特許第6851517号(P6851517)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6851517
(24)【登録日】2021年3月11日
(45)【発行日】2021年3月31日
(54)【発明の名称】ウエハー拡張装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/301 20060101AFI20210322BHJP
【FI】
   H01L21/78 W
【請求項の数】13
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2020-4031(P2020-4031)
(22)【出願日】2020年1月15日
【審査請求日】2020年1月15日
(31)【優先権主張番号】108141009
(32)【優先日】2019年11月12日
(33)【優先権主張国】TW
(73)【特許権者】
【識別番号】506292169
【氏名又は名称】力成科技股▲分▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100091214
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 進介
(72)【発明者】
【氏名】曾 生斗
(72)【発明者】
【氏名】徐 坤基
(72)【発明者】
【氏名】巫 勤達
(72)【発明者】
【氏名】邱 垂良
(72)【発明者】
【氏名】曾 仁棟
(72)【発明者】
【氏名】劉 金城
【審査官】 鈴木 孝章
(56)【参考文献】
【文献】 特開2018−19007(JP,A)
【文献】 特開2018−164032(JP,A)
【文献】 特開2019−121759(JP,A)
【文献】 特開2015−204362(JP,A)
【文献】 国際公開第2018/079536(WO,A1)
【文献】 特開2017−59765(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/301
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ウエハー拡張装置であって、
外枠及び前記外枠に接続されたフィルムを含み、ウエハーが前記フィルムに貼り付けられるウエハー拡張リングと、
前記ウエハー拡張リングを搭載する搭載台と、
異なるサイズの押え付けロールを含み、前記フィルムを押え付けて拡張するウエハー拡張アセンブリと、
前記搭載台と共に前記ウエハー拡張リングの前記外枠を固定し、かつ、前記ウエハー拡張アセンブリが上へ前記フィルムを押え付けた時に、前記フィルムを拡張して、前記ウエハーを拡張する固定機構とを含む、ウエハー拡張装置。
【請求項2】
前記押え付けロールが複数の第一押え付けロール及び複数の第二押え付けロールを含み、かつ、前記第一押え付けロールの直径が前記第二押え付けロールの直径より大きい、請求項1に記載のウエハー拡張装置。
【請求項3】
前記第一押え付けロールと前記第二押え付けロールが交差して設置される請求項2に記載のウエハー拡張装置。
【請求項4】
前記第一押え付けロール間の距離が等距離である、請求項3に記載のウエハー拡張装置。
【請求項5】
前記押え付けロールが前記ウエハーを囲んで設置される、請求項1に記載のウエハー拡張装置。
【請求項6】
前記押え付けロールが円形に分布する、請求項5に記載のウエハー拡張装置。
【請求項7】
ウエハー拡張装置であって、
外枠及び前記外枠に接続されるフィルムを含み、前記フィルムにウエハーが貼り付けられるウエハー拡張リングと、
前記ウエハー拡張リングを搭載する搭載台と、
前記ウエハーの中心からの距離が異なる押え付けロールを含み、前記フィルムを押え付けて拡張するウエハー拡張アセンブリと、
前記搭載台とともに前記ウエハー拡張リングの前記外枠を固定し、かつ、前記ウエハー拡張アセンブリが前記フィルムを上へ押え付けた時に、前記フィルムを拡張して前記ウエハーを拡張する固定機構とを含む、ウエハー拡張装置。
【請求項8】
前記押え付けロールが複数の第一組の押え付けロール及び複数の第二組の押え付けロールを含み、かつ、前記第一組の押え付けロールから前記ウエハーの中心までの距離が前記第二組の押え付けロールから前記ウエハーの中心までの距離より大きい、請求項7に記載のウエハー拡張装置。
【請求項9】
前記第一組の押え付けロール間の距離が等距離である、請求項8に記載のウエハー拡張装置。
【請求項10】
前記押え付けロールが前記ウエハーを囲んで円形に分布する、請求項7に記載のウエハー拡張装置。
【請求項11】
ウエハー拡張装置であって、
外枠及び前記外枠に接続されるフィルムを含み、前記フィルムにウエハーが貼り付けられるウエハー拡張リングと、
前記ウエハー拡張リングを搭載する搭載台と、
前記フィルムを押え付けて拡張するウエハー拡張アセンブリと、
前記フィルムに対し加力して、前記フィルムの局部張力を変える加力アセンブリと、
前記搭載台とともに前記ウエハー拡張リングの前記外枠を固定し、かつ、前記ウエハー拡張アセンブリが前記フィルムを上へ押え付けた時に、前記フィルムを拡張して前記ウエハーを拡張する固定機構とを含む、ウエハー拡張装置。
【請求項12】
前記加力アセンブリが複数の押下ロールを含み、前記フィルムを部分的に押下する、請求項11に記載のウエハー拡張装置。
【請求項13】
前記押下ロールがそれぞれ前記ウエハーの対向する両側に位置する、請求項12に記載のウエハー拡張装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はウエハー拡張装置に関し、特に取り換え可能な拡張アセンブリを有するウエハー拡張装置に関する。
【背景技術】
【0002】
現在のパッケージプロセスでは、予めウエハー上に切断線を形成し、ウエハーに対しフォトリソグラフィを行った後、カッターホイール又はレーザーを用いて単一のチップに切断し、次に真空吸引及び突き上げピンなどの装置を用いてチップを一つずつピックアップし、又は、ダイシング後に研削する(Dicing Before Grinding、DBG)プロセス又はステルダイシングの後に研削する(Stealth Dicing Before Grinding、SDBG)プロセスの後に拡張処理を行い、ウエハーの底部に貼り付けられたフィルムを引っ張って分離させ、チップ間の距離を広め、チップのピックアップをし易くする。前記の分離過程で失敗した場合、チップをピックアップできなくなり、生産性低下の原因になる。従って、チップをピックアップできない問題を防止し、生産性を高めるために、ウエハー分離過程の検討が重要なテーマになっている。
【0003】
一般的に言うと、ウエハー拡張アセンブリは固定治具を用いて拡張プロセスを行う。しかし、単一治具を有する設計の場合、従来のウエハー拡張アセンブリでは張力の調整と制御ができない一方、新しい材料とプロセスとなれば、異なるチップ又は材料の特性によって、特定の方向に対し拡張張力の調整が必要になり、そうしないと部分的な張力不足又は過大などの調整不能な問題が生じる。また、単一の固定治具は微調整後に共用できないため、比較的に高いプロセスコストが発生する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明はウエハー拡張装置に関し、特に取り換え可能な拡張アセンブリを有するウエハー拡張装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明が提供するウエハー拡張装置は、ウエハー拡張アセンブリのサイズ及び距離などの配置を調整することで、ウエハーの底部に貼り付けられたフィルムの張力を変えてウエハーを拡張する。このように、局部(単一点)のフィルム張力を改善すること、又はフィルム全体の張力を均等化することで、フィルム拡張で分離し切れなかったため次工程においてチップをピックアップできないことを防止し、さらに製造工程の歩留まりを高めることができる。
【0006】
本発明が提供するウエハー拡張装置は、ウエハー拡張リング、搭載台、ウエハー拡張アセンブリ及び固定機構を含む。ウエハー拡張リングは外枠及びフィルムを含み、フィルムが外枠に接続され、かつウエハーを貼り付ける。搭載台はウエハー拡張リングを搭載する。ウエハー拡張アセンブリはフィルムを押え付けて拡張するものであり、ウエハー拡張アセンブリは異なるサイズの押え付けロールを含む。固定機構は搭載台と共にウエハー拡張リングの外枠を固定し、かつ、ウエハー拡張アセンブリがフィルムを上へ押え付け時に、フィルムを拡張することでウエハーを拡張する。
【0007】
本発明が提供するウエハー拡張装置は、ウエハー拡張リング、搭載台、ウエハー拡張アセンブリ及び固定機構を含む。ウエハー拡張リングは外枠及びフィルムを含み、フィルムが外枠に接続され、かつウエハーを貼り付ける。搭載台はウエハー拡張リングを搭載する。ウエハー拡張アセンブリはフィルムを押え付けて拡張し、ウエハー拡張アセンブリはウエハーの中心との距離が異なる押え付けロールを含む。固定機構は搭載台と共にウエハー拡張リングの外枠を固定し、かつ、ウエハー拡張アセンブリがフィルムを上へ押え付け時に、フィルムを拡張することでウエハーを拡張する。
【0008】
本発明が提供するウエハー拡張装置は、ウエハー拡張リング、搭載台、ウエハー拡張アセンブリ、加力アセンブリ及び固定機構を含む。ウエハー拡張リングは外枠及びフィルムを含み、フィルムが外枠に接続されて、ウエハーを貼り付ける。搭載台はウエハー拡張リングを搭載する。ウエハー拡張アセンブリはフィルムを押え付けて拡張する。加力アセンブリはフィルムに加力してフィルムの局部張力を変える。固定機構は搭載台と共にウエハー拡張リングの外枠を固定し、かつ、ウエハー拡張アセンブリがフィルムを上へ押え付け時に、フィルムを拡張することでウエハーを拡張する。
【0009】
以上のように、本発明が提供するウエハー拡張装置は、同じ治具において簡単に組み立てと分解し、ウエハー拡張アセンブリ中の一部のアセンブリを変えたり、又は加力アセンブリを別途加えたりすることで、拡張する際のウエハー拡張装置がフィルムに対する局部張力を変えて、拡張コストを低減させるとともに、拡張の歩留まりを高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の好ましい実施例のウエハー拡張装置を示す上面概略図及び断面概略図。
図2】本発明の好ましい実施例のウエハー拡張アセンブリを示す立体概略図。
図3】本発明の好ましい実施例の改良されたウエハー拡張装置を示す上面概略図及び断面概略図。
図4】本発明の好ましい実施例のウエハー拡張アセンブリを示す立体概略図。
図5】本発明の好ましい実施例の改良されたウエハー拡張装置を示す上面概略図及び断面概略図。
図6】本発明の好ましい実施例のウエハー拡張アセンブリを示す立体概略図。
図7】本発明の好ましい実施例の改良されたウエハー拡張装置を示す上面概略図及び断面概略図。
図8】本発明の好ましい実施例のウエハー拡張アセンブリを示す立体概略図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図1は本発明の好ましい実施例のウエハー拡張装置を示す上面概略図及び断面概略図であり、その中、図1(a)はウエハー拡張装置の上面概略図であり、図1(b)−1(c)はウエハー拡張装置の断面概略図である。図1が示すように、ウエハー拡張装置100はウエハー拡張リング110(例えば、鉄リング)、搭載台120、ウエハー拡張アセンブリ130及び固定機構140を含む。ウエハー拡張リング110は、フィルム112(例えば、プラスチックフィルム)及び外枠114を含むことができる。フィルム112は外枠114に接続され、かつフィルム112にウエハー10が貼り付けられる。ウエハー10は、既に前工程においてウエハー10中の各チップ間の切断線で切断されて、ウエハー10中の各チップが切断線に沿って区分され、フィルム112のみで繋がり合っているものである。本実施例において、ウエハー10はフィルム112の上に置かれ、フィルム112を引き伸ばした時に、ウエハー10中の各チップ間の距離がフィルム112を断裂させるほど広がると、各チップが互いに分離する。搭載台120は加工物を搭載する。
【0012】
ウエハー拡張アセンブリ130はフィルム112を押え付けて拡張するものである。固定機構140は、搭載台120と共にウエハー拡張リング110の外枠114を固定する。本実施例において、ウエハー拡張アセンブリ130が上へ移動してフィルム112を押え付けた時に、フィルム112が拡張されとウエハー10も拡張される。別の実施例において、固定機構140は、ウエハー拡張リング110の外枠114が搭載台120上にある時にウエハー拡張リング110の外枠114を押え、フィルム112を拡張することでウエハー10を拡張してもよい。本実施例において、ウエハー拡張アセンブリ130は同じサイズの押え付けロール132を複数含むように構成されている。押え付けロール132はウエハー10を囲むように設置され、かつ、押え付けロール132が円形に分布している。一実施例において、拡張ステップが図1(b)−1(c)が示す通りである。まず、図1(b)が示すように、ウエハー拡張リング110が搭載台120上に平に設置され、かつ、搭載台120と固定機構140の間に挟まれている。そして、図1(c)が示すように、ウエハー拡張アセンブリ130が上へ移動してフィルム112を押え付け、フィルム112がウエハー拡張アセンブリ130により相対的に上へ押え付けられ、フィルム112の外向きの張力Fが増大してフィルム112が拡張されるという形で拡張を行う。
【0013】
以下、ウエハー拡張アセンブリ130の実施形態を説明する。図2は本発明の好ましい実施例のウエハー拡張アセンブリを示す立体概略図である。本実施例において、ウエハー拡張アセンブリ130は、同じサイズの押え付けロール132を複数含むように構成されている。各押え付けロール132が台座134上に突出し、ウエハー拡張アセンブリ130が押え付けロール132のみでフィルム112に接触し、フィルム112が台座134の上方に架空設置される。各押え付けロール132とウエハー10の中心又は縁部の距離がいずれも同じ距離であり、これによりフィルム112の各局部の位置に対し同じ張力Fを提供し、ウエハー10の各局部を均等に拡張させ、製造工程の歩留まりを高めることができる。
【0014】
新しい材料とプロセスの改善に伴い、異なるチップ又は材料の特徴条件に基づいて、指定方向又は指定位置に対し拡張の張力を調整する必要がある。単一固定の治具を用いた場合、微調整後に共用できないため、比較的に高いプロセスコストが必要とし、局部に張力不足又は過大などの調整できない問題が起こる。異なるチップサイズ及びフィルム種類などの変化に対応するために、本発明はさらに以下の3種類の改良されたウエハー拡張装置を提案し、全方向の張力を調整する。
【0015】
図3は本発明の好ましい実施例の改良されたウエハー拡張装置を示す上面概略図及び断面概略図であり、図3(a)はウエハー拡張装置の上面概略図であり、図3(b)はウエハー拡張装置の断面概略図である。図3が示すように、本実施例のウエハー拡張装置200が図1のウエハー拡張装置100と同じウエハー拡張リング110、搭載台120及び固定機構140を有する。本実施例において、元のウエハー拡張アセンブリ130をウエハー拡張アセンブリ230に改良したのみで、このウエハー拡張アセンブリ230が異なるサイズの押え付けロールを含み、これにより単一点又は単一領域の局部張力を変えるものである。本実施例において、押え付けロールが複数の第一押え付けロール232a及び複数の第二押え付けロール232bを含み、かつ、第一押え付けロール232aの直径が第二押え付けロール232bの直径より大きくてもよい。好ましくは、フィルム112に均等な引き伸ばし張力を提供するよう、第一押え付けロール232aと第二押え付けロール232bを交差させて設置する。より好ましくは、第一押え付けロール232a間の距離が等距離である。例えば、第一押え付けロール232a及び第二押え付けロール232bはいずれもウエハー10の中心又は縁部との距離が同じであり、かつ、4つの第一押え付けロール232aが、ウエハー10の中心を円心とした円周上に等距離の4つの部分を定義する。
【0016】
図4は本実施例のウエハー拡張アセンブリ230を示す立体概略図である。ウエハー拡張アセンブリ230は、互いに等距離で4つの第一押え付けロール232aと複数の第二押え付けロール232bを含むように構成されている。第一押え付けロール232aと第二押え付けロール232bが台座234上に突出し、ウエハー拡張アセンブリ230は第一押え付けロール232aと第二押え付けロール232bのみでフィルム112に接触することにより、フィルム112が台座234の上方に架空して設置される。第一押え付けロール232aと第二押え付けロール232bからウエハー10の中心又は縁部までの距離がいずれも同じであるが、第一押え付けロール232aの直径が第二押え付けロール232bの直径より大きい。これにより、フィルム112の各局部位置における張力F/F1を調整し、かつ、張力F1が張力Fより大きいため、ウエハー10の局部張力を変えるとともに拡張を行うことができ、製造工程のニーズに応え、さらに製造工程の歩留まりを高めることができる。
【0017】
図5は本発明の好ましい実施例のウエハー拡張装置を示す上面概略図及び断面概略図であり、其中図5(a)はウエハー拡張装置を示す上面概略図であり、図5(b)はウエハー拡張装置を示す断面概略図である。図5が示すように、本実施例と図1のウエハー拡張装置100が同じウエハー拡張リング110、搭載台120及び固定機構140を有する。本実施例において、元のウエハー拡張アセンブリ130をウエハー拡張アセンブリ330に改良したのみであり、このウエハー拡張アセンブリ330はウエハー10の中心からの距離が異なる押え付けロールを含み、張力を均等化することで、例えば、ウエハー10が作業台からずれるなどの問題を解決できる。本実施例にいて、押え付けロールが複数の第一組の押え付けロール332a及び複数の第二組の押え付けロール332bを含んでもよい。第一組の押え付けロール332a及び第二組の押え付けロール332bがウエハー10を囲んで円形に分布するように設置される。各第一組の押え付けロール332aがウエハー10の中心又はウエハー10の縁部までの距離が同じであり、各第二組の押え付けロール332bがウエハー10の中心又はウエハー10の縁部までの距離が同じであり、かつ、第一組の押え付けロール332aとウエハー10の中心との距離が第二組の押え付けロール332bとウエハー10の中心との距離より大きい。好ましくは、フィルム112に均等な引き伸ばし張力を提供するよう、第一組の押え付けロール332aと第二組の押え付けロール332bを交差して設置する。より好ましくは、第一組の押え付けロール332a間の距離が等距離である。例えば、4つの第一組の押え付けロール332aがウエハー10の中心を円心とする円周上において、等距離の4つの部分を定義する。
【0018】
図6は本実施例のウエハー拡張アセンブリ330を示す立体概略図である。ウエハー拡張アセンブリ330は、互いに等距離である4つの第一組の押え付けロール332aを含むように構成されている。各第一組の押え付けロール332aと各第二組の押え付けロール332bが台座334上に突出し、ウエハー拡張アセンブリ330が第一組の押え付けロール332aと第二組の押え付けロール332bのみでフィルム112に接触し、フィルム112が台座334の上方に架空して設置されている。第一組の押え付けロール332aと第二組の押え付けロール332bが同じサイズであるが、第一組の押え付けロール332aからウエハー10の中心までの距離が第二組の押え付けロール332bからウエハー10の中心までの距離より大きい。これにより、フィルム112の各局部位置における張力F2/Fを調整し、かつ、第一組の押え付けロール332aが印加する張力F2が第二組の押え付けロール332bが印加する張力Fより小さいため、ウエハー10における張力を均等化して拡張することができ、例えば、ウエハー10が作業台に対しずれるなどの製造工程の不備を解消し、さらに製造工程の歩留まりを高めることができる。
【0019】
図7は本発明の好ましい実施例のウエハー拡張装置を示す上面概略図及び断面概略図であり、図7(a)はウエハー拡張装置を示す上面概略図であり、図7(b)はウエハー拡張装置を示す断面概略図である。図7が示すように、本実施例と図1のウエハー拡張装置100が同じウエハー拡張リング110、搭載台120、ウエハー拡張アセンブリ130及び固定機構140を有する。本実施例では、さらに加力アセンブリ450を設けることで、フィルム112に加力し、フィルム112の単点など局部張力を変えるものである。本実施例において、加力アセンブリ450が複数の押下ロール452を含み,フィルム112を局部的に押下することで、フィルム112において張力F3が生じる。好ましくは、押下ロール452がそれぞれウエハー10の対向する両側に位置し、対向する両側の単点の張力を変える。
【0020】
図8は本実施例のウエハー拡張アセンブリ130及び加力アセンブリ450を示す立体概略図である。加力アセンブリ450は、ウエハー拡張アセンブリ130の押え付けロール132が分布した円形内に設置され、かつウエハー拡張アセンブリ130の台座134の上方に位置するが、台座134に接触せず、フィルム112に対し局部的に張力を印加する。フィルム112を破壊しないよう、加力アセンブリ450の押下ロール452はフィルム112との接触面が平滑表面を有ることが好ましい。
【0021】
本発明の主旨は、その他のアセンブリを取り付け、圧力又は牽引力などを印加する方法によりフィルムのける指定方向または位置に対する局部拡張の張力を変えて、拡張歩留まり率を高める目的を達成するものである。以上において3つの改良実施例を紹介したが、本発明はこれら3つの実施例に限定されず、かつ、製造工程又は装置のニーズに応じて、同じ拡張プロセスにおいて上記実施例を単独に応用し、又は同時に応用して、拡張プロセスにおける張力不足、張力過大又は張力不均一など様々問題を改善することができる。
【0022】
以上をまとめると、本発明が提供するウエハー拡張装置は、同じ治具において簡単に組み立てと分解し、ウエハー拡張アセンブリ中の一部のアセンブリを変えたり、又は加力アセンブリを別途加えたりすることで、ウエハー拡張装置が拡張を行う時にフィルムに対する局部張力を変えて、拡張コストを低減させるとともに、拡張の歩留まりを高めることができる。具体的に言うと、ウエハー拡張装置は、ウエハー拡張リング、搭載台、ウエハー拡張アセンブリ及び固定機構を含む。ウエハー拡張リングは外枠及びフィルムを含み、フィルムが外枠に接続されて、ウエハーを貼り付ける。搭載台がウエハー拡張リングを搭載する。ウエハー拡張アセンブリはフィルムを押え付けて拡張させる。固定機構は搭載台とともにウエハー拡張リングの外枠を固定し、かつ、ウエハー拡張アセンブリがフィルムを上へ押え付けた時に、フィルムを拡張することでウエハーを拡張する。ウエハー拡張アセンブリは、異なるサイズの押え付けロールを含み、又は/及び、ウエハーの中心までの距離が異なる押え付けロールを含んでもよい。加力アセンブリはウエハー拡張アセンブリの押え付けロールの分布曲線内に位置し、かつフィルムの上方に位置してもよいが、本発明はこれに限定されない。
【0023】
以上は本発明の好ましい実施例に過ぎず、本発明の請求の範囲に基づいて行った等価な変更と修正はすべて本発明の範囲に属する
【符号の説明】
【0024】
10 ウエハー
100、200 ウエハー拡張装置
110 ウエハー拡張リング
112 フィルム
114 外枠
120 搭載台
130、230、330 ウエハー拡張アセンブリ
132 押え付けロール
134、234、334 台座
140 固定機構
232a 第一押え付けロール
232b 第二押え付けロール
332a 第一組の押え付けロール
332b 第二組の押え付けロール
450 加力アセンブリ
452 押下ロール
F、F1、F2、F3 張力
【要約】
【課題】ウエハー拡張リング、搭載台、ウエハー拡張アセンブリ及び固定機構を含むウエハー拡張装置を提供する。
【解決手段】ウエハー拡張リングは外枠及びフィルムを含み、フィルムが外枠に接続され、かつウエハーを貼附つける。搭載台はウエハー拡張リングを搭載する。ウエハー拡張アセンブリはフィルムを押え付けて拡張させるものであり、かつウエハー拡張アセンブリは異なるサイズの押え付けロール、またはウエハーの中心までの距離が異なる押え付けロールを含む。固定機構は搭載台と共にウエハー拡張リングの外枠を固定し、かつ、ウエハー拡張アセンブリがフィルムを上へ押え付けた時に、フィルムを拡張してウエハーを拡張する。本発明はさらに加力アセンブリを提供し、フィルムに加力して、フィルムの局部張力を変える。
【選択図】図3
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8