【実施例】
【0022】
様々な材料からなる多孔体7を用いた本発明のシール部材1と、従来例、参考例、および比較例のシール部材について、それぞれ遮音効果を測定した結果を以下に説明する。以下の全ての例において、特許文献5に準拠して作製したチューブ6はエチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体からなり、非圧縮状態における吸水率は0.49%であり、非圧縮状態における比重は0.62である。そして、非圧縮状態における外径が19〜22mmで内径が15〜16mm程度の円筒に取付部が設けられた形状であり、チューブ全長は840mmである。測定時には、例えば
図5A,5Bに示す音響特性測定システムを用いて、前述したようにシール部材を30%圧縮状態に保持する。
【0023】
[従来例]
本発明のシール部材1を説明する前に、
図7A,7Bに示す、多孔体7を有しておらずチューブ6のみからなる従来のシール部材の遮音効果について説明する。
図7Aは非圧縮状態であり、
図7Bは30%圧縮状態(使用状態)である。多孔体を持たないシール部材による、様々な周波数の音に対する遮音量を表1、表2および
図8,12,14,18,21,24に示している。この結果を見ると、従来例では特に2000Hz以上の高周波数に対する遮音量が十分ではなく、4000Hz〜10000Hzの遮音量のデシベル平均値は、50.7dBであった。
【0024】
【表1】
【0025】
[参考例1]
参考例1のシール部材1について説明する。このシール部材1は、
図4に示したものであり、チューブ6の内部に、断面形状が10mm×10mmの正方形である多孔体7が挿入されている。この多孔体7を構成する材料はポリウレタンフォーム(商品名:シールフレックス ESH(株式会社イノアックコーポレーション製))であり、非圧縮状態における吸水率は1400%であり、非圧縮状態におけるかさ密度は45kg/m
3である。また、25%圧縮応力が0.52N/cm
2であり、50%圧縮応力が0.72N/cm
2の材料である。シール部材1の使用状態における多孔体7の、チューブ6の長手方向に直交する断面における断面積は、チューブ6の中空部(内部空間)の断面積の60%であり、チューブ6の全長に亘って多孔体7が配置されているので、チューブ6の内容積に対する多孔体7の体積占有率は60%であった。この材料からなる多孔体7がチューブ6内に挿入されたシール部材1の使用状態の、様々な周波数の音に対する遮音量を、表1および
図8に示している。このシール部材1の遮音性は良好であり、特に2000Hz以上の高周波数に対する遮音量が従来例と比較して大きく改善しており、4000Hz〜10000Hzの遮音量のデシベル平均値は、従来例よりも12.7dB向上した。
【0026】
[参考例2]
図9に示す参考例2のシール部材1では、チューブ6の内部に、断面形状が10mm×10mmの正方形である多孔体7が挿入されている。この多孔体7を構成する材料はポリウレタンフォーム(商品名:カラーフォームECS(株式会社イノアックコーポレーション製))であり、非圧縮状態における吸水率は2742%であり、非圧縮状態におけるかさ密度は22kg/m
3である。また、25%圧縮応力が0.33N/cm
2であり、50%圧縮応力が0.35N/cm
2の材料である。シール部材1の使用状態における多孔体7の断面積は、チューブ6の中空部の断面積の60%であり、チューブ6の全長に亘って多孔体7が配置されているので、チューブ6の内容積に対する多孔体7の体積占有率は60%であった。このシール部材1の使用状態の、様々な周波数の音に対する遮音量を表1および
図8に示している。このシール部材1の遮音性は、従来例と比べると良好で、4000Hz〜10000Hzの遮音量のデシベル平均値は、従来例よりも9.8dB向上した。
【0027】
[参考例3]
図10に示す参考例3のシール部材1では、チューブ6の内部に、断面形状が10mm×10mmの正方形である多孔体7が挿入されている。この多孔体7を構成する材料はポリウレタンフォーム(商品名:カームフレックス F−2(株式会社イノアックコーポレーション製))であり、非圧縮状態における吸水率は2310%であり、非圧縮状態におけるかさ密度は25kg/m
3である。また、25%圧縮応力が0.48N/cm
2であり、50%圧縮応力が0.5N/cm
2の材料である。シール部材1の使用状態における多孔体7の断面積は、チューブ6の中空部の断面積の60%であり、チューブ6の全長に亘って多孔体7が配置されているので、チューブ6の内容積に対する多孔体7の体積占有率は60%であった。このシール部材1の使用状態の、様々な周波数の音に対する遮音量を表1および
図8に示している。このシール部材1の遮音性は、従来例と比べると良好で、4000Hz〜10000Hzの遮音量のデシベル平均値は、従来例よりも9.9dB向上した。
【0028】
[参考例4]
図11に示す参考例4のシール部材1では、チューブ6の内部に、軟質ポリウレタンフォームからなる多孔体7が充填されている。この多孔体7は、発泡前の流体状態の材料をチューブ6の内部に注入した後に発泡させて非流動の固形状のポリウレタンフォームとして形成されたものである。チューブ6の内部は多孔体7によって完全に塞がれてはおらず、チューブ6の内壁の一部と多孔体7の外表面の一部との間に、空気保持空間8が存在する。この多孔体7を構成するポリウレタンフォームの発泡後の非圧縮状態における吸水率は665%であり、非圧縮状態におけるかさ密度は60kg/m
3である。また、25%圧縮応力が0.12N/cm
2であり、50%圧縮応力が0.18/cm
2の材料である。シール部材1の使用状態における多孔体7の断面積は、チューブ6の中空部の断面積の89%であり、チューブ6の全長に亘って多孔体7が配置されているので、チューブ6の内容積に対する多孔体7の体積占有率は89%であった。このシール部材1の使用状態の、様々な周波数の音に対する遮音量を表1および
図12に示している。このシール部材1によると、従来例と比べると良好な遮音性が得られ、4000Hz〜10000Hzの遮音量のデシベル平均値は、従来例よりも10.7dB向上した。
【0029】
[実施例1]
図13に示す本発明の実施例1のシール部材1では、チューブ6の内部に、断面形状が2mm×20mmの多孔体7が挿入されている。この多孔体7を構成する材料は、ポリプロピレンをメルトブローン法で加工して作製した不織布であり、非圧縮状態における吸水率は16%であり、非圧縮状態におけるかさ密度は31kg/m
3である。また、25%圧縮応力が測定下限以下(測定不可)で、50%圧縮応力が0.09N/cm
2の材料である。シール部材1の使用状態における多孔体7の断面積は、チューブ6の中空部の断面積の40%であり、チューブ6の全長に亘って多孔体7が配置されているので、チューブ6の内容積に対する多孔体7の体積占有率は40%であった。このシール部材1の使用状態の、様々な周波数の音に対する遮音量を表1および
図14に示している。このシール部材1の遮音性は良好であり、特に2000Hz以上の高周波数に対する遮音量が従来例と比較して大きく改善しており、4000Hz〜10000Hzの遮音量のデシベル平均値は、従来例よりも12.4dB向上した。本発明の各実施例においては、多孔体7をチューブ6の内面に配置した後に、後述する超音波振動を用いた方法(
図39A〜39B参照)によってチューブ6の内部に多孔体7を接合している。この方法で用いられる超音波の周波数は通常20kHz以上3000kHz以下、好ましくは25kHz以上1000kHz以下である。このような好ましい周波数範囲の超音波を用いてチューブ6と多孔体7との溶着を行うと、チューブ6および多孔体7に付与されるエネルギー量が適切であり、溶着時および溶着後のチューブ6および多孔体7の取り扱いが容易である。
【0030】
[実施例2]
図15に示す本発明の実施例2のシール部材1では、チューブ6の内部に、断面形状が2mm×6.5mmの多孔体7が挿入されている。この多孔体7を構成する材料は実施例1と同じ不織布である。シール部材1の使用状態における多孔体7の断面積は、チューブ6の中空部の断面積の9%であり、チューブ6の全長に亘って多孔体7が配置されているので、チューブ6の内容積に対する多孔体7の体積占有率は9%であった。このシール部材1の使用状態の、様々な周波数の音に対する遮音量を表1および
図14に示している。このシール部材1の遮音性は、従来例と比べると良好で、4000Hz〜10000Hzの遮音量のデシベル平均値は、従来例よりも9.1dB向上した。
【0031】
[実施例3]
図16に示す本発明の実施例3のシール部材1では、チューブ6の内部に、断面形状が8mm×13mmの多孔体7が挿入されている。この多孔体7を構成する材料は不織布(商品名:タフネル オイルブロッター AR−65(三井化学株式会社製))であり、非圧縮状態における吸水率は203%であり、非圧縮状態におけるかさ密度は70kg/m
3である。また、25%圧縮応力が0.16N/cm
2であり、50%圧縮応力が2.2N/cm
2の材料である。シール部材1の使用状態における多孔体7の断面積は、チューブ6の中空部の断面積の55%であり、チューブ6の全長に亘って多孔体7が配置されているので、チューブ6の内容積に対する多孔体7の体積占有率は55%であった。このシール部材1の使用状態の、様々な周波数の音に対する遮音量を表1および
図14に示している。このシール部材1の遮音性は、従来例と比べると良好で、4000Hz〜10000Hzの遮音量のデシベル平均値は、従来例よりも9.8dB向上した。
【0032】
[参考例5]
図17に示す参考例5のシール部材1では、チューブ6の内部に、断面形状が10mm×10mmの正方形である多孔体7が挿入されている。この多孔体7を構成する材料は発泡ゴム(商品名:エプトシーラー No.685(日東電工株式会社製))であり、非圧縮状態における吸水率は169%であり、非圧縮状態におけるかさ密度は140kg/m
3である。また、25%圧縮応力が0.26N/cm
2であり、50%圧縮応力が0.54N/cm
2の材料である。シール部材1の使用状態における多孔体7の断面積は、チューブの中空部の断面積の60%であり、チューブ6の全長に亘って多孔体7が配置されているので、チューブ6の内容積に対する多孔体7の体積占有率は60%であった。このシール部材1の使用状態の、様々な周波数の音に対する遮音量を表1および
図18に示している。このシール部材1の遮音性は、従来例と比べると良好で、4000Hz〜10000Hzの遮音量のデシベル平均値は、従来例よりも12.0dB向上した。
【0033】
[参考例6]
図19に示す参考例6のシール部材1では、チューブ6の内部に、断面形状が10mm×15mmの長方形である多孔体7が挿入されている。この多孔体7を構成する材料は、特許文献6に準拠し、発泡剤の量を調整して、非圧縮状態における吸水率が46.8%、非圧縮状態におけるかさ密度が73kg/m
3になるように作製した発泡ゴム(EPTスポンジ(EPDMスポンジ))である。また、25%圧縮応力が0.06N/cm
2であり、50%圧縮応力が0.1N/cm
2の材料である。シール部材1の使用状態における多孔体7の断面積は、チューブ6の中空部の断面積の80%であり、チューブ6の全長に亘って多孔体7が配置されているので、チューブ6の内容積に対する多孔体7の体積占有率は80%であった。このシール部材1の使用状態の、様々な周波数の音に対する遮音量を表1および
図18に示している。このシール部材1の遮音性は良好であり、特に2000Hz以上の高周波数に対する遮音量が従来例と比較して大きく改善しており、4000Hz〜10000Hzの遮音量のデシベル平均値は、従来例よりも14.4dB向上した。
【0034】
次に、本発明の実施例1〜3および参考例1〜6と対比するための比較例について説明する。
[比較例1]
図20に示す比較例1のシール部材では、チューブ6の内部に、断面形状が直径10mmの円形である多孔体7が挿入されている。この多孔体7を構成する材料は、特許文献6に準拠し、発泡剤の量を調整して、非圧縮状態における吸水率が0.8%、非圧縮状態におけるかさ密度は290kg/m
3になるように作製した発泡ゴム(EPTスポンジ(EPDMスポンジ))である。また、25%圧縮応力が4.4N/cm
2であり、50%圧縮応力が13.1N/cm
2の材料である。シール部材の使用状態における多孔体7の断面積は、チューブ6の中空部の断面積の65%であり、チューブ6の全長に亘って多孔体7が配置されているので、チューブ6の内容積に対する多孔体7の体積占有率は65%であった。このシール部材の使用状態の、様々な周波数の音に対する遮音量を表1および
図21に示している。このシール部材によると、従来例のシール部材と同程度の遮音性しか得られず、実施例1〜3および参考例1〜6のシール部材1と比較すると特に2000Hz以上の高周波数に対する遮音量が不十分であり、4000Hz〜10000Hzの遮音量のデシベル平均値は、従来例よりも0.5dBしか向上していない。
【0035】
[比較例2]
図22に示す比較例2のシール部材では、チューブ6の内部に、断面形状が10mm×10mmの正方形である多孔体7が挿入されている。この多孔体7を構成する材料は発泡ゴム(CR(クロロプレインラバー)スポンジ角紐)であり、非圧縮状態における吸水率は1.6%であり、非圧縮状態におけるかさ密度は310kg/m
3である。また、25%圧縮応力が5.19N/cm
2であり、50%圧縮応力が13.2N/cm
2の材料である。シール部材の使用状態における多孔体7の断面積は、チューブ6の中空部の断面積の66%であり、チューブ6の全長に亘って多孔体7が配置されているので、チューブ6の内容積に対する多孔体7の体積占有率は66%であった。このシール部材の使用状態の、様々な周波数の音に対する遮音量を表1および
図21に示している。このシール部材によると、従来例のシール部材と同程度の遮音性しか得られず、実施例1〜3および参考例1〜6のシール部材1と比較すると特に2000Hz以上の高周波数に対する遮音量が不十分であり、4000Hz〜10000Hzの遮音量のデシベル平均値は、従来例よりも2.0dB低下している。
【0036】
[比較例3]
図23に示す比較例3のシール部材1では、チューブ6の内部に、軟質のポリウレタンフォームからなる多孔体7が隙間なく充填されている。すなわち、この多孔体7は、発泡前の流体状態の材料をチューブ6の内部に注入した後に発泡させて非流動の固形状のポリウレタンフォームを形成したものである。チューブ6の内部は多孔体7によって完全に塞がれており、チューブ6の内壁と多孔体7の外表面との間に空気保持空間8は存在しない。この多孔体7を構成するポリウレタンフォームの発泡後の非圧縮状態における吸水率は1268%であり、非圧縮状態におけるかさ密度は56kg/m
3である。また、25%圧縮応力が0.54N/cm
2であり、50%圧縮応力が0.8/cm
2の材料である。シール部材の使用状態における多孔体7の断面積は、チューブの中空部の断面積の100%であり、チューブ6の全長に亘って多孔体7が配置されているので、チューブ6の内容積に対する多孔体7の体積占有率は100%であった。このシール部材1の使用状態の、様々な周波数の音に対する遮音性を表1および
図24に示しており、遮音性が不十分であり、4000Hz〜10000Hzの遮音量のデシベル平均値は、従来例よりも3.9dB低下している。
【0037】
[比較例4]
図25に模式的に示す比較例4のシール部材1では、チューブ6の外側に、断面形状が10mm×10mmの長方形である多孔体7がチューブ6と並べて配置されている。この多孔体7を構成する材料は、参考例3の多孔体7と同じポリウレタンフォーム(商品名:カームフレックス F−2(株式会社イノアックコーポレーション製))であり、非圧縮状態における吸水率、非圧縮状態におけるかさ密度、25%圧縮応力、50%圧縮応力は全て参考例3の多孔体7と同じである。このシール部材1を、多孔体7が発音部側に位置するように配置した状態で30%圧縮し、様々な周波数の音に対する遮音量を測定した。チューブ6の外側に多孔体7が配置されているので、チューブ6の内容積に対する多孔体7の体積占有率は0%であった。遮音量の測定結果を表1および
図24に示している。このシール部材1によると、従来例と同様に、特に2000Hz以上の高周波数に対する遮音量が不十分であり、4000Hz〜10000Hzの遮音量のデシベル平均値は、従来例よりも0.4dBしか向上していない。
【0038】
[比較例5]
図26に模式的に示す比較例5では、比較例4のシール部材1を、多孔体7が発音部の反対側に位置するように配置した状態で30%圧縮し、様々な周波数の音に対する遮音量を測定した。チューブ6の外側に多孔体7が配置されているので、チューブ6の内容積に対する多孔体7の体積占有率は0%であった。遮音量の測定結果を表1および
図24に示している。このシール部材1によると、従来例と同様に、特に2000Hz以上の高周波数に対する遮音量が不十分であり、4000Hz〜10000Hzの遮音量のデシベル平均値は、従来例よりも0.4dBしか向上していない。
【0039】
以上説明した実施例1〜3、参考例1〜6、および比較例1〜3のシール部材は、チューブ6の全長に亘って多孔体7が配置された構成である。しかし、本発明者は、チューブ6の全長に亘って多孔体7を配置するのではなく、チューブ6の長さ方向において部分的にのみ多孔体7を配置した構成であっても、従来例のシール部材(
図7A,7B)に比べて優れた遮音効果を得ることができる場合があることを見出した。以下に説明する実施例4〜13、参考例7〜13、および比較例6,7のチューブ6は、
図27B〜27Dに模式的に示すように、閉じたループ状ではなく両端が開口した中空の直線状または曲線状であり、その点を除いては実施例1〜3、参考例1〜6、および比較例1〜5のシール部材のチューブ6と同じ断面寸法および同じ特性を有し同じ材料からなるものである。このような直線状または曲線状のチューブ6の両端部または一方の端部(片端部)に多孔体7が挿入された構成である実施例4〜13、参考例7〜13、および比較例6,7のシール部材1の詳細と遮音性について、以下に説明する。
【0040】
[実施例4]
本発明の実施例4のシール部材1では、両端開口の中空の直線状または曲線状のチューブ6の内部に、断面形状が2mm×10mmの多孔体7が挿入されている。この多孔体7を構成する材料は実施例1(
図13)と同じ不織布である。シール部材1の使用状態における多孔体7の断面積は、チューブ6の中空部の断面積の20%であり、
図27Bに示すように、全長840mmのチューブ6に対して、両端部からそれぞれ280mm以内の部分にのみ多孔体7を配置し、チューブ6の内容積に対する多孔体7の体積占有率は13.3%であった。このシール部材1の使用状態の、様々な周波数の音に対する遮音性は、従来例と比べると良好で、4000Hz〜10000Hzの遮音量のデシベル平均値は、従来例よりも8.6dB向上した。その結果を表2に示している。
【0041】
【表2】
【0042】
[実施例5]
本発明の実施例5のシール部材1では、両端開口の中空の直線状または曲線状のチューブ6の内部に、断面形状が2mm×10mmの多孔体7が挿入されている。この多孔体7を構成する材料は実施例1(
図13)と同じ不織布である。シール部材1の使用状態における多孔体7の断面積は、チューブ6の中空部の断面積の20%であり、図示しないが、全長840mmのチューブ6に対して、一方の端部(片端部)から280mm以内の部分にのみ多孔体7を配置し、チューブ6の内容積に対する多孔体7の体積占有率は6.7%であった。このシール部材1の使用状態の、様々な周波数の音に対する遮音性は、従来例と比べると良好で、4000Hz〜10000Hzの遮音量のデシベル平均値は、従来例よりも2.6dB向上した。その結果を表2に示している。
【0043】
[実施例6]
本発明の実施例6のシール部材1では、両端開口の中空の直線状または曲線状のチューブ6の内部に、断面形状が2mm×20mmの多孔体7が挿入されている。この多孔体7を構成する材料は実施例1(
図13)と同じ不織布である。シール部材1の使用状態における多孔体7の断面積は、チューブ6の中空部の断面積の40%であり、
図27Bに示すように、全長840mmのチューブ6に対して、両端部からそれぞれ280mm以内の部分にのみ多孔体7を配置し、チューブ6の内容積に対する多孔体7の体積占有率は26.7%であった。このシール部材1の使用状態の、様々な周波数の音に対する遮音性は、従来例と比べると良好で、4000Hz〜10000Hzの遮音量のデシベル平均値は、従来例よりも10.9dB向上した。その結果を表2に示している。
【0044】
[実施例7]
本発明の実施例7のシール部材1では、両端開口の中空の直線状または曲線状のチューブ6の内部に、断面形状が2mm×5mmの多孔体7が挿入されている。この多孔体7を構成する材料は実施例1(
図13)と同じ不織布である。シール部材1の使用状態における多孔体7の断面積は、チューブ6の中空部の断面積の10%であり、
図27Bに示すように、全長840mmのチューブ6に対して、両端部からそれぞれ280mm以内の部分にのみ多孔体7を配置し、チューブ6の内容積に対する多孔体7の体積占有率は6.7%であった。このシール部材1の使用状態の、様々な周波数の音に対する遮音性は、従来例と比べると良好で、4000Hz〜10000Hzの遮音量のデシベル平均値は、従来例よりも2.5dB向上した。その結果を表2に示している。
【0045】
[実施例8]
本発明の実施例8のシール部材1では、両端開口の中空の直線状または曲線状のチューブ6の内部に、断面形状が2mm×2.5mmの多孔体7が挿入されている。この多孔体7を構成する材料は実施例1(
図13)と同じ不織布である。シール部材1の使用状態における多孔体7の断面積は、チューブ6の中空部の断面積の5%であり、
図27Bに示すように、全長840mmのチューブ6に対して、両端部からそれぞれ280mm以内の部分にのみ多孔体7を配置し、チューブ6の内容積に対する多孔体7の体積占有率は3.3%であった。このシール部材1の使用状態の、様々な周波数の音に対する遮音性は、従来例と比べると良好で、4000Hz〜10000Hzの遮音量のデシベル平均値は、従来例よりも1.8dB向上した。その結果を表2に示している。
【0046】
[実施例9]
本発明の実施例9のシール部材1では、両端開口の中空の直線状または曲線状のチューブ6の内部に、断面形状が2mm×10mmの多孔体7が挿入されている。この多孔体7を構成する材料は実施例1(
図13)と同じ不織布である。シール部材1の使用状態における多孔体7の断面積は、チューブ6の中空部の断面積の20%であり、
図27Cに示すように、全長840mmのチューブ6に対して、両端部からそれぞれ210mm以内の部分にのみ多孔体7を配置し、チューブ6の内容積に対する多孔体7の体積占有率は10%であった。このシール部材1の使用状態の、様々な周波数の音に対する遮音性は、従来例と比べると良好で、4000Hz〜10000Hzの遮音量のデシベル平均値は、従来例よりも5.4dB向上した。その結果を表2に示している。
【0047】
[実施例10]
本発明の実施例10のシール部材1では、両端開口の中空の直線状または曲線状のチューブ6の内部に、断面形状が2mm×10mmの多孔体7が挿入されている。この多孔体7を構成する材料は実施例1(
図13)と同じ不織布である。シール部材1の使用状態における多孔体7の断面積は、チューブ6の中空部の断面積の20%であり、
図27Dに示すように、全長840mmのチューブ6に対して、両端部からそれぞれ105mm以内の部分にのみ多孔体7を配置し、チューブ6の内容積に対する多孔体7の体積占有率は5%であった。このシール部材1の使用状態の、様々な周波数の音に対する遮音性は、従来例と比べると良好で、4000Hz〜10000Hzの遮音量のデシベル平均値は、従来例よりも4.3dB向上した。その結果を表2に示している。
【0048】
[実施例11]
本発明の実施例11のシール部材1では、両端開口の中空の直線状または曲線状のチューブ6の内部に、断面形状が2mm×10mmの多孔体7が挿入されている。この多孔体7を構成する材料は実施例1(
図13)と同じ不織布である。シール部材1の使用状態における多孔体7の断面積は、チューブ6の中空部の断面積の20%であり、図示しないが、全長840mmのチューブ6に対して、両端部からそれぞれ53mm以内の部分にのみ多孔体7を配置し、チューブ6の内容積に対する多孔体7の体積占有率は2.5%であった。このシール部材1の使用状態の、様々な周波数の音に対する遮音性は、従来例と比べると良好で、4000Hz〜10000Hzの遮音量のデシベル平均値は、従来例よりも1.6dB向上した。その結果を表2に示している。
【0049】
[実施例12]
本発明の実施例12のシール部材1では、両端開口の中空の直線状または曲線状のチューブ6の内部に、断面形状が10mm×10mmの多孔体7が挿入されている。この多孔体7を構成する材料は実施例1(
図13)と同じ不織布である。シール部材1の使用状態における多孔体7の断面積は、チューブ6の中空部の断面積の60%であり、
図27Dに示すように、全長840mmのチューブ6に対して、両端部からそれぞれ105mm以内の部分にのみ多孔体7を配置し、チューブ6の内容積に対する多孔体7の体積占有率は15%であった。このシール部材1の使用状態の、様々な周波数の音に対する遮音性は、従来例と比べると良好で、4000Hz〜10000Hzの遮音量のデシベル平均値は、従来例よりも7.7dB向上した。その結果を表2に示している。
【0050】
[実施例13]
本発明の実施例13のシール部材1では、両端開口の中空の直線状または曲線状のチューブ6の内部に、断面形状が8mm×13mmの多孔体7が挿入されている。この多孔体7を構成する材料は実施例3(
図15)と同じ不織布である。シール部材1の使用状態における多孔体7の断面積は、チューブ6の中空部の断面積の55%であり、図示しないが、全長840mmのチューブ6に対して、両端部からそれぞれ53mm以内の部分にのみ多孔体7を配置し、チューブ6の内容積に対する多孔体7の体積占有率は6.9%であった。このシール部材1の使用状態の、様々な周波数の音に対する遮音性は、従来例と比べると良好で、4000Hz〜10000Hzの遮音量のデシベル平均値は、従来例よりも1.7dB向上した。その結果を表2に示している。
【0051】
[参考例7]
参考例7のシール部材1では、両端開口の中空の直線状または曲線状のチューブ6の内部に、断面形状が10mm×10mmの多孔体7が挿入されている。この多孔体7を構成する材料は参考例1(
図4)と同じポリウレタンフォームである。シール部材1の使用状態における多孔体7の断面積は、チューブ6の中空部の断面積の60%であり、
図27Bに示すように、全長840mmのチューブ6に対して、両端部からそれぞれ280mm以内の部分にのみ多孔体7を配置し、チューブ6の内容積に対する多孔体7の体積占有率は40%であった。このシール部材1の使用状態の、様々な周波数の音に対する遮音性は、従来例と比べると良好で、4000Hz〜10000Hzの遮音量のデシベル平均値は、従来例よりも12.0dB向上した。その結果を表2に示している。
【0052】
[参考例8]
参考例8のシール部材1では、両端開口の中空の直線状または曲線状のチューブ6の内部に、断面形状が10mm×10mmの多孔体7が挿入されている。この多孔体7を構成する材料は参考例1(
図4)と同じポリウレタンフォームである。シール部材1の使用状態における多孔体7の断面積は、チューブ6の中空部の断面積の60%であり、図示しないが、全長840mmのチューブ6に対して、両端部からそれぞれ140mm以内の部分にのみ多孔体を配置し、チューブ6の内容積に対する多孔体7の体積占有率は20%であった。このシール部材1の使用状態の、様々な周波数の音に対する遮音性は、従来例と比べると良好で、4000Hz〜10000Hzの遮音量のデシベル平均値は、従来例よりも9.3dB向上した。その結果を表2に示している。
【0053】
[参考例9]
参考例9のシール部材1では、両端開口の中空の直線状または曲線状のチューブ6の内部に、断面形状が10mm×10mmの多孔体7が挿入されている。この多孔体7を構成する材料は参考例1(
図4)と同じポリウレタンフォームである。シール部材1の使用状態における多孔体7の断面積は、チューブ6の中空部の断面積の60%であり、図示しないが、全長840mmのチューブ6に対して、両端部からそれぞれ53mm以内の部分にのみ多孔体7を配置し、チューブ6の内容積に対する多孔体7の体積占有率は7.5%であった。このシール部材1の使用状態の、様々な周波数の音に対する遮音性は、従来例と比べると良好で、4000Hz〜10000Hzの遮音量のデシベル平均値は、従来例よりも8.4dB向上した。その結果を表2に示している。
【0054】
[参考例10]
参考例10のシール部材1では、両端開口の中空の直線状または曲線状のチューブ6の内部に、断面形状が10mm×10mmの多孔体7が挿入されている。この多孔体7を構成する材料は参考例1(
図4)と同じポリウレタンフォームである。シール部材1の使用状態における多孔体7の断面積は、チューブ6の中空部の断面積の60%であり、図示しないが、全長840mmのチューブ6に対して、両端部からそれぞれ18mm以内の部分にのみ多孔体7を配置し、チューブ6の内容積に対する多孔体7の体積占有率は2.5%であった。このシール部材1の使用状態の、様々な周波数の音に対する遮音性は、従来例と比べると良好で、4000Hz〜10000Hzの遮音量のデシベル平均値は、従来例よりも2.1dB向上した。その結果を表2に示している。
【0055】
[参考例11]
参考例11のシール部材1では、両端開口の中空の直線状または曲線状のチューブ6の内部に、断面形状が10mm×10mmの多孔体7が挿入されている。この多孔体7を構成する材料は参考例3(
図10)と同じポリウレタンフォームである。シール部材1の使用状態における多孔体7の断面積は、チューブ6の中空部の断面積の60%であり、図示しないが、全長840mmのチューブ6に対して、両端部からそれぞれ53mm以内の部分にのみ多孔体7を配置し、チューブ6の内容積に対する多孔体7の体積占有率は7.5%であった。このシール部材1の使用状態の、様々な周波数の音に対する遮音性は、従来例と比べると良好で、4000Hz〜10000Hzの遮音量のデシベル平均値は、従来例よりも4.0dB向上した。その結果を表2に示している。
【0056】
[参考例12]
参考例12のシール部材1では、両端開口の中空の直線状または曲線状のチューブ6の内部に、断面形状が10mm×10mmの多孔体7が挿入されている。この多孔体7を構成する材料は参考例2(
図9)と同じポリウレタンフォームである。シール部材1の使用状態における多孔体7の断面積は、チューブ6の中空部の断面積の60%であり、図示しないが、全長840mmのチューブ6に対して、両端部からそれぞれ53mm以内の部分にのみ多孔体7を配置し、チューブ6の内容積に対する多孔体7の体積占有率は7.5%であった。このシール部材1の使用状態の、様々な周波数の音に対する遮音性は、従来例と比べると良好で、4000Hz〜10000Hzの遮音量のデシベル平均値は、従来例よりも2.8dB向上した。その結果を表2に示している。
【0057】
[参考例13]
参考例13のシール部材1では、両端開口の中空の直線状または曲線状のチューブ6の内部に、断面形状が10mm×10mmの多孔体7が挿入されている。この多孔体7を構成する材料は参考例5(
図17)と同じ発泡ゴムである。シール部材1の使用状態における多孔体7の断面積は、チューブ6の中空部の断面積の60%であり、図示しないが、全長840mmのチューブ6に対して、両端部からそれぞれ53mm以内の部分にのみ多孔体7を配置し、チューブ6の内容積に対する多孔体7の体積占有率は7.5%であった。このシール部材1の使用状態の、様々な周波数の音に対する遮音性は、従来例と比べると良好で、4000Hz〜10000Hzの遮音量のデシベル平均値は、従来例よりも6.6dB向上した。その結果を表2に示している。
【0058】
次に、本発明の実施例4〜13および参考例7〜13と対比するための比較例について説明する。
[比較例6]
比較例6のシール部材1では、両端開口の中空の直線状または曲線状のチューブ6の内部に、断面形状が2mm×10mmの多孔体7が挿入されている。この多孔体7を構成する材料は実施例1(
図13)と同じ不織布である。シール部材1の使用状態における多孔体7の断面積は、チューブ6の中空部の断面積の20%であり、図示しないが、全長840mmのチューブ6に対して、一方の端部(片端部)から53mm以内の部分にのみ多孔体7を配置し、チューブ6の内容積に対する多孔体7の体積占有率は1.3%であった。このシール部材1の使用状態の、様々な周波数の音に対する遮音性は、従来例と同様に、特に2000Hz以上の高周波数に対する遮音量が不十分であり、4000Hz〜10000Hzの遮音量のデシベル平均値は、従来例よりも0.4dBしか向上していない。その結果を表2に示している。
【0059】
[比較例7]
比較例7のシール部材1では、両端開口の中空の直線状または曲線状のチューブ6の内部に、断面形状が2mm×10mmの多孔体7が挿入されている。この多孔体7を構成する材料は実施例1(
図13)と同じ不織布である。シール部材1の使用状態における多孔体7の断面積は、チューブ6の中空部の断面積の20%であり、図示しないが、全長840mmのチューブ6に対して、両端部からそれぞれ26mm以内の部分にのみ多孔体7を配置し、チューブ6の内容積に対する多孔体7の体積占有率は1.3%であった。このシール部材1の使用状態の、様々な周波数の音に対する遮音性は、従来例と同様に、特に2000Hz以上の高周波数に対する遮音量が不十分であり、4000Hz〜10000Hzの遮音量のデシベル平均値は、従来例よりも0.7dBしか向上していない。その結果を表2に示している。
【0060】
以上説明した通り、本発明の実施例1〜13および参考例1〜13によると、特に電気自動車やハイブリッド車に用いられる電気モータが発生する高周波ノイズの周波数(約2000Hz〜約16000Hz)の範囲において、優れた遮音性を発揮する。このように実施例1〜13および参考例1〜13によって優れた遮音性が得られるのは、多孔体7による吸音効果と、空気保持空間8内の空気による振動減衰とが共に働いた結果である。これに対し、多孔体が設けられていない従来例では、チューブ6内の空気による振動減衰効果はあるものの、多孔体7による吸音効果がないため、十分な遮音性が得られない。チューブ6内に空気保持空間が存在しない比較例3では、多孔体7による吸音効果はあるものの、チューブ6内の空気による振動減衰効果がないため、十分な遮音性が得られない。多孔体7がチューブ6の外側に位置する比較例4,5では、空気の振動が、開放空間に位置する多孔体7の側方を通って伝わっていくため、伝播する空気の振動のうちのごく一部にしか多孔体7の吸音効果が及ばず、十分な遮音性が得られない。
【0061】
また、チューブ6内に多孔体7と空気保持空間とが設けられているシール部材のうち、十分な遮音性が得られない比較例1,2は、多孔体の材料が適切で無かったと考えられる。すなわち、比較例1,2の材料について改めて検討すると、実施例1〜13および参考例1〜13に比べてかさ密度が高いことが判る。これは、多孔体7の密度が高いということは多孔体7の一定の断面積中の孔部の総量が少ないことを意味し、孔部が少ないと吸音効果が小さいことに起因する。従って、高い遮音性を実現するためには、多孔体7の密度が小さいことが好ましい。比較例1,2の遮音性が小さく、参考例5の遮音性は許容範囲内ではあることを考慮すると、かさ密度が150kg/m
3以下であることが好ましいと言える。ただし、かさ密度が小さすぎると多孔体7の材料強度が低下し、加工や取付けが困難になる可能性があるので、かさ密度は10kg/m
3以上であることが好ましい。
【0062】
多孔体7を構成する材料の吸水率に着目すると、吸水率が高いほど連続空孔が多く、吸水率が低すぎると連続空孔が少ないため高い遮音性を得られにくいと考えられる。実施例1〜13および参考例1〜13と比較例1,2の吸水率を対比すると、吸水率が1.6%以下では十分な遮音性が得られない可能性があると考えられる。さらに、より確実に十分な遮音性を得るためには、吸水率がおおよそ10%以上であることが好ましいと思われる。ただし、吸水率があまりにも高すぎると、隙間から進入した水の吸水により重量が重くなったり、連続空孔が塞がれて本発明のシール部材の本来の遮音性を得られなくなったりするため、吸水率は3000%以下であることが好ましい。
【0063】
多孔体7を構成する材料の特性の1つである圧縮応力に着目すると、優れた遮音性が得られたシール部材1の多孔体7の25%圧縮応力はおおよそ1N/cm
2以下であった。また、優れた遮音性が得られたシール部材1の多孔体7の50%圧縮応力はおおよそ2.5N/cm
2以下であった。
【0064】
以上説明したように、本発明のシール部材1において優れた遮音性を得るために好ましいのは、かさ密度が10kg/m
3以上150kg/m
3以下、吸水率が10%以上3000%以下、25%圧縮応力が1N/cm
2以下、50%圧縮応力が2.5N/cm
2以下という条件を満たすものである。ただし、これらの条件を全て満たしていなくても、これらの条件のうちの少なくとも1つを満たしていれば、遮音性の向上にある程度の効果が得られるため、本発明の範囲内に含まれる。
【0065】
以上、本発明のシール部材1の遮音性について説明したが、遮音性以外の特性について次に説明する。本発明のシール部材1の主な用途である乗物用ドアや建物用ドアは、前述したように軽量化が求められている。本発明のシール部材1のチューブ6は従来例と同様なものであり、このチューブ6内に挿入される多孔体7の分だけシール部材1の重量が増加する。従って、この多孔体7はできるだけ軽いことが好ましい。実施例1〜3、参考例1〜6、および比較例1〜5のうちのほとんどは、多孔体7の断面積に大きな違いはないため、多孔体7の密度が小さいことが、シール部材1の重量の増大の抑制につながる。すなわち、前述したように、かさ密度を150kg/m
3以下に設定することが、シール部材1の重量の増加を抑制する上でも効果的である。前述したようにかさ密度を小さく設定することにより、重量をあまり大きくすることなく遮音性の向上が図れるという非常に優れた効果が得られる。従来のシール部材は、一般的に、遮音性が高いシール部材は重いという傾向があった。しかし、表1を見ると、本発明のシール部材は、遮音性の低い比較例1〜3よりも明らかに軽いにもかかわらず良好な遮音性を有しており、遮音性と軽量化の両立という、従来は困難であった格別の効果を実現している。
【0066】
また、本発明のシール部材1では、チューブ6の内部に挿入する多孔体7を防水チューブ等に予め挿入する必要がないため、シール部材1の製造工程が煩雑ではなく、部品点数が増えることもない。そして、多孔体7を、前述したように圧縮応力が小さい材料によって形成すると、多孔体7の取り付けや、シール部材1の使用時の圧縮が容易に行え、作業性が良好であるとともに、ドア本体2a,4aの外周縁部やドア枠3a,5aに小さな力で容易に密着可能であるため、シールの信頼性(耐熱性や耐候性)が良好である。
【0067】
本発明の実施例4〜13および参考例7〜13では、
図27Aに示すようにチューブ6の全長に亘って多孔体7を配置するのではなく、
図27B〜27Dに示すように、チューブ6の長さ方向において部分的にのみ多孔体7を挿入した構成でも、
図27Eに示すように多孔体を持たない従来のシール部材に比べて、遮音性向上の効果が得られることを示している。実施例4〜13および参考例7〜13では、チューブ6の全長に亘って多孔体7が配置されている実施例1〜3および参考例1〜6のシール部材1に匹敵する遮音性を実現しつつ、必要な多孔体7の量が少なくて済むとともに多孔体7の挿入動作が容易であるため製造コストを低く抑えられ、また、シール部材1の全体の重量を低く抑えられ、軽量化に伴う様々な効果に寄与する。ただし、比較例6,7では、チューブ6の内容積に対して多孔体7が占める割合(体積占有率)が小さすぎるため、多孔体7の吸音効果が及ばず、十分な遮音性が得られない。表2に示されている実施例1〜13、参考例1〜13、および比較例1〜7の遮音性の改善量を見ると、多孔体7の体積占有率は2.5〜89%程度が好ましいと言える。また、実施例4〜13、参考例7〜13、および比較例6,7の結果を見ると、遮音性の向上の効果を得るためには、チューブ6の長手方向において、多孔体7が少なくともチューブ6の全長の4%以上の範囲を占めるように配置されていることが好ましいことが判る。
【0068】
実施例4〜13および参考例7〜13では、
図27A〜27Eに示すような両端開口の中空の直線状または曲線状のチューブ6を用いているが、これは、
図28に示すような閉じたループ状のチューブ体6Xの一部を構成するものであってもよい。
図28に示す例では、1対のチューブ(1つのチューブ6aと他のチューブ6b)がコーナージョイント6cを介して接合されることにより、複合部材であるループ状のチューブ体6Xが構成されている。この場合、1対のチューブ6a,6bの一方または両方が、前述したように長さ方向において部分的に多孔体7を挿入されることによって、実施例4〜13および参考例7〜13のような直線状または曲線状のシール部材1を構成することができる。
図1に示すような乗物用ドア2に用いられるシール部材1の場合、装着時に上部(天井側)に位置する上部チューブ6aと、下部(床側)に位置する下部チューブ6bとが接合されてループ状のチューブ体6Xが構成されることが一般的であり、乗員の耳に近い位置に配置される上部チューブ6aにおいて、実施例10〜26のように多孔体7を少なくとも部分的に配置して遮音性を向上させることが特に好ましい。その場合、下部チューブ6bにも、少なくとも部分的に多孔体7を配置して遮音性を向上させてもよく、あるいは、乗員の耳から遠い下部チューブ6bには多孔体7を配置せず製造コストのさらなる抑制や軽量化を図ってもよい。
【0069】
コーナージョイント6cを介して他のチューブ(例えば下部チューブ6b)と接合されるチューブ(例えば上部チューブ6a)は、成形および接合工程の都合上、両端部が開口しているのが一般的である。従来は、このようなチューブを含むシール部材は、チューブの開口端部からの音漏れがあるために、高い遮音性を実現することが困難であった。これに対し、前述した実施例4〜13および参考例7〜13では、開口端部からの音漏れを多孔体7によって抑制している。表2を見ると、開口端部から、チューブの全長の33%の距離の範囲内に多孔体7の少なくとも一部が存在している場合には、遮音性向上の効果が得られていることが判る。
【0070】
このように中空のチューブ6の内部に多孔体7を挿入することは、
図3に示すような閉じたループ状のシール部材1においても、
図28に示すような複合部材であるループ状のチューブ体6Xの一部を構成する部分品である、両端開口の中空の直線状または曲線状のチューブ6aからなるシール部材1においても有効である。
【0071】
以上説明した本発明のシール部材1は、乗物用ドア本体や建物用ドア本体の外周縁部に取り付けられる構成に限られず、ドア枠の内側に取り付けられてもよい。また、本発明のシール部材1は、乗物用駆動装置、例えば自動車のガソリンエンジンや電気モータ等の格納部分の外周縁部に取り付けられて、筐体フレームとの間に挟みつけられて圧縮させられてシールするものであってもよい。さらに、電気製品等のシールが必要な様々な部材において利用することができ、その応用範囲は限定されない。
【0072】
[シール部材の製造方法]
次に、本発明のシール部材1の製造方法について説明する。この方法は、前述したように複数のチューブ6a,6b(部分品)がジョイント6cを介して接合されて構成された複合部材である中空のチューブ体6Xの内部に多孔体7が配置された構成のシール部材1を製造するための方法である。
【0073】
通常、複合部材である中空のチューブ体6Xを形成する場合、中空の部分品である複数のチューブを、ジョイントを介して接合させる。一例としては、ジョイントの中空部分を形成するための棒状(円柱状)の中子の一端部に一方のチューブを嵌め込み、中子の他端部に他方のチューブを嵌め込む。そして、中子の外周を覆うように未加硫ゴム層または樹脂層を形成して、加熱加圧によりゴム層を加硫接着すること、または加熱加圧とその後の冷却加圧により樹脂層を固化させることによって、弾性変形可能な加硫ゴム層または樹脂層からなるジョイントを形成する。
【0074】
本発明の一実施形態では、ジョイント6cの形成およびチューブ6a,6bの接合に先だって、
図29Aに示すように、チューブ6a,6bの内部に、前述した多孔体7を予め挿入し、
図29Bに示すように多孔体7をチューブの内面に固定する。そして、そして、
図30に示す湾曲した棒状(円柱状)の中子16の両端部に、多孔体7が挿入されたチューブ6a,6bをそれぞれ嵌め込んで取り付ける(
図31)。この時、多孔体7が中子16に接していないことが好ましい。それから、例えば、多孔体7が挿入されて固定されたチューブ6a,6bが取り付けられた中子16の外周に、未加硫ゴムシートまたは熱可塑性樹脂シートを巻き付ける。そして、
図32に示すように、チューブ6a,6bが取り付けられ未加硫ゴムシートまたは樹脂シートが巻かれた状態の中子16を、金型17のキャビティ17a内に配置する。
図33に模式的に示すように、金型17をプレス機18にセットして、加熱および加圧することによってゴムを加硫させて、または、加熱および加圧してその後に冷却および加圧することによって樹脂シートを熱溶着させて、加硫ゴム層または樹脂層からなるジョイント6cを形成する。ゴムを加硫してジョイント6cを形成する場合の加熱条件としては、例えば、170℃で15分加熱、180℃で8分加熱、または190℃で4分加熱などが挙げられる。熱可塑性樹脂を固化させてジョイント6cを形成する場合の加熱条件としては、200℃で予熱10分、加熱加圧5分、冷却加圧5分などが挙げられる。ジョイント6cが完成したら、
図34に示すように金型17から取り外す。そして、
図35に示すように、ジョイント6cを弾性変形させながら、金型に設けられた凸部(図示せず)等により予め形成されたジョイント6cのスリット部19から、あるいは、予めスリット部が形成されていない場合にはジョイント6cの一部を切り欠いてスリット部19を作製した後にそのスリット部19から、中子16を取り出す。このようにして、
図36に示すようにチューブ6a,6bがジョイント6cを介して接合された構成のチューブ体6Xが完成する。
【0075】
他の例では、前述したように予め多孔体7が挿入されて固定されたチューブ6a,6bが取り付けられた中子16を、
図37に示す射出成形装置の金型20のキャビティ20a内に配置して、溶融した未加硫ゴムまたは樹脂をキャビティ20aに射出して、キャビティ20aの内部であって中子16の外側を溶融した未加硫ゴムまたは樹脂で満たす。そして、射出した未加硫ゴムまたは樹脂を加硫または固化させて、弾性変形可能な加硫ゴム層または樹脂層からなるジョイント6cを形成する。その後は、前述した工程と同様に、
図34〜35に示すように金型から取り外してジョイント6cのスリット部19から中子16を取り出すことにより、
図36に示すようにチューブ6a,6bがジョイント6cを介して接合された構成のチューブ体6Xが完成する。
【0076】
以上説明した製造方法によると、ジョイント6cによってチューブ6a,6bが互いに接合される前に、
図38に示すように、多孔体7がチューブ6の内面に接合されて固定される。このようにチューブ6の内部で多孔体7が固定されると、遮音性がより向上する。その理由の1つは、多孔体7が固定されて移動や振動を生じにくくなることによって、多孔体7の振動吸収効果が高まることである。また、中子16の取り出しのためのジョイント6cのスリット部19が遮音の妨げになる(音の伝達に寄与する)と考えられるが、スリット部19の近傍に多孔体7が固定されることにより、吸音作用が特に望まれる位置に多孔体7が確実に位置するため、効率良くシール部材の遮音効果を得ることができる。
【0077】
前述した各実施例および参考例にて例示した通り、適切な条件の下で良好な遮音性を実現することができる多孔体7の材料として、ポリウレタンフォームや発泡ゴムや不織布等が挙げられる。ただし、チューブ6と多孔体7の材料によっては、接合強度が弱く、前述したチューブ6の内部で多孔体7が固定されることによる遮音性向上の効果が得られない場合や、多孔体7が溶けて多孔性および遮音効果を失う場合がある。具体的には、多孔体7の材料がチューブ6の材料と同種または類似の材料である場合には、熱融着等の方法によって信頼性高く接合することが容易にできる。すなわち、同種または類似の樹脂材料からなる樹脂部材同士は、融解温度が近く、その融解温度付近の温度まで加熱することにより強固な熱融着が実現する。また、特許文献7に開示されているように、互いに接合する部材(ゴム部材と樹脂部材)の接合面の表面粗さを規定して、接合強度を高めることが考えられる。しかし、接合する部材が不織布からなる場合には、チューブ6の材料(例えば架橋ゴム)と同種または類似の材料ではないため、熱溶着による接合の信頼性は高くない。また、不織布の表面粗さを所定の粗さに調整することは困難であるため、特許文献7の方法を応用して良好な接合を行うことは困難である。そこで、特許文献8には、樹脂材料(ウエザストリップ)と不織布との間に樹脂接着層を介在させ、ウエザストリップを樹脂接着層に接合させ、かつ不織布を樹脂接着層に接合させることによって、ウエザストリップと不織布を間接的に強く接合することが提案されている。しかし、この方法では、樹脂接着層が必要になるため、製造コストや製造工程の煩雑さや接合部分の大型化などの問題を引き起こす。
【0078】
このように、2つの部材、例えば架橋ゴム等からなる第1の部材と樹脂製の不織布からなる第2の部材を、接着層を介在させることなく低コストで容易に信頼性高く接合する方法が求められている。そこで、本発明では、樹脂部材と不織布とを超音波溶着によって良好に接合できる方法を新たに見出した。すなわち、架橋ゴムからなる第1の部材(例えばチューブ6)に、JIS K 7121に規定されているプラスチックの転移温度測定方法の示差走査熱量測定に準拠して測定される融解ピーク温度が100℃以上200℃以下である材料を含む不織布からなる第2の部材(多孔体7)を、超音波溶着によって接合する場合に、接着層を介在させることなく、低コストで容易に信頼性高く接合できることを見出した。すなわち、一般的な超音波溶着機を用いて不織布に超音波振動を加えると、融解ピーク温度が100℃以上200℃以下である材料が融解または軟化して、架橋ゴムの表面と絡み合って強く接合される。不織布が複数の材料から構成されている場合には、少なくとも1つの材料の融解ピーク温度が100℃以上200℃以下、好ましくは110℃以上190℃以下、さらに好ましくは120以上180℃以下であればよく、他の材料の融解ピーク温度がこの温度範囲に入っていなくてもよい。好適な例としては、不織布はポリエチレンまたはポリプロピレンを含む材料からなる。具体的には、株式会社クリプトンのミスティックホワイト(商品名、素材:ポリエチレン、融解ピーク温度:148℃)、実施例1〜2、4〜12で用いた三井化学株式会社のメルトブローン法で作製したポリプロピレン製不織布(素材:ポリプロピレン、融解ピーク温度:162℃)、実施例3、13で用いた三井化学株式会社のタフネル オイルブロッター AR−65(商品名、素材:ポリプロピレン、融解ピーク温度:169℃)、スリーエムジャパン株式会社のシンサレート(商品名、素材:ポリプロピレン(融解ピーク温度:166℃)+ポリエステル(融解ピーク温度:>230℃)等が、不織布の材料として好適に用いられる。なお、融解ピーク温度の測定は、JIS K 7121に規定されているプラスチックの転移温度測定方法の示差走査熱量測定(DSC)により、重さが約5mgのサンプルを30〜230℃の範囲で10℃/秒の昇温速度で加熱して行った。
【0079】
この不織布と接合されるチューブ6は、発泡エチレン・プロピレン・ジエンゴム、発泡クロロプレンゴム、発泡EVA(エチレン・酢酸ビニル共重合樹脂)を含む材料からなることが好ましい。より具体的には、チューブ6a,6bの材料としては、前述したEPDM(エチレン・プロピレン・ジエンゴム)などの合成ゴムが一般的であるが、それらに限定されるわけではない。また、チューブ6a,6bとジョイント6cは同じ材料で形成されていてもよいが、異なる材料で形成されていてもよく、ジョイント6cの材料としては、前述したEPDM(エチレン・プロピレン・ジエンゴム)などの合成ゴムやオレフィン系熱可塑性エラストマー(例えば三井化学株式会社のミラストマー(商品名))等を用いることができる。
【0080】
本発明に係る方法における超音波溶着の一例を
図39A,39Bに示している。例えば、
図39Aに示すように、スズキ株式会社の超音波ホッチキス はるる SUH-30(商品名)(発振周波数60kHz)等の超音波溶着機21を用い、チューブ6の開口端からチューブ6の内部にホーン21aを進入させて多孔体(不織布)7に当接させ、チューブ6の外面であって多孔体7と重なる位置にチップ21bを当接させる。そして、
図39Bに示すように、ホーン21aとチップ21bとによってチューブ6および不織布7を加圧しながら加熱しつつ、ホーン21aから不織布7に超音波振動を加える。それにより、前述したように不織布7の融解ピーク温度が100℃以上200℃以下である材料が融解または軟化して、架橋ゴムからなるチューブ6に強固に接合される。このように、本発明に係る方法では、多孔体(不織布)7をチューブ6の内面に配置した後に、超音波振動を用いてチューブ6の内部に多孔体7を接合している。この方法で用いられる超音波の周波数は通常、20kHz以上3000kHz以下、好ましくは25kHz以上1000kHz以下である。このような好ましい周波数範囲の超音波を用いてチューブ6と多孔体7との溶着を行うと、チューブ6および多孔体7に付与されるエネルギー量が適切であり、溶着時および溶着後のチューブ6および多孔体7の取り扱い容易である。
【0081】
本発明者は、実施例1と同じ材料を用いて超音波溶着の条件を変えて接合を行い、その結果を表3に示している。この表を見ると、不織布7を1.0MPa以上の圧力で0.7秒以上加圧しながら超音波振動を加えることによって行うことが好ましいことがわかる。特に、圧力と加圧時間の積が1.75[MPa・秒]より大きくなる条件で不織布7を加圧しながら超音波振動を加えると、良好な接合が行えることがわかる。なお、以下の表3では、圧力が2.5MPaで加圧時間0.7秒の時の圧力と加圧時間の積が1.75である。一例としては、超音波溶着機21のホーン21aに図示しないフォースゲージ(例えば株式会社エー・アンド・デイのフォースゲージ AD-4932A-50N)を当接させて、ホーン21aとチップ21bでチューブ6と不織布7の接合を行った時に加えた力をフォースゲージによって測定し、それを、ホーン21aとチップ21bとによって挟み込まれる部分の面積で割ることにより、圧力を求めた。ホーン21aとチップ21bとによって挟み込まれる部分の面積は、チップ21bの端子部分の面積(一例では14.45mm
2)と実質的に同じである。
【表3】
【0082】
以上説明した部材(発泡ゴムからなる第1の部材と不織布からなる第2の部材)の接合方法を利用して、
図28に示すようなシール部材1を製造する方法について説明する。
図40Aに示すように、架橋ゴムからなり、空気抜き孔23を有するチューブ6aの内部に、
図40Bに示すように多孔体である不織布7を挿入する。そして、
図40Cに示すように、チューブ6aの開口端から離れた所定の位置に不織布7を配置する。
図40Dに示すように、小型の超音波溶着機21を用意して、超音波溶着機21のホーンが、空気抜き孔23を介して、チューブ6aに挿入された不織布7と当接または対向し、ホーンと対向するチップがチューブ6aの不織布7が置かれた面(内面)と反対側の面(外面)を支持するように、超音波溶着機21を配置する。そこで、
図39Bに示す工程と同様に、ホーンおよびチップによって不織布7をチューブ6の内面に押しつけながら超音波振動を加える。それにより、
図40Eに示すように、不織布7はチューブ6の内面に超音波溶着されて、引っ張っても外れない程度に強固に固定される。その後に、
図31〜37または
図38に示す工程と同様に、ジョイント6cを介して他のチューブ6bと接合する(
図41参照)。
【0083】
図42A〜42Dに、シール部材1の製造方法の変形例を示している。この変形例では、多孔体(不織布)7が挿入されていない状態のチューブ6a,6bを、
図31〜37または
図38に示す工程と同様に、ジョイント6cを介して互いに接合する(
図42A参照)。その後に、
図42Bに示すように、ジョイント6cのスリット部19から不織布7を挿入してチューブ6aの内部に進入させる。この時、架橋ゴム等の弾性材料からなるジョイント6cを撓み変形させて、スリット部19の幅の一部を一時的に大きく広げて不織布7が挿入できるようにする。そして、
図42Cに示すように、不織布7をチューブ6aの開口端から離れた所定の位置に配置する。
図42Dに示すように、小型の超音波溶着機21を用いて、
図39Bに示す工程と同様に、ホーンおよびチップによって不織布7をチューブ6の内面に押しつけながら超音波振動を加え、不織布7をチューブ6の内面に強固に接合する。こうして、
図41に示す構成と同様なシール部材1が完成する。
【0084】
これらの方法によると、超音波溶着によって、チューブ6aの内面に不織布7を強固に接合することができ、遮音効果を高めることができる。一般的な超音波溶着機21を用いて、ごく短時間(表3に示す例では最短で1秒未満)で接合が行えるため、作業効率が非常に良好である。超音波溶着機21のホーンを、チューブ6aに一般的に設けられている公知の空気抜き孔23を介して不織布7に接触させるだけで、作業は非常に簡単である。さらに、ホーンが不織布7に直接接触しなくても、チューブ6aの一部を介して不織布7に超音波振動と圧力を加えることができれば、超音波溶着が可能である。このように製造工程が簡単で作業時間が短く、しかも接着層等を用いる必要がないため、シール部材1の製造コストが非常に小さく抑えられる。