(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0010】
[本発明の概要]
本発明の吊り戸構造は、
図1(a)(b)に示すように、吊り戸3を吊持する吊り具10として、吊り戸3の戸先側領域3aと戸尻側領域3bを選択的に吊持可能な吊り具(本願において「中継吊り具」という)10Bを備えたものであり、ベースが分断されている場合にも吊り戸3を脱落させることなく開閉することができるものである。本発明の吊り戸構造は、例えば、
図2(a)(b)〜
図4(a)(b)に示す各種吊り具10を適宜組み合わせて実現することができる。なお、本願における「吊持」とは吊り下げて保持することをいい、吊り具10が吊り戸3に固定されているか否かを問わない。
【0011】
図2(a)(b)に示す吊り具10は、枠側部材11と戸側部材12と連結部材13を備えたものであり、枠側部材11と戸側部材12の双方に回転ローラーが設けられたもの(本願において「双方回転型吊り具」という)である。
【0012】
前記枠側部材11は枠側ブラケット11aと、枠側ブラケット11aに間隔をあけて設けられた二つの回転ローラー(本願において「上ローラー」という)11bを備えている。枠側ブラケット11aの長手方向両端にはネジ穴11cを備えた止め片11dが設けられている。止め片11dは、枠側部材11と接続部材13とを連結する際に、下向きL字状の突き当て具11eを固定する部分である。
【0013】
前記戸側部材12は戸側ブラケット12aと戸側ブラケット12aに間隔をあけて設けられた二つの回転ローラー(本願において「下ローラー」という)12bを備えている。枠側ブラケット12aの長手方向両端にはネジ穴12cを備えた止め片12dが設けられている。それぞれの止め片12dには下向きL字状の突き当て具12eが固定ネジB1で固定されている。枠側ブラケット12aに設けられた両ローラー12bの間には、接続ボルト13aを挿通するための挿通孔12fが設けられている。
【0014】
前記連結部材13は、接続ボルト13aと接続ボルト13aを吊る吊りブラケット13bと接続ボルト13aを抑える押さえ具13cを備えている。吊りブラケット13bの長手方向両端にはネジ穴13dを備えた止め片13eが設けられている。接続ボルト13aはその頭部と軸部の付け根部分が吊りブラケット13bのセット凹部13fにセットされ、その接続ボルト13aの上側に押さえ具13cが被せられて固定ネジB2で固定されていることによって、吊りブラケット13bと押さえ具13cで保持されている。
【0015】
枠側部材11と接続部材13は、枠側ブラケット11aの止め片11d、吊りブラケット13bの止め片13e及びL字条の突き当て具11eが固定ネジB3で固定されることによって連結されている。また、戸側部材12と接続部材13は、戸側ブラケット12aの挿通孔12fに差し込まれた接続ボルト13aを回り止め具13gの挿通孔13hに差し込み、その挿通孔13hを通過した接続ボルト13aの先端側にナット13iが締結されることによって連結されている。
【0016】
図3(a)(b)に示す吊り具10は、枠側部材21と戸側部材22と連結部材23を備えたものであり、枠側部材21に固定具が、戸側部材22に回転ローラーが設けられたもの(本願において「下回転型吊り具」という)である。
【0017】
前記枠側部材21は横長方形状の固定プレート21aとその固定プレート21aの上面側に固定された固定ナット21bで構成されている。固定プレート21aには接続ボルト23aを挿通可能な挿通孔(図示しない)が設けられ、その挿通孔と連通する位置に固定ナット21bが設けられている。固定プレート21aは吊り具10をベースに固定する際にベースにあてがう部材である。固定プレート21aには、ベースへの固定に用いる固定具(図示しない)を挿通する挿通孔21cが間隔をあけて複数個設けられている。
【0018】
前記戸側部材22は、戸側ブラケット22aと、戸側ブラケット22aに間隔をあけて設けられた二つの回転ローラー(本願において「下ローラー」という)22bを備えている。戸側ブラケット22aの長手方向両端にはネジ穴22cを備えた止め片22dが設けられている。止め片22dは、戸側部材22と接続部材23とを連結する際に、固定ネジB3を固定する部分である。
【0019】
前記連結部材23は、接続ボルト23aと接続ボルト23aを吊持する吊りブラケット23bと接続ボルト23aの下側を抑える押さえ具23cを備えている。吊りブラケットの23bの長手方向両端にはネジ穴23dを備えた止め片23eが設けられている。接続ボルト23aはその頭部と軸部の付け根部分が吊りブラケット23bのセット凹部23fにセットされており、その接続ボルト23aの下側に押さえ具23cがあてがわれて固定ネジB2で固定されている。
【0020】
前記枠側部材21と接続部材23は、固定プレート21aの挿通孔(図示しない)を通過した接続ボルト23aの先端が当該固定プレート21aに設けられた固定ナット21bにねじ込まれることによって連結されている。また、戸側部材22と接続部材23は、戸側ブラケット22aの止め片22dと吊りブラケット23bの止め片23eが固定ネジB3で固定されることによって連結されている。
【0021】
図4(a)(b)に示す吊り具10は、
図3(a)(b)の吊り具10と同様、枠側部材31と戸側部材32と連結部材33を備えたものであり、枠側部材31に回転ローラーが設けられ、戸側部材32に固定具が設けられたもの(本願において「上回転型吊り具」という)である。
図4(a)(b)に示す吊り具10は、
図3(a)(b)に示す吊り具10の上下を逆さまにしたものである。
【0022】
前記枠側部材31は、枠側ブラケット31aと、枠側ブラケット31aに間隔をあけて設けられた二つの回転ローラー(本願において「上ローラー」という)31bを備えている。枠側ブラケット31aの長手方向両端にはネジ穴31cを備えた止め片31dが設けられている。止め片31dは、枠側部材31と接続部材33とを連結する際に、固定ネジB3を固定する部分である。
【0023】
前記戸側部材32は横長方形状の固定プレート32aとその固定プレート32aの底面側に固定された固定ナット32bで構成されている。固定プレート32aには接続ボルト33aを挿通可能な挿通孔32cが設けられ、その挿通孔32cと連通する位置に固定ナット32bが設けられている。固定プレート32aは吊り具10を吊り戸3に固定する際にベースにあてがう部材である。固定プレート32aには、ベースへの固定に用いる固定具(図示しない)を挿通する挿通孔32dが間隔をあけて複数個設けられている。
【0024】
前記連結部材33は、接続ボルト33aと接続ボルト33aを吊る吊りブラケット33bと接続ボルト33aを抑える押さえ具33cを備えている。吊りブラケットの33bの長手方向両端にはネジ穴33dを備えた止め片33eが設けられている。接続ボルト33aはその頭部と軸部の付け根部分が吊りブラケット33bのセット凹部33fにセットされており、その接続ボルト33aの上側に押さえ具33cが被せられて固定ネジB2で固定されている。
【0025】
前記枠側部材31と接続部材33は、枠側ブラケット31aの止め片31dと吊りブラケット33bの止め片33eが固定ネジB3で固定されることによって連結されている。戸側部材32と接続部材33は、固定プレート32aの挿通孔32cを通過した接続ボルト33aの先端が当該固定プレート32aに設けられた固定ナット32bにねじ込まれることによって連結されている。
【0026】
図2(a)(b)〜
図4(a)(b)に示す吊り具10は一例であり、本発明の吊り戸構造は、これら以外の吊り具によっても実現することができるが、以下では、実施形態1として、戸先側の吊り具(本願において「戸先側吊り具」という)10A及び中継吊り具10Bとして双方回転型吊り具(
図2(a)(b))を、戸尻側の吊り具(本願において「戸尻側吊り具」という)10Cとして上回転型吊り具(
図4(a)(b))を用いる場合について説明し、実施形態2として、戸先側吊り具10Aとして下回転型吊り具(
図3(a)(b))を、中継吊り具10Bとして双方回転型吊り具(
図2(a)(b))を、戸尻側吊り具10Cとして上回転型吊り具(
図4(a)(b))を用いる場合について説明し、実施形態3として、戸先側吊り具10Aとして双方回転型吊り具(
図2(a)(b))を、中継吊り具10Bとして下回転型吊り具(
図3(a)(b))を、戸尻側吊り具10Cとして上回転型吊り具(
図4(a)(b))を用いる場合について説明し、実施形態4として、戸先側吊り具10A及び中継吊り具10Bとして下回転型吊り具(
図3(a)(b))を、戸尻側吊り具10Cとして上回転型吊り具(
図4(a)(b))を用いる場合について説明し、実施形態5として、戸先側吊り具10A、中継吊り具10B及び、戸尻側吊り具10Cとして下回転型吊り具(
図3(a)(b))を用いる場合について説明する。
【0027】
[実施形態1]
本発明の吊り戸構造の第一の実施形態について、
図5(a)(b)及び
図6(a)(b)を参照して説明する。
図5(a)(b)及び
図6(a)(b)において、1は壁部、2は吊り戸レール、3は吊り戸、4は上端側レール、5は介護リフト用の移動レール(分断部材)、10A〜10Cは吊り戸3の上方を吊持する吊り具である。
【0028】
前記壁部1は部屋と部屋とを仕切る壁である。壁部1は移動レール5によって分断されている。前記吊り戸レール2は、分断された壁部1の移動レール5よりも戸先側(本願において「戸先側壁部」という)1aに設けられた戸先側レール2aと、分断された壁部1の移動レール5よりも戸尻側(本願において「戸尻側壁部」という)1bに設けられた戸尻側レール2bとで構成されている。
【0029】
戸先側レール2aは戸先側壁部1aの略全長に亘って設けられ、戸尻側レール2bは戸尻側壁部1bの略全長に亘って設けられている。戸先側レール2aと戸尻側レール2bは同一直線状に設置されている。戸先側レール2aには凹陥状のガイド溝2xが、戸尻側レール2bには凹陥状のガイド溝2yが設けられている。ガイド溝2xには戸先側吊り具10Aの枠側部材11が、ガイド溝2yには中継吊り具10Bの枠側部材11及び戸尻側吊り具10Cの枠側部材31が収まっている。
【0030】
戸先側レール2aのガイド溝2xのうち、移動レール5側の端部には、直方体状の戸先側ブロック6aが設けられている。戸先側ブロック6aには磁石(図示しない)が設けてある。磁石を設ける代わりに、磁性を備えた材料で戸先側ブロック6aを構成することもできる。戸先側ブロック6aには、磁石以外の吸着手段を設けることもできる。この実施形態の戸先側ブロック6aは戸先側吊り具10Aの移動を停止させるストッパーとしての役割を果たすものである。
【0031】
戸尻側レール2bのガイド溝2yのうち、移動レール5側の端部には、直方体状の戸尻側ブロック6bが設けられている。戸尻側ブロック6bには磁石(図示しない)が設けてある。戸先側ブロック6aと同様、磁石を設ける代わりに、磁性を備えた材料で戸尻側ブロック6bを構成することもできる。戸尻側ブロック6bには、磁石以外の吸着手段を設けることもできる。この実施形態の戸尻側ブロック6bは中継吊り具10Bの移動を停止させるストッパーとしての役割を果たすものである。
【0032】
前記吊り戸3は部屋間の壁部1に設けられた出入り口を開閉するためのものである。一例として
図5(a)(b)及び
図6(a)(b)に示す吊り戸3は横長方形状であり、その上部に上端側レール4が設けられている。上端側レール4は吊り戸レール2と対向する位置に設けてある。上端側レール4は、戸先側の端部から戸尻側領域3bの中央付近の位置までの長さとしてある。上端側レール4には凹陥状のガイド溝4xが設けられている。
【0033】
前記ガイド溝4xには直方体状の戸側ブロック7が固設されている。戸側ブロック7には図示しない磁石が設けてある。戸先側ブロック6aや戸尻側ブロック6bと同様、磁石を設ける代わりに、磁性を備えた材料で戸側ブロック7を構成することもできる。この実施形態の戸側ブロック7は上端側レール4の所定位置に固定され、戸先側吊り具10Aの戸側部材12を吸着する吸着具としての役割や、中継吊り具10Bの戸側部材12を吊り戸3が開く方向(本願において「開方向」という)に押す押し具の役割を果たすものである。
【0034】
前記吊り戸3は、間隔をあけて設置された三つの吊り具10A〜10Cによって吊下げられている。前述のとおり、戸先側吊り具10A及び中継吊り具10Bは双方回転型吊り具(
図2(a)(b))、戸尻側吊り具10Cは上回転型吊り具(
図4(a)(b))である。戸先側吊り具10Aの枠側部材11は戸先側レール2a内に、中継吊り具10Bの枠側部材11及び戸尻側吊り具10Cの枠側部材31は戸尻側レール2b内に設けられている。戸先側吊り具10Aの戸側部材12及び中継吊り具10Bの戸側部材12は上端側レール4内に設けられ、戸尻側吊り具10Cの戸側部材32は吊り戸3の戸尻側領域3bの上方端部に固定されている。
【0035】
吊り戸3の下端面には、床面に設けられた振れ止め装置のローラー9が収まる下端側レール8が設けられている。マグネット式の振れ止め装置を用いる場合等、不要な場合には下端側レール8は省略することもできる。
【0036】
移動レール5は移動リフトを移動させるためのガイドレールである。移動レール5は吊り戸レール2を分断する位置(戸先側レール2aと戸尻側レール2bの間)に配置されている。
【0037】
[吊り戸を開く際の動作]
(1)全閉状態にある吊り戸3(
図5(a))を開方向へ移動させ、戸先側吊り具10Aの枠側部材11を戸先側ブロック6aに突き当たらせる(
図5(b))。
(2)上記(1)の状態から吊り戸3をさらに開方向へ移動させ、戸先側吊り具10Aの戸側部材12に吸着していた戸側ブロック7を当該戸先側吊り具10Aの戸側部材12から離脱させ、中継吊り具10Bの戸側部材12に吸着させる(
図6(a))。
(3)上記(2)の状態から吊り戸3をさらに開方向へ移動させ、戸先側吊り具10Aの戸側部材12を上端側レール4から離脱させ、吊り戸3を全開状態まで移動させる(
図6(b))。
【0038】
上記吊り戸を開く動作では、吊り戸3を開く途中で吊り戸3を戸先側吊り具10Aから離脱させるが、吊り戸3が戸先側吊り具10Aから離脱する前に、戸先側領域3aが中継吊り具10Bで吊持され、戸尻側領域3bが戸尻側吊り具10Cで吊持されるため、吊り戸3が不用意に傾いたり、脱落したりすることがない。
【0039】
[吊り戸を閉じる際の動作]
(1)全開状態にある吊り戸3(
図6(b))を吊り戸3が閉じる方向(本願において「閉方向」という)に移動させ、吊り戸3の上端側レール4内に戸先側吊り具10Aの戸側部材12を嵌合させる(
図6(a))。
(2)上記(1)の状態から吊り戸3をさらに閉方向へ移動させて、中継吊り具10Bの枠側部材11を戸尻側ブロック6bに突き当たらせ、中継吊り具10Bの戸側部材12に吸着していた戸側ブロック7を当該中継吊り具10Bの戸側部材12から離脱させる(
図5(b))。
(3)上記(2)の状態から吊り戸3をさらに閉方向へ移動させて、戸先側吊り具10Aの戸側部材12に吸着させ、吊り戸3を全閉状態まで移動させる(
図5(a))。
【0040】
上記吊り戸を閉じる動作によって全閉状態まで移動した吊り戸3は、その戸先側領域3aが戸先側吊り具10Aで吊持され、戸尻側領域3bが中継吊り具10B及び戸尻側吊り具10Cで吊持されるため、不用意に傾いたり、脱落したりすることがない。
【0041】
[実施形態2]
本発明の吊り戸構造の第二の実施形態について、
図7(a)(b)及び
図8(a)(b)を参照して説明する。この実施形態の基本的な構成は実施形態1と同様である。異なるのは、吊り具10の組み合わせ、戸先側レール2a及び戸先側ブロック6aがないこと、上端側レール4が実施形態1の上端側レール4よりも短いことである。以下では、実施形態1と異なる部分を中心に説明し、実施形態1と共通する部分についてはその説明を省略する。
【0042】
この実施形態の吊り具10は、戸先側吊り具10Aが下回転型吊り具(
図3(a)(b))、中継吊り具10Bが双方回転型吊り具(
図2(a)(b))、戸尻側吊り具10Cが上回転型吊り具(
図4(a)(b))である。戸先側吊り具10Aの枠側部材21は戸先側壁部1aに固定され、中継吊り具10Bの枠側部材11及び戸尻側吊り具10Cの枠側部材31は戸尻側レール2b内に設けられている。戸先側吊り具10Aの戸側部材22及び中継吊り具10Bの戸側部材12は上端側レール4内に設けられ、戸尻側吊り具10Cの戸側部材32は吊り戸3の戸尻側領域3bの上方端部に固定されている。
【0043】
[吊り戸を開く際の動作]
(1)全閉状態にある吊り戸3(
図7(a))を開方向へ移動させ、戸側ブロック7を中継吊り具10Bの戸側部材12に吸着させる(
図7(b))。
(2)上記(1)の状態から吊り戸3をさらに開方向へ移動させ、中継吊り具10Bが吊り戸3の戸先側領域3aに到達したところで、吊り戸3を戸先側吊り具10Aから離脱させる(
図8(a))。
(3)上記(2)の状態から吊り戸3をさらに開方向へ移動させ、吊り戸3を全開状態まで移動させる(
図8(b))。
【0044】
上記吊り戸を開く動作では、吊り戸3を開く途中で吊り戸3を戸先側吊り具10Aから離脱させるが、吊り戸3が戸先側吊り具10Aから離脱する前に、戸先側領域3aが中継吊り具10Bで吊持され、戸尻側領域3bが戸尻側吊り具10Cで吊持されるため、吊り戸3が不用意に傾いたり、脱落したりすることがない。
【0045】
[吊り戸を閉じる際の動作]
(1)全開状態にある吊り戸3(
図8(b))を閉方向に移動させ(
図8(a))、吊り戸3の上端側レール4内に戸先側吊り具10Aの戸側部材12を嵌合させる(
図7(b))。
(2)上記(1)の状態から吊り戸3をさらに閉方向へ移動させて、中継吊り具10Bの戸側部材12に吸着していた戸側ブロック7を当該中継吊り具10Bの戸側部材12から離脱させる(
図7(b))。
(3)上記(2)の状態から吊り戸3をさらに閉方向へ移動させ、吊り戸3を全閉状態まで移動させる(
図7(a))。
【0046】
上記吊り戸を閉じる動作によって全閉状態まで移動した吊り戸3は、その戸先側領域3aが戸先側吊り具10Aで吊持され、戸尻側領域3bが中継吊り具10B及び戸尻側吊り具10Cで吊持されるため、不用意に傾いたり、脱落したりすることがない。
【0047】
[実施形態3]
本発明の吊り戸構造の第三の実施形態について、
図9(a)(b)及び
図10(a)(b)を参照して説明する。この実施形態の基本的な構成は実施形態1と同様である。異なるのは、吊り具10の組み合わせ、戸尻側レール2bが戸尻側壁部1bの全長よりも短いこと、戸尻側ブロック6bがないこと、上端側レール4が実施形態1の上端側レール4よりも長いことである。以下では、実施形態1と異なる部分を中心に説明し、実施形態1と共通する部分についてはその説明を省略する。
【0048】
この実施形態の戸先側吊り具10Aは双方回転型吊り具(
図2(a)(b))、中継吊り具10Bは下回転型吊り具(
図3(a)(b))、戸尻側吊り具10Cは上回転型吊り具(
図4(a)(b))である。戸先側吊り具10Aの枠側部材11は戸先側レール2a内に設けられ、中継吊り具10Bの枠側部材21は戸尻側壁部1bに固定され、戸尻側吊り具10Cの枠側部材31は戸尻側レール2b内に設けられている。戸先側吊り具10Aの戸側部材12及び中継吊り具10Bの戸側部材22は上端側レール4内に設けられ、戸尻側吊り具10Cの戸側部材32は吊り戸3の戸尻側領域3bの上方端部に固定されている。
【0049】
[吊り戸を開く際の動作]
(1)全閉状態にある吊り戸3(
図9(a))を開方向へ移動させ、戸先側吊り具10Aの枠側部材11を戸先側ブロック6aに突き当たらせる(
図9(b))。
(2)上記(1)の状態から吊り戸3をさらに開方向へ移動させ、戸先側吊り具10Aの戸側部材12に吸着していた戸側ブロック7を当該戸先側吊り具10Aの戸側部材12から離脱させる(
図10(a))。
(3)上記(2)の状態から吊り戸3をさらに開方向へ移動させ、中継吊り具10Bが吊り戸3の戸先側領域3aに到達したところで、吊り戸3を戸先側吊り具10Aから離脱させ、吊り戸3を全開状態まで移動させる(
図10(b))。
【0050】
上記吊り戸を開く動作では、吊り戸3を開く途中で吊り戸3を戸先側吊り具10Aから離脱させるが、吊り戸3が戸先側吊り具10Aから離脱する前に、戸先側領域3aが中継吊り具10Bで吊持され、戸尻側領域3bが戸尻側吊り具10Cで吊持されるため、吊り戸3が不用意に傾いたり、脱落したりすることがない。
【0051】
[吊り戸を閉じる際の動作]
(1)全開状態にある吊り戸3(
図10(b))を閉方向に移動させて吊り戸3の上端側レール4を戸先側吊り具10Aの戸側部材12を嵌合させる(
図10(a))。
(2)上記(1)の状態から吊り戸3をさらに閉方向へ移動させ、戸側ブロック7を戸先側吊り具10Aの戸側部材12に吸着させる(
図9(b))。
(3)上記(2)の状態から吊り戸3をさらに閉方向へ移動させて戸側ブロック7で戸先側吊り具10Aを押し、戸先側吊り具10Aの枠側部材11をブロック6aから離脱させて、吊り戸3を全閉状態まで移動させる(
図9(a))。
【0052】
上記吊り戸を閉じる動作によって全閉状態まで移動した吊り戸3は、その戸先側領域3aが戸先側吊り具10Aで吊持され、戸尻側領域3bが中継吊り具10B及び戸尻側吊り具10Cで吊持されるため、不用意に傾いたり、脱落したりすることがない。
【0053】
[実施形態4]
本発明の吊り戸構造の第四の実施形態について、
図11(a)(b)及び
図12を参照して説明する。この実施形態の基本的な構成は実施形態1と同様である。異なるのは、吊り具10の組み合わせ、戸先側レール2a及び戸先側ブロック6aがないこと、戸尻側レール2bが戸尻側壁部1bの全長よりも短いこと、戸尻側ブロック6bがないこと、上端側レール4が実施形態1の上端側レール4よりも長いことである。以下では、実施形態1と異なる部分を中心に説明し、実施形態1と共通する部分についてはその説明を省略する。
【0054】
この実施形態の戸先側吊り具10A及び中継吊り具10Bは下回転型吊り具(
図3(a)(b))、戸尻側吊り具10Cは上回転型吊り具(
図4(a)(b))である。戸先側吊り具10Aの枠側部材21は戸先側壁部1aに固定され、中継吊り具10Bの枠側部材21は戸尻側壁部1bに固定され、戸尻側吊り具10Cの枠側部材31は戸尻側レール2b内に設けられている。戸先側吊り具10Aの戸側部材22及び中継吊り具10Bの戸側部材22は上端側レール4内に設けられ、戸尻側吊り具10Cの戸側部材32は吊り戸3の戸尻側領域3bの上方端部に固定されている。
【0055】
[吊り戸を開く際の動作]
(1)全閉状態にある吊り戸3(
図11(a))を開方向へ移動させ、中継吊り具10Bを吊り戸3の戸先側領域3aに到達させる(
図11(b))。
(2)上記(1)のように中継吊り具10Bを吊り戸3の戸先側領域3aに到達させたのち、吊り戸3をさらに開方向へ移動して戸先側吊り具10Aの戸側部材22から離脱させ、吊り戸3を全開状態まで移動させる(
図12)。
【0056】
上記吊り戸を開く動作では、吊り戸3を開く途中で吊り戸3を戸先側吊り具10Aから離脱させるが、吊り戸3が戸先側吊り具10Aから離脱する前に、戸先側領域3aが中継吊り具10Bで吊持され、戸尻側領域3bが戸尻側吊り具10Cで吊持されるため、吊り戸3が不用意に傾いたり、脱落したりすることがない。
【0057】
[吊り戸を閉じる際の動作]
(1)全開状態にある吊り戸3(
図12)を閉方向に移動させ、吊り戸3の上端側レール4内に戸先側吊り具10Aの戸側部材22を嵌合させる(
図11(b))。
(2)上記(1)の状態から吊り戸3をさらに閉方向へ移動させ、吊り戸3を全閉状態まで移動させる(
図11(a))。
【0058】
上記吊り戸を閉じる動作によって全閉状態まで移動した吊り戸3は、その戸先側領域3aが戸先側吊り具10Aで吊持され、戸尻側領域3bが中継吊り具10B及び戸尻側吊り具10Cで吊持されるため、不用意に傾いたり、脱落したりすることがない。
【0059】
[実施形態5]
本発明の吊り戸構造の第五の実施形態について、
図13(a)(b)及び
図14を参照して説明する。この実施形態の基本的な構成は実施形態1と同様である。異なるのは、吊り具10の組み合わせ、戸先側レール2a及び戸先側ブロック6aがないこと、戸尻側レール2b及び戸尻側ブロック6bがないこと、上端側レール4が吊り戸3の上部の長さ方向全長に亘って設けられていること、戸側ブロック7がないことである。以下では、実施形態1と異なる部分を中心に説明し、実施形態1と共通する部分についてはその説明を省略する。
【0060】
この実施形態の戸先側吊り具10A、中継吊り具10B、及び戸尻側吊り具10Cは、いずれも下回転型吊り具(
図3(a)(b))である。戸先側吊り具10Aの枠側部材21は戸先側壁部1aに固定され、中継吊り具10Bの枠側部材21及び戸尻側吊り具10Cの枠側部材21は戸尻側壁部1bに固定されている。戸先側吊り具10Aの戸側部材22、中継吊り具10Bの戸側部材22及び戸尻側吊り具10Cの戸側部材22は上端側レール4内に設けられている。
【0061】
[吊り戸を開く際の動作]
(1)全閉状態にある吊り戸3(
図13(a))を開方向へ移動させ、中継吊り具10Bを吊り戸3の戸先側領域3aまで到達させる(
図13(b))。
(2)上記(1)のように中継吊り具10Bを吊り戸3の戸先側領域3aに到達させたのち、吊り戸3をさらに開方向へ移動して戸先側吊り具10Aの戸側部材22から離脱させ、吊り戸3を全開状態まで移動させる(
図14)。
【0062】
上記吊り戸を開く動作では、吊り戸3を開く途中で吊り戸3を戸先側吊り具10Aから離脱させるが、吊り戸3が戸先側吊り具10Aから離脱する前に、戸先側領域3aが中継吊り具10Bで吊持され、戸尻側領域3bが戸尻側吊り具10Cで吊持されるため、吊り戸3が不用意に傾いたり、脱落したりすることがない。
【0063】
[吊り戸を閉じる際の動作]
(1)全開状態にある吊り戸3(
図14)を閉方向に移動させ、吊り戸3の上端側レール4内に戸先側吊り具10Aの戸側部材22を嵌合させる(
図13(b))。
(2)上記(1)の状態から吊り戸3をさらに閉方向へ移動させ、吊り戸3を全閉状態まで移動させる(
図13(a))。
【0064】
上記吊り戸を閉じる動作では、吊り戸3を閉じる途中で吊り戸3を戸尻側吊り具10Cから離脱させるが、吊り戸3が戸尻側吊り具10Cから離脱する前に、戸尻側領域3bが中継吊り具10Bで吊持され、戸先側領域3aが戸先側吊り具10Aで吊持されるため、吊り戸3が不用意に傾いたり、脱落したりすることがない。
【0065】
[その他の実施形態]
前記実施形態1〜5では、移動レール5よりも戸先側に、途中で吊り戸3から離脱して吊り戸3の吊持を解除する吊り具10が設けてある。また、離脱する吊り具10が上端側レール4から離脱するタイミングでは、必ず、吊り戸3の戸先側領域3aと戸尻側領域3bの夫々が他の吊り具によって吊持されるようにしてある。本発明の吊り戸構造は、これらの条件がそろえば、前記実施形態1〜5に示す構造以外の構造とすることもできる。