【実施例】
【0031】
以下に実施例を示して本発明を更に具体的に説明するが、これらの実施例により本発明の解釈が限定されるものではない。
【0032】
<実施例1>
以下の(1)〜(17)の操作により、多分岐スチレン系ポリマーを製造した。
(1)重合容器を真空ラインに取り付け、減圧脱気、脱水を行った。
(2)重合容器にシクロヘキサン120mLを真空蒸留で移した。
(3)減圧し焼き切りを行った。
(4)s−ブチルリチウム0.045mmolを5質量%シクロヘキサン溶液としてブレイクシール法により滴下した。
(5)撹拌しながら、p−メチルスチレン75.5mmolをブレイクシール法により滴下し、40℃で18h反応させた。
(6)塩酸酸性メタノールをブレイクシール法により滴下し反応を停止した。
(7)生成物をメタノール中に滴下し、ポリマーを析出させ、得られたポリマーをベンゼンに溶解させた。この操作を計3回行って、ポリp−メチルスチレン重合体を得た。
(8)重合容器を真空ラインに取り付け、減圧脱気、脱水を行った。
(9)重合容器に、(7)で得たポリp−メチルスチレン重合体を400mgはかり取り、ベンゼンに溶解し、真空ラインに取り付け、凍結乾燥を行った。
(10)重合容器にシクロヘキサン40mLを真空蒸留で移した。
(11)重合容器を窒素雰囲気に置換し、N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン0.21mmolを加え、s−ブチルリチウム0.11mmolを5質量%シクロヘキサン溶液としてブレイクシール法により滴下した。
(12)減圧し焼き切りを行い、40℃で30min撹拌し、リチオ化反応を進行させ、リチオ化スチレン系ポリマーを得た。
(13)リチオ化スチレン系ポリマーが300mg残るように、小分けアンプルに所定量移した。
(14)ブレイクシール法により、ベンゼン100mLを滴下した。
(15)スチレン87.5mmolをブレイクシール法により滴下し、40℃で14h反応させた。
(16)塩酸酸性メタノールをブレイクシール法により滴下し反応を停止した。
(17)生成物をメタノール中に滴下し、ポリマーを析出させ、得られたポリマーをベンゼンに溶解させた。この操作を計3回行って、多分岐スチレン系ポリマーを得た。
【0033】
<実施例2>
以下の(1)〜(17)の操作により、多分岐スチレン系ポリマーを製造した。
(1)重合容器を真空ラインに取り付け、減圧脱気、脱水を行った。
(2)重合容器にシクロヘキサン120mLを真空蒸留で移した。
(3)減圧し焼き切りを行った。
(4)s−ブチルリチウム0.1mmolを5質量%シクロヘキサン溶液としてブレイクシール法により滴下した。
(5)撹拌しながら、スチレン87mmolをブレイクシール法により滴下し、40℃で14h反応させた。
(6)塩酸酸性メタノールをブレイクシール法により滴下し反応を停止した。
(7)生成物をメタノール中に滴下し、ポリマーを析出させ、得られたポリマーをベンゼンに溶解させた。この操作を計3回行って、ポリスチレン重合体を得た。
(8)重合容器を真空ラインに取り付け、減圧脱気、脱水を行った。
(9)重合容器に、(7)で得たポリスチレン重合体を189mgはかり取り、ベンゼンに溶解し、真空ラインに取り付け、凍結乾燥を行った。
(10)重合容器にシクロヘキサン120mLを真空蒸留で移した。
(11)重合容器を窒素雰囲気に置換し、N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン0.3mmolを加え、s−ブチルリチウム0.3mmolを5質量%シクロヘキサン溶液としてブレイクシール法により滴下した。
(12)減圧し焼き切りを行い、40℃で30min撹拌し、リチオ化反応を進行させ、リチオ化スチレン系ポリマーを得た。
(13)リチオ化スチレン系ポリマーが155mg残るように、小分けアンプルに所定量移した。
(14)ブレイクシール法により、シクロヘキサン100mLを滴下した。
(15)スチレン87.0mmolをブレイクシール法により滴下し、40℃で14h反応させた。
(16)塩酸酸性メタノールをブレイクシール法により滴下し反応を停止した。
(17)生成物をメタノール中に滴下し、ポリマーを析出させ、得られたポリマーをベンゼンに溶解させた。この操作を計3回行って、多分岐スチレン系ポリマーを得た。
【0034】
<実施例3>
以下の(1)〜(17)の操作により、多分岐スチレン系ポリマーを製造した。
(1)重合容器を真空ラインに取り付け、減圧脱気、脱水を行った。
(2)重合容器にベンゼン30mL、テトラヒドロフラン70mLを真空蒸留で移した。
(3)減圧し焼き切りを行った。
(4)テトラヒドロフラン30mLで希釈したナトリウムナフタレニド2.2mmolをブレイクシール法により滴下した。
(5)撹拌しながら、スチレン87.5mmol、p−メチルスチレン3.8mmolの順にブレイクシール法により滴下し、−30℃で6h反応させた。
(6)塩酸酸性メタノールをブレイクシール法により滴下し反応を停止した。
(7)生成物をメタノール中に滴下し、ポリマーを析出させ、得られたポリマーをベンゼンに溶解させた。この操作を計3回行って、ポリp−メチルスチレン−b−ポリスチレン−b−ポリp−メチルスチレンブロック共重合体を得た。
(8)重合容器を真空ラインに取り付け、減圧脱気、脱水を行った。
(9)重合容器に、(7)で得たブロック共重合体を150mgはかり取り、ベンゼンに溶解し、真空ラインに取り付け、凍結乾燥を行った。
(10)重合容器にシクロヘキサン40mLを真空蒸留で移した。
(11)重合容器を窒素雰囲気に置換し、t−ブトキシカリウム0.12mmolを加え、n−ブチルリチウム0.12mmolを5質量%シクロヘキサン溶液としてブレイクシール法により滴下した。
(12)減圧し焼き切りを行い、40℃で1h撹拌し、リチオ化反応を進行させ、リチオ化スチレン系ポリマーを得た。
(13)リチオ化スチレン系ポリマーが100mg残るように、小分けアンプルに所定量移した。
(14)ブレイクシール法により、ベンゼン100mLを滴下した。
(15)スチレン1.05mmolをブレイクシール法により滴下し、40℃で1h反応させた。
(16)塩酸酸性メタノールをブレイクシール法により滴下し反応を停止した。
(17)生成物をメタノール中に滴下し、ポリマーを析出させ、得られたポリマーをベンゼンに溶解させた。この操作を計3回行って、多分岐スチレン系ポリマーを得た。
【0035】
<実施例4>
実施例3における、t−ブトキシカリウムの代わりに、ジメトキシエタンを用いた以外は、実施例3と同様にして、多分岐スチレン系ポリマーを得た。
【0036】
<比較例1>
以下の(1)〜(7)の操作により、線状スチレン系ポリマーを製造した。
(1)重合容器を真空ラインに取り付け、減圧脱気、脱水を行った。
(2)重合容器にシクロヘキサン120mLを真空蒸留で移した。
(3)減圧し焼き切りを行った。
(4)s−ブチルリチウム45μmolを5質量%シクロヘキサン溶液としてブレイクシール法により滴下した。
(5)撹拌しながら、p−メチルスチレン75.5mmolをブレイクシール法により滴下し、40℃で18h反応させた。
(6)塩酸酸性メタノールをブレイクシール法により滴下し反応を停止した。
(7)生成物をメタノール中に滴下し、ポリマーを析出させ、得られたポリマーをベンゼンに溶解させた。この操作を計3回行って、ポリp−メチルスチレン重合体を得た。
【0037】
<比較例2>
以下の(1)〜(7)の操作により、線状スチレン系ポリマーを製造した。
(1)重合容器を真空ラインに取り付け、減圧脱気、脱水を行った。
(2)重合容器にシクロヘキサン120mLを真空蒸留で移した。
(3)減圧し焼き切りを行った。
(4)s−ブチルリチウム100μmolを5質量%シクロヘキサン溶液としてブレイクシール法により滴下した。
(5)撹拌しながら、スチレン87mmolをブレイクシール法により滴下し、40℃で14h反応させた。
(6)塩酸酸性メタノールをブレイクシール法により滴下し反応を停止した。
(7)生成物をメタノール中に滴下し、ポリマーを析出させ、得られたポリマーをベンゼンに溶解させた。この操作を計3回行って、ポリスチレン重合体を得た。
【0038】
<比較例3>
以下の(1)〜(7)の操作により、線状スチレン系ポリマーを製造した。
(1)重合容器を真空ラインに取り付け、減圧脱気、脱水を行った。
(2)重合容器にベンゼン30mL、テトラヒドロフラン70mLを真空蒸留で移した。
(3)減圧し焼き切りを行った。
(4)テトラヒドロフラン30mLで希釈したナトリウムナフタレニド2.2mmolをブレイクシール法により滴下した。
(5)撹拌しながら、スチレン87.5mmol、p−メチルスチレン3.8mmolの順にブレイクシール法により滴下し、−30℃で6h反応させた。
(6)塩酸酸性メタノールをブレイクシール法により滴下し反応を停止した。
(7)生成物をメタノール中に滴下し、ポリマーを析出させ、得られたポリマーをベンゼンに溶解させた。この操作を計3回行って、ポリp−メチルスチレン−b−ポリスチレン−b−ポリp−メチルスチレンブロック共重合体を得た。
【0039】
<比較例4>
以下の(1)〜(8)の操作により、星型スチレン系ポリマーを製造した。
(1)重合容器を真空ラインに取り付け、減圧脱気、脱水を行った。
(2)重合容器にシクロヘキサン120mLを真空蒸留で移した。
(3)減圧し焼き切りを行った。
(4)s−ブチルリチウム100μmolを5質量%シクロヘキサン溶液としてブレイクシール法により滴下した。
(5)撹拌しながら、スチレン87mmolをブレイクシール法により滴下し、40℃で14h反応させた。
(6)エポキシ化大豆油の25質量%シクロヘキサン溶液6mgを加え、40℃で10h反応させた。
(7)塩酸酸性メタノールをブレイクシール法により滴下し反応を停止した。
(8)生成物をメタノール中に滴下し、ポリマーを析出させ、得られたポリマーをベンゼンに溶解させた。この操作を計3回行って、星型ポリスチレン重合体を得た。
上記実施例1〜4及び比較例1〜4について、その要点を表1にまとめて示し
た。
【0040】
<伸長粘度の測定>
伸長粘度は、下記の方法で測定した。
(1)各サンプルを2g取り、プレス成形機にて220℃で10分間予熱した後、5MPa、1minの条件でプレスシートを成形した。
(2)得られたプレスシート(厚み0.6mm)を18mm×10mmに切削し、測定用サンプルを得た。
(3)回転型レオメータ(TA Instruments製 AR2000ex)を用い、温度140℃、ひずみ速度0.1/sにて伸長粘度測定を行った。
(4)歪硬化性の指標として、得られた伸長粘度値の中で最大の値(最大伸長粘度)を比較に用いた。
【0041】
【表1】
【0042】
表1から明らかなように、実施例1〜4のポリマーは、歪硬化性に優れるため、成形加工性に優れ、発泡成形、ブロー成形等に広く用いられることが期待される。これに対して、比較例1〜4のポリマーは、歪硬化性が小さいため、成形加工性に劣ることが懸念される。