特許第6851531号(P6851531)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6851531光ファイバテープ心線の製造装置および製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6851531
(24)【登録日】2021年3月11日
(45)【発行日】2021年3月31日
(54)【発明の名称】光ファイバテープ心線の製造装置および製造方法
(51)【国際特許分類】
   G02B 6/44 20060101AFI20210322BHJP
【FI】
   G02B6/44 391
   G02B6/44 371
   G02B6/44 381
【請求項の数】4
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2020-94881(P2020-94881)
(22)【出願日】2020年5月29日
【審査請求日】2020年8月21日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】306013120
【氏名又は名称】昭和電線ケーブルシステム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001092
【氏名又は名称】特許業務法人サクラ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】田邉 賢吾
(72)【発明者】
【氏名】斉藤 仁志
(72)【発明者】
【氏名】永井 傑朗
【審査官】 堀部 修平
(56)【参考文献】
【文献】 特開2014−010439(JP,A)
【文献】 特開2014−052519(JP,A)
【文献】 特開2017−102373(JP,A)
【文献】 特開2012−252245(JP,A)
【文献】 国際公開第2019/137628(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 6/02,6/04−6/08,6/44
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数本の単心被覆光ファイバを光硬化型樹脂で被覆するテープダイスと、
前記各単心被覆光ファイバ間の前記光硬化型樹脂に分断部を形成する分断ダイスと、
前記光硬化型樹脂に光を照射し当該光硬化型樹脂を硬化させる光照射装置とを備え、
前記光硬化型樹脂の25℃での粘度が4.7〜8.8Pa・sであり、
前記テープダイスの温度が前記分断ダイスの温度より高く、前記テープダイスと前記分断ダイスとの温度差が2〜25℃であることを特徴とする光ファイバ
テープ心線の製造装置。
【請求項2】
請求項1に記載の光ファイバテープ心線の製造装置において、
前記光硬化型樹脂がエポキシアクリレート系光硬化型樹脂またはウレタンアクリレート
系光硬化型樹脂であることを特徴とする光ファイバテープ心線の製造装置。
【請求項3】
複数本の単心被覆光ファイバを光硬化型樹脂で被覆する第1の工程と、
前記各単心被覆光ファイバ間の前記光硬化型樹脂に分断部を形成する第2の工程と、
前記光硬化型樹脂に光を照射し当該光硬化型樹脂を硬化させる第3の工程とを備え、
前記光硬化型樹脂の25℃での粘度が4.7〜8.8Pa・sであり、
前記第1の工程と前記第2の工程とで、第1の工程で使用するテープダイスの温度を、前記第2の工程で使用する分断ダイスの温度より高く設定し、前記テープダイスと前記分断ダイスとの温度差を2〜25℃と設定することを特徴とする光ファイバテープ心線の製造方法。
【請求項4】
請求項3に記載の光ファイバテープ心線の製造方法において、
前記光硬化型樹脂がエポキシアクリレート系光硬化型樹脂またはウレタンアクリレート系光硬化型樹脂であることを特徴とする光ファイバテープ心線の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は光ファイバテープ心線の製造装置および製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
複数本の単心被覆光ファイバを並列に配置するとともに、互いに隣り合う単心被覆光ファイバ同士を間欠的に連結し、その連結部を長さ方向および幅方向にそれぞれ間隔をあけて分散して配置した、間欠連結型の光ファイバテープ心線が知られている。
【0003】
間欠連結型の光ファイバテープ心線は、一括被覆型の光ファイバテープ心線と比べて、幅方向への曲げ難さと相関のある曲げ異方性が小さいため、筒状にまたは折り畳んでケーブル内に収納でき、これにより、ケーブルの高密度化や施工性の向上を図ることができる。
間欠連結型の光ファイバテープ心線は、テープ心線本体から光ファイバを個別に後分岐させやすいうえ、光ファイバのホルダへの接続の際には、光ファイバを所定の配列に並べることが容易であるため、テープ層の融着作業を介した光ファイバの一括接続が可能であるという利点を有する。
かかる間欠連結型の光ファイバテープ心線の製造装置または製造方法として、間欠的な連結部の形成に光硬化型樹脂を利用する技術が知られている(特許文献1、2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−33010号公報
【特許文献2】特開2012−252197号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、この種の製造装置または製造方法では、分断部自体が形成されない場合や、連結部で強度不足を招く場合、連結部または分断部の長さにばらつきが生じる場合などがある。
具体的に分断部自体が形成されない場合は、曲げ異方性や光ファイバを後分岐させる際の作業性が悪化する。連結部で強度不足になると、テープ幅が不安定になったり(テープ幅が変動したり)光ファイバがばらけたりする事態が生じ、光ファイバのホルダへの一括接続が困難となる。連結部または分断部の長さにばらつきが生じると、光ファイバの伝送特性が低下する可能性もある。
【0006】
したがって本発明の主な目的は、曲げ異方性や光ファイバの後分岐作業性の悪化を抑制しながら、光ファイバのホルダへの一括接続性や光ファイバの伝送特性の低下を抑制することができる光ファイバテープ心線の製造装置および製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため本発明の一態様によれば、
複数本の単心被覆光ファイバを光硬化型樹脂で被覆するテープダイスと、
前記各単心被覆光ファイバ間の前記光硬化型樹脂に分断部を形成する分断ダイスと、
前記光硬化型樹脂に光を照射し当該光硬化型樹脂を硬化させる光照射装置とを備え、
前記光硬化型樹脂の25℃での粘度が4.7〜8.8Pa・sであり、
前記テープダイスの温度が前記分断ダイスの温度より高く、前記テープダイスと前記分断ダイスとの温度差が2〜25℃であることを特徴とする光ファイバテープ心線の製造装置が提供される。
【0008】
本発明の他の態様によれば、
複数本の単心被覆光ファイバを光硬化型樹脂で被覆する第1の工程と、
前記各単心被覆光ファイバ間の前記光硬化型樹脂に分断部を形成する第2の工程と、
前記光硬化型樹脂に光を照射し当該光硬化型樹脂を硬化させる第3の工程とを備え、
前記光硬化型樹脂の25℃での粘度が4.7〜8.8Pa・sであり、
前記第1の工程と前記第2の工程とで、第1の工程で使用するテープダイスの温度を、前記第2の工程で使用する分断ダイスの温度より高く設定し、前記テープダイスと前記分断ダイスとの温度差を2〜25℃と設定することを特徴とする光ファイバテープ心線の製造方法が提供される。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、曲げ異方性や光ファイバの後分岐作業性の悪化を抑制しながら、光ファイバのホルダへの一括接続性や光ファイバの伝送特性の低下を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】光ファイバテープ心線の概略構成を示す平面図である。
図2】光ファイバテープ心線の概略構成を示す断面図である。
図3】光ファイバテープ心線の製造装置の概略構成を示す図である。
図4】適正な分断部および連結部の例を示す平面図である。
図5】不適正な分断部および連結部の例を示す平面図である。
図6】変形例にかかる光ファイバテープ心線の製造装置の概略構成を示す図である。
図7A】変形例にかかる分断ダイスの回転刃の概略構成を示す側面図である。
図7B】変形例にかかる分断ダイスの回転刃の概略構成を示す側面図である。
図7C】変形例にかかる分断ダイスの回転刃の概略構成を示す側面図である。
図8】変形例にかかる回転刃の回転の様子を概略的に示す側面図である。
図9】変形例にかかる光ファイバテープ心線の製造装置の概略構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の好ましい実施形態にかかる光ファイバテープ心線ならびにその製造装置および製造方法について説明する。なお、本明細書では、数値範囲を示す「〜」の記載に関し下限値および上限値はその数値範囲に含まれる。
【0012】
[光ファイバテープ心線]
図1は光ファイバテープ心線1の概略構成を示す平面図である。
図1に示すとおり、光ファイバテープ心線1は複数本の単心被覆光ファイバ2を有し(図1では4本)、互いに隣り合う単心被覆光ファイバ2同士がその長さ方向および幅方向に間欠的に連結または分断し、連結部4および分断部6が分散して配置される間欠連結型の光ファイバテープ心線である。
図2は光ファイバテープ心線1の概略構成を示す断面図である。
図2に示すとおり、単心被覆光ファイバ2は光ファイバ素線2aが1次被覆層2bおよび2次被覆層2cで順に被覆された構成を有している。光ファイバテープ心線1は各単心被覆光ファイバ2がテープ層8(テープ状の樹脂)によって一体的に被覆された構成を有しており、テープ層8に対し連結部4および分断部6が形成されている。
テープ層8は光硬化型樹脂で構成されている。当該光硬化型樹脂は25℃での粘度が4.7〜8.8Pa・sであり、好ましくはエポキシアクリレート系光硬化型樹脂またはウレタンアクリレート系光硬化型樹脂である。
【0013】
[光ファイバテープ心線の製造装置および製造方法]
(1)光ファイバテープ心線の製造装置
図3は光ファイバテープ心線の製造装置10の概略構成を示す図である。
図3に示すとおり、光ファイバテープ心線の製造装置10では主に、単心被覆光ファイバ2の搬送方向Aに沿ってテープダイス20、分断ダイス30および2つの光照射装置40、50がこの順に設置され、単心被覆光ファイバ2がこれらダイスおよび装置間をこの順に通過するようになっている。
【0014】
テープダイス20は複数本の単心被覆光ファイバ2の周囲を光硬化型樹脂で一括被覆する汎用的なダイスであり、これを通過する複数本の単心被覆光ファイバ2に対し未硬化の光硬化型樹脂をテープ状に塗布しテープ層8の前駆体を形成するようになっている。
【0015】
分断ダイス30には上下に昇降自在な複数本の分断ニードル32、34、36が設置されている(図3では3本)。各分断ニードル32、34、36は単心被覆光ファイバ2間の上方に配置されており、中央部の分断ニードル34と両側部の分断ニードル32、36とが未硬化の光硬化型樹脂に対し交互に昇降し、間欠的に分断部6および連結部4を形成するようになっている。
分断ダイス30には余分な光硬化型樹脂を吸引するための樹脂吸引装置38が設置されている。樹脂吸引装置38は分断ニードル32、34、36の下降により堰き止められた余分な光硬化型樹脂を吸引するようになっている。
【0016】
上流側の光照射装置40は未硬化の光硬化型樹脂に対し光を照射するものであり、当該光硬化型樹脂を半硬化させるようになっている。「半硬化」とは樹脂が完全硬化していない状態、つまり樹脂が光エネルギーにより部分的に架橋された状態にあることをいう。
下流側の光照射装置50は半硬化の光硬化型樹脂に対し光をさらに照射するものであり、当該光硬化型樹脂を完全硬化させるようになっている。「完全硬化」とは樹脂が完全または完全に近い状態まで硬化している状態、つまり樹脂が光エネルギーにより完全または完全に近い状態まで架橋された状態にあることをいう。
上流側の光照射装置40と下流側の光照射装置50とでは、上流側の光照射装置40は積算照射量が少なく、下流側の光照射装置50は積算照射量が多い。
【0017】
以上の光ファイバテープ心線の製造装置10では、テープダイス20の温度が分断ダイス30の温度より高くなっており、その温度差は好ましくは2〜25℃であり、より好ましくは2〜20℃であり、さらに好ましくは5〜20℃であり、さらに好ましくは10〜20℃である。
テープダイス20の温度を分断ダイス30の温度より高くするのは、高温であれば光硬化型樹脂の塗布性が向上し光硬化型樹脂中に気泡が発生しにくく、光硬化型樹脂の粘度も低下しその表面張力で単心被覆光ファイバ2の集線効果が増大する、またはその流動性から搬送速度(線速)が高速となっても樹脂被覆が単心被覆光ファイバ2に十分に追随し、樹脂被覆にボイド(穴)が発生するのを抑制しうる、といった理由による。
逆に、分断ダイス30の温度をテープダイス20の温度より低くするのは、低温であれば光硬化型樹脂の粘度が増大し分断ニードル32、34、36を下降させ分断部6を形成する際の界面が維持され(分断部6への光硬化型樹脂の流動が抑制され)、また光硬化型樹脂の温度が高温のまま維持され樹脂の粘度が低下すれば樹脂吸引装置38で光硬化型樹脂が過剰に吸引され連結部4で光硬化型樹脂の欠損が生じうるためである。すなわち、光硬化型樹脂の性状および粘度が適正に調整された場合、分断部6と連結部4とには設計値どおりの間隙が形成されるが(図4参照)、光硬化型樹脂の性状および粘度が適正に調整されない場合は、分断部6の中途部で光硬化型樹脂が流動し架渡し部6aが形成されたり、連結部4で欠損部4a(不測の分断部)が形成されたりする(図5参照)。
【0018】
テープダイス20と分断ダイス30との温度は、意図的に両方のダイスで制御されてもよいし、ダイスの設置環境や供給樹脂自体の温度などに応じて一方のダイスでのみ制御されてもよい。
すなわち、(1)テープダイス20と分断ダイス30との両方に熱電対およびヒータ線を設置し熱電対の測定結果に基づきヒータ線を制御してもよいし、(2)テープダイス20に対してのみ熱電対およびヒータ線を設置しテープダイス20のみを温度制御し、かつ、分断ダイス30に対しては設置環境温度のまま放置してもよいし、(3)テープダイス20に対して加熱され溶融した未硬化の光硬化型樹脂を供給したまま放置し、かつ、分断ダイス30に対して熱電対およびヒータ線を設置し分断ダイス30のみを温度制御してもよい。
【0019】
(2)光ファイバテープ心線の製造方法
複数本の単心被覆光ファイバ2を搬送方向Aに沿って搬送させた状態で(搬送速度は好ましくは60〜300m/分である。)、はじめに、複数本の単心被覆光ファイバ2に対しテープダイス20で未硬化の光硬化型樹脂をテープ状に塗布し、テープ層8の前駆体を形成する。
その後、当該テープ層8の前駆体に対し分断ダイス30の分断ニードル32、34、36を昇降させ、テープ層8の前駆体に対し分断部6および連結部4を形成する。
その後、テープ層8の前駆体に対し光照射装置40で光を照射し未硬化の光硬化型樹脂を半硬化させ、最終的に光照射装置50でさらに光を照射し半硬化の光硬化型樹脂を完全硬化させる。
これら工程の処理中はテープダイス20の温度を分断ダイス30の温度より高く設定する。
【0020】
以上の光ファイバテープ心線の製造装置10および製造方法によれば、テープダイス20の温度が分断ダイス30の温度より高いため、分断部6自体が形成されない、連結部4で強度不足を招く、連結部4または分断部6の長さにばらつきが生じる、といった事態が防止され、曲げ異方性や光ファイバの後分岐作業性の悪化を抑制しながら、光ファイバのホルダへの一括接続性や光ファイバの伝送特性の低下を抑制することができる(下記実施例参照)。
【0021】
[変形例]
図3の分断ダイス30に代えて図6の分断ダイス60が適用されてもよい。
図6の分断ダイス60では単心被覆光ファイバ2の出口面に対し複数枚の回転刃62、64、66が設置されている(図6では3枚)。各回転刃62、64、66は単心被覆光ファイバ2の搬送に追従して回転するようになっており、回転軸が一致している。
図7Aに示すとおり中央部の回転刃64には切欠部64aが形成され、図7Bに示すとおり両側部の回転刃62、66にも切欠部62a、66aが形成されている。図7Cに示すとおり中央部の回転刃64の切欠部64aと両側部の回転刃62、66の切欠部62a、66aとでは位相がずれている。
図8に示すとおり、各回転刃62、64、66は単心被覆光ファイバ2の搬送に追従して回転すると、中央部の回転刃64の切欠部64aと両側部の回転刃62、66の切欠部62a、66aとで位相がずれたまま各回転刃62、64、66が回転し、分断部6と連結部4とが交互に形成されるようになっている。
図9に示すとおり、図3および図6のいずれの製造装置10においても、テープダイス20と分断ダイス30、60との間の上方に光照射装置70を設置してもよい。
かかる場合、光照射装置70では上流側の光照射装置40より積算照射量を少なくする。
光照射装置70によれば、単心被覆光ファイバ2の集線効果を増大させることができ、連結部4および分断部6の成形性も向上させることができる。
【実施例】
【0022】
(1)サンプルの作製
(1.1)サンプル1〜7
図6の光ファイバテープ心線の製造装置を用いて、連結部の長さが20mmで(図1の符号H)分断部の間隔が50mm(図1の符号G)の間欠連結型の4心光ファイバテープ心線を製造した。
単心被覆光ファイバには、外径125μmの石英ガラス系SM光ファイバ上に、23℃におけるヤング率が約5MPaのウレタンアクリレート系光硬化型樹脂からなる1次被覆、および23℃におけるヤング率が約700MPaのウレタンアクリレート系光硬化型樹脂からなる2次被覆を施した外径250μmの単心被覆光ファイバを使用した。
テープ層の形成には光硬化型樹脂としてエポキシアクリレート系光硬化型樹脂を使用し、テープダイスとして穴径が1.26×0.38mm(長円)のテープダイスを使用し、4本の単心被覆光ファイバに対し未硬化の当該光硬化型樹脂をテープ状に塗布した。
その他の製造条件は以下のとおりとした。
搬送速度(線速):200m/分(min)
テープダイス(出口)−分断ダイス(入口)間の距離:40mm
分断ダイスの回転刃を通過する部分の単心被覆光ファイバ間の間隔:320μm
上流側の光照射装置の積算照射量:15.6mJ/cm
下流側の光照射装置の積算照射量:149mJ/cm
【0023】
(1.2)サンプル11〜13
サンプル1〜7において製造条件を一部(搬送速度、ダイス間の温度差など)変更した。サンプル11〜12では搬送速度を60m/分(min)と、サンプル13では搬送速度を300m/分(min)とした。それ以外はサンプル1〜7と同様に間欠連結型の光ファイバテープ心線を製造した。
【0024】
(1.3)サンプル21〜27
サンプル1〜7においてテープ層の形成にウレタンアクリレート系光硬化型樹脂を使用した。それ以外はサンプル1〜7と同様に間欠連結型の光ファイバテープ心線を製造した。
【0025】
(2)サンプルの評価
(2.1)間欠エラー発生率の算出
長手方向に沿った1ピッチ(1ピッチ=70mm)内で3箇所の分断部の状態を観察し、少なくとも1箇所で分断部が形成されないか、または架け渡しがあれば、間欠エラーとしてカウントする。
サンプル1〜7、11〜13、21〜27ごとに20サンプル(1サンプルあたり50ピッチ)を観察し、間欠エラー数/間欠の総数(1000)から間欠エラー発生率を求めた。
表1〜表3では、間欠エラー発生率が、0.1%以下のものを「○」、0.1%超で0.5%未満のものを「△」、0.5%以上のものを「×」で表した。
【0026】
(2.2)テープ強度の計測
IEC60794-1-2 Impactとして規定された衝撃試験を実施した。
この衝撃試験では、サンプルをケーブルに実装しそのケーブルに対して衝撃落下試験を実施した。具体的には、落下物の質量を1kg、落下高さを1mとしてケーブルの衝撃落下試験を実施し、ケーブルを解体してサンプルを取り出し、連結部の破壊箇所数を計測する。
表1〜表3では、破壊箇所が0箇所のものを「○」、破壊箇所が1〜3箇所あるものを「△」、破壊箇所が4箇所以上あるものを「×」で表した。
【0027】
(2.3)テープ幅の評価
サンプルの設計幅1.10mmに対しどの程度幅が広くなったかを測定し、テープ層の融着作業を介した光ファイバのホルダへの一括接続性(テープ層を融着させ各単心被覆光ファイバをホルダに一括でセット挿入できるかどうか)を評価した。
表1〜表3では、サンプルの幅が設計幅に対し−0.05以上で+0.04mm以内なら「〇」、+0.04mm超なら「×」で表した。
【0028】
(2.4)伝送損失の測定
YOKOGAWA製OTDR AQ7280-HJを用いて伝送損失(λ=1.55μm)を測定した。
表1〜表3では、0.30dB/km以下を「〇」、0.30dB/km超で0.35dB/km以内を「△」、0.35dB/km超を「×」で表した。
【0029】
【表1】
【0030】
【表2】
【0031】
【表3】
【0032】
(3)まとめ
表1〜表3に示すとおり、サンプル2〜4、11〜13、22〜24では、間欠エラー発生率、テープ強度、テープ幅および伝送損失のいずれにおいても結果が良好であるか(〇)、または実用レベルに達していた(△)。
以上から、テープダイスと分断ダイスとで温度差がありテープダイスの温度を分断ダイスの温度より高くすることは、曲げ異方性や光ファイバの後分岐作業性の悪化を抑制しながら、光ファイバのホルダへの一括接続性や光ファイバの伝送特性の低下を抑制するのに有用であることがわかる。
特にサンプル2〜3、11〜13、22〜24の結果から、テープ層をエポキシアクリレート系光硬化型樹脂またはウレタンアクリレート系光硬化型樹脂で構成した場合、テープダイスと分断ダイスとの温度差を2〜25℃、好ましくは2〜20℃とするのが有用であることがわかる。
【符号の説明】
【0033】
A (単心被覆光ファイバの)搬送方向
1 光ファイバテープ心線
2 単心被覆光ファイバ
2a 光ファイバ素線
2b 1次被覆層
2c 2次被覆層
4 連結部
4a 欠損部
6 分断部
6a 架渡し部
8 テープ層
10 光ファイバテープ心線の製造装置
20 テープダイス
30 分断ダイス
32、34、36 分断ニードル
38 樹脂吸引装置
40 (上流側の)光照射装置
50 (下流側の)光照射装置
60 分断ダイス
62、64、66 回転刃
62a、64a、66a 切欠部
70 光照射装置
【要約】
【課題】曲げ異方性や光ファイバの後分岐作業性の悪化を抑制しながら、光ファイバのホルダへの一括接続性や光ファイバの伝送特性の低下を抑制する。
【解決手段】複数本の単心被覆光ファイバ2を光硬化型樹脂で被覆するテープダイス20と、各単心被覆光ファイバ2間の前記光硬化型樹脂に分断部を形成する分断ダイス30と、前記光硬化型樹脂に光を照射し当該光硬化型樹脂を硬化させる光照射装置40、50とを備え、テープダイス20の温度が分断ダイス30の温度より高い。
【選択図】図3
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7A
図7B
図7C
図8
図9