特許第6851444号(P6851444)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6851444内部混合・ガスカートリッジを備える消火器
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6851444
(24)【登録日】2021年3月11日
(45)【発行日】2021年3月31日
(54)【発明の名称】内部混合・ガスカートリッジを備える消火器
(51)【国際特許分類】
   A62C 13/76 20060101AFI20210322BHJP
【FI】
   A62C13/76 B
【請求項の数】8
【外国語出願】
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2019-161821(P2019-161821)
(22)【出願日】2019年9月5日
(62)【分割の表示】特願2017-521069(P2017-521069)の分割
【原出願日】2015年6月22日
(65)【公開番号】特開2020-6198(P2020-6198A)
(43)【公開日】2020年1月16日
【審査請求日】2019年9月11日
(31)【優先権主張番号】14/704,820
(32)【優先日】2015年5月5日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】14/313,761
(32)【優先日】2014年6月24日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】516385929
【氏名又は名称】ルソー,インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100140109
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 新次郎
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100120112
【弁理士】
【氏名又は名称】中西 基晴
(74)【代理人】
【識別番号】100137039
【弁理士】
【氏名又は名称】田上 靖子
(72)【発明者】
【氏名】ルソー,ランディ
(72)【発明者】
【氏名】ルソー,ヘクター
(72)【発明者】
【氏名】バローズ,ライアン・エイチ
(72)【発明者】
【氏名】シーモア,ジャストゥン・シー
【審査官】 村山 禎恒
(56)【参考文献】
【文献】 実開昭60−104152(JP,U)
【文献】 実開昭54−106100(JP,U)
【文献】 米国特許出願公開第2009/0188681(US,A1)
【文献】 欧州特許出願公開第1961458(EP,A2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A62C 2/00−99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
持ち運び可能な消火器のための穿孔機構であって、前記持ち運び可能な消火器は、火炎抑制物質(99)を保持するように構成されたチャンバ(22)と、前記持ち運び可能な消火器が使用者によって作動されたときに前記チャンバ(22)を加圧するように構成された加圧ガスカートリッジ(50)と、を備えており、
前記穿孔機構は、
リフトプレート(55)と、
前記リフトプレート(55)に接続された穿孔ピン(62)であって、前記加圧ガスカートリッジ(50)から前記持ち運び可能な消火器の前記チャンバ(22)にガスを放出するために前記加圧ガスカートリッジ(50)に穴を開けるように構成された穿孔ピン(62)と、
前記リフトプレート(55)に接続されたトリガ機構(60)であって、前記トリガ機構(60)が第1の位置から第2の位置へ移動することにより、前記リフトプレート(55)と前記穿孔ピン(62)の対応する移動が生じ、前記穿孔ピン(62)が前記加圧ガスカートリッジ(50)に穴を開けて、前記ガスカートリッジ(50)から前記チャンバ(22)へ前記ガスを放出するように構成されたトリガ機構(60)と、を備え、
前記持ち運び可能な消火器が、前記加圧ガスカートリッジ(50)への使用者のアクセスを遮断することができるように移動可能な安全ノブ(72)を備えており、前記トリガ機構(60)の前記第1の位置から前記第2の位置への移動は、前記安全ノブ(72)の移動によって許容される、
穿孔機構。
【請求項2】
請求項1に記載の穿孔機構であって、
前記トリガ機構(60)の移動は、前記トリガ機構(60)の前記チャンバ(22)に向かう下向きの移動と、前記リフトプレート(55)および穿孔ピン(62)の前記チャンバ(22)から離れる上向きの移動を含む、穿孔機構。
【請求項3】
請求項1に記載の穿孔機構であって、
前記穿孔ピン(62)は、前記加圧ガスカートリッジ(50)を受け入れるように構成される、ねじ切りされたリテーナ(56)に接続される、穿孔機構。
【請求項4】
請求項1に記載に記載の穿孔機構であって、
前記リフトプレート(55)は、戻しばね(54)によって前記加圧ガスカートリッジ(50)から離れるように付勢されている、穿孔機構。
【請求項5】
持ち運び可能な消火器(19)を作動する方法であって、前記持ち運び可能な消火器は、火炎抑制物質(99)を保持するように構成されたチャンバ(22)と、前記持ち運び可能な消火器が使用者によって作動されたときに前記チャンバ(22)を加圧するように構成された加圧ガスカートリッジ(50)と、を備えており、
前記方法は、
1の安全ノブ位置から第2の安全ノブ位置に安全ノブ(72)を移動させ、これにより、前記加圧ガスカートリッジ(50)への使用者のアクセスを遮断すると共にトリガ機構(60)のロック状態を解除する工程と、
第1のトリガ位置から第2のトリガ位置に前記トリガ機構(60)を移動させる工程と、
を備え、
前記トリガ機構(60)を移動させる工程は、前記加圧ガスカートリッジ(50)に穴を開け、これにより、前記加圧ガスカートリッジ(50)から前記チャンバ(22)内にガスを放出するように、前記トリガ機構(60)に接続された穿孔ピン(62)を移動させる工程を含む、方法。
【請求項6】
請求項5に記載の方法であって、
前記トリガ機構(60)のロック状態を解除する工程は、いたずら表示部(73)を解放する、または押し出す工程を含む、方法。
【請求項7】
請求項5に記載の方法であって、
前記第1のトリガ位置から前記第2のトリガ位置に前記トリガ機構(60)を移動させる工程は、前記トリガ機構(60)を第1の方向に移動することを含み、
前記穿孔ピン(62)を移動させる工程は、前記穿孔ピン(62)を前記第1の方向と反対の第2の方向に移動させることを含む、方法。
【請求項8】
請求項5に記載の方法であって、
さらに、前記穿孔ピン(62)を前記加圧ガスカートリッジ(50)から離れるように付勢するために戻しばねを使用することを含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
[0001]本出願は、2014年6月24日に出願された出願14/313,761の一部継続出願である、2015年5月5日に出願された本出願人の同時係属出願14/704,820の一部継続出願であり、これらのその内容全体が参照により本明細書に明確に組み込まれる。
【0002】
[0002]本発明は持ち運び可能な消火器の改良に関する。より詳細には、本発明は、消火媒体を消火器の外に押し出す推進剤を提供する交換可能なガスカートリッジを使用する消火器に関する。
【背景技術】
【0003】
[0003]多くの持ち運び可能な消火器は、継続的に加圧されるチャンバの中に消火粉末が含まれるような同様のデザインを有する。このタイプの消火器は、各州の消防保安官によって発せられる認定を受けた、訓練を積んだ有資格の技術者によって行われるスケジュール管理される維持管理を必要とする。この維持管理には、消火器の排出、洗浄および再充填が伴われる。定期的に行われない場合、チャンバ内の粉末が固まった状態となり、および/または、チャンバ内の圧力が漏洩する可能性があり、計量分配ノズルの外へ粉末を推進するのに不十分となる可能性がある。維持管理が正確に行われない場合、消火粉末による水分吸収が固化を引き起こして計量分配ノズルを遮断することになる。上で言及した状態は、必要時に消火粉末が適切に計量分配されるのを妨げることになる。
【0004】
[0004]現在の消火器は、一定の圧力および裂傷の進行を原因として摩損しやすく、また、裂けやすい。消火器は整備されるときに再利用チャンバへの排出が行われ、すべての部品を分解して洗浄しなければならない。すべての圧力リングを交換しなければならず、次いで、すべての部品を再び組み立てなければならず、ここでは、チャンバを加圧する前に新しい粉末がチャンバ内に配置されることになる。現在の消火器のこのような整備は、しばしば、火を消すのに使用される場合よりも消火器に摩損および裂傷を引き起こす。
【0005】
[0005]2001年2月20日にJamesに発行された米国特許第6,189,624号、および、1997年9月2日にYamazaki Tomokiに発行された日本特許第9,225,056号が消火機構を開示しており、ここでは、チャンバが継続的に加圧されず、加圧されるカートリッジが、チャンバ内に統合される分離した実在物である。これらの特許は分離した加圧されるカートリッジを開示しているが、カートリッジは、整備を行うこと、交換すること、または、検査すること、が容易であるような場所に位置しない。これにより、加圧されるカートリッジのチャージレベルを決定するための能力が最小レベルとなる。
【0006】
[0006]1951年2月13日にC H Smithに発行された米国特許第2,541,554号(「US’551」)、および、2002年11月2日にGlavatski
G. D.らに発行された露国特許RU2,209,101(「RU’101」)が、外部のCOガスカートリッジを備える消火器を開示している。US’554の場合、COガスカートリッジが消火器チャンバの上に着座し、消火器のハンドル内に統合されない。RU’101の場合、COガスカートリッジが消火器の外部にあり、パイプまたはホースを用いて消火器に接続される。これらの特許のいずれもチャンバの外部にあるCOカートリッジを開示しているが、これらのいずれもハンドル内に配置されないことから、消火器の構造を検査および交換を行うことが簡易であるようなものとすることが可能と
なっていない。
【0007】
[0007]すべてHector Rousseauに発行されたものである、2006年11月21日に発行された米国特許第7,128,163号、2008年1月15日に発行された米国特許第7,318,484号、および、2010年9月14日に発行された米国特許第7,793,737号が、ハンドル内にあるガスカートリッジと、撹拌(fluffing)機構とを備える消火器を開示している。これらの特許は同様の特徴を有するが、ガスカートリッジが垂直方向の上向きに排出を行うように方向付けられる。COなどの圧縮液化ガスを含むカートリッジからガスが排出されるとき、カートリッジとの熱力学平衡状態を維持するために含まれる液体からの蒸発を引き起こさなければならない。蒸発を引き起こすのには熱が必要であり、圧縮液化ガスの温度および圧力は、カートリッジの周囲環境から利用可能である熱が不十分である場合には低下する。COの圧力が517kPa(75psig)未満まで低下する場合、液体COが凝固してドライアイスになる。カートリッジ式の消火器は、通常、カートリッジに穴を開けた直後に使用されることから、生成されたドライアイスがガスへと相変化して消火器の効果的な排出を行うのに貢献するための十分な熱を吸収する時間を有さない。この影響は環境温度が低い場合に強まり、市販される既存のカートリッジ式の消火器では、−40℃の条件で、COチャージの量の40%を無駄にすることが測定されている。しかし、通常の排出中にこのガスが未使用である場合であっても、消火器は完全な加圧ガスの負荷に基づいて構造的に設計されなければならず、それにより最適なデザインとはならなくなる。加えて、COの膨張により温度が低下することを原因としてドライアイスまたは凍結したバルブにより流れ経路が遮断されるおそれを最小にするために、COの独自の性質に基づき、消火器の主チャンバとカートリッジとの間の経路が複雑になるのを回避しなければならない。
【0008】
[0008]加圧消火器を用いる場合に存在する加圧状態を原因として、チャンバ内の圧力を常に維持しなければならないという構造的要求のために、粉末を消火器内に配置するところの開口部が制限されてしまう。提示している出願は外部のガスカートリッジを提供することによりこの必要性を排除し、それにより、チャンバを通常は加圧されない状態で存在させることが可能となる。チャンバが圧力を受けないことで、消火器の頂部開口部を拡大することが可能となり、それにより、消火器を粉末で充填することまたはチャンバ内の粉末の量および/または状態をチェックすることが容易になる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
[0009]ガスカートリッジが液体推進剤のみを消火器の本体の中に排出するように方向付けられ、また、消火器がチャンバの外部からアクセス可能である撹拌器(fluffer)をさらに有し、また、チャンバが消火器を充填するための拡大された頂部開口部を有するような、交換可能なガスカートリッジを備える消火器が必要とされる。提案される消火器は、この解決策を、下向きに排出を行うように方向付けられる外部のガスカートリッジと、内部撹拌器を始動するための外部機構と、大きい開口部とを備える消火器を提供することにより、実現する。圧縮液化ガスを下向きに排出することにより液体が消火器内へ排出され、そうすることで、カートリッジ内の温度および圧力を三重点より上で維持するために必要な蒸発を引き起こす量とほぼ同等の量の熱をカートリッジが吸収することが必要なくなり、それにより推進剤が凝固することが回避される。圧縮液化COの場合、このような概念では、消火器の前提条件が−40℃である場合でもほぼ100%のCOをカートリッジから排出することが実験的に実証されている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
[0010]この消火器の目的は、整備要員が保護エリアに入ることの必要性を排除することである。消火器が高い水準の整備を受けることができ、自動の「自己整備」により動作す
ることができ、および/または、所有者またはエンドユーザーにより手動で整備され得る。これにより、非従業員を事業者および行政のプライバシーのエリア(privacy of business and government area)に入らせることの必要性が排除される。この消火器は、特別注文の装置を必要とすることなく、最小の訓練で、動作され得、維持され得、再充填され得、チャージされ得る。
【0011】
[0011]消火器を保護エリア内に配置する場合には、消火器の外部からの整備および維持管理を減らすことが理想的である。これにより、テロリストが消火器を武器として利用したりまたは保護エリアに立ち入るために消火器の整備員として偽名を使用したりすることの可能性が低減または排除されることになる。
【0012】
[0012]この消火器の目的は、外部のガスカートリッジを備える消火器を提供することである。倒立の外部のガスカートリッジにより、ガスカートリッジ内の液体が消火器の中に直接的に吐出されることが可能となる。他の用途で使用されるCOカートリッジまたは窒素カートリッジなどの広く受け入れられているガスカートリッジがこの消火器と共に動作するように適合され得る。ガスカートリッジはチャンバの外部にあることから、消火器全体を交換することなく容易に交換され得るかまたは取り替えられ得る。これにより、多数の消火器を一度に整備する場合に大きい利益が得られる。
【0013】
[0013]この消火器の別の目的は、外部からアクセス可能な任意選択の撹拌機構を備える消火器を提供することである。撹拌機構のサイズ、構造および必要性は、消火器のサイズに基づいてよい。外部からアクセス可能な撹拌機構は、粉末が固化するのを防止することを目的として、粉末を、フラフィングした状態、掻き混ぜた状態、撹拌した状態、または、乱した状態で維持するために、および、火の上に適切に排出されるようにするために粉末を液化状態で維持するために、チャンバ内の粉末が架橋(bridging)するのを防止するのを促進する。撹拌は、チャンバ内に位置する、パドル、フラッパ、チェーン、棒、または、他の混合機構を用いて達成される。混合機構は、チャンバの頂部、底部または側部にある接続部を用いてアクセスされ、手動で動作させられ得るかまたは何らかのタイプのツールを用いて動作せられ得る。
【0014】
[0014]この消火器の別の目的は、拡大された充填用開口部を備える消火器を提供することである。拡大された充填用開口部により、チャンバを充填することおよび/またはチャンバを空にすることがより容易になり、より高速化される。また、チャンバ内の粉末の状態を視覚的に検査するために頂部が容易に取り外され得る。
【0015】
[0015]この消火器のさらに別の目的は迅速に開閉される頂部ハウジングを提供することであり、それにより使用者が消火器を迅速に開けて再充填することが可能となる。また、これにより、火の種類に基づいて消防士が所望の消火媒体を装填することが可能となる。
【0016】
[0016]同様の参照符号が同様の構成要素を表している添付図面と併せた、本発明の好適な実施形態の以下の詳細な説明から、本発明の種々の目的、特徴、態様および利点がより明らかとなる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】[0017]消火器を示す斜視図である。
図2】[0018]消火器を示す断面図である。
図3】[0019]計量分配バルブを示す詳細図である。
図4】[0020]消火器のヘッドを示す断面図である。
図5A】[0021]消火器の排出を行う前の安全装置を取り外す段階を示す図である。
図5B】消火器の排出を行う前の安全装置を取り外す段階を示す図である。
図5C】消火器の排出を行う前の安全装置を取り外す段階を示す図である。
図6】[0022]加圧ガスカートリッジ穿孔機構を示す詳細図である。
図7】[0023]穿孔ピンを示す詳細断面図である。
図8】[0024]加圧ガスの向きに基づく、発生するドライアイスの量を示すグラフである。
図9】[0025]撹拌・吸い上げ管を示す図である。
図10】[0026]複数の吸い上げ吸入口および撹拌アームの細部を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
[0027]図1が消火器19の外部斜視図を示す。消火器19は、底部ハウジング20および頂部ハウジング30を備える概略円筒形状である。好適な実施形態では、底部ハウジング20および頂部ハウジング30はプラスチックなどの軽量弾性材料から作られるが、鋼、真鍮、銅またはアルミニウムを含めた他の材料で作られもよい。底部ハウジング20はまた、消火器19内で視覚的な検査を行うのを可能にする透明材料から製造されてもよい。頂部ハウジング30は底部ハウジング20上にねじ留めされるが、バイオネット機構またはラッチ機構を用いて取り付けられてもよい。底部ハウジング20が、火炎抑制物質で底部ハウジング20をより容易に充填するのを可能にするための拡大された開口部を有する。壁掛け機構が消火器19の頂部ハウジング30に組み込まれ得るか、あるいは、底部ハウジング20の本体に巻き付けられ得るかまたは消火器19の頂部ハウジング30をフォーク状にしてもよい。
【0019】
[0028]図1および2を参照すると、ハンドル40が操作者が把持領域41を通過させるように手を配置することにより消火器19を保持するのを可能にする。これにより、移送されるときまたは使用されるときに消火器19が直立姿勢で保持され得るようになる。また、消火器19は直立姿勢で保管および/または移送され得るが、消火器19の保管および動作に関して直立姿勢であることが重要というわけではない。ハンドル40および頂部ハウジング30内で部分的に、交換可能な加圧ガスカートリッジ50がハンドル40の透明部分42の下に位置する。透明部分42は、消火器19内に加圧ガスカートリッジ50が設置されていることを確認する能力を提供する。好適な実施形態では加圧ガスカートリッジ50は部分的にハンドル40および頂部ハウジング30の中にある状態で示されるが、別の配置も考えられる。
【0020】
[0029]交換可能な加圧ガスカートリッジ50はCOの圧縮ガスカートリッジから本質的に構成されるが、火の広がりを促進しないような別の種類のガスのカートリッジも可能である。カートリッジ内のガスは高い圧力を受け、可能性として液体状態であることから、消火器19の内部の火炎抑制物質99を放出するのに、推進剤の小さいカートリッジが必要となる。また、このデザインの発明性から逸脱することなく、より大きい消火器に対応するために複数のガスカートリッジが使用され得ることも企図される。消火器19の全体を整備することを必要とすることなく、加圧ガスカートリッジが利用可能であり、交換または整備され得る。ハンドル40およびその透明部分42が、消火器19が落下したりまたは粗雑に取り扱われたりする場合に加圧ガスカートリッジ50を保護する。トリガ機構60が、チャンバ22を加圧してホース81および出口ポート90の中へさらにはその外へ火炎抑制物質99を放出するために、加圧ガスカートリッジ50を起動する。
【0021】
[0030]本文献のいくつかの図が可撓性ホース81を示して説明するが、企図されるいくつかの実施形態が、ダクト、中空通路またはノズル97を含むことができ、ここでは、消火媒体が消火器の本体からノズル97を出るように通過して火を消す。制御バルブレバー92が出口ポート90を開閉し、つまり、チャンバの加圧時に火炎抑制物質99が消火器からあふれ出すのを防止する。ノズル97が使用される場合、制御バルブが、消火器から出る消火媒体の流れを制御するためにノズルの近くに位置してよい。加圧ガスカートリッ
ジの穿孔機構およびガスカートリッジ50からチャンバ22への経路が図2に示されて説明されている。
【0022】
[0031]図2が消火器19の断面図を示す。操作者がハンドル40の把持領域41を通過させるように自分の手またはグローブを配置することができ、どちらかの手を用いて消火器19を担持、移送または使用することができる。頂部ハウジング30が底部ハウジング20から外されるとき、火炎抑制物質99が、拡大された円筒形開口部70を通して底部ハウジング20内のチャンバ22の中に配置される。経時的に火炎抑制物質99がチャンバ22の底部内で圧縮されて固まった状態となる。火炎抑制物質99が固まった状態になると、不適切に排出されるおそれが増す。消火器19内で、複数の撹拌アーム120が中央シャフト110上に配置される。撹拌ホイール100が消火器19の下側からアクセスされ得る。撹拌ホイール100を回転させることで火炎抑制物質99が再び撹拌されることになり、消火器19から抑制物質99が不適切に排出されるおそれが最小となる。撹拌ホイール100を回すことにより、フードミキサで見られ得るように火炎抑制物質99が同様にほぐれることになる。
【0023】
[0032]ポリカーボネートは透明の底部ハウジング20を提供するための費用対効果の高い1つの候補であるが、ABCドライケミカルの主成分であるアンモニアガスにポリカーボネートが接触すると、材料の劣化が起こることから、特に高い温度においては、直接の露出からポリカーボネートを隔離または保護することが必要である。ポリカーボネート材料を使用する場合、底部ハウジング20の内部が、好適には、シロキサンのベースまたはその均等物を備える透明の保護コーティング21で被覆される。このコーティング21は耐薬品性および耐摩耗性を向上させ、さらには、紫外線防護も実現する。コーティング21は、リン酸モノアンモニウムおよび放出される任意のアンモニアガスに対してのポリカーボネートの露出を隔離するために多数の同様な方法で適用されてもよい。コーティング21が必要な耐薬品性を提供し、対して、ポリカーボネートの底部ハウジング20が必要な強度および耐衝撃性を提供する。
【0024】
[0033]企図される別の実施形態では、底部ハウジング20が2つの別個のシリンダからの透明シリンダとして構成され、ここでは、内側シリンダ21が底部ハウジング20の外側シリンダ23内に挿入される。これは、トリタン、アクリル、スチレンアクリロニトリル、または、同等に機能する他の材料の透明の内側シリンダをポリカーボネートの外側シリンダ23の中に挿入成形することによって達成され得る。外側シリンダ23がポリカーボネートである場合、組立体に必要な強度および耐衝撃性を提供するように機能し、一方で、内側シリンダ21がリン酸モノアンモニウムに必要な耐薬品性を提供する。これらの実施形態では、底部ハウジング20の外側シリンダ23が過酷な環境または衝撃からダメージを受ける場合に確実に安全に動作させるのに、内側シリンダ21の強度で十分となり得る。
【0025】
[0034]消火器19の中から火炎抑制物質99を放出する場合、操作者が加圧ガスカートリッジ50に穴を開けなければならない。加圧ガスカートリッジ50がねじ部52によって固定されるか、または他の形で消火器19の頂部ハウジングの中に固定される。頂部ハウジング30内で、交換可能な加圧ガスカートリッジ50がハンドル40の透明部分42の下に位置する。ハンドル40およびその透明部分42が消火器の落下時に加圧ガスカートリッジ50を保護し、さらには、消火器19内に加圧ガスカートリッジ50が設置されていることを操作者が確認するのを可能にする。加圧ガスカートリッジ50に穴を開ける場合、操作者がトリガ機構60を降下させるかまたは回転させ、トリガ機構60が穿孔ピン62を加圧ガスカートリッジ50の中に押し込む。トリガ機構60および穿孔ピン62の細部が図6および7により詳細に示されて説明されている。加圧ガスカートリッジ50に穴が開けられると、ガスおよび/または液体がチャンバ22の中に押し込まれる。
【0026】
[0035]液化ガスが加圧ガスカートリッジ50から排出されるとき、加圧ガスカートリッジ50内で熱力学平衡状態を維持するために含まれる液体からの蒸発を引き起こさなければならない。熱力学平衡状態の熱(thermodynamic equilibrium heat)を維持するために蒸発を引き起こすことが必要である。カートリッジの周囲環境からの利用可能である熱が不十分である場合には圧縮液化ガスの温度および圧力が低下することになる。液化COの場合、圧力が517kPa(75psig)未満まで低下すると、液体COが凝固してドライアイスになる。ドライアイスが生成される場合、ドライアイスは、ドライアイスを加熱してガスへと相変化させて消火器19の効果的な排出に貢献するように周囲の熱質量を十分に吸収するための時間を有さない。
【0027】
[0036]ドライアイスの生成は低温の場合に悪化する。ULおよびCSAなどの試験実施機関は、−40℃(−40°F)まで低下した温度で消火器を動作させることを求めている。排出ポートを頂部に置くように垂直位置となるように、COを用いる加圧ガスカートリッジが方向付けられる場合(つまり、ねじ部52が上側位置にある)、試験により、消火器の排出の完了後に、最大40%(質量)のCOがドライアイスの形態を維持する可能性があることが示された。加圧ガスカートリッジ50がCOを含み、倒立の向きになるように方向付けられる場合(つまり、ねじ部52が下側位置にある)、温度および圧力を三重点より上で維持するために加圧ガスカートリッジ50からの液体COを蒸発させるための量とほぼ同等の量の熱をカートリッジが吸収することが必要なくなり、それによりカートリッジ50内でドライアイスを生成することが回避される。このような概念では、消火器が−40℃(−40°F)を前提条件とする場合でもほぼ100%のCOをカートリッジから排出することが実験的に実証されている。COがチャンバ22に入ると、液体COをガスのCOに迅速に変換するのに比較的大きな体積内に十分な熱と表面積とが得られる。
【0028】
[0037]火炎抑制物質99とガスとの混合物が中央シャフト110さらには頂部ハウジング30内の流れ経路80を通るように押し込まれ、ここでは、これらの混合物は手動で動作可能であるバルブ95までホース81を通して押し込まれ、出口ポート90から外へ放出される。中央シャフト110が一体の吸い上げ管112を有し、ここでは、火炎抑制物質99が、一体の吸い上げ管112を通して中央シャフト110の底部にある複数の孔の中に押し込まれる。計量分配ノズル96が、バルブ95を開閉するための制御棒94と共に動作するバルブ95を有する。制御棒94がばね93を用いてバルブ95を閉じた状態で保持する。操作者がばね93に打ち勝つように制御バルブレバー92を押し下げ、バルブ95を開く。計量分配ノズル96はいずれかの手によって動作させられ得る。これが図3により詳細に示されて説明されている。
【0029】
[0038]図3が計量分配ノズル96の詳細図を示す。この図は、ハンドル40および把持領域41の一部分を示す。頂部ハウジング30が、消火器19の中から頂部ハウジング30を通る流れ経路80を有する。バルブ95が閉位置にある場合、加圧ガスカートリッジ50に穴が開けられた後で、消火器19が加圧状態を維持することができる。この「準備」状態では、消火器19内の圧力および火炎抑制物質99のすべてがバルブ95によって制御される。計量分配ノズル96が、制御棒94に接続されるバルブ95を有する。制御棒94が引き戻されると、ホース81から出口ポート90まで流れることが可能となる。
【0030】
[0039]操作者が片手で消火器19の計量分配ノズル96を保持することができ、同じ片方の手を用いてレバー92を動作させることができる。次いで、操作者が火の方に計量分配ノズル96を向けることができる。レバー92が押し下げられると、レバーがばね93を押圧し、制御棒94を摺動させてバルブ95を開ける。バルブ95が開けられると、火炎抑制物質99が出口ポート90から流れ出る。レバー92が解放されると、ばね93が
バルブ95を閉じ、それにより火炎抑制物質99がさらに計量分配されることが防止される。これにより、消火器19のチャンバ22内の圧力が維持される。
【0031】
[0040]図4が消火器19の頂部ハウジング30の断面図を示す。ハンドル40が、操作者が把持領域41を通過させるように手を配置することにより消火器19を保持するのを可能にする。トリガ機構60がリフトプレート55に接続され、このリフトプレート55が、ハンドル40の透明部分42の下の、加圧ガスカートリッジ50の密閉端部の中へと穿孔ピン62を持ち上げる。加圧ガスカートリッジ50がねじ部52によって固定されるか、または他の形で頂部ハウジング30の中に固定される。トリガ機構60および穿孔ピン62の細部が図5および6により詳細に示されて説明されている。カートリッジ50が圧縮液体COで充填される場合、加圧ガスカートリッジ50と消火器19の内部との間の流れ経路が、流れ経路を遮断するかまたは制限する可能性があるドライアイスが生成するおそれを制限するために可能な限り滑らかでなければならない。底部ハウジング20が頂部ハウジング30に接続されて示されている。バルブ95が開けられると、ガスカートリッジ50からのCOまたは圧縮ガスからの静圧が火炎抑制物質99を中央シャフト110の開口部の中へと下方に押し込んでさらには一体の吸い上げ管112を上方へと通過させ、流れ経路80を通してホース81まで押し込む。頂部ハウジング30に対してシール109に漏れがある場合、ガスカートリッジ50からのガスが抑制物質99を迂回して流れ経路80の中へと直接的に移動して最終的に出口バルブ95に入り、それにより抑制物質99の範囲が縮小され、排出量が低減される。頂部ハウジング30に対してシール109を適切に組み付けるために、頂部ハウジング30に対して底部ハウジング20を設置するときに、頂部ハウジング30の誘導用の特徴部分が中央シャフト110を捕捉する。
【0032】
[0041]図5A、5Bおよび5Cが、消火器19の排出が行われる前の安全ノブ72を再配置する段階を示す。図5Aの初期段階は、起動前に消火器19がどのように存在するかである。この位置では、安全ノブ72がトリガ機構60が移動するのを制限する。安全ノブ72は本質的に長方形であり、それにより、一方の向きにおいてトリガ機構60をロックするかまたは遮断しており、安全ノブ72が90度回転させられると、トリガ機構60の側部が安全ノブ72を通過することが可能となる。トリガ機構60の対向する垂直方向側部が安全ノブ72のフランジ部分76を用いて固定される。起動するのを可能にする場合、安全ノブ72が回転させられる(68)。安全ノブ72はいずれかの手によって動作させられ得る。
【0033】
[0042]図5Bでは、安全ノブ72が垂直の向きで示されており、トリガ機構60が安全ノブ72の側部を通過することが可能となっている。安全ノブ72が回転させられると、この回転により内部ピン74がいたずら表示部73を剪断して解放するかまたは外に押し出す。いたずら表示部73が解放されていることにより、消火器19が排出された可能性があり、サービス検査が必要である、ことが示される。また、安全ノブ72が垂直の向きにある場合、ハンドル40の透明部分42を開けることによるガスカートリッジ50へのアクセスが遮断されている。このデザインは、トリガ機構60をロック状態の直立の向きに戻すことなく新しい加圧ガスカートリッジ50を挿入することを防止し、それにより、挿入時に新しい加圧ガスカートリッジ50に穴が開けられることが防止される。
【0034】
[0043]図5Cでは、次いで、操作者が、トリガ機構60が下側の位置で示されている状態67(破線)まで、トリガ機構60を下方に引くかまたは押すことができる(69)。トリガ機構60が上側の位置から下側の位置67まで回転させられると、穿孔ピン62が加圧ガスカートリッジ50の中へと押し込まれて加圧ガスカートリッジ50に穴を開ける。トリガ機構60はいずれかの手で動作させられ得る。
【0035】
[0044]図6が加圧ガスカートリッジ50の穿孔機構の詳細図を示す。加圧ガスカートリ
ッジ50がねじ部52により頂部ハウジング30内のリテーナ56の中で固定される。加圧ガスカートリッジ50の端部に穴が開けられるとき、加圧ガスカートリッジ50およびねじ切りされたリテーナ56が静止状態を維持する。この図では、見易いように、一組の固定具および重複する部品が取り除かれている。トリガ機構60が軸58を中心として枢動することで、加圧ガスカートリッジ50の端部に穴を開けることにおける機械的利点が増す。トリガ機構60の自由端がリフトロッド53および戻しばね54に接続され、戻しばね54がトリガ機構60を通常の状態で維持し、通常の状態では、穿孔ピン62が加圧ガスカートリッジ50の端部に接触しない。リフトロッド53(1つのみ示される)は一体に接続され、平行な関係でリフトプレート55を持ち上げるように一斉に動作し、それにより穿孔ピン62を線形的に上昇させる。
【0036】
[0045]図7が穿孔ピン62の詳細断面図を示す。穿孔ピン62が、加圧ガスカートリッジ50の端部上のシールに穴を開けるための尖った端部61を有する。ピン62がガスカートリッジ50内の穿孔位置で保持される場合でも、部分的に中空である中央部分65がガスまたは液体のCOを加圧ガスカートリッジ50から消火器19のチャンバ22の中まで通過させるのを可能にする。穿孔ピン62がピンが加圧ガスカートリッジ50内に挿入されるときに穴のサイズを増大させるためのテーパ66を有し、テーパ66が、ばね54によって加えられる力を介してピンをカートリッジ50から容易に外に押し出すための抜き勾配(draft)を提供する。穿孔ピン62の一方の端部が組立用の特徴部分64を有
し、ここで、穿孔ピン62がリフトプレート55上に保持される。拡大シャンク63が組立用の特徴部分64と部分的に中空の中央部分65との間で穿孔ピン62を支持する。穿孔ピン62が堅固に支持されることから、落下時にまたは粗雑に使用されるときにガスカートリッジ50に誤って穴が開けられることが回避される。
【0037】
[0046]消火器は、一般に、保険業者試験所(UL:Underwriters Laboratory)などの監督官庁からの承認を必要とする。ほとんどの消火器で、ハウジングが加圧される。本文献で開示される消火器は、カートリッジ50から出て底部ハウジング20内へと膨張しなければならない液化ガスで充填される分離した加圧カートリッジ50を使用する。
【0038】
[0047]カートリッジ動作式の消火器(cartridge−operated extinguisher)の場合、薬剤の排出が開始される前に圧力を発生させることを目的として、カートリッジに穴が開けられた後で5秒の間隔が置かれてよい。消火器は、8秒以上の排出の継続時間、または、消火器の評価・火災試験の規格で規定される最小の継続時間を有するものとする。
【0039】
[0048]チャージされた消火器が垂直方向の位置で保持される場合、排出ノズルが水平方向の位置にある。次いで消火器の排出が行われることになり、ガスポイントまでの継続時間およびドライケミカルの排出量が記録される。
【0040】
[0049]垂直方向の上向きに排出される場合、周囲温度およびガスボンベの向きに基づき、多様な量のドライアイス(固体のCO)がCOカートリッジ内で保持される。対して、垂直方向の下向きに排出される場合は、最小量のドライアイスしか保持されなかった。
【0041】
[0050]図8が、加圧ガスの向きに基づいて発生するドライアイスの量のグラフを示す。このグラフは、70℃(70°F)の温度45および−40℃(−40°F)の温度46におけるドライアイスの量を示す。70℃(70°F)では、ほぼすべての姿勢位置で、ドライアイスがほとんど発生していないことが示される。−40℃(−40°F)では、ドライアイスの量が、カートリッジが垂直の向き47にあるときの40%を超える多量か
ら、または、カートリッジ48が水平の向き48にあるときの約15%を超える多量から、カートリッジ50が倒立になったとき49のほぼ0%まで移行することができる。カートリッジが消火器19の中に係合されるとき(52)、より軽量の気化したガスのCOカートリッジ50内の液体が、CO内のより重い液体をカートリッジ50の開口部の外へ押し出すという形で、倒立のカートリッジ50が液体COをカートリッジ50から外に押し出す。
【0042】
[0051]加圧液体COのカートリッジの条件を70℃(70°F)または−40℃(−40°F)とし、種々の向きで排出を行い、これらの結果が測定された。カートリッジに穴を開けて30秒後にカートリッジ内に残るドライアイスを測定した。
【0043】
[0052]図9が撹拌アーム120および一体の吸い上げ管112を示す。この好適な実施形態では、撹拌アーム120および一体の吸い上げ管112が中央シャフト110の周りにある単一のユニットとして製造される。この実施形態は撹拌アームまたはブレード120を備える吸い上げ管112を示すが、撹拌アームまたはブレード120を組み込まなくてもよいような実施形態も企図される。撹拌アームまたはブレード120を含むかどうかは、一般に、消火器の容量および定格(rating)によって決定される。中央シャフト110の底部キャップ111が消火器19の底部の中に嵌合される。底部キャップ111の周りのシールが、加圧ガスが消火器19の底部を通過して外に出るのを防止する。中央シャフト110の上側端部上のシール109は、加圧ガスが迂回して流れ経路80に直接に入って最終的に出口バルブ95に入り、それにより、抑制物質99の範囲が縮小され、排出量が低減されることを防止する。シール109、および、底部キャップ111の周りのシールは、中央シャフト110が消火器19内で回転するのを可能にする。製造を補助するために、底部キャップ111、一体の吸い上げ管112および/または撹拌アーム120は個別の部品であっても効率的な任意の形で組み合されてもよい。
【0044】
[0053]一体の吸い上げ管112が、細長い管部材119を備えるように構成され、細長い管部材119は、当該細長い管と共に成形される、ブレード120を有する。底部キャップ111が超音波溶接などにより細長い管119に固定される。
【0045】
[0054]加圧ガスカートリッジ50が倒立であることから、実質的に液化ガスのみが外に出て消火器19内で膨張してガスとなり、それにより、カートリッジ内の実質的にすべてのガスが放出される。液体/ガスが高い速度で放出されることから、音速に近い速度で移動する圧力波113が撹拌アーム120の頂部を押す。ガセット116が撹拌アーム120を支持し、撹拌アーム120が圧力波により削ぎ取られるのを防止する。短時間で、消火器19内の圧力が安定する。バルブ95が開けられると、チャンバ22内の静圧が、火炎抑制物質99を、本明細書の他の図に示される中央シャフト110の底部にある少なくとも1つの吸入口114の方に押す。
【0046】
[0055]図10が複数の吸入口114および撹拌アーム120の細部を示す。撹拌アーム120は、幅が狭く、凸形部分を有し、ジグザグ状であり、テーパ状であり(115)、それにより、回転抵抗を最小にしながら、押し込まれた火炎抑制物質99を最大限に混合するようにし、また、排出中の加圧された抑制物質99の流れを最大にする。撹拌アーム120内の孔117により、火炎抑制物質99が撹拌アーム120および支持ガセット116の周りを通過することが可能となる。液化ガスの圧力波113がアーム120を押し下げている状態で示されている。中央シャフト110の底部が複数の吸入口114を示しており、火炎抑制物質99が吸入口114の中に押し込まれるかまたは吸入口114の中へ吸い込まれ、一体の吸い上げ管112を通過し、ここでは、火炎抑制物質99はホース81および計量分配ノズル96を通して消火器19から外に出ることができる。底部シールが中央シャフト110の底部キャップ111内の凹部内に存在する。底部キャップ11
1の下側部分118は外側から把持するためのヘッドを備えるように構成され、ヘッドが中央シャフト110を外部から回転させるのを可能にするホイールを備える。この実施形態では、この駆動装置は「+」のような形状であるが、本質的に均等な能力を提供するような他の形状も企図される。
【0047】
[0056]このように、持ち運び可能な消火器の特定の実施形態を開示してきた。しかし、上述したものに加えて、本明細書の発明性のある概念から逸脱することなく、多くの他の修正形態も可能であることが当業者には明らかであろう。したがって、添付の特許請求の範囲以外では、本発明の主題が限定されない。
【産業上の利用可能性】
【0048】
[0057]産業上の利用可能性は消火器に関する。
図1
図2
図3
図4
図5A
図5B
図5C
図6
図7
図8
図9
図10