を意味するが、これは通常、遺伝性である。
【0109】
疾患の処置は、いずれかの臨床病期又は顕性化時の疾患のいずれかの形態を有すると既に診断された患者の処置;疾患の症状若しくは徴候の発症若しくは展開若しくは増悪若しくは悪化を遅延させること;並びに/或いは疾患の予防及び/又は重症度を低減させることを包含する。
【0110】
本発明のポリペプチドが投与される「対象」又は「患者」は、好ましくはヒトである。特定の態様において、ヒトは小児患者である。他の態様において、ヒトは成人患者である。
【0111】
本発明のポリペプチドを含み、任意選択でFVIIIを含む組成物が本明細書に記載されている。組成物は、典型的には、薬学的に許容される担体を含む無菌医薬組成物の一部として供給される。この組成物は、(患者にそれを投与する所望の方法に応じた)任意の適切な形態であることができる。
【0112】
用語「第VIII因子」及び「FVIII」は、本明細書において互換的に使用され、血漿由来のFVIII及び組換えFVIIIの両方を包含する。組換えFVIIIは、限定するものではないが、完全長FVIII、並びに二本鎖Bドメイン欠失又は切断型変異体、並びに単鎖Bドメイン欠失又は切断型変異体、例えばWO2004/067566に記載されるもの、及びBドメインの外側に変異を有するがFVIIIの生物学的活性は有する他のFVIII変異体を包含する。
【0113】
本発明のポリペプチドは、様々な経路、例えば、経口、経皮、皮下、鼻腔内、静脈内、腹腔内、筋内、局部又は局所投与により患者に投与され得る。いずれかの所与の症例における投与に最も適した経路は、特定のポリペプチド、対象、並びに疾患の性質及び重篤度、並びに対象の身体状態に依存する。典型的には、本発明のポリペプチドは静脈内投与される。
【0114】
ポリペプチド及びFVIIIは、好ましくは、静脈内投与又は皮下投与される。
【0115】
第1の実施形態において、ポリペプチド及びFVIIIの両方が静脈内投与される。第2の実施形態において、ポリペプチド及びFVIIIの両方が皮下投与される。
【0116】
別の実施形態において、FVIIIは静脈内投与され、ポリペプチドは異なる経路を介して投与される。さらなる実施形態において、ポリペプチドは皮下投与され、FVIIIは異なる経路を介して投与される。例えば、ポリペプチドは皮下投与され、FVIIIは静脈内投与され得る。
【0117】
さらなる実施形態において、FVIIIは皮下投与され、ポリペプチドは異なる経路を介して投与される。さらなる実施形態において、ポリペプチドは静脈内投与され、FVIIIは異なる経路を介して投与される。例えば、ポリペプチドは静脈内投与され、FVIIIは皮下投与され得る。
【0118】
本発明のポリペプチドを用いた総投薬回数、及び処置の長さの決定は、十分に当業者の能力の範囲内である。投与しようとする本発明のポリペプチドの投与量は、投与しようとするFVIIIの濃度、処置しようとする患者における内在性VWFの濃度、又はその両方に依存する。本出願の発明者らにより定義されている比に基づく有効用量は、本発明のポリペプチドの分子量を考慮に入れ、当業者により決定され得る。FVIIIに関する典型的な用量は、約20U/体重kg〜約100U/体重kgの範囲であり得る。
【0119】
本発明によれば、本発明のポリペプチドを用いて処置される患者はまた、血液凝固第VIII因子を用いて処置される。本発明のポリペプチド及び第VIII因子は、同時に投与されても逐次的様式で投与されてもよく、両方の投与様式は用語「組み合わせ治療」及び「同時投与」に包含される。本発明のポリペプチド及び第VIII因子は、混合物として、すなわち、同一組成物内で投与されてもよく、又は、別々に、すなわち個別の組成物として投与されてもよい。
【0120】
使用される組成物中の第VIII因子の濃度は、典型的には10〜10,000IU/mLの範囲である。異なる実施形態において、本発明の組成物中のFVIIIの濃度は、本明細書において定義されている本発明のVWFポリペプチドに対する比に関する要件が満たされている条件下で、10〜8,000IU/mL、又は10〜5,000IU/mL、又は20〜3,000IU/mL、又は50〜1,500IU/mLの範囲、又は3,000IU/mL、又は2,500IU/mL、又は2,000IU/mL、又は1,500IU/mL、又は1,200IU/mL、又は1,000IU/mL、又は800IU/mL、又は750IU/mL、又は600IU/mL、又は500IU/mL、又は400IU/mL、又は300IU/mL、又は250IU/mL、又は200IU/mL、又は150IU/mL、又は125IU/mL、又は100IU/mL、又は62.5IU/mL、又は50IU/mLである。
【0121】
「国際単位」又は「IU」は、「IU」で較正された国際標準品に対して較正された標準を使用し、FVIII活性アッセイ、例えば一段階凝固アッセイ又は発色性基質FVIII活性アッセイにより測定されたFVIIIの血液凝固活性(効力)の尺度単位である。一段階凝固アッセイは、N Lee、Martin Lら、An Effect of Predilution on Potency Assays of FVIII Concentrates、Thrombosis Research (Pergamon Press Ltd.) 30、511 519 (1983)に記載されているように、当分野において公知である。一段階アッセイの原理:この試験は、活性化部分トロンボプラスチン時間(aPTT)−アッセイの改変バージョンとして行われる:血漿をリン脂質及び表面活性剤とともにインキュベートすることで内在凝固系の因子が活性化される。カルシウムイオンの添加によって凝固カスケードが誘発される。測定可能なフィブリン血栓の形成までの時間が決定される。このアッセイは、第VIII因子欠乏血漿の存在下で行われる。欠乏血漿の凝固能は、試験しようとするサンプル中に含まれる凝固第VIII因子により回復される。凝固時間の短縮は、サンプル中に存在する第VIII因子の量に比例する。凝固第VIII因子の活性は、国際単位で第VIII因子の既知の活性を有する標準品との直接比較によって定量化される。
【0122】
別の標準的なアッセイは、発色性基質アッセイである。発色性基質アッセイは、例えばコアマテックFVIII試験キット(Chromogenix−Instrumentation Laboratory SpA V. le Monza 338−20128 Milano、Italy)のように市販で購入することができる。発色性アッセイの原理:カルシウム及びリン脂質の存在下で、第X因子を、第IXa因子により第Xa因子へと活性化させる。この反応は、補因子としての第VIIIa因子により刺激される。FVIIIaは、測定しようとするサンプル中のFVIII由来の反応混合物中の少量のトロンビンにより形成される。最適濃度のCa2+、リン脂質及び第IXa因子、並びに過剰量の第X因子を使用する場合、第X因子の活性化は、第VIII因子の効力に比例する。活性化第X因子は、発色性基質S−2765から発色団pNAを放出する。従って、405nmで測定されるpNAの放出は、形成されたFXaの量に比例するため、サンプルの第VIII因子活性にも比例する。
【0123】
医薬組成物
本明細書に記載されている方法に適した本発明のポリペプチドの治療用製剤は、所望の程度の純度を有するポリペプチドを、当分野で典型的に使用されている任意の薬学的に許容される担体、賦形剤又は安定剤(これらはすべて本明細書では「担体」と呼ばれる)、すなわち、緩衝化剤、安定剤、保存料、等張化剤、非イオン性洗浄剤、抗酸化剤、及び他の多様な添加物と混合することにより、凍結乾燥製剤又は水溶液としての保管用に調製することができる。Remington’s Pharmaceutical Sciences、16th edition (Osol、ed. 1980)を参照されたい。そのような添加物は、レシピエントに対し、使用される投与量及び濃度で、非毒性でなければならない。
【0124】
緩衝化剤は、生理条件に近い範囲にpHを維持するのに有用である。これらは約2mM〜約50mMの範囲の濃度で存在し得る。適切な緩衝化剤としては、有機及び無機両方のその酸及び塩、例えばクエン酸緩衝液(例えば、クエン酸一ナトリウム−クエン酸二ナトリウム混合物、クエン酸−クエン酸三ナトリウム混合物、クエン酸−クエン酸一ナトリウム混合物等)、コハク酸緩衝液(例えば、コハク酸−コハク酸一ナトリウム混合物、コハク酸−水酸化ナトリウム混合物、コハク酸−コハク酸二ナトリウム混合物等)、酒石酸緩衝液(例えば、酒石酸−酒石酸ナトリウム混合物、酒石酸−酒石酸カリウム混合物、酒石酸−水酸化ナトリウム混合物等)、フマル酸緩衝液(例えば、フマル酸−フマル酸一ナトリウム混合物、フマル酸−フマル酸二ナトリウム混合物、フマル酸一ナトリウム−フマル酸二ナトリウム混合物等)、グルコン酸緩衝液(例えば、グルコン酸−グルコン酸ナトリウム混合物、グルコン酸−水酸化ナトリウム混合物、グルコン酸−グルコン酸カリウム混合物等)、シュウ酸緩衝液(例えば、シュウ酸−シュウ酸ナトリウム混合物、シュウ酸−水酸化ナトリウム混合物、シュウ酸−シュウ酸カリウム混合物等)、乳酸緩衝液(例えば、乳酸−乳酸ナトリウム混合物、乳酸−水酸化ナトリウム混合物、乳酸−乳酸カリウム混合物等)、及び酢酸緩衝液(例えば、酢酸−酢酸ナトリウム混合物、酢酸−水酸化ナトリウム混合物等)が挙げられる。さらに、リン酸緩衝液、ヒスチジン緩衝液、及びTrisなどのトリメチルアミン塩を使用することができる。
【0125】
保存料は微生物の増殖を遅らせるために添加することができ、0.2%〜1%(W/V)の範囲の量で添加することができる。適切な保存料としては、フェノール、ベンジルアルコール、メタ−クレゾール、メチルパラベン、プロピルパラベン、塩化オクタデシルジメチルベンジルアンモニウム、ハロゲン化ベンザルコニウム(例えば、塩化物、臭化物、及びヨウ化物)、塩化ヘキサメトニウム、及びアルキルパラベン、例えばメチル又はプロピルパラベン、カテコール、レゾルシノール、シクロヘキサノール、及び3−ペンタノールが挙げられる。「安定剤」として知られることもある等張化剤は、液体組成物の等張性を保証するために加えることができ、多価糖アルコール、好ましくは三価又はそれ以上の糖アルコール、例えばグリセリン、エリスリトール、アラビトール、キシリトール、ソルビトール及びマンニトールが挙げられる。安定剤は、治療剤を可溶化し又は変性若しくは容器壁への付着を防止する、増量剤から添加剤に及ぶ範囲の機能を有し得る広義の賦形剤を意味する。典型的な安定剤は、多価糖アルコール(上記に挙げたもの);アミノ酸、例えばアルギニン、リシン、グリシン、グルタミン、アスパラギン、ヒスチジン、アラニン、オルニチン、L−ロイシン、2−フェニルアラニン、グルタミン酸、スレオニン等、有機糖又は糖アルコール、例えばラクトース、トレハロース、スタキオース、マンニトール、ソルビトール、キシリトール、リビトール、ミオイノシトール、ガラクチトール、グリセロール等(イノシトールなどのシクリトールを含む);ポリエチレングリコール;アミノ酸ポリマー;硫黄含有還元剤、例えば尿素、グルタチオン、チオクト酸、チオグリコール酸ナトリウム、チオグリセロール、α−モノチオグリセロール及びチオ硫酸ナトリウム;低分子量ポリペプチド(例えば、10残基又はそれ未満のペプチド);タンパク質、例えばヒト血清アルブミン、ウシ血清アルブミン、ゼラチン又は免疫グロブリン;親水性ポリマー、例えばポリビニルピロリドン 単糖、例えばキシロース、マンノース、フルクトース、グルコース;二糖、例えばラクトース、マルトース、スクロース、及び三糖、例えばラフィノース;及び多糖、例えばデキストランであり得る。安定剤は、活性タンパク質の重量部あたり0.1〜10,000重量の範囲で存在することができる。
【0126】
非イオン性界面活性剤又は洗浄剤(「湿潤剤」としても知られている)は、治療剤の可溶化の促進、並びに撹拌誘導による凝集に対する治療用タンパク質の保護のために加えることができ、これはまた、タンパク質の変性を生じることなく製剤が圧力付加のせん断面に曝露されることを可能にする。適切な非イオン性界面活性剤としては、ポリソルベート(20、80等)、ポリオキサマー(184、188等)、プルロニックポリオール、ポリオキシエチレンソルビタンモノエーテル(TWEEN(登録商標)−20、TWEEN(登録商標)−80等)が挙げられる。非イオン性界面活性剤は、約0.05mg/ml〜約1.0mg/mlの範囲、又は約0.07mg/ml〜約0.2mg/mlの範囲で存在することができる。
【0127】
さらなる多様な賦形剤としては、増量剤(例えば、デンプン)、キレート剤(例えば、EDTA)、抗酸化剤(例えば、アスコルビン酸、メチオニン、ビタミンE)、及び共溶媒が挙げられる。
【0128】
本明細書における製剤は、本発明のポリペプチドに加えて、第2の治療剤も含有し得る。適切な第2の治療剤の例は以下に示す。
【0129】
投薬スケジュールは、疾患の種類、疾患の重篤度、及び本発明のポリペプチドに対する患者の感受性を含む、多数の臨床因子に応じ、月に1回から毎日まで変わり得る。特定の実施形態において、本発明のポリペプチドは、週に2回、5日ごと、週に1回、10日ごと、2週間ごと、3週間ごと、4週間ごと、又は月に1回、又は前述の値のいずれか2つの間の任意の範囲で、例えば、4週間ごとから毎月、10日ごとから2週間ごと、又は週に2回から3回等で投与される。
【0130】
投与しようとする本発明のポリペプチドの用量は、特定のポリペプチド、対象、並びに疾患の性質及び重篤度、対象の身体状態、治療計画(例えば、第2の治療剤が使用されるか否か)、並びに選択された投与経路によって変わる。適切な用量は、当業者により容易に決定され得る。
【0131】
本発明のポリペプチドの最適な量及び個々の投薬の間隔は、処置される状態の性質及び程度、投与の形態、経路及び部位、並びに処置される特定の対象の年齢及び状態により決定されること、また医師が使用する適切な用量を最終的に決定するということは、当業者には認識されよう。この投薬は、必要に応じて頻繁に繰り返すことができる。副作用が発生した場合には、投薬の量及び/又は頻度を、通常の臨床診療に従って変更又は低減することができる。
【0132】
本発明の一態様によれば、FVIIIへの本発明のポリペプチドの結合親和性は、配列番号3中の改変(単数又は複数)を除き、同じアミノ酸配列を有する参照ポリペプチドの親和性よりも高い。
【0133】
VWF分子の第VIII因子分子への結合親和性は、当分野で使用されている結合アッセイによって決定することができる。例えば、VWF分子を固体支持体に固定化し、漸増濃度の第VIII因子を適用し、一定期間インキュベートし、洗浄した後、結合した第VIII因子を発色性アッセイによって決定することができる。次いで、スキャッチャード分析又は別の適切な方法によって、親和定数又は解離定数を決定することができる。ヒト第VIII因子のフォンウィルブランド因子への結合親和性を決定する方法は、Vlotら(1995)、Blood、85巻、11号、3150〜3157に記載されている。
【0134】
解離定数を含めた親和性の本明細書における任意の指標は、好ましくは、本発明の改変VWF又は本発明のポリペプチドのFVIIIへの結合を意味する。FVIIIの単鎖アミノ酸配列を配列番号15に示す。
【0135】
FVIIIとのVWFの相互作用は典型的には速いオン速度を有するので、解離定数における変化は、主として解離速度の変化に依存する。従って、VWFのFVIIIとの相互作用の増大における主な焦点は、FVIIIとVWFの間の解離速度を低下させる試みに関する。好ましくは、野生型VWF及びFVIIIと比較した場合の改変VWF及びFVIIIの解離速度は、少なくとも2倍低く、より好ましくは少なくとも5倍低く、好ましくは少なくとも10倍低く、より好ましくは少なくとも20倍低い。
【0136】
VWFとFVIIIからなる複合体の解離定数は、好ましくは0.2nmol/L以下、より好ましくは0.175nmol/L以下、より好ましくは0.15nmol/L以下、より好ましくは0.125nmol/L以下、より好ましくは0.1nmol/L以下、より好ましくは0.05nmol/L以下、最も好ましくは0.01nmol/L以下である。
【0137】
本発明のポリペプチドと配列番号15の第VIII因子との複合体の解離定数KDは、典型的には、参照ポリペプチド(例えば、配列番号4のポリペプチド)と配列番号15の第VIII因子との複合体の解離定数KDの90%未満である。本発明のポリペプチドと配列番号14の第VIII因子との複合体の解離定数KDは、参照ポリペプチド(例えば、配列番号3のポリペプチド)と配列番号15の第VIII因子との複合体の解離定数KDの好ましくは75%未満、より好ましくは50%未満、より好ましくは25%未満、より好ましくは10%未満、より好ましくは5%未満である。
【0138】
参照ポリペプチドは、VWFのD’−D3ドメイン内の変異を除き、そのアミノ酸配列が本発明のポリペプチドのものと同一であるポリペプチドである。すなわち、参照ポリペプチドは、好ましくは、参照ポリペプチドのD’−D3ドメインが配列番号3に示すアミノ酸配列からなるという条件下で、本発明のポリペプチドのものと同一のアミノ酸配列を有する。言い換えると、本発明のポリペプチドと参照ポリペプチドの間の唯一の配列の相違は、D’−D3ドメインのアミノ酸配列にある。参照ポリペプチドは、好ましくは、本発明のポリペプチドと同一条件下で調製されている。
【0139】
ポリヌクレオチド
本発明はさらに、本出願に記載されているように、改変VWF又は前記改変VWFを含むポリペプチドをコードするポリヌクレオチドに関する。用語「ポリヌクレオチド(単数又は複数)」は、一般に、非改変RNA又はDNAであってもよいし、改変RNA又はDNAであってもよい、任意のポリリボヌクレオチド又はポリデオキシリボヌクレオチドを意味する。ポリヌクレオチドは、一本鎖DNA又は二本鎖DNA、一本鎖RNA又は二本鎖RNAであり得る。本明細書で使用する場合、用語「ポリヌクレオチド(単数又は複数)」は、1つ又は複数の改変塩基及び/又は通常とは異なる塩基、例えばイノシンを含むDNA又はRNAも含む。当業者に既知の多くの有用な目的に役立つ様々な改変をDNA及びRNAに行うことができることは理解されよう。本明細書で使用する場合、用語「ポリヌクレオチド(単数又は複数)」は、そのような化学的に、酵素的に又は代謝的に改変された形態のポリヌクレオチド、並びにウイルス、及び例えば単純型細胞及び複雑型細胞を含めた細胞の特徴的なDNA及びRNAの化学形態を包含する。
【0140】
遺伝暗号の縮重が原因で、所与のポリペプチドが異なるポリヌクレオチドにコードされ得ることは、当業者には理解されよう。これらの「変異体」は、本発明に包含される。
【0141】
好ましくは、本発明のポリヌクレオチドは、単離されたポリヌクレオチドである。用語「単離された」ポリヌクレオチドは、例えば、限定するものではないが、他の染色体及び染色体外のDNA及びRNA等の他の核酸配列を実質的に含まないポリヌクレオチドを意味する。単離されたポリヌクレオチドは、宿主細胞から精製することができる。当業者に既知の従来の核酸精製方法を使用して、単離されたポリヌクレオチドを得ることができる。この用語はまた、組換えポリヌクレオチド及び化学的に合成されたポリヌクレオチドも含む。
【0142】
本発明はさらに、本発明の改変VWF又は改変VWFを含む本発明のポリペプチドを一緒にコードする一群のポリヌクレオチドに関する。群の第1のポリヌクレオチドは、改変VWFのN末端部分をコードすることができ、第2のポリヌクレオチドは改変VWFのC末端部分をコードすることができる。
【0143】
本発明のさらに別の態様は、本発明によるポリヌクレオチドを含むプラスミド又はベクターである。好ましくは、プラスミド又はベクターは発現ベクターである。特定の実施形態では、ベクターは、ヒト遺伝子療法で使用するためのトランスファーベクターである。
【0144】
本発明はまた、上記の群のポリヌクレオチドを含む一群のプラスミド又はベクターに関する。第1のプラスミド又はベクターは、前記第1のポリヌクレオチドを含有することができ、第2のプラスミド又はベクターは、前記第2のポリヌクレオチドを含有することができる。或いは、両方のコード配列は、2つの別々のプロモーター配列、又は1つのプロモーターと配列内リボソーム進入部位(IRES)エレメント(これは、例えば、成熟VWFの生成を増強するために、フューリンの発現を導くのに使用することができる)のいずれかを使用して、1つの発現ベクターにクローニングされる。
【0145】
本発明のさらに別の態様は、本発明のポリヌクレオチド、プラスミド若しくはベクター、又は本明細書に記載されている一群のポリヌクレオチド若しくは一群のプラスミド若しくはベクターを含む宿主細胞である。
【0146】
本発明の宿主細胞は、改変VWF又は前記改変VWFを含むポリペプチドを生成する方法で用いることができ、これは、本発明の一部である。この方法は、
(a)所望の改変タンパク質が発現するような条件下で、本発明の宿主細胞を培養すること;及び、
(b)任意選択で、宿主細胞から又は培養培地から所望の改変タンパク質を回収すること
を含む。
【0147】
本発明の改変VWF又は改変VWFを含むポリペプチドを≧80%の純度、より好ましくは、≧95%の純度に精製することが好ましく、巨大分子、特に他のタンパク質及び核酸の混入について99.9%の純度を超え、感染性及び発熱性因子を含んでいない医薬的に純粋な状態が特に好ましい。好ましくは、単離された又は精製された本発明の改変VWF又は本発明のポリペプチドは、他の無関係なポリペプチドを実質的に含んでいない。
【0148】
本発明の様々な生成物は医薬として有用である。従って、本発明は、本明細書に記載されている改変VWF若しくは前記改変VWFを含むポリペプチド、本発明のポリヌクレオチド又は本発明のプラスミド若しくはベクターを含む医薬組成物に関する。
【0149】
本発明はまた、血友病A若しくはB又はVWDなどの血液凝固障害に罹患している個体を処置する方法に関する。本方法は、有効量の(i)FVIII及び改変VWF若しくは改変VWFを含むポリペプチド、又は(ii)FVIIIと改変VWFとの複合体、又は(iii)FVIIIと本明細書に記載されている改変VWFを含むポリペプチドとの複合体を前記個体に投与するステップを含む。別の実施形態では、本方法は、有効量の本発明のポリヌクレオチド又は本発明のプラスミド若しくはベクターを個体に投与するステップを含む。或いは、本方法は、有効量の本明細書に記載されている本発明の宿主細胞を個体に投与するステップを含み得る。
【0150】
改変ポリペプチドの発現
適切な宿主細胞における組換え突然変異体タンパク質の高レベルでの生成は、当業者に既知の方法に従って、様々な発現系で増殖することができる組換え発現ベクターにおいて、適切な調節エレメントとともに上記の改変ポリヌクレオチド、典型的にはcDNAを有効な転写単位へアセンブリーすることを必要とする。有効な転写調節エレメントは、天然の宿主として動物細胞を有するウイルスに由来し得るか、動物細胞の染色体DNAに由来し得る。好ましくは、シミアンウイルス40、アデノウイルス、BKポリオーマウイルス、ヒトサイトメガロウイルス若しくはラウス肉腫ウイルスのロングターミナルリピートに由来するプロモーター−エンハンサーの組み合わせ、又はベータ−アクチン若しくはGRP78のような、動物細胞において構成的に強く転写される遺伝子を含むプロモーター−エンハンサーの組み合わせを使用することができる。cDNAから転写される安定的な高レベルのmRNAを得るために、転写単位は、その3’近傍部に、転写終結−ポリアデニル化配列をコードするDNA領域を含有するべきである。好ましくは、この配列は、シミアンウイルス40初期転写領域、ウサギベータ−グロビン遺伝子、又はヒト組織プラスミノーゲンアクチベーター遺伝子に由来する。
【0151】
次いで、改変FVIII及び/又はVWFタンパク質を発現させるのに適切な宿主細胞系のゲノムにcDNAを組み込む。好ましくは、この細胞系は、正確なフォールディング、ジスルフィド結合形成、アスパラギン連結型グリコシル化、及び他の翻訳後修飾、並びに培養培地中への分泌を確実にするために、脊椎動物起源の動物細胞系であるべきである。他の翻訳後修飾の例は、新生ポリペプチド鎖のチロシンO−硫酸化及びタンパク質分解性プロセシングである。使用することができる細胞系の例は、サルCOS−細胞、マウスL−細胞、マウスC127−細胞、ハムスターBHK−21細胞、ヒト胚性腎臓293細胞、及びハムスターCHO−細胞である。
【0152】
対応するcDNAをコードする組換え発現ベクターを、いくつかの異なる方法で動物細胞系に導入することができる。例えば、組換え発現ベクターは、様々な動物ウイルスに基づくベクターから作出することができる。これらの例は、バキュロウイルス、ワクシニアウイルス、アデノウイルス、好ましくはウシパピローマウイルスに基づくベクターである。
【0153】
対応するDNAをコードする転写単位は、ゲノムに組換えDNAが組み込まれた特定の細胞クローンを単離しやすくするために、これらの細胞において優性選択マーカーとして機能し得る別の組換え遺伝子とともに動物細胞に導入することもできる。このタイプの優性選択マーカー遺伝子の例は、ゲンタマイシン(G418)に耐性を付与するTn5アミノグリコシドホスホトランスフェラーゼ、ハイグロマイシンに耐性を付与するハイグロマイシンホスホトランスフェラーゼ、及びピューロマイシンに耐性を付与するピューロマイシンアセチルトランスフェラーゼである。そのような選択マーカーをコードする組換え発現ベクターは、所望のタンパク質のcDNAをコードするものと同じベクターに存在していてもよく、又は宿主細胞のゲノムに同時に導入され、組み込まれ、その結果、異なる転写単位間で堅固な物理的な連結がしばしば生じる別個のベクターにコードされていてもよい。
【0154】
所望のタンパク質のcDNAとともに使用することができる他のタイプの選択マーカー遺伝子は、ジヒドロ葉酸還元酵素(dhfr)をコードする様々な転写単位に基づく。このタイプの遺伝子を、内在性のdhfr活性を欠く細胞、好ましくはCHO細胞(DUKX−B11、DG−44)に導入した後、ヌクレオシドを欠く培地でこれらを生育させることが可能になる。そのような培地の例は、ヒポキサンチン、チミジン及びグリシンを含まないHamのF12である。これらのdhfr遺伝子を、同じベクター上で又は異なるベクター上で連結されている、上記のタイプのCHO細胞にFVIII cDNA転写単位とともに導入することができ、これにより、組換えタンパク質を生成するdhfr陽性細胞系を作出することができる。
【0155】
細胞毒性dhfr阻害剤であるメトトレキサートの存在下で上記の細胞系が増殖する場合、メトトレキサート耐性の新しい細胞系が出現する。これらの細胞系は、連結されたdhfr及び所望のタンパク質の転写単位の数が増加したことにより、組換えタンパク質を増大した速度で生成することができる。漸増濃度のメトトレキサート(1〜10000nM)中でこれらの細胞系を増殖させた場合、極めて高速度で所望のタンパク質を生成する新しい細胞系を得ることができる。
【0156】
所望のタンパク質を生成する上記の細胞系を、懸濁培養中で、又は様々な固体支持体上のいずれかで大規模に増殖させることができる。これらの支持体の例は、デキストラン若しくはコラーゲンマトリックスに基づくマイクロキャリア、又は中空繊維若しくは様々なセラミック材料の形態の固体支持体である。細胞懸濁培養中で又はマイクロキャリア上増殖させる場合、上記の細胞系の培養は、バッチ培養、又は長期間にわたり条件培地を連続的に生成する灌流培養のいずれかで行うことができる。従って、本発明によれば、上記細胞系は、所望の組換え突然変異体タンパク質を生成するための工業的プロセスの開発に良好に適している。
【0157】
精製及び製剤
上記のタイプの分泌細胞の培地中に蓄積する組換え改変VWFタンパク質は、細胞培養培地中の所望のタンパク質と他の物質の間のサイズ、電荷、疎水性、溶解度、特異的親和性等の違いを利用する方法を含めた、様々な生化学的及びクロマトグラフィー的方法によって、濃縮及び精製することができる。
【0158】
そのような精製の例は、固体支持体に固定化される、例えばHLEP、好ましくはヒトアルブミンに対する、又はそれぞれの凝固因子に対する、モノクローナル抗体への組換え突然変異体タンパク質の吸着である。支持体への改変VWFの吸着、洗浄及び脱着の後、上記の特性に基づく様々なクロマトグラフィー法によって、タンパク質をさらに精製することができる。
【0159】
精製ステップの順序は、例えば、ステップの能力及び選択性、支持体の安定性又は他の態様に従って選択される。好ましい精製ステップとしては、限定するものではないが、イオン交換クロマトグラフィーステップ、免疫アフィニティークロマトグラフィーステップ、アフィニティークロマトグラフィーステップ、疎水性相互作用クロマトグラフィーステップ、色素クロマトグラフィーステップ、ヒドロキシアパタイトクロマトグラフィーステップ、マルチモーダルクロマトグラフィーステップ、及びサイズ排除クロマトグラフィーステップが挙げられる。
【0160】
ウイルス混入の理論上の危険性を最小限にするために、ウイルスの効果的な不活性化又は除去を提供する、さらなるステップをプロセス中に含むことができる。そのようなステップは、例えば、液体若しくは固体状態での熱処理、溶媒及び/若しくは洗浄剤による処理、可視若しくはUVスペクトルでの照射、γ線照射又はナノ濾過である。
【0161】
本発明の改変ポリヌクレオチド(例えばDNA)はまた、ヒト遺伝子療法で使用するためのトランスファーベクターに組み込むことができる。
【0162】
本明細書に記載されている様々な実施形態を互いに組み合わせることができる。本発明を、以下のそれらの実施例において、より詳細にさらに記載する。本発明の特定の実施形態のこの説明は、添付の図面と併せて行う。
【0163】
本発明に記載されている改変VWFは、治療的使用のための医薬調製物に製剤化することができる。精製タンパク質は従来の生理的に適合する水性緩衝溶液に溶解させることができ、医薬調製物を提供するために、この溶液に、任意選択で医薬品賦形剤を添加することができる。
【0164】
そのような医薬担体及び賦形剤、並びに適切な医薬製剤は、当分野で周知である(例えば、「ペプチド及びタンパク質の医薬製剤開発(Pharmaceutical Formulation Development of Peptides and Proteins)」、Frokjaerら、Taylor&Francis(2000)、又は「医薬品賦形剤ハンドブック(Handbook of Pharmaceutical Excipients)」、第3版、Kibbeら、Pharmaceutical Press(2000)を参照されたい)。標準的な医薬製剤技術は当業者に周知である(例えば、2005医師用添付文書集(Physicians’Desk Reference)(登録商標)、Thomson Healthcare:Montvale、NJ、2004;Remington:薬学の科学と実践(The Science and Practice of Pharmacy)、第20版、Gennaroら編、Lippincott Williams&Wilkins:Philadelphia、PA、2000を参照されたい)。特に、本発明のポリペプチド変異体を含む医薬組成物は、凍結乾燥形態又は安定な液体形態で製剤化することができる。当分野で既知の様々な手順によって、ポリペプチド変異体を凍結乾燥することができる。凍結乾燥製剤は、1種又は複数の医薬的に許容される希釈剤、例えば、無菌の注射用水又は無菌の生理的食塩水を加えることによって、使用前に再構成される。
【0165】
本組成物の製剤は、任意の医薬的に適切な投与手段で個体に送達される。様々な送達系が知られており、任意の好都合な経路によって組成物を投与するのに使用することができる。優先的には、本発明の組成物は全身的に投与される。全身的な使用については、本発明のタンパク質は、従来の方法に従って、非経口(例えば、静脈内、皮下、筋肉内、腹腔内、脳内、肺内、鼻腔内若しくは経皮)、又は経腸(例えば、経口、腟又は直腸)送達用に製剤化される。最も好ましい投与経路は、静脈内投与及び皮下投与である。製剤は、注入又はボーラス注射によって、連続的に投与することができる。いくつかの製剤は、徐放系を包含する。
【0166】
本発明のタンパク質は、治療有効量で患者に投与され、治療有効量は、耐えられない有害な副作用をもたらす用量に達することなく、所望の効果をもたらし、処置を受ける状態又は適応症の重症度又は蔓延を予防又は軽減するのに十分である用量を意味する。正確な用量は、例えば、適応症、製剤及び投与様式のような多くの要因に依存し、それぞれ個々の適応症についての前臨床及び臨床試験において決定されなければならない。
【0167】
本発明の医薬組成物は、単独で又は他の治療剤とともに投与することができる。これらの薬剤は、同じ医薬品の一部として組み込むことができる。そのような薬剤の一例は、改変VWFとFVIIIとの組み合わせである。
【0168】
「N−連結型グリカン」は、ポリペプチドのアスパラギン残基に共有結合で連結されたオリゴ糖である。そのようなN−連結型グリカン上の末端ガラクトースは、α−2,3−又はα−2,6−連結シアル酸の結合により修飾され得る。
【0169】
用語「シアル酸」は、動物オリゴ糖の末端単糖として通常確認されるノイラミン酸のN−又はO−置換誘導体を意味する(概説については、Varkis (1992) Glycobiology vol.2 no.1 pp.25〜40を参照されたい)。最も一般的なシアル酸は、N−アセチルノイラミン酸である。「増大したシアリル化」は、糖タンパク質のN−グリカンの少なくとも85%が、平均して、少なくとも1つのシアル酸部分を含むことを意味する。非限定的な例として、「少なくとも85%の増大したシアリル化」は、本発明の例6におけるように、すなわち、全N−グリカンを目的の所与の糖タンパク質から酵素により切断し、次いでシアル酸を有していない切断されたN−グリカン(「アシアロN−グリカン」)の量、及びすべての切断されたN−グリカンの総量を決定することにより決定される。次いで「少なくとも85%のシアリル化」は、15%のアシアロN−グリカンの量に相当するか又はすべての切断されたN−グリカンの総量より少ない。
【0170】
第1のステップにおいて、本発明の方法は、切断型フォンウィルブランド因子(VWF)を含むポリペプチドをコードする核酸を含む細胞を提供するステップを含む。
【0171】
以下により詳細に記載されているように、本発明の方法は、切断型VWFを含むポリペプチドをコードする核酸を含む細胞を提供するステップを含む。核酸は、それ自体は公知である技術によって適切な宿主細胞に導入される。
【0172】
細胞の培養
一実施形態において、本発明は、36.0℃未満の温度で細胞を培養するステップを含む。この方法は、ポリペプチドの発現を可能にする条件下で、細胞を培養するステップを含む。
【0173】
宿主細胞系を培養するために選択された基礎培地は本発明においては重要ではなく、哺乳動物細胞の培養に適している当分野で公知のいずれか1つ、又はそれらの組み合わせであってよい。ダルベッコ改変イーグル培地、HamのF−12培地、イーグル最少必須培地、及びRPMI−1640培地などのような培地が市販されている。組換えインスリンのような増殖因子の添加は任意選択である。一実施形態において、培地は、完全にいずれのタンパク質も含まないか、又は少なくとも組換え産生されていないずれのタンパク質も含まないという意味で「無タンパク質」である。ヒト血清アルブミンは、ポリペプチドの製造のための無血清培地補充物として使用され得る。好ましくは、培地は、組織培養に適しており、合成又は植物性起源のものであるセリンプロテアーゼ阻害剤などのプロテアーゼ阻害剤を含有する。
【0174】
一般に、本発明は、ポリペプチドの発現に適しているいずれかの細胞培養方法とともに使用され得る。例えば、細胞はバッチで又は流加培養法で増殖させることができ、この場合、培養はポリペプチドの十分な発現の後に終了され、その後発現したポリペプチドが回収される。或いは、細胞は連続培養(例えば、灌流培養)で増殖させることができ、この場合、培養は終了されず、新しい栄養分及び他の成分が定期的に又は連続して培養に添加され、その間発現されたポリペプチドは定期的又は連続的に回収される。後者の実施形態は、方法が本明細書の以下に記載されているように温度シフトを含む場合が好ましい。培養は、バッチ、流加培養又は連続培養のような任意の従来の型の培養でもよいが、好ましくは連続的である。適切な連続培養としては灌流培養が挙げられる。
【0175】
細胞は、実施者により選択されたいずれかの都合のよい体積で増殖させることができる。例えば、細胞は、数ミリリットルから数リットルまでの体積の範囲にある小規模反応容器で増殖させることができる。或いは、細胞は、およそ少なくとも1リットルから10、100、250、500、1000、2500、5000、8000、10,000、12,000リットル若しくはそれ以上の体積、又はその間のいずれかの体積の範囲の大規模商業用バイオリアクターで増殖させることができる。培養は、典型的には、バイオリアクターで行われ、これは通常、1(一)から10000(一万)リットルの容量、例えば5、10、50、100、1000、2500、5000又は8000リットルのステンレス鋼、ガラス又はプラスチックの容器である。容器は、通常は硬質であるが、可撓性プラスチックバッグを、特により小さい体積のために使用することができる。これらは一般的に「単回使用」型のものである。
【0176】
CHO及びBHK細胞のような哺乳動物細胞は、一般的には、懸濁培養として培養される。すなわち、細胞は固体支持体に接着させるのではなく、培地中に懸濁される。或いは細胞は、担体上に、特にマイクロキャリア上に固定化される。Cytoline(登録商標)、Cytopore(登録商標)又はCytodex(登録商標)などの多孔性担体が特に適し得る。
【0177】
高シアリル化を得るために、細胞(例えば、CHO細胞)を、好ましくは低減した温度で、例えば36.0℃未満で培養する。「低減した温度」は、それぞれの細胞系の増殖についての最適温度又は通常の温度よりも低い温度を意味する。大部分の哺乳動物細胞について、通常温度は37℃である。従って、本発明によれば、細胞(例えば、CHO細胞)は、30.0〜36.0℃、30.5〜35.5℃、31.0〜35.0℃、31.5〜34.5℃、32.0〜34.0℃、又は32.5〜33.5℃の低減した温度で培養されることが好ましい。好ましくは、細胞は、30.0℃±1.0℃、31.0℃±1.0℃、32.0℃±1.0℃、33.0℃±1.0℃、34.0℃±1.0℃、又は35.0℃±1.0℃の低減した温度で培養される。
【0178】
低減した温度は、発現させようとするポリペプチドのシアリル化を増大させるために十分な時間維持される。好ましくは、低減した温度は、少なくとも1時間、少なくとも6時間、少なくとも12時間、少なくとも18時間、少なくとも24時間、少なくとも48時間、少なくとも72時間、少なくとも96時間、少なくとも120時間、又は少なくとも144時間維持される。他の実施形態において、低減した温度は、1時間〜8週間、6時間〜6週間、12時間〜5週間、18時間〜4週間、24時間〜3週間、48時間〜14日間、72時間〜10日間、又は3〜7日間維持される。
【0179】
これを達成するために、培養は培養の過程の間に1又はそれ以上の温度シフトにかけられ得る。培養温度をシフトする場合、その温度シフトは比較的緩やかであり得る。例えば、それは温度変化を完了するまでに数時間又は数日かかってもよい。或いは、温度シフトは、比較的急激であってもよい。温度は、培養プロセスの間に徐々に増加又は減少され得る。或いは、温度は、培養プロセスの間に様々な時間で個別の量だけ増加又は減少され得る。後に続く温度(単数若しくは複数)又は温度範囲(単数若しくは複数)は、最初又は前の温度(単数若しくは複数)又は温度範囲(単数若しくは複数)より低くてもより高くてもよい。当業者には当然のことながら、多数の個別の温度シフトがこの実施形態に包含される。例えば、温度は1回(より高いか又はより低い温度又は温度範囲のいずれかへ)シフトさせることができ、細胞は、この温度又は温度範囲に特定の期間維持され、その後、温度は再び新しい温度又は温度範囲へとシフトさせることができ、これは以前の温度又は温度範囲よりも高いか又はより低い温度又は温度範囲のいずれかであり得る。各個別のシフトのあとの培養温度は一定でも、特定の温度範囲内に維持されてもよい。
【0180】
典型的には、細胞(例えば、CHO細胞)は、最初に「通常」温度の37.0℃±1.0℃で、標的細胞密度が達成されるまで培養される。次いで、初期培養期間の後に、低減した温度まで温度シフトが行われる。低減した温度での培養期間の後に、通常温度への温度シフトを行っても行わなくてもよい。好ましくは、細胞(例えば、CHO細胞)は、最初に37.0℃±1.0℃で数日間培養され、続いて低減した温度の31.0〜35.0℃で製造される。
【0181】
本開示に基づいて、当業者は、それぞれの細胞系の特定の必要及び実施者の特定の製造要件に応じて、細胞を増殖するための温度を選択することができる。
【0182】
特定の実施形態において、バッチ及び流加培養バイオリアクターは、発現されたポリペプチドが十分に高い力価に達すると終了される。さらに又は或いは、バッチ及び流加培養バイオリアクターは、実施者の必要により決定して、十分に高い密度に達したならば終了することができる。例えば、培養は、細胞が最大生存細胞密度の1、5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95又は99パーセントに達したならば終了することができる。さらに又は或いは、バッチ及び流加培養バイオリアクターは、乳酸塩及びアンモニウムなどの代謝廃棄産物が過剰に蓄積される前に終了され得る。
【0183】
特定の場合、後の製造段階の間に、欠乏したか又は細胞により代謝された栄養分又は他の培地成分を細胞培養物に補充することが有利であり得る。非限定的な例として、細胞培養に、ホルモン及び/若しくは他の増殖因子、無機イオン(例えば、ナトリウム、塩化物、カルシウム、マグネシウム、及びホスフェート)、緩衝液、ビタミン、ヌクレオシド又はヌクレオチド、微量元素(通常は非常に低い最終濃度で存在する無機化合物)、アミノ酸、脂質、又はグルコース若しくは他のエネルギー源を補充することが有利であり得る。そのような補充成分は、すべて細胞培養物に一度に添加してもよく、又は一連の添加において細胞培養物に供給されてもよく、又は灌流培養中に新鮮な培地と一緒に供給されてもよい。
【0184】
バッチ及び流加培養バイオリアクターの代わりに、本発明は、本発明のポリペプチドを発現する細胞が連続灌流バイオリアクターで培養される場合にも実施され得る。
【0185】
当業者は、細胞培養の特定の特徴を最適化するために特定の細胞培養条件を調整することができ、これらの細胞培養条件としては、限定するものではないが、増殖速度、細胞生存率、細胞培養の最終細胞密度、乳酸塩及びアンモニウムなどの有害な代謝副生成物の最終濃度、発現されたポリペプチドの力価、オリゴ糖側鎖の程度及び組成、又はこれら若しくは実施者により重要とみなされた他の条件のいずれかの組み合わせが挙げられる。
【0186】
発現されたポリペプチドの単離
一般に、本発明により発現されるポリペプチドを単離及び/又は精製することが典型的には望ましい。特定の実施形態において、発現されたポリペプチドは培地中に分泌され、従って細胞及び他の固形物は、例えば精製プロセスにおける第1のステップとして遠心分離又は濾過により除去され得る。
【0187】
発現されたポリペプチドは、標準的な方法により単離及び精製することができ、これらの標準的な方法としては、限定するものではないが、クロマトグラフィー(例えば、イオン交換、アフィニティー、サイズ排除、及びヒドロキシアパタイトクロマトグラフィー)、ゲル濾過、遠心分離、若しくは溶解度差(differential solubility)、エタノール沈降、及び/又はタンパク質の精製に利用可能ないずれかの他の技術(例えば、Scopes、Protein Purification Principles and Practice 2nd Edition、Springer−Verlag、New York、1987; Higgins、S.J. 及び Hames、B.D. (eds.)、Protein Expression: A Practical Approach、Oxford Univ Press、1999;及びDeutscher、M.P.、Simon、M.I.、Abelson、J.N. (eds.)、Guide to Protein Purification: Methods in Enzymology (Methods in Enzymology Series、Vol.182)、Academic Press、1997を参照されたい、これらは各々参照により本明細書に組み込まれる)が挙げられる。特に免疫親和性クロマトグラフィーについて、ポリペプチドは、そのポリペプチド対して産生されて固定支持体に固定された抗体を含むアフィニティカラムにそれを結合することにより単離することができる。或いは、インフルエンザコート配列、ポリ−ヒスチジン、又はグルタチオン−S−トランスフェラーゼなどの親和性タグが標準的組換え技術によりポリペプチドに結合され、適切なアフィニティカラム上の通過による容易な精製を可能にし得る。フッ化フェニルメチルスルホニル(PMSF)、ロイペプチン、ペプスタチン又はアプロチニンなどのプロテアーゼ阻害剤は、精製プロセスの間にポリペプチドの分解を低減又は排除するためにいずれか又はすべての段階で添加することができる。プロテアーゼ阻害剤は、発現されたポリペプチドを単離及び精製するために細胞を溶解しなければならない場合、特に有利である。さらに又は或いは、グリコシダーゼ阻害剤は、共有結合で結合されたオリゴ糖鎖の酵素的トリミングを低減又は排除するためにいずれか又はすべての段階で添加することができる。
【0188】
本発明により発現されるポリペプチドは、伝統的な細胞培養条件下で増殖された場合よりも、より広範なシアリル化を有する。従って、精製ステップで有効であり得る本発明の1つの実用的利点は、本発明の特定の方法により増殖されたポリペプチド上の追加及び/又は変更されたシアル酸残基が、より伝統的な方法によって増殖されたポリペプチドに対して可能である場合よりも、より容易に、又はより高い純度までポリペプチドを精製するために、実施者により使用され得る特有の生化学的特性をそれに付与し得ることである。例えば、ポリペプチドは、シアル酸残基の負電荷を利用して、アニオン交換クロマトグラフィーにより精製又は著しく富化され得る。それにより、高シアリル化を有するポリペプチドのさらなる富化が達成され得る。
【0189】
さらなる実施形態において、本発明の方法により得られるポリペプチドのシアリル化は、インビトロでポリペプチドをシアリルトランスフェラーゼと接触させることによりさらに増大させることができる。シアリルトランスフェラーゼは、典型的には、哺乳動物シアリルトランスフェラーゼであり、好ましくは、ヒトシアリルトランスフェラーゼである。シアリルトランスフェラーゼは、α−2,3−シアリルトランスフェラーゼ及び/又はα−2,6−シアリルトランスフェラーゼであり得る。好ましくは、シアリルトランスフェラーゼは、ヒトα−2,3−シアリルトランスフェラーゼ(Genbank NP_775479−ST3GAL1)及び/又はヒトα−2,6−シアリルトランスフェラーゼである。最も好ましくは、シアリルトランスフェラーゼは、Genbank NP_003023−ST6GAL1により同定されるヒトα−2,6−シアリルトランスフェラーゼである。さらにシアリル基ドナー、又はシアル酸ドナーがインビトロ反応において存在する。適切なドナーとしては、例えば、シチジン−5’−モノホスホ−N−アセチルノイラミン酸(CMP−NANA)、Rocheカタログ番号05 974 003 103が挙げられる。インビトロシアリル化に適したキットは、Rocheから入手可能である(カタログ番号07 012 250 103)。
【0190】
当業者には当然のことながら、正確な精製技術は、精製しようとするポリペプチドの特徴、ポリペプチドが発現される細胞の特徴、及び/又は細胞が増殖された培地の組成に応じて変わる。
【0191】
上述のように、本発明は、第2の態様において、増大したシアリル化を有するN−グリカンを含むポリペプチドを生成する方法であって、
(i)切断型フォンウィルブランド因子(VWF)を含むポリペプチドをコードする核酸、並びにα−2,3−シアリルトランスフェラーゼ及び/又はα−2,6−シアリルトランスフェラーゼ、好ましくはα−2,6−シアリルトランスフェラーゼをコードする組換え核酸を含む細胞を提供することと、
(ii)ポリペプチドの発現を可能にする条件下で、細胞を培養すること
を含む、方法に関する。
【0192】
α−2,3−シアリルトランスフェラーゼは、好ましくは、ヒトα−2,3−シアリルトランスフェラーゼである。ヒトα−2,3−シアリルトランスフェラーゼをコードするcDNA配列は配列番号12に示しており、それに基づいて、当業者はα−2,3−シアリルトランスフェラーゼのコード配列を含有する適切な発現ベクターを設計することができる。
【0193】
α−2,6−シアリルトランスフェラーゼは、好ましくはヒトα−2,6−シアリルトランスフェラーゼである。ヒトα−2,6−シアリルトランスフェラーゼをコードするcDNA配列は配列番号31に示しており、それに基づいて、当業者は、α−2,6−シアリルトランスフェラーゼのコード配列を含有する適切な発現ベクターを設計することができる。
【0194】
トランスフェクトされた細胞は、公知の培養方法に従って、ポリペプチドの発現を可能にする条件下で培養することができる。
【0195】
ポリペプチドは、確立された精製技術を使用して、回収及び/又は単離することができる。
【0196】
本発明のポリペプチド
本発明は、本明細書において記載されている方法によって得ることができるポリペプチドに関する。
【0197】
別の態様において、本発明は、切断型フォンウィルブランド因子(VWF)を含むポリペプチドであって、該切断型VWFは第VIII因子(FVIII)に結合することができ、該ポリペプチドはN−グリカンを含み、該N−グリカンの少なくとも85%、より好ましくは少なくとも90%は、平均して、少なくとも1つのシアル酸部分を含む、ポリペプチドに関する。好ましい実施形態において、該N−グリカンの少なくも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、又は少なくとも99%は、平均して、少なくとも1つのシアル酸部分を含む。本発明者らは、高度にシアリル化されたVWF断片を含むポリペプチドは、延長された半減期自体を有するだけでなく、同時投与されたFVIIIの半減期も延長することができるということを実証した。換言すると、本発明のポリペプチドの投与は、同時投与されたFVIIIの延長された半減期及び/又は減少したクリアランスをもたらす。
【0198】
第5の態様において、本発明は、切断型フォンウィルブランド因子(VWF)を含むポリペプチドであって、該切断型VWFは、第VIII因子(FVIII)に結合することができ、該ポリペプチドはN−グリカンを含み、ポリペプチドのN−グリカンのシアリル基の少なくとも50%は、α−2,6−連結シアリル基である、ポリペプチドに関する。一般に、末端シアリル基は、α−2,3−又はα−2,6−連結を介してガラクトース基に結合され得る。典型的には、本発明のポリペプチドのN−グリカンは、α−2,6−連結シアリル基をα−2,3−連結シアリル基よりも多く含む。好ましくは、N−グリカンのシアリル基の少なくとも60%、又は少なくとも70%、又は少なくとも80%、又は少なくとも90%は、α−2,6−連結シアリル基である。これらの実施形態は、例えば、ヒトα−2,6−シアリルトランスフェラーゼを哺乳動物細胞において同時発現させることにより得ることができる。
【0199】
一実施形態において、本発明のポリペプチドのN−グリカンの少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、又は少なくとも97%、又は少なくとも98%、又は少なくとも99%は、少なくとも1つのシアル酸基を含む。別の実施形態において、本発明のポリペプチド内の切断型VWFのN−グリカンの少なくとも90%、又は少なくとも95%、又は少なくとも96%、又は少なくとも97%、又は少なくとも98%、又は少なくとも99%は、少なくとも1つのシアル酸基を含む。
【0200】
別の実施形態において、本発明のポリペプチドのN−グリカンの15%未満、12%未満、10%未満、又は8%未満、又は6%未満、又は5%未満、又は4%未満、又は3%未満、又は2%未満、又はさらに1%未満はアシアロ−N−グリカンであり、すなわちそれらはシアル酸基を欠いたN−グリカンである。別の実施形態において、本発明のポリペプチド内の切断型VWFのN−グリカンの15%未満、12%未満、10%未満、又は8%未満、又は6%未満、又は5%未満、又は4%未満、又は3%未満、又は2%未満、又はさらに1%未満はアシアロ−N−グリカンであり、すなわちそれらはシアル酸基を有していない。
【0201】
別の実施形態において、本発明のポリペプチドのN−グリカンの25%未満、20%未満、15%未満、又は10%未満はモノシアロ−N−グリカンであり、すなわちそれらは、1つのシアル酸基を有するN−グリカンである。別の実施形態において、本発明のポリペプチド内の切断型VWFのN−グリカンの25%未満、20%未満、15%未満、又は10%未満はモノシアロ−N−グリカンであり、すなわちそれらは、1つのシアル酸基を有するN−グリカンである。非限定的な例として、モノシアリル化N−グリカンの量は、例6に詳述されているようにして決定され得る。
【0202】
さらに別の実施形態において、本発明のポリペプチドのN−グリカンの少なくとも20%、又は少なくとも25%はジシアロ−N−グリカンであり、すなわちそれらは2つのシアル酸基を有するN−グリカンである。さらに別の実施形態において、本発明のポリペプチド内の切断型VWFのN−グリカンの少なくとも20%、又は少なくとも25%はジシアロ−N−グリカンである。
【0203】
さらに別の実施形態において、本発明のポリペプチドのN−グリカンの少なくとも10%、又は少なくとも15%、又は少なくとも20%、又は少なくとも25%はトリシアロ−N−グリカンであり、すなわちそれらは3つのシアル酸基を有するN−グリカンである。さらに別の実施形態において、本発明のポリペプチド内の切断型VWFのN−グリカンの少なくとも10%、又は少なくとも15%、又は少なくとも20%、又は少なくとも25%はトリシアロ−N−グリカンである。
【0204】
さらに別の実施形態において、本発明のポリペプチドのN−グリカンの少なくとも5%、又は少なくとも10%はテトラシアロ−N−グリカンであり、すなわちそれらは4つのシアル酸基を有するN−グリカンである。さらに別の実施形態において、本発明のポリペプチド内の切断型VWFのN−グリカンの少なくとも10%、又は少なくとも15%はテトラシアロ−N−グリカンである。
【0205】
別の実施形態において、本発明のポリペプチドのN−グリカンの少なくとも50%、又は少なくとも60%、又は少なくとも70%、又は少なくとも80%は、2つ又はそれ以上のシアル酸基を含む。別の実施形態において、本発明のポリペプチド内の切断型VWFのN−グリカンの少なくとも50%、又は少なくとも60%、又は少なくとも70%、又は少なくとも80%は、2つ又はそれ以上のシアル酸基を含む。
【0206】
上述の実施形態は互いに組み合わせることができる。上述のN−グリカンの任意のパーセンテージ、又はシアリル化の程度の任意の指示は、平均パーセンテージ又は程度と理解されたく、すなわち、それらは単一の分子ではなく分子の集団を意味する。ポリペプチドの集団内の個別のポリペプチド分子のグリコシル化又はシアリル化が多少の不均一性を示すということは明らかである。
【0207】
本発明の別の態様は、(i)本明細書の上記で定義されているポリペプチド、及び(ii)第VIII因子を含む医薬キットである。好ましくは、ポリペプチド及びFVIIIは、個別の組成物に含有される。
【0208】
本発明の別の態様は、血液凝固障害の処置における同時使用、個別使用又は連続使用のための、(i)本明細書の上記で定義されているポリペプチド、及び(ii)第VIII因子を含む医薬キットである。
【0209】
本明細書で言及されている配列の概要を表3に示す。
【表3-1】
【表3-2】
【実施例】
【0210】
(例1)
FVIII結合が改善されたvWF突然変異体
背景
上述したように、また同時係属中の国際特許出願第PCT/AU2015/050369で論じているように、循環FVIIIの大部分はVWFとの複合体になっている。ヒトでは、FVIIIは、VWFの非存在下及び存在下で、それぞれ、およそ2時間及び16時間のt
1/2で血液から排除される。VWFはFVIII半減期の増大を与えるが、これはまた、それ自体の半減期によって決まるt
1/2の上限も定める。US8,575,104は、VWF−アルブミン融合タンパク質を開示している。この融合タンパク質は、齧歯類モデルにおいて、野生型VWFよりも5倍長い半減期を有する。この融合タンパク質とFVIIIの間の安定な複合体は、FVIIIに対してさらなる半減期の利益を与えることができる。FVIII/vWF相互作用の平衡結合定数は高いが、結合キネティクスは速く、VWF−アルブミン融合タンパク質と複合体になっているいかなるFVIIIも、注入の際に内在性のvWFと速やかに交換される。従って、VWF−アルブミン融合体とのFVIIIの解離速度が天然のVWFとのFVIIIの解離速度と実質的に等しいのであれば、VWF−アルブミン融合体の使用は、FVIIIの半減期のいかなる実質的な増大も提供しないであろう。
【0211】
従って、VWF−アルブミン融合体のより長い半減期を活用してFVIIIの半減期を延長するためには、VWF−アルブミン融合体とのFVIIIの解離速度を低下させることが必要である。VWFのレベルは正常であるが、VWFがFVIIIと結合する能力が著しく低下している2N型フォンウィルブランド病の患者において行われる測定を活用するモデル化研究から、FVIII半減期の臨床的に意味がある向上を提供するためには、少なくとも5倍の解離速度の低下が必要とされることが推定された。FVIII VWF−アルブミン融合体の解離速度の低下とFVIII半減期の増大の間の想定される関連性を表4に示す。
【表4】
【0212】
FVIII VWF−アルブミン融合体の解離速度を低下させる目的で、突然変異体VWF−アルブミン融合タンパク質が有意に遅いFVIIIの解離速度をもたらし、それによって、VWF−アルブミン融合タンパク質との安定な相互作用を介してFVIIIの半減期を延長するための実行可能な選択肢を提供することができるか否かを評価するために実験を実施した。
【0213】
結合したFVIIIの解離速度を遅くすることを目的に、vWFのアミノ酸位置764、765、766、768、769、773、806及び809近傍で一連の突然変異体を構築した。これらの実験では、組換え型のFVIIIを使用した。このFVIIIは、Zollnerら 2013、Thrombosis Research、132:280〜287に記載されている。最初に、上述の残基のうちの1つを、システインを除くすべての遺伝子コードされるアミノ酸へと変異させたvWF構築物について、FVIII結合を測定した。改善された結合体の同定に続いて、変異の組み合わせを含めた、さらなる変異体のセットを生成した。さらに、アルブミン融合体によって提供される半減期の延長がFcRn媒介性リサイクルに依存するので、いくつかの突然変異体はpH5.5でも試験した。様々な変異についての結果を表5〜20に示す。
【0214】
方法
ヒトフォンウィルブランド因子のD’及びD3ドメイン(vWF;アミノ酸(aa)764〜1270(配列番号2);GenBank受託番号NP_000543に基づく)をコードするコドン最適化合成cDNAは、GeneART AG(Regensberg、Germany)から得た。これを、それ自体のシグナルペプチド(aa1〜22)をコードするように5’末端で、及びC末端の8×Hisタグをコードするように3’末端で改変した。この構築物(Hu−vWF[764〜1270]−8His)を、開始メチオニン上流のKozakコンセンサス配列(GCCACC)及びオープンリーディングフレームの3’末端の二重終止コドン(TGA)を有するpcDNA3.1哺乳類発現ベクター(Invitrogen、USA)に定方向クローニングし、自動シークエンシングによってプラスミド配列を確認した。次いで、この発現プラスミドを鋳型として使用し、標準的なPCR法を使用して、Ser764、Leu765、Ser766又はLys773において一重、二重又は三重の残基変化を起こし、上記のように、構築物をpcDNA3.1にクローニングし、シークエンシングした。C末端のFLAGタグ(DYKDDDDK)とともにHu−vWFのD1及びD2ドメイン(aa1〜762)をコードする第2のコドン最適化cDNAも合成し、GeneArtから得た。これを、pcDNA3.1に上記のようにクローニングし、シークエンシングした。
【0215】
一過的な哺乳類発現のために、Freestyle(商標)293懸濁細胞(Invitrogen]を、5mlのFreestyle発現培地(Invitrogen)中で1.1×10
6細胞/mlまで増殖させた。7μLの293Fectin(Invitrogen)トランスフェクション試薬を、167μLのOpti−MEM I培地(Invitrogen)とともに5分間プレインキュベートし、次いで、野生型/突然変異体Hu−vWF[764〜1270]−8Hisをコードする2.5μgのプラスミドDNA+Hu−vWF[1〜762]−FLAGをコードする2.5μgのプラスミドDNAに加え、この混合物をさらに20分間インキュベートした。このDNA−293Fectin複合体を、250rpmの振盪インキュベーター中で37℃、8%CO
2で6日間培養した細胞に加えた。2000rpmで5分間遠心分離することによって培養上清を回収し、これを分析用に4℃で保管した。
【0216】
Biacore4000バイオセンサーを37℃で使用して、表面プラズモン共鳴によって、結合キネティクスを調べた。各突然変異体を、抗His抗体(14,000RU)を予め固定化したCM−5センサーチップ上に、40〜150RUの密度まで細胞培養培地から捕獲した。最初のスクリーニング研究では、捕獲した突然変異体上にFVIIIを1nMで5分間注入し、解離を5分間モニターした。次いで、野生型と比べてkdの低下を示した突然変異体を、1、0.5及び0.25nMで5分間注入したFVIIIで再検査し、解離を30分間モニターした。
【0217】
参照スポット(固定化された抗His抗体のみを含有する)から、及びブランク注入から、シグナルを引くことによってすべてのセンサーグラムをダブルリファレンスした。ダブルリファレンスしたセンサーグラムを1:1カイネティックモデルに当てはめることによって、結合キネティクスを決定した。
【0218】
結果
プロリンへのセリン764の突然変異誘発は、解離速度がおよそ3.5倍低下し、親和性が4.4倍増大したvWF変異体を生成した。位置765の変異は、野生型vWFと比較して、いかなるより優れた結合体ももたらさなかった。位置766の多数の変異は、解離速度特性が改善され、親和性が野生型vWFより高い変異体vWF分子を生成した(His、Arg、Val、Tyr、Trp、Thr、Phe、Ile、Gln、Gly及びAsn)。位置764のプロリンが解離速度に有意な増大を与え、一方で、位置766の多数の変異が結合に明確に強い影響を与えたことを受けて、S764Pと、位置766のシステインを除くすべての他の遺伝子コードされるアミノ酸とからなる、一連の突然変異体が生成された。S764Pと、位置765のシステインを除くすべての他の遺伝子コードされるアミノ酸とを含有する、類似した変異が生成された。いくつかのこれらの二重突然変異体は、野生型vWFと比較して、有意に遅い解離速度及び高い親和性を有する。特に、S766Iと組み合わせたS764Pは、解離速度が22倍低下し、親和性が30倍増大したvWF変異体を生成する。
【0219】
(例2)
点突然変異体を有するヒト血清アルブミンvWF融合体及びFVIII結合
その後の実験は、ヒト血清アルブミンに融合されたvWFを使用して実施した。ヒトフォンウィルブランド因子のD’及びD3ドメイン(vWF;アミノ酸(aa)764〜1242;GenBank受託番号NP_000543に基づく)をコードするコドン最適化合成cDNAは、GeneART AG(Regensberg、Germany)から得た。これを、それ自体のシグナルペプチド(aa1〜22)をコードするように5’末端で、及びグリシンセリンリンカーを介してヒト血清アルブミン(HSA)をコードするように3’末端で改変し、例1に記載されているようにクローニングした。例1に記載されている同様のプロセスを使用して、様々なVWF変異体を生成し、得られた構築物をFreestyle(商標)293懸濁細胞に一過的にトランスフェクトした。vWF−HSAタンパク質は、Capture Select(商標)ヒトアルブミン親和性樹脂を使用して回収物から精製し、vWF−HSA二量体を調製用サイズ排除クロマトグラフィーによってさらに精製した。pH7の詳細なカイネティック分析は、対照を含む上位候補について設定した。
【0220】
標準的なNHS/EDCカップリング化学反応を使用して、マウス抗HSA抗体をCM5チップ上に固定化した。典型的には、固定化レベルは10,000から12,000RUの間であった。vWF−HSA(単量体及び二量体)の各バッチを、0.1〜1μg/mlの範囲の様々な濃度で、各フローセルの単一スポット上に2分間捕獲した。捕獲レベルは、40〜150RUの範囲であった。抗vWFは固定化されているが、vWF−HSAは捕獲されていない隣接するスポットを参照として使用した。捕獲は、FVIII結合分析前のすべてのサイクルで実施した。
【0221】
FVIIIを、相互作用の親和性及び分析のpHに応じた変動濃度で、すべてのフローセルのすべてのスポット上に無作為に且つ二重に注入した。FVIIIの結合及び解離を、生じている相互作用に最も適する様々な時間枠にわたってモニターした。
【0222】
解離期間後に、25mMグリシンpH2.6を30秒注入して表面を再生した。全体にわたってランニングバッファーは、10mM HEPES、150mM NaCl、10mM Naクエン酸、2.5mM CaCl
2、0.1%BSA、pH7.3及びpH5であり、一方、流速は30μl/分であった。各相互作用は、37℃で4回(n=4)測定した。
【0223】
参照スポットへの結合に対する反応を、vWF−HSA捕獲スポットの反応から引いた。次いで、ブランク注入からの反応を、すべての他の試料の反応から引いて、ダブルリファレンスしたセンサーグラムを得た。ダブルリファレンスしたセンサーグラムを、マストランスポートリミテーションについての項目を含む1:1カイネティックモデルに当てはめた。結合及び解離速度は全体的に当てはめ、Rmaxは局所的に当てはめた。得られた結果を表21及び表22に示す。
【表5】
【表6】
【表7】
【表8】
【表9】
【表10】
【表11】
【表12】
【表13】
【表14】
【表15】
【表16】
【表17】
【表18】
【表19】
【表20】
【表21】
【表22】
【0224】
(例3)
PCT/AU2015/050369に開示されている研究の延長において、さらなる変異と変異の組み合わせを、D3ドメインの改変に重点を置いて検討した。これらの実験では、組換え型のFVIIIを使用した。このFVIIIは、Zollnerら 2013、Thrombosis Research、132:280〜287に記載されている。
【0225】
方法
vWF(763〜1242)−HSAをコードし、表23に列挙した単一変異、二重変異又は三重変異を含有するプラスミド構築物を使用し、例2に記載されている方法を使用して、精製vWF−HSA二量体タンパク質を生成した。pH7の詳細なカイネティック分析は、対照を含む上位候補について設定した。
【0226】
標準的なNHS/EDCカップリング化学反応を使用して、マウス抗HSA抗体をCM5チップ上に固定化した。典型的には、固定化レベルは約14,000RUであった。vWF−HSAの各二量体突然変異体を、0.1〜1μg/mlの範囲の様々な濃度で、各フローセルの単一スポット上に2分間捕獲した。捕獲レベルは、100〜200RUの範囲であった。抗HSAは固定化されているが、vWF−HSAは捕獲されていない隣接するスポットを参照として使用した。捕獲は、FVIII結合分析前のすべてのサイクルで実施した。初回実験において、第VIII因子は、すべてのスポット並びに5、1及び1.25nMで使用するすべてのフローセル上に無作為に且つ二重に注入した。この分析の結果を表23に示す。
【表23】
【0227】
(例4)
詳細なカイネティック分析
その後の実験を実施し、pH7の詳細なカイネティック分析を、対照を含む上位2つの候補について設定した。第VIII因子を1、0.5、0.25、0.125及び0.06nMで注入した。同様の方式で、対照を含む上位2つの候補の詳細なカイネティック分析をpH5.5で設定し、相互作用に最も適した様々な濃度で第VIII因子を注入した。
【0228】
すべての実験を通して、バッファーブランクもすべての捕獲タンパク質に注入した。第VIII因子の結合及び解離を、「スクリーニング」実験中にそれぞれ3分間モニターした。CSL627の結合を5分間モニターし、解離は中性pHでの「詳細なカイネティック分析」実験中に20分間及び60分間モニターした。pH5.5では、第VIII因子の結合及び解離を最も相互作用に適した様々な時間枠でモニターした。
【0229】
解離期間後に、25mMグリシンpH2.6を45秒注入して表面を再生した。全体にわたってランニングバッファーは、10mM HEPES、150mM NaCl、10mM Naクエン酸、2.5mM CaCl
2、0.1%BSA、pH7.3及びpH5.5であり、一方、流速は30μl/分であった。各相互作用は37℃で少なくとも2回(n=2)測定した。
【0230】
参照スポットへの結合に対する反応を、vWF−HSA捕獲スポットの反応から引いた。次いで、ブランク注入からの反応を、すべての他の試料の反応から引いて、ダブルリファレンスしたセンサーグラムを得た。ダブルリファレンスしたセンサーグラムを、マストランスポートリミテーションについての項目を含む1:1カイネティックモデルに当てはめた。結合及び解離速度は全体的に当てはめ、Rmaxは局所的に当てはめた。得られた結果を表24及び表25並びに
図1〜3に示す。
【表24】
【表25】
【0231】
(例5)
さらなるカイネティック分析
方法の概要:
次いで、同じ実験方法を使用して、さらなる変異の組み合わせを作製し、詳細なカイネティック分析を実施した。
【0232】
標準的なNHS/EDCカップリング化学反応を使用して、マウス抗HSA抗体をCM5チップ上に固定化した。典型的には、固定化レベルは約14,000RUであった。D’D3−HSAの各二量体突然変異体を、0.2〜0.7μg/mlの範囲の様々な濃度で、各フローセルの単一スポット上に2分間捕獲した。捕獲レベルは、50〜250RUの範囲であった。抗HSAは固定化されているが、D’D3−HSAは捕獲されていない隣接するスポットを参照として使用した。捕獲は、FVIII(CSL627)結合分析前のすべてのサイクルで実施した。
【0233】
CSL627は、すべてのフローセルのすべてのスポット上に無作為に且つ二重に注入した。中性pHで、CSL627を1、0.5、0.25、0.125及び0.06nMで注入した。結合を5分間モニターし、一方、解離は1nM濃度で20分間及び1時間モニターした。バッファーブランクも注入した。pH5.5で、CSL627は、様々な濃度で、及び生じている相互作用に最も適する時間枠で注入した。
【0234】
解離期間後に、25mMグリシンpH2.6を45秒注入して表面を再生した。全体にわたってランニングバッファーは、10mM HEPES、150mM NaCl、10mM Naクエン酸、2.5mM CaCl
2、0.1%BSA、pH7.3及びpH5.5であり、一方、流速は30μl/分であった。各相互作用は37℃で4回(n=4)測定した。
【0235】
参照スポットへの結合に対する反応は、vWF−HSA捕獲スポットの反応から引いた。次いで、ブランク注入からの反応を、すべての他の試料の反応から引いて、ダブルリファレンスしたセンサーグラムを得た。ダブルリファレンスしたセンサーグラムを、マストランスポートリミテーションについての項目を含む1:1カイネティックモデルに当てはめた。結合及び解離速度は全体的に当てはめ、Rmaxは局所的に当てはめた。
【0236】
結果を表26及び表27並びに
図4及び
図5に示す。
【表26】
【表27】
【0237】
(例6)
PK分析及びFVIII半減期への影響
方法
Hu vWF D’D3−FP S764E;S766Y変異体を発現する安定なCHO由来細胞系は標準的な実験方法を使用して生成した。材料は10Lバイオリアクターで安定細胞系から生成し、vWF D’D3−FP S764E;S766Y二量体は前述のようにして精製した。
【0238】
野生型及びvWF D’D3−FP S764E;S766Y変異体のFVIIIレベルに対する相対的な影響を評価するため、CDラット(3匹/群)に、組換えFVIII(200IU/kgのCSL627)及びvWF−FPタンパク質の組み合わせを表9に示す用量で投与した。静脈内投与の0、3、8、24、48、56及び72時間後に血漿試料を採取し、Asserachrom FVIII:Ag ELISAを使用して、FVIIIレベルを決定した。次いでこのデータを使用し、表29に示すFVIII半減期及び平均滞留時間を決定した。
【表28】
【0239】
結論:
初期スクリーニングから、変異:S764P、S766W、V1083A(PWA突然変異体と呼ばれる)及びS764G、S766Y、V1083A(GYA突然変異体と呼ばれる)を有するD’D3−HSAは、第VIII因子に対して最も高い親和性と最も遅い解離速度を有するように思われた。
【0240】
中性pHで、CSL627(第VIII因子)に対して最も改善された親和性と解離速度を有するvWF D’D3−HSA突然変異体二量体は、5pMのKDと10
−5l/sの解離速度を有するS764G/S766Y/V1083A(GYA)、S764E/S766Y/V1083A(EYA)、及びS766Y/V1083A(YA)である。これは、野生型二量体と比較して、親和性が約20倍改善され、解離速度が約40倍改善されている。
【0241】
酸性pHで、CSL627に対して最も改善された親和性と解離速度を有するvWF D’D3−HSA突然変異体二量体は、500pMのKDと10
−3l/sの解離速度を有するEYAであった。これに基づくと、EYAの親和性及び解離速度の改善は、野生型二量体と比較して、それぞれ約100倍及び少なくとも10倍である。
【0242】
EYA二量体は、中性pH及び酸性pHの両方で、S764P/S766Iと同様のカイネティック速度とCSL627に対する親和性を有するように思われた。